説明

抗C型肝炎ウイルス効果を有するベンゾフラン誘導体

【課題】HCV感染症を治療または予防するための医薬、およびその利用方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係るHCV感染症を治療または予防するための医薬は、下記一般式(1):


(式中、R1 は、水素原子、アシル基、又はアリールアルコキシカルボニル基であり;R2 及びR3 は、独立して、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は置換若しくは未置換のアルキニル基であるか、又はR2 とR3 とが一緒になってシクロアルキル基を形成してもよい。)で表される化合物およびインターフェロンを組み合わせてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾフラン誘導体およびインターフェロンを用いる、HCV感染症を治療または予防するための医薬、およびその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染症は通常、慢性肝炎を引き起こし、しばしば肝硬変または肝細胞癌に至る。保因者の数は、現在では全世界の人口の約3%(〜1億7000万人)に上る。HCVは、いまだ明らかでない原因により宿主の免疫機構を回避するため、免疫機構の発達した大人に感染した場合でも持続感染が成立することが多く、慢性肝炎、肝硬変、肝癌へと進行し、手術により摘出しても、非癌部で引き続き起こる炎症のため肝癌が再発する患者が多いことも知られている。
【0003】
現在のところHCV感染症に対する最も有効な治療方法として、PEG化インターフェロン(PEG−IFN)とリバビリン(非特許文献1、2)の併用が知られている。しかし、インターフェロン治療が有効な患者は、全患者の1/3程度に限られており、特にHCV遺伝子型1bに対するインターフェロンの奏効率は非常に低い。従って、インターフェロンに代わる、もしくはそれと併用し得る抗HCV薬の開発が望まれている。その中でも、抗炎症剤により炎症を抑える対症療法とは別に、患部である肝臓においてHCVを減らすあるいは根絶させる薬剤の開発が強く望まれている。
【0004】
HCVは、フラビウイルス科に属する一本鎖RNAウイルスである。RNAゲノムは少なくとも10個のウイルスタンパク質を産生し、これには構造および非構造(NS)タンパク質が含まれる。前者はHCV粒子の形成に関与している。後者は、HCVゲノム複製において重要な役割を果たしている(非特許文献3)。一般的に、NSタンパク質の複合体はゴルジおよび小胞体膜上の脂質ラフトに会合し、ここでHCV感染が起こることが容認されている(非特許文献4、5)。このように、脂質ラフト集合体が破壊されると、HCV複製の抑制が起こる可能性がある。
【0005】
本発明者らは、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン(以下、BO−653という)が低比重リポタンパク(LDL)の酸化を抑制するため動脈硬化に有効であることを報告した(非特許文献6)。また、本発明者らは、BO−653とその類似化合物が、抗酸化作用及び脂質過酸化抑制作用を有するため、動脈硬化症の治療剤として有用であること、及び、心筋梗塞、脳卒中等の虚血性臓器障害の治療に有用であること(特許文献1、2)、血管内膜肥厚抑制剤として及び経皮的冠動脈形成術(PTCA)後の再狭窄抑制剤として有用であること(特許文献3、4)、臓腎疾患の治療又は予防剤、及び臓器保存剤として有用であること(特許文献5、6)、粥状動脈硬化症又は黄色腫症の予防又は治療剤として有用であること(特許文献7、8、9)、急性冠症候群の発生頻度の低減又は症状の低減のための薬剤として有用であること(特許文献10)、脂肪肝又は肝疾患を治療するための薬剤として有用であること(特許文献11)を開示した。
【0006】
しかしながら、BO−653及びその類似化合物およびインターフェロンの併用が、HCV感染症の予防及び/又は治療剤として有用であることについては、これまでに開示も示唆もなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−206842号公報
【特許文献2】米国特許第5574178号
【特許文献3】特開平9−188619号公報
【特許文献4】米国特許第6103753号
【特許文献5】特開平10−72458号公報
【特許文献6】米国特許第6133279号
【特許文献7】特開平11−21238号公報
【特許文献8】米国特許第6156793号
【特許文献9】米国特許第6417225号
【特許文献10】WO03/018001
【特許文献11】WO2005/030198
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Glue, P. et al., Hepatology, 32, 647-653 (2000)
【非特許文献2】Reddy, K.R. et al., Hepatology, 33, 433-438 (2001)
【非特許文献3】Rosenberg, S., J Mol Biol, 313, 451-464(2001)
【非特許文献4】Aizaki, H. et al., Virology, 324, 450-461 (2004)
【非特許文献5】Gao, L. et al., J Virol, 78, 3480-3488 (2004)
【非特許文献6】Cynshi O, Kawabe Y, Suzuki T, Takashima Y, Kaise H, Nakamura M, Ohba Y, Kato Y, Tamura K, Hayasaka A, Higashida A, Sakaguchi H, Takeya M, Takahashi K, Inoue K, Noguchi N, Niki E, Kodama T. Antiatherogenic effects of the antioxidant BO-653 in three different animal models. Proc Natl Acad Sci U S A. 1998 95:10123-8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ベンゾフラン誘導体およびインターフェロンを組み合わせてなる、HCV感染症を治療または予防するための医薬を提供することにある。また、ベンゾフラン誘導体およびインターフェロンを対象に投与する工程を含む、HCV感染症を治療または予防する方法の提供も目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、具体的には以下を含む。
〔1〕下記一般式(1):

(式中、R1 は、水素原子、アシル基、又はアリールアルコキシカルボニル基であり;R2 及びR3 は、独立して、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は置換若しくは未置換のアルキニル基であるか、又はR2 とR3 とが一緒になってシクロアルキル基を形成してもよい。)で表される化合物およびインターフェロンを組み合わせてなる、HCV感染症を治療または予防するための医薬。
【0011】
〔2〕HCV感染症を治療または予防するための医薬が、配合剤であることを特徴とする〔1〕に記載の医薬。
【0012】
〔3〕前記一般式(1)で表される化合物と、インターフェロンとが併用されることを特徴とする、〔1〕に記載の医薬。
【0013】
〔4〕前記一般式(1)で表される化合物と、インターフェロンとが同時に、順次に、または別々に投与されることを特徴とする、〔3〕に記載の医薬。
【0014】
〔5〕HCV感染症を治療または予防するための医薬が、前記一般式(1)で表される化合物を含有する医薬組成物およびインターフェロンを含有する医薬組成物を備えるキットである、〔3〕または〔4〕に記載の医薬。
【0015】
〔6〕下記一般式(1):

(式中、R1 は、水素原子、アシル基、又はアリールアルコキシカルボニル基であり;R2 及びR3 は、独立して、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は置換若しくは未置換のアルキニル基であるか、又はR2 とR3 とが一緒になってシクロアルキル基を形成してもよい。)で表される化合物を有効成分として含有し、インターフェロンと併用することを特徴とする、HCV感染症を治療または予防するための医薬。
【0016】
〔7〕インターフェロンを有効成分として含有し、下記一般式(1):

(式中、R1 は、水素原子、アシル基、又はアリールアルコキシカルボニル基であり;R2 及びR3 は、独立して、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は置換若しくは未置換のアルキニル基であるか、又はR2 とR3 とが一緒になってシクロアルキル基を形成してもよい。)で表される化合物と併用することを特徴とする、HCV感染症を治療または予防するための医薬。
【0017】
〔8〕R1 が水素原子である、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の医薬。
【0018】
〔9〕R2 及びR3 が未置換のアルキル基である、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の医薬。
【0019】
〔10〕未置換のアルキル基が、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基又はn−ヘプチル基である、〔9〕に記載の医薬。
【0020】
〔11〕式(1)で表される化合物が、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ブチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ヘキシル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、又は4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ヘプチル−2,3−ジヒドロベンゾフランである、〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の医薬。
【0021】
〔12〕式(1)で表される化合物が4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフランである、〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の医薬。
【0022】
〔13〕インターフェロンが、ペグ化インターフェロンである、〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の医薬。
【0023】
〔14〕HCV感染症が、C型肝炎、肝硬変、肝繊維化、または肝癌である、〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の医薬。
【0024】
〔15〕下記一般式(1):

(式中、R1 は、水素原子、アシル基、又はアリールアルコキシカルボニル基であり;R2 及びR3 は、独立して、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は置換若しくは未置換のアルキニル基であるか、又はR2 とR3 とが一緒になってシクロアルキル基を形成してもよい。)で表される化合物およびインターフェロンを対象に投与する工程を含む、HCV感染症を治療または予防する方法。
【0025】
〔16〕前記一般式(1)で表される化合物およびインターフェロンを、対象に同時に投与することを特徴とする、〔15〕に記載の方法。
【0026】
〔17〕前記一般式(1)で表される化合物およびインターフェロンを、対象に別々に投与することを特徴とする、〔15〕に記載の方法。
【0027】
〔18〕R1 が水素原子である、〔15〕に記載の方法。
【0028】
〔19〕R2 及びR3 が未置換のアルキル基である、〔15〕に記載の方法。
【0029】
〔20〕未置換のアルキル基が、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基又はn−ヘプチル基である、〔19〕に記載の方法。
【0030】
〔21〕式(1)で表される化合物が、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ブチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ヘキシル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、又は4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ヘプチル−2,3−ジヒドロベンゾフランである、〔15〕に記載の方法。
【0031】
〔22〕式(1)で表される化合物が4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフランである、〔15〕に記載の方法。
【0032】
〔23〕インターフェロンが、ペグ化インターフェロンである、〔15〕に記載の方法。
【0033】
〔24〕HCV感染症が、C型肝炎、肝硬変、肝繊維化、または肝癌である、〔15〕に記載の方法。
【0034】
〔25〕HCV感染症を治療または予防するための医薬を製造するための、下記一般式(1):

(式中、R1 は、水素原子、アシル基、又はアリールアルコキシカルボニル基であり;R2 及びR3 は、独立して、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は置換若しくは未置換のアルキニル基であるか、又はR2 とR3 とが一緒になってシクロアルキル基を形成してもよい。)で表される化合物およびインターフェロンの使用。
【0035】
〔26〕インターフェロンと併用してHCV感染症を治療または予防するための医薬を製造するための、下記一般式(1):

(式中、R1 は、水素原子、アシル基、又はアリールアルコキシカルボニル基であり;R2 及びR3 は、独立して、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は置換若しくは未置換のアルキニル基であるか、又はR2 とR3 とが一緒になってシクロアルキル基を形成してもよい。)で表される化合物の使用。
【0036】
〔27〕下記一般式(1):

(式中、R1 は、水素原子、アシル基、又はアリールアルコキシカルボニル基であり;R2 及びR3 は、独立して、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は置換若しくは未置換のアルキニル基であるか、又はR2 とR3 とが一緒になってシクロアルキル基を形成してもよい。)で表される化合物と併用してHCV感染症を治療または予防するための医薬を製造するための、インターフェロンの使用。
【0037】
〔28〕R1 が水素原子である、〔25〕〜〔27〕のいずれかに記載の使用。
【0038】
〔29〕R2 及びR3 が未置換のアルキル基である、〔25〕〜〔28〕のいずれかに記載の使用。
【0039】
〔30〕未置換のアルキル基が、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基又はn−ヘプチル基である、〔29〕に記載の使用。
【0040】
〔31〕式(1)で表される化合物が、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ブチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ヘキシル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、又は4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ヘプチル−2,3−ジヒドロベンゾフランである、〔25〕〜〔30〕のいずれかに記載の使用。
【0041】
〔32〕式(1)で表される化合物が4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフランである、〔25〕〜〔31〕のいずれかに記載の使用。
【0042】
〔33〕インターフェロンが、ペグ化インターフェロンである、〔25〕〜〔32〕のいずれかに記載の使用。
【0043】
〔34〕HCV感染症が、C型肝炎、肝硬変、肝繊維化、または肝癌である、〔25〕〜〔33〕のいずれかに記載の使用。
【発明の効果】
【0044】
本発明者らは、一般式(1)で表される、特定のベンゾフラン誘導体とインターフェロンとを組み合わせて用いることにより、HCVの複製が相乗的に抑制されることを明らかにした。たとえば、これら二つの成分からなる医薬は、より安全性が高く、より有効性が高いHCV感染症を治療するための新規薬剤となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】HCR(遺伝子型1b)に感染させた、ヒト肝臓を有するキメラマウスにおけるBO-653およびPEG-INの併用による抗HCV効果を示すもので、具体的にはキメラマウスの血清中のHCV RNAレベルを示すグラフである。グラフ中、●はBO-653投与群、△はPEG-IFN投与群、○はBO-653+PEG-IFN併用群、□は未投与群を示す。
【図2】HCR(遺伝子型1b)に感染させた、ヒト肝臓を有するキメラマウスにおけるBO-653およびPEG-INの併用による肝障害への影響を示すもので、具体的にはキメラマウスの血清中のヒトアルブミン濃度を示すグラフである。棒グラフ中、右下がり斜線の棒グラフは投与一日前、白の棒グラフは投与一日後、左下がり斜線の棒グラフは投与7又は8日後、黒の棒グラフは投与14日後の結果を示す。
【図3】HCVレプリコン保持細胞を用いた、ルシフェラーゼアッセイ法およびWST-8アッセイ法によるBO-653の抗HCV作用を示すグラフである。Y軸の左の目盛りはルシフェラーゼアッセイ法によるルシフェラーゼ活性(%)を示し、Y軸の右の目盛りはWST-8アッセイ法による細胞生存性(%)を示し、グラフ中、○はルシフェラーゼ活性を示し、●は細胞生存性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明において、「C型肝炎ウイルス(HCV)」とは、C型肝炎を発症させる能力を持つウイルスの全てを意味する。HCVのサブタイプとしては、例えば遺伝子型(genotype)の違いに基づくものおよびセログループ(serogroup)の違いに基づくものが挙げられる。遺伝子型としては、例えば1a、1b、2a、2b、3a、3b、4、5および6が挙げられるが、本発明において好ましい遺伝子型としては1aおよび1bが、更に好ましい遺伝子型としては1bが挙げられる。セログループは抗原抗体反応に基づく血清学的グルーピングであり、その具体例としては、セログループ1、セログループ2、および前記の2グループのいずれにも該当しないセログループが挙げられる。また、genotype 1aおよび1bはserogroup 1に、genotype 2aおよび2bはserogroup 2に、それぞれ対応させることができる。
【0047】
本発明において、「HCV感染症」とは、前記HCVの生体(ヒトおよびチンパンジーなどのサルを含む)への感染によって引き起こされる症状の全てを意味し、具体例としては、C型肝炎、肝硬変、肝繊維化、肝癌などが挙げられる。C型肝炎は、慢性肝炎、急性肝炎、劇症肝炎等に分類することができ、また、これらの各々の肝炎におけるウイルス血症もHCV感染症に含まれる。生体がHCV感染症であるか否かは、例えば、血清中のHCV抗体量の測定、血清中のHCVのコア抗原の検出および血清中のHCVのRNAの検出、ならびにこれらの組み合わせにより判断することができる。
【0048】
本発明において、「一般式(1)で表される化合物およびインターフェロンを組み合わせてなる、HCV感染症を治療または予防するための医薬」とは、一般式(1)で表される化合物およびインターフェロンを、HCV感染症の治療または予防において同時に、別々に、又は順次に投与するために組み合わせた医薬であればよい。本発明の医薬は、一般式(1)で表される化合物とインターフェロンを同一医薬組成物中に含有してもよい(すなわち、配合剤であってもよい)し、また一般式(1)で表される化合物とインターフェロンを別々の医薬組成物に含有するものであってもよい。なお、配合剤中の一般式(1)で表される化合物とインターフェロンとの配合割合は、予め一定の割合とすることも、症状の軽重や医師の判断などにより、投与時に任意の割合に変更することもできる。また、本発明の医薬は、一般式(1)で表される化合物を含有する医薬組成物とインターフェロンを含有する医薬組成物とをキットとしたものであってもよい。
【0049】
ここで、上記の「組み合わせてなる、HCV感染症を治療または予防するための医薬」において、一般式(1)で表される化合物とインターフェロンが別々の医薬組成物に含有される場合には、2個の別個の製剤の剤型は同じであってもよいし、別々であってもよい。例えば、いずれか一方又は両方が、非経口製剤、注射剤、点滴剤、静脈内点滴剤であってもよい。
上述したような、HCV感染症の治療または予防において用いる上記組み合わせてなる医薬に対して、さらに1個以上の製剤を組み合わせたものも、上記「組み合わせてなる、HCV感染症を治療または予防するための医薬」に含まれる。
【0050】
また、本発明は、一般式(1)で表される化合物を有効成分として含有する、インターフェロンと併用することを特徴とする、HCV感染症を治療または予防するための医薬に関する。本医薬をインターフェロンと併用する際には、インターフェロンと同時に投与してもよいし、インターフェロンの投与前または投与後に本医薬を投与してもよい。
【0051】
また、本発明は、インターフェロンを有効成分として含有する、一般式(1)で表される化合物と併用することを特徴とする、HCV感染症を治療または予防するための医薬に関する。インターフェロンを本医薬と併用する際には、本医薬と同時に投与してもよいし、本医薬の投与前または投与後にインターフェロンを投与してもよい。
【0052】
本発明で用いる前記一般式(1)の化合物のR1 は、水素原子、アシル基又はアリールアルコキシカルボニル基である。好ましいアシル基は、1〜10の炭素原子を有するアシル基であり、その例には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、及びベンゾイル基が含まれる。好ましいアリールアルキルオキシカルボニル基は、7〜11の炭素原子を有するアリールアルキルオキシカルボニル基であり、その例には、ベンジルオキシカルボニル及びナフチルメチルオキシカルボニル基が含まれる。
【0053】
好ましいR1 は、水素原子及びアシル基であり、水素原子及びアセチル基がより好ましく、特に水素原子が好ましい。
【0054】
一般式(1)の化合物のR2 及びR3 は、独立して、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は置換若しくは未置換のアルキニル基である。
【0055】
好ましいアルキル基は、1〜20の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖状のアルキル基であり、その例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、t−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、エチルブチル、n−ヘプチル、イソヘプチル、エチルペンチル、n−オクチル、エチルヘキシル、プロピルペンチル、ノニル、デシル、ペンタデシル、及びステアリル基が含まれる。より好ましくは、1〜10の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖状のアルキル基であり、特に3〜8の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0056】
好ましいアルケニル基は、2〜20の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基であり、その例には、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、イソヘキセニル、エチルブテニル、ヘプテニル、イソヘプテニル、エチルペンテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、及びペンタデセニル基が含まれる。より好ましくは、2〜10の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基であり、特に3〜8の炭素原子を有する直鎖状のアルケニル基が好ましい。
【0057】
好ましいアルキニル基は、2〜20、好ましくは2〜10の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖状のアルキニル基であり、特に3〜8の炭素原子を有する直鎖状のアルキニル基が好ましい。その例には、アルケニル基について挙げた例に対応するアルキニル基が含まれる。
【0058】
2 とR3 とは、一緒になって、5〜10の炭素原子を有するシクロアルキル基を形成してもよい。好ましいシクロアルキル基の例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、及びシクロデシルが含まれる。
【0059】
2 及びR3 がアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基である場合に有することができる置換基の例には、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、及びトリフルオロメチル基が含まれる。
【0060】
好ましいR2 及びR3 は、3〜8の炭素原子を有する直鎖状の未置換アルキル基であり、R2 及びR3 の双方が、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基又はn−ヘプチル基である場合が特に好ましい。R2 及びR3 の双方がn−ペンチル基である場合が最も好ましい。
【0061】
好ましい式(1)の化合物としては:
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジエチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−プロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−イソプロピル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ブチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−s−ブチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−t−ブチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−t−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−イソペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−ネオペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ヘキシル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ヘプチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−オクチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ノニル−2,3−ジヒドロベンゾフラン;及び
4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−デシル−2,3−ジヒドロベンゾフラン
が挙げられる。
【0062】
特に好ましい式(1)の化合物としては、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ブチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ヘキシル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、及び4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ヘプチル−2,3−ジヒドロベンゾフランが挙げられ、以下の式で表される4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン(BO−653)が最も好ましい。

【0063】
本発明で用いられる式(1)で表される化合物は、たとえば、WO2005/030198に記載されているように、特開平6−206842号公報、それに対応する米国特許第5574178号、WO02/06263、それに対応するEP1304328A、のほか、Tamura K, Kato Y, Ishikawa A, Kato Y, Himori M, Yoshida M, Takashima Y, Suzuki T, Kawabe Y, Cynshi O, Kodama T, Niki E, Shimizu M. Design and synthesis of 4,6-di-tert-butyl-2,3-dihydro-5-benzofuranols as a novel series of antiatherogenic antioxidants. J Med Chem. 2003 46:3083-93等に記載の方法によって合成することができる。
【0064】
本発明において、「インターフェロン」とは、ウイルス、二本鎖RNA、レクチンなどによって動物細胞から誘発される抗ウイルス作用をもったタンパク質または糖タンパク質の総称を意味する。抗ウイルス作用の他、細胞増殖抑制作用、免疫調節作用を有する。産生細胞、特異的受容体との結合能、生物・物理化学的性質から数種のタイプに分類され、主要なものとしてはα、β、γがあるが、このほか、IFNω、IFNτの存在が知られている。さらにインターフェロンαには、20種以上のサブタイプの存在が知られている。現在、天然型のみならず、PEG化、コンセンサスインターフェロン等の各種遺伝子組み換え型の製剤が開発・上市されている。
【0065】
本発明におけるインターフェロンは、上記タイプのいずれでもよいが、好ましくはαまたはγである。また、本発明におけるインターフェロンは、一般式(1)で表される化合物との併用でHCV増殖抑制能を増強する限り、天然型、人工的に変異された遺伝子組み換え型、天然に存在する変異体、融合タンパク質、又はこれらの断片などのいずれであってもよい。また、本発明のインターフェロンはPEG(ポリエチレングリコール)化されていてもよい(PEG-IFN)。インターフェロンのPEG化は当業者に公知の方法(特許2980569号)により行うことができる。PEG化されたインターフェロンとしては、例えば、ペグインターフェロン−α−2a(ペガシス(登録商標))、ペグインターフェロンα−2b(ペグイントロン(登録商標))が挙げられる。本願実施例1で用いているPEG−IFNは、ペグインターフェロン−α−2aを指す。さらに、本発明のインターフェロンは、アルブミンと結合したインターフェロンであってもよい。アルブミンと結合したインターフェロンとしては、例えば、アルブインターフェロンα−2b(アルブフェロン(登録商標))が挙げられる。
【0066】
本発明におけるインターフェロンの由来に特に制限はなく、例えば、ヒト、チンパンジー、オランウータン、イヌ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ロバ、ブタ、ネコ、マウス、モルモット、ラット、ウサギなどを由来とすることができるが、これらに限らずその他の哺乳動物を由来とすることができる。好ましくはヒト由来のインターフェロンである。
【0067】
ヒトインターフェロンα又はγのアミノ酸配列は公知であり、例えば、インターフェロンαであればGenBank:NM_024013に記載のアミノ酸配列を用いることができ、インターフェロンγであればGenBank:NM_000619に記載のアミノ酸配列を用いることができる。インターフェロンαのアミノ酸配列を配列番号:1に、塩基配列を配列番号:2に、インターフェロンγのアミノ酸配列を配列番号:3に、同γの塩基配列を配列番号:4に示す。上記インターフェロンは、当業者に周知の方法によって調製可能である。例えば、ヒト由来のインターフェロン産生細胞から周知手段によりmRNAを調製してcDNAライブラリーを作製し、該cDNAライブラリーの中から、配列番号:2または配列番号:4に記載の塩基配列の全部または一部の塩基配列からなるプローブとストリンジェントな条件でハイブリダイズするcDNAを選択し、該cDNAを適当な宿主・ベクター系を用いて発現させ、得られたタンパク質を精製することにより調製可能である。宿主・ベクター系は、後述の、抗体の製造に使用可能な宿主・ベクター系の例の中から使用してもよい。または、配列番号:2または配列番号:4に記載の塩基配列に基づいてプライマーを設計し、ヒト由来のインターフェロン産生細胞から調製したmRNAを鋳型にして上記プライマーを用いてRT−PCRを実施し、得られたcDNAを発現させて調製することもできる。
【0068】
上記ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、当業者であれば、適宜選択することができる。一例を示せば、25%ホルムアミド、より厳しい条件では50%ホルムアミド、4×SSC、50mM Hepes pH7.0、10×デンハルト溶液、20μg/ml変性サケ精子DNAを含むハイブリダイゼーション溶液中、42℃で一晩プレハイブリダイゼーションを行った後、標識したプローブを添加し、42℃で一晩保温することによりハイブリダイゼーションを行う。その後の洗浄における洗浄液および温度条件は、「1xSSC、0.1% SDS、37℃」程度で、より厳しい条件としては「0.5xSSC、0.1% SDS、42℃」程度で、さらに厳しい条件としては「0.2xSSC、0.1% SDS、65℃」程度で実施することができる。このようにハイブリダイゼーションの洗浄の条件が厳しくなるほどプローブ配列と高い相同性を有するポリヌクレオチドの単離を期待しうる。但し、上記SSC、SDSおよび温度の条件の組み合わせは例示であり、当業者であれば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを決定する上記若しくは他の要素(例えば、プローブ濃度、プローブの長さ、ハイブリダイゼーション反応時間など)を適宜組み合わせることにより、上記と同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
【0069】
このようなハイブリダイゼーション技術を利用して単離されるポリヌクレオチドがコードするポリペプチドは、通常、本発明者らにより同定されたポリペプチドとアミノ酸配列において高い相同性を有する。高い相同性とは、少なくとも40%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは少なくとも95%以上、さらに好ましくは少なくとも97%以上(例えば、98から99%)の配列の相同性を指す。アミノ酸配列の同一性は、例えば、Karlin and Altschul によるアルゴリズムBLAST (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268, 1990、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877, 1993)によって決定することができる。このアルゴリズムに基づいて、BLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul et al. J. Mol. Biol.215:403-410, 1990)。BLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターはたとえばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov.)。
【0070】
また上記配列のインターフェロンに限らず、上記配列のインターフェロンに類似するポリペプチドも、一般式(1)で表される化合物との併用でHCV増殖抑制能を増強する限り、本発明において好適に用いることができる。このようなポリペプチドとして、配列番号:1記載のアミノ酸配列において、1又は複数のアミノ酸が欠失、置換、付加または/および挿入されたアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、一般式(1)で表される化合物との併用で高いHCV増殖抑制能を有するポリペプチド、配列番号:3記載のアミノ酸配列において、1又は複数のアミノ酸が欠失、置換、付加または/および挿入されたアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、一般式(1)で表される化合物との併用で高いHCV増殖抑制能を有するポリペプチド、配列番号:2記載の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、一般式(1)で表される化合物との併用で高いHCV増殖抑制能を有するポリペプチド、配列番号:4記載の塩基配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズする塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、一般式(1)で表される化合物との併用で高いHCV増殖抑制能を有するポリペプチドを挙げることができる。
【0071】
このようなポリペプチドは、当業者に周知の方法によって調製することができる。例えば、配列番号:2または4に記載の塩基配列の全部または一部をプローブとし、インターフェロン産生細胞から調製したcDNAライブラリーの中からハイブリダイズするクローンを選択し、発現させることで調製することができる。または、配列番号:2または4記載の塩基配列に、PCRによる変異導入法やカセット変異法などの当業者に周知の遺伝子改変方法を施し、部位特異的にまたはランダムに変異を導入することによって、調製することができる。または配列番号:2または4記載の塩基配列に変異を導入した配列を、市販の核酸合成装置によって合成することも可能である。
なお、本発明の一般式(1)で表される化合物およびインターフェロンを組み合わせてなる、HCV感染症を治療または予防するための医薬に、さらにリバビリンを組み合わせてもよい。
【0072】
本明細書において「治療」という記載は、本発明の薬物を被験者に投与することによって、HCVを消滅あるいは減少させること、さらなるHCVの広がりを抑制すること、HCVの感染による症状を軽減することを意味し、具体例としては、HCVの排除、肝炎の沈静化、ならびに肝炎から肝硬変、肝繊維化および肝癌への進展の阻止および軽減が挙げられる。また「予防」という記載は、HCVが感染する前に、被験者に投与され、HCVの感染を防いだり、増殖を抑制させることを意味する。
【0073】
本発明において一般式(1)で表される化合物とインターフェロンとの併用とは、一般式(1)で表される化合物とインターフェロンとを共に投与または使用(以下、単に「投与」と記載する。)することを意味し、投与の順番や投与間隔などで限定されるものではない。また、本発明の化合物とインターフェロンとを組み合わせたキットとして実施してもよい。さらに、一般式(1)で表される化合物とインターフェロンとを併用する場合は、いずれかを単独で用いる場合に比べて、所望により各々の投与量を少なくすることも可能である。
【0074】
一般式(1)で表される化合物とインターフェロンの投与の順番は、該化合物の投与後にインターフェロンを投与、一般式(1)で表される化合物とインターフェロンを同時に投与、インターフェロン投与後に一般式(1)で表される化合物を投与、のいずれの順番でもよい。
【0075】
一般式(1)で表される化合物とインターフェロンを別々に投与する場合、一般式(1)で表される化合物とインターフェロンの投与間隔は特に限定されず、投与経路や剤形等の要因を考慮して設定することができる。あえて投与間隔の一例を挙げるとすれば、通常、0時間〜168時間であり、好ましくは0時間〜72時間であり、さらに好ましくは0時間〜24時間であり、さらに好ましくは0時間〜12時間である。
【0076】
なお、インターフェロンの投与間隔としては、限定されるものではないが、通常1日に1回〜1月に1回であり、好ましくは週1回である。また、一般式(1)で表される化合物の投与間隔としては、限定されるものではないが、通常1日に1回〜2月に1回、好ましくは1日に1回〜1月に1回である。
また、一般式(1)で表される化合物とインターフェロンを別々に投与する場合、投与方法や1日あたりの投与回数は同じでも異なっていてもよい。さらに、一般式(1)で表される化合物とインターフェロンの重量比も特に限定されない。
【0077】
一般式(1)で表される化合物は、そのまま、又は、その薬理学的に許容される塩として医薬に使用することができる。上記塩としては薬理学的に許容されるものであれば特に限定されず、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸などの鉱酸との塩;酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ショウノウスルホン酸などの有機酸との塩;ナトリウム、カリウム、カルシウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属などとの塩などを挙げることができる。
【0078】
一般式(1)で表される化合物または薬理学的に許容される塩は、溶媒付加形態(溶媒和物)、結晶形態(多系)を含んでもよい。
【0079】
上記医薬に含まれる有効成分化合物の量は、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、例えば、0.1〜99.5重量%、好ましくは0.5〜90重量%である。
【0080】
一般式(1)で表される化合物または薬理学的に許容される塩、および/またはインターフェロンを、常法に従って主薬として、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用し得る既知の補助剤を用いて製剤化することができる。錠剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸などの賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース液、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドンなどの結合剤;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、乳糖などの崩壊剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩類、ラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤;グリセリン、澱粉などの保湿剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸などの吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、硼酸末、ポリエチレングリコールなどの潤沢剤などが例示できる。
【0081】
さらに錠剤は、必要に応じ、通常の剤皮を施した錠剤、例えば、糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えばグルコース、乳糖、カカオバター、澱粉、硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結合剤;ラミナラン寒天などの崩壊剤などが例示できる。坐剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えばポリエチレングリコール、カカオバター、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセリドなどを挙げることができる。注射剤として調製される場合には、液剤および懸濁剤は殺菌され、かつ血液と等張であるのが好ましく、これら液剤、乳剤および懸濁剤の形態に成形するに際しては、希釈剤としてこの分野で慣用されているものをすべて使用でき、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類などを挙げることができる。なお、この場合、等張性の溶液を調製するのに充分な量の食塩、グルコース、あるいはグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤などを添加してもよい。さらに必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品を含有することもできる。
【0082】
上記医薬は、投与単位形態で投与することが好ましく、経口投与、組織内投与(皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与など)、局所投与(経皮投与など)又は経直腸的に投与することができる。上記医薬は、これらの投与方法に適した剤型で投与されることは当然である。
【0083】
一般式(1)で表される化合物又はその薬理学的に許容され得る塩、およびインターフェロンを医薬として投与する場合、その用量は、年齢、体重などの患者の状態、投与経路、病気の性質と程度などを考慮した上で調整することが望ましいが、通常は、ヒトについては、成人に対して本発明の有効成分量として、一日当たり、0.001〜2000mgの範囲である。上記範囲未満の用量で足りる場合もあるが、逆に上記範囲を超える用量を必要とする場合もある。多量に投与するときは、一日数回に分割して投与することが望ましい。
【0084】
上記経口投与は、固形、粉末又は液状の用量単位で行うことができ、例えば、末剤、散剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、ドロップ剤、舌下剤、その他の剤型などにより行うことができる。
【0085】
上記組織内投与は、例えば、溶液や懸濁剤などの皮下、筋肉内又は静脈内注射用の液状用量単位形態を用いることによって行うことができる。これらのものは、一般式(1)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩、および/またはインターフェロンの一定量を、例えば、水性や油性の媒体などの注射目的に適合する非毒性の液状担体に懸濁又は溶解し、ついで上記懸濁液又は溶液を滅菌することにより製造される。
【0086】
上記局所投与(経皮投与など)は、例えば、液剤、クリーム剤、粉末剤、ペースト剤、ゲル剤、軟膏剤などの外用製剤の形態を用いることによって行うことができる。これらのものは、一般式(1)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩、および/またはインターフェロンの一定量を、外用製剤の目的に適合する香料、着色料、充填剤、界面活性剤、保湿剤、皮膚軟化剤、ゲル化剤、担体、保存剤、安定剤などのうちの一種以上と組み合わせることにより製造される。
【0087】
上記経直腸的投与は、一般式(1)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩、および/またはインターフェロンの一定量を、例えば、パルミチン酸ミリスチルエステルなどの高級エステル類、ポリエチレングリコール、カカオ脂、これらの混合物などからなる低融点固体に混入した座剤などを用いて行うことができる。
【0088】
上記投与は、例えば、溶液や懸濁剤などの皮下、筋肉内又は静脈内注射用の液状用量単位形態を用いることによって行うことができる。これらのものは、一般式(1)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩、および/またはインターフェロンの一定量を、例えば、水性や油性の媒体などの注射の目的に適合する非毒性の液状担体に懸濁又は溶解し、ついで上記懸濁液又は溶液を滅菌することにより製造される。
なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
【実施例】
【0089】
以下、本発明の一態様を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0090】
[実施例1] HCVに感染したキメラマウスにおけるBO−653及びPEG−IFNの抗HCV効果
【0091】
HCR6(遺伝子型1b)に感染させた、ヒト肝臓を有するキメラマウスを用いて、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン(BO−653)の阻害能を調べた。キメラマウスは、購入したもの(株式会社フェニックスバイオ、広島、日本)を用いた。
【0092】
具体的には、表1に従ってBO−653及び/またはPEG−IFN(Chugai, Tokyo, Japan)を、HCV遺伝子型1b(HCR6、アクセッション番号AY045702)感染マウスに経口投与または皮下注射によって投与し、血液を採取した。
【0093】
〔表1〕HCV遺伝子型1b感染キメラマウスへの投与スケジュール

【0094】
表1において、B、I、ならびにBOは各操作が必要に応じて行われたこと、及び試薬の投与が0日目から始まったことを示している。PEG−IFNを30μg/kgで注射した。経口投与したBO−653の量は、2000mg/kg(BO)とした。
【0095】
次に、総RNAを、AGPC法を用いてキメラマウスから採取した血清1μlから精製した。HCV RNAを、当業者に公知の方法(Takeuchi, T. et al. Gasteroenterology, 116, 636-642 (1999))によって、リアルタイムPCRによって定量した。
【0096】
その結果、臨床治療で使用される量の20倍量のPEG−IFN(30μg/kg/週2回)を投与した群では、投与前(1.3 x 107コピー / ml血清)から投与後8日で約1/30量(4.6 x 105コピー / ml血清)、投与後14日では約1/45量(2.8 x 105コピー / ml血清)に減少した。一方、BO−653 単独投与群においては、有意なHCV RNA量の低下は認められなかったが、PEG−IFNとの併用治療群では、投与後8日では約1/30量(3.1 x 105コピー / ml血清)、投与後14日では約1/180量(5.4 x 104コピー / ml血清)まで減少した(図1)。
【0097】
同時に、本発明者らは、ヒトアルブミン(h-Alb)濃度をモニターした。ヒトアルブミン濃度は、Alb−IIキット(Eiken Chemical, Tokyo, Japan)を用いて製造元の説明書にしたがって血清2μlにおいて測定した。いずれの投与群においても顕著な低下は認められなかった(図2)。
【0098】
これらの結果より、HCV感染キメラマウスにおいて、BO−653単独投与では顕著なウイルス量の減少は見られなかったが、PEG−IFNと併用することによって、投与14日後にはPEG−IFN単独投与群に比べてウイルス量の有意な減少が認められた(*p<0.05)。また、いずれの投与群においても顕著な肝障害は観察されなかった。
【0099】
[実施例2]BO-653のHCVレプリコン複製阻害作用
実験開始前日にルシフェラーゼ遺伝子を含むHCVレプリコン保持細胞Huh7#3−1を96ウェル白色マルチウェルプレート(ルシフェラーゼ用)と96ウェルマルチウェルプレート(毒性試験用)のそれぞれに4500個/ウェルで撒いた。このとき、5%FCSを含むDMEM GlutaMaxI(DMEM5)培地を使用した。翌日約20時間後、DMEM5で希釈したBO-653を終濃度が0.2、0.5、1、4、12、37、111、333、1000マイクロモルになるように各ウェルに加えた。5%CO、37℃72時間後、ルシフェラーゼアッセイおよびWST−8による細胞毒性試験を行った。BO−653を加えないものを陰性コントロールとした。
【0100】
ルシフェラーゼアッセイ
Steady-Glo Lucifease Assay BufferTMとSubstrateTM (Promega, cat#E2520)を室温に戻した。SubstrateにBufferを加えてよく混ぜた。
プレートをインキュベータから取り出し、30分間以上経過してからこれをマルチチャンネルピペットで1ウェル当たり100マイクロリットルを加えて3〜4回ピペッティングした。5分以上放置後、EnVisionTM 2103 Multilabel Readerにて測定し、化学発光量(Chemiluminescence)から活性を求めた。BO−653のIC50(50%阻害濃度)は34マイクロモルであった。
【0101】
WST-8アッセイ
Cell Counting Kit-8(DOJINDO Laboratories, cat# 341-08001)を用いて細胞毒性を評価した。培養したプレートをインキュベータから取り出し培地を捨てた。これにPBSで11倍に希釈したCell Counting Kit-8を1ウェル当たり110μL加えて60分間37℃で培養した。培養後プレートを取り出し、プレート振とう器で10秒間振とうした。プレートの吸光度をEnVisionTM 2103 Multilabel Reader(測定波長450nm, 対照波長 590nm)にて測定し、BO−653を入れないウェルを100%として、各薬剤の細胞毒性を求めた。BO−653の細胞毒性は認められなかった(IC50>1000マイクロモル)。
【0102】
以上の結果を図3および表2に示す。この結果より、一般式(1)の化合物が、単独(単剤)として用いても、HCV感染症の治療剤または予防剤として有用であることが確認された。
〔表2〕

【0103】
[参考例1]Met−BOのHCVレプリコン複製阻害作用
上記実施例2において、BO−653を用いる代わりに、Free Radical Research, 2006; 40(1): 21-30に記載の4,6−ジ−t−ブチル−5−メトキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンソフラン(Met-BO)を用いて、HCVレプリコン複製阻害作用を調べた。
すなわち、実験開始前日にルシフェラーゼ遺伝子を含むHCVレプリコン保持細胞Huh7#3−1を96ウェル白色マルチウェルプレート(ルシフェラーゼ用)と96ウェルマルチウェルプレート(毒性試験用)のそれぞれに4500個/ウェルで撒いた。このとき、5%FCSを含むDMEM GlutaMaxI(DMEM5)培地を使用した。翌日約20時間後、DMEM5で希釈したMet−BOを終濃度が0.2、0.5、1、4、12、37、111、333、1000マイクロモルになるように各ウェルに加えた。5%CO、37℃72時間後、ルシフェラーゼアッセイおよびWST−8による細胞毒性試験を行った。Met−BOを加えないものを陰性コントロールとした。
【0104】
ルシフェラーゼアッセイ
Steady-Glo Lucifease Assay BufferTMとSubstrateTM (Promega, cat#E2520)を室温に戻した。SubstrateにBufferを加えてよく混ぜた。
プレートをインキュベータから取り出し、30分間以上経過してからこれをマルチチャンネルピペットで1ウェル当たり100マイクロリットルを加えて3〜4回ピペッティングした。5分以上放置後、EnVisionTM 2103 Multilabel Readerにて測定し、化学発光量(Chemiluminescence)から活性を求めた。Met−BOのIC50(50%阻害濃度)は60マイクロモルであった。
【0105】
WST−8アッセイ
Cell Counting Kit-8(DOJINDO Laboratories, cat# 341-08001)を用いて細胞毒性を評価した。培養したプレートをインキュベータから取り出し培地を捨てた。これにPBSで11倍に希釈したCell Counting Kit-8を1ウェル当たり110μL加えて60分間37℃で培養した。培養後プレートを取り出し、プレート振とう器で10秒間振とうした。プレートの吸光度をEnVisionTM 2103 Multilabel Reader(測定波長450nm,対照波長590nm)にて測定し、Met−BOを入れないウェルを100%として、各薬剤の細胞毒性を求めた。Met−BOの細胞毒性は認められなかった(IC50>1000マイクロモル)。
以上の結果を表3に示す。この結果より、Met−BOが、HCV感染症の治療剤または予防剤として有用であることが確認された。
〔表3〕

【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明により、HCV感染症の予防および/または治療のための医薬ならびに方法が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):

(式中、R1 は、水素原子、アシル基、又はアリールアルコキシカルボニル基であり;R2 及びR3 は、独立して、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は置換若しくは未置換のアルキニル基であるか、又はR2 とR3 とが一緒になってシクロアルキル基を形成してもよい。)で表される化合物およびインターフェロンを組み合わせてなる、HCV感染症を治療または予防するための医薬。
【請求項2】
HCV感染症を治療または予防するための医薬が、配合剤であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬。
【請求項3】
前記一般式(1)で表される化合物と、インターフェロンとが併用されることを特徴とする、請求項1に記載の医薬。
【請求項4】
前記一般式(1)で表される化合物と、インターフェロンとが同時に、順次に、または別々に投与されることを特徴とする、請求項3に記載の医薬。
【請求項5】
HCV感染症を治療または予防するための医薬が、前記一般式(1)で表される化合物を含有する医薬組成物およびインターフェロンを含有する医薬組成物を備えるキットである、請求項3または4に記載の医薬。
【請求項6】
下記一般式(1):

(式中、R1 は、水素原子、アシル基、又はアリールアルコキシカルボニル基であり;R2 及びR3 は、独立して、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は置換若しくは未置換のアルキニル基であるか、又はR2 とR3 とが一緒になってシクロアルキル基を形成してもよい。)で表される化合物を有効成分として含有し、インターフェロンと併用することを特徴とする、HCV感染症を治療または予防するための医薬。
【請求項7】
インターフェロンを有効成分として含有し、下記一般式(1):

(式中、R1 は、水素原子、アシル基、又はアリールアルコキシカルボニル基であり;R2 及びR3 は、独立して、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は置換若しくは未置換のアルキニル基であるか、又はR2 とR3 とが一緒になってシクロアルキル基を形成してもよい。)で表される化合物と併用することを特徴とする、HCV感染症を治療または予防するための医薬。
【請求項8】
1 が水素原子である、請求項1〜7のいずれかに記載の医薬。
【請求項9】
2 及びR3 が未置換のアルキル基である、請求項1〜8のいずれかに記載の医薬。
【請求項10】
未置換のアルキル基が、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基又はn−ヘプチル基である、請求項9に記載の医薬。
【請求項11】
式(1)で表される化合物が、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ブチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ヘキシル−2,3−ジヒドロベンゾフラン、又は4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ヘプチル−2,3−ジヒドロベンゾフランである、請求項1〜10のいずれかに記載の医薬。
【請求項12】
式(1)で表される化合物が4,6−ジ−t−ブチル−5−ヒドロキシ−2,2−ジ−n−ペンチル−2,3−ジヒドロベンゾフランである、請求項1〜11のいずれかに記載の医薬。
【請求項13】
インターフェロンが、ペグ化インターフェロンである、請求項1〜12のいずれかに記載の医薬。
【請求項14】
HCV感染症が、C型肝炎、肝硬変、肝繊維化、または肝癌である、請求項1〜13のいずれかに記載の医薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−241750(P2010−241750A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93608(P2009−93608)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18〜20年度、独立行政法人 医薬基盤研究所基礎研究推進事業、産業活力再生特別措置法旧第30条または産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(591063394)財団法人 東京都医学研究機構 (69)
【出願人】(000003311)中外製薬株式会社 (228)
【Fターム(参考)】