説明

振動板、およびそれを備えたスピーカー装置

【課題】振動板に偏肉構造を設けることで、高域再生拡大を図りつつ、音圧周波数特性の乱れを低減することができるスピーカー装置を提供する。
【解決手段】スピーカー装置は、振動板102に内周側から外周側に放射状に複数の肉厚部を設けた。肉厚部は、振動板102の中心から放射方向における長さが異なる長肉厚部111と短肉厚部112とを備え、かつ、放射方向に内周側から外周側に向けて徐々に厚みが薄くなるように形成することにより、入力信号に忠実に音響再生することができる。また、振動板102の内周側の肉厚を外周側の肉厚よりも厚くしているので、振動板102の内周側の強度を高めることができ、振動板102の内周側の歪みによる分割振動を低減することができる。したがって、スピーカー装置の高域の音圧を増加させることができ、高域側の広帯域化が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示は、振動板、およびそれを備えたスピーカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスピーカー装置は、主に磁気回路やボイスコイルを具備した駆動系と、空気を振動させるための振動板と、振動板を支える支持系とを備えている。上記のような構成を有するスピーカー装置として、コーン型スピーカー装置(低音再生用、フルレンジ再生用など)や、ドーム型スピーカー(高音再生用)が一般的に知られている。
【0003】
特許文献1は、コーン型の振動板に肉厚の異なる部位を数箇所設け、音圧周波数特性の乱れ、特に高域部を改良する技術を開示している。
【0004】
特許文献2は、振動板の軽量化のためにコーン型振動板の中央部から外周側にかけ徐々に薄くする技術を開示している。
【0005】
このように、従来のスピーカー装置は、振動板の改良を施すことにより、良質な音楽を再生することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−123779号公報
【特許文献2】特開昭60−47597号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】山本武夫著「スピーカー・システム」ラジオ技術社 1977年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1に示すように、一般的なコーン型スピーカー装置用の振動板に中域(約2kHz)から高域(約20kHz)の周波数を有する振動が加わると、分割振動が発生することがあり、出力される音声の音質が悪化するという問題があった。具体的には、従来の振動板は、外周側における強度が不足していたため、中域の音声が入力されると外周側において円周方向の分割振動が発生していた。また、従来の振動板は、内周側における強度が不足していたため、高域の音声が入力されると内周側において円周方向の分割振動が発生していた。また、中域及び高域における特定周波数では、放射方向の分割振動が発生することがあった。これらの影響により、従来のスピーカー装置では、音圧周波数特性において大きなピークや大きなディップが発生し、音声の乱れを生じる問題があった。なお、「分割振動」とは、振動板が撓みながら振動する動作のことである。
【0009】
また、特許文献1が開示している振動板は、肉厚部の長さが一定であり、かつ肉厚部を除く部位では外周側から内周側になるにつれ徐々に薄くなっている。このような構成では、音圧周波数特性の乱れは低減するが、振動板の内周側の強度が低下することにより、高域の音圧が低減するので、高域における再生帯域の拡大に適さないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願に開示する振動板は、内周側から外周側に放射状に複数の肉厚部を備え、前記肉厚部は、放射方向の長さが異なる少なくとも2種類の肉厚部を備え、前記放射方向に内周側から外周側に向けて徐々に厚みが薄くなるように形成されている。
【0011】
本願に開示するスピーカー装置は、マグネットと、入力される電流と前記マグネットが発生する磁束とに作用して所定方向に変位可能な可動コイルと、前記可動コイルとともに前記所定方向に変位可能な振動板とを備え、前記振動板に内周側から外周側に放射状に複数の肉厚部を備え、前記肉厚部は、放射方向の長さが異なる少なくとも2種類の肉厚部を備え、前記放射方向に内周側から外周側に向けて徐々に厚みが薄くなるように形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本願の開示によれば、入力される音声信号をできるだけ忠実に再生することができ、音質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態にかかるスピーカー装置の斜視図
【図2】実施の形態にかかるスピーカー装置の端面図
【図3】実施の形態にかかる振動板の一例を示す平面図
【図4】振動板における長肉厚部の断面図
【図5】振動板における短肉厚部の断面図
【図6】振動板の変形例を示す平面図
【図7】振動板の変形例を示す平面図
【図8】実施の形態にかかるスピーカー装置の周波数特性図
【図9】実施の形態にかかる振動板の一例を示す平面図
【図10】従来のスピーカー装置の振動板を示す平面図
【図11】従来のスピーカー装置の周波数特性図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態)
〔1.スピーカー装置の構成〕
図1は、実施の形態にかかるスピーカー装置の斜視図である。図2は、図1におけるZ−Z部の端面図である。
【0015】
スピーカー装置100は、ボイスコイル101、振動板102、ダストキャップ103、エッジ部材104、ダンパー部材105、マグネット106、トッププレート107、ボトムプレート108、およびフレーム109を備えている。
【0016】
ボイスコイル101は、矢印AまたはBに示す方向へ変位可能に、ボトムプレート108に支持されている。ボイスコイル101は、巻線部を備え、巻線部はマグネット106の磁界に配置されている。ボイスコイル101は、一方の端部に振動板102が固定されている。ボイスコイル101は、端子101aを備えている。端子101aを通して外部からボイスコイル101に電流(音声信号)を流すと、ボイスコイル101とマグネット106が発生する磁束との間に電磁力が働き、ボイスコイル101は矢印AまたはBに示す方向へ変位する。ボイスコイル101は、端子101aに交流電流が入力されることで、交流電流の向きに応じて矢印A及びBに示す方向へ往復変位(振動)する。
【0017】
振動板102は、略円錐形状に形成されている。振動板102は、ボイスコイル101に固定されているため、ボイスコイル101の変位(振動)に伴って矢印AまたはBに示す方向へ変位(振動)する。振動板102は、矢印AまたはBに示す方向へ変位(振動)することにより、近傍の空気を振動させて空中に音波を放射する。振動板102は、樹脂、パルプ、金属、グラスファイバーなどで形成することができ、本実施の形態では雲母を配合したポリプロピレンで形成したが、振動板102の材質はこれらに限定されない。なお、振動板102の形状は、本実施の形態では真円形を含む円錐形状としたが、楕円形を含む円錐形状や、角錐形状であってもよい。また、図2に示す一点鎖線Cは、スピーカー装置の中心線であり、スピーカー装置に備わる各部材において中心線Cに近い側を「内周側」と定義し、中心線Cから遠い側を「外周側」と定義する。「内周側」は、例えば振動板102における中心線Cに近い側の端部およびその近傍を含む。「外周側」は、例えば振動板102における中心線Cから遠い側の端部およびその近傍を含む。
【0018】
ダストキャップ103は、樹脂や金属等で半球形状に形成された部材である。ダストキャップ103は、振動板102の振動を安定化させるために、振動板102の内周側に固定されている。ダストキャップ103は、外部からの異物の混入を防止するために、振動板102の内周側に形成された開口部を閉塞している。なお、ダストキャップ103の材質や形状は一例である。
【0019】
エッジ部材104は、樹脂等で環状に形成された部材である。エッジ部材104は、内周側が振動板102に固定され、外周側がフレーム109に固定されている。エッジ部材104は、振動板102の必要な変位(振動)を妨げないように軟質材料で形成されていることが好ましい。エッジ部材104は、振動板102の振動を安定させる。なお、エッジ部材104の材質や形状は一例である。
【0020】
ダンパー部材105は、樹脂等で円盤状に形成された部材である。ダンパー部材105は、蛇腹形状を有する、ダンパー部材105は、内周側がボイスコイル101に固定され、外周側がフレーム109に固定されている。ダンパー部材105は、振動板102の必要な変位(振動)を妨げないように軟質材料で形成されていることが好ましい。ダンパー部材105は、振動板102の振動を安定化させる。なお、ダンパー部材105の材質や形状は一例である。
【0021】
マグネット106は、ボトムプレート108に固定されている。マグネット106は、永久磁石を用いることが好ましく、例えばフェライト磁石やネオジウム磁石等を用いることができる。マグネット106は、環状に形成され、内周側の開口部にボイスコイル101の一部とボトムプレート108の一部とが配置されている。
【0022】
トッププレート107は、マグネット106に固定されている。
【0023】
ボトムプレート108は、スピーカー装置100の最下部に配置され、内周側の中央部に形成された円柱状の突起部108aにボイスコイル101を支持している。
【0024】
フレーム109は、マグネット106、トッププレート107、ボトムプレート108で構成される駆動系と、振動板102とを固定する。
【0025】
図1及び図2に示すスピーカー装置100において、端子101aに交流電流(音声信号)が入力されると、ボイスコイル101は、入力される交流電流とマグネット106が発生している磁束とに基づき電磁力が作用し、矢印A及びBに示す方向へ変位する。振動板102は、ボイスコイル101に固定されているため、ボイスコイル101の変位に伴って矢印A及びBに示す方向へ変位する。振動板102が矢印A及びBに示す方向へ変位することにより、振動板102の周辺の空気が振動し、音声が出力される。すなわち、振動板102は、空気を振動させることで空中に音波を放射する。
【0026】
〔2.振動板102の構成〕
図3は、振動板102の平面図である。図4は、図3におけるX−X部の断面図である。図5は、図3におけるY−Y部の断面図である。
【0027】
振動板102は、肉薄部110、長肉厚部111、および短肉厚部112を備えている。
【0028】
肉薄部110は、厚さが均一である。肉薄部110は、主に振動板102の外周側に備わる。
【0029】
長肉厚部111は、図3に示すように、振動板102の中心Cから放射方向(放射状)に形成されている。長肉厚部111は、本実施の形態では等間隔に4本備えたが、本数や間隔寸法については本実施の形態の構成に限らない。長肉厚部111は、長肉厚部111の内周側から外周側にかけての長さL1は、短肉厚部112の内周側から外周側にかけての長さL11より長い。長肉厚部111は、図4に示すように、振動板102の表面102aに形成されている。長肉厚部111は、厚さT1が内周側から外周側にかけて徐々に薄くなっている。長肉厚部111は、外周側が肉薄部110の厚さT2と同一である。なお、長肉厚部111の長さL1及び厚さT1は、所望の周波数特性や他の部材の仕様によって、任意の寸法とすることができる。
【0030】
短肉厚部112は、図3に示すように、振動板102の中心Cから放射方向(放射状)に形成されている。短肉厚部112は、本実施の形態では等間隔に4本備えたが、本数や間隔寸法については本実施の形態の構成に限らない。短肉厚部112は、図5に示すように、振動板102の表面102aに形成されている。短肉厚部112は、厚さT11が内周側から外周側にかけて徐々に薄くなっている。短肉厚部112は、外周側が肉薄部110の厚さT2と同一である。なお、短肉厚部112の長さL11及び厚さT11は、所望の周波数特性や他の部材の仕様によって、任意の寸法とすることができる。
【0031】
なお、本明細書に記載している「徐々に薄く」とは、図4に示すように振動板102の厚さが内周側から外周側にかけて連続的に小さくなっている形状に限らず、振動板102の厚さが内周側から外周側にかけて段階的に小さくなっている形状(階段状)を含む。
【0032】
また、本実施の形態では、長肉厚部111と短肉厚部112は、振動板102の表面102aに形成されているが、振動板102の裏面102b(表面102aの裏側)に形成しても同様の効果が得られる。また、長肉厚部111と短肉厚部112のうち、いずれか一方を振動板102の表面102aに形成し、他方を振動板102の裏面102bに形成しても、同様の効果が得られる。
【0033】
また、長肉厚部111及び短肉厚部112の数は、本実施の形態ではそれぞれ4カ所としたが、少なくとも1カ所に備わっていればよい。
【0034】
また、長肉厚部111及び短肉厚部112の数は、本実施の形態では偶数としたが、奇数であってもよい。例えば、図6に示すように、長肉厚部111が2つ、短肉厚部112が1つという構成でもよい。なお、図6は、振動板102の変形例を示す平面図である。
【0035】
また、長肉厚部111及び短肉厚部112は、本実施の形態では中心Cを通る線分を中心に対称となる位置に配置されてもよいし、非対称となる位置に配置されていてもよい。
【0036】
また、長肉厚部111及び短肉厚部112は、振動板102のサイズや材質に応じて任意に設定することができる。例えば、図7に示すように、長肉厚部111は、第1の長肉厚部111aと、第1の長肉厚部111aよりも短い第2の長肉厚部111bとを備えた構成としてもよい。なお、図7は、振動板102の変形例を示す平面図である。
【0037】
また、長肉厚部111は、図3に示す構成では振動板102の外周側の端部の近くまで形成されているが、振動板102の外周側の端部に到るまで形成してもよい。
【0038】
以下、本実施の形態の振動板102の動作を説明する。
【0039】
本実施の形態の振動板102は、内周側から外周側まで長肉厚部111を備えていることにより、内周側から外周側まで機械的に補強された構成となっている。すなわち、振動板102は、長肉厚部111により強度が高められている。このような構成とすることにより、振動板102の外周側に発生する分割振動を低減することができる。
【0040】
また、振動板102は、短肉厚部112を備えていることにより、内周側が機械的に補強された構成となっている。すなわち、振動板102は、短肉厚部112によって強度が高められている。このような構成とすることにより、振動板102の内周側に発生する分割振動を低減することができる。
【0041】
さらに、振動板102は、長肉厚部111と短肉厚部112の厚さが内周側から外周側にかけて徐々に薄くなるように形成しているため、内周側と外周側の強度が異なる。このような構成とすることにより、振動板102において放射状方向に発生する分割振動を低減することができる。
【0042】
本実施の形態の振動板102は、内周側から外周側にかけて徐々に薄くなる長肉厚部111と短肉厚部112とを備えているので、外周側、内周側、および放射状方向に発生する分割振動を低減することができる。
【0043】
図8は、本実施の形態のスピーカー装置100の周波数特性を示すグラフである。図9は、図8に示す周波数特性を得たスピーカー装置100に備わる振動板102の平面図である。図9に示す振動板102は、雲母を配合したポリプロピレンで形成した。図9に示す振動板102の最外径R1は、47.0mmとした。相対向する長肉厚部111の端部間隔R2は、42.0mmとした。相対向する短肉厚部112の端部間隔R3は、33.0mmとした。長肉厚部111と短肉厚部112との間の肉厚部の端部間隔R4は、25.0mmとした。長肉厚部111の先端部分の幅寸法W1は、5.1mmとした。長肉厚部111の根元部分の幅寸法W2は、8.0mmとした。短肉厚部112の先端部分の幅寸法W3は、5.1mmとした。短肉厚部112の根元部分の幅寸法W4は、8.0mmとした。長肉厚部111における最も厚い部分の厚さT1(図4参照)は、0.35mmとした。短肉厚部112における最も厚い部分の厚さT11(図5参照)は、0.35mmとした。肉薄部110の厚さT2(図4及び図5参照)は、0.2mmとした。なお、上記の寸法は一例である。
【0044】
一方、図10は、長肉厚部及び短肉厚部を備えていない振動板202の平面図である。振動板202は、全体的に均一の厚さを有する肉薄部210で形成されている。振動板202の最外径R11は、47.0mmとした。図11は、図10に示す振動板202を搭載したスピーカー装置の周波数特性を示すグラフである。
【0045】
図10に示す振動板202を備えたスピーカー装置は、図11に示すように中域(約2kHz)から高域(約20kHz)までの間の帯域において振動板202に分割振動が発生し、大きなピークと大きなディップが発生している。これに対し、図9に示す振動板202を備えたスピーカー装置は、図8に示すように中域から高域の間の帯域において分割振動が低減され、音圧のピークとディップが低減されている。
【0046】
すなわち、本実施の形態の振動板102は、長肉厚部111を備えたことにより、振動板102の外周側の強度を向上できるため、外周側において円周方向に発生する分割振動を低減することができる。したがって、中域の周波数特性を改善することができる。また、本実施の形態の振動板102は、短肉厚部112を備えたことにより、振動板102の内周側の強度を向上できるため、内周側において円周方向に発生する分割振動を低減することができる。したがって、高域の周波数特性を改善することができる。また、本実施の形態の振動板102は、長肉厚部111及び短肉厚部112を内周側から外周側へ向かって徐々に薄くなるように形成したことにより、振動板102の放射方向に発生する分割振動を低減することができるので、中域及び高域の周波数特性を改善することができる。
【0047】
〔3.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態では、振動板102に長肉厚部111及び短肉厚部112を備えることにより、振動板102の強度を高めることができ、振動板102の歪みによる分割振動を低減することができる。したがって、振動板102が音声を発生する際の動作を安定させることができ、スピーカー装置の音圧の乱れを低減することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、振動板102の内周側の肉厚を外周側の肉厚よりも厚くしているので、振動板102の内周側の強度を高めることができ、振動板102の内周側の歪みによる分割振動を低減することができる。したがって、スピーカー装置の高域の音圧を増加させることができ、高域側の広帯域化が図れる。
【0049】
また、本実施の形態では、振動板102を樹脂で形成したことにより、射出成型などの成型法を用いて容易に作製することができる。したがって、本実施の形態の振動板102は、量産性に優れる。
【0050】
また、長肉厚部111及び短肉厚部112は、先端部分の幅寸法を根元部分の幅寸法よりも小さくしたことにより、先端部分と根元部分との間の部分が金型から振動板102を抜く際の抜き勾配として作用するため、成型直後の振動板102を金型から抜き取りやすくすることができる。
【0051】
なお、本実施の形態の振動板102は、図9に示すように長肉厚部111の先端部分の幅寸法W1を根元部分の幅寸法W2よりも小さくなる形状としたが、幅寸法W1と幅寸法W2とが同じ寸法となる形状としてもよい。また、短肉厚部111の先端部分の幅寸法W3を根元部分の幅寸法W4よりも小さくなる形状としたが、幅寸法W3と幅寸法W4とが同じ寸法となる形状としてもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、長肉厚部111及び短肉厚部112を振動板102の表面102aに形成したが、裏面102bに形成することにより長肉厚部111及び短肉厚部112を目立ちにくくすることができる。すなわち、振動板102は、スピーカー装置100に搭載されたとき表面102aが外部に露出するため、長肉厚部111及び短肉厚部112を裏面102bに形成することで目立ちにくくすることができるため、好ましい。
【0053】
また、本実施の形態は、振動板に偏肉構造を設けることで、高域再生拡大を図りつつ、音圧周波数特性の乱れを低減することができるスピーカー装置に関するものであって、入力信号に忠実に音響再生できるスピーカーを提供できる。そのため、本実施の形態のスピーカー装置は、家庭内のオーディオ装置のみならず、車載用スピーカー、パソコン用スピーカー、業務用スピーカーなど幅広い用途に適用できる。
【0054】
また、本実施の形態におけるマグネット106は、マグネットの一例である。本実施の形態におけるボイスコイル101は、可動コイルの一例である。本実施の形態における振動板102は、振動板の一例である。本実施の形態における長肉厚部111及び短肉厚部112は、複数の肉厚部の一例である。長肉厚部111は、第1の肉厚部の一例である。短肉厚部112は、第2の肉厚部の一例である。本実施の形態におけるボイスコイル101及び振動板102の変位方向(図2の矢印A及びBに示す方向)は、可動コイル及び振動板の変位方向(所定方向)の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本願の開示は、振動板、スピーカー装置に有用である。
【符号の説明】
【0056】
100 スピーカー装置
101 ボイスコイル
102 振動板
103 ダストキャップ
104 エッジ部材
105 ダンパー部材
106 マグネット
107 トッププレート
108 ボトムプレート
109 フレーム
110 肉薄部
111 長肉厚部
112 短肉厚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側から外周側に放射状に複数の肉厚部を備え、
前記肉厚部は、放射方向の長さが異なる少なくとも2種類の肉厚部を備え、前記放射方向に内周側から外周側に向けて徐々に厚みが薄くなるように形成されている、振動板。
【請求項2】
前記肉厚部は、第1の肉厚部と第2の肉厚部とを備え、
前記第1の肉厚部は、前記振動板の内周側から外周側まで放射方向に形成され、
前記第2の肉厚部は、放射方向の長さが前記第1の肉厚部の放射方向の長さよりも短い、請求項1に記載の振動板。
【請求項3】
マグネットと、
入力される電流と前記マグネットが発生する磁束とに作用して所定方向に変位可能な可動コイルと、
前記可動コイルとともに前記所定方向に変位可能な振動板とを備え、
前記振動板は、内周側から外周側に放射状に複数の肉厚部を備え、
前記肉厚部は、放射方向の長さが異なる少なくとも2種類の肉厚部を備え、前記放射方向に内周側から外周側に向けて徐々に厚みが薄くなるように形成されている、スピーカー装置。
【請求項4】
前記肉厚部は、第1の肉厚部と第2の肉厚部とを備え、
前記第1の肉厚部は、前記振動板の内周側から外周側まで放射方向に形成され、
前記第2の肉厚部は、放射方向の長さが前記第1の肉厚部の放射方向の長さよりも短い、請求項3に記載のスピーカー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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