説明

携帯電子機器、制御方法及び制御プログラム

【課題】効率的に通信処理部を選択することができる携帯電子機器、制御方法及び制御プログラムを提供すること。
【解決手段】第1の通信方式に準拠する第1の通信処理部31と、第2の通信方式に準拠する第2の通信処理部33と、第3の通信方式に準拠する第3の通信処理部35と、データ通信を行う際に、優先的に使用する順序を、第1の通信処理部31、第2の通信処理部33及び第3の通信処理部35として各処理部を制御する制御部30と、を備える。制御部30は、第2の通信処理部33によりデータ通信を行っているときに、ネットワークが切断した場合、第1の通信処理部31を用いずに第3の通信処理部35により当該データ通信を継続するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通信処理部を有する携帯電子機器と、その機器を制御する制御方法及びその機器を制御するための制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電子機器は、複数の無線ベアラに対応できる機能を有している。例えば、特許文献1によれば、複数の無線ベアラのうちのいずれかの無線ベアラを利用してネットワークを確立する際に、アプリケーション別にアプリケーションの特性を考慮して最適な無線ベアラを選択する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/099700号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、携帯電子機器は、一般的に、複数の無線ベアラが利用可能な状態において、どの無線ベアラを優先的に使用するのかについての優先ルールを定めている。
【0005】
ここで、上位の無線ベアラを利用してデータ通信を行っているときに、パスワードの変更等により認証エラーが生じてロスト状態(すなわち、上位の無線ベアラからはAP(アクセスポイント)が確認できる状態)になったことを想定して説明する。
【0006】
携帯電子機器は、ロスト状態の上位の無線ベアラから中位の無線ベアラに切り替えて、データ通信を継続する。その後、当該中位の無線ベアラもロストした場合には、携帯電子機器は、優先ルールにしたがって、上位の無線ベアラによるネットワークの確立を試みる。携帯電子機器は、上位の無線ベアラに対応するAPが確認できる状態なので、このAPに対してネットワークの接続要求を行う。この場合、携帯電子機器は、APが認証エラーになるので、他の上位の無線ベアラに対応するAPの確認ができない場合には、下位のベアラを利用してデータ通信を行う。
【0007】
このようにして、携帯電子機器は、上位の無線ベアラが認証エラーによりロストし、その後、中位の無線ベアラもロストした場合には、優先ルールにしたがって、認証エラーになる上位の無線ベアラによる処理が発生してしまうため、その分の時間と処理の浪費が発生してしまう。
【0008】
本発明は、時間と処理の浪費を抑制し、効率的に通信処理部を選択することができる携帯電子機器、制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る携帯電子機器は、上記課題を解決するために、第1の通信方式に準拠する第1の通信処理部と、第2の通信方式に準拠する第2の通信処理部と、第3の通信方式に準拠する第3の通信処理部と、データ通信を行う際に、優先的に使用する順序を、前記第1の通信処理部、前記第2の通信処理部及び前記第3の通信処理部として各処理部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2の通信処理部によりデータ通信を行っているときに、ネットワークが切断した場合、前記第3の通信処理部により当該データ通信を継続するように制御する構成である。
【0010】
また、携帯電子機器では、第1の通信方式は、IEEE802.11に準拠する通信規格であり、第2の通信方式は、IEEE802.16に準拠する通信規格であり、第3の通信方式は、IMT−2000標準に準拠する通信方式であっても良い。
【0011】
また、携帯電子機器では、制御部は、前記第1の通信処理部によりデータ通信を行っているときに、ネットワークが切断した場合、前記第2の通信処理部を利用して当該データ通信を継続できるか否かを判断し、継続できると判断した場合には、前記第2の通信処理部を利用して当該データ通信を継続し、かつ前記第1の通信処理部によりデータ通信が可能であるかどうかを所定の周期で判断する構成でも良い。
【0012】
また、携帯電子機器では、制御部は、前記第2の通信処理部を利用してデータ通信を継続している状態において、前記第1の通信処理部によりデータ通信が可能であると判断した場合には、前記第1の通信処理部により当該データ通信を継続するように制御する構成でも良い。
【0013】
本発明に係る制御方法は、上記課題を解決するために、データ通信を行う際に、優先的に使用する順序を、第1の通信方式に準拠する第1の通信処理部、第2の通信方式に準拠する第2の通信処理部及び第3の通信方式に準拠する第3の通信処理部として各処理部を制御する制御方法において、制御部により、前記第2の通信処理部によりデータ通信を行っているときに、ネットワークが切断した場合、前記第3の通信処理部により当該データ通信を継続するように制御する接続工程を有する構成である。
【0014】
本発明に係る制御プログラムは、上記課題を解決するために、データ通信を行う際に、優先的に使用する順序を、第1の通信方式に準拠する第1の通信処理部、第2の通信方式に準拠する第2の通信処理部及び第3の通信方式に準拠する第3の通信処理部として各処理部を制御する制御プログラムにおいて、制御部により、前記第2の通信処理部によりデータ通信を行っているときに、ネットワークが切断した場合、前記第3の通信処理部により当該データ通信を継続するように制御する接続工程をコンピュータによって実現するためのものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、効率的に通信処理部を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係るスマートフォンの外観を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係るスマートフォンの外観を示す正面図である。
【図3】実施形態に係るスマートフォンの外観を示す背面図である。
【図4】ホーム画面の一例を示す図である。
【図5】実施形態に係るスマートフォンの機能を示すブロック図である。
【図6】各通信規格における使用周波数と、最高転送速度と、最大通信距離についての説明に供する図である。
【図7】各通信処理部を切り替えるタイミングについての説明に供する図である。
【図8】データ通信を行う際に、状況に応じて、各通信処理部を切り替える動作についての説明に供するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下では、タッチスクリーンディスプレイを備える装置の一例として、スマートフォンについて説明する。
【0018】
(実施形態)
図1から図3を参照しながら、実施形態に係るスマートフォン1の外観について説明する。図1から図3に示すように、スマートフォン1は、ハウジング20を有する。ハウジング20は、フロントフェイス1Aと、バックフェイス1Bと、サイドフェイス1C1〜1C4とを有する。フロントフェイス1Aは、ハウジング20の正面である。バックフェイス1Bは、ハウジング20の背面である。サイドフェイス1C1〜1C4は、フロントフェイス1Aとバックフェイス1Bとを接続する側面である。以下では、サイドフェイス1C1〜1C4を、どの面であるかを特定することなく、サイドフェイス1Cと総称することがある。
【0019】
スマートフォン1は、タッチスクリーンディスプレイ2と、ボタン3A〜3Cと、照度センサ4と、近接センサ5と、レシーバ7と、マイク8と、カメラ12とをフロントフェイス1Aに有する。スマートフォン1は、カメラ13をバックフェイス1Bに有する。スマートフォン1は、ボタン3D〜3Fと、外部インターフェイス14とをサイドフェイス1Cに有する。以下では、ボタン3A〜3Fを、どのボタンであるかを特定することなく、ボタン3と総称することがある。
【0020】
タッチスクリーンディスプレイ2は、ディスプレイ2Aと、タッチスクリーン2Bとを有する。ディスプレイ2Aは、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELパネル(Organic Electro−Luminescence panel)、又は無機ELパネル(Inorganic Electro−Luminescence panel)等の表示デバイスを備える。ディスプレイ2Aは、文字、画像、記号又は図形等を表示する。
【0021】
タッチスクリーン2Bは、タッチスクリーンディスプレイ2に対する指、又はスタイラスペン等の接触を検出する。タッチスクリーン2Bは、複数の指、又はスタイラスペン等がタッチスクリーンディスプレイ2に接触した位置を検出することができる。
【0022】
タッチスクリーン2Bの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(又は超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式、及び荷重検出方式等の任意の方式で良い。以下では、説明を簡単にするため、タッチスクリーン2Bがタッチスクリーンディスプレイ2に対する接触を検出する指、又はスタイラスペン等を単に「指」ということがある。
【0023】
スマートフォン1は、タッチスクリーン2Bにより検出された接触、接触位置、接触時間又は接触回数に基づいてジェスチャの種別を判別する。ジェスチャは、タッチスクリーンディスプレイ2に対して行われる操作である。スマートフォン1によって判別されるジェスチャには、タッチ、ロングタッチ、リリース、スワイプ、タップ、ダブルタップ、ロングタップ、ドラッグ、フリック、ピンチイン、ピンチアウト等が含まれる。
【0024】
タッチは、タッチスクリーンディスプレイ2(例えば、表面)に指が接触するジェスチャである。スマートフォン1は、タッチスクリーンディスプレイ2に指が接触するジェスチャをタッチとして判別する。ロングタッチとは、タッチスクリーンディスプレイ2に指が一定時間以上接触するジェスチャである。スマートフォン1は、タッチスクリーンディスプレイ2に指が一定時間以上接触するジェスチャをロングタッチとして判別する。
【0025】
リリースは、指がタッチスクリーンディスプレイ2から離れるジェスチャである。スマートフォン1は、指がタッチスクリーンディスプレイ2から離れるジェスチャをリリースとして判別する。スワイプは、指がタッチスクリーンディスプレイ2上に接触したままで移動するジェスチャである。スマートフォン1は、指がタッチスクリーンディスプレイ2上に接触したままで移動するジェスチャをスワイプとして判別する。
【0026】
タップは、タッチに続いてリリースをするジェスチャである。スマートフォン1は、タッチに続いてリリースをするジェスチャをタップとして判別する。ダブルタップは、タッチに続いてリリースをするジェスチャが2回連続するジェスチャである。スマートフォン1は、タッチに続いてリリースをするジェスチャが2回連続するジェスチャをダブルタップとして判別する。
【0027】
ロングタップは、ロングタッチに続いてリリースをするジェスチャである。スマートフォン1は、ロングタッチに続いてリリースをするジェスチャをロングタップとして判別する。ドラッグは、移動可能なオブジェクトが表示されている領域を始点としてスワイプをするジェスチャである。スマートフォン1は、移動可能なオブジェクトが表示されている領域を始点としてスワイプをするジェスチャをドラッグとして判別する。
【0028】
フリックは、タッチに続いて指が一方方向へ高速で移動しながらリリースするジェスチャである。スマートフォン1は、タッチに続いて指が一方方向へ高速で移動しながらリリースするジェスチャをフリックとして判別する。フリックは、指が画面の上方向へ移動する上フリック、指が画面の下方向へ移動する下フリック、指が画面の右方向へ移動する右フリック、指が画面の左方向へ移動する左フリック等を含む。
【0029】
ピンチインは、複数の指が互いに近付く方向にスワイプするジェスチャである。スマートフォン1は、複数の指が互いに近付く方向にスワイプするジェスチャをピンチインとして判別する。ピンチアウトは、複数の指が互いに遠ざかる方向にスワイプするジェスチャである。スマートフォン1は、複数の指が互いに遠ざかる方向にスワイプするジェスチャをピンチアウトとして判別する。
【0030】
スマートフォン1は、タッチスクリーン2Bを介して判別するこれらのジェスチャにしたがって動作を行う。したがって、利用者にとって直感的で使いやすい操作性が実現される。判別されるジェスチャにしたがってスマートフォン1が行う動作は、タッチスクリーンディスプレイ2に表示されている画面に応じて異なる。
【0031】
図4を参照しながら、ディスプレイ2Aに表示される画面の例について説明する。図4は、ホーム画面の一例を示している。ホーム画面は、デスクトップ、又は待受画面と呼ばれることもある。ホーム画面は、ディスプレイ2Aに表示される。ホーム画面は、スマートフォン1にインストールされているアプリケーションのうち、どのアプリケーションを実行するかを利用者に選択させる画面である。スマートフォン1は、ホーム画面で選択されたアプリケーションをフォアグランドで実行する。フォアグランドで実行されるアプリケーションの画面は、ディスプレイ2Aに表示される。
【0032】
スマートフォン1は、ホーム画面にアイコンを配置することができる。図4に示すホーム画面40には、複数のアイコン50が配置されている。それぞれのアイコン50は、スマートフォン1にインストールされているアプリケーションと予め対応付けられている。スマートフォン1は、アイコン50に対するジェスチャを検出すると、そのアイコン50に対応付けられているアプリケーションを実行する。例えば、スマートフォン1は、メールアプリケーションに対応付けられたアイコン50に対するタップを検出すると、メールアプリケーションを実行する。ここで、スマートフォン1は、例えば、タッチスクリーンディスプレイ2に対するアイコン50の表示位置(領域)に対応する位置(領域)へのジェスチャを、アイコン50に対応付けられたアプリケーションの実行命令であると解釈する。
【0033】
アイコン50は、画像と文字列を含む。アイコン50は、画像に代えて、記号又は図形を含んでも良い。アイコン50は、画像又は文字列のいずれか一方を含まなくても良い。アイコン50は、所定の規則にしたがって配置される。アイコン50の背後には、壁紙41が表示される。壁紙は、フォトスクリーン又はバックスクリーンと呼ばれることもある。スマートフォン1は、任意の画像を壁紙41として用いることができる。画像は、例えば、利用者の設定にしたがって任意の画像が壁紙41として決定される。
【0034】
スマートフォン1は、ホーム画面の数を増減することができる。スマートフォン1は、例えば、ホーム画面の数を利用者による設定にしたがって決定する。スマートフォン1は、ホーム画面を表示する場合、ホーム画面の数が複数であっても、それらのうちから選択された1つをディスプレイ2Aに表示する。
【0035】
スマートフォン1は、ホーム画面上に、1つ又は複数のロケータを表示する。ロケータの数は、ホーム画面の数と一致する。ロケータは、現在表示されているホーム画面の位置を示す。現在表示されているホーム画面に対応するロケータは、他のロケータと異なる態様で表示される。
【0036】
図4に示す例では、4つのロケータ51が表示されている。これは、ホーム画面40の数が4つであることを示す。また、図4に示す例では、左から2番目のシンボルが他のシンボルと異なる態様で表示されている。これは、左から2番目のホーム画面が現在表示されていることを示している。
【0037】
スマートフォン1は、ホーム画面を表示中に特定のジェスチャを検出すると、ディスプレイ2Aに表示するホーム画面を切り替える。例えば、スマートフォン1は、右フリックを検出すると、ディスプレイ2Aに表示するホーム画面を1つ左のホーム画面に切り替える。また、スマートフォン1は、左フリックを検出すると、ディスプレイ2Aに表示するホーム画面を1つ右のホーム画面に切り替える。
【0038】
ディスプレイ2Aの上端には、領域42が設けられている。領域42には、充電池の残量を示す残量マーク43、及び通信用の電波の電界強度を示す電波レベルマーク44が表示される。スマートフォン1は、領域42に、現在時刻、天気の情報、実行中のアプリケーション、通信システムの種別、電話のステータス、装置のモード、装置に生じたイベント等を表示しても良い。このように、領域42は、利用者に対して各種の通知を行うために用いられる。領域42は、ホーム画面40とは別の画面でも設けられることがある。領域42が設けられる位置は、ディスプレイ2Aの上端に限られない。
【0039】
なお、図4に示したホーム画面40は、一例であり、各種の要素の形態、各種の要素の配置、ホーム画面40の数、及びホーム画面40での各種の操作の仕方等は上記の説明の通りでなくても良い。
【0040】
図5は、スマートフォン1の構成を示すブロック図である。
スマートフォン1は、制御部30と、第1の通信処理部31と、第1のアンテナ部32と、第2の通信処理部33と、第2のアンテナ部34と、第3の通信処理部35と、第3のアンテナ部36とを備える。なお、スマートフォン1は、上述した構成要素以外にもマイク等の他の構成要素を備えている。
【0041】
第1の通信処理部31は、第1の通信方式に準拠する。第2の通信処理部33は、第2の通信方式に準拠する。第3の通信処理部35は、第3の通信方式に準拠する。なお、以下では、第1の通信処理部31による通信は、第2の通信処理部33及び第3の通信処理部35による通信よりも優先度を高く設定してあるので、上位ベアラ通信ともいう。また、第2の通信処理部33は、第3の通信処理部35による通信よりも優先度を高く設定してあるので、中位ベアラ通信ともいう。また、第3の通信処理部35による通信は、下位ベアラ通信ともいう。
【0042】
制御部30は、データ通信を行う際に、優先的に使用する順序を、第1の通信処理部31、第2の通信処理部33及び第3の通信処理部35として各処理部を制御する。つまり、制御部30は、第1の通信処理部31、第2の通信処理部33及び第3の通信処理部35の全てが利用可能な場合には、優先的に第1の通信処理部31を利用してデータ通信を行う。また、制御部30は、第1の通信処理部31によるデータ通信ができない場合には、優先的に第2の通信処理部33によるデータ通信を行う。
【0043】
また、制御部30は、第2の通信処理部33によりデータ通信を行っているときに、パスワードの変更等により認証エラーが生じて、ネットワークが切断した場合、第3の通信処理部35を利用して当該データ通信を継続するように制御する。
【0044】
ここで、第2の通信処理部33によりデータ通信を行っているときに、ネットワークが切断した場合、優先的に使用する順序にしたがって、第1の通信処理部31を利用してデータ通信をしようとすると、第1の通信処理部31が利用できない場合が多いと考えられる。これは、第2の通信処理部33によりデータ通信を行っているということは、第1の通信処理部31によるデータ通信が行えないことを意味しているからである。
【0045】
また、第3の通信処理部35は、所定の条件下、常時、間欠受信を行っており、いつでもアクティブ状態(データ通信を行える状態)にすることができる。所定の条件とは、データ通信を行えるだけの電波強度等を有していることをいう。
【0046】
このようにして、スマートフォン1は、時間と処理の浪費を抑制し、効率的に接続可能な通信処理部を選択することができる。
【0047】
また、上述では、スマートフォン1の構成と動作について説明したが、これに限られず、各構成要素を備え、時間と処理の浪費を抑制し、効率的に通信処理部を選択するための制御方法及び制御プログラムとして構成されても良い。
【0048】
また、スマートフォン1は、第1の通信処理部31によってすでに接続している場合には、優先順位からいって第3の通信処理部35に接続する必要はないので、第1の通信処理部31が接続中か否かをチェックする構成でも良い。
【0049】
また、スマートフォン1は、第3の通信処理部35が無効、又は県外の場合には、第3の通信処理部35によって接続要求を行っても無駄なので、第3の通信処理部35の設定が有効であり、かつ圏内であることを条件に、第2の通信処理部33によりデータ通信を行っているときに、パスワードの変更等により認証エラーが生じて、ネットワークが切断した場合、第3の通信処理部35を利用して当該データ通信を継続するように制御する構成でも良い。
【0050】
また、第1の通信方式は、例えば、IEEE802.11に準拠する通信規格(無線LAN)である。第2の通信方式は、例えば、IEEE802.16に準拠する通信規格である。第3の通信方式は、例えば、IMT−2000標準に準拠する通信方式(例えば、CDMA2000 1xEV−DO Rev.A)である。
【0051】
また、図6に各通信規格における使用周波数と、最高転送速度と、最大通信距離を示す。よって、第1の通信処理部31(例えば、IEEE802.11n)を利用した場合には、転送速度が最も早いので、高速データ通信を実現することができる。
【0052】
また、第2の通信処理部33を利用した場合には、通信距離が第1の通信処理部31を利用した場合よりも長く、転送速度が第3の通信処理部35を利用した場合よりも早いので、広いエリアで高速データ通信を実現することができる。
【0053】
また、第3の通信処理部35を利用した場合には、通信距離が最も長いので、広範囲なエリアでデータ通信を実現することができる。
【0054】
また、制御部30は、第1の通信処理部31によりデータ通信を行っているときに、ネットワークが切断した場合、第2の通信処理部33を利用して当該データ通信を継続できるか否かを判断する。制御部30は、継続できると判断した場合には、第2の通信処理部33を利用して当該データ通信を継続し、かつ第1の通信処理部31によりデータ通信が可能であるかどうかを所定の周期で判断する。
【0055】
また、制御部30は、第2の通信処理部33を利用してデータ通信を継続している状態において、第1の通信処理部31によりデータ通信が可能であると判断した場合には、第2の通信処理部33によるデータ通信を終了して、第1の通信処理部31により当該データ通信を継続するように制御する。
【0056】
具体的には、制御部30は、図7に示すように、第1の通信処理部31によりデータ通信を行っているときに、ネットワークが切断した場合(図7中のt1)、第2の通信処理部33によるネットワークを確立するための処理(以下、接続要求処理という。)を行って、データ通信が可能か否かを判断する。なお、接続要求処理とは、周辺の基地局をサーチし、発見した基地局との間で認証処理を行って、実際にデータ通信が行える状況にするための、一連の処理のことをいう。
【0057】
制御部30は、接続要求処理の結果、第2の通信処理部33によるデータ通信が可能な場合には、第2の通信処理部33によるデータ通信を行う。
また、制御部30は、所定の周期で、第1の通信処理部31による接続要求処理を行う。所定の周期とは、例えば、図7中のt2、t3で示すタイミングのことである。
【0058】
また、制御部30は、第2の通信処理部33によりデータ通信を行っているときに、ネットワークが切断した場合(図7中のt4)、第3の通信処理部35によるデータ通信を行う。なお、第3の通信処理部35は、所定の条件下、常時、間欠受信を行っており、いつでもアクティブ状態(データ通信を行える状態)にすることができる。
【0059】
また、制御部30は、所定の周期で、第2の通信処理部33による接続要求処理を行う。所定の周期とは、例えば、図7中のt5で示すタイミングである。
【0060】
なお、制御部30は、接続要求処理を行い、第1の通信処理部31によるデータ通信が可能な場合には、第1の通信処理部31によるデータ通信に切り替える制御を行う。また、制御部30は、接続要求処理を行い、第1の通信処理部31によるデータ通信が可能ではないが、第2の通信処理部33によるデータ通信が可能な場合には、第2の通信処理部33によるデータ通信に切り替える制御を行う。
【0061】
ここで、従来では、第2の通信処理部33によりデータ通信を行っているときに、ネットワークが切断した場合(図7中のt4)には、この切断したタイミングで、第1の通信処理部31による接続要求処理を行っていた。この場合には、第1の通信処理部31が利用できない場合が多いと考えられる。
【0062】
このようにして、スマートフォン1は、時間と処理の浪費を抑制し、効率的に接続可能な通信処理部を選択することができる。
【0063】
つぎに、スマートフォン1によりデータ通信を行う際に、状況に応じて、各通信処理部を切り替える動作について、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下の実施例では、第2の通信処理部33によりデータ通信を行っている状態を想定して説明を行う。また、制御部30は、所定の周期で、第1の通信処理部31による接続要求処理を行っているものとする。
【0064】
ステップST1において、制御部30は、第2の通信処理部33によりデータ通信を行っているときに、パスワードの変更等により認証エラーが生じて、ネットワークが切断(ロスト)したかどうかを判断する。ロストした場合(Yes)には、ステップST2に進み、ロストしていない場合(No)には、ステップST6に進む。
【0065】
ステップST2において、制御部30は、第3の通信処理部35による接続要求処理を行う。
【0066】
ステップST3において、制御部30は、ステップST2の工程による接続要求処理が成功したかどうか判断する。接続要求処理が成功した場合(Yes)には、ステップST4に進み、接続要求処理が成功しなかった場合(No)には、ステップST5に進む。
【0067】
ステップST4において、制御部30は、第3の通信処理部35を利用してデータ通信を継続する。なお、制御部30は、所定の周期で、第1の通信処理部31による接続要求処理を行う。
【0068】
ステップST5において、制御部30は、第1の通信処理部31、第2の通信処理部33及び第3の通信処理部35による接続要求処理を所定の周期で行う。
【0069】
ステップST6において、制御部30は、所定の周期で行っている第1の通信処理部31による接続要求処理が成功したかどうかを判断する。接続要求処理が成功した場合(Yes)には、ステップST7に進み、接続要求処理が成功しなかった場合(No)には、ステップST1に戻る。
【0070】
ステップST7において、制御部30は、第2の通信処理部33によるデータ通信から、第1の通信処理部31によるデータ通信に切り替える制御を行う。
【0071】
このようにして、スマートフォン1は、時間と処理の浪費を抑制し、効率的に接続可能な通信処理部を選択することができる。
【0072】
なお、本発明を完全かつ明瞭に開示するために特徴的な実施形態に関し記載してきた。しかし、添付の請求項に係る発明は、上記実施形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうる全ての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。
【0073】
また、上記の実施形態では、タッチスクリーンディスプレイを備える装置の一例として、スマートフォンについて説明したが、添付の請求項に係る装置は、スマートフォンに限定されない。例えば、添付の請求項に係る装置は、モバイルフォン、携帯型パソコン、デジタルカメラ、メディアプレイヤ、電子書籍リーダ、ナビゲータ、又はゲーム機等の携帯電子機器であっても良い。また、添付の請求項に係る装置は、デスクトップパソコン、テレビ受像器等の据え置き型の電子機器であっても良い。
【符号の説明】
【0074】
1 スマートフォン
2 タッチスクリーンディスプレイ
2A ディスプレイ
2B タッチスクリーン
30 制御部
31 第1の通信処理部
32 第1のアンテナ部
33 第2の通信処理部
34 第2のアンテナ部
35 第3の通信処理部
36 第3のアンテナ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信方式に準拠する第1の通信処理部と、
第2の通信方式に準拠する第2の通信処理部と、
第3の通信方式に準拠する第3の通信処理部と、
データ通信を行う際に、優先的に使用する順序を、前記第1の通信処理部、前記第2の通信処理部及び前記第3の通信処理部として各処理部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第2の通信処理部によりデータ通信を行っているときに、ネットワークが切断した場合、前記第3の通信処理部により当該データ通信を継続するように制御する携帯電子機器。
【請求項2】
前記第1の通信方式は、IEEE802.11に準拠する通信規格であり、
前記第2の通信方式は、IEEE802.16に準拠する通信規格であり、
前記第3の通信方式は、IMT−2000標準に準拠する通信方式である請求項1記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の通信処理部によりデータ通信を行っているときに、ネットワークが切断した場合、前記第2の通信処理部を利用して当該データ通信を継続できるか否かを判断し、継続できると判断した場合には、前記第2の通信処理部を利用して当該データ通信を継続し、かつ前記第1の通信処理部によりデータ通信が可能であるかどうかを所定の周期で判断する請求項1記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2の通信処理部を利用してデータ通信を継続している状態において、前記第1の通信処理部によりデータ通信が可能であると判断した場合には、前記第1の通信処理部により当該データ通信を継続するように制御する請求項3記載の携帯電子機器。
【請求項5】
データ通信を行う際に、優先的に使用する順序を、第1の通信方式に準拠する第1の通信処理部、第2の通信方式に準拠する第2の通信処理部及び第3の通信方式に準拠する第3の通信処理部として各処理部を制御する制御方法において、
制御部により、前記第2の通信処理部によりデータ通信を行っているときに、ネットワークが切断した場合、前記第3の通信処理部により当該データ通信を継続するように制御する接続工程を有する制御方法。
【請求項6】
データ通信を行う際に、優先的に使用する順序を、第1の通信方式に準拠する第1の通信処理部、第2の通信方式に準拠する第2の通信処理部及び第3の通信方式に準拠する第3の通信処理部として各処理部を制御する制御プログラムにおいて、
制御部により、前記第2の通信処理部によりデータ通信を行っているときに、ネットワークが切断した場合、前記第3の通信処理部により当該データ通信を継続するように制御する接続工程をコンピュータによって実現するための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−110519(P2013−110519A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252931(P2011−252931)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】