説明

揺動選別板式穀物選別機

【課題】多種多様な穀物について、籾摺後の脱ぷ穀粒を効率よく選別することができる揺動選別板式穀物選別機を提供する自動籾摺精米設備を提供する。
【解決手段】揺動選別板式穀物選別機は、籾摺りによる脱ぷ前後の混合穀粒を受けて揺動動作により両者を比重選別する傾斜配置の揺動選別板2と、その排出端2aから流出する穀粒を分ける可動式の仕上仕切板4と、脱ぷ前後の穀粒を判別する光学式の穀物判別センサ10と、そのセンサ信号によって得られる穀粒の混在比率の算出結果に基づいて揺動選別板2の排出端2aにおける脱ぷ穀粒領域に合わせて仕上仕切板4を位置決め制御する制御部11とからなり、上記穀物判別センサ10は異なる照射特性を有する複数の照射光源10bをいずれか選択可能に備え、脱ぷ前後の穀粒の検出値の差がより大きい照射光源10bを選択するとともに、両検出値の中間領域に設定した判別値により両者を判別するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動選別板に可動式仕切板を設けて複数種類混在する穀粒を選別する揺動選別板式穀物選別機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
揺動選別板式穀物選別機は、特許文献1の例のように、揺動選別板、仕上仕切板、光学式穀物判別センサ、仕切板位置決用の制御部等によって構成され、脱ぷ前後の穀粒判別のために別途設定した判別値に基づいて穀物判別センサ信号により籾と玄米とを判別し、その混在比率の算出結果に基づいて揺動選別板の出口部における玄米領域に合わせて仕上仕切板を位置決めすることにより、籾摺後の穀物から脱ぷ穀粒を選別する。
【0003】
上記出口部における混在領域の範囲の穀粒については、再び選別機の入口側に戻して再選別を行い、また、出口部における籾領域の範囲の穀粒については、籾摺機に戻した上で、その籾摺り後の穀物を穀物選別機に再投入して選別することにより、最終的に一様に脱ぷ処理された玄米を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−52074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記穀物選別機は、穀物判別センサについて得られている籾玄米判別のための所定の判別値を用いて選別を行うことから、青米入り等の籾の状態や、稲の種別(例えば、もち米、うるち米、酒米等)、穀物の種別(例えば、小麦、大麦)等の多様な処理対象に適用することが困難であり、それぞれ処理対象の判別に適する穀物判別センサと判別値を準備せざるを得ないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、多種多様な穀物について、籾摺後の脱ぷ穀粒を効率よく選別することができる揺動選別板式穀物選別機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、複数種類の穀粒を受けて揺動動作により比重選別する傾斜配置の揺動選別板(2)と、その排出端(2a)から流出する穀粒を分ける可動式の仕上仕切板(4)と、複数種類の穀粒を判別する光学式の穀物判別センサ(10)と、そのセンサ信号によって得られる穀粒の混在比率の算出結果に基づいて揺動選別板(2)の排出端(2a)における穀粒領域に合わせて仕上仕切板(4)を位置決め制御する制御部(11)とからなる揺動選別板式穀物選別機において、上記穀物判別センサ(10)は異なる照射特性を有する複数の照射光源(10b)をいずれか選択可能に備え、判別対象の穀粒の検出値の差がより大きい照射光源(10b)を選択する。
【0008】
上記穀物判別センサには選択可能な複数の照射光源を備え、脱ぷ前後の穀粒についての両検出値の差がより大きい照射光源を選択し、最終的に選択された照射光源による両検出値の中間領域の値を判別値として両者を判別することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記穀物判別センサ(10)の照射光源(10b)の選択は、揺動選別板(2)による選別動作の開始時に行い、その判別結果に基づいて仕上仕切板(4)を位置決め制御することを特徴とする。
上記穀物選別機は、揺動選別板による選別動作の開始とともに判別センサの判別精度が確保され、その判別によって仕上仕切板が高精度で位置決め制御される。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項または請求項2のいずれかの構成において、前記照射光源(10b)は、別途設定による穀物別の適合光源を選択する穀物別のスイッチ(33)を設けたことを特徴とする。
上記穀物判別センサは、穀物別のスイッチの操作により別途設定による適合光源が選択される。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3の構成において、前記揺動選別板(2)は、その傾斜を切替える傾斜切替装置を備え、この傾斜切替装置による傾斜を前記スイッチ(33)の選択に応じて別途設定による穀物別の適合角度に切替えることを特徴とする。
上記傾斜切替装置は、穀物別のスイッチ操作により揺動選別板が別途設定による傾斜に切替えられる。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項3または請求項4のいずれかの構成において、前記揺動選別板(2)は、傾斜調節範囲の上下の規制位置を可動式の上限部材と下限部材とにより切替える傾斜範囲切替装置を備え、この傾斜範囲切替装置による傾斜調節範囲を前記スイッチ(33)の選択に応じて別途設定による穀物別の適合範囲に切替えることを特徴とする。
上記傾斜範囲切替装置は、穀物別のスイッチ操作により揺動選別板の傾斜調節範囲が別途設定の適合範囲に切替えられる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明により、穀物判別センサには選択可能な複数の照射光源を備え、複数種類の穀粒についての両検出値の差がより大きい照射光源を選択し、最終的に選択された照射光源により両者を判別することから、多様な穀種についてそれぞれの判別に最適な光源による高精度の選別によって穀粒を効率よく選別することができる。
【0014】
請求項2に係る発明により、仕切りの発明の効果に加え、上記穀物選別機は、揺動選別板による選別動作の開始とともに判別センサの判別精度が確保され、その判別によって仕上仕切板を高精度で位置決め制御できることから、揺動選別板の排出端における穀粒の速やかな選別排出が可能となる。
【0015】
請求項3に係る発明により、請求項または請求項2のいずれかの発明の効果に加え、上記穀物判別センサは、穀物別のスイッチの操作により別途設定による適合光源が選択される。したがって、穀物の種別が既知の場合にスイッチ操作により迅速に穀物選別を進めることができる。
【0016】
請求項4に係る発明により、請求項3の発明の効果に加え、上記傾斜切替装置は、穀物別のスイッチ操作により揺動選別板が別途設定による傾斜に切替えられる。したがって、穀物の種別が既知の場合に、スイッチ操作と対応して適合傾斜配置される揺動選別板により効率よく穀物選別を進めることができる。
【0017】
請求項5に係る発明により、請求項3または請求項4のいずれかの発明の効果に加え、上記傾斜範囲切替装置は、穀物別のスイッチ操作により揺動選別板の傾斜調節範囲が別途設定の適合範囲に切替えられる。したがって、穀物の種別が既知の場合に、スイッチ操作と対応して切替えられた適合傾斜範囲内の効率のよい傾斜調節操作が可能となり、高精度の穀物選別を効率よく進めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】籾摺システムの一構成例の系統線図
【図2】籾選別ユニットの正面図
【図3】揺動選別板の排出端部の拡大図
【図4】センサ部の拡大側面図(a)およびセンサの要部拡大図(b)
【図5】籾摺システムの制御構成ブロック図
【図6】穀物設定スイッチパネルの見取図
【図7】籾摺システムの運転制御フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
本発明の適用対象である籾摺システムは、その一構成例の系統線図を図1に示すように、一対の籾摺ロ−ル等からなる籾摺部16と、摺落米を風選する風選部17と、風選穀粒を上位送出する混合米揚穀機18と、混合米ホッパ3を備える穀物選別装置1とから構成され、籾摺部16と風選部17により籾摺り風選された籾玄米混在穀粒から穀物選別装置1により玄米が選別送出される。
【0020】
混合米揚穀機18と、混合米ホッパ3、穀物選別装置1は、図2の正面図に示すように、籾選別ユニットとして構成し、混合米揚穀機18の送出口の遊動タンク18aから満量センサと減レベルセンサを備えて穀粒を受ける混合米タンク3、出口センサによって定量繰出しするロータリバルブ12、供給ケース13、穀物選別装置1から受けた仕上げ玄米をシリンダで循環切替えする切替部14、異物除去装置15a、ダップ率点検口15b等を一体に構成する。
【0021】
(穀物選別装置)
穀物選別装置1は、混合米ホッパ3から穀粒を受ける傾斜配置の揺動選別板2と、その排出端2aから流出する穀粒を分ける可動式の仕上仕切板4および籾仕切板5と、脱ぷ前後の穀粒を判別する光学式の穀物判別センサ10と、揺動選別板2の揺動方向の傾斜を切替える不図示の傾斜切替装置とから構成され、排出端2aの下方には、仕上仕切板4および籾仕切板5によって分けられた穀粒を受ける玄米案内口A、混合米案内口B、籾案内口Cを開口する。また、仕上仕切板4を揺動選別板2の排出端2aの幅内で位置決め制御する制御部11を備える。
【0022】
揺動選別板2は、底板に比重選別用の凹凸を形成して一辺を排出用開口とする浅い箱体であり、その開口端を低位の排出側とし、他端を高位の供給側として混合米ホッパ3から混合米を受け、また、供給側から排出側への穀粒流動方向と直交する選別幅方向にも傾斜を設け、その傾斜上位に向けて不図示の揺動機構により選別揺動動作可能に構成する。この選別揺動動作により供給側に受けた混合穀粒が揺動流動されて排出端に向かう間において、選別幅下部の未脱ぷ穀粒領域、選別幅上部の脱ぷ穀粒領域、中間部の混合穀粒領域の3領域に選別区分することができる。
【0023】
仕上仕切板4は、図3の揺動選別板2の排出端部の正面拡大図に示すように、排出端2aの選別幅内でスクリューロッド6等の横駆動部材により横移動可能に支持して排出穀粒の流れ幅を仕切り、その仕切り位置をモータ8の回転制御によって調節可能に構成する。
【0024】
籾仕切板5は、揺動選別板2の排出端2aの選別幅内で仕上仕切板4より揺動下方側に、仕上仕切板4と同様にして、スクリューロッド7により横移動可能に支持されて排出穀粒の流れ幅を仕切り、その仕切り位置をモータ9の回転制御によって調節可能に構成する。
【0025】
穀物判別センサ10は、図4のセンサ部の拡大側面図(a)に示すように、揺動選別板2の排出端2aの選別幅内を移動可能なセンサホルダ21に支持した光学式外観検出器であり、そのセンサホルダ21に形成した穀粒通路22を検出軸線が横断するように配置して穀粒の外観を照射光により、または透過光によって内部状態を検出することにより、穀粒についての脱ぷ前後の判別行う。
【0026】
また、穀物判別センサ10には、図4のその要部拡大図(b)に示すように、受光部10aを中心に赤R、緑G、青B等の複数光源10b…、必要により、白色光、赤外光等を含む異なる照射特性を有する複数の照射光源をいずれか選択可能に反射型センサを構成し、または、受光部10aを分離して透過型センサを構成する。
【0027】
センサは白黒でもカラーでもよく、また、図形処理によって識別するカメラでもよく、酒米、もち米、青米の多い籾等について玄米の識別に適する検出差異が得られるものを準備することにより、各種の穀物について生育状態、保管状況等の多様な条件に応じて最適なものを選択することにより、多様な穀物の判別に適用することができる。
【0028】
これら複数の照射光源10b…は、いずれかを任意に選択できるほか、脱ぷ前後の穀粒についての両検出値を比較して差が大きいものを選択することにより、穀物の種類や状況に応じて最適なものを選択することにより、多様な穀物の判別に適用することができる。
【0029】
照射と受光のセンサーヘッドは、可動部に構成することにより、センサホルダ21が小型軽量化されて邪魔にならず、アンプや判別制御部を固定側に配置することにより、破損劣化が抑えられて耐久性を確保することができる。
【0030】
排出端2aの下方には、脱ぷ穀粒を取出すための玄米案内口Aを仕上仕切板4による穀粒落下範囲に開閉可能に備え、また、未脱ぷ穀粒を再び籾摺りするために籾摺部16に至る籾案内口Cを籾仕切板5による穀粒落下範囲に開口し、さらに、穀物選別装置1による選別を繰返す循環選別のために混合米揚穀機18に至る混合米案内口Bを仕上仕切板4と籾仕切板5の間の穀粒落下範囲に開口する。この混合米案内口Bは、脱ぷ穀粒の選別が安定するまでの循環選別のために、閉鎖状態の玄米案内口Aに受けた穀粒を合流可能に構成する。
【0031】
また、玄米案内口Aは、穀物判別センサ10により仕上仕切板4を選別幅上部の脱ぷ穀粒領域に合わせることによって玄米のみを分離することができる。同様に、籾案内口Cは、穀物判別センサ10により籾仕切板5を選別幅下部の未脱ぷ穀粒領域に合わせることによって籾のみが分離され、仕上仕切板4と籾仕切板5の間の混合米は混合米案内口Bに分離される。
【0032】
(籾摺システム)
上記構成の穀物選別装置1を含む籾摺システムの制御構成は、図5のブロック図に示すように、籾摺選別機16,17、揺動選別板2の駆動とともに、揺動選別板2の仕切板4,5を横移動する駆動モータ8,9、後述の揺動選別板2の傾斜切替えのモータ31を制御部11によって制御可能に構成し、また、穀物選別装置1の仕切板4,5を横移動制御するための穀物判別センサ10および、手動による穀物選択を可能とする選択モードスイッチ32の信号を制御条件として入力する。そのほか、穀物選択のための穀物設定スイッチパネル33を、図6の見取図に示すように、「うるち米」「麦」等の穀物別のスイッチを配置して構成する。
【0033】
選択モードが自動の場合は、サンプル穀粒について複数光源10b…の切替によって最適光源の選択を行う。この光源選択制御は、揺動選別板2の排出端2aの選別幅内で脱ぷ前後のサンプル穀粒について光源別の検出を行い、光源毎の両検出値の差がより大きい照射光源を制御部11が選択する。そして、選択光源による脱ぷ前後の穀粒のそれぞれの検出値の中間領域に判別値を設定する。この複数光源の穀物判別センサ10により、特段の設定操作を要することなく、対象穀粒に応じて高精度の脱ぷ区分判別が可能となる。高精度の判別が可能となる
【0034】
仕上仕切板4は、揺動選別板2の選別幅の玄米側から籾側まで一定時間(おおむね2〜5秒)毎または一定距離(10〜50mm)毎に穀物判別センサ10を移動しながらサンプル穀粒を採取し、その検出値に基づいて得られる玄米領域の範囲に合わせて位置決めする。
【0035】
また、穀物設定スイッチパネル33は、穀物判別センサ10について穀物別のスイッチと対応して最適の光源を別途設定しておくことにより、光源選択のためのサンプル穀粒の検出比較による事前処理を要することなく、既知の穀物について手動操作による迅速な光源選択が可能となる。
【0036】
さらに、穀物別のスイッチと対応して穀物別に別途設定した揺動選別板2の傾斜角度の切替え、または、傾斜調節範囲の上下の規制位置を可動式の上限部材と下限部材とにより切替える不図示の傾斜範囲切替装置を設け、この傾斜範囲切替装置による傾斜調節範囲を別途設定による傾斜角の調節範囲の切替えを行う。例えば、メンテナンス用の全角度範囲、うるち米は8〜13度、小麦は8〜11度、大麦は7〜10度の範囲に傾斜限度を切替えることにより、選別する穀物毎に異なる煩雑な傾斜調節操作を最小限度に抑えて各種の穀物に対する迅速な適用が可能となる。
【0037】
(運転制御)
上記制御部11による籾摺システムの運転制御は、図7の制御フローチャートに示すように、籾摺開始の第一の処理ステップ(以下において、「S1」の如く略記する。)により、穀物選別装置1を初期状態、すなわち、玄米案内口Aを閉じて循環選別状態として籾摺選別機16,17と揺動選別板2の駆動を開始し、籾摺部16によって籾摺りされた穀粒を次の風選処理(S2)により風選して籾殻を排出し、この風選穀粒を穀物供給処理(S3)により揺動選別板2の傾斜角度を調節した上で同揺動選別板2に供給して循環選別を行う。
【0038】
この循環選別において、穀物判別センサ10によるサンプル処理(S4)と複数光源の切替(S5)により、脱ぷ前後の穀粒の検出差により最適光源の選択(S6)を行う。この選択光源による穀粒判別から得られる混合比率に基づいて仕上仕切板4を移動(S7)することによって迅速に玄米分離に移行することができる。ここで玄米案内口Aを開いて以後、連続して籾摺選別による投入籾の籾摺と仕上げ玄米の取出しが可能となる(S8)。
【0039】
この場合において、籾仕切板5を未脱ぷ穀粒領域に合わせることにより、籾のみが分離されて籾摺部16に再投入されて籾摺りが行われるとともに、籾仕切板5と仕上仕切板4との間の混合米は混合米案内口Bから穀物選別装置1に再投入されて揺動選別を繰返えすことから、脱ぷ穀粒の再籾摺りを回避して、一様な脱ぷ処理による仕上げ玄米として取出すことができる。
【0040】
また、仕切位置を記憶することにより、穀物選別装置1が籾不足によって途中停止した場合に記憶した直前の仕切位置に復帰することができるので、元の位置を選択可能に構成することにより、オペレータが途中交代しても、また、不慣れなオペレータでも、迅速な選別再開が可能となる。
【0041】
すなわち、仕上米が循環から排出に切替わって選別動作が一定時間維持された時に仕上仕切板4の仕切位置を記憶し、途中の位置変更の時は一定時間維持後に再記憶し、遊動タンク18aの減センサが検出オンであって、ロータリバルブ12の出口センサがオフの場合に一定時間後に順次停止し、その後の再復帰の際は、一端手動で仕切り位置を狭い側に移動させて自動起動させ、状況を確認しながら再度仕切位置を選択して選別する。その後、任意の時点で「元の位置を選択」することにより、仕切が前回位置に移動し、また、「元の位置を選択しない」を選ぶとその位置が記憶として更新する。
【0042】
さらに、起動時に前回の記憶利用を選択可能に構成し、再起動時に循環から排出に切替わる前または切替った直後に仕切位置を前回位置に復帰させることにより、途中停止、通常停止、過負荷停止等の後の選別再開の迅速化が可能となる。
【0043】
また、揺動選別板2の傾斜角度について、選別再開時に記憶角度に基づいて前回角度に傾斜を復帰させることにより、煩わしい傾斜調節操作を要することなく、上記同様に最適な選別状態を再現して効率よく穀物の選別を再開することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 穀物選別装置
2 揺動選別板
2a 排出端
4 仕上仕切板
5 籾仕切板
10 穀物判別センサ
10b 照射光源
11 制御部
32 選択モードスイッチ
33 穀物設定スイッチパネル
A 玄米案内口
B 混合米案内口
C 籾案内口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の穀粒を受けて揺動動作により比重選別する傾斜配置の揺動選別板(2)と、その排出端(2a)から流出する穀粒を分ける可動式の仕上仕切板(4)と、複数種類の穀粒を判別する光学式の穀物判別センサ(10)と、そのセンサ信号によって得られる穀粒の混在比率の算出結果に基づいて揺動選別板(2)の排出端(2a)における穀粒領域に合わせて仕上仕切板(4)を位置決め制御する制御部(11)とからなる揺動選別板式穀物選別機において、
上記穀物判別センサ(10)は異なる照射特性を有する複数の照射光源(10b)をいずれか選択可能に備え、判別対象の穀粒の検出値の差がより大きい照射光源(10b)を選択することを特徴とする揺動選別板式穀物選別機。
【請求項2】
前記穀物判別センサ(10)の照射光源(10b)の選択は、揺動選別板(2)による選別動作の開始時に行い、その判別結果に基づいて仕上仕切板(4)を位置決め制御することを特徴とする請求項1記載の揺動選別板式穀物選別機。
【請求項3】
前記照射光源(10b)は、別途設定による穀物別の適合光源を選択する穀物別のスイッチ(33)を設けたことを特徴とする請求項または請求項2のいずれかに記載の揺動選別板式穀物選別機。
【請求項4】
前記揺動選別板(2)は、その傾斜を切替える傾斜切替装置を備え、この傾斜切替装置による傾斜を前記スイッチ(33)の選択に応じて別途設定による穀物別の適合角度に切替えることを特徴とする請求項3記載の揺動選別板式穀物選別機。
【請求項5】
前記揺動選別板(2)は、傾斜調節範囲の上下の規制位置を可動式の上限部材と下限部材とにより切替える傾斜範囲切替装置を備え、この傾斜範囲切替装置による傾斜調節範囲を前記スイッチ(33)の選択に応じて別途設定による穀物別の適合範囲に切替えることを特徴とする請求項3または請求項4のいずれかに記載の揺動選別板式穀物選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−239984(P2012−239984A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112745(P2011−112745)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】