説明

抗VEGF抗体の組成物および方法

2つの主要なVEGF受容体のうち1つ(VEGFR2)のみに対するVEGF結合を特異的に阻害するヒト抗体を開示している。該抗体は血管新生を効果的に阻害し、腫瘍退縮を誘導するが、その特異性により安全性が向上している。このように、本発明は、癌および他の血管新生疾病を治療するための、新規なヒト抗体をベースとした組成物,方法ならびに併合したプロトコルを提供するものである。VEGFに特異的な新規ヒト抗体を使用するのに好都合な免疫抱合体および方法も提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つのCDRを含む重鎖可変領域の少なくとも1つと、3つのCDRを含む軽鎖可変領域の少なくとも1つとを含み、VEGFに結合する単離された抗体であって、
該軽鎖可変領域が、下記(a)〜(c):
(a)配列番号8のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有する軽鎖可変(VL)CDR1,
(b)配列番号9のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVL CDR2,および
(c)配列番号10のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVL CDR3
を含み、
該実質的に相同の配列が、上記所定のCDR配列と比較して1つ,2つもしくは3つのアミノ酸置換を含む配列であるか、または、
該実質的に相同の配列が、上記所定のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含む配列である、該抗体。
【請求項2】
1つ以上の上記重鎖可変領域CDRが、下記(a)〜(c):
(a)配列番号5のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有する重鎖可変(VH)CDR1,
(b)配列番号6のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVH CDR2,および
(c)配列番号7のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVH CDR3
からなる群から選択され、
該実質的に相同の配列が、上記所定のCDR配列と比較して1つ,2つもしくは3つのアミノ酸置換を含む配列であるか、または、
該実質的に相同の配列が、上記所定のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含む配列である、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
2つ以上の上記重鎖可変領域CDRが、下記(a)〜(c):
(a)配列番号5のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有する重鎖可変(VH)CDR1,
(b)配列番号6のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVH CDR2,および
(c)配列番号7のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVH CDR3
からなる群から選択され、
該実質的に相同の配列が、上記所定のCDR配列と比較して1つ,2つもしくは3つのアミノ酸置換を含む配列であるか、または、
該実質的に相同の配列が、上記所定のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含む配列である、請求項2に記載の抗体。
【請求項4】
3つの上記重鎖可変領域CDRが、下記(a)〜(c):
(a)配列番号5のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有する重鎖可変(VH)CDR1,
(b)配列番号6のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVH CDR2,および
(c)配列番号7のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVH CDR3
からなる群から選択され、
該実質的に相同の配列が、上記所定のCDR配列と比較して1つ,2つもしくは3つのアミノ酸置換を含む配列であるか、または、
該実質的に相同の配列が、上記所定のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含む配列である、請求項3に記載の抗体。
【請求項5】
上記軽鎖可変領域が、配列番号4のアミノ酸配列、または該配列と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有する請求項1〜4のいずれかに記載の抗体。
【請求項6】
上記重鎖可変領域が、配列番号3のアミノ酸配列、または該配列と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有する請求項1〜5のいずれかに記載の抗体。
【請求項7】
配列番号21のアミノ酸配列、または該配列と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有する請求項1〜6のいずれかに記載の抗体。
【請求項8】
完全にヒト抗体である請求項1〜7のいずれかに記載の抗体。
【請求項9】
抗体定常領域を含む抗体全体である請求項1〜8のいずれかに記載の抗体。
【請求項10】
IgG抗体である請求項9に記載の抗体。
【請求項11】
配列番号24のアミノ酸配列または該配列と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有する重鎖,および
配列番号25のアミノ酸配列または該配列と少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有する軽鎖
を含む請求項9または10に記載の抗体。
【請求項12】
抗体の抗原結合断片である請求項1〜8のいずれかに記載の抗体。
【請求項13】
上記の抗体の抗原結合断片が、Fab,Fab’,F(ab’)2,scFv,Fv,dsFv,ds−scFv,Fd,DAB,TandAb二量体,直線状抗体,minibody,diabodyまたは二重特異性抗体断片である請求項12に記載の抗体。
【請求項14】
上記抗体がIgG型である場合、VEGFに対して、10nM未満のKdに対応する結合親和性を有する請求項1〜8のいずれかに記載の抗体。
【請求項15】
少なくとも第一の診断薬または治療薬に付着した請求項1〜14のいずれかに記載の抗体。
【請求項16】
少なくとも第一の、放射線治療薬剤,化学療法剤,抗血管新生剤,アポトーシス誘導剤,チューブリン阻害薬,抗細胞剤もしくは細胞毒性剤,ステロイド,サイトカイン,ケモカインまたは凝固剤に付着した請求項15に記載の抗体。
【請求項17】
下記(a)〜(f):
(a)ヒ素放射性同位元素;
(b)タキソール,ドセタキセル,パクリタキセル,シスプラチン,ゲムシタビン,コンブレタスタチン,ドキソルビシンもしくはアドリアマイシン;
(c)リシン,ゲロニン,アブリン,ジフテリア,シュードモナス菌毒素もしくは百日咳毒素;
(d)V型ATPアーゼ阻害剤;
(e)IL−2,IL−12,TNF−α,インターフェロンもしくはLEC;または
(f)切り詰められた組織因子
に付着した請求項15に記載の抗体。
【請求項18】
VEGF受容体であるVEGFR1(Flt−1)に対するVEGFの結合を有意に阻害せずに、VEGF受容体であるVEGFR2(KDR/Flk−1)に対するVEGFの結合は有意に阻害し、かつVEGFに結合する単離された抗体であって;
該抗体が、3つのCDRを含む、少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む、少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、
該軽鎖可変領域が、下記(a)〜(c):
(a)配列番号8のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVL CDR1,
(b)配列番号9のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVL CDR2,および
(c)配列番号10のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVL CDR3
を含み、
該実質的に相同の配列が、上記所定のCDR配列と比較して1つ,2つもしくは3つのアミノ酸置換を含む配列であるか、または、
該実質的に相同の配列が、上記所定のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含む配列である、該抗体。
【請求項19】
単離された抗体がIgG型である場合、VEGFに対して、10nM未満のKdに対応する結合親和性を有し、かつVEGFに結合する該抗体であって;
該抗体が、3つのCDRを含む、少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む、少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、
該軽鎖可変領域が、下記(a)〜(c):
(a)配列番号8のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVL CDR1,
(b)配列番号9のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVL CDR2,および
(c)配列番号10のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVL CDR3
を含み、
該実質的に相同の配列が、上記所定のCDR配列と比較して1つ,2つもしくは3つのアミノ酸置換を含む配列であるか、または、
該実質的に相同の配列が、上記所定のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含む配列である、該抗体。
【請求項20】
少なくともヒトVEGFおよびマウスVEGFに結合する単離された抗体であって;
該抗体が、3つのCDRを含む、少なくとも1つの重鎖可変領域と、3つのCDRを含む、少なくとも1つの軽鎖可変領域とを含み、
該軽鎖可変領域が、下記(a)〜(c):
(a)配列番号8のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVL CDR1,
(b)配列番号9のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVL CDR2,および
(c)配列番号10のアミノ酸配列または該配列と実質的に相同の配列を有するVL CDR3
を含み、
該実質的に相同の配列が、上記所定のCDR配列と比較して1つ,2つもしくは3つのアミノ酸置換を含む配列であるか、または、
該実質的に相同の配列が、上記所定のCDR配列の保存的アミノ酸置換を含む配列である、該抗体。
【請求項21】
少なくとも第一の治療薬または診断薬に付着した請求項1〜20のいずれかの抗体を含む免疫抱合体。
【請求項22】
請求項1〜20のいずれかに記載の少なくとも第一の抗体、またはその免疫抱合体を含む組成物。
【請求項23】
薬学的に許容し得る請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
さらに、少なくとも第二の治療薬を含む請求項22または23に記載の組成物。
【請求項25】
請求項1〜20のいずれかに記載の抗体をコードするヌクレオチド配列領域を含む核酸分子。
【請求項26】
上記ヌクレオチド配列領域が、配列番号21のアミノ酸配列または該配列の少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有する抗体をコードする請求項25に記載の核酸分子。
【請求項27】
上記ヌクレオチド配列領域が、配列番号20のヌクレオチド配列を有する請求項26に記載の核酸分子。
【請求項28】
上記ヌクレオチド配列領域が、
配列番号24のアミノ酸配列または該配列の少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有する重鎖,および
配列番号25のアミノ酸配列または該配列の少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有する軽鎖
を含む抗体をコードする請求項25に記載の核酸分子。
【請求項29】
配列番号24をコードする上記ヌクレオチド配列領域が、配列番号22の該ヌクレオチド配列を有し、
配列番号25をコードする上記ヌクレオチド配列領域が、配列番号23の該ヌクレオチド配列を有する、請求項28に記載の核酸分子。
【請求項30】
請求項25〜29のいずれかに記載の核酸分子を含む発現ベクター。
【請求項31】
請求項25〜29のいずれかに記載の核酸分子または請求項30の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項32】
請求項25〜29のいずれかに記載の核酸分子または請求項30の発現ベクターを含むウイルス。
【請求項33】
少なくとも第一の容器[container]の中に、下記(a)〜(g):
(a)請求項1〜20のいずれかに記載の抗体;
(b)請求項21に記載の免疫抱合体;
(c)請求項22〜24のいずれかに記載の組成物;
(d)請求項25〜29のいずれかに記載の核酸分子;
(e)請求項30に記載の発現ベクター;
(f)請求項31に記載の宿主細胞;または
(g)請求項32に記載のウイルス
を含むキット。
【請求項34】
下記(a)〜(b):
(a)コードされた抗体を発現させるのに効果的な条件下で、請求項30に記載の発現ベクターを含む宿主細胞を培養すること;および
(b)該宿主細胞から発現された抗体を得ること
を含む、抗体を製造する方法。
【請求項35】
請求項1〜20のいずれかに記載の抗体またはその免疫抱合体に、VEGFを含む組成物を接触させることを含む、VEGFを結合させる方法。
【請求項36】
VEGF/抗体複合体を形成させるのに効果的な条件下で、請求項1〜20のいずれかに記載の抗体またはその免疫抱合体に、VEGFを含む疑いのある組成物を接触させること,および
そのように形成された該複合体を検出すること
を含む、VEGFを検出する方法。
【請求項37】
下記(a)〜(c):
(a)VEGF/抗体複合体を形成させるのに効果的な条件下で、請求項1〜20のいずれかに記載の抗体またはその免疫抱合体に動物由来の試験検体を接触させること;
(b)そのように形成されたVEGF/抗体複合体を検出し、それによって該試験検体中のVEGF量を測定すること;および
(c)該試験検体中のVEGF量を対応する対照検体中のVEGF量と比較することであって、該対照検体中のVEGF量と比較して該試験検体中のVEGF量が増加していると、血管新生を伴う疾病であることを示すこと
を含む、動物における血管新生を伴う疾病を診断する方法。
【請求項38】
上記試験検体を上記動物から単離し、インビトロで上記の抗体または免疫抱合体に接触させる請求項37に記載の方法。
【請求項39】
上記の抗体または免疫抱合体を上記動物に投与し、それによってインビボで上記試験検体を接触させる請求項37に記載の方法。
【請求項40】
上記の血管新生を伴う疾病が、癌である請求項37〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
請求項1〜20のいずれかに記載の抗体またはその免疫抱合体を、動物における血管新生またはリンパ管形成を阻害する有効量で、該動物に投与することを含む、血管新生またはリンパ管形成を阻害する方法。
【請求項42】
上記動物が、癌または眼の血管新生に係る疾病を有する請求項41に記載の方法。
【請求項43】
上記動物が、ヒトの対象である請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
請求項1〜20のいずれかに記載の抗体またはその免疫抱合体の治療上有効な量を、血管新生を伴う疾病を患う動物に投与することを含む、該疾病を治療する方法。
【請求項45】
上記動物が、眼の血管新生に係る疾病,黄斑変性症,加齢性黄斑変性症,関節炎,リウマチ性関節炎,アテローム性動脈硬化症,糖尿病性網膜症,甲状腺過形成,グレーブス病,血管腫,血管新生緑内障または乾癬を有する請求項44に記載の方法。
【請求項46】
上記動物が、癌を有する請求項41に記載の方法。
【請求項47】
さらに、第二の治療薬を上記動物に投与することを含む請求項44〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
上記動物が、ヒトの対象である請求項44〜47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
請求項1〜20のいずれかに記載の抗体またはその免疫抱合体の治療上有効な量を、リンパ管形成を伴う疾病を患う動物に投与することを含む、該疾病を治療する方法。
【請求項50】
上記動物が、癌を有する請求項49に記載の方法。
【請求項51】
上記動物が、ヒトの対象である請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
治療または診断に使用するための請求項1〜20のいずれかに記載の抗体またはその免疫抱合体。
【請求項53】
血管新生もしくはリンパ管形成を伴う疾病の治療法または診断に使用するための請求項1〜20のいずれかに記載の抗体またはその免疫抱合体。
【請求項54】
癌,眼の血管新生に係る疾病,黄斑変性症,加齢性黄斑変性症,関節炎,リウマチ性関節炎,アテローム性動脈硬化症,糖尿病性網膜症,甲状腺過形成,グレーブス病,血管腫,血管新生緑内障および乾癬からなる群から選択される疾病の治療法または診断に使用するための請求項52または53に記載の抗体または免疫抱合体。
【請求項55】
第二の治療薬の使用をさらに含む治療法または診断に使用するための請求項52〜54のいずれかに記載の免疫抱合体の抗体。
【請求項56】
上記の治療法または診断がヒトの対象に対して実施される請求項52〜55のいずれかに記載の免疫抱合体の抗体。
【請求項57】
血管新生またはリンパ管形成を阻害することによって疾病を治療するための医薬の製造における、請求項1〜20のいずれかに記載の抗体またはその免疫抱合体の使用。
【請求項58】
上記疾病が、癌,眼の血管新生に係る疾病,黄斑変性症,加齢性黄斑変性症,関節炎,リウマチ性関節炎,アテローム性動脈硬化症,糖尿病性網膜症,甲状腺過形成,グレーブス病,血管腫,血管新生緑内障および乾癬からなる群から選択される請求項57に記載の使用。
【請求項59】
さらに、第二の治療薬の使用を含む請求項57または58に記載の使用。
【請求項60】
上記治療がヒトの対象に対して実施される請求項57〜59のいずれかに記載の使用。

【公表番号】特表2011−502503(P2011−502503A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532654(P2010−532654)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003745
【国際公開番号】WO2009/060198
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(506048038)ペレグリン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (2)
【出願人】(509268749)
【Fターム(参考)】