説明

撮像装置と露出制御方法

【課題】被写体の輝度が小さいときにも被写体の動きを正確に検出し、演算負荷も小さい露出制御方法とこれを搭載した撮像装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の撮像装置は、被写体の画像データを生成する撮像手段101、102と、前記画像データを複数の領域に分割する領域分割手段106dと、前記領域内の最大輝度位置を求める位置算出手段106eと、複数の前記画像データについて前記最大輝度位置の相関値を求める相関算出手段106fと、前記相関値に基づいて露出を制御する露出制御手段106gと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特には被写体の動きを検出して露出を制御する撮像装置とその露出制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体の動きを検出して露出を制御する撮像装置として、特許文献1がある。特許文献1に記載の撮像装置は、以下のように露出を制御する。
【0003】
本撮影前に撮影された二回分の画像データを取り込み、対応する画素毎に差を求める。この差が所定の値より大きい画素を非相関部として抽出する。全画素に対する非相関部の画素の比を求める。この比が大きいときは被写体の動きが大きいと判断して露光時間を短く設定する。これによって被写体ぶれの発生を防止する。
【特許文献1】特開2001−103366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の撮像装置では、被写体の輝度が小さいときに被写体の動きを正確に検出できないという課題がある。また、二回分の画像データを取り込み、対応する画素毎に差を求めるので、演算負荷が大きいという課題がある。
【0005】
本発明は、前記課題を解決し、被写体の輝度が小さいときにも被写体の動きを正確に検出し、演算負荷も小さい露出制御方法とこれを搭載した撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の撮像装置は、被写体の画像データを生成する撮像手段と、前記画像データを複数の領域に分割する領域分割手段と、前記領域内の最大輝度位置を求める位置算出手段と、複数の前記画像データについて前記最大輝度位置の相関値を求める相関算出手段と、前記相関値に基づいて露出を制御する露出制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
複数の画像データの最大輝度位置の相関値に基づいて露出を制御するので、被写体の輝度が小さいときにも被写体の動きを正確に検出でき、演算負荷も小さい。
【0008】
また、本発明の撮像装置は、自装置のぶれ量を求めるぶれ検出手段、をさらに有し、前記露出制御手段は、前記相関値と前記ぶれ量に基づいて露出を制御する、ことを特徴としてもよい。被写体の動きが小さいときでも自装置のぶれ量に基づいて露出を制御することができる。
【0009】
また、本発明の撮像装置は、被写体の輝度を求める輝度測定手段と、複数の前記画像データについて動きベクトルを求める動きベクトル算出手段と、をさらに有し、前記露出制御手段は、前記輝度が所定の値より大きいときは前記動きベクトルに基づいて露出を制御し、前記輝度が所定の値より小さいときは前記相関値に基づいて露出を制御する、ことを特徴としてもよい。
【0010】
被写体の輝度が大きいときは動きベクトルに基づいて被写体の動きを検出し、被写体の輝度が小さく動き検出手段の精度が低下するときは、相関値に基づいて被写体の動きを検出することができる。
【0011】
また、本発明の撮像装置は、自装置のぶれ量を求めるぶれ検出手段と、被写体の輝度を求める輝度測定手段と、複数の前記画像データについて動きベクトルを求める動きベクトル算出手段と、をさらに有し、前記露出制御手段は、前記輝度が所定の値より大きいときは前記動きベクトルと前記ぶれ量に基づいて露出を制御し、前記輝度が所定の値より小さいときは前記相関値と前記ぶれ量に基づいて露出を制御する、ことを特徴としてもよい。
【0012】
被写体の輝度が大きいときは動きベクトルと自装置のぶれ量に基づいて露出を制御し、被写体の輝度が小さく動き検出手段の精度が低下するときは、相関値と自装置のぶれ量に基づいて露出を制御することができる。
【0013】
また、本発明の撮像装置の領域分割手段は、画像データに所定の処理を施したデータを複数の領域に分割する、ことを特徴としてもよい。撮像装置内では、様々な処理を施したデータが一時的に作成されるので、領域分割に最も適したデータを選択することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の撮像装置によれば、複数の画像データの最大輝度位置の相関値に基づいて露出を制御するので、被写体の輝度が小さいときにも被写体の動きを正確に検出でき、演算負荷も小さい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、本発明の第1の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
(1.1 構成)
図1は、本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラの構成を示すブロック図である。光学系101は、被写体の光学像をCCD102に結像する。CCD102は、光学像の画像信号を出力する。光学系101とCCD102は、本発明の撮像手段を構成する。
【0016】
AFE(Analog Front End)103は、アナログ信号である画像信号をデジタル信号である画像データに変換する。画像データは、バス104を経由してSDRAM105に格納される。
【0017】
AFE103は、画像信号のノイズ成分を除去するCDS(Correlated Double Sampling)回路、画像信号の大きさを調整するAGC(Automatic Gain Control)アンプ、アナログ信号である画像信号をデジタル信号である画像データに変換するA/Dコンバータ(いずれも図示せず)などを含むLSIである。
【0018】
信号処理LSI106は、CPU106a、信号処理部106bなどを含むLSIである。CPU106aは、デジタルカメラ全体の制御を行う。信号処理部106bは、画像処理手段106c、領域分割手段106d、位置算出手段106e、相関算出手段106f、露出制御手段106gを含む回路である。なお、信号処理部106bに含まれる各手段106c〜106gは回路で構成してもよいし、ソフトウエアを用いてCPU106aで処理してもよい。
【0019】
画像処理手段106cは、SDRAM105に格納された画像データをLCD107での表示に適した表示データに変換する。表示データは、LCD107に出力される。表示データは、1秒間に30回更新されるので、LCD107上で被写体を動画として視認することができる。
【0020】
CPU106aは、シャッタ釦108の操作を検知する。シャッタ釦108は、半押しと全押しの二段階の操作ができる。CPU106aは、シャッタ釦108の半押しを検知すると、露出制御手段106gに光学系101の合焦動作を指示するとともに適正な露出条件を求める。
【0021】
露出条件は、絞り機構とシャッタ機構と感度によって決定される。光学系101に含まれる絞り機構(図示せず)は、CCD102の露光量を変更する。光学系101に含まれるシャッタ機構(図示せず)は、CCD102の露光時間を変更する。感度は、以下の二つの方法で変更される。一方は、CCD102に含まれる複数の画素の値を加算して画像信号を得る方法である。他方は、AFE103に含まれるAGCアンプ(図示せず)のゲインを変更する方法である。なお、CCD102に含まれる複数の画素の値を加算して画像信号を得ると画像データの解像度が低下し、AFE103に含まれるAGCアンプ(図示せず)のゲインを上げるとノイズが増加する。適正な露出条件は、以上の組み合わせによって決定される。
【0022】
CPU106aは、シャッタ釦108の全押しを検知すると、露出制御手段106gに適正な露出条件での露光を指示する。AFE103は、画像データをSDRAM105に格納する。画像処理手段106cは、SDRAM105に格納された画像データを記録に適した記録データに変換する。記録データは、メモリカード109に記録される。
(1.2 動作)
(1.2.1 シャッタ釦の半押しまでの処理)
図2は、本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラの動作を示すフローチャートである。画像処理手段106cは、SDRAM105に格納された画像データを取得し(S201)、LCD107での表示に適した表示データに変換して(S202)、LCD107に出力する(S203)。シャッタ釦108が半押しされるまで、S201からS203までの動作を1秒間に30回の頻度で繰り返す(S204)。
(1.2.2 シャッタ釦の半押しから全押しまでの処理 1)
シャッタ釦108が半押しされると(S204)、画像処理手段106cは、SDRAM105に格納された画像データを取得し(S205)、LCD107での表示に適した表示データに変換して(S206)、LCD107に出力する(S207)。
【0023】
領域分割手段106dは、S205で取得した画像データを複数の領域に分割する(S208)。図3は、領域分割手段106dによる画像データの分割を示す模式図である。領域分割手段106dは、画像データを12×12=144の小領域に分割する。説明の便宜のため、小領域を横方向の番号1から12と縦方向の番号1から12を用いて(横方向の番号、縦方向の番号)で特定することとする。
【0024】
領域分割手段106dは、小領域(3、3)、(3、4)、(3、5)、(3、6)、(4、3)、(4、4)、(4、5)、(4、6)、(5、3)、(5、4)、(5、5)、(5、6)、(6、3)、(6、4)、(6、5)、(6、6)で構成される領域を領域Aと定義する。同様にして、領域Bから領域Dを定義する。なお、画像データをいくつの小領域に分割するか、いくつの小領域で領域を構成するか、画像データにいくつの領域を設けるかは、適宜変更できるように構成してもよい。また、領域分割手段106dは、画像データを複数の領域に分割してもよいし、表示データや画像データに所定の処理を施したその他のデータを複数の領域に分割してもよい。
【0025】
位置算出手段106eは、領域Aから領域Dのそれぞれについて最大輝度を有する小領域を算出する(S209)。小領域がCCD102に含まれる一つの画素で構成されているときは、その画素の輝度をその小領域の輝度とする。小領域がCCD102に含まれる複数の画素で構成されているときは、それらの画素の輝度の最大値または平均値をその小領域の輝度とする。図4は、位置算出手段106eによる最大輝度位置の算出を示す模式図である。領域Aから領域Dを構成する各小領域の輝度が、0から255の8ビットの数値のいずれかで示されている。位置算出手段106eは、領域Aの最大輝度位置として小領域(4、4)を、領域Bの最大輝度位置として小領域(8、5)を、領域Cの最大輝度位置として小領域(5、9)を、領域Dの最大輝度位置として小領域(7、7)をそれぞれ算出する。
【0026】
相関算出手段106fは、シャッタ釦108が半押しされた後の一回目の処理では何も行わない(S210)。なぜなら、位置算出手段106eによる最大輝度位置の算出が一回しか行われていないので、相関値を求めることができないからである。なお、領域分割手段106dと位置算出手段106eは、シャッタ釦108が半押しされる前から動作していてもよい。シャッタ釦108が半押しされる前から動作していると、相関算出手段106fは、シャッタ釦108が半押しされた後の一回目の処理で相関値を求めることができる。
【0027】
CPU106aは、露出制御手段106gに光学系101の合焦動作を指示する(S211)とともに適正な露出条件を求める(S212)。合焦動作(S211)と露出条件決定(S212)の詳細は省略するが、S205からS212までの動作を複数回繰り返すことによって達成されるものである。
(1.2.3 シャッタ釦の半押しから全押しまでの処理 2)
シャッタ釦108が全押しされていないと(S213)、画像処理手段106cは、再びSDRAM105に格納された画像データを取得し(S205)、LCD107での表示に適した表示データに変換して(S206)、LCD107に出力する(S207)。
【0028】
領域分割手段106dは、S205で取得した画像データを複数の領域に分割し、領域Aから領域Dを定義する(S208)。位置算出手段106eは、領域Aから領域Dのそれぞれについて最大輝度を有する小領域を算出する(S209)。図5は、位置算出手段106eによる最大輝度位置の算出を示す模式図である。位置算出手段106eは、領域Aの最大輝度位置として小領域(4、4)を、領域Bの最大輝度位置として小領域(9、5)を、領域Cの最大輝度位置として小領域(5、9)を、領域Dの最大輝度位置として小領域(9、7)をそれぞれ算出する。
【0029】
ここで、シャッタ釦108が半押しされた後の一回目の最大輝度位置を示す図4と二回目の最大輝度位置を示す図5とを比較する。領域Aと領域Cでは、最大輝度位置がそれぞれ小領域(4、4)と小領域(5、9)であり変わっていない。一方、領域Bでは、最大輝度位置が小領域(8、5)から小領域(9、5)に移動している。同様に、領域Dでは、最大輝度位置が小領域(7、7)から小領域(7、9)に移動している。相関算出手段106fは、領域Aと領域Cでは最大輝度位置が変わっていないのでともに0を、領域Bでは最大輝度位置が横方向に一つの小領域分移動しているので1を、領域Dでは最大輝度位置が横方向に二つの小領域分移動しているので2を、それぞれ求め、これらを加算した3を相関値とする(S210)。相関値は、小さいほど相関が大きく、大きいほど相関が小さい。すなわち、相関値が小さいほど被写体の動きが小さく、大きいほど被写体の動きが大きい。
【0030】
CPU106aは、露出制御手段106gに光学系101の合焦動作の継続を指示する(S211)とともに適正な露出条件を決定する(S212)。相関算出手段106fが求めた相関値は3であるので、被写体の動きがあると考えられる。そこで、CPU106aは、被写体ぶれの発生を防止するためにシャッタ機構の露光時間を短くする。しかし、露光時間を短くすると必要な露光量が得られなくなるので、絞り機構を開いたり感度を上げたりすることで適正な露出条件を決定する。
(1.2.4 シャッタ釦の全押し以降の処理)
シャッタ釦108が全押しされると(S213)、CPU106aは、露出制御手段106gにS212で決定した適正な露出条件での露光を指示する。AFE103は、画像データをSDRAM105に格納する。画像処理手段106cは、SDRAM105に格納された画像データを記録に適した記録データに変換する(S215)。記録データは、メモリカード109に記録される(S216)。以上の処理が終了すると、S201に戻る。
(1.3 効果)
本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラによれば、複数の画像データの最大輝度位置の相関値に基づいて露出を制御するので、被写体の輝度が小さいときにも被写体の動きを正確に検出でき、演算負荷も小さい。被写体ぶれが発生する可能性が高いときは、シャッタ機構の露光時間を短くすることで被写体ぶれの発生を防止することができる。一方、被写体ぶれが発生する可能性が低いときは、シャッタ機構の露光時間を長くすることで、感度を下げることができる。感度を下げることによって、画像データの解像度の低下やノイズの増加を防止することができる。
【0031】
なお、本発明の第1の実施例では、シャッタ釦が半押しされてから領域分割手段と位置算出手段と相関算出手段を動作させるようにしたが、領域分割手段と位置算出手段と相関算出手段を常時動作させるようにしてもよい。シャッタ釦の半押しから露出条件決定までに要する時間を短縮することができる。
(実施の形態2)
以下、本発明の第2の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
(2.1 構成)
図6は、本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラの構成を示すブロック図である。本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラの構成を示すブロック図である図1との違いは、本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラが角速度センサ(1)601と角速度センサ(2)602とA/D変換器603を有する点である。その他の構成は、図1と同じであるので説明を省略する。
【0032】
角速度センサ(1)601と角速度センサ(2)602は、光学系101の光軸と直交する平面内で、互いに直角となるように配される。すなわち、本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラを横位置で構えたときに、角速度センサ(1)601は水平方向の動きを検出し、角速度センサ(2)602は垂直方向の動きを検出する。角速度センサ(1)601、角速度センサ(2)602で検出された水平方向と垂直方向の動きは、A/D変換器603でデジタルデータである自装置のぶれ量に変換された後に、信号処理LSI106内のCPU106aに送られる。角速度センサ(1)601と角速度センサ(2)602とA/D変換器603は、本発明のぶれ検出手段を構成する。
(2.2 動作)
本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラの動作は、本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラの動作を示すフローチャートである図2と同じであり、露出条件決定(S212)のみが異なる。
【0033】
図7は、本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラの露出条件決定を示すフローチャートである。相関算出手段106fが求めた相関値が所定の閾値よりも大きいときは(S701)、被写体の動きが大きいと考えられる。そこで、CPU106aは、被写体ぶれの発生を防止するためにシャッタ機構の露光時間を短くする(S704)。しかし、露光時間を短くすると必要な露光量が得られなくなるので、絞り機構を開いたり感度を上げたりすることで適正な露出条件を決定する(S705)。
【0034】
相関算出手段106fが求めた相関値が所定の閾値よりも小さいときは(S701)、被写体の動きが小さいと考えられる。このとき、ぶれ検出手段が検出した自装置のぶれ量が所定の閾値よりも大きいときは(S702)、自装置の動きが大きいと考えられる。そこで、CPU106aは、手ぶれの発生を防止するためにシャッタ機構の露光時間を短くする(S704)。しかし、露光時間を短くすると必要な露光量が得られなくなるので、絞り機構を開いたり感度を上げたりすることで適正な露出条件を決定する(S705)。
【0035】
一方、ぶれ検出手段が検出した自装置のぶれ量が所定の閾値よりも小さいときは(S702)、自装置の動きが小さいと考えられる。そこで、CPU106aは、被写体ぶれも手ぶれもともに発生する可能性が低いので、画質を向上するためにシャッタ機構の露光時間を長くする(S703)。また、絞り機構の絞り値を決定し感度をできるだけ下げることで適正な露出条件を決定する(S705)。
(2.3 効果)
本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラによれば、被写体の動きが小さいときでも自装置のぶれ量に基づいて露出を制御することができる。被写体ぶれや手ぶれが発生する可能性が高いときは、シャッタ機構の露光時間を短くすることで被写体ぶれや手ぶれの発生を防止することができる。一方、被写体ぶれや手ぶれが発生する可能性が低いときは、シャッタ機構の露光時間を長くすることで、感度を下げることができる。感度を下げることによって、画像データの解像度の低下やノイズの増加を防止することができる。
(2.4 その他)
(2.4.1 その他の構成 1)
なお、本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラは、本発明のぶれ検出手段として、角速度センサ(1)601と角速度センサ(2)602とA/D変換器603ではなく、三脚判定手段を有する構成としてもよい。三脚判定手段は、例えば、自装置の三脚装着用ネジ穴の底部にスイッチを設けることで実現できる。三脚判定手段で判定された三脚装着有無の情報は、信号処理LSI106内のCPU106aに送られる。
【0036】
図8は、本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラのぶれ検出手段として三脚判定手段を有する構成としたときの露出条件決定を示すフローチャートである。本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラの露出条件決定を示すフローチャートである図7との違いは、自装置のぶれ量と所定の閾値との比較(S701)が三脚装着有無の情報の判定(S802)に変わっている点である。その他の動作は、図7と同じであるので説明を省略する。
【0037】
この構成によれば、三脚判定手段が三脚装着ありと判定したときは、手ぶれが発生する可能性が低いので、シャッタ機構の露光時間を長くすることで、感度を下げることができる。感度を下げることによって、画像データの解像度の低下やノイズの増加を防止することができる。
(2.4.2 その他の構成 2)
なお、本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラは、本発明のぶれ検出手段として、角速度センサ(1)601と角速度センサ(2)602とA/D変換器603と三脚判定手段を有する構成としてもよい。
【0038】
図9は、本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラのぶれ検出手段として角速度センサ(1)601と角速度センサ(2)602とA/D変換器603と三脚判定手段を有する構成としたときの露出条件決定を示すフローチャートである。
【0039】
相関算出手段106fが求めた相関値が所定の閾値よりも大きいときは(S901)、被写体の動きが大きいと考えられる。そこで、CPU106aは、被写体ぶれの発生を防止するためにシャッタ機構の露光時間を短くする(S905)。しかし、露光時間を短くすると必要な露光量が得られなくなるので、絞り機構を開いたり感度を上げたりすることで適正な露出条件を決定する(S906)。
【0040】
相関算出手段106fが求めた相関値が所定の閾値よりも小さいときは(S901)、被写体の動きが小さいと考えられる。このとき、三脚判定手段が判定した三脚装着有無の情報が三脚装着なしと判定されたときは(S902)、自装置のぶれ量の判定を行う(S903)。
【0041】
ぶれ検出手段が検出した自装置のぶれ量が所定の閾値よりも大きいときは(S903)、自装置の動きが大きいと考えられる。そこで、CPU106aは、手ぶれの発生を防止するためにシャッタ機構の露光時間を短くする(S905)。しかし、露光時間を短くすると必要な露光量が得られなくなるので、絞り機構を開いたり感度を上げたりすることで適正な露出条件を決定する(S906)。
【0042】
一方、ぶれ検出手段が検出した三脚装着有無の情報が三脚装着ありと判定されたときと(S902)ぶれ検出手段が検出した自装置のぶれ量が所定の閾値よりも小さいときは(S903)、被写体の動きと自装置の動きがともに小さいと考えられる。そこで、CPU106aは、被写体ぶれも手ぶれもともに発生する可能性が低いので、画質を向上するためにシャッタ機構の露光時間を長くする(S904)。また、絞り機構の絞り値を決定し感度をできるだけ下げることで適正な露出条件を決定する(S906)。
【0043】
この構成によれば、三脚判定手段が三脚装着ありと判定したときは、手ぶれが発生する可能性が低いので、自装置のぶれ量の判定を行わないようにすることができる。自装置のぶれ量の判定を行わないことによって、消費電力を削減し、露出条件決定に要する時間を短縮することができる。
(実施の形態3)
以下、本発明の第3の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
(3.1 構成)
図10は、本発明の第3の実施例であるデジタルスチルカメラの構成を示すブロック図である。本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラの構成を示すブロック図である図1との違いは、本発明の第3の実施例であるデジタルスチルカメラが信号処理LSI106の信号処理部106bに動きベクトル算出手段106hを含む点と輝度測定手段1001を有する点である。その他の構成は、図1と同じであるので説明を省略する。
【0044】
動きベクトル算出手段106hは、複数の画像データから被写体の動きの向きと大きさを示す動きベクトルを算出する回路である。動きベクトルは主に動画の圧縮に利用されるが、動きベクトルをデジタルスチルカメラの露出条件決定に利用することもできる。しかし、被写体の輝度が小さいときは、動きベクトルを正確に算出できないという課題がある。
【0045】
輝度測定手段1001は、被写体の輝度を測定するセンサであって、本発明の第3の実施例では独立した輝度測定手段1001を有する構成としたが、CCD102が出力する画像信号から被写体の輝度を測定する構成としてもよい。後者の場合は、輝度測定手段1001は不要である。輝度測定手段1001で測定された被写体の輝度情報は、信号処理LSI106内のCPU106aに送られる。
(3.2 動作)
本発明の第3の実施例であるデジタルスチルカメラの動作は、本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラの動作を示すフローチャートである図2に対して、被写体の輝度情報によって、領域分割と位置算出と相関算出を行うか、動きベクトル算出を行うかを判定する点のみが異なる。
【0046】
図11は、本発明の第3の実施例であるデジタルスチルカメラの動作を示すフローチャートである。S1101からS1107は、図2のS201からS207と同じである。このとき、輝度測定手段1001が測定した被写体の輝度情報が所定の閾値よりも小さいときは(S1108)、被写体の輝度が小さいと考えられる。そこで、図2と同様に領域分割(S1109)と位置算出(S1110)と相関算出(S1111)を行う。輝度測定手段1001が測定した被写体の輝度情報が所定の閾値よりも大きいときは(S1108)、被写体の輝度が大きいと考えられる。そこで、動きベクトル算出(S1112)を行う。
【0047】
CPU106aは、露出制御手段106gに光学系101の合焦動作を指示する(S1113)とともに適正な露出条件を、相関算出手段106fが算出した相関値または動きベクトル算出手段106hが算出した動きベクトルによって求める(S212)。S1115からS1118は、図2のS213からS216と同じである。
(3.3 効果)
本発明の第3の実施例であるデジタルスチルカメラによれば、被写体の輝度が大きいときは動きベクトルに基づいて被写体の動きを検出し、被写体の輝度が小さく動き検出手段の精度が低下するときは、相関値に基づいて被写体の動きを検出することができる。
【0048】
被写体の輝度が大きいときは、LCD107に出力される表示データが1秒間に30回更新される。しかし、被写体の輝度が小さいときは、CCD102に蓄積される電荷を増やすために、LCDに出力される表示データの更新を1秒間に15回程度にする場合がある。このような場合には、動き検出手段が動作できないことがある。
【0049】
なお、本発明の第3の実施例では、シャッタ釦が半押しされてから被写体の輝度情報による判定を行ったが、シャッタ釦が半押しされる前に被写体の輝度情報による判定を行い、領域分割手段と位置算出手段と相関算出手段または動きベクトル算出手段のいずれかを常時動作させるようにしてもよい。シャッタ釦の半押しから露出条件決定までに要する時間を短縮することができる。
(3.4 その他)
なお、本発明の第3の実施例であるデジタルスチルカメラは、本発明の第2の実施例と同様のぶれ検出手段として、角速度センサとA/D変換器を有する構成としてもよい。図12は、本発明の第3の実施例であるデジタルスチルカメラのぶれ検出手段として角速度センサとA/D変換器を有する構成としたときの露出条件決定を示すフローチャートである。
【0050】
輝度測定手段1001が測定した被写体の輝度情報が所定の閾値よりも小さいときは(S1201)、相関算出手段106fが算出した相関値(S1202)とぶれ検出手段が検出した自装置のぶれ量(S1203)によって、シャッタ機構の露光時間(S1204、S1205)と絞り機構の絞り値と感度(S1206)を決定する。
【0051】
輝度測定手段1001が測定した被写体の輝度情報が所定の閾値よりも大きいときは(S1201)、動きベクトル算出手段106hが算出した動きベクトル(S1207)とぶれ検出手段が検出した自装置のぶれ量(S1208)によって、シャッタ機構の露光時間(S1209、S1210)と絞り機構の絞り値と感度(S1211)を決定する。
【0052】
この構成によれば、被写体の輝度が大きいときは動きベクトルと自装置のぶれ量に基づいて露出を制御し、被写体の輝度が小さく動き検出手段の精度が低下するときは、相関値と自装置のぶれ量に基づいて露出を制御することができる。
(その他の実施の形態)
(4.1 その他の構成 1)
なお、本発明の第1の実施例から第3の実施例では、AFE103がSDRAM105に格納した画像データに対して、領域分割手段106dによる領域分割と位置算出手段106eによる位置算出と相関算出手段106fによる相関算出を行う構成とした。また、AFE103がSDRAM105に格納した画像データに対して、動きベクトル算出手段106hが動きベクトル算出を行う構成とした。
【0053】
しかし、これらの処理は、必ずしもAFE103がSDRAM105に格納した画像データに対して行う必要はない。例えば、画像処理手段106cが変換した表示データに対して行ってもよい。表示データは、画像データに比べてデータ量が少ないので、シャッタ釦の半押しから露出条件決定までに要する時間を短縮することができる。デジタルスチルカメラ内では、様々な処理を施したデータが一時的に作成されるので、これらの処理に最も適したデータを選択することができる。
(4.2 その他の構成 2)
なお、本発明の第1の実施例から第3の実施例では、位置算出手段106eが領域Aから領域Dのそれぞれについて最大輝度を有する小領域を算出する構成とした。しかし、位置算出手段106eが領域Aから領域Dのそれぞれについて最小輝度を有する小領域を算出する構成としてもよい。
(4.3 その他の構成 3)
なお、本発明の第1の実施例から第3の実施例では、相関算出手段106fが領域Aから領域Dのそれぞれについて最大輝度を有する小領域の移動量を加算して相関値を算出する構成とした。しかし、領域Aから領域Dのそれぞれを構成する小領域の最大輝度と平均輝度を算出し、最大輝度と平均輝度の差が所定の閾値よりも小さい領域は、最大輝度を有する小領域の移動量の加算の対象外としてもよい。また、最大輝度と平均輝度の差が所定の閾値よりも小さい領域が所定の数以上存在するときは、相関値を算出しないようにしてもよい。相関算出の信頼性を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、被写体の輝度が小さいときにも被写体の動きを正確に検出し、演算負荷も小さい露出制御方法とこれを搭載した撮像装置を提供することができるので、デジタルスチルカメラ・ビデオカメラ・カメラ付携帯電話などの撮像装置に適用して有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラの構成を示すブロック図
【図2】本発明の第1の実施例であるデジタルスチルカメラの動作を示すフローチャート
【図3】領域分割手段による画像データの分割を示す模式図
【図4】位置算出手段による最大輝度位置の算出を示す模式図
【図5】位置算出手段による最大輝度位置の算出を示す模式図
【図6】本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラの構成を示すブロック図
【図7】本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラの露出条件決定を示すフローチャート
【図8】本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラのぶれ検出手段として三脚判定手段を有する構成としたときの露出条件決定を示すフローチャート
【図9】本発明の第2の実施例であるデジタルスチルカメラのぶれ検出手段として角速度センサとA/D変換器と三脚判定手段を有する構成としたときの露出条件決定を示すフローチャート
【図10】本発明の第3の実施例であるデジタルスチルカメラの構成を示すブロック図
【図11】本発明の第3の実施例であるデジタルスチルカメラの動作を示すフローチャート
【図12】本発明の第3の実施例であるデジタルスチルカメラのぶれ検出手段として角速度センサとA/D変換器を有する構成としたときの露出条件決定を示すフローチャート
【符号の説明】
【0056】
101 光学系
102 CCD
103 AFE
104 バス
105 SDRAM
106 信号処理LSI
106a CPU
106b 信号処理部
106c 画像処理手段
106d 領域分割手段
106e 位置算出手段
106f 相関算出手段
106g 露出制御手段
107 LCD
108 シャッタ釦
109 メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の画像データを生成する撮像手段と、
前記画像データを複数の領域に分割する領域分割手段と、
前記領域内の最大輝度位置を求める位置算出手段と、
複数の前記画像データについて前記最大輝度位置の相関値を求める相関算出手段と、
前記相関値に基づいて露出を制御する露出制御手段と、
を有する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
自装置のぶれ量を求めるぶれ検出手段、
をさらに有し、
前記露出制御手段は、
前記相関値と前記ぶれ量に基づいて露出を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
被写体の輝度を求める輝度測定手段と、
複数の前記画像データについて動きベクトルを求める動きベクトル算出手段と、
をさらに有し、
前記露出制御手段は、
前記輝度が所定の値より大きいときは前記動きベクトルに基づいて露出を制御し、
前記輝度が所定の値より小さいときは前記相関値に基づいて露出を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
自装置のぶれ量を求めるぶれ検出手段と、
被写体の輝度を求める輝度測定手段と、
複数の前記画像データについて動きベクトルを求める動きベクトル算出手段と、
をさらに有し、
前記露出制御手段は、
前記輝度が所定の値より大きいときは前記動きベクトルと前記ぶれ量に基づいて露出を制御し、
前記輝度が所定の値より小さいときは前記相関値と前記ぶれ量に基づいて露出を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記領域分割手段は、
前記画像データに所定の処理を施したデータを複数の領域に分割する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
被写体の画像データを生成する撮像工程と、
前記画像データを複数の領域に分割する領域分割工程と、
前記領域内の最大輝度位置を求める位置算出工程と、
複数の前記画像データについて前記最大輝度位置の相関値を求める相関算出工程と、
前記相関値に基づいて露出を制御する露出制御工程と、
を有する
ことを特徴とする露出制御方法。
【請求項7】
自装置のぶれ量を求めるぶれ検出工程、
をさらに有し、
前記露出制御工程は、
前記相関値と前記ぶれ量に基づいて露出を制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の露出制御方法。
【請求項8】
被写体の輝度を求める輝度測定工程と、
複数の前記画像データについて動きベクトルを求める動きベクトル算出工程と、
をさらに有し、
前記露出制御工程は、
前記輝度が所定の値より大きいときは前記動きベクトルに基づいて露出を制御し、
前記輝度が所定の値より小さいときは前記相関値に基づいて露出を制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の露出制御方法。
【請求項9】
自装置のぶれ量を求めるぶれ検出工程と、
被写体の輝度を求める輝度測定工程と、
複数の前記画像データについて動きベクトルを求める動きベクトル算出工程と、
をさらに有し、
前記露出制御工程は、
前記輝度が所定の値より大きいときは前記動きベクトルと前記ぶれ量に基づいて露出を制御し、
前記輝度が所定の値より小さいときは前記相関値と前記ぶれ量に基づいて露出を制御する、
ことを特徴とする請求項6に記載の露出制御方法。
【請求項10】
前記領域分割工程は、
前記画像データに所定の処理を施したデータを複数の領域に分割する、
ことを特徴とする請求項6から請求項9のいずれかに記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−278155(P2008−278155A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118677(P2007−118677)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】