説明

携帯端末、および筐体移動方法

【課題】ボタンを押下すると一方の筐体が自動的に開く携帯端末、および筐体移動方法を提供する。
【解決手段】ロック部21が、中心軸に設けられた突起部31を拘束して、第1の筐体が第2の筐体2に対して相対的に移動しないように固定する。スライド指示ボタン4が押下されると、ロック部21が移動して、突起部31の拘束を解除する。ロック部21による突起部31の拘束が解除されると、ばね部22が、中心軸を円周方向に引っ張って回転させる。中心軸3が回転すると、中心軸3に固定されている第1の筐体が回転して、携帯電話機が開く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの筐体によって構成され、一方の筐体をスライドさせて開く携帯端末、および筐体移動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LCD等の表示部を含む筐体と、キーボード等の操作部を含む筐体とが連結部で連結されている携帯端末がある。そのような携帯端末において、一方の筐体を固定して、他方の筐体をスライドさせて携帯端末を開閉する形態が増加している。
【0003】
しかし、そのような形態の携帯端末(以下、スライド式携帯端末という。)は、一方の手で一方の筐体を固定し、他方の手で他方の筐体をスライドさせるため、片手で携帯端末を開閉することが困難である。
【0004】
例えば、一方の手で荷物を所持している場合、スライド式携帯端末を開くことは困難である。また、閉じたままでは通話することができないスライド式携帯端末では、着信時に一方の筐体を固定して他方の筐体をスライドさせなければならず、速やかに通話を開始することが困難である。
【0005】
さらに、急いで発信したい場合であっても、一方の筐体を固定して他方の筐体をスライドさせなければならず、速やかに発信することが困難である。
【0006】
LCD等の表示部を含む筐体と、キーボード等の操作部を含む筐体とが連結部で連結され、連結部で折り畳むことができる折り畳み式携帯通信端末において、連結部に設置されているボタンを操作すると、自動的に開閉する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】特開2002−335316号公報 (段落0009、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載されている構造は、折り畳み式携帯通信端末の連結部で適用可能な構造であるが、スライド式携帯端末に適用することはできない。
【0009】
そこで、本発明は、ボタンを押下すると一方の筐体が自動的に開く携帯端末、および筐体移動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による携帯端末は、第1の筐体と第2の筐体とが連結手段で連結された携帯端末であって、第1の筐体が第2の筐体に対して相対的に移動しないように固定する固定手段と、押下されると固定手段による第1の筐体の固定を解除する固定解除手段と、固定解除手段によって第1の筐体の固定が解除されると、第1の筐体をスライドするように移動させる移動手段とを含み、固定手段は、第1の筐体を、第2の筐体における第1の筐体に相対する面を覆う状態である閉状態で固定し、移動手段は、固定解除手段によって第1の筐体の固定が解除されると、第1の筐体を、第2の筐体における第1の筐体に相対する面を開放するように移動させることを特徴とする。
【0011】
移動手段は、第1の筐体に固定された円柱状の連結手段を中心として、第1の筐体を、スライドするように回転させることにより移動させてもよい。また、移動手段は、ばねであって、一端は第2の筐体内で固定され、他端は第2の筐体内における円柱状の連結手段の周面上の予め決められた位置である固定点で固定され、移動手段は、閉状態で、円柱状の連結手段の周面に沿って設置されてもよい。
【0012】
連結手段は、周面上に突起部を有してもよく、固定手段は、閉状態で、連結手段の突起部を拘束し、固定解除手段が押下されると、固定解除手段に連動して移動して、連結手段の突起部の拘束を解除してもよい。また、移動手段は、固定手段が、連結手段の突起部の拘束を解除すると、円柱状の連結手段の固定点を円柱状の連結手段の周面に沿って牽引して円柱状の連結手段を回転させ、第1の筐体を、第2の筐体における第1の筐体に相対する面を開放するように移動させてもよい。
【0013】
本発明による筐体移動方法は、第1の筐体と第2の筐体とが連結手段で連結された携帯端末で、第1の筐体を、第2の筐体における第1の筐体に相対する面を覆う状態である閉状態から、第1の筐体を、第2の筐体における第1の筐体に相対する面を開放するように移動させる筐体移動方法であって、第1の筐体が第2の筐体に対して相対的に移動しないように固定し、固定解除手段が押下されると第1の筐体の固定を解除し、第1の筐体を、第2の筐体における第1の筐体に相対する面を開放するように、スライドするように移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ボタンを押下すると一方の筐体が移動して、携帯端末を自動的に開くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
実施の形態1.
本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態を示す説明図である。
【0016】
本発明の第1の実施の形態の携帯電話機100は、LCD等の表示部5、表示部5を含む第1の筐体1、テンキー等の指示入力部6、第1の筐体1をスライドさせる指示を入力するスライド指示ボタン4、指示入力部6とスライド指示ボタン4とを含む第2の筐体2、および第1の筐体1と第2の筐体2とを接続する円柱状の中心軸(連結手段)3を含む。なお、第1の筐体1と中心軸3とは、固定されて接続されている。
【0017】
ここで、図1(a)に示すような、第1の筐体1が、第2の筐体2の指示入力部6を覆う状態を閉状態という。また、図1(c)に示すような、第2の筐体2の指示入力部6が露出して、第1の筐体1と第2の筐体2とが長手方向で直線状に並んだ状態を開状態という。
【0018】
また、以下、携帯電話機100において、通話状態で上側の向きを上方といい、通話状態で下側の向きを下方という。
【0019】
図1(b)は、携帯電話機100において、閉状態から開状態に遷移する過程を示す説明図である。スライド指示ボタン4が押下されると、第1の筐体1は、中心軸3を中心にスライドして回転し、開状態から閉状態に遷移する。
【0020】
図2は、本発明の第1の実施の形態の携帯電話機100の第2の筐体2の内部構成を示す説明図である。図2(a)は、閉状態の第2の筐体2の内部構成を示す説明図である。図2(b)は、開状態の第2の筐体2の内部構成を示す説明図である。
【0021】
本発明の実施の形態の携帯電話機100の第2の筐体2は、スライド指示ボタン(固定解除手段)4、スライド指示ボタン4が押下されると連動して移動するロック部(固定手段)21、閉状態でロック部21にロックされる中心軸3の円周(周面)上に設けられた突起部31、一端が中心軸3の円周(周面)上の一点で固定され、他端が第2の筐体2の内部に設けられたフックで固定された引っ張りばねによって実現されるばね部(移動手段)22、および中心軸3の回転を180°で停止させるように、突起部31に突き当たるように第2の筐体2の内部に設けられた回転停止部23を含む。
【0022】
ロック部21には、閉状態で突起部31を拘束して中心軸3をロックするように凹部が設けられている。また、ロック部21は、上方でスライド指示ボタン4とリンク機構を用いてリンク点24で接続され、下方の回動中心点25を中心に回動するように第2の筐体2に固定されている。
【0023】
中心軸3は、第1の筐体1と第2の筐体2とを接続するケーブルを内包していてもよい。また、回転停止部23または突起部31には、第1の筐体1が急激な速度で回転することを防ぐために、スポンジや、ウレタン等が貼付されていてもよい。ばね部22は、閉状態で中心軸3の円周(周面)に沿うように設置される。
【0024】
本発明の第1の実施の形態の動作について説明する。
【0025】
閉状態(図1(a)および図2(a)で示した状態)でスライド指示ボタン4が押下されると、リンク機構を介してロック部21が、回動中心点25を中心に回動する。すると、ロック部21に設けられた凹部による中心軸3に設けられた突起部31の拘束が解除され、中心軸3は、引っ張りばねであるばね部22に引っ張られて反時計回りの方向で回転を開始する。このとき、ばね部22は、中心軸3の円周(周面)に沿うように縮んでいく。
【0026】
中心軸3が反時計回りの方向で回転すると、中心軸3の回転に従って、第1の筐体1も反時計回りの方向にスライドして回転する。中心軸3が180°回転すると、中心軸3に設けられた突起部31が回転停止部23に接して中心軸3の回転が停止し、開状態(図2(b)で示した状態)となる。すると、第1の筐体1も、閉状態(図1(a)の状態)から180°スライドして回転した状態で停止し、開状態(図1(c)の状態)となる。
【0027】
また、開状態(図1(c)および図2(b)で示した状態)で、第2の筐体2が固定されて、第1の筐体1が中心軸3を中心にして時計回りの方向でスライドして回転されると、中心軸3に設けられた突起部31が回転停止部23から離れ、時計回りの方向で回転する。このときばね部22は、中心軸3の回転に従って中心軸3の円周(周面)に沿って伸びていく。
【0028】
第1の筐体1が180°回転されると、第1の筐体1の回転に従って中心軸3も180°回転し、中心軸3に設けられた突起部31がロック部21に設けられた凹部に嵌って、中心軸3は、ロック部21によって回転しないように拘束される。すると、中心軸3の回転は停止する。ロック部21は、設けられた凹部の内側の上方が突起部31によって押されると、回動中心点25を中心に回動し、リンク機構を介してスライド指示ボタン4を第2の筐体2の外側へ押し出し、 閉状態(図2(a)で示した状態)となる。すると、第1の筐体1も閉状態(図1(a)の状態)となる。
【0029】
以上に述べたように、この実施の形態によれば、スライド指示ボタン4を押下するだけで、第1の筐体1をスライドして回転させて、携帯電話機100を、閉状態から開状態に遷移させることができる。すなわち、携帯電話機100の使用者は、片手の一本の指で、携帯電話機100を閉状態から開状態に遷移させることができる。
【0030】
実施の形態2.
本発明の第2の実施の形態について、図面を参照して説明する。図3は、本発明の第2の実施の形態を説明する説明図である。
【0031】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態におけるロック部21、ばね部22、回転停止部23の代わりに、第2の筐体2が、中心軸3を回転させるモータ32、モータ32の回転を中心軸3に伝達するベルト33、押下されると信号を出力する開状態検出スイッチ35、および押下されると信号を出力する閉状態検出スイッチ36を含む点が第1の実施の形態と異なる。なお、この実施の形態において、第2の筐体2は、音声を入力するマイクロフォン34、指示入力部6、スライド指示ボタン4、および各部を制御する制御部30を含む。
【0032】
制御部30は、例えば、CPU等によって実現される。スライド指示ボタン4は、押下されると信号を制御部30に出力するスイッチによって実現される。具体的には、スライド指示ボタン4は、例えば、タクトスイッチによって実現される。
【0033】
ベルト33は、モータ32の回転軸と、中心軸3との円周に巻き付けられ、モータ32の回転を中心軸3に伝達して、モータ32の回転軸が回転すると、中心軸3を回転させる。
【0034】
突起部31は、中心軸3における、ベルト33が巻き付けられている領域に干渉しない円周(周面)上の位置に設けられる。具体的には、例えば、中心軸33の円周(周面)上において、ベルト33は、指示入力部6のボタンが設けられている面に近い領域に巻き付けられ、突起部31は、指示入力部6のボタンが設けられている面に遠い領域に設けられている。
【0035】
開状態検出スイッチ35は、第2の筐体2の内部において、携帯電話機100が開状態になったときに中心軸3に設けられた突起部31が押下するような位置に設けられる。閉状態検出スイッチ36は、第2の筐体2の内部において、携帯電話機100が閉状態になったときに中心軸3に設けられた突起部31が押下するような位置に設けられる。
【0036】
具体的には、例えば、開状態検出スイッチ35は、中心軸3の外形の近傍の下方に設けられ、閉状態検出スイッチ36は、中心軸3の外形の近傍の上方に設けられる。つまり、開状態検出スイッチ35と、閉状態検出スイッチ36とは、中心軸3の中心点に対して対称となる位置に設置される。
【0037】
開状態検出スイッチ35は、押下されると信号を制御部30に出力する。制御部30は、開状態検出スイッチ35から信号が入力されると、携帯電話機100が開状態であることを認識する。閉状態検出スイッチ36は、押下されると信号を制御部30に出力する。制御部30は、閉状態検出スイッチ36から信号が入力されると、携帯電話機100が閉状態であることを認識する。
【0038】
開状態検出スイッチ35および閉状態検出スイッチ36は、例えば、タクトスイッチによって実現される。
【0039】
次に、この実施の形態の動作について説明する。閉状態(図1(a)の状態)では、突起部31によって閉状態検出スイッチ36が押下されているので、制御部30に閉状態検出スイッチ36から信号が入力される。すると、制御部30は、携帯電話機100が閉状態であることを認識する。
【0040】
スライド指示ボタン4が押下されると、制御部30は、モータ32に、中心軸3を反時計回りの方向に回転させる信号を出力する。モータ32は、中心軸3を反時計回りの方向に回転させるように回転軸を回転させる。すると、ベルト33がモータ32の回転軸の回転を中心軸3に伝達して、中心軸3を反時計回りの方向に回転させる。中心軸3が反時計回りの方向に回転すると、第1の筐体1が中心軸3を中心にして反時計回りの方向にスライドして回転する。
【0041】
中心軸3が180°回転すると、中心軸3に設けられた突起部31は、開状態検出スイッチ35を押下する。すると、開状態検出スイッチ35は、信号を制御部30に出力する。制御部30は、開状態検出スイッチ35から信号が入力されると、携帯電話機100が開状態になったことを認識して、モータ32に、中心軸3を反時計回りの方向に回転させる信号の出力を停止する。すると、モータ32は、回転軸の回転を停止し、中心軸3の回転が停止する。
【0042】
このとき、中心軸3が180°回転したことに伴って、携帯電話機100の第1の筐体1は中心軸3を中心にして180°スライドして回転する。すなわち、開状態(図1(c)で示した状態)となる。
【0043】
また、開状態(図1(c)の状態)では、突起部31によって開状態検出スイッチ35が押下されているので、制御部30に開状態検出スイッチ35から信号が入力される。すると、制御部30は、携帯電話機100が開状態であることを認識する。
【0044】
スライド指示ボタン4が押下されると、制御部30は、モータ32に、中心軸3を時計回りの方向に回転させる信号を出力する。モータ32は、中心軸3を時計回りの方向に回転させるように回転軸を回転させる。すると、ベルト33がモータ32の回転軸の回転を中心軸3に伝達して、中心軸3を時計回りの方向に回転させる。中心軸3が時計回りの方向に回転すると、第1の筐体1が中心軸3を中心にして時計回りの方向にスライドして回転する。
【0045】
中心軸3が180°回転すると、中心軸3に設けられた突起部31は、閉状態検出スイッチ36を押下する。すると、閉状態検出スイッチ36は、信号を制御部30に出力する。制御部30は、閉状態検出スイッチ36から信号が入力されると、携帯電話機100が閉状態になったことを認識して、モータ32に、中心軸3を時計回りの方向に回転させる信号の出力を停止する。すると、モータ32は、回転軸の回転を停止し、中心軸3の回転が停止する。
【0046】
このとき、中心軸3が180°回転したことに伴って、携帯電話機100の第1の筐体1は中心軸3を中心にして180°スライドして回転する。すなわち、閉状態(図1(a)で示した状態)となる。
【0047】
以上に述べたように、この実施の形態によれば、スライド指示ボタン4を押下するだけで、第1の筐体1を中心軸3を中心にスライドして回転させて、携帯電話機100を、モータ32を用いて閉状態から開状態へ、および開状態から閉状態へ遷移させることができる。すなわち、携帯電話機100の使用者は、片手の一本の指で、携帯電話機100を閉状態から開状態および開状態から閉状態に遷移させることができる。
【0048】
なお、この実施の形態では、モータ32の回転軸の回転の中心軸3への伝達に、ベルト33を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、傘歯車の組み合わせ等の他の方法を用いてもよい。
【0049】
実施の形態3.
本発明の第3の実施の形態について、図面を参照して説明する。この実施の形態では、第1の筐体1が、第2の筐体2における指示入力部6のボタンが設けられている面に沿って直線的にスライドして、携帯電話機100が閉状態から開状態および開状態から閉状態へ遷移する。図4は、本発明の第3の実施の形態を説明する説明図である。
【0050】
図において、図4(a)は、携帯電話機100の閉状態を示す図である。図4(b)は、携帯電話機100が閉状態から開状態に遷移する過程を示す図である。図4(c)は、携帯電話機100の開状態を示す図である。
【0051】
図5は、本発明の第3の実施の形態の携帯電話機100の第1の筐体1および第2の筐体2を示す説明図である。
【0052】
本発明の第3の実施の形態は、ベルト33の代わりに、第1の筐体1における第2の筐体2と相対する面に、連続して直線状に設けられた歯であるラック部11、第1の突起部12、および第2の突起部13を含む。また、第2の筐体2において、モータ32の回転軸に、平歯車であるピニオン部37が設けられている。図5(a)は、この実施の形態の第2の筐体の内部構成を示す説明図である。図5(b)は、この実施の形態における第1の筐体1の第2の筐体2に相対する面の説明図である。
【0053】
ラック部11は、図5(b)の例に示すように、第1の筐体1における第2の筐体2に相対する面に、第2の筐体2のモータ32にピニオン部37とかみ合う位置に設けられる。また、第1の突起部12は、例えば、ラック部11の下方の延長線上に設けられ、第2の突起部13は、ラック部11の上方の延長線上に設けられる。
【0054】
この実施の形態において、開状態検出スイッチ35は、携帯電話機100が開状態になったときに、第1の突起部12が押下する位置に設置される。また、この実施の形態において、閉状態検出スイッチ36は、携帯電話機100が閉状態になったときに、第2の突起部13が押下する位置に設置される。
【0055】
次に、この実施の形態の動作について説明する。閉状態(図4(a)の状態)では、第2の突起部13によって閉状態検出スイッチ36が押下されているので、制御部30に閉状態検出スイッチ36から信号が入力される。すると、制御部30は、携帯電話機100が閉状態であることを認識する。
【0056】
スライド指示ボタン4が押下されると、制御部30は、モータ32に、ピニオン部37とラック部11とを介して第1の筐体1を上方に移動させる信号を出力する。モータ32は、第1の筐体1を上方に移動させる方向に、回転軸を介してピニオン部37を回転させる。すると、ピニオン部37がモータ32の回転をラック部11に伝達して、第1の筐体1を上方に移動させる。すると、第1の筐体1が上方にスライドして移動する。
【0057】
第1の筐体1が移動して携帯電話機100が開状態になると、第1の筐体1に設けられた第1の突起部12が、開状態検出スイッチ35を押下する。すると、開状態検出スイッチ35は、信号を制御部30に出力する。制御部30は、開状態検出スイッチ35から信号が入力されると、携帯電話機100が開状態になったことを認識して、モータ32に、第1の筐体1を上方に移動させる信号の出力を停止する。すると、モータ32は、回転軸の回転を停止し、ピニオン部37とラック部11とを介した第1の筐体1の移動が停止する。
【0058】
このとき、携帯電話機100の第1の筐体1はスライドして移動したため、開状態(図4(c)で示した状態)となる。
【0059】
また、開状態(図4(c)の状態)では、第1の突起部12によって開状態検出スイッチ35が押下されているので、制御部30に開状態検出スイッチ35から信号が入力される。すると、制御部30は、携帯電話機100が開状態であることを認識する。
【0060】
スライド指示ボタン4が押下されると、制御部30は、モータ32に、第1の筐体1を下方に移動させる信号を出力する。モータ32は、第1の筐体1を下方に移動させる方向に、回転軸を介してピニオン部37を回転させる。すると、ピニオン部37がモータ32の回転をラック部11に伝達して、第1の筐体1を下方に移動させる。すると、第1の筐体1が下方にスライドして移動する。
【0061】
第1の筐体1が移動して携帯電話機100が閉状態になると、第1の筐体1に設けられた第2の突起部13が、閉状態検出スイッチ36を押下する。すると、閉状態検出スイッチ36は、信号を制御部30に出力する。制御部30は、閉状態検出スイッチ36から信号が入力されると、携帯電話機100が閉状態になったことを認識して、モータ32に、第1の筐体1を下方に移動させる信号の出力を停止する。すると、モータ32は、回転軸の回転を停止し、ピニオン部37とラック部11とを介した第1の筐体1の移動が停止する。
【0062】
このとき、携帯電話機100の第1の筐体1はスライドして移動したため、閉状態(図4(a)で示した状態)となる。
【0063】
以上に述べたように、この実施の形態によれば、スライド指示ボタン4を押下するだけで、第1の筐体1を直線的にスライドさせて、携帯電話機100を、モータ32を用いて閉状態から開状態へ、および開状態から閉状態へ遷移させることができる。すなわち、携帯電話機100の使用者は、片手の一本の指で、携帯電話機100を閉状態から開状態および開状態から閉状態に遷移させることができる。
【0064】
なお、第2の筐体2におけるスライド指示ボタン4が設置されている面の反対側の面に、第1の筐体1が移動する範囲に応じた溝が設けられていてもよく、第1の筐体1は、第2の筐体2に設けられている溝に嵌合して、第1の筐体1が第2の筐体2から脱落しないようにし、かつ、第1の筐体1が第2の筐体2に設けられている溝に沿って摺動するような連結手段を備えていてもよい。
【0065】
また、連結手段は、第2の筐体2と第1の筐体1とを接続するケーブルを内包していてもよい。
【0066】
なお、以上に述べた各実施の形態では、携帯端末の一例として、携帯電話機100を例示して説明したが、本発明誇れに限定されるものではなく、例えば、PHS(Personal Handy Phone System)端末や、PDA(Personal Digital Assistance)等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
2つの筐体で構成される携帯端末に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の携帯電話機の第2の筐体の内部構成を示す説明図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を説明する説明図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を説明する説明図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の携帯電話機の第1の筐体および第2の筐体を示す説明図である。
【符号の説明】
【0069】
1 第1の筐体
2 第2の筐体
3 中心軸
4 スライド指示ボタン
5 表示部
6 指示入力部
11 ラック部
12 第1の突起部
13 第2の突起部
21 ロック部
22 ばね部
23 回転停止部
24 リンク点
25 回動中心点
30 制御部
31 突起部
32 モータ
33 ベルト
34 マイクロフォン
35 開状態検出スイッチ
36 閉状態検出スイッチ
37 ピニオン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体とが連結手段で連結された携帯端末において、
前記第1の筐体が前記第2の筐体に対して相対的に移動しないように固定する固定手段と、
押下されると前記固定手段による前記第1の筐体の固定を解除する固定解除手段と、
前記固定解除手段によって前記第1の筐体の固定が解除されると、前記第1の筐体をスライドするように移動させる移動手段とを含み、
前記固定手段は、前記第1の筐体を、前記第2の筐体における前記第1の筐体に相対する面を覆う状態である閉状態で固定し、
前記移動手段は、前記固定解除手段によって前記第1の筐体の固定が解除されると、前記第1の筐体を、前記第2の筐体における前記第1の筐体に相対する面を開放するように移動させる
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
移動手段は、前記第1の筐体に固定された円柱状の連結手段を中心として、前記第1の筐体を、スライドするように回転させることにより移動させる
請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
移動手段は、ばねであって、一端は第2の筐体内で固定され、他端は前記第2の筐体内における円柱状の連結手段の周面上の予め決められた位置である固定点で固定され、前記移動手段は、閉状態で、前記円柱状の連結手段の周面に沿って設置される
請求項2記載の携帯端末。
【請求項4】
連結手段は、周面上に突起部を有し、
固定手段は、閉状態で、前記連結手段の突起部を拘束し、固定解除手段が押下されると、前記前記固定解除手段に連動して移動して、前記連結手段の前記突起部の拘束を解除する
請求項3記載の携帯端末。
【請求項5】
移動手段は、固定手段が、連結手段の突起部の拘束を解除すると、円柱状の連結手段の固定点を前記円柱状の連結手段の周面に沿って牽引して前記円柱状の連結手段を回転させ、第1の筐体を、第2の筐体における前記第1の筐体に相対する面を開放するように移動させる
請求項4記載の携帯端末。
【請求項6】
第1の筐体と第2の筐体とが連結手段で連結された携帯端末で、前記第1の筐体を、前記第2の筐体における前記第1の筐体に相対する面を覆う状態である閉状態から、前記第1の筐体を、前記第2の筐体における前記第1の筐体に相対する面を開放するように移動させる筐体移動方法において、
前記第1の筐体が第2の筐体に対して相対的に移動しないように固定し、
固定解除手段が押下されると前記第1の筐体の固定を解除し、
前記第1の筐体を、前記第2の筐体における前記第1の筐体に相対する面を開放するように、スライドするように移動させる
ことを特徴とする筐体移動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−157418(P2006−157418A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−344400(P2004−344400)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(390000974)NECモバイリング株式会社 (138)
【Fターム(参考)】