撮像装置、画像生成方法、赤外線カメラシステム及び交換可能なレンズシステム
【課題】画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像を生成する。
【解決手段】本発明は、受光面11上で像位置を移動させる像シフト手段22を備え、像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する差分算出部131と、像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する積算レベル算出部132と、各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する画像生成部133とを有する。
【解決手段】本発明は、受光面11上で像位置を移動させる像シフト手段22を備え、像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する差分算出部131と、像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する積算レベル算出部132と、各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する画像生成部133とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、より詳細には、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像を生成することができる撮像装置、画像生成方法、赤外線カメラシステム及び交換可能なレンズシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置の例が下記の特許文献1〜3に記載されている。これら特許文献1〜3に記載の赤外線撮像装置では、補正用シャッターを閉じることによって基準画像を取得し、この基準画像撮像時の画素間の出力レベルのばらつきを求めて、これを補正していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−310804号公報
【特許文献2】特開2008−111754号公報
【特許文献3】特開2008−203054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像装置の受光面の各画素を構成する撮像素子が輝度階調の高い検出精度を有するものであっても、画素間の出力レベルのばらつきに由来する画像のノイズが、目的とする被写体の輝度差による出力レベル差よりも大きい場合がある。かかる場合、画素間の出力レベルのばらつきよりも小さな輝度差を検出することは困難である。その結果、撮像装置の撮像した画像の輝度階調の精度が、個々の撮像素子の輝度階調の検出精度よりも低下してしまうことになる。
【0005】
一方、上記の従来技術のように、画素間の出力レベルのばらつき補正のために補正用シャッターを閉じると、種々の問題が生じる。例えば、撮像装置は、補正用シャッターを閉じている間、被写体を撮像することができない。このため、これら従来の撮像装置を防犯カメラ等の監視カメラとして使用した場合、たとえ短時間であっても補正用シャッターを閉じている間に発生した事象を監視することができないという問題が生じる。また、従来の撮像装置は、補正用シャッターを閉じている間、新たに撮像した動画フレームを出力することができないため、動画が途切れてしまうという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像を生成することができる撮像装置、画像生成方法、赤外線カメラシステム及び交換可能なレンズシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明の撮像装置によれば、受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、
前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系と、前記受光面上で像位置を移動させる像シフト手段と、前記撮像手段が撮像した画像を処理する画像処理手段と、
を備え、前記撮像手段は、前記像シフト手段による像位置の移動前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、前記画像処理手段は、像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する差分算出部と、像位置の移動方向に配列された画素列について、画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する積算レベル算出部と、前記各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する画像生成部と、を有する、ことを特徴としている。
【0008】
本発明の撮像装置では、受光面に対して像位置を移動させる前後で撮像する。その結果、同一の画素が、像位置の移動方向に沿って隣接する2画素分の像部分を受光する。この同一画素の移動前後の出力レベルどうしの差分は、隣接する2画素がそれぞれ受光する像部分の輝度差に相当する。この同一画素の出力レベルどうしの差分はまた、画素間の出力レベルのばらつきには関係しない。このため、隣接する2画素間の像部分の輝度差が、画素間の出力レベルのばらつきとは関係なく、同一画素の出力レベルどうしの差分として算出される。したがって、画素間の出力レベルのばらつきに起因する画像のノイズを低減することができ、このノイズよりも小さい出力レベル差に相当する被写体の微小な輝度差まで検出することができる。
【0009】
さらに、画素間の出力レベルのばらつきと関係なく算出された差分を積算することにより、画素間の出力レベルのばらつきと関係なく、各画素の積算レベルが算出される。各画素の積算レベルは、実質的に各画素の出力レベルに相当する。したがって、各画素の実際の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成することによって、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像を生成することができる。
【0010】
また、本発明において好ましくは、前記画像処理手段は、前記受光面の少なくとも一部分の領域の各画素の出力レベルの平均値と前記各画素の積算レベルの平均値とが等しくなるように、前記各画素の積算レベルを補正する補正部を更に有する。
【0011】
各画素の出力レベルどうしの差分には、誤差が含まれる。このため、各画素の積算レベルには、差分の積算された誤差が含まれる。そこで、実際の出力レベルの平均値と、積層レベルの平均値を一致させるように補正することによって、各画素の積算レベルに含まれる誤差の解消を図ることができる。
【0012】
また、本発明において好ましくは、前記像シフト手段は、像位置の移動の後、再び像位置の移動前の位置へ像位置を戻し、前記撮像手段は、像位置を戻した後に、再度受光面上の像を撮像し、前記画像処理手段は、同一画素について、像位置の移動前と像位置を戻した後との出力レベルの変動量を算出し、前記積算レベル算出部は、所定の基準値以上の変動量を有する画素の差分を除外して積算レベルを算出する。
【0013】
被写体が動いた場合、算出された画素の出力レベルの差分は、画素自体の出力特性のばらつきに基づく出力レベルの差を正確には反映しないことがある。したがって、被写体の動いた部分に対応する像部分を受光した画素の差分は、積算レベルの算出から除外されることが望ましい。そこで、像位置の移動前と像位置を戻した後との出力レベルの変動量が大きい像部分を、被写体が動いた部分として除外する。これにより、積算レベルが不正確になることの防止を図ることができる。
【0014】
また、本発明において好ましくは、前記撮像手段は、画素が2次元のマトリクス状に配列された受光面を有し、前記像シフト手段は、前記受光面の画素の第1の配列方向と、前記第1の配列方向に直交する第2の配列方向にそれぞれ像位置を移動させ、前記差分算出部は、前記第1の配列方向への像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第1の差分を算出し、かつ、前記第2の配列方向への像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第2の差分を算出し、前記積算レベル算出部は、前記第1の配列方向に配列された第1の画素列について、各画素の出力レベルの第1の差分を順次に積算して、各画素の第1の積算レベルを算出し、かつ、前記第2の配列方向に配列された第2の画素列について、各画素の出力レベルの第2の差分を順次に積算して、各画素の第2の積算レベルを算出し、前記画像生成部は、各画素の前記第1及び第2の積算レベルに基づいて画像を生成する。
【0015】
このように、第1及び第2の配列方向についてそれぞれ算出された第1及び第2の積算レベルに基づいて、画像を生成するので、積算レベルの誤差の低減を図ることができる。
なお、第1及び第2の配列方向にそれぞれ像位置を移動するにあたっては、移動前の像位置から移動後の像位置へ移動経路は問わない。例えば、移動前の位置から、一旦、第三の位置へ移動し、次いで、移動後の位置へ移動するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明において好ましくは、前記像シフト手段は、前記受光面上の像の任意の点の軌跡が前記受光面上で円軌道を描くように、前記像位置を並進移動させ、前記撮像手段は、前記像の任意の点が前記円軌道上の所定部分を移動する前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、前記差分算出部は、前記像の任意の点が前記円軌道上の所定部分を移動する前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出し、積算レベル算出部は、前記像の任意の点が前記円軌道上の所定部分を移動する前後それぞれの撮像時の前記像の任意の点の位置を結ぶ直線方向を像位置の移動方向として、積算レベルを算出する。
【0017】
このように、軌跡が円軌道を描くように像位置を移動させることによって、像位置を連続的に移動させることができる。その結果、像位置の位置精度の位置が容易となる。
【0018】
また、本発明において好ましくは、前記像シフト手段は、前記受光面上の像の任意の点が継続的に等速円運動を行うように、前記像位置を移動させる。
【0019】
このように、継続的に等速運動を行うように像位置を移動させることによって、像位置を安定的に移動させることができる。また、像位置の円運動の1周期ごとに、容易に補正を行うことができる。
【0020】
また、本発明において好ましくは、前記撮像手段及び前記画像処理手段は撮像装置本体を構成し、前記光学系及び前記像シフト手段は、前記撮像装置本体から着脱自在なレンズユニットを構成し、前記撮像装置本体は、前記受光面の画素間隔を含むデータを前記レンズユニットへ出力し、前記像シフト手段は、前記データに基づいて像位置を移動させる。
【0021】
受光面の画素間隔は、通常、撮像装置本体の種類によって異なる。交換レンズのようなレンズユニットに組み込まれた像シフト手段は、撮像装置本体から送られてきた画素間隔を含むデータに基づいて、像位置の移動量を撮像装置本体の受光面の画素間隔に適合させることができる。
【0022】
また、本発明において好ましくは、前記撮像手段は、受光面上の像を撮像するタイミングに同期した同期信号を出力し、前記像シフト手段は、前記同期信号に基づいて像位置を移動させる。
これにより、像位置の移動と撮像のタイミングを合わせて、正確な補正の実現を図ることができる。
【0023】
また、本発明において好ましくは、前記像シフト手段は、像位置を移動させるタイミングに同期した同期信号を出力し、前記撮像手段は、前記同期信号に基づいて受光面上の像を撮像する。
これにより、像位置の移動と撮像のタイミングを合わせて、正確な補正の実現を図ることができる。
【0024】
また、本発明において好ましくは、前記撮像素子はボロメータあるいはマイクロボロメータである。
撮像素子をボロメータあるいはマイクロボロメータで構成することにより、本発明の撮像装置を、赤外線画像を撮像可能なものとすることができる。
【0025】
また、本発明の画像生成方法は、受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系とを備えた撮像装置の画像生成方法であって、前記受光面上で像位置を移動させ、像位置の移動前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出し、像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出し、各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する。
【0026】
本発明の画像生成方法によれば、本発明の撮像装置について上述したように、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像を生成することができる。
【0027】
また、本発明の赤外線カメラシステムは、赤外線の受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系と、前記受光面上で像位置を移動させる像シフト手段と、前記撮像手段が撮像した画像を処理する画像処理手段と、を備え、前記撮像手段は、前記像シフト手段による像位置の移動前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、前記画像処理手段は、像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する差分算出部と、像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する積算レベル算出部と、前記各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する画像生成部とを有する、ことを特徴としている。
これにより、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の赤外線画像を生成することができる。
【0028】
また、本発明の交換可能なレンズシステムは、撮像装置本体と、前記撮像装置本体に着脱自在なレンズユニットとを備える交換可能なレンズシステムであって、前記撮像装置本体は、受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した画像を処理する画像処理手段と、を備え、前記レンズユニットは、受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系と、前記受光面上で像位置を移動させる像シフト手段と、を備え、前記撮像手段は、前記像シフト手段による像位置の移動の前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、前記画像処理手段は、像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する差分算出部と、像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する積算レベル算出部と、前記各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する画像生成部とを有する、ことを特徴としている。
これにより、交換可能なレンズシステムにおいて、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像を生成することができる。
【発明の効果】
【0029】
このように、本発明の撮像装置、画像生成方法、赤外線カメラシステム及び交換可能なレンズシステムによれば、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態の撮像装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の撮像装置の第1動作例を説明するフローチャートである。
【図3】(a)は、像位置の移動前後の受光面と像との位置関係を示す図である。
【図4】(a)は、像位置を1画素ピッチ分移動させる前後の画素列上の画素と像の受光部分との関係を示す図であり、(b)は、画素列上の差分を示す図であり、(c)は、画素列上の積算レベルを示す図である。
【図5】画素列上の画素の積算レベルを示す図である。
【図6】本発明の実施形態の撮像装置の第2動作例を説明するフローチャートである。
【図7】像位置の移動前、移動後、及び、像位置を戻した後の画面と像との位置関係を示す図である。
【図8】本発明の実施形態の撮像装置の第3動作例を説明するフローチャートである。
【図9】受光面上の画素の配列と、像位置の移動方向との関係を示す図である。
【図10】カメラ本体10とレンズユニット20との間のデータ伝送の説明図である。
【図11】カメラ本体10とレンズユニット20との間のデータ伝送の説明図である。
【図12】(a)及び(b)は、本発明の実施形態の撮像装置の第4動作例において、像を受光面上で等速円運動させた場合の軌跡を示す図である。
【図13】(a)及び(b)は、同期信号と露光時間との関係を示すタイミングチャートである。
【図14】同期信号と像位置との関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、添付の図面を参照して、本発明の撮像装置及び画像生成方法の実施形態を説明する。まず、図1のブロック図を参照して、実施形態の撮像装置の構成を説明する。図1に示す撮像装置1は、カメラ本体10と、レンズユニット20とから構成されている。レンズユニット20は、カメラ本体10に着脱自在な交換レンズとすることもできる。
【0032】
カメラ本体10は、受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面11を有する撮像手段12と、撮像手段12が撮像した画像を処理する画像処理手段13とを備えている。撮像手段12の受光面は、赤外線を検出するボロメータアレイ又はマイクロボロメータアレイで構成してもよいし、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサのような固体撮像素子アレイで構成してもよい。
【0033】
レンズユニット20は、受光面11に被写体の像を結像させることができる光学系21と、受光面11上で像位置を移動させる像シフト手段22とを備えている。像シフト手段22は、像ぶれ防止機構で構成することができる。図1に示す例では、像シフト手段22は、光学系21を構成する1つのレンズ22aを光学系21の光軸Oに直交する方向に並進移動させることによって、受光面11に対して相対的に像位置を移動させる。
なお、被写体には、撮像視野内の全画像が含まれる。
【0034】
なお、像シフト手段22は、光学系21全体を、光軸Oに直交する方向に並進移動させる構成としてもよいし、受光面11を、光軸Oに直交する平面内で並進移動させる構成としてもよい。
【0035】
カメラ本体10の撮像手段12は、像シフト手段22による像位置の移動の前後に、受光面11上の像をそれぞれ撮像する。撮像手段12が撮像した画像は、画像処理手段13で処理される。
【0036】
画像処理手段13は、差分算出部131、積算レベル算出部132及び画像生成部133を含む。差分算出部131は、像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する。積算レベル算出部132は、像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する。そして、画像生成部133は、各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する。
【0037】
(第1動作例)
図2のフローチャートを参照して、本実施形態の撮像装置1の第1動作例を説明する。
まず、像シフト手段22による像位置の移動前に、撮像手段12が受光面11上の像を撮像する(S201)。ここで、図3の上段に、像移動前の受光面11上の像の例を示す。図3に示す受光面は、2次元のマトリクス状に配列された画素によって構成されている。図3に、受光面11上に結像した像の濃淡境界線を「A」で示す。
【0038】
次いで、像移動前に撮像した像の各画素の出力レベルを第1画像メモリに保存する(S202)。第1画像メモリは、カメラ本体10に設けられている。
【0039】
次いで、像シフト手段22は、像位置を、画素の配列方向に受光面11の画素間隔(1画素ピッチ)の距離だけ移動させる(S203)。図3の下段に、像移動後の受光面11上の像の例を示す。図3では、像に対して、光軸Oに直交する受光面11を右方向に1画素ピッチだけ相対的に移動させた様子を示す。この移動は、受光面11に対して、像位置を左方向に1画素ピッチだけ移動させたものに相当する。
【0040】
次いで、像シフト手段22による像位置の移動後に、撮像手段12が受光面11上の像を撮像する(S204)。図3の上段と下段を比較すると、受光面11の画素P4は、移動前には濃淡境界線Aの左側に位置し、移動後には濃淡境界線A上に位置している。同様に、受光面の全面で、像位置の移動後の各画素が、移動前にそれぞれの右隣の画素が受光していた像を受光する。
【0041】
次いで、像移動後に撮像した像の各画素の出力レベルを第2画像メモリに保存する。第2画像メモリは、カメラ本体10に設けられている(S205)。
【0042】
次いで、画像処理部13の差分算出部131が、像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する。例えば、第1画素メモリに記憶された像移動前の画素P4の出力レベルと、第2画素メモリに記憶された像移動後の画素P4の出力レベルとの差分を算出する(S206)。同様にして、各画素における差分を算出する。
なお、各画素の出力レベルの差分は、像移動後の出力レベルから像移動前の出力レベルを減算して算出してもよいし、像移動前の出力レベルから像移動後の出力レベルを減算して算出してもよい。
【0043】
同一画素の移動前後の出力レベルどうしの差分は、隣接する2画素がそれぞれ受光する像部分の輝度差に相当する。この同一画素の出力レベルどうしの差分はまた、画素間の出力レベルのばらつきには関係しない。このため、隣接する2画素間の像部分の輝度差が、画素間の出力レベルのばらつきとは関係なく、同一画素の出力レベルどうしの差分として算出される。したがって、画素間の出力レベルのばらつきに起因する画像のノイズを低減することができ、このノイズよりも小さい出力レベル差に相当する被写体の微小な輝度差まで検出することができる。
【0044】
図4を参照して、同一画素の像移動前後の出力レベルの差分の算出についてより詳細に説明する。図4(a)は、受光面11の一つの画素列Lを模式的に示す。この画素列Lは、左から右へ向かって順次に配列した第1画素〜第n画素によって構成されている。図4(a)の上段は、画素列Lの各画素が、像位置の移動前に受光した像の部分を模式的に示す。図4(a)の上段に示すように、画素列Lの第2画素は「○」の像部分を受光し、第3画素は「△」の像部分を受光し、第4画素は「□」の像部分を受光し、同様に、第n画素は「◎」の像部分を受光し、第(n+1)画素は「▽」の像部分を受光している。
【0045】
また、図4(a)の下段は、像位置を画素列Lの画素の配列方向に沿って左側へ1画素ピッチだけ移動させた後に、画素列Lの各画素が受光した像の部分を示す。図4(a)の下段に示すように、画素列Lの第1画素が「○」の像部分を受光し、第2画素が「△」の像部分を受光し、第3画素が「□」の像部分を受光し、同様に、第(n−1)画素が「◎」の像部分を受光し、第n画素が「▽」の像部分を受光している。
【0046】
次いで、像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する(S207)。
このように、第2画素は、像移動前に「○」の像部分を受光し、像移後に「△」の像部分を受光する。図4(b)に示す、第2画素の移動前後の出力レベルの差分Δ2は、「○」の像部分と「△」の像部分との輝度差に相当する。また、第3画素は、移動前に「△」の像部分を受光し、移動後に「□」の像部分を受光する。第3画素の移動前後の出力レベルの差分Δ3は、「△」の像部分と「□」の像部分との輝度差に相当する。同様に、第n画素は、移動前に「◎」の像部分を受光し、移動後に「▽」の像部分を受光する。第n画素の移動前後の出力レベルの差分Δnは、「◎」の像部分と「▽」の像部分との輝度差に相当する。このように、同一画素によって、画素列L上で隣接する2つの画素の位置に相当する像部分どうしの間の輝度差が検出される。
【0047】
ここでは、像移動後の画素の出力レベルから移動前の同一画素の出力レベルを減算したものを差分とする。その場合、像位置の移動方向に沿って配列された画素列について、像位置に対する受光面の移動方向(図4(a)では右方向)に向かって、即ち、受光面に対する像位置の移動方向(図4(a)では左方向)の方向に向かって(図4(a)では、左から右へ)、差分を順次に積算する。そして、画素列中の個々の画素のシフト量を、画素列の端から当該画素までの差分の合計として算出する。
なお、像移動前の画素の出力レベルから像移動後の同一画素の出力レベルを減算したものを差分とする場合には、上記と逆方向から積算するとよい。
【0048】
図4(c)に示す例では、像移動後の出力レベルから像移動前の出力レベルを減算して算出して差分を求めた場合に、第1画素の積算レベルを「0」として、各画素の積算レベルを算出する。例えば、第2画素の積算レベルは、Δ2(=0+Δ2)と算出される。第3画素の積算レベルは、(Δ2+Δ3)と算出される。第4画素の積算レベルは(Δ2+Δ3+Δ4)と算出される。同様に、第(n−1)画素の算出レベルは(Δ2+Δ3+Δ4+・・・Δ(n−1))と算出される。
【0049】
各差分の値は正の場合もあるし、負の場合もある。したがって、図5に示すように、画素列Lの各画素の積算レベルは、画素ごとに上下する。
【0050】
次に、画像処理手段13の画像生成部133は、各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する(S208)。各画素の積算レベルは、実質的に各画素の出力レベルに相当する。したがって、各画素の実際の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成することによって、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像が生成される。
【0051】
(第2動作例)
次に、図6のフローチャートを参照して、実施形態の撮像装置の第2動作例について説明する。第2動作例は、像位置の移動後に受光面上の像を撮像し(S604)、各画素の出力レベルを第2メモリに記憶する(S605)ステップまでは、上述の第1動作例と同じである。
【0052】
第2動作例では、像シフト手段22は、像位置の移動の後、再び像位置の移動前の位置へ像位置を戻す(S606)。ここで、図7の上段に、像移動前の受光面11上の像を示し、図7の中段に、像移動後の受光面11上の像を示し、図7の下段に、像位置を戻した後の像を示す。図7の上段及び中段に示す図は、図3(a)の上段及び下段に示した図に相当する。
【0053】
次いで、撮像手段12は、像位置が戻された後に、再度受光面上の像を撮像し(S607)、撮像した像の各画素の出力レベルを第3画像メモリに保存する(S608)。第3画像メモリは、カメラ本体10に設けられている。
【0054】
次いで、上述の第1動作例のステップ(S206)と同様に、画像処理部13の差分算出部131が、第1画素メモリに記憶された像移動前の画素の出力レベルと、第2画素メモリに記憶された像移動後の画素の出力レベルとを読み出し、像移動の前後に受光面11上の像の同一部分をそれぞれ受光した画素どうしの出力レベルの差分を算出する(S609)。
【0055】
次いで、画像処理部13は、第1画素メモリに記憶された像移動前の画素の出力レベルと、第3画素メモリに記憶された像位置を戻した後の画素の出力レベルとを読み出し、同一画素どうしで、像位置の移動前と像位置を戻した後との出力レベルの変動量を算出する(S910)。
【0056】
図7の上段と下段の受光面11上の像を比較すると、破線Bで囲んだ部分の像が変化している。このような像の変化は、例えば被写体が動いたことによって生じる。このような部分の画素の出力レベルの差分は、画素自体の出力特性のばらつきに基づく出力レベルの差を正確には反映しない。破線Bで囲んだ部分の画素では、変動量が大きな値を示す。
【0057】
そこで、第2動作例では、積算レベル算出部132は、所定の基準値以上の変動量を有する画素の差分を除外して積算し、積算レベルを算出する(S611)。例えば、画素列の途中の画素の変動量が基準値以上である場合、その画素列のうち、変動量が基準値以上の画素の手前の画素までの差分だけ積算してオフセットを求めるようにするとよい。これにより、積算レベルが不正確になることの防止を図ることができる。
なお、基準値は、撮像装置1の使用環境に応じて任意好適な値を設定することができる。
【0058】
続いて、第1動作例と同様に、画素の出力レベルの代わりに、画素の積算レベルに基づいて、画像を生成する(S612)。
【0059】
(第3動作例)
次に、図8のフローチャートを参照して、実施形態の撮像装置の第3動作例について説明する。第3動作例は、像位置の移動後に受光面上の像を撮像し(S804)、各画素の出力レベルを第2メモリに記憶する(S805)までは、上述の第1動作例と実質的に同じである。
【0060】
ここで、図9を参照して、受光面11上の画素の配列と、像位置の移動方向との関係を説明する。図9に示す受光面11では、画素が、互いに直交するX方向及びY方向の2次元のマトリクス状に配列されている。像位置の移動前に、像の「○」部分は、基準位置の画素P0上に位置している。この時点で、受光面11上の移動前の像が撮像され(S801)、受光面11を構成する各画素の出力レベルが第1メモリに記憶される(S802)。
【0061】
次いで、像「○」部分が、基準位置の画素P0上から第1規定位置の画素P1まで、X方向に1画素ピッチだけ移動するように、1回目の像移動を行う(S803)。その結果、像の「○」部分は、第1規定位置P1上に位置する。
【0062】
次いで、1回目の移動後に、受光面11上の移動後の像が撮像され(S804)、受光面11を構成する各画素の出力レベルが第2メモリに記憶される(S805)。
【0063】
次いで、像の「○」部分が、第1規定位置の画素P1上から第2規定位置の画素P2まで、図面左斜め下方向へ、1画素ピッチのルート2倍(√2倍)だけ移動するように、2回目の像移動を行う(S806)。その結果、像の「○」部分は、第2規定位置P2上に位置する。1回目及び2回目の移動の結果、像の「○」部分は、基準位置の画素P0上から第2規定位置の画素P2まで、Y方向に1画素ピッチだけ移動したことになる。
【0064】
次いで、2回目の移動後に、受光面11上の移動後の像が撮像され(S807)、受光面11を構成する各画素の出力レベルが第3メモリに記憶される(S808)。
【0065】
次いで、第1及び第2メモリに記憶された出力レベルが読み出されて、X方向への像位置の移動の前後の(1回目の移動の前後の)撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第1の差分が算出される(S809)。なお、第1差分は、受光面11のX方向に配列した各画素列において算出される。
【0066】
次いで、第1及び第3メモリに記憶された出力レベルが読み出されて、Y方向への像位置の移動の前後の(1回目の移動前と2回目の移動後の)撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第2の差分が算出される(S810)。なお、第2差分は、受光面11のY方向に配列した各画素列において算出される。
【0067】
次いで、X方向に配列された画素列について、出力レベルの第1差分を順次に積算して、X方向に配列された画素列の各画素の第1積算レベルを算出する(S811)。なお、第1積算レベルは、受光面11のX方向に配列した各画素列において算出される。
【0068】
ここで、図9の受光面11の左上のコーナーの画素を基準位置(1,1)として、この基準位置(0,0)からX方向にm番目、Y方向にn番目の画素(m,n)の第1積算レベルBi(m,n)は、その画素の第1差分をΔx(m,n)とすると、下記(1)式で表される。
Bi(m,n) = Bi(m-1,n) + Δx(m,n) ・・・(1)
【0069】
また、X方向に配列された画素列のうち、端の列については、それまでの積算値が存在しないため、ここ端の列の各画素(0,n)の積分レベルは、下記の(2)式のように、0として計算される。
Bi(m,0) = Bi(m-1,0) + Δx(m,0) = 0 ・・・(2)
【0070】
次いで、Y方向に配列された画素列について、出力レベルの第2差分を順次に積算して、Y方向に配列された画素列の各画素の第2積算レベルを算出する(S812)。なお、第2積算レベルは、受光面11のY方向に配列した各画素列において算出される。
【0071】
ここで、基準画素(0,0)からX方向にm番目、Y方向にn番目の画素(m,n)の第2積算レベルBi(m,n)は、その画素の第2差分をΔy(m,n)とすると、下記(3)式で表される。
Bi(m,n) = Bi(m,n-1) + Δy(m,n) ・・・(3)
また、X方向に配列された画素列のうち、端の列については、それまでの積算値が存在しないため、ここ端の列の各画素(0,n)の積分レベルは、下記の(4)式のように、0として計算される。
Bi(0,n) = Bi(0,n-1) + Δy(0,n-1) = 0 ・・・(4)
【0072】
次いで、各画素の第1及び第2積算レベルに基づいて画像を生成する(S813)。ここでは、下記の(5)式に示すように、各画素の第1積算レベルと第2積算レベルの平均値をその画素の積算レベルとして画素を生成する。
Bi(m,n) = {Bi(m-1,n) + Δx(m,n) + Bi(m,n-1) + Δy(m,n)}/2 ・・・(5)
【0073】
このように、X方向の積算レベルとY方向の積算レベルとの平均に基づいて画像を生成することによって、X方向にもY方向にも輝度の連続した画像を生成することができる。
【0074】
ところで、個々の差分の値には誤差が含まれる。このため、差分を積算した積算レベルには差分の誤差が累積されている。そこで、以下に、輝度値としての積算レベルの第1及び第2の補正方法を説明する。
【0075】
まず、第1の補正方法を説明する。
第1の方法では、受光面11上の3点の画素の輝度値を決めておき、その3点で規定される1次式により輝度値を補正する。
まず、3点の座標の輝度を以下のように規定する。
座標(Xa,Ya)、輝度Ba
座標(Xb,Yb)、輝度Bb
座標(Xc,Yc)、輝度Bc
なお、3点は、上記のように予め決めた座標の輝度値をBa、Bb及びBcとしてもよいし、輝度の平均値が一定値となるようにオフセット補正を行ってもよい。
【0076】
そして、下記の3式で規定される平面の方程式が得られる。
Ba = kx*Xa + ky*Ya + C
Bb = kx*Xb + ky*Yb + C
Bc = kx*Xc + ky*Yc + C
【0077】
上記の3式をkx、ky及びcについて解くと、
kx={Ba(Yb-Yc)+Bb(Yc-Ya)+Bc(Ya-Yb)}/{Xa(Yb-Yc)+Xb(Yc-Ya)+Xc(Ya-Yb)}
ky={Ba(Xb-Xc)+Bb(Xc-Xa)+Bc(Xa-Xb)}/{Xa(Yb-Yc)+Xb(Yc-Ya)+Xc(Ya-Yb)}
C={Ba(XbYc-XcYb)+Bb(XcYa-XaYc)+Bc(XaYb-XbYa)}/{Xa(Yb-Yc)+Xb(Yb-Ya)+Xc(Ya-Yb)}
【0078】
補正後の座標(m、n)の画素の輝度値(積算レベル)をBr(m,n)とすると、下記のように算出することができる。
Br(m,n) = B(m,n) + kx*m + ky*n + C
なお、受光面11の全面又は一部分の領域で輝度値を比較して、輝度を補正してもよい。
【0079】
次に、第2の補正方法について説明する。
第2の補正方法では、受光面の全面及び同一領域について、各画素の出力レベルの平均値と、各画素の積算レベルの平均値とが等しくなるように、各画素の積算レベルを補正する。
【0080】
まず、受光面11の全体又は一部分の領域の画素の出力レベルの平均値を算出する。その領域に、画素が、X方向にM個、Y方向にN個ずつ2次元配列されている場合において、その領域中のX方向にm番目、Y方向にn番目中の画素の出力レベルをB(m,n)とすると、その領域の画素の出力レベルの平均値Sは、下記のように、その領域中の全画素の出力レベルの合計を、その領域中の全画素数(M×N)で除算して算出される。
ただし、M、N、m及びnは正の整数、1≦m≦M、かつ、1≦n≦Nである。
【0081】
【数1】
【0082】
一方、その同一領域中の各画素の積分レベルBi(m,n)は、前出の式(5)のように表される。
Bi(m,n) = {Bi(m-1,n) + Δx(m,n) + Bi(m,n-1) + Δy(m,n)}/2 ・・・(5)
【0083】
なお、m=1の場合には、上記の式(5)は、下記の式(6)のように表される。
Bi(1,n) = {Bi(1,n-1) + Δy(1,n)}/1 ・・・(6)
【0084】
また、n=1の場合には、上記の式(5)は、下記の式(7)のように表される。
Bi(m,1) = {Bi(m-1,1) + Δx(m,1)}/1 ・・・(7)
【0085】
さらに、m=n=1の場合には、上記の式(5)は、下記の式(8)のように表される。
Bi(1,1) = Bi(1,1) ・・・(8)
【0086】
そして、その同一領域中の各画素の積分レベルの平均値Siは、下記のように、その同一領域中の全画素の積算レベルの合計を、その同一領域中の全画素数(M×N)で除算して算出される。
【0087】
【数2】
【0088】
そして、同一領域中の各画素の実際の出力レベルの平均値Sと、補正後の積算レベルの平均値とが等しくなるように、各画素の積算レベルを補正する。具体的には、出力レベルの平均値Sと積算レベルの平均値Siとの差(ΔS=S−Si)を、各画素の積算レベルに加算する。
Br(m,n)=Bi(m,n)+ΔS
このように、個々の画素の積算レベルを補正することにより、輝度誤差の低減した画像を生成することができる。
なお、第1動作例においてはこのようなレベル補正方法を示していないため積算結果としての「○」部分が「0」となってしまっている。N=1として、画素列毎にレベル補正を行うことにより補正後の「○」部分は「○」相当のレベルに補正される。
【0089】
次に、図10及び図11を参照して、カメラ本体10とレンズユニット20との間のデータ伝送を説明する。
図10及び図11において、カメラ本体10の撮像ブロックが、図1の撮像手段12に相当し、画像処理のブロックが、図1の画像処理手段13に相当する。また、図10及び図11において、レンズユニット20のブレ補正制御系のブロックが、図1の像シフト手段22に相当する。なお、レンズユニット20のレンズ制御系のブロックは、レンズ系の焦点やズームを制御する機能を表す。
【0090】
実施形態の撮像装置1では、像シフト手段22として、ブレ補正制御機構を利用することができる。ただし、通常のブレ補正制御機構では、撮像装置1の動きを相殺するようにブレ補正制御されるのに対し、像シフト手段22は、受光面に対して像位置が所定の方向に所定量だけ移動するように制御される。
【0091】
また、レンズユニット20が、複数種類のカメラ本体に取り付け可能な交換レンズである場合、カメラ本体ごとに画素ピッチなどが異なることがある。このため、カメラ本体10からレンズユニット20に対して、像シフト手段22による像位置の移動量などを指示することが必要となることがある。さらに、像シフト手段22による像位置の像位置の移動前後にそれぞれ受光面上の像を撮像するため、撮像のタイミングと像位置の移動のタイミングを制御する必要もある。
【0092】
そこで、図10及び図11に示す撮像装置1では、カメラ本体10の画像処理ブロック13から、受光面の画素間隔を含むデータを、光学データ変換関数として、レンズユニット20へ出力する。レンズユニット20は、カメラ本体10から入力された光学データ変換関数に基づいて、像シフト手段22の駆動量を決定し、像位置を移動させる。
【0093】
例えば、カメラ本体10の撮像ブロック12の受光面の画素ピッチが20μmである場合、カメラ本体10から画素ピッチが20μmであることを指示するデータが、レンズユニット20に送られる。レンズユニット20のブレ補正制御系(補正光学系)の駆動量に対する像位置の移動量の割合、即ち、補正光学系の効き率が0.8である場合、1画素ピッチ分のブレ補正制御系の駆動量は、20÷0.8=25(μm)と算出される。そして、ブレ補正制御系が25μm駆動されることによって、受光面上で像位置が1画素ピッチの20μmだけ移動する。これにより、カメラ本体10の撮像ブロック12の受光面の画素ピッチに合わせて、1画素ピッチの像移動を行うことができる。
【0094】
図10に示す撮像装置1では、カメラ本体10の撮像ブロック12とレンズユニット20のブレ補正制御系22とが信号線30によって接続されている。撮像ブロック12は、受光面上の像を撮像するタイミングに同期した同期信号を出力する。即ち、撮像するタイミングで信号線30がイネーブル(有効)となる。この同期信号は信号線30を通じてブレ補正制御系22へ伝送される。ブレ補正制御系22は、同期信号に基づいて像位置を移動させる。これにより、像位置の移動と撮像のタイミングを合わせることができる。
【0095】
また、図11に示す撮像装置1では、レンズユニット20のブレ補正制御系22とカメラ本体10の画像処理ブロック13とが、画像位置変換ブロック31を介して信号線30によって接続されている。ブレ補正制御系22は、像位置を移動させるタイミングに同期した同期信号を出力する。即ち、ブレ補正制御系22の駆動タイミングで信号線30がイネーブルとなる。この同期信号は、信号線30を通じて画像位置変換ブロック31を介して画像処理ブロック13へ伝送される。例えば、ブレ補正制御系22が所定の駆動量だけ駆動して像位置を所定の位置へ移動させたタイミングで、ブレ補正制御系22が同期信号を出力する。
【0096】
また、この同期信号と共に、ブレ補正制御系22の駆動量及び駆動方向も出力し、画像位置変換ブロック31よって、駆動量が像位置の移動量に相当する画素ピッチ数に変換される。そして、撮像ブロック12は、同期信号に基づいて受光面上の像を撮像する。続いて、画像処理ブロック13は、同一画素の像移動前後の出力レベルどうしの差分を算出するとよい。これにより、像位置の移動と撮像のタイミングを合わせて、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像を生成の実現を図ることができる。
【0097】
(第4動作例)
次に、図12を参照して、実施形態の撮像装置の第3動作例について説明する。図12(a)及び(b)は、受光面11を構成する画素のうち、隣接して2次元配列された4つの画素A〜Dの拡大図である。
【0098】
第4動作例では、像シフト手段22は、図12(a)に示すように、受光面11上の像の任意の点(以下、「像点」とも称する。)の軌跡が受光面11上で円軌道Rを描くように、受光面11上で像位置を並進移動させる。図12(a)に示すように、像位置は、受光面11上の像点が継続的に等速円運動を行うように移動する。この円軌道Rの半径は、例えば、画素ピッチの(1/(√2))倍とするとよい。
【0099】
なお、図12(a)では4つの画素A〜Dだけを示すが、受光面11上の像全体の各点の軌跡が同時に円軌道を描くように、受光面11全体で像位置は並進移動している。
【0100】
ここで、図13(a)のタイミングチャートを参照して、撮像タイミングを説明する。図13(a)の線Iは同期信号のタイミングを表し、線IIは画素の露光期間を表す。露光期間Ea、Eb、Ec及びEdは、それぞれ、円軌道R上を等速円運動している像点が画素A、B、C及びD上に位置する期間である。これらの露光期間Ea、Eb、Ec及びEdはまた、図12(a)において像点が円軌道Rのうち、画素A上の区間Ea、画素B上の区間Eb、画素C上の区間Ec、及び画素D上の区間Edに位置する期間に相当する。
【0101】
そして、図13(a)の露光期間Ea、Eb、Ec及びEdの中央で、像シフト手段22から、同期信号A,B,C及びDが出力される。その結果、像点が、図12(a)の区間Ea,Eb,Ec及びEdそれぞれの中央の位置Sa,Sb,Sc及びSdに位置するときに受光面上の像が撮像される。
【0102】
なお、同期信号A,B,C及びDが出力されてから、実際に撮像されるまでには、遅延時間が生じる。この遅延時間を考慮して、図13(b)の線IIIで示すように、線IVで示す露光期間Ea、Eb、Ec及びEdに対して、同期信号A,B,C及びDの出力タイミングを、それぞれの露光期間の中央よりも所定の時間だけ遅らせてもよい。
【0103】
また、像シフト手段13は、同期信号とともに、像点の位置をカメラ本体10へ出力するとよい。像点の位置は、図12(a)に示すように、4つの画素A〜Dの中央を原点としたXY座標によって表すとよい。ここで、図14のタイミングチャートに同期信号と像点の座標との関係を示す。図14の線Iは同期信号のタイミングを表し、曲線X及び曲線Yは、それぞれ、像点のX座標及びY座標を表す。線Iで示す同期信号Aの出力タイミングで、そのときの画素A上の像点の座標(xa、ya)が取得される。そして、この座標もカメラ本体10へ出力される。
なお、ブレ補正のために像位置が移動した場合には、像点の座標として、ブレ補正による像移動量を差し引いた値を出力するとよい。
【0104】
また、像点の位置を各画素上の円軌道R上の区間Ea,Eb,Ec及びEdそれぞれの平均値の座標として表してもよい。例えば、図12(b)中の画素C上の区間Ecの平均値の座標(xc,yc)は、下記の(1)式で求められる。
∫(座標)×(存在時間)dt÷(区間Edの存在時間) ・・・(1)
【0105】
上述した撮像タイミングで受光面上の像を撮像する第4動作例は、以下に説明するように、基本的に第4動作例における図8のフローチャートに対応する。
まず、撮像手段12は、像点が円軌道R上の所定部分を移動する前後に、受光面11上の像をそれぞれ撮像する。具体的には、まず、移動前の撮像として、像点が円軌道R上の画素AのSa点に位置するときに受光面11上の像が撮像される(図8のS801)。撮像された画像は第1メモリに記憶される(S802)。
【0106】
次いで、像点が円軌道R上を画素AのSa点から画素BのSb点へ移動する(S803)。像点は円軌道R上で等速円運動しているが、Sa点からSb点へ向かう方向はX方向に沿っている。したがって、この移動方向はX方向となる。
【0107】
次いで、像点が円軌道R上の画素BのSb点に位置するときに受光面11上の像が撮像される(S804)。撮像された画像は第2メモリに記憶される(S805)。
【0108】
続いて、像点は円軌道R上を画素BのSb点から画素CのSc点へ移動する(S806)。像点は円軌道R上で等速円運動しているが、Sb点からSc点へ向かう方向はY方向に沿っている。したがって、この移動方向はY方向となる。
【0109】
次いで、像点が円軌道R上の画素CのSc点に位置するときに受光面11上の像が撮像される(S807)。撮像された画像は第3メモリに記憶される(S808)。
【0110】
次いで、像点が円軌道上の所定部分をX方向移動する前後の同一画素の出力レベルの差分を算出する。そこで、第1及び第2メモリに記憶された出力レベルが読み出されて、X方向への像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第1の差分が算出される(S809)。
【0111】
また、像点が円軌道上の所定部分をY方向移動する前後の同一画素の出力レベルの差分を算出する。第1及び第3メモリに記憶された出力レベルが読み出されて、Y方向への像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第2の差分が算出される(S810)。
【0112】
次いで、X方向に配列された画素列について、出力レベルの第1差分を順次に積算して、X方向に配列された画素列の各画素の第1積算レベルを算出する(S811)。また、Y方向に配列された画素列について、出力レベルの第2差分を順次に積算して、Y方向に配列された画素列の各画素の第2積算レベルを算出する(S812)。
【0113】
次いで、各画素の第1及び第2積算レベルに基づいて画像を生成する(S813)。
【0114】
このように、第4動作例では、軌跡が円軌道を描くように像位置を移動させることによって、像位置を連続的に移動させることができる。その結果、像位置の位置精度の位置が容易となる。また、継続的に等速直線運動を行うように像位置を移動させることによって、像位置を安定的に移動させることができる。また、像位置の円運動の1周期ごとに、容易に補正を行うことができる。
【0115】
上述した実施形態では、本発明を特定の条件で構成した例について説明したが、本発明は種々の変更及び組合せを行うことができ、これに限定されるものではない。上述した実施形態では、像シフト手段が光学系に組み込まれた撮像装置の例を説明したが、本発明では、像シフト手段はこれに限定されない。像シフト手段は、光学系全体をその光軸に直交する方向に変位させるものであってもよいし、撮像手段の受光面を、光学系の光軸に直交する方向に変位させるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、赤外画像用の撮像装置にも、可視画像用の撮像装置にも適用可能である。また、本発明は、中断することなく撮像することが要請されるモニタカメラに用いて好適である。また、本発明は、1画素列で構成された受光面を有するラインセンサにも適用可能である。
【0117】
また、本発明は、輝度の低い被写体や、被写体の微小な輝度変化を検出することを目的とする撮像装置に用いて好適である。また、本発明は、画像センシング、外観検査、医療の分野における画像計測に用いて好適である。また、本発明は、天体観測、暗視及び監視といった用途において、低輝度被写体を撮影するのに用いて好適である。
【符号の説明】
【0118】
1 撮像装置
10 カメラ本体
11 受光面
12 撮像手段
13 画像処理手段
20 レンズユニット
21 光学系
22 像シフト手段
22a レンズ
131 差分算出部
132 積算レベル算出部
133 画像生成部
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、より詳細には、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像を生成することができる撮像装置、画像生成方法、赤外線カメラシステム及び交換可能なレンズシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置の例が下記の特許文献1〜3に記載されている。これら特許文献1〜3に記載の赤外線撮像装置では、補正用シャッターを閉じることによって基準画像を取得し、この基準画像撮像時の画素間の出力レベルのばらつきを求めて、これを補正していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−310804号公報
【特許文献2】特開2008−111754号公報
【特許文献3】特開2008−203054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像装置の受光面の各画素を構成する撮像素子が輝度階調の高い検出精度を有するものであっても、画素間の出力レベルのばらつきに由来する画像のノイズが、目的とする被写体の輝度差による出力レベル差よりも大きい場合がある。かかる場合、画素間の出力レベルのばらつきよりも小さな輝度差を検出することは困難である。その結果、撮像装置の撮像した画像の輝度階調の精度が、個々の撮像素子の輝度階調の検出精度よりも低下してしまうことになる。
【0005】
一方、上記の従来技術のように、画素間の出力レベルのばらつき補正のために補正用シャッターを閉じると、種々の問題が生じる。例えば、撮像装置は、補正用シャッターを閉じている間、被写体を撮像することができない。このため、これら従来の撮像装置を防犯カメラ等の監視カメラとして使用した場合、たとえ短時間であっても補正用シャッターを閉じている間に発生した事象を監視することができないという問題が生じる。また、従来の撮像装置は、補正用シャッターを閉じている間、新たに撮像した動画フレームを出力することができないため、動画が途切れてしまうという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像を生成することができる撮像装置、画像生成方法、赤外線カメラシステム及び交換可能なレンズシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明の撮像装置によれば、受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、
前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系と、前記受光面上で像位置を移動させる像シフト手段と、前記撮像手段が撮像した画像を処理する画像処理手段と、
を備え、前記撮像手段は、前記像シフト手段による像位置の移動前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、前記画像処理手段は、像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する差分算出部と、像位置の移動方向に配列された画素列について、画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する積算レベル算出部と、前記各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する画像生成部と、を有する、ことを特徴としている。
【0008】
本発明の撮像装置では、受光面に対して像位置を移動させる前後で撮像する。その結果、同一の画素が、像位置の移動方向に沿って隣接する2画素分の像部分を受光する。この同一画素の移動前後の出力レベルどうしの差分は、隣接する2画素がそれぞれ受光する像部分の輝度差に相当する。この同一画素の出力レベルどうしの差分はまた、画素間の出力レベルのばらつきには関係しない。このため、隣接する2画素間の像部分の輝度差が、画素間の出力レベルのばらつきとは関係なく、同一画素の出力レベルどうしの差分として算出される。したがって、画素間の出力レベルのばらつきに起因する画像のノイズを低減することができ、このノイズよりも小さい出力レベル差に相当する被写体の微小な輝度差まで検出することができる。
【0009】
さらに、画素間の出力レベルのばらつきと関係なく算出された差分を積算することにより、画素間の出力レベルのばらつきと関係なく、各画素の積算レベルが算出される。各画素の積算レベルは、実質的に各画素の出力レベルに相当する。したがって、各画素の実際の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成することによって、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像を生成することができる。
【0010】
また、本発明において好ましくは、前記画像処理手段は、前記受光面の少なくとも一部分の領域の各画素の出力レベルの平均値と前記各画素の積算レベルの平均値とが等しくなるように、前記各画素の積算レベルを補正する補正部を更に有する。
【0011】
各画素の出力レベルどうしの差分には、誤差が含まれる。このため、各画素の積算レベルには、差分の積算された誤差が含まれる。そこで、実際の出力レベルの平均値と、積層レベルの平均値を一致させるように補正することによって、各画素の積算レベルに含まれる誤差の解消を図ることができる。
【0012】
また、本発明において好ましくは、前記像シフト手段は、像位置の移動の後、再び像位置の移動前の位置へ像位置を戻し、前記撮像手段は、像位置を戻した後に、再度受光面上の像を撮像し、前記画像処理手段は、同一画素について、像位置の移動前と像位置を戻した後との出力レベルの変動量を算出し、前記積算レベル算出部は、所定の基準値以上の変動量を有する画素の差分を除外して積算レベルを算出する。
【0013】
被写体が動いた場合、算出された画素の出力レベルの差分は、画素自体の出力特性のばらつきに基づく出力レベルの差を正確には反映しないことがある。したがって、被写体の動いた部分に対応する像部分を受光した画素の差分は、積算レベルの算出から除外されることが望ましい。そこで、像位置の移動前と像位置を戻した後との出力レベルの変動量が大きい像部分を、被写体が動いた部分として除外する。これにより、積算レベルが不正確になることの防止を図ることができる。
【0014】
また、本発明において好ましくは、前記撮像手段は、画素が2次元のマトリクス状に配列された受光面を有し、前記像シフト手段は、前記受光面の画素の第1の配列方向と、前記第1の配列方向に直交する第2の配列方向にそれぞれ像位置を移動させ、前記差分算出部は、前記第1の配列方向への像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第1の差分を算出し、かつ、前記第2の配列方向への像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第2の差分を算出し、前記積算レベル算出部は、前記第1の配列方向に配列された第1の画素列について、各画素の出力レベルの第1の差分を順次に積算して、各画素の第1の積算レベルを算出し、かつ、前記第2の配列方向に配列された第2の画素列について、各画素の出力レベルの第2の差分を順次に積算して、各画素の第2の積算レベルを算出し、前記画像生成部は、各画素の前記第1及び第2の積算レベルに基づいて画像を生成する。
【0015】
このように、第1及び第2の配列方向についてそれぞれ算出された第1及び第2の積算レベルに基づいて、画像を生成するので、積算レベルの誤差の低減を図ることができる。
なお、第1及び第2の配列方向にそれぞれ像位置を移動するにあたっては、移動前の像位置から移動後の像位置へ移動経路は問わない。例えば、移動前の位置から、一旦、第三の位置へ移動し、次いで、移動後の位置へ移動するようにしてもよい。
【0016】
また、本発明において好ましくは、前記像シフト手段は、前記受光面上の像の任意の点の軌跡が前記受光面上で円軌道を描くように、前記像位置を並進移動させ、前記撮像手段は、前記像の任意の点が前記円軌道上の所定部分を移動する前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、前記差分算出部は、前記像の任意の点が前記円軌道上の所定部分を移動する前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出し、積算レベル算出部は、前記像の任意の点が前記円軌道上の所定部分を移動する前後それぞれの撮像時の前記像の任意の点の位置を結ぶ直線方向を像位置の移動方向として、積算レベルを算出する。
【0017】
このように、軌跡が円軌道を描くように像位置を移動させることによって、像位置を連続的に移動させることができる。その結果、像位置の位置精度の位置が容易となる。
【0018】
また、本発明において好ましくは、前記像シフト手段は、前記受光面上の像の任意の点が継続的に等速円運動を行うように、前記像位置を移動させる。
【0019】
このように、継続的に等速運動を行うように像位置を移動させることによって、像位置を安定的に移動させることができる。また、像位置の円運動の1周期ごとに、容易に補正を行うことができる。
【0020】
また、本発明において好ましくは、前記撮像手段及び前記画像処理手段は撮像装置本体を構成し、前記光学系及び前記像シフト手段は、前記撮像装置本体から着脱自在なレンズユニットを構成し、前記撮像装置本体は、前記受光面の画素間隔を含むデータを前記レンズユニットへ出力し、前記像シフト手段は、前記データに基づいて像位置を移動させる。
【0021】
受光面の画素間隔は、通常、撮像装置本体の種類によって異なる。交換レンズのようなレンズユニットに組み込まれた像シフト手段は、撮像装置本体から送られてきた画素間隔を含むデータに基づいて、像位置の移動量を撮像装置本体の受光面の画素間隔に適合させることができる。
【0022】
また、本発明において好ましくは、前記撮像手段は、受光面上の像を撮像するタイミングに同期した同期信号を出力し、前記像シフト手段は、前記同期信号に基づいて像位置を移動させる。
これにより、像位置の移動と撮像のタイミングを合わせて、正確な補正の実現を図ることができる。
【0023】
また、本発明において好ましくは、前記像シフト手段は、像位置を移動させるタイミングに同期した同期信号を出力し、前記撮像手段は、前記同期信号に基づいて受光面上の像を撮像する。
これにより、像位置の移動と撮像のタイミングを合わせて、正確な補正の実現を図ることができる。
【0024】
また、本発明において好ましくは、前記撮像素子はボロメータあるいはマイクロボロメータである。
撮像素子をボロメータあるいはマイクロボロメータで構成することにより、本発明の撮像装置を、赤外線画像を撮像可能なものとすることができる。
【0025】
また、本発明の画像生成方法は、受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系とを備えた撮像装置の画像生成方法であって、前記受光面上で像位置を移動させ、像位置の移動前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出し、像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出し、各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する。
【0026】
本発明の画像生成方法によれば、本発明の撮像装置について上述したように、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像を生成することができる。
【0027】
また、本発明の赤外線カメラシステムは、赤外線の受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系と、前記受光面上で像位置を移動させる像シフト手段と、前記撮像手段が撮像した画像を処理する画像処理手段と、を備え、前記撮像手段は、前記像シフト手段による像位置の移動前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、前記画像処理手段は、像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する差分算出部と、像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する積算レベル算出部と、前記各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する画像生成部とを有する、ことを特徴としている。
これにより、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の赤外線画像を生成することができる。
【0028】
また、本発明の交換可能なレンズシステムは、撮像装置本体と、前記撮像装置本体に着脱自在なレンズユニットとを備える交換可能なレンズシステムであって、前記撮像装置本体は、受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、前記撮像手段が撮像した画像を処理する画像処理手段と、を備え、前記レンズユニットは、受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系と、前記受光面上で像位置を移動させる像シフト手段と、を備え、前記撮像手段は、前記像シフト手段による像位置の移動の前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、前記画像処理手段は、像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する差分算出部と、像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する積算レベル算出部と、前記各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する画像生成部とを有する、ことを特徴としている。
これにより、交換可能なレンズシステムにおいて、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像を生成することができる。
【発明の効果】
【0029】
このように、本発明の撮像装置、画像生成方法、赤外線カメラシステム及び交換可能なレンズシステムによれば、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態の撮像装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の撮像装置の第1動作例を説明するフローチャートである。
【図3】(a)は、像位置の移動前後の受光面と像との位置関係を示す図である。
【図4】(a)は、像位置を1画素ピッチ分移動させる前後の画素列上の画素と像の受光部分との関係を示す図であり、(b)は、画素列上の差分を示す図であり、(c)は、画素列上の積算レベルを示す図である。
【図5】画素列上の画素の積算レベルを示す図である。
【図6】本発明の実施形態の撮像装置の第2動作例を説明するフローチャートである。
【図7】像位置の移動前、移動後、及び、像位置を戻した後の画面と像との位置関係を示す図である。
【図8】本発明の実施形態の撮像装置の第3動作例を説明するフローチャートである。
【図9】受光面上の画素の配列と、像位置の移動方向との関係を示す図である。
【図10】カメラ本体10とレンズユニット20との間のデータ伝送の説明図である。
【図11】カメラ本体10とレンズユニット20との間のデータ伝送の説明図である。
【図12】(a)及び(b)は、本発明の実施形態の撮像装置の第4動作例において、像を受光面上で等速円運動させた場合の軌跡を示す図である。
【図13】(a)及び(b)は、同期信号と露光時間との関係を示すタイミングチャートである。
【図14】同期信号と像位置との関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、添付の図面を参照して、本発明の撮像装置及び画像生成方法の実施形態を説明する。まず、図1のブロック図を参照して、実施形態の撮像装置の構成を説明する。図1に示す撮像装置1は、カメラ本体10と、レンズユニット20とから構成されている。レンズユニット20は、カメラ本体10に着脱自在な交換レンズとすることもできる。
【0032】
カメラ本体10は、受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面11を有する撮像手段12と、撮像手段12が撮像した画像を処理する画像処理手段13とを備えている。撮像手段12の受光面は、赤外線を検出するボロメータアレイ又はマイクロボロメータアレイで構成してもよいし、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサのような固体撮像素子アレイで構成してもよい。
【0033】
レンズユニット20は、受光面11に被写体の像を結像させることができる光学系21と、受光面11上で像位置を移動させる像シフト手段22とを備えている。像シフト手段22は、像ぶれ防止機構で構成することができる。図1に示す例では、像シフト手段22は、光学系21を構成する1つのレンズ22aを光学系21の光軸Oに直交する方向に並進移動させることによって、受光面11に対して相対的に像位置を移動させる。
なお、被写体には、撮像視野内の全画像が含まれる。
【0034】
なお、像シフト手段22は、光学系21全体を、光軸Oに直交する方向に並進移動させる構成としてもよいし、受光面11を、光軸Oに直交する平面内で並進移動させる構成としてもよい。
【0035】
カメラ本体10の撮像手段12は、像シフト手段22による像位置の移動の前後に、受光面11上の像をそれぞれ撮像する。撮像手段12が撮像した画像は、画像処理手段13で処理される。
【0036】
画像処理手段13は、差分算出部131、積算レベル算出部132及び画像生成部133を含む。差分算出部131は、像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する。積算レベル算出部132は、像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する。そして、画像生成部133は、各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する。
【0037】
(第1動作例)
図2のフローチャートを参照して、本実施形態の撮像装置1の第1動作例を説明する。
まず、像シフト手段22による像位置の移動前に、撮像手段12が受光面11上の像を撮像する(S201)。ここで、図3の上段に、像移動前の受光面11上の像の例を示す。図3に示す受光面は、2次元のマトリクス状に配列された画素によって構成されている。図3に、受光面11上に結像した像の濃淡境界線を「A」で示す。
【0038】
次いで、像移動前に撮像した像の各画素の出力レベルを第1画像メモリに保存する(S202)。第1画像メモリは、カメラ本体10に設けられている。
【0039】
次いで、像シフト手段22は、像位置を、画素の配列方向に受光面11の画素間隔(1画素ピッチ)の距離だけ移動させる(S203)。図3の下段に、像移動後の受光面11上の像の例を示す。図3では、像に対して、光軸Oに直交する受光面11を右方向に1画素ピッチだけ相対的に移動させた様子を示す。この移動は、受光面11に対して、像位置を左方向に1画素ピッチだけ移動させたものに相当する。
【0040】
次いで、像シフト手段22による像位置の移動後に、撮像手段12が受光面11上の像を撮像する(S204)。図3の上段と下段を比較すると、受光面11の画素P4は、移動前には濃淡境界線Aの左側に位置し、移動後には濃淡境界線A上に位置している。同様に、受光面の全面で、像位置の移動後の各画素が、移動前にそれぞれの右隣の画素が受光していた像を受光する。
【0041】
次いで、像移動後に撮像した像の各画素の出力レベルを第2画像メモリに保存する。第2画像メモリは、カメラ本体10に設けられている(S205)。
【0042】
次いで、画像処理部13の差分算出部131が、像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する。例えば、第1画素メモリに記憶された像移動前の画素P4の出力レベルと、第2画素メモリに記憶された像移動後の画素P4の出力レベルとの差分を算出する(S206)。同様にして、各画素における差分を算出する。
なお、各画素の出力レベルの差分は、像移動後の出力レベルから像移動前の出力レベルを減算して算出してもよいし、像移動前の出力レベルから像移動後の出力レベルを減算して算出してもよい。
【0043】
同一画素の移動前後の出力レベルどうしの差分は、隣接する2画素がそれぞれ受光する像部分の輝度差に相当する。この同一画素の出力レベルどうしの差分はまた、画素間の出力レベルのばらつきには関係しない。このため、隣接する2画素間の像部分の輝度差が、画素間の出力レベルのばらつきとは関係なく、同一画素の出力レベルどうしの差分として算出される。したがって、画素間の出力レベルのばらつきに起因する画像のノイズを低減することができ、このノイズよりも小さい出力レベル差に相当する被写体の微小な輝度差まで検出することができる。
【0044】
図4を参照して、同一画素の像移動前後の出力レベルの差分の算出についてより詳細に説明する。図4(a)は、受光面11の一つの画素列Lを模式的に示す。この画素列Lは、左から右へ向かって順次に配列した第1画素〜第n画素によって構成されている。図4(a)の上段は、画素列Lの各画素が、像位置の移動前に受光した像の部分を模式的に示す。図4(a)の上段に示すように、画素列Lの第2画素は「○」の像部分を受光し、第3画素は「△」の像部分を受光し、第4画素は「□」の像部分を受光し、同様に、第n画素は「◎」の像部分を受光し、第(n+1)画素は「▽」の像部分を受光している。
【0045】
また、図4(a)の下段は、像位置を画素列Lの画素の配列方向に沿って左側へ1画素ピッチだけ移動させた後に、画素列Lの各画素が受光した像の部分を示す。図4(a)の下段に示すように、画素列Lの第1画素が「○」の像部分を受光し、第2画素が「△」の像部分を受光し、第3画素が「□」の像部分を受光し、同様に、第(n−1)画素が「◎」の像部分を受光し、第n画素が「▽」の像部分を受光している。
【0046】
次いで、像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する(S207)。
このように、第2画素は、像移動前に「○」の像部分を受光し、像移後に「△」の像部分を受光する。図4(b)に示す、第2画素の移動前後の出力レベルの差分Δ2は、「○」の像部分と「△」の像部分との輝度差に相当する。また、第3画素は、移動前に「△」の像部分を受光し、移動後に「□」の像部分を受光する。第3画素の移動前後の出力レベルの差分Δ3は、「△」の像部分と「□」の像部分との輝度差に相当する。同様に、第n画素は、移動前に「◎」の像部分を受光し、移動後に「▽」の像部分を受光する。第n画素の移動前後の出力レベルの差分Δnは、「◎」の像部分と「▽」の像部分との輝度差に相当する。このように、同一画素によって、画素列L上で隣接する2つの画素の位置に相当する像部分どうしの間の輝度差が検出される。
【0047】
ここでは、像移動後の画素の出力レベルから移動前の同一画素の出力レベルを減算したものを差分とする。その場合、像位置の移動方向に沿って配列された画素列について、像位置に対する受光面の移動方向(図4(a)では右方向)に向かって、即ち、受光面に対する像位置の移動方向(図4(a)では左方向)の方向に向かって(図4(a)では、左から右へ)、差分を順次に積算する。そして、画素列中の個々の画素のシフト量を、画素列の端から当該画素までの差分の合計として算出する。
なお、像移動前の画素の出力レベルから像移動後の同一画素の出力レベルを減算したものを差分とする場合には、上記と逆方向から積算するとよい。
【0048】
図4(c)に示す例では、像移動後の出力レベルから像移動前の出力レベルを減算して算出して差分を求めた場合に、第1画素の積算レベルを「0」として、各画素の積算レベルを算出する。例えば、第2画素の積算レベルは、Δ2(=0+Δ2)と算出される。第3画素の積算レベルは、(Δ2+Δ3)と算出される。第4画素の積算レベルは(Δ2+Δ3+Δ4)と算出される。同様に、第(n−1)画素の算出レベルは(Δ2+Δ3+Δ4+・・・Δ(n−1))と算出される。
【0049】
各差分の値は正の場合もあるし、負の場合もある。したがって、図5に示すように、画素列Lの各画素の積算レベルは、画素ごとに上下する。
【0050】
次に、画像処理手段13の画像生成部133は、各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する(S208)。各画素の積算レベルは、実質的に各画素の出力レベルに相当する。したがって、各画素の実際の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成することによって、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像が生成される。
【0051】
(第2動作例)
次に、図6のフローチャートを参照して、実施形態の撮像装置の第2動作例について説明する。第2動作例は、像位置の移動後に受光面上の像を撮像し(S604)、各画素の出力レベルを第2メモリに記憶する(S605)ステップまでは、上述の第1動作例と同じである。
【0052】
第2動作例では、像シフト手段22は、像位置の移動の後、再び像位置の移動前の位置へ像位置を戻す(S606)。ここで、図7の上段に、像移動前の受光面11上の像を示し、図7の中段に、像移動後の受光面11上の像を示し、図7の下段に、像位置を戻した後の像を示す。図7の上段及び中段に示す図は、図3(a)の上段及び下段に示した図に相当する。
【0053】
次いで、撮像手段12は、像位置が戻された後に、再度受光面上の像を撮像し(S607)、撮像した像の各画素の出力レベルを第3画像メモリに保存する(S608)。第3画像メモリは、カメラ本体10に設けられている。
【0054】
次いで、上述の第1動作例のステップ(S206)と同様に、画像処理部13の差分算出部131が、第1画素メモリに記憶された像移動前の画素の出力レベルと、第2画素メモリに記憶された像移動後の画素の出力レベルとを読み出し、像移動の前後に受光面11上の像の同一部分をそれぞれ受光した画素どうしの出力レベルの差分を算出する(S609)。
【0055】
次いで、画像処理部13は、第1画素メモリに記憶された像移動前の画素の出力レベルと、第3画素メモリに記憶された像位置を戻した後の画素の出力レベルとを読み出し、同一画素どうしで、像位置の移動前と像位置を戻した後との出力レベルの変動量を算出する(S910)。
【0056】
図7の上段と下段の受光面11上の像を比較すると、破線Bで囲んだ部分の像が変化している。このような像の変化は、例えば被写体が動いたことによって生じる。このような部分の画素の出力レベルの差分は、画素自体の出力特性のばらつきに基づく出力レベルの差を正確には反映しない。破線Bで囲んだ部分の画素では、変動量が大きな値を示す。
【0057】
そこで、第2動作例では、積算レベル算出部132は、所定の基準値以上の変動量を有する画素の差分を除外して積算し、積算レベルを算出する(S611)。例えば、画素列の途中の画素の変動量が基準値以上である場合、その画素列のうち、変動量が基準値以上の画素の手前の画素までの差分だけ積算してオフセットを求めるようにするとよい。これにより、積算レベルが不正確になることの防止を図ることができる。
なお、基準値は、撮像装置1の使用環境に応じて任意好適な値を設定することができる。
【0058】
続いて、第1動作例と同様に、画素の出力レベルの代わりに、画素の積算レベルに基づいて、画像を生成する(S612)。
【0059】
(第3動作例)
次に、図8のフローチャートを参照して、実施形態の撮像装置の第3動作例について説明する。第3動作例は、像位置の移動後に受光面上の像を撮像し(S804)、各画素の出力レベルを第2メモリに記憶する(S805)までは、上述の第1動作例と実質的に同じである。
【0060】
ここで、図9を参照して、受光面11上の画素の配列と、像位置の移動方向との関係を説明する。図9に示す受光面11では、画素が、互いに直交するX方向及びY方向の2次元のマトリクス状に配列されている。像位置の移動前に、像の「○」部分は、基準位置の画素P0上に位置している。この時点で、受光面11上の移動前の像が撮像され(S801)、受光面11を構成する各画素の出力レベルが第1メモリに記憶される(S802)。
【0061】
次いで、像「○」部分が、基準位置の画素P0上から第1規定位置の画素P1まで、X方向に1画素ピッチだけ移動するように、1回目の像移動を行う(S803)。その結果、像の「○」部分は、第1規定位置P1上に位置する。
【0062】
次いで、1回目の移動後に、受光面11上の移動後の像が撮像され(S804)、受光面11を構成する各画素の出力レベルが第2メモリに記憶される(S805)。
【0063】
次いで、像の「○」部分が、第1規定位置の画素P1上から第2規定位置の画素P2まで、図面左斜め下方向へ、1画素ピッチのルート2倍(√2倍)だけ移動するように、2回目の像移動を行う(S806)。その結果、像の「○」部分は、第2規定位置P2上に位置する。1回目及び2回目の移動の結果、像の「○」部分は、基準位置の画素P0上から第2規定位置の画素P2まで、Y方向に1画素ピッチだけ移動したことになる。
【0064】
次いで、2回目の移動後に、受光面11上の移動後の像が撮像され(S807)、受光面11を構成する各画素の出力レベルが第3メモリに記憶される(S808)。
【0065】
次いで、第1及び第2メモリに記憶された出力レベルが読み出されて、X方向への像位置の移動の前後の(1回目の移動の前後の)撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第1の差分が算出される(S809)。なお、第1差分は、受光面11のX方向に配列した各画素列において算出される。
【0066】
次いで、第1及び第3メモリに記憶された出力レベルが読み出されて、Y方向への像位置の移動の前後の(1回目の移動前と2回目の移動後の)撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第2の差分が算出される(S810)。なお、第2差分は、受光面11のY方向に配列した各画素列において算出される。
【0067】
次いで、X方向に配列された画素列について、出力レベルの第1差分を順次に積算して、X方向に配列された画素列の各画素の第1積算レベルを算出する(S811)。なお、第1積算レベルは、受光面11のX方向に配列した各画素列において算出される。
【0068】
ここで、図9の受光面11の左上のコーナーの画素を基準位置(1,1)として、この基準位置(0,0)からX方向にm番目、Y方向にn番目の画素(m,n)の第1積算レベルBi(m,n)は、その画素の第1差分をΔx(m,n)とすると、下記(1)式で表される。
Bi(m,n) = Bi(m-1,n) + Δx(m,n) ・・・(1)
【0069】
また、X方向に配列された画素列のうち、端の列については、それまでの積算値が存在しないため、ここ端の列の各画素(0,n)の積分レベルは、下記の(2)式のように、0として計算される。
Bi(m,0) = Bi(m-1,0) + Δx(m,0) = 0 ・・・(2)
【0070】
次いで、Y方向に配列された画素列について、出力レベルの第2差分を順次に積算して、Y方向に配列された画素列の各画素の第2積算レベルを算出する(S812)。なお、第2積算レベルは、受光面11のY方向に配列した各画素列において算出される。
【0071】
ここで、基準画素(0,0)からX方向にm番目、Y方向にn番目の画素(m,n)の第2積算レベルBi(m,n)は、その画素の第2差分をΔy(m,n)とすると、下記(3)式で表される。
Bi(m,n) = Bi(m,n-1) + Δy(m,n) ・・・(3)
また、X方向に配列された画素列のうち、端の列については、それまでの積算値が存在しないため、ここ端の列の各画素(0,n)の積分レベルは、下記の(4)式のように、0として計算される。
Bi(0,n) = Bi(0,n-1) + Δy(0,n-1) = 0 ・・・(4)
【0072】
次いで、各画素の第1及び第2積算レベルに基づいて画像を生成する(S813)。ここでは、下記の(5)式に示すように、各画素の第1積算レベルと第2積算レベルの平均値をその画素の積算レベルとして画素を生成する。
Bi(m,n) = {Bi(m-1,n) + Δx(m,n) + Bi(m,n-1) + Δy(m,n)}/2 ・・・(5)
【0073】
このように、X方向の積算レベルとY方向の積算レベルとの平均に基づいて画像を生成することによって、X方向にもY方向にも輝度の連続した画像を生成することができる。
【0074】
ところで、個々の差分の値には誤差が含まれる。このため、差分を積算した積算レベルには差分の誤差が累積されている。そこで、以下に、輝度値としての積算レベルの第1及び第2の補正方法を説明する。
【0075】
まず、第1の補正方法を説明する。
第1の方法では、受光面11上の3点の画素の輝度値を決めておき、その3点で規定される1次式により輝度値を補正する。
まず、3点の座標の輝度を以下のように規定する。
座標(Xa,Ya)、輝度Ba
座標(Xb,Yb)、輝度Bb
座標(Xc,Yc)、輝度Bc
なお、3点は、上記のように予め決めた座標の輝度値をBa、Bb及びBcとしてもよいし、輝度の平均値が一定値となるようにオフセット補正を行ってもよい。
【0076】
そして、下記の3式で規定される平面の方程式が得られる。
Ba = kx*Xa + ky*Ya + C
Bb = kx*Xb + ky*Yb + C
Bc = kx*Xc + ky*Yc + C
【0077】
上記の3式をkx、ky及びcについて解くと、
kx={Ba(Yb-Yc)+Bb(Yc-Ya)+Bc(Ya-Yb)}/{Xa(Yb-Yc)+Xb(Yc-Ya)+Xc(Ya-Yb)}
ky={Ba(Xb-Xc)+Bb(Xc-Xa)+Bc(Xa-Xb)}/{Xa(Yb-Yc)+Xb(Yc-Ya)+Xc(Ya-Yb)}
C={Ba(XbYc-XcYb)+Bb(XcYa-XaYc)+Bc(XaYb-XbYa)}/{Xa(Yb-Yc)+Xb(Yb-Ya)+Xc(Ya-Yb)}
【0078】
補正後の座標(m、n)の画素の輝度値(積算レベル)をBr(m,n)とすると、下記のように算出することができる。
Br(m,n) = B(m,n) + kx*m + ky*n + C
なお、受光面11の全面又は一部分の領域で輝度値を比較して、輝度を補正してもよい。
【0079】
次に、第2の補正方法について説明する。
第2の補正方法では、受光面の全面及び同一領域について、各画素の出力レベルの平均値と、各画素の積算レベルの平均値とが等しくなるように、各画素の積算レベルを補正する。
【0080】
まず、受光面11の全体又は一部分の領域の画素の出力レベルの平均値を算出する。その領域に、画素が、X方向にM個、Y方向にN個ずつ2次元配列されている場合において、その領域中のX方向にm番目、Y方向にn番目中の画素の出力レベルをB(m,n)とすると、その領域の画素の出力レベルの平均値Sは、下記のように、その領域中の全画素の出力レベルの合計を、その領域中の全画素数(M×N)で除算して算出される。
ただし、M、N、m及びnは正の整数、1≦m≦M、かつ、1≦n≦Nである。
【0081】
【数1】
【0082】
一方、その同一領域中の各画素の積分レベルBi(m,n)は、前出の式(5)のように表される。
Bi(m,n) = {Bi(m-1,n) + Δx(m,n) + Bi(m,n-1) + Δy(m,n)}/2 ・・・(5)
【0083】
なお、m=1の場合には、上記の式(5)は、下記の式(6)のように表される。
Bi(1,n) = {Bi(1,n-1) + Δy(1,n)}/1 ・・・(6)
【0084】
また、n=1の場合には、上記の式(5)は、下記の式(7)のように表される。
Bi(m,1) = {Bi(m-1,1) + Δx(m,1)}/1 ・・・(7)
【0085】
さらに、m=n=1の場合には、上記の式(5)は、下記の式(8)のように表される。
Bi(1,1) = Bi(1,1) ・・・(8)
【0086】
そして、その同一領域中の各画素の積分レベルの平均値Siは、下記のように、その同一領域中の全画素の積算レベルの合計を、その同一領域中の全画素数(M×N)で除算して算出される。
【0087】
【数2】
【0088】
そして、同一領域中の各画素の実際の出力レベルの平均値Sと、補正後の積算レベルの平均値とが等しくなるように、各画素の積算レベルを補正する。具体的には、出力レベルの平均値Sと積算レベルの平均値Siとの差(ΔS=S−Si)を、各画素の積算レベルに加算する。
Br(m,n)=Bi(m,n)+ΔS
このように、個々の画素の積算レベルを補正することにより、輝度誤差の低減した画像を生成することができる。
なお、第1動作例においてはこのようなレベル補正方法を示していないため積算結果としての「○」部分が「0」となってしまっている。N=1として、画素列毎にレベル補正を行うことにより補正後の「○」部分は「○」相当のレベルに補正される。
【0089】
次に、図10及び図11を参照して、カメラ本体10とレンズユニット20との間のデータ伝送を説明する。
図10及び図11において、カメラ本体10の撮像ブロックが、図1の撮像手段12に相当し、画像処理のブロックが、図1の画像処理手段13に相当する。また、図10及び図11において、レンズユニット20のブレ補正制御系のブロックが、図1の像シフト手段22に相当する。なお、レンズユニット20のレンズ制御系のブロックは、レンズ系の焦点やズームを制御する機能を表す。
【0090】
実施形態の撮像装置1では、像シフト手段22として、ブレ補正制御機構を利用することができる。ただし、通常のブレ補正制御機構では、撮像装置1の動きを相殺するようにブレ補正制御されるのに対し、像シフト手段22は、受光面に対して像位置が所定の方向に所定量だけ移動するように制御される。
【0091】
また、レンズユニット20が、複数種類のカメラ本体に取り付け可能な交換レンズである場合、カメラ本体ごとに画素ピッチなどが異なることがある。このため、カメラ本体10からレンズユニット20に対して、像シフト手段22による像位置の移動量などを指示することが必要となることがある。さらに、像シフト手段22による像位置の像位置の移動前後にそれぞれ受光面上の像を撮像するため、撮像のタイミングと像位置の移動のタイミングを制御する必要もある。
【0092】
そこで、図10及び図11に示す撮像装置1では、カメラ本体10の画像処理ブロック13から、受光面の画素間隔を含むデータを、光学データ変換関数として、レンズユニット20へ出力する。レンズユニット20は、カメラ本体10から入力された光学データ変換関数に基づいて、像シフト手段22の駆動量を決定し、像位置を移動させる。
【0093】
例えば、カメラ本体10の撮像ブロック12の受光面の画素ピッチが20μmである場合、カメラ本体10から画素ピッチが20μmであることを指示するデータが、レンズユニット20に送られる。レンズユニット20のブレ補正制御系(補正光学系)の駆動量に対する像位置の移動量の割合、即ち、補正光学系の効き率が0.8である場合、1画素ピッチ分のブレ補正制御系の駆動量は、20÷0.8=25(μm)と算出される。そして、ブレ補正制御系が25μm駆動されることによって、受光面上で像位置が1画素ピッチの20μmだけ移動する。これにより、カメラ本体10の撮像ブロック12の受光面の画素ピッチに合わせて、1画素ピッチの像移動を行うことができる。
【0094】
図10に示す撮像装置1では、カメラ本体10の撮像ブロック12とレンズユニット20のブレ補正制御系22とが信号線30によって接続されている。撮像ブロック12は、受光面上の像を撮像するタイミングに同期した同期信号を出力する。即ち、撮像するタイミングで信号線30がイネーブル(有効)となる。この同期信号は信号線30を通じてブレ補正制御系22へ伝送される。ブレ補正制御系22は、同期信号に基づいて像位置を移動させる。これにより、像位置の移動と撮像のタイミングを合わせることができる。
【0095】
また、図11に示す撮像装置1では、レンズユニット20のブレ補正制御系22とカメラ本体10の画像処理ブロック13とが、画像位置変換ブロック31を介して信号線30によって接続されている。ブレ補正制御系22は、像位置を移動させるタイミングに同期した同期信号を出力する。即ち、ブレ補正制御系22の駆動タイミングで信号線30がイネーブルとなる。この同期信号は、信号線30を通じて画像位置変換ブロック31を介して画像処理ブロック13へ伝送される。例えば、ブレ補正制御系22が所定の駆動量だけ駆動して像位置を所定の位置へ移動させたタイミングで、ブレ補正制御系22が同期信号を出力する。
【0096】
また、この同期信号と共に、ブレ補正制御系22の駆動量及び駆動方向も出力し、画像位置変換ブロック31よって、駆動量が像位置の移動量に相当する画素ピッチ数に変換される。そして、撮像ブロック12は、同期信号に基づいて受光面上の像を撮像する。続いて、画像処理ブロック13は、同一画素の像移動前後の出力レベルどうしの差分を算出するとよい。これにより、像位置の移動と撮像のタイミングを合わせて、画素間の出力レベルのばらつきに関係なく、高精度の輝度階調の画像を生成の実現を図ることができる。
【0097】
(第4動作例)
次に、図12を参照して、実施形態の撮像装置の第3動作例について説明する。図12(a)及び(b)は、受光面11を構成する画素のうち、隣接して2次元配列された4つの画素A〜Dの拡大図である。
【0098】
第4動作例では、像シフト手段22は、図12(a)に示すように、受光面11上の像の任意の点(以下、「像点」とも称する。)の軌跡が受光面11上で円軌道Rを描くように、受光面11上で像位置を並進移動させる。図12(a)に示すように、像位置は、受光面11上の像点が継続的に等速円運動を行うように移動する。この円軌道Rの半径は、例えば、画素ピッチの(1/(√2))倍とするとよい。
【0099】
なお、図12(a)では4つの画素A〜Dだけを示すが、受光面11上の像全体の各点の軌跡が同時に円軌道を描くように、受光面11全体で像位置は並進移動している。
【0100】
ここで、図13(a)のタイミングチャートを参照して、撮像タイミングを説明する。図13(a)の線Iは同期信号のタイミングを表し、線IIは画素の露光期間を表す。露光期間Ea、Eb、Ec及びEdは、それぞれ、円軌道R上を等速円運動している像点が画素A、B、C及びD上に位置する期間である。これらの露光期間Ea、Eb、Ec及びEdはまた、図12(a)において像点が円軌道Rのうち、画素A上の区間Ea、画素B上の区間Eb、画素C上の区間Ec、及び画素D上の区間Edに位置する期間に相当する。
【0101】
そして、図13(a)の露光期間Ea、Eb、Ec及びEdの中央で、像シフト手段22から、同期信号A,B,C及びDが出力される。その結果、像点が、図12(a)の区間Ea,Eb,Ec及びEdそれぞれの中央の位置Sa,Sb,Sc及びSdに位置するときに受光面上の像が撮像される。
【0102】
なお、同期信号A,B,C及びDが出力されてから、実際に撮像されるまでには、遅延時間が生じる。この遅延時間を考慮して、図13(b)の線IIIで示すように、線IVで示す露光期間Ea、Eb、Ec及びEdに対して、同期信号A,B,C及びDの出力タイミングを、それぞれの露光期間の中央よりも所定の時間だけ遅らせてもよい。
【0103】
また、像シフト手段13は、同期信号とともに、像点の位置をカメラ本体10へ出力するとよい。像点の位置は、図12(a)に示すように、4つの画素A〜Dの中央を原点としたXY座標によって表すとよい。ここで、図14のタイミングチャートに同期信号と像点の座標との関係を示す。図14の線Iは同期信号のタイミングを表し、曲線X及び曲線Yは、それぞれ、像点のX座標及びY座標を表す。線Iで示す同期信号Aの出力タイミングで、そのときの画素A上の像点の座標(xa、ya)が取得される。そして、この座標もカメラ本体10へ出力される。
なお、ブレ補正のために像位置が移動した場合には、像点の座標として、ブレ補正による像移動量を差し引いた値を出力するとよい。
【0104】
また、像点の位置を各画素上の円軌道R上の区間Ea,Eb,Ec及びEdそれぞれの平均値の座標として表してもよい。例えば、図12(b)中の画素C上の区間Ecの平均値の座標(xc,yc)は、下記の(1)式で求められる。
∫(座標)×(存在時間)dt÷(区間Edの存在時間) ・・・(1)
【0105】
上述した撮像タイミングで受光面上の像を撮像する第4動作例は、以下に説明するように、基本的に第4動作例における図8のフローチャートに対応する。
まず、撮像手段12は、像点が円軌道R上の所定部分を移動する前後に、受光面11上の像をそれぞれ撮像する。具体的には、まず、移動前の撮像として、像点が円軌道R上の画素AのSa点に位置するときに受光面11上の像が撮像される(図8のS801)。撮像された画像は第1メモリに記憶される(S802)。
【0106】
次いで、像点が円軌道R上を画素AのSa点から画素BのSb点へ移動する(S803)。像点は円軌道R上で等速円運動しているが、Sa点からSb点へ向かう方向はX方向に沿っている。したがって、この移動方向はX方向となる。
【0107】
次いで、像点が円軌道R上の画素BのSb点に位置するときに受光面11上の像が撮像される(S804)。撮像された画像は第2メモリに記憶される(S805)。
【0108】
続いて、像点は円軌道R上を画素BのSb点から画素CのSc点へ移動する(S806)。像点は円軌道R上で等速円運動しているが、Sb点からSc点へ向かう方向はY方向に沿っている。したがって、この移動方向はY方向となる。
【0109】
次いで、像点が円軌道R上の画素CのSc点に位置するときに受光面11上の像が撮像される(S807)。撮像された画像は第3メモリに記憶される(S808)。
【0110】
次いで、像点が円軌道上の所定部分をX方向移動する前後の同一画素の出力レベルの差分を算出する。そこで、第1及び第2メモリに記憶された出力レベルが読み出されて、X方向への像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第1の差分が算出される(S809)。
【0111】
また、像点が円軌道上の所定部分をY方向移動する前後の同一画素の出力レベルの差分を算出する。第1及び第3メモリに記憶された出力レベルが読み出されて、Y方向への像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第2の差分が算出される(S810)。
【0112】
次いで、X方向に配列された画素列について、出力レベルの第1差分を順次に積算して、X方向に配列された画素列の各画素の第1積算レベルを算出する(S811)。また、Y方向に配列された画素列について、出力レベルの第2差分を順次に積算して、Y方向に配列された画素列の各画素の第2積算レベルを算出する(S812)。
【0113】
次いで、各画素の第1及び第2積算レベルに基づいて画像を生成する(S813)。
【0114】
このように、第4動作例では、軌跡が円軌道を描くように像位置を移動させることによって、像位置を連続的に移動させることができる。その結果、像位置の位置精度の位置が容易となる。また、継続的に等速直線運動を行うように像位置を移動させることによって、像位置を安定的に移動させることができる。また、像位置の円運動の1周期ごとに、容易に補正を行うことができる。
【0115】
上述した実施形態では、本発明を特定の条件で構成した例について説明したが、本発明は種々の変更及び組合せを行うことができ、これに限定されるものではない。上述した実施形態では、像シフト手段が光学系に組み込まれた撮像装置の例を説明したが、本発明では、像シフト手段はこれに限定されない。像シフト手段は、光学系全体をその光軸に直交する方向に変位させるものであってもよいし、撮像手段の受光面を、光学系の光軸に直交する方向に変位させるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、赤外画像用の撮像装置にも、可視画像用の撮像装置にも適用可能である。また、本発明は、中断することなく撮像することが要請されるモニタカメラに用いて好適である。また、本発明は、1画素列で構成された受光面を有するラインセンサにも適用可能である。
【0117】
また、本発明は、輝度の低い被写体や、被写体の微小な輝度変化を検出することを目的とする撮像装置に用いて好適である。また、本発明は、画像センシング、外観検査、医療の分野における画像計測に用いて好適である。また、本発明は、天体観測、暗視及び監視といった用途において、低輝度被写体を撮影するのに用いて好適である。
【符号の説明】
【0118】
1 撮像装置
10 カメラ本体
11 受光面
12 撮像手段
13 画像処理手段
20 レンズユニット
21 光学系
22 像シフト手段
22a レンズ
131 差分算出部
132 積算レベル算出部
133 画像生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、
前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系と、
前記受光面上で像位置を移動させる像シフト手段と、
前記撮像手段が撮像した画像を処理する画像処理手段と、
を備え、
前記撮像手段は、前記像シフト手段による像位置の移動前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、
前記画像処理手段は、
像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する差分算出部と、
像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する積算レベル算出部と、
前記各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する画像生成部と、を有する、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、前記受光面の少なくとも一部分の領域の各画素の出力レベルの平均値と前記各画素の積算レベルの平均値とが等しくなるように、前記各画素の積算レベルを補正する補正部を更に有する、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記像シフト手段は、像位置の移動の後、再び像位置の移動前の位置へ像位置を戻し、
前記撮像手段は、像位置を戻した後に、再度受光面上の像を撮像し、
前記画像処理手段は、同一画素について、像位置の移動前の出力レベルと像位置を戻した後の出力レベルとの変動量を算出し、
前記積算レベル算出部は、所定の基準値以上の変動量を有する画素の差分を除外して積算レベルを算出する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、画素が2次元のマトリクス状に配列された受光面を有し、
前記像シフト手段は、前記受光面の画素の第1の配列方向と、前記第1の配列方向に直交する第2の配列方向にそれぞれ像位置を移動させ、
前記差分算出部は、
前記第1の配列方向への像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第1の差分を算出し、かつ、
前記第2の配列方向への像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第2の差分を算出し、
前記積算レベル算出部は、
前記第1の配列方向に配列された第1の画素列について、各画素の出力レベルの第1の差分を順次に積算して、各画素の第1の積算レベルを算出し、かつ、
前記第2の配列方向に配列された第2の画素列について、各画素の出力レベルの第2の差分を順次に積算して、各画素の第2の積算レベルを算出し、
前記画像生成部は、各画素の前記第1及び第2の積算レベルに基づいて画像を生成する、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記像シフト手段は、前記受光面上の像の任意の点の軌跡が前記受光面上で円軌道を描くように、前記像位置を並進移動させ、
前記撮像手段は、前記像の任意の点が前記円軌道上の所定部分を移動する前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、
前記差分算出部は、前記像の任意の点が前記円軌道上の所定部分を移動する前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出し、
積算レベル算出部は、前記像の任意の点が前記円軌道上の所定部分を移動する前後それぞれの撮像時の前記像の任意の点の位置を結ぶ直線方向を像位置の移動方向として、積算レベルを算出する、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記像シフト手段は、前記受光面上の像の任意の点が継続的に等速円運動を行うように、前記像位置を移動させる、
ことを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像手段及び前記画像処理手段は撮像装置本体を構成し、
前記光学系及び前記像シフト手段は、前記撮像装置本体から着脱自在なレンズユニットを構成し、
前記撮像装置本体は、前記受光面の画素間隔を含むデータを前記レンズユニットへ出力し、
前記像シフト手段は、前記データに基づいて像位置を移動させる、
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像手段は、受光面上の像を撮像するタイミングに同期した同期信号を出力し、
前記像シフト手段は、前記同期信号に基づいて像位置を移動させる、
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記像シフト手段は、像位置を移動させるタイミングに同期した同期信号を出力し、
前記撮像手段は、前記同期信号に基づいて受光面上の像を撮像する、
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像素子はボロメータあるいはマイクロボロメータである、
ことを特徴とする請求項1〜9記載の撮像装置。
【請求項11】
受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系とを備えた撮像装置の画像生成方法であって、
前記受光面上で像位置を移動させ、
像位置の移動前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、
像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出し、
像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出し、
各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する、
ことを特徴とする画像生成方法。
【請求項12】
赤外線の受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、
前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系と、
前記受光面上で像位置を移動させる像シフト手段と、
前記撮像手段が撮像した画像を処理する画像処理手段と、
を備え、
前記撮像手段は、前記像シフト手段による像位置の移動前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、
前記画像処理手段は、
像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する差分算出部と、
像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する積算レベル算出部と、
前記各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する画像生成部と、を有する、
ことを特徴とする赤外線カメラシステム。
【請求項13】
撮像装置本体と、前記撮像装置本体に着脱自在なレンズユニットとを備える交換可能なレンズシステムであって、
前記撮像装置本体は、
受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した画像を処理する画像処理手段と、を備え、
前記レンズユニットは、受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、
前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系と、
前記受光面上で像位置を移動させる像シフト手段と、を備え、
前記撮像手段は、前記像シフト手段による像位置の移動の前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、
前記画像処理手段は、
像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する差分算出部と、
像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する積算レベル算出部と、
前記各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する画像生成部と、を有する、
ことを特徴とする交換可能なレンズシステム。
【請求項1】
受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、
前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系と、
前記受光面上で像位置を移動させる像シフト手段と、
前記撮像手段が撮像した画像を処理する画像処理手段と、
を備え、
前記撮像手段は、前記像シフト手段による像位置の移動前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、
前記画像処理手段は、
像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する差分算出部と、
像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する積算レベル算出部と、
前記各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する画像生成部と、を有する、
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、前記受光面の少なくとも一部分の領域の各画素の出力レベルの平均値と前記各画素の積算レベルの平均値とが等しくなるように、前記各画素の積算レベルを補正する補正部を更に有する、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記像シフト手段は、像位置の移動の後、再び像位置の移動前の位置へ像位置を戻し、
前記撮像手段は、像位置を戻した後に、再度受光面上の像を撮像し、
前記画像処理手段は、同一画素について、像位置の移動前の出力レベルと像位置を戻した後の出力レベルとの変動量を算出し、
前記積算レベル算出部は、所定の基準値以上の変動量を有する画素の差分を除外して積算レベルを算出する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、画素が2次元のマトリクス状に配列された受光面を有し、
前記像シフト手段は、前記受光面の画素の第1の配列方向と、前記第1の配列方向に直交する第2の配列方向にそれぞれ像位置を移動させ、
前記差分算出部は、
前記第1の配列方向への像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第1の差分を算出し、かつ、
前記第2の配列方向への像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの第2の差分を算出し、
前記積算レベル算出部は、
前記第1の配列方向に配列された第1の画素列について、各画素の出力レベルの第1の差分を順次に積算して、各画素の第1の積算レベルを算出し、かつ、
前記第2の配列方向に配列された第2の画素列について、各画素の出力レベルの第2の差分を順次に積算して、各画素の第2の積算レベルを算出し、
前記画像生成部は、各画素の前記第1及び第2の積算レベルに基づいて画像を生成する、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記像シフト手段は、前記受光面上の像の任意の点の軌跡が前記受光面上で円軌道を描くように、前記像位置を並進移動させ、
前記撮像手段は、前記像の任意の点が前記円軌道上の所定部分を移動する前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、
前記差分算出部は、前記像の任意の点が前記円軌道上の所定部分を移動する前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出し、
積算レベル算出部は、前記像の任意の点が前記円軌道上の所定部分を移動する前後それぞれの撮像時の前記像の任意の点の位置を結ぶ直線方向を像位置の移動方向として、積算レベルを算出する、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記像シフト手段は、前記受光面上の像の任意の点が継続的に等速円運動を行うように、前記像位置を移動させる、
ことを特徴とする請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像手段及び前記画像処理手段は撮像装置本体を構成し、
前記光学系及び前記像シフト手段は、前記撮像装置本体から着脱自在なレンズユニットを構成し、
前記撮像装置本体は、前記受光面の画素間隔を含むデータを前記レンズユニットへ出力し、
前記像シフト手段は、前記データに基づいて像位置を移動させる、
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像手段は、受光面上の像を撮像するタイミングに同期した同期信号を出力し、
前記像シフト手段は、前記同期信号に基づいて像位置を移動させる、
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記像シフト手段は、像位置を移動させるタイミングに同期した同期信号を出力し、
前記撮像手段は、前記同期信号に基づいて受光面上の像を撮像する、
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像素子はボロメータあるいはマイクロボロメータである、
ことを特徴とする請求項1〜9記載の撮像装置。
【請求項11】
受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系とを備えた撮像装置の画像生成方法であって、
前記受光面上で像位置を移動させ、
像位置の移動前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、
像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出し、
像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出し、
各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する、
ことを特徴とする画像生成方法。
【請求項12】
赤外線の受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、
前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系と、
前記受光面上で像位置を移動させる像シフト手段と、
前記撮像手段が撮像した画像を処理する画像処理手段と、
を備え、
前記撮像手段は、前記像シフト手段による像位置の移動前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、
前記画像処理手段は、
像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する差分算出部と、
像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する積算レベル算出部と、
前記各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する画像生成部と、を有する、
ことを特徴とする赤外線カメラシステム。
【請求項13】
撮像装置本体と、前記撮像装置本体に着脱自在なレンズユニットとを備える交換可能なレンズシステムであって、
前記撮像装置本体は、
受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像した画像を処理する画像処理手段と、を備え、
前記レンズユニットは、受光強度に応じた出力レベルの電気信号を出力する撮像素子で構成された画素を配列した受光面を有する撮像手段と、
前記受光面に被写体の像を結像させることができる光学系と、
前記受光面上で像位置を移動させる像シフト手段と、を備え、
前記撮像手段は、前記像シフト手段による像位置の移動の前後に、前記受光面上の像をそれぞれ撮像し、
前記画像処理手段は、
像位置の移動の前後の撮像時の同一画素の出力レベルどうしの差分を算出する差分算出部と、
像位置の移動方向に配列された画素列について、各画素の出力レベルの差分を順次に積算して、各画素の積算レベルを算出する積算レベル算出部と、
前記各画素の出力レベルの代わりに、各画素の積算レベルに基づいて画像を生成する画像生成部と、を有する、
ことを特徴とする交換可能なレンズシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−235249(P2012−235249A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101482(P2011−101482)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000133227)株式会社タムロン (355)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000133227)株式会社タムロン (355)
【Fターム(参考)】
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