説明

携帯機器の開閉装置並びにこの開閉装置を用いた携帯機器

【課題】 第2の筐体と第1の筐体とを左右いずれの方向にも0度から180度の間で水平回転させて開閉させることのできる、携帯機器の開閉装置並びにこの開閉装置を用いた携帯機器を提供する。
【解決手段】 上面に操作部を有する第1の筐体に対し、同じく上面にディスプレイ部を有する第2の筐体を互いに重なり合った状態から前記第2の筺体を前記第1の筐体に対し相対的に水平方向へ回転させて開閉させる携帯機器の開閉装置であって、この開閉装置を前記第1の筐体と前記第2の筐体の間に設けたアステロイド操作機構と、前記第2の筐体と前記第1の筐体を所定の回転角度でクリック停止させるクリック停止手段と、前記第2の筐体と第1の筐体を所定の回転角度で回転規制させる回転規制手段と、で構成することによって解決した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器を構成する第1の筐体と第2の筐体との間に設けられる開閉装置並びにこの開閉装置を用いた携帯機器に関する。さらに詳しくは、第2の筐体と第1の筐体がアステロイド動作することによって開閉されるように構成した、携帯機器の開閉装置並びにこの開閉装置を用いた携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に記載されているように、上面にキーボードなどの操作部を有する第1の筐体に対し、同じく上面にディスプレイ部を有する第2の筐体を互いに全面的に重なりあった状態から、第2の筐体を第1の筐体に対して前後方向にスライドさせて第1の筐体の操作部を露出させ、操作部の操作を可能にした上で、第2の筐体を第1の筐体に対して水平方向へ90度回転させて第2の筐体のディスプレイ部を横長にしてみることができるように成した、開閉装置並びにこの開閉装置を用いた携帯機器が公知である。
【0003】
また、下記特許文献2に記載されているように、上面にキーボードなどの操作部を有する第1の筐体に対し、下面にディスプレイ部を有する第2の筐体を互いに全面的に重なりあった状態から、第2の筐体を第1の筐体に対して縦方向に開いて第1の筐体の操作部を露出させ、操作部の操作を可能にした上で、第2の筐体を第1の筐体に対して縦方向の開閉方向と直交する方向の左右へ90度回転させて第2の筐体のディスプレイ部を横長にしてみることができるように成した、開閉装置並びにこの開閉装置を用いた携帯機器も公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−103989号公報
【特許文献2】特開2008−219601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1と2に各記載された開閉装置は、いずれも第2の筐体を第1の筐体に対してスライドさせるか、或は縦方向へ開閉させた上で第2の筐体を回転させるものであり、いずれもスライド装置、或は縦方向の開閉装置以外に第2の筐体の回転装置を必要とするものであり、2つの装置を必要とすることから、構造が複雑となり、製造コストが高くつくという問題があった。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第2の筐体と第1の筐体とを左右いずれの方向にも0度から180度の間で水平回転させて開閉させることのできる、携帯機器の開閉装置並びにこの開閉装置を用いた携帯機器を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために本発明は、上面に操作部を有する第1の筐体に対し、同じく上面にディスプレイ部を有する第2の筐体を互いに重なり合った状態から前記第2の筺体を前記第1の筐体に対し相対的に水平方向へ回転させて開閉させる携帯機器の開閉装置であって、この開閉装置を前記第1の筐体と前記第2の筐体の間に設けたアステロイド操作機構と、前記第2の筐体と前記第1の筐体を所定の回転角度でクリック停止させるクリック停止手段と、前記第2の筐体と第1の筐体を所定の回転角度で回転規制させる回転規制手段と、で構成したことを特徴とする。
【0008】
その際に本発明は、前記アステロイド操作機構を、枠状のベース部材と、このベース部材に対し水平方向へ回転可能に取り付けられた回転円盤と、この回転円盤に対し当該回転円盤の回転中心とは異なる位置を回転中心として水平方向へ回転可能に取り付けられた小径円盤と、この小径円盤に対し当該小径円盤の回転中心とは異なる位置を回転中心として水平方向へ回転可能に取り付けられた回転シャフトと、この回転シャフトと共に回転するように設けた旋回部材と、で構成することができる。
【0009】
本発明はまた、前記アステロイド操作機構を、枠状のベース部材と、このベース部材に対し水平方向へ回転可能に取り付けられた回転円盤と、この回転円盤に設けられた楕円凹部内へ収装され当該回転円盤の回転中心とは異なる位置を回転中心として水平方向へ回転可能に取り付けられた小径円盤と、前記回転円盤に設けたガイド長孔を貫通し前記小径円盤に対し当該小径円盤の回転中心とは異なる位置を回転中心として水平方向へ回転可能に取り付けられた回転シャフトと、この回転シャフトと共に回転するように設けた旋回部材と、で構成することができる。
【0010】
本発明はさらに、前記ベース部材を前記第1の筐体の側へ、前記旋回部材を前記第2の筐体の側へ取り付けるものである。
【0011】
本発明はさらに、前記クリック停止手段を、前記枠状のベース部材の内側に90度間隔で設けた前記回転シャフトが嵌まり込むストッパー凹部を含んで構成したものである。
【0012】
本発明はさらに、前記回転規制手段を、前記旋回部材に取り付けた固定係止部材と、前記ベース部材側へ一方向へ回転付勢されて所定の範囲で揺動可能に取り付けられたところの前記固定係止部材と前記第2の筐体の第1の筐体に対する所定の回転角度で係合する可動係止部材と、で構成したことを特徴とする。
【0013】
本発明はさらに、前記ベース部材を前記第1の筐体に設けた取付凹部の中に取り付け、前記回転円盤を前記ベース部材と前記取付凹部の間に設けるものである。
【0014】
前記ベース部材の裏面にカバープレートを取り付けた場合には、このカバープレートと前記ベース部材との間に前記回転円盤を設けると共に、前記可動係止部材を一方向へ回動付勢させて設けることを特徴とする。
【0015】
請求項1の開閉装置はさらにスライド防止手段を有し、このスライド防止手段を、前記ベース部材のガイド孔に設けた傾斜部と、この傾斜部と当接する前記旋回部材に取り付けた前記固定係止部材とで構成した事を特徴とする。
【0016】
請求項1の開閉装置はさらに回動支点調整手段を有し、この回動支点調整手段を、前記ベース部材のガイド凸条部の各角部に設けた肉薄ガイド部と、前記固定係止部材の係合ピン部とで構成したことを特徴とする。
【0017】
そして本発明は、上記した各開閉装置を携帯機器の第1の筐体と第2の筐体の間に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以上のように構成したので、簡単な構成で、第2の筐体を第1の筐体に対して左右いずれの方向にも水平回転させて、第2の筐体を第1の筐体に対して縦長の状態と横長の状態にさせることができた上で、第2の筐体と第1の筐体とが互いにアステロイド動作を行うことによって開閉されるので、このアステロイド動作に使用者の興味を惹かせることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明に係る携帯機器の1例である携帯電話機の斜視図である。
【図2】図1の状態から第2の筐体を第1の筐体に対して90度時計回りに回転させた状態の平面図である。
【図3】図1の状態から第2の筐体を第1の筐体に対して90度反時計回り回転させた状態の平面図である。
【図4】図2と図3の状態から第2の筐体を第1の筐体に対してさらに時計回りと反時計回りに90度回転させた状態の平面図である。
【図5】本発明に係る開閉装置の上半分の側の分解斜視図であり、想像線で囲った矢印aの部分は2倍に表示してある。
【図6】本発明に係る開閉装置の下半分の側の分解斜視図である。
【図7】第1の筐体と第2の筐体の閉成状態における開閉装置を示し、(a)はその平面図であり、(b)はその一部拡大平面図である。
【図8】図7の状態から第2の筐体を第1の筐体に対して時計回りに45度回転させた状態における開閉装置の平面図である。
【図9】図8の状態から第2の筐体を第1の筐体に対してさらに時計回りに45度回転させた状態における開閉装置の平面図である。
【図10】図9の状態から第2の筐体を第1の筐体に対してさらに時計回りに45度回転させた状態における開閉装置の平面図である。
【図11】図10の状態から第2の筐体を第1の筐体に対してさらに時計回りに45度回転させた状態における開閉装置の平面図である。
【図12】図7の状態から第2の筐体を第1の筐体に対してさらに反時計回りに45度回転させた状態における開閉装置の平面図である。
【図13】図12の状態から第2の筐体を第1の筐体に対してさらに反時計回りに45度回転させた状態における開閉装置の平面図である。
【図14】図13の状態から第2の筐体を第1の筐体に対してさらに反時計回りに45度回転させた状態における開閉装置の平面図である。
【図15】図14の状態から第2の筐体を第1の筐体に対してさらに反時計回りに45度回転させた状態における開閉装置の平面図である。
【図16】本発明に係る開閉装置を図7の状態で裏側から見た状態の平面図である。
【図17】本発明に係る開閉装置を図12の状態で裏側から見た状態の平面図である。
【図18】本発明に係る開閉装置を図13の状態で裏側から見た状態の平面図である。
【図19】本発明に係る開閉装置を図14の状態で裏側から見た状態の平面図である。
【図20】本発明に係る開閉装置を図15の状態で裏側から見た状態の平面図である。
【図21】第2の筐体を第1の筐体に対して時計回りに180度回転させる時の回転規制手段の動作を説明するためのもので、(a)は180度回転直前の状態を示し、(b)は180度回転終了時の状態を示すものである。
【図22】第2の筐体を第1の筐体に対して反時計回りに180度回転させる時の回転規制手段の動作を説明するためのもので、(a)は180度回転直前の状態を示し、(b)は180度回転終了時の状態を示すものである。
【図23(a)】本発明に係るスライド係止手段61の構成及びその動作を説明する説明図であり、第1の筐体と第2の筐体の閉成時の状態を示している。
【図23(b)】本発明に係るスライド係止手段61の構成及びその動作を説明する説明図であり、第2の筐体が第1の筐体に対して時計方向へ90度回転した状態を示している。
【図23(c)】本発明に係るスライド係止手段61の構成及びその動作を説明する説明図であり、第2の筐体が第1の筐体に対して反時計方向へ90度回転した状態を示している。
【図24】本発明に係る回動支点調整手段の構成と動作を説明する説明図である。
【図25】本発明に係る開閉装置の回転円盤と小径円盤の部分の分解斜視図である。
【図26】本発明に係る開閉装置の回転規制手段の可動係止部材の部分の分解斜視図である。
【図27】本発明に係る開閉装置のベース部材を示し、(a)は表面側から見た斜視図、(b)は裏側から見た斜視図、(c)は(a)のA−A線断面図である。
【図28】本部発明に係る開閉装置の固定係止部材の斜視図である。
【図29】本部発明に係る開閉装置の固定部材を示し、(a)はその表面側から見た斜視図、(b)はその裏側から見た斜視図である。
【図30】本発明に係る開閉装置のアステロイド動作を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施例を携帯機器の一種である携帯電話機に実施した場合について説明するが、本発明に係る開閉装置は、他にもポケット型コンピュータ、電子辞書、PDA等の携帯機器にそのまま実施できるものである。
【実施例1】
【0021】
図1乃至図29は、この発明に係る携帯機器の開閉装置1並びにこの開閉装置1を用いた携帯機器2を示す。図面によれば、携帯機器2の一例である携帯電話機は、上面にキーボードのような操作部3aを設けた第1の筐体3と、上面にディスプレイ部4aを設けた第2の筐体4と、この第2の筐体4と第1の筐体3との間に設けられた開閉装置1とから構成されている。第1の筐体3の上面の手前側の端部上面にはやや湾曲した突出部3cが設けられている。突出部3cは、第2の筐体4が第1の筐体3の上面を回転する際に、第2の筐体4の下面と第1の筐体3の上面に設けた操作部3aとが互いに当らないようにするためのものである。但し、この突出部3cは、これを省略したり別に加えたりすることは任意である。尚、操作部3aは、押釦式のキーボードの他に、表示画面に表示されたものを含み、ディスプレイ部は、液晶表示装置の他に、プラズマディスプレイ、EL、等の表示手段を含んでいる。
【0022】
本発明に係る開閉装置1は、アステロイド操作機構5とクリック停止手段12と回転規制手段19とで構成されている。アステロイド操作機構5は、図6に示したような複数の取付ビス3dで後述するカバープレート16と共に第1の筐体3の取付凹部3bへ取り付けられる同じく平面略4角形状を呈した枠状のベース部材6と、このベース部材6とカバープレート16との間に水平方向へ回転可能に取り付けられる回転円盤7と、図5に示したように、複数の取付ビス4cを第2の筐体4に設けた複数の取付孔4bを介してその取付孔10aへネジ着させることにより、当該第2の筐体4の裏側へ取り付けた旋回部材10と、回転円盤7をベース部材6へ回転可能に保持すべく当該ベース部材6の裏側に複数の取付ビス16aを介して取り付けられたところの、内側に回転シャフト9のアステロイド曲線状をなぞるように切り抜いた切り抜き部16bを有するカバープレート16と、回転円盤7を内部に収容した摺接リング17と、図25と図16〜図20に示したように、回転円盤7の周縁近くに設けた当該回転円盤7より小径の楕円凹部7a内に回転可能に収装させて取り付けられた小径円盤8と、この小径円盤8の周縁近くに設けた小円形孔8aに取り付けられ、回転円盤7に設けた楕円凹部7aと交叉して放射状に当該回転円盤7に設けたガイド長孔7bを貫通して設けられた回転シャフト9と、旋回部材10の軸心部に設けた取付孔10bへ取り付けた回転シャフト9と回転円盤7の取付ピン18の間に弾設された弦巻バネから成る弾性手段13と、で構成されている。
【0023】
回転規制手段19は、旋回部材10の両端部に取り付けた一対の固定係止部材14と、係止ピン20を有しカバープレート16の上部両端部に位置して取付ピン21で回転可能に取り付けた一対の可動係止部材22と、この可動係止部材22の取付ピン21に環巻きされてカバープレート16と可動係止部材22との間に弾設したトーションスプリングから成るサブ弾性手段23とで構成されている。可動係止部材22には、とくに図26に示したようにその一端部に軸支孔22aを他端部に取付孔22bをそれぞれ有し、軸支孔22aと取付孔22bの間に位置してスプリング係止孔22cが設けられている。そして、軸支孔22aを介して取付ピン21でカバープレート16へ回転可能に取り付けられ、係止ピン20を取付孔22bへ取り付けてある。さらに、サブ弾性手段23を取付ピン21に環巻きさせたサブ弾性手段23の一端部23aをスプリング係止孔22cへ挿入係止させている。サブ弾性手段23の他端部23bは、図26に示したように、カバープレート16に設けたスプリング係止孔16hに挿入係止される構成である。
【0024】
ベース部材6は、平面略4角形状を呈した枠状のもので、例えばSUS製であり、その中央部に平面略4角形状のガイド孔6aが設けられ、このガイド孔6aには、90度間隔で4個のストッパー凹部6b〜6eが設けられると共に、その4個の各ストッパー凹部6b〜6eから45度の位置に接合凹部6f〜6iが設けられている。さらに、ベース部材6の裏側で、各ストッパー凹部6b〜6eから接合凹部6f〜6iへ至る部分には、とくに図27の(b)と(c)に示したように、接合凹部6f〜6iに沿って略U字形状のガイド凸条部6j、6k、6m、6nが設けられている。とくに図27(b)に示したように、ベース部材6の下面には図6に示した摺接リング17と回転円盤7を収容係合させる円形状の係合段部6pが設けられている。このベース部材6の下面の可動係止部材22を設ける側には、とくに図27(b)に示したように、取付孔6q、6rが設けられ、この取付孔6q、6rにそれぞれ固定部材24が取付孔24aを介して図5に示した取付ビス25によって取り付けられる。この固定部材24にはとくに図29に示したように、取付孔24aの他に突起部24bがあり、この突起部24bがベース部材6に設けた係合孔6s、6tと係合する。固定部材24にはまた摺接部24cがあり、この摺接部24cは図7から図14に示したように、摺接リング17の外周部に当接している。尚、固定部材24と摺接リング17は、回転円盤7が他の手段でベース部材6に対して回転可能に取り付けられた場合には、省略することは可能である。固定係止部材14を可動にした場合には、可動係止部材22を固定とすることが可能である。
【0025】
回転円盤7は、例えばナイロン製であり、図6と図25に示したように、その上面と下面の外周近くに複数の油溜りとなる周溝7dと7eが設けられている。上述したように、その外周部には摺接リング17が摺接され、ベース部材6に対して定位置でスムーズに回転できるように構成されている。取付ピン18のカバープレート16側には、図16から図20と図25に示したように、平面略扇形状の変形ワッシャー26が取付孔26aを介して取り付けられており、小径円盤8の外周を押さえてこの小径円盤8が楕円凹部7a内をスムーズに回転移動するように工夫されている。
【0026】
小径円盤8は、例えばナイロン製のもので、とくに図6と図25に示したように、その外周近くに小円形孔8aを有し、回転円盤7に設けた楕円凹部7a内に収装され、その上面には、オイル溜め用の周溝8bが設けられている。尚、回転円盤7と小径円盤8があることは、第1の筐体内部へのゴミの侵入を防止してもいる。また、回転円盤7と小径円盤8にそれぞれ油溜りとなる周溝を設けたことは、摺動面積を少なくし、摩擦抵抗を小さくする利点がある。
【0027】
回転シャフト9は、例えばSUS製であり、とくに図25に示したように、軸部9aとフランジ部9bを有し、その中心部軸方向には、導電ケーブル(図示せず)を通す挿通孔9cが設けられている。そして、軸部9aを小径円盤8に設けた小円形孔8aへ通してフランジ部9bを係合させている。この回転シャフト9はまた回転円盤7に設けたガイド長孔7bを貫通して図5に示した旋回部材10の取付孔10bに図6に示したワッシャー27を介してかしめることにより固着されている。
【0028】
旋回部材10は、例えばSUS製であり、平面視矩形状にプレスで打ち抜かれたもので、とくに図5に示したように、両端部に角状の変形取付孔10c、10cを有し、この変形取付孔10c、10cへ図28に示した固定係止部材14、14の変形取付ピン部14c、14cを挿入させてかしめて固着してある。この固定係止部材14、14は、一端部に係止部14a、14aと係合ピン部14b、14bを有している。
【0029】
クリック停止手段12は、図27に示したベース部材6のガイド孔6aに設けた各ストッパー凹部6b〜6eと、この各ストッパー凹部6b〜6eへ順次嵌入する回転シャフト9と、この回転シャフト9を各ストッパー凹部6b〜6eの側へ押す弾性手段13とで構成されている。
【0030】
弾性手段13は、上述したように弦巻バネを用いており、図7に示したように、その一端部13aを回転円盤7の中心位置より上方へ偏心させた位置に設けた取付孔7cへ取り付けた取付ピン18へ回転可能に取り付け、他端部13bを上述したように、回転シャフト9の軸部9aへ回転可能に取り付けてある。この弾性手段13は、弦巻バネ以外に他の偏平スネークスプリング、その他のバネやスプリングに代えることは可能である。
【0031】
カバープレート16は、例えばSUS製であり、図6と図16からと図20に示したように、外郭は平面から見てベース部材6と同じ形状を有し、取付ビス16aでベース部材6の下面に固着されている。このカバープレート16は、上述した切り抜き部16bに90度間隔で係合凹部16c〜16fを設けてある。さらに、その一端部両側部に、円弧状ガイド孔11と、取付孔16gと、スプリング係止孔16hが設けられている。
【0032】
尚、図5に示したように、ベース部材6の周囲に設けた複数の取付孔6wと、図6に示したように、カバープレート16の複数の取付孔16iとを、図7から図20に示したように、複数の取付ビス16aで固着してあり、このように固着したベース部材6とカバープレート16を、上記図面に示したように、一緒に複数の取付孔6vと取付孔16jとを通して複数の取付ビス3dで第1の筐体3の取付凹部3bへ収装固着してある。尚、このカバープレート16は、省略できる場合がある。
【0033】
次に、上述した開閉装置1の動作について説明する。
【0034】
まず、図1と図7に示したように、第1の筐体3に対して第2の筐体4が閉じられて閉成状態の、互いに完全に重なり合った状態においては、旋回部材10に取り付けた回転シャフト9の軸部9aがベース部材6のガイド孔6aに設けたストッパー凹部6bと係合しており、回転シャフト9と、小径円盤8と、回転円盤7の各中心軸及び回転円盤7に設けたガイド長孔7bの中心軸線は、図30に示したように一直線上にある。また、クリック停止手段12によって、回転シャフト9の軸部9aがストッパー凹部6bへ落ち込み、この状態を弾性手段13の弾力で維持させているので、第2の筐体4を第1の筐体3に対して左右いずれかの回転方向へ力を加えない限り、この閉成状態を安定的に保っている。そして、とくに図7に示したように、旋回部材10の両端部の固定係止部材14、14は、その係止部14a、14aを下側に向けた状態にある。また、可動係止部材22、22は、図7に示したように、共に各サブ弾性手段23によって回動付勢されてその各係止ピン20がカバープレート16の各円弧状ガイド孔11の始端部11aにあって、両者で逆ハの字形状を呈する位置にある。さらに、図7(b)に示したように、ガイド凸条部6jと6kが、各固定係止部材14の変形取付ピン部14cと係合ピン部14bによって挟まれることにより、旋回部材10の姿勢を安定化させている。
【0035】
この図7の閉成状態から、第2の筐体4を第1の筐体3に対して例えば水平方向で時計回りの方向へ押すと、第2の筐体4は、右側の接合凹部6gへ落ち込んでいる固定係止部材14の変形取付ピン部14cを支点としつつ、回転シャフト9をも支点として水平方向の時計方向へ回転するが、その際に回転シャフト9の回転につれて、図8に示したように、小径円盤8が回転シャフト9を支点として時計方向へ偏心回転を行ない、同時に小径円盤8の偏心回転により回転円盤7は反時計方向へ回転を促すことから、回転シャフト9の回転は定位置回転ではなく、図30に示したようなアステロイド曲線を描いて回転移動することになる。そして、図8に示したよう、第2の筐体4の第1の筐体3に対する時計回りの45度の回転角度で、弾性手段13は最も撓んだ状態にあり、旋回部材10は共に45度旋回した位置にある。そして、固定係止部材14の左側に位置するものはガイド凸条部6kを脱しているが、右側に位置するものは、その係合ピン部14bがベース部材6の接合凹部6gへ嵌入している。この際に、固定係止部材14の右側に位置するものは、その変形取付ピン部14cと係合ピン部14bが、ガイド凸条部6jを挟持したままであるが、左側のものは、その変形取付ピン部14cと係合ピン部14bがガイド凸条部6kより脱出している。
【0036】
次に、図8に示した状態から、図9に示したように、第2の筐体4を第1の筐体3に対してさらに時計方向へ回転させて閉成状態から90度回転させた状態においては、回転シャフト9の回転につれて、小径円盤8が回転シャフト9を支点として時計方向へさらに偏心回転を行ない、この小径円盤8の偏心回転により回転円盤7は反時計方向へ回転を行うことから、回転シャフト9の回転は定位置回転ではなく、図30に示したようなアステロイド曲線を描いて回転移動することになる。そして、第2の筐体4の第1の筐体3に対する時計回りの90度の回転角度で、弾性手段13は図8の最も撓んだ状態から伸張するので、第2の筐体4は第1の筐体3に対して自動的に時計方向へ回転し、90度の回転角度で、旋回部材10に取り付けたクリック停止手段12を構成する回転シャフト9の軸部9aがベース部材6の第2ストッパー凹部6cへ落ち込み、この状態を弾性手段13で維持することになる、そして、この90度の回転角度を安定的に維持するので、この90度の回転角度で第2の筐体4を横長に用いて第1の筐体3の操作部3a(図2に表示)の操作を行うことができることになる。この回転終了時時において、固定係止部材14、14の変形取付ピン部14c、14cと係合ピン部14b、14bがガイド凸条部6j、6nを狭持している。
【0037】
次に、図9に示した状態から、さらに、図10に示したように、第2の筐体4を第1の筐体3に対してさらに45度時計方向へ回転させて図7の状態から135度回転させた状態にあっては、旋回部材10の図7の状態における右側の固定係止部材14の変形取付ピン部14cと係合ピン部14bは、旋回部材10が図7の状態における左側の固定係止部材14が接合凹部6hに落ち込んでおり、変形取付ピン部14cを支点に旋回するので、ガイド凸条部6jを脱出している。
【0038】
つぎに、図10に示した状態から、さらに図11に示したように、第2の筐体4を第1の筐体3に対してさらに時計方向へ回転させて45度回転させて図7の閉成状態から180度回転させた状態においては、回転シャフト9の回転につれて小径円盤8が回転シャフト9を支点として時計方向へ偏心回転を行ない、この小径円盤8の偏心回転により回転円盤7は反時計方向へ回転を行うことから、回転シャフト9の回転は定位置回転ではなく、図30に示したようなアステロイド曲線を描いて回転移動することになる。そして、第2の筐体4の第1の筐体3に対する時計回りの180度の回転角度で、弾性手段13は図10の最も撓んだ状態から伸張するので、第2の筐体4は第1の筐体3に対して自動的に時計方向へ回転し、180度の回転角度で、旋回部材10に取り付けた回転シャフト9の軸部9aがベース部材6のストッパー凹部6dと係合し、この180度の回転角度を安定的に維持するので、この180度の回転角度で第2の筐体4を縦長に用いて第1の筐体3の操作部3a(図2に表示)の操作を行うことができることになる。この回転時において、図7に示した旋回部材10の左側に位置する固定係止部材14は、その係止部14aで図中右側の可動係止部材22の係止ピン20と係合し、図7の状態における右側に位置する固定係止部材14はその係止部14aで可動係止部材22の係止ピン20をサブ弾性手段23の弾力に抗して円弧状ガイド孔11の終端部11b側の反時計方向へ押して当該可動係止部材22を退避させ固定係止部材14に押された可動係止部材22はベース部材6と当る。したがって、第2の筐体4の第1の筐体3に対する180度以上の時計方向の回転は阻止されることになる。この状態を拡大して示したものが、図21である
【0039】
次に、第2の筐体4の第1の筐体3に対する開閉操作を行う場合の反時計方向の回転動作の場合について説明する。
【0040】
まず、図7の閉成状態から、第2の筐体4を第1の筐体3に対して水平方向で反時計回りの方向へ押すと、第2の筐体4は、左側の接合凹部6fへ落ち込んでいる固定係止部材14の変形取付ピン部14cを支点としつつ、回転シャフト9をも支点として水平方向の反時計方向へ回転するが、その際に回転シャフト9の回転につれて、図12に示したように、小径円盤8が回転シャフト9を支点として反時計方向へ偏心回転を行ない、同時に小径円盤8の偏心回転により回転円盤7は時計方向へ回転を促すことから、回転シャフト9の回転は定位置回転ではなく、図30に示したようなアステロイド曲線を描いて回転移動することになる。そして、図13に示したように、第2の筐体4の第1の筐体3に対する反時計回りの45度の回転角度で、弾性手段13は最も撓んだ状態にあり、旋回部材10は共に45度旋回した位置にある。そして、固定係止部材14の右側に位置するものは接合凹部6gを脱しているが、左側に位置するものは、その係合ピン部14bがベース部材6の接合凹部6fへ嵌入した状態のままである。この際に、固定係止部材14の左側に位置するものは、その変形取付ピン部14cと係合ピン部14bが、ガイド凸条部6kを挟持したままであるが、右側のものは、その変形取付ピン部14cと係合ピン部14bがガイド凸条部6jより脱出している。
【0041】
次に、図12に示した状態から、図13に示したように、第2の筐体4を第1の筐体3に対してさらに45度時計方向へ回転させて閉成状態から90度回転させた状態においては、回転シャフト9の回転につれて、小径円盤8が回転シャフト9を支点として反時計方向へさらに偏心回転を行ない、この小径円盤8の偏心回転により回転円盤7は時計方向へ回転を行うことから、回転シャフト9の回転は定位置回転ではなく、図30に示したようなアステロイド曲線を描いて左回転移動することになる。そして、第2の筐体4の第1の筐体3に対する反時計回りの90度の回転角度で、弾性手段13は図12の最も撓んだ状態から伸張するので、第2の筐体4は第1の筐体3に対して自動的に反時計方向へ回転し、90度の回転角度で、旋回部材10に取り付けたクリック停止手段12を構成する回転シャフト9の軸部9aがベース部材6のストッパー凹部6eへ落ち込み、この状態を弾性手段13で維持することになる、そして、この90度の回転角度を安定的に維持するので、この90度の回転角度で第2の筐体4を横長に用いて第1の筐体3の操作部3a(図2に表示)の操作を行うことができることになる。この回転時において、固定係止部材14は、図7の状態における左側のものの変形取付ピン部14cを支点に旋回し、図13に示したように、固定係止部材14の右側に位置するものの変形取付ピン部14cと係合ピン部14bがガイド凸条部6mを狭持している。
【0042】
次に、図13に示した状態から、さらに、図14に示したように、第2の筐体4を第1の筐体3に対してさらに45度反時計方向へ回転させて図7の状態から135度回転させた状態にあっては、旋回部材10の図7の状態における左側の固定係止部材14の変形取付ピン部14cと係合ピン部14bは、旋回部材10の右側の固定係止部材14の変形取付ピン部14cが、接合凹部6iに落ち込んでおり、この変形取付ピン部14cを支点に旋回するので、左側の固定係止部材14の変形取付ピン部14cと係合ピン部14bはガイド凸条部6kを脱出している。
【0043】
つぎに、図14に示した状態から、さらに図15に示したように、第2の筐体4を第1の筐体3に対してさらに反時計方向へ45度回転させて、図7の閉成状態から180度回転させた状態においては、回転シャフト9の回転につれて小径円盤8が回転シャフト9を支点として反時計方向へ偏心回転を行ない、この小径円盤8の偏心回転により回転円盤7は時計方向へ回転を行うことから、回転シャフト9の回転は定位置回転ではなく、図30に示したようなアステロイド曲線を描いて回転移動することになる。そして、第2の筐体4の第1の筐体3に対する反時計回りの180度の回転角度で、弾性手段13は図14の最も撓んだ状態から伸張するので、第2の筐体4は第1の筐体3に対して自動的に反時計方向へ回転し、180度の回転角度で、旋回部材10に取り付けたクリック停止手段12の回転シャフト9の軸部9aがベース部材6のストッパー凹部6dと係合し、この180度の回転角度を安定的に維持するので、この180度の回転角度で第2の筐体4を縦長に用いて第1の筐体3の操作部3a(図2に表示)の操作を行うことができることになる。この回転時において、図7に示した状態における旋回部材10の右側に位置する固定係止部材14は、その係止部14aで図中左側に位置する可動係止部材22の係止ピン20と係合し、旋回部材10の図7に示した状態の左側に位置する固定係止部材14の係止部14aで右側の可動係止部材22の係止ピン20をサブ弾性手段23の弾力に抗して時計方向へ押して当該可動係止部材22を退避させる。したがって、第2の筐体4の第1の筐体3に対する180度以上の反時計方向の回転は阻止されることになる。この状態を拡大して示したものが、図22である。
【0044】
以上のように、第2の筐体4の第1の筐体3に対する時計方向或は反時計方向の回転時には、回転シャフト9と回転円盤7は90度、180度と回転するが、小径円盤8はその度毎に360度回転するように、その取付位置が定められていることから、回転シャフト9の回転軌跡は図30に示したように、アステロイド曲線を描くことになる。
【0045】
そして、上述したような、第2の筐体4の第1の筐体3に対する回転動作時における小径円盤8の動きであるが、図16から図20と図30に示したように、この小径円盤8は第2の筐体4の第1の筐体3に対する回転動作時において、ガイド長孔7b内を移動する回転シャフト9と共に回転円盤7に設けた楕円凹部7a内を回転しつつ移動する。本発明は、この動作により回転シャフト9がアステロイド動作を行なうことになる。
【0046】
また、第2の筐体4の第1の筐体3に対する反時計方向の開閉操作時において、回転シャフト9の下端部のフランジ部9bは、図16から図20に示したように、カバープレート16の切り抜き部16bに添ってアステロイド動作し、0度、90度、180度の回転角度において、切り抜き部16bに設けた各係合凹部16c〜16fへ順次嵌入することになる。尚、第2の筐体4の第1の筐体3に対する時計方向の回転時については図面を省略してあるが、回転シャフト9の下端部のフランジ部9bは、カバープレート16の切り抜き部16bに添ってアステロイド動作し、0度、90度、180度の回転角度において、時計方向の回転時には切り抜き部16bに設けた各係合凹部16c、16f、及び16eへ順次嵌入し、反時計方向の回転時には各係合凹部16c、16d、16eへ順次嵌入することになる。
【0047】
ベース部材6、しかして第2の筐体4の第1の筐体3に対する直線方向のスライドを防止するスライド防止手段61は、ベース部材6のガイド孔6aの各ストッパー凹部6b、6c、6d、6eから接合凹部6f、6g、6h、6iに向けて設けた傾斜部61a、61b、61c、61d、61e、61f、61g、61hと、固定係止部材14、14の変形取付ピン部14c、14cとで構成されており、とくに図1〜図4と図7、図9、図11、図13及び図15に示したように、第1の筐体3と第2の筐体4の閉成状態とこの閉成状態からの時計方向、反時計方向の90度回転時において、使用者が第2の筐体4を第1の筐体3に対して本発明に係る開閉装置本来の操作方法ではない前後方向或は左右方向へのスライド操作をしようとした場合には、図23(a)〜(c)に示したように、固定係止部材14、14の変形取付ピン部14c、14cが、第2の筐体4の第1の筐体3に対する回転角度によって、ベース部材6のガイド孔6aの各傾斜部61a〜61hと係合して、第2の筐体4のスライド動作を防止するものである。即ち、図1と図7に示したように、第2の筐体4を第1の筐体3に対して閉じた閉成状態において、第2の筐体4を第1の筐体3に対して前後方向へスライドさせようとした場合、図23(a)に想像線で示したように、第2の筐体4が第1の筐体3に対して若干は前方へスライドしても、旋回部材10の変形取付ピン部14c、14cが傾斜部61a、61dに当接係合して、第2の筐体4の第1の筐体3に対するそれ以上のスライド動作は阻止される。
【0048】
次に、第2の筐体4を第1の筐体3に対して、図2と図9に示したように時計方向へ90度回転させた状態において、第2の筐体4を第1の筐体3に対して左方向へスライドさせようとした場合には、図23 (b)に想像線で示したように、若干は左方向へスライドしても旋回部材10の変形取付ピン部14c、14cが傾斜部61cと61fに当接係合することにより、左方向へのそれ以上のスライド動作は阻止される。
【0049】
次に、図3と図13に示したように、第2の筐体4を第1の筐体3に対して、反時計方向へ90度回転させた状態において、第2の筐体4を第1の筐体3に対して右方向へスライドさせようとした場合でも、図23(c)に想像線で示したように、若干は右方向へスライドするが、旋回部材10の変形取付ピン部14c、14cが傾斜部61bと61gに当接係合することにより、右方向へのそれ以上のスライド動作は阻止される。
【0050】
尚、第2の筐体4の第1の筐体3に対する時計方向、反時計方向いずれの方向の回転によっても、180度開かれた場合には、図11と図15に示したように、その回転方向により旋回部材10の左右の変形取付ピン部14c、14cの一方が可動係止部材22、22の一方によって係止されているので、この係合によって、第2の筐体4を第1の筐体3に対して前方向へスライドさせて閉じようとしても、第2の筐体4は第1の筐体3に対してスライド動作することはない。
【0051】
尚、第2の筐体4の第1の筐体3に対する0度、90度、180度の回転動作終了時には、変形取付ピン部14c、14cが各接合凹部6f、6g、6h、6iに落ち込んでいるので、図23の(a)の場合には手前方向へ、(b)の場合には右方向へ、そして(c)の場合には左方向へそれぞれスライド動作することはない。
【0052】
次に、第2の筐体4の第1の筐体3に対して回動する際の回動支点調整手段62は、図24に示したように、固定係止部材14、14の係合ピン部14b、14bと、ベース部材6の各ガイド凸条部6j、6k、6m、6nの各角部に設けた肉薄ガイド部62a、62b、62c、62dとで構成されている。即ち、図1〜図4と図7、図9、図11、図13及び図15に示したように、第2の筐体4の第1の筐体3に対する0度、90度、180度の回転動作終了時において、上述したように、変形取付ピン部14c、14cが各傾斜部61a〜61hと係合当接する方向へスライドさせようとした場合には、各変形取付ピン部14c、14cが各傾斜部61a〜61hに当接するまで、若干スライドすることになる。このスライドさせた状態で第2の筐体4を第1の筐体3に対して図1〜図3と図7、図9、図11、図13及び図15に示したように、回転させようとした場合、その回動支点となる変形取付ピン部14c、14cは、各接合凹部6f、6g、6h、6i内にないことになることから、円滑なアステロイド動作ができないことになる恐れがある。この場合に回動支点調整手段62が機能することになる。
【0053】
この場合には、第2の筐体4を第1の筐体3に対して時計方向へ回転させようとすると、その回転動作に伴ない一方の係合ピン部14bが、とくに図24に示したように、肉薄ガイド部62bにガイドされて図中下側へ想像線で示したように移動し、支点となる変形取付ピン部14cを接合凹部6g内に落ち込ませることになり、円滑なアステロイド動作ができるように調整するものである。図24は、とくに第2の筐体4を第1の筐体3に対して閉成状態から、後方へスライド操作させた状態で、第2の筐体4を第1の筐体3に対して、図8に示したように、時計方向へ回転させた場合について図示しているが、他の左右いずれの方向の90度の回転時においても、変形取付ピン部14c、14cの一方が接合凹部6g、6f及び6i内にない状態で第2の筐体4を第1の筐体3に対して回転させた場合についても同じように動作して回動支点を調整することになるので、説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は以上のように構成したので、第1の筐体に対して第2の筐体を互いにほぼ完全に重なり合った状態から、第2の筐体を第1の筐体に対して左右いずれの方向へも水平方向へ90度及び180度回転させて、第2の筐体を第1の筐体に対して横長と縦長に用いることができた上で、第1の筐体の上面の操作部を操作可能に露出させることができるので、右利きの人も左利きの人も開閉操作し易いことから、上面にキーボード部のような操作部を設けた第1の筐体と、同じく上面にディスプレイ装置を設けた第2の筐体とから成る携帯電話機、電子辞書、ポケット型コンピュータ、PDA等の携帯機器の開閉装置並びにこの開閉装置を用いた携帯機器として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 開閉装置
2 携帯機器
3 第1の筐体
3a 操作部
3b 取付凹部
3c 突出部
3d 取付ビス
4 第2の筐体
4a ディスプレイ部
4b 取付孔
4c 取付ビス
5 アステロイド操作機構
6 ベース部材
6a ガイド孔
6b、6c、6d、6e ストッパー凹部
6f、6g、6h、6i 接合凹部
6j、6k、6m、6n ガイド凸条部
6p 係合段部
6q、6r 取付孔
6s、6t 係合孔
6v、6w 取付孔
7 回転円盤
7a 楕円凹部
7b ガイド長孔
7c 取付孔
7d、7e 周溝
8 小径円盤
8a 小円形孔
8b 周溝
9 回転シャフト
9a 軸部
9b フランジ部
9c 挿通孔
10 旋回部材
10a 取付孔
10b 取付孔
10c 変形取付孔
11 円弧状ガイド孔
12 クリック停止手段
13 弾性手段
13a 一端部
13b 他端部
14 固定係止部材
14a 係止部
14b 係合ピン部
14c 変形取付ピン部
16 カバープレート
16a 取付ビス
16b 切り抜き部
16c、16d、16e、16f 係合凹部
16h スプリング係止孔
16i、16j 取付孔
17 摺接リング
18 取付ピン
19 回転規制手段
20 係止ピン
21 取付ピン
22 可動係止部材
23 サブ弾性手段
24 固定部材
24a 取付孔
24b 突起部
24c 摺接部
25 取付ビス
26 変形ワッシャー
61 スライド防止手段
61a、61b、61c、61d、61e、61f、61g、61h 傾斜部
62 回動支点調整手段
62a、62b、62c、62d 肉薄ガイド部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に操作部を有する第1の筐体に対し、同じく上面にディスプレイ部を有する第2の筐体を互いに重なり合った状態から前記第2の筺体を前記第1の筐体に対し相対的に水平方向へ回転させて開閉させる携帯機器の開閉装置であって、この開閉装置を前記第1の筐体と前記第2の筐体の間に設けたアステロイド操作機構と、前記第2の筐体と前記第1の筐体を所定の回転角度でクリック停止させるクリック停止手段と、前記第2の筐体と第1の筐体を所定の回転角度で回転規制させる回転規制手段と、で構成したことを特徴とする、携帯機器の開閉装置。
【請求項2】
前記アステロイド操作機構を、枠状のベース部材と、このベース部材に対し水平方向へ回転可能に取り付けられた回転円盤と、この回転円盤に対し当該回転円盤の回転中心とは異なる位置を回転中心として水平方向へ回転可能に取り付けられた小径円盤と、この小径円盤に対し当該小径円盤の回転中心とは異なる位置を回転中心として水平方向へ回転可能に取り付けられた回転シャフトと、この回転シャフトと共に回転するように設けた旋回部材と、で構成したことを特徴とする、請求項1に記載の携帯機器の開閉装置。
【請求項3】
前記アステロイド操作機構を、枠状のベース部材と、このベース部材に対し水平方向へ回転可能に取り付けられた回転円盤と、この回転円盤に設けられた楕円凹部内へ収装され当該回転円盤の回転中心とは異なる位置を回転中心として水平方向へ回転可能に取り付けられた小径円盤と、前記回転円盤に設けたガイド長孔を貫通し前記小径円盤に対し当該小径円盤の回転中心とは異なる位置を回転中心として水平方向へ回転可能に取り付けられた回転シャフトと、この回転シャフトと共に回転するように設けた旋回部材と、で構成したことを特徴とする、請求項1に記載の携帯機器の開閉装置。
【請求項4】
前記ベース部材を前記第1の筐体の側へ、前記旋回部材を前記第2の筐体の側へ取り付けたことを特徴とする、請求項2と3に各記載の携帯機器の開閉装置。
【請求項5】
前記クリック停止手段を、前記枠状のベース部材の内側に90度間隔で設けた前記回転シャフトが嵌まり込むストッパー凹部を含んで構成したことを特徴とする、請求項1に記載の携帯機器の開閉装置。
【請求項6】
前記回転規制手段を、前記旋回部材に取り付けた固定係止部材と、前記ベース部材側へ一方向へ回転付勢されて所定の範囲で揺動可能に取り付けられたところの前記固定係止部材と前記第2の筐体の第1の筐体に対する所定の回転角度で係合する可動係止部材と、で構成したことを特徴とする、請求項1に記載の携帯機器の開閉装置。
【請求項7】
前記ベース部材は、前記第1の筐体に設けた取付凹部の中に取り付けられ、前記回転円盤は前記ベース部材と前記取付凹部の間に設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の携帯機器の開閉装置。
【請求項8】
前記ベース部材には、裏面にカバープレートが取り付けられており、このカバープレートと前記ベース部材との間に前記回転円盤が設けられると共に、前記可動係止部材が一方向へ回動付勢されて設けられていることを特徴とする、請求項6に記載の開閉装置。
【請求項9】
請求項1の開閉装置はさらにスライド防止手段を有し、このスライド防止手段を、前記ベース部材のガイド孔に設けた傾斜部と、この傾斜部と当接する前記旋回部材に取り付けた前記固定係止部材とで構成した事を特徴とする、請求項1に記載の携帯機器の開閉装置。
【請求項10】
請求項1の開閉装置はさらに回動支点調整手段を有し、この回動支点調整手段を、前記ベース部材のガイド凸条部の各角部に設けた肉薄ガイド部と、
前記固定係止部材の係合ピン部とで構成したことを特徴とする、請求項1に記載の携帯機器の開閉装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項8に各記載の開閉装置を第1の筐体と第2の筐体の間に設けたことを特徴とする、携帯機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23(a)】
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【図23(b)】
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【図23(c)】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−35645(P2011−35645A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179685(P2009−179685)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000124085)加藤電機株式会社 (117)
【Fターム(参考)】