説明

手動送り速度を変更可能な数値制御装置

【課題】ボタンの押し方によって、ダイナミックに手動送り速度を変更可能にし、軸の位置決めを容易に行うことが可能な手動送り速度を変更可能な数値制御装置。
【解決手段】手動軸送りボタン(以下、「BU」という)が押されると、押下時間を判断するためのタイマが起動する。BUが微小軸送りとなる上限押下時間より長く押され続けると、押されている間、送り速度を連続して増加させながら軸の移動を行なう。BUが離されると、軸移動を停止し、タイマを停止する。BUが微小軸送りとなる上限押下時間より短く押された場合、一定速度送りとなる上限時間以内にBUが再押下されないと、手動パルス発生器の1目盛りと同等の微小送りを行なう。移動が完了すると、軸移動を停止し、タイマを停止する。一定速度送りとなる上限時間以内にBUが再押下されると、押されている間、一定速度で軸の移動を行なう。BUが離されると、軸移動を停止し、タイマを停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動送り速度を変更可能な数値制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
数値制御装置に接続される機械操作盤には、手動パルス発生器付きのものや、ジョグボタン付きのものがあり、これらを使って手動で各軸の位置決めが行なわれている。オペレータは、通常、手動パルス発生器を使用し、軸が位置決めの目的位置から離れている場合はハンドルを早く回して高速に移動させ、目的位置に近づくと、ハンドルをゆっくり回して目的位置に停止させている。
しかし、機械操作盤にジョグボタンしかない場合は、一定の速度でしか軸を移動できないため、位置決めが困難になっている。そのため、手動パルス発生器のように軸送り時の送り速度に緩急をつけ、位置決めを容易にする手動送りの手段が求められている。
【0003】
手動送りでの位置決めを容易にする技術として、ジョグボタンを押している長さによりジョグ送りとステップ送りを切り替える方法(特許文献1参照)がある。
また、送り速度を変更可能な技術として、ジョグ送りを行う操作機器から軸の移動方向と速度を出力し、送り速度の加減を調整しながら軸を移動させる方法(特許文献2参照)や移動ボタンを一定時間以上押し続けた場合に移動速度を上昇させる方法(特許文献3参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−153128号公報
【特許文献2】特開平6−210551号公報
【特許文献3】特開平2−295881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、ジョグボタンを短く押すことでステップ送り(図8参照)ができ、長く押すことで押している時間の長さに応じ、段階的に送り速度を切り替えてジョグ送り(図9参照)ができるが、手動パルス発生器のように連続して送り速度を変動させることはできない。また、従来のジョグ送りのように、速度を切り替えずに一定速度で軸を移動させるためには、各段階の送り速度の設定を手動で変更する必要がある。 また、特許文献2や特許文献3に開示された技術では、目的位置まで遠い場合は速い速度、近い場合はゆっくりとした速度で移動できるが、手動パルス発生器のように、目的位置近辺で必要となる1パルス単位での移動はできない。
【0006】
そこで本発明の目的は、数値制御装置の機械操作盤において、軸を移動させるためのボタンの押し方によって、ダイナミックに手動送り速度を変更可能にし、軸の位置決めを容易に行うことが可能な手動送り速度を変更可能な数値制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明は、一つまたは複数の軸を有する機械の前記軸を手動操作で移動させる手動軸送りボタンを備えた操作盤を有する数値制御装置において、前記手動軸送りボタンが押下された押下時間を計測する押下時間計測部と、前記押下時間が第1の時間以内か否かを判別する第1判別部と、前記押下時間が前記第1の時間を超えた場合には、前記手動軸送りボタンが押下されている間、押下されている時間に応じて送り速度を連続して増加させながら軸を移動させ、前記押下時間が第1の時間以内の場合には前記数値制御装置に設定された最小移動量だけ前記軸を移動させる第1移動制御部と、を備えたことを特徴とする手動送り速度を変更可能な数値制御装置である。
請求項2に係る発明は、前記手動軸送りボタンが押下された後、前記手動軸送りボタンが離されて再度押下されるまでの再押下時間を計測する再押下時間計測部と、前記再押下時間が第2の時間以内か否かを判別する第2判別部と、前記押下時間が前記第1の時間以内で、前記再押下時間が第2の時間以内の場合には、前記手動軸送りボタンが押下されている間、一定の送り速度で軸を移動させる第2移動制御部と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の手動送り速度を変更可能な数値制御装置である。
請求項3に係る発明は、前記手動軸送りボタンの押下時間に応じた軸の送り速度の増分、最大送り速度、および前記第1の時間を設定する設定部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の手動送り速度を変更可能な数値制御装置である。
請求項4に係る発明は、一定速度で軸を移動する場合の送り速度、前記第2の時間を設定する設定部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の手動送り速度を変更可能な数値制御装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、数値制御装置の機械操作盤において、軸を移動させるためのボタンの押し方によって、ダイナミックに手動送り速度を変更可能にし、軸の位置決めを容易に行うことが可能な手動送り速度を変更可能な数値制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る手動送り速度を変更可能な数値制御装置を説明するブロック図である。
【図2】本発明において手動軸送りボタンを押し続けた場合の送り軸の速度を説明する図である。
【図3】本発明において手動軸送りボタンを短く押した場合の送り軸の速度を説明する図である。
【図4】本発明において手動軸送りボタンを短く押した直後に長く押し続けた場合の送り軸の速度を説明する図である。
【図5】本発明において手動軸送りボタンが操作されたときの処理のフローチャートである。
【図6】本発明において軸の送り速度の増分を変更した場合を説明する図である。
【図7】本発明において一定速度で軸を移動する場合の送り速度を変更した場合を説明する図である。
【図8】従来技術においてジョグボタンを短く押した場合のジョグ送り速度を説明する図である。
【図9】従来技術においてジョグボタンを長く押し続けた場合のジョグ送り速度を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明に係る手動送り速度を変更可能な数値制御装置を説明するブロック図である。本発明の手動送り速度を変更可能な数値制御装置10は、工作機械20を駆動制御する装置である。工作機械20は手動軸送りボタン24を有する機械操作盤22、工作機械の一つまたは複数の軸の機構部を駆動するサーボモータ28を有する軸移動部26を備えている。機械操作盤22に設けられた手動軸送りボタン24は、機械の送り軸(例えば、X軸,Y軸,Z軸)に対応してプラス方向とマイナス方向に手動操作で移動させる手動式のボタンである。
数値制御装置10の速度制御部12は工作機械20から手動軸送りボタン押下情報を取得し、送り速度算出部14において、工作機械20から取得した手動軸送りボタン押下情報に基づいて送り速度情報を算出し、軸制御部16に該送り速度情報を渡し、軸制御部16は送り速度情報を用いて軸移動指令を算出し、該軸移動指令を工作機械20の軸移動部26に送る。軸移動部26に備わったサーボモータ28は、軸移動指令に従って駆動される。工作機械20に備わった手動軸送りボタン24が押されると、手動軸送りボタン押下情報を基にして押下時間を計測するために数値制御装置10に備わったタイマ(図示せず)が起動する。
【0011】
次に、手動軸送りボタンの押下状態と送り軸の送り速度の関係を説明する。本発明において、手動軸送りボタンの押下状態と送り軸の送り速度の関係は、図2、図3、および図4に図示される3つの態様がある。
図2は本発明において手動軸送りボタンを押し続けた場合の送り軸の速度を説明する図である。図3は本発明において手動軸送りボタンを短く押した場合の送り軸の速度を説明する図である。図4は本発明において手動軸送りボタンを短く押した直後に長く押し続けた場合の送り軸の速度を説明する図である。各図には時間に対する手動軸送りボタン24の状態と送り軸の送り速度(軸移動指令)の関係が図示されている。なお、各図において各符号は同じ内容を示している。
【0012】
<1>
まず、図2を参照しながら説明する。符号200は手動軸送りボタン24の状態を示す波形であり、符号300は送り速度(軸移動指令)を示す波形である。
手動軸送りボタン24が押されると手動軸送りボタンの状態はOn状態となり離される(つまりオペレータが手動軸送りボタン24の押し下げを行わない状態)とOff状態となる。このOn状態とOff状態とが手動軸送りボタン押下情報として工作機械20から数値制御装置10に送られる。
符号100は手動軸送りボタン24が押し下げられた時点、符号102は符号100の時点から微小軸送りとなる上限押下時間(第1の時間T1)が経過した時点、符号104は一定軸送りとなる上限押下時間(第2の時間T2)が経過した時点、符号106は送り軸の送り速度(軸移動指令)がゼロになる時点を示している。
手動軸送りボタン24を押し続けた場合、微小軸送りとなる上限押下時間(第1の時間T1)より長く押されたと判断されると、符号310に示されるように送り速度を連続して増加させながら軸の移動を行う。送り軸が目的位置まで遠い場合、手動軸送りボタン24を押す時間を長くすることで、高速で移動可能になる。送り軸が目的位置まで近い場合、手動軸送りボタン24を押す時間を短くすることで、送り軸をゆっくりと目的位置に近づけることが可能になる。
【0013】
以下、手動軸送りボタン24の押下が行われた時(符号100の時点)から順を追って説明する。
(1)手動軸送りボタン24を押すと手動軸送りボタン24の押下時間を判断するためのタイマが起動する(符号100の時点)。
(2)手動軸送りボタン24が微小軸送りとなる上限押下時間(第1の時間T1)より長く押され続けている場合、送り軸の移動を開始する。図2では手動軸送りボタン24が微小軸送りとなる上限押下時間(第1の時間T1)(符号102の時点)より長く押され続けているため、送り軸の移動を開始する(軸移動指令を工作機械20に送る)。
(3)手動軸送りボタン24が押されている間、送り速度を連続して増加させながら軸の移動を行う。
(4)手動軸送りボタン24が離されると軸移動を停止し(軸移動指令をゼロにする)(符号106の時点)タイマを停止する。
【0014】
<2>
次に、図3を参照しながら説明する。符号202は手動軸送りボタン24の状態を示す波形であり、符号302は送り速度(軸移動指令)を示す波形である。
手動軸送りボタン24を微小軸送りとなる上限押下時間(第1の時間T1)(符号102の時点)より短い時間で離すと、手動パルス発生器の1目盛り送りと同等の数値制御装置10で設定されている最小移動量での微小軸送りを行う。これによって、目的位置付近で高精度に送り軸を移動することが可能になる。送り軸の移動が完了するとタイマが停止する。これにより、ハードウェアの追加をせずに手動パルス発生器に近い操作性を実現できるため、手動パルス発生器の無い機械操作盤での操作性が向上する。
【0015】
以下、手動軸送りボタン24の押下が行われた時(符号100の時点)から順を追って説明する。
(1)手動軸送りボタン24を押すと手動軸送りボタン24の押下時間を判断するためのタイマが起動する(符号100の時点)。
(2)手動軸送りボタン24が微小軸送りとなる上限押下時間(第1の時間T1)(符号102の時点)より短い時間,押されているため、一定軸送りとなる上限押下時間(第2の時間T2)が経過するのを待って(符号104の時点)、手動パルス発生器の1目盛り送りと同等の数値制御装置10で設定されている最小移動量での微小軸送りを行い(軸移動指令を工作機械20に送る)タイマを停止する。
【0016】
<3>
次に、図4を参照しながら説明する。符号204は手動軸送りボタン24の状態を示す波形であり、符号304は送り速度(軸移動指令)を示す波形である。
手動軸送りボタン24を微小軸送りとなる上限押下時間(第1の時間T1)(符号102の時点)より短い時間で離した後、一定時間(第2の時間T2)(一定軸送りとなる上限押下時間(第2の時間T2)が経過した符号104の時点)以内に再度,手動軸送りボタン24を押下すると、一定の送り速度で送り軸の移動を行う。これによって、従来のジョグ送りと同じように送り軸を移動することが可能になる。
【0017】
以下、手動軸送りボタン24の押下が行われた時(符号100の時点)から順を追って説明する。
(1)手動軸送りボタン24を押すと手動軸送りボタン24の押下時間を判断するためのタイマが起動する(符号100の時点)。
(2)手動軸送りボタン24が微小軸送りとなる上限押下時間(第1の時間T1)より短く押され、一定時間(第2の時間T2)(一定軸送りとなる上限押下時間(第2の時間T2)が経過した符号104の時点)以内に再度,手動軸送りボタン24が押下されているので、送り軸の移動を開始する(軸移動指令を工作機械20に送る)。
(3)手動軸送りボタン24が押されている間、一定速度で軸の移動を行う。
(4)手動軸送りボタン24が離されると軸移動を停止し(軸移動指令をゼロにする)(符号106の時点)タイマを停止する。
【0018】
次に、図5を用いて、図2、図3、および図4を用いて説明した送り軸の移動制御を行う処理を説明する。図5は本発明において手動軸送りボタンが操作されたときの処理のフローチャートである。以下、各ステップに従って説明する。
●[ステップSA01]手動軸送りボタンが押されたか否か判断し、押された場合(YESの場合)にはステップSA02へ移行し、押されていない場合(NOの場合)には押されるのを待ってステップSA02に移行する。
●[ステップSA02]タイマをリセットしスタートする。
●[ステップSA03]微小軸送りとなる上限押下時間(第1の時間T1)以内にボタンが離されたか否かを判断し、離された場合(YESの場合)にはステップSA09へ移行し、離されない場合(NOの場合)にはステップSA04へ移行する。
●[ステップSA04]微小送りとなる上限押下時間(第1の時間T1)が経過したか否か判断し、経過した場合(YESの場合)にはステップSA05へ移行し、経過しない場合(NOの場合)にはステップSA03へ戻る。
●[ステップSA05]軸送りを実行する。
●[ステップSA06]手動軸送りボタンが離されたか否か判断し、離された場合(YESの場合)にはステップSA14へ移行し、離されていない場合(NOの場合)にはステップSA07へ移行する。
●[ステップSA07]送り速度を増加する。
●[ステップSA08]変更された速度で軸送りを実行し、ステップSA06へ戻る。
●[ステップSA09]一定速度送りとなる上限時間(第2の時間T2)以内にボタンが再押下されたか否か判断し、再押下された場合(YESの場合)にはステップSA10へ移行し、再押下されていない場合(NOの場合)にはステップSA12へ移行する。
●[ステップSA10]一定速度で軸送りを実行する。
●[ステップSA11]手動軸送りボタンが離されたか否か判断し、離された場合(YESの場合)にはステップSA14へ移行し、離されていない場合(NOの場合)にはステップSA10へ戻る。
●[ステップSA12]一定速度送りとなる上限押下時間(第2の時間T2)が経過したか否か判断し、経過した場合(YESの場合)にはステップSA13へ移行し、経過していない場合(NOの場合)にはステップSA09へ戻る。
●[ステップSA13]手動パルス発生器の1目盛りと同等の微小送りを実行する。
●[ステップSA14]送り軸の軸送りを停止する。
●[ステップSA15]タイマを停止し、ステップSA01へ戻る。
【0019】
上記フローチャートを請求項の記載に対応して説明する。押下時間計測部はステップSA02,SA03が対応する。第1判別部はステップSA03が対応する。第1移動制御部はステップSA05〜SA08,SA13,SA14が対応する。再押下時間計測部はステップSA02,SA09が対応する。第2判別部はステップSA09が対応する。第2移動制御部はステップSA10,SA11,SA14が対応する。
【0020】
次に、オペレータの好みに合わせた軸送りを実現するための実施形態について説明する。手動軸送りボタン24の押下時間に応じた送り軸の送り速度の増分、最大送り速度、一定速度で軸を移動する場合の送り速度を任意に設定可能にする。また、微小軸送りとなる手動軸送りボタン24の押下時間(第1の時間T1)、一定速度での軸送りとなるボタンの再押下までの時間(第2の時間T2)を任意に設定可能にする。これらの設定は数値制御装置10に備わったキーボード、ソフトキー、手動入力装置を用いて行うことができる。これにより、オペレータの好みに合わせた軸送りが実現可能になる。
【0021】
<4>
図6は本発明において軸の送り速度の増分を変更した場合を説明する図である。符号206は手動軸送りボタン24の状態を示す波形であり、符号306,308は送り速度(軸移動指令)を示す波形である。左の符号320の単位時間あたりの速度の増分より右の符号322の単位時間あたりの速度の増分が大きい。
(1)手動軸送りボタン24を押すと手動軸送りボタン24の押下時間を判断するためのタイマが起動する(符号100の時点)。
(2)微小軸送りとなる上限押下時間(第1の時間T1)(符号102の時点)より長く押され続けている場合、軸の移動を開始する。
(3)手動軸送りボタン24が押されている間、送り軸の送り速度を連続して増加させながら軸の移動を行う(符号322参照)。
(4)最大送り速度になると、一定の速度で軸移動を行う(符号324参照)。
(5)手動軸送りボタン24が離されると軸移動を停止し(符号106の時点)タイマを停止する。
【0022】
<5>
図7は本発明において一定速度で軸を移動する場合の送り速度を変更した場合を説明する図である。符号210は手動軸送りボタン24の状態を示す波形であり、符号310,312は送り速度(軸移動指令)を示す波形である。
(1)手動軸送りボタン24を押すとボタンの押下時間を判断するためのタイマが起動する(符号100の時点)。
(2)微小軸送りとなる上限押下時間(第1の時間T1)以内に離された後、一定速度での軸送りとなるボタンの再押下までの時間(第2の時間T2)以内に再押下された場合、変更された送り速度(符号328参照)で軸の移動を開始する。なお、変更前の速度は符号326で示される。
(3)手動軸送りボタン24が押されている間、一定速度で軸の移動を行う。
(4)手動軸送りボタン24が離されると軸の移動を停止し(符号106の時点)タイマを停止する。
【符号の説明】
【0023】
1 第1の時間
2 第2の時間

10 数値制御装置
12 速度制御部
14 送り速度算出部
16 軸制御部

20 工作機械
22 機械操作盤
24 手動軸送りボタン
26 軸移動部
28 サーボモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つまたは複数の軸を有する機械の前記軸を手動操作で移動させる手動軸送りボタンを備えた操作盤を有する数値制御装置において、
前記手動軸送りボタンが押下された押下時間を計測する押下時間計測部と、
前記押下時間が第1の時間以内か否かを判別する第1判別部と、
前記押下時間が前記第1の時間を超えた場合には、前記手動軸送りボタンが押下されている間、押下されている時間に応じて送り速度を連続して増加させながら軸を移動させ、前記押下時間が第1の時間以内の場合には前記数値制御装置に設定された最小移動量だけ前記軸を移動させる第1移動制御部と、
を備えたことを特徴とする手動送り速度を変更可能な数値制御装置。
【請求項2】
前記手動軸送りボタンが押下された後、前記手動軸送りボタンが離されて再度押下されるまでの再押下時間を計測する再押下時間計測部と、
前記再押下時間が第2の時間以内か否かを判別する第2判別部と、
前記押下時間が前記第1の時間以内で、前記再押下時間が第2の時間以内の場合には、前記手動軸送りボタンが押下されている間、一定の送り速度で軸を移動させる第2移動制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の手動送り速度を変更可能な数値制御装置。
【請求項3】
前記手動軸送りボタンの押下時間に応じた軸の送り速度の増分、最大送り速度、および前記第1の時間を設定する設定部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の手動送り速度を変更可能な数値制御装置。
【請求項4】
一定速度で軸を移動する場合の送り速度、前記第2の時間を設定する設定部とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の手動送り速度を変更可能な数値制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−97413(P2013−97413A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236841(P2011−236841)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】