説明

携帯情報端末装置

【課題】アンテナを良好な感度に保持できるとともに、キーボード操作が容易で、しかも筐体内の限られたスペースを最大限有効に活用して表示画面やキーボタンなどが設置できるようにする。
【解決手段】ヒンジ部3は、第1筐体1の一方の側部を切り欠いて形成した被嵌合部である第1ヒンジ部1fと、第2筐体2の内面2Aの一方の側部から第1筐体1の内面2Aに向けて突出し被嵌合部に嵌合する嵌合部であり、第1ヒンジ部1fに回動可能に係合する第2ヒンジ部32a,3bとを備え、第1筐体1の内面から第1ヒンジ部1f及び第2ヒンジ部32a,3bが膨出しないよう構成した。これにより、第1筐体1を作業面上に載置して第2筐体2を開放させたときに、第1ヒンジ部1fがある第1筐体1の側部が持ち上がるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、情報端末機器に係り、特にこの情報端末機能として、例えば電子手帳のような電子式の情報処理管理装置などとしての機能を有する携帯情報端末装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機は、どこでも移動して使用できるという利便性、携帯性を有しており、この携帯性を配慮して、サイズの小さいことが重要であるため、小型化、薄型化が図られている。一方、この携帯電話機とは異なるが、同様に、どこでも移動して使用できる携帯性を備えた情報処理管理装置、いわゆる電子手帳などが各種開発され使用されている。
【0003】
さらに、このような携帯電話機や電子手帳としての機能をそれぞれ単体で有するのではなく、携帯電話機と電子手帳との双方の機能を兼ね備えたものが提案され開発されており、電子手帳で処理した情報を他の場所へ無線で送信することなどが可能となっている。このような電子手帳機能を備えた携帯電話機として、例えば、普段閉じているときには携帯電話機として使用し、開くと電子手帳として使用できる開閉式のものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような開閉式の電子手帳機能を備えた携帯電話機にあっては、以下のような不都合を生じている。即ち、
(1)使用者の頭の近くにアンテナが位置するので、アンテナとしての特性が低下するといった不都合を生じていること、
(2)携帯電話機としての操作機能を設けた上側筐体部分を開いて電子手帳として使用する際には、通常、この電子手帳機能を有する下側筐体部分はテーブルなどの上面に平行な状態であり、操作者はこのキーボード面を覗き込むような状態で操作することが必要であるので、操作性にいまひとつ満足できないこと、
(3)また、上側筐体部分を開き下側筐体部分を電子手帳として使用する際に、その下側筐体部分のキー押圧操作などを行うと、その押圧力で上側筐体部分が回動し、ぐらつきやすいこと、
(4)上側筐体部分を開き下側筐体部分を電子手帳として使用する際に、その押圧力の力の入れ具合によっては、開いていた上側筐体部分が自然に閉じてしまうこと。
【0005】
また、さらに、
(5)下側筐体部分のストラップ取付け位置によっては、ストラップが邪魔になってしまい、下側筐体部分が揺動し易いこと、
(6)上側筐体部分と下側筐体部分とがヒンジで連結されているが、このヒンジ部分が双方の筐体部分で盛り上がっていることが多く、このような形状の場合には、そのヒンジ部分に相当する表面部分にキーボタンなどを設置できずにデッドスペースになり易いこと、
(7)ヒンジ部分が盛り上がっている構成の場合には、表示用の画面を設置する場合に、その部分が犠牲になって画面を筐体の内面いっぱいに設置できないこと、
(8)上側筐体部分を開き下側筐体部分を電子手帳として使用する際に、載置する作業台上面でその上側筐体部分に傷を付け易いこと、などの不都合を生じている。
【0006】
そこで、この発明は、上記した事情に鑑み、特に、アンテナを良好な感度状態に保持できるとともに、キーボードでの操作が容易で、しかも筐体内の限られたスペースを最大限有効に活用して表示画面やキースイッチなどが設置できる携帯情報端末機器を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、第1に、ヒンジ部を介して第1筐体と第2筐体とを開閉可能に取り付け、これらの筐体の閉鎖時と開放時とで、複数の機能を使い分けて使用する携帯情報端末機器であって、
前記ヒンジ部は、
前記第1筐体の一側縁部に切り欠いて設けた第1ヒンジ部と、
前記第1筐体に対向する第2筐体の内面の一側縁部において第1筐体の内面側に向けて突出して設けた第2ヒンジ部とを備え、
前記第1ヒンジ部の切り欠き部分に前記第1筐体の内面と面一状態で前記第2ヒンジ部を回動可能に嵌着させたことを特徴としている。
【0008】
これにより、第2筐体を開くと、第2筐体のヒンジ部側の側縁部が第1筐体の外面より外側に回り込んで突出し、第1筐体が使用者の方に傾くので、キーボードの操作性が良好になる。また、第1、第2筐体の内面にヒンジ部が突出しないので、そのヒンジ部の設置スペースを第1、第2筐体の内面に確保する必要がなく、しかも筐体内面の限られたスペースを最大限有効に活用して表示画面やキーボタンなどが設置できる。
【0009】
また、第2に、前記ヒンジ部内に出し入れ可能にアンテナを収納するとともに、前記アンテナを前記第1筐体の外面から遠ざかる方向に傾けて配置し、前記アンテナを収納した状態で前記双方の筐体を開放したときに、この筐体を載置する作業面に、そのアンテナの先端部が接触しない長さに突出させることが好ましい。
【0010】
これにより、例えばこの携帯情報端末機器を金属製の作業台などに載置しても、そのアンテナを作業台などに接触するのを防止できるので、アンテナを良好な感度状態に保持できる。
【0011】
また、第3に、前記第2筐体の内面に情報を表示する表示画面を設けるとともに、前記第1筐体の内面に情報処理管理機能の操作用キーボードを設けることができる。
【0012】
また、第4に、前記ヒンジ部には、所定の開放角度で前記第2筐体の回動動作がロック状態になるロック手段を備えることができる。
【0013】
これにより、所定の開放角度まで第2筐体を回動すると、第2筐体がロック状態になるので、第2筐体がふらついたり、不用意に閉じたりすることがない。
【0014】
また、第5に、前記第2筐体の回動動作は、前記第1筐体に対して略90度から略180度までの範囲内のいずれかの開放角度でロック状態になるように構成してもよい。
【0015】
また、第6に、前記ヒンジ部は、前記第2筐体が所定角度まで閉じたところで第1筐体の方向に向けて閉鎖する自閉手段を備えることが好ましい。
【0016】
これにより、第2筐体を第1筐体と重合させて閉じているときに、不用意に第2筐体が開いて内面に設けたスイッチなどを操作するといったトラブルを防止できる。
【0017】
また、第7に、前記ヒンジ部は、前記ロック手段及び自閉手段を内蔵した連結ピンを備えることが好ましい。
【0018】
これにより、ロック手段及び自閉手段を収納する専用のスペースを設ける必要がなく、小型化に好都合である。
【0019】
また、第8に、前記第1筐体のヒンジ部側とは反対側の側面と、一方の端面との間にストラップ用の挿通孔を設けることが好ましい。
【0020】
これにより、第2筐体を開いて情報処理管理装置として使用する場合に、第1筐体が持ち上がるので、ストラップを取り付けても、第1筐体とこの第1筐体を載置する作業台との間にそのストラップ部分が挟まれて、第1筐体がぐらつくといったことが防止できる。
【0021】
また、第9に、前記第2筐体の外面に、この第2筐体を開放したときに作業面に当接する弾性部材を設けることが好ましい。
【0022】
これにより、第2筐体が開いたときに、第1筐体を載置する作業台に弾性部材が接触して第2筐体の外面が損傷するのを防止してくれるので、第1筐体に設けたキースイッチ操作などをある程度力を入れて行うことができるようになり、操作力不足による操作不良を防止できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明に係る携帯情報端末装置を開いたときの状態を示すものである。この携帯情報端末装置は、大略構成として、第1筐体である下側筐体1と、第2筐体である上側筐体2と、下側筐体1と上側筐体2とを連結するヒンジ部3と、アンテナ4とを備えており、開いた時には情報処理管理装置、例えば電子手帳として、また閉じたときには携帯電話機として、これらの機能を切替えて使用できるように構成されている。
【0024】
この実施形態の下側筐体1は、縦側が短辺、横側が長辺となる横向きで電子手帳として使用するものであって、内面1A部分には一段窪ませた凹部1aを設けており、この凹部1aには、下側筐体1に内蔵する電子手帳機能を操作するためのキースイッチ11aを取り付けたキーボード11を設けている。また、この下側筐体1には、内面1A部分の凹部1aと境界を接する段部1bを挟んで凸部1cを設けており、この凸部1cには、送話ユニット12を設けている。
【0025】
さらに、このこの下側筐体1には、一端面部分に、ストラップ7(図3参照)装着用の挿通口12を開口させており、この挿通口12と外面(載置面)1Bに開口したもう一方の挿通口(図略)との間には、連通路を形成してストラップ7を挿通させるように構成している。
なお、この下側筐体1の側面部分には、さらに、図示外のイヤフォン、マイクセット端子などを収める端子カバー13を設けているとともに、挿通口12を設けた同じ端面部分に、外部接続端子を収める端子カバー14を設けている。
【0026】
上側筐体2は、縦側が長辺、横側が短辺となる縦向きで携帯電話機として使用するものであって、内面2Aには情報を表示する液晶表示画面21を設けるとともに、外面2Bに弾性部材22(図2(A)参照)を設けている。この弾性部材22は、安定した状態に設置された適宜の作業台、例えばテーブル5の上面5Aに上側筐体2を開放したときに、この弾性部材22が、その上面5Aに当接するようになっている(図3(B)参照)。さらに、この上側筐体2には、図2(A)に示すように、外面2B側に、携帯電話機として使用するときの操作のために、例えば液晶表示画面23、受話口24などとともにマルチコントローラ26やダイアルスイッチ27などを設けている。
【0027】
ヒンジ部3は、図4に示すように、下側筐体1に対して上側筐体2を開閉可能に取付けるものであって、このヒンジ部3の内部には、出し入れ可能にアンテナ4を収納している。特に、このヒンジ部3では、下側筐体1の内面1Aよりも外側へヒンジ部3自身が膨出せぬようにフラットな形状に形成されており、下側筐体1の一側縁部(長辺側の一方の縁部、以下、側部とよぶ)を切り欠いて形成した被嵌合部である第1ヒンジ部3Aと、上側筐体2の一側縁部(長辺側の一方の縁部、以下側部とよぶ)において内面2Aから突出する嵌合部であって、第1ヒンジ部3Aに回動可能に係合する第2ヒンジ部3Bとを備えている。
【0028】
このうち、第1ヒンジ部3Aは、図4において、下側筐体1の側部のうち、右角隅部と、左角隅部から凸部1cを避けた凹部1aの左角隅部との2箇所に形成された第1軸受部で構成されている。即ち、この第1軸受部は、具体的には、右角隅部と凹部1aの左角隅部とにそれぞれ切り欠いて設けた切欠部1d,1eにおいて、互いに対向する壁面に挿入口1f,1g(1gについては、図5参照)を開口し、この挿入口1f,1gにそれぞれリング状の軸受部材31a、31bを装着した構成となっている。
【0029】
一方、第2ヒンジ部3Bは第2軸受部で構成されており、具体的には、上側筐体2の内面2Aの側部において、第1軸受部の切欠部1d,1eと対向する部位に一対突出して設けた凸状の軸受部材32a,32bで構成されている。そして、この上側筐体2の内面2Aから凸状に突出する軸受部材32a,32bは、下側筐体1の切欠部1d,1eに対して回動可能に、かつ、この切欠部1d,1eを補完するようにほとんど隙間なく挿入されている。なお、この凸状の軸受部材32bの内部には、図4に示すように、液晶表示画面21の駆動を制御するために下側筐体1内部の図示外の基板に実装した駆動回路と接続させるために、フレキシブル基板21aを挿通させている。
【0030】
ヒンジ部3をこのような構成とすることにより、この上側筐体2をテーブル5の上面5A上に載置し、通常の使用状態まで大きく開放させると、この上側筐体2が大きく回動してヒンジ部3より下方位置へ回り込み、下側筐体1のヒンジ部2側の側部が持ち上がる(起き上がる)ようになる。
【0031】
また、凸状の軸受部材32bの内部には、凸部1cの内部を貫通して設けた貫通孔15との間に、連結ピン33が装着されている。この装着ピン33は、140度から180度までの範囲内において、所定角度(この実施形態では145度)でロック状態となる適宜のロック手段(図略)を内蔵するとともに、上側筐体2が所定角度まで閉じたところで下側筐体1に向けて自動的に回動して閉鎖する適宜の自閉手段(図略)を内蔵している。
【0032】
アンテナ4は、図3に示すように、ヒンジ部3内に出し入れ可能に収納されており、下側筐体1をテーブル5の上面5A上に載置し、上側筐体2を開放して電子手帳として使用する際に、このアンテナ4の引き出し方向が、テーブル5の上面5Aへ向けて接近する方向に角度αだけ傾斜するよう構成されているが、テーブル5の上面5Aとの接触を避けた長さに突出させてある。
【0033】
そのため、このアンテナ4は、図4及び図5に示すように、下側筐体1には挿入口1f,1g間を連通して収納孔16が設けられているとともに、凸状の軸受部材32aに隣接した支持部材17が所定方向に指向して下側筐体1の一側縁部に嵌着されている。一方、アンテナ4は、収納孔16内に収納されたガイド部材41と、このガイド部材41及び支持部材17内にスライド可能に挿通された軸体42と、この軸体42の先端部に設けたヘッド部43と、軸体42の基端部に固設した接触子44とを備えている。
【0034】
ガイド部材41は、図5に示すように、アンテナ4をスムースに引き出すためのものであるが、特にアンテナ4の引き出し方向が、下側筐体1の外面1Bから遠ざかる方向に(テーブル5に載置の際には、上面5Aへ向けて接近する方向に)角度αだけ傾斜するように、先端部側が同一角度αだけ傾斜した状態に形成されている。また、このガイド部材41は、導電性の金属材料で形成されており、外周面からアンテナ用の回路基板6に接触しているとともに、内周面には接触子44が常時接触し、このガイド部材41を介して回路基板6と接触子44とが電気的に導通するように構成されている。また、このガイド部材41は、アンテナ4を雨水などから保護するための防水機能も有している。
【0035】
また、このガイド部材41の先端部には、内部に雌ねじが切られた止め金具45が取り付けられているとともに、この止め金具45には軸体42のガイド用の挿通部材46が螺合して取り付けられている。この挿通部材46には、ヘッド部43から延びる延設部材43a(図4参照)をスライド可能状態に内挿させている。一方、ヘッド部43は、普段、支持部材17の支持孔17a(図5参照)内部に収納・固定させるようになっている。
【0036】
次に、この実施形態の携帯情報端末装置の作用について説明する。
[携帯電話機として使用する場合]
図2(A)及び図3に示すように、上側筐体2を閉じると、上側筐体2の外面2Bを携帯電話機として使用することができる。即ち、この閉合させた上側筐体2及び下側筐体1を手で持ち、この携帯電話機の使用者の耳と口とを、外面2B側にある受話口24と送話口25とにそれぞれ当て、無線により相手側と通話をすることができる。
【0037】
この場合、図5に示すように、耳に当てる外面2B部分、別言すれば、使用者の頭などに対して、角度αだけ離れる方向にアンテナ4を伸長させるように構成している。従って、使用者の頭などの生体部分がアンテナ4の近くにあることなどの影響で、アンテナ4としての特性が低下するといったトラブルを抑制できるとともに、使用者の体に対する電磁波の悪影響なども極力回避できる。
【0038】
[電子手帳として使用する場合]
一方、図1及び図2(B)に示すように、水平に設けた作業台、例えばテーブル5などに載置して電子手帳として使用する場合には、初め、下側筐体1をそのテーブル5上に載置し、例えば、下側筐体1を片方の手で押さえながら、反対の手で上側筐体2をつかみ、閉じていた上側筐体2を開いていく方向に回動する。
【0039】
この場合、開き始めから所定の角度までは、連結ピン33に設けた自閉手段の自閉力が作用していることにより、初めはその自閉力に抗してある程度大きな操作力で開放させることが必要であるが、その後、例えば図2(B)に示すような開き角度になると、自閉力が作用しなくなりフリーの状態となるので、軽い操作力で開いていくことができる。このようにして、ある程度の角度まで上側筐体2を開いたところで、例えばこの実施形態では145度の開放角度に達したところで上側筐体2の回動動作が停止し、ロック状態になる。
【0040】
また、この上側筐体2の回動動作の途中で、例えば90度開放された後にさらに開いていくと、図3(B)に示すように、この上側筐体2の第2ヒンジ部3が下側筐体1の第1ヒンジ部の下方へ回り込んでいく。このようにして、上側筐体2と下側筐体1との上下位置関係がこのヒンジ部3のある方の側部で逆転するので、第1ヒンジ部3のある第1筐体1の側部が持ち上がっていく。つまり、下側筐体1の内面1Aは、使用者のいる手前側に向けて斜めに(この実施形態では6〜7度程度)傾斜することになるわけである。
【0041】
即ち、これは、図3(B)に示すように、この上側筐体2の外面2Bの端部にある弾性部材22がテーブル5に接触しており、この弾性部材22を中心にして、上側筐体2の開口側の側部の方を時計方向に押し出して回動すると、この弾性部材22が支点となり、下側筐体1のヒンジ部3のある方の側部が押し上げられる。
【0042】
その後、さらに上側筐体2の開放動作を続けることにより、先述した角度のところで、ロック状態になる。これにより、上側筐体2及び下側筐体1が固定され、上下方向へのふらつきなどを防止できるようになるので、下側筐体1の内面1Aに設けたキーボード11のキースイッチ11aを安定した状態で操作できる。また、上側筐体2がロック状態にあるので、そのキースイッチ11aをたとえ強く押し過ぎたとしても、その反動で上側筐体2が戻って閉じるといったことが防止できる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明によれば、ヒンジ部は、第1筐体の一方側の側縁部に切り欠いて設けた第1ヒンジ部と、第1筐体に対向する第2筐体の内面の一方側の側縁部において第1筐体の内面側に向けて突出して設けた第2ヒンジ部とを備え、第1ヒンジ部の切り欠き部分に第1筐体の内面と面一状態で第2ヒンジ部を回動可能に嵌着させた構成であり、第1筐体を作業台上に載置して第2筐体を使用状態まで開放すると、第1筐体が起き上がった状態になるので、使用者の顔の方向に向けて傾斜した状態になり、第2筐体を開放して使用するときの操作性が向上する。
【0044】
また、この発明によれば、ヒンジ部が第1筐体の内面部分から突出していないので、換言すれば、第1筐体の内面部分はフラットな状態に形成できるから、この内面部分のデッドスペースが形成されずにすみ、その分、限られたスペースの内面を最大限有効に活用できるようになるから、特に携帯性を優先する小型の携帯情報端末装置にあっては便宜である。
【0045】
さらに、この発明では、アンテナをヒンジ部内に出し入れ可能に収納するとともに、このアンテナは、携帯情報端末装置を載置した作業面へ向けて接近する方向に傾斜させて設け、かつ、そのアンテナの先端部が作業面に接触しない長さでヒンジ部内に収納させており、換言すれば、アンテナが作業台に接触するのを避けた状態で収納されているので、例えば鉄などの磁性体で形成された作業面上でこの携帯情報端末装置を使用する場合であっても、アンテナを良好な感度状態に保持でき、信頼度の高いものが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る携帯情報端末装置を電子手帳として使用するときの状態を示す斜視図である。
【図2】(A)は図1に示す携帯情報端末装置を携帯電話機として使用するときの状態示す斜視図、(B)は携帯情報端末装置の上側筐体を開いている途中の状態を示す斜視図である。
【図3】(A)は図1に示す携帯情報端末装置を携帯電話機として使用するときの状態示す側面図、(B)は携帯情報端末装置を電子手帳として使用するときの状態を示す側面図である。
【図4】図1に示す携帯情報端末装置の分解斜視図である。
【図5】図1に示す携帯情報端末装置のアンテナを収容するヒンジ部の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 下側筐体(第1筐体)
1A 内面
1B 外面
1d 切欠部
1e 切欠部
1f 挿入口
1g 挿入口
11 キーボード
11a キースイッチ
17 支持部材
2 上側筐体(第2筐体)
2A 内面
2B 外面
21 液晶表示画面
22 弾性部材
3 ヒンジ部
3A 第1ヒンジ部(第1軸受部)
31a リング状軸受部材
31b リング状軸受部材
3B 第2ヒンジ部(第2軸受部)
32a 凸状の軸受部材
32b 凸状の軸受部材
33 連結ピン(自閉手段・ロック手段)
4 アンテナ
41 ガイド部材
42 軸体
43 ヘッド部
44 接触子
5 テーブル
5A 上面(作業面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ部を介して第1筐体と第2筐体とを開閉可能に取り付け、これらの筐体の閉鎖時と開放時とで、複数の機能を使い分けて使用する携帯情報端末機器であって、
前記ヒンジ部は、
前記第1筐体の一方側の側縁部に切り欠いて設けた第1ヒンジ部と、
前記第1筐体に対向する第2筐体の内面の一方側の側縁部において第1筐体の内面側に向けて突出して設けた第2ヒンジ部とを備え、
前記第1ヒンジ部の切り欠き部分に前記第1筐体の内面と面一状態で前記第2ヒンジ部を回動可能に嵌着させたことを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項2】
前記ヒンジ部内に出し入れ可能にアンテナを収納するとともに、
前記アンテナを前記第1筐体の外面から遠ざかる方向に傾けて配置し、
前記アンテナを収納した状態で前記双方の筐体を開放したときに、この筐体を載置する作業面に、そのアンテナの先端部が接触しない長さに突出させたことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【請求項3】
前記第2筐体の内面に情報を表示する表示画面を設けるとともに、前記第1筐体の内面にキーボードを設けたことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【請求項4】
前記ヒンジ部は、所定の開放角度まで回動したところで前記第2筐体の回動動作がロック状態になるロック手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【請求項5】
前記第2筐体の回動動作は、前記第1筐体に対して略90度から略180度までの範囲内のいずれかの開放角度でロック状態になることを特徴とする請求項4に記載の携帯情報端末装置。
【請求項6】
前記ヒンジ部は、前記第2筐体が所定角度まで閉じたところで第1筐体の方向に向けて閉鎖する自閉手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【請求項7】
前記ヒンジ部は、前記ロック手段及び自閉手段を内蔵した連結ピンを備えたことを特徴とする請求項4又は6に記載の携帯情報端末装置。
【請求項8】
前記第1筐体のヒンジ部側とは反対側の側面と、一方の端面との間にストラップ用の挿通孔を設けたことを特徴とする請求項1、3、6のいずれか1項に記載の携帯情報端末装置。
【請求項9】
前記第2筐体の外面に、この第2筐体を開放したときに前記作業面に当接する弾性部材を設けたことを特徴とする請求項1、3、4、5、6のいずれか1項に記載の携帯情報端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−221210(P2006−221210A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−132711(P2001−132711)
【出願日】平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】