説明

折り畳み式携帯端末機

【課題】折り畳み式携帯端末機において、一対の筐体の開閉に伴う異音の発生を効果的に抑える。
【解決手段】本発明に係る折り畳み式携帯端末機において、第1及び第2の筐体1、2を互いに連結するヒンジ機構3は、中央部が第1筐体1に連結されると共に、両端部が第2筐体2に連結されている。第1筐体1には、ヒンジ機構3の中央部を覆う第1ヒンジカバー部が突設されると共に、第2筐体2には、ヒンジ機構3の両端部を覆う2つの第2ヒンジカバー部が突設されている。ヒンジ機構3には、前記中央部と一方の端部の間に固定ワッシャ36が配置されると共に、前記中央部と他方の端部の間に可動ワッシャ37が配置され、固定ワッシャ36は、第1ヒンジカバー部と一方の第2ヒンジカバー部との対向面間に介在すると共に、可動ワッシャ37は、第1ヒンジカバー部と他方の第2ヒンジカバー部との対向面間に介在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式携帯電話機の如く、一対の筐体がヒンジ機構を介して互いに開閉可能に連結されている折り畳み式携帯端末機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、折り畳み式携帯電話機においては、図16に示す如く、テンキー(11)や機能キー(12)を具えた操作側筐体(10)とディスプレイ(21)を具えた表示側筐体(20)とが、ヒンジ機構(30)によって互いに開閉可能に連結されている。
ヒンジ機構(30)は、ヒンジ軸回りに互いに相対回転可能な中央部と両端部を有し、該ヒンジ機構(30)の中央部が操作側筐体(1)に連結されると共に、該ヒンジ機構(30)の両端部が表示側筐体(2)に連結されている。
操作側筐体(10)には、ヒンジ機構(30)の中央部を覆うヒンジカバー部(41)が突設されると共に、表示側筐体(20)には、ヒンジ機構(30)の両端部を覆う2つのヒンジカバー部(61)(61)が突設され、ヒンジカバー部(41)とヒンジカバー部(61)(61)とがヒンジ軸上で互いに対向している。
【0003】
この様な折り畳み式携帯電話機においては、操作側筐体(10)のヒンジカバー部(41)と表示側筐体(20)のヒンジカバー部(61)(61)の対向面間のクリアランスを出来るだけ小さくすることが望ましい。そこで、ヒンジ機構(30)によって前記対向面間のクリアランスを規制することが行なわれている。
しかしながら、ヒンジ機構(30)にはある程度の組立誤差が伴うため、前記対向面間のクリアランスを小さく設定すると、ヒンジ機構(30)の組立誤差に起因して、操作側筐体(10)のヒンジカバー部(41)と表示側筐体(20)のヒンジカバー部(61)(61)とが互いに摺接することとなり、操作側筐体(10)と表示側筐体(20)の開閉に伴って擦れ音が発生する問題がある。
【0004】
そこで、操作側筐体と表示側筐体の対向部に、操作側筐体のヒンジカバー部と表示側筐体のヒンジカバー部の対向面間のクリアランスよりも小さな間隙の対向面を設けて、開閉に伴う擦れ音を軽減せんとするヒンジ機構が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−315345号公報[F16C11/04]
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記ヒンジ機構においても、操作側筐体と表示側筐体の開閉に伴う擦れ面の面積が小さくなるに過ぎず、操作側筐体と表示側筐体を形成している合成樹脂材どうしが摺接することには変わりがないので、依然として擦れ面から異音が発生する問題があった。
そこで本発明の目的は、一対の筐体の開閉に伴う異音の発生を効果的に抑えることが出来る折り畳み式携帯端末機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る折り畳み式携帯端末機においては、第1及び第2の筐体(1)(2)がヒンジ機構(3)を介して互いに開閉可能に連結され、該ヒンジ機構(3)は、ヒンジ軸回りに互いに相対回転可能な中央部と両端部を有し、該ヒンジ機構(3)の中央部が第1筐体(1)に連結されると共に、該ヒンジ機構(3)の両端部が第2筐体(2)に連結されている。
第1筐体(1)には、ヒンジ機構(3)の中央部を覆う第1ヒンジカバー部が突設されると共に、第2筐体(2)には、ヒンジ機構(3)の両端部を覆う2つの第2ヒンジカバー部が突設され、第1ヒンジカバー部と第2ヒンジカバー部とがヒンジ軸上で互いに対向している。
【0007】
ここで、前記ヒンジ機構(3)には、前記中央部と一方の端部の間に、ヒンジ軸方向の移動が拘束された固定ワッシャ(36)が配置されると共に、前記中央部と他方の端部の間に、ヒンジ軸方向の移動が一定範囲内で許容された可動ワッシャ(37)が配置され、固定ワッシャ(36)は、第1ヒンジカバー部と一方の第2ヒンジカバー部との対向面間に介在すると共に、可動ワッシャ(37)は、第1ヒンジカバー部と他方の第2ヒンジカバー部との対向面間に介在して、第1ヒンジカバー部と第2ヒンジカバー部の相対位置を規定している。
【0008】
具体的には、第1筐体(1)の第1ヒンジカバー部の両端部にはそれぞれ、ヒンジ軸を中心とする円周線上を伸びるリブ(42)(82)が突設されると共に、第2筐体(2)の2つの第2ヒンジカバー部にはそれぞれ、ヒンジ軸を中心とする円周線上を伸びるリブ(62)(72)が突設され、第1ヒンジカバー部の一方の端部に突設されたリブ(42)(82)と一方の第2ヒンジカバー部に突設されたリブ(62)(72)との間に可動ワッシャ(37)が介在すると共に、第1ヒンジカバー部の他方の端部に突設されたリブ(42)(82)と他方の第2ヒンジカバー部に突設されたリブ(62)(72)との間に固定ワッシャ(36)が介在している。
【0009】
又、前記ヒンジ機構(3)は、ベースフレーム(31)と、ベースフレーム(31)の両端部にヒンジ軸回りの相対回転が可能に連結された一対のアーム(33)(33)と、ベースフレーム(31)と一方のアーム(33)の間に介在するヒンジユニット(32)とを具え、該ヒンジユニット(32)によってベースフレーム(31)と前記一方のアーム(33)の間の相対回転が規制されており、ベースフレーム(31)と何れか一方のアーム(33)の間に固定ワッシャ(36)が介在すると共に、ベースフレーム(31)と他方のアーム(33)の間に可動ワッシャ(37)が介在し、ベースフレーム(31)が何れか一方の筐体(1)に連結され、一対のアーム(33)(33)が他方の筐体(2)に連結されている。
【0010】
上記本発明の折り畳み式携帯端末機においては、ヒンジ機構(3)に固定ワッシャ(36)と可動ワッシャ(37)が配置されて、固定ワッシャ(36)は、第1ヒンジカバー部と一方の第2ヒンジカバー部との対向面間に介在すると共に、可動ワッシャ(37)は、第1ヒンジカバー部と他方の第2ヒンジカバー部との対向面間に介在して、第1ヒンジカバー部と第2ヒンジカバー部とが互いに僅かなクリアランスをおいて対向する様、第1ヒンジカバー部と第2ヒンジカバー部の相対位置を規定している。従って、両筐体(1)(2)の開閉に伴って第1ヒンジカバー部と第2ヒンジカバー部とが互いに接触して、擦れ音を発することはない。
【0011】
但し、両筐体(1)(2)の開閉に伴って固定ワッシャ(36)及び可動ワッシャ(37)が第1ヒンジカバー部及び第2ヒンジカバー部の対向面と接触することになるが、固定ワッシャ(36)及び可動ワッシャ(37)の材質として、筐体(1)(2)を形成している合成樹脂材との摺動性が合成樹脂材どうしの摺動性よりも良好な材質を採用すれば、擦れ音の発生を効果的に抑制することが出来る。
【0012】
尚、第1ヒンジカバー部と第2ヒンジカバー部とが互いに僅かなクリアランスをおいて対向する様、第1ヒンジカバー部と第2ヒンジカバー部の相対位置を正確に規定するためには、ヒンジ機構(3)の組立精度を向上させる必要があるが、固定ワッシャ(36)と可動ワッシャ(37)の組み合わせに代えて、両方を固定ワッシャとした場合には、ヒンジ機構(3)の組立状態で両固定ワッシャ間の距離に高い精度を実現することは困難である。
又、両方を可動ワッシャとした場合には、可動ワッシャの厚さによって第1ヒンジカバー部と第2ヒンジカバー部の相対位置を正確に規定することは出来るものの、組立工程においてヒンジ機構に対して両筐体を組み付ける際、2枚の可動ワッシャをそれぞれ所定位置に保持せねばならないため、組立作業が困難となる。
【0013】
これに対し、本発明の折り畳み式携帯端末機においては、一方を固定ワッシャ(36)、他方を可動ワッシャ(37)としたので、ヒンジ機構に対して両筐体を組み付ける過程で、先ず、可動ワッシャ(37)をヒンジカバー部から離間した位置に待避させ、この状態で組み付け作業の前半を実施し、その後、可動ワッシャ(37)をヒンジカバー部側へ移動させて、組み付け作業の前半を実施することが出来る。
これによって、固定ワッシャ(36)と可動ワッシャ(37)の間隔は、第1ヒンジカバー部と第2ヒンジカバー部とを互いに僅かなクリアランスをおいて対向させることの出来る、適切な間隔に設定されることとなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る折り畳み式携帯端末機によれば、第1及び第2の筐体の開閉に伴う異音の発生を効果的に抑えることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を折り畳み式携帯電話機に実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明に係る折り畳み式携帯電話機は、図1及び図2に示す如く、操作側筐体(1)と表示側筐体(2)とを具え、操作側筐体(1)の内面にはテンキー(11)及び機能キー(12)が配備されると共に、表示側筐体(2)の内面にはディスプレイ(21)の画面が配備されており、図1に示す閉じ状態と図2に示す開き状態の間で開閉が可能となっている。
操作側筐体(1)は、操作側フロントキャビネット(4)と操作側バックキャビネット(5)とを接合して構成され、表示側筐体(2)は、表示側フロントキャビネット(6)と表示側バックキャビネット(7)とを接合して構成されている。
【0016】
操作側筐体(1)と表示側筐体(2)とは図3に示すヒンジ機構(3)によって互いに連結されている。
ヒンジ機構(3)は、図4に示す如く、ベースフレーム(31)と、ベースフレーム(31)の両端部にヒンジ軸回りの相対回転が可能に連結された一対のアーム(33)(33)と、ベースフレーム(31)と一方のアーム(33)の間に介在するヒンジユニット(32)とを具え、該ヒンジユニット(32)によってベースフレーム(31)と前記一方のアーム(33)の間の相対回転が制御されている。
【0017】
操作側フロントキャビネット(4)と操作側バックキャビネット(5)の間には、回路基板(13)が配備され、表示側フロントキャビネット(6)と表示側バックキャビネット(7)の間には、ディスプレイ(21)が配備される。
そして、ヒンジ機構(3)のベースフレーム(31)が回路基板(13)に固定され、ヒンジ機構(3)の一対のアーム(33)(33)がディスプレイ(21)のフレーム部分に固定されている。
この結果、操作側筐体(1)と表示側筐体(2)とがヒンジ機構(3)を介して互いに連結されるとこととなり、ヒンジ機構(3)のヒンジユニット(32)によって両筐体(1)(2)の開き角度が規制される。
【0018】
図4の如く、操作側フロントキャビネット(4)には、ヒンジ機構(3)の中央部をその上面側から覆うヒンジカバー部(41)が突設されている。又、操作側フロントキャビネット(4)のヒンジカバー部(41)に対してヒンジカバー部材(8)が係合し、該ヒンジカバー部材(8)には、ヒンジ機構(3)の中央部を下面側から覆うヒンジカバー部(81)が形成されている。
斯くして、操作側フロントキャビネット(4)のヒンジカバー部(41)とヒンジカバー部材(8)のヒンジカバー部(81)は、ヒンジ機構(3)の中央部を略全周に亘って覆うことになる。
【0019】
表示側フロントキャビネット(6)には、ヒンジ機構(3)の両端部を上面側から覆う左右一対のヒンジカバー部(61)(61)が突設されている。又、表示側バックキャビネット(7)には、ヒンジ機構(3)の両端部を下面側から覆う左右一対のヒンジカバー部(71)(71)が突設されている。
斯くして、表示側フロントキャビネット(6)のヒンジカバー部(61)(61)と表示側バックキャビネット(7)のヒンジカバー部(71)(71)は、ヒンジ機構(3)の両端部を略全周に亘って覆うことになる。
【0020】
操作側フロントキャビネット(4)のヒンジカバー部(41)の両端部にはそれぞれ、ヒンジ軸を中心として円弧状に伸びるリブ(42)が突設されている。一方、ヒンジカバー部材(8)のヒンジカバー部(81)の両端部にはそれぞれ、ヒンジ軸を中心として円弧状に伸びるリブ(82)が突設されており、操作側フロントキャビネット(4)のヒンジカバー部(41)のリブ(42)と対向している。
又、表示側フロントキャビネット(6)のヒンジカバー部(61)(61)の内側の端部にはそれぞれ、ヒンジ軸を中心として円弧状に伸びるリブ(62)が突設されている。一方、表示側バックキャビネット(7)のヒンジカバー部(71)(71)の内側の端部にはそれぞれ、ヒンジ軸を中心として円弧状に伸びるリブ(72)が突設されており、表示側フロントキャビネット(6)のヒンジカバー部(61)のリブ(62)と対向している。
【0021】
ヒンジ機構(3)は、図7に示す如く、ベースフレーム(31)の一方の端部に、ヒンジユニット(32)の回転軸(39)に対して一方のアーム(33)の基端部が相対回転不能に係合し、ヒンジユニット(32)と該アーム(33)との間には、円筒部材(35)と円板(38)が介在し、円筒部材(35)の外周面には、可動ワッシャ(37)がヒンジ軸方向の一定距離範囲内で移動可能に嵌まっている。
又、ベースフレーム(31)の他方の端部には、ヒンジ軸上に筒軸体(34)の基端部が相対回転可能に係合し、該筒軸体(34)の先端部には、アーム(33)(33)の基端部が連結されている。そして、筒軸体(34)の外周面には、ベースフレーム(31)とアーム(33)(33)の間に挟まれてヒンジ軸方向の移動が阻止された固定ワッシャ(36)が嵌まっている。
尚、固定ワッシャ(36)及び可動ワッシャ(37)の材質としては、両筐体(1)(2)を形成している合成樹脂材との摺動性が合成樹脂材どうしの摺動性よりも良好な材質が採用されている。
【0022】
ヒンジ機構(3)の固定ワッシャ(36)と可動ワッシャ(37)の内側には、図5の如く、操作側フロントキャビネット(4)のヒンジカバー部(41)のリブ(42)(42)が係合すると共に、図6の如く、ヒンジカバー部材(8)のリブ(82)(82)が係合する。
又、ヒンジ機構(3)の固定ワッシャ(36)と可動ワッシャ(37)の外側には、図4に示す表示側フロントキャビネット(6)のリブ(62)(62)が係合すると共に、表示側バックキャビネット(7)のリブ(72)(72)が係合する。
【0023】
この結果、図3に示す如く、ヒンジ機構(3)の右側では、操作側フロントキャビネット(4)及びヒンジカバー部材(8)のリブ(42)(82)と、表示側フロントキャビネット(6)及び表示側バックキャビネット(7)のリブ(62)(72)とが互いに対向し、その対向面間に固定ワッシャ(36)が介在することになる。
又、ヒンジ機構(3)の左側では、操作側フロントキャビネット(4)及びヒンジカバー部材(8)のリブ(42)(82)と、表示側フロントキャビネット(6)及び表示側バックキャビネット(7)のリブ(62)(72)とが互いに対向し、その対向面間に可動ワッシャ(37)が介在することになる。
【0024】
この結果、図4に示す操作側フロントキャビネット(4)及びヒンジカバー部材(8)のヒンジカバー部(41)(81)と、表示側フロントキャビネット(6)及び表示側バックキャビネット(7)のヒンジカバー部(61)(71)との対向面間には、例えば0.15mm以下の所定のクリアランスが設けられ、ヒンジカバー部どうしの摺接が確実に防止されている。
【0025】
図8及び図11〜図15は、上記本発明の折り畳み式携帯電話機の組立工程を表わしている。ここで、図11〜図15は、図3と同じ断面を示しており、図8の断面とは左右が逆の図面となっている。尚、操作側筐体(1)と表示側筐体(2)の内部に収容される回路基板(13)やディスプレイ(21)等の組立については説明を省略する。
【0026】
先ず、図8(a)(b)及び図11の如く、ヒンジ機構(3)に対してヒンジカバー部材(8)を組み付ける。この際、可動ワッシャ(37)をヒンジユニット(32)から離間させた位置に移動させ、この状態で、固定ワッシャ(36)と可動ワッシャ(37)の内側にヒンジカバー部材(8)のリブ(82)(82)を係合させる。
尚、ヒンジカバー部材(8)のリブ(82)(82)間の距離Wは、所定値に精度よく設定されている。
【0027】
次に図12の如く、ヒンジ機構(3)に対して操作側フロントキャビネット(4)を組み付ける。この際、可動ワッシャ(37)はヒンジユニット(32)から離間した位置を維持したまま、固定ワッシャ(36)と可動ワッシャ(37)の内側に操作側フロントキャビネット(4)のリブ(42)(42)を係合させる。
【0028】
次に図13の如く、可動ワッシャ(37)を操作側フロントキャビネット(4)のリブ(42)に当接するまで移動させる。この結果、固定ワッシャ(36)と可動ワッシャ(37)の間隔は、ヒンジカバー部材(8)のリブ(82)(82)間の距離Wに正確に一致することになる。
この状態で、図14の如く、ヒンジ機構(3)に対し、表示側フロントキャビネット(6)を組み付ける。これによって、固定ワッシャ(36)と可動ワッシャ(37)の外側に表示側フロントキャビネット(6)のリブ(62)(62)が係合する。
【0029】
更に図15の如く、ヒンジ機構(3)に対し、表示側バックキャビネット(7)を組み付ける。これによって、固定ワッシャ(36)と可動ワッシャ(37)の外側に表示側バックキャビネット(7)のリブ(72)(72)が係合する。
最後に図3の如く表示側バックキャビネット(7)に化粧パネル(22)を取り付けると共に、操作側フロントキャビネット(4)に対して操作側バックキャビネット(5)を組み付けることによって、操作側筐体(1)と表示側筐体(2)の組立が終了し、ヒンジ機構(3)によって操作側筐体(1)と表示側筐体(2)とが互いに開閉可能に連結されることになる。
【0030】
上述の如く本発明の折り畳み式携帯電話機においては、ヒンジ機構(3)に配備すべき一対のワッシャとして、一方には固定ワッシャ(36)を採用し、他方には可動ワッシャ(37)を採用することにより、操作側フロントキャビネット(4)及びヒンジカバー部材(8)のヒンジカバー部(41)(81)と表示側フロントキャビネット(6)及び表示側バックキャビネット(7)のヒンジカバー部(61)(71)との対向面間に所定のクリアランスを設けて、ヒンジカバー部どうしの摺接を確実に防止すると同時に、組立作業の容易化を図っている。
【0031】
即ち、本発明におけるヒンジ機構(3)の固定ワッシャ(36)と可動ワッシャ(37)の組み合わせに代えて、図9(a)(b)に示す如く、両方を固定ワッシャ(36)(91)としたヒンジ機構(9)を採用した場合には、ヒンジカバー部材(8)のリブ(82)(82)間の距離Wは比較的高い精度で規定することが出来るが、ヒンジ機構(9)の固定ワッシャ(36)(91)間の距離Bは、組立誤差のために精度が悪く、W>Bの場合はヒンジ機構(9)に対するヒンジカバー部材(8)の組み付けが困難となる。逆にW<Bの場合はヒンジ機構(9)に対するヒンジカバー部材(8)の位置が正確に定まらない問題がある。
【0032】
又、図10(a)(b)に示す如く、両方を可動ワッシャ(93)(37)としたヒンジ機構(92)を採用した場合、可動ワッシャ(93)(37)の厚さによって操作側筐体(1)のヒンジカバー部(41)(81)と表示側筐体(2)の2つのヒンジカバー部(61)(71)及び(61)(71)との相対位置を正確に規定することは可能である。
しかしながら、組立工程においては、図10(a)の如くヒンジ機構(92)を何れか一方側に低く傾斜させた場合、両可動ワッシャ(93)(37)が同一方向に移動するため、このままではヒンジカバー部材(8)の組付けを行なうことが出来ない。そこで、図10(b)の如く両可動ワッシャ(93)(37)をそれぞれ外側へ移動させてその位置に保持した状態で、ヒンジカバー部材(8)の組付けを行なわねばならず、作業が煩雑なものとなる問題がある。
【0033】
これに対し、本発明に係る折り畳み式携帯電話機においては、ヒンジ機構(3)に固定ワッシャ(36)と可動ワッシャ(37)の組み合わせを採用しているので、上述の如く組立作業は容易であり、両ワッシャ(36)(37)を用いた位置規制によって、操作側筐体(1)のヒンジカバー部(41)(81)と表示側筐体(2)のヒンジカバー部(61)(71)との摺接による異音の発生を確実に防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る折り畳み式携帯電話機の閉じ状態の斜視図である。
【図2】本発明に係る折り畳み式携帯電話機の開き状態の斜視図である。
【図3】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図4】本発明に係る畳み式携帯電話機の分解斜視図である。
【図5】操作側フロントキャビネットとヒンジ機構を示す分解斜視図である。
【図6】ヒンジ機構とヒンジカバー部材を示す分解斜視図である。
【図7】ヒンジ機構の分解斜視図である。
【図8】本発明におけるヒンジ機構に対するヒンジカバー部材の組み付け工程を示す平面図である。
【図9】両方に固定ワッシャを用いたヒンジ機構に対するヒンジカバー部材の組み付け工程を示す平面図である。
【図10】両方に可動ワッシャを用いたヒンジ機構に対するヒンジカバー部材の組み付け工程を示す平面図である。
【図11】本発明に係る折り畳み式携帯電話機の組立工程の第1ステップを示す断面図である。
【図12】同上の組立工程の第2ステップを示す断面図である。
【図13】同上の組立工程の第3ステップを示す断面図である。
【図14】同上の組立工程の第4ステップを示す断面図である。
【図15】同上の組立工程の第5ステップを示す断面図である。
【図16】従来の折り畳み式携帯電話機の斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
(1) 操作側筐体
(2) 表示側筐体
(3) ヒンジ機構
(31) ベースフレーム
(32) ヒンジユニット
(33) アーム
(36) 固定ワッシャ
(37) 可動ワッシャ
(4) 操作側フロントキャビネット
(41) ヒンジカバー部
(42) リブ
(5) 操作側バックキャビネット
(6) 表示側フロントキャビネット
(61) ヒンジカバー部
(62) リブ
(7) 表示側バックキャビネット
(71) ヒンジカバー部
(72) リブ
(8) ヒンジカバー部材
(81) ヒンジカバー部
(82) リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の筐体(1)(2)がヒンジ機構(3)を介して互いに開閉可能に連結され、該ヒンジ機構(3)は、ヒンジ軸回りに互いに相対回転可能な中央部と両端部を有し、該ヒンジ機構(3)の中央部が第1筐体(1)に連結されると共に、該ヒンジ機構(3)の両端部が第2筐体(2)に連結され、第1筐体(1)には、ヒンジ機構(3)の中央部を覆う第1ヒンジカバー部が突設されると共に、第2筐体(2)には、ヒンジ機構(3)の両端部を覆う2つの第2ヒンジカバー部が突設され、第1ヒンジカバー部と第2ヒンジカバー部とがヒンジ軸上で互いに対向している折り畳み式携帯端末機において、
前記ヒンジ機構(3)には、前記中央部と一方の端部の間に、ヒンジ軸方向の移動が拘束された固定ワッシャ(36)が配置されると共に、前記中央部と他方の端部の間に、ヒンジ軸方向の移動が一定範囲内で許容された可動ワッシャ(37)が配置され、固定ワッシャ(36)は、第1ヒンジカバー部と一方の第2ヒンジカバー部との対向面間に介在すると共に、可動ワッシャ(37)は、第1ヒンジカバー部と他方の第2ヒンジカバー部との対向面間に介在して、第1ヒンジカバー部と第2ヒンジカバー部の相対位置を規定していることを特徴とする折り畳み式携帯端末機。
【請求項2】
第1筐体(1)の第1ヒンジカバー部の両端部にはそれぞれ、ヒンジ軸を中心とする円周線上を伸びるリブ(42)(82)が突設されると共に、第2筐体(2)の2つの第2ヒンジカバー部にはそれぞれ、ヒンジ軸を中心とする円周線上を伸びるリブ(62)(72)が突設され、第1ヒンジカバー部の一方の端部に突設されたリブ(42)(82)と一方の第2ヒンジカバー部に突設されたリブ(62)(72)との間に可動ワッシャ(37)が介在すると共に、第1ヒンジカバー部の他方の端部に突設されたリブ(42)(82)と他方の第2ヒンジカバー部に突設されたリブ(62)(72)との間に固定ワッシャ(36)が介在している請求項1に記載の折り畳み式携帯端末機。
【請求項3】
前記ヒンジ機構(3)は、ベースフレーム(31)と、ベースフレーム(31)の両端部にヒンジ軸回りの相対回転が可能に連結された一対のアーム(33)(33)と、ベースフレーム(31)と一方のアーム(33)の間に介在するヒンジユニット(32)とを具え、該ヒンジユニット(32)によってベースフレーム(31)と前記一方のアーム(33)の間の相対回転が制御されており、ベースフレーム(31)と何れか一方のアーム(33)の間に固定ワッシャ(36)が介在すると共に、ベースフレーム(31)と他方のアーム(33)の間に可動ワッシャ(37)が介在し、ベースフレーム(31)が何れか一方の筐体(1)に連結され、一対のアーム(33)(33)が他方の筐体(2)に連結されている請求項1又は請求項2に記載の折り畳み式携帯端末機。
【請求項4】
固定ワッシャ(36)及び可動ワッシャ(37)は、筐体(1)(2)を形成している合成樹脂材との摺動性が合成樹脂材どうしの摺動性よりも良好な材質から形成されている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の折り畳み式携帯端末機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−106864(P2008−106864A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291040(P2006−291040)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】