説明

携帯情報端末装置

【課題】 秘匿性の高い表示画面ごとに視野角を狭小化させるための操作入力を必要としない携帯情報端末装置を提供する。
【解決手段】 画面表示が制限されたシークレットデータであるか否かを示す表示制限指定フラグ426をユーザデータ416に対応付けて記憶するデータ記憶部406と、表示制限指定フラグ426によりシークレットデータを表示させない非シークレットモード、及び、シークレットデータを表示させるシークレットモードのいずれかを指定するシークレットモード指定フラグを書き換え可能に記憶するシークレットモード指定フラグ記憶部404と、シークレットモード指定フラグに基づいて表示対象とするユーザデータ416を選別し、ユーザデータ416の画面表示を行うアプリケーション実行部405と、シークレットモード指定フラグに基づいて、表示画面の視野角を狭小化する視野角制御部407により構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報端末装置に係り、さらに詳しくは、各種情報が表示される表示画面の視野角を制御して覗き見を抑制させる携帯電話機などの携帯情報端末装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通話以外にも電子メールの送受信やウェブサイトの閲覧、スケジュールの管理などの様々な機能を備えた携帯電話機が普及している。この種の携帯電話機では、ユーザの個人情報を画面上に表示させることが少なくないことから、ユーザが表示画面を閲覧する際の秘匿性を向上させる必要がある。
【0003】
そこで、表示画面の視野角を必要に応じて狭小化する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。特許文献1に記載の携帯端末装置は、情報を表示する表示装置と、表示装置の表示面に設けられる視野角制御用の液晶パネルを備え、液晶パネルにおける液晶の配向方向を変化させることによって表示面の視野角を狭小化させている。具体的には、ユーザによる操作入力や、動作させるアプリケーションの種類に基づいて視野角の狭小化が行われる。
【0004】
また、特許文献2には、ユーザを認証するためのデータを入力する際に、その入力画面の視野角を狭小化する情報処理装置が記載されている。
【特許文献1】特開2004−62094号公報
【特許文献2】特開2001−344050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した様な従来の携帯情報端末装置では、表示画面の視野角を狭小化させる際に、視野角の狭小化を指示するための操作入力が必要であったり、視野角を狭小化させるアプリケーションを予め指定しておかなければならず、操作性が良くないという問題があった。また、認証データの入力画面以外の表示画面を閲覧する際の秘匿性を向上させるものではなかった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、表示画面の視野角を必要に応じて狭小化させる際の操作性を向上させた携帯情報端末装置を提供することを目的としている。特に、秘匿性の高い表示画面ごとに視野角を狭小化させるための操作入力を必要としない携帯情報端末装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による携帯情報端末装置は、画面表示が制限されたシークレットデータであるか否かを示す表示制限情報をユーザデータに対応付けて記憶する表示制限情報記憶手段と、上記表示制限情報によりシークレットデータを表示させない第1表示モード、及び、シークレットデータを表示させる第2表示モードのいずれかを指定する表示モード指定情報を書き換え可能に記憶する表示モード指定情報記憶手段と、上記表示モード指定情報に基づいて表示対象とするユーザデータを選別し、ユーザデータの画面表示を行うアプリケーション実行手段と、上記表示モード指定情報に基づいて、表示画面の視野角を狭小化する視野角制御手段とを備えて構成される。
【0008】
この携帯情報端末装置では、画面表示が制限されたシークレットデータであるか否かを示す表示制限情報がユーザデータに対応付けて記憶され、この表示制限情報によって画面表示が制限されたシークレットデータを表示させない第1表示モードと、表示させる第2表示モードとのいずれかを指定する表示モード指定情報が書き換え可能に記憶される。この表示モード指定情報に基づいて、ユーザデータの画面表示を行うアプリケーション実行手段が表示対象とするユーザデータを選別するとともに、表示画面の視野角が狭小化される。ここでは、ユーザによる操作入力に基づいて端末内に格納されるデータをユーザデータと呼ぶことにする。この様な構成により、秘匿性の高いユーザデータをシークレットデータとして予め指定しておくことにより、当該シークレットデータを表示させる第2表示モードへの切り替えに連動させて表示画面の視野角を自動的に狭小化することができる。従って、シークレットデータを含み秘匿性の高い表示画面ごとに視野角を狭小化させるための操作入力を必要としないので、表示画面の視野角を必要に応じて狭小化させる際の操作性を向上させることができる。
【0009】
本発明による携帯情報端末装置は、上記構成に加え、上記視野角制御手段が、表示画面を狭視野角で閲覧させる狭視野モード及び広視野角で閲覧させる広視野モードの切り替えを行い、画面内に上記シークレットデータが含まれる場合には狭視野モードに切り替え、画面内に上記シークレットデータが含まれない場合には広視野モードに切り替えるように構成される。この様な構成によれば、シークレットデータが画面上に表示されている場合にのみ視野角が狭小化されるので、シークレットデータの秘匿性を適切に向上させることができる。
【0010】
また、本発明による携帯情報端末装置は、上記構成に加え、ユーザの認証を行うユーザ認証手段と、ユーザによる操作入力に基づいて表示モードの切り替えを行う表示モード切り替え手段とを備え、上記表示モード切り替え手段が、上記ユーザ認証手段によるユーザの認証に成功した場合に上記第1表示モードから上記第2表示モードへの切り替えを行い、ユーザの認証に失敗した場合には第1表示モードから第2表示モードへの切り替えを行わないように構成される。一般に、秘匿性の高いユーザデータを画面表示する際には、安全性を向上させるという観点から、ユーザの認証を行うことが望ましい。この携帯情報端末装置では、ユーザ認証において認証に成功した場合に、第1表示モードから第2表示モードへの切り替えが行われ、認証に失敗した場合には、第1表示モードから第2表示モードへの切り替えが行われない。すなわち、ユーザ認証に成功した場合にのみ、シークレットデータを表示させる第2表示モードへの切り替えが許可される。この様な第2表示モードへの切り替えに連動させて、表示画面の視野角が狭小化されるので、第2表示モードにおいてシークレットデータを画面表示する際の秘匿性を向上させることができる。
【0011】
また、本発明による携帯情報端末装置は、上記構成に加え、通常電力モードと、この通常電力モードよりも消費電力を低減させた省電力モードとを切り替える電力モード切り替え手段を備え、上記表示モード切り替え手段が、第2表示モード中に電力モードが上記通常電力モードから上記省電力モードに切り替えられると、第1表示モードへの切り替えを行い、上記視野角制御手段が、上記第1表示モードへの切り替えに連動して視野角の狭小化を解除するように構成される。この様な構成によれば、第2表示モード中における省電力モードへの切り替えに連動させて、第1表示モードへの切り替えが行われ、この表示モードの切り替えに連動して視野角の狭小化が自動的に解除されるので、画面表示の秘匿性を効果的に向上させることができるとともに、視野角の戻し忘れを防止することができる。
【0012】
また、本発明による携帯情報端末装置は、上記構成に加え、ファイル内容の閲覧が制限されたシークレットファイルであるか否かを示す閲覧制限情報をデータファイルに対応付けて記憶する閲覧制限情報記憶手段を備え、上記第1表示モードが、上記閲覧制限情報によりシークレットファイルを閲覧させない表示モードであり、上記第2表示モードが、シークレットファイルを閲覧させる表示モードであり、上記視野角制御手段が、上記シークレットファイルごとの閲覧画面の視野角を狭小化するように構成される。この様な構成によれば、秘匿性の高いデータファイルをシークレットファイルとして予め指定しておくことにより、当該シークレットファイルを閲覧させる第2表示モードにおいてシークレットファイルのファイル内容を閲覧する際に、閲覧画面の視野角を自動的に狭小化することができる。従って、秘匿性の高いデータファイルのファイル内容を閲覧する際、データファイルごとに視野角を狭小化させるための操作入力を必要としないので、閲覧画面の視野角を狭小化させる際の操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による携帯情報端末装置によれば、秘匿性の高いユーザデータをシークレットデータとして予め指定しておくことにより、当該シークレットデータを表示させる第2表示モードの指定に連動させて表示画面の視野角を自動的に狭小化することができる。従って、秘匿性の高い表示画面ごとに視野角を狭小化させるための操作入力を必要としないので、表示画面の視野角を必要に応じて狭小化させる際の操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
図1(a)及び(b)は、本発明の実施の形態1による携帯情報端末装置の一例を示した外観図であり、携帯情報端末装置の一例として携帯電話機1が示されている。この携帯電話機1は、いわゆる折り畳み式の携帯電話機であり、表示筐体100及び操作筐体200がヒンジ部300を介して連結され、表示筐体100及び操作筐体200の一面を対向させて折り畳むことができる。図1(a)には、両筐体を展開させた端末状態の様子が示され、図1(b)には、折り畳んだ端末状態の様子が示されている。
【0015】
表示筐体100は、折り畳み時に内側となる筐体面にメインディスプレイ101及び受話用レシーバ103が配置され、外側となる筐体面にサブディスプレイ102及びカメラ104が配置されている。操作筐体200は、折り畳み時に内側となる筐体面に操作キー201、「視野切替」キー202及び送話用マイクロフォン203が配置されている。
【0016】
この様な折り畳み式の携帯電話機1は、コンパクトに折り畳んだ状態で携帯することができ、両筐体を展開させれば、メインディスプレイ101の表示を見ながら操作キー201を押下操作することができる。つまり、主な情報表示はメインディスプレイ101を用いて行われ、主な操作入力は操作キー201を用いて行われる。
【0017】
メインディスプレイ101は、縦長の矩形形状からなる表示画面を有し、この表示画面内に個人情報を含む様々な情報が表示される。この様な表示が第三者によって覗き見られるのを防止するために、メインディスプレイ101は、左右方向の視野角を可変制御することができる。
【0018】
具体的には、表示画面を広い視野角で閲覧させる動作状態としての広視野モードと、表示画面を狭い視野角で閲覧させる動作状態としての狭視野モードとをシークレットモード及び非シークレットモードの表示モード切り替えに連動させて自動的に切り替えることができる。一般に、携帯電話機のメインディスプレイは、テレビ受像装置や据え置き型の情報端末装置に比べて表示面積が小さく、また、手に持って使用するために、ユーザの目と表示画面との位置関係が概ね一定であることから、視野角制御に適している。また、携帯電話機は、メインディスプレイをある程度立てた状態で使用されることから、左右方向の視野角を狭小化させれば、覗き見を効果的に防止することができる。
【0019】
なお、本実施の形態では、メインディスプレイ101について視野角制御を行う場合の例について説明するが、サブディスプレイ102についても、同様の視野角制御を適用することができるのはいうまでもない。また、本実施の形態では、左右方向の視野角を可変制御する場合の例について説明するが、同様にして、上下方向の視野角を可変制御することもできる。
【0020】
図2は、図1の携帯電話機の要部における構成例を示した断面図であり、A−A線で切断したメインディスプレイ101の様子が示されている。このメインディスプレイ101は、視野角制御用液晶パネル2及び表示装置5によって構成される。表示装置5の表示画面上には、視野角制御用液晶パネル2の表示透過面が配置されており、視野角制御用液晶パネル2が表示透過面の視野角を切り替えることによって、メインディスプレイ101の視野角が切り替えられる。
【0021】
表示装置5は、表示用液晶パネル3及びバックライト4からなる周知の表示装置である。表示用液晶パネル3は、2枚の絶縁性透明基板(例えば、ガラス基板)32a及び32b間に液晶34が封入されている。また、各基板32a及び32bの外面には、偏光板31a及び31bがそれぞれ配置され、内面には、透明電極(例えば、ITO電極)33a及び33bがそれぞれ配置されている。例えば、一般的なTFT方式の表示装置であれば、前面側の電極33aとして共通電極が形成され、背面側の電極33bとして多数の画素電極が形成されている。
【0022】
バックライト4は、透過型の表示用液晶パネル3に対し、背面側から光を供給する光源である。表示用液晶パネル3は、各画素電極の電位を制御し、バックライト4からの入射光を透過させるか否かを画素ごとにコントロールして文字や画像を表示している。つまり、上記画素電極の配置されている基板32b上の領域が表示エリアとなり、この表示エリア内の位置に応じて光の透過率を異ならせることによって、文字や図形からなる情報が表示される。
【0023】
一方、視野角制御用液晶パネル2は、光の進行方向に応じて透過率を異ならせることによって、視野角の可変制御を実現している。なお、表示装置5からの光を透過させる領域、つまり、表示装置5の表示エリアに対応した視野角制御用液晶パネル2上の領域を表示透過面と呼ぶことにする。
【0024】
この視野角制御用液晶パネル2は、2枚の絶縁性透明基板(例えば、ガラス基板)22a及び22b間に液晶24が封入され、前面側の基板22aの外面には、偏光板21が配置されている。また、各基板22a及び22bの内面には、透明電極(例えば、ITO電極)23a及び23bがそれぞれ配置されている。つまり、表示用液晶パネル3の偏光板31aを加えれば、表示用液晶パネル3と同様の構成となる。
【0025】
偏光板21及び31aは、互いに透過軸が一致するように配置されており、表示用液晶パネル3からの入射光は、液晶24において偏光面(偏向面ともいう)が変化しなければ、視野角制御用液晶パネル2を透過することができる。液晶24では、透過光の光軸が正面方向となす角度に応じて、当該透過光の偏光面が回転するために、所定の視野角よりも外側に向けて液晶24中を斜めに進む入射光は、偏光板21において遮断される。
【0026】
視野角制御用液晶パネル2は、各透明電極23a及び23bの電位を制御し、液晶24の配向方向をコントロールすることによって表示画面の左右方向に関する視野角を変化させている。
【0027】
図3(a)及び(b)は、図1の携帯電話機による動作例を示した図であり、図3(a)には、シークレットモードにおいて視野角外の視点から狭視野角のメインディスプレイを見た場合のイメージが示され、図3(b)には、非シークレットモードにおいて視野角内の視点から広視野角のメインディスプレイを見た場合のイメージが示されている。
【0028】
シークレットモードは、特定のユーザデータを含む全てのユーザデータを表示させる表示モードであり、非シークレットモードは、上記特定のユーザデータをシークレットデータとして表示させない表示モードである。ここでは、ユーザによる操作入力に基づいて端末内に格納されるデータをユーザデータと呼ぶことにする。
【0029】
非シークレットモードからシークレットモードへの切り替えは、ユーザの認証に成功した場合にのみ許可され、ユーザの認証に失敗した場合には、シークレットモードに切り替わらないようになっている。シークレットデータは、この様なシークレットモードにおいてのみ表示され、非シークレットモードでは表示されない。つまり、シークレットデータを表示させるためには、ユーザ認証に成功する必要があることから、特定のユーザデータ(シークレットデータ)の秘匿性を保持している。
【0030】
本実施の形態では、この様な表示モードの切り替えに連動させてメインディスプレイの視野角を切り替える視野角制御が行われ、シークレットデータの秘匿性をさらに向上させている。具体的には、シークレットモードを狭視野モードとし、非シークレットモードを広視野モードとする視野角制御が行われる。つまり、非シークレットモードでは、広視野モードとなり、表示画面の視野角が広げられるので、ある程度斜め方向からでも画面表示を閲覧することができる。一方、ユーザ認証を経てシークレットモードに切り替えられると、狭視野モードとなり、表示画面の視野角が狭められる。なお、シークレットモードから非シークレットモードに切り替えられると、視野角の狭小化は解除され、広視野モードとなる。
【0031】
広視野モード(広視野角)の場合、視野角内の視点からメインディスプレイを見れば、当然のことではあるが、画面表示を良好に視認することができる。同様に、狭視野モードの場合であっても、視野角内の視点からメインディスプレイを見れば画面表示を良好に視認することができる。一方、狭視野モード(狭視野角)の場合に、広視野モードであれば視野角内となるが、狭視野モード時には視野角外となる視点からメインディスプレイを見れば、図中の(a)に示した通り、本来の画面表示はコントラストが低下し、表示内容の識別が困難になっている。
【0032】
図4は、図1の携帯電話機の内部構成の一例を示したブロック図である。この携帯電話機1は、操作入力部401、ユーザ認証部402、表示モード切り替え部403、シークレットモード指定フラグ記憶部404、アプリケーション実行部405、データ記憶部406、表示装置5、視野角制御部407及び視野角制御用液晶パネル2により構成される。操作入力部401は、操作キーの操作に基づいて入力信号を生成する動作を行っている。
【0033】
ユーザ認証部402は、ユーザの認証を行っている。例えば、端末暗証番号などのパスワード(識別コード)を入力させ、予め登録されているデータと照合することによってユーザ認証が行われる。ここでは、パスワードに基づいてユーザ認証が行われるものとしているが、端末筐体に指紋読み取り部を設け、端末操作者から読み取った指紋に基づいてユーザ認証を行っても良い。
【0034】
表示モード切り替え部403は、シークレットモード及び非シークレットモードのいずれかに表示モードを切り替える動作を行っている。この表示モードの切り替えは、ユーザによる操作入力に基づいて行われ、非シークレットモードからシークレットモードに切り替える際には、ユーザ認証部402に対してユーザの認証が指示される。シークレットモードへの切り替えは、ユーザの認証に成功した場合に行われ、ユーザの認証に失敗した場合には、行われない。
【0035】
ここでは、表示モードが非シークレットモードからシークレットモードに切り替えられると、シークレットモード指定フラグがオンされ、シークレットモードから非シークレットモードに切り替えられると、当該シークレットモード指定フラグがオフされるものとする。このシークレットモード指定フラグは、シークレットモード及び非シークレットモードのいずれかを指定する表示モード指定情報であり、シークレットモード指定フラグ記憶部404に書き換え可能に記憶される。つまり、メインディスプレイの表示モードがシークレットモードであるか否かは、シークレットモード指定フラグがオン状態であるか否かで決定される。
【0036】
アプリケーション実行部405は、操作入力部401からの入力信号に基づいて、アプリケーションプログラムを立ち上げ、実行する動作を行っている。このアプリケーションプログラムは、シークレットモード指定フラグに基づいて表示対象とするユーザデータを選別し、ユーザデータの画面表示を行うプログラムである。具体的には、シークレットモード指定フラグ記憶部404のシークレットモード指定フラグを参照し、当該シークレットモード指定フラグがオン状態であれば、処理対象とする全てのユーザデータが表示対象とされる。一方、シークレットモード指定フラグがオフ状態であれば、上記全ユーザデータのうち、シークレットデータを除く各ユーザデータが表示対象とされる。つまり、シークレットモード指定フラグがオフ状態である場合、シークレットデータとして予め指定されている特定のユーザデータは画面上に表示されない。
【0037】
データ記憶部406は、アプリケーションプログラムが処理対象とする複数のユーザデータ416を書き換え可能に記憶する不揮発性の記憶手段である。このデータ記憶部406には、画面表示が制限されたシークレットデータであるか否かを示す表示制限情報として、表示制限指定フラグ426がユーザデータ416に対応付けて書き換え可能に記憶される。ここでは、表示制限指定フラグ426がオン状態であるか否かによって、当該フラグに対応付けられているユーザデータがシークレットデータであるか否かが判別されるものとする。
【0038】
この様にしてユーザデータの画面表示を行うアプリケーションプログラムとしては、様々なものが考えられる。例えば、電話帳データとして予め登録されているユーザデータを表示装置5上に一覧表示させるとともに、新たな電話帳データの登録や登録内容の変更を行うプログラムが考えられる。また、スケジュールデータとして予め登録されているユーザデータを表示装置5上に表示させるとともに、新たなスケジュールデータの登録や登録内容の変更を行うプログラムが考えられる。
【0039】
或いは、メモデータや予定進行管理データとして予め登録されているユーザデータを表示装置5上に表示させるとともに、新たなデータの登録や登録内容の変更を行うプログラムが考えられる。また、インターネットなどの通信ネットワーク上における特定のウェブサイトのアドレスをブックマークとして一覧表示させるプログラムが考えられる。ここでは、これらのアプリケーションプログラムが選択可能であり、ユーザによる操作入力に基づいていずれかのアプリケーションプログラムが立ち上げられるものとする。
【0040】
視野角制御部407は、シークレットモード指定フラグに基づいて視野角制御用液晶パネル2を制御し、表示画面の視野角の狭小化を行っている。具体的には、シークレットモード指定フラグ記憶部404のシークレットモード指定フラグを参照し、当該シークレットモード指定フラグがオン状態であれば、狭視野モードに切り替えられる。一方、シークレットモード指定フラグがオフ状態であれば、広視野モードに切り替えられる。つまり、メインディスプレイの表示モードがシークレットモードであれば、狭視野モードとなり、非シークレットモードであれば、広視野モードとなる。
【0041】
ここでは、シークレットモードへの切り替えに連動して視野角を切り替えるのとは別に、「視野切替」キーの押下によって手動で視野角を切り替えることもできるものとする。具体的には、シークレットモード及び非シークレットモードのいずれの表示モードであっても、「視野切替」キーの操作によって狭視野モード及び広視野モードの切り替えを強制的に行うことができる。また、カメラによって撮影された画像データを画面表示させるアプリケーションプログラムなどのように、表示画面を広い視野角で閲覧させるのが望ましい特定のアプリケーションプログラムの起動に合わせて視野角の狭小化を解除させても良い。
【0042】
図5は、図1の携帯電話機における動作例を示した図であり、電話帳データとしての個人情報の登録画面41の様子が示されている。この登録画面41は、電話帳データを新たに登録するための入力画面であり、メインディスプレイ上に表示される。
【0043】
登録画面41は、ピクト表示領域42、タイトル表示領域43、電話帳データ表示領域及びガイドキー表示領域からなる。ピクト表示領域42には、電波の受信感度や電池残量、現在時刻などが絵文字(ピクトグラム)で表示される。
【0044】
電話帳データ表示領域には、名前や名称の入力ボックス44a、電話番号の入力ボックス44b、画像データの参照先を指定する入力ボックス44c、表示制限指定フラグを指定する入力ボックス44dがそれぞれ配置されている。
【0045】
ガイドキー表示領域には、「決定」キー45や「完了」キー46が配置されている。ここでは、表示制限指定フラグが入力対象として選択されている場合、「決定」キー45を押下する度に、表示制限指定フラグのオン及びオフが切り替わるものとする。電話帳データの入力後に「完了」キー46を押下すれば、電話帳データの登録処理は終了し、登録画面41を表示する前の画面に復帰する。
【0046】
図6のステップS101〜S108は、図1の携帯電話機における動作例を示したフローチャートである。まず、表示モード切り替え部403は、ユーザによる操作入力に基づいてシークレットモードへの表示モードの切り替え指示が入力されると、ユーザ認証部402にユーザ認証を指示する(ステップS101,S102)。
【0047】
次に、表示モード切り替え部403は、ユーザ認証部402においてユーザの認証に成功すれば、シークレットモード指定フラグをオンし、表示モードはシークレットモードとなる(ステップS103,S104)。一方、ユーザの認証に失敗すれば、表示モードの切り替え指示は無効化され、この表示モード切り替え処理は終了する。
【0048】
視野角制御部407は、シークレットモード指定フラグがオンされると、メインディスプレイの視野角を狭小化し、狭視野モードとなる(ステップS105)。
【0049】
次に、表示モード切り替え部403は、ユーザの操作入力に基づいて非シークレットモードへの切り替えが指示されると、シークレットモード指定フラグをオフする(ステップS106,S107)。視野角制御部407は、このシークレットモード指定フラグの切り替えに連動して視野角の狭小化を解除し、広視野モードに切り替える(ステップS108)。
【0050】
本実施の形態によれば、秘匿性の高いユーザデータをシークレットデータとして予め指定しておくことにより、当該シークレットデータを表示させるシークレットモードへの切り替えに連動させて表示画面の視野角を自動的に狭小化することができる。従って、シークレットデータを含み秘匿性の高い表示画面ごとに視野角を狭小化させるための操作入力を必要としないので、表示画面の視野角を必要に応じて狭小化させる際の操作性を向上させることができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、シークレットモードへの切り替えに合わせて視野角が狭小化される場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、シークレットモードに移行後、シークレットデータが画面内に含まれる場合には視野角を狭小化し、画面内にシークレットデータが含まれない場合には視野角の狭小化を行わないようにしても良い。つまり、シークレットデータが画面上に表示されている場合にのみ、狭視野モードに切り替え、シークレットデータが表示されていない場合には広視野モードに切り替える。この様にすれば、シークレットデータが画面上に表示されている場合にのみ視野角が狭小化されるので、シークレットデータの秘匿性を適切に向上させることができる。
【0052】
実施の形態2.
実施の形態1では、表示モードの切り替えに連動させて視野角の切り替えが行われる場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、省電力モードへの切り替えに合わせて視野角の狭小化を解除する場合について説明する。
【0053】
図7は、本発明の実施の形態2による携帯情報端末装置の一例を示したブロック図であり、携帯電話機1aの内部構成が示されている。この携帯電話機1aは、図4の携帯電話機1と比較すれば、電力モード切り替え部501を備えている点で異なる。
【0054】
電力モード切り替え部501は、通常電力モードと、この通常電力モードよりは消費電力を低減させた省電力モードとを切り替える動作を行っている。具体的には、ユーザによる操作入力に基づいて表示装置5のバックライト4が消灯される。例えば、ユーザによる最後のキー操作から所定時間が経過すると、バックライト4が自動的に消灯され、省電力モードとなる。
【0055】
このとき、表示モード切り替え部403は、シークレットモード中であれば、省電力モードへの切り替えに連動して表示モードを非シークレットモードに切り替える。本実施の形態では、視野角制御部407がこの様なシークレットモード中における省電力モードへの切り替えに合わせて、視野角の狭小化を自動的に解除する。
【0056】
本実施の形態によれば、シークレットモード中における省電力モードへの切り替えに連動させて、非シークレットモードへの切り替えが行われ、この表示モードの切り替えに連動して視野角の狭小化が自動的に解除されるので、画面表示の秘匿性を効果的に向上させることができるとともに、視野角の戻し忘れを防止することができる。
【0057】
実施の形態3.
実施の形態1では、ユーザデータごとに画面表示を制限するか否かが指定される場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、ユーザデータからなるデータファイルごとにファイル内容の閲覧を制限するか否かを指定し、シークレットファイルとして閲覧が制限されたデータファイルごとの閲覧画面の視野角を狭小化する場合について説明する。
【0058】
図8は、本発明の実施の形態3による携帯情報端末装置の一例を示したブロック図であり、携帯電話機1bの内部構成が示されている。この携帯電話機1bは、図4の携帯電話機1(実施の形態1)と比較すれば、ファイル情報記憶部502を備えている点で異なる。
【0059】
ファイル情報記憶部502は、アプリケーションプログラムが処理対象とする複数のデータファイル512を書き換え可能に記憶する不揮発性の記憶手段である。このファイル情報記憶部502には、ファイル内容の閲覧を制限するか否かを指定する閲覧制限情報として、閲覧制限指定フラグ522がデータファイル512に対応付けて書き換え可能に記憶される。ここでは、閲覧制限指定フラグ522がオン状態であるか否かによって、当該フラグに対応付けられているデータファイルがシークレットファイルであるか否かが判別されるものとする。
【0060】
データファイル512としては、例えば、テキスト形式で保持されるメモ帳ファイルや送受信された電子メール、静止画像又は動画像からなる画像ファイル、音声データからなる音声ファイル、アニメーションなどのキャラクター画像からなる画像ファイルが考えられる。或いは、インターネットなどの通信ネットワーク上のウェブサーバーを介して提供されるjava(商標又は登録商標)アプリケーションプログラムが考えられる。
【0061】
アプリケーション実行部405は、閲覧制限指定フラグ522によってファイル内容の閲覧が制限されているシークレットファイルについて、表示モードが非シークレットモードであれば、ファイル内容を表示させず、シークレットモードであれば、表示させる。つまり、シークレットファイルは、非シークレットモードにおいては表示対象から除外され、シークレットモード中においてのみ、ファイル内容を閲覧することができる。
【0062】
本実施の形態では、シークレットモードにおけるこの様なシークレットファイルの閲覧画面の視野角が狭小化される。具体的には、シークレットモードに移行後、シークレットファイルの閲覧画面が表示される場合には視野角を狭小化し、狭視野モードに切り替えられる。一方、シークレットファイルの閲覧画面以外の画面が表示される場合には視野角の狭小化を解除し、広視野モードに切り替えられる。
【0063】
本実施の形態によれば、秘匿性の高いデータファイルをシークレットファイルとして予め指定しておくことにより、当該シークレットファイルを閲覧させるシークレットモードへの切り替えに連動させてシークレットファイルごとの閲覧画面の視野角を自動的に狭小化することができる。従って、秘匿性の高いデータファイルのファイル内容を閲覧する際、データファイルごとに視野角を狭小化させるための操作入力を必要としないので、閲覧画面の視野角を狭小化させる際の操作性を向上させることができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、閲覧制限指定フラグによってファイル内容の閲覧が制限され、視野角制御が行われる場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。具体的には、データファイル中に視野角を変更させるためのデータを予め埋め込んでおき、当該データファイルのファイル内容を表示する際に、上記データに基づいて閲覧画面の視野角を狭小化させても良い。
【0065】
例えば、インターネットなどの通信ネットワーク上のウェブサーバーを介して提供されるコンテンツを表示させる際、コンテンツを構成するデータファイル内に格納されている特定のデータに基づいて狭視野モードへの切り替えが行われる。
【0066】
なお、本実施の形態では、ユーザデータからなるデータファイルごとにファイル内容の閲覧を制限するか否かを指定し、閲覧画面の視野角制御が行われる場合の例について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、複数のデータファイルを格納可能なファイルフォルダごとに閲覧画面の視野角を狭小化するか否かを指定し、視野角の狭小化が指定されているファイルフォルダ内の各データファイルについてはファイル内容の閲覧画面の視野角が狭小化されるようにしても良い。この様にすれば、特定のファイルフォルダについて視野角の狭小化を指定することにより、当該ファイルフォルダ内の各データファイルについて一括して視野角の狭小化が指定されるので、ユーザの利便性を向上させることができる。また、ファイルフォルダに視野角の狭小化を事前に指定しておくことにより、当該ファイルフォルダ内に新たに入力されたデータファイルについても自動的に視野角の狭小化が指定されるので、新たなデータファイルの入力ごとに視野角の狭小化を指定する必要がなく、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態1による携帯情報端末装置の一例を示した外観図であり、携帯情報端末装置の一例として携帯電話機1が示されている。
【図2】図1の携帯電話機の要部における構成例を示した断面図であり、A−A線で切断したメインディスプレイ101の様子が示されている。
【図3】図1の携帯電話機による動作例を示した図である。
【図4】図1の携帯電話機の内部構成の一例を示したブロック図である。
【図5】図1の携帯電話機における動作例を示した図であり、電話帳データとしての個人情報の登録画面41の様子が示されている。
【図6】図1の携帯電話機における動作例を示したフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2による携帯情報端末装置の一例を示したブロック図であり、携帯電話機1aの内部構成が示されている。
【図8】本発明の実施の形態3による携帯情報端末装置の一例を示したブロック図であり、携帯電話機1bの内部構成が示されている。
【符号の説明】
【0068】
1,1a,1b 携帯電話機
2 視野角制御用液晶パネル
3 表示用液晶パネル
4 バックライト
5 表示装置
21,31a,31b 偏光板
22a,22b,32a,32b 絶縁性透明基板
23a,23b,33a,33b 透明電極
24,34 液晶
100 表示筐体
101 メインディスプレイ
102 サブディスプレイ
103 受話用レシーバ
104 カメラ
200 操作筐体
201 操作キー
202 「視野切替」キー
203 送話用マイクロフォン
300 ヒンジ部
401 操作入力部
402 ユーザ認証部
403 表示モード切り替え部
404 シークレットモード指定フラグ記憶部
405 アプリケーション実行部
406 データ記憶部
407 視野角制御部
416 ユーザデータ
426 表示制限指定フラグ
501 電力モード切り替え部
502 ファイル情報記憶部
512 データファイル
522 閲覧制限指定フラグ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面表示が制限されたシークレットデータであるか否かを示す表示制限情報をユーザデータに対応付けて記憶する表示制限情報記憶手段と、
上記表示制限情報によりシークレットデータを表示させない第1表示モード、及び、シークレットデータを表示させる第2表示モードのいずれかを指定する表示モード指定情報を書き換え可能に記憶する表示モード指定情報記憶手段と、
上記表示モード指定情報に基づいて表示対象とするユーザデータを選別し、ユーザデータの画面表示を行うアプリケーション実行手段と、
上記表示モード指定情報に基づいて、表示画面の視野角を狭小化する視野角制御手段とを備えたことを特徴とする携帯情報端末装置。
【請求項2】
上記視野角制御手段は、表示画面を狭視野角で閲覧させる狭視野モード及び広視野角で閲覧させる広視野モードの切り替えを行い、画面内に上記シークレットデータが含まれる場合には狭視野モードに切り替え、画面内に上記シークレットデータが含まれない場合には広視野モードに切り替えることを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【請求項3】
ユーザの認証を行うユーザ認証手段と、
ユーザによる操作入力に基づいて表示モードの切り替えを行う表示モード切り替え手段とを備え、
上記表示モード切り替え手段は、上記ユーザ認証手段によるユーザの認証に成功した場合に上記第1表示モードから上記第2表示モードへの切り替えを行い、ユーザの認証に失敗した場合には第1表示モードから第2表示モードへの切り替えを行わないことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。
【請求項4】
通常電力モードと、この通常電力モードよりも消費電力を低減させた省電力モードとを切り替える電力モード切り替え手段を備え、
上記表示モード切り替え手段は、第2表示モード中に電力モードが上記通常電力モードから上記省電力モードに切り替えられると、第1表示モードへの切り替えを行い、
上記視野角制御手段は、上記第1表示モードへの切り替えに連動して視野角の狭小化を解除することを特徴とする請求項3に記載の携帯情報端末装置。
【請求項5】
ファイル内容の閲覧が制限されたシークレットファイルであるか否かを示す閲覧制限情報をデータファイルに対応付けて記憶する閲覧制限情報記憶手段を備え、
上記第1表示モードが、上記閲覧制限情報によりシークレットファイルを閲覧させない表示モードであり、上記第2表示モードが、シークレットファイルを閲覧させる表示モードであり、
上記視野角制御手段は、上記シークレットファイルごとの閲覧画面の視野角を狭小化することを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−319554(P2006−319554A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138747(P2005−138747)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】