説明

振動体、触覚機能付きの入力装置及び電子機器

【課題】従来例のようなバネ構造に依存することなく、アクチュエータを小型化できるようにすると共に、アクチュエータの機能とスピーカーの機能とを両立できるようにする。
【解決手段】所定の面が開放されたハウジング6と、この開放面側に設けられた部材抜け止め用の突起部6c,6dと、ハウジング6に内包され、円柱状のマグネット4を支持するヨーク5と、巻き軸部を有してマグネット4の周囲に可動自在に配されたコイル3と、中央部がコイル3の巻き軸部の一方の側に取り付けられ、かつ、外縁部が突起部6c,6dの所定位置に取り付けられた振動板2とを備え、突起部6c,6d及びハウジング6から画定される空間領域内にヨーク5が可動自在に配置されるものである。コイル3に触覚提示用の低周波数信号を入力すると、突起部6c,6d及びハウジング6から画定された空間領域内でヨーク5自体を磁気結合力によって振動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力する際に触覚を提示する情報処理装置や、携帯電話機、携帯端末装置等に適用して好適な振動体、触覚機能付きの入力装置及び電子機器に関する。詳しくは、突起部及びハウジングから画定される空間領域内に所定形状のマグネットを支持したヨークを可動自在に配置し、当該マグネットの周囲には振動板に取り付けられたコイルを突起部の開口部を介して可動自在に配して、コイルに音信号を入力すると、振動板を振動させてスピーカーとして機能できるようにすると共に、コイルに触覚提示用の低周波数信号を入力したときは、突起部及びハウジングから画定された空間領域内でヨーク自体を振動できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザ(操作者)は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯端末装置に様々なコンテンツを取り込み、それを利用するようになってきた。これらの携帯端末装置には入力装置が具備される。入力装置にはキーボードや、JOGダイヤル等の入力手段、表示部を合わせたタッチパネルなどが使用される場合が多い。
【0003】
また、アクチュエータを組み合わせた入出力装置も開発されている。アクチュエータは、2層以上のひずみ量の異なる圧電素子、又は、圧電素子と非圧電素子とを貼り合わせ、この貼合体の圧電素子に振動制御電圧を印加したとき、双方のひずみ量の差によって生じる貼合体の曲げ変形を力学的に利用するものである(振動体機能)。
【0004】
この種の圧電アクチュエータを備えた電子機器に関して、特許文献1には、入出力装置及び電子機器が開示されている。この電子機器によれば、多層圧電バイモルフ型圧電アクチュエータ及びタッチパネルを有する入出力装置を備え、多層圧電バイモルフ型圧電アクチュエータは、情報の種類に応じてタッチパネルを通じて異なる触覚を使用者にフィードバックする。入出力装置は、支持フレーム上に支持部を介して圧電アクチュエータを取り付けた圧電体支持構造を有している。圧電アクチュエータの中央上部には、支持部が貼り付けられ、この支持部がタッチパネルに当接される。圧電アクチュエータ振動制御電圧を供給すると、タッチパネルに振動を伝達するようになされる。
【0005】
このように電子機器を構成すると、使用者に対して、情報の種類に応じた入力操作に対する触覚フィードバックを確実に提供できるというものである。これらの圧電アクチュエータを用いた触覚フィードバック制御では、タッチパネルが外部からの入力(位置および、加圧力)を検出し、制御系がタッチパネルからの入力情報をトリガーにして、当該タッチパネルまたは筺体を振動させるようになされる。
【0006】
一方、2軸ヒンジタイプや、ストレートタイプ、スライドタイプの携帯電話機において、表示パネルが設けられ、表示部の上部付近にレシーバ(受話器)を備える場合が多い。レシーバは、ボイスコイル方式のマグネットスピーカーの原理で振動体を駆動し、音声通話時の相手側の音声を使用者に伝えたり、使用者の機器の操作に応じて、比較的音量の小さな効果音を出力するなどの働きをする。
【0007】
【特許文献1】特開2004−94389号公報(第9頁 図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来例に係る触覚入力機能付きの情報処理装置や、携帯電話機、情報携帯端末装置等の電子機器によれば、以下のような問題がある。
【0009】
i.特許文献1に見られるような圧電アクチュエータを備えた入出力装置を2軸ヒンジタイプや、ストレートタイプ、スライドタイプ等の携帯電話機、又は、ビデオカメラや、デジタルカメラ等の表示モニタに適用して触覚提示機能を実現しようとした場合、レシーバ用のスピーカー又は効果音用のスピーカーと、触覚提示用の圧電アクチュエータとの両方を実装しなくてはならず、表示パネルを実装した筐体において、部品取付スペースが余分に必要となるという問題がある。
【0010】
ii.上述のタイプの携帯電話機に関して、着信音や着信メロディを出力するスピーカーは、直径が16mm程度で、高さが2.4mmといったように、レシーバーに比べて大きく、通常、表示モニタを実装した上部筐体ではなく、操作キーを備えた下部筐体側に設けられる場合が多い。従って、着信メロディ用のスピーカーを触覚提示用のアクチュエータ機能として表示パネルを実装した上部筐体に適用することが困難となる。
【0011】
iii.因みに、着信メロディ用のスピーカーをそのまま触覚提示用のアクチュエータ機能として表示パネル実装側の上部筐体に適用すると、携帯電話機が厚くなったり、コストアップにつながったりして商品性を著しく損なうことが懸念される。
【0012】
iv.なお、本件出願人が現在、特許出願中(特願2006−032749号)の「振動体他」によれば、振動系を構成する振動部材が部材収納部内において、スプリングバネで支持する構造が採られている。しかし、スプリングバネは、通常の使用環境下で、デバイスの駆動や、使用者がモバイル通信機器等を落下等させたときに加わる外部からの荷重又は衝撃によって、金属疲労や塑性変形を生じ易く、所定の性能が得られなくなるおそれが懸念される。
【0013】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、従来例のようなバネ構造に依存することなく、アクチュエータを小型化できるようにすると共に、アクチュエータの機能とスピーカーの機能とを両立できるようにした振動体、触覚機能付きの入力装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題は、所定の面が開放された部材収納部と、部材収納部の開放面側に設けられた部材抜け止め用の突出部材と、部材収納部に内包され、少なくとも、所定形状の磁性体を支持する支持部材と、巻き軸部を有して部材収納部の開放面側で磁性体の周囲に可動自在に配されたコイルと、中央部がコイルの巻き軸部の一方の側に取り付けられ、かつ、外縁部が部材収納部上の縁部に取り付けられた振動板とを備え、突出部材及び部材収納部から画定される空間領域内に支持部材が可動自在に配置されることを特徴とする振動体によって解決される。
【0015】
本発明に係る振動体によれば、磁性体の周囲に可動自在に配されたコイルに音信号を入力すると、振動板を振動でき、スピーカーとして機能させることができる。また、コイルに触覚提示用の低周波数信号を入力すると、抜け止め用の突出部材及び部材収納部から画定された空間領域内で支持部材自体を磁気結合力によって振動させることができる。しかも、振動体の小型化を図ることができる。
【0016】
本発明に係る入力装置は、情報入力操作時に操作体に触覚を提示する触覚機能付きの入力装置であって、入力検出手段と、入力検出手段の入力操作に基づいて操作体に触覚を提示する振動体とを備え、振動体は、所定の面が開放された部材収納部と、部材収納部の開放面側に設けられた部材抜け止め用の突出部材と、部材収納部に内包され、少なくとも、所定形状の磁性体を支持する支持部材と、巻き軸部を有して部材収納部の開放面側で磁性体の周囲に可動自在に配されたコイルと、中央部がコイルの巻き軸部の一方の側に取り付けられ、かつ、外縁部が部材収納部上の縁部に取り付けられた振動板とを備え、突出部材及び部材収納部から画定される空間領域内に支持部材が可動自在に配置されることを特徴とするものである。
【0017】
本発明に係る触覚機能付きの入力装置によれば、本発明に係る振動体を備えるので、磁性体の周囲に可動自在に配されたコイルに音信号を入力すると、振動板を振動でき、スピーカーとして機能させることができる。また、入力検出手段の入力操作に基づいて当該コイルに触覚提示用の低周波数信号を入力すると、抜け止め用の突出部材及び部材収納部から画定された空間領域内で支持部材自体を磁気結合力によって振動させることができる。従って、操作体に触覚を提示できるようになる。
【0018】
本発明に係る電子機器は、情報入力操作時に操作体に触覚を提示する触覚入力機能付きの電子機器であって、入力検出手段と、この入力検出手段の入力操作に基づいて操作体に触覚を提示する振動体とを有する触覚機能付きの入力装置を備え、振動体は、所定の面が開放された部材収納部と、部材収納部の開放面側に設けられた部材抜け止め用の突出部材と、部材収納部に内包され、少なくとも、所定形状の磁性体を支持する支持部材と、巻き軸部を有して部材収納部の開放面側で磁性体の周囲に可動自在に配されたコイルと、中央部がコイルの巻き軸部の一方の側に取り付けられ、かつ、外縁部が部材収納部上の縁部に取り付けられた振動板とを備え、突出部材及び部材収納部から画定される空間領域内に支持部材が可動自在に配置されることを特徴とするものである。
【0019】
本発明に係る電子機器によれば、本発明に係る触覚機能付きの入力装置を備えるので、コイルに音信号を入力すると、振動板を振動でき、スピーカーとして機能させることができる。また、入力検出手段の入力操作に基づいて当該コイルに触覚提示用の低周波数信号を入力すると、抜け止め用の突出部材及び部材収納部から画定された空間領域内で支持部材自体を磁気結合力によって振動させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る振動体によれば、抜け止め用の突出部材及び部材収納部から画定される空間領域内に所定形状の磁性体を支持した支持部材が可動自在に配置され、当該磁性体の周囲には振動体に取り付けられたコイルが可動自在に配されたものである。
【0021】
この構造によって、コイルに音信号を入力すると、振動板を振動でき、スピーカーとして機能させることができる。また、コイルに触覚提示用の低周波数信号を入力すると、抜け止め用の突出部材及び部材収納部から画定された空間領域内で支持部材自体を磁気結合力によって振動させることができる。しかも、振動体の小型化を図ることができる。これにより、従来例のようなバネ構造を省略できるようになるばかりか、超小型のスピーカー機能付きの振動体を提供できるようになり、特に、当該振動体を携帯電話機(端末装置)の表示部側の触覚機能付きの入力装置に十分応用できるようになる。
【0022】
本発明に係る触覚機能付きの入力装置によれば、本発明に係る振動体を備え、入力検出手段の入力操作に基づいて操作体に触覚を提示するようになされる。
【0023】
この構成によって、コイルに音信号を入力すると、振動板を振動でき、スピーカーとして機能させることができる。また、入力検出手段の入力操作に基づいて当該コイルに触覚提示用の低周波数信号を入力すると、抜け止め用の突出部材及び部材収納部から画定された空間領域内で支持部材自体を磁気結合力によって振動させることができる。しかも、振動体の小型化を図ることができる。これにより、従来例のようなバネ構造を省略できるようになるばかりか、超小型のスピーカー機能付きの振動体を搭載した触覚機能付きの入力装置を提供できるようになる。特に、携帯電話機(端末装置)の表示部側の触覚機能付きの入力装置に十分応用できるようになる。しかも、レシーバ機能とアクチュエータ機能とを両立(兼用)できるので、入力装置のコストダウンを図ることができる。
【0024】
本発明に係る電子機器によれば、本発明に係る触覚機能付きの入力装置を備え、入力検出手段の入力操作に基づいて操作体に触覚を提示するようになされる。
【0025】
この構成によって、コイルに音信号を入力すると、振動板を振動でき、スピーカーとして機能させることができる。また、入力検出手段の入力操作に基づいて当該コイルに触覚提示用の低周波数信号を入力すると、抜け止め用の突出部材及び部材収納部から画定された空間領域内で支持部材自体を磁気結合力によって振動させることができる。しかも、振動体の小型化を図ることができる。これにより、従来例のようなバネ構造を省略できるようになるばかりか、超小型のスピーカー機能付きの振動体を搭載した触覚機能付きの入力装置を備える電子機器を提供できるようになる。しかも、レシーバと振動体とが兼用されるので、電子機器の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
続いて、この発明に係る振動体、触覚機能付きの入力装置及び電子機器の一実施例について、図面を参照しながら説明をする。
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明に係る振動体を適用した第1の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー100の構成例を示す上面一部破砕の斜視図である。
【0028】
図1に示すアクチュエータ機能付きのコイン型のスピーカー100は、本発明に係る振動体を適用したものであり、スピーカー機能の他に、触覚を発生させることができるアクチュエータ機能を有している。このスピーカー100は、入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力する際に操作者に対して触覚を提示する情報処理装置や、携帯電話機、携帯端末装置等に適用可能なものである。
【0029】
スピーカー100は、部材収納部の一例を構成する円筒状のハウジング6を有しており、所定の面(図中上面)が開放されている。ハウジング6には、SUS329J7、SUS405、SUS410L、SUS430、SUS30F、SUS434、SUS304等の冷間圧延鋼板(Steel Pressure Cold:以下SPCという)が使用される。ハウジング6の厚みをtとし、その外径をDφとし、その高さをHとしたとき、厚みtは0.1mm乃至0.6mm程度であり、好ましくは、厚みt=0.2mmが選択される。その外径Dφは3.6mm乃至20.0mm程度であり、好ましくは、外径Dφ=16.0mmが選択される。その深さhは1.0mm乃至5.9mm程度であり、好ましくは、深さh=2.4mmが選択される。
【0030】
ハウジング6の開放面側には突出部材の一例となる部材抜け止め用の突起部6c,6d(ストッパー:図2参照)が設けられ、ハウジング6内に組み入れられた後の構成部品(以下で振動系の部品ブロックともいう)が抜け止めされる。この例では、ハウジング6の内側の最上端であって、突起部6c,6dが相互に対峙する位置に設けられる。突起部6c,6dは、例えば、折り返し突起構造を採る。折り返し突起構造とは、ハウジング6の上部の全周又は一部に渡り、振動系の部品ブロックが外部へ飛び出さないようにストップする構造をいう。
【0031】
ハウジング6の底面には、隙間部材の一例を構成する揺れ規制台座用の円形状の枠ゴム6eが設けられ、ヨーク5の下方とハウジング6の底面との間に間隙Δq(スペース)を設けている。間隙Δqは例えば、0.1mm程度に設定される。枠ゴム6eには、シリコン(Si)ゴム(デュアルテック社やアルファゲル社製等)が使用される。その厚みtは0.1mm乃至4.0mm程度であり、好ましくは、厚みt=0.5mmが選択される。
【0032】
また、枠ゴム6eの内径は2.5mm乃至18.0mm程度であり、好ましくは、内径=12.0mmが選択される。その外径は2.6mm乃至20.0mm程度であり、好ましくは、外径=15.6mmが選択される。なお、枠ゴム6eに樹脂を使用する場合は、ポリフタルアミド(PPA)/PC樹脂+ABS樹脂、ABS樹脂、PC樹脂、PC+PMMA樹脂が使用される。厚み、内径及び外径は上述した通りである。
【0033】
ハウジング6内には支持部材の機能を構成する振動用のヨーク5が配置されている。ヨーク5は円形無底状を有しており、少なくとも、所定形状(この例では円柱状をいう)のマグネット4を支持するための開口部が設けられる。ヨーク5は、ハウジング6に内包され、突起部6c,6d及びハウジング6から画定される空間領域内に可動自在に配置される。
【0034】
ヨーク5には、亜鉛(Zn)メッキにより表面処理(三価クロムメート処理)されたSPCが使用される。表面処理には無電解メッキ(EL/FeP−/OP3)が採られる。その厚みtは0.1mm乃至0.5mm程度であり、好ましくは、厚みt=0.3mmが選択される。その外径は3.2mm乃至18.0mm程度であり、好ましくは、外径=12.4mmが選択される。
【0035】
ヨーク5の内径は3.2mm乃至16.4mm程度であり、好ましくは、内径=6.4mmが選択される。その深さは0.2mm乃至2.4mm程度であり、好ましくは、深さ=0.9mmが選択される。その開口部5aの内径φX(図3参照)は、0.1mm乃至16.0mm程度であり、好ましくは、内径φX=2.0mmが選択される。
【0036】
ヨーク5の内側下面には、おもり9が設けられ、当該ヨーク5の重さを調整するようになされる。おもり9には、オーリング状の黄銅や、真銅(C2680)、タングステン(W)等が使用される。その厚みtは0.1mm乃至2.1mm程度であり、好ましくは、厚みt=0.6mmが選択される。その内径は3.3mm乃至17.4mm程度であり、好ましくは、内径=7.0mmが選択される。その外径は4.2mm乃至18.0mm程度であり、好ましくは、外径=11.8mmが選択される。
【0037】
ハウジング6内で可動自在に支持されるヨーク5の底部には、磁性体の一例を構成するマグネット4(永久磁石)が固定されている。例えば、マグネット4の側面に接着剤が塗布され、この接着剤を介してヨーク5に接着され、締結固定される。マグネット4には、ニッケル(Ni)メッキにより表面処理された円柱状のNdFeB(ネオジウム)焼結磁石や、フェライト磁石、アルニコ磁石等が使用される。マグネット4の外径は2.8mm乃至16mm程度であり、好ましくは、外径=6.0mmが選択される。その厚みtは0.1mm乃至2.0mm程度であり、好ましくは、厚みt=0.6mmが選択される。
【0038】
マグネット4の先端には、磁極用の円盤状のポールピース41が設けられている。ポールピース41にはSPCが使用される。その外径は2.8mm乃至16mm程度であり、好ましくは、外径=6.0mmが選択される。その厚みtは0.1mm乃至0.4mm程度であり、好ましくは、厚みt=0.3mmが選択される。
【0039】
ハウジング6の開放面側で、マグネット4の周囲には円筒状に巻装された可動用のコイル3(ボイスコイル)が可動自在に配されている。コイル3には銅が使用され、コイル3は巻き軸部を有している。コイルの線径は、0.02mm乃至0.08mm程度である。好ましくは、線径=0.05mmのコイルが選択される。その巻き数は、5回乃至100回程度である。好ましくは、巻き数=30回が選択される。その層数は、2乃至8程度である。好ましくは、層数4が選択される。その内径は、3mm乃至15mm程度である。好ましくは、内径=6mmに設定される。その高さは、0.1mm乃至2mm程度である。好ましくは、高さ=0.6mmに設定される。コイル3には音声信号や、振動発生信号等を供給するようになされる。
【0040】
上述のコイル3の巻き軸部の一方の側には、振動板2が取り付けられている。例えば、振動板2は、中央部がコイル3の巻き軸部の一方の側に接着され、その外縁部がハウジング6上の縁部及び突起部6c,6dに接着されている。振動板2の直径Dφは、8mm乃至20mm程度であり、好ましくは、Dφ=15.5mmが選択される。振動板2には、厚みtが0.008mm乃至0.01mmであり、好ましくは、厚みt=0.025mmのPEN又はPEI(ポリエーテルイシド)のフィルム状体が使用される。
【0041】
なお、上述の枠ゴム6eは異音発生防止機能を有している。非通電時、ヨーク5は枠ゴム6e上に載置する姿勢を採る。通電時、定格以上の入力がコイル3に供給されると、マグネット4、ヨーク5、おもり9及びポールピース41からなる振動系の部品ブロック614が枠ゴム6fに当接するようになされる。これは、駆動時の異音を発生させないためである。枠ゴム6eを断面三角状にしたのは、左右方向に振動系の部品ブロック614が触れないようにするためである。
【0042】
図2は、アクチュエータ機能付きのスピーカー100の正面の構成例を補足する断面図である。図2に示すスピーカー100によれば、マグネット4の底面がヨーク5を貫通している。また、ハウジング6の上部内縁の突起部6c,6dと、当該ハウジング6内の枠ゴム6e上に載置されたヨーク5との間には、振動余裕用の間隙Δgが設定される。間隙Δgとは、枠ゴム6e上に載置されたヨーク5の上部先端から枠ゴム6fの所定の位置(ヨーク5の垂直変位時の上部当接位置)に至る距離をいう。間隙Δgは例えば、0.1mm程度に設定される。間隙Δgは、抜け止め用の突起部6c,6dと、ハウジング6から画定された空間領域内でヨーク5自体を磁気結合力によって振動させるために設定している。
【0043】
この例で、突起部6c,6dの下部には、振動規制用の枠ゴム6fが設けられる。もちろん、枠ゴム6fはハウジング6の全内周に渡って形成されなくてもよく、突起部6c,6dの下部のみでもよい。取り付けスペースが取れない場合は省略してもよい。
【0044】
また、ハウジング6の底面部には、例えば、2個の開口部6a,6bが設けられている。この2個の開口部6a,6bの外部側には、メッシュシール8a,8bが貼付されている。メッシュシール8aは開口部6aを覆うように、また、メッシュシール8bは開口部6bを覆うように設けられる。このメッシュシール8a,8bの機能は、ハウジング6の内側と外側における呼吸機能を確保するためである。
【0045】
ハウジング6の外周面上部の所定の位置には電極引出部7が設けられる。この例では、突起部6dの取り付け位置に対してその背面側に設けられた電極引出部7には、引出電極7a,7b(図示せず)が設けられ、振動板2に接合されたコイル3に接続される。電極引出部7は、絶縁部材から構成され、引出電極7aは、コイル3の引出線3aに接続され、引出電極7bは、コイル3の引出線3bに接続され、音声信号や、振動発生信号等が入力される。
【0046】
ここでアクチュエータ機能付きのスピーカー100の振動原理を説明する。この例で、ハウジング6内の枠ゴム6eに振動系の部品ブロック614が載置され、コイル3に振動発生信号等が入力されない非通電時には、マグネット4と、当該マグネット4と対抗する金属製のハウジング6との間で磁気的な吸引力によって、振動系の部品ブロック614がハウジング6に吸引保持された状態で固定される姿勢を採る。
【0047】
また、電極引出部7を介して触覚提示用の低周波数信号(例えば、200Hz前後)の振動発生信号等がコイル3に入力される通電時には、上述の部品ブロック614のマグネット4と、金属製のハウジング6とに基づく磁気的な吸引力に対して、コイル3とマグネット4から構成される電磁誘導により、磁気的な吸引力を上回る反対向きの電磁力(以下推力ともいう)を発生させる。電極引出部7を介してコイル3に振動発生信号等が入力され、磁気的な吸引力と反対向きの電磁力が当該磁気的な吸引力を超えた際に、始めて、振動系の部品ブロック614が可動し、振動を伝播するようになる。
【0048】
つまり、非通電時、マグネット4は金属製のハウジング6を吸引している。この力を吸引力Aとすると、通電時は、コイル3とマグネット4の電磁誘導により発生される力を電磁力Bとする(Aと逆方向、または平行方向)と、吸引力Aに逆らう電磁力Bを発生させ、電磁力Bが吸引力Aを超えた際(A<B)に始めて、振動系の部品ブロック614が可動する。なお、A>Bとなった段階で部品ブロック614が元の位置に戻る。これにより、バネ構造に依存しない抜け止め用の突起部6c,6d及びハウジング6から画定された空間領域内でヨーク5、すなわち、振動系の部品ブロック614そのもの自体を磁気結合力によって振動させることができ、当該振動を他の構造系へ伝播できるようになる。
【0049】
図3は、アクチュエータ機能付きのスピーカー100の組立例を示す分解斜視図である。図3に示すアクチュエータ機能付きのスピーカー100によれば、まず、ハウジング6を準備する。この例では、ハウジング6を磁性部材で作成する場合は、厚みt=0.2mm、外径Dφ=16.0mm、深さh=2.4mmで、SPC(冷間圧延鋼板)を折り曲げ・プレス加工をしたり、孔開け加工をして、底部に開口部6a,6b及び内側上縁部に部品抜け止め用の突起部6c,6dを形成する。例えば、突起部6c,6dは切り欠き突起構造により実現する。切り欠き突起構造とは、ハウジング6の上方の一部を切り欠く形態で、これを内側に折り曲げる構造をいう。
【0050】
もちろん、電極引出部7は、絶縁部材を加工して形成する。ハウジング6を樹脂部材で作成する場合は、底部に開口部6a,6b及び内側上縁部に部品抜け止め用の突起部6c,6dを有したハウジング6が得られるような所定の金型を作成し、この金型にABS樹脂等を注入して樹脂成形品を形成する。ABS樹脂に代えてPC樹脂でもよい。電極引出部7は突起部6c,6dと同時に形成するとよい。例えば、電極引出部7の内部に、図5に示すような引出電極7a,7bを圧入方法により取り付けても、また、引出電極7a,7bを金型に組み込んでハウジング6と同時にインサート成形としてもよい。引出電極7a,7bにはピン状を有したものが使用される。
【0051】
引出電極7a,7bには、太さ0.5mm程度のリン青銅丸棒をピン加工したものが使用される。引出電極7a,7bには、メッキが施される。例えば、2〜3μm程度のNiメッキ、1〜3μm程度のNi−Pdメッキ、0.03μm程度のCuメッキが引出電極7a,7bを構成する部材に施される。これにより、振動系の部品ブロック614等を収容可能な容器が得られる。部品ブロック614は、マグネット4、ヨーク5、おもり9及びポールピース41から構成される。
【0052】
ハウジング6が準備できたら、その内部に揺れ規制台座用の枠ゴム6eや、振動規制用の枠ゴム6f等を取り付ける。枠ゴム6eや枠ゴム6fには、断面三角形状を有したオーリング状のシリコン系のゴム輪を使用する。例えば、厚みt=0.5mm、内径=12.0mm、外径=15.6mmの枠ゴム6eや枠ゴム6f等をハウジング6に対して接着剤を使用して貼り付けるようにする。
【0053】
次に、ハウジング6内へ組み入れるためのヨーク5を準備する。ヨーク5には、中央部にマグネット取り付け用の開口部5aを有した段付き円形状を成したものを形成する。例えば、厚みt=0.3mmのSPCで、ヨーク5の直径をDφ’とし、その高さをH’としたとき、Dφ’=12.4mm、内径=6.4mm、高さH’=1.5[mm]、開口部5aの内径φX=2.0mmである。この例では、厚み0.3mmのSPCを板金プレス加工して、中央部にマグネット取り付け用の開口部5aを形成し、裏面側におもり取り付けスペースを有した円筒状のヨーク5を形成する。
【0054】
ヨーク5が形成できたら、ヨーク5の開口部内側にマグネット4を接合する。マグネット4には、ニッケル(Ni)メッキにより表面処理された、外径=6.0mm、厚みt=0.6mm程度の円柱状のNdFeB(ネオジウム)焼結磁石を使用する。例えば、マグネット4の外周壁に沿ってヨーク5の内壁がコイル3の可動範囲以下の領域まで伸びるようにマグネット4の挿入深さを調整し、ウレタン系の接着剤を使用してマグネット4をヨーク5の開口部内側に接合する。このとき、カシメ等の工程によりヨーク5をマグネット4に強固に固定するようにしてもよい。そして、マグネット4の先端に、磁束調整用の円柱状のポールピース41を接着剤により接合する。ポールピース41には、外径=6.0mm、厚みt=0.3mmのSPCが使用される。
【0055】
次に、ヨーク5の内側下面におもり9を取り付ける。例えば、おもり9には、厚みt=0.6mmの黄銅を内径=7.0mm、外径=11.8mm程度にオーリング状に加工したものが使用される。おもり9は、接着剤を使用してヨーク5の内側下面に接合する。おもり9の重さは、例えば、1.194[g]程度である。接着剤にはいずれもウレタン系のものを使用する。これにより、ハウジング6の内部に収容可能な振動系の部品ブロックが得られる。
【0056】
上述のようなマグネット4、おもり9及びポールピース41を取り付けたヨーク5が準備できたら、ヨーク5をハウジング6内に組み入れる。このとき、突起部6c,6dを潜るらせるようにヨーク5をハウジング6内の枠ゴム6e上に載置する。その後、コイル付きの振動板2(ボイスコイル部品)でハウジング6上部を塞ぐように封止する。
【0057】
ボイスコイル部品を作成するためには、まず、台錐形状の振動板2と可動用のコイル3を準備する。例えば、振動板2には、厚み25μm程度のPENからなるフィルム部材が使用される。振動板2は、例えば、直径Dφ=15.5mm程度となるように仕上げられ、コーン形状に加工される。コイル3には、0.05mm程度の銅線が使用される。コイル3は、銅線を所定回数(N=30回程度)及び層数「4」だけ円柱状に巻いて中空状を成すように形成し、内径=6mm及び高さ=0.6mm程度となるように仕上げる。
【0058】
振動板2とコイル3とが準備できたら、振動板2の裏面中央部に円柱状のコイル3の一方の側を接合する。このとき、振動板2とコイル3とは、ウレタン系の接着剤を使用して接合する。これにより、ハウジング6の上部に取り付け可能なボイスコイル部品が得られる。
【0059】
上述の振動系の部品ブロック及びボイスコイル部品が準備できたら、これらを例えば、引出電極7a,7b付きのハウジング6に収納して、アクチュエータ機能付きのスピーカー100を組み立てる。この例では、振動板2内で露出しているコイル3の引出線3aを引出電極7aに半田付けし、同様に露出しているコイル3のもう片方の引出線3bを引出電極7bに半田付けして接続する。
【0060】
その後、コイル3が接合された振動板2をハウジング6の上部から嵌合する。このとき、コイル3の巻き軸部がマグネット4を覆い被さるように組み込む。その後、抜け止め用の突起部6c,6dとハウジング6とを位置合わせし、振動板2の外縁部位が抜け止め用の突起部6c,6dを含むハウジング6の上縁部で維持固定されるように接着剤等を使用して外縁部位を接合する。これにより、図1に示したような、ハウジング6の内部でバネ部材に依存することなく、ヨーク5自体が振動可能なアクチュエータ機能付きのスピーカー100が完成する。
【0061】
図4は、アクチュエータ機能付きのスピーカー100に関する本発明と従来例との比較例を示す入力−出力特性図である。図4において、横軸は入力レベルであり、コイル3へ供給される触覚提示用の低周波の振動発生信号の入力電圧である。縦軸は、振動の出力レベルであり、振動系の部品ブロック614の加速度や、変位等である。実線#Iは本発明に係るバネ構造無しのスピーカー100に係る入力−出力特性であり、破線#IIは、従来例に係るバネ構造有りのスピーカーの入力−出力特性である。
【0062】
従来例に係る入力−出力特性#Iは、ハウジング内部でバネ部材に支持されたヨークを振動する場合である。本発明に係る入力−出力特性#IIは、ハウジング内部でバネ部材に依存することなく、磁気結合力を利用することにより、振動系の部品ブロック614自体を振動するようにしたものである。
【0063】
これによれば、従来例に係る入力−出力特性#Iは、入力電圧が入力レベル=0から徐々に増加するに従って、ヨークが振動する現象を伴うようになる。つまり、従来例では、入力レベル=0から入力レベル#Vxに至る期間で振動も音も出力される。これに対して、本発明によれば、入力レベル=0から入力レベル#Vxに至る期間Vo-xは、振動を休止(無振動期間)しており、入力レベル#Vxに至った時点、すなわち、この入力レベル#Vxを通過した時点で急激に振動するようになる。それ以降は、従来例も本発明も同様な特性を採る。なお、本発明でも、入力レベル=0から入力レベル#Vxに至る期間Vo-xで振動は出ないが、音は従来例と同様にして出力することができる。
【0064】
つまり、従来例に係る入力−出力特性#Iによれば、いかなる通電時もマグネットは動き振動を伝えていたが、本発明に係る入力−出力特性#IIによれば、入力レベル#Vxを超える入力が有るまで、振動系の部品ブロック614は振動を起こさない。これは音声と振動の2つの機能を有するアクチュエータ機能付きのスピーカー100にとっては、入力レベルを調整することで、振動と音声/音声の2つのモードに明確に区切れるという技術的な意味を有している。
【0065】
このように、第1の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー100によれば、マグネット4の周囲に可動自在に配されたコイル3に音信号を入力すると、スピーカーとして機能させることができる。また、当該コイル3に触覚提示用の低周波数信号(例えば、200Hz前後)を入力すると、バネ構造に依存しない抜け止め用の突起部6c,6d及びハウジング6から画定された空間領域内で振動系の部品ブロック614(マグネット4+ヨーク5+おもり9+ポールピース41)自体を磁気結合力によって振動させることができる。しかも、アクチュエータ機能付きのスピーカー100の小型化を図ることができる。これにより、超小型のアクチュエータ機能付きのレシーバ(受話器)を提供できるようになり、特に、当該レシーバを携帯電話機(端末装置)の表示部側の触覚機能付きの入力装置に十分応用できるようになる。
【実施例2】
【0066】
図5は、第2の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー200の構成例を示す正面の断面図である。
【0067】
この例では、ハウジング6に樹脂部品等の非磁性部材が使用される場合であって、マグネット4と対峙する側のハウジング6の底面に磁性部材が設けられるものである。なお、第1の実施例と同じ符号のものは同じ機能及び材料が使用されるのでその説明を省略する。
【0068】
図5に示すアクチュエータ機能付きのスピーカー200は、樹脂製のハウジング6’を有している。ハウジング6’は、例えば、ABS樹脂等を金型に注入して得た樹脂成形品である。ハウジング6’の底面であって、マグネット4と対峙する位置には磁性部材の一例となる金属プレート42が設けられる。金属プレート42には、例えば、厚みt=0.3mm程度の鉄板が使用される。
【0069】
金属プレート42には、鉄板の他にSUS329J7、SUS405、SUS410L、SUS430、SUS30F、SUS434、SUS304等のSPCが使用される。その厚みtは0.05mm乃至0.6mm程度であり、好ましくは、厚みt=0.1mmが選択される。その外径は1.0mm乃至20mm程度であり、好ましくは、外径=8.0mmが選択される。金属プレート42はハウジング6にかしめ工法又は接着工法により取り付けられる。
【0070】
このように、第2の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー200によれば、非通電時、金属プレート42はマグネット4を吸引する状態で固定される。通電時は、コイル3とマグネット4の電磁誘導により発生される電磁力Bと、この電磁力Bと逆方向の吸引力Aとの間で、電磁力Bが吸引力Aを超えた際(A<B)に、振動系の部品ブロック614が可動するようになる。なお、A>Bとなった段階で部品ブロック614が元の位置に戻る。
【0071】
これにより、バネ構造に依存しない抜け止め用の突起部6c,6d及びハウジング6から画定された空間領域内でヨーク5、すなわち、振動系の部品ブロック614そのもの自体を磁気結合力によって振動させることができ、第1の実施例と同様にして当該振動を他の構造系へ伝播できるようになる。
【実施例3】
【0072】
図6は、第3の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー300の構成例を示す正面の断面図である。
【0073】
この実施例では、ヨーク5’は、マグネット4を載置固定するための円形有底状の凹部5a’を有している。なお、第1及び2の実施例と同じ符号のものは同じ機能及び材料が使用されるのでその説明を省略する。
【0074】
図6に示すアクチュエータ機能付きのスピーカー300は、円形有底状のヨーク5’を有している。ヨーク5’は中央部に円形有底状の凹部5a’を有しており、凹部5a’には、マグネット4が取り付けられる。また、ハウジング6の底面であって、ヨーク5’を介してマグネット4と対峙する位置には磁石43(磁性体)が設けられている。例えば、磁石43の底面に接着剤が塗布され、この接着剤を介してハウジング6に接着され、締結固定される。
【0075】
磁石43には、ニッケル(Ni)メッキにより表面処理された円形状のNdFeB(ネオジウム)焼結磁石や、フェライト磁石、アルニコ磁石等が使用される。磁石43の外径は2.8mm乃至16mm程度であり、好ましくは、外径=6.0mmが選択される。その厚みtは0.05mm乃至0.6mm程度であり、好ましくは、厚みt=0.1mmが選択される。その外径は1.0mm乃至20mm程度であり、好ましくは、外径=8.0mmが選択される。
【0076】
このように、第3の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー300によれば、非通電時、磁石43はヨーク5’を吸引する状態で固定される。通電時は、コイル3とマグネット4の電磁誘導により発生される電磁力Bと、この電磁力Bと逆方向の吸引力Aとの間で、電磁力Bが吸引力Aを超えた際(A<B)に、ヨーク5’(振動系の部品ブロック)が可動するようになる。なお、A>Bとなった段階でヨーク5’が元の位置に戻る。
【0077】
これにより、バネ構造に依存しない抜け止め用の突起部6c,6d及びハウジング6から画定された空間領域内でヨーク5’、すなわち、振動系の部品ブロック614そのもの自体を磁気結合力によって振動させることができ、第1及び第2の実施例と同様にして当該振動を他の構造系へ伝播できるようになる。
【実施例4】
【0078】
図7は、第4の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー400の構成例を示す斜視図である。
【0079】
図7に示すアクチュエータ機能付きの角型のスピーカー400は、本発明に係る振動体(スピーカー機能付きのアクチュエータ)を適用したものであり、スピーカー機能の他に、触覚を発生させることができるアクチュエータ機能を有している。このスピーカー400は、第1の実施例と同様にして、入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力する際に操作者に対して触覚を提示する情報処理装置や、携帯電話機、携帯端末装置等に適用可能なものである。
【0080】
スピーカー400は、部材収納部の一例を構成する矩形状のハウジング86を有しており、所定の面(図中上面)が開放されている。ハウジング6には、SUS329J7、SUS405、SUS410L、SUS430、SUS30F、SUS434、SUS304等のSPCが使用される。ハウジング86の大きさは、その幅をWとし、その長さをLとし、その高さをHとし、その厚みをtとしたとき、厚みtは0.1mm乃至0.6mm程度であり、好ましくは、厚みt=0.2mmが選択される。外形寸法W×Lは、3mm×4mm乃至10mm×30mmである。好ましくは、外形寸法W×Lは、6.0mm×15.0mmが選択される。その高さHは1.0mm乃至6.0mm程度であり、好ましくは、高さH=3.0mmが選択される。
【0081】
ハウジング86の開放面側には突出部材の一例となる部材抜け止め用の突起部86c,86d(図8参照)が設けられ、ハウジング86内に組み入れられた後の構成部品が抜け止めされる。この例では、ハウジング86の内側の最上端であって、突起部86c,86dが相互に対峙する位置に設けられる。
【0082】
ハウジング86の底面には、隙間部材の一例を構成する揺れ規制台座用の矩形状の枠ゴム86eが設けられ、ヨーク85の下方とハウジング86の底面との間にスペースを設けるようになされている。枠ゴム86eには、シリコンゴム(デュアルテック社やアルファゲル社製等)が使用される。その外形寸法(短手方向×長手方向)は、3mm×4mm乃至10mm×30mmである。好ましくは、外形寸法=5.6mm×14.6mmが選択される。枠ゴム86eに樹脂を使用する場合は、ポリフタルアミド(PPA)/PC樹脂+ABS樹脂、ABS樹脂、PC樹脂、PC+PMMA樹脂が使用される。外形寸法は上述の通りである。
【0083】
ハウジング86内には支持部材の機能を構成する振動用のヨーク85が配置されている。ヨーク85は矩形有底状を有しており、少なくとも、所定形状のマグネット84を支持するための凹部85a’が設けられ、かつ、凹部85a’の所定の位置に開口部85aが設けられる。ヨーク85は、ハウジング86に内包され、突起部86c,86d及びハウジング86から画定される空間領域内に可動自在に配置される。
【0084】
ヨーク85には、亜鉛(Zn)メッキにより表面処理(三価クロムメート処理)されたSPCが使用される。表面処理には無電解メッキ(EL/FeP−/OP3)が採られる。その厚みtは0.1mm乃至0.5mm程度であり、好ましくは、厚みt=0.3mmが選択される。
【0085】
ヨーク85の外形寸法(短手方向×長手方向)は、2mm×3mm乃至9mm×29mmである。好ましくは、外形寸法5.0mm×14.0mmが選択される。その内形寸法(短手方向×長手方向)は、1.2mm×2.2mm乃至8.0mm×29.2mmである。又は、内径は1.2mm乃至8.5mm程度であり、好ましくは、内径=3.4mmが選択される。
【0086】
その高さは0.2mm乃至2.4mm程度であり、好ましくは、高さ=1.28mmが選択される。その開口部の内径X’(図8参照)は、0.1mm乃至8.0mm程度であり、好ましくは、内径=2.3mmが選択される。又は、その内形寸法(短手方向×長手方向)は、1.0mm×2.0mm乃至8.0mm×28.0mmである。この例でも、ヨーク85の下方とハウジング86の底面との間に間隙Δq(スペース)を設けるようになされている。間隙Δqは例えば、0.1mm程度に設定される。
【0087】
ヨーク85の内側下面は、凹部85a’を中心にして2つの領域(以下アーム部85b,85cという)に分割されている。アーム部85bにはおもり89aが設けられ、アーム部85cにはおもり89bが設けられ、当該ヨーク85の重さを調整するようになされる。おもり89a,89bには、立方体状の黄銅や、真銅(C2680)、タングステン(W)等が使用される。その厚みtは0.1mm乃至6.0mm程度であり、好ましくは、厚みt=1.29mmが選択される。その外形寸法(短手方向×長手方向)は、1mm×1mm乃至8mm×10mmである。好ましくは、外形寸法2.9mm×3.6mmが選択される。
【0088】
ハウジング86内で可動自在に支持されるヨーク85の底部には、磁性体の一例を構成するマグネット84(永久磁石)が載置固定されている。例えば、マグネット84の底面に接着剤が塗布され、マグネット84がヨーク85の凹部85a’に接着されて固定される。マグネット84には、例えば、ニッケル(Ni)メッキにより表面処理された立方体形状を有したNdFeB(ネオジウム)焼結磁石や、フェライト磁石、アルニコ磁石等が使用される。その外形寸法(短手方向×長手方向)は、1mm×2mm乃至8mm×28mmである。又は、外径は1.0mm乃至8mm程度であり、好ましくは、外径=2.4mmが選択される。
【0089】
マグネット84の先端には、磁束調整用の矩形状のポールピース81が設けられている。ポールピース81にはSPCが使用される。その外形寸法(短手方向×長手方向)は、1mm×2mm乃至8mm×28mmである。又は、外径は1.0乃至8mm程度であり、好ましくは、外径=2.4mmが選択される。
【0090】
ハウジング86の開放面側で、マグネット84の周囲には、矩形状に巻装された可動用のコイル83(ボイスコイル)が可動自在に配されている。コイル83は巻き軸部を有している。コイル83の線径は、0.02mm乃至0.08mm程度である。好ましくは、線径=0.05mmが選択される。その巻き数は、5回乃至500回程度である。好ましくは、巻き数=380回が選択される。その高さは、0.1mm乃至2mm程度である。好ましくは、高さ=1.2mmに設定される。コイル83には音声信号や、振動発生信号等を供給するようになされる。
【0091】
上述のコイル83の巻き軸部の一方の側には、振動板82が取り付けられている。例えば、振動板82は、中央部がコイル83の巻き軸部の一方の側に接着され、その外縁部がハウジング86上の縁部及び突起部86c,86dに接着されている。振動板82には、厚みtが0.008mm乃至0.01mmであり、好ましくは、厚みt=0.025mmのPEN又はPEI(ポリエーテルイシド)のフィルム状体が使用される。振動板82の外形寸法W×Lは、3mm×4mm乃至10mm×30mmである。好ましくは、外形寸法、6.0mm×15.0mmが選択される。
【0092】
ハウジング86の外周面上部の所定の位置には電極引出部87が設けられる。この例では、突起部86dの取り付け位置に対してその背面側に設けられた電極引出部87には、引出電極7a,7b(図5,6参照)が設けられ、振動板82に接合されたコイル83に接続される。電極引出部87は、絶縁部材から構成され、引出電極7aは、コイル83の引出線83aに接続され、引出電極7bは、コイル83の引出線83bに接続され、音声信号や、振動発生信号等が入力される。これにより、アクチュエータ機能付きのスピーカー400を構成する。
【0093】
図8は、アクチュエータ機能付きのスピーカー400の組立例を示す分解斜視図である。図8に示すアクチュエータ機能付きのスピーカー400によれば、まず、ハウジング86を準備する。この例では、ハウジング86を磁性部材で作成する場合、ハウジング86には、SUS329J7、SUS405、SUS410L、SUS430、SUS30F、SUS434、SUS304等の冷間圧延鋼板(SPC)が使用される。例えば、厚みt=0.2mmのSPCを折り曲げ・プレス加工をして、外形寸法W×Lが6.0mm×15.0mmで、高さがH=3.0mmとなるように仕上げる。ハウジング86の内側上縁部には部品抜け止め用の突起部86c,86dを形成する。もちろん、電極引出部87は、絶縁部材を加工して形成する。
【0094】
なお、ハウジング86を樹脂部材で作成する場合は、底部に開口部86a,86b及び内側上縁部に部品抜け止め用の突起部86c,86dを有したハウジング86が得られるような所定の金型を作成し、この金型にABS樹脂等を注入して樹脂成形品を形成する。ABS樹脂に代えてPC樹脂でもよい。電極引出部87は突起部86c,86dと同時に形成するとよい。例えば、電極引出部87は、図5、図6に示した引出電極7a,7bの圧入方法を参照されたい。
【0095】
ハウジング86が準備できたら、その内部に揺れ規制台座用の枠ゴム86eや、振動規制用の枠ゴム86f等を取り付ける。枠ゴム86eや枠ゴム86fには、断面三角形状を有したシリコンゴム(デュアルテック社やアルファゲル社製等)を使用する。枠ゴム86eは、例えば、外形寸法=5.6mm×14.6mm程度の矩形状に成形する。枠ゴム86eや枠ゴム86fは、ハウジング86に対して接着剤を使用して貼り付けるようにする。
【0096】
次に、ハウジング86へ組み入れるためのヨーク85を準備する。ヨーク85には、中央部にマグネット取り付け用の凹部85a’を有した開口部付き長椅子状を成したものを形成する。例えば、三価クロムメート処理された厚みt=0.3mm程度のSPCを使用し、ヨーク85の幅をW’とし、その長さL’とし、その高さH’としたとき、幅W’=5[mm]程度、L’=14[mm]程度、高さH’=1.28[mm]程度に仕上げる。
【0097】
この例では、厚みt=0.3mm程度のSPCを板金プレス加工して、中央部にマグネット取り付け用の凹部85a’を形成し、裏面側におもり取り付けスペースを有した長椅子状のヨーク85を形成する。凹部85a’の底面には、磁束調整用の開口部85aを開口する。この例で、開口部85aは、内径X’=2.3mm程度に設定している。
【0098】
このようなヨーク85が形成できたら、ヨーク85の凹部85a’にマグネット84を接合する。マグネット84には、外形寸法が例えば、2.4mm×3.2mmとなるNdFeB(ネオジウム)焼結磁石や、フェライト磁石、アルニコ磁石等が使用される。これらの磁石はニッケルメッキにより表面処理される。マグネット84は、例えば、ウレタン系の接着剤を使用してヨーク85の凹部85の内側に接合するとよい。そして、マグネット84の先端に、磁束調整用の矩形状のポールピース81を接着剤により接合する。ポールピース81には、外形寸法が例えば、2.4mm×3.2mmとなるSPCが使用される。
【0099】
次に、ヨーク85のアーム85b,86cには、おもり89a,89bを取り付ける。おもり89a,89bには、厚みt=1.29mmで、外形寸法2.9mm×3.6mm程度の立方体状を有した黄銅、真銅(C2680)又はタングステン(W)が使用される。おもり89a,89bの重さは、例えば、0.597[g]程度である。例えば、アーム85bの内側下面には、おもり89aを接着剤を使用して接合し、アーム85cの内側下面には、おもり89bを接着剤を使用して接合する。接着剤にはいずれもウレタン系のものを使用する。これにより、ハウジング86の内部に収容可能な振動系の部品ブロック814が得られる。
【0100】
上述のようなマグネット84及びおもり89a,89bを取り付けたヨーク85が準備できたら、ヨーク85をハウジング86内に組み入れる。このとき、突起部86c,6dを潜るらせるようにヨーク85をハウジング86内の枠ゴム86e上に載置する。その後、コイル付きの振動板82(ボイスコイル部品)でハウジング86の上部を塞ぐように封止する。
【0101】
ボイスコイル部品を作成するためには、まず、矩形状の振動板82と、可動用のコイル83を準備する。例えば、振動板82には、厚み25μm程度のフィルム部材を使用する。フィルム部材にはPEN又はPET等が使用され、振動板82は外形寸法がW×L=6.0mm×15.0mmとなるようにコーン形状に加工される。コイル83には、0.05mm程度の銅線が使用される。コイル83は、巻き数=380回で、高さ=1.2mmとなるように銅線を矩形状に巻いて中空状を成すように形成するとよい。
【0102】
振動板82とコイル83とが準備できたら、振動板82の裏面中央部に矩形状のコイル83の一方の側を接合する。このとき、振動板82とコイル83とは、ウレタン系の接着剤を使用して接合する。これにより、ハウジング86の上部に取り付け可能なボイスコイル部品が得られる。上述の振動系の部品ブロック及びボイスコイル部品が準備できたら、これらを例えば、電極引出部付きのハウジング86に収納して、アクチュエータ機能付きのスピーカー400を組み立てる。
【0103】
この例では、コイル83が接合された振動板82をハウジング86の上部から嵌合する。このとき、コイル83の巻き軸部がマグネット84を覆い被さるように組み込む。その後、抜け止め用の突起部86c,86dとハウジング86とを位置合わせし、振動板82の外縁部位が抜け止め用の突起部86c,86dを含むハウジング86の上縁部で維持固定されるように接着剤等を使用して外縁部位を接合する。これにより、図8に示したような、ハウジング86の内部でバネ部材に依存することなく、ヨーク85自体が振動可能なアクチュエータ機能付きのスピーカー400が完成する。
【0104】
ここで、アクチュエータ機能付きのスピーカー400’の振動原理をシミュレーション結果に基づいて説明をする。
【0105】
図9は、アクチュエータ機能付きの角型のスピーカー400’の通電時のコイル推力遷移例を示す図である。スピーカー400’は、図示せずも、外形が図8のように角型を有しており、ヨーク85の開口部85aが円筒状に形成され、円柱状のマグネット84等が配置されるものである(図10の断面参照)。
【0106】
図9において、縦軸は、通電時のコイル83の推力F’であり、円形状のコイル83と円形状のマグネット84との電磁誘導により発生される電磁力[gf]である。横軸はコイル83とマグネット84との電磁誘導により発生される推力F’の持続時間tであり、単位は[msec]である。駆動条件は、ヨーク85の下方とハウジング86の底面との間に間隙Δq=0.1mmを設定する。この設定の下で、触覚提示用の低周波の振動発生信号として、周波数200Hzの駆動電圧3.6Vをバースト回数=2回(波形2周期分)をコイル83に印加した場合である。
【0107】
図9に示す実線#IVは、上述の製造条件及び駆動条件に対するコイル推力遷移例を示すシミュレーション結果である。このシミュレーション結果によれば、コイル83とマグネット84による電磁誘導により最大で9.0[gf]の推力F’が得られている(コイル推力遷移特性)。この例で、コイル83の製造条件は、線径=0.05mmで、巻き数=380回で、その高さは、1.5mmである。コイル83は、銅線を円筒形状に巻いたものである。コイル83には、触覚提示用の低周波の振動発生信号が入力される。
【0108】
振動系の部品ブロック814の製造条件は、亜鉛(Zn)メッキにより表面処理(三価クロムメート処理)された、厚みt=0.3mmのSPCから、外形寸法5.0mm×14.0mm、内径=3.4mm、高さ=1.28mm、開口部85aの内径X’=2.3mmに設定したヨーク85を適用する。おもり89a,89bには、比重18で、厚みt=1.29mmのタングステンを外形寸法2.9mm×3.6mmに設定したものが適用される。マグネット84には、外径=2.4mmのNdFeB(ネオジウム)焼結磁石が使用される。ポールピース81には外径=2.4mmのSPCが適用される。
【0109】
このシミュレーションでは、ハウジング86内の枠ゴム86eに、上述の製造条件が適用された、振動系の部品ブロック814が載置され、コイル83に振動発生信号等が入力されない非通電時には、マグネット84と、当該マグネット84と対抗する金属製のハウジング86との間で磁気的な吸引力によって、振動系の部品ブロック814が開口部85aを介してハウジング86に吸引保持された状態で固定される姿勢を採る。
【0110】
ここに、非通電及び通電時、マグネット84及びハウジング86間に発生する吸引力をfとし、振動系の部品ブロック814の自重をMとしたとき、(1)式、すなわち、
F’>f+M・・・・(1)
を満す振動発生信号をコイル83に印加した時点から、図10に示すような振動系の部品ブロック814が上向きに動くようになる。なお、部品ブロック814の自重Mは、ポールピース81、マグネット84、ヨーク85及びおもり89a,89bの各々の自重を加算したものである。
【0111】
また、電極引出部7を介して触覚提示用の低周波数信号(例えば、200Hz前後)の振動発生信号等がコイル83に入力される通電時には、上述の部品ブロック814のマグネット84と、金属製のハウジング86とに基づく磁気的な吸引力fと、部品ブロック814の自重Mに対して、コイル83とマグネット84から構成される電磁誘導により、磁気的な吸引力fを上回る反対向きの推力F’を発生させる。電極引出部7を介してコイル83に振動発生信号等が入力され、磁気的な吸引力f+部品ブロック814の自重Mと反対向きの推力F’が当該磁気的な吸引力f+部品ブロック814の自重Mを超えた際に、始めて、振動系の部品ブロック814が可動し、振動を伝播するようになる。
【0112】
つまり、非通電時、マグネット84は金属製のハウジング86を吸引している。この力を吸引力fとし、これを上述の製造条件でシミュレーションすると、マグネット84とハウジング86とに働く吸引力fは、約3.1[gf]となる。振動系の部品ブロック814の自重はM=0.7[gf]である。
【0113】
また、通電時の駆動条件で、シミュレーションすると、コイル83とマグネット84の電磁誘導により発生される力を推力F’とすると、図9に示すコイル推力遷移特性からF’=9[gf]が得られる。これらの演算結果F’=9[gf]、f=3.1[gf]、M=0.7[gf]を(1)式に代入すると、9>3.8となり、不等号が成り立ち、図10中、部品ブロック814が上向きに動くことになる。
【0114】
このように、第4の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー400によれば、マグネット84の周囲に可動自在に配されたコイル83に音信号を入力すると、スピーカーとして機能させることができる。また、当該コイル83に触覚提示用の低周波数信号(例えば、200Hz前後)を入力すると、バネ構造に依存しない抜け止め用の突起部86c,86d及びハウジング86から画定された空間領域内で振動系の部品ブロック814自体を磁気結合力により振動させることができる。
【0115】
上述した例では、吸引力f+自重M=3.1+0.7に逆らう推力F’を発生させ、推力F’が吸引力f+部品ブロック814の自重Mを超えた際(9.0>3.8)に、始めて、振動系の部品ブロック814が可動するようになる。なお、f+M>F’となった段階で部品ブロック814が元の位置に戻る。
【0116】
従って、バネ構造に依存しない抜け止め用の突起部86c,86d及びハウジング86から画定された空間領域内でヨーク85、すなわち、振動系の部品ブロック814そのもの自体を磁気結合力によって振動させることができ、当該振動を他の構造系へ伝播できるようになる。しかも、アクチュエータ機能付きのスピーカー400の小型化を図ることができる。これにより、超小型のアクチュエータ機能付きのレシーバ(受話器)を提供できるようになり、特に、当該レシーバを携帯電話機(端末装置)の表示部側の触覚機能付きの入力装置に十分応用できるようになる。
【実施例5】
【0117】
図10は、第5の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー500の構成例を示す正面の断面図である。この実施例では樹脂製のハウジング86’を備え、ハウジング86’の背面に形成された電極引出部87’を介してコイル83の引出線83a,83bを接続する方法を採るようにした。
【0118】
図10に示すアクチュエータ機能付きのスピーカー500によれば、ハウジング86’は、第2の実施例で説明したような絶縁部材(樹脂製品)から構成されている。この例でも、マグネット84と対峙する側のハウジング86’の底面に金属プレート42(鉄板等)が設けられる。ハウジング86’の背面側には、電極引出部87’を構成する引出電極87a,87bが設けられ、振動板82に接合されたコイル83に接続される。引出電極87aは端子87cを有し、引出電極87bは端子87dを有しており、ハウジング部86の側壁において、コイル83の引出線83a,83bに接続される。
【0119】
例えば、コイル83から引き出された一方の引出線83aは、振動板82の一方の側の裏面を通って外縁部に至り、ハウジング部86の上縁部から外部へ取り出され、側壁を下方に移行して、端子87cに至り引出電極87aに接続される。同様にして、コイル83から引き出された他方の引出線83bは、振動板82の他方の側の裏面を通って外縁部に至り、ハウジング部86の上縁部から外部へ取り出され、側壁を下方に移行して、端子87dに至り引出電極87bに接続される。引出電極87aや87bには、音声信号や、振動発生信号等が入力される。これにより、アクチュエータ機能付きのスピーカー500を構成する。
【0120】
このように、第5の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー500によれば、マグネット84の周囲に可動自在に配されたコイル83に電極引出部87’を介して音信号を入力すると、スピーカーとして機能させることができる。また、当該コイル83に触覚提示用の低周波数信号(例えば、200Hz前後)を入力すると、バネ構造に依存しない抜け止め用の突起部86c,86d及びハウジング86’から画定された空間領域内でヨーク85自体を磁気結合力によって振動させることができる。しかも、アクチュエータ機能付きのスピーカー500の小型化を図ることができる。これにより、超小型のアクチュエータ機能付きのレシーバ(受話器)を提供できるようになり、特に、当該レシーバを携帯電話機(端末装置)の表示部側の触覚機能付きの入力装置に十分応用できるようになる。
【実施例6】
【0121】
図11A及びBは、第6の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー601,602の部材抜け止め用の突出部材の構成例を示す斜視図である。
この実施例では、第1乃至3の実施例で説明した突起部6c,6dや、第4及び第5の実施例で説明した突起部86c,86dに代えて、ハウジング6や、ハウジング86,86’の開放面側に、蓋部材を適用するようにしたものである。
【0122】
図11Aに示すアクチュエータ機能付きのコイン型のスピーカー601によれば、第1乃至第3の実施例で説明した円筒状のハウジング6に適用して好適な円形状の蓋部材(仕切板:以下パーテーション612という)を有している。パーテーション612の中央部には、円筒状のコイル3が通過可能な余裕を持った口径の円形状の開口部613が形成されている。
【0123】
組立順序は、図3で説明したハウジング6に相当する突起部6c,6dが無いハウジング611の内部に収容可能な振動系の部品ブロック614を形成した後に、その振動系の部品ブロック614をハウジング611内に載置し、その後、パーテーション612で封止する。その後、コイル付きの振動体2をパーテーション612上に形成する。例えば、開口部613に図3で説明したコイル3を挿入し、マグネット4にその先端を嵌合する。そして、振動体2の外縁部をパーテーション612の外周縁部に接合する。このようにすると、振動系の部品ブロック614を簡単に組み込みことができるばかりか、振動体2の接合代を第1乃至第3の実施例に比べて幅広く採れるようになる。
【0124】
図11Bに示すアクチュエータ機能付きの角型のスピーカー602によれば、第4及び第5の実施例で説明した矩形状のハウジング86,86’に適用して好適な矩形状のパーテーション812を有している。パーテーション812の中央部には、図8で説明した矩形状のコイル83が通過可能な余裕を持った大きさの矩形状の開口部813が形成されている。組立順序は、図8で説明したハウジング86に相当する図11Bに示すハウジング811の内部に収容可能な振動系の部品ブロック814を形成した後に、その振動系の部品ブロック814をハウジング811内に載置し、その後、パーテーション812で封止する。その後、コイル付きの振動体82をパーテーション812上に形成する。例えば、開口部813に図8で説明したコイル83を挿入し、マグネット84にその先端を嵌合する。そして、振動体82の外縁部をパーテーション812の外周縁部に接合する。このようにすると、振動系の部品ブロック814を簡単に組み込みことができるばかりか、振動体82の接合代を第4及び第5の実施例に比べて幅広く採れるようになる。
【0125】
このように、第6の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー600によれば、第1乃至3の実施例で説明した突起部6c,6dや、第4及び第5の実施例で説明した突起部86c,86dに代えて、ハウジング611の開放面側に、パーテーション612を設け、又は、ハウジング811の開放面側に、パーテーション812を設けたものである(図11A及びB参照)。
【0126】
従って、図11Aに示した構造が採られた場合は、マグネット4の周囲に可動自在に配されたコイル3に音信号を入力すると、スピーカーとして機能させることができる。また、当該コイル3に触覚提示用の低周波数信号(例えば、200Hz前後)を入力すると、バネ構造に依存しないパーテーション612及びハウジング611から画定された空間領域内でヨーク5自体を磁気結合力によって振動させることができる。
【0127】
また、図11Bに示した構造が採られた場合は、マグネット84の周囲に可動自在に配されたコイル83に音信号を入力すると、スピーカーとして機能させることができる。また、当該コイル83に触覚提示用の低周波数信号(200Hz前後)を入力すると、バネ構造に依存しないパーテーション812及びハウジング811から画定された空間領域内でヨーク85自体を磁気結合力によって振動させることができる。
【0128】
しかも、図11A又は図11Bに示した構造を採用したアクチュエータ機能付きのスピーカー601,602の小型化を図ることができる。これにより、超小型のアクチュエータ機能付きのレシーバ(受話器)を提供できるようになり、特に、当該レシーバを携帯電話機(端末装置)の表示部側の触覚機能付きの入力装置に十分応用できるようになる。
【0129】
その他の効果として、従来方式ではハウジング内に板バネを実装する都合上、載置スペースが制限され、大型のマグネットを装着できなかったが、本発明では、バネ構造を省略できるようになったので、大型のマグネットを採用できるようになった。その結果、磁束が増え、スピーカーとしての音圧およびアクチュエータとしての触覚特性の向上を図ることができた。また、本発明では、バネ構造が省略されたので、従来方式のような衝撃落下による板バネの塑性変形という不良モードが皆無となり、信頼性を向上できるようになった。
【実施例7】
【0130】
図12は、本発明に係る入力装置90を備えた第7の実施例としての触覚機能付きの携帯電話機700の構成例を示す斜視図である。
この実施例では、第1乃至第6の実施例に係る超小型のアクチュエータ機能付きのレシーバ(スピーカー36b)を備え、表示手段上の入力検出面において、操作体が押下した位置の加圧力に対応した振動パターンに基づいて当該入力検出面を振動し、その入力検出面における操作体の押下操作に対して触覚を付与できるようにすると共に、表示手段に表示されたボタンアイコン等の入力を確定できるようにしたものである。
【0131】
図12に示す携帯電話機700は電子機器の一例を構成し、情報入力操作時に操作体(ユーザ)に触覚を提示するものである。携帯電話機700は、表示画面上の入力検出面を摺動接触操作される触覚機能付きの入力装置90を有している。携帯電話機700は下部筐体10及び上部筐体20を備え、これらの筐体10及び20間は、例えば、回転レンジ機構11(スライドタイプ)によって可動自在に係合されている。この回転レンジ機構によれば、下部筐体10の操作面の一端に設けられた図示しない軸部と、下部筐体10の裏面の一端に設けられた図示しない軸受け部とが回転自在に係合され、上部筐体20は下部筐体10に対して角度±180°の回転自由度を有して面結合されている。
【0132】
下部筐体10には、複数の押しボタンスイッチ12から成る操作パネル18が設けられる。押しボタンスイッチ12は、「0」〜「9」数字キー、「*」や「#」等の記号キー、「オン」や「オフ」等のフックボタン、メニューキー等から構成される。下部筐体10において、操作パネル面の下方には、通話用のマイクロフォン13が取り付けられ、送話器として機能するようになされる。
【0133】
また、下部筐体10の下端部には、モジュール型のアンテナ16が取り付けられ、その上端内部側面には、大音響用のスピーカー36aが設けられ、着信メロディ等を放音するようになされる。下部筐体10には、バッテリー14や回路基板17等が設けられ、下部筐体10の裏面にはカメラ34が取り付けられている。
【0134】
上述の下部筐体10に対して、回転レンジ機構11によって可動自在に係合された上部筐体20には、その表面の上方に超小型のアクチュエータ機能付きのスピーカー36bが設けられ、通話用のレシーバ(受話器)と触覚提示用のアクチュエータの機能を兼ね備えている。スピーカー36bには、本発明に係るアクチュエータ機能付きのスピーカー100乃至600のいずれかが適用される。
【0135】
例えば、スピーカー36bには、図10に示したアクチュエータ機能付きのスピーカー500が使用される。スピーカー36bは、所定の面が開放されたハウジング86’と、このハウジング86’の開放面側に設けられた部材抜け止め用の突起部86c,86dと、ハウジング86’に内包され、少なくとも、矩形状のマグネット84を支持するヨーク85と、巻き軸部を有してハウジング86’の開放面側でマグネット84の周囲に可動自在に配されたコイル83と、中央部がコイル83の巻き軸部の一方の側に取り付けられ、かつ、外縁部がハウジング86’上の縁部に取り付けられた振動板82とを備え、突起部86c,6d及びハウジング86’から画定される空間領域内にヨーク85が可動自在に配置されるものである。
【0136】
上部筐体20のスピーカー取付け面の下方には、触覚機能付きの入力装置90が設けられる。入力装置90は、入力検出手段45及び表示手段29を有しており、表示画面上の入力検出面における操作体の押下操作に対して触覚を与える(提示する)ものである。表示手段29には、複数のボタンアイコン等の入力情報が表示される。
【0137】
図13は、触覚機能付きの入力装置90の構成例を示す斜視図である。図13に示す入力装置90は、入力項目選択用の表示画面に表示された複数のアイコンの1つに接触して当該表示画面上で入力操作される装置であって、このような情報入力操作時に操作者の指(操作体)に触覚を提示するものである。
【0138】
入力装置90は上部筐体20内に備えられる。上部筐体20は、基板側ケース20aと、パネル側ケース20bとを有して構成される。入力装置90は、入力検出手段45と、この入力検出手段45の入力操作に基づいて操作者の指に触覚を提示するアクチュエータ機能付きのスピーカー36bを備えている。スピーカー36bは、パネル側ケース20bに取り付けられ、基板側ケース20aと、パネル側ケース20bとで挟み込むよにして実装される。
【0139】
この例で、パネル側ケース20bには、2つの部品配置スペースI,IIが設けられる。部品配置スペースIはスピーカー用であり、スピーカー36bの上下方向及び右側方向への移動を規制するようになされている。この例では、パネル側ケース20b内には、1対のL字状のリブ62a,62bが立設される。この2つのL字状のリブ62a,62bの間には、爪状の係合部材63が設けられる。図中、開口部67はレシーバ用の孔である。
【0140】
部品配置スペースIIは被振動体用であり、入力手段24及び表示手段29の上下方向及び左側方向への移動を規制するようになされている。この例では、パネル側ケース20b内には、1対の直線状のリブ64a,64bが立設される。この2つの直線状のリブ64a,64bの間であって、2つのリブ64a,64bと直交する部分には、直線状のリブ64cが設けられる。
【0141】
なお、パネル側ケース20bには、所定の大きさを有した表示窓部61が設けられる。表示窓部61には、それよりも大きな表示面を有した入力手段24及び表示手段29が設けられる。入力検出手段45は入力手段24及び力検出手段55a〜55dを有して構成される。この例では、入力検出手段45の入力検出面の一方をX方向とし、当該X方向と直交する他方をY方向とし、X及びY方向と直交する方向をZ方向とする。
【0142】
入力手段24はボタンアイコンの選択位置を検出するようになされる。入力手段24から得られる入力情報には位置検出情報が含まれる。位置検出情報はボタンアイコン押下時の位置検出信号S1により得られ、制御系に出力される。入力手段24は蓄積電極となる透明電極をマトリクス状に配置したタッチパネルが使用される。タッチパネルは、静電容量シートとしての静電容量方式の入力デバイスである。
【0143】
図13に示す入力手段24の上方には同程度の大きさの表示手段29が配置される。表示手段29には液晶表示装置が使用される。液晶表示装置には図示しないバックライトが備えられる。入力手段24や表示手段29は被振動体を構成する。表示手段29は、入力手段24から得られる位置検出情報D1及び制御系から供給される表示信号Svに基づいてアイコンを表示するように動作する。
【0144】
また、基板側ケース20aの四隅には、例えば、正方形状の力検出手段55a〜55dが設けられ、入力手段24に対する操作者の指の押圧力(加圧力)を検出して力検出情報を出力すると共に、当該押下位置に表示された入力情報を確定する。
【0145】
力検出手段55aは、右下隅の入力量(Z方向の押圧力)として、例えば、当該アイコン選択時の力検出信号Sfaを検出する。同様にして、力検出手段55bは、右上隅の入力量(力)として、当該アイコン選択時の力検出信号Sfbを検出し、力検出手段55cは、左上隅の入力量(力)として、当該アイコン選択時の力検出信号Sfcを検出し、力検出手段55dは、左下隅の入力量(力)として、当該アイコン選択時の力検出信号Sfdを各々検出する。
【0146】
これら4個の力検出手段55a〜55dは、並列に接続され、これら4つの力検出信号Sfa+Sfb+Sfc+Sfdを制御系に出力する。以下、この合算した信号を入力検出信号S2とする。入力検出信号S2は制御系に出力される。
【0147】
上述の入力手段24、表示手段29は、基板側ケース20aとパネル側ケース20bとに収納されて保護される。基板側ケース20aとパネル側ケース20bは厚さ0.3mm程度のステンレスの筐体から構成され、入力手段24を露出する窓部を有しており、基板側ケース20a及びパネル側ケース20bが形成する内部空間内に設けられた入力検出手段45及び表示手段29を覆うようになされる。
【0148】
図14及び図15は、上部筐体20におけるスピーカー36bの取付例(その1、2)を示す上面図及び断面図である。
【0149】
図14Aに示す基板側ケース20aには、電子部品実装用の基板65が設けられる。基板65には、スピーカー用の平板電極(ランド電極)66a,66bが設けられ、音声信号や振動発生信号を印加するようになされる。
【0150】
この例で、入力手段24及び表示手段29は、図14Bに示すパネル側ケース20b内において、表示手段29の不図示のバックライト側を上部に向けた状態で、上下の直線状のリブ64a,64b及び左側の直線状のリブ64cで支持され、右側方向への移動が可能な取り付け構造となされている。この例で、入力手段24及び表示手段29は、その右面側がヅピーカー36bの側面に当接する(押し当てる)ように実装される。
【0151】
スピーカー36bは、パネル側ケース20b内において、引出電極87a,87bを上部に向けた状態で、紙面において、上下のL字状のリブ62a,62b及び右側の爪状の係合部材63で支持され、左側方向への移動が可能な取り付け構造となされている。この例で、スピーカー36bは、その左面側が入力手段24及び表示手段29の側面(木口面)に当接する(押し当てる)ように実装される。
【0152】
その後、図15に示すように、基板側ケース20aとパネル側ケース20bとが位置合わせされて係合される。このとき、平板電極66aと、引出電極87aとが当接及び接触されて電気信号的に導通される。同様にして、平板電極66bと、引出電極87bとが当接及び接触されて電気信号的に導通される。これにより、入力検出手段45が表示画面上で入力操作する操作者の接触位置を検出すると、ハウジング86’内で振動発生信号に基づいてヨーク85が振動することにより、入力手段24及び表示手段29へ振動を伝達できるようになる。このとき、アクチュエータ機能付きのスピーカー36bは、入力検出手段45から得られる位置情報に基づいて表示画面を側面方向から振動するようになる。
【0153】
次に、触覚入力機能付きの携帯電話機700について説明をする。図16は、携帯電話機700の制御系の構成例及びその感触フィードバック機能例を示すブロック図である。
【0154】
図16に示す携帯電話機700は、下部筐体10の回路基板17に各機能のブロックを実装して構成される。なお、図12〜図15に示した各部及び手段と対応する部分は、同一符号で示している。携帯電話機700は、制御手段15、操作パネル18、受信部21、送信部22、アンテナ共用器23、入力検出手段45、表示手段29、電源ユニット33、カメラ34、記憶手段35、着信メロディ用のスピーカー36a、アクチュエータ機能付きのスピーカー36bを有している。
【0155】
図16に示す入力検出手段45は、図15では静電容量方式の入力デバイスを説明したが、カーソリングと選択の機能を区別できるものであれば何でも良く、例えば、抵抗膜方式、表面波弾性方式(SAW)、光方式、複数段方式タクトスイッチ等の入力デバイスであっても良く、好ましくは位置検出情報と力検出情報を制御手段15に与えられる構成の入力デバイスであれば良い。上述の入力検出手段45は操作者30の指30aを介して少なくとも位置検出信号S1および入力量(押圧力;加圧力F)となる入力検出信号S2が入力される。
【0156】
制御手段15は制御系を構成し、画像処理部26、A/Dドライバ31、CPU32及びメモリ部37を有している。A/Dドライバ31には、入力検出手段45からの位置検出信号S1および入力検出信号S2が供給される。A/Dドライバ31ではカーソリングとアイコン選択の機能を区別するために位置検出信号S1および入力検出信号S2よりなるアナログ信号をデジタルデータに変換する。この他にA/Dドライバ31は、このデジタルデータを演算処理して、カーソリング入力かアイコン選択情報かを検出し、カーソリング入力かアイコン選択かを区別するフラグデータD3あるいは位置検出情報D1または入力検出情報D2をCPU32に供給するようになされる。これらの演算はCPU32内で実行してもよい。
【0157】
A/Dドライバ31にはCPU32が接続される。CPU32はシステムプログラムに基づいて当該電話機全体を制御するようになされる。記憶手段35には当該電話器全体を制御するためのシステムプログラムデータが格納される。図示しないRAMはワークメモリとして使用される。CPU32は電源オンと共に、記憶手段35からシステムプログラムデータを読み出してRAMに展開し、当該システムを立ち上げて携帯電話機全体を制御するようになされる。例えば、CPU32は、A/Dドライバ31からの位置検出情報D1、入力検出情報D2及びフラグデータD3(以下単に入力データともいう)を受けて所定の指令データDを電源ユニット33や、カメラ34、記憶手段35、メモリ部37、映像&音声処理部44等のデバイスに供給したり、受信部21からの受信データを取り込んだり、送信部2へ送信データを転送するように制御する。
【0158】
この例で、CPU32は、入力検出手段45から得られる入力検出情報D2と予め設定された押下判定閾値Fthとを比較し、当該比較結果に基づいてアクチュエータ機能付きのスピーカー36bを振動制御するようにメモリ部37を制御する。例えば、入力検出手段45の押下位置における入力検出面から伝播される触覚をA及びBとすると、触覚Aは、その押下位置における操作者の指30aの加圧力Fに応じた入力検出面を低周波数かつ小振幅の振動パターンから、高周波数かつ大振幅の振動パターンに変化させることによって得られる。また、触覚Bは、その押下位置における操作者の指30aの加圧力Fに応じた入力検出面を高周波数かつ大振幅の振動パターンから、低周波数かつ小振幅の振動パターンに変化させることよって得られる。
【0159】
上述のCPU32には記憶手段35が接続され、入力項目選択用の表示画面を、例えば、3次元的に表示するための表示情報D4や、当該表示情報D4に対応したアイコンの選択位置及び振動モードに関する制御情報Dc等が表示画面毎に記憶される。制御情報Dcには、表示手段29におけるアプリケーション(3次元的な表示や、各種表示内容)に同期した複数の異なった触覚を発生でき、その触覚を発生せしめる複数の具体的な振動波形、及び、アプリケーション毎の具体的な触覚発生モードを設定するアルゴリズムが含まれる。記憶手段35には、EEPROMや、ROM、RAM等が使用される。
【0160】
この例でCPU32は、A/Dドライバ31から出力される位置検出情報D1、入力検出情報D2及びフラグデータD3に基づいて表示手段29の表示制御及び、アクチュエータ機能付きのスピーカー36bの出力制御をする。例えば、制御手段15は、入力手段24から得られる位置検出信号S1及び力検出手段55a〜55dから得られる入力検出信号S2に基づいて記憶手段35から制御情報Dcを読み出して、メモリ部37へアクセスし、アクチュエータ機能付きのスピーカー36bに振動発生信号Saを供給するような制御がなされる。
【0161】
例えば、CPU32は、入力検出手段45が押下判定閾値Fthを越える入力検出情報D2を検出したとき、触覚Aを起動し、その後、押下判定閾値Fthを下回る入力検出情報D2を検出したとき、触覚Bを起動するように、メモリ部37を読み出し制御する。このようにすると、操作者の指30a等の”加圧力”に合わせた異なる振動パターンを発生させることができる。
【0162】
CPU32にはメモリ部37が接続され、CPU32からの制御情報Dcに基づいて振動発生データDaを読み出す。振動発生データDaは、正弦波形からなる出力波形を有している。メモリ部37には映像&音声処理部44が接続され、各々の振動発生データDaが映像&音声処理部44に供給され、その振動発生データDaが音声処理(デジタル・アナログ変換・増幅等)され、振動発生信号Sout2となってアクチュエータ機能付きのスピーカー36bに供給される。スピーカー36bは、振動発生信号Sout2に基づいて振動するようになされる。
【0163】
この例で、メモリ部37は、各アプリケーションに対応する押下判定閾値Fthを記憶する。例えば、押下判定閾値Fthはトリガーパラメータとして記憶手段35に設けられたROM等に予め格納される。記憶手段35は、CPU32の制御を受けて、入力検出情報D2を入力し、予め設定された押下判定閾値Fthと、入力検出情報D2から得られる加圧力Fとを比較し、Fth>Fの判定処理や、Fth≦F等の判定処理を実行する。
【0164】
例えば、押下判定閾値Fth=100[gf]をメモリ部37に設定すると、クラシックスイッチの触覚を得るための振動パターンに基づいて入力検出面を振動するようになされる。また、押下判定閾値Fth=20[gf]を設定すると、サイバースイッチの触覚を得るための振動パターンに基づいて入力検出面を振動するようになされる。
【0165】
CPU32にはメモリ部37の他に画像処理部26が接続され、ボタンアイコン29等を3次元的に表示するための表示情報D4を画像処理するようになされる。画像処理後の表示情報D4を表示手段29に供給するようになされる。この例で、CPU32は、表示画面中のボタンアイコンを奥行方向に遠近感を有して3次元的に表示するように表示手段29を表示制御する。
【0166】
このように構成された入力装置90は、例えば、入力項目選択用の表示画面に表示された複数のボタンアイコンの1つを押下(接触)して当該表示画面上で入力手段24をZ方向に押下すると触覚を伴って画面入力操作されるものである。操作者30は、指30aに振動を受けて触感として、ボタンアイコン毎の振動を感じる。
【0167】
表示手段29の表示内容は操作者の目による視覚により、スピーカー36a、36b等からの放音は、操作者の耳による聴覚により各機能を判断するようになされる。上述のCPU32には操作パネル18が接続され、例えば、相手方の電話番号を手動入力する際に使用される。表示手段29には上述のアイコン選択画面の他に映像信号Svに基づいて着信映像を表示するようにしてもよい。
【0168】
また、図16に示すアンテナ16は、アンテナ共用器23に接続され、着呼時、相手方からの無線電波を基地局等から受信する。アンテナ共用器23には受信部21が接続され、アンテナ16から導かれる受信データを受信して映像や音声等を復調処理し、復調後の映像及び音声データDinをCPU32等に出力するようになされる。受信部21には、CPU32を通じて映像&音声処理部44が接続され、デジタルの音声データをデジタル/アナログ変換して音声信号Soutを出力したり、デジタルの映像データをデジタル/アナログ変換して映像信号Svを出力するようになされる。
【0169】
映像&音声処理部44には大音響用を構成するスピーカー36a及び、受話器を構成するアクチュエータ機能付きのスピーカー36bが接続される。スピーカー36aは、着呼時、音響信号Sout1に基づいて着信音や着信メロディ等を鳴動するようになされる。スピーカー36bは、音声信号Sout2’を入力して相手方の話声30d等を拡大するようになされる。また、スピーカー36bは、触覚提示時、振動発生信号Sout2に基づいて振動するようになされる。
【0170】
この映像&音声処理部44にはスピーカー36a、36bの他に、送話器を構成するマイクロフォン13が接続され、操作者の声を集音して音声信号Sinを出力するようになされる。映像&音声処理部44は、発呼時、相手方へ送るためのアナログの音声信号Sinをアナログ/デジタル変換してデジタルの音声データを出力したり、アナログの映像信号Svをアナログ/デジタル変換してデジタルの映像データを出力するようになされる。
【0171】
CPU32には受信部21の他に、送信部22が接続され、相手方へ送るための映像及び音声データDout等を変調処理し、変調後の送信データをアンテナ共用器23を通じアンテナ16に供給するようになされる。アンテナ16は、アンテナ共用器23から供給される無線電波を基地局等に向けて輻射するようになされる。
【0172】
上述のCPU32には送信部22の他に、カメラ34が接続され、被写体を撮影して、例えば、静止画情報や動作情報を送信部22を通じて相手方に送信するようになされる。カメラ34は上部筐体20の背面側に設けてもよい。電源ユニット33は、バッテリー14を有しており、CPU32、操作パネル18、受信部21、送信部22、表示手段29、カメラ34、記憶手段35、メモリ部37、映像&音声処理部44及び入力検出手段45にDC電源を供給するようになされる。なお、この例で、メモリ部37を映像&音声処理部44とは別個に設ける場合について説明したが、映像&音声処理部44に備え付けの記憶装置を兼用するようにしてもよい。部品点数が低減できる。
【0173】
図17A及びBは、触覚A及びBに係る振動パターン例を示す波形図である。図17A及びBにおいて、いずれも横軸は、時間tである。縦軸は振動発生信号Saの振幅Ax[V]である。この例では、ボタンアイコン29等において、それを押し込む時は触覚Aを与え、それを離す時は触覚Bを与える場合を前提とする。
【0174】
図17Aに示す第1の振動パターンPaは触覚Aを与える波形である。その触覚Aの駆動条件aは、ボタンアイコン29等が押し込まれたとき、押下判定閾値Fthと加圧力Fとの関係がFth<Fとなる場合であって、第1段階iで約0.1秒間、周波数fx=50Hz、振幅Ax=5μm、回数Nx=2回の振動パターンで振動する。以下[fx Ax Nx]=[50 5 2]と表記する。同様にして、第2段階iiでは、約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[100 10 2]の振動パターンで振動するようになされる。
【0175】
図17Bに示す第2の振動パターンPbは触覚Bを与える波形である。その触覚Bの駆動条件bは、ボタンアイコン29等が押し込まれた後に、そのボタンアイコン29が放されたとき、押下判定閾値Fthと加圧力Fとの関係がFth>Fとなる場合であって、第1段階iで約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[80 8 2]で振動し、同様にして、第2段階iiでは、約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[40 8 2]の振動パターンで振動する。このような振動パターンに基づいて入力検出面を振動すると、サイバースイッチ等の触覚を得ることができる。
【0176】
図18A及びBは、加圧力Fと振動パターンとの関係例(その1)を示す図である。図18Aにおいて、縦軸は加圧力Fであり、入力検出信号S2(二値化後は入力検出情報D2)から得られる。図18Bにおいて、縦軸は振動発生信号Saの振幅[V]である。図18A及びBにおいて、横軸はいずれも時間tである。
【0177】
一般に、ボタンスイッチ操作等において、入力モーションピークが存在する。設計通りの押下速度(操作入力速度)である場合、その加圧力Fは30[gf]乃至240[gf]程度であることが知られている。図18Aに示す加圧力分布波形Iaは、入力装置設計時に基準とした、Z方向への押下速度による加圧力Fを反映したものである。
【0178】
この例で入力検出手段45から得られる入力検出信号S2に対して予め押下判定閾値Fthが設定され、CPU32は、入力検出信号S2の立ち上がり波形が押下判定閾値Fthを横切る時刻t11に第1の振動パターンPaを発生し、入力検出信号S2の立ち下がり波形が押下判定閾値Fthを横切る時刻t21に第2の振動パターンPbを発生するようにメモリ部37を読み出し制御する。
【0179】
このようにすると、入力検出手段45が入力装置設計時に基準とした加圧力Fを検出し、CPU32等が押下判定閾値Fth<加圧力Fを検出したとき、触覚Aを起動することができ、押下判定閾値Fth>加圧力Fを検出したとき、触覚Bを起動することができる。なお、振動パターンPaと振動パターンPbとの間には、無振動の空白期間Tx=T1が設けられる。この空白期間Txは、Z方向への押圧速度に応じて可変するようになされる。
【0180】
図19A及びBは、加圧力Fと振動パターンとの関係例(その2)を示す図である。図19Aにおいて、縦軸は加圧力Fであり、入力検出信号S2(二値化後は入力検出情報D2)から得られる。図19Bにおいて、縦軸は振動発生信号Sa(振幅)である。図19A及びBにおいて、横軸はいずれも時間tである。
【0181】
図19Aに示す加圧力分布波形IIaは、図18Aに示した基準押下速度よりも早くボタンアイコン等を押下した場合の加圧力Fを反映したものである。この例でも、図18Aと同様にして、入力検出手段45から得られる入力検出信号S2に対して予め押下判定閾値Fthが設定され、CPU32は、入力検出信号S2の立ち上がり波形が押下判定閾値Fthを横切る時刻t12に振動パターンPaを発生し、入力検出信号S2の立ち下がり波形が押下判定閾値Fthを横切る時刻t22に振動パターンPbを発生するようにメモリ部37を読み出し制御する。
【0182】
このようにすると、入力検出手段45が基準押下速度よりも早くボタンアイコン等が押下された場合の加圧力Fを検出し、CPU32等が押下判定閾値Fth<加圧力Fを検出したとき、触覚Aを起動することができる。また、CPU32等が押下判定閾値Fth>加圧力Fを検出したとき、触覚Bを起動することができる。なお、振動パターンPaと振動パターンPbとの間には、無振動の空白期間Tx=T2(T2<T1)が設けられる。
【0183】
このように、設計時の押下速度よりも早い押下速度である場合であっても、前半で触覚Aが伝わり、クリック感のある荷重に到達させることができ、その後半で、触覚Bが伝わり、クリック感のあるストロークに到達させることができる。この例で押下判定閾値Fth=100[gf]を設定すると、クラシックスイッチの触覚を得ることができる。
【0184】
続いて、携帯電話機700における情報処理例について説明をする。図20は、第7の実施例に係る携帯電話機700における情報処理例を示すフローチャートである。
【0185】
この例では、携帯電話機700において、第1乃至第6の実施例に係るアクチュエータ機能付きのスピーカー100乃至500,601,602のいずれかをスピーカー36bに備えると共に、操作者の指30aで当該携帯電話機700の表示画面上の入力検出面を押下操作して情報を入力する場合を前提とする。携帯電話機700には、例えば、同一振動モード内において、操作者の指30a等による加圧力Fをパラメータにして波形を加工する機能(アルゴリズム)が備えられる。CPU32は、入力検出情報D2から加圧力Fを算出し、図18Aに示したような駆動条件a,bに対応して判別を行い、その判別結果で、同一の振動モード内において、いかなる種類の入力に対しても、入力動作中の動きに対応した触覚を発生できるようにした。
【0186】
これらを情報処理条件にして、CPU32は、図20に示すフローチャートのステップG1で電源オンを待機する。例えば、CPU32は電源オン情報を検出してシステムを起動する。電源オン情報は通常、時計機能等が稼働し、スリーピング状態にある携帯電話機等の電源スイッチをオンされたときに発生する。
【0187】
そして、ステップG2に移行してCPU32は、アイコン画面を表示するように表示手段29を制御する。例えば、CPU32は、表示手段29に表示データD4を供給して表示画面に入力情報を表示する。表示画面に表示された入力情報は、入力検出面を有した入力検出手段45を通じて目視可能になされる。そして、ステップG3に移行してCPU32は、ボタンアイコン入力モード又はその他の処理モードに基づいて制御を分岐する。ボタンアイコン入力モードとは、ボタンアイコン選択時に入力検出面上のアイコンボタン29等を押下する入力操作をいう。
【0188】
ボタンアイコン入力モードが設定された場合、ボタンアイコン29等が押し込まれるので、ステップG4に移行してCPU32は入力検出情報D2に基づいて加圧力Fを算出する。このとき、力検出手段55a〜55dは、入力検出面における操作者の指30aの押下位置の加圧力Fを検出し、入力検出信号S2をA/Dドライバ31に出力する。A/Dドライバ31は入力検出信号S2をA/D変換し、そのA/D変換後の入力検出情報D2をCPU32に転送する。
【0189】
そして、ステップG5に移行して、CPU32は加圧力Fと押下判定閾値Fthとを比較し、これらの関係がF>Fthとなるか否かを判別する。これらの関係がF>Fthとなる場合は、ステップG6に移行して触覚Aを起動する。触覚Aは、アクチュエータ機能付きのスピーカー36bによって、操作者の指30aの加圧力Fに対応した振動パターンPaに基づいて入力検出面を振動することで得られる。
【0190】
例えば、触覚Aは、図17Aに示した周波数fx、振幅Ax及び回数Nxに関して、第1段階iで約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[50 5 2]の振動パターンで振動し、第2段階iiでは、約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[100 10 2]の振動パターンで振動する。このようにすると、操作者の”加圧力”に合わせた異なる振動パターンを発生させることができる(駆動条件a)。
【0191】
その後、ステップG7に移行してCPU32は更に加圧力Fを検出する。加圧力Fは、力検出手段55a〜55dによってボタンアイコン29の押し込みに続いてボタンアイコン29から離れる状態が検出される。このとき、力検出手段55a〜55dは、入力検出面における操作者の指30aの押下位置から離れるときの加圧力Fを検出し、入力検出信号S2をA/Dドライバ31に出力する。A/Dドライバ31は入力検出信号S2をA/D変換し、そのA/D変換後の入力検出情報D2をCPU32に転送する。
【0192】
そして、ステップG8に移行してCPU32は、加圧力Fと押下判定閾値Fthとを比較し、これらの関係がF<Fthか否かを判別する。これらの関係がF<Fthとなる場合は、触覚Bを起動する。触覚Bは、圧電アクチュエータ100a及び100bによって、操作者の指30aの加圧力Fに対応した振動パターンPbに基づいて入力検出面を振動することで得られる。そのボタンアイコン29が放された触覚Bは、例えば、図17Bに示した第1段階iで約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[80 8 2]の振動パターンで振動し、第2段階iiでは、約0.1秒間、[fx Ax Nx]=[40 8 2]の振動パターンで振動する。このようにすると、操作者の”加圧力”に合わせた異なる振動パターンを発生させることができる(駆動条件b)。
【0193】
その後、ステップG10に移行して入力を確定する。このとき、CPU32は、入力操作面で当該押下位置に表示された入力情報を確定する。そして、ステップG12に移行する。なお、ステップG3で他の処理モードが選択された場合は、ステップG11に移行して他の処理モードを実行する。他の処理モードには、電話モードやメール作成、送信表示モード等が含まれる。電話モードには、相手方に電話を発信する操作が含まれる。ボタンアイコン29等は、電話モード選択時の文字入力項目が含まれる。
【0194】
他の処理モードを実行した後は、ステップG12に移行する。ステップG12でCPU32は終了判断をする。例えば、電源オフ情報を検出して情報処理を終了する。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップG2に戻って、メニュー等のアイコン画面を表示し、上述した処理を繰り返すようになされる。
【0195】
このように、第7の実施例としての触覚機能付きの入力装置を応用した携帯電話機700によれば、本発明に係るアクチュエータ機能付きのスピーカー36bが備えられるので、マグネット84の周囲に可動自在に配されコイル83に音信号を入力すると、レシーバ(受話器)として機能させることができる。
【0196】
また、入力検出手段45の入力操作に基づいて当該コイル83に触覚提示用の低周波数信号(約200Hz)を入力すると、抜け止め用の突起部86c,86d及びハウジング86’から画定された空間領域内でヨーク85自体を磁気結合力によって振動させることができる。従って、操作者の指に触覚を提示できるようになる。しかも、圧電駆動型のアクチュエータに比べてスピーカー機能付きのアクチュエータ36bの小型化及びその消費電力の低減化を図ることができる。
【0197】
因みに、圧電駆動型のアクチュエータは、振動発生データを専用のドライバでアクチュエータ駆動用の高電圧に変換して供給しなければならないが、アクチュエータ機能付きのスピーカー36bであると、映像&音声処理部44で音声信号Sout1と同様に取り扱える。これにより、専用のアクチュエータ駆動回路を持たない、超小型のアクチュエータ機能付きのレシーバ(受話器)を備えた携帯電話機700を提供できるようになる。しかも、触覚機能付きの携帯電話機700のコストダウンを図ることができる。また、表示手段29上の入力検出面における操作者の指30aの押下操作に対応した、アナログスイッチや、サイバースイッチ等の触覚を取得できるようになる。従って、触覚入力機能付きの電子機器のコストダウンに寄与するところが大きい。
【実施例8】
【0198】
図21は、本発明に係る入力装置を備えた第8の実施例としてのビデオカメラ800の構成例を示す斜視図である。
【0199】
図21に示すビデオカメラ800は電子機器の他の一例を構成し、情報入力操作時に操作体(者)に触覚を提示する触覚入力機能付きの電子機器であって、被写体像を撮像し、かつ、周囲の音響を録音するものである。ビデオカメラ800には、第7の実施例で説明した入力装置90を備え、この入力装置90には本発明のアクチュエータ機能付きのスピーカー36bが応用されるものである。
【0200】
ビデオカメラ800は、外装を構成するケース402を有しており、ケース402の前面上部には撮影光学系404が組み込まれたレンズ鏡筒403が設けられている。レンズ鏡筒403の後端には、撮影光学系404によって導かれた被写体像を撮像する撮像素子(不図示)が組み込まれている。
【0201】
ケース402の後面、上面、側面には、電源スイッチ、撮影スタート/ストップスイッチ、ズームスイッチなど種々の操作スイッチ405が設けられている。ケース402の左側面には、タッチパネルディスプレイ装置401がヒンジ406を介して開閉可能にケース402に連結され、不図示の撮像素子で撮像した画像を表示するようになされる。
【0202】
タッチパネルディスプレイ装置401には、第7の実施例で説明した入力装置90及びアクチュエータ機能付きのスピーカー36bが備えられる。
【0203】
例えば、タッチパネルディスプレイ装置401内のスピーカー36bには、図10に示したアクチュエータ機能付きのスピーカー500が使用される。スピーカー36bは、所定の面が開放されたハウジング86’と、このハウジング86’の開放面側に設けられた部材抜け止め用の突起部86c,86dと、ハウジング86’に内包され、少なくとも、矩形状のマグネット84を支持するヨーク85と、巻き軸部を有してハウジング86’の開放面側でマグネット84の周囲に可動自在に配されたコイル83と、中央部がコイル83の巻き軸部の一方の側に取り付けられ、かつ、外縁部がハウジング86’上の縁部に取り付けられた振動板82とを備え、突起部86c,6d及びハウジング86’から画定される空間領域内にヨーク85が可動自在に配置されるものである。
【0204】
この例で、タッチパネルディスプレイ装置401のモニタ用の表示手段29に表示された入力操作用のアイコン画像を指で操作すると、スピーカー36bからクリック音(サイバースイッチ操作音)と共に、表示画面上を触れている操作者の指に触覚を提示するようになされる。この入力操作により、ビデオカメラ800においても、表示手段29に表示されたボタンアイコン等の入力を確定できるようになる。
【0205】
このように、第8の実施例としてのビデオカメラ800によれば、本発明に係る触覚機能付きの入力装置90を備えるので、スピーカー36bのマグネット84の周囲に可動自在に配されコイル83にクリック音信号を入力すると、「ピッ」という効果音(クリック音)を発生させることができ、使用者の機器の操作に応じて、比較的音量の小さな効果音を出力するクリック音出力用のスピーカーとして機能させることができる。
【0206】
また、入力検出手段45の入力操作に基づいて当該コイル83に触覚提示用の低周波数信号(約200Hz)を入力すると、抜け止め用の突起部86c,86d及びハウジング86’から画定された空間領域内でヨーク85を磁気結合力によって振動させることができる。
【0207】
従って、ビデオカメラ800を操作する者の指に触覚を提示できるようになる。これにより、超小型のアクチュエータ機能付きのスピーカー36bを搭載した触覚機能付きの入力装置90を備える電子機器を提供できるようになる。しかも、スピーカー36bとアクチュエータとが兼用されるので、電子機器の小型化を図ることができる。
【0208】
上述の例では、電子機器に関して、触覚機能付きの入力装置を応用したスライドタイプの携帯電話機700及びビデオカメラ800について説明したが、これらに限られることはなく、通常の2軸ヒンジタイプの携帯電話機や、ストレートタイプの携帯電話機、上部筐体10及び下部筐体20の両方に表示画面を備えた携帯端末装置、デジタルカメラ等に適用できることは言うまでもない。
【実施例9】
【0209】
図22は、本発明に係る入力装置を備えた第9の実施例としてのモバイルパソコン900の構成例を示す斜視図である。
【0210】
図22に示すモバイルパソコン900は電子機器の他の一例を構成し、情報入力操作時に操作体(者)に触覚を提示する触覚入力機能付きの電子機器であって、音声及び映像処理を始め、各種データ処理をするものである。もちろん、被写体像を撮像し、かつ、周囲の音響を録音することもできる。モバイルパソコン900には、第7の実施例で説明した触覚機能付きの入力装置90を備え、この入力装置90には本発明のアクチュエータ機能付きのスピーカー36bが応用されるものである。
【0211】
モバイルパソコン900は、左右にグリップ部9a,9bを有したトレイ状を成す下部筐体901と、トレイ上面を摺動可能な上部筐体902とを備えている。これらの筐体901及び902間は、例えば、ヒンジ機構91によって摺動(回動)自在に係合されている。このヒンジ機構91によれば、下部筐体901の操作面の所定の位置に設けられた図示しない摺動部と、上部筐体902の裏面の一端に設けられた図示しない嵌合受け部とがスライド自在に係合され、上部筐体902は下部筐体901に対して所定の移動距離だけ摺動自由度を有して面結合されている。
【0212】
下部筐体901の上面には、マトリクス状に配置された複数の押しボタンスイッチ92から成る操作パネル98が設けられる。押しボタンスイッチ92は、「あ」〜「ん」のひらがなキー、「A」〜「Z」のアルファベットキー、「0」〜「9」数字キー、「*」や「#」等の記号キー、「オン」や「オフ」等のフックボタン、メニューキー等から構成される。下部筐体901の前面外側にはUSB端子などのコネクタ99が配置され、外部機器と通信処理が可能なようになされている。
【0213】
また、下部筐体901の内側上部には、モジュール型のアンテナ96が取り付けられ、その内側上部周辺には、図示しない大音響用のスピーカーが設けられ、着信メロディや映像データに付加された音声(音楽)等を放音するようになされる。下部筐体901の内部にはヒンジ機構91の他に回路基板97が設けられる。下部筐体901の左側のグリップ部9aには、バッテリー94が内蔵され、回路基板97や表示手段29等へ電源が供給される。その右側のグリップ部9bには、通話用のマイクロフォン93が取り付けられ、送話器として機能するようになされる。
【0214】
上述の下部筐体901に対して、ヒンジ機構91によってスライド自在に係合された上部筐体902には、表示手段29が設けられる。表示手段29にはカメラ34が取り付けられ、被写体像を撮像するように操作される。上部筐体902の表面の、例えば、左上方には超小型のアクチュエータ機能付きのスピーカー36bが設けられ、通話用のレシーバ(受話器)と触覚提示用のアクチュエータの機能を兼ね備えている。スピーカー36bには、本発明に係るアクチュエータ機能付きのスピーカー100乃至500,601,602のいずれかが適用される。
【0215】
例えば、スピーカー36bには、図10に示したアクチュエータ機能付きのスピーカー500が使用される。スピーカー36bは、所定の面が開放されたハウジング86’と、このハウジング86’の開放面側に設けられた部材抜け止め用の突起部86c,86dと、ハウジング86’に内包され、少なくとも、矩形状のマグネット84を支持するヨーク85と、巻き軸部を有してハウジング86’の開放面側でマグネット84の周囲にスライド自在に配されたコイル83と、中央部がコイル83の巻き軸部の一方の側に取り付けられ、かつ、外縁部がハウジング86’上の縁部に取り付けられた振動板82とを備え、突起部86c,6d及びハウジング86’から画定される空間領域内にヨーク85がスライド自在に配置されるものである。
【0216】
上部筐体902のスピーカー取付け面の下方には、触覚機能付きの入力装置90が設けられる。入力装置90は、入力検出手段45及び表示手段29を有しており、表示画面上の入力検出面における操作体の押下操作に対して触覚を与える(提示する)ものである。表示手段29には、複数のボタンアイコン等の入力情報が表示される。この例でも、表示手段29に表示された入力操作用のアイコン画像を指で操作すると、スピーカー36bからクリック音(サイバースイッチ操作音)と共に、表示画面上を触れている操作者の指に触覚を提示するようになされる。この入力操作により、モバイルパソコン900においても、表示手段29に表示されたボタンアイコン等の入力を確定できるようになる。
【0217】
このように、第9の実施例としてのモバイルパソコン900によれば、本発明に係る触覚機能付きの入力装置90を備えるので、スピーカー36bのマグネット84の周囲にスライド自在に配されコイル83にクリック音信号を入力すると、「ピッ」という効果音(クリック音)を発生させることができ、使用者の機器の操作に応じて、比較的音量の小さな効果音を出力するクリック音出力用のスピーカーとして機能させることができる。
【0218】
また、入力検出手段45の入力操作に基づいて当該コイル83に触覚提示用の低周波数信号(約200Hz)を入力すると、抜け止め用の突起部86c,86d及びハウジング86’から画定された空間領域内でヨーク85を磁気結合力によって振動させることができる。
【0219】
従って、モバイルパソコン900を操作する者の指に触覚を提示できるようになる。これにより、超小型のアクチュエータ機能付きのスピーカー36bを搭載した触覚機能付きの入力装置90を備えたモバイルパソコン900を提供できるようになった。しかも、スピーカー36bとアクチュエータとが兼用されるので、モバイルパソコン900の小型化を図ることができる。
【0220】
この例では、上部筐体902のスピーカー36bに関して、第5の実施例で説明したアクチュエータ機能付きのスピーカー500を用いる場合について説明したが、これに限られることはなく、第1乃至第3の実施例で説明した円柱状のアクチュエータ機能付きのスピーカー100乃至300を使用してもよい。スピーカー100乃至300は、比較的、取り付けスペースに余裕が有る表示手段29の背面や、もちろん、携帯型のゲーム機、電子辞書等の情報処理装置や、デスクトップ型のパーソナルコンピュータに適用してもよい。
【実施例10】
【0221】
図23は、本発明に係る入力装置を備えた第10の実施例としての非折畳み式の携帯電話機1000の構成例を示す斜視図である。
【0222】
図23に示す携帯電話機1000は電子機器の他の一例を構成し、情報入力操作時に操作体(者)に触覚を提示する触覚入力機能付きの電子機器であって、図12に示した電話機能の他に、音声及び映像処理を始め、各種データ処理をするものである。もちろん、被写体像を撮像し、かつ、周囲の音響を録音することもできる。携帯電話機1000には、第7の実施例で説明した触覚機能付きの入力装置90を備え、この入力装置90には本発明のアクチュエータ機能付きのスピーカー36bが応用されるものである。
【0223】
携帯電話機1000は、単体の筐体1001を備えている。筐体1001の表面の中央左上方には超小型のアクチュエータ機能付きのスピーカー36bが設けられ、通話用のレシーバ(受話器)と触覚提示用のアクチュエータの機能を兼ね備えている。スピーカー36bには、本発明に係るアクチュエータ機能付きのスピーカー100乃至500,601,602のいずれかが適用される。
【0224】
例えば、スピーカー36bには、図10に示したアクチュエータ機能付きのスピーカー500が使用される。スピーカー36bは、所定の面が開放されたハウジング86’と、このハウジング86’の開放面側に設けられた部材抜け止め用の突起部86c,86dと、ハウジング86’に内包され、少なくとも、矩形状のマグネット84を支持するヨーク85と、巻き軸部を有してハウジング86’の開放面側でマグネット84の周囲にスライド自在に配されたコイル83と、中央部がコイル83の巻き軸部の一方の側に取り付けられ、かつ、外縁部がハウジング86’上の縁部に取り付けられた振動板82とを備え、突起部86c,6d及びハウジング86’から画定される空間領域内にヨーク85がスライド自在に配置されるものである。
【0225】
筐体1001のスピーカー取付け面の下方、すなわち、筐体1001の前面のほぼ全領域には、触覚機能付きの入力装置90が設けられる。入力装置90は、入力検出手段45及び表示手段29を有しており、表示画面上の入力検出面における操作体の押下操作に対して触覚を与える(提示する)ものである。
【0226】
この例で、表示手段29は表示領域が2つに分割され、その上部表示領域には、複数のボタンアイコン等の入力情報が表示され、下部表示領域には、操作パネル98が表示される。この例でも、表示手段29に表示された入力操作用のアイコン画像を指で操作すると、スピーカー36bからクリック音(サイバースイッチ操作音)と共に、表示画面上を触れている操作者の指に触覚を提示するようになされる。この入力操作により、携帯電話機1000においても、表示手段29に表示されたボタンアイコン等の入力を確定できるようになされている。
【0227】
この例で、表示手段29に表示される操作パネル98は、複数の押しボタンスイッチ92から構成される。例えば、押しボタンスイッチ92は、「0」〜「9」数字キー、「*」や「#」等の記号キー、「オン」や「オフ」等のフックボタン、メニューキー等から構成される。表示手段29の背面にはカメラ34が取り付けられ、被写体像を撮像するように操作される。筐体1001の上面下方には、通話用のマイクロフォン93が取り付けられ、送話器として機能するようになされる。
【0228】
なお、筐体1001の前面外側にはUSB端子などのコネクタ99が配置され、外部機器と通信処理が可能なようになされている。筐体1001の内側には、モバイルパソコン900のように、モジュール型のアンテナ96が取り付けられ、その内側周辺には、図示しない大音響用のスピーカーが設けられ、着信メロディや映像データに付加された音声(音楽)等を放音するようになされる。筐体1001の内部には回路基板97が設けられる。更に筐体内には、バッテリー94が内蔵され、回路基板97や表示手段29等へ電源が供給される。
【0229】
このように、第10の実施例としての携帯電話機1000によれば、本発明に係る触覚機能付きの入力装置90を備えるので、スピーカー36bのマグネット84の周囲にスライド自在に配されコイル83にクリック音信号を入力すると、「ピッ」という効果音(クリック音)を発生させることができ、使用者の機器の操作に応じて、比較的音量の小さな効果音を出力するクリック音出力用のスピーカーとして機能させることができる。
【0230】
また、入力検出手段45の入力操作に基づいて当該コイル83に触覚提示用の低周波数信号(約200Hz)を入力すると、抜け止め用の突起部86c,86d及びハウジング86’から画定された空間領域内でヨーク85を磁気結合力によって振動させることができる。
【0231】
従って、携帯電話機1000を操作する者の指に触覚を提示できるようになる。これにより、超小型のアクチュエータ機能付きのスピーカー36bを搭載した触覚機能付きの入力装置90を備えた携帯電話機1000を提供できるようになった。しかも、スピーカー36bとアクチュエータとが兼用されるので、携帯電話機1000の小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0232】
この発明は、入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力する際に触覚を提示する情報処理装置や、携帯電話機、携帯端末装置等に適用して極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0233】
【図1】本発明に係る振動体を適用した第1の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー100の構成例を示す上面一部破砕の斜視図である。
【図2】アクチュエータ機能付きのスピーカー100の正面の構成例を補足する断面図である。
【図3】アクチュエータ機能付きのスピーカー100の組立例を示す分解斜視図である。
【図4】アクチュエータ機能付きのスピーカー100に関する本発明と従来例との比較例を示す入力−出力特性図である。
【図5】第2の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー200の構成例を示す正面の断面図である。
【図6】第3の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー300の構成例を示す正面の断面図である。
【図7】第4の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー400の構成例を示す斜視図である。
【図8】アクチュエータ機能付きのスピーカー400の組立例を示す分解斜視図である。
【図9】アクチュエータ機能付きの角型のスピーカー400’の通電時のコイル推力遷移例を示す図である。
【図10】第5の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー500の構成例を示す正面の断面図である。
【図11】(A)及び(B)は、第6の実施例としてのアクチュエータ機能付きのスピーカー601,602の部材抜け止め用の突出部材の構成例を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る入力装置90を備えた第7の実施例としての触覚機能付きの携帯電話機700の構成例を示す斜視図である。
【図13】触覚機能付きの入力装置90の構成例を示す斜視図である。
【図14】上部筐体20におけるスピーカー36bの取付例(その1)を示す上面図である。
【図15】上部筐体20におけるスピーカー36bの取付例(その2)を示す断面図である。
【図16】携帯電話機700の制御系の構成例及びその感触フィードバック機能例を示すブロック図である。
【図17】(A)及び(B)は触覚A及びBに係る振動パターン例を示す波形図である。
【図18】(A)及び(B)は、加圧力Fと振動パターンとの関係例(その1)を示す図である。
【図19】(A)及び(B)は、加圧力Fと振動パターンとの関係例(その2)を示す図である。
【図20】第7の実施例に係る携帯電話機700における情報処理例を示すフローチャートである。
【図21】本発明に係る入力装置を備えた第8の実施例としてのビデオカメラ800の構成例を示す斜視図である。
【図22】本発明に係る入力装置を備えた第9の実施例としてのモバイルパソコン900の構成例を示す斜視図である。
【図23】本発明に係る入力装置を備えた非折畳み式の第10の実施例としての触覚機能付きの携帯電話機1000の構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0234】
2,82・・・振動板、3,83・・・コイル、4,84・・・マグネット(磁性体)、5,85・・・ヨーク(支持部材)、6,86・・・ハウジング部(部材収納部)、6c,6d,86c,86d・・・抜け止め用の突起部(突出部材)、7,87・・・電極引出部、7a,7b,87a,87b・・・引出電極、8a,8b,88a,88b・・・メッシュシール、9,89a,89b・・・おもり、10,1001・・・筐体、11・・・回転レンジ機構、15・・・制御手段、20・・・筐体、21・・・受信部、22・・・送信部、24・・・入力手段、29・・・表示手段、32・・・CPU(制御手段)、35・・・記憶手段、36a・・・スピーカー、36b・・・アクチュエータ機能付きのスピーカー(振動体)、44・・・映像&音声処理部、45・・・入力検出手段、55a〜55c・・・力検出センサ、90・・・触覚機能付きの入力装置、100〜500,601,602・・・アクチュエータ機能付きのスピーカー(振動体)、700,1000・・・携帯電話機(電子機器)、800・・・ビデオカメラ(電子機器)、900・・・モバイルパソコン(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の面が開放された部材収納部と、
前記部材収納部の開放面側に設けられた部材抜け止め用の突出部材と、
前記部材収納部に内包され、少なくとも、所定形状の磁性体を支持する支持部材と、
巻き軸部を有して前記部材収納部の開放面側で前記磁性体の周囲に可動自在に配されたコイルと、
中央部が前記コイルの巻き軸部の一方の側に取り付けられ、かつ、外縁部が前記部材収納部上の縁部に取り付けられた振動板とを備え、
前記突出部材及び前記部材収納部から画定される空間領域内に前記支持部材が可動自在に配置されることを特徴とする振動体。
【請求項2】
前記突出部材には、
所定の部位に開口部を有する蓋部材が使用されることを特徴とする請求項1に記載の振動体。
【請求項3】
前記支持部材は、前記磁性体を載置固定するための有底状の凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の振動体。
【請求項4】
前記支持部材は、前記磁性体を載置固定するための有底状の凹部を有し、かつ、前記凹部の所定の位置に開口部を有することを特徴とする請求項1に記載の振動体。
【請求項5】
前記支持部材は、無底状を有しており、前記磁性体を側面で支持固定することを特徴とする請求項1に記載の振動体。
【請求項6】
前記支持部材には、重さ調整用のおもりが設けられることを特徴とする請求項1に記載の振動体。
【請求項7】
前記部材収納部内において、前記支持部材の下方に隙間部材が設けられることを特徴とする請求項1に記載の振動体。
【請求項8】
前記部材収納部には磁性部材が使用されることを特徴とする請求項1に記載の振動体。
【請求項9】
前記部材収納部に非磁性部材が使用される場合は、
前記磁性体と対峙する側の前記部材収納部の底面に磁性部材が設けられることを特徴とする請求項1に記載の振動体。
【請求項10】
情報入力操作時に操作体に触覚を提示する触覚機能付きの入力装置であって、
入力検出手段と、
前記入力検出手段の入力操作に基づいて前記操作体に触覚を提示する振動体とを備え、
前記振動体は、
前記部材収納部の開放面側に設けられた部材抜け止め用の突出部材と、
前記部材収納部に内包され、少なくとも、所定形状の磁性体を支持する支持部材と、
巻き軸部を有して前記部材収納部の開放面側で前記磁性体の周囲に可動自在に配されたコイルと、
中央部が前記コイルの巻き軸部の一方の側に取り付けられ、かつ、外縁部が前記部材収納部上の縁部に取り付けられた振動板とを備え、
前記突出部材及び前記部材収納部から画定される空間領域内に前記支持部材が可動自在に配置されることを特徴とする触覚機能付きの入力装置。
【請求項11】
前記振動体は、
前記筐体の内側に設けられる入力手段又は及び表示手段の側面に当接されることを特徴とする請求項10に記載の触覚機能付きの入力装置。
【請求項12】
前記入力検出手段によって操作される入力項目選択用の表示画面を表示する表示手段を備え、
前記入力検出手段は、
前記表示画面上で入力操作する前記操作者の接触位置を検出し、
前記振動体は、
前記入力検出手段から得られる位置情報に基づいて前記表示画面を側面方向から振動することを特徴とする請求項10に記載の触覚機能付きの入力装置。
【請求項13】
情報入力操作時に操作体に触覚を提示する触覚入力機能付きの電子機器であって、
入力検出手段と、
前記入力検出手段の入力操作に基づいて前記操作体に触覚を提示する振動体とを有する触覚機能付きの入力装置を備え、
前記振動体は、
前記部材収納部の開放面側に設けられた部材抜け止め用の突出部材と、
前記部材収納部に内包され、少なくとも、所定形状の磁性体を支持する支持部材と、
巻き軸部を有して前記部材収納部の開放面側で前記磁性体の周囲に可動自在に配されたコイルと、
中央部が前記コイルの巻き軸部の一方の側に取り付けられ、かつ、外縁部が前記部材収納部上の縁部に取り付けられた振動板とを備え、
前記突出部材及び前記部材収納部から画定される空間領域内に前記支持部材が可動自在に配置されることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−278376(P2008−278376A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121785(P2007−121785)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】