説明

撮影装置、表示制御方法、およびプログラム

【課題】フラッシュ光の到達領域を容易に表示させることができるようにする。
【解決手段】撮影装置1においては、フラッシュ22を発光させて静止画の撮影を行う場合、撮影前に、フラッシュ光が到達する被写体(物体)が写っている領域であるフラッシュ到達領域を表す情報が例えばスルー画像に重ねて表示される。例えば、スルー画像全体のうち、フラッシュ到達領域が所定の色で点灯または点滅して表示される。どの領域がフラッシュ到達領域であるのかの判断は、被写界に含まれる各被写体までの距離と、フラッシュ22の発光量等に基づいて行われる。すなわち、撮影装置1においては、フラッシュ到達領域の判断が、プリ発光なしに行われる。本発明は、デジタルスチルカメラなどの撮影機能を有する装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、撮影装置、表示制御方法、およびプログラムに関し、特に、フラッシュ光の到達領域を容易に表示させることができるようにした撮影装置、表示制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年販売等されているデジタルカメラや携帯電話機などの撮影機能を有する装置の多くにフラッシュ(閃光)撮影のモードが用意されている。このような装置を用いてタ暮れ時や夜などの暗い環境でフラッシュ撮影を行った場合、フラッシュの光が届く比較的近距離にある被写体は適正な明るさもしくは明るめに写り、フラッシュの光が届かない遠くにある被写体は暗く写ってしまう。通常、撮影時の露出の調整は近距離にある被写体の明るさを基準として行われる。
【0003】
近距離にある被写体に対して遠くにある背景などが、スルー画像上で見える明るさより暗く写ってしまうことから、スルー画像で見える雰囲気のまま背景を写し込む意図で撮影を行った場合に、背景が黒くつぶれた画像を撮影してしまうことが多い。
【0004】
そこで、フラッシュ光の到達する範囲を撮影前にユーザに直感的に伝えるための技術が提案されている。例えば特許文献1には、フラッシュ撮影を行う場合に、フラッシュ光の到達可能な距離にある被写体の領域を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−333235号公報
【特許文献2】特開平10−90778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている技術においては、本撮影前にフラッシュをプリ発光させる必要があり、プリ発光によって消費した電力を再度チャージする時間などもあって本撮影までに間が開いてしまう。
【0007】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、フラッシュ光の到達領域を容易に表示させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の一側面の撮影装置は、撮像部と、前記撮像部の撮影範囲に含まれる被写体までの距離を求める演算部と、前記被写体までの距離とフラッシュの発光量に基づいて、前記フラッシュの光が到達する前記被写体の領域を表す情報を表示させる表示制御部とを備える。
【0009】
ここで、撮影装置には、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、タブレット端末、ゲーム機などの、撮像機能を有する装置が含まれる。また、被写体には、人物だけでなく、動物、建物、風景などの各種の物体が含まれる。
【0010】
前記表示制御部には、前記フラッシュの光が到達する前記被写体の領域を表す情報を、到達する光量に応じて多段階で表示させることができる。
【0011】
前記表示制御部には、前記フラッシュの光が到達する前記被写体の領域を表す情報を、前記撮像部により撮像された画像に重ねて表示させることができる。
【0012】
被写体の領域は、1画素単位の領域であってもよいし、複数の画素からなる領域であってもよい。
【0013】
前記撮像部により撮像された画像の画像処理を、前記画像の各領域に写る前記被写体に到達する前記フラッシュの光量に応じて領域毎に行う画像処理部をさらに設けることができる。
【0014】
前記撮像部は前記被写体からの光の位相差を検出する画素を有し、前記演算部には、前記撮像部の前記画素が出力する信号に基づいて前記被写体までの距離を求めさせることができる。
【0015】
前記撮影装置に装着された外部の前記フラッシュ、または前記撮影装置に内蔵された前記フラッシュから発光量を表す情報を取得する取得部をさらに設けることができる。この場合、前記表示制御部には、前記演算部により求められた前記被写体までの距離と、前記取得部により取得された情報により表される前記フラッシュの発光量に基づいて、前記フラッシュの光が到達する前記被写体の領域を表す情報を表示させることができる。
【0016】
本技術の一側面においては、撮像部の撮影範囲に含まれる被写体までの距離が求められ、前記被写体までの距離とフラッシュの発光量に基づいて、前記フラッシュの光が到達する前記被写体の領域を表す情報が表示される。
【発明の効果】
【0017】
本技術によれば、フラッシュ光の到達領域を容易に表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本技術の一実施形態に係る撮影装置の正面側の外観の例を示す図である。
【図2】撮影装置の背面側の外観の例を示す図である。
【図3】撮影装置の内部構成の例を示す図である。
【図4】撮像素子の構成例を示す図である。
【図5】撮影装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図6】撮影装置の処理について説明するフローチャートである。
【図7】被写体までの距離の求め方の原理について示す図である。
【図8】図6のステップS2において行われるフラッシュ情報取得処理について説明するフローチャートである。
【図9】図6のステップS3において行われる撮影モード選択処理について説明するフローチャートである。
【図10】図6のステップS8において行われるフラッシュ到達領域表示処理について説明するフローチャートである。
【図11】フラッシュ光の到達距離の概念図である。
【図12】LCDの表示の例を示す図である。
【図13】一眼レフタイプの撮影装置の正面側の外観の例を示す図である。
【図14】一眼レフタイプの撮影装置の背面側の外観の例を示す図である。
【図15】撮影装置の縦断面図である。
【図16】撮影装置の電気的構成の例を示す図である。
【図17】撮影装置の他の縦断面図である。
【図18】図17の撮影装置の電気的構成の例を示す図である。
【図19】コンピュータの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施の形態>
[撮影装置の外観構成]
図1は、本技術の一実施形態に係る撮影装置の正面側の外観の例を示す図である。
【0020】
図1の撮影装置1はコンパクトタイプのデジタルスチルカメラである。カメラボディ11の正面11Aの中央右寄りの位置にはレンズ21が設けられ、レンズ21の左上には内蔵フラッシュであるフラッシュ22が設けられる。
【0021】
レンズ21は、光軸に沿って直列的に配置された複数のレンズからなるレンズ群を有する。レンズ21を構成するレンズ群には、焦点の調節を行うためのフォーカスレンズと変倍を行うためのズームレンズとが含まれており、それぞれ光軸方向に駆動されることによって、変倍や焦点の調節が行われる。レンズ21は、被写体からの光(光像)を取り込み、カメラボディ11の内部に配置された撮像素子に導く。
【0022】
カメラボディ11の上面にはシャッタボタン23が設けられる。シャッタボタン23は、途中まで押し込んだ「半押し状態」の操作と、さらに押し込んだ「全押し状態」の操作とが可能なスイッチである。静止画撮影モードにおいてシャッタボタン23が半押しされたとき、静止画を撮影するための準備動作が実行され、その状態で全押しされたとき、撮影動作が実行される。準備動作には、シャッタースピード、絞り値、ISO感度などの露出制御値である撮影パラメータの設定や焦点検出等の動作が含まれる。また、撮影動作には、撮像素子を露光して得られた画像信号に対して所定の画像処理を施し、画像データをメモリカード等の記憶媒体に記録する一連の動作が含まれる。
【0023】
カメラボディ11の上面にはプッシュスイッチからなるメインスイッチ(不図示)も設けられ、押下する毎に撮影装置1の電源のオン/オフが切り替えられる。
【0024】
図2は、撮影装置1の背面側の外観の例を示す図である。
【0025】
撮影装置1の背面11Bには、タッチパネルが重ねられたLCD(Liquid Crystal Display)24が設けられる。LCD24には、取り込んだ被写界(撮影範囲)の画像であるスルー画像や記録済みの画像の他に、各種のボタンが並ぶ設定画面が表示される。LCD24に表示される設定画面は、例えば撮影装置1に搭載される機能やモードの設定に用いられる。LCD24に代えて、有機ELディスプレイなどの他のディスプレイが設けられるようにしてもよい。
【0026】
このような外観構成を有する撮影装置1においては、フラッシュ22を発光させて静止画の撮影を行う場合、撮影前に、フラッシュ光が到達する被写体(物体)が写っている領域であるフラッシュ到達領域を表す情報が例えばスルー画像に重ねて表示される。どの領域がフラッシュ到達領域であるのかの判断は、被写界に含まれる各被写体までの距離と、フラッシュ22の発光量等に基づいて行われる。
【0027】
すなわち、撮影装置1においては、フラッシュ到達領域の判断が、プリ発光なしに行われることになる。これにより、プリ発光後にフラッシュ22の再チャージなどを行う必要がないことから、プリ発光を行う場合に較べて、フラッシュ到達領域を表す情報を容易に表示させることが可能になる。フラッシュ到達領域を表す情報を表示させる一連の処理については後に詳述する。
【0028】
[撮影装置の内部構成]
図3は、撮影装置1の内部構成の例を示す図である。図3に示す構成のうち、図1、図2に示す構成と同じ構成には同じ符号を付してある。
【0029】
CPU31は、EEPROM34に記憶されているプログラムをRAM33において実行し、操作部32から供給される情報により表されるユーザの操作の内容に従って撮影装置1の全体の動作を制御する。CPU(Central Processing Unit)31には、RAM(Random Access Memory)33、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)34、USB(Universal Serial Bus) I/F35がバスを介して接続される。バスには、撮像素子36、前処理部37、およびカメラDSP(Digital Signal Processor)部38も接続される。
【0030】
操作部32は、シャッタボタン23、LCD24のタッチパネルなどの各種の入力部に対するユーザの操作を検出し、ユーザの操作の内容を表す情報をCPU31に出力する。
【0031】
USB I/F35はUSBストレージクラス対応のインタフェースである。USB I/F35は、USBケーブルを介して接続されるパーソナルコンピュータなどの外部の装置とデータの送受信を行う。
【0032】
撮像素子36はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子である。撮像素子36は図1、図2のZ軸に対して垂直となる平面であるXY平面上に配置される。撮像素子36は、レンズ21により取り込まれた光の光電変換を行い、画像信号を出力する。また、撮像素子36は位相差センサとしても機能し、被写界に含まれる各被写体からの光の位相差を表す位相差信号を出力する。
【0033】
図4は、撮像素子36の構成例を示す図である。
【0034】
撮像素子36においては、射出瞳の異なった部分を透過した光を受光することにより、被写体からの光の位相差を検出することが可能とされる。図4に示すように、撮像素子36は、基本的に、RGBの各画素と、画素対114fを構成する画素とから構成される。
【0035】
R画素111、G画素112、およびB画素113は、それぞれ、集光レンズとして機能する波線円で示すマイクロレンズMLと、フォトダイオードとの間にR(赤)、G(緑)およびB(青)のカラーフィルタが配設された通常の画素である。以下、適宜、R画素111、G画素112、およびB画素113をまとめて通常画素110という。撮像素子36においては、画素対114fを構成する画素より数が多い通常画素110によって画像情報が取得される。
【0036】
撮像素子36には、通常画素110の水平方向のラインである通常画素ラインLnとして、G画素112とR画素111が交互に配置されたラインL1と、B画素113とG画素112が交互に配置されたラインL2が形成される。ラインL1とラインL2が垂直方向に交互に配置されることによって、RGBの比率が1:2:1である通常画素110のベイヤー配列が実現される。
【0037】
一方、画素対114fは、レンズ21の射出瞳の左側部分からの光束と右側部分からの光束とを分離(瞳分割)させて受光するためにマイクロレンズMLの光軸を跨いで配置された画素である画素114aと画素114bから構成される。画素114a、画素114bに設けられるフォトダイオードはそれぞれ通常画素110のフォトダイオードと同等のサイズを有しており、通常画素110と同じピッチで水平方向に隣接して配置される。撮像素子36においては、画素対114fが水平方向に配列されることによって、画素対ラインLfが垂直方向に周期的に形成される。
【0038】
このように、撮像素子36には、瞳分割機能を有する画素対114fが撮像素子36の全体に周期的に配置される。各位置の画素114aにおいて得られる受光データの系列と、各位置の画素114bにおいて得られる受光データの系列に基づいて、被写界全体に含まれる各被写体からの光の位相差を検出することが可能になる。また、検出した位相差に基づいて、各被写体までの距離を求めることが可能になる。このような、通常画素と、被写体光を瞳分割して位相差を検出するための位相差画素(画素114a、11b)からなり、素子上で位相差を検出する機能を有する撮像素子については例えば特開2010−169709号公報に開示されている。
【0039】
被写界に含まれる各被写体からの光の位相差を撮像素子36上で検出するのではなく、撮像素子36と別に位相差検出センサを設け、その位相差検出センサにおいて、各被写体からの光の位相差を検出するようにしてもよい。
【0040】
撮像素子36の通常画素により得られた画像信号は前処理部37に供給される。また、撮像素子36の位相差画素により得られた位相差信号は、図示せぬ回路においてA/D変換などが施された後、位相差情報としてCPU31に供給される。
【0041】
前処理部37は、CDS/AGC/ADC部51、タイミングジェネレータ(TG)52、およびVドライバ53から構成される。
【0042】
CDS/AGC/ADC部51は、CDS(Correlated Double Sampling)機能、AGC(Automatic Gain Control)機能、およびADC(Analog to Digital Converter)機能を有する。すなわち、CDS/AGC/ADC部51は、撮像素子36から供給された画像信号の相関二重サンプリングを行い、例えば原色系の色信号を生成する。また、CDS/AGC/ADC部51は、色信号の信号レベルを自動利得制御により補正した後、A/D変換を行い、A/D変換によって得られた画像データをカメラDSP部38に出力する。
【0043】
TG52は、撮像素子36の駆動基準となる各種のタイミング信号を生成し、Vドライバ53に出力する。
【0044】
Vドライバ53は、TG52から供給されたタイミング信号に従って撮像素子36を駆動させる。
【0045】
カメラDSP部38は、フラッシュ制御部61、カメラ信号処理部62、解像度変換部63、画像コーデック64、レンズ制御部65、メモリ制御部66、表示処理部67、メディア制御部68、およびBIU69がバスを介して接続されることによって構成される。カメラDSP部38は、CPU31による制御に従って動作を切り換え、前処理部37から供給された画像データの記録再生処理を行う。メモリ39はカメラDSP部38内の各部における作業用のメモリであり、メモリ39に対するデータの書き込み、メモリ39からのデータの読み出しがメモリ制御部66により制御される。
【0046】
フラッシュ制御部61は、フラッシュ光ありで撮影を行うことが指示されている場合、撮像素子36による撮影タイミングに合わせてフラッシュ22を発光させる。フラッシュ22の発光量もフラッシュ制御部61により適宜調整される。
【0047】
カメラ信号処理部62は、前処理部37から供給された画像データに対してホワイトバランス調整処理、γ補正処理等の各種の信号処理を施し、信号処理を施すことによって得られた画像データを解像度変換部63に出力する。また、カメラ信号処理部62は、信号処理を施すことによって得られた画像データをメモリ制御部66に出力し、メモリ39に記憶させる。カメラ信号処理部62は、絞り値の補正、オートフォーカスの調整に必要な情報を画像データから検出し、検出した情報をレンズ制御部65に出力することも行う。
【0048】
解像度変換部63は、カメラ信号処理部62から供給された画像データに対して解像度変換を施し、解像度変換後の画像データを表示処理部67に出力する。例えば撮像素子36による撮影結果をスルー画像としてLCD24に表示させる場合、解像度変換部63は、LCD24の解像度に合わせるようにして撮影結果の画像の解像度変換を行う。また、解像度変換部63は、記憶媒体40に記録する画像の解像度がユーザにより指示されている場合の解像度変換や、電子ズームや再生ズームが指示された場合に、撮影結果の一部の領域を切り出して解像度を変換する処理などを行う。
【0049】
画像コーデック64は、カメラ信号処理部62から出力され、メモリ39に記憶された画像データを圧縮して出力する。圧縮された画像データは例えばメディア制御部68に供給され、記憶媒体40に記憶される。また、画像コーデック64は、記録済みの画像の再生が指示され、記憶媒体40から読み出された圧縮済みの画像データがメディア制御部68から供給された場合、記録済みの画像を伸張して出力する。伸張された画像データは例えば表示処理部67に供給され、LCD24に表示される。データの圧縮、伸張の方式には、静止画にあってはJPEG(Joint Photographic Coding Experts Group)等の方式が用いられる。また、動画にあっては、ISO/IEC JTC1/SC29WG11のMPEG(Motion Picture Experts Group)1、MPEG2、MPEG4、ITU-TのH.263,H.264/MPEG4-AVC(Advanced Video Coding)等の、動きベクトルを用いた方式が用いられる。
【0050】
レンズ制御部65は、カメラ信号処理部62から供給された情報に従ってレンズ21の絞りを制御する。また、レンズ制御部65は、いわゆる山登り法によってレンズ21のフォーカスを制御する。レンズ制御部65は、CPU31による制御に従って、レンズ21のズームの調整なども行う。
【0051】
表示処理部67は、解像度変換部63により解像度変換が行われたスルー画像や画像コーデック64により伸張された記録済みの画像をLCD24に表示させる。また、表示処理部67は、CPU31による制御に従って、各種の設定画面や、フラッシュ到達領域を表す情報をLCD24に表示させる。
【0052】
メディア制御部68は、記憶媒体40に対するデータの記録、記憶媒体40からのデータの読み出しを制御する。記憶媒体40は例えば半導体メモリを内部に有するメモリカードである。メモリカードに代えて、ハードディスク等の種々の記憶媒体を用いることも可能である。例えば、メディア制御部68は、画像データの記録時、画像コーデック64により圧縮された画像データを記憶媒体40に記録させる。また、メディア制御部68は、画像データの再生時、記憶媒体40に記録された画像データを読み出し、画像コーデック64に出力する。
【0053】
BIU(Bus Interface Unit)69はCPU31とカメラDSP部38の各部との間のインタフェースであり、カメラDSP部38の各部の制御に関するCPU31からのコマンドの入出力等を制御する。
【0054】
このような内部構成を有する撮影装置1において、例えばCPU31は、撮影が指示されたことを操作部32からの信号に基づいて検出した場合、前処理部37を制御し、撮像素子36による動画の撮影結果の処理を順次行わせる。また、CPU31は、カメラDSP部38を制御し、前処理部37による処理結果に対する信号処理をカメラ信号処理部62に行わせ、メモリ制御部66を介してメモリ39に順次記憶させる。CPU31は、メモリ39に順次記憶させた撮影結果である画像データの解像度変換を解像度変換部63に行わせ、解像度変換後の画像データに基づいて表示処理部67に画像を表示させる。このように、CPU31は、動画による撮影結果をメモリ39に記録させながら、撮影結果のモニタ画像をLCD24に表示させる。
【0055】
また、この状態で静止画の撮影がユーザにより指示された場合、CPU31は、カメラ信号処理部62から出力された画像データのメモリ39への記憶を中止させる。CPU31は、静止画の撮影が指示されたときに撮像素子36により取り込まれ、前処理部37、カメラDSP部38を介してメモリ39に記憶された画像データを解像度変換部63に供給し、ユーザにより指示された解像度の画像データに変換させる。また、CPU31は、解像度変換によって得られた画像データを画像コーデック64に圧縮させ、その後、記憶媒体40に記憶させる。この一連の処理において、CPU31は、サムネイル画像の作成を解像度変換部63に指示し、インデックス用のサムネイル画像を作成する。CPU31は、作成したサムネイル画像を撮影結果のインデックス用画像として記憶媒体40に記憶させる。
【0056】
一方、動画の撮影開始がユーザにより指示された場合、CPU31は、カメラ信号処理部62から出力された画像データのメモリ39への記憶を中止させる。CPU31は、カメラ信号処理部62から出力された画像データの解像度変換を解像度変換部63に開始させ、解像度変換によって得られた画像データの圧縮を画像コーデック64に開始させる。また、CPU31は、メディア制御部68を制御し、画像コーデック64により圧縮された画像データを記憶媒体40に記憶させる。この一連の処理においても、CPU31は、記録開始時の先頭の1フレームについてのサムネイル画像の作成を解像度変換部63に指示し、インデックス用のサムネイル画像を作成する。CPU31は、作成したサムネイル画像を撮影結果のインデックス用画像として記憶媒体40に記憶させる。
【0057】
[撮影装置の機能構成]
図5は、撮影装置1の機能構成例を示すブロック図である。図5に示す機能部のうちの少なくとも一部は、CPU31により所定のプログラムが実行されることによって実現される。
【0058】
撮影装置1においては、距離演算部121、フラッシュ情報取得部122、および表示制御部123が実現される。
【0059】
距離演算部121は、撮像素子36から供給された位相差情報に基づいて、被写界全体に含まれる各被写体までの距離を求める。距離演算部121は、演算によって求めた各被写体までの距離を表す情報を表示制御部123に出力する。
【0060】
フラッシュ情報取得部122は、フラッシュ22のガイドナンバー(最大発光量)を取得し、フラッシュ情報として表示制御部123に出力する。フラッシュ22のガイドナンバーの情報は例えばEEPROM34に記憶されている。また、撮影時に使用するフラッシュが外付けフラッシュ用の接続端子(不図示)に接続された外付けフラッシュである場合、フラッシュ情報取得部122は、フラッシュ制御部61を介して外付けフラッシュからガイドナンバーを取得する。
【0061】
表示制御部123は、フラッシュ情報取得部122から供給されたフラッシュ情報と、撮影パラメータとして設定されたISO感度、絞り値に基づいてフラッシュ光の到達距離を求める。ここでいうフラッシュ光の到達距離は、ISO感度、絞り値などの撮影パラメータに基づいて特定される、適正露出で撮影可能な光量のフラッシュ光が到達する距離を意味する。ISO感度、絞り値は、撮影モードに応じてCPU31により設定されることもあるし、ユーザにより手動で設定されることもある。
【0062】
表示制御部123は、フラッシュ光の到達距離と、距離演算部121により求められた被写体までの距離とを比較し、各被写体にフラッシュ光が到達するか否かを判断する。フラッシュ光の到達距離より近くにある被写体には、フラッシュ光が到達すると判断されることになる。表示制御部123は、表示処理部67を制御し、スルー画像の各領域のうち、フラッシュ光が到達すると判断した被写体が写っている領域にフラッシュ到達領域であることを表す情報を表示させる。
【0063】
[撮影装置の動作]
ここで、図6のフローチャートを参照し、フラッシュ到達領域を表示する撮影装置1の処理について説明する。この処理は、ユーザが撮影装置1の電源をオンとし、撮影装置1を起動させたときに開始される。
【0064】
ステップS1において、CPU31は、前処理部37、カメラDSP部38を制御し、撮像素子36により取り込まれた画像をスルー画像としてLCD24に表示させる。撮像素子36においては、レンズ21により取り込まれた光の光電変換が行われ、光電変換が行われることによって得られた画像信号に対して前処理部37において各種の処理が施される。各種の処理が施されることによって得られた画像データはカメラ信号処理部62を介して表示処理部67に供給され、LCD24にスルー画像が表示される。また、光電変換が行われることによって撮像素子36により検出された位相差を表す位相差情報がCPU31(距離演算部121)に供給される。
【0065】
ステップS2において、フラッシュ情報取得部122はフラッシュ情報取得処理を行う。フラッシュ情報取得処理により、フラッシュ撮影に用いるフラッシュのガイドナンバーが取得される。フラッシュ情報取得処理については図8のフローチャートを参照して後述する。
【0066】
ステップS3において、CPU31は撮影モード選択処理を行う。撮影モード選択処理により、撮影パラメータの決定方法などが、ユーザにより選択された撮影モードに応じて設定される。撮影モード選択処理については図9のフローチャートを参照して後述する。
【0067】
ステップS4において、CPU31は、カメラ信号処理部62に対してAF(Auto Focus)領域を指定する。カメラ信号処理部62においては、CPU31により指定されたAF領域の画像情報からフォーカスの調整に必要な情報が検出され、検出された情報に従ってレンズ制御部65によりレンズ21のフォーカスが調整される。AF領域は、例えば、撮影したい構図に合わせてユーザがAF領域を指定したとき、ユーザによる指定に従って設定される。撮影モードとしてオートモードが選択されている場合、AF領域がCPU31により自動的に決定される。
【0068】
ステップS5において、撮像素子36は被写界の測光を行う。CPU31は、選択された撮影モードと撮像素子36による測光結果に基づいて、シャッタースピード、絞り値、ISO感度、フラッシュの発光の有無などの撮影パラメータを適宜決定し、決定した撮影パラメータで撮影を行わせる。
【0069】
ステップS6において、CPU31は、撮影時にフラッシュ22を発光させて撮影を行うか否か、すなわちフラッシュ発光ありか否かを判定する。例えば、フラッシュ22を発光させることがユーザにより指示されている場合、または、撮影モードとしてオートモードが設定されており、測光結果として得られた被写界の明るさが閾値より暗い場合、フラッシュ発光ありとして判定される。
【0070】
フラッシュ発光ありとしてステップS6において判定された場合、ステップS7において、距離演算部121は、被写界に含まれる各被写体までの距離を演算により求める。距離演算部121は、演算により求めた距離の情報をRAM33に記憶させる。距離演算部121による距離の演算は繰り返し行われ、RAM33内の距離情報は随時更新される。表示制御部123は、RAM33に記憶された距離情報を読み出し、距離演算部121により求められた被写体までの距離を取得する。
【0071】
被写体までの距離の求め方の原理について図7を参照して説明する。図7に示すグラフGdのように、デフォーカス量と一対の像列における重心位置の差との関係は比例関係となっている。この関係について、デフォーカス量をDF(μm)とし重心位置の差をC(μm)として数式で表現すると、次の式(1)のようになる。
DF=k×C ・・・ (1)
【0072】
ここで、式(1)の係数kは、図7のグラフGdに関する傾きGk(破線で図示)を表しており、工場試験等によって事前に取得できるものである。
【0073】
以上より、距離演算部121は、分割G画素から得られるA系列のデータとB系列のデータとに関する重心位置の差(位相差)を求めた後に、上式(1)を利用してデフォーカス量を算出する。なお、上記のデフォーカス量はレンズ21の設計値より一意に定まるものである。
【0074】
次に、式(1)で求められたデフォーカス量DFを用いてレンズ21から被写体までの距離xを求める計算式を説明する。デフォーカス量をx‘とし、レンズ21の焦点距離をfとすると、ニュートンの方程式として下式(2)が成り立つ。式(2)に値を代入することによって、被写体までの距離xを求めることができる。
xx‘ = f ・・・ (2)
【0075】
ステップS8において、表示制御部123はフラッシュ到達領域表示処理を行う。フラッシュ到達領域表示処理においては、フラッシュ到達領域の判定が行われ、スルー画像に重ねて、フラッシュ到達領域を表す情報が表示される。フラッシュ到達領域表示処理の詳細については図10のフローチャートを参照して後述する。フラッシュ発光なしとしてステップS6において判定された場合、ステップS7,S8の処理はスキップされる。
【0076】
ステップS9において、CPU31は、シャッタボタン23がユーザにより操作されることに応じて静止画の撮影を行う。フラッシュ発光ありである場合、CPU31は、フラッシュ制御部61を制御し、撮影タイミングに合わせてフラッシュ22を発光させる。
【0077】
ステップS10において、CPU31は、ステップS9での撮影結果を記憶媒体40に記憶させ、一連の処理を終了させる。
【0078】
次に、図8のフローチャートを参照して、図6のステップS2において行われるフラッシュ情報取得処理について説明する。
【0079】
ステップS21において、フラッシュ情報取得部122は、使用するフラッシュが外付けフラッシュであるか否かを判定する。この例の場合、撮影装置1のフラッシュは内蔵フラッシュであるフラッシュ22であるため、外付けフラッシュではないとして判定される。
【0080】
外付けフラッシュではないとステップS21において判定した場合、ステップS22において、フラッシュ情報取得部122は、EEPROM34から読み出すことによってフラッシュ22のガイドナンバーを取得する。
【0081】
一方、使用するフラッシュが接続端子(不図示)に接続された外付けフラッシュであるとステップS21において判定した場合、ステップS23において、フラッシュ情報取得部122は外付けフラッシュのガイドナンバーを取得する。
【0082】
内蔵フラッシュであるフラッシュ22のガイドナンバーがステップS22において取得された後、または、外付けフラッシュのガイドナンバーがステップS23において取得された後、図6のステップS2に戻り、それ以降の処理が行われる。フラッシュ情報取得部122により取得されたガイドナンバーを含むフラッシュ情報は表示制御部123に供給される。
【0083】
次に、図9のフローチャートを参照して、図6のステップS3において行われる撮影モード選択処理について説明する。
【0084】
ここで、撮影装置1には複数の撮影モードが用意されているものとする。撮影モードには、オートモードの他に、シャッタースピード優先AEモード、絞り優先AEモードなどのプログラムモード、およびマニュアルモードが用意される。
【0085】
オートモードは、測光結果を元に、シャッタースピード、絞り値、ISO感度、フラッシュの発光の有無、AF領域を撮影装置1が自動的に(ユーザの操作によらずに)選択するモードである。シャッタースピード優先AEモードは、ユーザが任意にシャッタースピードを選択し、これに応じて、絞り値、ISO感度を撮影装置1が自動的に設定するモードである。絞り優先AEモードは、ユーザが任意に絞り値を選択し、これに応じて、シャッタースピード、ISO感度を撮影装置1が自動的に設定するモードである。シャッタースピード優先AEモード、絞り優先AEモードを含むプログラムモードにおいては、フラッシュの発光の有無はユーザにより任意に選択される。マニュアルモードは、シャッタースピード、絞り値、ISO感度、フラッシュの発光の有無の全ての撮影パラメータをユーザが任意に選択するモードである。
【0086】
ユーザは、LCD24に設定画面を表示させ、これらの撮影モードの中から、適切な撮影モードを撮影条件に合わせて選択する。また、オートモード以外の撮影モードを選択した場合、ユーザは、設定画面を用いて、フラッシュ22を発光させるか否かを選択する。
【0087】
ステップS31において、CPU31は、ユーザにより選択された撮影モードがオートモードであるか否かを判定する。
【0088】
撮影モードがオートモードであるとステップS31において判定した場合、ステップS32において、CPU31は、シャッタースピード、絞り値、ISO感度、フラッシュ22の発光の有無をそれぞれ自動的に決定することを設定する。このような設定を行っている場合、CPU31は、シャッタースピード、絞り値、ISO感度、フラッシュの発光の有無の各撮影パラメータをステップS5の測光結果に基づいてそれぞれ決定することになる。上述したように、撮影モードとしてオートモードが設定されており、測光結果として得られた被写界の明るさが閾値より暗い場合、フラッシュ発光ありとして決定される。
【0089】
ステップS33において、CPU31はAF領域を決定する。ここで決定されたAF領域がステップS4においてカメラ信号処理部62に対して指定される。
【0090】
一方、撮影モードがオートモードではないとステップS31において判定した場合、ステップS34において、CPU31は、撮影モードがプログラムモードであるか否かを判定する。
【0091】
撮影モードがプログラムモードであるとステップS34において判定した場合、ステップS35において、CPU31は、シャッタースピード、絞り値、ISO感度のうちの所定の撮影パラメータをそれぞれ自動的に決定することを設定する。すなわち、シャッタースピード優先AEモードが選択されている場合、CPU31は、シャッタースピードをユーザの操作に応じて設定し、絞り値、ISO感度をステップS5の測光結果に基づいて設定する。一方、絞り優先AEモードが選択されている場合、CPU31は、絞り値をユーザの操作に応じて設定し、シャッタースピード、ISO感度をステップS5の測光結果に基づいて設定する。
【0092】
ステップS36において、CPU31は、フラッシュ22の発光の有無をユーザの操作に応じて設定する。
【0093】
撮影モードがプログラムモードではなくマニュアルモードであるとステップS34において判定した場合、ステップS37において、CPU31は、シャッタースピード、絞り値、ISO感度、フラッシュ22の発光の有無をユーザの操作に応じて設定する。
【0094】
ステップS33においてAF領域を決定した後、ステップS36においてフラッシュ22の発光の有無を設定した後、またはステップS37において各撮影パラメータを設定した後、図6のステップS3に戻り、それ以降の処理が行われる。
【0095】
次に、図10のフローチャートを参照して、図6のステップS8において行われるフラッシュ到達領域表示処理について説明する。
【0096】
ステップS41において、表示制御部123は、フラッシュ情報取得部122により取得されたガイドナンバーと、測光結果に基づいて決定された絞り値、ISO感度とに基づいてフラッシュ光の到達距離Lを計算する。フラッシュ光の到達距離Lは下式(3)により表される。
L=(ガイドナンバー)÷(絞り値)×√(ISO感度÷100) ・・・ (3)
【0097】
ステップS42において、表示制御部123は、フラッシュ光の到達距離Lと、ステップS7において求められた各被写体までの距離xとを比較し、フラッシュ光が到達する被写体を特定する。
【0098】
図11は、フラッシュ光の到達距離Lの概念図である。図11の横軸は距離を表し、縦軸はフラッシュ光の光量(撮像素子36における受光量)を表す。各距離におけるフラッシュ光の光量を表す直線は、フラッシュ22のガイドナンバー、絞り値、ISO感度により特定される。
【0099】
例えば、フラッシュ22のガイドナンバーが40であり、絞り値がF4.0、ISO感度が100である場合、表示制御部123は、式(3)から、フラッシュ光の到達距離を破線L1で示す10mとして求める。この場合、表示制御部123は、10mより近くにある被写体にはフラッシュ光が到達するものとして判断する。絞り値、ISO感度を固定にした場合、10mより近くにある被写体は明るめに写り、10mより遠くにある被写体は暗めに写ることになる。
【0100】
破線L2で示す距離は、フラッシュ光の光量が10mの位置における光量と較べて半分になる距離である。すなわち、破線L2で示す距離にある被写体を適正な露出で撮影しようとする場合、10mの距離にある被写体を撮影する場合の光量の2倍の光量を取り込む必要がある。破線L2で示す距離は、絞り値F4.0の2倍の光量を取り込むことができる絞り値であるF2.8を用いることによって、14.3mとして式(3)から計算することができる。なお、この例の場合、光量が0になる距離は18.6mとして求められる。
【0101】
図10の説明に戻り、ステップS43において、表示制御部123は、スルー画像の各領域のうち、フラッシュ到達領域にそのことを表す情報を表示させる。フラッシュ到達領域を表す情報を表示させた後、図6のステップS8に戻り、それ以降の処理が行われる。
【0102】
図12は、LCD24の表示の例を示す図である。
【0103】
図12の例においては、風景を背景として1人の人物がほぼ中央に写っている画像がスルー画像としてLCD24に表示されている。表示制御部123は、被写界を取り込んだスルー画像全体のうち、フラッシュ到達領域を所定の色で点灯または点滅して表示させる。図12の例においては、太線の枠で囲む白抜きの領域である領域A1がフラッシュ到達領域であり、それぞれの領域A1が所定の色で点灯または点滅して表示されることによってフラッシュ到達領域がユーザに提示される。
【0104】
これにより、ユーザは、どの被写体にフラッシュ光が到達するのかを撮影前に判断することができる。また、ユーザは、いまの設定のままでは写し込みたい被写体にフラッシュ光が到達しないと判断した場合、絞りを開いたり、ISO感度を上げたりして撮影パラメータの設定を変え、意図した通りの画像を撮影することが可能になる。撮影パラメータの設定が変更された場合、表示制御部123は、ユーザによる設定の変更に追従して、フラッシュ到達領域の表示を切り替える。
【0105】
撮影装置1側としても、どの被写体にフラッシュ光が到達するのかを表す情報を、プリ発光を行うことなく、容易に表示させることができる。
【0106】
適正露出で撮影が可能な被写体が写っている領域であるフラッシュ到達領域の外の各領域を、その領域に写っている被写体に到達する光量に応じて表示させることも可能である。
【0107】
図12において斜線を付して示す領域A2は、フラッシュ到達領域外の領域ではあるが、フラッシュ光が到達する被写体が写っている領域を表す。図11を参照して説明した例の場合、10mより遠く、光量が0となる18.6mより近くにある被写体が写っている領域が、フラッシュ到達領域外の領域ではあるが、フラッシュ光が到達する被写体が写っている領域となる。
【0108】
この場合、表示制御部123は、被写体に到達する光量に応じて段階的に、例えばフラッシュ到達領域を表す領域A1の色よりも薄い色で領域A2を点灯または点滅して表示させたり、領域A1の色と異なる色で領域A2を点灯または点滅して表示させたりする。領域A1の色よりも薄い色で表示させる場合、表示制御部123は、領域A1の色の濃度を100%とすると、到達する光の量が1/2になる距離にある被写体が写っている領域を50%の濃度で表示させる。また、表示制御部123は、到達する光の量が1/4になる距離にある被写体が写っている領域を25%の濃度で表示させる。
【0109】
これにより、ユーザは、被写界に含まれる各被写体に到達するフラッシュ光の光量を直感的に把握することが可能になる。
【0110】
[変形例]
フラッシュ到達領域であることを表す情報や到達する光の量を表す情報を表示するのではなく、撮影パラメータの設定変更に関するアドバイスが表示されるようにしてもよい。この場合、例えば表示制御部123は、フラッシュ到達領域の面積が被写界全体の面積に対して閾値より少ない場合、絞りを開きぎみにしたり、ISO感度を上げたりすることをユーザに案内するメッセージをLCD24に表示させる。メッセージを確認して撮影パラメータを変更することにより、ユーザは全体的に暗めの画像を撮影してしまうことを防ぐことが可能になる。
【0111】
当然、フラッシュ到達領域であることを表す情報や到達する光の量を表す情報とともに、撮影パラメータの設定変更に関するアドバイスを表示することも可能である。
【0112】
また、フラッシュ到達領域外の領域の画像データをフラッシュ到達領域の画像データよりゲインを上げて処理したり、ノイズ除去を強めにして処理したりして、画像処理の内容を光量に応じて切り替えるようにしてもよい。この場合、CPU31は、撮像素子36により取り込まれた画像の各領域に写る被写体に到達するフラッシュ光の光量を判断し、ゲインコントロールやノイズ除去などの画像処理が光量に応じて行われるように前処理部37やカメラDSP部38を制御する。
【0113】
フラッシュ到達領域にそのことを表す情報が表示されるものとしたが、フラッシュ光が到達しない被写体が写っている領域にそのことを表す情報が表示されるようにしてもよい。
【0114】
<第2の実施の形態>
[撮影装置の外観構成]
以上においては、撮影装置1がコンパクトタイプのデジタルスチルカメラである場合について説明したが、上述した技術は一眼レフタイプのデジタルスチルカメラに適用することも可能である。
【0115】
図13および図14は、一眼レフタイプの撮影装置1の外観の例を示す図である。図13および図14は、それぞれ正面図および背面図を示している。また、図15は撮影装置1の縦断面図である。
【0116】
撮影装置1は、カメラボディ211と、カメラボディ211に着脱自在な交換レンズとしてのレンズ221とを備えている。図13において、カメラボディ211の正面側には、略中央にレンズ221が装着されるマウント部222が設けられる。また、マウント部222の右横にはレンズ交換ボタン223が設けられ、正面左端部(X方向左側)には、ユーザが片手(又は両手)により確実に把持可能とするためのグリップ部224が設けられている。
【0117】
レンズ221は、被写体からの光(光像)を取り込むレンズ窓として機能するとともに、当該被写体光をカメラボディ211の内部に配置されている撮像素子252に導くための撮影光学系として機能する。レンズ221は、レンズ交換ボタン223を押下操作することで、カメラボディ211から取り外すことが可能となっている。
【0118】
レンズ221は、光軸LT(図15)に沿って直列的に配置された複数のレンズからなるレンズ群を備えている。このレンズ群には、焦点の調節を行うためのフォーカスレンズと、変倍を行うためのズームレンズとが含まれており、それぞれ光軸LT方向に駆動されることで、変倍や焦点調節が行われる。また、レンズ221には、その鏡胴の外周適所に該鏡胴の外周面に沿って回転可能な操作環が備えられている。上記のズームレンズは、マニュアル操作或いはオート操作により、上記操作環の回転方向および回転量に応じて光軸方向に移動し、その移動先の位置に応じたズーム倍率(撮影倍率)に設定される。
【0119】
また、カメラボディ211には、正面左上部(Y方向左上側)に配置されたモード設定ダイアル226と、正面右上部に配置された制御値設定ダイアル229と、グリップ部224の上面に配置されたシャッタボタン225とが設けられている。なお、グリップ部224には、当該グリップ部224をユーザが把持したか否かを検出するためのグリップセンサを設けるようにしても良い。
【0120】
シャッタボタン225は、図1のシャッタボタン23と同様に、途中まで押し込んだ「半押し状態」の操作と、さらに押し込んだ「全押し状態」の操作とが可能とされた押下スイッチである。
【0121】
モード設定ダイアル226および制御値設定ダイアル229は、カメラボディ211の上面と略平行な面内で回転可能な略円盤状の部材からなる。モード設定ダイアル226は、上述したオートモード、プログラムモードなどの撮影モードの選択に用いられる。一方、制御値設定ダイアル229は、撮影装置1に搭載された各種の機能に対する制御値を設定するためのものである。
【0122】
フラッシュ部227は、図1のフラッシュ22に対応し、ポップアップ式の内蔵フラッシュとして構成されている。外付けフラッシュをカメラボディ211に取り付ける場合、接続端子部228が使用される。
【0123】
カメラボディ211の背面側に設けられるLCD241(図14)は、図2のLCD24に対応する。LCD241は、画像表示が可能なカラー液晶パネルを備えており、撮像素子252(図15)により撮像された被写界の画像であるスルー画像の表示、記録済みの画像の再生表示等を行う。また、LCD241は、撮影装置1に搭載される機能やモードの設定画面を表示する。なお、LCD241に代えて、有機ELやプラズマ表示装置を用いるようにしても良い。LCD241に表示された各種の項目の選択操作や決定操作が、LCD241の右側に設けられた十字キー243とプッシュボタン244を用いて行われる。
【0124】
LCD241の左側に設けられる設定ボタン群242は、撮影装置1に搭載された各種の機能に対する操作を行うボタンである。設定ボタン群242には、LCD241に表示されるメニュー画面で選択された内容を確定するための選択確定スイッチ、選択取り消しスイッチ、メニュー画面の内容を切り替えるメニュー表示スイッチ、表示オン/オフスイッチなどが含まれる。
【0125】
メインスイッチ245は、左右にスライドする2接点のスライドスイッチからなり、左にセットすると撮影装置1の電源がオンされ、右にセットすると電源がオフされる。
【0126】
アイカップ246は、遮光性を有してEVF247への外光の侵入を抑制する「コ」字状の遮光部材である。
【0127】
露出補正ボタン248は、露出値(絞り値やシャッタースピード)を手動で調整するためのボタンである。AEロックボタン249は露出を固定するためのボタンである。
【0128】
[撮影装置の内部構成]
図15は、撮影装置1の縦断面図である。図15に示すように、カメラボディ211の内部には撮像素子252などが備えられている。
【0129】
撮像素子252は図1の撮影装置1に設けられる撮像素子36に対応し、図4に示す構成と同じ構成を有する。すなわち、撮像素子252も、通常画素と、被写体光を瞳分割して位相差を検出するための位相差画素からなり、素子上で位相差を検出する機能を有する撮像素子である。
【0130】
撮像素子252の前方にはシャッタユニット251が配置されている。シャッタユニット251は、撮像素子252に向かう被写体光の光路開口動作および光路遮断動作を行うメカニカルフォーカルプレーンシャッタとして構成されている。なお、シャッタユニット251は、撮像素子252が完全電子シャッター可能な撮像素子である場合には省略可能である。
【0131】
EVF247は、液晶パネル253と接眼レンズ254とを備えている。液晶パネル253は、例えば画像表示が可能なカラー液晶パネルとして構成されており、撮像素子252により撮像された画像の表示が可能である。接眼レンズ254は、液晶パネル253に表示された被写体像をEVF247の外側に導く。このようなEVF247の構成により、ユーザは、撮像素子252によるスルー画像および撮影された画像の再生表示を視認できることとなる。
【0132】
次に、カメラボディ211の電気的構成について図16を参照して説明する。
【0133】
カメラボディ211には、シャッタユニット251、撮像素子252の他に、撮像素子駆動機構271、AFE272、画像処理部273、位相差AF演算部274、画像メモリ275、電池276、電源制御部277が設けられる。また、カメラボディ211には、メイン制御部281、操作部282、レンズ制御部283、フラッシュ制御部284、VRAM285(285a、285b)、カードI/F286、メモリカード287、通信用I/F288が設けられる。
【0134】
撮像素子252は、レンズ221により取り込まれた光の光電変換を行い、画像信号をAFE272に出力する。また、撮像素子252は位相差センサとしても機能し、被写界に含まれる各被写体からの光の位相差を表す位相差信号をAFE272に出力する。
【0135】
AFE272は、撮像素子252に対して所定の動作を行わせるタイミングパルスを与えると共に、撮像素子252から出力される画像信号に所定の信号処理を施し、デジタル信号に変換して画像処理部273に出力する。AFE(アナログフロントエンド)272は、タイミング制御部301、信号処理部302、およびA/D変換部303から構成される。
【0136】
タイミング制御部301は、メイン制御部281から出力される基準クロックに基づいて所定のタイミングパルスを生成して撮像素子252に出力し、撮像素子252の撮像動作を制御する。タイミングパルスには垂直走査パルスφVn、水平走査パルスφVm、リセット信号φVr等が含まれる。また、タイミング制御部301は、所定のタイミングパルスを信号処理部302やA/D変換部303にそれぞれ出力することにより、信号処理部302およびA/D変換部303の動作を制御する。
【0137】
信号処理部302は、撮像素子252から出力されるアナログの画像信号と位相差信号に所定のアナログ信号処理を施す。信号処理部302は、CDS回路、AGC回路、およびクランプ回路等が備えられる。
【0138】
A/D変換部303は、信号処理部302から出力されたアナログのR、G、Bの画像信号をタイミング制御部301から出力されるタイミングパルスに基づいて複数のビット(例えば12ビット)からなるデジタルの画像信号に変換する。また、A/D変換部303は、位相差画素から出力された位相差信号のA/D変換を行い、位相差情報を黒レベル補正部311に出力する。
【0139】
画像処理部273は、AFE272から出力される画像データに所定の信号処理を行って画像データを生成する。画像処理部273は、黒レベル補正部311、WB処理部312、およびγ補正処理部313から構成される。なお、画像処理部273へ取り込まれた画像データは、撮像素子252の読み出しに同期して画像メモリ275に一旦書き込まれ、以後、画像メモリ275に書き込まれた画像データにアクセスして、画像処理部273の各ブロックにおいて処理が行われる。
【0140】
黒レベル補正部311は、A/D変換部303によりA/D変換されることによって得られたデジタルの画像信号と位相差情報の黒レベルを基準の黒レベルに補正し、出力する。黒レベル補正部311による黒レベル補正後の画像信号と位相差情報はWB処理部312、位相差AF演算部274に供給される。また、位相差情報は図示せぬ経路を介してメイン制御部281に供給される。
【0141】
WB処理部312は、光源に応じた白の基準に基づいて、R、G、Bの各色成分のデジタル信号のレベル変換(ホワイトバランス(WB)調整)を行う。すなわち、WB処理部312は、メイン制御部281から与えられるWB調整データに基づき、撮影被写体において輝度や彩度データ等から本来白色であると推定される部分を特定し、その部分のR、G、Bそれぞれを色成分の平均と、G/R比およびG/B比とを求め、これをR、Bの補正ゲインとしてレベル補正する。
【0142】
γ補正処理部313は、WB調整された画像データの階調特性を補正する。具体的にはγ補正処理部313は、画像データのレベルを色成分毎に予め設定されたγ補正用テーブルを用いて非線形変換するとともにオフセット調整を行う。
【0143】
位相差AF演算部274は、黒レベル補正部311から供給された黒レベル補正済みの位相差情報に基づき、選択したAFポイントの合焦評価値を演算する。合焦標価値は、例えば被写界の一部(例えば中央部分)に設定されるAF領域内におけるAFのずれを表している。位相差AF演算部274で算出された合焦評価値は図示せぬ経路を介してメイン制御部281に供給される。
【0144】
画像メモリ275は、撮影時には、画像処理部273から出力される画像データを一時的に記憶する。画像メモリ275は、記憶している画像データに対しメイン制御部281が所定の処理を行うための作業領域として用いられるメモリである。また、画像メモリ275は、再生時には、メモリカード287から読み出した画像データを一時的に記憶する。
【0145】
電源制御部277は、例えば定電圧回路等からなり、メイン制御部281等の制御部、撮像素子252、その他の各種の駆動部等、撮影装置1全体を駆動させるための電圧を生成する。なお、撮像素子252への通電制御は、メイン制御部281から電源制御部277に与えられる制御信号により行われる。電池276は、アルカリ乾電池等の一次電池や、ニッケル水素充電池等の二次電池からなり、撮影装置1全体に電力を供給する電源である。
【0146】
メイン制御部281は、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するRAM等の記憶部が内蔵されたマイクロコンピュータからなり、撮影装置1の各部の動作を制御する。例えば、メイン制御部281は、位相差AF演算部274で算出された合焦評価値とレンズ制御部283で検出されたレンズ221に含まれるフォーカスレンズの位置情報とに基づき、位相差AFによる該フォーカスレンズの合焦位置の検出処理を実行する。
【0147】
メイン制御部281においては、所定のプログラムが実行されることによって、図5を参照して説明した各機能部が実現される。メイン制御部281において実現される距離演算部121は、黒レベル補正部311から供給された位相差情報に基づいて被写体までの距離を求める。また、フラッシュ情報取得部122は、内蔵のフラッシュとしてのフラッシュ部227のガイドナンバーや、接続端子部228に接続された外付けフラッシュのガイドナンバーを取得する。表示制御部123は、距離演算部121により求められた被写体までの距離とフラッシュ情報取得部122により取得されたガイドナンバーを用いて、上述したようにしてフラッシュ到達領域の表示を行う。
【0148】
操作部282は、シャッタボタン225、モード設定ダイアル226、制御値設定ダイアル229、設定ボタン群242、十字キー243、プッシュボタン244、メインスイッチ245等を含み、操作情報をメイン制御部281に入力する。
【0149】
レンズ制御部283は、メイン制御部281から与えられる制御信号に基づき、レンズ221の絞りを駆動する信号やフォーカスを駆動する信号を生成し、レンズ221に出力する。
【0150】
フラッシュ制御部284は図3のフラッシュ制御部61に対応し、フラッシュ撮影モードにおいて、フラッシュ部227または接続端子部228に接続される外部フラッシュの発光量を、メイン制御部281により設定された発光量に制御する。フラッシュ制御部284は、撮影に合わせてフラッシュを発光させる。
【0151】
VRAM285a、285bは、EVF247およびLCD241の画素数に対応した画像信号の記憶容量を有する。VRAM285a、285bは、メイン制御部281とEVF247との間、メイン制御部281とLCD241の間のバッファメモリである。
【0152】
カードI/F286は、メモリカード287とメイン制御部281との間で信号の送受信を可能とするためのインタフェースである。
【0153】
メモリカード287は、メイン制御部281で生成された画像データを保存する記憶媒体である。
【0154】
通信用I/F288は、パーソナルコンピュータやその他の外部機器に対する画像データ等の伝送を可能とするためのインタフェースである。
【0155】
以上の構成を有する撮影装置1においても、図6を参照して説明した処理と同様のフラッシュ到達領域表示処理が行われ、フラッシュ到達領域を表す情報がLCD241に表示される。
【0156】
<第3の実施の形態>
図17は、一眼レフタイプの撮影装置1の他の縦断面図である。図17に示す構成のうち、図15に示す構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。なお、図17の撮影装置1の外観構成は図13、図14に示す構成と同じである。
【0157】
図17の撮影装置1は、スルー画像の撮像と位相差検出を行うための撮像素子403と、静止画を撮像するための撮像素子402を有する撮影装置である。カメラボディ211の内部には、撮像素子402、403、透過ミラー401が設けられる。
【0158】
透過ミラー401は、被写体光をカメラボディ211上部に設けられた撮像素子403に向けて反射するとともに、撮像素子402に向けて透過する透過反射部材より構成され、カメラボディ211に固設される。透過と反射の割合を5:5としているが、各撮像素子の特性に応じて任意に変更可能である。すなわち、レンズ221を通過した被写体光は、一部が透過ミラー401を透過して撮像素子402に入射するとともに、一部が透過ミラー401によって反射され、撮像素子403に入射する。
【0159】
撮像素子402は、透過ミラー401を透過した被写体光を受光する。撮像素子402としては、例えばフォトダイオードを有して構成される複数の画素がマトリクス状に2次元配置され、各画素の受光面に、それぞれ分光特性の異なる例えばR(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタが1:2:1の比率で配設されてなるベイヤー配列のCMOS型の撮像素子が用いられる。撮像素子402は、レンズ221を通って結像された被写体光像に関するR(赤)、G(緑)、B(青)各色成分のアナログの電気信号(画像信号)を生成し、R、G、B各色の画像信号として出力する。
【0160】
撮像素子403は、Y軸に対して垂直となる平面(XZ平面)上に配置されており、透過ミラー401で反射された被写体光を受光する。撮像素子403は図1の撮影装置1に設けられる撮像素子36に対応し、図4に示す構成と同じ構成を有する。すなわち、撮像素子403は、通常画素と、被写体光を瞳分割して位相差を検出するための位相差画素からなり、素子上で位相差を検出する機能を有する撮像素子である。
【0161】
図18は、図17の撮影装置1の電気的構成を示す図である。図18に示す構成のうち、図16に示す構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0162】
図18に示す撮影装置1の構成は、シャッタユニット251の前段に透過ミラー401が設けられ、図16の撮像素子252に代えて撮像素子402が設けられ、さらに、撮像素子403が追加して設けられる点で図16に示す構成と異なる。
【0163】
AFE272は、撮像素子402,403に対して所定の動作を行わせるタイミングパルスを与えると共に、撮像素子402,403から出力される画像信号に所定の信号処理を施し、デジタル信号に変換して画像処理部273に出力する。AFE272は、タイミング制御部301、信号処理部302、およびA/D変換部303から構成される。
【0164】
タイミング制御部301は、メイン制御部281から出力される基準クロックに基づいて所定のタイミングパルスを生成して撮像素子402,403に出力し、撮像素子402,403の撮像動作を制御する。また、タイミング制御部301は、所定のタイミングパルスを信号処理部302やA/D変換部303にそれぞれ出力することにより、信号処理部302およびA/D変換部303の動作を制御する。
【0165】
信号処理部302は、撮像素子402,403から出力されるアナログの画像信号と位相差信号に所定のアナログ信号処理を施す。信号処理部302は、CDS回路、AGC回路、およびクランプ回路等が備えられる。撮像素子402からは画像信号が供給され、撮像素子403からは画像信号と位相差信号が供給される。
【0166】
A/D変換部303は、信号処理部302から出力されたアナログのR、G、Bの画像信号をタイミング制御部301から出力されるタイミングパルスに基づいて複数のビット(例えば12ビット)からなるデジタルの画像信号に変換する。また、また、A/D変換部303は、位相差画素から出力された位相差信号のA/D変換を行い、位相差情報を黒レベル補正部311に出力する。
【0167】
以上の構成を有する撮影装置1においても、図6を参照して説明した処理と同様のフラッシュ到達領域表示処理が行われ、フラッシュ到達領域を表す情報などがLCD241に表示される。
【0168】
このように、以上の技術は、一眼レフタイプのデジタルスチルカメラにも適用可能である。なお、位相差の検出に用いるモジュールとして、位相差センサとして機能する画素が各位置に配置された図4に示すような撮像素子ではなく、既存の位相差式AFモジュールを用いるようにすることも可能である。位相差式AFモジュールにおいて検出された各被写体からの光の位相差に基づいて各被写体までの距離が求められ、フラッシュ到達領域の表示が行われる。
【0169】
[コンピュータの構成例]
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記憶媒体からインストールされる。
【0170】
図19は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0171】
CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503は、バス504により相互に接続されている。
【0172】
バス504には、さらに、入出力インタフェース505が接続されている。入出力インタフェース505には、キーボード、マウスなどよりなる入力部506、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部507が接続される。また、入出力インタフェース505には、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部508、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部509、リムーバブルメディア511を駆動するドライブ510が接続される。
【0173】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU501が、例えば、記憶部508に記憶されているプログラムを入出力インタフェース505およびバス504を介してRAM503にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0174】
CPU501が実行するプログラムは、例えばリムーバブルメディア511に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供され、記憶部508にインストールされる。
【0175】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0176】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0177】
1 撮影装置, 21 レンズ, 22 フラッシュ, 24 LCD, 36 撮像素子, 121 距離演算部, 122 フラッシュ情報取得部, 123 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
前記撮像部の撮影範囲に含まれる被写体までの距離を求める演算部と、
前記被写体までの距離とフラッシュの発光量に基づいて、前記フラッシュの光が到達する前記被写体の領域を表す情報を表示させる表示制御部と
を備える撮影装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記フラッシュの光が到達する前記被写体の領域を表す情報を、到達する光量に応じて多段階で表示させる
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記フラッシュの光が到達する前記被写体の領域を表す情報を、前記撮像部により撮像された画像に重ねて表示させる
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記撮像部により撮像された画像の画像処理を、前記画像の各領域に写る前記被写体に到達する前記フラッシュの光量に応じて領域毎に行う画像処理部をさらに備える
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記撮像部は前記被写体からの光の位相差を検出する画素を有し、
前記演算部は、前記撮像部の前記画素が出力する信号に基づいて前記被写体までの距離を求める
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記撮影装置に装着された外部の前記フラッシュ、または前記撮影装置に内蔵された前記フラッシュから発光量を表す情報を取得する取得部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記演算部により求められた前記被写体までの距離と、前記取得部により取得された情報により表される前記フラッシュの発光量に基づいて、前記フラッシュの光が到達する前記被写体の領域を表す情報を表示させる
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項7】
撮像部により撮像し、
前記撮像部の撮影範囲に含まれる被写体までの距離を求め、
前記被写体までの距離とフラッシュの発光量に基づいて、前記フラッシュの光が到達する前記被写体の領域を表す情報を、到達する光量に応じて多段階で表示させる
ステップを含む表示制御方法。
【請求項8】
撮像部により撮像し、
前記撮像部の撮影範囲に含まれる被写体までの距離を求め、
前記被写体までの距離とフラッシュの発光量に基づいて、前記フラッシュの光が到達する前記被写体の領域を表す情報を、到達する光量に応じて多段階で表示させる
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−159781(P2012−159781A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20712(P2011−20712)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】