説明

扉鎖錠装置

【課題】扉の板厚や筐体の板厚に依存せず、容易に組み立て可能な扉鎖錠装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、筐体の開口部にヒンジ機構により取り付けられた扉をロックする扉鎖錠装置は、リンク棒と、ネジ部と、リンク押さえ部材とを備えている。このリンク棒は、前記扉の内側に取り付けられ上下に動作することにより、前記筐体に係止して前記扉をロック状態にするかまたは、前記筐体から離れて前記扉を開閉可能な状態にする。またネジ部は、前記扉の内側に、前記扉の面に対して垂直状に取り付けられている。またリンク押さえ部材は、前記リンク棒を貫通させて保持し、この貫通されたリンク棒が前記筐体に係止可能な位置になるまで前記ネジ部にねじ込まれて取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、扉鎖錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の扉付きの制御盤装置等は、図1に示すように筐体1と扉2と有し、この扉2には開動作を規制する扉鎖錠装置が設けられている。
【0003】
扉鎖錠装置により、扉2が筐体1にロックされている状態の横断面図を、図7(A)に示す。
【0004】
この扉鎖錠装置により扉2が閉状態にロックされているときには、扉2の内側に取り付けられたリンク棒5a、5bが筐体1の開口部の開口枠12に係止されており、扉2の外側に取り付けられたハンドル3が回動操作されると、図7(B)に破線で示すように、ハンドル3の回動動作に連動してリンク棒5a、5bが上下方向にスライドして開口枠12から離れ、扉2のロックが解除され開閉自在な状態になる。
【0005】
この扉2の内側に取り付けられたリンク棒5a、5bは、ハンドル3の動きに連動して回動する止め金4の上部および下部にピン6a、6bによりそれぞれ取り付けられ、リンク棒5aの上部およびリンク棒5bの下部がリンク押さえ部材9a、9bに貫通されることにより扉2に保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭63−121482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この従来の扉鎖錠装置では、扉2および筐体1の板厚や、扉枠21の厚み等によりリンク押さえ部材9a、9bのリンク棒5a、5bを貫通させる穴の位置が異なるため、制御盤装置等の適用する扉付き筐体ごとにそれぞれ専用のリンク押さえ部材9a、9bが必要であり部品の種類が多くなるという問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、扉や筐体の構造に依存せず、容易に組み立て可能な扉鎖錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための実施形態によれば、筐体の開口部にヒンジ機構により取り付けられた扉をロックする扉鎖錠装置は、リンク棒と、ネジ部と、リンク押さえ部材とを備えている。
【0010】
このリンク棒は、前記扉の内側に取り付けられ上下に動作することにより、前記筐体に係止して前記扉をロック状態にするかまたは、前記筐体から離れて前記扉を開閉可能な状態にする。
【0011】
またネジ部は、前記扉の内側に、前記扉の面に対して垂直状に取り付けられている。
【0012】
またリンク押さえ部材は、前記リンク棒を貫通させて保持し、この貫通されたリンク棒が前記筐体に係止可能な位置になるまで前記ネジ部にねじ込まれて取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態による扉鎖錠装置を利用した制御盤装置の扉が閉じている状態を示す外観斜視図である。
【図2】一実施形態による扉鎖錠装置を利用した制御盤装置の扉が開いている状態を示す外観斜視図である。
【図3】(A)は一実施形態による扉鎖錠装置のロック状態における横断面図であり、(B)は一実施形態による扉鎖錠装置のロック解除状態に移行した状態における正面図である。
【図4】(A)、(B)は、一実施形態による扉鎖錠装置を利用した制御盤装置の扉枠の厚さが異なる場合の横断面図である。
【図5】一実施形態による扉鎖錠装置のリンク押さえ部材の動きを説明する横断面図の部分拡大図である。
【図6】一実施形態による扉鎖錠装置のリンク押さえ部材の動きを説明する正面図の部分拡大図である。
【図7】(A)は従来の扉鎖錠装置のロック状態における横断面図であり、(B)は従来の扉鎖錠装置のロック解除状態に移行した状態における正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態による扉鎖錠装置を利用した制御盤装置の構成について、図1〜3を参照して説明する。図1は本実施形態による扉鎖錠装置を利用した制御盤装置の扉が閉じている状態の外観斜視図であり、図2は扉が開いている状態の外観斜視図であり、図3(A)は扉鎖錠装置の横断面図であり、(B)は扉鎖錠装置の正面図である。
【0015】
本実施形態による扉鎖錠装置を利用した制御盤装置は、開口部11を有し、内部に制御盤が収納された筐体1と、この筐体1の開口部11にヒンジ機構により取り付けられた扉2とを備えている。この筐体1には図3(A)に示すように、開口部11の内側に向かってL字形の開口枠12が形成され、扉2には筐体1と接する内面側にL字形の扉枠21が形成されている。扉2は、筐体1の開口部11を閉状態にして固定するための扉鎖錠装置を有している。
【0016】
この扉鎖錠装置の詳細な構成について、図3(A)および(B)を参照して説明する。図3(A)は本実施形態による扉鎖錠装置のロック状態における横断面図であり、図3(B)は本実施形態による扉鎖錠装置のロック解除状態に移行した状態における正面図である。
【0017】
本実施形態による制御盤装置の扉2に設けられた扉鎖錠装置は、扉2の外面に取り付けられた回動可能なハンドル3と、扉2の内面に取り付けられハンドル3の回動に連動して動く止め金4とを有している。
【0018】
また、この止め金4の上部にはリンク棒5aがピン6aにより回動自在に取り付けられ、止め金4の下部にはリンク棒5bがピン6bにより回動自在に取り付けられている。
【0019】
さらに、扉2の内側上部には扉2の面に対して垂直状にネジ部7aが固着されており、このネジ部7aにリンク押さえ部材8aが螺合されて取り付けられている。このリンク押さえ部材8aはリンク棒5aを貫通させて保持し、このリンク棒5aが筐体1の開口枠12に係止可能な位置になるまでネジ部7aにねじ込まれて取り付けられている。
【0020】
また同様に、扉2の内側下部には扉2の面に対して垂直状にネジ部7bが固着されており、このネジ部7bにリンク押さえ部材8bが螺合されて取り付けられている。このリンク押さえ部材8bはリンク棒5bを貫通させて保持し、このリンク棒5bが筐体1の開口枠12に係止可能な位置になるまでネジ部7bにねじ込まれて取り付けられている。
【0021】
そして扉2がロックされるときには、図3(A)に示すように、リンク棒5aが筐体1の天井側の開口枠12に係止されるとともに、リンク棒5bが筐体1の床側の開口枠12に係止されることで、扉2が閉状態で筐体1に固定された状態となる。
【0022】
また扉2のロックが解除されるときには、扉2に取り付けられているハンドル3が回動されることにより止め金4が連動して回動され、図3(B)に示すようにリンク棒5aがピン6aを回転軸として回動しながらリンク押さえ部材8aでガイドされて斜めを向いた状態となるとともに、リンク棒5bがピン6bを回転軸として回動しながらリンク押さえ部材8bでガイドされて斜めを向いた状態となることにより、リンク棒5a、5bの先端が筐体1の開口枠12から離れて扉2のロックが解除され開閉可能な状態となる。
【0023】
この扉鎖錠装置の動作について、図4〜図6を参照して説明する。図4(A)は本実施形態による扉鎖錠装置の、扉枠21の厚さが薄い場合の横断面図であり、(B)は本実施形態による扉鎖錠装置の、扉枠21の厚さが厚い場合の制御盤装置の横断面図であり、図5は本実施形態による扉鎖錠装置のリンク押さえ部材8bの動きを説明する横断面図の部分拡大図であり、図6は本実施形態による扉鎖錠装置のリンク押さえ部材8bの動きを説明する正面図の部分拡大図である。
【0024】
本実施形態による扉鎖錠装置においては、リンク押さえ部材8a、8bがそれぞれネジ部7a、7bに螺合されることで取り付けられているため、扉2や筐体1の板厚が異なる制御盤装置、また図4(A)と(B)とのように扉2の扉枠21の厚さが異なる制御盤装置においてもリンク押さえ部材8a、8bのネジ部7a、7bへのねじ込み具合を調整することにより、図5の矢印Xで示す横方向に容易に位置を変えてリンク棒5a、5bを保持することができる。
【0025】
例えば、扉2や筐体1の厚さが薄い場合や、扉2の扉枠21の厚さが薄い場合には、図4(A)に示すようにリンク押さえ部材8a、8bがネジ穴81の奥までネジ部7a、7bにねじ込まれ、扉2や筐体1の厚さが厚い場合や、扉2の扉枠21の厚さが厚い場合には、図4(B)に示すようにリンク押さえ部材8a、8bのネジ穴81がネジ部7a、7bに完全にねじ込まれず空間82が形成された状態で取り付けられることで、扉2が閉状態でロックされるときにリンク棒5a、5bが開口枠12に係止可能になる。
【0026】
ここで、このリンク押さえ部材8a、8bがネジ部7a、7bに完全にねじ込んで固定されていないときには、ネジ部7a、7bに対してリンク押さえ部材8a、8bが回動自在な状態であるため、ハンドル3が回動されたことにより止め金4が回動されリンク棒5a、5bが斜めに向いた状態となるときに、リンク棒5a、5bの向きの変動に追従してリンク押さえ部材8a、8bの向きも図5および図6の矢印Y方向に変動し、より柔軟にハンドル3を回動させることができる。
【0027】
またリンク押さえ部材8a、8bにはリンク棒5a、5bが貫通されているため、ネジ部7a、7bに回動自在な状態で螺合されていてもリンク押さえ部材8a、8bがゆるんでネジ部7a、7bから離脱することがなく、長期間安定して使用することができる。
【0028】
以上の本実施形態によれば、扉の板厚や筐体の板厚に依存せず、簡易な構成で容易に組み立て可能な扉鎖錠装置を提供することができる。
【0029】
本実施形態による扉鎖錠装置に利用するリンク棒の形状は限定されず、例えば断面が丸状の場合でも平形状の場合でも、これらの形状に合わせてリンク押さえ部材の穴を形成すれば適用可能である。
【0030】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
1…筐体
2…扉
3…ハンドル
4…止め金
5a、5b…リンク棒
6a、6b…ピン
7a、7b…ネジ部
8a、8b…リンク押さえ部材
9a、9b…リンク押さえ部材
11…開口部
12…開口枠
21…扉枠
81…ネジ穴
82…空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の開口部にヒンジ機構により取り付けられた扉をロックする扉鎖錠装置において、
前記扉の内側に取り付けられ上下に動作することにより、前記筐体に係止して前記扉をロック状態にするかまたは、前記筐体から離れて前記扉を開閉可能な状態にするリンク棒と、
前記扉の内側に、前記扉の面に対して垂直状に取り付けられたネジ部と、
前記リンク棒を貫通させて保持し、この貫通されたリンク棒が前記筐体に係止可能な位置になるまで前記ネジ部にねじ込まれて取り付けられたリンク押さえ部材と、
を備えることを特徴とする扉鎖錠装置。
【請求項2】
前記筐体は、制御盤が収納された制御盤装置である
ことを特徴とする請求項1に記載の扉鎖錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−64690(P2012−64690A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206518(P2010−206518)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】