説明

抗炎症薬および/または抗アレルギー薬の同定方法

【課題】ニューロメジンUで誘導された炎症やアレルギーを抑制する化合物の検索方法の提供。
【解決手段】抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法であって、
1)試験化合物の存在下または非存在下にマスト細胞にニューロメジンUを接触させる工程、
2)前記マスト細胞の脱顆粒の程度を測定する工程、
3)試験化合物の存在下における前記マスト細胞の脱顆粒の程度と、同様にして測定した試験化合物の非存在下における前記マスト細胞の脱顆粒の程度とを比較する工程、
4)前記マスト細胞の脱顆粒の程度が試験化合物の非存在下よりも試験化合物の存在下において減少している場合、試験化合物が抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物であると判定する工程、
を含む、抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法に関する。具体的には、本発明は、ニューロメジンUがマスト細胞(肥満細胞)に作用して惹起する炎症反応および/またはアレルギー反応を抑制する化合物の同定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マスト細胞は、全身の臓器に広く分布し、種々の刺激に応じて脱顆粒してヒスタミンなどの炎症性ケミカルメディエーターを遊離し、気管支などの平滑筋の収縮、細動脈の拡張、血管の透過性亢進、組織の浮腫などの即時型アレルギー反応を引き起こす。また、即時型アレルギー反応の数時間後には、マスト細胞は各種のサイトカインを遊離する。このサイトカインは、炎症細胞が血管壁にローリング、粘着し、組織へと遊走して、活性化され、気道粘膜の炎症を主体とする遅発型反応を引き起こす。気道粘膜の炎症を主体とする遅発型反応には、気管支喘息やアレルギー性鼻炎がある。また、サイトカインは、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎などの遅延型アレルギー反応にも深く関与している。
【0003】
マスト細胞の脱顆粒は、マスト細胞表面のIgE抗体が抗原により架橋されることで引き起こされることが知られている。また、マスト細胞の脱顆粒は、抗原が存在しなくても、サブスタンスPやインターロイキン−1(IL−1)などによっても引き起こされることが知られている。
【0004】
一方、ニューロメジンUは、1985年にブタの脊髄から単離され、子宮の平滑筋収縮作用を有するニューロペプチドとして見出された(非特許文献1)。その後、ニューロメジンUは、食欲抑制作用、体重抑制作用、ストレス反応制御作用、消化管におけるイオン輸送調節作用等を有することが明らかにされている。ニューロメジンUの受容体としては、G蛋白にカップルしたNMU−R1とNMU−R2と称する受容体が知られている。NMU−R2は、脳の特異的領域に発現していることが知られ、NMU−R1は小腸、膵臓、胃などの末梢組織に比較的多く発現していることが知られている。また、NMU−R1受容体のアンタゴニスト(または、アゴニスト)については、ピペリジン誘導体が知られている(特許文献1)。
【0005】
最近では、ニューロメジンUがマウスTh2クローン細胞において各種のサイトカインの分泌を促進することが明らかになった。また、ニューロメジンUは、濾胞樹状細胞、単球、Bリンパ球のような抗原提示細胞に存在していることから、免疫調節にも関与していることが示唆されている(非特許文献2)。
【0006】
しかしながら、ニューロメジンUとマスト細胞との関係については、何ら知られていなかった。また、上記のようにニューロメジンUが免疫に関与していることは示唆されてはいたが、生体内において炎症および/またはアレルギーの起因物質または増悪因子として作用しているかどうかも明らかではなかった。
【特許文献1】特開2004−168772号公報
【非特許文献1】Biochem.Biophys.Res.Commun.,130巻,1078−1085頁、1985年。
【非特許文献2】J.Immunology,173巻,7230−7238頁、2004年。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような状況下、本発明は、ニューロメジンUが生体内において炎症やアレルギーに対してどのような作用をしているのか、またニューロメジンUが炎症やアレルギーを引き起こす物質であるならば、どの組織を通じてそれらを誘導するかについて明らかにし、ニューロメジンUで誘導される炎症やアレルギーを抑制する手段を提供することを課題とする。また、本発明は、ニューロメジンUで誘導される炎症やアレルギーを抑制する化合物の探索を可能とする方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、ニューロメジンUが作用して炎症やアレルギーを誘導する主要な標的組織について検討し、さらには実際にニューロメジンUにより炎症やアレルギーが引き起こされるかどうかを鋭意検討した結果、ニューロメジンUがマスト細胞の脱顆粒を引き起こし、炎症やアレルギーを惹起することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、マスト細胞にニューロメジンUを作用させると、脱顆粒を引き起こすことを見出した。また、ニューロメジンUをマウスに投与した場合、マスト細胞欠損マウスでは正常マウスと比較して有意に強い炎症反応(および/またはアレルギー反応)が惹起された。
この結果は、ニューロメジンUの受容体を阻害すれば、ニューロメジンUで惹起される炎症反応(および/またはアレルギー反応)を抑制できることを示す。また、ニューロメジンUにより誘導されるマスト細胞の脱顆粒を阻害する化合物を探索すれば、ニューロメジンUで惹起されるマスト細胞依存性の炎症および/またはアレルギーを治療する薬物を得ることができることを示す。
【0010】
したがって、本発明は、ニューロメジンUの受容体のアンタゴニストを用いてマスト細胞依存性の炎症および/またはアレルギーを治療する方法を提供する。
また、本発明は、ニューロメジンUで誘導される炎症および/またはアレルギーを抑制する化合物を同定する方法を提供する。
【0011】
具体的には、抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法であって、
1)試験化合物の存在下または非存在下にマスト細胞にニューロメジンUを接触させる工程、
2)前記マスト細胞の脱顆粒の程度を測定する工程、
3)試験化合物の存在下における前記マスト細胞の脱顆粒の程度と、同様にして測定した試験化合物の非存在下における前記マスト細胞の脱顆粒の程度とを比較する工程、
4)前記マスト細胞の脱顆粒の程度が試験化合物の非存在下よりも試験化合物の存在下において減少している場合、試験化合物が抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物であると判定する工程、
を含む、抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法を提供する。
また、本発明は、マスト細胞およびニューロメジンUを含有する、抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定用キットを提供する。
また、本発明は、抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法であって、
1)非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与する工程、
2)非ヒト哺乳動物にニューロメジンUを投与する工程、
3)ニューロメジンUを投与した部位の炎症および/またはアレルギー反応の程度を測定する工程、
4)試験化合物を投与した非ヒト哺乳動物における炎症および/またはアレルギー反応の程度と、同様にして測定した試験化合物を投与しなかった非ヒト哺乳動物における炎症および/またはアレルギー反応の程度とを比較する工程、
5)炎症反応および/またはアレルギー反応の程度が試験化合物を投与しなかった非ヒト哺乳動物よりも試験化合物を投与した非ヒト哺乳動物において減少している場合、試験化合物が抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物であると判定する工程、
を含む、抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ニューロメジンUの受容体のアンタゴニストを用いてマスト細胞依存性の炎症および/またはアレルギーを予防または治療することを可能とする。また、本発明は、ニューロメジンUで誘導される炎症および/またはアレルギーを予防または治療する化合物を同定することを可能とする。より具体的には、マスト細胞の脱顆粒、すなわちヒスタミンなどの炎症性ケミカルメディエーターの遊離を抑制し、炎症および/またはアレルギーを予防または治療する化合物の探索を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ニューロメジンUの受容体のアンタゴニストを用いてマスト細胞依存性の炎症および/またはアレルギーを予防または治療する場合、例えば特許文献1に記載されているニューロメジンU受容体R1のアンタゴニストであるピペリジン誘導体を用いることが考えられる。しかしながら、ニューロメジンU受容体のアンタゴニストとしては、特に上記のピペリジン誘導体に限定されるものではない。
【0014】
また、ニューロメジンUで誘導される炎症および/またはアレルギーを予防または治療する化合物を同定する方法は、イン・ビトロ試験とイン・ビボ試験に分けられる。
【0015】
イン・ビトロ試験で、ニューロメジンUで惹起される炎症および/またはアレルギーを予防または治療する化合物を同定する場合には、マスト細胞の脱顆粒を指標として測定すればよい。具体的には、前記工程1)〜4)を行えばよい。
【0016】
まず、1)試験化合物の存在下または非存在下にニューロメジンUを接触させ、2)該マスト細胞の脱顆粒の程度を測定する。具体的には、ラットなどの哺乳動物のマスト細胞と試験化合物を含む緩衝液を37℃前後の温度でプレインキュベートした後、ニューロメジンUを添加して同温度でインキュベートして得られる上清のβ−ヘキソサミニダーゼ活性を測定すればよい。なお、脱顆粒の程度の測定は、β−ヘキソサミニダーゼ活性以外に、マスト細胞から遊離されるヒスタミンやセロトニンなどの各種メディーエーターの量を測定しても良い。ヒスタミンやセロトニンを測定する方法としては、放射性同位元素で標識したセロトニンあるいはヒスタミンを予めマスト細胞に取り込ませておき、脱顆粒により放出された量を測定する方法を挙げることができる。
【0017】
次に、3)試験化合物の存在下におけるマスト細胞の脱顆粒の程度と、同様にして測定した試験化合物の非存在下におけるマスト細胞の脱顆粒の程度とを比較する工程、および4)マスト細胞の脱顆粒の程度が試験化合物の非存在下よりも試験化合物の存在下において減少している場合、試験化合物が抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物であると判定する工程を行えばよい。すなわち、試験化合物の存在下におけるマスト細胞の脱顆粒が、試験化合物の非存在下における値よりも減少している場合には、当該試験化合物がニューロメジンUで惹起される炎症および/またはアレルギーを抑制する作用を有すると判定する。この判定に際しては、必ずしも統計学的な手法を用いる必要はないが、統計学的に有意差の有無を検定して判定することが好ましい。有意差の有無の検定には、一般的に使用されている統計学的な手法を用いればよく、例えば、t−検定、Dunnet多重比較検定などを挙げることができる。
【0018】
上記の試験におけるプレインキュベートおよびインキュベートの時間は、10〜40分でよく、20〜30分が好ましい。緩衝液としては、例えば、タイロード緩衝液(ギブコ社製)が挙げられる。β−ヘキソサミニダーゼ活性の測定は、市販の測定試薬または測定用キットを用いればよく、例えば、p−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−ガラクトサミニド(シグマ社製)が挙げられる。ニューロメジンUは、非ヒトのニューロメジンUであっても、ヒトのニューロメジンUでもよいが、例えば、ニューロメジンU−25(フェニックス・ファイマシューティカルズ社製)が挙げられる。緩衝液中のニューロメジンUの濃度は、10-8〜10-5Mが好ましい。
【0019】
また、上記のイン・ビトロ試験には、マスト細胞およびニューロメジンUを含有する、抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物を同定するためのキット(同定用キット)を使用することができる。このキットは、さらに、マスト細胞、ニューロメジンUおよびβ−ヘキソサミニダーゼ活性測定用試薬からなるものとしてもよい。β−ヘキソサミニダーゼ活性測定用試薬としては、上述の試薬を挙げることができる。
【0020】
イン・ビボ試験で、ニューロメジンUで惹起される炎症および/またはアレルギーを予防または治療する化合物を同定する場合には、1)試験化合物を前投与したマウスやラット等の非ヒト哺乳動物に、2)ニューロメジンUを投与して、3)炎症反応および/またはアレルギー反応の程度を調べればよい。試験化合物の投与時期は、ニューロメジンUの投与前に限られるものではなく、投与後でもよい。
【0021】
次に、4)試験化合物を投与した非ヒト哺乳動物における炎症および/またはアレルギー反応の程度と、同様にして測定した試験化合物を投与しなかった非ヒト哺乳動物における炎症および/またはアレルギー反応の程度とを比較し、5)試験化合物を投与した非ヒト哺乳動物における炎症反応および/またはアレルギー反応の程度が、試験化合物を投与しなかった非ヒト哺乳動物における炎症反応および/またはアレルギー反応の程度よりも減少している場合には、当該試験化合物がニューロメジンUで惹起される炎症反応および/またはアレルギー反応を抑制する作用を有すると判定する。この判定に際しては、必ずしも統計学的な手法を用いる必要はないが、統計学的に有意差の有無を検定して判定することが好ましい。有意差の有無の検定には、一般的に使用されている統計学的な手法を用いればよく、例えば、t−検定、Dunnet多重比較検定などが挙げられる。なお、非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与しない場合には、試験化合物を溶解するために使用する溶媒のみを投与するとよい。
【0022】
上記の試験において、ニューロメジンUを投与する部位としては、好ましくは足底であるが、それに限定されるものではない。なお、足底へ投与する場合には、皮下投与が好ましく、投与部位の皮下組織における炎症反応および/またはアレルギー反応の程度を測定することが好ましい。
【0023】
炎症反応および/またはアレルギー反応の程度は、ニューロメジンUの投与部位に生じた浮腫の大きさを測定するとよい。浮腫の大きさは、ノギス等を使用して測定すればよい。ニューロメジンUを足底へ投与した場合には、足の大きさを測定してもよい。
【0024】
また、炎症反応および/またはアレルギー反応の程度は、血漿の血管外への漏出の程度を測定してもよい。血漿の血管外への漏出の程度を測定する場合には、エバンスブルー等の色素を静脈投与した後、ニューロメジンUを皮下投与して、投与部位を摘出し、ホルムアミドなどの溶媒で色素を抽出後、光学的手段で色素の量を測定して炎症の程度を比較してもよい(参照文献:ネーチャー、409巻、513−517頁)。試験化合物の投与時期は、ニューロメジンUの投与前でも投与後でもよい。また、色素の投与時期も、ニューロメジンUの投与前もしくは投与後であってもよい。試験化合物の投与時期と色素の投与時期についても、前後してよい。
【0025】
また、炎症反応および/またはアレルギー反応を測定することなく、マスト細胞の脱顆粒の程度を測定してもよい。その場合には、ニューロメジンUの投与部位を摘出した後、投与部位の皮下組織を病理切片標本とし、ヘマトキシリンとエオシン、またはトルイジンブルーで染色し、標本におけるマスト細胞の脱顆粒の程度を顕微鏡で調べてもよい。
【0026】
本発明方法によれば、インビトロまたはインビボにおいて、ニューロメジンUで誘導される炎症および/またはアレルギーを予防または治療する化合物が同定でき、全く新たな作用機序による抗炎症薬および/または抗アレルギー薬をスクリーニングすることができる。
【実施例】
【0027】
以下に試験例を示して本発明を説明する。
【0028】
[試験例1]
ニューロメジンU皮下投与後に惹起される炎症へのマスト細胞の関与:マウスにおける試験例
試験には、マスト細胞欠損マウス(WBB6F1−W/Wv:日本SLC)とマスト細胞欠損のない正常対照(WBB6F1-+/+)を用いた。炎症部位血管からのエバンスブルー漏出の測定の概略は、以下の通りである。麻酔下でマウスにエバンスブルー(50mg/kg)を頸静脈に注射した。その後、上記マウスの一側足底にニューロメジンUを50pmol皮下投与した。もう一側には対照とするため溶媒を注射した。30分後に足を分離し、重量測定し、56℃のホルムアミド中で、24時間インキュベーションし、抽出されたエバンスブルー量を600nmの波長で分光光度計により測定した。ニューロメジンU注射側と溶媒注射側のエバンスブルー量の比を求めて、マスト細胞の関与を評価した。もう一つの炎症の指標としては、ニューロメジンU投与30分後に足の直径を測定し、やはりニューロメジンU注射側と溶媒注射側のエバンスブルー量の比を求めて、マスト細胞の関与を評価した。
【0029】
<結果>
下表のようにニューロメジンUは、マスト細胞欠損マウスでは炎症反応を起こさなかったが、マスト細胞欠損のない正常対照マウスでは炎症反応を起こした。
【0030】
【表1】

【0031】
[試験例2]
ラット腹腔のマスト細胞における脱顆粒
ラット腹腔のマスト細胞(25,000個)を緩衝液(10mM−HEPES(pH7.4)、0.1%−ゼラチン含有タイロード緩衝液)0.15mLに浮遊させ、ヒト・ニューロメジンU(フェニックス・ファイマシューティカルズ社製)0、2×10-7、2×10-6、および2×10-5Mを加えて20分間インキュベートした。上清を分取し、発色基質p−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−ガラクトサミニド(シグマ社製)を添加して2時間インキュベートした後、405nmにおける吸光度を測定した。
【0032】
<結果>
下表のように、ニューロメジンUは、ラット腹腔のマスト細胞の脱顆粒を濃度依存的に起こした。
【0033】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法であって、
1)試験化合物の存在下または非存在下にマスト細胞にニューロメジンUを接触させる工程、
2)前記マスト細胞の脱顆粒の程度を測定する工程、
3)試験化合物の存在下における前記マスト細胞の脱顆粒の程度と、同様にして測定した試験化合物の非存在下における前記マスト細胞の脱顆粒の程度とを比較する工程、
4)前記マスト細胞の脱顆粒の程度が試験化合物の非存在下よりも試験化合物の存在下において減少している場合、試験化合物が抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物であると判定する工程、
を含む、抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法。
【請求項2】
前記マスト細胞の脱顆粒の程度をβ−ヘキソサミニダーゼ活性で測定することを特徴とする、請求項1に記載の抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法。
【請求項3】
マスト細胞およびニューロメジンUを含有する、抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定用キット。
【請求項4】
マスト細胞、ニューロメジンU、およびβ−ヘキソサミニダーゼ活性測定用試薬を含有する、抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定用キット。
【請求項5】
抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法であって、
1)非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与する工程、
2)非ヒト哺乳動物にニューロメジンUを投与する工程、
3)ニューロメジンUを投与した部位の炎症反応および/またはアレルギー反応の程度を測定する工程、
4)試験化合物を投与した非ヒト哺乳動物における炎症反応および/またはアレルギー反応の程度と、同様にして測定した試験化合物を投与しなかった非ヒト哺乳動物における炎症反応および/またはアレルギー反応の程度とを比較する工程、
5)炎症反応および/またはアレルギー反応の程度が試験化合物を投与しなかった非ヒト哺乳動物よりも試験化合物を投与した非ヒト哺乳動物において減少している場合、試験化合物が抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物であると判定する工程、
を含む、抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法。
【請求項6】
炎症反応および/またはアレルギー反応の程度を、ニューロメジンUを投与した部位におけるマスト細胞の脱顆粒の程度で測定する、請求項5に記載の抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法。
【請求項7】
炎症反応および/またはアレルギー反応の程度を、ニューロメジンUを投与した部位における浮腫の程度で測定する、請求項5に記載の抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法。
【請求項8】
炎症反応および/またはアレルギー反応の程度を、ニューロメジンUを投与した部位における血漿の漏出量で測定する、請求項5に記載の抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法。
【請求項9】
ニューロメジンUの投与前または投与後に色素を静注投与し、ニューロメジンUを投与した部位における色素量で血漿の漏出量を測定する、請求項5に記載の抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法。
【請求項10】
色素がエバンスブルーである、請求項9に記載の抗炎症作用および/または抗アレルギー作用を有する化合物の同定方法。

【公開番号】特開2007−174950(P2007−174950A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375744(P2005−375744)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(591108880)国立循環器病センター総長 (159)
【出願人】(599045903)学校法人 久留米大学 (72)
【出願人】(000002831)第一製薬株式会社 (129)
【Fターム(参考)】