撮像装置
【課題】撮像部を用いた種々の処理と位相差検出部を用いた位相差検出とを行う上での利便性を向上させる。
【解決手段】撮像面に形成された光学像を光電変換により電気信号に変換する撮像素子10と、撮像面のうち所定領域に入射する光を用いて測距を行う位相差検出部20と、所定領域の電気信号を、該所定領域の周辺の画素の電気信号に基づいて補間するボディ制御部5とを備える。
【解決手段】撮像面に形成された光学像を光電変換により電気信号に変換する撮像素子10と、撮像面のうち所定領域に入射する光を用いて測距を行う位相差検出部20と、所定領域の電気信号を、該所定領域の周辺の画素の電気信号に基づいて補間するボディ制御部5とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、光電変換を行う撮像素子を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子を用いて、被写体像を電気信号に変換し、この電気信号をデジタル化して記録するデジタルカメラが普及している。
【0003】
デジタル一眼レフカメラは、被写体像の位相差を検出する位相差検出部を有し、これによりオートフォーカス(以下、単にAFともいう)を行う位相差検出方式AF機能を備えている。位相差検出方式AF機能によれば、デフォーカス方向及びデフォーカス量を検出できるため、フォーカスレンズの移動時間を短縮でき、迅速にフォーカスできるという利点を有する(例えば、特許文献1)。従来のデジタル一眼レフカメラでは、位相差検出部に被写体からの光を導くために、レンズ鏡筒から撮像素子への光路上に進出/退避可能に構成された可動ミラーを設けている。
【0004】
また、いわゆるコンパクトデジタルカメラは、撮像素子を用いたビデオAFによるオートフォーカス機能を採用している(例えば、特許文献2)。こうして、コンパクトデジタルカメラでは、被写体からの光を位相差検出部へ導くためのミラーをなくすことにより小型化を実現している。このようなコンパクトデジタルカメラでは、撮像素子へ光を入射させた状態で、即ち、撮像素子を露光しながらオートフォーカスを行うことができる。すなわち、オートフォーカスを行いながら、撮像素子を用いた種々の処理、例えば、撮像素子上に結像する被写体像から画像信号を取得して、カメラの背面に設けた画像表示部へ表示したり、記録部へ記録したりすることができる。このビデオAFによるオートフォーカス機能は、一般的に位相差検出方式AFに比べて精度が高いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−163545号公報
【特許文献2】特開2007−135140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に係るデジタルカメラのようにビデオAFではデフォーカス方向を瞬時に検出することができない。例えば、コントラスト検出方式AFによれば、コントラストピークを検出することで焦点を検出するが、フォーカスレンズを現在の位置から前後に移動させる等しないと、コントラストピークの方向、即ち、デフォーカス方向を検出することができない。そのため、焦点検出に時間がかかってしまう。
【0007】
一方、焦点検出に要する時間を短縮する観点からは位相差検出方式AFの方が有利であるが、特許文献1に係るデジタル一眼レフカメラのように位相差検出方式AFを採用している撮像装置においては、被写体からの光を位相差検出部へ導くべく、レンズ鏡筒から撮像素子への光路上に可動ミラーを進出させる必要があるため、位相差検出方式AFを行いながら、撮像素子を用いた種々の処理を行うこと、例えば、撮像素子を露光することができない。また、入射光の進路を位相差検出部へ向かう進路と撮像素子へ向かう進路とで切り替える際には可動ミラーを移動させる必要があり、この可動ミラーの移動のためのタイムラグや騒音が生じる。
【0008】
すなわち、従来の位相差検出方式AFを行う撮像装置においては、撮像素子を用いた種々の処理との関係で利便性が悪かった。
【0009】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、撮像素子と位相差検出部とを備えた撮像装置において、撮像部を用いた種々の処理と位相差検出部を用いた位相差検出とを行う上での利便性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここに開示された撮像装置は、撮像面に形成された光学像を光電変換により電気信号に変換する撮像部と、前記撮像面のうち所定領域に入射する光を用いて測距を行う測距部と、前記所定領域の電気信号を、該所定領域の周辺の画素の電気信号に基づいて補間する制御部とを備えるものとする。
【発明の効果】
【0011】
前記撮像装置によれば、撮像部を用いた種々の処理と位相差検出部による位相差検出とを並行して行うことができ、あるいは、撮像部を用いた種々の処理と位相差検出部による位相差検出との切り替えを即座にかつ静かに行うことができ、撮像装置の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施形態1に係るカメラのブロック図である。
【図2】図2は、撮像ユニットの断面図である。
【図3】図3は、撮像素子の断面図である。
【図4】図4は、撮像素子の平面図である。
【図5】図5は、位相検出ユニットの平面図である。
【図6】図6は、変形例に係る撮像ユニットの斜視図である。
【図7】図7は、変形例に係る撮像素子の断面図である。
【図8】図8は、別の変形例に係る撮像素子の断面図である。
【図9】図9は、別の変形例に係る撮像ユニットの図2に相当する断面の断面図である。
【図10】図10は、別の変形例に係る撮像ユニットの図2に相当する断面と直交する断面の断面図である。
【図11】図11は、位相差検出方式AFによる撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図12】図12は、位相差検出方式AFを始めとする各撮影動作における、レリーズボタンが全押しされた後の基本的な流れを示すフローチャート図である。
【図13】図13は、コントラスト検出方式AFによる撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図14】図14は、ハイブリッド方式AFによる撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図15】図15は、変形例に係る位相差検出方式AFによる撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図16】図16は、変形例に係るハイブリッド方式AFによる撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図17】図17は、連写モードの撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図18】図18は、連写モードの撮影動作における、レリーズボタンが全押しされた後の流れを示すフローチャート図である。
【図19】図19は、ローコンモードの撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図20】図20は、交換レンズの種類によりAF機能を切り替える撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図21】図21は、露光中AF撮影モードの撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図22】図22は、露光中AF撮影モードの撮影動作における、レリーズボタンが全押しされた後の流れを示すフローチャート図である。
【図23】図23は、実施形態2に係るカメラのブロック図である。
【図24】図24は、クイックリターンミラーと遮光板の構成を説明するための説明図であって、(A)は退避位置に、(B)は退避位置と反射位置との間に、(C)は反射位置にクイックリターンミラーが位置するときを示す。
【図25】図25は、ファインダ撮影モードにおける、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図26】図26は、ファインダ撮影モードにおける、レリーズボタンが全押しされた後の流れを示すフローチャート図である。
【図27】図27は、ライブビュー撮影モードにおける、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図28】図28は、ライブビュー撮影モードにおける、レリーズボタンが全押しされた後の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
《実施形態1》
実施形態1に係る撮像装置としてのカメラについて説明する。
【0015】
実施形態1に係るカメラ100は、図1に示すように、交換レンズ式の一眼レフデジタルカメラであり、主に、カメラシステムの主要な機能を有するカメラ本体4と、カメラ本体4に取り外し可能に装着された交換レンズ7とから構成されている。交換レンズ7は、カメラ本体4の前面に設けられたボディマウント41に装着されている。ボディマウント41には電気切片41aが設けられている。
【0016】
−カメラ本体の構成−
カメラ本体4は、被写体像を撮影画像として取得する撮像ユニット1と、撮像ユニット1の露光状態を調節するシャッタユニット42と、撮像ユニット1に入射する被写体像の赤外光除去とモアレ現象を軽減するためのIRカット兼OLPF(Optical Low Pass Filter)43と、液晶モニタで構成され、撮影画像やライブビュー画像や各種情報を表示する画像表示部44と、ボディ制御部5とを有している。このカメラ本体4が撮像装置本体を構成する。
【0017】
また、カメラ本体4には、カメラシステムの電源の入切を操作する電源スイッチ40aと、撮影者がフォーカシング時およびレリーズ時に操作するレリーズボタン40bと、種々の撮影モード及び機能のON/OFFを切り替える設定スイッチ40c〜40fとが設けられている。
【0018】
電源スイッチ40aにより電源がON状態になると、カメラ本体4および交換レンズ7の各部に電源が供給される。
【0019】
レリーズボタン40bは、2段式であって、半押しすることで後述するオートフォーカスやAE等を行う一方、全押しすることでレリーズが行われる。
【0020】
AF設定スイッチ40cは、後述する3つのオートフォーカス機能を切り替えるためのスイッチである。カメラ本体4は、このAF設定スイッチ40cが切り替えられることによって、オートフォーカス機能を3つのうちの何れかに設定するように構成されている。
【0021】
連写設定スイッチ40dは、後述する連写モードの設定/解除を行うためのスイッチである。カメラ本体4は、この連写設定スイッチ40dが操作されることによって、通常撮影モードと連写モードとを切替可能に構成されている。
【0022】
露光中AF設定スイッチ40eは、後述する露光中AFのON/OFFを設定するためのスイッチである。カメラ本体4は、露光中AF設定スイッチ40eが操作されることによって、オートフォーカスを行いながら露光する露光中AF撮影モードと、露光時にはフォーカスレンズ群72を停止させてオートフォーカスを行わない通常撮影モードとを切替可能に構成されている。この露光中AF設定スイッチ40eが露光中合焦撮影モードと通常撮影モードとを切り替えるための設定スイッチを構成する。
【0023】
マクロ設定スイッチ40fは、後述するマクロ撮影モードの設定/解除を行うためのスイッチである。カメラ本体4は、このマクロ設定スイッチ40fが操作されることによって、通常撮影モードと接写撮影に適したマクロ撮影モードとを切替可能に構成されている。
【0024】
また、これらの設定スイッチ40c〜40fは、カメラ撮影機能を種々選択するメニュー内の選択項目であってもよいことは言うまでもない。
【0025】
さらにまた、マクロ設定スイッチ40fは、交換レンズ7に設けてもよい。
【0026】
撮像ユニット1は、詳しくは後述するが、光電変換により被写体像を電気信号に変換するものである。この撮像ユニット1は、ブレ補正ユニット45によって光軸Xに直交する平面内で移動可能に構成されている。
【0027】
ボディ制御部5は、ボディマイコン50と、不揮発性メモリ50aと、シャッタユニット42の駆動を制御するシャッタ制御部51と、撮像ユニット1の動作を制御すると共に撮像ユニット1からの電気信号をA/D変換してボディマイコン50へ出力する撮像ユニット制御部52と、例えばカード型記録媒体や内部メモリである画像格納部58からの画像データの読み出し及び該画像格納部58への画像データの記録を行う画像読み出し/記録部53と、画像読み出し/記録部53を制御する画像記録制御部54と、画像表示部44の表示を制御する画像表示制御部55と、カメラ本体4のブレにより生じる像ブレ量を検出するブレ検出部56と、ブレ補正ユニット45を制御する補正ユニット制御部57とを含む。このボディ制御部5が制御部を構成する。
【0028】
ボディマイコン50は、カメラ本体4の中枢を司る制御装置であり、各種シーケンスの制御を行う。ボディマイコン50には、例えば、CPU,ROM,RAMが搭載されている。そして、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、ボディマイコン50は様々な機能を実現することができる。
【0029】
このボディマイコン50は、電源スイッチ40a、レリーズボタン40b及び各設定スイッチ40c〜40fからの入力信号が入力されると共に、シャッタ制御部51、撮像ユニット制御部52、画像読み出し/記録部53、画像記録制御部54及び補正ユニット制御部57等に対し制御信号を出力するように構成されており、シャッタ制御部51、撮像ユニット制御部52、画像読み出し/記録部53、画像記録制御部54及び補正ユニット制御部57等にそれぞれの制御を実行させる。また、ボディマイコン50は、後述するレンズマイコン80とマイコン間通信を行う。
【0030】
例えば、ボディマイコン50の指示により、撮像ユニット制御部52が撮像ユニット1からの電気信号をA/D変換してボディマイコン50へ出力する。ボディマイコン50は、取り込んだ電気信号に所定の画像処理を施して画像信号を作成する。そして、ボディマイコン50は、画像読み出し/記録部53に画像信号を送信すると共に、画像記録制御部54に画像の記録及び表示の指示を行って、画像格納部58への画像信号の保存と画像表示制御部55への画像信号の送信を行わせる。画像表示制御部55は、送信されてきた画像信号に基づいて画像表示部44を制御して、該画像表示部44に画像を表示させる。
【0031】
また、ボディマイコン50は、詳しくは後述するが、レンズマイコン80を介して被写体までの物点距離を検出するように構成されている。
【0032】
不揮発性メモリ50aには、カメラ本体4に関する各種情報(本体情報)が格納されている。この本体情報には、例えば、カメラ本体4のメーカー名、製造年月日、型番、ボディマイコン50にインストールされているソフトのバージョン、およびファームアップに関する情報などのカメラ本体4を特定するための型式に関する情報(本体特定情報)、カメラ本体4がブレ補正ユニット45及びブレ検出部56等の像ブレを補正するための手段を搭載しているか否かに関する情報、ブレ検出部56の型番および感度などの検出性能に関する情報、エラー履歴なども含まれている。尚、これらの情報は、不揮発性メモリ50aの代わりにボディマイコン50内のメモリ部に格納されていてもよい。
【0033】
ブレ検出部56は、手ブレなどに起因するカメラ本体4の動きを検出する角速度センサを備える。角速度センサは、カメラ本体4が静止している状態での出力を基準としてカメラ本体4が動く方向に応じて正負の角速度信号を出力する。尚、本実施の形態では、ヨーイング方向及びピッチング方向の2方向を検出するために角速度センサを2個設けている。出力された角速度信号は、フィルタ処理、アンプ処理等を経て、A/D変換部によりデジタル信号に変換されてボディマイコン50に与えられる。
【0034】
−交換レンズの構成−
交換レンズ7は、カメラ本体4内の撮像ユニット1に被写体像を結ぶための撮像光学系を構成しており、主に、フォーカシングを行うフォーカス調節部7Aと、絞りを調節する絞り調節部7Bと、光路を調節することで像ブレを補正するレンズ用像ブレ補正部7Cと、交換レンズ7の動作を制御するレンズ制御部8とを有している。
【0035】
交換レンズ7は、レンズマウント71を介して、カメラ本体4のボディマウント41に取り付けられている。また、レンズマウント71には、交換レンズ7がカメラ本体4に取り付けられてときにボディマウント41の電気切片41aと電気的に接続される電気切片71aが設けられている。
【0036】
フォーカス調節部7Aは、フォーカスを調節するフォーカスレンズ群72で構成されている。フォーカスレンズ群72は、交換レンズ7の規格として定められた最至近合焦位置から無限合焦位置までの区間で光軸X方向に移動可能である。また、フォーカスレンズ群72は、後述するコントラスト検出方式による合焦位置検出の場合、合焦位置を挟んで光軸X方向前後に移動可能である必要があるため、上述の最至近合焦位置から無限合焦位置までの区間よりもさらに光軸X方向前後に移動可能なレンズシフト余裕区間を有している。なお、フォーカスレンズ群72は、必ずしも複数のレンズで構成される必要はなく、1枚のレンズで構成されていてもよい。
【0037】
絞り調節部7Bは、絞りまたは開放を調節する絞り部73で構成されている。この絞り部73が光量調節部を構成する。
【0038】
レンズ用像ブレ補正部7Cは、ブレ補正レンズ74と、ブレ補正レンズ74を光軸Xに直交する平面内で移動させるブレ補正レンズ駆動部74aとを有している。
【0039】
レンズ制御部8は、レンズマイコン80と、不揮発性メモリ80aと、フォーカスレンズ群72の動作を制御するフォーカスレンズ群制御部81と、フォーカスレンズ群制御部81の制御信号を受けてフォーカスレンズ群72を駆動するフォーカス駆動部82と、絞り部73の動作を制御する絞り制御部83と、交換レンズ7のブレを検出するブレ検出部84と、ブレ補正レンズ駆動部74aを制御するブレ補正レンズユニット制御部85とを有する。
【0040】
レンズマイコン80は、交換レンズ7の中枢を司る制御装置であり、交換レンズ7に搭載された各部に接続されている。具体的には、レンズマイコン80には、CPU、ROM、RAMが搭載されており、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、様々な機能を実現することができる。例えば、レンズマイコン80は、ボディマイコン50からの信号に基づいてレンズ用像ブレ補正装置(ブレ補正レンズ駆動部74a等)を補正可能状態または補正不能状態に設定する機能を有している。また、レンズマウント71に設けられた電気切片71aとボディマウント41に設けられた電気切片41aとの接触により,ボディマイコン50およびレンズマイコン80は電気的に接続されており、互いに情報の送受信が可能となっている。
【0041】
また、不揮発性メモリ80aには、交換レンズ7に関する各種情報(レンズ情報)が格納されている。このレンズ情報には、例えば、交換レンズ7のメーカー名、製造年月日、型番、レンズマイコン80にインストールされているソフトのバージョンおよびファームアップに関する情報などの交換レンズ7を特定するための型式に関する情報(レンズ特定情報)、交換レンズ7がブレ補正レンズ駆動部74a及びブレ検出部84等の像ブレを補正するための手段を搭載しているか否かに関する情報、像ブレを補正するための手段を搭載している場合は、ブレ検出部84の型番および感度などの検出性能に関する情報、ブレ補正レンズ駆動部74aの型番および最大補正可能角度などの補正性能に関する情報(レンズ側補正性能情報)、像ブレ補正を行うためのソフトのバージョンなどが含まれている。さらに、レンズ情報には、ブレ補正レンズ駆動部74aの駆動に必要な消費電力に関する情報(レンズ側消費電力情報)およびブレ補正レンズ駆動部74aの駆動方式に関する情報(レンズ側駆動方式情報)も含まれている。尚、不揮発性メモリ80aは、ボディマイコン50から送信された情報を格納可能である。尚、これらの情報は、不揮発性メモリ80aの代わりに、レンズマイコン80内のメモリ部に格納されていてもよい。
【0042】
フォーカスレンズ群制御部81は、フォーカスレンズ群72の光軸方向の絶対位置を検出する絶対位置検出部81aと、フォーカスレンズ群72の光軸方向の相対位置を検出する相対位置検出部81bとを有している。絶対位置検出部81aは、交換レンズ7の筐体におけるフォーカスレンズ群72の絶対位置を検出するものである。絶対位置検出部81aは、例えば、数bitの接触型エンコーダ基板とブラシとによって構成され、絶対位置を検出可能に構成されている。相対位置検出部81bは、それのみではフォーカスレンズ群72の絶対位置を検出することができないが、フォーカスレンズ群72の移動方向は検出可能であり、例えば二相エンコーダを用いている。二相エンコーダは回転パルスエンコーダや、MR素子、ホール素子など、フォーカスレンズ群72の光軸方向の位置に応じて等しいピッチで2値の信号を交互に出力するものが2つ設けられており、これらのピッチの位相をずらすように設置されている。レンズマイコン80は、相対位置検出部81bの出力からフォーカスレンズ群72の光軸方向の相対位置を算出する。
【0043】
ブレ検出部84は、手ブレなどに起因する交換レンズ7の動きを検出する角速度センサを備える。角速度センサは、交換レンズ7が静止している状態での出力を基準として交換レンズ7が動く方向に応じて正負の角速度信号を出力する。尚、本実施の形態では、ヨーイング方向及びピッチング方向の2方向を検出するために角速度センサを2個設けている。出力された角速度信号は、フィルタ処理、アンプ処理等を経て、A/D変換部によりデジタル信号に変換されてレンズマイコン80に与えられる。
【0044】
ブレ補正レンズユニット制御部85は、移動量検出部(図示せず)を備える。移動量検出部は、ブレ補正レンズ74の実際の移動量を検出する検出部である。ブレ補正レンズユニット制御部85は、移動量検出部からの出力に基づいて、ブレ補正レンズ74を帰還制御している。
【0045】
尚、カメラ本体4及び交換レンズ7の両方にブレ検出部56,84とブレ補正装置45,74aを搭載した例を示したが、カメラ本体4及び交換レンズ7の何れかにブレ検出部及びブレ補正装置が搭載されていてもよく、何れにもブレ検出部及びブレ補正装置が搭載されていない場合であってもよい(その場合は、上述のブレ補正に関するシーケンスを排除すればよい)。
【0046】
−撮像ユニットの構成−
撮像ユニット1は、図2に示すように、被写体像を電気信号に変換するための撮像素子10と、撮像素子10を保持するためのパッケージ31と、位相差検出方式の焦点検出を行うための位相差検出ユニット20とを有している。
【0047】
撮像素子10は、インターライン型CCDイメージセンサであって、図3に示すように、半導体材料で構成された光電変換部11と、垂直レジスタ12と、転送路13と、マスク14と、カラーフィルタ15と、マイクロレンズ16とを有している。
【0048】
光電変換部11は、基板11aと、基板11a上に配列された複数の受光部(画素ともいう)11b,11b,…とを有している。
【0049】
基板11aは、Si(シリコン)ベースで構成されている。詳しくは、基板11aは、Si単結晶基板又はSOI(Silicon On Insulator wafer)で構成されている。特に、SOI基板は、Si薄膜とSiO2薄膜のサンドイッチ構造をなし、エッチングの処理などにおいてSiO2層で反応をとめることが可能であり、安定した基板加工を行う上で有利である。
【0050】
また、受光部11bは、フォトダイオードで構成されていて、光を吸収して電荷を発生する。受光部11b,11b,…は、基板11a上において行列状に配列された微小な方形の画素領域内にそれぞれ設けられている(図4参照)。
【0051】
垂直レジスタ12は、受光部11bごとに設けられており、受光部11bに蓄積された電荷を一時蓄積する役割を有する。つまり、受光部11bに蓄積された電荷は、垂直レジスタ12に転送される。垂直レジスタ12に転送された電荷は、転送路13を介して水平レジスタ(図示省略)に転送され、増幅器(図示省略)に送られる。増幅器に送られた電荷は、増幅され電気信号として取り出される。
【0052】
マスク14は、受光部11bを被写体側に露出させる一方、垂直レジスタ12及び転送路13を覆うように設けられていて、垂直レジスタ12及び転送路13に光が入射することを防止している。
【0053】
カラーフィルタ15及びマイクロレンズ16は、各受光部11bに対応して前記微小な方形の画素領域ごとに設けられている。カラーフィルタ15は、特定の色だけを透過させるためのものであり、原色フィルタ又は補色フィルタが用いられる。本実施形態では、図4に示すように、いわゆるベイヤー型の原色フィルタが用いられている。すなわち、撮像素子10全体としては、2行2列に隣接する4つのカラーフィルタ15,15,…(又は4つの画素領域)を1つの繰り返し単位としたときに、該繰り返し単位中において、一方の対角方向に2つの緑のカラーフィルタ(即ち、緑色の可視光波長域に対して緑色以外の他の色の可視光波長域よりも高い透過率を持つカラーフィルタ)15gが配列され、他方の対角方向に赤のカラーフィルタ(即ち、赤色の可視光波長域に対して赤色以外の他の色の可視光波長域よりも高い透過率を持つカラーフィルタ)15rと青のカラーフィルタ(即ち、青色の可視光波長域に対して青色以外の他の色の可視光波長域よりも高い透過率を持つカラーフィルタ)15bとが配列されている。全体として緑のカラーフィルタ15g,15g,…が縦横に1つおきに配置されている。
【0054】
マイクロレンズ16は、光を集光して受光部11bに入射させるものである。このマイクロレンズ16によって受光部11bを効率良く照射できる。
【0055】
このように構成された撮像素子10においては、マイクロレンズ16,16,…によって集光された光は、カラーフィルタ15r,15g,15bに入射し、各カラーフィルタに応じた色の光だけが該カラーフィルタを透過して、受光部11b,11b,…に照射する。各受光部11bは、光を吸収して電荷を発生する。この各受光部11bで発生した電荷は、垂直レジスタ12及び転送路13を介して増幅器に送られ、電気信号として出力される。つまり、受光部11b,11b,…からは、各カラーフィルタに対応した色の受光光量が出力として得られる。
【0056】
こうして、撮像素子10は、その撮像面全体における受光部11b,11b,…で光電変換を行うことによって、撮像面に形成された被写体像を電気信号に変換する。
【0057】
ここで、基板11aには、照射された光を透過させる透過部17,17,…が複数形成されている。透過部17は、基板11aにおける受光部11bが設けられている面とは反対側の面(以下、単に裏面ともいう)11cを切削、研磨又はエッチングにより凹状に陥没させることによって形成されており、周辺部よりも薄く形成されている。さらに詳しくは、透過部17は、最も薄肉になっている陥没面17aと、該陥没面17aと裏面11cとを繋ぐ傾斜面17b,17bとを有している。
【0058】
この基板11aにおける透過部17を光が透過する程度の厚みに形成することによって、光電変換部11に照射された光のうち該透過部17に照射された光の一部は電荷に変換されずに該光電変換部11を透過する。例えば、透過部17における基板11aの厚みを2〜3μmに設定することによって、近赤外光より長波長側を約50%透過させることができる。
【0059】
また、傾斜面17b,17bは、透過部17を透過する際に該傾斜面17bで反射する光が後述する位相差検出ユニット20のコンデンサレンズ21a,21a,…へ向かわない角度に設定されている。こうすることで、後述するラインセンサ24aに実像でない像が形成されることを防止している。
【0060】
この透過部17が、撮像素子10に入射する光を透過、即ち、通過させる薄肉部を構成する。ここで、少なくとも本明細書においては、「通過」は「透過」を含む概念である。
【0061】
このように構成された撮像素子10は、パッケージ31に保持されている(図2参照)。このパッケージ31が保持部を構成する。
【0062】
詳しくは、パッケージ31は、平板状の底板31aにフレーム32が設けられていると共に、四方には立壁31b,31b,…が設けられている。撮像素子10は、立壁31b,31b,…により四方を覆われるようにして、フレーム32にマウントされると共に、フレーム32に対してボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。
【0063】
また、パッケージ31の立壁31b,31b,…の先端には、撮像素子10の撮像面(受光部11b,11b,…が設けられている面)を覆うようにカバーガラス33が取り付けられている。このカバーガラス33によって、撮像素子10の撮像面はゴミの付着などから保護されている。
【0064】
ここで、パッケージ31の底板31aには、撮像素子10の透過部17,17,…に対応する位置に該透過部17,17,…と同じ個数だけ開口31c,31c,…が貫通形成されている。この開口31c,31c,…により、撮像素子10を透過した光が、後述する位相差検出ユニット20まで到達する。この開口31cが通過部を構成する。
【0065】
尚、パッケージ31の底板31aには、必ずしも開口31cが貫通形成される必要はない。すなわち、撮像素子10を透過した光が位相差検出ユニット20まで到達する構成であれば、底板31aに透明部若しくは半透明部を形成する等の構成であってもよい。
【0066】
位相差検出ユニット20は、撮像素子10の背面側(被写体と反対側)に設けられて、撮像素子10からの通過光を受光して位相差検出を行う。詳しくは、位相差検出ユニット20は、受光した通過光を測距のための電気信号に変換する。この位相差検出ユニット20が位相差検出部を構成する。
【0067】
この位相差検出ユニット20は、図2,5に示すように、コンデンサレンズユニット21と、マスク部材22と、セパレータレンズユニット23と、ラインセンサユニット24と、これらコンデンサレンズユニット21、マスク部材22、セパレータレンズユニット23及びラインセンサユニット24を取り付けるためのモジュール枠25とを有している。コンデンサレンズユニット21、マスク部材22、セパレータレンズユニット23及びラインセンサユニット24は、撮像素子10の厚さ方向に沿って該撮像素子10側からこの順で並んでいる。
【0068】
コンデンサレンズユニット21は、複数のコンデンサレンズ21a,21a,…を一体的にユニット化したものである。コンデンサレンズ21a,21a,…は、透過部17,17,…と同じ数だけ設けられている。各コンデンサレンズ21aは、入射する光を集光するためのものであり、撮像素子10を透過して拡がりつつある光を集光して、セパレータレンズユニット23の後述するセパレータレンズ23aへと導く。各コンデンサレンズ21aは、入射面21bが凸状に形成されていると共に、入射面21b近傍が円柱状に形成されている。
【0069】
このコンデンサレンズ21aを設けることによって、セパレータレンズ23aへの入射角度が立つ(入射角が小さくなる)ため、セパレータレンズ23aの収差を抑えることができると共に、後述するラインセンサ24a上の被写体像間隔を小さくすることができる。その結果、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aを小型化することができる。また、撮像光学系からの被写体像の焦点位置が撮像ユニット1から大きく外れたとき(詳しくは、撮像ユニット1の撮像素子10から大きく外れたとき)、その像のコントラストが著しく下がるが、本実施形態によれば、コンデンサレンズ21aとセパレータレンズ23aによる縮小効果によりコントラストの低下を抑え、焦点検出範囲を広くすることもできる。尚、焦点位置近傍における高精度な位相差検出等の場合、セパレータレンズ23aやラインセンサ24a等の寸法に余裕がある場合等においては、コンデンサレンズユニット21を設けなくてもよい。
【0070】
マスク部材22は、コンデンサレンズユニット21とセパレータレンズユニット23との間に配設される。マスク部材22は、各セパレータレンズ23aに対応する位置ごとに2つのマスク開口22a,22aが形成されている。つまり、マスク部材22は、セパレータレンズ23aのレンズ面を2つの領域に分割して、該2つの領域だけをコンデンサレンズ21a側に露出させている。すなわち、マスク部材22は、コンデンサレンズ21aにより集光された光を2つの光束に瞳分割して、セパレータレンズ23aへ入射させる。このマスク部材22により隣り合う一方のセパレータレンズ23aからの有害光などが他方のセパレータレンズ23aに入らないようにすることができる。尚、このマスク部材22は、設けなくともよい。
【0071】
セパレータレンズユニット23は、複数のセパレータレンズ23a,23a,…を有し、これら複数のセパレータレンズ23a,23a,…を一体的にユニット化したものである。セパレータレンズ23a,23a,…は、コンデンサレンズ21a,21a,…と同様に、透過部17,17,…と同じ数だけ設けられている。各セパレータレンズ23aは、マスク部材22を通過して入射してきた2つの光束を、同一の2つの被写体像としてラインセンサ24a上に結像させる。
【0072】
ラインセンサユニット24は、複数のラインセンサ24a,24a,…と該ラインセンサ24a,24a,…を設置する設置部24bとを有する。ラインセンサ24a,24a,…は、コンデンサレンズ21a,21a,…と同様に、透過部17,17,…と同じ数だけ設けられている。各ラインセンサ24aは、撮像面上に結像する像を受光して電気信号に変換する。つまり、ラインセンサ24aの出力から、2つの被写体像の間隔を検出することができ、その間隔によって撮像素子10に結像する被写体像の焦点のずれ量(即ち、デフォーカス量(Df量))及び焦点がどちらの方向にずれているか(即ち、デフォーカス方向)を求めることができる(以下、これらDf量及びデフォーカス方向等をデフォーカス情報ともいう)。
【0073】
このように構成されたコンデンサレンズユニット21、マスク部材22、セパレータレンズユニット23及びラインセンサユニット24は、モジュール枠25に配設されている。
【0074】
モジュール枠25は、枠状に形成された部材であって、その内周には、内側に向かって突出する取付部25aが設けられている。取付部25aの撮像素子10側には、階段状に第1取付部25b及び第2取付部25cが形成されている。また、取付部25aの撮像素子10と反対側には、第3取付部25dが形成されている。
【0075】
そして、撮像素子10側から、モジュール枠25の第2取付部25cにマスク部材22が取り付けられ、第1取付部25bにコンデンサレンズユニット21が取り付けられている。これらコンデンサレンズユニット21及びマスク部材22は、それぞれ第1取付部25b及び第2取付部25cに取り付けられる際に、図2,5に示すように、周縁部がモジュール枠25に嵌り込むように形成されており、それによりモジュール枠25に対して位置決めされる。
【0076】
一方、撮像素子10の反対側から、モジュール枠25の第3取付部25dにセパレータレンズユニット23が取り付けられている。第3取付部25dには、コンデンサレンズユニット21と反対側に突出する位置決めピン25eと方向基準ピン25fとが設けられている。一方、セパレータレンズユニット23には、これら位置決めピン25e及び方向基準ピン25fにそれぞれ対応する位置決め孔23b及び方向基準孔23cが形成されている。位置決めピン25eと位置決め孔23bとは嵌合するようにそれぞれの径が設定されている。一方、方向基準ピン25fと方向基準孔23cとは緩やかに嵌るようにそれぞれの径が設定されている。すなわち、セパレータレンズユニット23は、位置決め孔23b及び方向基準孔23cをそれぞれ第3取付部25dの位置決めピン25e及び方向基準ピン25fに挿通させることによって、第3取付部25dに取り付ける際の方向等の姿勢が規定されると共に、位置決め孔23bと位置決めピン25eとの嵌合によって第3取付部25dに対して位置決めされる。こうして、セパレータレンズユニット23が姿勢及び位置を決めて取り付けられたとき、セパレータレンズ23a,23a,…の各レンズ面は、コンデンサレンズユニット21の側を向くと共に、マスク開口22a,22aと対向した状態になる。
【0077】
こうして、コンデンサレンズユニット21、マスク部材22及びセパレータレンズユニット23は、モジュール枠25に対して位置決めされた状態で取り付けられる。すなわち、これらコンデンサレンズユニット21、マスク部材22及びセパレータレンズユニット23は、モジュール枠25を介して、互いの位置関係が位置決めされる。
【0078】
そして、ラインセンサユニット24が、セパレータレンズユニット23の背面側(コンデンサレンズユニット21と反対側)からモジュール枠25に対して取り付けられる。このとき、ラインセンサユニット24は、各セパレータレンズ23aを透過した光がラインセンサ24aに入射するように位置決めされた状態でモジュール枠25に取り付けられる。
【0079】
したがって、コンデンサレンズユニット21、マスク部材22、セパレータレンズユニット23及びラインセンサユニット24をモジュール枠25に取り付けることによって、コンデンサレンズ21a,21a,…に入射した光が、該コンデンサレンズ21a,21a,…を透過して、マスク部材22を介してセパレータレンズ23a,23a,…に入射し、セパレータレンズ23a,23a,…を透過した光がラインセンサ24a,24a,…上に結像するように、コンデンサレンズ21a,21a,…、マスク部材22、セパレータレンズ23a,23a,…及びラインセンサ24a,24a,…がそれぞれ位置決めされた状態で配列される。
【0080】
このように構成された撮像素子10と位相差検出ユニット20とは、互いに接合される。詳しくは、撮像素子10におけるパッケージ31の開口31cと位相差検出ユニット20におけるコンデンサレンズ21aとが、互いに嵌合するように構成されている。つまり、位相差検出ユニット20におけるコンデンサレンズ21a,21a,…を、撮像素子10におけるパッケージ31の開口31c,31c,…に嵌め込んだ状態で、モジュール枠25をパッケージ31に接着する。こうすることで撮像素子10と位相差検出ユニット20とを互いに位置決めした状態で接合することができる。このように、コンデンサレンズ21a,21a,…、セパレータレンズ23a,23a,…及びラインセンサ24a,24a,…は、一体的にユニット化されると共に、ユニット化された状態でパッケージ31に取り付けられる。
【0081】
このとき、全ての開口31c,31c,…と全てのコンデンサレンズ21a,21a,…とを互いに嵌合するように構成してもよい。あるいは、そのうちのいくつかの開口31c,31c,…とコンデンサレンズ21a,21a,…だけを嵌合状態とし、残りの開口31c,31c,…とコンデンサレンズ21a,21a,…とは緩やかに嵌るように構成してもよい。後者の場合には、最も撮像面中央に近いコンデンサレンズ21aと開口31cとが嵌合するように構成して撮像面内における位置決めを行い、さらに、撮像面中央から最も離れたコンデンサレンズ21aと開口31cとが嵌合するように構成して撮像面中央のコンデンサレンズ21a及び開口31c回り(即ち、回転角度)の位置決めを行うことが好ましい。
【0082】
こうして、撮像素子10と位相差検出ユニット20とを接合した結果、基板11aの背面側には、各透過部17ごとに、コンデンサレンズ21a、マスク部材22の一対のマスク開口22a,22a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aが配置される。
【0083】
このように、光を透過させるように構成した撮像素子10に対して、撮像素子10を収容するパッケージ31の底板31aに開口31c,31c,…を形成することによって、撮像素子10を透過した光をパッケージ31の背面側まで容易に到達させることができると共に、パッケージ31の背面側に位相差検出ユニット20を配設することによって、撮像素子10を透過した光を位相差検出ユニット20で受光する構成を容易に実現することができる。
【0084】
また、パッケージ31の底板31aに形成される開口31c,31c,…は撮像素子10を透過した光をパッケージ31の背面側に通過させる構成であれば任意の構成を採用することができるが、貫通孔である開口31c,31c,…を形成することによって、撮像素子10を透過した光を減衰させることなくパッケージ31の背面側まで到達させることができる。
【0085】
また、コンデンサレンズ21a,21a,…を開口31c,31c,…に嵌合させることによって、開口31c,31c,…を利用して、撮像素子10に対する位相差検出ユニット20の位置決めを行うことができる。尚、コンデンサレンズ21a,21a,…を設けない場合は、セパレータレンズ23a,23a,…を開口31c,31c,…に嵌合させるように構成すれば、同様に、撮像素子10に対する位相差検出ユニット20の位置決めを行うことができる。
【0086】
それと共に、コンデンサレンズ21a,21a,…にパッケージ31の底板31aを貫かせて、基板11aに接近させて配設することができるため、撮像ユニット1をコンパクトに構成することができる。
【0087】
このように構成された撮像ユニット1の動作について、以下に説明する。
【0088】
撮像ユニット1に被写体からの光が入射すると、該光は、カバーガラス33を透過し撮像素子10に入射する。該光は、撮像素子10のマイクロレンズ16により集光された後、カラーフィルタ15を透過することにより特定の色の光だけが受光部11bに到達する。受光部11bは光を吸収して電荷を発生する。発生した電荷は垂直レジスタ12及び転送路13を介して増幅器に送られ、電気信号として出力される。こうして、撮像素子10は、その撮像面全体において各受光部11bが光を電気信号に変換することによって、撮像面に形成された被写体像を、画像信号を作成するための電気信号に変換する。
【0089】
一方、透過部17,17,…では、撮像素子10に照射された光の一部が撮像素子10を透過する。撮像素子10を透過した光は、パッケージ31の開口31c,31c,…に嵌合されたコンデンサレンズ21a,21a,…へ入射する。各コンデンサレンズ21aを透過することにより集光された光は、マスク部材22に形成された各対のマスク開口22a,22aを通過する際に2つの光束に分割されて各セパレータレンズ23aに入射する。こうして瞳分割された光は、セパレータレンズ23aを透過して、ラインセンサ24a上の2つの位置に同一の被写体像として結像する。ラインセンサ24aは、光電変換により被写体像から電気信号を作成し出力する。
【0090】
ここで、撮像素子10から出力される電気信号は、撮像ユニット制御部52を介してボディマイコン50に入力される。そして、ボディマイコン50は、各受光部11bの位置情報と該受光部11bの受光光量に対応した出力データを撮像素子10の撮像面全体から得ることによって、撮像面に形成された被写体像を、電気信号として取得する。
【0091】
ここで、受光部11b,11b,…では同じ光量の光を受光しても光の波長が異なると蓄積電荷量が異なるため、撮像素子10の受光部11b,11b,…からの出力はそれぞれに設けられているカラーフィルタ15r,15g,15bの種類に応じて補正される。例えば、赤のカラーフィルタ15rが設けられたR画素11b、緑のカラーフィルタ15gが設けられたG画素11b及び青のカラーフィルタ15bが設けられたB画素11bがそれぞれのカラーフィルタに対応する色の光を同じ光量だけ受光したときに、R画素11b、G画素11b、B画素11bからの出力が同じレベルとなるように各画素の補正量が設定される。
【0092】
ただし、本実施形態では基板11aに透過部17,17,…を設けることによって、透過部17,17,…における光電変換効率が、それ以外の部分に比べて低くなる。つまり、同じ光量の光を受光しても、蓄積電荷量は、透過部17,17,…に対応する位置に設けられた画素11b,11b,…の方がそれ以外の部分に設けられた画素11b,11b,…よりも少なくなってしまう。その結果、透過部17,17,…に対応する位置に設けられた画素11b,11b,…から出力された出力データにそれ以外の部分に設けられた画素11b,11b,…から出力された出力データと同様の画像処理を施したのでは、透過部17,17,…に対応する部分の画像が適切に撮影されない(例えば、暗く撮影されてしまう)可能性がある。そこで、透過部17,17,…における各画素11bの出力を、透過部17,17,…の影響がなくなるように補正(例えば、透過部17,17,…における各画素11bの出力を増幅する等)される。
【0093】
また、この出力の低下は、光の波長により異なる。すなわち、波長が長いほど基板11aの透過率が高くなる。そのため、カラーフィルタ15r,15g,15bの種類により、基板11aを透過する光量に差が生じる。そこで、透過部17に対応する各画素11bについての透過部17の影響をなくす補正は、該各画素11bが受光する光の波長に応じて補正量を異ならせている。つまり、透過部17に対応する各画素11bについて、該各画素11bが受光する光の波長が長いほど補正量を大きくしている。
【0094】
ここで、各画素11bでは、前述の如く、受光する色の種類による蓄積電荷量の差をなくすための補正量が設定されており、この色の種類による蓄積電荷量の差をなくす補正に加えて、透過部17の影響をなくす補正がなされる。すなわち、透過部17の影響をなくす補正の補正量は、透過部17に対応する各画素11bについての補正量と、透過部17以外の位置に対応する画素11bであって且つ同じ色を受光する画素11bについての補正量との差となる。本実施形態では、以下に示す関係で色ごとに補正量を異ならせている。こうすることで安定した画像出力を得ることができる。
【0095】
Rk>Gk>Bk ・・・(1)
ここで、
Rk:透過部17のR画素補正量−透過部17以外のR画素補正量
Gk:透過部17のG画素補正量−透過部17以外のG画素補正量
Bk:透過部17のB画素補正量−透過部17以外のB画素補正量
とする。
【0096】
すなわち、赤、緑、青の3色のうち長波長である赤が最も透過率が高いため、赤の画素での補正量の差が最も大きい。また、該3色のうち短波長である青が最も透過率が低いため、青の画素での補正量の差が最も小さい。
【0097】
つまり、撮像素子10の各画素11bの出力の補正量は、各画素11bが透過部17に対応する位置に位置するか否か、および、各画素11bに対応するカラーフィルタ15の色の種類に基づいて決定される。各補正量は、例えば、透過部17からの出力と透過部17以外からの出力とにより表示される画像のホワイトバランス及び/又は輝度が等しくなるように決定される。
【0098】
ボディマイコン50は、受光部11b,11b,…からの出力データをこのように補正した後、該出力データに基づいて、各受光部、即ち、画素11bにおける位置情報、色情報及び輝度情報とを含む画像信号を作成する。こうして、撮像素子10の撮像面上に結像された被写体像の画像信号が得られる。
【0099】
このように撮像素子10からの出力を補正することによって、透過部17,17,…が設けられた撮像素子10であっても、被写体像を適切に撮影することができる。
【0100】
一方、ラインセンサユニット24から出力される電気信号も、ボディマイコン50に入力される。そして、ボディマイコン50は、ラインセンサユニット24からの出力に基づいて、ラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像の間隔を求め、求めた間隔から、撮像素子10に結像する被写体像の焦点状態を検出することができる。例えば、ラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像は、撮像レンズを透過して撮像素子10に結像する被写体像が正確に結像しているとき(合焦)には、所定の基準間隔を開けて所定の基準位置に位置する。それに対し、被写体像が撮像素子10よりも光軸方向手前側に結像しているとき(前ピン)には、2つの被写体像の間隔が合焦時の基準間隔よりも狭くなる。一方、被写体像が撮像素子10よりも光軸方向奥側に結像しているとき(後ピン)には、2つの被写体像の間隔が合焦時の基準間隔よりも広くなる。つまり、ラインセンサ24aからの出カを増幅した後、演算回路にて演算することによって、合焦か非合焦か、前ピンか後ピンか、Df量はどの位かを知ることができる。
【0101】
ここで、本実施形態では、撮像素子10に3つの透過部17が形成され、各透過部17の背面側には、位相差検出ユニット20のコンデンサレンズ21a、マスク部材22の一対のマスク開口22a,22a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aが光軸に沿って並んでいる。つまり、撮像ユニット1は、(詳しくは、撮像素子10及び位相差検出ユニット20)は、コンデンサレンズ21a、マスク部材22の一対のマスク開口22a,22a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aが光軸に沿って並んでいる、位相差を検出するためのエリア(以下、「位相差エリア」ともいう)を3つ有している。
【0102】
尚、本実施形態では、透過部17は基板11aにおいて周辺部よりも薄肉状に形成されているが、これに限られるものではない。例えば、基板11aに照射される光が基板11aを透過して基板11a背面側の位相差検出ユニット20に十分到達するように、基板11a全体の厚さを設定してもよい。この場合、基板11a全体が透過部となる。
【0103】
また、本実施形態では、基板11aに3つの透過部17,17,17が形成されて、位相差エリアが3箇所設けられているが、これに限られるものではない。これらの個数は3つに限定されるものではなく、任意の個数に設定し得る。例えば、図6に示すように、基板11aに9つの透過部17,17,…を形成すると共に、コンデンサレンズ21a,セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aを9セット設け、9つの位相差エリアを設けるようにしてもよい。
【0104】
さらに、撮像素子10は、CCDイメージセンサに限られるものではなく、図7に示すように、CMOSイメージセンサであってもよい。
【0105】
撮像素子210は、CMOSイメージセンサであって、半導体材料で構成された光電変換部211と、トランジスタ212と、信号線213と、マスク214と、カラーフィルタ215と、マイクロレンズ216とを有している。
【0106】
光電変換部211は、基板211aと、フォトダイオードで構成された受光部211b,211b,…とを有している。各受光部211bごとに、トランジスタ212が設けられている。受光部211bで蓄積された電荷は、トランジスタ212で増幅され、信号線213を介して外部へ出力される。マスク214、カラーフィルタ215及びマイクロレンズ216は、前記マスク14、カラーフィルタ15及びマイクロレンズ16と同様の構成である。
【0107】
そして、基板211aには、CCDイメージセンサと同様に、照射された光を透過させる透過部17,17,…が形成されている。透過部17は、基板211aにおける受光部211bが設けられている面とは反対側の面(以下、単に裏面ともいう)211cを切削、研磨又はエッチングにより凹状に陥没させることによって形成されており、周辺部よりも薄肉に形成されている。
【0108】
また、CMOSイメージセンサにおいては、トランジスタ212の増幅率を受光部211bごとに設定することができるため、各トランジスタ212の増幅率を各受光部11bが透過部17に対応する位置に位置するか否か、および、各受光部11bに対応するカラーフィルタ15の色の種類に基づいて設定することによって、透過部17,17,…に対応する部分の画像が、適切に撮影されないことを防止することができる。
【0109】
また、光が通過する撮像素子の構成としては、前述の如く、透過部17,17,…を設ける構成に限られるものではない。光が撮像素子を通過(前述の如く、透過も含む)する構成であれば、任意の構成を採用することができる。例えば、図8に示すように、基板311aに複数の貫通孔318a,318a,…が形成された通過部318を有する撮像素子310であってもよい。
【0110】
貫通孔318a,318a,…は、基板311aを厚さ方向に貫通して形成されている。詳しくは、基板311a上の行列状の画素領域において、2行2列に隣接する4つの画素領域を1単位としたときに、そのうちの3つの画素領域に受光部11b,11b,11bが配設され、残りの1つの画素領域に貫通孔318aが形成されている。
【0111】
そして、該4つの画素領域中の受光部11b,11b,11bが配設された3つの画素領域には、3つの受光部11b,11b,11bそれぞれに対応する3色のカラーフィルタ15r,15g,15bが配設されている。詳しくは、貫通孔318aに対して対角位置に位置する受光部11bには緑のカラーフィルタ15gが配設され、貫通孔318aと隣接する一方の受光部11bには赤のカラーフィルタ15rが配設され、貫通孔318aと隣接する他方の受光部11bには青のカラーフィルタ15bが配設されている。そして、貫通孔318aに対応する画素領域には、カラーフィルタが設けられていない。
【0112】
この撮像素子10においては、貫通孔318aに対応する画素を、該貫通孔318aに隣接する受光部11b,11b,…の出力を用いて補間する。具体的には、貫通孔318aと画素領域の対角方向に隣接する、緑のカラーフィルタ15gが設けられた4つの受光部11b,11b,…の出力の平均値を用いて貫通孔318aに対応する画素の信号を補間(標準補間)する。または、貫通孔318aと画素領域の対角方向に隣接する、緑のカラーフィルタ15gが設けられた4つの受光部11b,11b,…において別々の対角方向に隣接する2組の受光部11b,11b,…の出力の変化を比較し、変化の大きい方の組の対角方向に隣接する受光部11b,11bの出力の平均値、若しくは変化の小さい方の組の対角方向に隣接する受光部11b,11bの出力の平均値を用いて貫通孔318aに対応する画素の信号を補間(傾斜補間)する。補間したい画素が合焦被写体のエッジである場合、変化の大きい方の受光部11b,11bを用いると、エッジをだらしてしまい好ましくない結果となる。したがって、所定の閾値以上の変化がある場合は変化の小さい方を用い、所定の閾値未満の場合は変化の大きい方を用いて、できるだけ滑らかな傾斜を採用する。
【0113】
こうして、貫通孔318aに対応する受光部11bの出力データを補間した後、受光部11b,11b,…のそれぞれの出力データを用いて、各受光部11bに対応する画素の輝度情報及び色情報を求めて、さらには所定の画像処理や合成を行って画像信号を作成する。
【0114】
こうすることによって、通過部318,318,…における画像が暗く撮影されてしまうことを防止することができる。
【0115】
このように構成された撮像素子310は、入射してきた光を複数の貫通孔318a,318a,…を介して通過させることができる。
【0116】
このように、基板311aに、透過部17ではなく、複数の貫通孔318a,318a,…で構成される通過部318を設けることによっても、光が通過する撮像素子310を構成することができる。また、コンデンサレンズ21a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aの1セットに対して複数の貫通孔318a,318a,…からの光が入射するように構成することによって、コンデンサレンズ21a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aの1セットの大きさが画素の大きさに限定されないという点で好ましい。すなわち、コンデンサレンズ21a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aの1セットの大きさは、画素の狭小化による撮像素子310の高画素化を阻害しない点で好ましい。
【0117】
尚、この通過部318は、位相差検出ユニット20のコンデンサレンズ21aやセパレータレンズ23aに対応する位置だけに設けてもよいし、基板311a全体に設けてもよい。
【0118】
さらにまた、位相差検出ユニット20は、前述の構成に限られるものではない。例えば、撮像素子10の透過部17に対してコンデンサレンズ21aやセパレータレンズ23aが位置決めされる構成であれば、コンデンサレンズ21aとパッケージ31の開口31cとの嵌合は必ずしも必要ない。また、コンデンサレンズを有さない構成でもよい。あるいは、コンデンサレンズ及びセパレータレンズが一体的に形成されたものであってもよい。
【0119】
さらに、別の例としては、図9,10に示すように、撮像素子10の背面側において、コンデンサレンズユニット421と、マスク部材422と、セパレータレンズユニット423と、ラインセンサユニット424とが撮像素子10の撮像面と平行な方向に並んで配置される位相差検出ユニット420であってもよい。
【0120】
詳しくは、コンデンサレンズユニット421は、複数のコンデンサレンズ421a,421a,…を一体的にユニット化していると共に、入射面421bと反射面421cと出射面421dとを有している。すなわち、コンデンサレンズユニット421は、コンデンサレンズ421a,421a,…によって集光された光を反射面421cにより略90°の角度で反射させ、出射面421dから出射させる。その結果、撮像素子10を透過してコンデンサレンズユニット421へ入射した光は、反射面421cによってその光路が略垂直に曲げられて、出射面421dから出射してセパレータレンズユニット423のセパレータレンズ423aへ向かう。セパレータレンズ423aへ入射した光は、該セパレータレンズ423aを透過して、ラインセンサ424aに結像する。
【0121】
このように構成されたコンデンサレンズユニット421、マスク部材422、セパレータレンズユニット423及びラインセンサユニット424は、モジュール枠425に配設されている。
【0122】
モジュール枠425は、箱状に形成されており、その内部には、コンデンサレンズユニット421を取り付けるための段差部425aが形成されている。コンデンサレンズユニット421は、コンデンサレンズ421a,421a,…がモジュール枠425の外方を向くようにして該段差部425aに取り付けられている。
【0123】
また、モジュール枠425には、コンデンサレンズユニット421の出射面421dと対向する位置に、マスク部材422及びセパレータレンズユニット423を取り付けるための取付壁部425bが立設されている。この取付壁部425bには、開口425cが形成されている。
【0124】
マスク部材422は、取付壁部425bに対してコンデンサレンズユニット421の側から取り付けられている。一方、セパレータレンズユニット423は、取付壁部425bに対してコンデンサレンズユニット421と反対側から取り付けられている。
【0125】
こうして、撮像素子10の背面側において、撮像素子10を通過した光の光路を折り曲げることによって、コンデンサレンズユニット421、マスク部材422、セパレータレンズユニット423及びラインセンサユニット424等を、撮像素子10の厚さ方向に並べるのではなく、撮像素子10の撮像面に平行な方向に並べることができるため、撮像ユニット401の、撮像素子10の厚さ方向の寸法を小さくすることができる。つまり、撮像ユニット401をコンパクトに形成することができる。
【0126】
このように、撮像素子10の背面側において、撮像素子10を通過した光を受けて位相差検出を行うことができる構成であれば、任意の構成の位相差検出ユニットを採用することができる。
【0127】
−カメラの動作説明−
このように構成されたカメラ100は、種々の撮影モード及び機能を備えている。以下、カメラ100の種々の撮影モード及び機能と共にそのときの動作を説明する。
【0128】
−AF機能−
カメラ100は、レリーズボタン40bが半押しされると、AFにより焦点を合わせるが、このAFとして、位相差検出方式AFと、コントラスト検出方式AFと、ハイブリッド方式AFとの3つのオートフォーカス機能を有している。これら3つのオートフォーカス機能は、カメラ本体4に設けられたAF設定スイッチ40cを操作することによって、撮影者が選択可能となっている。
【0129】
以下に、各オートフォーカス機能によるカメラシステムの撮影動作を通常撮影モードを前提に説明する。ここで、通常撮影モードとは、後述する露光中AF撮影モードやマクロ撮影モードや連写モードではない、通常の撮影を行うためのカメラ100の最も基本的な撮影モードである。
【0130】
(位相差検出方式AF)
まず、位相差検出方式AF方式によるカメラシステムの撮影動作について、図11,12を参照して説明する。
【0131】
電源スイッチ40aがONされると(ステップSa1)、カメラ本体4と交換レンズ7との交信が行われる(ステップSa2)。詳しくは、カメラ本体4内のボディマイコン50及び各種ユニットに電力が供給され、ボディマイコン50が起動する。同時に、電気切片41a,71aを介して、交換レンズ7内のレンズマイコン80及び各種ユニットに電極が供給され、レンズマイコン80が起動する。ボディマイコン50及びレンズマイコン80は、起動時に互いに情報を送受信するようプログラミングされており、例えばレンズマイコン80のメモリ部からボディマイコン50へ交換レンズ7に関するレンズ情報が送信され、このレンズ情報はボディマイコン50のメモリ部に格納される。
【0132】
続いて、ボディマイコン50は、レンズマイコン80を介してフォーカスレンズ群72を予め設定された所定の基準位置に位置させる(ステップSa3)と共に、それと並行して、シャッタユニット42を開状態にする(ステップSa4)。その後、ステップSa5へ進み、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされるまで待機する。
【0133】
こうすることで、交換レンズ7を透過して、カメラ本体4内に入射した光は、シャッタユニット42を通過して、さらにIRカット兼OLPF43を透過し、撮像ユニット1へ入射する。そして、撮像ユニット1にて結像した被写体像は画像表示部44に表示され、撮影者は画像表示部44を介して被写体の正立像を観察できる。詳しくは、ボディマイコン50は、撮像ユニット制御部52を介して撮像素子10からの電気信号を一定の周期で読み込み、読み込んだ電気信号に対して所定の画像処理を施した後、画像信号を作成し、画像表示制御部55を制御して画像表示部44にライブビュー画像を表示させる。
【0134】
また、撮像ユニット1へ入射した光の一部は、撮像素子10の透過部17,17,…を透過して位相差検出ユニット20へ入射する。
【0135】
ここで、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされる(即ち、S1スイッチ(図示省略)がONされる)と(ステップSa5)、ボディマイコン50は、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出カを増幅した後、演算回路にて演算することによって、合焦か非合焦か、前ピンか後ピンか、Df量はどの位かを求める(ステップSa6)。
【0136】
その後、ボディマイコン50は、ステップSa6で取得したDf量分だけデフォーカス方向にフォーカスレンズ群72をレンズマイコン80を介して駆動させる(ステップSa7)。
【0137】
このとき、本実施形態に係る位相差検出ユニット2は、コンデンサレンズ21a、マスク開口22a,22a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aのセットを3セット、即ち、位相差検出を行う位相差エリアを3つ有している。そして、位相差検出方式AFやハイブリッド方式AFにおける位相差検出では、撮影者が任意に選択した測距ポイントに対応したセットのラインセンサ24aの出力に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動させる。
【0138】
あるいは、複数の測距ポイントのうち最もカメラに近接した測距ポイントを選択してフォーカスレンズ群72の駆動を行うように、ボディマイコン50に自動最適化アルゴリズムを設定しておいてもよい。この場合、中抜け写真などが発生する確率を低減することができる。
【0139】
尚、この測距ポイントの選択は、位相差検出方式AFに限られるものではなく、位相差検出ユニット2を用いてフォーカスレンズ群72を駆動させる構成であれば、任意の方式のAFに採用できる。
【0140】
そして、合焦したか否かを判定する(ステップSa8)。詳しくは、ラインセンサ24aの出力から得られるDf量が所定値以下であるときには合焦した(YES)と判定してステップSa11へ進む一方、ラインセンサ24aの出力から得られるDf量が所定値より大きいときには合焦していない(NO)と判定してステップSa6へ戻り、ステップSa6〜Sa8を繰り返す。
【0141】
こうして焦点状態の検出とフォーカスレンズ群72の駆動を繰り返し、Df量が所定量以下になったときに合焦と判断され、フォーカスレンズ群72の駆動が停止される。
【0142】
また、ステップSa6〜Sa8における位相差検出方式AFと並行して、測光を行う(ステップSa9)と共に、像ブレ検出を開始する(ステップSa10)。
【0143】
すなわち、ステップSa9においては、撮像素子10によって該撮像素子10に入射してくる光の光量が測定される。つまり、本実施形態においては、撮像素子10に入射して該撮像素子10を透過した光を用いて上述の位相差検出方式AFを行っているため、該位相差検出方式AFと並行して、撮像素子10を用いて測光を行うことができる。
【0144】
詳しくは、ボディマイコン50が、撮像ユニット制御部52を介して撮像素子10からの電気信号を取り込み、該電気信号に基づいて被写体光の強度を測定することによって測光を行う。そして、ボディマイコン50は、測光の結果から、撮影モードに応じた露光時におけるシャッタスピードと絞り値を所定のアルゴリズムに従って決定する。
【0145】
そして、ステップSa9において測光が終了すると、ステップSa10において像ブレ検出を開始する。尚、ステップSa9とステップSa10とは並行して行ってもよい。
【0146】
また、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると、画像表示部44には、撮影画像と共に撮影に係る各種情報表示が表示され、撮影者は画像表示部44を介して各種情報を確認することができる。
【0147】
ステップSa11では、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされる(即ち、S2スイッチ(図示省略)がONされる)まで待機する。撮影者によりレリーズボタン40bが全押しされると、ボディマイコン50は、シャッタユニット42を一旦、閉状態にする(ステップSa12)。こうして、シャッタユニット42を閉状態にしている間に、後述する露光に備えて、撮像素子10の受光部11b,11b,…に蓄積されている電荷を転送してしまう。
【0148】
その後、ボディマイコン50は、カメラ本体4と交換レンズ7との交信情報、又は撮影者の任意の指定情報を基に像ブレの補正を開始する(ステップSa13)。具体的には、カメラ本体4内のブレ検出部56の情報を基に交換レンズ7内のブレ補正レンズ駆動部74aを駆動する。また、撮影者の意図に応じて、(i)交換レンズ7内のブレ検出部84とブレ補正レンズ駆動部74aを用いる、(ii)カメラ本体4内のブレ検出部56とブレ補正ユニット45を用いる、(iii)交換レンズ7内のブレ検出部84とカメラ本体4内のブレ補正ユニット45を用いる、の何れかが選択可能である。
【0149】
尚、像ブレ補正手段の駆動開始は、レリーズボタン40b半押し時点から開始することで、合焦させたい被写体の動きが軽減され、位相差検出方式AFをより正確に行うことが可能となる。
【0150】
また、ボディマイコン50は、像ブレの補正開始と並行して、ステップSa9における測光の結果から求められた絞り値となるようにレンズマイコン80を介して絞り部73を絞り込む(ステップSa14)。
【0151】
こうして、像ブレの補正が開始されると共に、絞り込みが完了すると、ボディマイコン50は、ステップSa9における測光の結果から求められたシャッタスピードに基づいてシャッタユニット42を開状態にする(ステップSa15)。こうして、シャッタユニット42を開状態にすることで、被写体からの光が撮像素子10に入射するようになり、撮像素子10では所定時間だけ電荷の蓄積を行う(ステップSa16)。
【0152】
そして、ボディマイコン50は、該シャッタスピードに基づいて、シャッタユニット42を閉状態にして、露光を終了する(ステップSa17)。露光完了後、ボディマイコン50では、撮像ユニット制御部52を介して撮像ユニット1から画像データを読み出し、所定の画像処理後、画像読み出し/記録部53を介して画像表示制御部55へ画像データを出力する。これにより、画像表示部44へ撮影画像が表示される。また、ボディマイコン50は、必要に応じて、画像記録制御部54を介して画像格納部58に画像データを格納する。
【0153】
その後、ボディマイコン50は、像ブレ補正を終了する(ステップSa18)共に、絞り部73を開放する(ステップSa19)。そして、ボディマイコン50は、シャッタユニット42を開状態とする(ステップSa20)。
【0154】
レンズマイコン80は、リセットが完了すると、ボディマイコン50にリセット完了を伝える。ボディマイコン50は、レンズマイコン80からのリセット完了情報と露光後の一連の処理の完了を待ち、その後、レリーズボタン40bの状態が、押し込みされていないことを確認し、撮影シーケンスを終了する。その後、ステップSa5へ戻り、レリーズボタン40bが半押しされるまで待機する。
【0155】
尚、電源スイッチ40aがOFFされる(ステップSa21)と、ボディマイコン50は、フォーカスレンズ群72を予め設定された所定の基準位置に移動させる(ステップSa22)と共に、シャッタユニット42を閉状態にする(ステップSa23)。そして、カメラ本体4内のボディマイコン50及び各種ユニット、並びに交換レンズ7内のレンズマイコン80及び各種ユニットの作動を停止する。
【0156】
このように、位相差検出方式AFによるカメラシステムの撮影動作においては、位相差検出ユニット20に基づいたオートフォーカスと並行して、撮像素子10により測光が行われる。すなわち、位相差検出ユニット20は撮像素子10を透過した光を受けてデフォーカス情報を取得するため、デフォーカス情報を取得する際には必ず、被写体からの光が撮像素子10に照射されている。そこで、オートフォーカス時に撮像素子10を透過する光を用いて測光を行う。こうすることで、測光用のセンサを別途設ける必要がなくなると共に、レリーズボタン40bが全押しされる前に測光を行っておくことができるため、レリーズボタン40bが全押しされてから露光が完了するまでの時間(以下、レリーズタイムラグともいう)を短縮することができる。
【0157】
また、レリーズボタン40bの全押し前に測光を行う構成であっても、測光をオートフォーカスと並行して行うことによって、レリーズボタン40b半押し後の処理時間を長くしてしまうことも防止できる。その際、被写体からの光を測光用センサや位相差検出ユニットへ導くためのミラーを設ける必要がない。
【0158】
また、従来は、被写体から撮像装置に導かれる光の一部をミラー等で、撮像装置外に設けられた位相差検出ユニットへ導いていたのに対し、撮像ユニット1に導かれた光をそのまま用いて位相差検出ユニット20によって焦点状態を検出することができるため、焦点状態を非常に高精度に能力することができる。
【0159】
(コントラスト検出方式AF)
次に、コントラスト検出方式AFによるカメラシステムの撮影動作について、図13を参照して説明する。
【0160】
電源スイッチ40aがONされると(ステップSb1)、カメラ本体4と交換レンズ7との交信が行われ(ステップSb2)、フォーカスレンズ群72を所定の基準位置に位置させ(ステップSb3)、それと並行して、シャッタユニット42を開状態にし(ステップSb4)、レリーズボタン40bが半押しされるのを待機する(ステップSb5)ところまでは、位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa5と同じである。
【0161】
撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSb5)、ボディマイコン50は、レンズマイコン80を介してフォーカスレンズ群72を駆動させる(ステップSb6)。詳しくは、被写体像の焦点が光軸方向の所定の方向(例えば、被写体側)に移動するようにフォーカスレンズ群72を駆動する。
【0162】
そして、ボディマイコン50は、撮像ユニット制御部52を介して取り込んだ撮像素子10からの出力に基づいて被写体像のコントラスト値を求め、該コントラスト値が低く変化したか否かを判定する(ステップSb7)。その結果、コントラスト値が低くなった(YES)ときにはステップSb8へ進む一方、コントラスト値が高くなった(NO)ときにはステップSb9へ進む。
【0163】
コントラスト値が低くなったときには、フォーカスレンズ群72を焦点が合う方向とは反対方向に駆動したということであるため、被写体像の焦点が光軸方向の前記所定の方向とは反対方向(例えば、被写体と反対側)に移動するようにフォーカスレンズ群72を反転駆動する(ステップSb8)。その後、コントラストピークを検出したか否かを判定し(ステップSb10)、コントラストピークを検出されない(NO)間はフォーカスレンズ群72の反転駆動(ステップSb8)を繰り返す。そして、コントラストピークが検出された(YES)ときには、フォーカスレンズ群72の反転駆動を停止すると共に、フォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置まで移動させ、ステップSa11へ進む。
【0164】
一方、ステップSb6でフォーカスレンズ群72を駆動させて、コントラスト値が高くなったときには、フォーカスレンズ群72を焦点が合う方向に駆動させているため、そのままフォーカスレンズ群72の駆動を継続して(ステップSb9)、コントラスト値のピークを検出したか否かを判定する(ステップSb10)。その結果、コントラストピークを検出されない(NO)間はフォーカスレンズ群72の駆動(ステップSb9)を繰り返す一方、コントラストピークが検出された(YES)ときには、フォーカスレンズ群72の駆動を停止すると共に、フォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置まで移動させ、ステップSa11へ進む。
【0165】
このように、コントラスト検出方式では、フォーカスレンズ群72をとりあえず駆動してみて(ステップSb6)、コントラスト値が低く変化したときにはフォーカスレンズ群72を反転駆動してコントラスト値のピークを探す(ステップSb8,Sb10)一方、コントラスト値が高く変化したときにはフォーカスレンズ群72をそのまま駆動してコントラスト値のピークを探す(ステップSb9,Sb10)。
【0166】
また、このコントラスト検出方式AF(ステップSb6〜Sb10)と並行して、測光を行う(ステップSb11)と共に、像ブレ検出を開始する(ステップSb12)。これらステップSb11,Sb12は、位相差検出方式AFのステップSa9,Sa10と同様である。
【0167】
ステップSa11では、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。レリーズボタン40bが全押しされてからのフローは、位相差検出方式AFと同様である。
【0168】
このコントラスト検出方式AFでは、ダイレクトにコントラストピークを捕らえることが可能となり、位相差検出方式AFと異なり、開放バック補正(絞りの開口度合いによるピントズレ)などの様々な補正演算が必要ないため高精度なピント性能を得ることができる。ただし、コントラスト値のピークを検出するためには、コントラスト値のピークを一旦超えるまでフォーカスレンズ群72を駆動する必要がある。こうして、フォーカスレンズ群72をコントラスト値のピークを一旦越えるところまで移動させた後、検出されたコントラスト値のピークの位置まで戻す必要があるため、フォーカスレンズ群72の往復駆動動作によりフォーカスレンズ群駆動系に生じるバックラッシュ分を取り除く必要がある。
【0169】
(ハイブリッド方式AF)
続いて、ハイブリッド方式AFによるカメラシステムの撮影動作について、図14を参照して説明する。
【0170】
電源スイッチ40aがONされてからレリーズボタン40bの半押しを待機する(ステップSc1〜Sc5)までは、位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa5と同じである。
【0171】
撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSc5)、ボディマイコン50は、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出カを増幅した後、演算回路にて演算して、合焦か非合焦かを検出する(ステップSc6)。さらに、ボディマイコン50は、前ピンか後ピンか、デフォーカス量はどの位かを求め、デフォーカス情報を取得する(ステップSc7)。その後、ステップSc10へ進む。
【0172】
一方、ステップSc6,Sc7と並行して、測光を行う(ステップSc8)と共に、像ブレ検出を開始する(ステップSc9)。これらステップSc6,Sc7は、位相差検出方式AFのステップSa9,Sa10と同様である。その後、ステップSc10へ進む。尚、ステップSc9の後は、ステップSc10ではなく、ステップSa11へ進んでもよい。
【0173】
このように、本実施形態においては、撮像素子10に入射して該撮像素子10を透過した光を用いて上述の位相差に基づく焦点検出を行っているため、該焦点検出と並行して、撮像素子10を用いて測光を行うことができる。
【0174】
ステップSc10では、ボディマイコン50は、ステップSc7で取得したデフォーカス情報に基づいて、フォーカスレンズ群72を駆動する。
【0175】
そして、ボディマイコン50は、コントラストピークが検出されたか否かを判定する(ステップSc11)。コントラストピークが検出されていない(NO)ときにはフォーカスレンズ群72の駆動(ステップSc10)を繰り返す一方、コントラストピークが検出された(YES)ときにはフォーカスレンズ群72の駆動を停止して、フォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置まで移動させた後、ステップSa11へ進む。
【0176】
具体的には、ステップSc10,Sc11において、ステップSc7で算出したデフォーカス方向及びデフォーカス量に基づき、フォーカスレンズ群72を高速に移動させた後、フォーカスレンズ群72を前述の速度よりも低速で移動させてコントラストピークを検出することが好ましい。
【0177】
このとき、算出したデフォーカス量に基づいて移動させるフォーカスレンズ群72の移動量(どこまで移動させるか)を位相差検出方式AFにおけるステップSa7と異ならせることが好ましい。詳しくは、位相差検出方式AFにおけるステップSa7では、デフォーカス量に基づいて合焦位置と予測される位置までフォーカスレンズ群72を移動させるのに対し、ハイブリッド方式AFにおけるステップSc10では、デフォーカス量に基づいて合焦位置と予測される位置よりも前後に離れた位置までフォーカスレンズ群72を駆動する。ハイブリッド方式AFでは、その後、合焦位置と予測される位置に向かってフォーカスレンズ群72を駆動しながらコントラストピークを検出する。
【0178】
ステップSa11では、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。レリーズボタン40bが全押しされてからのフローは、位相差検出方式AFと同様である。
【0179】
このように、ハイブリッド方式AFでは、まず、位相差検出ユニット20によってデフォーカス情報を取得し、これらのデフォーカス情報に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動する。そして、撮像素子10からの出力に基づいて算出されるコントラスト値がピークとなるフォーカスレンズ群72の位置を検出し、フォーカスレンズ群72を該位置に位置させる。こうすることで、フォーカスレンズ群72の駆動前にデフォーカス情報を検出することができるため、コントラスト検出方式AFのようにフォーカスレンズ群72をとりあえず駆動してみるというステップが必要ないため、オートフォーカスの処理時間を短縮することができる。また、最終的にはコントラスト検出方式AFによって焦点を合わすため、特に繰り返しパターンのある被写体やコントラストが極端に低い被写体などに対して、位相差検出方式AFよりも精度良く焦点を合わせることができる。
【0180】
そして、ハイブリッド方式AFは位相差検出を含んでいるにもかかわらず、撮像素子10を透過した光を用いて位相差検出ユニット20によりデフォーカス情報を取得しているため、撮像素子10による測光と位相差検出ユニット20によるデフォーカス情報の取得とを並行して行うことができる。その結果、位相差検出用に、被写体からの光の一部を分割させるミラーを設ける必要がなく、また、測光用のセンサを別途設ける必要もなく、さらに、レリーズボタン40bが全押しされる前に測光を行っておくことができるため、レリーズタイムラグを短縮することができる。そして、レリーズボタン40bが全押しされる前に測光を行う構成において、測光をデフォーカス情報の取得と並行して行うことによって、レリーズボタン40b半押し後の処理時間を長くしてしまうことも防止できる。
【0181】
−変形例−
以上の説明では、レリーズボタン40bの全押し後であって露光の直前に絞り込みを行っているが、以下では、位相差検出方式AF及びハイブリッド方式AFにおいて、レリーズボタン40bの全押し前であって、さらにオートフォーカス前に絞り込みを行うように構成した変形例について説明する。
【0182】
(位相差検出方式AF)
具体的に、まず、変形例に係る位相差検出方式AFによるカメラシステムの撮影動作について、図15を参照して説明する。
【0183】
電源スイッチ40aがONされてからレリーズボタン40bの半押しを待機する(ステップSd1〜Sd5)までは、上述の位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa5と同じである。
【0184】
撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSd5)、像ブレ検出を開始する(ステップSd6)と共に、それと並行して、測光を行う(ステップSd7)。これらステップSd5,Sd6は、位相差検出方式AFのステップSa9,Sa10と同様である。
【0185】
その後、ステップSd7の測光の結果に基づいて露光時の絞り値を求め、求めた絞り値が所定の絞り閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップSd8)。そして、求めた絞り値が所定の絞り閾値よりも大きい(YES)ときにはステップSd10に進む一方、求めた絞り値が所定の絞り閾値以下(NO)のときにはステップSd9へ進む。ステップSd9では、ボディマイコン50は、求めた絞り値になるようにレンズマイコン80を介して絞り部73を駆動する。
【0186】
ここで、所定の絞り閾値は、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aの出力に基づいてデフォーカス情報の取得ができる程度の絞り値に設定されている。つまり、測光の結果に基づいて求めた絞り値が絞り閾値よりも大きい場合には、該絞り値まで絞り部73を絞ると、後述する位相差検出ユニット20によるデフォーカス情報の取得ができないため、絞り部73を絞ることなく、ステップSd10へ進む。一方、測光の結果に基づいて求めた絞り値が絞り閾値以下の場合には、該絞り値まで絞り部73を絞ってから、ステップSd10へ進む。
【0187】
ステップSd10〜Sd12では、上述の位相差検出方式AFにおけるステップSa6〜Sa8と同様に、ボディマイコン50が、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出カに基づいてデフォーカス情報を求め(ステップSd10)、該デフォーカス情報に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動し(ステップSd11)、合焦したか否かを判定する(ステップSd12)。合焦後は、ステップSa11へ進む。
【0188】
ステップSa11では、撮影者によりレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。レリーズボタン40bが全押しされてからのフローは、上述の位相差検出方式AFと同様である。
【0189】
ただし、ステップSd8において測光の結果に基づいて求めた絞り値が所定の絞り閾値よりも大きいと判定されたときにのみ、ステップSa14において絞り部73の絞り込みを行う。つまり、ステップSd8において測光の結果に基づいて求めた絞り値が所定の絞り閾値以下であると判定されたときにステップSd9において絞り部73の絞り込みが予め行われているため、ステップSa14を行う必要はない。
【0190】
このように、変形例に係る位相差検出方式AFによるカメラシステムの撮影動作においては、測光の結果に基づいて求められる露光時の絞り値が位相差検出方式AFを行うことができる程度の値であるときには、露光に先立ってオートフォーカス前に絞り部73を絞っておく。こうすることで、レリーズボタン40b全押し後に絞り部73の絞り込みを行う必要がなく、レリーズタイムラグを短縮することができる。
【0191】
(ハイブリッド方式AF)
次に、変形例に係るハイブリッド方式AFによるカメラシステムの撮影動作について、図16を参照して説明する。
【0192】
電源スイッチ40aがONされてからレリーズボタン40bの半押しを待機する(ステップSe1〜Se5)までは、上述の位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa5と同じである。
【0193】
撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSe5)、像ブレ検出を開始する(ステップSe6)と共に、それと並行して、測光を行う(ステップSe7)。これらステップSe6,Se7は、位相差検出方式AFのステップSa9,Sa10と同様である。
【0194】
その後、ステップSe7の測光の結果に基づいて露光時の絞り値を求め、求めた絞り値が所定の絞り閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップSe8)。そして、求めた絞り値が所定の絞り閾値よりも大きい(YES)ときにはステップSe10に進む一方、求めた絞り値が所定の絞り閾値以下(NO)のときにはステップSe9へ進む。ステップSe9では、ボディマイコン50は、求めた絞り値になるようにレンズマイコン80を介して絞り部73を駆動する。
【0195】
ここで、所定の絞り閾値は、撮像素子10の出力から算出されるコントラスト値のピークが検出できる程度の絞り値に設定されている。つまり、測光の結果に基づいて求めた絞り値が絞り閾値よりも大きい場合には、該絞り値まで絞り部73を絞ると、後述するコントラストピークの検出ができないため、絞り部73を絞ることなく、ステップSe10へ進む。一方、測光の結果に基づいて求めた絞り値が絞り閾値以下の場合には、該絞り値まで絞り部73を絞ってから、ステップSe10へ進む。
【0196】
ステップSe10〜Se12では、上述の通常のハイブリッド方式AFにおけるステップSc6,Sc7,Sc10,Sc11と同様に、ボディマイコン50は、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出カに基づいてデフォーカス情報を求め(ステップSe10,Se11)、該デフォーカス情報に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動させ(ステップSe12)、コントラストピークを検出してフォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置に移動させる(ステップSe13)。
【0197】
その後、ステップSa11において、撮影者によりレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。レリーズボタン40bが全押しされてからのフローは、上述の通常の位相差検出方式AFと同様である。
【0198】
ただし、ステップSe8において測光の結果に基づいて求めた絞り値が所定の絞り閾値よりも大きいと判定されたときにのみ、ステップSa14において絞り部73の絞り込みを行う。つまり、ステップSe8において測光の結果に基づいて求めた絞り値が所定の絞り閾値以下であると判定されたときにステップSe9において絞り部73の絞り込みが予め行われているため、ステップSa14を行う必要はない。
【0199】
このように、変形例に係るハイブリッド方式AFによるカメラシステムの撮影動作においては、測光の結果に基づいて求められる露光時の絞り値がコントラスト検出方式AFを行うことができる程度の値であるときには、露光に先立ってオートフォーカス前に絞り部73を絞っておく。こうすることで、レリーズボタン40b全押し後に絞り部73の絞り込みを行う必要がなく、レリーズタイムラグを短縮することができる。
【0200】
−連写モード−
以上の説明では、レリーズボタン40bが全押しされるごとに1つの画像が撮影されるが、カメラ100は、レリーズボタン40bの1回の全押し操作で複数の画像が撮影される連写モードを備えている。
【0201】
以下に、連写モードについて図17,18を参照して説明する。ここでは、変形例に係るハイブリッド方式AFを行うものを前提に説明をする。尚、連写モードは、変形例に係るハイブリッド方式AFに限られず、位相差検出方式AF、コントラスト検出方式AF、ハイブリッド方式AF、変形例に係る位相差検出方式AF等、任意の構成に採用することができる。
【0202】
電源スイッチ40aがONされてから、レリーズボタン40bが半押しされて、フォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置に移動させるまで(ステップSf1〜Sf13)は、変形例に係るハイブリッド方式AFにおけるステップSe1〜Se13と同じである。
【0203】
そして、フォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置に移動させた後、ボディマイコン50は、そのとき(即ち、コントラスト検出方式AFにより合焦したとき)の、ラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像の間隔をメモリ部に記憶させる(ステップSf14)。
【0204】
その後、ステップSf15において、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。そして、撮影者によりレリーズボタン40bが全押しされると、位相差検出方式AFにおけるステップSa12〜Sa17と同様に、露光を行う。
【0205】
具体的には、ボディマイコン50は、シャッタユニット42を一旦、閉状態にし(ステップSf16)、像ブレの補正を開始し(ステップSf17)、ステップSf9で絞り部73を絞っていないときには測光の結果に基づいて絞り部73を絞り込み(ステップSf18)、その後、シャッタユニット42を開状態にして(ステップSf19)、露光を開始し(ステップSf20)、シャッタユニット42を閉状態にして(ステップSf21)露光を終了する。
【0206】
そして、露光終了後、レリーズボタン40bの全押しが解除されたか否かを判定する(ステップSf22)。そして、レリーズボタン40bが解除された(YES)ときには、ステップSf29,Sf30へ進む一方、レリーズボタン40bの全押しが継続されている(NO)ときには、連写を行うべく、ステップSf23へ進む。
【0207】
レリーズボタン40bの全押しが継続されているときには、ボディマイコン50は、シャッタユニット42を開状態にして(ステップSf23)、位相差検出方式AFを行う(ステップSf24〜Sf26)。
【0208】
詳しくは、位相差検出ユニット20を介して撮像素子10における被写体像の焦点状態を検出し(ステップSf24)、デフォーカス情報を取得し(ステップSf25)、そのデフォーカス情報に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動する(ステップSf26)。
【0209】
ここで、レリーズボタン40b全押し前のハイブリッド方式AFでは、ラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像の間隔と予め設定された基準間隔とを比較してデフォーカス情報が求められる(ステップSf11)のに対し、レリーズボタン40b全押し後のステップSf24,Sf25では、ラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像の間隔を、ステップSf14で記憶した、ハイブリッド方式AFにおけるコントラスト検出方式AF後のラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像の間隔と比較して焦点状態及びデフォーカス情報を求める。
【0210】
こうして位相差検出方式AFを行った後、ボディマイコン50は、ボディマイコン50からシャッタ制御部51及び撮像ユニット制御部52へ露光を開始する信号(即ち、露光開始信号)を出力するタイミングが到来したか否かを判定する(ステップSf27)。この露光開始信号の出力タイミングは、連写モードにおける連写のタイミングである。そして、露光開始信号の出力タイミングでない(NO)ときには位相差検出方式AFを繰り返す(ステップSf24〜Sf26)一方、露光開始信号の出力タイミングが到来している(YES)ときにはフォーカスレンズ群72の駆動を停止し(ステップSf28)、露光を行う(ステップSf20)。
【0211】
尚、フォーカスレンズ群72の停止後、露光を開始する前には、位相差検出方式AF中に撮像素子10の受光部11b,11b,…に蓄積された電荷を掃き出す必要がある。そのため、電子シャッタにより受光部11b,11b,…の電荷を掃き出すか、あるいは、シャッタユニット42を一旦、閉状態として、受光部11b,11b,…の電荷を掃き出した後、シャッタユニット42を開状態として露光を開始する。
【0212】
そして、露光終了後は、再度、レリーズボタン40bの全押しが解除されたか否かを判定し(ステップSf22)、レリーズボタン40bが全押しされている限り、位相差検出方式AF及び露光を繰り返す(Sf23〜Sf28,Sf20,Sf21)。
【0213】
一方、レリーズボタン40bの全押しが解除されたときには、像ブレ補正を終了する(ステップSf29)と共に、絞り部73を開放し(ステップSf30)、シャッタユニット42を開状態にする(ステップSf31)。
【0214】
リセット完了後、撮影シーケンスを終了すると、ステップSa5へ戻り、レリーズボタン40bが半押しされるまで待機する。
【0215】
尚、電源スイッチ40aがOFFされる(ステップSf32)と、ボディマイコン50は、フォーカスレンズ群72を予め設定された所定の基準位置に移動させる(ステップSf33)と共に、シャッタユニット42を閉状態にする(ステップSf34)。そして、カメラ本体4内のボディマイコン50及び各種ユニット、並びに交換レンズ7内のレンズマイコン80及び各種ユニットの作動を停止する。
【0216】
このように、連写モードにおけるカメラシステムの撮影動作においては、連写中の各露光間において位相差検出方式AFを行うことができるため、高いピント性能を実現することができる。
【0217】
また、このときのオートフォーカスが位相差検出方式AFであるため、デフォーカス方向を瞬時に取得することができ、連写間の短い時間であっても、瞬時に焦点を合わせることができる。
【0218】
さらに、位相差検出方式AFであっても、従来のように位相差検出用の可動ミラーを設ける必要がないため、レリーズタイムラグを短縮することができると共に、電力消費を抑制することができる。さらにまた、従来であれば可動ミラーの上げ下げ動作の分だけレリーズタイムラグがあるため、被写体が動体である場合には、該レリーズタイムラグ中の動体の動きを予測して撮影する必要があったが、本実施形態では、可動ミラーの上げ下げ動作に対応するレリーズタイムラグがないため、露光直前まで被写体の動きを追尾しながら焦点を合わせることができる。
【0219】
また、連写中の位相差検出方式AFにおいて、合焦を判定する、ラインセンサ24a上の2つの被写体像間の基準距離として、レリーズボタン40bの半押し時にコントラスト検出方式AFにより合焦させたときのラインセンサ24a上の2つの被写体像間距離を用いることによって、実機及び実際の撮影条件に即した、高精度のオートフォーカスを行うことができる。
【0220】
尚、連写モードにおける1コマ目の撮影時には、ハイブリッド方式AFに限られるものではない。位相差検出方式AFでも、コントラスト検出方式AFでもよい。ただし、1コマ目の撮影時には、ハイブリッド方式AFやコントラスト検出方式AFのように、最終的にはコントラスト値に基づいて焦点を調節するAFを採用することによって、前述の如く、1コマ目撮影時の高い精度で合焦した状態を基準に2コマ目以降の撮影時の位相差検出方式AFを行うことができる。尚、位相差検出方式AFの場合は、ステップSf14を行わず、ステップSf24,Sf25では、ラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像の間隔を予め設定された基準間隔と比較して焦点状態及びデフォーカス情報を求める。
【0221】
また、連写モードに限られず、通常の撮影においても、被写体が動体である場合には、一旦、焦点が合った後も、レリーズボタン40bが全押しされるまで位相差検出方式AFを行うように構成してもよい。
【0222】
−ローコンモード−
本実施形態に係るカメラ100は、被写体像のコントラストに応じてオートフォーカスの方式を切り替えるように構成されている。つまり、カメラ100は、コントラストが低い条件下で撮影を行うローコンモードを備えている。
【0223】
以下に、ローコンモードについて図19を参照して説明する。ここでは、ハイブリッド方式AFを行うものを前提に説明をする。尚、ローコンモードは、ハイブリッド方式AFに限られず、位相差検出方式AF、コントラスト検出方式AF、変形例に係る位相差検出方式AF、変形例に係るハイブリッド方式AF等、任意の構成に採用することができる。
【0224】
電源スイッチ40aがONされてからレリーズボタン40bの半押しを待機する(ステップSg1〜Sg5)までは、位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa5と同じである。
【0225】
撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSg5)、ボディマイコン50は、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出カを増幅した後、演算回路にて演算する(ステップSg6)。そして、ローコントラスト状態か否かを判定する(ステップSg7)。具体的には、ラインセンサ24a上に結像される2つの被写体像の位置を、ラインセンサ24aからの出力に基づいて検出できる程度にコントラスト値が高いか否かを判定する。
【0226】
その結果、2つの被写体像の位置を検出できる程度にコントラスト値が高い(NO)ときには、ローコントラスト状態ではないとして、ステップSg8へ進んでハイブリッド方式AFを行う。尚、ステップSg8〜Sg10は、ハイブリッド方式AFにおけるステップSc7,Sc10,Sc11と同様である。
【0227】
一方、2つの被写体像の位置を検出できる程度までコントラスト値が高くない(YES)ときには、ローコントラスト状態であるとして、ステップSg11へ進んでコントラスト検出方式AFを行う。尚、ステップSg11〜Sg15は、コントラスト検出方式AFにおけるステップSb6〜Sb10と同様である。
【0228】
こうして、ハイブリッド方式AF又はコントラスト検出方式AFを行った後は、ステップSa11へ進む。
【0229】
また、このオートフォーカス動作(ステップSg6〜Sg15)と並行して、測光を行う(ステップSg16)と共に、像ブレ検出を開始する(ステップSg17)。これらステップSg16,Sg17は、位相差検出方式AFのステップSa9,Sa10と同様である。その後、ステップSa11へ進む。
【0230】
ステップSa11では、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。レリーズボタン40bが全押しされてからのフローは、通常のハイブリッド方式AFと同様である。
【0231】
すなわち、ローコンモードにおいては、撮影時のコントラストが位相差検出方式AFを行うことができる程度に高いときにはハイブリッド方式AFを行う一方、撮影時のコントラストが位相差検出方式AFを行うことができない程度に低いときにはコントラスト検出方式AFを行う。
【0232】
尚、本実施形態では、まず、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出力に基づいて位相差検出方式による合焦状態の検出が可能か否かを判定して、ハイブリッド方式AFかコントラスト検出方式AFかを決定しているが、これに限られるものではない。例えば、レリーズボタン40bが半押しされた後、位相差焦点を検出する前に(即ち、図19におけるステップSg5とステップSg6との間に)、撮像素子10の出力からコントラスト値を求め、この撮像素子10の出力から求めたコントラスト値が所定値より高いか否かを判定するように構成してもよい。ここで、所定値は、ラインセンサ24a上に結像される被写体像の位置を検出できる程度のコントラスト値に設定する。すなわち、撮像素子10の出力から求めたコントラスト値が位相差検出方式による合焦状態の検出が可能な程度の値以上であるときにはハイブリッド方式AFを行う一方、撮像素子10の出力から求めたコントラスト値が位相差検出方式による合焦状態の検出が可能な程度の値未満であるときにはコントラスト検出方式AFを行うように構成してもよい。
【0233】
また、本実施形態では、位相差検出方式による合焦状態の検出が可能なときには、ハイブリッド方式AFを行うように構成しているが、位相差検出方式AFを行うように構成してもよい。
【0234】
このように、撮像素子10を透過する光を位相差検出ユニット20により受光する撮像ユニット1を備えたカメラ100においては、従来のような光を位相差検出ユニットに導くための可動ミラーを設けることなく、位相差検出方式AF(ハイブリッド方式AFを含む)とコントラスト検出方式AFとを行うことができる。そのため、コントラストに応じて、位相差検出方式AFとコントラスト検出方式AFとを選択することによって、高精度なピント性能を実現することができる。
【0235】
−交換レンズの種類によるAF切替−
さらに、本実施形態に係るカメラ100は、カメラ本体4に取り付けられた交換レンズ7の種類に応じてオートフォーカスの方式を切り替えるように構成されている。
【0236】
以下に、交換レンズの種類によるAFの切替機能について図20を参照して説明する。ここでは、ハイブリッド方式AFを行うものを前提に説明をする。尚、交換レンズによるAFの切替機能は、ハイブリッド方式AFに限られず、位相差検出方式AF、コントラスト検出方式AF、変形例に係る位相差検出方式AF、変形例に係るハイブリッド方式AF等、任意の構成に採用することができる。
【0237】
電源スイッチ40aがONされてからレリーズボタン40bの半押しを待機する(ステップSh1〜Sh5)までは、位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa5と同じである。
【0238】
撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSh5)、測光を行う(ステップSh6)と共に、それと並行して、像ブレ検出を開始する(ステップSh7)。これらステップSh6,Sh7は、位相差検出方式AFのステップSa9,Sa10と同様である。尚、これら測光及び像ブレ検出は、後述するオートフォーカス動作と並行して行ってもよい。
【0239】
その後、ボディマイコン50は、レンズマイコン80からの情報に基づいて、交換レンズ7がサードパーティー製の反射望遠レンズ、もしくはSTF(スムース・トランス・フォーカス)レンズか否かを判定する(ステップSh8)。交換レンズ7がサードパーティー製の反射望遠レンズ、もしくはSTFレンズである(YES)ときにはステップSh13へ進んでコントラスト検出方式AFを行う。尚、ステップSh13〜Sh17は、コントラスト検出方式AFにおけるステップSb6〜Sb10と同様である。
【0240】
一方、交換レンズ7がサードパーティー製の反射望遠レンズでも、STFレンズでもない(NO)ときにはステップSh9へ進んでハイブリッド方式AFを行う。尚、ステップSh9〜Sh12は、ハイブリッド方式AFにおけるステップSc6,Sc7,Sc10,Sc11と同様である。
【0241】
こうして、コントラスト検出方式AF又はハイブリッド方式AFを行った後は、ステップSa11へ進む。
【0242】
ステップSa11では、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。レリーズボタン40bが全押しされてからのフローは、ハイブリッド方式AFと同様である。
【0243】
つまり、交換レンズ7がサードパーティー製の反射望遠レンズ、もしくはSTFレンズであるときには、位相差検出を精度良く行えない可能性があるため、ハイブリッド方式AF(詳しくは、位相差検出方式AF)を行わず、コントラスト検出方式AFを行う。一方、交換レンズ7がサードパーティー製の反射望遠レンズでも、STFレンズでもないときには、ハイブリッド方式AFを行う。すなわち、ボディマイコン50は、交換レンズ7の光軸が位相差検出方式AFを行える程度に合っている保証があるか否かを判定し、位相差検出方式AFが行える程度に光軸が合っている保証がある交換レンズ7のみハイブリッド方式AFを行う一方、位相差検出方式AFが行える程度に光軸が合っている保証がない交換レンズ7についてはコントラスト検出方式AFを行うように構成されている。
【0244】
このように、撮像素子10を透過する光を位相差検出ユニット20により受光する撮像ユニット1を備えたカメラ100においては、従来のような光を位相差検出ユニットに導くための可動ミラーを設けることなく、位相差検出方式AF(ハイブリッド方式AFを含む)とコントラスト検出方式AFとを行うことができる。そのため、交換レンズ7の種類に応じて、位相差検出方式AFとコントラスト検出方式AFとを選択することによって、高精度なピント性能を容易に実現することができる。
【0245】
尚、本実施形態では、交換レンズ7がサードパーティー製の反射望遠レンズ、もしくはSTFレンズであるか否かによって、ハイブリッド方式AFを行うかコントラスト検出方式AFを行うかを決定しているが、これに限られるものではない。反射望遠レンズ、もしくはSTFレンズであるか否かまでは問題とせず、交換レンズ7がサードバーティー製か否かによってハイブリッド方式AFを行うかコントラスト検出方式AFを行うかを決定するように構成してもよい。
【0246】
また、本実施形態では、交換レンズ7がサードパーティー製の反射望遠レンズでも、STFレンズでもないときには、ハイブリッド方式AFを行うように構成しているが、位相差検出方式AFを行うように構成してもよい。
【0247】
したがって、本実施形態によれば、撮像素子10を光が通過するように構成し且つ該撮像素子10を通過した光を受光して位相差検出を行う位相差検出ユニット20を設けると共に、ボディ制御部5が撮像素子10を制御し且つ、少なくとも位相差検出ユニット20部の検出結果に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動制御することにより焦点調節を行うことによって、撮像素子10を用いた種々の処理と位相差検出ユニット20を用いたオートフォーカス(前記位相差検出方式AFやハイブリッド方式AF)とを並行して行うことができ、処理時間を短縮することができる。
【0248】
また、撮像素子10を用いた種々の処理と位相差検出ユニット20を用いたオートフォーカスとを並行して行わないとしても、前記構成によれば撮像素子10に光が入射しているときには位相差検出ユニット20にも光が入射しているため、撮像素子10を用いた種々の処理と位相差検出ユニット20を用いたオートフォーカスとをボディ制御部5の制御の切替により容易に切り替えることができる。すなわち、従来のように被写体からの光の進む方向を可動ミラーを進退させて撮像素子と位相差検出ユニットとに切り替える構成と比較して、可動ミラーを進退させる必要がないため、撮像素子10を用いた種々の処理と位相差検出ユニット20を用いたオートフォーカスとを即座に切り替えることができると共に、可動ミラーの進退に伴う音も生じ得ないため、撮像素子10を用いた種々の処理と位相差検出ユニット20を用いたオートフォーカスとを静かに切り替えることができる。
【0249】
こうして、カメラ100の利便性を向上させることができる。
【0250】
具体的には、撮像素子10を光が通過するように構成し且つ該撮像素子10を通過した光を受光して位相差検出を行う位相差検出ユニット20を設けることによって、前記位相差検出方式AFのように、位相差検出ユニット20を用いたAFと撮像素子10を用いた測光とを並行して行うことができる。こうすることによって、レリーズボタン40bの全押し後に測光を行う必要がなくなり、レリーズタイムラグを短縮することができる。また、レリーズボタン40bの全押し前に測光を行う構成であっても、測光をオートフォーカスと並行して行うことによって、レリーズボタン40b半押し後の処理時間を長くしてしまうことも防止できる。さらに、撮像素子10を用いて測光を行うため、測光用センサを別途設ける必要がない。さらにまた、被写体からの光を測光用センサや位相差検出ユニットへ導くための可動ミラーを設ける必要がない。そのため、電力消費を抑制することができる。
【0251】
また、撮像素子10を光が通過するように構成し且つ該撮像素子10を通過した光を受光して位相差検出を行う位相差検出ユニット20を設けることによって、前記ハイブリッド方式AFのように、まず、位相差検出ユニット20の検出結果に基づいてフォーカスレンズ群72の駆動方向を決定し、その後、撮像素子10の出力に基づいたコントラスト検出方式AFを迅速に行うことができる。つまり、位相差検出ユニット20による位相差検出から撮像素子10を用いたコントラスト検出への切り替えを、従来の可動ミラーを用いた光路の切り替え等を行うことなく、ボディ制御部5内の制御で即座に行うことができるため、ハイブリッド方式AFに要する時間を短縮することができる。また、可動ミラーが不要なため、可動ミラーによる騒音もなくなり、ハイブリッド方式AFを静かに行うことができる。
【0252】
さらに、ボディ制御部5が撮像素子10を用いて測光を行い、該測光の結果に基づいて絞り部73を制御して光量を調節した後に、位相差検出ユニット20による位相差検出を行うことによって、レリーズボタン40bの全押し後に絞り込みを行う必要がなく、レリーズタイムラグを短縮することができる。そして、撮像素子10を光が通過するように構成し且つ該撮像素子10を通過した光を受光して位相差検出を行う位相差検出ユニット20を設けることによって、撮像素子10を用いた測光と位相差検出ユニット20を用いた位相差検出とを連続して行うにあたり、撮像素子10による測光と位相差検出ユニット20による位相差検出とをボディ制御部5内の制御で即座に且つ静かに切り替えることができる。
【0253】
また、ボディ制御部5が、連写モードにおいて、2コマ目以降の撮影時に位相差検出ユニット20の検出結果に基づいて位相差検出方式AFを行うように構成することによって、連写中の各コマ間において位相差検出方式AFを行うことができるため、ピント性能を向上させることができる。そして、撮像素子10を光が通過するように構成し且つ該撮像素子10を通過した光を受光して位相差検出を行う位相差検出ユニット20を設けることによって、撮像素子10による露光と位相差検出ユニット20によるAFとを即座に且つ静かに切り替えることができるため、連写中の各コマ間における位相差検出方式AFを実現することができる。
【0254】
また、このときのオートフォーカスが位相差検出方式AFであるため、デフォーカス方向を瞬時に取得することができ、連写間の短い時間であっても、瞬時に焦点を合わせることができる。
【0255】
さらに、2コマ目以降は撮影タイミングが到来するまで位相差検出方式AFを継続することによって、連写間に被写体が動いたとしても追従して焦点を合わせることができる。
【0256】
さらにまた、可動ミラーの進退動作に対応するレリーズタイムラグがないため、露光直前まで被写体の動きを追尾しながら焦点を合わせることができ、被写体が動体であっても、動体予測を行うことなく、高精度に焦点を合わせることができる。
【0257】
また、連写モードにおける1コマ目の撮影時に最終的にコントラスト値に基づいて焦点を調節するAF(即ち、コントラスト検出方式AF又はハイブリッド方式AF)を行うと共に、その合焦後に位相差検出ユニット20により位相差検出を行ってその検出結果を記憶し、2コマ目以降の撮影時には、該1コマ目の合焦後の位相差検出ユニット20の検出結果を基準に位相差検出方式AFを行うことによって、実機及び実際の撮影条件に即した、高精度のオートフォーカスを行うことができる。
【0258】
また、ボディ制御部5が、ローコンモードにおいて、被写体のコントラスト値が所定値以上のときには少なくとも位相差検出ユニット20の検出結果に基づいて焦点調節を行う一方、被写体のコントラスト値が所定値未満のときには位相差検出ユニット20の検出結果を用いることなく撮像素子10の出力に基づいて焦点調節を行うことによって、被写体のコントラストに応じた適切な方式のAFを用いて高い精度で焦点を合わせることができる。詳しくは、ボディ制御部5が、被写体のコントラスト値が位相差検出方式AFを行い得る程度に高いときには位相差検出ユニット20を用いたAF(即ち、位相差検出方式AF又はハイブリッド方式AF)を行う一方、被写体のコントラスト値が位相差検出方式AFを行えない程度に低いときにはコントラスト検出方式AFを行うことによって、被写体のコントラストに応じた適切な方式のAFにより焦点を合わせることができ、高い精度で焦点を焦ることができる。
【0259】
また、ボディ制御部5が、少なくとも位相差検出ユニット20の検出結果に基づくAFと、位相差検出ユニット20の検出結果を用いることなく撮像素子10の出力に基づくAFとを交換レンズ7の種類に応じて切り替えることによって、交換レンズ7に応じた適切な方式のAFにより焦点を合わせることができる。詳しくは、ボディ制御部5は、交換レンズ7がサードパーティ製(即ち、カメラ本体4の製造メーカと異なる製造メーカのもの)の反射望遠レンズ、もしくはSTFレンズであるときにはコントラスト検出方式AFを行う一方、交換レンズ7がサードパーティ製ではない若しくは反射望遠レンズではない、並びにSTFレンズではないときには少なくとも位相差検出ユニット20を用いたAF(即ち、位相差検出方式AF又はハイブリッド方式AF)を行う、換言すれば、位相差検出方式AFが行える程度に光軸が合っているという保証がある交換レンズ7がカメラ本体4に装着されているときのみ位相差検出ユニット20を用いたAFを行う一方、位相差検出方式AFが行える程度に光軸が合っている保証がない交換レンズ7が装着されているときにはコントラスト検出方式AFを行うことによって、交換レンズ7に応じた適切な方式のAFにより焦点を合わせることができ、高い精度で焦点を合わせることができる。
【0260】
また、被写体から撮像素子10へ向かう光を可動ミラー等を用いて、撮像素子10の背面側とは別の場所に配設された位相差検出ユニットへ向かわせる従来の構成においては、露光時の光路と位相差検出時の光路とが異なることや可動ミラーの設置誤差等によって焦点調節の精度が高くないが、本実施形態においては位相差検出ユニット20が撮像素子10を通過する光を受けて位相差検出を行うため、露光時の光路と同じ光路のまま位相差検出を行うことができると共に、可動ミラーのような誤差を生じさせる部材がないため、位相差検出に基づく焦点調節の精度を向上させることができる。
【0261】
−露光中AF撮影モード−
以上説明してきた通常撮影モードにおいては、露光中にはフォーカスレンズ群72の駆動を停止しているが、カメラ100は、露光中にもオートフォーカスを行う露光中AF撮影モードを備えている。
【0262】
詳しくは、カメラ100は、撮影者が露光中AF設定スイッチ40eをON/OFF操作することによって、AFを行いながら露光する露光中AF撮影モードと露光時にはフォーカスレンズ群72を停止させてAFを行わない通常撮影モードとを切替可能となっている。
【0263】
この露光中AF撮影モードは、露光中AF設定スイッチ40eのON操作だけでなく、物点距離(レンズから被写体までの距離)によっても自動的に切り替えられる。つまり、カメラ本体4は、物点距離を算出可能に構成されていて、露光中AF設定スイッチがOFF状態であっても、物点距離が所定距離よりも短い場合には露光中AF撮影を行うように構成されている。詳しくは、ボディマイコン50は、絶対位置検出部81aからの検出結果及び交換レンズ7のレンズ情報に基づいて物点距離を算出し、算出した物点距離が所定閾値以下のときには撮影モードを露光中AF撮影モードに設定する。一方、算出した物点距離が所定閾値よりも大きいときには撮影モードを通常撮影モードに設定する。つまり、ボディ制御部5及び絶対位置検出部81aが距離検出部を構成する。尚、ボディ制御部5は、被写体までの距離を検出する距離検出部と、撮像素子10を制御する制御部との両方の機能を有するが、被写体までの距離を検出する距離検出部をボディ制御部5とは別に設けてもよい。
【0264】
このように、カメラ100は、撮影者の操作に応じて撮影モードを露光中AF撮影モードと通常撮影モードとに切り替えるように構成されていると共に、物点距離に応じて自動的に露光中AF撮影モードと通常撮影モードとを切り替えるように構成されている。尚、物点距離の検出は、前述の方法に限られるものではなく、任意の手段、方法を採用することができる。
【0265】
さらに、近接した被写体の撮影(いわゆる、接写撮影)に適した設定で撮影を行うマクロ撮影モードにおいても、露光中AF撮影モードに自動的に切り替えられる。つまり、カメラ100は、接写撮影に適したマクロ撮影モードを備えていて、撮影者がマクロ設定スイッチ40fをON/OFF操作することによって、マクロ撮影モードと通常撮影モードとを切替可能となっている。
【0266】
詳しくは、カメラ100は、マクロ設定スイッチ40fがOFF状態のときには、通常撮影モードとなり、フォーカスレンズ群72のオートフォーカス時における移動範囲を、物点距離が数cm〜無限遠の被写体に対して焦点を合わせることができる範囲に設定する。一方、マクロ設定スイッチ40fがON状態のときには、カメラ100は、マクロ撮影モードとなり、フォーカスレンズ群72のオートフォーカス時における移動範囲を、接写撮影として想定される、物点距離が数cm〜数十cmの被写体に対して焦点を合わせることができる範囲に設定する。つまり、マクロ撮影モードにおいては、オートフォーカス時にフォーカスレンズ群72を移動させる範囲を接写撮影として想定される限定された範囲に設定することによって、フォーカスレンズ群72の移動量を少なくすることができ、焦点を迅速に合わせることができる。そして、このマクロ設定スイッチ40fがON状態のときには、露光中AF撮影モードに自動的に設定される。つまり、ボディマイコン50は、マクロ設定スイッチ40fからON信号が入力されると、オートフォーカス時のフォーカスレンズ群72の移動範囲を前述の如く限定された範囲に設定すると共に、撮影モードを露光中AF撮影モードに設定する。
【0267】
以下に、露光中AF撮影モードにおけるカメラシステムの撮影動作について、図21,22を参照して説明する。
【0268】
ここでは、ハイブリッド方式AFを行うものを前提に説明する。尚、露光中AF撮影モードは、ハイブリッド方式AFに限られず、位相差検出方式AF、コントラスト検出方式AF、変形例に係る位相差検出方式AF、変形例に係るハイブリッド方式AF等、任意の構成に採用することができる。
【0269】
電源スイッチ40aがONされてから、レリーズボタン40bが半押しされて、オートフォーカスを完了するまで、即ち、フォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置に移動させるまで(ステップSk1〜Sk11)は、通常撮影モードのハイブリッド方式AFにおけるステップSc1〜Sc11と同じである。
【0270】
その後、ステップSk12では、ボディマイコン50は、露光中AF設定スイッチ40eがON状態か否かを判定する。露光中AF設定スイッチ40eからのON信号の入力があった(YES)ときには、ステップSk16へ進んで露光中AFフラグを1に設定する一方、ON信号の入力がない(NO)ときには、ステップSk13へ進む。
【0271】
ステップSk13において、ボディマイコン50は、撮影モードがマクロ撮影モードに設定されているか否か、即ち、マクロ設定スイッチ40fがON状態か否かを判定する。マクロ設定スイッチ40fからのON信号の入力があった(YES)ときには、ステップSk16へ進んで露光中AFフラグを1に設定する一方、ON信号の入力がない(NO)ときには、ステップSk14へ進む。
【0272】
ステップSk14においては、ボディマイコン50は、絶対位置検出部81aからの検出結果及び交換レンズ7のレンズ情報に基づいてフォーカスレンズ群72から被写体までの物点距離を算出し、算出した物点距離が所定の閾値以下であるか否かを判定する、物点距離が閾値以下である(YES)ときには、ステップSk16へ進んで露光中AFフラグを1に設定する一方、物点距離が閾値よりも長い(NO)ときには、ステップSk15へ進んで露光中AFフラグを0に設定する。この閾値は、接写撮影であると想定される物点距離に設定されている。
【0273】
尚、ステップSk15,Sk16において露光中AFフラグを設定した後は、ステップSk17へ進む。
【0274】
そして、ステップSk17において、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。そして、撮影者によりレリーズボタン40bが全押しされると、ステップSk18において、露光中AFフラグが1か否かを判定する。露光中AFフラグが0(NO)のときにはステップSk19へ進んで、前記ハイブリッド方式AFにおける露光処理と同様、即ち、位相差検出方式AFにおけるステップSa12〜Sa17と同様に露光処理を行う。
【0275】
一方、露光中AFフラグが1(YES)のときには、ステップSk19へ進んで露光処理を行うと共に、それと並行してステップSk25へ進んで位相差検出方式AFを行う。
【0276】
具体的には、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出カを増幅した後、演算回路にて演算することによって、合焦か非合焦か、前ピンか後ピンか、Df量はどの位かを求め(ステップSk25)、その後、求めたDf量分だけデフォーカス方向にフォーカスレンズ群72をレンズマイコン80を介して駆動させる(ステップSk26)。そして、シャッタユニット42が閉状態となったか否かを判定し(ステップSk27)、シャッタユニット42が閉状態となっていない(NO)ときにはステップSk25へ戻って位相差検出方式AFを繰り返す一方、シャッタユニット42が閉状態となっている(YES)ときにはステップSk28へ進み、位相差検出方式AFを終了する。位相差検出方式AFを終了後は、ステップSk31へ進む。尚、位相差検出方式AFは、被写体からの光が撮像ユニット1に入射している必要があるため、シャッタユニット42が閉状態となっているステップSk19〜Sk22までの間は、位相差検出方式AFを一時停止する。
【0277】
一方、露光が終了した後のステップSk29〜Sk34における処理は、前記ハイブリッド方式AFにおける露光後の処理と同様、即ち、位相差検出方式AFにおけるステップSa18〜Sa23と同様である。
【0278】
つまり、露光中AF撮影モードでは、撮像素子10の露光中に位相差検出方式AFを実行する。この位相差検出方式AFは、露光している間は継続される。ここで、「露光中」とは、「撮像素子10による静止画像撮影期間」、「撮像素子10による映像信号蓄積期間」、「撮像素子10による電荷蓄積期間」等と言い換えることができる。
【0279】
この露光中AF撮影モードは、露光中AF設定スイッチ40eを操作することで撮影者により意図的に設定される他、マクロ撮影モード時や物点距離が至近距離のときに自動的に設定される。マクロ撮影モードや物点距離が至近距離のときの撮影、所謂、接写撮影は接写以外の通常の撮影と比べて室内で行われることが多い。つまり、暗い環境下で行われることが多く、シャッタスピードを遅くして、露光時間を長く設定する必要がある。かかる条件下では、撮影者の手ブレ等に起因するカメラ本体4のブレ(以下、カメラブレともいう)や被写体自体の動き(以下、被写体ブレともいう)による撮影への影響が大きくなる。
【0280】
一般に、カメラブレによる撮影への影響を軽減するために像ブレ補正機構を備えることが知られているが、これら像ブレ補正機構は、光軸に対して直交する面内での像ブレを補正するための機構であり、光軸方向への像ブレを補正するものではない。本実施形態においても、撮像ユニット1を光軸Xに直交する平面内で移動させるブレ補正ユニット45や、ブレ補正レンズ74を光軸Xに直交する平面内で移動させるブレ補正レンズ駆動部74aを有しているが、これらは光軸Xに直交する平面内での像ブレを補正するものであって、光軸X方向への像ブレを補正することはできない。
【0281】
そこで、本実施形態の露光中AF撮影モードでは、露光中にオートフォーカスを行っている。こうすることで、露光中の光軸X方向への像ブレを抑制している。また、この露光中のオートフォーカスが位相差検出方式AFであるため、デフォーカス方向を瞬時に取得することができ、露光中の短い時間であっても、瞬時に焦点を合わせることができる。
【0282】
そして、前述の如く、撮像素子10を光が通過するように構成すると共に、位相差検出ユニット20が撮像素子10の通過光を受光して位相差を検出するように構成することによって、撮像素子10を露光しながらの位相差検出方式AFを実現することができる。尚、コントラスト検出方式AF等の撮像素子10からの信号を利用するAFの場合は、撮像素子10の露光中、換言すれば撮像素子10の画像信号蓄積期間(本実施形態における電荷蓄積期間)にAFを行うことができない。
【0283】
また、露光中AF設定スイッチ40e及びマクロ設定スイッチ40fがOFF状態になっている場合には、物点距離に基づいて接写撮影か否かを判定し、接写撮影と判定されたときには撮影モードを露光中AF撮影モードに設定することによって、光軸X方向への手ブレによる影響が大きくなる撮影条件であると撮影者が認識していないときであっても、かかる撮影条件であることをカメラ100が自動的に判定して、光軸X方向への像ブレを補正することができる。一方、接写撮影ではない、即ち、物点距離が長いときには、光軸X方向への手ブレによる撮影への影響が小さくなるため、露光中のオートフォーカスを行わないことにより、消費電気を抑制することができる。
【0284】
尚、露光前、即ち、レリーズボタン40b全押し前のオートフォーカスは、位相差検出方式AF、コントラスト検出方式AF及びハイブリッド方式AFの何れでもよいが、露光中のオートフォーカスは、位相差検出方式AFである。
【0285】
また、本実施形態では、レリーズボタン40bの全押し直後に露光中AFフラグの判定を行っているが、これに限られるものではない。例えば、露光開始時に露光中AFフラグの判定を行って、露光中AF撮影モードのときには露光開始と同時に位相差検出方式AFを開始するように構成してもよい。
【0286】
したがって、本実施形態によれば、撮像素子10を光が通過するように構成すると共に、位相差検出ユニット20に該撮像素子10を通過した光を受光させて位相差検出を行わせることによって、撮像素子10を露光しながらの位相差検出方式AFを実現することができる。そして、このときにオートフォーカスが位相差検出方式AFであるため、デフォーカス方向及びデフォーカス量を瞬時に求めることができ、焦点を迅速に合わせることができる。その結果、露光中という短い間であっても、オートフォーカスを行うことができる。
【0287】
また、露光中の位相差検出方式AFを、露光している間は継続することによって、焦点を精度良く合わせることができる。
【0288】
さらに、位相差検出方式AFをしながらの露光を、マクロ撮影モードや物点距離が短いときの接写撮影時に適用することによって、カメラブレ又は被写体ブレによる光軸方向への像ブレを抑制することができる。
【0289】
さらにまた、露光中AF設定スイッチ40eを設けることによって、露光中AF撮影モードを撮影者が任意に設定することができ、接写撮影に限らず、撮影者が光軸方向への像ブレの抑制を望む場合に柔軟に対応することができる。
【0290】
《実施形態2》
次に、実施形態2に係る撮像装置としてのカメラについて説明する。
【0291】
実施形態2に係るカメラ200は、図23に示すように、ファインダ光学系6を備えている。
【0292】
−カメラ本体の構成−
カメラ本体204は、実施形態1のカメラ本体4の構成に加えて、ファインダ65を介して被写体像を視認するためのファインダ光学系6と、交換レンズ7からの入射光をファインダ光学系6に導く半透過のクイックリターンミラー46とをさらに有している。
【0293】
カメラ本体204は、ファインダ光学系6を介して被写体像を視認しながら撮影を行うファインダ撮影モードと、画像表示部44を介して被写体像を視認しながら撮影を行うライブビュー撮影モードとを有している。そして、カメラ本体204には、ファインダモード設定スイッチ40gが設けられている。このファインダモード設定スイッチ40gをON操作することによってファインダ撮影モードに設定される一方、OFF操作することによってライブビュー撮影モードに設定される。
【0294】
ファインダ光学系6は、クイックリターンミラー46からの反射光が結像するファインダスクリーン61と、ファインダスクリーン61に投影された被写体像を正立像に変換するペンタプリズム62と、投影された被写体像を拡大視認する接眼レンズ63と、ファインダ視野内に各種情報を表示するインファインダ表示部64と、カメラ本体204の背面側に設けられたファインダ65とを含む。
【0295】
すなわち、ファインダスクリーン61上に結像された被写体像をペンタプリズム62及び接眼レンズ63を介して該ファインダ65から観察することができる。
【0296】
ボディ制御部205は、実施形態1のボディ制御部5の構成に加えて、ボディマイコン50からの制御信号に基づいて、後述するクイックリターンミラー46の跳ね上げ駆動を制御するミラー制御部260をさらに含む。
【0297】
クイックリターンミラー46は、入射光を反射及び透過可能な半透過ミラーであって、シャッタユニット42の前方において、被写体から撮像ユニット1へ向かう光路X上の反射位置(図23の実線参照)と光路X外であって且つファインダ光学系6に近接した退避位置(図23の二点鎖線参照)との間で回動自在に構成されている。クイックリターンミラー46は、反射位置において、入射光をファインダ光学系6へ向かって反射する反射光とクイックリターンミラー46の背面側に透過させる透過光とに分割する。このクイックリターンミラー46が可動ミラーを構成する。また、反射位置が第1位置に、退避位置が第2位置に相当する。
【0298】
詳しくは、クイックリターンミラー46は、シャッタユニット42の前方(即ち、被写体側)に配設されていて、シャッタユニット42上部の前方において水平に延びる軸Y回りに回動自在に支持されている。このクイックリターンミラー46は、付勢バネ(図示省略)によって退避位置側へ付勢されている。また、クイックリターンミラー46は、シャッタユニット42の開閉を行うモータ(図示省略)により付勢バネが巻き上げられることによって、反射位置まで移動する。反射位置まで移動させられたクイックリターンミラー46は、電磁石等によって反射位置において係止される。そして、この係止を解除することによって、クイックリターンミラー46は、付勢バネの力で退避位置まで回動する。
【0299】
すなわち、入射光の一部をファインダスクリーン61に導くときには、モータで付勢バネを巻き上げることによって、クイックリターンミラー46を反射位置に位置させる。一方、入射光の全てを撮像ユニット1に導くときには、電磁石等による係止を解除することによって、該付勢バネの弾性力によりクイックリターンミラー46を退避位置まで回動させる。
【0300】
このクイックリターンミラー46には、図24に示すように、遮光板47が連結されている。この遮光板47は、クイックリターンミラー46と連動して動作し、クイックリターンミラー46が退避位置に位置するときに、クイックリターンミラー46を下方(被写体から撮像ユニット1への光路X側)から覆うように構成されている。こうすることで、クイックリターンミラー46が退避位置に位置するときに、ファインダ光学系6から入射してくる光が撮像ユニット1へ到達することを防止している。この遮光板47が遮光部を構成する。
【0301】
詳しくは、遮光板47は、クイックリターンミラー46の、回動軸Yとは反対側の端部に回動自在に連結された第1遮光板48と、該第1遮光板48に回動自在に連結された第2遮光板49とを有している。第1遮光板48は、第1カムフォロア48aを有している。一方、カメラ本体204には、該第1カムフォロア48aが係合する第1カム溝48bが設けられている。また、第2遮光板49は、第2カムフォロア49aを有している。一方、カメラ本体204には、該第2カムフォロア49aが係合する第2カム溝49bが設けられている。
【0302】
つまり、クイックリターンミラー46が回動すると、該クイックリターンミラー46に追従して第1遮光板48が移動すると共に、該第1遮光板48に追従して第2遮光板49が移動する。このとき、該第1及び第2遮光板48,49は、第1及び第2カムフォロア48a,49aがそれぞれ第1及び第2カム溝48b,49bに案内されながら、クイックリターンミラー46に連動して移動する。
【0303】
その結果、第1及び第2遮光板48,49は、クイックリターンミラー46が退避位置に位置するときには、図24(A)に示すように、クイックリターンミラー46下方において1枚の平板状に並んだ状態となって、クイックリターンミラー46とシャッタユニット42、即ち、撮像ユニット1との間を遮光する。このとき、第1及び第2遮光板48,49は、クイックリターンミラー46と同様に光路X外に位置する。そのため、第1及び第2遮光板48,49が、被写体から撮像ユニット1へ入射する光に影響を与えることはない。
【0304】
そして、第1及び第2遮光板48,49は、クイックリターンミラー46が退避位置から反射位置へ移動するのに伴って、図24(B)に示すように、平板状態から折れ曲がり、クイックリターンミラー46が反射位置まで回動したときには、図24(C)に示すように、互いに対向する程度に折れ曲がった状態となる。このとき、第1及び第2遮光板48,49は、光路X外であって且つ光路Xを挟んでファインダスクリーン61と反対側に位置する。そのため、第1及び第2遮光板48,49は、クイックリターンミラー46が反射位置に位置するときには、クイックリターンミラー46によりファインダ光学系6へ反射される光や、クイックリターンミラー46を透過する光に影響を与えることはない。
【0305】
このように、クイックリターンミラー46を半透過にすると共に、遮光板47を設けることによって、ファインダ撮影モードにおいて、撮影前にはファインダ光学系6による被写体像の視認を可能としつつ、撮像ユニット1に光を到達させることができると共に、撮影時には被写体からの光を撮像ユニット1へ導きつつ、ファインダ光学系6から入射した光が撮像ユニット1に到達することを遮光板47により防止することができる。また、ライブビュー撮影モードにおいては、ファインダ光学系6から入射した光が撮像ユニット1に到達することを遮光板47により防止することができる。
【0306】
−カメラの動作説明−
このように構成されたカメラ200は、被写体の視認の仕方が異なる、ファインダ撮影モードとライブビュー撮影モードとの2つの撮影モードを備えている。以下、カメラ200の2つの撮影モードの動作を説明する。
【0307】
−ファインダ撮影モード−
まず、ファインダ撮影モードにおけるカメラシステムの撮影動作について、図25,26を参照して説明する。
【0308】
電源スイッチ40aがONされ(ステップSi1)、撮影者にレリーズボタン40bが半押しされ(ステップSi5)、その後、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされ(ステップSi11)、シャッタユニット42が一旦、閉状態にされる(ステップSi12)までは、実施形態1に係る位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa12の動作と基本的には同様である。
【0309】
ただし、電源スイッチ40aがONされたときには、クイックリターンミラー46が光路X上における上記反射位置に位置している。そのため、カメラ本体204内に入射した光は、その一部が反射してファインダスクリーン61に入射する。
【0310】
ファインダスクリーン61に入射した光は、被写体像として結像する。この被写体像は、ペンタプリズム62によって正立像に変換され、接眼レンズ63に入射する。つまり、実施形態1のように画像表示部44に被写体像が表示されるのではなく、撮影者は接眼レンズ63を介して被写体の正立像を観察できる。このとき、画像表示部44には、被写体像ではなく、撮影に関する各種情報が表示されている。
【0311】
そして、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSi5)、接眼レンズ63より観察されるインファインダ表示部64に撮影に係る各種情報(以下のAFや測光に関する情報等)が表示される。つまり、撮影者は、画像表示部44以外に、インファインダ表示部64によっても撮影に係る各種情報を確認できる。
【0312】
ここで、クイックリターンミラー46が半透過であるため、カメラ本体204へ入射した光の一部はクイックリターンミラー46によりファインダ光学系6へ導かれるものの、残りの光はクイックリターンミラー46を透過してシャッタユニット42へ入射する。そして、シャッタユニット42が開状態となる(ステップSi4)と、クイックリターンミラー46を透過した光は、撮像ユニット1へ入射する。その結果、ファインダ光学系6を介した被写体像の視認を可能としつつ、撮像ユニット1によるオートフォーカス(ステップSi6〜Si8)及び測光(ステップSi9)を行うことができる。
【0313】
詳しくは、ステップSi6〜Si8において撮像ユニット1の位相差検出ユニット20からの出力に基づいて位相差検出方式AFを行うと共に、それと並行して、ステップSi9において撮像ユニット1の撮像素子10からの出力に基づいて測光を行うことができる。
【0314】
ステップSi6における位相差焦点検出においては、被写体像光がクイックリターンミラー46を透過するため、その厚み分だけ光学長が伸びる。そのため、クイックリターンミラー46が被写体像光路内から退避して撮像状態になった場合と、クイックリターンミラー46が反射位置に位置する場合とでは、位相差焦点検出部の位相検出幅が異なってしまう。したがって、クイックリターンミラー46が被写体像光路内に挿入されるファインダ撮影モードでは、実施形態1の位相差焦点検出における位相検出幅(則ち、後述するライブビュー撮影モードのハイブリッド方式AF中の位相差焦点検出における位相検出幅)よりも所定量変更した位相検出幅でデフォーカス情報を出力するようにしている。なお、位相検出幅とは、デフォーカス量を0と算出、すなわち、合焦と判定する基準の位相差のことである。
【0315】
尚、位相差検出方式AFを行うステップSi6〜Si8は実施形態1の位相差検出方式AFにおけるステップSa6〜Sa8と同様である。
【0316】
ステップSi9においては、撮像素子10によって該撮像素子10に入射してくる光の光量が測定される。ただし、本実施形態では、実施形態1のように被写体からの光の全てが撮像素子10に入射するわけではないため、ボディマイコン50は、撮像素子10からの出力を、クイックリターンミラー46の反射特性に基づいて補正して、被写体からの光量を求めている。
【0317】
そして、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされ(ステップSi11)、シャッタユニット42が一旦、閉状態にされた(ステップSi12)後は、像ブレ補正の開始(ステップSi13)及び絞り部73の絞り込み(ステップSi14)と並行して、ステップSi15において、クイックリターンミラー46の退避位置への跳ね上げが行われる。
【0318】
その後、ステップSi16〜Si18においては、実施形態1の位相差検出方式AFにおけるステップSa15〜Sa17と同様に、露光が行われる。
【0319】
露光終了後は、像ブレ補正の終了(ステップSi19)及び絞り部73の開放(ステップSi20)と並行して、ステップSi21において、クイックリターンミラー46の反射位置への移動が行われる。こうすることで、再度、撮影者はファインダ光学系6を介して被写体像を視認できるようになる。
【0320】
その後、シャッタユニット42を開状態にする(ステップSi22)。こうして、リセット完了後、撮影シーケンスが終了すると、ステップSi5へ戻り、レリーズボタン40bが半押しされるまで待機する。
【0321】
尚、電源スイッチ40aがOFFされた後のステップSi23〜Si25は、実施形態1の位相差検出方式AFにおけるステップSa21〜Sa23と同様である。
【0322】
このように、被写体からの光をクイックリターンミラー46によってファインダ光学系6に導いてファインダ光学系6を介した被写体像の視認を可能とする構成であっても、撮像ユニット1に撮像素子10を透過した光を用いて位相差を検出する位相差検出ユニット20を設けているため、クイックリターンミラー46を半透過にして、クイックリターンミラー46に入射する光の一部を撮像ユニット1へ到達させることによって、ファインダ光学系6を介した被写体像の視認を可能としつつ、位相差検出方式AFと測光との並行処理を行うことができる。こうすることで、位相差検出方式AF用の反射ミラーや測光用のセンサを別途設ける必要がなくなると共に、オートフォーカスと並行して測光を行うことができるためレリーズタイムラグを短縮できる。
【0323】
−ライブビュー撮影モード−
次に、ライブビュー撮影モードにおけるカメラシステムの撮影動作について、図27,28を参照して説明する。
【0324】
まず、電源スイッチ40aがONされてからシャッタユニット42を開状態とする(ステップSj1〜Sj4)までは、実施形態1に係るハイブリッド方式AFにおける動作と同様である。
【0325】
ここで、カメラ200では、電源スイッチ40aのON直後はクイックリターンミラー46が反射位置に位置するため、ステップSj5において、ボディマイコン50がクイックリターンミラー46を退避位置へ跳ね上げる。
【0326】
その結果、被写体からカメラ本体4に入射する光は、ファインダ光学系6へ分割されることなく、シャッタユニット42を通過して、さらにIRカット兼OLPF43を透過し、撮像ユニット1へ入射する。そして、撮像ユニット1にて結像した被写体像は画像表示部44に表示され、撮影者は画像表示部44を介して被写体像を観察できる。また、撮像ユニット1へ入射した光の一部は、撮像素子10を透過して位相差検出ユニット20へ入射する。
【0327】
そして、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSj6)、ファインダ撮影モードと異なり、ハイブリッド方式AFを行う。ハイブリッド方式AFに係るステップSj7,Sj8,Sj11,Sj12は、実施形態1に係るハイブリッド方式AFにおけるステップSc6,Sc7,Sc10,Sc11と同様である。
【0328】
尚、ハイブリッド方式AFに限られず、コントラスト検出方式AF又は位相差検出方式AFを行ってもよい。
【0329】
このハイブリッド方式AFと並行して、測光を行う(ステップSj9)と共に、像ブレの検出を開始する(ステップSj10)。これらステップSj9,Sj10は、実施形態1に係るハイブリッド方式AFのステップSc8,Sc9と同様である。
【0330】
こうして、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると、画像表示部44に撮影に係る各種情報(AFや測光に関する情報等)が表示される。
【0331】
その後、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされて(ステップSj13)から露光を終了してリセットが完了する(ステップSj22)までは、シャッタユニット42を閉状態とした後にクイックリターンミラー46を退避位置に移動させるステップ(ステップSi15に相当)がない点、及びシャッタユニット42を閉状態にして露光を終了した後にクイックリターンミラー46を反射位置に移動させるステップ(ステップSi21に相当)がない点を除いては、ファインダ撮影モードにおけるステップSi11〜Si22と基本的に同様である。
【0332】
そして、本実施形態では、電源スイッチ40aがOFFされる(ステップSj23)と、フォーカスレンズ群72を基準位置へ移動させ(ステップSj24)、シャッタユニット42を閉状態にする(ステップSj25)のと並行して、ステップSj26においてクイックリターンミラー46を反射位置へ移動させる。その後、カメラ本体204内のボディマイコン50及び各種ユニット、並びに交換レンズ7内のレンズマイコン80及び各種ユニットの作動を停止する。
【0333】
このライブビュー撮影モードにおけるカメラシステムの撮影動作は、クイックリターンミラー46の動作を除いて、実施形態1に係るカメラ100の撮影動作と同様である。つまり、前記説明では、ハイブリッド方式AFについて説明したが、実施形態1に係る種々の撮影動作を実行することができ、同様の作用・効果を奏することができる。
【0334】
したがって、本実施形態によれば、カメラ本体204に設けられたファインダ光学系6と、被写体から撮像素子10への光路上の反射位置と該光路外の退避位置とに切替配置可能に構成されると共に、反射位置において入射光の一部を反射させてファインダ光学系6に導く一方、入射光の残りを通過させて撮像素子10へ導く半透過のクイックリターンミラー46とをさらに備え、ボディ制御部5が、ファインダ光学系6を介して被写体像を視認可能な状態で撮影を行うファインダ撮影モードと、画像表示部44を介して被写体像を視認可能な状態で撮影を行うライブビュー撮影モードとを切替可能に構成されていて、ファインダ撮影モードにおいては、クイックリターンミラー46を反射位置に位置させて、入射光の一部をファインダ光学系6に導いてファインダ光学系6を介した被写体像の視認を可能な状態にすると共に、入射光の残りを撮像素子10へ導いて撮像素子10を通過した光を受けた位相差検出ユニット20の検出結果に基づいて焦点調節を行う一方、ライブビュー撮影モードにおいては、クイックリターンミラー46を退避位置に位置させて、被写体からの入射光を撮像素子10に入射させて撮像素子10の出力に基づいた画像を画像表示部44に表示させると共に少なくとも位相差検出ユニット20の検出結果に基づいて焦点調節を行うことによって、ファインダ光学系6を備えたカメラ200においても、ファインダ撮影モードとライブビュー撮影モードとにかかわらず、撮像素子10を用いた種々の処理と位相差検出ユニット20を用いたオートフォーカス(前記位相差検出方式AFやハイブリッド方式AF)とを並行して行うことができるため処理時間を短縮することができると共に、撮像素子10を用いた種々の処理と位相差検出ユニット20を用いたオートフォーカスとを即座に且つ静かに切り替えることができる。その結果、カメラ200の利便性を向上させることができる。
【0335】
また、クイックリターンミラー46を半透過にすると共に、遮光板47を設けることによって、ファインダ撮影モードにおいて、撮影前にはファインダ光学系6による被写体像の視認を可能としつつ、撮像ユニット1に光を到達させることができると共に、撮影時には被写体からの光を撮像ユニット1へ導きつつ、ファインダ光学系6から入射した光が撮像ユニット1に到達することを遮光板47により防止することができる。また、ライブビュー撮影モードにおいては、ファインダ光学系6から入射した光が撮像ユニット1に到達することを遮光板47により防止することができる。
【0336】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0337】
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0338】
すなわち、前記実施形態2では、ファインダ光学系6を備えているが、これに限られるものではない。例えば、ファインダ光学系6に換えて、EVF(Electronic View Finder)を備える構成であってもよい。すなわち、液晶等で構成された小型の画像表示部をカメラ本体204内においてファインダから視認できる位置に配設し、撮像ユニット1で取得された画像データを該画像表示部に表示させる。こうすることで、複雑なファインダ光学系6を設けなくても、ファインダを覗きながらの撮影を実現することができる。かかる構成においては、クイックリターンミラー46が不要となる。撮影動作については、画像表示部が2つあるというだけで、実施形態1に係るカメラ100と同様になる。
【0339】
また、前記実施形態1,2では、撮像ユニット1をカメラに搭載した構成について説明しているが、これに限られるものではない。例えば、撮像ユニット1はビデオカメラに搭載することもできる。
【0340】
ビデオカメラの撮影動作の一例を説明すると、電源スイッチ40aをONすると、絞り部とシャッタユニットが開放され、撮像ユニット1の撮像素子10において画像の取込みが開始される。そして、ライブビュー表示に最適な測光、WB調整がなされ、ライブビュー画像を画像表示部に映し出す。こうして撮像素子10による撮像と並行して、撮像ユニット1に内蔵された位相差検出ユニット20の出力に基づいて焦点状態を検出し、被写体の動き等に合わせてフォーカスレンズ群を駆動し続ける。こうして、ライブビュー画像の表示と位相差検出方式AFとを継続しながら、RECボタンが押されるのを待機する。RECボタンが操作されると、位相差検出方式AFを繰り返しながら、撮像素子10により取得される画像データを記録していく。こうすることで、常に合焦状態を保つことができると共に、従来のデジタルビデオカメラのようにフォーカスレンズの微小な光軸方向駆動(ウォブリング)を行う必要がなく、電力的に負荷の大きいモータなどのアクチュエータを駆動させる必要がない。
【0341】
また、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされる(即ち、S1スイッチがONされる)とAFが開始される構成ついて説明したが、レリーズボタン40bは半押しされる前からAFを行ってもよい。また、合焦と判断するとAFを終了する構成について説明したが、合焦判定後もAFを継続するようにしてもよく、合焦判定をせずに継続してAFを行ってもよい。以下に具体例を説明する。図11,12において、ステップSa4でシャッタユニット42が開かれた後、ステップSa6の位相差焦点検出とステップSa7のフォーカスレンズ駆動とを繰り返して行うようにする。これと並行して、ステップSa5の判定、ステップSa9の測光、ステップSa10の像ブレ検出開始、ステップSa11の判定を行う。これにより、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされる前から合焦状態にすることができる。例えば、ライブビュー画像の表示と併用することにより、合焦状態でのライブビュー画像の表示が可能となる。また、位相差検出方式AFを用いれば、ライブビュー画像の表示と位相差検出方式AFとを併用さることができる。このような動作を「常時AFモード」としてカメラに備えるようにしてもよく、「常時AFモード」のON/OFFを切替可能に構成してもよい。
【0342】
前記実施形態1,2では、撮像ユニット1をカメラに搭載した構成について説明しているが、これに限られるものではない。撮像ユニット1を搭載したカメラは、撮像素子の露光と位相差検出ユニットによる位相差検出を同時に行うことができるカメラの一例である。これに限られず、例えば、撮像素子への光を分離する光分離素子(例えば、プリズム、半透過ミラー等)により被写体光を撮像素子と位相差検出ユニットの両方に導くカメラで
あってもよい。また、撮像素子のマイクロレンズの一部をセパレータレンズとし、瞳分割された被写体光をそれぞれ受光部にて受光できるように配列したカメラであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0343】
以上説明したように、ここに開示された技術は、光電変換を行う撮像素子を備えた撮像装置について有用である。
【符号の説明】
【0344】
1,401 撮像ユニット
10,210,310 撮像素子
20,420 位相差検出ユニット(位相差検出部)
4 カメラ本体(撮像装置本体)
40e 露光中AF設定スイッチ(設定スイッチ)
44 画像表示部
46 クイックリターンミラー(可動ミラー)
47 遮光板(遮光部)
5 ボディ制御部(制御部、距離検出部)
6 ファインダ光学系
7 交換レンズ
72 フォーカスレンズ群(フォーカスレンズ)
73 絞り部(光量調節部)
100,200 カメラ(撮像装置)
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、光電変換を行う撮像素子を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子を用いて、被写体像を電気信号に変換し、この電気信号をデジタル化して記録するデジタルカメラが普及している。
【0003】
デジタル一眼レフカメラは、被写体像の位相差を検出する位相差検出部を有し、これによりオートフォーカス(以下、単にAFともいう)を行う位相差検出方式AF機能を備えている。位相差検出方式AF機能によれば、デフォーカス方向及びデフォーカス量を検出できるため、フォーカスレンズの移動時間を短縮でき、迅速にフォーカスできるという利点を有する(例えば、特許文献1)。従来のデジタル一眼レフカメラでは、位相差検出部に被写体からの光を導くために、レンズ鏡筒から撮像素子への光路上に進出/退避可能に構成された可動ミラーを設けている。
【0004】
また、いわゆるコンパクトデジタルカメラは、撮像素子を用いたビデオAFによるオートフォーカス機能を採用している(例えば、特許文献2)。こうして、コンパクトデジタルカメラでは、被写体からの光を位相差検出部へ導くためのミラーをなくすことにより小型化を実現している。このようなコンパクトデジタルカメラでは、撮像素子へ光を入射させた状態で、即ち、撮像素子を露光しながらオートフォーカスを行うことができる。すなわち、オートフォーカスを行いながら、撮像素子を用いた種々の処理、例えば、撮像素子上に結像する被写体像から画像信号を取得して、カメラの背面に設けた画像表示部へ表示したり、記録部へ記録したりすることができる。このビデオAFによるオートフォーカス機能は、一般的に位相差検出方式AFに比べて精度が高いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−163545号公報
【特許文献2】特開2007−135140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に係るデジタルカメラのようにビデオAFではデフォーカス方向を瞬時に検出することができない。例えば、コントラスト検出方式AFによれば、コントラストピークを検出することで焦点を検出するが、フォーカスレンズを現在の位置から前後に移動させる等しないと、コントラストピークの方向、即ち、デフォーカス方向を検出することができない。そのため、焦点検出に時間がかかってしまう。
【0007】
一方、焦点検出に要する時間を短縮する観点からは位相差検出方式AFの方が有利であるが、特許文献1に係るデジタル一眼レフカメラのように位相差検出方式AFを採用している撮像装置においては、被写体からの光を位相差検出部へ導くべく、レンズ鏡筒から撮像素子への光路上に可動ミラーを進出させる必要があるため、位相差検出方式AFを行いながら、撮像素子を用いた種々の処理を行うこと、例えば、撮像素子を露光することができない。また、入射光の進路を位相差検出部へ向かう進路と撮像素子へ向かう進路とで切り替える際には可動ミラーを移動させる必要があり、この可動ミラーの移動のためのタイムラグや騒音が生じる。
【0008】
すなわち、従来の位相差検出方式AFを行う撮像装置においては、撮像素子を用いた種々の処理との関係で利便性が悪かった。
【0009】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、撮像素子と位相差検出部とを備えた撮像装置において、撮像部を用いた種々の処理と位相差検出部を用いた位相差検出とを行う上での利便性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここに開示された撮像装置は、撮像面に形成された光学像を光電変換により電気信号に変換する撮像部と、前記撮像面のうち所定領域に入射する光を用いて測距を行う測距部と、前記所定領域の電気信号を、該所定領域の周辺の画素の電気信号に基づいて補間する制御部とを備えるものとする。
【発明の効果】
【0011】
前記撮像装置によれば、撮像部を用いた種々の処理と位相差検出部による位相差検出とを並行して行うことができ、あるいは、撮像部を用いた種々の処理と位相差検出部による位相差検出との切り替えを即座にかつ静かに行うことができ、撮像装置の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施形態1に係るカメラのブロック図である。
【図2】図2は、撮像ユニットの断面図である。
【図3】図3は、撮像素子の断面図である。
【図4】図4は、撮像素子の平面図である。
【図5】図5は、位相検出ユニットの平面図である。
【図6】図6は、変形例に係る撮像ユニットの斜視図である。
【図7】図7は、変形例に係る撮像素子の断面図である。
【図8】図8は、別の変形例に係る撮像素子の断面図である。
【図9】図9は、別の変形例に係る撮像ユニットの図2に相当する断面の断面図である。
【図10】図10は、別の変形例に係る撮像ユニットの図2に相当する断面と直交する断面の断面図である。
【図11】図11は、位相差検出方式AFによる撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図12】図12は、位相差検出方式AFを始めとする各撮影動作における、レリーズボタンが全押しされた後の基本的な流れを示すフローチャート図である。
【図13】図13は、コントラスト検出方式AFによる撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図14】図14は、ハイブリッド方式AFによる撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図15】図15は、変形例に係る位相差検出方式AFによる撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図16】図16は、変形例に係るハイブリッド方式AFによる撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図17】図17は、連写モードの撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図18】図18は、連写モードの撮影動作における、レリーズボタンが全押しされた後の流れを示すフローチャート図である。
【図19】図19は、ローコンモードの撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図20】図20は、交換レンズの種類によりAF機能を切り替える撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図21】図21は、露光中AF撮影モードの撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図22】図22は、露光中AF撮影モードの撮影動作における、レリーズボタンが全押しされた後の流れを示すフローチャート図である。
【図23】図23は、実施形態2に係るカメラのブロック図である。
【図24】図24は、クイックリターンミラーと遮光板の構成を説明するための説明図であって、(A)は退避位置に、(B)は退避位置と反射位置との間に、(C)は反射位置にクイックリターンミラーが位置するときを示す。
【図25】図25は、ファインダ撮影モードにおける、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図26】図26は、ファインダ撮影モードにおける、レリーズボタンが全押しされた後の流れを示すフローチャート図である。
【図27】図27は、ライブビュー撮影モードにおける、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート図である。
【図28】図28は、ライブビュー撮影モードにおける、レリーズボタンが全押しされた後の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
《実施形態1》
実施形態1に係る撮像装置としてのカメラについて説明する。
【0015】
実施形態1に係るカメラ100は、図1に示すように、交換レンズ式の一眼レフデジタルカメラであり、主に、カメラシステムの主要な機能を有するカメラ本体4と、カメラ本体4に取り外し可能に装着された交換レンズ7とから構成されている。交換レンズ7は、カメラ本体4の前面に設けられたボディマウント41に装着されている。ボディマウント41には電気切片41aが設けられている。
【0016】
−カメラ本体の構成−
カメラ本体4は、被写体像を撮影画像として取得する撮像ユニット1と、撮像ユニット1の露光状態を調節するシャッタユニット42と、撮像ユニット1に入射する被写体像の赤外光除去とモアレ現象を軽減するためのIRカット兼OLPF(Optical Low Pass Filter)43と、液晶モニタで構成され、撮影画像やライブビュー画像や各種情報を表示する画像表示部44と、ボディ制御部5とを有している。このカメラ本体4が撮像装置本体を構成する。
【0017】
また、カメラ本体4には、カメラシステムの電源の入切を操作する電源スイッチ40aと、撮影者がフォーカシング時およびレリーズ時に操作するレリーズボタン40bと、種々の撮影モード及び機能のON/OFFを切り替える設定スイッチ40c〜40fとが設けられている。
【0018】
電源スイッチ40aにより電源がON状態になると、カメラ本体4および交換レンズ7の各部に電源が供給される。
【0019】
レリーズボタン40bは、2段式であって、半押しすることで後述するオートフォーカスやAE等を行う一方、全押しすることでレリーズが行われる。
【0020】
AF設定スイッチ40cは、後述する3つのオートフォーカス機能を切り替えるためのスイッチである。カメラ本体4は、このAF設定スイッチ40cが切り替えられることによって、オートフォーカス機能を3つのうちの何れかに設定するように構成されている。
【0021】
連写設定スイッチ40dは、後述する連写モードの設定/解除を行うためのスイッチである。カメラ本体4は、この連写設定スイッチ40dが操作されることによって、通常撮影モードと連写モードとを切替可能に構成されている。
【0022】
露光中AF設定スイッチ40eは、後述する露光中AFのON/OFFを設定するためのスイッチである。カメラ本体4は、露光中AF設定スイッチ40eが操作されることによって、オートフォーカスを行いながら露光する露光中AF撮影モードと、露光時にはフォーカスレンズ群72を停止させてオートフォーカスを行わない通常撮影モードとを切替可能に構成されている。この露光中AF設定スイッチ40eが露光中合焦撮影モードと通常撮影モードとを切り替えるための設定スイッチを構成する。
【0023】
マクロ設定スイッチ40fは、後述するマクロ撮影モードの設定/解除を行うためのスイッチである。カメラ本体4は、このマクロ設定スイッチ40fが操作されることによって、通常撮影モードと接写撮影に適したマクロ撮影モードとを切替可能に構成されている。
【0024】
また、これらの設定スイッチ40c〜40fは、カメラ撮影機能を種々選択するメニュー内の選択項目であってもよいことは言うまでもない。
【0025】
さらにまた、マクロ設定スイッチ40fは、交換レンズ7に設けてもよい。
【0026】
撮像ユニット1は、詳しくは後述するが、光電変換により被写体像を電気信号に変換するものである。この撮像ユニット1は、ブレ補正ユニット45によって光軸Xに直交する平面内で移動可能に構成されている。
【0027】
ボディ制御部5は、ボディマイコン50と、不揮発性メモリ50aと、シャッタユニット42の駆動を制御するシャッタ制御部51と、撮像ユニット1の動作を制御すると共に撮像ユニット1からの電気信号をA/D変換してボディマイコン50へ出力する撮像ユニット制御部52と、例えばカード型記録媒体や内部メモリである画像格納部58からの画像データの読み出し及び該画像格納部58への画像データの記録を行う画像読み出し/記録部53と、画像読み出し/記録部53を制御する画像記録制御部54と、画像表示部44の表示を制御する画像表示制御部55と、カメラ本体4のブレにより生じる像ブレ量を検出するブレ検出部56と、ブレ補正ユニット45を制御する補正ユニット制御部57とを含む。このボディ制御部5が制御部を構成する。
【0028】
ボディマイコン50は、カメラ本体4の中枢を司る制御装置であり、各種シーケンスの制御を行う。ボディマイコン50には、例えば、CPU,ROM,RAMが搭載されている。そして、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、ボディマイコン50は様々な機能を実現することができる。
【0029】
このボディマイコン50は、電源スイッチ40a、レリーズボタン40b及び各設定スイッチ40c〜40fからの入力信号が入力されると共に、シャッタ制御部51、撮像ユニット制御部52、画像読み出し/記録部53、画像記録制御部54及び補正ユニット制御部57等に対し制御信号を出力するように構成されており、シャッタ制御部51、撮像ユニット制御部52、画像読み出し/記録部53、画像記録制御部54及び補正ユニット制御部57等にそれぞれの制御を実行させる。また、ボディマイコン50は、後述するレンズマイコン80とマイコン間通信を行う。
【0030】
例えば、ボディマイコン50の指示により、撮像ユニット制御部52が撮像ユニット1からの電気信号をA/D変換してボディマイコン50へ出力する。ボディマイコン50は、取り込んだ電気信号に所定の画像処理を施して画像信号を作成する。そして、ボディマイコン50は、画像読み出し/記録部53に画像信号を送信すると共に、画像記録制御部54に画像の記録及び表示の指示を行って、画像格納部58への画像信号の保存と画像表示制御部55への画像信号の送信を行わせる。画像表示制御部55は、送信されてきた画像信号に基づいて画像表示部44を制御して、該画像表示部44に画像を表示させる。
【0031】
また、ボディマイコン50は、詳しくは後述するが、レンズマイコン80を介して被写体までの物点距離を検出するように構成されている。
【0032】
不揮発性メモリ50aには、カメラ本体4に関する各種情報(本体情報)が格納されている。この本体情報には、例えば、カメラ本体4のメーカー名、製造年月日、型番、ボディマイコン50にインストールされているソフトのバージョン、およびファームアップに関する情報などのカメラ本体4を特定するための型式に関する情報(本体特定情報)、カメラ本体4がブレ補正ユニット45及びブレ検出部56等の像ブレを補正するための手段を搭載しているか否かに関する情報、ブレ検出部56の型番および感度などの検出性能に関する情報、エラー履歴なども含まれている。尚、これらの情報は、不揮発性メモリ50aの代わりにボディマイコン50内のメモリ部に格納されていてもよい。
【0033】
ブレ検出部56は、手ブレなどに起因するカメラ本体4の動きを検出する角速度センサを備える。角速度センサは、カメラ本体4が静止している状態での出力を基準としてカメラ本体4が動く方向に応じて正負の角速度信号を出力する。尚、本実施の形態では、ヨーイング方向及びピッチング方向の2方向を検出するために角速度センサを2個設けている。出力された角速度信号は、フィルタ処理、アンプ処理等を経て、A/D変換部によりデジタル信号に変換されてボディマイコン50に与えられる。
【0034】
−交換レンズの構成−
交換レンズ7は、カメラ本体4内の撮像ユニット1に被写体像を結ぶための撮像光学系を構成しており、主に、フォーカシングを行うフォーカス調節部7Aと、絞りを調節する絞り調節部7Bと、光路を調節することで像ブレを補正するレンズ用像ブレ補正部7Cと、交換レンズ7の動作を制御するレンズ制御部8とを有している。
【0035】
交換レンズ7は、レンズマウント71を介して、カメラ本体4のボディマウント41に取り付けられている。また、レンズマウント71には、交換レンズ7がカメラ本体4に取り付けられてときにボディマウント41の電気切片41aと電気的に接続される電気切片71aが設けられている。
【0036】
フォーカス調節部7Aは、フォーカスを調節するフォーカスレンズ群72で構成されている。フォーカスレンズ群72は、交換レンズ7の規格として定められた最至近合焦位置から無限合焦位置までの区間で光軸X方向に移動可能である。また、フォーカスレンズ群72は、後述するコントラスト検出方式による合焦位置検出の場合、合焦位置を挟んで光軸X方向前後に移動可能である必要があるため、上述の最至近合焦位置から無限合焦位置までの区間よりもさらに光軸X方向前後に移動可能なレンズシフト余裕区間を有している。なお、フォーカスレンズ群72は、必ずしも複数のレンズで構成される必要はなく、1枚のレンズで構成されていてもよい。
【0037】
絞り調節部7Bは、絞りまたは開放を調節する絞り部73で構成されている。この絞り部73が光量調節部を構成する。
【0038】
レンズ用像ブレ補正部7Cは、ブレ補正レンズ74と、ブレ補正レンズ74を光軸Xに直交する平面内で移動させるブレ補正レンズ駆動部74aとを有している。
【0039】
レンズ制御部8は、レンズマイコン80と、不揮発性メモリ80aと、フォーカスレンズ群72の動作を制御するフォーカスレンズ群制御部81と、フォーカスレンズ群制御部81の制御信号を受けてフォーカスレンズ群72を駆動するフォーカス駆動部82と、絞り部73の動作を制御する絞り制御部83と、交換レンズ7のブレを検出するブレ検出部84と、ブレ補正レンズ駆動部74aを制御するブレ補正レンズユニット制御部85とを有する。
【0040】
レンズマイコン80は、交換レンズ7の中枢を司る制御装置であり、交換レンズ7に搭載された各部に接続されている。具体的には、レンズマイコン80には、CPU、ROM、RAMが搭載されており、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、様々な機能を実現することができる。例えば、レンズマイコン80は、ボディマイコン50からの信号に基づいてレンズ用像ブレ補正装置(ブレ補正レンズ駆動部74a等)を補正可能状態または補正不能状態に設定する機能を有している。また、レンズマウント71に設けられた電気切片71aとボディマウント41に設けられた電気切片41aとの接触により,ボディマイコン50およびレンズマイコン80は電気的に接続されており、互いに情報の送受信が可能となっている。
【0041】
また、不揮発性メモリ80aには、交換レンズ7に関する各種情報(レンズ情報)が格納されている。このレンズ情報には、例えば、交換レンズ7のメーカー名、製造年月日、型番、レンズマイコン80にインストールされているソフトのバージョンおよびファームアップに関する情報などの交換レンズ7を特定するための型式に関する情報(レンズ特定情報)、交換レンズ7がブレ補正レンズ駆動部74a及びブレ検出部84等の像ブレを補正するための手段を搭載しているか否かに関する情報、像ブレを補正するための手段を搭載している場合は、ブレ検出部84の型番および感度などの検出性能に関する情報、ブレ補正レンズ駆動部74aの型番および最大補正可能角度などの補正性能に関する情報(レンズ側補正性能情報)、像ブレ補正を行うためのソフトのバージョンなどが含まれている。さらに、レンズ情報には、ブレ補正レンズ駆動部74aの駆動に必要な消費電力に関する情報(レンズ側消費電力情報)およびブレ補正レンズ駆動部74aの駆動方式に関する情報(レンズ側駆動方式情報)も含まれている。尚、不揮発性メモリ80aは、ボディマイコン50から送信された情報を格納可能である。尚、これらの情報は、不揮発性メモリ80aの代わりに、レンズマイコン80内のメモリ部に格納されていてもよい。
【0042】
フォーカスレンズ群制御部81は、フォーカスレンズ群72の光軸方向の絶対位置を検出する絶対位置検出部81aと、フォーカスレンズ群72の光軸方向の相対位置を検出する相対位置検出部81bとを有している。絶対位置検出部81aは、交換レンズ7の筐体におけるフォーカスレンズ群72の絶対位置を検出するものである。絶対位置検出部81aは、例えば、数bitの接触型エンコーダ基板とブラシとによって構成され、絶対位置を検出可能に構成されている。相対位置検出部81bは、それのみではフォーカスレンズ群72の絶対位置を検出することができないが、フォーカスレンズ群72の移動方向は検出可能であり、例えば二相エンコーダを用いている。二相エンコーダは回転パルスエンコーダや、MR素子、ホール素子など、フォーカスレンズ群72の光軸方向の位置に応じて等しいピッチで2値の信号を交互に出力するものが2つ設けられており、これらのピッチの位相をずらすように設置されている。レンズマイコン80は、相対位置検出部81bの出力からフォーカスレンズ群72の光軸方向の相対位置を算出する。
【0043】
ブレ検出部84は、手ブレなどに起因する交換レンズ7の動きを検出する角速度センサを備える。角速度センサは、交換レンズ7が静止している状態での出力を基準として交換レンズ7が動く方向に応じて正負の角速度信号を出力する。尚、本実施の形態では、ヨーイング方向及びピッチング方向の2方向を検出するために角速度センサを2個設けている。出力された角速度信号は、フィルタ処理、アンプ処理等を経て、A/D変換部によりデジタル信号に変換されてレンズマイコン80に与えられる。
【0044】
ブレ補正レンズユニット制御部85は、移動量検出部(図示せず)を備える。移動量検出部は、ブレ補正レンズ74の実際の移動量を検出する検出部である。ブレ補正レンズユニット制御部85は、移動量検出部からの出力に基づいて、ブレ補正レンズ74を帰還制御している。
【0045】
尚、カメラ本体4及び交換レンズ7の両方にブレ検出部56,84とブレ補正装置45,74aを搭載した例を示したが、カメラ本体4及び交換レンズ7の何れかにブレ検出部及びブレ補正装置が搭載されていてもよく、何れにもブレ検出部及びブレ補正装置が搭載されていない場合であってもよい(その場合は、上述のブレ補正に関するシーケンスを排除すればよい)。
【0046】
−撮像ユニットの構成−
撮像ユニット1は、図2に示すように、被写体像を電気信号に変換するための撮像素子10と、撮像素子10を保持するためのパッケージ31と、位相差検出方式の焦点検出を行うための位相差検出ユニット20とを有している。
【0047】
撮像素子10は、インターライン型CCDイメージセンサであって、図3に示すように、半導体材料で構成された光電変換部11と、垂直レジスタ12と、転送路13と、マスク14と、カラーフィルタ15と、マイクロレンズ16とを有している。
【0048】
光電変換部11は、基板11aと、基板11a上に配列された複数の受光部(画素ともいう)11b,11b,…とを有している。
【0049】
基板11aは、Si(シリコン)ベースで構成されている。詳しくは、基板11aは、Si単結晶基板又はSOI(Silicon On Insulator wafer)で構成されている。特に、SOI基板は、Si薄膜とSiO2薄膜のサンドイッチ構造をなし、エッチングの処理などにおいてSiO2層で反応をとめることが可能であり、安定した基板加工を行う上で有利である。
【0050】
また、受光部11bは、フォトダイオードで構成されていて、光を吸収して電荷を発生する。受光部11b,11b,…は、基板11a上において行列状に配列された微小な方形の画素領域内にそれぞれ設けられている(図4参照)。
【0051】
垂直レジスタ12は、受光部11bごとに設けられており、受光部11bに蓄積された電荷を一時蓄積する役割を有する。つまり、受光部11bに蓄積された電荷は、垂直レジスタ12に転送される。垂直レジスタ12に転送された電荷は、転送路13を介して水平レジスタ(図示省略)に転送され、増幅器(図示省略)に送られる。増幅器に送られた電荷は、増幅され電気信号として取り出される。
【0052】
マスク14は、受光部11bを被写体側に露出させる一方、垂直レジスタ12及び転送路13を覆うように設けられていて、垂直レジスタ12及び転送路13に光が入射することを防止している。
【0053】
カラーフィルタ15及びマイクロレンズ16は、各受光部11bに対応して前記微小な方形の画素領域ごとに設けられている。カラーフィルタ15は、特定の色だけを透過させるためのものであり、原色フィルタ又は補色フィルタが用いられる。本実施形態では、図4に示すように、いわゆるベイヤー型の原色フィルタが用いられている。すなわち、撮像素子10全体としては、2行2列に隣接する4つのカラーフィルタ15,15,…(又は4つの画素領域)を1つの繰り返し単位としたときに、該繰り返し単位中において、一方の対角方向に2つの緑のカラーフィルタ(即ち、緑色の可視光波長域に対して緑色以外の他の色の可視光波長域よりも高い透過率を持つカラーフィルタ)15gが配列され、他方の対角方向に赤のカラーフィルタ(即ち、赤色の可視光波長域に対して赤色以外の他の色の可視光波長域よりも高い透過率を持つカラーフィルタ)15rと青のカラーフィルタ(即ち、青色の可視光波長域に対して青色以外の他の色の可視光波長域よりも高い透過率を持つカラーフィルタ)15bとが配列されている。全体として緑のカラーフィルタ15g,15g,…が縦横に1つおきに配置されている。
【0054】
マイクロレンズ16は、光を集光して受光部11bに入射させるものである。このマイクロレンズ16によって受光部11bを効率良く照射できる。
【0055】
このように構成された撮像素子10においては、マイクロレンズ16,16,…によって集光された光は、カラーフィルタ15r,15g,15bに入射し、各カラーフィルタに応じた色の光だけが該カラーフィルタを透過して、受光部11b,11b,…に照射する。各受光部11bは、光を吸収して電荷を発生する。この各受光部11bで発生した電荷は、垂直レジスタ12及び転送路13を介して増幅器に送られ、電気信号として出力される。つまり、受光部11b,11b,…からは、各カラーフィルタに対応した色の受光光量が出力として得られる。
【0056】
こうして、撮像素子10は、その撮像面全体における受光部11b,11b,…で光電変換を行うことによって、撮像面に形成された被写体像を電気信号に変換する。
【0057】
ここで、基板11aには、照射された光を透過させる透過部17,17,…が複数形成されている。透過部17は、基板11aにおける受光部11bが設けられている面とは反対側の面(以下、単に裏面ともいう)11cを切削、研磨又はエッチングにより凹状に陥没させることによって形成されており、周辺部よりも薄く形成されている。さらに詳しくは、透過部17は、最も薄肉になっている陥没面17aと、該陥没面17aと裏面11cとを繋ぐ傾斜面17b,17bとを有している。
【0058】
この基板11aにおける透過部17を光が透過する程度の厚みに形成することによって、光電変換部11に照射された光のうち該透過部17に照射された光の一部は電荷に変換されずに該光電変換部11を透過する。例えば、透過部17における基板11aの厚みを2〜3μmに設定することによって、近赤外光より長波長側を約50%透過させることができる。
【0059】
また、傾斜面17b,17bは、透過部17を透過する際に該傾斜面17bで反射する光が後述する位相差検出ユニット20のコンデンサレンズ21a,21a,…へ向かわない角度に設定されている。こうすることで、後述するラインセンサ24aに実像でない像が形成されることを防止している。
【0060】
この透過部17が、撮像素子10に入射する光を透過、即ち、通過させる薄肉部を構成する。ここで、少なくとも本明細書においては、「通過」は「透過」を含む概念である。
【0061】
このように構成された撮像素子10は、パッケージ31に保持されている(図2参照)。このパッケージ31が保持部を構成する。
【0062】
詳しくは、パッケージ31は、平板状の底板31aにフレーム32が設けられていると共に、四方には立壁31b,31b,…が設けられている。撮像素子10は、立壁31b,31b,…により四方を覆われるようにして、フレーム32にマウントされると共に、フレーム32に対してボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。
【0063】
また、パッケージ31の立壁31b,31b,…の先端には、撮像素子10の撮像面(受光部11b,11b,…が設けられている面)を覆うようにカバーガラス33が取り付けられている。このカバーガラス33によって、撮像素子10の撮像面はゴミの付着などから保護されている。
【0064】
ここで、パッケージ31の底板31aには、撮像素子10の透過部17,17,…に対応する位置に該透過部17,17,…と同じ個数だけ開口31c,31c,…が貫通形成されている。この開口31c,31c,…により、撮像素子10を透過した光が、後述する位相差検出ユニット20まで到達する。この開口31cが通過部を構成する。
【0065】
尚、パッケージ31の底板31aには、必ずしも開口31cが貫通形成される必要はない。すなわち、撮像素子10を透過した光が位相差検出ユニット20まで到達する構成であれば、底板31aに透明部若しくは半透明部を形成する等の構成であってもよい。
【0066】
位相差検出ユニット20は、撮像素子10の背面側(被写体と反対側)に設けられて、撮像素子10からの通過光を受光して位相差検出を行う。詳しくは、位相差検出ユニット20は、受光した通過光を測距のための電気信号に変換する。この位相差検出ユニット20が位相差検出部を構成する。
【0067】
この位相差検出ユニット20は、図2,5に示すように、コンデンサレンズユニット21と、マスク部材22と、セパレータレンズユニット23と、ラインセンサユニット24と、これらコンデンサレンズユニット21、マスク部材22、セパレータレンズユニット23及びラインセンサユニット24を取り付けるためのモジュール枠25とを有している。コンデンサレンズユニット21、マスク部材22、セパレータレンズユニット23及びラインセンサユニット24は、撮像素子10の厚さ方向に沿って該撮像素子10側からこの順で並んでいる。
【0068】
コンデンサレンズユニット21は、複数のコンデンサレンズ21a,21a,…を一体的にユニット化したものである。コンデンサレンズ21a,21a,…は、透過部17,17,…と同じ数だけ設けられている。各コンデンサレンズ21aは、入射する光を集光するためのものであり、撮像素子10を透過して拡がりつつある光を集光して、セパレータレンズユニット23の後述するセパレータレンズ23aへと導く。各コンデンサレンズ21aは、入射面21bが凸状に形成されていると共に、入射面21b近傍が円柱状に形成されている。
【0069】
このコンデンサレンズ21aを設けることによって、セパレータレンズ23aへの入射角度が立つ(入射角が小さくなる)ため、セパレータレンズ23aの収差を抑えることができると共に、後述するラインセンサ24a上の被写体像間隔を小さくすることができる。その結果、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aを小型化することができる。また、撮像光学系からの被写体像の焦点位置が撮像ユニット1から大きく外れたとき(詳しくは、撮像ユニット1の撮像素子10から大きく外れたとき)、その像のコントラストが著しく下がるが、本実施形態によれば、コンデンサレンズ21aとセパレータレンズ23aによる縮小効果によりコントラストの低下を抑え、焦点検出範囲を広くすることもできる。尚、焦点位置近傍における高精度な位相差検出等の場合、セパレータレンズ23aやラインセンサ24a等の寸法に余裕がある場合等においては、コンデンサレンズユニット21を設けなくてもよい。
【0070】
マスク部材22は、コンデンサレンズユニット21とセパレータレンズユニット23との間に配設される。マスク部材22は、各セパレータレンズ23aに対応する位置ごとに2つのマスク開口22a,22aが形成されている。つまり、マスク部材22は、セパレータレンズ23aのレンズ面を2つの領域に分割して、該2つの領域だけをコンデンサレンズ21a側に露出させている。すなわち、マスク部材22は、コンデンサレンズ21aにより集光された光を2つの光束に瞳分割して、セパレータレンズ23aへ入射させる。このマスク部材22により隣り合う一方のセパレータレンズ23aからの有害光などが他方のセパレータレンズ23aに入らないようにすることができる。尚、このマスク部材22は、設けなくともよい。
【0071】
セパレータレンズユニット23は、複数のセパレータレンズ23a,23a,…を有し、これら複数のセパレータレンズ23a,23a,…を一体的にユニット化したものである。セパレータレンズ23a,23a,…は、コンデンサレンズ21a,21a,…と同様に、透過部17,17,…と同じ数だけ設けられている。各セパレータレンズ23aは、マスク部材22を通過して入射してきた2つの光束を、同一の2つの被写体像としてラインセンサ24a上に結像させる。
【0072】
ラインセンサユニット24は、複数のラインセンサ24a,24a,…と該ラインセンサ24a,24a,…を設置する設置部24bとを有する。ラインセンサ24a,24a,…は、コンデンサレンズ21a,21a,…と同様に、透過部17,17,…と同じ数だけ設けられている。各ラインセンサ24aは、撮像面上に結像する像を受光して電気信号に変換する。つまり、ラインセンサ24aの出力から、2つの被写体像の間隔を検出することができ、その間隔によって撮像素子10に結像する被写体像の焦点のずれ量(即ち、デフォーカス量(Df量))及び焦点がどちらの方向にずれているか(即ち、デフォーカス方向)を求めることができる(以下、これらDf量及びデフォーカス方向等をデフォーカス情報ともいう)。
【0073】
このように構成されたコンデンサレンズユニット21、マスク部材22、セパレータレンズユニット23及びラインセンサユニット24は、モジュール枠25に配設されている。
【0074】
モジュール枠25は、枠状に形成された部材であって、その内周には、内側に向かって突出する取付部25aが設けられている。取付部25aの撮像素子10側には、階段状に第1取付部25b及び第2取付部25cが形成されている。また、取付部25aの撮像素子10と反対側には、第3取付部25dが形成されている。
【0075】
そして、撮像素子10側から、モジュール枠25の第2取付部25cにマスク部材22が取り付けられ、第1取付部25bにコンデンサレンズユニット21が取り付けられている。これらコンデンサレンズユニット21及びマスク部材22は、それぞれ第1取付部25b及び第2取付部25cに取り付けられる際に、図2,5に示すように、周縁部がモジュール枠25に嵌り込むように形成されており、それによりモジュール枠25に対して位置決めされる。
【0076】
一方、撮像素子10の反対側から、モジュール枠25の第3取付部25dにセパレータレンズユニット23が取り付けられている。第3取付部25dには、コンデンサレンズユニット21と反対側に突出する位置決めピン25eと方向基準ピン25fとが設けられている。一方、セパレータレンズユニット23には、これら位置決めピン25e及び方向基準ピン25fにそれぞれ対応する位置決め孔23b及び方向基準孔23cが形成されている。位置決めピン25eと位置決め孔23bとは嵌合するようにそれぞれの径が設定されている。一方、方向基準ピン25fと方向基準孔23cとは緩やかに嵌るようにそれぞれの径が設定されている。すなわち、セパレータレンズユニット23は、位置決め孔23b及び方向基準孔23cをそれぞれ第3取付部25dの位置決めピン25e及び方向基準ピン25fに挿通させることによって、第3取付部25dに取り付ける際の方向等の姿勢が規定されると共に、位置決め孔23bと位置決めピン25eとの嵌合によって第3取付部25dに対して位置決めされる。こうして、セパレータレンズユニット23が姿勢及び位置を決めて取り付けられたとき、セパレータレンズ23a,23a,…の各レンズ面は、コンデンサレンズユニット21の側を向くと共に、マスク開口22a,22aと対向した状態になる。
【0077】
こうして、コンデンサレンズユニット21、マスク部材22及びセパレータレンズユニット23は、モジュール枠25に対して位置決めされた状態で取り付けられる。すなわち、これらコンデンサレンズユニット21、マスク部材22及びセパレータレンズユニット23は、モジュール枠25を介して、互いの位置関係が位置決めされる。
【0078】
そして、ラインセンサユニット24が、セパレータレンズユニット23の背面側(コンデンサレンズユニット21と反対側)からモジュール枠25に対して取り付けられる。このとき、ラインセンサユニット24は、各セパレータレンズ23aを透過した光がラインセンサ24aに入射するように位置決めされた状態でモジュール枠25に取り付けられる。
【0079】
したがって、コンデンサレンズユニット21、マスク部材22、セパレータレンズユニット23及びラインセンサユニット24をモジュール枠25に取り付けることによって、コンデンサレンズ21a,21a,…に入射した光が、該コンデンサレンズ21a,21a,…を透過して、マスク部材22を介してセパレータレンズ23a,23a,…に入射し、セパレータレンズ23a,23a,…を透過した光がラインセンサ24a,24a,…上に結像するように、コンデンサレンズ21a,21a,…、マスク部材22、セパレータレンズ23a,23a,…及びラインセンサ24a,24a,…がそれぞれ位置決めされた状態で配列される。
【0080】
このように構成された撮像素子10と位相差検出ユニット20とは、互いに接合される。詳しくは、撮像素子10におけるパッケージ31の開口31cと位相差検出ユニット20におけるコンデンサレンズ21aとが、互いに嵌合するように構成されている。つまり、位相差検出ユニット20におけるコンデンサレンズ21a,21a,…を、撮像素子10におけるパッケージ31の開口31c,31c,…に嵌め込んだ状態で、モジュール枠25をパッケージ31に接着する。こうすることで撮像素子10と位相差検出ユニット20とを互いに位置決めした状態で接合することができる。このように、コンデンサレンズ21a,21a,…、セパレータレンズ23a,23a,…及びラインセンサ24a,24a,…は、一体的にユニット化されると共に、ユニット化された状態でパッケージ31に取り付けられる。
【0081】
このとき、全ての開口31c,31c,…と全てのコンデンサレンズ21a,21a,…とを互いに嵌合するように構成してもよい。あるいは、そのうちのいくつかの開口31c,31c,…とコンデンサレンズ21a,21a,…だけを嵌合状態とし、残りの開口31c,31c,…とコンデンサレンズ21a,21a,…とは緩やかに嵌るように構成してもよい。後者の場合には、最も撮像面中央に近いコンデンサレンズ21aと開口31cとが嵌合するように構成して撮像面内における位置決めを行い、さらに、撮像面中央から最も離れたコンデンサレンズ21aと開口31cとが嵌合するように構成して撮像面中央のコンデンサレンズ21a及び開口31c回り(即ち、回転角度)の位置決めを行うことが好ましい。
【0082】
こうして、撮像素子10と位相差検出ユニット20とを接合した結果、基板11aの背面側には、各透過部17ごとに、コンデンサレンズ21a、マスク部材22の一対のマスク開口22a,22a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aが配置される。
【0083】
このように、光を透過させるように構成した撮像素子10に対して、撮像素子10を収容するパッケージ31の底板31aに開口31c,31c,…を形成することによって、撮像素子10を透過した光をパッケージ31の背面側まで容易に到達させることができると共に、パッケージ31の背面側に位相差検出ユニット20を配設することによって、撮像素子10を透過した光を位相差検出ユニット20で受光する構成を容易に実現することができる。
【0084】
また、パッケージ31の底板31aに形成される開口31c,31c,…は撮像素子10を透過した光をパッケージ31の背面側に通過させる構成であれば任意の構成を採用することができるが、貫通孔である開口31c,31c,…を形成することによって、撮像素子10を透過した光を減衰させることなくパッケージ31の背面側まで到達させることができる。
【0085】
また、コンデンサレンズ21a,21a,…を開口31c,31c,…に嵌合させることによって、開口31c,31c,…を利用して、撮像素子10に対する位相差検出ユニット20の位置決めを行うことができる。尚、コンデンサレンズ21a,21a,…を設けない場合は、セパレータレンズ23a,23a,…を開口31c,31c,…に嵌合させるように構成すれば、同様に、撮像素子10に対する位相差検出ユニット20の位置決めを行うことができる。
【0086】
それと共に、コンデンサレンズ21a,21a,…にパッケージ31の底板31aを貫かせて、基板11aに接近させて配設することができるため、撮像ユニット1をコンパクトに構成することができる。
【0087】
このように構成された撮像ユニット1の動作について、以下に説明する。
【0088】
撮像ユニット1に被写体からの光が入射すると、該光は、カバーガラス33を透過し撮像素子10に入射する。該光は、撮像素子10のマイクロレンズ16により集光された後、カラーフィルタ15を透過することにより特定の色の光だけが受光部11bに到達する。受光部11bは光を吸収して電荷を発生する。発生した電荷は垂直レジスタ12及び転送路13を介して増幅器に送られ、電気信号として出力される。こうして、撮像素子10は、その撮像面全体において各受光部11bが光を電気信号に変換することによって、撮像面に形成された被写体像を、画像信号を作成するための電気信号に変換する。
【0089】
一方、透過部17,17,…では、撮像素子10に照射された光の一部が撮像素子10を透過する。撮像素子10を透過した光は、パッケージ31の開口31c,31c,…に嵌合されたコンデンサレンズ21a,21a,…へ入射する。各コンデンサレンズ21aを透過することにより集光された光は、マスク部材22に形成された各対のマスク開口22a,22aを通過する際に2つの光束に分割されて各セパレータレンズ23aに入射する。こうして瞳分割された光は、セパレータレンズ23aを透過して、ラインセンサ24a上の2つの位置に同一の被写体像として結像する。ラインセンサ24aは、光電変換により被写体像から電気信号を作成し出力する。
【0090】
ここで、撮像素子10から出力される電気信号は、撮像ユニット制御部52を介してボディマイコン50に入力される。そして、ボディマイコン50は、各受光部11bの位置情報と該受光部11bの受光光量に対応した出力データを撮像素子10の撮像面全体から得ることによって、撮像面に形成された被写体像を、電気信号として取得する。
【0091】
ここで、受光部11b,11b,…では同じ光量の光を受光しても光の波長が異なると蓄積電荷量が異なるため、撮像素子10の受光部11b,11b,…からの出力はそれぞれに設けられているカラーフィルタ15r,15g,15bの種類に応じて補正される。例えば、赤のカラーフィルタ15rが設けられたR画素11b、緑のカラーフィルタ15gが設けられたG画素11b及び青のカラーフィルタ15bが設けられたB画素11bがそれぞれのカラーフィルタに対応する色の光を同じ光量だけ受光したときに、R画素11b、G画素11b、B画素11bからの出力が同じレベルとなるように各画素の補正量が設定される。
【0092】
ただし、本実施形態では基板11aに透過部17,17,…を設けることによって、透過部17,17,…における光電変換効率が、それ以外の部分に比べて低くなる。つまり、同じ光量の光を受光しても、蓄積電荷量は、透過部17,17,…に対応する位置に設けられた画素11b,11b,…の方がそれ以外の部分に設けられた画素11b,11b,…よりも少なくなってしまう。その結果、透過部17,17,…に対応する位置に設けられた画素11b,11b,…から出力された出力データにそれ以外の部分に設けられた画素11b,11b,…から出力された出力データと同様の画像処理を施したのでは、透過部17,17,…に対応する部分の画像が適切に撮影されない(例えば、暗く撮影されてしまう)可能性がある。そこで、透過部17,17,…における各画素11bの出力を、透過部17,17,…の影響がなくなるように補正(例えば、透過部17,17,…における各画素11bの出力を増幅する等)される。
【0093】
また、この出力の低下は、光の波長により異なる。すなわち、波長が長いほど基板11aの透過率が高くなる。そのため、カラーフィルタ15r,15g,15bの種類により、基板11aを透過する光量に差が生じる。そこで、透過部17に対応する各画素11bについての透過部17の影響をなくす補正は、該各画素11bが受光する光の波長に応じて補正量を異ならせている。つまり、透過部17に対応する各画素11bについて、該各画素11bが受光する光の波長が長いほど補正量を大きくしている。
【0094】
ここで、各画素11bでは、前述の如く、受光する色の種類による蓄積電荷量の差をなくすための補正量が設定されており、この色の種類による蓄積電荷量の差をなくす補正に加えて、透過部17の影響をなくす補正がなされる。すなわち、透過部17の影響をなくす補正の補正量は、透過部17に対応する各画素11bについての補正量と、透過部17以外の位置に対応する画素11bであって且つ同じ色を受光する画素11bについての補正量との差となる。本実施形態では、以下に示す関係で色ごとに補正量を異ならせている。こうすることで安定した画像出力を得ることができる。
【0095】
Rk>Gk>Bk ・・・(1)
ここで、
Rk:透過部17のR画素補正量−透過部17以外のR画素補正量
Gk:透過部17のG画素補正量−透過部17以外のG画素補正量
Bk:透過部17のB画素補正量−透過部17以外のB画素補正量
とする。
【0096】
すなわち、赤、緑、青の3色のうち長波長である赤が最も透過率が高いため、赤の画素での補正量の差が最も大きい。また、該3色のうち短波長である青が最も透過率が低いため、青の画素での補正量の差が最も小さい。
【0097】
つまり、撮像素子10の各画素11bの出力の補正量は、各画素11bが透過部17に対応する位置に位置するか否か、および、各画素11bに対応するカラーフィルタ15の色の種類に基づいて決定される。各補正量は、例えば、透過部17からの出力と透過部17以外からの出力とにより表示される画像のホワイトバランス及び/又は輝度が等しくなるように決定される。
【0098】
ボディマイコン50は、受光部11b,11b,…からの出力データをこのように補正した後、該出力データに基づいて、各受光部、即ち、画素11bにおける位置情報、色情報及び輝度情報とを含む画像信号を作成する。こうして、撮像素子10の撮像面上に結像された被写体像の画像信号が得られる。
【0099】
このように撮像素子10からの出力を補正することによって、透過部17,17,…が設けられた撮像素子10であっても、被写体像を適切に撮影することができる。
【0100】
一方、ラインセンサユニット24から出力される電気信号も、ボディマイコン50に入力される。そして、ボディマイコン50は、ラインセンサユニット24からの出力に基づいて、ラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像の間隔を求め、求めた間隔から、撮像素子10に結像する被写体像の焦点状態を検出することができる。例えば、ラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像は、撮像レンズを透過して撮像素子10に結像する被写体像が正確に結像しているとき(合焦)には、所定の基準間隔を開けて所定の基準位置に位置する。それに対し、被写体像が撮像素子10よりも光軸方向手前側に結像しているとき(前ピン)には、2つの被写体像の間隔が合焦時の基準間隔よりも狭くなる。一方、被写体像が撮像素子10よりも光軸方向奥側に結像しているとき(後ピン)には、2つの被写体像の間隔が合焦時の基準間隔よりも広くなる。つまり、ラインセンサ24aからの出カを増幅した後、演算回路にて演算することによって、合焦か非合焦か、前ピンか後ピンか、Df量はどの位かを知ることができる。
【0101】
ここで、本実施形態では、撮像素子10に3つの透過部17が形成され、各透過部17の背面側には、位相差検出ユニット20のコンデンサレンズ21a、マスク部材22の一対のマスク開口22a,22a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aが光軸に沿って並んでいる。つまり、撮像ユニット1は、(詳しくは、撮像素子10及び位相差検出ユニット20)は、コンデンサレンズ21a、マスク部材22の一対のマスク開口22a,22a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aが光軸に沿って並んでいる、位相差を検出するためのエリア(以下、「位相差エリア」ともいう)を3つ有している。
【0102】
尚、本実施形態では、透過部17は基板11aにおいて周辺部よりも薄肉状に形成されているが、これに限られるものではない。例えば、基板11aに照射される光が基板11aを透過して基板11a背面側の位相差検出ユニット20に十分到達するように、基板11a全体の厚さを設定してもよい。この場合、基板11a全体が透過部となる。
【0103】
また、本実施形態では、基板11aに3つの透過部17,17,17が形成されて、位相差エリアが3箇所設けられているが、これに限られるものではない。これらの個数は3つに限定されるものではなく、任意の個数に設定し得る。例えば、図6に示すように、基板11aに9つの透過部17,17,…を形成すると共に、コンデンサレンズ21a,セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aを9セット設け、9つの位相差エリアを設けるようにしてもよい。
【0104】
さらに、撮像素子10は、CCDイメージセンサに限られるものではなく、図7に示すように、CMOSイメージセンサであってもよい。
【0105】
撮像素子210は、CMOSイメージセンサであって、半導体材料で構成された光電変換部211と、トランジスタ212と、信号線213と、マスク214と、カラーフィルタ215と、マイクロレンズ216とを有している。
【0106】
光電変換部211は、基板211aと、フォトダイオードで構成された受光部211b,211b,…とを有している。各受光部211bごとに、トランジスタ212が設けられている。受光部211bで蓄積された電荷は、トランジスタ212で増幅され、信号線213を介して外部へ出力される。マスク214、カラーフィルタ215及びマイクロレンズ216は、前記マスク14、カラーフィルタ15及びマイクロレンズ16と同様の構成である。
【0107】
そして、基板211aには、CCDイメージセンサと同様に、照射された光を透過させる透過部17,17,…が形成されている。透過部17は、基板211aにおける受光部211bが設けられている面とは反対側の面(以下、単に裏面ともいう)211cを切削、研磨又はエッチングにより凹状に陥没させることによって形成されており、周辺部よりも薄肉に形成されている。
【0108】
また、CMOSイメージセンサにおいては、トランジスタ212の増幅率を受光部211bごとに設定することができるため、各トランジスタ212の増幅率を各受光部11bが透過部17に対応する位置に位置するか否か、および、各受光部11bに対応するカラーフィルタ15の色の種類に基づいて設定することによって、透過部17,17,…に対応する部分の画像が、適切に撮影されないことを防止することができる。
【0109】
また、光が通過する撮像素子の構成としては、前述の如く、透過部17,17,…を設ける構成に限られるものではない。光が撮像素子を通過(前述の如く、透過も含む)する構成であれば、任意の構成を採用することができる。例えば、図8に示すように、基板311aに複数の貫通孔318a,318a,…が形成された通過部318を有する撮像素子310であってもよい。
【0110】
貫通孔318a,318a,…は、基板311aを厚さ方向に貫通して形成されている。詳しくは、基板311a上の行列状の画素領域において、2行2列に隣接する4つの画素領域を1単位としたときに、そのうちの3つの画素領域に受光部11b,11b,11bが配設され、残りの1つの画素領域に貫通孔318aが形成されている。
【0111】
そして、該4つの画素領域中の受光部11b,11b,11bが配設された3つの画素領域には、3つの受光部11b,11b,11bそれぞれに対応する3色のカラーフィルタ15r,15g,15bが配設されている。詳しくは、貫通孔318aに対して対角位置に位置する受光部11bには緑のカラーフィルタ15gが配設され、貫通孔318aと隣接する一方の受光部11bには赤のカラーフィルタ15rが配設され、貫通孔318aと隣接する他方の受光部11bには青のカラーフィルタ15bが配設されている。そして、貫通孔318aに対応する画素領域には、カラーフィルタが設けられていない。
【0112】
この撮像素子10においては、貫通孔318aに対応する画素を、該貫通孔318aに隣接する受光部11b,11b,…の出力を用いて補間する。具体的には、貫通孔318aと画素領域の対角方向に隣接する、緑のカラーフィルタ15gが設けられた4つの受光部11b,11b,…の出力の平均値を用いて貫通孔318aに対応する画素の信号を補間(標準補間)する。または、貫通孔318aと画素領域の対角方向に隣接する、緑のカラーフィルタ15gが設けられた4つの受光部11b,11b,…において別々の対角方向に隣接する2組の受光部11b,11b,…の出力の変化を比較し、変化の大きい方の組の対角方向に隣接する受光部11b,11bの出力の平均値、若しくは変化の小さい方の組の対角方向に隣接する受光部11b,11bの出力の平均値を用いて貫通孔318aに対応する画素の信号を補間(傾斜補間)する。補間したい画素が合焦被写体のエッジである場合、変化の大きい方の受光部11b,11bを用いると、エッジをだらしてしまい好ましくない結果となる。したがって、所定の閾値以上の変化がある場合は変化の小さい方を用い、所定の閾値未満の場合は変化の大きい方を用いて、できるだけ滑らかな傾斜を採用する。
【0113】
こうして、貫通孔318aに対応する受光部11bの出力データを補間した後、受光部11b,11b,…のそれぞれの出力データを用いて、各受光部11bに対応する画素の輝度情報及び色情報を求めて、さらには所定の画像処理や合成を行って画像信号を作成する。
【0114】
こうすることによって、通過部318,318,…における画像が暗く撮影されてしまうことを防止することができる。
【0115】
このように構成された撮像素子310は、入射してきた光を複数の貫通孔318a,318a,…を介して通過させることができる。
【0116】
このように、基板311aに、透過部17ではなく、複数の貫通孔318a,318a,…で構成される通過部318を設けることによっても、光が通過する撮像素子310を構成することができる。また、コンデンサレンズ21a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aの1セットに対して複数の貫通孔318a,318a,…からの光が入射するように構成することによって、コンデンサレンズ21a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aの1セットの大きさが画素の大きさに限定されないという点で好ましい。すなわち、コンデンサレンズ21a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aの1セットの大きさは、画素の狭小化による撮像素子310の高画素化を阻害しない点で好ましい。
【0117】
尚、この通過部318は、位相差検出ユニット20のコンデンサレンズ21aやセパレータレンズ23aに対応する位置だけに設けてもよいし、基板311a全体に設けてもよい。
【0118】
さらにまた、位相差検出ユニット20は、前述の構成に限られるものではない。例えば、撮像素子10の透過部17に対してコンデンサレンズ21aやセパレータレンズ23aが位置決めされる構成であれば、コンデンサレンズ21aとパッケージ31の開口31cとの嵌合は必ずしも必要ない。また、コンデンサレンズを有さない構成でもよい。あるいは、コンデンサレンズ及びセパレータレンズが一体的に形成されたものであってもよい。
【0119】
さらに、別の例としては、図9,10に示すように、撮像素子10の背面側において、コンデンサレンズユニット421と、マスク部材422と、セパレータレンズユニット423と、ラインセンサユニット424とが撮像素子10の撮像面と平行な方向に並んで配置される位相差検出ユニット420であってもよい。
【0120】
詳しくは、コンデンサレンズユニット421は、複数のコンデンサレンズ421a,421a,…を一体的にユニット化していると共に、入射面421bと反射面421cと出射面421dとを有している。すなわち、コンデンサレンズユニット421は、コンデンサレンズ421a,421a,…によって集光された光を反射面421cにより略90°の角度で反射させ、出射面421dから出射させる。その結果、撮像素子10を透過してコンデンサレンズユニット421へ入射した光は、反射面421cによってその光路が略垂直に曲げられて、出射面421dから出射してセパレータレンズユニット423のセパレータレンズ423aへ向かう。セパレータレンズ423aへ入射した光は、該セパレータレンズ423aを透過して、ラインセンサ424aに結像する。
【0121】
このように構成されたコンデンサレンズユニット421、マスク部材422、セパレータレンズユニット423及びラインセンサユニット424は、モジュール枠425に配設されている。
【0122】
モジュール枠425は、箱状に形成されており、その内部には、コンデンサレンズユニット421を取り付けるための段差部425aが形成されている。コンデンサレンズユニット421は、コンデンサレンズ421a,421a,…がモジュール枠425の外方を向くようにして該段差部425aに取り付けられている。
【0123】
また、モジュール枠425には、コンデンサレンズユニット421の出射面421dと対向する位置に、マスク部材422及びセパレータレンズユニット423を取り付けるための取付壁部425bが立設されている。この取付壁部425bには、開口425cが形成されている。
【0124】
マスク部材422は、取付壁部425bに対してコンデンサレンズユニット421の側から取り付けられている。一方、セパレータレンズユニット423は、取付壁部425bに対してコンデンサレンズユニット421と反対側から取り付けられている。
【0125】
こうして、撮像素子10の背面側において、撮像素子10を通過した光の光路を折り曲げることによって、コンデンサレンズユニット421、マスク部材422、セパレータレンズユニット423及びラインセンサユニット424等を、撮像素子10の厚さ方向に並べるのではなく、撮像素子10の撮像面に平行な方向に並べることができるため、撮像ユニット401の、撮像素子10の厚さ方向の寸法を小さくすることができる。つまり、撮像ユニット401をコンパクトに形成することができる。
【0126】
このように、撮像素子10の背面側において、撮像素子10を通過した光を受けて位相差検出を行うことができる構成であれば、任意の構成の位相差検出ユニットを採用することができる。
【0127】
−カメラの動作説明−
このように構成されたカメラ100は、種々の撮影モード及び機能を備えている。以下、カメラ100の種々の撮影モード及び機能と共にそのときの動作を説明する。
【0128】
−AF機能−
カメラ100は、レリーズボタン40bが半押しされると、AFにより焦点を合わせるが、このAFとして、位相差検出方式AFと、コントラスト検出方式AFと、ハイブリッド方式AFとの3つのオートフォーカス機能を有している。これら3つのオートフォーカス機能は、カメラ本体4に設けられたAF設定スイッチ40cを操作することによって、撮影者が選択可能となっている。
【0129】
以下に、各オートフォーカス機能によるカメラシステムの撮影動作を通常撮影モードを前提に説明する。ここで、通常撮影モードとは、後述する露光中AF撮影モードやマクロ撮影モードや連写モードではない、通常の撮影を行うためのカメラ100の最も基本的な撮影モードである。
【0130】
(位相差検出方式AF)
まず、位相差検出方式AF方式によるカメラシステムの撮影動作について、図11,12を参照して説明する。
【0131】
電源スイッチ40aがONされると(ステップSa1)、カメラ本体4と交換レンズ7との交信が行われる(ステップSa2)。詳しくは、カメラ本体4内のボディマイコン50及び各種ユニットに電力が供給され、ボディマイコン50が起動する。同時に、電気切片41a,71aを介して、交換レンズ7内のレンズマイコン80及び各種ユニットに電極が供給され、レンズマイコン80が起動する。ボディマイコン50及びレンズマイコン80は、起動時に互いに情報を送受信するようプログラミングされており、例えばレンズマイコン80のメモリ部からボディマイコン50へ交換レンズ7に関するレンズ情報が送信され、このレンズ情報はボディマイコン50のメモリ部に格納される。
【0132】
続いて、ボディマイコン50は、レンズマイコン80を介してフォーカスレンズ群72を予め設定された所定の基準位置に位置させる(ステップSa3)と共に、それと並行して、シャッタユニット42を開状態にする(ステップSa4)。その後、ステップSa5へ進み、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされるまで待機する。
【0133】
こうすることで、交換レンズ7を透過して、カメラ本体4内に入射した光は、シャッタユニット42を通過して、さらにIRカット兼OLPF43を透過し、撮像ユニット1へ入射する。そして、撮像ユニット1にて結像した被写体像は画像表示部44に表示され、撮影者は画像表示部44を介して被写体の正立像を観察できる。詳しくは、ボディマイコン50は、撮像ユニット制御部52を介して撮像素子10からの電気信号を一定の周期で読み込み、読み込んだ電気信号に対して所定の画像処理を施した後、画像信号を作成し、画像表示制御部55を制御して画像表示部44にライブビュー画像を表示させる。
【0134】
また、撮像ユニット1へ入射した光の一部は、撮像素子10の透過部17,17,…を透過して位相差検出ユニット20へ入射する。
【0135】
ここで、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされる(即ち、S1スイッチ(図示省略)がONされる)と(ステップSa5)、ボディマイコン50は、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出カを増幅した後、演算回路にて演算することによって、合焦か非合焦か、前ピンか後ピンか、Df量はどの位かを求める(ステップSa6)。
【0136】
その後、ボディマイコン50は、ステップSa6で取得したDf量分だけデフォーカス方向にフォーカスレンズ群72をレンズマイコン80を介して駆動させる(ステップSa7)。
【0137】
このとき、本実施形態に係る位相差検出ユニット2は、コンデンサレンズ21a、マスク開口22a,22a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aのセットを3セット、即ち、位相差検出を行う位相差エリアを3つ有している。そして、位相差検出方式AFやハイブリッド方式AFにおける位相差検出では、撮影者が任意に選択した測距ポイントに対応したセットのラインセンサ24aの出力に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動させる。
【0138】
あるいは、複数の測距ポイントのうち最もカメラに近接した測距ポイントを選択してフォーカスレンズ群72の駆動を行うように、ボディマイコン50に自動最適化アルゴリズムを設定しておいてもよい。この場合、中抜け写真などが発生する確率を低減することができる。
【0139】
尚、この測距ポイントの選択は、位相差検出方式AFに限られるものではなく、位相差検出ユニット2を用いてフォーカスレンズ群72を駆動させる構成であれば、任意の方式のAFに採用できる。
【0140】
そして、合焦したか否かを判定する(ステップSa8)。詳しくは、ラインセンサ24aの出力から得られるDf量が所定値以下であるときには合焦した(YES)と判定してステップSa11へ進む一方、ラインセンサ24aの出力から得られるDf量が所定値より大きいときには合焦していない(NO)と判定してステップSa6へ戻り、ステップSa6〜Sa8を繰り返す。
【0141】
こうして焦点状態の検出とフォーカスレンズ群72の駆動を繰り返し、Df量が所定量以下になったときに合焦と判断され、フォーカスレンズ群72の駆動が停止される。
【0142】
また、ステップSa6〜Sa8における位相差検出方式AFと並行して、測光を行う(ステップSa9)と共に、像ブレ検出を開始する(ステップSa10)。
【0143】
すなわち、ステップSa9においては、撮像素子10によって該撮像素子10に入射してくる光の光量が測定される。つまり、本実施形態においては、撮像素子10に入射して該撮像素子10を透過した光を用いて上述の位相差検出方式AFを行っているため、該位相差検出方式AFと並行して、撮像素子10を用いて測光を行うことができる。
【0144】
詳しくは、ボディマイコン50が、撮像ユニット制御部52を介して撮像素子10からの電気信号を取り込み、該電気信号に基づいて被写体光の強度を測定することによって測光を行う。そして、ボディマイコン50は、測光の結果から、撮影モードに応じた露光時におけるシャッタスピードと絞り値を所定のアルゴリズムに従って決定する。
【0145】
そして、ステップSa9において測光が終了すると、ステップSa10において像ブレ検出を開始する。尚、ステップSa9とステップSa10とは並行して行ってもよい。
【0146】
また、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると、画像表示部44には、撮影画像と共に撮影に係る各種情報表示が表示され、撮影者は画像表示部44を介して各種情報を確認することができる。
【0147】
ステップSa11では、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされる(即ち、S2スイッチ(図示省略)がONされる)まで待機する。撮影者によりレリーズボタン40bが全押しされると、ボディマイコン50は、シャッタユニット42を一旦、閉状態にする(ステップSa12)。こうして、シャッタユニット42を閉状態にしている間に、後述する露光に備えて、撮像素子10の受光部11b,11b,…に蓄積されている電荷を転送してしまう。
【0148】
その後、ボディマイコン50は、カメラ本体4と交換レンズ7との交信情報、又は撮影者の任意の指定情報を基に像ブレの補正を開始する(ステップSa13)。具体的には、カメラ本体4内のブレ検出部56の情報を基に交換レンズ7内のブレ補正レンズ駆動部74aを駆動する。また、撮影者の意図に応じて、(i)交換レンズ7内のブレ検出部84とブレ補正レンズ駆動部74aを用いる、(ii)カメラ本体4内のブレ検出部56とブレ補正ユニット45を用いる、(iii)交換レンズ7内のブレ検出部84とカメラ本体4内のブレ補正ユニット45を用いる、の何れかが選択可能である。
【0149】
尚、像ブレ補正手段の駆動開始は、レリーズボタン40b半押し時点から開始することで、合焦させたい被写体の動きが軽減され、位相差検出方式AFをより正確に行うことが可能となる。
【0150】
また、ボディマイコン50は、像ブレの補正開始と並行して、ステップSa9における測光の結果から求められた絞り値となるようにレンズマイコン80を介して絞り部73を絞り込む(ステップSa14)。
【0151】
こうして、像ブレの補正が開始されると共に、絞り込みが完了すると、ボディマイコン50は、ステップSa9における測光の結果から求められたシャッタスピードに基づいてシャッタユニット42を開状態にする(ステップSa15)。こうして、シャッタユニット42を開状態にすることで、被写体からの光が撮像素子10に入射するようになり、撮像素子10では所定時間だけ電荷の蓄積を行う(ステップSa16)。
【0152】
そして、ボディマイコン50は、該シャッタスピードに基づいて、シャッタユニット42を閉状態にして、露光を終了する(ステップSa17)。露光完了後、ボディマイコン50では、撮像ユニット制御部52を介して撮像ユニット1から画像データを読み出し、所定の画像処理後、画像読み出し/記録部53を介して画像表示制御部55へ画像データを出力する。これにより、画像表示部44へ撮影画像が表示される。また、ボディマイコン50は、必要に応じて、画像記録制御部54を介して画像格納部58に画像データを格納する。
【0153】
その後、ボディマイコン50は、像ブレ補正を終了する(ステップSa18)共に、絞り部73を開放する(ステップSa19)。そして、ボディマイコン50は、シャッタユニット42を開状態とする(ステップSa20)。
【0154】
レンズマイコン80は、リセットが完了すると、ボディマイコン50にリセット完了を伝える。ボディマイコン50は、レンズマイコン80からのリセット完了情報と露光後の一連の処理の完了を待ち、その後、レリーズボタン40bの状態が、押し込みされていないことを確認し、撮影シーケンスを終了する。その後、ステップSa5へ戻り、レリーズボタン40bが半押しされるまで待機する。
【0155】
尚、電源スイッチ40aがOFFされる(ステップSa21)と、ボディマイコン50は、フォーカスレンズ群72を予め設定された所定の基準位置に移動させる(ステップSa22)と共に、シャッタユニット42を閉状態にする(ステップSa23)。そして、カメラ本体4内のボディマイコン50及び各種ユニット、並びに交換レンズ7内のレンズマイコン80及び各種ユニットの作動を停止する。
【0156】
このように、位相差検出方式AFによるカメラシステムの撮影動作においては、位相差検出ユニット20に基づいたオートフォーカスと並行して、撮像素子10により測光が行われる。すなわち、位相差検出ユニット20は撮像素子10を透過した光を受けてデフォーカス情報を取得するため、デフォーカス情報を取得する際には必ず、被写体からの光が撮像素子10に照射されている。そこで、オートフォーカス時に撮像素子10を透過する光を用いて測光を行う。こうすることで、測光用のセンサを別途設ける必要がなくなると共に、レリーズボタン40bが全押しされる前に測光を行っておくことができるため、レリーズボタン40bが全押しされてから露光が完了するまでの時間(以下、レリーズタイムラグともいう)を短縮することができる。
【0157】
また、レリーズボタン40bの全押し前に測光を行う構成であっても、測光をオートフォーカスと並行して行うことによって、レリーズボタン40b半押し後の処理時間を長くしてしまうことも防止できる。その際、被写体からの光を測光用センサや位相差検出ユニットへ導くためのミラーを設ける必要がない。
【0158】
また、従来は、被写体から撮像装置に導かれる光の一部をミラー等で、撮像装置外に設けられた位相差検出ユニットへ導いていたのに対し、撮像ユニット1に導かれた光をそのまま用いて位相差検出ユニット20によって焦点状態を検出することができるため、焦点状態を非常に高精度に能力することができる。
【0159】
(コントラスト検出方式AF)
次に、コントラスト検出方式AFによるカメラシステムの撮影動作について、図13を参照して説明する。
【0160】
電源スイッチ40aがONされると(ステップSb1)、カメラ本体4と交換レンズ7との交信が行われ(ステップSb2)、フォーカスレンズ群72を所定の基準位置に位置させ(ステップSb3)、それと並行して、シャッタユニット42を開状態にし(ステップSb4)、レリーズボタン40bが半押しされるのを待機する(ステップSb5)ところまでは、位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa5と同じである。
【0161】
撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSb5)、ボディマイコン50は、レンズマイコン80を介してフォーカスレンズ群72を駆動させる(ステップSb6)。詳しくは、被写体像の焦点が光軸方向の所定の方向(例えば、被写体側)に移動するようにフォーカスレンズ群72を駆動する。
【0162】
そして、ボディマイコン50は、撮像ユニット制御部52を介して取り込んだ撮像素子10からの出力に基づいて被写体像のコントラスト値を求め、該コントラスト値が低く変化したか否かを判定する(ステップSb7)。その結果、コントラスト値が低くなった(YES)ときにはステップSb8へ進む一方、コントラスト値が高くなった(NO)ときにはステップSb9へ進む。
【0163】
コントラスト値が低くなったときには、フォーカスレンズ群72を焦点が合う方向とは反対方向に駆動したということであるため、被写体像の焦点が光軸方向の前記所定の方向とは反対方向(例えば、被写体と反対側)に移動するようにフォーカスレンズ群72を反転駆動する(ステップSb8)。その後、コントラストピークを検出したか否かを判定し(ステップSb10)、コントラストピークを検出されない(NO)間はフォーカスレンズ群72の反転駆動(ステップSb8)を繰り返す。そして、コントラストピークが検出された(YES)ときには、フォーカスレンズ群72の反転駆動を停止すると共に、フォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置まで移動させ、ステップSa11へ進む。
【0164】
一方、ステップSb6でフォーカスレンズ群72を駆動させて、コントラスト値が高くなったときには、フォーカスレンズ群72を焦点が合う方向に駆動させているため、そのままフォーカスレンズ群72の駆動を継続して(ステップSb9)、コントラスト値のピークを検出したか否かを判定する(ステップSb10)。その結果、コントラストピークを検出されない(NO)間はフォーカスレンズ群72の駆動(ステップSb9)を繰り返す一方、コントラストピークが検出された(YES)ときには、フォーカスレンズ群72の駆動を停止すると共に、フォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置まで移動させ、ステップSa11へ進む。
【0165】
このように、コントラスト検出方式では、フォーカスレンズ群72をとりあえず駆動してみて(ステップSb6)、コントラスト値が低く変化したときにはフォーカスレンズ群72を反転駆動してコントラスト値のピークを探す(ステップSb8,Sb10)一方、コントラスト値が高く変化したときにはフォーカスレンズ群72をそのまま駆動してコントラスト値のピークを探す(ステップSb9,Sb10)。
【0166】
また、このコントラスト検出方式AF(ステップSb6〜Sb10)と並行して、測光を行う(ステップSb11)と共に、像ブレ検出を開始する(ステップSb12)。これらステップSb11,Sb12は、位相差検出方式AFのステップSa9,Sa10と同様である。
【0167】
ステップSa11では、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。レリーズボタン40bが全押しされてからのフローは、位相差検出方式AFと同様である。
【0168】
このコントラスト検出方式AFでは、ダイレクトにコントラストピークを捕らえることが可能となり、位相差検出方式AFと異なり、開放バック補正(絞りの開口度合いによるピントズレ)などの様々な補正演算が必要ないため高精度なピント性能を得ることができる。ただし、コントラスト値のピークを検出するためには、コントラスト値のピークを一旦超えるまでフォーカスレンズ群72を駆動する必要がある。こうして、フォーカスレンズ群72をコントラスト値のピークを一旦越えるところまで移動させた後、検出されたコントラスト値のピークの位置まで戻す必要があるため、フォーカスレンズ群72の往復駆動動作によりフォーカスレンズ群駆動系に生じるバックラッシュ分を取り除く必要がある。
【0169】
(ハイブリッド方式AF)
続いて、ハイブリッド方式AFによるカメラシステムの撮影動作について、図14を参照して説明する。
【0170】
電源スイッチ40aがONされてからレリーズボタン40bの半押しを待機する(ステップSc1〜Sc5)までは、位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa5と同じである。
【0171】
撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSc5)、ボディマイコン50は、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出カを増幅した後、演算回路にて演算して、合焦か非合焦かを検出する(ステップSc6)。さらに、ボディマイコン50は、前ピンか後ピンか、デフォーカス量はどの位かを求め、デフォーカス情報を取得する(ステップSc7)。その後、ステップSc10へ進む。
【0172】
一方、ステップSc6,Sc7と並行して、測光を行う(ステップSc8)と共に、像ブレ検出を開始する(ステップSc9)。これらステップSc6,Sc7は、位相差検出方式AFのステップSa9,Sa10と同様である。その後、ステップSc10へ進む。尚、ステップSc9の後は、ステップSc10ではなく、ステップSa11へ進んでもよい。
【0173】
このように、本実施形態においては、撮像素子10に入射して該撮像素子10を透過した光を用いて上述の位相差に基づく焦点検出を行っているため、該焦点検出と並行して、撮像素子10を用いて測光を行うことができる。
【0174】
ステップSc10では、ボディマイコン50は、ステップSc7で取得したデフォーカス情報に基づいて、フォーカスレンズ群72を駆動する。
【0175】
そして、ボディマイコン50は、コントラストピークが検出されたか否かを判定する(ステップSc11)。コントラストピークが検出されていない(NO)ときにはフォーカスレンズ群72の駆動(ステップSc10)を繰り返す一方、コントラストピークが検出された(YES)ときにはフォーカスレンズ群72の駆動を停止して、フォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置まで移動させた後、ステップSa11へ進む。
【0176】
具体的には、ステップSc10,Sc11において、ステップSc7で算出したデフォーカス方向及びデフォーカス量に基づき、フォーカスレンズ群72を高速に移動させた後、フォーカスレンズ群72を前述の速度よりも低速で移動させてコントラストピークを検出することが好ましい。
【0177】
このとき、算出したデフォーカス量に基づいて移動させるフォーカスレンズ群72の移動量(どこまで移動させるか)を位相差検出方式AFにおけるステップSa7と異ならせることが好ましい。詳しくは、位相差検出方式AFにおけるステップSa7では、デフォーカス量に基づいて合焦位置と予測される位置までフォーカスレンズ群72を移動させるのに対し、ハイブリッド方式AFにおけるステップSc10では、デフォーカス量に基づいて合焦位置と予測される位置よりも前後に離れた位置までフォーカスレンズ群72を駆動する。ハイブリッド方式AFでは、その後、合焦位置と予測される位置に向かってフォーカスレンズ群72を駆動しながらコントラストピークを検出する。
【0178】
ステップSa11では、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。レリーズボタン40bが全押しされてからのフローは、位相差検出方式AFと同様である。
【0179】
このように、ハイブリッド方式AFでは、まず、位相差検出ユニット20によってデフォーカス情報を取得し、これらのデフォーカス情報に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動する。そして、撮像素子10からの出力に基づいて算出されるコントラスト値がピークとなるフォーカスレンズ群72の位置を検出し、フォーカスレンズ群72を該位置に位置させる。こうすることで、フォーカスレンズ群72の駆動前にデフォーカス情報を検出することができるため、コントラスト検出方式AFのようにフォーカスレンズ群72をとりあえず駆動してみるというステップが必要ないため、オートフォーカスの処理時間を短縮することができる。また、最終的にはコントラスト検出方式AFによって焦点を合わすため、特に繰り返しパターンのある被写体やコントラストが極端に低い被写体などに対して、位相差検出方式AFよりも精度良く焦点を合わせることができる。
【0180】
そして、ハイブリッド方式AFは位相差検出を含んでいるにもかかわらず、撮像素子10を透過した光を用いて位相差検出ユニット20によりデフォーカス情報を取得しているため、撮像素子10による測光と位相差検出ユニット20によるデフォーカス情報の取得とを並行して行うことができる。その結果、位相差検出用に、被写体からの光の一部を分割させるミラーを設ける必要がなく、また、測光用のセンサを別途設ける必要もなく、さらに、レリーズボタン40bが全押しされる前に測光を行っておくことができるため、レリーズタイムラグを短縮することができる。そして、レリーズボタン40bが全押しされる前に測光を行う構成において、測光をデフォーカス情報の取得と並行して行うことによって、レリーズボタン40b半押し後の処理時間を長くしてしまうことも防止できる。
【0181】
−変形例−
以上の説明では、レリーズボタン40bの全押し後であって露光の直前に絞り込みを行っているが、以下では、位相差検出方式AF及びハイブリッド方式AFにおいて、レリーズボタン40bの全押し前であって、さらにオートフォーカス前に絞り込みを行うように構成した変形例について説明する。
【0182】
(位相差検出方式AF)
具体的に、まず、変形例に係る位相差検出方式AFによるカメラシステムの撮影動作について、図15を参照して説明する。
【0183】
電源スイッチ40aがONされてからレリーズボタン40bの半押しを待機する(ステップSd1〜Sd5)までは、上述の位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa5と同じである。
【0184】
撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSd5)、像ブレ検出を開始する(ステップSd6)と共に、それと並行して、測光を行う(ステップSd7)。これらステップSd5,Sd6は、位相差検出方式AFのステップSa9,Sa10と同様である。
【0185】
その後、ステップSd7の測光の結果に基づいて露光時の絞り値を求め、求めた絞り値が所定の絞り閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップSd8)。そして、求めた絞り値が所定の絞り閾値よりも大きい(YES)ときにはステップSd10に進む一方、求めた絞り値が所定の絞り閾値以下(NO)のときにはステップSd9へ進む。ステップSd9では、ボディマイコン50は、求めた絞り値になるようにレンズマイコン80を介して絞り部73を駆動する。
【0186】
ここで、所定の絞り閾値は、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aの出力に基づいてデフォーカス情報の取得ができる程度の絞り値に設定されている。つまり、測光の結果に基づいて求めた絞り値が絞り閾値よりも大きい場合には、該絞り値まで絞り部73を絞ると、後述する位相差検出ユニット20によるデフォーカス情報の取得ができないため、絞り部73を絞ることなく、ステップSd10へ進む。一方、測光の結果に基づいて求めた絞り値が絞り閾値以下の場合には、該絞り値まで絞り部73を絞ってから、ステップSd10へ進む。
【0187】
ステップSd10〜Sd12では、上述の位相差検出方式AFにおけるステップSa6〜Sa8と同様に、ボディマイコン50が、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出カに基づいてデフォーカス情報を求め(ステップSd10)、該デフォーカス情報に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動し(ステップSd11)、合焦したか否かを判定する(ステップSd12)。合焦後は、ステップSa11へ進む。
【0188】
ステップSa11では、撮影者によりレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。レリーズボタン40bが全押しされてからのフローは、上述の位相差検出方式AFと同様である。
【0189】
ただし、ステップSd8において測光の結果に基づいて求めた絞り値が所定の絞り閾値よりも大きいと判定されたときにのみ、ステップSa14において絞り部73の絞り込みを行う。つまり、ステップSd8において測光の結果に基づいて求めた絞り値が所定の絞り閾値以下であると判定されたときにステップSd9において絞り部73の絞り込みが予め行われているため、ステップSa14を行う必要はない。
【0190】
このように、変形例に係る位相差検出方式AFによるカメラシステムの撮影動作においては、測光の結果に基づいて求められる露光時の絞り値が位相差検出方式AFを行うことができる程度の値であるときには、露光に先立ってオートフォーカス前に絞り部73を絞っておく。こうすることで、レリーズボタン40b全押し後に絞り部73の絞り込みを行う必要がなく、レリーズタイムラグを短縮することができる。
【0191】
(ハイブリッド方式AF)
次に、変形例に係るハイブリッド方式AFによるカメラシステムの撮影動作について、図16を参照して説明する。
【0192】
電源スイッチ40aがONされてからレリーズボタン40bの半押しを待機する(ステップSe1〜Se5)までは、上述の位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa5と同じである。
【0193】
撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSe5)、像ブレ検出を開始する(ステップSe6)と共に、それと並行して、測光を行う(ステップSe7)。これらステップSe6,Se7は、位相差検出方式AFのステップSa9,Sa10と同様である。
【0194】
その後、ステップSe7の測光の結果に基づいて露光時の絞り値を求め、求めた絞り値が所定の絞り閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップSe8)。そして、求めた絞り値が所定の絞り閾値よりも大きい(YES)ときにはステップSe10に進む一方、求めた絞り値が所定の絞り閾値以下(NO)のときにはステップSe9へ進む。ステップSe9では、ボディマイコン50は、求めた絞り値になるようにレンズマイコン80を介して絞り部73を駆動する。
【0195】
ここで、所定の絞り閾値は、撮像素子10の出力から算出されるコントラスト値のピークが検出できる程度の絞り値に設定されている。つまり、測光の結果に基づいて求めた絞り値が絞り閾値よりも大きい場合には、該絞り値まで絞り部73を絞ると、後述するコントラストピークの検出ができないため、絞り部73を絞ることなく、ステップSe10へ進む。一方、測光の結果に基づいて求めた絞り値が絞り閾値以下の場合には、該絞り値まで絞り部73を絞ってから、ステップSe10へ進む。
【0196】
ステップSe10〜Se12では、上述の通常のハイブリッド方式AFにおけるステップSc6,Sc7,Sc10,Sc11と同様に、ボディマイコン50は、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出カに基づいてデフォーカス情報を求め(ステップSe10,Se11)、該デフォーカス情報に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動させ(ステップSe12)、コントラストピークを検出してフォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置に移動させる(ステップSe13)。
【0197】
その後、ステップSa11において、撮影者によりレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。レリーズボタン40bが全押しされてからのフローは、上述の通常の位相差検出方式AFと同様である。
【0198】
ただし、ステップSe8において測光の結果に基づいて求めた絞り値が所定の絞り閾値よりも大きいと判定されたときにのみ、ステップSa14において絞り部73の絞り込みを行う。つまり、ステップSe8において測光の結果に基づいて求めた絞り値が所定の絞り閾値以下であると判定されたときにステップSe9において絞り部73の絞り込みが予め行われているため、ステップSa14を行う必要はない。
【0199】
このように、変形例に係るハイブリッド方式AFによるカメラシステムの撮影動作においては、測光の結果に基づいて求められる露光時の絞り値がコントラスト検出方式AFを行うことができる程度の値であるときには、露光に先立ってオートフォーカス前に絞り部73を絞っておく。こうすることで、レリーズボタン40b全押し後に絞り部73の絞り込みを行う必要がなく、レリーズタイムラグを短縮することができる。
【0200】
−連写モード−
以上の説明では、レリーズボタン40bが全押しされるごとに1つの画像が撮影されるが、カメラ100は、レリーズボタン40bの1回の全押し操作で複数の画像が撮影される連写モードを備えている。
【0201】
以下に、連写モードについて図17,18を参照して説明する。ここでは、変形例に係るハイブリッド方式AFを行うものを前提に説明をする。尚、連写モードは、変形例に係るハイブリッド方式AFに限られず、位相差検出方式AF、コントラスト検出方式AF、ハイブリッド方式AF、変形例に係る位相差検出方式AF等、任意の構成に採用することができる。
【0202】
電源スイッチ40aがONされてから、レリーズボタン40bが半押しされて、フォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置に移動させるまで(ステップSf1〜Sf13)は、変形例に係るハイブリッド方式AFにおけるステップSe1〜Se13と同じである。
【0203】
そして、フォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置に移動させた後、ボディマイコン50は、そのとき(即ち、コントラスト検出方式AFにより合焦したとき)の、ラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像の間隔をメモリ部に記憶させる(ステップSf14)。
【0204】
その後、ステップSf15において、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。そして、撮影者によりレリーズボタン40bが全押しされると、位相差検出方式AFにおけるステップSa12〜Sa17と同様に、露光を行う。
【0205】
具体的には、ボディマイコン50は、シャッタユニット42を一旦、閉状態にし(ステップSf16)、像ブレの補正を開始し(ステップSf17)、ステップSf9で絞り部73を絞っていないときには測光の結果に基づいて絞り部73を絞り込み(ステップSf18)、その後、シャッタユニット42を開状態にして(ステップSf19)、露光を開始し(ステップSf20)、シャッタユニット42を閉状態にして(ステップSf21)露光を終了する。
【0206】
そして、露光終了後、レリーズボタン40bの全押しが解除されたか否かを判定する(ステップSf22)。そして、レリーズボタン40bが解除された(YES)ときには、ステップSf29,Sf30へ進む一方、レリーズボタン40bの全押しが継続されている(NO)ときには、連写を行うべく、ステップSf23へ進む。
【0207】
レリーズボタン40bの全押しが継続されているときには、ボディマイコン50は、シャッタユニット42を開状態にして(ステップSf23)、位相差検出方式AFを行う(ステップSf24〜Sf26)。
【0208】
詳しくは、位相差検出ユニット20を介して撮像素子10における被写体像の焦点状態を検出し(ステップSf24)、デフォーカス情報を取得し(ステップSf25)、そのデフォーカス情報に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動する(ステップSf26)。
【0209】
ここで、レリーズボタン40b全押し前のハイブリッド方式AFでは、ラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像の間隔と予め設定された基準間隔とを比較してデフォーカス情報が求められる(ステップSf11)のに対し、レリーズボタン40b全押し後のステップSf24,Sf25では、ラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像の間隔を、ステップSf14で記憶した、ハイブリッド方式AFにおけるコントラスト検出方式AF後のラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像の間隔と比較して焦点状態及びデフォーカス情報を求める。
【0210】
こうして位相差検出方式AFを行った後、ボディマイコン50は、ボディマイコン50からシャッタ制御部51及び撮像ユニット制御部52へ露光を開始する信号(即ち、露光開始信号)を出力するタイミングが到来したか否かを判定する(ステップSf27)。この露光開始信号の出力タイミングは、連写モードにおける連写のタイミングである。そして、露光開始信号の出力タイミングでない(NO)ときには位相差検出方式AFを繰り返す(ステップSf24〜Sf26)一方、露光開始信号の出力タイミングが到来している(YES)ときにはフォーカスレンズ群72の駆動を停止し(ステップSf28)、露光を行う(ステップSf20)。
【0211】
尚、フォーカスレンズ群72の停止後、露光を開始する前には、位相差検出方式AF中に撮像素子10の受光部11b,11b,…に蓄積された電荷を掃き出す必要がある。そのため、電子シャッタにより受光部11b,11b,…の電荷を掃き出すか、あるいは、シャッタユニット42を一旦、閉状態として、受光部11b,11b,…の電荷を掃き出した後、シャッタユニット42を開状態として露光を開始する。
【0212】
そして、露光終了後は、再度、レリーズボタン40bの全押しが解除されたか否かを判定し(ステップSf22)、レリーズボタン40bが全押しされている限り、位相差検出方式AF及び露光を繰り返す(Sf23〜Sf28,Sf20,Sf21)。
【0213】
一方、レリーズボタン40bの全押しが解除されたときには、像ブレ補正を終了する(ステップSf29)と共に、絞り部73を開放し(ステップSf30)、シャッタユニット42を開状態にする(ステップSf31)。
【0214】
リセット完了後、撮影シーケンスを終了すると、ステップSa5へ戻り、レリーズボタン40bが半押しされるまで待機する。
【0215】
尚、電源スイッチ40aがOFFされる(ステップSf32)と、ボディマイコン50は、フォーカスレンズ群72を予め設定された所定の基準位置に移動させる(ステップSf33)と共に、シャッタユニット42を閉状態にする(ステップSf34)。そして、カメラ本体4内のボディマイコン50及び各種ユニット、並びに交換レンズ7内のレンズマイコン80及び各種ユニットの作動を停止する。
【0216】
このように、連写モードにおけるカメラシステムの撮影動作においては、連写中の各露光間において位相差検出方式AFを行うことができるため、高いピント性能を実現することができる。
【0217】
また、このときのオートフォーカスが位相差検出方式AFであるため、デフォーカス方向を瞬時に取得することができ、連写間の短い時間であっても、瞬時に焦点を合わせることができる。
【0218】
さらに、位相差検出方式AFであっても、従来のように位相差検出用の可動ミラーを設ける必要がないため、レリーズタイムラグを短縮することができると共に、電力消費を抑制することができる。さらにまた、従来であれば可動ミラーの上げ下げ動作の分だけレリーズタイムラグがあるため、被写体が動体である場合には、該レリーズタイムラグ中の動体の動きを予測して撮影する必要があったが、本実施形態では、可動ミラーの上げ下げ動作に対応するレリーズタイムラグがないため、露光直前まで被写体の動きを追尾しながら焦点を合わせることができる。
【0219】
また、連写中の位相差検出方式AFにおいて、合焦を判定する、ラインセンサ24a上の2つの被写体像間の基準距離として、レリーズボタン40bの半押し時にコントラスト検出方式AFにより合焦させたときのラインセンサ24a上の2つの被写体像間距離を用いることによって、実機及び実際の撮影条件に即した、高精度のオートフォーカスを行うことができる。
【0220】
尚、連写モードにおける1コマ目の撮影時には、ハイブリッド方式AFに限られるものではない。位相差検出方式AFでも、コントラスト検出方式AFでもよい。ただし、1コマ目の撮影時には、ハイブリッド方式AFやコントラスト検出方式AFのように、最終的にはコントラスト値に基づいて焦点を調節するAFを採用することによって、前述の如く、1コマ目撮影時の高い精度で合焦した状態を基準に2コマ目以降の撮影時の位相差検出方式AFを行うことができる。尚、位相差検出方式AFの場合は、ステップSf14を行わず、ステップSf24,Sf25では、ラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像の間隔を予め設定された基準間隔と比較して焦点状態及びデフォーカス情報を求める。
【0221】
また、連写モードに限られず、通常の撮影においても、被写体が動体である場合には、一旦、焦点が合った後も、レリーズボタン40bが全押しされるまで位相差検出方式AFを行うように構成してもよい。
【0222】
−ローコンモード−
本実施形態に係るカメラ100は、被写体像のコントラストに応じてオートフォーカスの方式を切り替えるように構成されている。つまり、カメラ100は、コントラストが低い条件下で撮影を行うローコンモードを備えている。
【0223】
以下に、ローコンモードについて図19を参照して説明する。ここでは、ハイブリッド方式AFを行うものを前提に説明をする。尚、ローコンモードは、ハイブリッド方式AFに限られず、位相差検出方式AF、コントラスト検出方式AF、変形例に係る位相差検出方式AF、変形例に係るハイブリッド方式AF等、任意の構成に採用することができる。
【0224】
電源スイッチ40aがONされてからレリーズボタン40bの半押しを待機する(ステップSg1〜Sg5)までは、位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa5と同じである。
【0225】
撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSg5)、ボディマイコン50は、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出カを増幅した後、演算回路にて演算する(ステップSg6)。そして、ローコントラスト状態か否かを判定する(ステップSg7)。具体的には、ラインセンサ24a上に結像される2つの被写体像の位置を、ラインセンサ24aからの出力に基づいて検出できる程度にコントラスト値が高いか否かを判定する。
【0226】
その結果、2つの被写体像の位置を検出できる程度にコントラスト値が高い(NO)ときには、ローコントラスト状態ではないとして、ステップSg8へ進んでハイブリッド方式AFを行う。尚、ステップSg8〜Sg10は、ハイブリッド方式AFにおけるステップSc7,Sc10,Sc11と同様である。
【0227】
一方、2つの被写体像の位置を検出できる程度までコントラスト値が高くない(YES)ときには、ローコントラスト状態であるとして、ステップSg11へ進んでコントラスト検出方式AFを行う。尚、ステップSg11〜Sg15は、コントラスト検出方式AFにおけるステップSb6〜Sb10と同様である。
【0228】
こうして、ハイブリッド方式AF又はコントラスト検出方式AFを行った後は、ステップSa11へ進む。
【0229】
また、このオートフォーカス動作(ステップSg6〜Sg15)と並行して、測光を行う(ステップSg16)と共に、像ブレ検出を開始する(ステップSg17)。これらステップSg16,Sg17は、位相差検出方式AFのステップSa9,Sa10と同様である。その後、ステップSa11へ進む。
【0230】
ステップSa11では、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。レリーズボタン40bが全押しされてからのフローは、通常のハイブリッド方式AFと同様である。
【0231】
すなわち、ローコンモードにおいては、撮影時のコントラストが位相差検出方式AFを行うことができる程度に高いときにはハイブリッド方式AFを行う一方、撮影時のコントラストが位相差検出方式AFを行うことができない程度に低いときにはコントラスト検出方式AFを行う。
【0232】
尚、本実施形態では、まず、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出力に基づいて位相差検出方式による合焦状態の検出が可能か否かを判定して、ハイブリッド方式AFかコントラスト検出方式AFかを決定しているが、これに限られるものではない。例えば、レリーズボタン40bが半押しされた後、位相差焦点を検出する前に(即ち、図19におけるステップSg5とステップSg6との間に)、撮像素子10の出力からコントラスト値を求め、この撮像素子10の出力から求めたコントラスト値が所定値より高いか否かを判定するように構成してもよい。ここで、所定値は、ラインセンサ24a上に結像される被写体像の位置を検出できる程度のコントラスト値に設定する。すなわち、撮像素子10の出力から求めたコントラスト値が位相差検出方式による合焦状態の検出が可能な程度の値以上であるときにはハイブリッド方式AFを行う一方、撮像素子10の出力から求めたコントラスト値が位相差検出方式による合焦状態の検出が可能な程度の値未満であるときにはコントラスト検出方式AFを行うように構成してもよい。
【0233】
また、本実施形態では、位相差検出方式による合焦状態の検出が可能なときには、ハイブリッド方式AFを行うように構成しているが、位相差検出方式AFを行うように構成してもよい。
【0234】
このように、撮像素子10を透過する光を位相差検出ユニット20により受光する撮像ユニット1を備えたカメラ100においては、従来のような光を位相差検出ユニットに導くための可動ミラーを設けることなく、位相差検出方式AF(ハイブリッド方式AFを含む)とコントラスト検出方式AFとを行うことができる。そのため、コントラストに応じて、位相差検出方式AFとコントラスト検出方式AFとを選択することによって、高精度なピント性能を実現することができる。
【0235】
−交換レンズの種類によるAF切替−
さらに、本実施形態に係るカメラ100は、カメラ本体4に取り付けられた交換レンズ7の種類に応じてオートフォーカスの方式を切り替えるように構成されている。
【0236】
以下に、交換レンズの種類によるAFの切替機能について図20を参照して説明する。ここでは、ハイブリッド方式AFを行うものを前提に説明をする。尚、交換レンズによるAFの切替機能は、ハイブリッド方式AFに限られず、位相差検出方式AF、コントラスト検出方式AF、変形例に係る位相差検出方式AF、変形例に係るハイブリッド方式AF等、任意の構成に採用することができる。
【0237】
電源スイッチ40aがONされてからレリーズボタン40bの半押しを待機する(ステップSh1〜Sh5)までは、位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa5と同じである。
【0238】
撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSh5)、測光を行う(ステップSh6)と共に、それと並行して、像ブレ検出を開始する(ステップSh7)。これらステップSh6,Sh7は、位相差検出方式AFのステップSa9,Sa10と同様である。尚、これら測光及び像ブレ検出は、後述するオートフォーカス動作と並行して行ってもよい。
【0239】
その後、ボディマイコン50は、レンズマイコン80からの情報に基づいて、交換レンズ7がサードパーティー製の反射望遠レンズ、もしくはSTF(スムース・トランス・フォーカス)レンズか否かを判定する(ステップSh8)。交換レンズ7がサードパーティー製の反射望遠レンズ、もしくはSTFレンズである(YES)ときにはステップSh13へ進んでコントラスト検出方式AFを行う。尚、ステップSh13〜Sh17は、コントラスト検出方式AFにおけるステップSb6〜Sb10と同様である。
【0240】
一方、交換レンズ7がサードパーティー製の反射望遠レンズでも、STFレンズでもない(NO)ときにはステップSh9へ進んでハイブリッド方式AFを行う。尚、ステップSh9〜Sh12は、ハイブリッド方式AFにおけるステップSc6,Sc7,Sc10,Sc11と同様である。
【0241】
こうして、コントラスト検出方式AF又はハイブリッド方式AFを行った後は、ステップSa11へ進む。
【0242】
ステップSa11では、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。レリーズボタン40bが全押しされてからのフローは、ハイブリッド方式AFと同様である。
【0243】
つまり、交換レンズ7がサードパーティー製の反射望遠レンズ、もしくはSTFレンズであるときには、位相差検出を精度良く行えない可能性があるため、ハイブリッド方式AF(詳しくは、位相差検出方式AF)を行わず、コントラスト検出方式AFを行う。一方、交換レンズ7がサードパーティー製の反射望遠レンズでも、STFレンズでもないときには、ハイブリッド方式AFを行う。すなわち、ボディマイコン50は、交換レンズ7の光軸が位相差検出方式AFを行える程度に合っている保証があるか否かを判定し、位相差検出方式AFが行える程度に光軸が合っている保証がある交換レンズ7のみハイブリッド方式AFを行う一方、位相差検出方式AFが行える程度に光軸が合っている保証がない交換レンズ7についてはコントラスト検出方式AFを行うように構成されている。
【0244】
このように、撮像素子10を透過する光を位相差検出ユニット20により受光する撮像ユニット1を備えたカメラ100においては、従来のような光を位相差検出ユニットに導くための可動ミラーを設けることなく、位相差検出方式AF(ハイブリッド方式AFを含む)とコントラスト検出方式AFとを行うことができる。そのため、交換レンズ7の種類に応じて、位相差検出方式AFとコントラスト検出方式AFとを選択することによって、高精度なピント性能を容易に実現することができる。
【0245】
尚、本実施形態では、交換レンズ7がサードパーティー製の反射望遠レンズ、もしくはSTFレンズであるか否かによって、ハイブリッド方式AFを行うかコントラスト検出方式AFを行うかを決定しているが、これに限られるものではない。反射望遠レンズ、もしくはSTFレンズであるか否かまでは問題とせず、交換レンズ7がサードバーティー製か否かによってハイブリッド方式AFを行うかコントラスト検出方式AFを行うかを決定するように構成してもよい。
【0246】
また、本実施形態では、交換レンズ7がサードパーティー製の反射望遠レンズでも、STFレンズでもないときには、ハイブリッド方式AFを行うように構成しているが、位相差検出方式AFを行うように構成してもよい。
【0247】
したがって、本実施形態によれば、撮像素子10を光が通過するように構成し且つ該撮像素子10を通過した光を受光して位相差検出を行う位相差検出ユニット20を設けると共に、ボディ制御部5が撮像素子10を制御し且つ、少なくとも位相差検出ユニット20部の検出結果に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動制御することにより焦点調節を行うことによって、撮像素子10を用いた種々の処理と位相差検出ユニット20を用いたオートフォーカス(前記位相差検出方式AFやハイブリッド方式AF)とを並行して行うことができ、処理時間を短縮することができる。
【0248】
また、撮像素子10を用いた種々の処理と位相差検出ユニット20を用いたオートフォーカスとを並行して行わないとしても、前記構成によれば撮像素子10に光が入射しているときには位相差検出ユニット20にも光が入射しているため、撮像素子10を用いた種々の処理と位相差検出ユニット20を用いたオートフォーカスとをボディ制御部5の制御の切替により容易に切り替えることができる。すなわち、従来のように被写体からの光の進む方向を可動ミラーを進退させて撮像素子と位相差検出ユニットとに切り替える構成と比較して、可動ミラーを進退させる必要がないため、撮像素子10を用いた種々の処理と位相差検出ユニット20を用いたオートフォーカスとを即座に切り替えることができると共に、可動ミラーの進退に伴う音も生じ得ないため、撮像素子10を用いた種々の処理と位相差検出ユニット20を用いたオートフォーカスとを静かに切り替えることができる。
【0249】
こうして、カメラ100の利便性を向上させることができる。
【0250】
具体的には、撮像素子10を光が通過するように構成し且つ該撮像素子10を通過した光を受光して位相差検出を行う位相差検出ユニット20を設けることによって、前記位相差検出方式AFのように、位相差検出ユニット20を用いたAFと撮像素子10を用いた測光とを並行して行うことができる。こうすることによって、レリーズボタン40bの全押し後に測光を行う必要がなくなり、レリーズタイムラグを短縮することができる。また、レリーズボタン40bの全押し前に測光を行う構成であっても、測光をオートフォーカスと並行して行うことによって、レリーズボタン40b半押し後の処理時間を長くしてしまうことも防止できる。さらに、撮像素子10を用いて測光を行うため、測光用センサを別途設ける必要がない。さらにまた、被写体からの光を測光用センサや位相差検出ユニットへ導くための可動ミラーを設ける必要がない。そのため、電力消費を抑制することができる。
【0251】
また、撮像素子10を光が通過するように構成し且つ該撮像素子10を通過した光を受光して位相差検出を行う位相差検出ユニット20を設けることによって、前記ハイブリッド方式AFのように、まず、位相差検出ユニット20の検出結果に基づいてフォーカスレンズ群72の駆動方向を決定し、その後、撮像素子10の出力に基づいたコントラスト検出方式AFを迅速に行うことができる。つまり、位相差検出ユニット20による位相差検出から撮像素子10を用いたコントラスト検出への切り替えを、従来の可動ミラーを用いた光路の切り替え等を行うことなく、ボディ制御部5内の制御で即座に行うことができるため、ハイブリッド方式AFに要する時間を短縮することができる。また、可動ミラーが不要なため、可動ミラーによる騒音もなくなり、ハイブリッド方式AFを静かに行うことができる。
【0252】
さらに、ボディ制御部5が撮像素子10を用いて測光を行い、該測光の結果に基づいて絞り部73を制御して光量を調節した後に、位相差検出ユニット20による位相差検出を行うことによって、レリーズボタン40bの全押し後に絞り込みを行う必要がなく、レリーズタイムラグを短縮することができる。そして、撮像素子10を光が通過するように構成し且つ該撮像素子10を通過した光を受光して位相差検出を行う位相差検出ユニット20を設けることによって、撮像素子10を用いた測光と位相差検出ユニット20を用いた位相差検出とを連続して行うにあたり、撮像素子10による測光と位相差検出ユニット20による位相差検出とをボディ制御部5内の制御で即座に且つ静かに切り替えることができる。
【0253】
また、ボディ制御部5が、連写モードにおいて、2コマ目以降の撮影時に位相差検出ユニット20の検出結果に基づいて位相差検出方式AFを行うように構成することによって、連写中の各コマ間において位相差検出方式AFを行うことができるため、ピント性能を向上させることができる。そして、撮像素子10を光が通過するように構成し且つ該撮像素子10を通過した光を受光して位相差検出を行う位相差検出ユニット20を設けることによって、撮像素子10による露光と位相差検出ユニット20によるAFとを即座に且つ静かに切り替えることができるため、連写中の各コマ間における位相差検出方式AFを実現することができる。
【0254】
また、このときのオートフォーカスが位相差検出方式AFであるため、デフォーカス方向を瞬時に取得することができ、連写間の短い時間であっても、瞬時に焦点を合わせることができる。
【0255】
さらに、2コマ目以降は撮影タイミングが到来するまで位相差検出方式AFを継続することによって、連写間に被写体が動いたとしても追従して焦点を合わせることができる。
【0256】
さらにまた、可動ミラーの進退動作に対応するレリーズタイムラグがないため、露光直前まで被写体の動きを追尾しながら焦点を合わせることができ、被写体が動体であっても、動体予測を行うことなく、高精度に焦点を合わせることができる。
【0257】
また、連写モードにおける1コマ目の撮影時に最終的にコントラスト値に基づいて焦点を調節するAF(即ち、コントラスト検出方式AF又はハイブリッド方式AF)を行うと共に、その合焦後に位相差検出ユニット20により位相差検出を行ってその検出結果を記憶し、2コマ目以降の撮影時には、該1コマ目の合焦後の位相差検出ユニット20の検出結果を基準に位相差検出方式AFを行うことによって、実機及び実際の撮影条件に即した、高精度のオートフォーカスを行うことができる。
【0258】
また、ボディ制御部5が、ローコンモードにおいて、被写体のコントラスト値が所定値以上のときには少なくとも位相差検出ユニット20の検出結果に基づいて焦点調節を行う一方、被写体のコントラスト値が所定値未満のときには位相差検出ユニット20の検出結果を用いることなく撮像素子10の出力に基づいて焦点調節を行うことによって、被写体のコントラストに応じた適切な方式のAFを用いて高い精度で焦点を合わせることができる。詳しくは、ボディ制御部5が、被写体のコントラスト値が位相差検出方式AFを行い得る程度に高いときには位相差検出ユニット20を用いたAF(即ち、位相差検出方式AF又はハイブリッド方式AF)を行う一方、被写体のコントラスト値が位相差検出方式AFを行えない程度に低いときにはコントラスト検出方式AFを行うことによって、被写体のコントラストに応じた適切な方式のAFにより焦点を合わせることができ、高い精度で焦点を焦ることができる。
【0259】
また、ボディ制御部5が、少なくとも位相差検出ユニット20の検出結果に基づくAFと、位相差検出ユニット20の検出結果を用いることなく撮像素子10の出力に基づくAFとを交換レンズ7の種類に応じて切り替えることによって、交換レンズ7に応じた適切な方式のAFにより焦点を合わせることができる。詳しくは、ボディ制御部5は、交換レンズ7がサードパーティ製(即ち、カメラ本体4の製造メーカと異なる製造メーカのもの)の反射望遠レンズ、もしくはSTFレンズであるときにはコントラスト検出方式AFを行う一方、交換レンズ7がサードパーティ製ではない若しくは反射望遠レンズではない、並びにSTFレンズではないときには少なくとも位相差検出ユニット20を用いたAF(即ち、位相差検出方式AF又はハイブリッド方式AF)を行う、換言すれば、位相差検出方式AFが行える程度に光軸が合っているという保証がある交換レンズ7がカメラ本体4に装着されているときのみ位相差検出ユニット20を用いたAFを行う一方、位相差検出方式AFが行える程度に光軸が合っている保証がない交換レンズ7が装着されているときにはコントラスト検出方式AFを行うことによって、交換レンズ7に応じた適切な方式のAFにより焦点を合わせることができ、高い精度で焦点を合わせることができる。
【0260】
また、被写体から撮像素子10へ向かう光を可動ミラー等を用いて、撮像素子10の背面側とは別の場所に配設された位相差検出ユニットへ向かわせる従来の構成においては、露光時の光路と位相差検出時の光路とが異なることや可動ミラーの設置誤差等によって焦点調節の精度が高くないが、本実施形態においては位相差検出ユニット20が撮像素子10を通過する光を受けて位相差検出を行うため、露光時の光路と同じ光路のまま位相差検出を行うことができると共に、可動ミラーのような誤差を生じさせる部材がないため、位相差検出に基づく焦点調節の精度を向上させることができる。
【0261】
−露光中AF撮影モード−
以上説明してきた通常撮影モードにおいては、露光中にはフォーカスレンズ群72の駆動を停止しているが、カメラ100は、露光中にもオートフォーカスを行う露光中AF撮影モードを備えている。
【0262】
詳しくは、カメラ100は、撮影者が露光中AF設定スイッチ40eをON/OFF操作することによって、AFを行いながら露光する露光中AF撮影モードと露光時にはフォーカスレンズ群72を停止させてAFを行わない通常撮影モードとを切替可能となっている。
【0263】
この露光中AF撮影モードは、露光中AF設定スイッチ40eのON操作だけでなく、物点距離(レンズから被写体までの距離)によっても自動的に切り替えられる。つまり、カメラ本体4は、物点距離を算出可能に構成されていて、露光中AF設定スイッチがOFF状態であっても、物点距離が所定距離よりも短い場合には露光中AF撮影を行うように構成されている。詳しくは、ボディマイコン50は、絶対位置検出部81aからの検出結果及び交換レンズ7のレンズ情報に基づいて物点距離を算出し、算出した物点距離が所定閾値以下のときには撮影モードを露光中AF撮影モードに設定する。一方、算出した物点距離が所定閾値よりも大きいときには撮影モードを通常撮影モードに設定する。つまり、ボディ制御部5及び絶対位置検出部81aが距離検出部を構成する。尚、ボディ制御部5は、被写体までの距離を検出する距離検出部と、撮像素子10を制御する制御部との両方の機能を有するが、被写体までの距離を検出する距離検出部をボディ制御部5とは別に設けてもよい。
【0264】
このように、カメラ100は、撮影者の操作に応じて撮影モードを露光中AF撮影モードと通常撮影モードとに切り替えるように構成されていると共に、物点距離に応じて自動的に露光中AF撮影モードと通常撮影モードとを切り替えるように構成されている。尚、物点距離の検出は、前述の方法に限られるものではなく、任意の手段、方法を採用することができる。
【0265】
さらに、近接した被写体の撮影(いわゆる、接写撮影)に適した設定で撮影を行うマクロ撮影モードにおいても、露光中AF撮影モードに自動的に切り替えられる。つまり、カメラ100は、接写撮影に適したマクロ撮影モードを備えていて、撮影者がマクロ設定スイッチ40fをON/OFF操作することによって、マクロ撮影モードと通常撮影モードとを切替可能となっている。
【0266】
詳しくは、カメラ100は、マクロ設定スイッチ40fがOFF状態のときには、通常撮影モードとなり、フォーカスレンズ群72のオートフォーカス時における移動範囲を、物点距離が数cm〜無限遠の被写体に対して焦点を合わせることができる範囲に設定する。一方、マクロ設定スイッチ40fがON状態のときには、カメラ100は、マクロ撮影モードとなり、フォーカスレンズ群72のオートフォーカス時における移動範囲を、接写撮影として想定される、物点距離が数cm〜数十cmの被写体に対して焦点を合わせることができる範囲に設定する。つまり、マクロ撮影モードにおいては、オートフォーカス時にフォーカスレンズ群72を移動させる範囲を接写撮影として想定される限定された範囲に設定することによって、フォーカスレンズ群72の移動量を少なくすることができ、焦点を迅速に合わせることができる。そして、このマクロ設定スイッチ40fがON状態のときには、露光中AF撮影モードに自動的に設定される。つまり、ボディマイコン50は、マクロ設定スイッチ40fからON信号が入力されると、オートフォーカス時のフォーカスレンズ群72の移動範囲を前述の如く限定された範囲に設定すると共に、撮影モードを露光中AF撮影モードに設定する。
【0267】
以下に、露光中AF撮影モードにおけるカメラシステムの撮影動作について、図21,22を参照して説明する。
【0268】
ここでは、ハイブリッド方式AFを行うものを前提に説明する。尚、露光中AF撮影モードは、ハイブリッド方式AFに限られず、位相差検出方式AF、コントラスト検出方式AF、変形例に係る位相差検出方式AF、変形例に係るハイブリッド方式AF等、任意の構成に採用することができる。
【0269】
電源スイッチ40aがONされてから、レリーズボタン40bが半押しされて、オートフォーカスを完了するまで、即ち、フォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置に移動させるまで(ステップSk1〜Sk11)は、通常撮影モードのハイブリッド方式AFにおけるステップSc1〜Sc11と同じである。
【0270】
その後、ステップSk12では、ボディマイコン50は、露光中AF設定スイッチ40eがON状態か否かを判定する。露光中AF設定スイッチ40eからのON信号の入力があった(YES)ときには、ステップSk16へ進んで露光中AFフラグを1に設定する一方、ON信号の入力がない(NO)ときには、ステップSk13へ進む。
【0271】
ステップSk13において、ボディマイコン50は、撮影モードがマクロ撮影モードに設定されているか否か、即ち、マクロ設定スイッチ40fがON状態か否かを判定する。マクロ設定スイッチ40fからのON信号の入力があった(YES)ときには、ステップSk16へ進んで露光中AFフラグを1に設定する一方、ON信号の入力がない(NO)ときには、ステップSk14へ進む。
【0272】
ステップSk14においては、ボディマイコン50は、絶対位置検出部81aからの検出結果及び交換レンズ7のレンズ情報に基づいてフォーカスレンズ群72から被写体までの物点距離を算出し、算出した物点距離が所定の閾値以下であるか否かを判定する、物点距離が閾値以下である(YES)ときには、ステップSk16へ進んで露光中AFフラグを1に設定する一方、物点距離が閾値よりも長い(NO)ときには、ステップSk15へ進んで露光中AFフラグを0に設定する。この閾値は、接写撮影であると想定される物点距離に設定されている。
【0273】
尚、ステップSk15,Sk16において露光中AFフラグを設定した後は、ステップSk17へ進む。
【0274】
そして、ステップSk17において、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。そして、撮影者によりレリーズボタン40bが全押しされると、ステップSk18において、露光中AFフラグが1か否かを判定する。露光中AFフラグが0(NO)のときにはステップSk19へ進んで、前記ハイブリッド方式AFにおける露光処理と同様、即ち、位相差検出方式AFにおけるステップSa12〜Sa17と同様に露光処理を行う。
【0275】
一方、露光中AFフラグが1(YES)のときには、ステップSk19へ進んで露光処理を行うと共に、それと並行してステップSk25へ進んで位相差検出方式AFを行う。
【0276】
具体的には、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出カを増幅した後、演算回路にて演算することによって、合焦か非合焦か、前ピンか後ピンか、Df量はどの位かを求め(ステップSk25)、その後、求めたDf量分だけデフォーカス方向にフォーカスレンズ群72をレンズマイコン80を介して駆動させる(ステップSk26)。そして、シャッタユニット42が閉状態となったか否かを判定し(ステップSk27)、シャッタユニット42が閉状態となっていない(NO)ときにはステップSk25へ戻って位相差検出方式AFを繰り返す一方、シャッタユニット42が閉状態となっている(YES)ときにはステップSk28へ進み、位相差検出方式AFを終了する。位相差検出方式AFを終了後は、ステップSk31へ進む。尚、位相差検出方式AFは、被写体からの光が撮像ユニット1に入射している必要があるため、シャッタユニット42が閉状態となっているステップSk19〜Sk22までの間は、位相差検出方式AFを一時停止する。
【0277】
一方、露光が終了した後のステップSk29〜Sk34における処理は、前記ハイブリッド方式AFにおける露光後の処理と同様、即ち、位相差検出方式AFにおけるステップSa18〜Sa23と同様である。
【0278】
つまり、露光中AF撮影モードでは、撮像素子10の露光中に位相差検出方式AFを実行する。この位相差検出方式AFは、露光している間は継続される。ここで、「露光中」とは、「撮像素子10による静止画像撮影期間」、「撮像素子10による映像信号蓄積期間」、「撮像素子10による電荷蓄積期間」等と言い換えることができる。
【0279】
この露光中AF撮影モードは、露光中AF設定スイッチ40eを操作することで撮影者により意図的に設定される他、マクロ撮影モード時や物点距離が至近距離のときに自動的に設定される。マクロ撮影モードや物点距離が至近距離のときの撮影、所謂、接写撮影は接写以外の通常の撮影と比べて室内で行われることが多い。つまり、暗い環境下で行われることが多く、シャッタスピードを遅くして、露光時間を長く設定する必要がある。かかる条件下では、撮影者の手ブレ等に起因するカメラ本体4のブレ(以下、カメラブレともいう)や被写体自体の動き(以下、被写体ブレともいう)による撮影への影響が大きくなる。
【0280】
一般に、カメラブレによる撮影への影響を軽減するために像ブレ補正機構を備えることが知られているが、これら像ブレ補正機構は、光軸に対して直交する面内での像ブレを補正するための機構であり、光軸方向への像ブレを補正するものではない。本実施形態においても、撮像ユニット1を光軸Xに直交する平面内で移動させるブレ補正ユニット45や、ブレ補正レンズ74を光軸Xに直交する平面内で移動させるブレ補正レンズ駆動部74aを有しているが、これらは光軸Xに直交する平面内での像ブレを補正するものであって、光軸X方向への像ブレを補正することはできない。
【0281】
そこで、本実施形態の露光中AF撮影モードでは、露光中にオートフォーカスを行っている。こうすることで、露光中の光軸X方向への像ブレを抑制している。また、この露光中のオートフォーカスが位相差検出方式AFであるため、デフォーカス方向を瞬時に取得することができ、露光中の短い時間であっても、瞬時に焦点を合わせることができる。
【0282】
そして、前述の如く、撮像素子10を光が通過するように構成すると共に、位相差検出ユニット20が撮像素子10の通過光を受光して位相差を検出するように構成することによって、撮像素子10を露光しながらの位相差検出方式AFを実現することができる。尚、コントラスト検出方式AF等の撮像素子10からの信号を利用するAFの場合は、撮像素子10の露光中、換言すれば撮像素子10の画像信号蓄積期間(本実施形態における電荷蓄積期間)にAFを行うことができない。
【0283】
また、露光中AF設定スイッチ40e及びマクロ設定スイッチ40fがOFF状態になっている場合には、物点距離に基づいて接写撮影か否かを判定し、接写撮影と判定されたときには撮影モードを露光中AF撮影モードに設定することによって、光軸X方向への手ブレによる影響が大きくなる撮影条件であると撮影者が認識していないときであっても、かかる撮影条件であることをカメラ100が自動的に判定して、光軸X方向への像ブレを補正することができる。一方、接写撮影ではない、即ち、物点距離が長いときには、光軸X方向への手ブレによる撮影への影響が小さくなるため、露光中のオートフォーカスを行わないことにより、消費電気を抑制することができる。
【0284】
尚、露光前、即ち、レリーズボタン40b全押し前のオートフォーカスは、位相差検出方式AF、コントラスト検出方式AF及びハイブリッド方式AFの何れでもよいが、露光中のオートフォーカスは、位相差検出方式AFである。
【0285】
また、本実施形態では、レリーズボタン40bの全押し直後に露光中AFフラグの判定を行っているが、これに限られるものではない。例えば、露光開始時に露光中AFフラグの判定を行って、露光中AF撮影モードのときには露光開始と同時に位相差検出方式AFを開始するように構成してもよい。
【0286】
したがって、本実施形態によれば、撮像素子10を光が通過するように構成すると共に、位相差検出ユニット20に該撮像素子10を通過した光を受光させて位相差検出を行わせることによって、撮像素子10を露光しながらの位相差検出方式AFを実現することができる。そして、このときにオートフォーカスが位相差検出方式AFであるため、デフォーカス方向及びデフォーカス量を瞬時に求めることができ、焦点を迅速に合わせることができる。その結果、露光中という短い間であっても、オートフォーカスを行うことができる。
【0287】
また、露光中の位相差検出方式AFを、露光している間は継続することによって、焦点を精度良く合わせることができる。
【0288】
さらに、位相差検出方式AFをしながらの露光を、マクロ撮影モードや物点距離が短いときの接写撮影時に適用することによって、カメラブレ又は被写体ブレによる光軸方向への像ブレを抑制することができる。
【0289】
さらにまた、露光中AF設定スイッチ40eを設けることによって、露光中AF撮影モードを撮影者が任意に設定することができ、接写撮影に限らず、撮影者が光軸方向への像ブレの抑制を望む場合に柔軟に対応することができる。
【0290】
《実施形態2》
次に、実施形態2に係る撮像装置としてのカメラについて説明する。
【0291】
実施形態2に係るカメラ200は、図23に示すように、ファインダ光学系6を備えている。
【0292】
−カメラ本体の構成−
カメラ本体204は、実施形態1のカメラ本体4の構成に加えて、ファインダ65を介して被写体像を視認するためのファインダ光学系6と、交換レンズ7からの入射光をファインダ光学系6に導く半透過のクイックリターンミラー46とをさらに有している。
【0293】
カメラ本体204は、ファインダ光学系6を介して被写体像を視認しながら撮影を行うファインダ撮影モードと、画像表示部44を介して被写体像を視認しながら撮影を行うライブビュー撮影モードとを有している。そして、カメラ本体204には、ファインダモード設定スイッチ40gが設けられている。このファインダモード設定スイッチ40gをON操作することによってファインダ撮影モードに設定される一方、OFF操作することによってライブビュー撮影モードに設定される。
【0294】
ファインダ光学系6は、クイックリターンミラー46からの反射光が結像するファインダスクリーン61と、ファインダスクリーン61に投影された被写体像を正立像に変換するペンタプリズム62と、投影された被写体像を拡大視認する接眼レンズ63と、ファインダ視野内に各種情報を表示するインファインダ表示部64と、カメラ本体204の背面側に設けられたファインダ65とを含む。
【0295】
すなわち、ファインダスクリーン61上に結像された被写体像をペンタプリズム62及び接眼レンズ63を介して該ファインダ65から観察することができる。
【0296】
ボディ制御部205は、実施形態1のボディ制御部5の構成に加えて、ボディマイコン50からの制御信号に基づいて、後述するクイックリターンミラー46の跳ね上げ駆動を制御するミラー制御部260をさらに含む。
【0297】
クイックリターンミラー46は、入射光を反射及び透過可能な半透過ミラーであって、シャッタユニット42の前方において、被写体から撮像ユニット1へ向かう光路X上の反射位置(図23の実線参照)と光路X外であって且つファインダ光学系6に近接した退避位置(図23の二点鎖線参照)との間で回動自在に構成されている。クイックリターンミラー46は、反射位置において、入射光をファインダ光学系6へ向かって反射する反射光とクイックリターンミラー46の背面側に透過させる透過光とに分割する。このクイックリターンミラー46が可動ミラーを構成する。また、反射位置が第1位置に、退避位置が第2位置に相当する。
【0298】
詳しくは、クイックリターンミラー46は、シャッタユニット42の前方(即ち、被写体側)に配設されていて、シャッタユニット42上部の前方において水平に延びる軸Y回りに回動自在に支持されている。このクイックリターンミラー46は、付勢バネ(図示省略)によって退避位置側へ付勢されている。また、クイックリターンミラー46は、シャッタユニット42の開閉を行うモータ(図示省略)により付勢バネが巻き上げられることによって、反射位置まで移動する。反射位置まで移動させられたクイックリターンミラー46は、電磁石等によって反射位置において係止される。そして、この係止を解除することによって、クイックリターンミラー46は、付勢バネの力で退避位置まで回動する。
【0299】
すなわち、入射光の一部をファインダスクリーン61に導くときには、モータで付勢バネを巻き上げることによって、クイックリターンミラー46を反射位置に位置させる。一方、入射光の全てを撮像ユニット1に導くときには、電磁石等による係止を解除することによって、該付勢バネの弾性力によりクイックリターンミラー46を退避位置まで回動させる。
【0300】
このクイックリターンミラー46には、図24に示すように、遮光板47が連結されている。この遮光板47は、クイックリターンミラー46と連動して動作し、クイックリターンミラー46が退避位置に位置するときに、クイックリターンミラー46を下方(被写体から撮像ユニット1への光路X側)から覆うように構成されている。こうすることで、クイックリターンミラー46が退避位置に位置するときに、ファインダ光学系6から入射してくる光が撮像ユニット1へ到達することを防止している。この遮光板47が遮光部を構成する。
【0301】
詳しくは、遮光板47は、クイックリターンミラー46の、回動軸Yとは反対側の端部に回動自在に連結された第1遮光板48と、該第1遮光板48に回動自在に連結された第2遮光板49とを有している。第1遮光板48は、第1カムフォロア48aを有している。一方、カメラ本体204には、該第1カムフォロア48aが係合する第1カム溝48bが設けられている。また、第2遮光板49は、第2カムフォロア49aを有している。一方、カメラ本体204には、該第2カムフォロア49aが係合する第2カム溝49bが設けられている。
【0302】
つまり、クイックリターンミラー46が回動すると、該クイックリターンミラー46に追従して第1遮光板48が移動すると共に、該第1遮光板48に追従して第2遮光板49が移動する。このとき、該第1及び第2遮光板48,49は、第1及び第2カムフォロア48a,49aがそれぞれ第1及び第2カム溝48b,49bに案内されながら、クイックリターンミラー46に連動して移動する。
【0303】
その結果、第1及び第2遮光板48,49は、クイックリターンミラー46が退避位置に位置するときには、図24(A)に示すように、クイックリターンミラー46下方において1枚の平板状に並んだ状態となって、クイックリターンミラー46とシャッタユニット42、即ち、撮像ユニット1との間を遮光する。このとき、第1及び第2遮光板48,49は、クイックリターンミラー46と同様に光路X外に位置する。そのため、第1及び第2遮光板48,49が、被写体から撮像ユニット1へ入射する光に影響を与えることはない。
【0304】
そして、第1及び第2遮光板48,49は、クイックリターンミラー46が退避位置から反射位置へ移動するのに伴って、図24(B)に示すように、平板状態から折れ曲がり、クイックリターンミラー46が反射位置まで回動したときには、図24(C)に示すように、互いに対向する程度に折れ曲がった状態となる。このとき、第1及び第2遮光板48,49は、光路X外であって且つ光路Xを挟んでファインダスクリーン61と反対側に位置する。そのため、第1及び第2遮光板48,49は、クイックリターンミラー46が反射位置に位置するときには、クイックリターンミラー46によりファインダ光学系6へ反射される光や、クイックリターンミラー46を透過する光に影響を与えることはない。
【0305】
このように、クイックリターンミラー46を半透過にすると共に、遮光板47を設けることによって、ファインダ撮影モードにおいて、撮影前にはファインダ光学系6による被写体像の視認を可能としつつ、撮像ユニット1に光を到達させることができると共に、撮影時には被写体からの光を撮像ユニット1へ導きつつ、ファインダ光学系6から入射した光が撮像ユニット1に到達することを遮光板47により防止することができる。また、ライブビュー撮影モードにおいては、ファインダ光学系6から入射した光が撮像ユニット1に到達することを遮光板47により防止することができる。
【0306】
−カメラの動作説明−
このように構成されたカメラ200は、被写体の視認の仕方が異なる、ファインダ撮影モードとライブビュー撮影モードとの2つの撮影モードを備えている。以下、カメラ200の2つの撮影モードの動作を説明する。
【0307】
−ファインダ撮影モード−
まず、ファインダ撮影モードにおけるカメラシステムの撮影動作について、図25,26を参照して説明する。
【0308】
電源スイッチ40aがONされ(ステップSi1)、撮影者にレリーズボタン40bが半押しされ(ステップSi5)、その後、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされ(ステップSi11)、シャッタユニット42が一旦、閉状態にされる(ステップSi12)までは、実施形態1に係る位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa12の動作と基本的には同様である。
【0309】
ただし、電源スイッチ40aがONされたときには、クイックリターンミラー46が光路X上における上記反射位置に位置している。そのため、カメラ本体204内に入射した光は、その一部が反射してファインダスクリーン61に入射する。
【0310】
ファインダスクリーン61に入射した光は、被写体像として結像する。この被写体像は、ペンタプリズム62によって正立像に変換され、接眼レンズ63に入射する。つまり、実施形態1のように画像表示部44に被写体像が表示されるのではなく、撮影者は接眼レンズ63を介して被写体の正立像を観察できる。このとき、画像表示部44には、被写体像ではなく、撮影に関する各種情報が表示されている。
【0311】
そして、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSi5)、接眼レンズ63より観察されるインファインダ表示部64に撮影に係る各種情報(以下のAFや測光に関する情報等)が表示される。つまり、撮影者は、画像表示部44以外に、インファインダ表示部64によっても撮影に係る各種情報を確認できる。
【0312】
ここで、クイックリターンミラー46が半透過であるため、カメラ本体204へ入射した光の一部はクイックリターンミラー46によりファインダ光学系6へ導かれるものの、残りの光はクイックリターンミラー46を透過してシャッタユニット42へ入射する。そして、シャッタユニット42が開状態となる(ステップSi4)と、クイックリターンミラー46を透過した光は、撮像ユニット1へ入射する。その結果、ファインダ光学系6を介した被写体像の視認を可能としつつ、撮像ユニット1によるオートフォーカス(ステップSi6〜Si8)及び測光(ステップSi9)を行うことができる。
【0313】
詳しくは、ステップSi6〜Si8において撮像ユニット1の位相差検出ユニット20からの出力に基づいて位相差検出方式AFを行うと共に、それと並行して、ステップSi9において撮像ユニット1の撮像素子10からの出力に基づいて測光を行うことができる。
【0314】
ステップSi6における位相差焦点検出においては、被写体像光がクイックリターンミラー46を透過するため、その厚み分だけ光学長が伸びる。そのため、クイックリターンミラー46が被写体像光路内から退避して撮像状態になった場合と、クイックリターンミラー46が反射位置に位置する場合とでは、位相差焦点検出部の位相検出幅が異なってしまう。したがって、クイックリターンミラー46が被写体像光路内に挿入されるファインダ撮影モードでは、実施形態1の位相差焦点検出における位相検出幅(則ち、後述するライブビュー撮影モードのハイブリッド方式AF中の位相差焦点検出における位相検出幅)よりも所定量変更した位相検出幅でデフォーカス情報を出力するようにしている。なお、位相検出幅とは、デフォーカス量を0と算出、すなわち、合焦と判定する基準の位相差のことである。
【0315】
尚、位相差検出方式AFを行うステップSi6〜Si8は実施形態1の位相差検出方式AFにおけるステップSa6〜Sa8と同様である。
【0316】
ステップSi9においては、撮像素子10によって該撮像素子10に入射してくる光の光量が測定される。ただし、本実施形態では、実施形態1のように被写体からの光の全てが撮像素子10に入射するわけではないため、ボディマイコン50は、撮像素子10からの出力を、クイックリターンミラー46の反射特性に基づいて補正して、被写体からの光量を求めている。
【0317】
そして、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされ(ステップSi11)、シャッタユニット42が一旦、閉状態にされた(ステップSi12)後は、像ブレ補正の開始(ステップSi13)及び絞り部73の絞り込み(ステップSi14)と並行して、ステップSi15において、クイックリターンミラー46の退避位置への跳ね上げが行われる。
【0318】
その後、ステップSi16〜Si18においては、実施形態1の位相差検出方式AFにおけるステップSa15〜Sa17と同様に、露光が行われる。
【0319】
露光終了後は、像ブレ補正の終了(ステップSi19)及び絞り部73の開放(ステップSi20)と並行して、ステップSi21において、クイックリターンミラー46の反射位置への移動が行われる。こうすることで、再度、撮影者はファインダ光学系6を介して被写体像を視認できるようになる。
【0320】
その後、シャッタユニット42を開状態にする(ステップSi22)。こうして、リセット完了後、撮影シーケンスが終了すると、ステップSi5へ戻り、レリーズボタン40bが半押しされるまで待機する。
【0321】
尚、電源スイッチ40aがOFFされた後のステップSi23〜Si25は、実施形態1の位相差検出方式AFにおけるステップSa21〜Sa23と同様である。
【0322】
このように、被写体からの光をクイックリターンミラー46によってファインダ光学系6に導いてファインダ光学系6を介した被写体像の視認を可能とする構成であっても、撮像ユニット1に撮像素子10を透過した光を用いて位相差を検出する位相差検出ユニット20を設けているため、クイックリターンミラー46を半透過にして、クイックリターンミラー46に入射する光の一部を撮像ユニット1へ到達させることによって、ファインダ光学系6を介した被写体像の視認を可能としつつ、位相差検出方式AFと測光との並行処理を行うことができる。こうすることで、位相差検出方式AF用の反射ミラーや測光用のセンサを別途設ける必要がなくなると共に、オートフォーカスと並行して測光を行うことができるためレリーズタイムラグを短縮できる。
【0323】
−ライブビュー撮影モード−
次に、ライブビュー撮影モードにおけるカメラシステムの撮影動作について、図27,28を参照して説明する。
【0324】
まず、電源スイッチ40aがONされてからシャッタユニット42を開状態とする(ステップSj1〜Sj4)までは、実施形態1に係るハイブリッド方式AFにおける動作と同様である。
【0325】
ここで、カメラ200では、電源スイッチ40aのON直後はクイックリターンミラー46が反射位置に位置するため、ステップSj5において、ボディマイコン50がクイックリターンミラー46を退避位置へ跳ね上げる。
【0326】
その結果、被写体からカメラ本体4に入射する光は、ファインダ光学系6へ分割されることなく、シャッタユニット42を通過して、さらにIRカット兼OLPF43を透過し、撮像ユニット1へ入射する。そして、撮像ユニット1にて結像した被写体像は画像表示部44に表示され、撮影者は画像表示部44を介して被写体像を観察できる。また、撮像ユニット1へ入射した光の一部は、撮像素子10を透過して位相差検出ユニット20へ入射する。
【0327】
そして、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSj6)、ファインダ撮影モードと異なり、ハイブリッド方式AFを行う。ハイブリッド方式AFに係るステップSj7,Sj8,Sj11,Sj12は、実施形態1に係るハイブリッド方式AFにおけるステップSc6,Sc7,Sc10,Sc11と同様である。
【0328】
尚、ハイブリッド方式AFに限られず、コントラスト検出方式AF又は位相差検出方式AFを行ってもよい。
【0329】
このハイブリッド方式AFと並行して、測光を行う(ステップSj9)と共に、像ブレの検出を開始する(ステップSj10)。これらステップSj9,Sj10は、実施形態1に係るハイブリッド方式AFのステップSc8,Sc9と同様である。
【0330】
こうして、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると、画像表示部44に撮影に係る各種情報(AFや測光に関する情報等)が表示される。
【0331】
その後、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされて(ステップSj13)から露光を終了してリセットが完了する(ステップSj22)までは、シャッタユニット42を閉状態とした後にクイックリターンミラー46を退避位置に移動させるステップ(ステップSi15に相当)がない点、及びシャッタユニット42を閉状態にして露光を終了した後にクイックリターンミラー46を反射位置に移動させるステップ(ステップSi21に相当)がない点を除いては、ファインダ撮影モードにおけるステップSi11〜Si22と基本的に同様である。
【0332】
そして、本実施形態では、電源スイッチ40aがOFFされる(ステップSj23)と、フォーカスレンズ群72を基準位置へ移動させ(ステップSj24)、シャッタユニット42を閉状態にする(ステップSj25)のと並行して、ステップSj26においてクイックリターンミラー46を反射位置へ移動させる。その後、カメラ本体204内のボディマイコン50及び各種ユニット、並びに交換レンズ7内のレンズマイコン80及び各種ユニットの作動を停止する。
【0333】
このライブビュー撮影モードにおけるカメラシステムの撮影動作は、クイックリターンミラー46の動作を除いて、実施形態1に係るカメラ100の撮影動作と同様である。つまり、前記説明では、ハイブリッド方式AFについて説明したが、実施形態1に係る種々の撮影動作を実行することができ、同様の作用・効果を奏することができる。
【0334】
したがって、本実施形態によれば、カメラ本体204に設けられたファインダ光学系6と、被写体から撮像素子10への光路上の反射位置と該光路外の退避位置とに切替配置可能に構成されると共に、反射位置において入射光の一部を反射させてファインダ光学系6に導く一方、入射光の残りを通過させて撮像素子10へ導く半透過のクイックリターンミラー46とをさらに備え、ボディ制御部5が、ファインダ光学系6を介して被写体像を視認可能な状態で撮影を行うファインダ撮影モードと、画像表示部44を介して被写体像を視認可能な状態で撮影を行うライブビュー撮影モードとを切替可能に構成されていて、ファインダ撮影モードにおいては、クイックリターンミラー46を反射位置に位置させて、入射光の一部をファインダ光学系6に導いてファインダ光学系6を介した被写体像の視認を可能な状態にすると共に、入射光の残りを撮像素子10へ導いて撮像素子10を通過した光を受けた位相差検出ユニット20の検出結果に基づいて焦点調節を行う一方、ライブビュー撮影モードにおいては、クイックリターンミラー46を退避位置に位置させて、被写体からの入射光を撮像素子10に入射させて撮像素子10の出力に基づいた画像を画像表示部44に表示させると共に少なくとも位相差検出ユニット20の検出結果に基づいて焦点調節を行うことによって、ファインダ光学系6を備えたカメラ200においても、ファインダ撮影モードとライブビュー撮影モードとにかかわらず、撮像素子10を用いた種々の処理と位相差検出ユニット20を用いたオートフォーカス(前記位相差検出方式AFやハイブリッド方式AF)とを並行して行うことができるため処理時間を短縮することができると共に、撮像素子10を用いた種々の処理と位相差検出ユニット20を用いたオートフォーカスとを即座に且つ静かに切り替えることができる。その結果、カメラ200の利便性を向上させることができる。
【0335】
また、クイックリターンミラー46を半透過にすると共に、遮光板47を設けることによって、ファインダ撮影モードにおいて、撮影前にはファインダ光学系6による被写体像の視認を可能としつつ、撮像ユニット1に光を到達させることができると共に、撮影時には被写体からの光を撮像ユニット1へ導きつつ、ファインダ光学系6から入射した光が撮像ユニット1に到達することを遮光板47により防止することができる。また、ライブビュー撮影モードにおいては、ファインダ光学系6から入射した光が撮像ユニット1に到達することを遮光板47により防止することができる。
【0336】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0337】
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0338】
すなわち、前記実施形態2では、ファインダ光学系6を備えているが、これに限られるものではない。例えば、ファインダ光学系6に換えて、EVF(Electronic View Finder)を備える構成であってもよい。すなわち、液晶等で構成された小型の画像表示部をカメラ本体204内においてファインダから視認できる位置に配設し、撮像ユニット1で取得された画像データを該画像表示部に表示させる。こうすることで、複雑なファインダ光学系6を設けなくても、ファインダを覗きながらの撮影を実現することができる。かかる構成においては、クイックリターンミラー46が不要となる。撮影動作については、画像表示部が2つあるというだけで、実施形態1に係るカメラ100と同様になる。
【0339】
また、前記実施形態1,2では、撮像ユニット1をカメラに搭載した構成について説明しているが、これに限られるものではない。例えば、撮像ユニット1はビデオカメラに搭載することもできる。
【0340】
ビデオカメラの撮影動作の一例を説明すると、電源スイッチ40aをONすると、絞り部とシャッタユニットが開放され、撮像ユニット1の撮像素子10において画像の取込みが開始される。そして、ライブビュー表示に最適な測光、WB調整がなされ、ライブビュー画像を画像表示部に映し出す。こうして撮像素子10による撮像と並行して、撮像ユニット1に内蔵された位相差検出ユニット20の出力に基づいて焦点状態を検出し、被写体の動き等に合わせてフォーカスレンズ群を駆動し続ける。こうして、ライブビュー画像の表示と位相差検出方式AFとを継続しながら、RECボタンが押されるのを待機する。RECボタンが操作されると、位相差検出方式AFを繰り返しながら、撮像素子10により取得される画像データを記録していく。こうすることで、常に合焦状態を保つことができると共に、従来のデジタルビデオカメラのようにフォーカスレンズの微小な光軸方向駆動(ウォブリング)を行う必要がなく、電力的に負荷の大きいモータなどのアクチュエータを駆動させる必要がない。
【0341】
また、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされる(即ち、S1スイッチがONされる)とAFが開始される構成ついて説明したが、レリーズボタン40bは半押しされる前からAFを行ってもよい。また、合焦と判断するとAFを終了する構成について説明したが、合焦判定後もAFを継続するようにしてもよく、合焦判定をせずに継続してAFを行ってもよい。以下に具体例を説明する。図11,12において、ステップSa4でシャッタユニット42が開かれた後、ステップSa6の位相差焦点検出とステップSa7のフォーカスレンズ駆動とを繰り返して行うようにする。これと並行して、ステップSa5の判定、ステップSa9の測光、ステップSa10の像ブレ検出開始、ステップSa11の判定を行う。これにより、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされる前から合焦状態にすることができる。例えば、ライブビュー画像の表示と併用することにより、合焦状態でのライブビュー画像の表示が可能となる。また、位相差検出方式AFを用いれば、ライブビュー画像の表示と位相差検出方式AFとを併用さることができる。このような動作を「常時AFモード」としてカメラに備えるようにしてもよく、「常時AFモード」のON/OFFを切替可能に構成してもよい。
【0342】
前記実施形態1,2では、撮像ユニット1をカメラに搭載した構成について説明しているが、これに限られるものではない。撮像ユニット1を搭載したカメラは、撮像素子の露光と位相差検出ユニットによる位相差検出を同時に行うことができるカメラの一例である。これに限られず、例えば、撮像素子への光を分離する光分離素子(例えば、プリズム、半透過ミラー等)により被写体光を撮像素子と位相差検出ユニットの両方に導くカメラで
あってもよい。また、撮像素子のマイクロレンズの一部をセパレータレンズとし、瞳分割された被写体光をそれぞれ受光部にて受光できるように配列したカメラであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0343】
以上説明したように、ここに開示された技術は、光電変換を行う撮像素子を備えた撮像装置について有用である。
【符号の説明】
【0344】
1,401 撮像ユニット
10,210,310 撮像素子
20,420 位相差検出ユニット(位相差検出部)
4 カメラ本体(撮像装置本体)
40e 露光中AF設定スイッチ(設定スイッチ)
44 画像表示部
46 クイックリターンミラー(可動ミラー)
47 遮光板(遮光部)
5 ボディ制御部(制御部、距離検出部)
6 ファインダ光学系
7 交換レンズ
72 フォーカスレンズ群(フォーカスレンズ)
73 絞り部(光量調節部)
100,200 カメラ(撮像装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像面に形成された光学像を光電変換により電気信号に変換する撮像部と、
前記撮像面のうち所定領域に入射する光を用いて測距を行う測距部と、
前記所定領域の電気信号を、該所定領域の周辺の画素の電気信号に基づいて補間する制御部とを備える撮像装置。
【請求項1】
撮像面に形成された光学像を光電変換により電気信号に変換する撮像部と、
前記撮像面のうち所定領域に入射する光を用いて測距を行う測距部と、
前記所定領域の電気信号を、該所定領域の周辺の画素の電気信号に基づいて補間する制御部とを備える撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2013−54374(P2013−54374A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−239335(P2012−239335)
【出願日】平成24年10月30日(2012.10.30)
【分割の表示】特願2009−554217(P2009−554217)の分割
【原出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月30日(2012.10.30)
【分割の表示】特願2009−554217(P2009−554217)の分割
【原出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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