接触式表面温度計および接触式表面温度測定装置
【課題】 測温の高い応答性を確保できる片持ち梁式の測温センサの利点を活かしつつ、精度よい測温と熱電対の耐久性を確保できる接触式表面温度計および接触式表面温度測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 熱電対を有する板ばね2からなる接触式表面温度計において、前記板ばね2の表面に熱電対1を埋め込み溶着するとともに、前記板ばね2の表面と溶着部4表面とをほぼ面一に構成したことにより、熱電対1が溶着して埋設される部分が板ばね2の表面から乖離することなく一体化されて強度が確保されるので、片持ち梁式の接触式表面温度計として板ばね2の測温センサ部が、被測定表面3の高速かつ距離変動に密着性を失うことなく高い応答性で適応することが可能となる。
【解決手段】 熱電対を有する板ばね2からなる接触式表面温度計において、前記板ばね2の表面に熱電対1を埋め込み溶着するとともに、前記板ばね2の表面と溶着部4表面とをほぼ面一に構成したことにより、熱電対1が溶着して埋設される部分が板ばね2の表面から乖離することなく一体化されて強度が確保されるので、片持ち梁式の接触式表面温度計として板ばね2の測温センサ部が、被測定表面3の高速かつ距離変動に密着性を失うことなく高い応答性で適応することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の表面温度を測定する熱電対を有する板ばねからなる片持ち梁式の接触式表面温度計およびこれを利用した接触式表面温度測定装置に係り、被測定物表面が高温でかつ経時変化し、さらに測温センサとの距離が不規則にかつ高速で変動する場合の温度を連続的に精度よく計測するもので、特に、ブレーキ用ロータの表面温度の測定に適している。
【背景技術】
【0002】
従来から、高温で移動する物体の表面温度を直接に測温する方法として、多種類の接触型測温センサが提案されて使用されている(例えば下記幾つかの特許文献参照)。また、車両のブレーキ用ロータ等のように、被測定物表面が高温でかつ経時変化し、測温センサとの距離が不規則にかつ高速で変動するものを測定するには、一般に、ブレーキ用ロータ表面下に穴を開けて熱電対を埋め込み、表面温度の測定をしていた。
【特許文献1】特開平8−122168号公報(図2および段落0021参照)
【特許文献2】特開2003−279421号公報(請求項1および図5参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に開示されたものは、被測定物の表面を測温するためのセンサの表面に金属製の薄板を配設してセンサの耐久性を向上させたものである。また、前記特許文献2に開示されたものは、片持ち梁式の測温センサを備えたものである。前記特許文献1の例に図13を用いて以下に説明する。固定治具15内に圧力調節用ネジ17によりコイルバネ16を介して突出方向に固定治具14が付勢される。該固定治具14の先端にスペーサ13を介して熱電対12と、その表面に薄板11が配設されている。該薄板11の存在によって熱電対12が保護され、測温センサとしての耐久性が向上する。
【0004】
また、前記特許文献2に開示されたものは、図14に示すように、温度測定プローブ本体22を構成するカンチレバー21の主面に設けられたヒータ配線の発熱部を形成する尖端24Cを、カンチレバー21の先端部21Bに位置せしめ、熱電対28を尖端24C上に重ね合わせるようにして設けたものである。このようなカンチレバーによる片持ち梁式の測温センサを備えたことにより、測温の応答性を改善できる。
【0005】
しかしながら、このような従来の接触式表面温度計にあって、前記特許文献1に開示された第1従来例のものでは、耐久性を向上させるために表面に配設された金属の薄板の存在により、被測定物の表面を直接に測温していない。また、前記特許文献2に開示された第2従来例のものでは、片持ち梁式の測温センサにより測温の応答性を改善できるものの、熱電対が直接に測温表面に露呈しており、耐久性に劣ることは否めない。さらに、前記ブレーキ用ロータ等の被測定物の表面に穴を設置する方法では、正確なロータの表面温度を測定することはできないし、穴の設置によるロータの強度を損なう他、測定位置が固定されていてヒートスポット等の特異な温度点を測定してしまい精度上問題があった。
【0006】
そこで本発明は、前記従来の接触式表面温度計における課題を解決して、測温の高い応答性を確保できる片持ち梁式の測温センサの利点を活かしつつ、精度よい測温と熱電対の耐久性を確保できる接触式表面温度計および接触式表面温度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため本発明は、物体の表面温度を測定する熱電対を有する板ばねからなる接触式表面温度計において、前記板ばねの表面に熱電対を埋め込み溶着するとともに、前記板ばねの表面と溶着部表面とをほぼ面一に構成したことを特徴とする。また本発明は、前記板ばねに熱絶縁体をコーティングしたことを特徴とする。また本発明は、前記板ばねに耐摩耗コーティングしたことを特徴とする。また本発明は、相対的に移動する物体の表面温度を測定する表面温度測定装置において、前記接触式表面温度計を被測定物体の表面に接触させるための治具と、該治具と前記被測定物体の表面とを相対的に移動させる手段とを有することを特徴とする。また本発明は、前記接触式表面温度計の多数を1つの治具に並設して構成したことを特徴とする。また本発明は、前記被測定物体が回転するロータであることを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、物体の表面温度を測定する熱電対を有する板ばねからなる片持ち梁式の接触式表面温度計において、前記板ばねの表面に熱電対を埋め込み溶着するとともに、前記板ばねの表面と溶着部表面とをほぼ面一に構成したことにより、熱電対が溶着して埋設される部分が板ばねの表面から乖離することなく一体化されて強度が確保されるので、片持ち梁式の接触式表面温度計として板ばね測温センサ部が、被測定表面の高速かつ距離変動に密着性を失うことなく高い応答性で適応することが可能となる。
【0009】
また、前記板ばねに熱絶縁体をコーティングした場合は、熱電対の測定値が周囲と隔離されて精度が向上する。また、前記板ばねに耐摩耗コーティングした場合は、被測定物の表面に接触するのは熱電対溶着部表面および耐摩耗コーティングされた前記板ばねの一部表面となるため熱電対の耐久性を向上させることができる。さらに、相対的に移動する物体の表面温度を測定する表面温度測定装置において、前記接触式表面温度計を被測定物体の表面に接触させるための治具と、該治具と前記被測定物体の表面とを相対的に移動させる手段とを有する場合は、被測定物の表面に対応させて片持ち梁式の接触式表面温度計を治具を用いて接触させ、高速で相対回転するロータ等の測温を行うことができる。
【0010】
さらにまた、前記接触式表面温度計の多数を1つの治具に並設して構成した場合は、被測定物の表面の複雑な形状に対応させて複数の片持ち梁式の接触式表面温度計を治具を用いて接触させ、高速で相対回転するロータ等の表面の各部の測温に対応させることができる。また、前記被測定物体が回転するロータである場合は、制動時のロータの温度を高い応答性で精度よく測定することができ、固定治具の高温化を抑制して安全性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1は片持ち梁式として固定治具に設置した状態の接触式表面温度計の第1実施例の模式図、図2は本発明の接触式表面温度計の第2実施例で熱絶縁体コーティングされた板ばねを備えた断面図、図3は本発明の接触式表面温度計の第3実施例で耐摩耗コーティングされた板ばねを備えた断面図、図4は本発明の接触式温度計の第2実施例に第3実施例を追加された板ばね(熱絶縁体コーティング+耐摩耗コーティング)を備えた断面図、図5は多点式温度計を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第4実施例の説明図、図6は治具と被測定物体の表面とを相対的に移動させる手段を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第5実施例の説明図、図7は多点式温度計を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第6実施例でロータの温度測定に適用された説明図、図8はロータ各点の温度変化図、図9は本発明と従来例との測定温度の比較図、図10は被測温面粗度の経時変化と表面測定温度との関係図、図11は板ばねの熱絶縁体コーティング有無による温度測定誤差変化を示す表図、図12は板ばねの耐摩耗コーティング有無による連続測定可能回数結果を示す表図である。
【実施例1】
【0012】
本発明の基本的な構成は、図1に示すように、物体の表面(被測温面)3の温度を測定する熱電対1を有する板ばね2からなる接触式表面温度計において、前記板ばね2の表面に熱電対1を埋め込み溶着するとともに、前記板ばね2の表面と溶着部4表面とをほぼ面一に構成したことを特徴とするものである。板ばね2の表面(被測温面側)から円錐台の穴を開け、該穴に熱電対1の先端を挿入し、例えば通電加熱法等を用いて溶着する。溶着材としては母材である板ばね2とは別の適宜の材質が採用され得る。溶着による溶解面を板ばね2の表面とほぼ面一となるように、突出している部分はそこだけラップ研磨される。このような溶着をすることで、熱電対1の板ばね2に対する接着性を良好にし、精度を確保する。
【0013】
板ばね2の形状は特に規定しないが、抜熱による被測温面の温度低下による測定誤差等を考慮に入れると、厚さ1mm以下、幅3mm以下であることが望ましい。また、耐久性の観点から幅は1mm以上が最適である。材質は特に限定されないが、耐酸化性と耐熱性に優れるものが好適である。例えば、Ni基材の合金のインコネル600やハステロイX等が好適である。また、板ばねを図2に示すように、片端を自由端にした片持ち梁式板ばね5に構成して、その基部を固定治具6に設置することで、板ばね5の被測温面に対する追従性が増大して測温の応答性が向上する。被測温面が高速で移動し表面状態が経時変化し表面粗さが大きく、被測温物体が不規則に高速で移動する場合でも、被測温面に測温部を密着させて確実に測温することができる。
【実施例2】
【0014】
図2は本発明の接触式表面温度計の第2実施例で熱絶縁体をコーティング板ばねを備えた断面図である。板ばね2における熱電対溶着部4表面の周囲を熱絶縁体8で数10nmのコーティングをする。なお、工程順は、板ばね2に熱絶縁体コーティングの後、熱電対用の穴を開け、溶着後、板ばね表面に突出した部分をロップ研磨で板ばね表面とほぼ面一とした。このような構成により、被測温部が高温になって板ばね2との温度差が大きくなると、板ばね2が被測温部から抜熱し正確な温度の測定が困難な場合が生じるが、熱電対溶着部4が周囲と隔離されて測温精度が向上する。熱絶縁体8はアルミナを使用したが、他のセラミックスでもよい。コーティング法はCVDを採用した。
【実施例3】
【0015】
図3は本発明の接触式表面温度計の第3実施例で、耐摩耗コーティングされた板ばねを備えた断面図である。本発明では、熱電対1を埋設した溶着部4表面と板ばね2の表面とを面一に構成して耐久性が確保されるとはいえ、板ばね2に溶着した熱電対1を直接に被測温部に接触させて測温するので、被測温部が高速で移動する場合や高温時には熱電対1が摩耗し易くなる場合がある。そこで、数10nmの薄膜で耐摩耗性のコーティング7を、板ばね2における熱電対溶着部4表面の周囲に施した。なお、工程順は板ばね2に耐摩耗コーティング後、熱電対用の孔を開け、溶着後、板ばね表面に突出した部分をラップ研磨で板ばね表面とほぼ面一にした。これにより、耐久性をさらに数倍に向上させることができる。耐摩耗コーティッグ7の種類は、耐熱性も向上させるTiNを使用したが、他に、CrN、TiAlN等でもよい。コーティング法についても、スパッタリング、CVD等が採用される。また、熱絶縁体コーティングした板ばねに耐摩耗コーティングすることで、耐摩耗と熱絶縁効果が得られる(図4)。
【実施例4】
【0016】
図5は多点式温度計を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第4実施例の説明図である。本実施例では前述した各実施例の接触式表面温度計の多数を1つの治具に並設して構成して接触式表面温度測定装置としたものである。固定治具6に多点式温度計固定治具9が接続され、該多点式温度計固定治具9に片持ち梁式板ばね5を多数並設して設置して構成した。このような構成により、図5の右側に示したように、被測定物の表面(被測温面3)に複雑な凹凸形状があっても、これらに対応させて複数の片持ち梁式の接触式表面温度計のそれぞれが適正に接触・追従し、高速で相対回転するロータ等の表面の各部の測温に対応させることができる。なお、各温度計の間隔は特に規定しないが、温度計の先端が触れ合わないように2mm以上の間隔を保つことが適当である。例えば、板ばね5の固定方法は多点式温度計固定治具9の溝を利用して設置するので、多点式温度計固定治具9を交換することで、板ばね5の間隔を変更することができる。
【実施例5】
【0017】
図6は治具と被測定物体の表面とを相対的に移動させる手段を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第5実施例の説明図である。本実施例による接触式表面温度測定装置における温度計の応用は、片持ち梁式板ばね5から構成された温度計が治具6に固定され、治具6はXYZ方向とφ1およびφ2を可変可能な5軸ゴニオメータを使用し、被測温面3のあらゆる場所の温度を測定することが可能である。ゴニオメータにはマイクロメータが1軸付設されており、板ばね5の押込み量を調節することができる。被測温面3が高速で移動する粗面であっても、板ばね5を治具6で固定して被測温面3に接触させれば、治具6と被測温面3の距離の変化は板ばね5の弾性によって吸収され、板ばね5の表面は被測温面3に密着されたまま精度よく測温できる。基本的には、被測定物体が移動する出口側に片持ち梁式板ばね5から構成された温度計を固定することが密着上好ましい。
【実施例6】
【0018】
図7は多点式温度計を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第6実施例でブレーキロータの温度測定に適用された説明図である。回転中のブレーキ用ロータの表面温度を直接測定するには、回転するブレーキ用ロータに5軸ゴニオメータで固定した多数の片持ち梁式板ばね5から構成された温度計を密着させて測定するものである。ブレーキ用ロータの形状等は特に規定されない。
【0019】
以下に、ベンチテスト用の小型のロータを用いて実施したブレーキ摩擦試験によるロータの表面温度の計測結果について述べる。前述の第1〜3実施例により作成した温度計を用い、板ばねの幅1mm、厚み0.15mmで材質はインコネル600を使用した。これらの温度計を2mm間隔で溝を刻設した多点式温度計固定治具に挟んで設置し、これらの温度計は治具によって固定した。治具はXYZ方向とφ1、2を可変可能な5軸ゴニオメータを使用した。被測温物はφ90mmの鋳鉄製の小型ロータを使用し、モータで回転させたロータに摩擦材を押し付けることで回転を停める慣性型ブレーキダイナモ試験装置を使用した。摩擦材は一般的に使用されているノンアスベスト系でサイズは13×35mmである。
【0020】
常温で時速80km/hから減速度3.43m/s2 で制動を実施したときのロータ各点(8点)の測定温度を図8に示す。これによると、No.8が最外周端部で、No.4、5が中央部近傍になるが、端部と中央部の温度の違いが明瞭に判る。従来技術のロータの表面下1mmに設置した熱電対での測温方法と、本発明の測温方法による温度を比較するため、常温で時速80km/hから制動をかけたときの温度変化を図9に示す。従来技術では熱電対をロータの表面下に設置するために応答性が悪く、測定精度も低いことが理解される。
【0021】
ロータ温度が120°Cでの時速65km/hから減速度3.43m/s2 で制動を100回かけたときの最高温度の測定値とロータ表面の面粗度との関係を図10に示す。制動回数により被測温面の面粗度は上昇するが測定値には変化がなかった。これにより、面粗度が変化しても密着性が損なわれず、温度測定が正確に行えることが理解される。図11に熱絶縁耐コーティング有無による温度測定誤差の変化を纏めた結果を示す。被測定物は前記φ90mmの鋳鉄製の小型ロータを使用し、一定温度になるよう外部から赤外線で加熱し、回転する小型ロータの温度を測定した。コーティングなしの片持ち梁式板ばねの接触式温度計は、900°C以上の高温で温度差が大きくなったが、熱絶縁体コーティング有りの場合では、1200°Cでも温度差がマイナス1°Cのままとなった。
【0022】
図12に耐摩耗コーティング有無による板ばねの連続測定可能回数を示す。耐摩耗コーティングなしの片持ち梁式板ばねの接触式温度計はロータ温度120°C、時速65km/hから減速度3.43m/s2 で制動をかけた場合、100回まで使用可能であるが、ロータ温度を500°Cに上げて時速65km/hから減速度3.43m/s2 で制動をかけた場合、使用回数は40回までであった。それを超えると板ばねの摩耗でロータとの接触が安定せず、ロータ温度が測定できないときが発生した。また、ロータ温度120°Cにて時速120km/hまで上げて減速度3.43m/s2 で制動をかけた場合、使用回数は60回までとなった。耐摩耗コーティング有りの場合は、試験条件を問わず耐久性に変化はなく100回まで使用可能であった。
【0023】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、熱電対の形状、形式および材質、片持ち梁式となる板ばねの形状(幅、厚み等の寸法を含む)、形式、材質(耐酸化性と耐熱性に優れるNi基材の合金のインコネル600やハステロイX等)およびその固定治具への設置形態ならびにばね定数、板ばねへの熱電対の埋設形態(板ばねにおける円錐台等の形状)、熱電対の埋込み溶着の際の溶着材の種類、板ばねの表面と溶着部表面との面一処理形態(研磨等)、板ばねの表面の耐摩耗コーティングの処理形態(耐熱性に優れるTiN、CrN、TiAlN等が採用される。コーティング法についても、スパッタリング、CVD等が採用される)、熱電対溶着部表面の周囲への熱絶縁体コーティングの処理形態、多点式温度計固定治具および固定治具の形状、形式、温度計の治具への設置形態(溝への係止の他、穴への挿入係止等)、治具と被測定物体の表面との相対的移動手段の形状、形式、被測定物体であるロータの形状、形式等については適宜選定できる。実施例に記載の諸元はあらゆる点で単なる例示に過ぎず限定的に解釈してはならない。また、実施例においてはベンチテスト用として作製したφ90mmの小型のロータを使用したが、実際の車両用のロータにて実施できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】片持ち梁式として固定治具に設置した状態の本発明の接触式表面温度計の第1実施例の模式図である。
【図2】本発明の接触式表面温度計の第2実施例で、熱絶縁体コーティングされた板ばねを備えた断面図である。
【図3】本発明の接触式表面温度計の第3実施例で、耐摩耗コーティングされた板ばねを備えた断面図である。
【図4】本発明の接触式表面温度計の第2実施例に第3実施例を追加された板ばね(熱絶縁体コーティング+耐摩耗コーティング)備えた断面図である。
【図5】多点式温度計を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第4実施例の説明図である。
【図6】治具と被測定物体の表面とを相対的に移動させる手段を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第5実施例の説明図である。
【図7】多点式温度計を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第6実施例で、ブレーキ用ロータの温度測定に適用された説明図である。
【図8】ロータ各点の温度変化図である。
【図9】本発明と従来例との測定温度の比較図である。
【図10】被測温面粗度の経時変化と表面測定温度との関係図である。
【図11】熱絶縁体コーティング有無による温度測定誤差の変化表図である。
【図12】耐摩耗コーティング有無による連続測定可能回数の結果表図である。
【図13】第1従来例の接触式測温センサの要部断面図である。
【図14】第2従来例の温度測定装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 熱電対
2 板ばね
3 被測温面
4 熱電対溶着部
5 片持ち梁式板ばね
6 固定治具
7 耐摩耗コーティング
8 熱絶縁体
9 多点式温度計固定治具
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の表面温度を測定する熱電対を有する板ばねからなる片持ち梁式の接触式表面温度計およびこれを利用した接触式表面温度測定装置に係り、被測定物表面が高温でかつ経時変化し、さらに測温センサとの距離が不規則にかつ高速で変動する場合の温度を連続的に精度よく計測するもので、特に、ブレーキ用ロータの表面温度の測定に適している。
【背景技術】
【0002】
従来から、高温で移動する物体の表面温度を直接に測温する方法として、多種類の接触型測温センサが提案されて使用されている(例えば下記幾つかの特許文献参照)。また、車両のブレーキ用ロータ等のように、被測定物表面が高温でかつ経時変化し、測温センサとの距離が不規則にかつ高速で変動するものを測定するには、一般に、ブレーキ用ロータ表面下に穴を開けて熱電対を埋め込み、表面温度の測定をしていた。
【特許文献1】特開平8−122168号公報(図2および段落0021参照)
【特許文献2】特開2003−279421号公報(請求項1および図5参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に開示されたものは、被測定物の表面を測温するためのセンサの表面に金属製の薄板を配設してセンサの耐久性を向上させたものである。また、前記特許文献2に開示されたものは、片持ち梁式の測温センサを備えたものである。前記特許文献1の例に図13を用いて以下に説明する。固定治具15内に圧力調節用ネジ17によりコイルバネ16を介して突出方向に固定治具14が付勢される。該固定治具14の先端にスペーサ13を介して熱電対12と、その表面に薄板11が配設されている。該薄板11の存在によって熱電対12が保護され、測温センサとしての耐久性が向上する。
【0004】
また、前記特許文献2に開示されたものは、図14に示すように、温度測定プローブ本体22を構成するカンチレバー21の主面に設けられたヒータ配線の発熱部を形成する尖端24Cを、カンチレバー21の先端部21Bに位置せしめ、熱電対28を尖端24C上に重ね合わせるようにして設けたものである。このようなカンチレバーによる片持ち梁式の測温センサを備えたことにより、測温の応答性を改善できる。
【0005】
しかしながら、このような従来の接触式表面温度計にあって、前記特許文献1に開示された第1従来例のものでは、耐久性を向上させるために表面に配設された金属の薄板の存在により、被測定物の表面を直接に測温していない。また、前記特許文献2に開示された第2従来例のものでは、片持ち梁式の測温センサにより測温の応答性を改善できるものの、熱電対が直接に測温表面に露呈しており、耐久性に劣ることは否めない。さらに、前記ブレーキ用ロータ等の被測定物の表面に穴を設置する方法では、正確なロータの表面温度を測定することはできないし、穴の設置によるロータの強度を損なう他、測定位置が固定されていてヒートスポット等の特異な温度点を測定してしまい精度上問題があった。
【0006】
そこで本発明は、前記従来の接触式表面温度計における課題を解決して、測温の高い応答性を確保できる片持ち梁式の測温センサの利点を活かしつつ、精度よい測温と熱電対の耐久性を確保できる接触式表面温度計および接触式表面温度測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため本発明は、物体の表面温度を測定する熱電対を有する板ばねからなる接触式表面温度計において、前記板ばねの表面に熱電対を埋め込み溶着するとともに、前記板ばねの表面と溶着部表面とをほぼ面一に構成したことを特徴とする。また本発明は、前記板ばねに熱絶縁体をコーティングしたことを特徴とする。また本発明は、前記板ばねに耐摩耗コーティングしたことを特徴とする。また本発明は、相対的に移動する物体の表面温度を測定する表面温度測定装置において、前記接触式表面温度計を被測定物体の表面に接触させるための治具と、該治具と前記被測定物体の表面とを相対的に移動させる手段とを有することを特徴とする。また本発明は、前記接触式表面温度計の多数を1つの治具に並設して構成したことを特徴とする。また本発明は、前記被測定物体が回転するロータであることを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、物体の表面温度を測定する熱電対を有する板ばねからなる片持ち梁式の接触式表面温度計において、前記板ばねの表面に熱電対を埋め込み溶着するとともに、前記板ばねの表面と溶着部表面とをほぼ面一に構成したことにより、熱電対が溶着して埋設される部分が板ばねの表面から乖離することなく一体化されて強度が確保されるので、片持ち梁式の接触式表面温度計として板ばね測温センサ部が、被測定表面の高速かつ距離変動に密着性を失うことなく高い応答性で適応することが可能となる。
【0009】
また、前記板ばねに熱絶縁体をコーティングした場合は、熱電対の測定値が周囲と隔離されて精度が向上する。また、前記板ばねに耐摩耗コーティングした場合は、被測定物の表面に接触するのは熱電対溶着部表面および耐摩耗コーティングされた前記板ばねの一部表面となるため熱電対の耐久性を向上させることができる。さらに、相対的に移動する物体の表面温度を測定する表面温度測定装置において、前記接触式表面温度計を被測定物体の表面に接触させるための治具と、該治具と前記被測定物体の表面とを相対的に移動させる手段とを有する場合は、被測定物の表面に対応させて片持ち梁式の接触式表面温度計を治具を用いて接触させ、高速で相対回転するロータ等の測温を行うことができる。
【0010】
さらにまた、前記接触式表面温度計の多数を1つの治具に並設して構成した場合は、被測定物の表面の複雑な形状に対応させて複数の片持ち梁式の接触式表面温度計を治具を用いて接触させ、高速で相対回転するロータ等の表面の各部の測温に対応させることができる。また、前記被測定物体が回転するロータである場合は、制動時のロータの温度を高い応答性で精度よく測定することができ、固定治具の高温化を抑制して安全性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1は片持ち梁式として固定治具に設置した状態の接触式表面温度計の第1実施例の模式図、図2は本発明の接触式表面温度計の第2実施例で熱絶縁体コーティングされた板ばねを備えた断面図、図3は本発明の接触式表面温度計の第3実施例で耐摩耗コーティングされた板ばねを備えた断面図、図4は本発明の接触式温度計の第2実施例に第3実施例を追加された板ばね(熱絶縁体コーティング+耐摩耗コーティング)を備えた断面図、図5は多点式温度計を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第4実施例の説明図、図6は治具と被測定物体の表面とを相対的に移動させる手段を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第5実施例の説明図、図7は多点式温度計を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第6実施例でロータの温度測定に適用された説明図、図8はロータ各点の温度変化図、図9は本発明と従来例との測定温度の比較図、図10は被測温面粗度の経時変化と表面測定温度との関係図、図11は板ばねの熱絶縁体コーティング有無による温度測定誤差変化を示す表図、図12は板ばねの耐摩耗コーティング有無による連続測定可能回数結果を示す表図である。
【実施例1】
【0012】
本発明の基本的な構成は、図1に示すように、物体の表面(被測温面)3の温度を測定する熱電対1を有する板ばね2からなる接触式表面温度計において、前記板ばね2の表面に熱電対1を埋め込み溶着するとともに、前記板ばね2の表面と溶着部4表面とをほぼ面一に構成したことを特徴とするものである。板ばね2の表面(被測温面側)から円錐台の穴を開け、該穴に熱電対1の先端を挿入し、例えば通電加熱法等を用いて溶着する。溶着材としては母材である板ばね2とは別の適宜の材質が採用され得る。溶着による溶解面を板ばね2の表面とほぼ面一となるように、突出している部分はそこだけラップ研磨される。このような溶着をすることで、熱電対1の板ばね2に対する接着性を良好にし、精度を確保する。
【0013】
板ばね2の形状は特に規定しないが、抜熱による被測温面の温度低下による測定誤差等を考慮に入れると、厚さ1mm以下、幅3mm以下であることが望ましい。また、耐久性の観点から幅は1mm以上が最適である。材質は特に限定されないが、耐酸化性と耐熱性に優れるものが好適である。例えば、Ni基材の合金のインコネル600やハステロイX等が好適である。また、板ばねを図2に示すように、片端を自由端にした片持ち梁式板ばね5に構成して、その基部を固定治具6に設置することで、板ばね5の被測温面に対する追従性が増大して測温の応答性が向上する。被測温面が高速で移動し表面状態が経時変化し表面粗さが大きく、被測温物体が不規則に高速で移動する場合でも、被測温面に測温部を密着させて確実に測温することができる。
【実施例2】
【0014】
図2は本発明の接触式表面温度計の第2実施例で熱絶縁体をコーティング板ばねを備えた断面図である。板ばね2における熱電対溶着部4表面の周囲を熱絶縁体8で数10nmのコーティングをする。なお、工程順は、板ばね2に熱絶縁体コーティングの後、熱電対用の穴を開け、溶着後、板ばね表面に突出した部分をロップ研磨で板ばね表面とほぼ面一とした。このような構成により、被測温部が高温になって板ばね2との温度差が大きくなると、板ばね2が被測温部から抜熱し正確な温度の測定が困難な場合が生じるが、熱電対溶着部4が周囲と隔離されて測温精度が向上する。熱絶縁体8はアルミナを使用したが、他のセラミックスでもよい。コーティング法はCVDを採用した。
【実施例3】
【0015】
図3は本発明の接触式表面温度計の第3実施例で、耐摩耗コーティングされた板ばねを備えた断面図である。本発明では、熱電対1を埋設した溶着部4表面と板ばね2の表面とを面一に構成して耐久性が確保されるとはいえ、板ばね2に溶着した熱電対1を直接に被測温部に接触させて測温するので、被測温部が高速で移動する場合や高温時には熱電対1が摩耗し易くなる場合がある。そこで、数10nmの薄膜で耐摩耗性のコーティング7を、板ばね2における熱電対溶着部4表面の周囲に施した。なお、工程順は板ばね2に耐摩耗コーティング後、熱電対用の孔を開け、溶着後、板ばね表面に突出した部分をラップ研磨で板ばね表面とほぼ面一にした。これにより、耐久性をさらに数倍に向上させることができる。耐摩耗コーティッグ7の種類は、耐熱性も向上させるTiNを使用したが、他に、CrN、TiAlN等でもよい。コーティング法についても、スパッタリング、CVD等が採用される。また、熱絶縁体コーティングした板ばねに耐摩耗コーティングすることで、耐摩耗と熱絶縁効果が得られる(図4)。
【実施例4】
【0016】
図5は多点式温度計を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第4実施例の説明図である。本実施例では前述した各実施例の接触式表面温度計の多数を1つの治具に並設して構成して接触式表面温度測定装置としたものである。固定治具6に多点式温度計固定治具9が接続され、該多点式温度計固定治具9に片持ち梁式板ばね5を多数並設して設置して構成した。このような構成により、図5の右側に示したように、被測定物の表面(被測温面3)に複雑な凹凸形状があっても、これらに対応させて複数の片持ち梁式の接触式表面温度計のそれぞれが適正に接触・追従し、高速で相対回転するロータ等の表面の各部の測温に対応させることができる。なお、各温度計の間隔は特に規定しないが、温度計の先端が触れ合わないように2mm以上の間隔を保つことが適当である。例えば、板ばね5の固定方法は多点式温度計固定治具9の溝を利用して設置するので、多点式温度計固定治具9を交換することで、板ばね5の間隔を変更することができる。
【実施例5】
【0017】
図6は治具と被測定物体の表面とを相対的に移動させる手段を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第5実施例の説明図である。本実施例による接触式表面温度測定装置における温度計の応用は、片持ち梁式板ばね5から構成された温度計が治具6に固定され、治具6はXYZ方向とφ1およびφ2を可変可能な5軸ゴニオメータを使用し、被測温面3のあらゆる場所の温度を測定することが可能である。ゴニオメータにはマイクロメータが1軸付設されており、板ばね5の押込み量を調節することができる。被測温面3が高速で移動する粗面であっても、板ばね5を治具6で固定して被測温面3に接触させれば、治具6と被測温面3の距離の変化は板ばね5の弾性によって吸収され、板ばね5の表面は被測温面3に密着されたまま精度よく測温できる。基本的には、被測定物体が移動する出口側に片持ち梁式板ばね5から構成された温度計を固定することが密着上好ましい。
【実施例6】
【0018】
図7は多点式温度計を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第6実施例でブレーキロータの温度測定に適用された説明図である。回転中のブレーキ用ロータの表面温度を直接測定するには、回転するブレーキ用ロータに5軸ゴニオメータで固定した多数の片持ち梁式板ばね5から構成された温度計を密着させて測定するものである。ブレーキ用ロータの形状等は特に規定されない。
【0019】
以下に、ベンチテスト用の小型のロータを用いて実施したブレーキ摩擦試験によるロータの表面温度の計測結果について述べる。前述の第1〜3実施例により作成した温度計を用い、板ばねの幅1mm、厚み0.15mmで材質はインコネル600を使用した。これらの温度計を2mm間隔で溝を刻設した多点式温度計固定治具に挟んで設置し、これらの温度計は治具によって固定した。治具はXYZ方向とφ1、2を可変可能な5軸ゴニオメータを使用した。被測温物はφ90mmの鋳鉄製の小型ロータを使用し、モータで回転させたロータに摩擦材を押し付けることで回転を停める慣性型ブレーキダイナモ試験装置を使用した。摩擦材は一般的に使用されているノンアスベスト系でサイズは13×35mmである。
【0020】
常温で時速80km/hから減速度3.43m/s2 で制動を実施したときのロータ各点(8点)の測定温度を図8に示す。これによると、No.8が最外周端部で、No.4、5が中央部近傍になるが、端部と中央部の温度の違いが明瞭に判る。従来技術のロータの表面下1mmに設置した熱電対での測温方法と、本発明の測温方法による温度を比較するため、常温で時速80km/hから制動をかけたときの温度変化を図9に示す。従来技術では熱電対をロータの表面下に設置するために応答性が悪く、測定精度も低いことが理解される。
【0021】
ロータ温度が120°Cでの時速65km/hから減速度3.43m/s2 で制動を100回かけたときの最高温度の測定値とロータ表面の面粗度との関係を図10に示す。制動回数により被測温面の面粗度は上昇するが測定値には変化がなかった。これにより、面粗度が変化しても密着性が損なわれず、温度測定が正確に行えることが理解される。図11に熱絶縁耐コーティング有無による温度測定誤差の変化を纏めた結果を示す。被測定物は前記φ90mmの鋳鉄製の小型ロータを使用し、一定温度になるよう外部から赤外線で加熱し、回転する小型ロータの温度を測定した。コーティングなしの片持ち梁式板ばねの接触式温度計は、900°C以上の高温で温度差が大きくなったが、熱絶縁体コーティング有りの場合では、1200°Cでも温度差がマイナス1°Cのままとなった。
【0022】
図12に耐摩耗コーティング有無による板ばねの連続測定可能回数を示す。耐摩耗コーティングなしの片持ち梁式板ばねの接触式温度計はロータ温度120°C、時速65km/hから減速度3.43m/s2 で制動をかけた場合、100回まで使用可能であるが、ロータ温度を500°Cに上げて時速65km/hから減速度3.43m/s2 で制動をかけた場合、使用回数は40回までであった。それを超えると板ばねの摩耗でロータとの接触が安定せず、ロータ温度が測定できないときが発生した。また、ロータ温度120°Cにて時速120km/hまで上げて減速度3.43m/s2 で制動をかけた場合、使用回数は60回までとなった。耐摩耗コーティング有りの場合は、試験条件を問わず耐久性に変化はなく100回まで使用可能であった。
【0023】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明の趣旨の範囲内で、熱電対の形状、形式および材質、片持ち梁式となる板ばねの形状(幅、厚み等の寸法を含む)、形式、材質(耐酸化性と耐熱性に優れるNi基材の合金のインコネル600やハステロイX等)およびその固定治具への設置形態ならびにばね定数、板ばねへの熱電対の埋設形態(板ばねにおける円錐台等の形状)、熱電対の埋込み溶着の際の溶着材の種類、板ばねの表面と溶着部表面との面一処理形態(研磨等)、板ばねの表面の耐摩耗コーティングの処理形態(耐熱性に優れるTiN、CrN、TiAlN等が採用される。コーティング法についても、スパッタリング、CVD等が採用される)、熱電対溶着部表面の周囲への熱絶縁体コーティングの処理形態、多点式温度計固定治具および固定治具の形状、形式、温度計の治具への設置形態(溝への係止の他、穴への挿入係止等)、治具と被測定物体の表面との相対的移動手段の形状、形式、被測定物体であるロータの形状、形式等については適宜選定できる。実施例に記載の諸元はあらゆる点で単なる例示に過ぎず限定的に解釈してはならない。また、実施例においてはベンチテスト用として作製したφ90mmの小型のロータを使用したが、実際の車両用のロータにて実施できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】片持ち梁式として固定治具に設置した状態の本発明の接触式表面温度計の第1実施例の模式図である。
【図2】本発明の接触式表面温度計の第2実施例で、熱絶縁体コーティングされた板ばねを備えた断面図である。
【図3】本発明の接触式表面温度計の第3実施例で、耐摩耗コーティングされた板ばねを備えた断面図である。
【図4】本発明の接触式表面温度計の第2実施例に第3実施例を追加された板ばね(熱絶縁体コーティング+耐摩耗コーティング)備えた断面図である。
【図5】多点式温度計を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第4実施例の説明図である。
【図6】治具と被測定物体の表面とを相対的に移動させる手段を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第5実施例の説明図である。
【図7】多点式温度計を備えた本発明の接触式表面温度測定装置の第6実施例で、ブレーキ用ロータの温度測定に適用された説明図である。
【図8】ロータ各点の温度変化図である。
【図9】本発明と従来例との測定温度の比較図である。
【図10】被測温面粗度の経時変化と表面測定温度との関係図である。
【図11】熱絶縁体コーティング有無による温度測定誤差の変化表図である。
【図12】耐摩耗コーティング有無による連続測定可能回数の結果表図である。
【図13】第1従来例の接触式測温センサの要部断面図である。
【図14】第2従来例の温度測定装置の要部断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 熱電対
2 板ばね
3 被測温面
4 熱電対溶着部
5 片持ち梁式板ばね
6 固定治具
7 耐摩耗コーティング
8 熱絶縁体
9 多点式温度計固定治具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の表面温度を測定する熱電対を有する板ばねからなる接触式表面温度計において、前記板ばねの表面に熱電対を埋め込み溶着するとともに、前記板ばねの表面と溶着部表面とをほぼ面一に構成したことを特徴とする接触式表面温度計。
【請求項2】
前記板ばねに熱絶縁体をコーティングしたことを特徴とする請求項1に記載の接触式表面温度計。
【請求項3】
前記板ばねに耐摩耗コーティングしたことを特徴とする請求項1または2に記載の接触式表面温度計。
【請求項4】
相対的に移動する物体の表面温度を測定する表面温度測定装置において、前記請求項1から3のいずれかに記載の接触式表面温度計を被測定物体の表面に接触させるための治具と、該治具と前記被測定物体の表面とを相対的に移動させる手段とを有することを特徴とする接触式表面温度測定装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の接触式表面温度計の多数を1つの治具に並設して構成したことを特徴とする請求項4に記載の表面温度測定装置。
【請求項6】
前記被測定物体が回転するロータであることを特徴とする請求項4または5に記載の表面温度測定装置。
【請求項1】
物体の表面温度を測定する熱電対を有する板ばねからなる接触式表面温度計において、前記板ばねの表面に熱電対を埋め込み溶着するとともに、前記板ばねの表面と溶着部表面とをほぼ面一に構成したことを特徴とする接触式表面温度計。
【請求項2】
前記板ばねに熱絶縁体をコーティングしたことを特徴とする請求項1に記載の接触式表面温度計。
【請求項3】
前記板ばねに耐摩耗コーティングしたことを特徴とする請求項1または2に記載の接触式表面温度計。
【請求項4】
相対的に移動する物体の表面温度を測定する表面温度測定装置において、前記請求項1から3のいずれかに記載の接触式表面温度計を被測定物体の表面に接触させるための治具と、該治具と前記被測定物体の表面とを相対的に移動させる手段とを有することを特徴とする接触式表面温度測定装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の接触式表面温度計の多数を1つの治具に並設して構成したことを特徴とする請求項4に記載の表面温度測定装置。
【請求項6】
前記被測定物体が回転するロータであることを特徴とする請求項4または5に記載の表面温度測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−38677(P2006−38677A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−220103(P2004−220103)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000145541)株式会社曙ブレーキ中央技術研究所 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000145541)株式会社曙ブレーキ中央技術研究所 (8)
【Fターム(参考)】
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