撮像装置
【課題】本発明は、撮像素子および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節できる撮像装置を提供することを目的としている。
【解決手段】撮像素子7と、観察光学系と、光路切り替え手段3と、開口部2と、を有する撮像装置において、光路切り替え手段3は、透過率が可変の調光ミラー面4を有し、調光ミラー面4は、反射率を上げると透過率が下がり、かつ、反射率を下げると透過率が上がる。
【解決手段】撮像素子7と、観察光学系と、光路切り替え手段3と、開口部2と、を有する撮像装置において、光路切り替え手段3は、透過率が可変の調光ミラー面4を有し、調光ミラー面4は、反射率を上げると透過率が下がり、かつ、反射率を下げると透過率が上がる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフカメラなどの撮像装置に関し、特に、光路切り替え手段として、調光ミラー面を用いた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、ハーフミラーを用いた一眼レフカメラが提案されている。この文献に記載された一眼レフカメラは、図13に示すように、撮影レンズAと、ハーフミラーBと、撮像素子Cと、光ファインダー系の焦点板Dと、ペンタプリズムEと、接眼レンズFと、を備える。また、焦点板Dと、ペンタプリズムEと、接眼レンズFと、によって、観察光学系が構成されている。
ハーフミラーBは、光軸に対して45度に傾けて取り付けられている。
撮影レンズAに入射した被写体光は、ハーフミラーBによって分光される。すなわち、ハーフミラーBを透過して直進した光は、撮像素子Cの撮像面に導かれる。また、ハーフミラーBにより、光軸に対して90度の角度の方向に反射された光は、焦点板D、ペンタプリズムE、接眼レンズFを介して一眼レフカメラの外部に導かれる。
【特許文献1】特開2002−182268号公報
【特許文献2】特開2007−102197号公報
【特許文献3】特開2003−043203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、一眼レフカメラにハーフミラーを用いた場合、ハーフミラーの透過率および反射率は、一定の値を持つ。従って、撮像素子および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節できないという課題があった。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、撮像素子および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明による撮像装置は、撮像素子と、観察光学系と、光路切り替え手段と、開口部と、を有する撮像装置において、前記光路切り替え手段は、透過率が可変の調光ミラー面を有し、前記調光ミラー面は、反射率を上げると透過率が下がり、かつ、反射率を下げると透過率が上がる、ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の撮像装置は、前記調光ミラー面は、第1の状態と、第2の状態と、を有し、前記調光ミラー面が前記第1の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面を透過して、前記撮像素子に入射し、前記調光ミラー面が前記第2の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面で反射して、前記観察光学系に入射するのが好ましい。
【0007】
また、本発明の撮像装置は、前記調光ミラー面は、第1の状態と、第2の状態と、を有し、前記調光ミラー面が前記第1の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面を透過して、前記観察光学系に入射し、前記調光ミラー面が前記第2の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面で反射して、前記撮像素子に入射するのが好ましい。
【0008】
また、本発明の撮像装置は、前記光路切り替え手段は、一面が前記調光ミラー面であり、他面が反射防止の処理が施された面であるのが好ましい。
【0009】
また、本発明の撮像装置は、前記調光ミラー面が以下の条件式(1),(2)を満足するのが好ましい。
0%≦Rmax≦10% (1)
0%≦Rmin≦10% (2)
但し、Rmaxは前記調光ミラー面が最大反射状態での波長550nmにおける透過率
Rminは前記調光ミラー面が最大透過状態での波長550nmにおける反射率
【0010】
また、本発明の撮像装置は、前記撮像装置は焦点検出光学系を有し、前記光路切り替え手段を透過した光路中に、光束を前記焦点検出光学系に導くように、第2の光路切り替え手段が配置されるとともに、前記調光ミラー面が以下の条件式(3),(4)を満足するのが好ましい。
0%≦Rmax≦40% (3)
0%≦Rmin≦10% (4)
但し、Rmaxは前記調光ミラー面が最大反射状態での波長550nmにおける透過率
Rminは前記調光ミラー面が最大透過状態での波長550nmにおける反射率
【0011】
また、本発明の撮像装置は、前記開口部と、前記撮像素子と、の間が、前記光路切り替え手段によって遮蔽されているのが好ましい。
【0012】
また、本発明の撮像装置は、遮蔽部材を有し、前記光路切り替え手段の周囲と、前記遮蔽部材が密着し、前記光路切り替え手段と、前記遮蔽部材と、で形成される空間に、前記撮像素子が配置されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の撮像装置は、撮像素子および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る撮像装置の実施形態について説明する。
本発明の撮像装置は、撮像素子と、観察光学系と、光路切り替え手段と、開口部と、を有する。そして、光路切り替え手段に対し、透過光路上に、撮像素子を配置する。一方、光路切り替え手段に対し、反射光路上に観察光学系を配置する。すなわち、開口部から入射した光束が、光路切り替え手段に入射する。光路切り替え手段を透過した光束は、撮像素子に入射し、光路切り替え手段を反射した光束は、観察光学系に入射する。
光路切り替え手段は、透過率が可変の調光ミラー面を有する。調光ミラー面は、反射率を上げると透過率が下がり、かつ、反射率を下げると透過率が上がる。
【0015】
このように、調光ミラー面を用いることで、調光ミラー面の透過率を調節することができる。すなわち、調光ミラー面の反射率を上げた場合は、透過率が下がるため、観察光学系に十分な光量を供給することができる。また、調光ミラー面の反射率を下げた場合は、透過率が上がるため、撮像素子に十分な光量を供給することができる。従って、撮像素子および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節することができる。
【0016】
また、調光ミラー面は、透過率が可変であるため、明るい被写体でも、開口絞りを絞りこまずに光量を調整できる。すなわち、被写界深度が浅くなるため、主要な被写体を強調した撮影が可能になる。又、撮影をしながら観察光学系で被写体像を確認することができるので、レリーズタイムラグを減少させることができる。さらに、高速に連写することが容易になる。
【0017】
調光ミラー面は、例えば、特許文献2で提案されているような、『透明な基材に、多層薄膜を形成した反射型調光素子であって、少なくとも基材の上に、透明導電膜層、イオン貯蔵層、固体電解質層、触媒層、及び反射調光層を形成し、前記透明導電膜層と反射調光層間に、電圧を印加する及び/ 又は電流を流すことによって、反射調光作用を発現する全固体型反射調光エレクトロクロミック素子』が挙げられる。
【0018】
透明な基材は、例えば、ガラスや樹脂シート、あるいはそれらが組み合わされたものが挙げられる。透明導電膜層は、導電性材料であれば公知の材料が使用できる。イオン貯蔵層は、遷移金属酸化物が好ましく、例えば酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ニオブ、酸化バナジウムなどが挙げられる。固体電解質層は、電圧印加によってプロトンが容易に移動できる特性を有する材料を用い、例えば酸化タルタルや酸化ジルコニウムが挙げられる。触媒層は、プロトンの透過能力の高い材料、例えばパラジウムや白金やパラジウム合金が挙げられる。反射調光層は、水素及びプロトンを吸蔵・放出することで、透明と鏡状に変化する材料であり、マグネシウム及びニッケルを含む合金からなる。
【0019】
また、調光ミラー面は、第1の状態と、第2の状態と、を有し、調光ミラー面が第1の状態のとき、開口部から入射した光束は、該調光ミラー面を透過して、撮像素子に入射し、調光ミラー面が第2の状態のとき、開口部から入射した光束は、該調光ミラー面で反射して、観察光学系に入射することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、調光ミラー面が、第1の状態のときは、撮像素子に入射する光の光量を多くするとともに、観察光学系に入射する光の光量を少なくすることができる。また、調光ミラー面が、第2の状態のときは、観察光学系に入射する光の光量を多くするとともに、撮像素子に入射する光の光量を少なくすることができる。すなわち、撮像素子および観察光学系に入射する光の光量を調節することができる。
【0021】
また、調光ミラー面が透明な状態(第1の状態)のときは、開口部からの光束は撮像面に入射し、調光ミラー面が反射の状態(第2の状態)のときは、開口部からの光束は観察光学系に入射するため、従来からのファインダー光学システムを使える。また、ペンタプリズム等の像反転手段を撮影レンズの光軸上に配置しないことでボディの厚みを薄くできる。
【0022】
また、調光ミラー面は、第1の状態と、第2の状態と、を有し、調光ミラー面が第1の状態のとき、開口部から入射した光束は、該調光ミラー面を透過して、観察光学系に入射し、調光ミラー面が第2の状態のとき、開口部から入射した光束は、該調光ミラー面で反射して、撮像素子に入射することが好ましい。
【0023】
この場合、調光ミラー面を反射した光束が撮像素子に入射し、調光ミラー面を透過した光束が観察光学系に入射するように、撮像素子と、観察光学系と、光路切り替え手段と、を配置すると良い。
すなわち、調光ミラー面に対し、反射光路上に、撮像素子を配置する。一方、調光ミラー面に対し、透過光路上に、観察光学系を配置する。
【0024】
この構成によれば、光路切り替え手段が有する他面(調光ミラー面の裏面)の反射防止の効果を弱くしても撮影画像に影響が小さく、構成上またはコスト上有利である。また、この構成によれば、調光ミラー面の反射率を上げると、透過率が下がるため、撮像素子に十分な光量を供給することができる。また、調光ミラー面の反射率を下げた場合は、透過率が上がるため、観察光学系に十分な光量を供給することができる。すなわち、撮像素子および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節することができる。
【0025】
また、光路切り替え手段は、一面が調光ミラー面であり、他面が反射防止の処理が施された面であることが好ましい。
【0026】
光路切り替え手段の他面は、反射率を有する場合がある。このような場合、光量の多い被写体を撮影すると、光路切り替え手段の内部での反射によって、ゴースト像が撮影される場合がある。
【0027】
ここで、光路切り替え手段の他面に、反射防止の処理を施すことで、光路切り替え手段の他面における反射を防止することができる。これにより、光路切り替え手段における、内部反射を防止することができるため、ゴースト像の撮影を防止することができる。また、光路切り替え手段の透過率が上がるため、光路切り替え手段を透過した光束が撮像素子に入射する場合、撮像素子に十分な光量を供給することができる。
【0028】
なお、反射防止の処理が施された面とは、公知の反射防止膜でも良いし、特許文献3に記載された、微細周期凹凸構造(SWS構造)であっても良い。
【0029】
また、本発明の撮像装置は、調光ミラー面が以下の条件式(1),(2)を満足することが好ましい。
0%≦Rmax≦10% (1)
0%≦Rmin≦10% (2)
但し、Rmaxは調光ミラー面が最大反射状態での波長550nmにおける透過率
Rminは調光ミラー面が最大透過状態での波長550nmにおける反射率
【0030】
条件式(1)の上限値を上回ると、調光ミラー面の最大反射率が低くなるため、調光ミラー面を反射した光束を、十分に観察光学系に入射させることが困難である。従って、観察光学系に十分な光量を供給することが困難である。
条件式(2)の上限値を上回ると、調光ミラー面の最大透過率が低くなるため、調光ミラー面を透過した光束を、十分に撮像素子に入射させることが困難である。従って、撮像素子に十分な光量を供給することが困難である。
【0031】
また、本発明の撮像装置は、焦点検出光学系を有し、光路切り替え手段を透過した光路中に、光束を焦点検出光学系に導くように、第2の光路切り替え手段を配置する。そして、調光ミラー面が以下の条件式(3),(4)を満足することが好ましい。
0%≦Rmax≦40% (3)
0%≦Rmin≦10% (4)
但し、Rmaxは調光ミラー面が最大反射状態での波長550nmにおける透過率
Rminは調光ミラー面が最大透過状態での波長550nmにおける反射率
【0032】
この場合、調光ミラー面による光路の切り替えが、完全な光路の切り替えである必要はない。即ち、被写体を撮影する場合は、撮像素子に十分な光束が入射するのであれば、観察光学系へ光束が入射しても良い。また、被写体を観察する場合は、観察光学系に十分な光束が入射するのであれば、第2の光路切り替え手段を介して撮像素子に光束が射出しても良い。
なお、必要に応じて、シャッター機構により、撮像素子への光束の遮断を行ってもよい。
【0033】
条件式(3)の上限値を上回ると、調光ミラー面の最大反射率が低くなるため、調光ミラー面を反射した光束を、十分に観察光学系に入射させることが困難である。従って、観察光学系に十分な光量を供給することが困難である。
条件式(4)の上限値を上回ると、調光ミラー面の最大透過率が低くなるため、調光ミラー面を透過した光束を、十分に撮像素子に入射させることが困難である。従って、撮像素子に十分な光量を供給することが困難である。
【0034】
また、本発明の撮像装置は、開口部と、撮像素子と、の間が、光路切り替え手段によって遮蔽されていることが好ましい。
【0035】
開口部は、撮影レンズが装着可能である。ここで、撮影レンズを交換する際、ごみ等が、開口部から進入する場合がある。仮に、ごみ等が撮像素子に付着すると、得られる画像が劣化を起こす場合がある。
ここで、光路切り替え手段によって撮像装置の開口部と撮像素子の間を遮蔽することで、撮像素子にごみが付着することを防止することができる。
また、調光ミラー面の裏面に、反射防止の処理として、微細周期凹凸構造を施した場合、この面の保護もできるため好ましい。
【0036】
また、本発明の撮像装置は、遮蔽部材を有し、光路切り替え手段の周囲と、遮蔽部材が密着し、光路切り替え手段と、遮蔽部材と、で形成される空間に、撮像素子が配置されていることが好ましい。
【0037】
本発明の光路切り替え手段は、撮像素子および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節できる。この際、調光ミラー面の透過率を変化させることで光量を調節させるため、調光ミラー面の移動や、跳ね上げの必要がない。従って、調光ミラー面を、遮蔽部材に密着させて配置させることができる。これにより、光路切り替え手段と、遮蔽部材と、で形成される空間を密閉することができる。
従って、この空間に配置された撮像素子にごみが付着することを防止することができる。
【0038】
次に、本発明に係る撮像装置の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0039】
図1は本発明を一眼レフカメラ(撮像装置)に応用した例である。図1に記載の一眼レフカメラは、カメラボディ1と、開口部2と、鏡筒21と、によって構成される。カメラボディ1と、鏡筒21と、は開口部2を介して、連結される。鏡筒21の内部には、撮影レンズ22が配置されている。
カメラボディ1は、光路切り替え手段3と、フィルター6と、撮像素子7と、焦点板8と、像反転手段9と、接眼レンズ系10と、を備える。焦点板8と、像反転手段9と、接眼レンズ系10と、によって、観察光学系が構成される。
【0040】
ここで、撮像素子7は、光路切り替え手段3に対して、透過光路上に配置されている。一方、観察光学系は、光路切り替え手段3に対して、反射光路上に配置されている。
光路切り替え手段3は、光軸11に対して略45度傾けて取り付けられている。また、光路切り替え手段3は、平行平面板の形状をしている。
【0041】
光路切り替え手段3は、第1の面4と、第2の面5と、を備えている。第1の面4は、開口部2の側に配置されている。第2の面5は、撮像素子7の側に配置されている。また、第1の面4は、調光ミラー面である。第2の面5は、透過面である。
また、光路切り替え手段3は、図示していない制御手段と接続されている。制御手段は、第1の面4(調光ミラー面)の調光ミラー面としての働きを制御することで、光路を切り替えることができる。
調光ミラー面4は、電圧を印加又は電流を流すことで、反射調光作用を発現する。
【0042】
調光ミラー面4は、透明導電膜層、イオン貯蔵層、固体電解質層、触媒層、及びマグネシウム・ニッケル系合金薄膜を用いた反射調光層、を形成した全固体型反射調光エレクトロクロミック素子である。
また、調光ミラー面4は、反射率が上げると透過率が下がり、かつ、反射率を下げると透過率が上がる。また、広い面積にわたってスイッチングすることができる。
【0043】
フィルター6は、赤外カットフィルターやローパスフィルターなどによって構成される。
焦点板8と、撮像素子7と、は、光軸上において、光路切り替え手段3からの距離が略等しい位置に配置されている。
像反転手段9は、ペンタプリズム、ペンタダハミラー、または複数のミラーの組み合わせによって、構成される。
【0044】
符号11は、光軸を示している。被写体からの光束は、撮影レンズ22、開口部2、および第1の面(調光ミラー面)4、の順に入射する。調光ミラー面4を透過した光束は、第2の面5、フィルター6、を順に透過した後に、撮像素子7に入射する。
一方、調光ミラー面4を反射した光束は、焦点板8、像反転手段9、および接眼レンズ系10の順に入射する。従って、接眼レンズ系10から、被写体像を観察することができる。
【0045】
ここで、調光ミラー面4を反射率の高い状態にする場合、観察光学系へ多くの光量を供給することができるため、被写体を観察できる。このような状態で、フレーミングが可能である。一方、調光ミラー面4は、反射率を下げて、透過光量を上げることで、被写体の撮影が可能な状態となる。
このように、本実施例によれば、調光ミラー面4を設けることで、撮像素子7および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節することができる。
【0046】
なお、調光ミラー面4の反射率が最大の状態のときに、透過光量は必ずしも0にする必要はない。この場合、必要に応じてシャッター機構(不図示)を用いて撮像素子7へ入射する光束を遮蔽しても良い。例えば、撮像素子7の撮影レンズ22側に、シャッター機構(不図示)を配置することができる。
また、調光ミラー面4の透過率が最大の状態のときに反射率は必ずしも0にする必要はない。この場合、逆入射光を遮光する必要がある場合はアイピースシャッター(不図示)を配置してよい。
【0047】
なお、第2の面5に反射防止の処理を施しても良い。この場合、光路切り替え手段3の調光ミラー面4と第2の面5の間で生じる内面反射を防ぐことができる。特に、前述のSWS構造を施すことで、第2の面5における反射率をほぼ0にすることができる。この結果、光路切り替え手段3の内面反射によるゴースト像の発生を防止することができる。
【0048】
図2から図4は、SWS構造を第2の面5に施した様子を模式的に表わしたものである。図2は、SWS構造が、第2の面5に対して、垂直方向に突出した様子を模式的に表わしたものである。図3は、SWS構造における凹凸形状が、光軸11の方向に向いた様子を模式的に表わしたものである。図4は、凹凸形状の第2の面5に対する最大角度が、鉛直方向である様子を模式的に表わしたものである。この場合、エッジングやプレスが容易になるため好ましい。
【0049】
なお、本実施例におけるカメラボディ1は、ごみ等を除去する機能(いわゆるダストリダクションシステム)を備えていても良い。
【実施例2】
【0050】
図5は本願の撮像装置をカメラボディに適用し、射出瞳の遠いレンズ23を装着した例である。カメラボディ1は図1と同様のものである。射出瞳の遠いレンズ23は、画角が狭く焦点距離の長い望遠レンズや、被写体を大きく撮影するために光学系を繰り出す所謂マクロレンズ等に多い。本願は光路切り替え手段3を撮影光路から回避する必要がないので十分な長さを確保できる。即ち、従来の一眼レフカメラで採用されているクイックリターンミラーに比べ、ミラーの長さを長くできるので、ミラー切れの現象が解消される効果がある。図12に示した従来のクイックリターンミラーを使用したものと比較すると、この効果がわかりやすい。
【0051】
また、図11に示すような従来の一眼レフカメラで採用されているクイックリターンミラーによる光路切り替えは、ミラーの跳ね上げによる衝撃を抑えるための機構や、その軌跡を確保するために撮影レンズ系と撮像面の間隔を大きく確保しなければならない。また、一方、ミラーを小さくすると、図12に示すように特に射出瞳の長い望遠レンズで所謂ミラー切れと称される画面上部のファインダー像のケラレや減光という現象を起こすこととなっていた。本発明は、これらの課題も解消している。
【実施例3】
【0052】
図6は、本発明を一眼レフカメラ(撮像装置)に応用した例である。上記実施例と共通する部材には、上記実施例と同じ符号を用いている。本実施例では、カメラボディ31は、遮蔽部材36を備えている。具体的には、光路切り替え手段3の周囲と、遮蔽部材36が密着する。そして、光路切り替え手段3と、遮蔽部材36と、で形成される空間に、フィルター6と、撮像素子7と、が配置されている。
【0053】
このように、本実施例によれば、調光ミラー面4を設けることで、撮像素子7および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節することができる。
さらに、本実施例によれば、遮蔽部材36を備えている。これにより、開口部2に装着する撮影レンズ(不図示)を交換する際、ごみ等が、開口部2から侵入したとしても、フィルター6、または撮像素子7に達することを防ぐことができる。つまり、本実施例によれば、ごみ等を除去する機能(ダストリダクションシステム等)をつけなくても良好な撮影ができる。
また、第2の面5に、ごみ等が付着することを防ぐことができる。従って、第2の面5に、反射防止の処理が施されている場合、当該反射防止機能を良好に保つことができる。
【0054】
特に、第2の面5に、SWS構造が施されている場合、当該構造を維持した上で、付着したごみ等を除去することは難しい。従って、第2の面5が、撮像素子7側に配置されていることで、SWS構造が施された第2の面5に、ごみ等が付着することを防止することができる。
なお、調光ミラー面4は、容易に清掃が可能なので、仮にごみ等が付着しても、それらの除去が容易に行える。
なお、図6の遮蔽部材36の記載は象徴的に描かれており、これに限ることはない。
【実施例4】
【0055】
図7は、本発明を一眼レフカメラ(撮像装置)に応用した例である。上記実施例と共通する部材には、上記実施例と同じ符号を用いている。
カメラボディ41は、光路切り替え手段3と、フィルター46と、撮像素子47と、焦点板48と、像反転手段49と、接眼レンズ系50と、を備える。焦点板48と、像反転手段49と、接眼レンズ系50と、によって、観察光学系が構成される。
【0056】
ここで、撮像素子47は、光路切り替え手段3に対して、反射光路上に配置されている。一方、観察光学系は、光路切り替え手段3に対して、透過光路上に配置されている。
被写体からの光束は、撮影レンズ22、開口部2、および第1の面(調光ミラー面)4、の順に入射する。調光ミラー面4を透過した光束は、第2の面5、焦点板48、像反転手段49、および接眼レンズ系50を順に入射する。
一方、調光ミラー面4を反射した光束は、フィルター46を透過した後に、撮像素子47に入射する。
【0057】
像反転手段49は、ポロプリズムや、複数のミラーの組み合わせによって、構成される。図8は、ポロプリズム51を示したものである。
【0058】
ここで、調光ミラー面4を反射率の低い状態にする場合、観察光学系へ多くの光量を供給することができるため、被写体を観察できる。このような状態で、フレーミングが可能である。
【0059】
一方、調光ミラー面4は、反射率を上げると、被写体の撮影が可能な状態となる。
このように、本実施例によれば、調光ミラー面4を設けることで、撮像素子47および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節することができる。
【0060】
また、本実施例では、撮像素子47は、光路切り替え手段3に対して、反射光路上に配置されている。従って、調光ミラー面4を反射した光束は、第2の面5を透過しない。
そうすると、第2の面5を透過することによる光量ロスを防止することができる。
【0061】
なお、実施例1と同様に、必要に応じて、シャッター機構や、アイピースシャッター、またはダストリダクションシステムを設けてもよい。
また、第2の面5に、反射防止の処理を施しても良い。
【実施例5】
【0062】
図9は、本発明を一眼レフカメラ(撮像装置)に応用した例である。上記実施例と共通する部材には、上記実施例と同じ符合を用いている。
本実施例では、カメラボディ61は、位相差式焦点検出光学系を配置している。
【0063】
位相差式焦点検出光学系は、第2の光路切り替え手段(ミラー)71と、コンデンサーレンズ73と、反射ミラー74と、瞳分割絞り75と、再結像レンズ76と、焦点検出用センサー77と、によって構成される。
【0064】
ミラー71は、撮影レンズ22側が反射面である。
また、ミラー71は、不図示の制御手段で位置が制御される。具体的には、ミラー71から、72の位置に移動可能である。すなわち、制御手段は、ミラー71を、光路中に配置する状態と、光路から退避した状態と、に制御することができる。焦点位置を検出する場合、ミラー71が光路中に配置される。
コンデンサーレンズ73は、ミラー71に対し、撮像素子7と略等価な位置に配置されている。
【0065】
72の位置にミラーを配置した場合は、ミラーは、光路中に位置しないため、光路切り替え手段3を透過した光束は、撮像素子7に入射する。
一方、71の位置にミラーを配置した場合は、ミラーは光路中に位置するため、光路切り替え手段3を透過した光束は、ミラー71によって反射される。
ミラー71で反射された光束は、コンデンサーレンズ73、反射ミラー74、瞳分割絞り75、再結像レンズ76、および焦点検出用センサー77の順に入射する。
【0066】
調光ミラー面4を反射率の高い状態にする場合、観察光学系へ多くの光量を供給することができるため、被写体を観察できる。
【0067】
一方、調光ミラー面4は、反射率を下げて、透過光量を上げ、かつ、ミラー71を光路から退避させることで(72の位置にミラーを配置させることで)、撮影が可能な状態となる。
このように、本実施例によれば、調光ミラー面4を設けることで、撮像素子7および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節することができる。
【0068】
また、位相差式焦点検出光学系をカメラボディ61の底面にレイアウトすることで、効率的にカメラボディ61内のレイアウトができる。
また、光路切り替え手段3を透過した光束に基づいて、焦点検出を行うのが好ましい。すなわち、光路切り替え手段3に対して、透過光路上に焦点検出光学系を配置することが好ましい。
【0069】
なお、上記の実施例1と同様に、必要に応じて、シャッター機構、アイピースシャッター、またはダストリダクションシステムを備えてもよい。また、第2の面5は、反射防止の処理を施しても良い。
【実施例6】
【0070】
図10は、本発明を一眼レフカメラ(撮像装置)に応用した例である。本実施例は、実施例4に、実施例5と同様な位相差式焦点検出光学系を配置している。従って、上記実施例と、共通する部材には、同じ符号を用いている。
本実施例では、カメラボディ81は、早いフォーカシングを実現するために、位相差式焦点検出光学系を配置している。
【0071】
位相差式焦点検出光学系は、第2の光路切り替え手段(ミラー)91と、コンデンサーレンズ73と、反射ミラー74と、瞳分割絞り75と、再結像レンズ76と、焦点検出用センサー77と、によって構成される。
【0072】
ミラー91は(a)または(b)のいずれかの部材とする。
(a)反射率より透過率が高いハーフミラー。
(b)調光ミラー面を有した光学部材。
ここで、(b)の部材である場合、反射率を高くすることで、焦点の検出精度を高くすることができる。また、この場合、ミラー91は、図示していない制御手段と接続されている。制御手段は、ミラー91の調光ミラー面としての働きを制御することで、光路を切り替えることができる。
ミラー91は、(a)または(b)のいずれかの部材であるため、フォーカスを被写体に合わせながら連写することが容易になる。また、必要に応じて観察光学系で被写体を追うことも可能になる。
コンデンサーレンズ73は、ミラー91に対し、撮像素子47と略等価な位置に配置されている。
【0073】
ミラー91を透過した光束は、焦点板48、像反転手段49、および接眼レンズ系50に順に入射する。一方、ミラー91で反射された光束は、コンデンサーレンズ73、反射ミラー74、瞳分割絞り75、再結像レンズ76、および焦点検出用センサー77の順に入射する。
【0074】
なお、図9の構成において、ミラー71を、ミラー91と同様のものとしてもよい。この場合、ミラー91の撮像素子7側の面をSWS構造等の反射防止コートとするのが好ましい。
また、図10において、ミラー91をミラー71と同様のものとしてもよい。
【0075】
尚、上記実施例において、調光ミラー面4をハーフミラー状態(透過光量と、反射光量と、を略等しくした状態)にすることで、撮像素子7への光量を少なくすることができる。このため、高輝度被写体を良好に撮影できる。
又、別の使い方としては被写体を観察しながら撮影ができ、レリーズタイムラグを短くすることができる。また、高速連写が可能となる。
【0076】
また、本願ではミラーの駆動音がないので、静かな撮影ができ、コンサートホールでの撮影や、試合中のゴルフのスイングの撮影等が容易になる。
【0077】
また、本願においては、撮像素子からの出力信号に基づいて、焦点位置を検出しても良い。このように構成すると、焦点検出専用の光学系が必要ないため、撮像装置の構成を簡素にできる。
なお、焦点検出方法としては、所謂コントラスト法が挙げられる。
【0078】
具体的には、撮像素子からの出力信号に基づいて焦点を検出する場合、調光ミラー面の反射率を30%から70%の間に設定する。この結果、観察光学系で被写体を観察し、又はフレーミングを行いながら、合焦させることができる。
この状態から反射率を低くすれば、低輝度での良好な撮影が比較的短いレリーズタイムラグで行える。一方、この状態から反射率をあげれば明るい観察像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施例1に係る一眼レフカメラ示す図である。
【図2】光学素子の表面に反射防止部を設けた例を示す側面図である。
【図3】光学素子の表面に反射防止部を設けた他の例を示す側面図である。
【図4】光学素子の表面に反射防止部を設けた他の例を示す側面図である。
【図5】本発明の実施例2に係る一眼レフカメラを示す図である。
【図6】本発明の実施例3に係るカメラボディを示す図である。
【図7】本発明の実施例4に係る一眼レフカメラを示す図である。
【図8】本発明に用いるポロプリズムの斜視図である。
【図9】本発明の実施例5に係る一眼レフカメラを示す図である。
【図10】本発明の実施例6に係る一眼レフカメラを示す説明図である。
【図11】従来の一眼レフカメラの例を示す説明図である。
【図12】従来の一眼レフカメラの他の例を示す説明図である。
【図13】従来の一眼レフカメラの他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0080】
1,31,41,61,81: カメラボディ
2: 開口部
3: 光路切り替え手段
4: 第1の面(調光ミラー面)
5: 第2の面
6,46: フィルター
7,47: 撮像素子
8,48: 焦点板
9,49: 像反転手段
10,50: 接眼レンズ系
11: 光軸
21: 鏡筒
22: 撮影レンズ
23: 射出瞳の遠いレンズ
36: 遮蔽部材
51: ポロプリズム
71,91: ミラー
72: ミラー71が光路から退避した状態
73: コンデンサーレンズ
74: 反射ミラー
75: 瞳分割絞り
76: 再結像レンズ
77: 焦点検出用センサー
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフカメラなどの撮像装置に関し、特に、光路切り替え手段として、調光ミラー面を用いた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示されるように、ハーフミラーを用いた一眼レフカメラが提案されている。この文献に記載された一眼レフカメラは、図13に示すように、撮影レンズAと、ハーフミラーBと、撮像素子Cと、光ファインダー系の焦点板Dと、ペンタプリズムEと、接眼レンズFと、を備える。また、焦点板Dと、ペンタプリズムEと、接眼レンズFと、によって、観察光学系が構成されている。
ハーフミラーBは、光軸に対して45度に傾けて取り付けられている。
撮影レンズAに入射した被写体光は、ハーフミラーBによって分光される。すなわち、ハーフミラーBを透過して直進した光は、撮像素子Cの撮像面に導かれる。また、ハーフミラーBにより、光軸に対して90度の角度の方向に反射された光は、焦点板D、ペンタプリズムE、接眼レンズFを介して一眼レフカメラの外部に導かれる。
【特許文献1】特開2002−182268号公報
【特許文献2】特開2007−102197号公報
【特許文献3】特開2003−043203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、一眼レフカメラにハーフミラーを用いた場合、ハーフミラーの透過率および反射率は、一定の値を持つ。従って、撮像素子および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節できないという課題があった。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、撮像素子および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明による撮像装置は、撮像素子と、観察光学系と、光路切り替え手段と、開口部と、を有する撮像装置において、前記光路切り替え手段は、透過率が可変の調光ミラー面を有し、前記調光ミラー面は、反射率を上げると透過率が下がり、かつ、反射率を下げると透過率が上がる、ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の撮像装置は、前記調光ミラー面は、第1の状態と、第2の状態と、を有し、前記調光ミラー面が前記第1の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面を透過して、前記撮像素子に入射し、前記調光ミラー面が前記第2の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面で反射して、前記観察光学系に入射するのが好ましい。
【0007】
また、本発明の撮像装置は、前記調光ミラー面は、第1の状態と、第2の状態と、を有し、前記調光ミラー面が前記第1の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面を透過して、前記観察光学系に入射し、前記調光ミラー面が前記第2の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面で反射して、前記撮像素子に入射するのが好ましい。
【0008】
また、本発明の撮像装置は、前記光路切り替え手段は、一面が前記調光ミラー面であり、他面が反射防止の処理が施された面であるのが好ましい。
【0009】
また、本発明の撮像装置は、前記調光ミラー面が以下の条件式(1),(2)を満足するのが好ましい。
0%≦Rmax≦10% (1)
0%≦Rmin≦10% (2)
但し、Rmaxは前記調光ミラー面が最大反射状態での波長550nmにおける透過率
Rminは前記調光ミラー面が最大透過状態での波長550nmにおける反射率
【0010】
また、本発明の撮像装置は、前記撮像装置は焦点検出光学系を有し、前記光路切り替え手段を透過した光路中に、光束を前記焦点検出光学系に導くように、第2の光路切り替え手段が配置されるとともに、前記調光ミラー面が以下の条件式(3),(4)を満足するのが好ましい。
0%≦Rmax≦40% (3)
0%≦Rmin≦10% (4)
但し、Rmaxは前記調光ミラー面が最大反射状態での波長550nmにおける透過率
Rminは前記調光ミラー面が最大透過状態での波長550nmにおける反射率
【0011】
また、本発明の撮像装置は、前記開口部と、前記撮像素子と、の間が、前記光路切り替え手段によって遮蔽されているのが好ましい。
【0012】
また、本発明の撮像装置は、遮蔽部材を有し、前記光路切り替え手段の周囲と、前記遮蔽部材が密着し、前記光路切り替え手段と、前記遮蔽部材と、で形成される空間に、前記撮像素子が配置されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の撮像装置は、撮像素子および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る撮像装置の実施形態について説明する。
本発明の撮像装置は、撮像素子と、観察光学系と、光路切り替え手段と、開口部と、を有する。そして、光路切り替え手段に対し、透過光路上に、撮像素子を配置する。一方、光路切り替え手段に対し、反射光路上に観察光学系を配置する。すなわち、開口部から入射した光束が、光路切り替え手段に入射する。光路切り替え手段を透過した光束は、撮像素子に入射し、光路切り替え手段を反射した光束は、観察光学系に入射する。
光路切り替え手段は、透過率が可変の調光ミラー面を有する。調光ミラー面は、反射率を上げると透過率が下がり、かつ、反射率を下げると透過率が上がる。
【0015】
このように、調光ミラー面を用いることで、調光ミラー面の透過率を調節することができる。すなわち、調光ミラー面の反射率を上げた場合は、透過率が下がるため、観察光学系に十分な光量を供給することができる。また、調光ミラー面の反射率を下げた場合は、透過率が上がるため、撮像素子に十分な光量を供給することができる。従って、撮像素子および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節することができる。
【0016】
また、調光ミラー面は、透過率が可変であるため、明るい被写体でも、開口絞りを絞りこまずに光量を調整できる。すなわち、被写界深度が浅くなるため、主要な被写体を強調した撮影が可能になる。又、撮影をしながら観察光学系で被写体像を確認することができるので、レリーズタイムラグを減少させることができる。さらに、高速に連写することが容易になる。
【0017】
調光ミラー面は、例えば、特許文献2で提案されているような、『透明な基材に、多層薄膜を形成した反射型調光素子であって、少なくとも基材の上に、透明導電膜層、イオン貯蔵層、固体電解質層、触媒層、及び反射調光層を形成し、前記透明導電膜層と反射調光層間に、電圧を印加する及び/ 又は電流を流すことによって、反射調光作用を発現する全固体型反射調光エレクトロクロミック素子』が挙げられる。
【0018】
透明な基材は、例えば、ガラスや樹脂シート、あるいはそれらが組み合わされたものが挙げられる。透明導電膜層は、導電性材料であれば公知の材料が使用できる。イオン貯蔵層は、遷移金属酸化物が好ましく、例えば酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ニオブ、酸化バナジウムなどが挙げられる。固体電解質層は、電圧印加によってプロトンが容易に移動できる特性を有する材料を用い、例えば酸化タルタルや酸化ジルコニウムが挙げられる。触媒層は、プロトンの透過能力の高い材料、例えばパラジウムや白金やパラジウム合金が挙げられる。反射調光層は、水素及びプロトンを吸蔵・放出することで、透明と鏡状に変化する材料であり、マグネシウム及びニッケルを含む合金からなる。
【0019】
また、調光ミラー面は、第1の状態と、第2の状態と、を有し、調光ミラー面が第1の状態のとき、開口部から入射した光束は、該調光ミラー面を透過して、撮像素子に入射し、調光ミラー面が第2の状態のとき、開口部から入射した光束は、該調光ミラー面で反射して、観察光学系に入射することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、調光ミラー面が、第1の状態のときは、撮像素子に入射する光の光量を多くするとともに、観察光学系に入射する光の光量を少なくすることができる。また、調光ミラー面が、第2の状態のときは、観察光学系に入射する光の光量を多くするとともに、撮像素子に入射する光の光量を少なくすることができる。すなわち、撮像素子および観察光学系に入射する光の光量を調節することができる。
【0021】
また、調光ミラー面が透明な状態(第1の状態)のときは、開口部からの光束は撮像面に入射し、調光ミラー面が反射の状態(第2の状態)のときは、開口部からの光束は観察光学系に入射するため、従来からのファインダー光学システムを使える。また、ペンタプリズム等の像反転手段を撮影レンズの光軸上に配置しないことでボディの厚みを薄くできる。
【0022】
また、調光ミラー面は、第1の状態と、第2の状態と、を有し、調光ミラー面が第1の状態のとき、開口部から入射した光束は、該調光ミラー面を透過して、観察光学系に入射し、調光ミラー面が第2の状態のとき、開口部から入射した光束は、該調光ミラー面で反射して、撮像素子に入射することが好ましい。
【0023】
この場合、調光ミラー面を反射した光束が撮像素子に入射し、調光ミラー面を透過した光束が観察光学系に入射するように、撮像素子と、観察光学系と、光路切り替え手段と、を配置すると良い。
すなわち、調光ミラー面に対し、反射光路上に、撮像素子を配置する。一方、調光ミラー面に対し、透過光路上に、観察光学系を配置する。
【0024】
この構成によれば、光路切り替え手段が有する他面(調光ミラー面の裏面)の反射防止の効果を弱くしても撮影画像に影響が小さく、構成上またはコスト上有利である。また、この構成によれば、調光ミラー面の反射率を上げると、透過率が下がるため、撮像素子に十分な光量を供給することができる。また、調光ミラー面の反射率を下げた場合は、透過率が上がるため、観察光学系に十分な光量を供給することができる。すなわち、撮像素子および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節することができる。
【0025】
また、光路切り替え手段は、一面が調光ミラー面であり、他面が反射防止の処理が施された面であることが好ましい。
【0026】
光路切り替え手段の他面は、反射率を有する場合がある。このような場合、光量の多い被写体を撮影すると、光路切り替え手段の内部での反射によって、ゴースト像が撮影される場合がある。
【0027】
ここで、光路切り替え手段の他面に、反射防止の処理を施すことで、光路切り替え手段の他面における反射を防止することができる。これにより、光路切り替え手段における、内部反射を防止することができるため、ゴースト像の撮影を防止することができる。また、光路切り替え手段の透過率が上がるため、光路切り替え手段を透過した光束が撮像素子に入射する場合、撮像素子に十分な光量を供給することができる。
【0028】
なお、反射防止の処理が施された面とは、公知の反射防止膜でも良いし、特許文献3に記載された、微細周期凹凸構造(SWS構造)であっても良い。
【0029】
また、本発明の撮像装置は、調光ミラー面が以下の条件式(1),(2)を満足することが好ましい。
0%≦Rmax≦10% (1)
0%≦Rmin≦10% (2)
但し、Rmaxは調光ミラー面が最大反射状態での波長550nmにおける透過率
Rminは調光ミラー面が最大透過状態での波長550nmにおける反射率
【0030】
条件式(1)の上限値を上回ると、調光ミラー面の最大反射率が低くなるため、調光ミラー面を反射した光束を、十分に観察光学系に入射させることが困難である。従って、観察光学系に十分な光量を供給することが困難である。
条件式(2)の上限値を上回ると、調光ミラー面の最大透過率が低くなるため、調光ミラー面を透過した光束を、十分に撮像素子に入射させることが困難である。従って、撮像素子に十分な光量を供給することが困難である。
【0031】
また、本発明の撮像装置は、焦点検出光学系を有し、光路切り替え手段を透過した光路中に、光束を焦点検出光学系に導くように、第2の光路切り替え手段を配置する。そして、調光ミラー面が以下の条件式(3),(4)を満足することが好ましい。
0%≦Rmax≦40% (3)
0%≦Rmin≦10% (4)
但し、Rmaxは調光ミラー面が最大反射状態での波長550nmにおける透過率
Rminは調光ミラー面が最大透過状態での波長550nmにおける反射率
【0032】
この場合、調光ミラー面による光路の切り替えが、完全な光路の切り替えである必要はない。即ち、被写体を撮影する場合は、撮像素子に十分な光束が入射するのであれば、観察光学系へ光束が入射しても良い。また、被写体を観察する場合は、観察光学系に十分な光束が入射するのであれば、第2の光路切り替え手段を介して撮像素子に光束が射出しても良い。
なお、必要に応じて、シャッター機構により、撮像素子への光束の遮断を行ってもよい。
【0033】
条件式(3)の上限値を上回ると、調光ミラー面の最大反射率が低くなるため、調光ミラー面を反射した光束を、十分に観察光学系に入射させることが困難である。従って、観察光学系に十分な光量を供給することが困難である。
条件式(4)の上限値を上回ると、調光ミラー面の最大透過率が低くなるため、調光ミラー面を透過した光束を、十分に撮像素子に入射させることが困難である。従って、撮像素子に十分な光量を供給することが困難である。
【0034】
また、本発明の撮像装置は、開口部と、撮像素子と、の間が、光路切り替え手段によって遮蔽されていることが好ましい。
【0035】
開口部は、撮影レンズが装着可能である。ここで、撮影レンズを交換する際、ごみ等が、開口部から進入する場合がある。仮に、ごみ等が撮像素子に付着すると、得られる画像が劣化を起こす場合がある。
ここで、光路切り替え手段によって撮像装置の開口部と撮像素子の間を遮蔽することで、撮像素子にごみが付着することを防止することができる。
また、調光ミラー面の裏面に、反射防止の処理として、微細周期凹凸構造を施した場合、この面の保護もできるため好ましい。
【0036】
また、本発明の撮像装置は、遮蔽部材を有し、光路切り替え手段の周囲と、遮蔽部材が密着し、光路切り替え手段と、遮蔽部材と、で形成される空間に、撮像素子が配置されていることが好ましい。
【0037】
本発明の光路切り替え手段は、撮像素子および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節できる。この際、調光ミラー面の透過率を変化させることで光量を調節させるため、調光ミラー面の移動や、跳ね上げの必要がない。従って、調光ミラー面を、遮蔽部材に密着させて配置させることができる。これにより、光路切り替え手段と、遮蔽部材と、で形成される空間を密閉することができる。
従って、この空間に配置された撮像素子にごみが付着することを防止することができる。
【0038】
次に、本発明に係る撮像装置の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0039】
図1は本発明を一眼レフカメラ(撮像装置)に応用した例である。図1に記載の一眼レフカメラは、カメラボディ1と、開口部2と、鏡筒21と、によって構成される。カメラボディ1と、鏡筒21と、は開口部2を介して、連結される。鏡筒21の内部には、撮影レンズ22が配置されている。
カメラボディ1は、光路切り替え手段3と、フィルター6と、撮像素子7と、焦点板8と、像反転手段9と、接眼レンズ系10と、を備える。焦点板8と、像反転手段9と、接眼レンズ系10と、によって、観察光学系が構成される。
【0040】
ここで、撮像素子7は、光路切り替え手段3に対して、透過光路上に配置されている。一方、観察光学系は、光路切り替え手段3に対して、反射光路上に配置されている。
光路切り替え手段3は、光軸11に対して略45度傾けて取り付けられている。また、光路切り替え手段3は、平行平面板の形状をしている。
【0041】
光路切り替え手段3は、第1の面4と、第2の面5と、を備えている。第1の面4は、開口部2の側に配置されている。第2の面5は、撮像素子7の側に配置されている。また、第1の面4は、調光ミラー面である。第2の面5は、透過面である。
また、光路切り替え手段3は、図示していない制御手段と接続されている。制御手段は、第1の面4(調光ミラー面)の調光ミラー面としての働きを制御することで、光路を切り替えることができる。
調光ミラー面4は、電圧を印加又は電流を流すことで、反射調光作用を発現する。
【0042】
調光ミラー面4は、透明導電膜層、イオン貯蔵層、固体電解質層、触媒層、及びマグネシウム・ニッケル系合金薄膜を用いた反射調光層、を形成した全固体型反射調光エレクトロクロミック素子である。
また、調光ミラー面4は、反射率が上げると透過率が下がり、かつ、反射率を下げると透過率が上がる。また、広い面積にわたってスイッチングすることができる。
【0043】
フィルター6は、赤外カットフィルターやローパスフィルターなどによって構成される。
焦点板8と、撮像素子7と、は、光軸上において、光路切り替え手段3からの距離が略等しい位置に配置されている。
像反転手段9は、ペンタプリズム、ペンタダハミラー、または複数のミラーの組み合わせによって、構成される。
【0044】
符号11は、光軸を示している。被写体からの光束は、撮影レンズ22、開口部2、および第1の面(調光ミラー面)4、の順に入射する。調光ミラー面4を透過した光束は、第2の面5、フィルター6、を順に透過した後に、撮像素子7に入射する。
一方、調光ミラー面4を反射した光束は、焦点板8、像反転手段9、および接眼レンズ系10の順に入射する。従って、接眼レンズ系10から、被写体像を観察することができる。
【0045】
ここで、調光ミラー面4を反射率の高い状態にする場合、観察光学系へ多くの光量を供給することができるため、被写体を観察できる。このような状態で、フレーミングが可能である。一方、調光ミラー面4は、反射率を下げて、透過光量を上げることで、被写体の撮影が可能な状態となる。
このように、本実施例によれば、調光ミラー面4を設けることで、撮像素子7および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節することができる。
【0046】
なお、調光ミラー面4の反射率が最大の状態のときに、透過光量は必ずしも0にする必要はない。この場合、必要に応じてシャッター機構(不図示)を用いて撮像素子7へ入射する光束を遮蔽しても良い。例えば、撮像素子7の撮影レンズ22側に、シャッター機構(不図示)を配置することができる。
また、調光ミラー面4の透過率が最大の状態のときに反射率は必ずしも0にする必要はない。この場合、逆入射光を遮光する必要がある場合はアイピースシャッター(不図示)を配置してよい。
【0047】
なお、第2の面5に反射防止の処理を施しても良い。この場合、光路切り替え手段3の調光ミラー面4と第2の面5の間で生じる内面反射を防ぐことができる。特に、前述のSWS構造を施すことで、第2の面5における反射率をほぼ0にすることができる。この結果、光路切り替え手段3の内面反射によるゴースト像の発生を防止することができる。
【0048】
図2から図4は、SWS構造を第2の面5に施した様子を模式的に表わしたものである。図2は、SWS構造が、第2の面5に対して、垂直方向に突出した様子を模式的に表わしたものである。図3は、SWS構造における凹凸形状が、光軸11の方向に向いた様子を模式的に表わしたものである。図4は、凹凸形状の第2の面5に対する最大角度が、鉛直方向である様子を模式的に表わしたものである。この場合、エッジングやプレスが容易になるため好ましい。
【0049】
なお、本実施例におけるカメラボディ1は、ごみ等を除去する機能(いわゆるダストリダクションシステム)を備えていても良い。
【実施例2】
【0050】
図5は本願の撮像装置をカメラボディに適用し、射出瞳の遠いレンズ23を装着した例である。カメラボディ1は図1と同様のものである。射出瞳の遠いレンズ23は、画角が狭く焦点距離の長い望遠レンズや、被写体を大きく撮影するために光学系を繰り出す所謂マクロレンズ等に多い。本願は光路切り替え手段3を撮影光路から回避する必要がないので十分な長さを確保できる。即ち、従来の一眼レフカメラで採用されているクイックリターンミラーに比べ、ミラーの長さを長くできるので、ミラー切れの現象が解消される効果がある。図12に示した従来のクイックリターンミラーを使用したものと比較すると、この効果がわかりやすい。
【0051】
また、図11に示すような従来の一眼レフカメラで採用されているクイックリターンミラーによる光路切り替えは、ミラーの跳ね上げによる衝撃を抑えるための機構や、その軌跡を確保するために撮影レンズ系と撮像面の間隔を大きく確保しなければならない。また、一方、ミラーを小さくすると、図12に示すように特に射出瞳の長い望遠レンズで所謂ミラー切れと称される画面上部のファインダー像のケラレや減光という現象を起こすこととなっていた。本発明は、これらの課題も解消している。
【実施例3】
【0052】
図6は、本発明を一眼レフカメラ(撮像装置)に応用した例である。上記実施例と共通する部材には、上記実施例と同じ符号を用いている。本実施例では、カメラボディ31は、遮蔽部材36を備えている。具体的には、光路切り替え手段3の周囲と、遮蔽部材36が密着する。そして、光路切り替え手段3と、遮蔽部材36と、で形成される空間に、フィルター6と、撮像素子7と、が配置されている。
【0053】
このように、本実施例によれば、調光ミラー面4を設けることで、撮像素子7および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節することができる。
さらに、本実施例によれば、遮蔽部材36を備えている。これにより、開口部2に装着する撮影レンズ(不図示)を交換する際、ごみ等が、開口部2から侵入したとしても、フィルター6、または撮像素子7に達することを防ぐことができる。つまり、本実施例によれば、ごみ等を除去する機能(ダストリダクションシステム等)をつけなくても良好な撮影ができる。
また、第2の面5に、ごみ等が付着することを防ぐことができる。従って、第2の面5に、反射防止の処理が施されている場合、当該反射防止機能を良好に保つことができる。
【0054】
特に、第2の面5に、SWS構造が施されている場合、当該構造を維持した上で、付着したごみ等を除去することは難しい。従って、第2の面5が、撮像素子7側に配置されていることで、SWS構造が施された第2の面5に、ごみ等が付着することを防止することができる。
なお、調光ミラー面4は、容易に清掃が可能なので、仮にごみ等が付着しても、それらの除去が容易に行える。
なお、図6の遮蔽部材36の記載は象徴的に描かれており、これに限ることはない。
【実施例4】
【0055】
図7は、本発明を一眼レフカメラ(撮像装置)に応用した例である。上記実施例と共通する部材には、上記実施例と同じ符号を用いている。
カメラボディ41は、光路切り替え手段3と、フィルター46と、撮像素子47と、焦点板48と、像反転手段49と、接眼レンズ系50と、を備える。焦点板48と、像反転手段49と、接眼レンズ系50と、によって、観察光学系が構成される。
【0056】
ここで、撮像素子47は、光路切り替え手段3に対して、反射光路上に配置されている。一方、観察光学系は、光路切り替え手段3に対して、透過光路上に配置されている。
被写体からの光束は、撮影レンズ22、開口部2、および第1の面(調光ミラー面)4、の順に入射する。調光ミラー面4を透過した光束は、第2の面5、焦点板48、像反転手段49、および接眼レンズ系50を順に入射する。
一方、調光ミラー面4を反射した光束は、フィルター46を透過した後に、撮像素子47に入射する。
【0057】
像反転手段49は、ポロプリズムや、複数のミラーの組み合わせによって、構成される。図8は、ポロプリズム51を示したものである。
【0058】
ここで、調光ミラー面4を反射率の低い状態にする場合、観察光学系へ多くの光量を供給することができるため、被写体を観察できる。このような状態で、フレーミングが可能である。
【0059】
一方、調光ミラー面4は、反射率を上げると、被写体の撮影が可能な状態となる。
このように、本実施例によれば、調光ミラー面4を設けることで、撮像素子47および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節することができる。
【0060】
また、本実施例では、撮像素子47は、光路切り替え手段3に対して、反射光路上に配置されている。従って、調光ミラー面4を反射した光束は、第2の面5を透過しない。
そうすると、第2の面5を透過することによる光量ロスを防止することができる。
【0061】
なお、実施例1と同様に、必要に応じて、シャッター機構や、アイピースシャッター、またはダストリダクションシステムを設けてもよい。
また、第2の面5に、反射防止の処理を施しても良い。
【実施例5】
【0062】
図9は、本発明を一眼レフカメラ(撮像装置)に応用した例である。上記実施例と共通する部材には、上記実施例と同じ符合を用いている。
本実施例では、カメラボディ61は、位相差式焦点検出光学系を配置している。
【0063】
位相差式焦点検出光学系は、第2の光路切り替え手段(ミラー)71と、コンデンサーレンズ73と、反射ミラー74と、瞳分割絞り75と、再結像レンズ76と、焦点検出用センサー77と、によって構成される。
【0064】
ミラー71は、撮影レンズ22側が反射面である。
また、ミラー71は、不図示の制御手段で位置が制御される。具体的には、ミラー71から、72の位置に移動可能である。すなわち、制御手段は、ミラー71を、光路中に配置する状態と、光路から退避した状態と、に制御することができる。焦点位置を検出する場合、ミラー71が光路中に配置される。
コンデンサーレンズ73は、ミラー71に対し、撮像素子7と略等価な位置に配置されている。
【0065】
72の位置にミラーを配置した場合は、ミラーは、光路中に位置しないため、光路切り替え手段3を透過した光束は、撮像素子7に入射する。
一方、71の位置にミラーを配置した場合は、ミラーは光路中に位置するため、光路切り替え手段3を透過した光束は、ミラー71によって反射される。
ミラー71で反射された光束は、コンデンサーレンズ73、反射ミラー74、瞳分割絞り75、再結像レンズ76、および焦点検出用センサー77の順に入射する。
【0066】
調光ミラー面4を反射率の高い状態にする場合、観察光学系へ多くの光量を供給することができるため、被写体を観察できる。
【0067】
一方、調光ミラー面4は、反射率を下げて、透過光量を上げ、かつ、ミラー71を光路から退避させることで(72の位置にミラーを配置させることで)、撮影が可能な状態となる。
このように、本実施例によれば、調光ミラー面4を設けることで、撮像素子7および観察光学系に入射する光の光量を必要に応じて調節することができる。
【0068】
また、位相差式焦点検出光学系をカメラボディ61の底面にレイアウトすることで、効率的にカメラボディ61内のレイアウトができる。
また、光路切り替え手段3を透過した光束に基づいて、焦点検出を行うのが好ましい。すなわち、光路切り替え手段3に対して、透過光路上に焦点検出光学系を配置することが好ましい。
【0069】
なお、上記の実施例1と同様に、必要に応じて、シャッター機構、アイピースシャッター、またはダストリダクションシステムを備えてもよい。また、第2の面5は、反射防止の処理を施しても良い。
【実施例6】
【0070】
図10は、本発明を一眼レフカメラ(撮像装置)に応用した例である。本実施例は、実施例4に、実施例5と同様な位相差式焦点検出光学系を配置している。従って、上記実施例と、共通する部材には、同じ符号を用いている。
本実施例では、カメラボディ81は、早いフォーカシングを実現するために、位相差式焦点検出光学系を配置している。
【0071】
位相差式焦点検出光学系は、第2の光路切り替え手段(ミラー)91と、コンデンサーレンズ73と、反射ミラー74と、瞳分割絞り75と、再結像レンズ76と、焦点検出用センサー77と、によって構成される。
【0072】
ミラー91は(a)または(b)のいずれかの部材とする。
(a)反射率より透過率が高いハーフミラー。
(b)調光ミラー面を有した光学部材。
ここで、(b)の部材である場合、反射率を高くすることで、焦点の検出精度を高くすることができる。また、この場合、ミラー91は、図示していない制御手段と接続されている。制御手段は、ミラー91の調光ミラー面としての働きを制御することで、光路を切り替えることができる。
ミラー91は、(a)または(b)のいずれかの部材であるため、フォーカスを被写体に合わせながら連写することが容易になる。また、必要に応じて観察光学系で被写体を追うことも可能になる。
コンデンサーレンズ73は、ミラー91に対し、撮像素子47と略等価な位置に配置されている。
【0073】
ミラー91を透過した光束は、焦点板48、像反転手段49、および接眼レンズ系50に順に入射する。一方、ミラー91で反射された光束は、コンデンサーレンズ73、反射ミラー74、瞳分割絞り75、再結像レンズ76、および焦点検出用センサー77の順に入射する。
【0074】
なお、図9の構成において、ミラー71を、ミラー91と同様のものとしてもよい。この場合、ミラー91の撮像素子7側の面をSWS構造等の反射防止コートとするのが好ましい。
また、図10において、ミラー91をミラー71と同様のものとしてもよい。
【0075】
尚、上記実施例において、調光ミラー面4をハーフミラー状態(透過光量と、反射光量と、を略等しくした状態)にすることで、撮像素子7への光量を少なくすることができる。このため、高輝度被写体を良好に撮影できる。
又、別の使い方としては被写体を観察しながら撮影ができ、レリーズタイムラグを短くすることができる。また、高速連写が可能となる。
【0076】
また、本願ではミラーの駆動音がないので、静かな撮影ができ、コンサートホールでの撮影や、試合中のゴルフのスイングの撮影等が容易になる。
【0077】
また、本願においては、撮像素子からの出力信号に基づいて、焦点位置を検出しても良い。このように構成すると、焦点検出専用の光学系が必要ないため、撮像装置の構成を簡素にできる。
なお、焦点検出方法としては、所謂コントラスト法が挙げられる。
【0078】
具体的には、撮像素子からの出力信号に基づいて焦点を検出する場合、調光ミラー面の反射率を30%から70%の間に設定する。この結果、観察光学系で被写体を観察し、又はフレーミングを行いながら、合焦させることができる。
この状態から反射率を低くすれば、低輝度での良好な撮影が比較的短いレリーズタイムラグで行える。一方、この状態から反射率をあげれば明るい観察像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施例1に係る一眼レフカメラ示す図である。
【図2】光学素子の表面に反射防止部を設けた例を示す側面図である。
【図3】光学素子の表面に反射防止部を設けた他の例を示す側面図である。
【図4】光学素子の表面に反射防止部を設けた他の例を示す側面図である。
【図5】本発明の実施例2に係る一眼レフカメラを示す図である。
【図6】本発明の実施例3に係るカメラボディを示す図である。
【図7】本発明の実施例4に係る一眼レフカメラを示す図である。
【図8】本発明に用いるポロプリズムの斜視図である。
【図9】本発明の実施例5に係る一眼レフカメラを示す図である。
【図10】本発明の実施例6に係る一眼レフカメラを示す説明図である。
【図11】従来の一眼レフカメラの例を示す説明図である。
【図12】従来の一眼レフカメラの他の例を示す説明図である。
【図13】従来の一眼レフカメラの他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0080】
1,31,41,61,81: カメラボディ
2: 開口部
3: 光路切り替え手段
4: 第1の面(調光ミラー面)
5: 第2の面
6,46: フィルター
7,47: 撮像素子
8,48: 焦点板
9,49: 像反転手段
10,50: 接眼レンズ系
11: 光軸
21: 鏡筒
22: 撮影レンズ
23: 射出瞳の遠いレンズ
36: 遮蔽部材
51: ポロプリズム
71,91: ミラー
72: ミラー71が光路から退避した状態
73: コンデンサーレンズ
74: 反射ミラー
75: 瞳分割絞り
76: 再結像レンズ
77: 焦点検出用センサー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、観察光学系と、光路切り替え手段と、開口部と、を有する撮像装置において、前記光路切り替え手段は、透過率が可変の調光ミラー面を有し、前記調光ミラー面は、反射率を上げると透過率が下がり、かつ、反射率を下げると透過率が上がる、ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記調光ミラー面は、第1の状態と、第2の状態と、を有し、
前記調光ミラー面が前記第1の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面を透過して、前記撮像素子に入射し、
前記調光ミラー面が前記第2の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面で反射して、前記観察光学系に入射することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記調光ミラー面は、第1の状態と、第2の状態と、を有し、
前記調光ミラー面が前記第1の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面を透過して、前記観察光学系に入射し、
前記調光ミラー面が前記第2の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面で反射して、前記撮像素子に入射することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記光路切り替え手段は、一面が前記調光ミラー面であり、他面が反射防止の処理が施された面である請求項1から3の何れかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記調光ミラー面は以下の条件式(1),(2)を満足することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の撮像装置。
0%≦Rmax≦10% (1)
0%≦Rmin≦10% (2)
但し、Rmaxは前記調光ミラー面が最大反射状態での波長550nmにおける透過率
Rminは前記調光ミラー面が最大透過状態での波長550nmにおける反射率
【請求項6】
前記撮像装置は焦点検出光学系を有し、前記光路切り替え手段を透過した光路中に、光束を前記焦点検出光学系に導くように、第2の光路切り替え手段が配置されるとともに、前記調光ミラー面は以下の条件式(3),(4)を満足することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の撮像装置。
0%≦Rmax≦40% (3)
0%≦Rmin≦10% (4)
但し、Rmaxは前記調光ミラー面が最大反射状態での波長550nmにおける透過率
Rminは前記調光ミラー面が最大透過状態での波長550nmにおける反射率
【請求項7】
前記開口部と、前記撮像素子と、の間が、前記光路切り替え手段によって遮蔽されていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の撮像装置。
【請求項8】
遮蔽部材を有し、
前記光路切り替え手段の周囲と、前記遮蔽部材が密着し、
前記光路切り替え手段と、前記遮蔽部材と、で形成される空間に、前記撮像素子が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の撮像装置。
【請求項1】
撮像素子と、観察光学系と、光路切り替え手段と、開口部と、を有する撮像装置において、前記光路切り替え手段は、透過率が可変の調光ミラー面を有し、前記調光ミラー面は、反射率を上げると透過率が下がり、かつ、反射率を下げると透過率が上がる、ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記調光ミラー面は、第1の状態と、第2の状態と、を有し、
前記調光ミラー面が前記第1の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面を透過して、前記撮像素子に入射し、
前記調光ミラー面が前記第2の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面で反射して、前記観察光学系に入射することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記調光ミラー面は、第1の状態と、第2の状態と、を有し、
前記調光ミラー面が前記第1の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面を透過して、前記観察光学系に入射し、
前記調光ミラー面が前記第2の状態のとき、前記開口部から入射した光束は、該調光ミラー面で反射して、前記撮像素子に入射することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記光路切り替え手段は、一面が前記調光ミラー面であり、他面が反射防止の処理が施された面である請求項1から3の何れかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記調光ミラー面は以下の条件式(1),(2)を満足することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の撮像装置。
0%≦Rmax≦10% (1)
0%≦Rmin≦10% (2)
但し、Rmaxは前記調光ミラー面が最大反射状態での波長550nmにおける透過率
Rminは前記調光ミラー面が最大透過状態での波長550nmにおける反射率
【請求項6】
前記撮像装置は焦点検出光学系を有し、前記光路切り替え手段を透過した光路中に、光束を前記焦点検出光学系に導くように、第2の光路切り替え手段が配置されるとともに、前記調光ミラー面は以下の条件式(3),(4)を満足することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の撮像装置。
0%≦Rmax≦40% (3)
0%≦Rmin≦10% (4)
但し、Rmaxは前記調光ミラー面が最大反射状態での波長550nmにおける透過率
Rminは前記調光ミラー面が最大透過状態での波長550nmにおける反射率
【請求項7】
前記開口部と、前記撮像素子と、の間が、前記光路切り替え手段によって遮蔽されていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の撮像装置。
【請求項8】
遮蔽部材を有し、
前記光路切り替え手段の周囲と、前記遮蔽部材が密着し、
前記光路切り替え手段と、前記遮蔽部材と、で形成される空間に、前記撮像素子が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−180822(P2009−180822A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18018(P2008−18018)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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