説明

撮像装置

【課題】ライブビュー表示状態から光学ファインダを使用可能な状態への切り換えを、使用者の操作に委ねることなく、素早く行える撮像装置を提供する。
【解決手段】光学ファインダ201,206に使用者の目が接近したかどうかを検出する接眼検知手段233,227と、撮影モード切換手段229,226にてライブビュー撮影モードに切り換えられている場合に、接眼検知手段によって、光学ファインダに使用者の目が接近したことが検知されたときには、ライブビュー撮影モードから通常撮影モードに切り換えるように制御する制御手段223とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ファインダによる被写体像観察とライブビュー表示による被写体像観察を切り換えることが可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一眼レフレックスタイプのデジタルカメラは、撮像素子の前段に、撮影光路に対して進退可能なクイックリターンミラーを有している。このクイックリターンミラーは、フレーミング時には、撮影光路内に進入して撮像レンズを透過した被写体光をファインダへ導き、撮影時には、撮影光路から退避する構成になっている。また、この種のカメラ本体の背面には画像表示器が具備されており、撮影画像の確認表示に用いたり、各種カメラの動作設定値(シャッタスピード、絞り値、撮像感度、撮影モード等)の確認に用いたりされている。
【0003】
コンパクトカメラタイプのデジタルカメラには、上記のクイックリターンミラーは具備されておらず、画像表示器に撮像素子で得られる画像をリアルタイムで表示する、所謂ライブビュー表示を行い、フレーミングを可能にしている。また、別のフレーミングを可能にする手段として、クイックリターンミラーを有しない光学ファインダを設けているものもある。
【0004】
また、コンパクトタイプのデジタルカメラには、省電力を目的として、接眼検知手段を用い、画像表示器にて画像表示を行っている際に、光学ファインダの使用を検知すると、画像表示器用のバックライトを消灯するようにしたものが開示されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−165705号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1のカメラにおいては、光学ファインダによる被写体像の観察可能な状態と、画像表示器によるライブビュー表示を同時に作り出すことができるので、接眼検知手段を用いての省電力を行う技術が搭載されている。これに対し、一眼レフレックスタイプのデジタルカメラにおいては、クイックリターンミラーを撮影光路に進退させることで、光学ファインダによる被写体像の観察可能な状態と、画像表示器によるライブビュー表示のいずれかを選択的に可能にするものである。よって、上記の省電化の技術は不要である。
【0006】
上記のように、一眼レフレックスタイプのデジタルカメラの場合、光学ファインダによる被写体像の観察可能な状態と画像表示器にライブビュー表示を行う事が構造上、同時には出来ない。そのため、ライブビュー撮影モードにて撮影構図を確認する場合、外部の画像表示器から目を離した状態でその確認をするために細かい構図の確認にはライブビュー撮影モードは不向きである。この際は光学ファインダにて構図の確認をする事が望ましい。しかしながら、ライブビュー表示状態から光学ファインダを使用可能な状態にするには、そのための切り換え操作等が必要であり、素早い切り換えができないものであった。
【0007】
(発明の目的)
本発明の目的は、ライブビュー表示状態から光学ファインダを使用可能な状態への切り換えを、使用者の操作に委ねることなく、素早く行うことのできる撮像装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、光学ファインダにて被写体像を観察することができる通常撮影モードと、画像表示器にて被写体像を観察することができるライブビュー撮影モードを切り換える撮影モード切換手段と、前記光学ファインダに使用者の目が接近したかどうかを検出する接眼検知手段と、前記撮影モード切換手段にて前記ライブビュー撮影モードに切り換えられている場合に、前記接眼検知手段によって、前記光学ファインダに使用者の目が接近したことが検知されたときには、前記ライブビュー撮影モードから前記通常撮影モードに切り換えるように制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の撮像装置は、撮影レンズからの光束により形成された被写体像を光電変換する撮像素子と、前記光束を用いて被写体像の観察を可能とする光学ファインダと、前記光束を前記光学ファインダに向けて反射する第1の状態と前記光束を前記撮像素子に向けて透過させる第2の状態とに切り換え駆動されるミラーユニットと、前記光学ファインダに使用者の目が接近したかどうかを検出する接眼検知手段と、前記ミラーユニットが前記第2の状態に切り換えられている場合に、前記接眼検知手段によって、前記光学ファインダに使用者の目が接近したことが検知されたときには、前記ミラーユニットを前記第2の状態から前記第1の状態に切り換えるように前記ミラーユニットを駆動制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ライブビュー表示状態から光学ファインダを使用可能な状態への切り換えを、使用者の操作に委ねることなく、素早く行うことができる撮像装置を提供できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例に示す通りである。
【実施例】
【0012】
図1は本発明の一眼レフレックスタイプの撮像装置であるデジタルカメラの電気的構成を示すブロック図である。
【0013】
デジタルカメラ200には、撮像レンズユニット100が不図示のマウント機構を介して着脱可能である。マウント部には、デジタルカメラ200と撮像レンズユニット100の間で通信を行ための電気的接点群107が具備されており、この電気接点群107を介して撮像レンズ101及び絞り102の駆動等のための信号の授受が行われる。
【0014】
図示されない被写体からの撮影光束は、撮像レンズ101及び光量を調節するための露出手段である絞り102を介して、撮影光路に対して進退可能に回動されるミラーユニットであるクイックリターンミラー202に導かれる。クイックリターンミラー202の中央部はハーフミラーになっており、該クイックリターンミラー202が図1に示すように撮影光路に進入(以下、ダウン)した際に、一部の光束がこのハーフミラーを透過する。透過した光束は、クイックリターンミラー202に設置されたサブミラー203で図1において下方に反射され、自動焦点調整用のAF(オートフォーカス)センサ204に導かれる。AFセンサ204は、撮像画面の複数の位置で焦点検出できるようになっている。
【0015】
一方、クイックリターンミラー202で図1において上方に反射された撮影光束は、ペンタプリズム201、接眼レンズ206を介して撮影者の目に導かれる。
【0016】
また、クイックリターンミラー202が撮影光路から退避(以下、アップ)した際には、撮像レンズ101からの光束は、フォーカルプレーンシャッタ208、フィルタ209を介してCMOS等に代表される撮像素子であるイメージセンサ210に導かれる。イメージセンサ210は、撮影レンズからの光束により形成された被写体像を光電変換する。上記フィルタ209は2つの機能を有しており、1つは、赤外線をカットして可視光線のみをイメージセンサ210へ導く機能であり、もう1つは、光学ローパスフィルタとしての機能である。上記フォーカルプレーンシャッタ208は、先幕及び後幕から成り、撮像レンズ101からの光束を透過、遮断してイメージセンサ210への光量を調節するものである。
【0017】
なお、クイックリターンミラー202のアップ時には、サブミラー203は折り畳まれ、クイックリターンミラー202と同様に撮影光路から退避するようになっている。
【0018】
本実施例におけるデジタルカメラ200には、当該デジタルカメラ全体の制御を司るCPUにより構成される制御手段としてのシステムコントローラ223が具備されており、該システムコントローラ223に各部が接続されている。そして、これら各部は該システムコントローラ223により適宜制御される。
【0019】
上記システムコントローラ223には、撮像レンズ101を光軸方向に移動してピント合わせを行うためのレンズ駆動機構103を制御するレンズ制御回路104、絞り102を駆動するための絞り駆動機構105を制御する絞り制御回路106が接続される。さらには、クイックリターンミラー202のアップ、ダウン及びフォーカルプレーンシャッタ208のシャッタチャージを制御するシャッタチャージ・ミラー駆動機構211が接続される。さらには、フォーカルプレーンシャッタ208の先幕、後幕の走行を制御するためのシャッタ制御回路212、接眼レンズ206の近傍に配設された測光センサに接続された自動露出用の分割測光手段である測光回路207が接続される。さらには、当該デジタルカメラ200を制御する上で調整が必要なパラメータやデジタルカメラの個体識別が可能なカメラID情報や、基準レンズで調整されたAF補正データや、自動露出補正値が記憶されている記憶部であるEEPROM222が接続される。
【0020】
レンズ制御回路104は、レンズ固有の情報、例えば焦点距離、開放絞り、レンズ個々に割り振られるレンズIDという情報と、シーケンスコントローラ223から受け取った情報を記憶するレンズ記憶部を有している。
【0021】
デジタルカメラ200には、パーソナルコンピュータ(PC)に代表される外部制御装置300が接続可能になっており、通信インター接眼回路224を介して該パーソナルコンピュータ300とシステムコントローラ223とが通信可能になっている。
【0022】
自動露出調整用の測光回路207に接続される測光センサは、被写体の輝度を測定するためのセンサであり、その出力は測光回路207を経てシステムコントローラ223へ供給される。システムコントローラ223は、レンズ駆動機構103を制御することにより、被写体像をイメージセンサ210上に結像させる。また、システムコントローラ223は、設定されたAv値(絞り値情報)に基づいて絞り102を駆動する絞り駆動機構105を制御し、更に、設定されたTv値(シャッタ速度情報)に基づいた制御信号をシャッタ制御回路212へ出力する。
【0023】
フォーカルプレーンシャッタ208の先幕及び後幕は、駆動源がバネにより構成されており、シャッタ走行後、次の動作のためにバネチャージを要する。シャッタチャージ・ミラー駆動機構211は、このバネチャージを制御するようになっている。また、シャッタチャージ・ミラー駆動機構211によりクリックリターンミラー202のアップ、ダウンが行われる。
【0024】
また、システムコントローラ223には、画像データコントローラ220が接続される。画像データコントローラ220は、DSP(デジタル信号プロセッサ)により構成される補正データサンプル部及び補正部である。この画像データコントローラ220は、イメージセンサ210の制御、該イメージセンサ210から入力された画像データの補正や加工などをシステムコントローラ223の指令に基づいて実行する。画像データの補正、加工の項目の中にはオートホワイトバランスも含まれる。オートホワイトバランスとは、撮像画像の中の最大輝度の部分を所定の色(白色)に補正する機能である。オートホワイトバランスは、シーケンスコントローラ223からの命令により補正量を変更する事が可能である。
【0025】
画像データコントローラ220には、イメージセンサ210を駆動する際に必要なパルス信号を出力するタイミングパルス発生回路217が接続される。さらには、イメージセンサ210と共にタイミングパルス発生回路217で発生されたタイミングパルスを受けて、イメージセンサ210から出力される被写体像に対応したアナログ信号をデジタル信号に変換するためのA/Dコンバータ216が接続される。さらには、得られた画像データ(デジタルデータ)を一時的に記憶しておくDRAM221、D/Aコンバータ215及び画像圧縮回路219が接続される。
【0026】
DRAM221は、加工や所定のフォーマットへのデータ変換が行われる前の画像データを一時的に記憶するための記憶手段として使用される。D/Aコンバータ215には、エンコーダ回路214を介して画像表示回路213が接続される。画像圧縮回路219には、記録手段である画像データ記録メディア218が接続される。
【0027】
画像表示回路213は、イメージセンサ210で撮影された画像データを画像表示器236に表示させるためのものである。画像表示器236は、ライブビュー表示、再生画像及び撮影結果確認画像を外部表示する画像表示手段であり、一般にはカラーの液晶表示素子により構成される。そして、ライブビュー撮影時には、該画像表示器236にはライブビュー表示(撮像素子で撮像された画像を連続的に取り込み、取り込んだ画像を連続的に表示させることを意味する)が行われる。撮影後には、撮影時のプレビュー画像が表示される。
【0028】
画像データコントローラ220は、DRAM221上の画像データを、D/Aコンバータ215によりアナログ信号に変換してエンコーダ回路214へ出力する。エンコーダ回路214はこのD/Aコンバータ215の出力を、画像表示回路213を駆動する際に必要な映像信号(例えばNTSC信号)に変換する。
【0029】
画像圧縮回路219は、DRAM221に記憶された画像データの圧縮や変換(例えばJPEG)を行うためのものである。変換された画像データは、画像データ記録メディア218に格納される。記録メディアとしては、ハードディスク、フラッシュメモリ等が使用される。
【0030】
システムコントローラ223には、さらに、当該デジタルカメラ200の動作モードの情報や露出情報(シャッタ秒時、絞り値等)の表示を行うための動作表示回路225が接続される。さらには、測光・焦点検出(測距)などの撮影準備動作を開始させるための第1ストロークスイッチ230(以下、スイッチSW1)が接続される。さらには、通常撮影モード時の撮影動作の開始を指示するための第2ストロークスイッチ231(以下、スイッチSW2)が接続される。さらには、撮影者(使用者)が所望の動作を当該デジタルカメラ200に実行させるべくモードを設定するモード設定スイッチ229が接続される。さらには、AFセンサ204が持つ複数のAFエリアから使用するAFエリアを選択するためのAFエリア選択スイッチ228が接続される。さらには、接眼検知部の有効・無効を設定するための接眼検知設定スイッチ232、使用する測光エリアを選択する測光エリア選択スイッチ235、回転動作によりパラメータをアップ、ダウンさせて表示する電子ダイヤルスイッチ226が接続される。スイッチSW2は、ライブビュー撮影モード時には、ライブビュー撮影開始のためのスイッチとして、スイッチSW1はライブビュー撮影終了のためのスイッチとしての機能もそれぞれ有する。
【0031】
233は接眼検知部の投光部、227は接眼検知部の受光部である。投光部233からは赤外光が発せられる。光学ファインダ(以下、ファインダ)に撮影者の顔の一部があった場合、投光部233が発した近赤外光は顔の一部で反射し、反射した赤外光が受光部227に到達する。この事により、ファインダに撮影者の顔が接近したかどうかを検知できる。
【0032】
ここで、図6を用いて、接眼検知部がファインダに撮影者の顔が接近したかどうかを検知できる反応距離について説明する。
【0033】
図6に示すように、投光部233から一定光量が発せられた場合、顔の一部と受光部227との距離によって該受光部227で受光する光量は変化する。つまり、受光部227と顔の一部との距離が長くなるほど、受光量は低下する。
【0034】
そこで、顔の検知としてより良い距離となる受光量を判定値とする事によって、距離Aに顔の一部が近づいた場合、接眼検知部にて顔検知を行うことができ、ファインダに顔がある、つまりファインダが使用される常態にあると判定する。この判定距離を長くしたい場合は、投光部233の投光出力をアップさせることによって、必然的に反応距離は長くなる。
【0035】
次に、図2を用いて、撮影モードの選択シーケンスについて説明する。
【0036】
ステップS101では、撮影モード選択操作が行われたか否かを判定する。撮影モード選択操作は、撮影モード切換手段であるモード設定スイッチ229と電子ダイヤルスイッチ226により行われる。モード設定スイッチ229がオンの状態で電子ダイヤルスイッチ226が操作されると、撮影モードが順次切り換わる。
【0037】
上記ステップS101にて撮影モード選択操作が行われ、ライブビュー撮影モードが選択された場合はステップ102へ進み、ライブビュー撮影シーケンスへ移行する。一方、ステップS101にてライブビュー撮影モード以外が選択されていた場合はステップS103へ進み、通常撮影シーケンスへ移行する。
【0038】
次に、図3を用いて、ライブビュー撮影モード時の接眼検知設定シーケンスについて説明する。
【0039】
ステップS201では、ライブビュー撮影モードが設定された状態において接眼検知機能選択操作が行われたか否かを判定する。接眼検知機能選択操作は、接眼検知設定スイッチ232と電子ダイヤルスイッチ226により行われる。接眼検知設定スイッチ232がオンの状態で、電子ダイヤルスイッチ226が操作されると、接眼検知部により顔を検知するときの動作設定を、“通常撮影優先”もしくは“ライブビュー撮影優先”に切り換えることができる。
【0040】
ステップS201にて“ライブビュー撮影優先”に切り換えられた場合はステップS202へ進み、ライブビュー撮影時に接眼検知部が顔を検知した場合、他の撮影モードへ移行せずにライブビュー撮影を続行するように設定する。そして、ステップS204でライブビュー撮影シーケンスへ移行する。
【0041】
一方、ステップS201にて“通常撮影優先”に切り換えられていた場合はステップS203へ進み、ライブビュー撮影時に接眼検知部が顔を検知した場合、通常撮影モードへ移行するように設定する。そして、ステップS204で通常撮影シーケンスへ移行する。
【0042】
次に、図4を用いて、図2のステップS103及び、図3ステップS203にて行われる通常撮影シーケンスについて説明する。
【0043】
ステップS301では、スイッチSW1がオンされたか否か判定する。オンされていなければオンされるまでこのステップで待機する。その後、スイッチSW1がオンされると、撮影時の露出量を決定するステップS302〜S303及びピントを合わせるステップS304〜S306へそれぞれ分岐し、これらの並行処理を行う。
【0044】
ステップS302へ進むと、撮像レンズ101を通り、主ミラー202で反射され、ペンタプリズム201を通過した光束を、測光回路207により測光する。次のステップS303では、シーケンスコントローラ223が測光回路207の出力に応じて撮影時の露出量(絞り値、シャッタ速度の各情報)を決定する。そして、ステップS308へ進む。
【0045】
一方、ステップS304へ進むと、シーケンスコントローラ223がAFセンサ204、焦点検出回路205を用いて焦点検出を行う。次のステップS305では、焦点検出が出来たか否かを判定する。被写体が低コントラストの場合や暗い場合は、焦点検出が出来ない事がある。焦点検出が出来なかった場合にはステップS307へ進み、警告を行う。焦点検出が出来た場合はステップS306へ進み、焦点検出結果に基づいてシステムコントローラ223がレンズ制御回路104にレンズ駆動量を送信する。これにより、レンズ制御回路104がレンズ駆動量に基づいてレンズ駆動機構103を制御し、撮像レンズ101が合焦位置へと移動する。その後はステップS308へ進む。
【0046】
次のステップS308では、スイッチSW2がオンされたか否かを判定し、オンされていなければオンされるまで待機する。その後、スイッチSW2がオンされるとステップS309へ進み、システムコントローラ223がシャッタチャージ・ミラー駆動機構211を制御してクイックリターンミラー202をアップさせる。
【0047】
次のステップS310では、ステップS303で設定された絞り値情報をシステムコントローラ223が絞り制御回路106へ送信し、絞り駆動機構105を駆動して、設定された絞り値まで絞り102を絞り込ませる。次のステップS311では、システムコントローラ223がフォーカルプレーンシャッタ208を開くよう、各部を制御する。続くステップS312では、シーケンスコントローラ223が画像データコントローラ(DSP)220に対して撮像素子であるイメージセンサ210の積分動作を指示する。そして、ステップS313にて、所定時間、待機する。
【0048】
上記の積分時間が終わるとステップS314へ進み、フォーカルプレーンシャッタ208を閉じる。次のステップS315では、システムコントローラ223が次回の動作に備えてフォーカルプレーンシャッタ208のチャージ動作及びミラーダウン駆動を行う。次のステップS316では、絞り102を開放へと駆動し、続くステップS317にて、シーケンスコントローラ223が画像データコントローラ220に対してイメージセンサ210から画像データを取り込むように指示する。そして、次のステップS318にて、読み出した画像データを画像圧縮回路219を通して画像データ記録メディア218へ記録させる。
【0049】
次のステップS319では、スイッチSW2がオンされたか否かを判定し、OFFされるまで待機する。スイッチSW2がOFFされるとステップS320へ進み、撮影モードが通常撮影モードかライブビュー撮影モードかを判定し、通常撮影モードの場合はこのシーケンスを終了する。一方、ライブビュー撮影モードの場合はステップS321へ進み、接眼検知を行う。この結果、撮影者の顔がファインダ近くにある(ファインダが使用される状態である)と判定すると、通常撮影を選択していると判定してステップS301へ戻る。しかし、顔が離れている(ファインダが使用状態にない)と判定した場合はライブビュー撮影モードでの撮影を選択していると判定し、ライブビュー撮影シーケンスへ進む。
【0050】
次に、図5を用いて、図2のステップS102にて行われるライブビュー撮影シーケンスについて説明する。
【0051】
ステップS401では、スイッチSW1がオンされたか否か判定する。オンされていなければオンされるまでこのステップで待機する。その後、スイッチSW1がオンされると、ライブビュー開始直後の露出量を決定するステップS402〜S403及びピントを合わせるステップS404〜S406にそれぞれ分岐し、並行処理を行う。
【0052】
ステップS402へ進むと、撮像レンズ101を通り、主ミラー202で反射され、ペンタプリズム201を通過した光束を、測光回路207で測光する。そして、次のステップS403にて、シーケンスコントローラ223が測光回路207の出力に応じてライブビュー開始直後の露出量(絞り値、シャッタ速度の各情報)を決定する。そして、ステップS408へ進む。
【0053】
一方、ステップS404へ進むと、シーケンスコントローラ223がAFセンサ204、焦点検出回路205を用いて焦点検出を行う。そして、次のステップS405にて、焦点検出が出来たか否かを判定する。被写体が低コントラストの場合や暗い場合には、焦点検出が出来ない事がある。焦点検出が出来なかった場合にはステップS407へ進み、警告を行う。焦点検出が出来た場合はステップS406へ進み、焦点検出結果に基づいてシステムコントローラ223がレンズ制御回路104にレンズ駆動量を送信する。これにより、レンズ制御回路104がレンズ駆動量に基づいてレンズ駆動機構103を制御し、撮像レンズ101が合焦位置へと移動する。その後はステップS408へ進む。
【0054】
ステップS408では、接眼検知部を成す投光部233の投光出力を増加させ、接眼検知反応距離を長くする。次のステップS409では、システムコントローラ223がシャッタチャージ・ミラー駆動機構211を制御してクイックリターンミラー202をアップさせる。
【0055】
次のステップS410では、ステップS403で設定された絞り値情報をシステムコントローラ223が絞り制御回路106へ送信し、絞り駆動機構105を駆動して、設定された絞り値まで絞り102を絞り込ませる。次いでステップS411にて、システムコントローラ223がフォーカルプレーンシャッタ208を開くよう、各部を制御する。続くステップS412では、シーケンスコントローラ223が画像データコントローラ220に対してイメージセンサ210から画像データを取り込むように指示する。
【0056】
次のステップS413では、取り込んだ画像データを基に合焦動作を行い、かつ露出(AE)を決定する。続くステップS414では、シーケンスコントローラ223が画像データコントローラ220に対してイメージセンサ210から画像データを取り込むように指示する。これにより、画像表示回路213等を介して画像表示器236にフレーミングを助けるためのライブビュー表示が行われる。
【0057】
次のステップS415では、投光部233及び受光部227より構成される接眼検知部により接眼(眼=顔)検知を行う。ここで、ライブビュー画像を見るためにファインダを覗いている(接眼している)撮影者の顔を検知した場合、ステップS416へ進む。また、顔を検知しなかった場合はステップS417へ進む。
【0058】
次のステップS416へ進むと、ライブビュー撮影モード時の接眼検知部の設定を確認する。ライブビュー撮影モード時における接眼検知部の設定が“通常撮影優先”に設定されていた場合はステップS424へ進む。また、ライブビュー撮影モード時における接眼検知部の設定が“ライブビュー撮影優先”に設定されていた場合はステップS417へ進む。
【0059】
ステップS417では、スイッチSW2がオンされているか否かを判定する。オンされていない場合はステップS412へもどり、同様の動作を繰り返す。一方、スイッチSW2がオンされていた場合はステップS418へ進み、シーケンスコントローラ223が画像データコントローラ220に対してイメージセンサ210から画像データを取り込むように指示する。次のステップS419では、取り込んだ画像データを画像圧縮回路219を介して画像データ記録メディア218へ記録する。
【0060】
次のステップS420では、レリーズSW1がオンされているか否かを判定する。オンされている場合は、ライブビュー撮影続行と判定してステップS412へ戻り、同様の動作を繰り返す。レリーズSW1がオフされていた場合は、ライブビュー撮影終了と判定してステップS421へ進む。
【0061】
ステップS421へ進むと、フォーカルプレーンシャッタ208を閉じる。そして、次のステップS422にて、システムコントローラ223が次回の動作に備えてフォーカルプレーンシャッタ208のチャージ動作及びミラーダウン駆動を行う。続くステップS403では、絞り102を開放へと駆動し、このライブビュー撮影シーケンスを終了する。
【0062】
上記ステップS416にて、ライブビュー撮影モード時における接眼検知部の設定が“通常撮影優先”に設定されていた場合は、上記したようにステップS424へ進む。そして、このステップS424では、フォーカルプレーンシャッタ208を閉じる。そして、次のステップS425にて、システムコントローラ223が次回の動作に備えてフォーカルプレーンシャッタ208のチャージ動作及びミラーダウン駆動(クイックリターンミラーの撮影光路内への進入)を行う。続くステップS426では、絞り102を開放へと駆動し、通常撮影シーケンスへ移行する。
【0063】
上記の実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0064】
ライブビュー表示中、接眼検知部によりファインダが使用される状態であることを検知された場合、クリックリターンミラーを撮影光路内に進入させて、ファインダにて被写体像の観察を可能にしている。よって、使用者に、ライブビュー表示状態から光学ファインダを使用可能な状態への煩わしい切り換えを委ねることなく、この切り換えを自動的に素早く行うことができ、操作性の向上を図ることができる。
【0065】
2)ライブビュー表示中に、接眼検知部によりファインダが使用される状態であることを検知されたとしても、ファインダにて被写体像の観察可能にする状態にクリックリターンミラーの切り換えを行わないモードを設定可能である。つまり、ライブビュー撮影モード時における接眼検知部の設定が“通常撮影優先”の場合のみ、上記の切り換えを行うようにしている。よって、意図しないのに、ライブビュー表示からファインダ使用状態に切り換わるといった不都合がなくなる。
【0066】
3)接眼検知部の検知可能とする反応距離は、変更可能である。詳しくは、ライブビュー撮影モード時の反応距離が、ライブビュー撮影モード時以外(通常撮影モード時)の反応距離よりも長くする。反応距離の長さは、図6で説明したように、接眼検知部の投光部233の投光出力を変更することにより可能である。詳しくは、通常撮影モード時は、反応距離が短くてもメカニカルな切り換えが発生しない為、操作性に問題ない。一方、ライブビュー撮影モード時は、クイックミラー切り換えによるメカニカルな切り換えが発生する為、反応距離を長くしている。よって、撮影者がファインダを覗いて構図を確認するまでに、該ファインダを被写体像確認可能な状態へ切り換えることができ(切り換わる時間を稼ぐ事ができ)、ファインダを覗いて直に撮影構図等の確認を可能にすることができる。
【0067】
上記実施例では、接眼検知部として、赤外光投光部と受光部を用いて顔の一部を検知する例を示しているが、赤外光投光部及び受光部を用いて撮影者の視線を検出し、AFエリアの検出を可能にする視線検出手段を用いても同様の効果が得られる。
【0068】
また、上記実施例では、ライブビュー表示中の接眼検知部の有効・無効を設定するために接眼検知設定スイッチ232を設けていたが、ライブビュー表示中に接眼検知部の作動・非作動を設定する設定スイッチとしても、同様の効果が得られる。
【0069】
(本発明と実施例の対応)
モード設定スイッチ229と電子ダイヤルスイッチ226が本発明の、光学ファインダにて被写体像を観察することができる通常撮影モードと、画像表示器にて被写体像を観察することができるライブビュー撮影モードを切り換える撮影モード切換手段に相当する。また、接眼検知部用の受光部227と投光部233が本発明の、光学ファインダに使用者の目が接近したかどうかを検出する接眼検知手段に相当する。また、システムコントローラ223が本発明の、接眼検知手段によって光学ファインダに使用者の目が接近したことが検知されたときには、ライブビュー撮影モードから通常撮影モードに切り換えるように制御する、請求項1に記載の制御手段に相当する。
【0070】
また、イメージセンサ210が本発明の撮像素子に、ペンタプリズム201、接眼レンズ206が光学ファインダに、それぞれ相当する。また、クリックリターンミラー202が本発明の、光束を光学ファインダに向けて反射する第1の状態(図1の状態)と光束を撮像素子に向けて透過させる第2の状態とに切り換え駆動されるミラーユニットに相当する。また、システムコントローラ223が本発明の、光学ファインダに使用者の目が接近したことが検知されたときには、ミラーユニットを第2の状態から第1の状態に切り換えるようにミラーユニットを駆動制御する、請求項2に記載の制御手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施例に係る一眼レフレックスデジタルカメラの回路構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係る一眼レフレックスデジタルカメラにおける撮影モード選択シーケンスを示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施例に係る一眼レフレックスデジタルカメラにおけるライブビュー撮影モード時の接眼検知設定シーケンスを示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施例に係る一眼レフレックスデジタルカメラにおける通常撮影シーケンスを示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施例に係る一眼レフレックスデジタルカメラにおけるライブビュー撮影シーケンスを示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施例に係る一眼レフレックスデジタルカメラに係る接眼検知部の検知可能な反応距離について説明するための図である。
【符号の説明】
【0072】
100 撮像レンズユニット
101 撮像レンズ
102 絞り
103 レンズ駆動機構
104 レンズ制御回路
105 絞り駆動機構
106 絞り制御回路
200 デジタルカメラ
202 クイックリターンミラー
204 AFセンサ
206 接眼レンズ
207 測光回路
208 フォーカルプレーンシャッタ
210 イメージセンサ
211 シャッタチャージ・ミラー駆動機構
212 シャッタ制御回路
213 画像表示回路
218 画像データ記録メディア
220 画像データコントローラ
223 システムコントローラ
227 接眼検知部用の受光部
230 スイッチ(SW2)
231 スイッチ(SW1)
232 接眼検知設定スイッチ
233 接眼検知部用の投光部
236 画像表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学ファインダにて被写体像を観察することができる通常撮影モードと、画像表示器にて被写体像を観察することができるライブビュー撮影モードを切り換える撮影モード切換手段と、
前記光学ファインダに使用者の目が接近したかどうかを検出する接眼検知手段と、
前記撮影モード切換手段にて前記ライブビュー撮影モードに切り換えられている場合に、前記接眼検知手段によって、前記光学ファインダに使用者の目が接近したことが検知されたときには、前記ライブビュー撮影モードから前記通常撮影モードに切り換えるように制御する制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮影レンズからの光束により形成された被写体像を光電変換する撮像素子と、
前記光束を用いて被写体像の観察を可能とする光学ファインダと、
前記光束を前記光学ファインダに向けて反射する第1の状態と前記光束を前記撮像
素子に向けて透過させる第2の状態とに切り換え駆動されるミラーユニットと、
前記光学ファインダに使用者の目が接近したかどうかを検出する接眼検知手段と、
前記ミラーユニットが前記第2の状態に切り換えられている場合に、前記接眼検知手段によって、前記光学ファインダに使用者の目が接近したことが検知されたときには、前記ミラーユニットを前記第2の状態から前記第1の状態に切り換えるように前記ミラーユニットを駆動制御する制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−259082(P2008−259082A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101246(P2007−101246)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】