説明

抜取用チムニー付き液体容器

本発明は上方開口部(11)およびチューブ状抜取用チムニー(17)を具備してなる液体容器に関する。前記抜取用チムニー(17)は開口部(11)を介して該液体容器(1)内に延出し、その下端部領域に微細多孔質の流れ抵抗部材(27)の形態の液体透過性ゾーンが設けられていて、抜取用チムニー(17)と、それを囲む容器内部(37)との間の液体交換が前記流れ抵抗部材(27)を経由してのみ行われるようになっている。本発明の更なる形態において、抜取用チムニーの外壁面(49)の上方領域における半径方向の凹み(47)により形成された通気用溝が設けられていて、液面(41)上の空間(47)の適度の通気を確保するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部開口部と、チューブ状抜取用チムニーとを備えた液体容器に関するものであり、この抜取用チムニーは前記上部開口部と面一に設けられ、かつ、該容器内に延び、該容器底部近傍に位置するその下方端部に液体透過性領域を有する。
【背景技術】
【0002】
本発明は特に、自動分析装置内で試薬液体容器として使用される液体容器に関するものである。このような自動分析装置内で使用される場合、試薬液は自動分注器により液体容器から取出される。近代的システムにおいては、これは各分析プロセスのハイスループットを可能にするため、迅速なサイクルで行われる。このプロセスにおいて、液体容器は例えばローターの形態の搬送装置によりピペット操作ステーションへと迅速に搬送され、そこでブレーキがかかり、自動ピペット又は吸引針が、吸引により液体を取り出すため液体容器の上部開口部を介して抜取用チムニー内に挿入される。ハイスループットの自動分析装置の場合、ピペット操作ゾーン内への液体容器の位置決めを含めて個々のピペット操作プロセスについて割り当てられる時間が、数秒という極めて短いサイクル時間となっている。このことにより問題が生じる。すなわち、液体容器がピペット操作ゾーン内で突然に停止した場合、この容器内の液体が激しく動き、飛び散り、そのためハイスループットの操作のために要する短時間のピペット操作よりも長い特定の待機時間を経なければ適度に均一化した液体平面が得られないことがしばしば生じることになる。通常、ピペット操作は、抜取用チムニー内の液体平面が依然として変動しているときは回避しなければならない。なぜならば、その状態では、ピペットの尖端の外側が好ましくない様相で比較的広く液体で濡れてしまい、液体容器からピペットを引抜いたとき、比較的大量の液体取込み量がピペットの外側に付着し、その後のピペット操作における汚染の原因となる。これを避けるため、ピペット尖端は、ピペット操作の間において分取されるべき液体中にほんの僅かに浸されるべきであり、液体容器内の充填面はできれば静止状態になければならない。更に、ピペットが、変動する液面のために空気を取り込むことを回避しなければならない。更に、抜取用チムニー内の泡の形成は抑制されなければならない。ここで対象としているタイプの公知の液体容器の場合、このような要求は、通常、自動分析装置でのハイスループット操作にとっては長すぎるサイクル時間をかけない限り、達成することができない。
【0003】
抜取用チムニーを備えた従来の反応液体容器については、例えばWO97/12677 A1(特許文献1);US5,102,631(特許文献2)およびDE3838278C1(特許文献3)に例示されている。WO97/12677 A1に記載されている液体容器の場合、チューブ状の抜取用チムニーの上端に半径方向に外側に突出したフランジが設けられていて、それにより抜取用チムニーが容器開口部の口部に吊り下げられた状態で支持されている。抜取用チムニーの完全開口下端部は液体容器の底部近傍に延びていて、液体の流通は、この抜取用チムニーの下端開口部を介して、この抜取用チムニーと、その周囲の液体容器の内側空間領域と間で行うことができる。容器の内側空間と、その周囲との間の圧力を、ピペット操作の間に等しくさせるため、スロット状の肉薄部が抜取用チムニーの上方領域に形成されていて、液体容器の開口口部と、抜取用チムニーのケーシングとの間での空気の流れを可能にしている。
【0004】
DE3838278C1に記載されている容器の実施例によれば、その抜取用チムニーの断面は容器上部開口部の断面よりも実質的に小さく、抜取用チムニーは容器開口口部に螺着させたネジ付きキャップを貫通するようにしてこのキャップに取着されている。このネジ付きキャップ内の透孔により容器の内部空間と、外側周囲との間の圧力等化が図られている。この抜取用チムニーは容器底部近傍に達し、液体交換が抜取用チムニーの下側開口部を介して、抜取用チムニーとその周囲の容器内側空間との間で行われるようになっている。DE3838278C1の他の実施例においては、抜取用チムニーの上端の外周と抜取用チムニーの上端を囲む口部の内周とは僅かに異なるに過ぎず、容器内部と容器周囲との間の圧力等化するのに十分な、抜取用チムニーの外側と上記口部の内壁面との間に維持される通気路は形成されていない。抜取用チムニーのケーシング内の透孔は圧力等化のためその上端に設けられている。抜取用チムニーの下端は基本的に完全に開口しており、スペーサーバーが抜取用チムニーの下端に設けられている。
【0005】
US5,102,631に開示されている液体容器は、DE3838278C1の最後に述べた実施例に類似した構造となっていて、この場合も抜取用チムニーの上端のケーシングに透孔が設けられている。抜取用チムニーは液体容器の底部まで延出しているが、抜取用チムニーの下端のケーシングに大きな横孔が設けられている。
【0006】
以上説明したように構築された従来の液体容器について本発明者が実験したところ、以下のことが確認された。すなわち、その容器を処理ゾーンに急速に配置させたとき、容器内の液体が激しく動き、飛び散り、容器内に泡を形成させ、ハイスループットの分析装置では許容し得ないほどの時間を経なければ、抜取用チムニー内に静かな平坦面を得ることができない。
【特許文献1】WO97/12677 A1
【特許文献2】US5,102,631
【特許文献3】DE3838278C1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ハイスループット操作における高速自動ピペット操作システムで使用することができるように、上述のタイプの液体容器を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、本発明によれば以下のことが提案されている。すなわち、抜取用チムニーの液体透過領域に少なくとも1つの微細多孔質の流れ抵抗部材が設けられていて、抜取用チムニーと、この液体透過領域において抜取用チムニーを囲む容器の内部空間との間の液体交換が各流れ抵抗部材を介してのみ行うことができるようにしている。
【0009】
この流れ抵抗部材は流れ制動部材として役立ち、液体容器に急激なブレーキがかかったとき、抜取用チムニーの周りの液体の始めの激しい動きがかなり減衰され、抜取用チムニー内の液面のゆっくりした変化として遅延して現れることになる。すなわち、この流れ抵抗部材は、この激しい動きの頻度および激しさ並びに液面振動に関して、抜取用チムニー内の液体に対する「低い通過」を形成させる。液体容器が、例えば容器を支持する円形コンベヤー又はローターによりピペット操作位置に迅速に配置されたとき、その容器の停止により発生する抜取用チムニーの周りの激しい動きに関係なく抜取用チムニー内においては液面の比較的ゆっくりした変化が生じるだけである。従って、そのような自動分注装置のピペット先端部を、容器の停止直後に抜取用チムニー内に挿入し、ピペット操作のためできるだけ浅い深さで液体中に浸すことができる。抜取用チムニー内におけるこの浸漬深さ又は液面は通常、自動ピペット操作ステーションの場合、感知手段、例えば容量性センサーにより検知することができ、浸漬深さはセンサーの情報に従って制御される。これは本発明の液体容器を使用する場合も同様の様式で行われる。所望により、ピペット先端部を、その外側に短い長さに亘って液体で濡らし、僅かな取込み量の液体をピペットの外側に収集するようにしてもよい。この流れ抵抗部材の低い通過作用により、外からの激しい揺さぶり作用により抜取用チムニー内の液面の驚くような急激な変化が、この短いピペット操作時間の間に予想されることはない。このように、抜取用チムニー内の液面はせいぜい、ゆっくりと変化し、減衰していくに過ぎず、従って、この自動分注装置は、ピペット先端の浅い浸漬深さを以って抜取用チムニー内の各計算された充填面から液体を確実に分取することができる。
【0010】
更に、流れ抵抗部材は気泡制動部材として作用するように設計することもできる。その場合、この気泡制動部材は容器の内側空間から抜取用チムニーへと気泡が通過するのを実質的に防止する。
【0011】
この流れ抵抗部材は好ましくは、フリース材料、特にフェルト及び/又は布地及び/又は焼結プラスチック材料、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン及び/又は開放孔発泡体(open-pored foam)から形成される。
【0012】
本発明の好ましい実施例において、抜取用チムニーの下端には、先端部にチューブ開口部が設けられているが、流れ抵抗部材で充填されている。これに関連して、本発明の更なる発展として、この流れ抵抗部材は抜取用チムニーの先端部の下方開口部から下方に延出していて、容器の底部と、抜取用チムニーの先端開口部との間のスペーサー部材としての役割を果たしている。このような方策は、例えば、焼結ポリエチレンからなるフィルター部材の形態の流れ抵抗部材を用いて達成することができ、このフィルター部材は抜取用チムニーの下方開口部の位置に挿入、固定される。
【0013】
本発明の1実施例において、流れ抵抗部材は金属又はプラスチック製の細孔の格子状篩からなる。あるいは、又はそれに加えて、抜取用チムニーの下端に複数の毛管状の透孔を設けてもよく、このように微細に穿孔されている抜取用チムニーの領域は流れ抵抗部材を形成することになる。流れ抵抗部材を実現するための多様な可能性と共に常に注意すべきことは、それが所望の流れ制動特性を提供し、液体の激しい動きを、抜取用チムニー内の液面において比較的ゆっくりにし、減衰した変化にさせることである。
【0014】
この抜取用チムニーは好ましくはプラスチックからなる部材であり、液体容器製造の際に、液体容器の開口部を介して液体容器内に挿入させることができる。
【0015】
知られているように、この容器の上方開口部には上方に突出した口部、特にネジ付きキャップ用口部が設けられていて、その内側面が、容器開口部の周方向境界面を形成している。抜取用チムニーの上端にはフランジ部が設けられていて、それにより上記口部の上向き肩面に抜取用チムニーが取着されている。このようにして、抜取用チムニーは容器の嵌合位置にて安定的に保持させることができる。
【0016】
本発明の更なる態様において、上述のタイプの液体容器が提供されていて、この場合、抜取用チムニーのケーシングの上方端部領域は容器開口部の周方向境界面に対向するようにして半径方向に密接し、容器底部に近接する抜取用チムニーの下端領域は液体透過ゾーンとなっている。この場合、抜取用チムニーの上端部において、抜取用チムニーのケーシング壁は複数のゾーンに形成されていて、その1つのゾーンにおいて、抜取用チムニーのケーシングの外側が容器開口部の周方向境界面からより遠く離れていて、通気路を形成している。特に、それはケーシング壁の半径方向の凹みにより形成された通気溝の形態であり、容器開口部の周方向境界面の領域を越えて軸方向且つ下方に延びている。
【0017】
このような通気路により、液体容器の内部と、その周囲との間の圧力等化が迅速、且つ、効果的になされる。この通気路は簡単な方法で作ることができる。これに関連して、通気を目的とするための抜取用チムニーのケーシングにおける透孔は省略することができる。従来の液体容器の場合、激しく動く液体がこのような透孔を介して抜取用チムニーの上方領域内に浸入するのを防ぐことを目的とする場合、この透孔は最大液面に制限を要求するものとなる。この通気路の態様は重要性とは無関係に、上述のタイプの流れ抵抗部材を備えておらず、むしろ例えば従来のタイプの隙間を備えている抜取用チムニーについて使用することもできることに留意すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を、図面を参照して更に説明する。
【0019】
図1には、本発明に係る液体容器の1実施例が縦方向中心面に沿った縦断面図として示されている。この液体容器1はネジ付きキャップ3を備えたビンである。ビン首部5は、ネジ付きキャップ9のためのネジ山として機能する外側ネジ山7を有するネジ付きキャップ用口部である。この口状ビン首部5は液体容器1の抜取用開口部11を有すると共に、環状肩部15を備えた肩部を有する。この環状肩部15は内側面13から内側に半径方向に延びていて、これに上端フランジ19を有する抜取用チムニー17が吊下げられている。
【0020】
図2には、抜取用チムニー17が分離して斜視図として示されている。この実施例において、この抜取用チムニー17は基本的形状として中空円筒状チューブ体21からなり、その両端にチューブ開口部23,25を有する。このチューブ体21の下方チューブ開口部25は、微細多孔質の流れ抵抗部材27で充填されている。この流れ抵抗部材27は焼結ポリエチレンからなる液体透過性プラグである。しかし、他の材料もこの流れ抵抗部材27を形成するのに使用することができる。例えば、フェルト、布地、開放孔発泡体を使用することができる。図1および図2に示す実施例において、流れ抵抗部材27はチューブ体21の下方端部から下に向って突出し、スペーサー部材として機能できる。この機能は図1に示す液体容器1の場合には利用されない。なぜならば、抜取用チムニー17の下端29が液体容器1の底部31から僅かな距離を以って遠ざかるようにして、抜取用チムニー17が液体容器1内に吊り下げられているからである。
【0021】
しかし、図2に示す抜取用チムニー17は、この流れ抵抗部材27のスペーサー機能により、容器の底に抜取用チムニー17を立たせるようにした液体容器においても使用することができる。
【0022】
図1によれば、そこに示された実施例において、抜取用チムニー17は容器底部31近傍にまで容器内部33の下方に垂下されており、抜取用チムニー17の内部空間35と、それを囲む容器1内の環状空間37との間の液体の流通は微細多孔質の流れ抵抗部材27を介してのみ可能となっている。図1において、この液体容器1は静置状態を示しており、この場合、概略的に示した抜取用チムニー17内の液面39は、残る容器空間37内の液面41と一致している。
【0023】
しかし、液体容器が更に搬送され、ピペット操作ステーションに急に配置されたときに生じるような加速プロセス又は減速プロセスにおいて、液体43は動き出し、激しい動き、飛び跳ね、更に泡立ちを生じようとする。この傾向は容積がかなり小さな抜取用チムニー17内より、むしろ容器1の大きい環状空間領域37でより大きくなる。流れ抵抗部材27は、環状空間領域37内の液体の激しい動きが抜取用チムニー内の液体に直接伝わるのではなく、液体容器1がピペット操作ステーションで急に位置決めされた後でも液面39が比較的ゆっくりと振動するように、減衰し、遅延した形で生じることを保証する。このことは、次に行われるピペット操作の制御において考慮に入れられる。次に、ピペット操作は以下のようにして行われる。すなわち、キャップ9を取除いた後、ピペット先端(図示しない)を容器開口部11を介して抜取用チムニー17内を降下させ、ピペット先端が液体43中に僅かに浸されるようにしてピペット操作を行う。抜取用チムニー内の静かになった液体43のピペット操作は、非常に短いサイクル時間、例えば、3秒未満、又は2秒未満で行うことができる。
【0024】
このような急速ピペット操作において、抜取用チムニー17内の液面39の沈静化に加えて、更なる問題がある。この問題は、ピペット操作の間における液面41上の空間領域45の通気に関する。
【0025】
上述したような従来公知の抜取用チムニー構造を用いた本発明者による先の実験において、このようなチムニーで可能な通気路は余りにも小さ過ぎるため、ハイスループット操作において容器の外側空間と、上記空間領域45との間で十分に迅速な圧力等化が為し得ないということが示された。液面41よりも上になるようにして抜取用チムニー内に非常に大きい窓を設けた変形型の抜取用チムニーを用いることにより適当に迅速な通気を達成できるかもしれない。しかし、このような解決法は本発明では避けるべきである。なぜならば、そのような窓を容器の上方領域に設けることは、そのための空間を必要とするため、液体容器の最大充填レベルが制限されることになるからである。更に、液体43が環状空間37からこの窓を介して抜取用チムニー17の内部空間にはねる危険性があり、それによりピペット操作において抜取用チムニー17中に導入されたピペット先端部が、そのはねた液体で広範囲に亘って濡れる危険性がある。
【0026】
重要性とは無関係に、上述のタイプの流れ抵抗部材を伴わない抜取用チムニーにも使用することができる本発明の1態様に従って、抜取用チムニー17には通気用溝51がその上端領域のケーシング壁49に半径方向の凹み47として形成されている。すなわち、この凹み47は、容器開口部11の周方向境界面13の領域を越えて(すなわち、口部5の領域を越えて)下方に向って軸方向に延びている。従って、この凹み47は、口部の内側面13に沿って十分に大きく、長い通気路を提供することができる。抜取用チムニー17のケーシング壁のこのような半径方向の凹み47は簡単な方法で形成することができる。好ましいものではないが、特に、半径方向の凹みにより形成される幾つかのこのような通気用溝51を設けることが可能である。ここで使用される専門用語として、半径方向の凹みとは、この通気用溝の領域のケーシング壁49が単に肉薄部を形成しているのではなく、断面で見たときに、このケーシング壁の形状が半径方向内側に突出した凹部を描いていることを意味している。このようにして、通気用溝は抜取用チムニーの安定性を損なうことなく比較的大きく設計することができる。しかし、通気路を形成するために、例えば、容器開口部11の周方向境界面13との関連で拡大したスペースを有する特定のゾーンにコード(chord)形状進路をケーシング壁49に設けることもできる。
【0027】
このように、上述の通気路設計においては、抜取用チムニー17のケーシング壁49の上方領域に通気用窓を開ける必要はない。従って、本発明による液体容器においては、液体の最大充填レベルが通気用手段により制限を受けることはない。更に、抜取用チムニー17の上方領域において、環状空間37から抜取用チムニー17の内側空間35に液体が浸入することもない。実験によれば、容器を加速させたときに容器内の液体がこの通気用溝を介して飛び跳ねたり、浸入したりする傾向を、容器内壁との関連で、容器1内の通気用溝51の配向を最良にしたり、容器の動きの状態を考慮することにより阻止することができることが実証された。
【0028】
図3は、図1に示す抜取用チムニー17の変形例を示している。図3の抜取用チムニーのチューブ体21は、図1に示すチューブ体よりも外径が小さくなっている。これは、図3の抜取用チムニー17の上方領域の円筒状ケーシング壁の外側に設けた軸方向に延出するスペーサーリブ53により補正がなされている。このスペーサーリブ53は、液体容器内に嵌合された状態において、ネジ付きキャップ口部の内壁に対向して密接した状態となり、それにより、抜取用チムニーをより安定した状態に保持することを保証する。
【0029】
本発明に係る液体容器を使用してのピペット操作は通常、閉塞用キャップ9を取除いて行われる。特に、ゆっくり進行することができるピペット操作については、閉塞用キャップ9に案内用漏斗55を設けてもよい。閉塞用キャップ9が装着されている状態において、ピペット先端を容器1内に挿入させる際に、ピペット先端はこの案内用漏斗55を貫通することができる。
【0030】
図1に示す容器1は所望により、更なる容器と共に共通ハンドリング・カセット(図示しない)に収容し、自動分析装置内の種々のステーションを通過させるようにしてもよい。
【0031】
ここに示した実施例の変形例として、本発明の液体容器を、幾つかの前記タイプの抜取用チムニーを備えた2チャンバー容器として、又は多チャンバー容器として設計することもできる
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】抜取用チムニーおよびその下方開口部に設けた流れ抵抗部材を備える本発明に係る液体容器の1実施例の側断面図を示す。
【図2】分離した図1の抜取用チムニーの斜視図を示す。
【図3】本発明に係る液体容器のための抜取用チムニーの他の実施例の斜視図を示す。
【符号の説明】
【0033】
1 液体容器
3 ネジ付きキャップ
5 ビン首部
7 外側ネジ山
9 ネジ付きキャップ
11 抜取用開口部
13 内側面
15 環状肩部
17 抜取用チムニー
19 フランジ
21 円筒状チューブ体
23 チューブ開口部
25 チューブ開口部
27 流れ抵抗部材
29 下端
31 容器底部
33 容器内部
35 内部空間
37 環状空間
39 液面
41 液面
43 液体
45 空間領域
47 凹み
49 ケーシング壁
51 通気用溝
53 スペーサーリブ
55 案内用漏斗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方開口部(11)およびチューブ状抜取用チムニー(17)を具備し、前記抜取用チムニー(17)が液体容器(1)内に延出し、前記開口部(11)と面一に設けられ、容器底部(31)に近接するその下端部において液体透過性ゾーン(25,27)を有する液体容器であって、前記液体透過性ゾーン(25,27)が少なくとも1つの微細多孔質の流れ抵抗部材(27)を有し、抜取用チムニー(17)と、液体透過性ゾーン(25,27)の領域において抜取用チムニーを囲む容器の内部空間(37)との間の液体交換が各流れ抵抗部材(27)を経由してのみ行えることを特徴とする、前記液体容器。
【請求項2】
前記流れ抵抗部材(27)が、
フリース材料、特にフェルト及び/又は、
布地及び/又は、
焼結プラスチック材料、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン及び/又は、
開放孔発泡体(open-pored foam)から形成されていることを特徴とする請求項1記載の液体容器。
【請求項3】
前記流れ抵抗部材(27)が、微細孔の格子状篩、又は複数の毛管状の透孔を有する抜取用チムニーの下方壁部であることを特徴とする請求項1記載の液体容器。
【請求項4】
前記抜取用チムニー(17)が、その下方先端に開口部(25)を有し、それに前記流れ抵抗部材(27)が詰め込まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項5】
前記流れ抵抗部材(27)が前記抜取用チムニー(17)の開口部(25)から下方に突出していることを特徴とする請求項4記載の液体容器。
【請求項6】
前記抜取用チムニー(17)が、容器開口部(11)を介して液体容器(1)内に挿入することができるチューブ部材(21)を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項7】
上方開口部(11)およびチューブ状抜取用チムニー(17)を具備し、前記抜取用チムニー(17)が液体容器(1)内に延出し、前記開口部(11)と面一に設けられ、そして前記抜取用チムニーの上端部領域における外周部が容器開口部(11)の周方向境界面(13)に対して半径方向に密接して対向し、容器底部(31)に近接する下端領域が液体透過性ゾーン(25,27)を有する、特に請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体容器であって、上端部領域における抜取用チムニー(17)のケーシング壁(49)が複数のゾーンに形成されていて、その1つのゾーン(47)において、抜取用チムニー(17)のケーシングの外側が容器開口部(11)の周方向境界面(13)からより遠く離れていて、特に通気溝(51)の形態の通気路を形成し、前記通気溝(51)がケーシング壁(49)における半径方向の凹み(47)により形成されたものであって、容器開口部(11)の周方向境界面(13)の領域を越えて軸方向で下方に延びていることを特徴とする、前記液体容器。
【請求項8】
前記容器(1)の上方開口部が上方に突出する口部(5)、特にネジ付きキャップ用口部を有し、その内壁面(13)が前記容器開口部(11)の周方向境界面を形成していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項9】
前記抜取用チムニー(17)の上端部がフランジ部(19)を有し、それにより抜取用チムニー(17)が口部(5)の上向き肩面(15)に取着されていることを特徴とする請求項8記載の液体容器。
【請求項10】
前記口部(5)の上向き肩面(15)が口部(5)の内壁面における段部により形成されていることを特徴とする請求項9記載の液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−536134(P2009−536134A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508236(P2009−508236)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004024
【国際公開番号】WO2007/128556
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】