説明

播種機

【課題】 従来の化成肥料や粉状の薬剤散布に加えて、液状の薬剤散布と多量の有機肥料の散布のできる播種機を提供すること。
【解決手段】 ロータリー耕耘機装置2と、施肥装置3と、播種装置4と、薬剤散布装置5と、作溝手段と覆土手段とから成る播種機において、
ロータリー耕耘装置2の入力軸からの動力の一方がポンプ13の駆動に入力され、ポンプ13で所要に加圧された液状の薬剤(除草剤など)が別途に散布され、他方の動力が別途の有機肥料施肥装置12の駆動に入力され、所要量の有機肥料11が散布される。
このほか、有機肥料施肥装置12における施肥が、スクリュー軸駆動による機械的な施肥と、エアポンプ駆動の空圧による流体的施肥とで成されるほか、前記液状薬剤が逆漏斗状のカバー19内で噴霧されるものが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枝豆、大豆、トウモロコシなどの種子を播種するとともに、施肥や薬剤散布ができる播種機に関する。
【背景技術】
【0002】
一方の鎮圧ローラの回転動力で播種装置を駆動して種子を播き、他方の接地輪により施肥装置と薬剤散布装置を駆動して粒状化成肥料を散布するとともに薬剤散布をする施肥播種機が、特開2004−298028号公報(特許文献1)に開示されている。その特許文献1における施肥及び薬剤散布は、接地回転動力で成されるため。加圧された液状の薬剤や多量の有機肥料の散布ができない。
【特許文献1】特開2004−298028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記に鑑みて、化成肥料や粉状の薬剤散布に加えて、液状の薬剤散布と多量の有機肥料の散布のできる播種機を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決する請求項1に記載した播種機は、トラクタのPTOよりユニバーサルジョイントを介して動力がロータリー刃に伝達されて成るロータリー耕耘装置と、施肥装置と、播種装置と、薬剤散布装置と、作溝手段と、覆土手段とから成る播種機において、
前記ロータリー耕耘装置の入力軸からの動力の一方がポンプ駆動に入力され、該ポンプで所要に加圧された液状薬剤が別途に散布され、他方の動力が別途の有機肥料施肥装置の駆動に入力され、所要量の有機肥料が散布されて成る。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の播種機において、
前記有機肥料施肥装置における施肥が、スクリュー軸駆動による機械的施肥と、エアポンプ駆動の空圧による流体的施肥とで成される。
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2記載の播種機において、
前記液状薬剤が逆漏斗状のカバー内で噴霧されて成る。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、トラクタのPTOからの動力を入手してポンプを駆動し、所要に加圧された液状の薬剤を噴霧できるから土にしみ込み易く効率的な薬剤散布とともに、ポンプ駆動動力の他方を減速機を介して有機肥料施肥装置のスクリュー軸駆動又は/及びエアポンプ駆動などに伝達して多量の有機肥料を散布できるから収量の増産が見込まれ、しかも、逆漏斗状のカバー内で薬剤散布を行なえば風による吹き飛ばしも解消されて効果的に薬剤散布ができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
有機肥料施肥装置は、播種列の条数に対応して設けられてスクリュー軸のかき出しによって粒状の有機肥料を機械的に散布するものを基本とする。
このほか、播種列の条数に対して有機肥料施肥装置の設置数を減じて、散布用のポートにエアポンプからの圧力流体を吹き付け、該ポートに接続されるエアホースを介して所定の播種列に粒状の有機肥料を流体的に散布するものも挙げられる。
前記エアポンプの駆動は、減速機から出力軸を取り出して行なうのが最良である。
また、液状薬剤の散布におけるカバーは、播種運転状態で地面からその下端までが20mm程度の間隙をとるのが最良である。
さらに、トラクタのPTOより薬剤散布用のポンプへの動力伝達に関しては、タイミングプーリとタイミングベルトによるもののほか、スプロケットホイールとチェーンによるもの、VプーリとVベルトによるものなど公知の動力伝達手段が採用され得る。
【実施例】
【0007】
本発明の播種機Aを一実施例により説明すると、図1、図2に示すように、トラクタ1の三点支持装置に支持され、PTO1aよりユニバーサルジョイント1bを介して動力がロータリー刃2aに伝達されるロータリー耕耘装置2と、ロータリー耕耘装置2に具備する施肥装置3と、枝豆やトウモロコシなどの種子を播く播種装置4と、薬剤散布装置5と、作溝手段としての施肥作溝ディスク6と、播種作溝ディスク7と、覆土ディスク8とから成る播種機において、液状薬剤としての除草剤9はトラクタ1の前端に取着したタンク10に収納され、粒状の有機肥料11はトラクタ1の左右後方側面に装着される有機肥料施肥装置12の上部の収納室12aに収納される。
トラクタ1のPTO1aから取り出された動力の一部が、その一方でタイミングプーリ13aに噛合されたタイミングベルト13bによりポンプ13の駆動軸13cに伝達され、他方は減速機14を介して各有機肥料施肥装置12のスクリュー軸12bに可撓軸12cを介して伝達され、上方の収納室12aから後方の2個所の散布用のポート12dを介して左右各列の所定位置に所要量の有機肥料11が散布されるが、左右各前端のポート12dには別途駆動されるエアポンプ(図外)の圧力空気が供給され、ポート12dに接続されたエアホース12eにより有機肥料11が流体的に中央列に散布される。
すなわち、図3に示すように、ポンプ13によりタンク10から汲み上げられた除草剤9は圧力設定バルブ13dにより所要の圧力に設定されて運転席15の主切換弁16を経て後方の三列に分岐する各切換弁17までホース18で圧送され、主切換弁16の操作で逆漏斗状のカバー19に覆われた噴射ノズル20からそれぞれ噴霧される。
また、前記した中央列への有機肥料11の供給に関わるエアホース12eは仮想線で示す。
【0008】
このようにして成る播種機Aは、播種装置4による播種と同時に、従来の施肥装置3による粒状化成肥料の施肥と、薬剤散布装置5による粉状の薬剤の散布に加えて、有機肥料11の散布ができる上、液状の除草剤9を効率よく散布できる。
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明の播種機は、従来の粒状化成肥料や粉状の薬剤散布に加えて液状の薬剤散布と多量の有機肥料を散布できる点で、枝豆などの農業生産者にとっては極めて有用である上、農業機械製造業界にとっても耕耘機の活用の点で極めて有益である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の播種機Aの正面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】除草剤9の圧送経路と、有機肥料11の散布経路を示す説明図。
【符号の説明】
【0011】
1:トラクタ
1a:PTO
1b:ユニバーサルジョイント
2:ロータリー耕耘装置
2a:ロータリー刃
3:施肥装置
4:播種装置
5:薬剤散布装置
6:施肥作溝ディスク
7:播種作溝ディスク
8:覆土ディスク
9:除草剤
10:タンク
11:有機肥料
12:有機肥料施肥装置
12a:収納室
12b:スクリュー軸
12c:可撓軸
12d:ポート
12e:エアホース
13:ポンプ
13a:タイミングプーリ
13b:タイミングベルト
13c:駆動軸
13d:圧力設定バルブ
14:減速機
15:運転席
16:主切換弁
17:切換弁
18:ホース
19:カバー
20:噴射ノズル
A:播種機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタのPTOよりユニバーサルジョイントを介して動力がロータリー刃に伝達されて成るロータリー耕耘装置と、施肥装置と、播種装置と、薬剤散布装置と、作溝手段と、覆土手段とから成る播種機において、
前記ロータリー耕耘装置の入力軸からの動力の一方がポンプ駆動に入力され、該ポンプで所要に加圧された液状薬剤が別途に散布され、他方の動力が別途の有機肥料施肥装置の駆動に入力され、所要量の有機肥料が散布されて成る播種機。
【請求項2】
前記有機肥料施肥装置における施肥が、スクリュー軸駆動による機械的施肥と、エアポンプ駆動の空圧による流体的施肥とで成される請求項1記載の播種機。
【請求項3】
前記液状薬剤が逆漏斗状のカバー内で噴霧されて成る請求項1又は2記載の播種機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−72944(P2008−72944A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255325(P2006−255325)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(506319318)
【Fターム(参考)】