説明

携帯電子機器

【課題】折り畳み可能な携帯電子機器の展開時における連結部にかかる応力を効率よく分散させることが可能な小型かつコストを抑えた携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】第1筐体と、第2筐体と、ヒンジ部と、を備える携帯電子機器であって、ヒンジ部は、回転軸部材と、開閉軸部材と、を有すると共に、所定のカバー部材により覆われており、第2筐体の端部には、その両端に開閉軸部材を第1回転軸を中心に回動可能に軸支する第1軸受部と第2軸受部とが突出形成されており、第1軸受部と第2軸受部との間には、カバー部材に覆われたヒンジ部が配置される嵌装部が設けられ、嵌装部には、第2筐体の表面から突出する第1突当部が形成されており、カバー部材の表面には、開状態において第1突当部と当接する第2突当部が形成されており、カバー部材の第2突当部における裏面は、回転軸部材及び開閉軸部材の少なくともいずれか一方が前記裏面に当接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機や簡易型携帯電話機等の移動通信機、或いはPDA(Personal Digital Assistants)といった携帯電子機器に関する。特には、折り畳み可能に構成された折り畳み式の携帯電子機器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電子機器の1つである携帯電話機には、表示部と操作部とが一の筐体により構成される一体型の携帯電話機(いわゆる、ストレートタイプ)のほか、表示部と操作部とを構成する筐体をそれぞれ別々に形成し、操作部側筐体に対して表示部側筐体を蓋体として開閉可能に連結した折り畳み式のものや、表示部側筐体を操作部側筐体に対してスライド可能に連結させたスライド式のもの等、様々な形態のものが提案されている。
【0003】
例えば、折り畳み式の携帯電話機は、表示部側筐体を操作部側筐体と別体に構成することにより、表示部側筐体に配置される液晶表示画面を拡大させることが可能になると共に、不使用時においては、両筐体が重なるように折り畳んでおくことによりコンパクトに携帯することが可能になる。
【0004】
また、昨今の折り畳み式の携帯電話機においては、テレビチューナーを搭載する等の各種機能の多機能化、高性能化に加え、筐体自身も単に開閉するのみでなく、2軸ヒンジ機構を使用することにより回転等の動作も可能な携帯電話機が実用化されている。
【0005】
ところで、このように構成された折り畳み式の携帯電話機は、表示部側筐体と操作部側筐体とが開閉可能に連結されていることより、展開状態における展開角度を規制する必要がある。
【0006】
これに対し、2軸ヒンジ機構を有する折り畳み式の携帯電話機において、展開状態のときに一定以上の展開を規制するよう、互いの筐体に突き当て用の凸部を設けた携帯電話機が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−299835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の携帯電話機においては、下側筐体の露出する面に突き当て用の凸部が設けられるため、外観上の美観が劣り、携帯電話機のデザイン性を低下させるものであった。
【0008】
ここで、2軸ヒンジ機構を有する折り畳み式携帯電話機は、各筐体の連結部に、一方に対して他方が開閉可能かつ回転可能になるようにヒンジモジュールが内蔵されている。これにより、筐体表面に突き当て部を露出させないようにするためには、突き当て用の凸部が形成される側の筐体の連結部が嵌装される部分に突き当て用の凸部を形成し、ヒンジモジュールを覆うカバー部分に突き当て構造の一部の凹部を構成させることにより、美観を損ねることなく展開角度を規制することが可能になる。
【0009】
しかしながら、この場合、カバー部材に展開時の応力が集中してしまうためにカバー部材に高い強度が求められる。これに対しては、例えば、カバー部材を構成するケース同士をネジで止る等によりねじ部で応力を受けることが可能となるが、この場合、筐体が大型化してしまうと共に、コストが高くなるという問題があった。
【0010】
本発明は、折り畳み可能な携帯電子機器の展開時における連結部にかかる応力を効率よく分散吸収させることが可能な小型かつコストを抑えた携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1筐体と、第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体とを連結し、前記第2筐体に対し前記第1筐体を開状態と閉状態とに遷移させるための第1回転軸と、前記第1回転軸と直交し、前記第1筐体を前記第2筐体に対して回転させるための第2回転軸とを含むヒンジ部と、を備える携帯電子機器であって、前記ヒンジ部は、前記第1筐体に結合され、前記第2回転軸を中心に回転させる回転軸部材と、前記第2筐体に対して前記第1回転軸を中心に回転させる開閉軸部材と、を有すると共に、所定のカバー部材により覆われており、前記第2筐体の端部には、その両端に前記開閉軸部材を前記第1回転軸を中心に回動可能に軸支する第1軸受部と第2軸受部とが突出形成されており、前記第1軸受部と前記第2軸受部との間には、前記カバー部材に覆われた前記ヒンジ部が配置される嵌装部が設けられ、前記嵌装部及び前記カバー部材の表面には、前記開状態において当接する第1突当部と第2突当部とがそれぞれ形成されており、前記カバー部材の前記第2突当部における裏面は、前記回転軸部材及び開閉軸部材の少なくともいずれか一方が前記裏面の少なくとも一部に当接していることを特徴とする携帯電子機器に関する。
【0012】
また、前記第1突当部には、第1平面が形成され、前記第2突当部には、第2平面が形成されており、前記第1平面と前記第2平面とは、前記開状態において当接可能に形成されており、前記回転軸部材或いは前記開閉軸部材における前記第2突当部の前記裏面との当接部には、第3平面が形成されており、第1平面、第2平面及び第3平面は、前記開状態において、それぞれが互いに平行な状態で当接されることが好ましい。
【0013】
また、前記カバー部材は、第1カバーと、第2カバーと、により構成されており、前記第1カバーと前記第2カバーとは、前記第1カバー及び前記第2カバーに形成される嵌合手段により前記ヒンジ部を挟んで嵌合可能に形成されることが好ましい。
【0014】
また、前記回転軸部材と前記開閉軸部材とは、組み付け可能に形成され、前記ヒンジ部は、前記回転軸部材と前記開閉軸部材との組み付け角度を調整する調整手段を有しており、前記嵌合手段は、係止部と被係止部とから構成されることが好ましい。
【0015】
また、前記調整手段は、前記回転軸部材と前記開閉軸部材とを締結するねじを含み、前記ねじの挿通方向は、前記閉状態における前記第1筐体と前記第2筐体とが重なる方向と一致することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、折り畳み可能な携帯電子機器の展開時における連結部にかかる応力を効率よく分散吸収することが可能な小型かつコストを抑えた携帯電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0018】
まず、図1から図4により、携帯電子機器としての携帯電話機1における全体構造について説明する。図1は、携帯電子機器としての携帯電話機1を開いた状態(第1開状態)を示す。図2は、表示部側筐体3を回動軸Yを中心にして所定角度回動させた状態を示す。図3は、表示部側筐体3を回動軸Yを中心にして180°回動させた状態(第2開状態)を示す。図4は、携帯電話機1を閉じた状態(第1閉状態)を示す。
【0019】
図1から図4に示すように、本実施形態に係る携帯電話機1は、第1筐体である操作部側筐体2と、第2筐体である表示部側筐体3と、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを連結する連結部100と、を備える。連結部100は、2軸ヒンジ機構を有するヒンジ部4を有し、ヒンジ部4は、表示部側筐体3を第1回転軸である開閉軸Xを中心に回動させることにより携帯電話機1を開状態と閉状態とを切り替え可能な開閉軸部材110と、表示部側筐体3を第2回転軸である回動軸Yを中心にして回動させることにより携帯電話機1を表状態と裏状態とを切り替え可能な回転軸部材120と、を備える。これにより、携帯電話機1は、開状態及び閉状態に折り畳み自在に変形可能となると共に、開状態及び閉状態のそれぞれにおいて表示部側筐体3を表状態と裏状態とに切り替えることが可能になる。
【0020】
ここで、開状態とは、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに重ならないように配置された状態をいい(図1参照)、閉状態とは、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに重なるように配置された状態をいう(図示せず)。また、表状態とは、開状態において、操作部側筐体2のフロントケース2aに配置される操作キー群11と表示部側筐体3のフロントケース3aに配置されるディスプレイ30とが同じ側を向くように配置された状態(第1開状態、図1参照)、又は閉状態において、表示部側筐体3におけるディスプレイ30と操作部側筐体2における操作キー群11とが対向するように配置された状態をいう(第1閉状態、図4参照)。また、裏状態とは、開状態において、操作部側筐体2における操作キー群11と表示部側筐体3におけるディスプレイ30とが反対側を向くように配置された状態(第2開状態、図3参照)、又は閉状態において、表示部側筐体3におけるディスプレイ30と操作部側筐体2における操作キー群11とが対向せずに表出した状態(第2閉状態、図示せず)をいう。
【0021】
次に、携帯電話機1における操作部側筐体2、表示部側筐体3及び連結部100の各基本構造について説明する。
【0022】
操作部側筐体2は、外面がフロントケース2aとリアケース2bにより構成される。操作部側筐体2には、フロントケース2a側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイクとしての音声入力部12と、がそれぞれ露出するように配置される。
【0023】
操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するためのテンキー等からなる入力操作キー群14、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う操作部材としての決定操作キー15と、から構成されている。操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や表裏状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。そして、操作キー群11を構成する各キーが使用者により押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0024】
音声入力部12は、フロントケース2aの長手方向における連結部100側(上端部側)と反対の外端部側に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話機1が第1開状態にある場合に一方の外端部側に配置される。
【0025】
表示部側筐体3は、外面がフロントケース3aとリアケース3bにより構成される。表示部側筐体3におけるフロントケース3aには、各種情報を表示するための所定形状のディスプレイ30と、通話の相手側における音声を出力するレシーバーとしての音声出力部31とが露出するように配置される。音声出力部31は、表示部側筐体3の長手方向における連結部100側(下端部側)とは反対の外端部側に配置される。つまり、音声出力部31は、携帯電話機1が開状態において他方の端部側に配置される。
【0026】
また、表示部側筐体3のリアケース3bには、各種情報を表示するためのサブディスプレイ32が露出して配置される。ディスプレイ30及びサブディスプレイ32それぞれは、液晶パネルと、この液晶パネルを駆動する駆動回路と、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部とから構成される。
【0027】
連結部100は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを開閉軸Xを中心にして任意の角度で開閉自在に連結すると共に、回動軸Yを中心に任意の角度で回動自在に連結する2軸ヒンジ機構を有するヒンジ部4と、ヒンジ部4を覆うと共に、互いに嵌合可能なフロントカバー160及びリアカバー170とから構成される。
【0028】
続いて、図5から図10により、操作部側筐体2、表示部側筐体3及び連結部100の内部構造について説明する。図5は、操作部側筐体2の分解斜視図を示す。図6は、内部構造を省略した操作部側筐体2のA−A端面図を示す。図7は、表示部側筐体3の分解斜視図を示す。図8は、連結部100の分解斜視図を示す。図9(a)は、ヒンジ部4及びヒンジ部4を覆うフロントカバー160とリアカバー170とを示し、(b)は、リアカバー170の裏面側を示す。図10(a)は、フロントカバー160及びリアカバー170の嵌合状態を示し、(b)は、(a)のB−B端面図を示し、(c)は、第1突当部240と第2突当部101との当接状態を示す部分拡大図である。
【0029】
操作部側筐体2は、図5に示すように、フロントケース2aと、上述した操作キー群11を構成するキーシート40と、キースイッチが配置されるフレキシブルプリント配線基板50と、シールドケース60と、基準電位パターン層及び携帯電話機用のRF(Radio Frequency)モジュール等の各種電子部品を備える回路基板70と、リアケース2bと、を備える。また、リアケース2bには、アンテナ80が外部に伸長可能に配置されると共に、バッテリ90がリアケース2bの外側から装脱可能に収容される。リアケース2bは、バッテリ90収容後、蓋部25により閉蓋される。
【0030】
フロントケース2aとリアケース2bとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース2aとリアケース2bとの間には、キーシート40と、フレキシブルプリント配線基板50と、シールドケース60と、回路基板70とがフロントケース2a側からこの順番で収納配置される。
【0031】
回路基板70における第1の面72には、図示しない各種電子部品及び基準電位パターン層が形成される。また、回路基板70における第2の面73には、各種電子部品が配置される。
【0032】
シールドケース60は、薄型の直方体における一の広い面が開口した形状を有する金属製の部材である。なお、シールドケース60は、金属により形成する以外に、骨格を樹脂により形成し、その表面に金属性の導体膜を形成したものでもよい。
【0033】
フレキシブルプリント配線基板50は、フロントケース2a側の面に複数のキースイッチ51、52、53を有している。フレキシブルプリント配線基板50のキースイッチ51、52、53は、椀状に湾曲して立体的に形成された金属板のメタルドームを有する構造になっている。メタルドームは、その椀状形状の頂点が押圧されると、フレキシブルプリント配線基板50の表面に印刷された不図示の電気回路に形成されるスイッチ端子に接触して電気的に導通する。なお、フレキシブルプリント配線基板50は、複数の絶縁フィルムの間に配線を挟み込んだものである。
【0034】
キーシート40は、シリコンゴム製のシート41の表面に操作キー群11が接着剤により貼り付けられて構成される。キーシート40における操作キー群11を構成する機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15は、フレキシブルプリント配線基板50におけるキースイッチ51、52、53と対向する位置に配置されると共に、後述するフロントケース2aに形成されるキー孔45から露出するように配置される。
【0035】
フロントケース2aには、携帯電話機1を折り畳んだ状態で表示部側筐体3のディスプレイ30と対向する内側面に、キー孔45が複数形成される。複数のキー孔45それぞれからは、キーシート40上に形成される機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15の押圧面が露出する。この露出した操作キー群11を構成する機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15の押圧面を押し下げるように押圧することで、対応するキースイッチ51、52、53それぞれにおけるメタルドーム(椀状形状)の頂点が押圧され、スイッチ端子に接触して電気的に導通する。
【0036】
フロントケース2aの上端部側には、フロントケース2aの表面からリアケース2bが配置される側と反対側に突出した第1軸受部210と、第2軸受部220とが形成されている。第1軸受部210は、連結部100を構成する開閉軸部材110の一方端111を軸支し、第2軸受部220は、開閉軸部材110の他方端112に固定される軸部材131を軸支する。つまり、第1軸受部210及び第2軸受部220は、開閉軸部材110を開閉軸Xを中心に回動可能に軸支する。
【0037】
第1軸受部210と第2軸受部220との間には、開閉軸部材110が第1軸受部210及び第2軸受部220に軸止される連結部100が配置される嵌装部230が形成される。嵌装部230は、第1軸受部210の内側壁部と第2軸受部220の内側壁部との間隔が連結部100のフロントカバー160とリアカバー170の幅と実質的に同じ(わずかに広い)に形成されており、連結部100が嵌装可能に形成されている。そして、嵌装部230におけるフロントケース2aの表面には、嵌装面231が形成されている。
【0038】
嵌装面231は、開閉軸部材110の回動により、連結部100が閉状態から開状態に遷移する場合に、連結部100の外形を構成するフロントカバー160及びリアカバー170が当接しないように凹形状に形成される。言い換えると、嵌装面231は、連結部100のフロントカバー160及びリアカバー170の外形に沿うように湾曲した形状になっている。
【0039】
また、嵌装面231には、開状態において、表示部側筐体3の展開角度を規制する第1突当部240が形成されている。第1突当部240は、連結部100のリアカバー170に形成される後述の第2突当部101と当接可能に形成されており、この第2突当部101と当接することにより、表示部側筐体3の展開角度を規制する。
【0040】
ここで、第1突当部240は、フロントケース2aの上端部側において、リアケース2bが配置される側と反対側に突出するように形成されている。また、第1突当部240は、嵌装面231の端部を構成しており、閉状態及び閉状態から開状態への遷移状態においては、連結部100とは当接せず、開状態においてのみ第2突当部101と当接するように形成されている(図10(c)参照)。
【0041】
また、第1突当部240には、フロントケース2aの幅方向に伸び、矩形状に形成された第1平面241が形成されている。第1平面241は、開状態において、第2突当部101に形成される後述の第2平面102と当接可能に形成される。具体的には、第1平面241は、開状態において、第2平面102と平行な状態で当接される。(図10(c)参照)。言い換えると、第1平面241と第2平面102とは、開状態において、互いの面が平行になる面接触した状態で当接する。
【0042】
表示部側筐体3は、図7に示すように、表示窓300と、ディスプレイユニット310と、金属部材で構成される内部フレームを備えたフロントケース3aと、基準電位パターン層及びディスプレイ用の電子部品を備える回路基板320と、サブディスプレイユニット330と、リアケース3bと、を備える。
【0043】
フロントケース3aとリアケース3bとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置されると共に、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース3aとリアケース3bとの間には、回路基板320と、サブディスプレイユニット330とが、フロントケース3a側からこの順番で収納配置され、フロントケース2aの表面には、表示窓300と、ディスプレイユニット310とがこの順番で嵌装される。
【0044】
ディスプレイユニット310は、ディスプレイ30と、該ディスプレイ30を固定するホルダー(図示せず)とにより構成されている。
【0045】
フロントケース3aは、内部に金属製の板金部材が配置される。フロントケース3aは、板金部材を挟んでフロントケース3a側及びリアケース3b側それぞれに、浅い凹状の収容部が形成される。そして、フロントケース3a側の収容部にはディスプレイユニット310が収容配置され、リアケース3b側の収容部には回路基板320が収容配置される。ここで、板金部材は、表示部側筐体3における曲げ動作や捩り動作に対する剛性確保のための補強部材及び静電対策用のシールドとして機能する。
【0046】
また、フロントケース3aの下端部側には、連結部100と連結される連結孔33が設けられている。具体的には、フロントケース3aの下端部側には、連結部100の回転軸部材120と連結される連結孔33が設けられている。フロントケース3aと回転軸部材120とは、フロントケース3aに設けられた連結孔33と回転軸部材120を構成する後述のフレーム122に設けられて雌ネジのきられる連結孔122aのそれぞれを重ね合わせ、これにねじ部材(図示せず)を挿通させ、ねじ止めすることにより連結される。なお、連結孔33は、回転軸部材120と連結された後、カバーゴム(図示せず)により覆われることにより保護される。
【0047】
回路基板320は、上述のようにフロントケース3aにおけるリアケース3b側の収容部に収容配置される。回路基板320におけるリアケース3b側には、図示しない各種電子部品が配置される。また、各種電子部品は、所定の組み合わせによりディスプレイ30やサブディスプレイ32の表示態様やそのタイミング等の表示制御を行う表示制御ブロック等の回路ブロックを形成する。
【0048】
サブディスプレイユニット330は、サブディスプレイ32と、該サブディスプレイ32とを固定するホルダー(図示せず)とにより構成されている。サブディスプレイユニット330は、リアケース3bと回路基板320とに挟まれるように配置される。また、サブディスプレイユニット330は、リアケース3bに形成される窓部3cから表出するように配置される。
【0049】
連結部100は、図8に示すように、フロントカバー160と、リアカバー170と、2軸ヒンジ機構を有するヒンジ部4と、を有する。ヒンジ部4は、開閉ヒンジを構成する開閉軸部材110と、回転ヒンジを構成する回転軸部材120と、をねじ部材S1、S2によりねじ止め(連結)することにより構成されている。このネジ止めは、回動軸Yの軸線方向を中心に少なくとも2箇所の対称な位置で行われる。本実施形態においては、ネジ止めは、回動軸Yの軸線方向を中心に1箇所ずつ、計2組のネジにより行われる。
【0050】
フロントカバー160とリアカバー170とは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにしてヒンジ部4を挟んで結合される。また、フロントカバー160とリアカバー170の幅(開閉軸Xに沿う方向の幅)は、嵌装部230における第1軸受部210の内側壁部と第2軸受部220の内側壁部との幅よりも僅かに狭くなっており、嵌装部230に嵌装可能になっている。
【0051】
フロントカバー160には、リアカバー170側に突出した4つの係止爪161が形成されており、リアカバー170に形成されるそれぞれと対応した4つの被係止部171と係止可能に形成されている。つまり、フロントカバー160とリアカバー170とは、爪嵌合により、係合されている。
【0052】
リアカバー170には、カバー表面に、開状態において第1突当部240と係止される第2突当部101が形成されている。また、第2突当部101には、平面状に形成された第2平面102が形成されており、この第2平面102が第1突当部240と当接する。具体的には、第2平面102は、開状態において、第1突当部240に形成される第1平面241と面接触されるように、第1平面241と平行になるように形成されている。つまり、第1平面241と第2平面102とは、開状態に遷移した場合において、開方向に働く力を互いに面接触した状態で受け得るように当接する(図10(c)参照)。
【0053】
また、リアカバー170の第2突当部101には、カバー裏面に第4平面103が形成されている。第4平面103は、第2平面102と平行になるように形成される。つまり、裏面側の第4平面103は、第2突当部101における表面側の第2平面102と反対面の対応する位置に設けられ、これらが形成される部分は、同じ板厚になる。これにより、第2平面102からの力が均等に第4平面103に伝わるようになると共に、第4平面103に当接する第3平面142、143も第2平面102と平行になる。
【0054】
開閉軸部材110は、中空の筒形状に形成されており、一方端111には、摩擦係数が低い材料で形成された中空状の筒状部材130が嵌装され、他方端112には、開閉動作における回転を付勢する第1軸部材131が固定される。筒状部材130は、例えば、摩擦係数の低い材料であるポリアセタール樹脂(POM)により形成されている。そして、一方端111と他方端112との間である略中央部には、筒形状の一部が切り欠かれた切り欠き部113が形成されている。
【0055】
切り欠き部113には、切り欠かれることにより露出した部分に回転軸部材120とねじ止めされるための第1連結孔151及び第2連結孔152が設けられている。第1及び第2連結孔151、152は、切り欠き部113における開放していない方向に、開閉軸Xに沿う方向に離間して2個設けられている。また、第1及び第2連結孔151、152は、回転軸部材120に形成される後述の第1及び第2ネジ孔124a、124bに対応する位置に配置されている。
【0056】
そして、ねじ止めするためのねじ部材S1、S2が、切り欠き部113の第1連結孔151及び第2連結孔152から挿入されると共に、切り欠き部113と反対側に位置する回転軸部材120に形成される第1及び第2ネジ孔124a、124bに螺合されることにより、開閉軸部材110と回転軸部材120とが連結される。
【0057】
第1連結孔151及び第2連結孔152に対する第1及び第2ネジ孔124a、124bの挿通方向は、表示部側筐体3と操作部側筐体2とが重なる方向に一致している。また、切り欠き部113は、表示部側筐体3と操作部側筐体2とが開閉軸Xを中心に閉じた状態(閉状態)において、開閉軸部材110における表示部側筐体3及び操作部側筐体2によって塞がれない位置に形成されている。そのため、ねじ部材S1、S2は、閉状態で且つリアカバー170を取り外した状態において、締め付け可能となっている。
【0058】
切り欠き部113の一端部(開閉軸部材110の開閉軸Xと直交する方向における一端部側)からは、リアカバー170側に伸びる第1及び第2壁部140、141が延出している。第1及び第2壁部140、141には、その先端に略平面状に形成された第3平面142、143が形成されており、第3平面142、143は、リアカバー170の裏面(凹状の内側面)に形成された第4平面103と当接するように形成される。また、第3平面142、143は、開状態において、第4平面103と平行になるように形成される。
【0059】
これにより、第1平面241、第2平面102、第4平面103及び第3平面142(143)は、開状態において、それぞれが互いに平行になるように当接される。そして、それぞれが面接触することにより、第1および第2突当部に係る応力を分散させた状態で吸収することが可能になる。
【0060】
切り欠き部113の他端部(開閉軸部材110の開閉軸Xと直交する方向における他端部側)には、開閉軸部材110と回転軸部材120とのネジ止めにおいて、ねじ部材S1、S2の締結の程度を変えることにより操作部側筐体2と表示部側筐体3の位置関係を調整する調整手段を構成する第1調整凹部114及び第2調整凹部115とが形成されている。
【0061】
第1及び第2調整凹部114、115は、回転軸部材120側から開閉軸部材110方向に、突出する第1及び第2調整凸部127、128と当接可能に形成されており(図12参照)、第1及び第2調整凸部127、128が突出する方向と同じ方向に凹むように形成されている。具体的には、図13に示すように、切り欠き部113に形成された第1及び第2調整凹部114、115は、傾斜面114a、115aを有しており、第1及び第2調整凸部127、128の端部127a、128bは、傾斜面114a、115aにおいて当接している。
【0062】
回転軸部材120は、略L字状に形成され、開閉軸部材110と連結される連結板121と、略コの字状に形成され、表示部側筐体3と連結されるフレーム122と、連結板121に対してフレーム122を回転自在に連結する第2軸部材123と、から構成される。
【0063】
連結板121は、開閉軸部材110と接合される第1連結板124と、第1連結板124と直交する方向に設けられ、第2軸部材123と連続する第2連結板125と、から構成される。第1連結板124には、開閉軸部材110の第1及び第2連結孔151、152と重なり合うように形成される第1及び第2ネジ孔124a、124bが設けられており、第1及び第2連結孔151、152にねじ部材S1、S2を挿通させた状態で、第1及び第2ネジ孔124a、124bと螺合することにより、開閉軸部材110と回転軸部材120とが連結される。
【0064】
また、第1連結板124の端部側(開閉軸部材110の開閉軸Xと直交する方向における端部側)には、開閉軸部材110と回転軸部材120とのネジ止めにおいて、ねじ部材S1、S2の締結の程度を変えることにより開閉軸部材110と回転軸部材120との位置関係を調整する調整手段を構成する第1調整凸部127及び第2調整凸部128とが形成されている。
【0065】
第1及び第2調整凸部127、128は、回転軸部材120側に突出しており、開閉軸部材110と回転軸部材120とをネジ止めした場合に第1及び第2調整凹部114、115と当接するように形成されている。
【0066】
フレーム122は、表示部側筐体3の下端部側の外周面の一部と接合されると共に、第2軸部材123に回転自在に連結される。フレーム122と第2軸部材123との連結部分には、穴部126が設けられており、この穴部126に第2軸部材123を回転自在に嵌挿させることによりフレーム122と第2軸部材123とが連結される。
【0067】
第2軸部材123は、中空状に形成されており、フレーム122の穴部126を介して操作部側筐体2側と連通される。これにより、第2軸部材123は、操作部側筐体2に配置される回路基板70と表示部側筐体3に配置される回路基板320とを電気的に接続するケーブルが挿通可能となる。
【0068】
ここで、表示部側筐体3と操作部側筐体2との位置ズレを調節する調整手段について、図11及び図12を参照しながら説明する。図11(a)は、操作部側筐体2の先端部と表示部側筐体3との先端部との位置ズレが生じている状態を示し、(b)は、操作部側筐体2の先端部と表示部側筐体3との先端部との位置ズレが生じていない状態を示す。図12は、第1(第2)調整凸部127(128)と第1(第2)調整凹部114(115)との当接部分を示す部分拡大断面図である。
【0069】
本実施形態の携帯電話機1を表示部側筐体3と操作部側筐体2とが連結部100により連結された状態まで組み立てた場合(なお、連結部100のフロントカバー160は取り付けられているが、リアカバー170は取り付けられていない)、図12(b)に示すように、表示部側筐体3の先端部と操作部側筐体2の先端部との位置ズレが生じていない場合には、リアカバー170を取り付けて、携帯電話機1を完成させることができる。なお、フロントカバー160とリアカバー170とは、爪嵌合により接合されるため、位置ズレ調整後にも取り付け可能となる。
【0070】
しかしながら、図11(a)に示すように、表示部側筐体3の先端部と操作部側筐体2の先端部の位置ズレが生じている場合には、ネジ部材S1(S2)及び第1(第2)ネジ孔124a(124b)によるネジ止めにおけるネジの締結の程度を変えることにより、開閉軸部材110と回転軸部材120との位置関係を矯正し、延いては表示部側筐体3の先端部と操作部側筐体2の先端部の位置ズレを矯正する必要がある。
【0071】
ここで、開閉軸部材110における切り欠き部113との当接部分及び回転軸部材120における第1連結板124との当接部分の両方には、ネジ止めにおけるネジの締結の程度を変えることにより開閉軸部材110と回転軸部材120との位置関係を調整する調整手段が形成されている。具体的には、切り欠き部113の他方端には、第1連結板124側に突出する第1及び第2調整凸部127、128が設けられており、第1連結板124には、切り欠き部113の切り欠き方向とは反対側に凹む第1及び第2調整凹部114、115が設けられている。
【0072】
第1及び第2調整凹部114、115は、第1及び第2調整凸部127、128の突出方向の形状に対応して凹んだ形状を有しており、そのため、開閉軸部材110と連結板121とをネジ止めにより締結した状態において、第1及び第2調整凸部127、128と第1及び第2調整凹部114、115とが当接する。具体的には、図12に示すように、切り欠き部113の第1及び第2調整凸部127、128側に形成された第1及び第2調整凹部114、115は、傾斜面114a、115aを有しており、第1及び第2調整凸部127、128の端部127a、128aは、傾斜面114a、115aにおいて当接している。
【0073】
例えば、図11に示すように、第1閉状態における携帯電話機1について、手前上側に表示部側筐体3の先端部(ヒンジ部4とは反対側の端部)を配置し、手前下側に表示部側筐体3の基端部(ヒンジ部4側の端部)を配置した状態において、表示部側筐体3の先端部が左側にずれている(傾いている)と仮定する(図11(a)参照)。
【0074】
このような状態においては、右側(表示部側筐体3の先端部が傾いている側と反対側)のねじ部材S1の締結の程度を大きくする。これにより、第1調整凸部127が第1調整凹部114に引き寄せられ、第1調整凸部127と第1調整凹部114とが互いにずれる方向に力がかかる。例えば、端部127aが傾斜面114aを上る方向に力がかかる。
【0075】
ここで、回転軸部材120は、操作部側筐体2に連結されており、操作部側筐体2に対してほとんど移動しないため、連結板121が操作部側筐体2に対して相対的に移動する。これにより、回転軸部材120が図15における手前下側(連結部100側)に引き寄せられる。さらに、左側の第2ネジ部材S2は、固定されているので、回転軸部材120は、左側の第1ネジ部材S2の近傍を中心に時計回りに回動し、開閉軸部材110及び回転軸部材120のフレーム122に固定されている表示部側筐体3も時計回りに回動する。
【0076】
その結果、表示部側筐体3の先端部が位置ズレを低減する向きに移動する。従って、ねじ部材の締結の程度を適切に設定することにより、表示部側筐体3の先端部と操作部側筐体2の先端部との位置ズレを矯正することができる。
【0077】
なお、表示部側筐体3の先端部を、前述の例とは反対方向に移動させるには、前述の例とは反対側(左側)のねじS2を更に締め付ければよい。場合によっては、両方のねじ部材S1、S2を締め付けて、位置ズレの矯正を行ってもよい。また、ねじ部材S1、S2の締結を緩めることにより、位置ズレの矯正を行うこともできる。
【0078】
次に、図13により、携帯電話機1の開閉動作について説明する。図13(a)は、内部構造を省略した携帯電話機1の閉状態における断面図を示し、(b)は、開状態における断面図を示す。
【0079】
携帯電話機1は、開閉軸Xを中心に、表示部側筐体3における連結部100とは反対側の端部を操作部側筐体2から離間するように移動させることで、閉状態から開状態に変形される。つまり、表示部側筐体3における連結部100とは反対側の端部に矢印F1方向の力を加えることで、携帯電話機1は閉状態から開状態に変形される。
【0080】
端部に矢印F1方向の力を加えられた表示部側筐体3は、閉状態から開状態に遷移するが、所定の展開角度において、連結部100に形成される第2突当部101が嵌装部230に形成される第1突当部240に当接することにより係止し、展開が規制される。
【0081】
表示部側筐体3の展開が規制されることにより、携帯電話機1は開状態となるが、表示部側筐体3に加えられた力は、展開を規制する連結部100に応力を生じさせる。具体的には、展開を規制する第1及び第2突当部240、101に矢印F2及びF3方向(図10(c)参照)への応力が発生する。
【0082】
ここで、第1突当部240側に発生した応力は、まず、操作部側筐体2のフロントケース2aに伝達されるが、ここでは、フロントケース2aが所定の強度を有するため応力を吸収することが可能なる。
【0083】
しかしながら、第2突当部101に生じた応力は、連結部100のリアカバー170に伝達されが、リアカバー170は、小型化するために肉薄に形成されているため、このままでは、応力に耐えきれず破損してしまうおそれがある。一方、第2突当部101は、リアカバー170の表面に配され、強固に固定されているヒンジ部4の一部と当接している。つまり、リアカバー170の裏面には応力を受けるための壁ができている。これにより、この当接するヒンジ部4で応力を受けることが可能になる。
【0084】
具体的には、第2突当部101は、その裏面において、ヒンジ部4を構成する開閉軸部材110の第1及び第2壁部140、141と、さらには回転軸部材120の第2連結板125の先端とも当接しているため、第2突当部101に生じた応力は、まず、リアカバー170からリアカバー170の裏面に当接する開閉軸部材110の第1及び第2壁部140、141及び第2連結板125で受けることが可能になる。
【0085】
そして、第1及び第2壁部140、141を備える開閉軸部材110は、回転軸部材120とねじ部材S1、S2で連結されているため、開閉軸部材110と回転軸部材120との連結部において、応力の一部を逃がすことが可能になる。さらに、回転軸部材120は、表示部側筐体とねじ部材により連結されているため、ここでも応力をにがすことが可能になる。これにより、リアカバー170を破損させることなく、応力を分散し、吸収することが可能になる。しかも、第2突当部101は、第2連結板125とも当接しているため、さらに応力を開閉軸部材110側と回転軸部材120側とにバランスよく分散することが可能でもある。
【0086】
また、第2平面は、第2平面と平行に形成された裏面側の第4平面に当接する第3平面と平行になるように形成されている。つまり、第3平面は、第2平面と平行な状態で、リアカバーを介して配置されていることとなる。このように、ヒンジ部4と第2突当部とは面で接触することにより、接触面積が大きくなり、応力が集中することを回避することが可能になると共に、より多く応力を分散させた状態でヒンジ部4側に伝えることが可能になる。
【0087】
また、開閉軸部材110と回転軸部材120とがねじ止めにより連結されると共に、第2突当部とヒンジ部とが平行な状態で当接するように構成されているため、開状態に遷移する場合においても連結部100に生じる応力を効率よく吸収することが可能になり、連結部100の小型化、薄型化、延いては携帯電話機1全体の薄型化や小型化を図りつつ、ヒンジ部4の強度を十分に確保することができる。
【0088】
また、開閉軸部材110と回転軸部材120との当接部分に、調整手段である第1及び第2調整凸部127、128及び第1及び第2調整凹部114、115が形成されている。そのため、前述した手順により、回転軸部材120に固定された表示部側筐体3と、開閉軸部材110に固定された操作部側筐体2との位置関係を調整でき、両筐体3,2の先端部の位置ズレを容易に調整することができる。
【0089】
また、開閉軸部材110と回転軸部材120とは、回動軸Yの軸線方向を中心に2箇所の対称な位置で、ネジ止めにより連結されているため、一方のネジ部材S1と及び他方のねじ部材S2の何れかを締結することにより、操作部側筐体2に対する表示部側筐体3の角度を、同様な操作性で容易に調整することができる。
【0090】
また、切り欠き部113は、表示部側筐体3と操作部側筐体2とが開閉軸Xを中心に閉じた状態において、表示部側筐体3及び操作部側筐体2によって塞がれない位置に形成されている。しかも、第1ねじ孔124aに対するねじ部材S1の挿通方向は、表示部側筐体3と操作部側筐体2とが重なる方向に一致している。そのため、表示部側筐体3と操作部側筐体2とが開閉軸Xを中心に閉じた状態において、ねじ部材S1を容易に締結することができる。
【0091】
また、開閉軸部材110と回転軸部材120とがねじ止めにより連結されて構成されているため、携帯電話機1全体の薄型化や小型化を図りつつ、ヒンジ部4の強度を十分に確保することができる。
【0092】
更に、開閉軸部材110と回転軸部材120とを別々に製造することができるため、製造上の形状の制約が少ないと共に、それぞれの製造に適した業者に発注することができ、部品コストを低減でき、更には短納期の対応が容易となる。なお、本実施形態において第3平面は、開閉軸部材110に形成したが、回転軸部材120の第2連結板125の先端に形成してもよい。第2連結板125の先端に形成した場合においても、本発明と同様の効果を得ることができる。また、第3平面は、開閉軸部材110及び第2連結板125の先端の両方に形成することが好ましい。
【0093】
なお、本実施形態においては、携帯端末装置として携帯電話機について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であってもよい。
【0094】
また、本実施形態においては、2軸ヒンジ機構を有する折り畳み式の携帯電話機について説明するが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば、1軸ヒンジ機構を有する折り畳み式の携帯電話機等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】携帯端末装置としての携帯電話機1を開いた状態(第1開状態)を示す。
【図2】表示部側筐体3を回動軸Yを中心にして所定角度回動させた状態を示す。
【図3】表示部側筐体3を回動軸Yを中心にして180°回動させた状態(第2開状態)を示す。
【図4】携帯電話機1を閉じた状態(第1閉状態)を示す。
【図5】操作部側筐体2の分解斜視図を示す。
【図6】内部構造を省略した操作部側筐体2のA−A端面図を示す。
【図7】表示部側筐体3の分解斜視図を示す。
【図8】連結部100の分解斜視図を示す。
【図9】(a)は、ヒンジ部4及びヒンジ部4を覆うフロントカバー160とリアカバー170とを示し、(b)は、リアカバー170の裏面側を示す。
【図10】(a)は、フロントカバー160及びリアカバー170の嵌合状態を示し、(b)は、(a)のB−B端面図を示し、(c)は、第1突当部240と第2突当部との当接状態の部分拡大図を示す。
【図11】(a)は、操作部側筐体2の先端部と表示部側筐体3との先端部との位置ズレが生じている状態を示し、(b)は、操作部側筐体2の先端部と表示部側筐体3との先端部との位置ズレが生じていない状態を示す。
【図12】図12は、第1(第2)調整凸部127(128)と第1(第2)調整凹部114(115)との当接部分の部分拡大断面図を示す。
【図13】(a)は、内部構造を省略した携帯電話機1の閉状態における断面図を示し、(b)は、開状態における断面図を示す。
【符号の説明】
【0096】
1 携帯電話機
2 操作部側筐体
3 表示部側筐体
4 ヒンジ部
100 連結部
101 第2突当部
102 第2平面
103 第4平面
110 開閉軸部材
120 回転軸部材
124a 第1ネジ孔
124b 第2ネジ孔
140 第1壁部
141 第2壁部
142 第3平面
160 フロントカバー
170 リアカバー
210 第1軸受部
220 第2軸受部
240 第1突当部
241 第1平面
S1、S2 ねじ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体と、
第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体とを連結し、前記第2筐体に対し前記第1筐体を開状態と閉状態とに遷移させるための第1回転軸と、前記第1回転軸と直交し、前記第1筐体を前記第2筐体に対して回転させるための第2回転軸とを含むヒンジ部と、
を備える携帯電子機器であって、
前記ヒンジ部は、
前記第1筐体に結合され、前記第2回転軸を中心に回転させる回転軸部材と、
前記第2筐体に対して前記第1回転軸を中心に回転させる開閉軸部材と、を有すると共に、所定のカバー部材により覆われており、
前記第2筐体の端部には、その両端に前記開閉軸部材を前記第1回転軸を中心に回動可能に軸支する第1軸受部と第2軸受部とが突出形成されており、
前記第1軸受部と前記第2軸受部との間には、前記カバー部材に覆われた前記ヒンジ部が配置される嵌装部が設けられ、
前記嵌装部及び前記カバー部材の表面には、前記開状態において当接する第1突当部と第2突当部とがそれぞれ形成されており、
前記カバー部材の前記第2突当部における裏面は、前記回転軸部材及び開閉軸部材の少なくともいずれか一方が前記裏面の少なくとも一部に当接していることを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記第1突当部には、第1平面が形成され、
前記第2突当部には、第2平面が形成されており、
前記第1平面と前記第2平面とは、前記開状態において当接可能に形成されており、
前記回転軸部材あるいは前記開閉軸部材における前記第2突当部の前記裏面との当接部には、第3平面が形成されており、
第1平面、第2平面及び第3平面は、前記開状態において、それぞれが互いに平行な状態で当接されることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記カバー部材は、第1カバーと、第2カバーと、により構成されており、
前記第1カバーと前記第2カバーとは、前記第1カバー及び前記第2カバーに形成される嵌合手段により前記ヒンジ部を挟んで嵌合可能に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記回転軸部材と前記開閉軸部材とは、組み付け可能に形成され、
前記ヒンジ部は、前記回転軸部材と前記開閉軸部材との組み付け角度を調整する調整手段を有しており、
前記嵌合手段は、係止部と被係止部とから構成されることを特徴とする請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記調整手段は、前記回転軸部材と前記開閉軸部材とを締結するねじを含み、
前記ねじの挿通方向は、前記閉状態における前記第1筐体と前記第2筐体とが重なる方向と一致することを特徴とする請求項4に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−111737(P2009−111737A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282102(P2007−282102)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】