説明

操作表示装置、スクロール表示制御方法およびスクロール表示制御プログラム

【課題】スクロール表示の中から目的の表示項目を容易に探し出すことができる操作表示装置、スクロール表示制御方法およびスクロール表示制御プログラムを提供する。
【解決手段】本実施の形態では、項目が列挙されたリストのスクロール表示が開始されてから、所定の検索条件に一致した項目が操作表示部140の画面に表示されたとき、CPU10は、スクロール表示を通常よりも低速に制御する。したがって、未出力項目や前回失敗した項目が操作表示部140の画面に現れたとき、CPU10は、スクロール表示を自動的に減速させるので、ユーザは、検索したい表示項目を確認しやすくなり、容易に所望の項目を探し出して選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示項目を画面上でスクロール表示させる操作表示装置、スクロール表示制御方法およびスクロール表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話端末や携帯端末装置などにおいて、ユーザが表示画面を見ながらその表示画面に対して操作を行い、自端末が有するアプリケーションの起動やファイルに対する操作などを行う機能が知られている。その一例として、たとえば、携帯電話端末の表示画面上でユーザがフリック操作を行うことにより、電子メール、インターネットまたはゲーム機能などの表示項目を表示画面上でスクロール表示させるフリックスクロールという機能が知られている。
【0003】
また、画像データに基づくサムネイル画像を表示部に表示させる表示制御装置であって、その画像データに付随する撮影日時情報や撮影位置情報に基づいて、サムネイル画像が表示部に配列される順番を設定してサムネイル画面の配列を決定し、その画像データに付随する撮影日時情報や撮影位置情報の一定の変化に基づいて、スクロール表示されるサムネイル画面を停止させる表示制御装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−129020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、USBメモリ(Universal Serial Bus Memory)内やネットワーク上のフォルダ内にある複数のファイルやデータをMFP(Multifunction Peripheral)を用いて印刷やFAX送信する際に、印刷やFAX送信をする処理が途中のファイルまで済んでいる場合には、どのファイルまで処理が済んでいるか分からなくなり、対象となるファイルやデータを探し出す作業に手間がかかることとがあった。
【0006】
また、上述したフリックスクロールを適用することにより、表示項目を画面上でスクロール表示させて直感的に素早く認識させることができるようになったが、その一方で、ユーザの力加減によってスクロール表示の速さが左右されてしまい、所望の項目を探し出すためのフリック操作の力加減が難しかった。すなわち、ユーザが力を入れ過ぎると画面が速くスクロールしてしまい、一方、ユーザが力をあまり入れないと画面があまりスクロールせずに停止してしまうため、スクロール画面から所望の表示項目を探し出すことが難しく、フリック操作における微妙な力加減の習得が必要であった。
【0007】
一方、特許文献1に記載された表示制御装置は、撮影時刻や撮影位置などの所定条件の変化に基づいて、サムネイル画面のスクロール表示を停止させる装置である。この表示制御装置では、ユーザが所望する項目を探したい場合であっても、所定条件に変化があった場合には、スクロール表示が停止されてしまう。すなわち、ユーザがスクロール表示を実行する操作釦を継続して押下操作していたとしても、予め設定した所定条件に変化があった場合には、スクロール表示が停止されてしまうので、所望の項目を探し出したい場合には不向きであった。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、スクロール表示の中から目的の表示項目を容易に探し出すことができる操作表示装置、スクロール表示制御方法およびスクロール表示制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0010】
[1]表示装置と、
複数の表示項目が列挙されたリストのスクロール表示を前記表示装置の画面上で開始させる操作を受ける操作部と、
前記操作を受けて前記リストのスクロール表示を開始させた後、所定の検索条件に一致する表示項目が前記画面に表示されたとき、前記スクロール表示を通常よりも低速にする制御を行う制御部と、
を有する
ことを特徴とする操作表示装置。
【0011】
上記発明では、制御部は、表示項目が列挙されたリストのスクロール表示が開始されてから、所定の検索条件に一致した表示項目が表示装置の画面に表示されたときに、スクロール表示を通常よりも低速に制御する。たとえば、印刷が未出力の項目や前回印刷を失敗した項目などをユーザの所望する検索条件とした場合、制御部は、この検索条件に一致する表示項目が表示装置の画面に現れたときに、スクロール表示を低速にする。したがって、ユーザは、スクロール表示される項目の中から目的の表示項目を容易に探し出すことができる。
【0012】
[2]前記表示項目は複数の属性を持ち、
前記制御部は、
前記表示項目が有するそれぞれの属性に対する条件の成立状況に基づいて、前記スクロールの制御を行う
ことを特徴とする[1]に記載の操作表示装置。
【0013】
上記発明では、表示項目が複数の属性を持っており、表示項目が有するそれぞれの属性に対して条件を設定する。そして、制御部は、その条件の成立状況に基づいて、画面のスクロール表示の制御を行う。したがって、複数の属性に基づいて検索条件を設定することができるので、多様な条件での検索が可能になる。たとえば、属性の条件を組み合わせて、その組み合わせに応じてスクロール表示を低速に設定したり切り替えることができる。
【0014】
[3]前記制御部は、
前記検索条件に完全に一致する表示項目に対する前記制御の内容と、前記検索条件の一部のみに一致する表示項目に対する前記制御の内容とを相違させる
ことを特徴とする[2]に記載の操作表示装置。
【0015】
上記発明では、制御部は、検索条件の成立状況に基づいて、スクロール表示の制御の内容に差異を設ける。すなわち、検索条件に完全に一致する場合と検索条件の一部のみに一致する場合とにおいて、表示項目のスクロール表示の速度制御に差異を設ける。
【0016】
[4]前記制御部は、
前記検索条件に完全に一致する表示項目が前記画面に表示されたとき、前記スクロール表示を停止させ、
前記検索条件の一部のみに一致する表示項目が前記画面に表示されたとき、前記スクロール表示を前記低速にする
ことを特徴とする[3]に記載の操作表示装置。
【0017】
上記発明では、検索条件に完全に一致した表示項目が画面に現れたときにはスクロール表示を停止させ、検索条件の一部のみに一致した表示項目が画面に現れたときにはスクロール表示を低速にする。なお、低速になった状態でユーザが所定の停止操作をすると、スクロール表示は停止する。ユーザは低速状態で表示項目を確認し、必要ならば停止操作を行うことができる。また、停止不要な場合はそのまま見送れば、再びスクロール速度が通常に戻ってスクロールが継続されるので、操作が容易である。
【0018】
[5]前記制御部は、
前記検索条件の一部のみに一致する表示項目が前記画面に表示されたとき、前記スクロール表示を通常よりも低速の第1の速度に減速させ、
前記検索条件に完全に一致する表示項目が前記画面に表示されたとき、前記スクロール表示を前記第1の速度よりも遅い第2の速度に減速させる
ことを特徴とする[3]に記載の操作表示装置。
【0019】
上記発明では、制御部は、検索条件に完全に一致する表示項目が表示装置の画面に現れたとき、検索条件の一部のみに一致する第1の速度よりも遅い第2の速度に減速して表示項目を表示させる。
【0020】
[6]前記リストは、ファイルを前記表示項目として列挙したリストであり、
前記操作部は、複数の出力モードの中からファイルの出力モードの選択操作を受け付ける機能を有し、
前記検索条件は、前記各出力モードでの出力済み/未出力に関する条件を含み、前記検索条件の一部のみに一致する表示項目とは、現在選択されている出力モードが未出力かつ他の出力モードの少なくとも1つが出力済みの表示項目、もしくは、現在選択されている出力モードが出力済みかつ他の出力モードの少なくとも1つが未出力の表示項目、である
ことを特徴とする[3]乃至[5]のいずれか1つに記載の操作表示装置。
【0021】
上記発明では、複数の出力モードの中からファイルの出力モードを選択でき、現在選択されている出力モード(現在の出力モードとする)を基準に検索が行われる。たとえば、現在の出力モードが未出力で他の出力モードの中の少なくとも1つが出力済みの表示項目においてスクロール表示が減速、すべての出力モードが未出力の表示項目においてスクロール表示が停止される、あるいは、現在の出力モードが出力済みで他の出力モードの中の少なくとも1つが未出力の表示項目においてスクロール表示が減速され、すべての出力モードが出力済みの表示項目においてスクロール表示が停止される。なお、前者の場合、現在の出力モードが出力済みならば、他の出力モードに関わらず、その表示項目は停止や減速されずに通常の速度でスクロール表示される。後者の場合、現在の出力モードが未出力ならば、他の出力モードに関わらず、その表示項目は停止や減速されずに通常の速度でスクロール表示される。
【0022】
[7]前記検索条件に完全に一致する表示項目が前記画面に表示されたとき、前記制御を行う
ことを特徴とする[2]に記載の操作表示装置。
【0023】
上記発明では、制御部は、検索条件に完全に一致する表示項目が表示装置の画面に現れたときに、スクロール表示の速度を停止または低速に制御する。これにより、検索している所望の表示項目が画面に現れたとき、ユーザは、スクロール表示の速度の変化により、検索条件に一致した表示項目が存在することを知ることができる。
【0024】
[8]前記リストは、ファイルを前記表示項目として列挙したリストであり、
ファイルの出力モードは複数の出力モードの中から選択可能であり、
前記検索条件は、前記各出力モードでのファイルの出力済み/未出力に関する組み合わせである
ことを特徴とする[7]に記載の操作表示装置。
【0025】
上記発明では、検索条件は各出力モードの出力済み/未出力に関するものであり、すべて出力モードで未出力(あるいは出力済み)の表示項目において、スクロール表示を停止あるいは減速する制御が行われる。
【0026】
[9]スクロール表示を開始させる操作は、前記画面上で指を弾くフリック操作である
ことを特徴とする[1]乃至[8]のいずれか1項に記載の操作表示装置。
【0027】
上記発明では、ユーザが表示装置上の任意の画面を指で弾くフリック操作を行うことにより、表示項目のスクロール表示が開始される。
【0028】
[10]前記操作部は、前記画面内での速度制御位置の設定操作を受け付け、
前記制御部は、前記検索条件に一致する表示項目が前記速度制御位置に来たとき、前記スクロール表示を停止もしくは低速にする
ことを特徴とする[1]乃至[10]のいずれか1項に記載の操作表示装置。
【0029】
上記発明では、画面内にユーザによって設定可能な速度制御位置を有している。これにより、制御部は、設定された速度制御位置に検索条件に全部または一部に一致する表示項目が来たときに、スクロール表示を停止もしくは低速に制御する。
【0030】
[11]制御部が、複数の表示項目が列挙されたリストを所定の表示装置に表示させるステップと、
操作部を通じて、前記リストのスクロール表示の開始操作を受け付けるステップと
前記制御部が、前記操作部を通じて受けた前記開始操作に基づいて前記リストのスクロール表示を開始させた後、所定の検索条件に一致する表示項目が前記表示装置の画面に表示されたとき、前記スクロール表示を通常よりも低速にする制御を行うステップと、
を有する
ことを特徴とするスクロール表示制御方法。
【0031】
上記発明は、[1]に記載された操作表示装置に対応したスクロール表示制御方法に関する発明である。
【0032】
[12]前記制御部が、前記表示項目が複数の属性を持ち、当該それぞれの属性に対する条件の成立状況に基づいて、前記スクロールの制御を行う
ことを特徴とする[11]に記載のスクロール表示制御方法。
【0033】
上記発明は、[2]に記載された操作表示装置に対応したスクロール表示制御方法に関する発明である。
【0034】
[13]前記制御部が、前記検索条件に完全に一致した表示項目に対する前記制御の内容と、前記検索条件の一部に一致した表示項目に対する前記制御の内容とを相違させる
ことを特徴とする[12]に記載のスクロール表示制御方法。
【0035】
上記発明は、[3]に記載された操作表示装置に対応したスクロール表示制御方法に関する発明である。
【0036】
[14]表示装置と操作部が接続された情報処理装置を、
複数の表示項目が列挙されたリストのスクロール表示を前記表示装置の画面に表示させる機能と、
前記リストのスクロール表示の開始操作を前記操作部を通じて受ける機能と、
前記操作部を通じて受けた前記操作開始に基づいて前記リストのスクロール表示を開始させた後、所定の検索条件に一致する表示項目が前記画面に表示されたとき、前記スクロール表示を通常より低速にする制御を行う機能と、
を果たすように動作させる
ことを特徴とするスクロール表示制御プログラム。
【0037】
上記発明は、[1]に記載された操作表示装置に対応したスクロール表示制御プログラムに関する発明である。
【0038】
[15]前記表示項目は複数の属性を持ち、当該表示項目が有するそれぞれの属性に対する条件の成立状況に基づいて、前記スクロールの制御を行う機能を果たすように動作させる
ことを特徴とする[14]に記載のスクロール表示制御プログラム。
【0039】
上記発明は、[2]に記載された操作表示装置に対応したスクロール表示制御プログラムに関する発明である。
【0040】
[16]前記情報処理装置を、前記検索条件に完全に一致した表示項目に対する前記制御の内容と、前記検索条件の一部のみに一致した表示項目に対する前記制御の内容とを相違する機能を果たすように動作させる
ことを特徴とする[15]に記載のスクロール表示制御プログラム。
【0041】
上記発明は、[3]に記載された操作表示装置に対応したスクロール表示制御プログラムに関する発明である。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係る操作表示装置、スクロール表示制御方法およびスクロール表示制御プログラムによれば、ユーザの所望する検索条件と一致する表示項目が画面に表示されたとき、スクロール表示を停止または低速させるので、ユーザは容易に目的の表示項目を探し出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態に係るネットワークシステム全体の構成図である。
【図2】画像処理装置のブロック図である。
【図3】スクロール表示が開始されるまでの準備処理の流れを示した流れ図である。
【図4】図3の結合子Aの続きであり、スクロール属性によるスクロール表示の停止処理の流れを示す流れ図である。
【図5】図4の結合子Bの続きであり、ステップS202でスクロール表示を停止させた後の処理の流れを示した流れ図である。
【図6】スクロール属性の決定処理の動作の流れを示す流れ図である。
【図7】第1のパターン((設定A)単一判定+(設定C)停止モード)の場合のスクロール属性判定テーブルを示す説明図である。
【図8】図6の結合子Fの続きであり、スクロール属性を決定する流れを示す流れ図である。
【図9】第3のパターン((設定A)複合判定+(設定B)一段制御+(設定C)停止モード)の場合のスクロール属性判定テーブルを示す説明図である。
【図10】第5のパターン((設定A)複合判定+(設定B)二段制御+(設定C)停止モード)の場合のスクロール属性判定テーブルを示す説明図である。
【図11】図6の結合子Gの続きであり、スクロール属性を決定する流れを示す流れ図である。
【図12】第2のパターン((設定A)単一判定+(設定C)減速モード)の場合のスクロール属性判定テーブルを示す説明図である。
【図13】図11の結合子Hの続きであり、スクロール属性を決定する流れを示す流れ図である。
【図14】第6のパターン((設定A)複合判定+(設定B)二段制御+(設定C)減速モード)の場合のスクロール属性判定テーブルを示す説明図である。
【図15】第4のパターン((設定A)複合判定+(設定B)一段制御+(設定C)減速モード)の場合のスクロール属性判定テーブルを示す説明図である。
【図16】特定制御基準位置を決定するための制御基準位置を設定する制御位置設定画面を示す説明図である。
【図17】リストコントロールのスクロール方向に対する前方エリアの中央を特定制御基準位置に決定することを示す説明図である。
【図18】リストコントロールのスクロール方向に対する中央エリアの中央を特定制御基準位置に決定することを示す説明図である。
【図19】リストコントロールのスクロール方向に対する後方エリアの中央を特定制御基準位置に決定することを示す説明図である。
【図20】特定制御基準位置の決定処理の動作の流れを示す流れ図である。
【図21】設定値(a)、(b)、(c)によって定まる特定制御基準位置を示す説明図である。
【図22】図20の結合子Eの続きであり、ユーザのフリック操作によりスクロール表示の特定制御基準位置を決定する動作の流れを示す流れ図である。
【図23】フリック操作の開始位置によって設定される特定制御基準位置を示す説明図である。
【図24】リストコントロールに、4列×3行の項目(アイコン)が表示されている例を示す説明図である。
【図25】プリントモードでスクロール表示を行う場合の処理対象選択画面(サムネイル表示画面)の一例を示す説明図である。
【図26】eaa.pdfというファイル名のサムネイル(表示項目)が特定制御基準位置に到達したときにスクロール表示を急停止させた状態を示す説明図である。
【図27】HDDから読み出した未処理管理テーブルを示す説明図である。
【図28】プリントモードにおいてUSBメモリ内にあるファイルリストを表示した場合の処理対象選択画面(サムネイル表示画面)の例を示す説明図である。
【図29】図28に示す表示状態における未処理管理テーブルを示す説明図である。
【図30】FAXモードでスクロール表示を開始する前の状態を示した説明図である。
【図31】FAXモードでスクロール表示を行った際の表示例を示した説明図である。
【図32】C.jpgが特定制御基準位置に到達する前後における速度変化を示すグラフである。
【図33】eaa.pdfがFAXモードで送信済の場合の未処理管理テーブルを示す説明図である。
【図34】減速がなかった場合のスクロール表示速度の変化を示すグラフである。
【図35】画像処理装置の印刷履歴を示したリスト画面であるジョブ履歴画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0045】
図1は、本発明の実施の形態に係るネットワークシステム800全体の構成図の一例を示している。ネットワークシステム800は、画像処理装置(MFP)100と、情報処理装置(PC)200と、情報処理装置(PC)210と、サーバ300と、サーバ310とが、LAN(Local Area Network)400を介して接続されている。また、ネットワークシステム800は、LAN400を経由して、インターネット(Internet)500に接続されている。
【0046】
画像処理装置100は、情報処理装置200や情報処理装置210などから印刷ジョブを受け付けて、印刷処理を実行する機能を有している。また、画像処理装置100は、コピージョブやFAXジョブを受け付けて、コピーの実行やFAX送受信を実行する機能も有している。たとえば、コピージョブを受け付けた場合には、所定の原稿から画像データを読み取って、その画像データを印刷用紙に印刷する。また、FAXジョブを受け付けた場合には、電話回線網を経由して指定した他のファクシミリに画像データを送信したり、或いは、他のファクシミリによって送信された画像データを受信する。なお、FAXとは、ファクシミリによって実行されるファクシミリ送受信の総称である。
【0047】
情報処理装置200および情報処理装置210は、ユーザの使用するパーソナルコンピュータ(Personal Computer)である。サーバ300およびサーバ310は、たとえば、情報処理装置200宛に送信された電子メールを管理するメールサーバ(Mail Server)や、TCP/IP(Transmission Control Protocol Internet Protocol)という通信プロトコルを用いてインターネット500に接続されたインターネットサーバ(Internet Server)などである。
【0048】
図2は、画像処理装置100のブロック図を示している。図2に示す画像処理装置100は、画像処理装置100の全体動作を司り各種ジョブの実行を制御するCPU(Central Processing Unit)10と、画像処理部20と、不揮発メモリ30と、自動原稿搬送部40と、ファクシミリ通信部50と、ネットワーク通信部60と、HDD(Hard Disk Drive)70と、ユーザ認証部80と、ROM(Read Only Memory)90と、RAM(Random Access Memory)110と、画像読取部120と、プリンタ部130と、操作表示部140と、USBメモリ(Universal Serial Bus Memory)差込部150とを備えている。また、CPU10は、内部バス160を介して全ての構成要素と接続されている。
【0049】
画像処理部20は、CPU10によって動作が制御されている。たとえば、画像処理部20は、画像の拡大縮小、回転などの処理のほか、印刷データをイメージデータに変換するラスタライズ処理、画像データの圧縮、伸張処理などを行う。
【0050】
不揮発メモリ30は、電源がオフされても記憶内容が破壊されないメモリ(フラッシュメモリ)である。
【0051】
自動原稿搬送部(ADF:Auto Document Feeder)40は、原稿給紙トレイにセットされた原稿束から原稿を一枚ずつ分離して、その原稿をプラテンガラス上面を通過させて画像読取部120に画像を読み取らせた後、原稿排紙トレイに排出する。
【0052】
ファクシミリ通信部50は、PC上で作成した文書データや画像データを、公衆回線網(電話回線網)を用いて送受信する。ネットワーク通信部60は、LAN400を通じて情報処理装置200、情報処理装置210、サーバ300またはサーバ310などの外部装置と各種のデータを送受信する。
【0053】
HDD70は、大容量不揮発の記憶装置であり、たとえば、印刷データや画像データの保存や、各種ファイルの出力状態を示す出力状態管理テーブル(後述)などの保存に使用される。
【0054】
ユーザ認証部80は、画像処理装置100にログインするユーザを認証する処理部である。ユーザ認証部80は、操作表示部140から入力されるユーザID(Identification)やパスワードなどの入力情報に基づいてユーザ認証を行う。たとえば、予めHDD70にユーザごとに設定情報を格納しておき、ユーザ認証を行う際、ユーザ認証部80は、HDD70に格納されたユーザ情報を読み出して、操作表示部140から入力されたユーザIDとパスワードが一致するか判定する。そして、ユーザを特定することができた場合には、認証成功となり、そのユーザをログインユーザとして画像処理装置100をログイン状態に移行させる。
【0055】
ROM90には、各種のプログラムが格納されており、これらのプログラムに従ってCPU10が処理を実行することで、ジョブの実行といった画像処理装置100の各機能が実現される。RAM110は、CPU10がプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや画像データを格納する画像メモリなどとして使用される。
【0056】
画像読取部120は、自動原稿搬送部40から送られる原稿を光学的に読み取って画像データを取得する機能を果たす。画像読取部120は、たとえば、原稿に光を照射する光源と、その反射光を受けて原稿を幅方向に1ライン分読み取るラインイメージセンサと、ライン単位の読取位置を原稿の長さ方向に順次移動させる移動手段と、原稿からの反射光をラインイメージセンサに導いて結像させるレンズやミラーなどからなる光学経路、ラインイメージセンサの出力するアナログ画像信号をデジタルの画像データに変換する変換部などを備えて構成される。
【0057】
プリンタ部130は、画像データに応じた画像を印刷用紙上に画像形成する機能を果たす。ここでは、プリンタ部130は、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有し、電子写真プロセスによって画像形成を行う、所謂、レーザープリンタとして構成されている。画像形成は他の方式でもかまわない。
【0058】
操作表示部140は、表示部と操作部を備えて構成される。表示部は、液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)などで構成され、各種の操作画面、設定画面などを表示する機能を果たす。操作部は、ユーザからジョブの投入や設定など各種の操作を受け付ける機能を果たす。なお、操作部は、表示部の画面に表示される項目を選択したり、画面上に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルのほかテンキーや文字入力キー、スタートキーなどを備えて構成される。
【0059】
USBメモリ差込部150は、画像処理装置100にUSBメモリを差し込むための挿入口である。USBメモリ差込部150は、USBメモリが挿入されると、CPU10によってUSBメモリが挿入されたことが認識される。
【0060】
<本実施の形態の概略説明>
本実施の形態では、ユーザが操作表示部140上でフリック操作を行うと、CPU10は、操作表示部140上に表示されている項目(ファイルやデータを意味するものである。)をスクロール表示させる。そして、所定の検索条件に一致する項目が操作表示部140に表示されたとき、CPU10は、スクロール表示を停止もしくは通常よりも低速に制御する。
【0061】
具体的には、まずユーザは、USBメモリに格納されたファイルやデータの印刷を実行しようとする際に、USBメモリを画像処理装置100に接続する。USBメモリが画像処理装置100に接続されると、画像処理装置100の操作表示部140に、印刷の対象となるファイルやデータが項目として表示される。
【0062】
ユーザは、表示されたファイルやデータに対する実行機能モード、すなわち、プリントするか、ファクシミリ送信するかといった出力に関する機能を選択できる。なお、ユーザが現在選択している実行機能モードを現在モードと呼ぶものとする。また、フリック操作とは、操作表示部140上で行う操作の1つであって、表示されている画面に指を接触させた状態で少しスライドさせる操作のことをいう。具体的には、操作表示部140上で指を素早く払うようにタッチする操作のことである。
【0063】
画像処理装置100は、実行機能モード毎に、USBメモリに格納された各ファイルの実行結果(実行履歴)が登録された出力状態管理テーブルをHDD70に有している。実行結果には、「未出力」、「出力済み」のほか、「出力成功」、「出力失敗」があり、本例では実行結果を、「未出力」、「出力済み」で管理するモード(出力有無モードとする。)と、「出力成功」、[出力失敗]とに分けて管理するモード(成功失敗モード)とを有する。たとえば、実行結果を「未出力」、「出力済み」で管理する出力有無モードの場合の出力状態管理テーブルは、図27に例示する、未処理管理テーブル700のようになっている。なお、出力有無モードと成功失敗モードを総括して管理モードと呼ぶものとする。
【0064】
図27に示す未処理管理テーブル700には、画像処理装置100が有する3つの実行機能モード(プリントモードとFAXモードとScan To Emailモード)について、USBメモリに格納された各ファイルそれぞれの実行結果が記載されている。なお、未処理管理テーブル700には、一例として、5つのファイル(AAAA.png、B.jpg、C.jpg、eaa.pdf、fbb.png)が記載され、それぞれの実行結果とともに、スクロール属性も記載されている。スクロール属性は、操作表示部140上の予め設定された特定制御基準位置にそれぞれのファイル(項目)に対応するサムネイル(表示項目)が来たときのスクロール表示の制御内容を示す属性である。本実施の形態の場合、スクロール属性値には、「停止」、「減速」、「大減速」、「通常」などがある。なお、「通常」とは、ファイルの実行結果に基づいて特に停止も減速も行わずに通常通りの表示を行うことを言う。以下、このことを通常表示ということがある。図27の例では、ファイル(項目)ごとに、「停止」、「減速」、「通常」などのスクロール属性が記載されている。スクロール属性は、ファイルの実行結果に基づいて決定されるが、その決定方法については後述する。
【0065】
ユーザは、まず、実行機能モード(現在モード)を選択する。次に、印刷したい任意のファイルを探すために操作表示部140上でフリック操作を行う。ユーザのフリック操作により、ファイル(項目)に対応する表示項目(サムネイル)が、操作表示部140上でスクロール表示される。そして、操作表示部140上の各表示項目は、与えられているスクロール属性に従って、操作表示部140上にスクロール表示される。
【0066】
たとえば、図27に示すeaa.pdfのスクロール属性は、「停止」である。そのため、eaa.pdfの表示項目(サムネイル)が画面内の所定の制御基準位置に到来するタイミングで、図26に示すように、スクロール表示を停止させる。このように、各項目に対応する表示項目が操作表示部140上の制御基準位置に来たときに、その項目のスクロール属性に従って、停止させる、減速させる、通常表示される、などのスクロール表示の制御が行われる。
【0067】
また、ユーザは、スクロール表示の制御基準位置(以後、特定制御基準位置とも呼ぶ。)を、予め設定することができる。操作表示部140の画面上には、表示項目をスクロール表示させるエリアであるリストコントロールが設けられる。リストコントロールは、所定数の表示項目を一度に表示可能な大きさを有しており、ユーザは、リストコントロール内のいずれかの箇所を特定制御基準位置に設定することができる。
【0068】
たとえば、リストコントロールに一度に表示する表示項目数を3つとして、リストコントロールを3等分し、その3等分されたいずれかの中心を特定制御基準位置として設定する。特定制御基準位置の設定方法には、あらかじめ用意された規定の場所(たとえば、リストコントロールの左、中央、右の3つの場所)から選択する方法と、フリック操作を開始した位置を特定制御基準位置とする方法とがある。後者の場合、リストコントロールの全領域をスクロール方向に3等分した3つの領域のうち、フリック操作を開始した位置(座標)を含む領域の中央が、特定制御基準位置に決定される。
【0069】
<画像処理装置100の全体的な動作>
次に、USBメモリに格納されているファイルに対してプリントなどの処理を行う場合における、実施の形態に係る画像処理装置100の全体的な動作について詳細に説明する。
【0070】
図3から図5は、上記全体的な動作の流れを示している。なお、CPU10は、ROM90に格納されたプログラムに基づいて、図3から図5に示す処理を実行する。
【0071】
<スクロール表示の開始までの準備処理>
まず、図3は、スクロール表示が開始されるまでの準備処理の流れを示している。画像処理装置100は、ユーザによってUSBメモリ差込部150にUSBメモリが差し込まれ、USB接続端子にUSBメモリが接続されたことを検知する(ステップS101)。
【0072】
CPU10は、USBメモリの接続を検出すると、USBメモリ用のファイルシステムを画像処理装置100のシステム領域にマウントする(ステップS102)。すなわち、CPU10は、USBメモリに格納されているファイルを、画像処理装置100のOSにどういったファイルが格納されているかを認識させるための処理を行う。
【0073】
次に、CPU10は、USBメモリに格納されているファイルに対する実行機能モードの選択操作をユーザから受け付ける(ステップS103)。この実行機能モードには、たとえば、プリントモード、FAXモード、Scan To Emailなどがあり、ユーザは、これらから任意の実行機能モードを選択する。そして、CPU10は、選択された実行機能モード(現在モード)をRAM110に記憶させる(ステップS104)。
【0074】
次に、CPU10は、実行結果の管理モードが出力有無モードに設定されているか成功失敗モードに設定されているかを判定する(ステップS105)。なお、実行結果の管理モードは、予め設定登録されていてもよいし、この時点でユーザからの選択操作を受けるようにしてもよい。
【0075】
実行結果の管理モードとして出力有無モードが選択されている場合は(ステップS105;出力有無モード)、スクロール属性を、各実行機能モードでの出力有無(出力済み/未出力)に従って決定する旨を内部登録し(ステップS106)、当該USBメモリに対応する未処理管理テーブルをHDD70から読み出して(ステップS107)、ステップS110へ移行する。
【0076】
実行結果の管理モードとして成功失敗モードが選択されている場合は(ステップS105;成功失敗モード)、スクロール属性を、各実行機能モードでの成功/失敗に従って決定する旨を内部登録し(ステップS108)、当該USBメモリに対応する成功失敗管理テーブルをHDD70から読み出して(ステップS109)、ステップS110へ移行する。
【0077】
成功失敗モードは、出力処理は開始したが、その出力処理が成功したか、失敗したかを実行結果として記録し管理するモードである。たとえば、実行機能モードがプリントの場合における実行結果の「失敗」は、プリント処理の失敗(用紙切れや紙づまりなど)により、プリント処理が未完了であることを示している。成功失敗管理テーブルは、図27に示した未処理管理テーブル700と同様の形式のテーブルであり、「未」、「済」に代えて「失敗」、「成功」が登録される。
【0078】
次に、CPU10は、取得した未処理管理テーブルもしくは成功失敗管理テーブルに登録されている全ての項目(ファイル)について、その項目に対する各実行機能モードでの実行結果に応じたスクロール属性を決定する(ステップS110)。なお、以降の説明では、出力有無モードが設定されており、未処理管理テーブルに基づいてスクロール表示を制御する場合を例に説明する。
【0079】
たとえば、図27の未処理管理テーブル700には、実行機能モードの欄の隣にスクロール属性の欄が設けられている。CPU10は、ユーザによって選択された現在モードを基準に、項目ごとのスクロール属性を停止、減速、通常などに決定する。スクロール属性の決定処理に関する詳細は後述する。
【0080】
CPU10は、すべての項目(ファイル)についてスクロール属性を決定したら、USBメモリの項目に対応した処理対象選択画面(サムネイル表示画面)を操作表示部140上に表示させる(ステップS111)。なお、処理対象選択画面は、前述したリストコントロールを有する画面(たとえば、図25参照)であり、各項目(ファイル)のサムネイル画像(表示項目)が所定数(本例では3個)停止表示可能であると共に、リストコントロール内でサムネイル画像をスクロール表示可能な画面である。表示される各サムネイル画像の内容は、ファイルやデータの種類・内容によって決定される。
【0081】
CPU10は、ユーザが操作表示部140上で行うフリック操作を検出すると(ステップS112;Yes)、操作表示部140上の表示項目(サムネイル)のスクロール表示を開始させると共に、特定制御基準位置を決定する(ステップS113)。本例では、特定制御基準位置は、フリック操作を開始した画面内の右、中央、左のいずれかに決定される。
【0082】
<スクロール属性によるスクロール表示の停止処理>
図4は、図3の結合子Aの続きであり、スクロール属性によるスクロール表示の停止処理の流れを示している。なお、本説明においては、結合子Aの段階では、ステップS112のユーザのフリック操作によって、操作表示部140上の表示項目(サムネイル)がスクロール表示されているものとする。
【0083】
CPU10は、図3のステップS113で決定した特定制御基準位置に表示される表示項目のスクロール属性を、特定制御基準位置の少し前で判断する。具体的には、現在、特定制御基準位置に位置する表示項目の次の表示項目のスクロール属性が判断される。また、CPU10は、操作表示部140にスクロール表示させる表示項目のスクロール属性を、表示項目毎(すなわちサムネイルごと)に判断する。
【0084】
CPU10は、特定制御基準位置の少し手前に位置する表示項目のスクロール属性を判定し、スクロール属性値が「停止」の場合には(ステップS201;Yes)、その表示項目が特定制御基準位置に到達するタイミングでスクロール表示を停止させる(ステップS202)。一方、スクロール属性値が「減速」の場合には(ステップS201;No、ステップS203;Yes)、その表示項目が特定制御基準位置に到達するタイミングでスクロール速度を減速させて(ステップS204)、ステップS206へ移行する。スクロール属性値が「通常」の場合には(ステップS201;No、ステップS203;No)、CPU10は、その表示項目を特定制御基準位置で通常の速度でスクロール表示させて通過させ(ステップS205)、ステップS206へ移行する。
【0085】
ステップS206では、スクロール表示する表示項目の中の最後の表示項目が操作表示部140のスクロール方向端部まで来ているか否かを調べ、端部に到達している場合には(ステップS206;Yes)、CPU10は、スクロール表示を停止させる(ステップS202)。最後の表示項目がスクロール方向端部まで来ていない場合には(ステップS206;No)、ステップS201に戻って処理を継続する。すなわち、CPU10は、特定制御基準位置にある表示項目の次の表示項目についてスクロール属性を判定し、スクロール表示の停止動作等を判断する(ステップS201〜ステップS205)。
【0086】
なお、スクロール表示中に、ユーザがスクロール表示の停止操作を行うと、その時点でスクロール表示は停止する。たとえば、減速されたときにユーザは表示項目の内容を確認し、必要であれば停止操作を行うことでスクロール表示を停止させることができる。たとえば、操作表示部140の任意の箇所や表示項目を指で押下すると、スクロール表示を停止させるように構成する。
【0087】
<スクロール表示が停止した後の処理>
図5は、図4の結合子Bの続きであり、ステップS202でスクロール表示を停止させた後の処理の流れを示している。現在は、図4のステップS202により操作表示部140上でスクロール表示が停止している。ユーザは、操作表示部140上の表示項目を見て、必要に応じてプリントやFAXなど現在モードでの出力処理の実行を指示する(ステップS301)。
【0088】
CPU10は、ファイルに対して出力処理がなされたかを監視しており、たとえば、プリンタ部130を用いて任意の項目(ファイル)についてプリント処理が実行された場合には(ステップS302;Yes)、その実行機能モードと処理結果とを、図1のステップS107で読み込んだ出力状態管理テーブル(本例では、図27のような未処理管理テーブル)に登録して該テーブルを更新する(ステップS303)。
【0089】
CPU10は、ユーザが当該処理対象選択画面での表示項目(サムネイル)の選択操作を終了したか否かを判断しており(ステップS304)、当該処理対象選択画面での作業を終える操作をユーザから受けない場合は(ステップS304;No)、図3の結合子Cに戻り、実行機能モードの変更操作を受けたか否かを判断する(ステップS114)。実行機能モードの変更が無い場合には(ステップS114;No)、図3のステップS112以降の処理が実行される。一方、実行機能モードに変更が有った場合には(ステップS114;Yes)、ステップS104に戻り、以降の処理が実行される。
【0090】
当該処理対象選択画面での作業を終える操作をユーザから受け付けた場合には(ステップS304;Yes)、図1のステップS107で読み込み、ステップS303で更新された出力状態管理テーブル(たとえば、図27)をHDD70に保存し(ステップS305)、USBメモリのマウントを解除(アンマウント)して(ステップS306)本処理を終了する(エンド)。
【0091】
次に、図3のステップS110のスクロール属性の決定処理の動作の流れについて説明する。
【0092】
<スクロール属性の概要>
本実施の形態では、スクロール属性は下記設定Aから設定Cの設定値に基づいて決定される。より詳しくは、設定Aから設定Cに基づいて、スクロール属性を決定する方法として後述する第1のパターンから第6のパターンのうちのいずれかが決定され、決定された方法に基づいてスクロール属性が決定される。
【0093】
まず、設定Aから設定Cについて以下に説明する。
【0094】
(設定A)
設定Aは、「単一判定」と「複合判定」の2つの設定値(選択肢)を持つ。「単一判定」は現在選択されている実行機能モード(現在モード)の実行結果のみでスクロール属性を決定するものであり、「複合判定」は、現在モードの実行結果と他の実行機能モード(他モード)での実行結果の双方に基づいてスクロール属性を決定するものである。
【0095】
(設定B)
設定Bは、設定Aの設定値として「複合判定」が設定された場合に有効になる設定であり、「一段制御」と「二段制御」の2つの設定値を持つ。「一段制御」は、全部の実行機能モードの実行結果が所定の条件に一致する場合のみ、通常とは異なる制御(停止や減速の制御)を行うものである。「二段制御」は、少なくとも一部の実行機能モードの実行結果が所定の条件に一致する場合には通常とは異なる制御を行い、さらに全部の実行機能モードの実行結果が一致する場合と一部の実行機能モードの実行結果が一致する場合とで制御内容を相違させるものである。
【0096】
(設定C)
設定Cは、「減速モード」と「停止モード」の2つの設定値を持つ。「減速モード」は、通常とは異なる制御として停止までは行わない(減速のみ行う)モードであり、「停止モード」は通常とは異なる制御として停止まで行う(停止のみ、または停止と減速とを行う)モードである。
【0097】
スクロール属性を決定する方法は、前述した設定Aから設定Cの設定値に基づいて以下のように決定される。
【0098】
(第1のパターン)
設定Aにおいて「単一判定」が設定(選択)され、設定Cにおいて「停止モード」が設定されると、スクロール属性を決定する方法は第1のパターンとなる(以下において、上記の設定の組み合わせを、「(設定A)単一判定+(設定C)停止モード」のように記載する。)。
【0099】
なお、設定Bは、設定Aにおいて「複合判定」が設定された場合に有効になる設定であるため、「(設定A)単一判定+(設定C)停止モード」のときは、設定Bの設定に関わらず第1のパターンとなる。それぞれのパターンにおけるスクロール属性の決定方法の説明は後述する。
【0100】
(第2のパターン)
「(設定A)単一判定+(設定C)減速モード」の場合は、スクロール属性を決定する方法は第2のパターンとなる。なお、第1のパターンと同様に、「(設定A)単一判定+(設定C)減速モード」のときは、設定Bの設定値に関わらず第2のパターンとなる。
【0101】
(第3のパターン)
「(設定A)複合判定+(設定B)一段制御+(設定C)停止モード」の場合は、スクロール属性を決定する方法は第3のパターンとなる。
【0102】
(第4のパターン)
「(設定A)複合判定+(設定B)一段制御+(設定C)減速モード」の場合は、スクロール属性を決定する方法は第4のパターンとなる。
【0103】
(第5のパターン)
「(設定A)複合判定+(設定B)二段制御+(設定C)停止モード」の場合は、スクロール属性を決定する方法は第5のパターンとなる。
【0104】
(第6のパターン)
「(設定A)複合判定+(設定B)二段制御+(設定C)減速モード」の場合は、スクロール属性を決定する方法は第6のパターンとなる。
【0105】
ユーザは、予め、上記設定Aから設定Cまでの設定値を選択でき、その選択結果は不揮発メモリなどに登録されるようになっている。スクロール属性を決定する処理では、上記設定Aから設定Cの選択された設定値に基づき、第1から第6のいずれのパターンを使用するかを判断して、その判断したパターンに従って、各項目のスクロール属性値を決定するようになっている。以下、6パターンのそれぞれについて説明する。
【0106】
<第1のパターン>
図7は、第1のパターン((設定A)単一判定+(設定C)停止モード)の場合のスクロール属性判定テーブル600を示している。図7に示すスクロール属性判定テーブル600は、現在モードでの出力済/未出力の欄と、制御内容の欄とを有している。注目する項目(ファイル)について、現在モード(たとえばプリントモード)での実行結果が出力済の場合には、その項目のスクロール属性を「通常」に決定する。現在モードでの実行結果が未出力の場合には、その項目のスクロール属性を「停止」に決定する。
【0107】
<第2のパターン>
図12は、第2のパターン((設定A)単一判定+(設定C)減速モード)の場合のスクロール属性判定テーブル630を示している。図12に示すスクロール属性判定テーブル630は、現在モードでの出力済/未出力の欄と、制御内容の欄を有している。注目する項目(ファイル)について、現在モードでの実行結果が出力済の場合には、その項目のスクロール属性を「通常」に決定する。現在モードでの実行結果が未出力の場合には、その項目のスクロール属性を減速(第1の低速モード)に決定する。
【0108】
<第3のパターン>
図9は、第3のパターン((設定A)複合判定+(設定B)一段制御+(設定C)停止モード)の場合のスクロール属性判定テーブル610を示している。図9に示すスクロール属性判定テーブル610は、現在モードの実行結果(出力済・未出力)を示す縦欄と、他モードの実行結果(出力済・未出力)を示す横欄とを有し、これらのマトリクスの各欄に、対応する制御内容が登録されている。
【0109】
注目する項目(ファイル)について、現在モード(たとえばプリントモード)の実行結果が未出力でかつ、すべての他モードの実行結果が未出力の場合には、その項目のスクロール属性を「停止」に決定する。また、現在モードでの実行結果が未出力でかつ、他モードに1つでも出力済がある場合には、その項目のスクロール属性を「通常」に決定する。また、現在モードでの実行結果が出力済の場合には、他モードの状況にかかわらず、その項目のスクロール属性を「通常」に決定する。
【0110】
<第4のパターン>
図15は、第4のパターン((設定A)複合判定+(設定B)一段制御+(設定C)減速モード)の場合のスクロール属性判定テーブル650を示している。図15に示すスクロール属性判定テーブル650は、現在モードの実行結果(出力済・未出力)を示す縦欄と、他モードの実行結果(出力済・未出力)を示す横欄とを有し、これらのマトリクスの各欄に対応する制御内容が登録されている。
【0111】
注目する項目(ファイル)について、現在モード(たとえばプリントモード)の実行結果が未出力でかつ、すべての他モードの実行結果が未出力の場合には、その項目のスクロール属性を「減速」に決定する。また、現在モードでの実行結果が未出力でかつ、他モードに1つでも出力済がある場合には、その項目のスクロール属性を「通常」に決定する。また、現在モードでの実行結果が出力済の場合には、他モードの状況にかかわらず、その項目のスクロール属性を「通常」に決定する。
【0112】
<第5のパターン>
図10は、第5のパターン((設定A)複合判定+(設定B)二段制御+(設定C)停止モード)の場合のスクロール属性判定テーブル620を示している。図10に示すスクロール属性判定テーブル620は、現在モードの実行結果(出力済・未出力)を示す縦欄と、他モードの実行結果(出力済・未出力)を示す横欄とを有し、これらのマトリクスの各欄に対応する制御内容が登録されている。
【0113】
注目する項目(ファイル)について、現在モード(たとえばプリントモード)の実行結果が未出力でかつ、すべての他モードの実行結果が未出力の場合には、その項目のスクロール属性を「停止」に決定する。また、現在モードでの実行結果が未出力でかつ、他モードに1つでも出力済がある場合には、その項目のスクロール属性を「減速(第2の減速)」に設定する。現在モードでの実行結果が出力済の場合には、他モードの状況にかかわらず、その項目のスクロール属性を「通常」に決定する。
【0114】
<第6のパターン>
図14は、第6のパターン((設定A)複合判定+(設定B)二段制御+(設定C)減速モード)の場合のスクロール属性判定テーブル640を示している。図14に示すスクロール属性判定テーブル640は、現在モードの実行結果(出力済・未出力)を示す縦欄と、他モードの実行結果(出力済・未出力)を示す横欄とを有し、これらのマトリクスの各欄に対応する制御内容が登録されている。
【0115】
注目する項目(ファイル)について、現在モード(たとえばプリントモード)の実行結果が未出力でかつ、すべての他モードの実行結果が未出力の場合には、その項目のスクロール属性を「大減速」(第3の低速モード)に決定する。また、現在モードでの実行結果が未出力でかつ、他モードに1つでも出力済がある場合には、その項目のスクロール属性を「少しの減速」(第4の低速モード)に決定する。現在モードでの実行結果が出力済の場合には、他モードの状況にかかわらず、その項目のスクロール属性を「通常」に決定する。第3の低速モード(大減速)は、第4の低速モード(少しの減速)より速度が遅くなるように設定される。
【0116】
なお、第3の低速モード<第4の低速モードの関係があれば、第1、第2、第3、第4の各低速モードの速度の大小関係は任意でよい。たとえば、第4の低速モードと第1の低速モードの速度が同一であってもよく、また、第4の低速モードの速度が、第1の低速モードと第3の低速モードの中間の速さであってもよい。また、第2の低速モードと第4の低速モードの速度が同一であってもよい。
【0117】
なお、スクロール属性の設定は上記の種類に限定されるものではない。たとえば、現在モードを含むいずれかのモードにおいて未出力のファイルが含まれる場合に、スクロール属性を減速に設定する、などとしてもよい。
【0118】
<スクロール属性の決定処理>
図6、8、11、13は、スクロール属性の決定処理(ステップS110)の詳細を示している。なお、CPU10は、ROM90に格納されたプログラムに基づいて、図6、8、11、13に示す処理を実行する。
【0119】
まず、CPU10は、HDD70に格納されている出力状態管理テーブル(たとえば未処理管理テーブル700など)から、項目の各実行機能モードにおける実行結果(出力有無または成功失敗)を取得する(図6:ステップS401)。
【0120】
次に、CPU10は、前述した(設定A:単一判定、複合判定)、(設定B:一段制御、二段制御)、(設定C:減速モード、停止モード)の各要素の設定状態から、スクロール属性が第1から第6のどのパターンに従って設定するか判定する。
【0121】
詳細には、設定Cが停止モードで(ステップS402;No)、設定Aが単一判定であれば(ステップS403;Yes)、第1のパターンと判定する。第1パターンでは、図7のスクロール属性判定テーブル600に従ってスクロール属性を設定する。すなわち、当該項目(ファイル)の現在モードでの実行結果が未出力ならば(ステップS404;Yes)、その項目のスクロール属性を停止にセットする(ステップS405)。未出力でない場合には(ステップS404;No)、その項目のスクロール属性を通常にセットする(ステップS406)。
【0122】
図では、1つの項目に対する設定のみ示してあるが、実際には、ステップS404から406の処理を、対象とする出力状態管理テーブルに登録されているすべての項目について行う。すべての項目のスクロール属性がセットされた場合には、たとえば、図27に示す未処理管理テーブル700のスクロール属性の欄のように、通常、停止、減速などがすべての項目について登録される。
【0123】
設定Cが停止モードで(ステップS402;No)、設定Aが複合判定で(ステップS403;No)、設定Bが一段制御であれば(図8:ステップS421;Yes)、第3のパターンと判定する。第3パターンでは、図9のスクロール属性判定テーブル610に従ってスクロール属性を設定する。すなわち、現在モード(たとえばプリントモード)の実行結果が未出力でかつ、すべての他モードの実行結果が未出力の場合には(ステップS422;Yes)、その項目のスクロール属性を停止に設定する(ステップS423)。その他の場合は(ステップS422;No)、スクロール属性を通常に設定する(ステップS424)。
【0124】
設定Cが停止モードで(ステップS402;No)、設定Aが複合判定で(ステップS403;No)、設定Bが二段制御であれば(図8:ステップS421;No)、第5のパターンと判定する。第5パターンでは、図10のスクロール属性判定テーブル620に従ってスクロール属性を設定する。すなわち、現在モード(たとえばプリントモード)の実行結果が未出力でかつ、すべての他モードの実行結果が未出力の場合には(ステップS425;Yes)、その項目のスクロール属性を停止に設定する(ステップS426)。現在モードでの実行結果が未出力でかつ、他モードに1つでも出力済がある場合には(ステップS427;Yes)、その項目のスクロール属性を減速(第2の低速モード)に設定する(ステップS428)。その他の場合は(ステップS427;No)、スクロール属性を通常に設定する(ステップS429)。
【0125】
設定Cが減速モードで(図6:ステップS402;Yes)、設定Aが単一判定であれば(図11:ステップS501;Yes)、第2のパターンと判定する。第2パターンでは、図12のスクロール属性判定テーブル630に従ってスクロール属性を設定する。すなわち、当該項目(ファイル)の現在モードでの実行結果が未出力ならば(ステップS502;Yes)、その項目のスクロール属性を減速(第1の低速モード)にセットする(ステップS503)。未出力でない場合には(ステップS502;No)、その項目のスクロール属性を通常にセットする(ステップS504)。
【0126】
設定Cが減速モードで(図6:ステップS402;Yes)、設定Aが複合判定で(図11:ステップS501;No)、設定Bが一段制御であれば(図13:ステップS521;Yes)、第4のパターンと判定する。第4パターンでは、図15のスクロール属性判定テーブル650に従ってスクロール属性を設定する。すなわち、現在モード(たとえばプリントモード)の実行結果が未出力でかつ、すべての他モードの実行結果が未出力の場合には(ステップS522;Yes)、その項目のスクロール属性を減速に設定する(ステップS523)。その他の場合は(ステップS522;No)、スクロール属性を通常に設定する(ステップS524)。
【0127】
設定Cが減速モードで(図6:ステップS402;No)、設定Aが複合判定で(図11:ステップS501;No)、設定Bが二段制御であれば(図13:ステップS521;No)、第6のパターンと判定する。第6パターンでは、図14のスクロール属性判定テーブル640に従ってスクロール属性を設定する。すなわち、現在モード(たとえばプリントモード)の実行結果が未出力でかつ、すべての他モードの実行結果が未出力の場合には(ステップS525;Yes)、その項目のスクロール属性を大減速(第3の低速モード)に設定する(ステップS526)。現在モードでの実行結果が未出力でかつ、他モードに1つでも出力済がある場合には(ステップS527;Yes)、その項目のスクロール属性を少しの減速(第4の低速モード)に設定する(ステップS528)。その他の場合は(ステップS527;No)、スクロール属性を通常に設定する(ステップS529)。
【0128】
次に、図3のステップS113の特定制御基準位置の決定処理の動作の流れについて説明する。まず、ユーザは、設定環境により特定制御基準位置を決定するための基準位置を設定する。
【0129】
<特定制御基準位置の選択・設定画面例>
図16は、特定制御基準位置を決定するための制御基準位置を設定する特定制御基準位置設定画面901を示している。図では、リストコントロールをリストと略記している。
【0130】
図16の特定制御基準位置設定画面901には、特定制御基準位置を選択する旨の指示902と、4つの選択肢903のラジオボタンが表示されている。詳細には、ユーザは、特定制御基準位置をリスト前方(左)、中央、後方(右)のいずれかに選択する(これらを領域指定モードとも呼ぶ。)、あるいはフリック開始位置を基準に設定する(フリック開始位置モードとも呼ぶ。)、のいずれかを選択することができる。ユーザがフリック開始位置モードを選択する場合には、フリック操作開始時に指が触れていた座標(フリック開始座標)に基づいて特定制御基準位置が設定される。
【0131】
たとえば、操作表示部140上のリストコントロールを3等分した前方エリア、中央エリア、後方エリアに分割する場合、ユーザがフリック操作を開始したフリック開始座標のx座標が含まれるエリアの中心位置が特定制御基準位置に設定される。図17から図19は、リストコントロールを前方エリア、中央エリア、後方エリアに分けた場合における、フリック開始位置とこれにより決定される特定制御基準位置とを例示している。
【0132】
図17は、リストコントロールのスクロール方向に対する前方エリアの中央を特定制御基準位置に決定することを示している。これは、ユーザによるフリック操作の開始位置がリストコントロールの前方エリアであるため、リストコントロールの前方エリアが特定制御基準位置に決定されている。図18は、リストコントロールのスクロール方向に対する中央エリアの中央を特定制御基準位置に決定することを示している。これは、ユーザによるフリック操作の開始位置がリストコントロールの中央エリアであるため、リストコントロールの中央エリアが特定制御基準位置に決定されている。図19は、リストコントロールのスクロール方向に対する後方エリアの中央を特定制御基準位置に決定することを示している。これは、ユーザによるフリック操作の開始位置がリストコントロールの後方エリア内であるため、リストコントロールの後方エリアが特定制御基準位置に決定されている。なお、フリック開始位置モードの場合には、ユーザのフリック操作が行われる度に、特定制御基準位置が自動的に設定される。
【0133】
特定制御基準位置設定画面901において、領域指定モード(前方、中央、後方)またはフリック開始位置モードが選択されると、その内容が特定制御基準位置モードの設定値としてHDD70に保存される。
【0134】
<特定制御基準位置の決定処理>
図20、22は、特定制御基準位置の決定処理の動作の流れを示している。この処理は、図3のステップS113の詳細内容を示している。なお、CPU10は、ROM90に格納されたプログラムに基づいて、図20と図22に示す処理を実行する。
【0135】
CPU10は、HDD70に格納されている特定制御基準位置モードの設定値を取得する(ステップS601)。特定制御基準位置モードの設定値が領域指定モードかフリック開始位置モードかを判断し(ステップS602)、領域指定モードの場合であって(ステップS602;領域指定モード)、設定されている特定制御基準位置がリスト前方(左側)の場合には(ステップS603;左側)、CPU10は、前方エリアの中心位置を特定制御基準位置に設定する。具体的には、リストコントロールのX方向の幅をW、原点(X=0)を左端とした場合における前方エリアの中心位置の座標である(W/3)/2(これを設定値(a)とする。)に決定する(ステップS604)。
【0136】
設定されている特定制御基準位置がリスト中央の場合には(ステップS603;左側以外、ステップS605;中央)、CPU10は、中央エリアの中心位置を特定制御基準位置に設定する。具体的には、リストコントロールのX方向の幅をW、原点(X=0)を左端とした場合における前方エリアの中心位置の座標である(W/3+W×2/3)/2(これを設定値(b)とする。)に決定する(ステップS606)。設定されている特定制御基準位置がリスト後方(右側)の場合には(ステップS603;左側以外、ステップS605;右側)、CPU10は、後方(右側)エリアの中心位置を特定制御基準位置に設定する。具体的には、(W×2/3+W)/2の(これを設定値(c)とする。)に決定する(ステップS607)。
【0137】
図21は、前述の設定値(a)、(b)、(c)によって定まる特定制御基準位置を示している。図21では、操作表示部140上にリストコントロール810が設けられており、そのリストコントロール810の幅Wが3つの停止領域に分けられている。たとえば、上述の設定値が(W/3)/2(=W/6)の場合には、特定制御基準位置が(a)に設定される。同様に、上述の設定値が(W/3+W×2/3)/2の場合には、特定制御基準位置が(b)に設定される。また、上述の設定値が(W×2/3+W)/2の場合には、特定制御基準位置が(c)に設定される。
【0138】
なお、この設定値は、操作表示部140を構成する液晶パネル(リストコントロール)の幅Wを3つの領域に分けたとき、その3つの領域のそれぞれの中心を特定制御基準位置としたときの値である。本実施の形態では、特定制御基準位置はそれぞれの領域の中心に限定されず、各領域内において詳細な特定制御基準位置を任意に設定することもできる。また、操作表示部140のリストコントロール内には、同時に3つの表示項目を停止表示可能であったが、本実施の形態は3つに限定されるものではなく、ユーザによって任意の個数を設定することができる。
【0139】
HDD70から読み出した特定制御基準位置モードの設定値がフリック開始位置モードの場合には(図20のステップS602;フリック開始位置モード)、結合子Eにより、図22に続く。
【0140】
CPU10は、図3のステップS113において、ユーザのフリック操作を検出すると、そのフリック操作がなされた座標(X1、Y1)(これをフリック開始座標ともいう。)を取得する(ステップS621)。
【0141】
CPU10は、取得したフリック開始座標のx軸座標(X1)によって、特定制御基準位置を決定する。すなわち、フリック開始座標のx座標(X1)が、0≦X1≦W/3の場合には(ステップ622;Yes)、特定制御基準位置を、(W/3)/2の(d)に設定する(ステップS623)。すなわち、図23に示すように、フリック開始座標が前方エリア(E1)内であれば、前方エリアの中心を特定制御基準位置に設定する。
【0142】
フリック開始座標のx座標(X1)が、W/3<X1≦W×2/3の場合には(ステップS622;No,ステップS624;Yes)、CPU10は、特定制御基準位置を、(W/3+W×2/3)/2の(e)に設定する(ステップS625)。すなわち、図23に示すように、フリック開始座標が中央エリア(E2)内であれば、中央エリアの中心を特定制御基準位置に設定する。
【0143】
フリック開始座標のx座標(X1)が、W×2/3<X1≦Wの場合には(ステップS622;No,ステップS624;No)、CPU10は、特定制御基準位置を、(W×2/3+W)/2の(f)に設定する(ステップS626)。すなわち、図23に示すように、フリック開始座標が後方エリア(E3)内であれば、後方エリアの中心を特定制御基準位置に設定する。このようにして、CPU10は、ユーザからフリック開始座標を取得する度に、特定制御基準位置を自動的に決定する。
【0144】
このように、特定制御基準位置は、ユーザの指先によって示されるフリック開始位置のx座標の属するエリアの中心に設定される。なお、本実施の形態では、特定制御基準位置として等分されたリストコントロール810の中心に設定するようになっているが、これに限定されるものではない。また、複数の項目が一行(または一列でもよい。)にある場合も同様に考えられる。これについては、以下に説明する。
【0145】
図24は、リストコントロール811に、4列×3行の項目(ファイル)が表示されている例を示している。この場合、縦方向にスクロール表示を行うことにより、一行につき4つの項目(ファイル)を表示できる。この場合、上の行から順に前方、中央、後方と区別すればよい。そして、同一行に含まれる3つの項目のいずれか1つのスクロール属性が停止または減速の場合には、特定制御基準位置の設定値に基づいて、その行がその特定制御基準位置に差し掛かったときにスクロール表示を停止または低速化させればよい。
【0146】
なお、図24では、リストコントロール811を上中下の3段のエリアに分けた場合について記載しているが、3段に限定されるものではなく、リストコントロール811をより多段に分けて、特定制御基準位置を細かく設定するようにしてもよい。
【0147】
<実施例1>
上述した実施の形態に基づいて、実施例を説明する。たとえば、あるユーザがUSBメモリに格納されているファイルを印刷用紙に直接印刷(Direct Print)したい場合を考える。そのユーザは、USBメモリ内に格納されているファイルリストからプリントしたいファイルを取捨選択し、まだプリントしていないファイルを順番に選んで次々とプリントしたいと考えているものとする。
【0148】
なお、最初に、ユーザがフリック操作を行って、表示項目(サムネイル)を操作表示部140上でスクロール表示させ、未出力の項目(ファイル)に対応する表示項目(サムネイル)がリストコントロール810に表示されたとき、予め決定された特定制御基準位置にその項目に対応する表示項目が停止するようにスクロール表示を急停止させる例について説明する。
【0149】
まず、現在モードの実行結果のみに基づいてスクロール表示を停止させる、第1のパターンの制御を例に説明する。すなわち、「(設定A)単一設定+(設定C)停止モード」の場合の制御について説明する。
【0150】
まず、ユーザは、画像処理装置100のUSBメモリ差込部150にUSBメモリを挿入する。画像処理装置100は、USBメモリ差込部150にUSBメモリが挿入されると、そのUSBメモリ固有のデバイス名と関連付けられた出力状態管理テーブルのファイルをHDD70から読み込む。読み込む出力状態管理テーブルは、環境設定等で出力有無モードが設定されているときは未処理管理テーブルであり、成功失敗モードが設定されているときは成功失敗管理テーブルである。そして、処理対象選択画面(サムネイル表示画面)を操作表示部140上に表示する。ここでは、出力有無モードとして説明を進める。
【0151】
図25は、プリントモードでスクロール表示を行う場合の処理対象選択画面(サムネイル表示画面)の一例を示している。本例は、スクロール前の初期状態を示している。図25では、AAAA.png、B.jpg、C.jpgの3つのサムネイル(表示項目)がリストコントロール810に表示されている。また、画像処理装置100のCPU10は、図27に示す未処理管理テーブル700を読み込んだものとする。
【0152】
図27は、HDD70から読み出した未処理管理テーブル700を示している。図27に示す未処理管理テーブル700は、ファイル名の欄と、実行機能モードの欄と、スクロール属性の欄を有している。また、実行機能モードの欄は、プリントモード、FAXモード、Scan To Emailの3つのモードを有している。そして、ファイル名の欄には、各ファイルのファイル名が記載されている。各実行機能モードの欄には、各ファイルの実行機能モード毎に、出力が実施されたか否かを示す出力情報が、「未/済」(未は未出力を意味し、済は出力済みを意味する。)で表示されている。また、スクロール属性の欄には、プリントモードにおけるファイルごとのスクロール属性値が登録されている。スクロール属性値は、表示開始時に前述したスクロール属性の決定処理により決定される。
【0153】
本例では第1のパターンで(図7のスクロール属性判定テーブル600に従って)スクロール属性値を決定している。すなわち、現在モードであるプリントモードの実行結果のみに基づいてスクロール属性値が決定される。図27の例では、ファイル名:AAAA.png、B.jpg、C.jpgは、それぞれプリントが出力済みなので、そのスクロール属性値は「通常」となっている。eaa.pdf、fbb.pngは、プリントが未出力なので、スクロール属性は「停止」となっている。このように、図27に示すスクロール属性によって、スクロール表示は制御されている。なお、図25における特定制御基準位置は、リストコントロール810の左端(スクロール方向の先頭)に設定されているものとする。
【0154】
図25のプリントモードの状態でユーザが右から左へフリック操作を行うと、左方向にリストコントロール810内のサムネイル(表示項目)がスクロール表示される。このスクロール表示は、図27に示したスクロール属性に従って、未出力のファイル(項目)に対応づけられたサムネイル(表示項目)が特定制御基準位置に来たとき停止される。
【0155】
図26は、eaa.pdfというファイル名のサムネイル(表示項目)が特定制御基準位置に到達したときにスクロール表示を急停止させた状態を示している。図26では、未出力ファイルとして、eaa.pdfと、fbb.pngと、fx.jpgとがサムネイル(表示項目)によって表示されている。
【0156】
もし、たとえフリック操作によるスクロール表示の速度が十分速い状態や、ユーザがフリック操作をした後、スクロール表示が停止する前に何度もフリック操作を出し続けたとしても、プリントモードで未出力のファイルが特定制御基準位置に到達した時点でスクロール表示を急停止させる。なお、フリック操作に起因する多くのスクロール表示では、表示を移動させる際の擬似的な摩擦がシミュレートされており、自然に速度が落ちて止まっていくように、スクロール速度を次第に低下させるようになっている。しかし、本発明では、擬似的な摩擦のシミュレートでスクロール表示が自然に止まる前であっても、プリントモードで未出力のファイルが特定制御基準位置に到達した時点でスクロール表示を急停止させる。
【0157】
なお、未処理管理テーブル700は、たとえば、画像処理装置100のHDD70内にUSBメモリ固有のデバイス名と関連付けてファイルとして保存されていてもよく、隠しファイルとしてUSB内のファイルシステム領域に保存されていてもよく、あるいはファイルシステム外の特殊な領域に記憶させておくようにしてもよい。
【0158】
ところで、図25では、特定制御基準位置がスクロール方向の先頭(左側)に設定されており、図27で示したeaa.pdfのスクロール属性が停止であったため、図26の説明図では、eaa.pdfがリストコントロールの先頭(左側)の特定制御基準位置に来たときにスクロール表示を停止させていた。
【0159】
もし、ここで、eaa.pdfをプリントした場合、プリントモードでは出力済と認識されるので、次回のプリントモードでスクロール表示するときには、eaa.pdfのスクロール属性が「通過」に変わるため、eaa.pdfでは停止しない。また、もし、eaa.pdfをプリントした後に、プリントモードからFAXモードに実行機能モードを切り替えたとしても、FAXモードでスクロール表示を試みても、eaa.pdfはFAXモードで未送信なので、eaa.pdfはスクロール表示せず、停止したままである。なお、図27に示すFAXモードでは、すべてのファイルが未出力であるため、スクロール属性はすべてのファイルで停止することになる。このため、第1のパターンを適用した場合、FAXモードではスクロール表示できないことになる。
【0160】
なお、ここでは、未出力の項目についてスクロール表示を停止させるモードについて説明したが、処理に失敗したファイルについてスクロールを停止させるモード(成功失敗モードのことである。)にしてもよい。本実施の形態では、環境設定等でどちらのモードにするかユーザが任意に選択することができる。
【0161】
次に、現在モードと他モードの実行結果に基づいてスクロール表示の速度を制御する場合の例について説明する。ここでは、スクロール属性を決定する方法は、第5のパターンとする。すなわち、「(設定A)複合判定+(設定B)二段制御+(設定C)停止モード)」の場合の制御について説明する。
【0162】
図28は、プリントモードにおいてUSBメモリ内にあるファイルリストを表示した場合の処理対象選択画面(サムネイル表示画面)の例を示している。ここで、ユーザは、プリントモードにおいて、C.jpgというファイル(項目)をプリントしたものとし、特定制御基準位置は、リストコントロールの中央の位置に決定されたとする。
【0163】
また、ユーザは、プリントモードにおいてC.jpgをプリントした後に、実行機能モードをプリントモードからFAXモードに切り替えたと仮定し、FAXモードに切り替えた後のスクロール属性について、図面を用いて説明する。
【0164】
図29は、C.jpgをプリントアウトした後の未処理管理テーブル710を示している。図29に示す未処理管理テーブル710は、図27と同様の構造である。ここでは、スクロール属性を決定する方法は第5のパターンであるから、FAXモードにおけるスクロール属性値は、図10に示すスクロール属性判定テーブル620に従って決定される。
【0165】
図10に示すスクロール属性判定テーブル620は、注目する項目(ファイル)について、現在モード(たとえばプリントモード)の実行結果が未出力でかつ、すべての他モードの実行結果が未出力の場合には、その項目のスクロール属性を「停止」に決定する。また、現在モードでの実行結果が未出力でかつ、他モードに1つでも出力済みがある場合には、その項目のスクロール属性を「減速」に設定する。現在モードでの実行結果が出力済みの場合には、他モードの状況にかかわらず、その項目のスクロール属性を「通常」に決定する。
【0166】
したがって、図29の未処理管理テーブル710では、ファイル名:AAAA.pngは、プリントが出力済みで、FAXが出力済みで、Scan To Emailが未出力となっているので、スクロール属性は通常となる。B.jpgは、プリントが出力済みで、FAXが出力済みで、Scan To Emailが未出力となっているので、スクロール属性は通常となる。C.jpgは、プリントが出力済みで、FAXが未出力で、Scan To Emailが未出力なので、スクロール属性は減速となる。eaa.pdfは、プリントが未出力で、FAXが未出力で、Scan To Emailが未出力となっているので、スクロール属性は停止となる。fbb.pngは、プリントが未出力で、FAXが未出力で、Scan To Emailが未出力となっているので、スクロール属性は停止となる。
【0167】
図30は、FAXモードでスクロール表示を開始する前の状態を示した説明図であり、AAAA.png、B.jpg、C.jpgの3つのファイルに対応するサムネイル(表示項目)がリストコントロールに表示されている。図30の状態で、ユーザが右から左へのフリック操作を行うと、左方向にリストコントロール内のサムネイル(表示項目)がスクロール表示される。なお、特定制御基準位置は、リストコントロールの中央の位置のままとして、スクロール表示された場合の状態を図31に示す。
【0168】
図31は、FAXモードでスクロール表示を行った際の表示例を示した説明図である。図31では、C.jpgのサムネイル(表示項目)がリスト画面の中央の特定制御基準位置Pに差し掛かったところで、図29に示すスクロール属性に従って、スクロール表示を所定のスクロール表示速度v1まで減速させる。C.jpgは、特定制御基準位置Pを減速されたスクロール表示速度v1で通過し、C.jpgのサムネイル(表示項目)が特定制御基準位置Pから出るときに減速が解除される。なお、このとき、C.jpgの次のファイルであるeaa.pdfのサムネイル(表示項目)が特定制御基準位置Pに差し掛かるので、eaa.pdfのスクロール属性に従って、特定制御基準位置Pにおけるスクロール表示速度が制御される。このように、スクロール表示は、スクロール属性に従って、特定制御基準位置Pを基準に制御される。
【0169】
図32は、C.jpgのサムネイル(表示項目)が特定制御基準位置Pに到達する前後における速度変化を示すグラフである。フリック操作後、擬似的な摩擦のシュミレートにより、一定の減速を行いながら項目がスクロール表示される。C.jpgのサムネイル(表示項目)がリストコントロールの中央の特定制御基準位置Pに差し掛かる少し手前(特定制御基準位置Pで速度が制御される直前)まで進んだとき、CPU10は、スクロール表示速度を速度v1まで下げる。そして、C.jpgのサムネイル(表示項目)が特定制御基準位置Pを速度v1で通過すると、C.jpgの次のファイルであるeaa.pdfのサムネイル(表示項目)がリストコントロールの中央に位置する特定制御基準位置Pに差し掛かる。eaa.pdfは、FAXモードでもプリントモードでもScan To Emailモードでも未出力であるため、スクロール属性は停止である。したがって、CPU10は、eaa.pdfのスクロール属性に従って、eaa.pdfのサムネイル(表示項目)が特定制御基準位置Pに到来するタイミングでスクロール表示を停止させる。
【0170】
これに対し、たとえば、eaa.pdfがFAXモードにおいて送信済みであった場合を考える。この場合の未処理管理テーブル720は、図33のようになる。図33が図29と異なる点は、eaa.pdfがFAXモードにおいて出力済みになっており、eaa.pdfのスクロール属性が通過に決定されている点である。この点以外は図29と同様であるため、説明を省略する。
【0171】
図33の状態の場合、ユーザがフリック操作を開始すると、eaa.pdfのサムネイル(表示項目)が特定制御基準位置Pを通過する際には、eaa.pdfのスクロール属性が通過に設定されている。このため、C.jpgのサムネイル(表示項目)が特定制御基準位置Pに差し掛かった段階で、C.jpgのスクロール表示速度を減速した後、C.jpgのサムネイル(表示項目)が特定制御基準位置Pを通過した後は、C.jpgによる減速が無かった場合の速度に戻すように制御される。
【0172】
図34は、その場合のスクロール表示速度の変化を示すグラフである。図34では、フリック操作によるスクロール表示速度が時間と共に一定の減速で低下する本来の速度を点線で示している。CPU10は、C.jpgのサムネイル(表示項目)がリストコントロール中央の特定制御基準位置Pを通過する際に、一旦、スクロール表示速度をv1まで減速した後、C.jpgによる減速がなかった場合の元のスクロール表示速度に合わせるようにスクロール表示速度を戻す制御を行っている。このため、スクロール表示速度は、C.jpgのサムネイル(表示項目)が特定制御基準位置Pを通過する際に最低速となる。
【0173】
<実施例2>
実施例1では、ユーザがUSBメモリを画像処理装置100に挿入し、Direct Print機能を用いた使用方法であった。本実施の形態は、たとえば、ジョブリストのリスト画面でも適用することができる。
【0174】
図35は、画像処理装置100の印刷履歴を示したリスト画面であるジョブ履歴画面815の一例を示している。図35に示すジョブ履歴画面815では、表示画面の上部の項目をスクロール表示を停止あるいは減速のための検索条件として設定することができる。たとえば、図35では、ユーザ名、状態、ステープル、パンチオプションの有無を選択できる。具体的には、ユーザ名は、検索ユーザ名コンボボックス820のドロップダウンリストに表示されるユーザ名一覧の中から選択することができる。また、状態は、状態選択コンボボックス830のコンボボックスにてジョブの「成功」や「失敗」を選択することができる。また、ステイプルは、ステープルオプションチェックボックス840をチェックすることにより設定することができる。また、パンチの有無は、パンチオプションチェックボックス850をチェックすることにより設定することができる。
【0175】
たとえば、ユーザ「佐藤」がプリントした履歴を探したいときには、検索ユーザ名コンボボックス820から「佐藤」を選択してフリック操作を実行すると、佐藤さんの項目(ジョブ履歴)が、予め設定されている特定制御基準位置(特定制御基準位置が上部に設定されている場合には一番上の行)に来たときにスクロール表示が自動的に急停止する。
【0176】
また、ジョブ履歴画面815などにおいても、前述した6つのパターンでスクロール属性を設定することができる。たとえば、第5のパターン((設定A)複合判定+(設定B)二段制御+(設定C)停止モード)で制御する場合、ユーザ名「佐藤」を第1の検索条件、状態「失敗」を第2の検索条件とし、佐藤かつ失敗のジョブ履歴についてはスクロール表示を停止させ、佐藤であるが状態が失敗でないジョブ履歴についてはスクロール表示を減速し、佐藤でないジョブは通過する、というように制御する。
【0177】
以上説明したように、上述した本発明の実施の形態では、表示項目が列挙されたリストのスクロール表示が開始されてから、所定の検索条件に一致した表示項目が操作表示部140の画面に表示されたとき、CPU10は、スクロール表示を停止もしくは通常よりも低速に制御する。したがって、未出力項目や前回失敗した項目が操作表示部140の画面に現れたとき、CPU10は、スクロール表示を自動的に停止または減速させるので、ユーザは、検索したい表示項目を確認しやすくなり、容易に所望の項目を探し出して選択することができる。
【0178】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0179】
上述した実施の形態および実施例1では、スクロール表示に等速フリック(フリック操作後、一定速度でスクロール表示するモード)や減速フリック(摩擦をシュミレートして減速するモード)を適用した形態について説明したが、本実施の形態はこれらに限定されるものではない。他にも、たとえば、フリック操作の加速度を検出して、その加速度に応じてスクロール表示速度を変化させる形態であってもよく、また、スクロール表示が継続した後に滑らかにスクロール表示が停止する形態であってもよい。
【0180】
また、上述した実施例2では、ユーザ名を検索条件の1つとして検索するようにしていたが、本実施の形態はこれに限らず、上述した実施例2と画像処理装置100のユーザ認証部80と組み合わせることにより、明示的にユーザ名を選択しなくても、現在認証している自分のユーザ名と関連するジョブ項目を検索条件として、自動的にスクロール表示を停止させるように構成されてもよい。。
【0181】
また、実施の形態および実施例1では、USBメモリに格納されたファイルを出力対象とする場合について説明したが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。たとえば、画像処理装置100の有するHDD70や、情報処理装置200またはサーバ300に格納されたファイル、インターネット500上のファイル、画像処理装置100にマウントすることができるCF(Compact Flash)に格納されたファイルであってもよい。
【0182】
また、実施の形態では、スクロール表示の自動停止機能のオンオフをユーザが選択できるように構成してもよい。たとえば、図25に示すように、画面内にスクロール自動停止機能のオンオフを設定するチェックボックス860を設け、このチェックボックス860がチェックされた場合のみスクロール表示を自動停止(或いは減速)させる機能が働くように構成してもよい。
【0183】
また、実施の形態では、ユーザによるフリック操作によって、表示項目をスクロール表示させる開始条件となっていたが、本実施の形態はこれに限らず、操作表示部140にスクロール開始ボタンや検索開始ボタンなどの操作ボタンを用いて、スクロール表示や検索項目を開始する形態であってもよい。たとえば、右スクロール開始ボタン、左スクロール開始ボタンなどを別途設け、そのボタンが操作されると該当する方向へスクロール表示が開始するよう構成でも構わない。
【0184】
また、実施の形態では、スクロール表示の停止・減速に関して第1から第6のパターンを具備する例を示したが、これらすべてのパターンを具備する必要はなく、少なくとも1つのパターンを備えていればよい。
【符号の説明】
【0185】
10…CPU
20…画像処理部
30…不揮発メモリ
40…自動原稿搬送部
50…ファクシミリ通信部
60…ネットワーク通信部
70…HDD
80…ユーザ認証部
90…ROM
100…画像処理装置(MFP)
110…RAM
120…画像読取部
130…プリンタ部
140…操作表示部
150…USBメモリ差込部
160…内部バス
200…情報処理装置(PC)
210…情報処理装置(PC)
300…サーバ
310…サーバ
400…LAN
500…インターネット
600…スクロール属性判定テーブル
610…スクロール属性判定テーブル
620…スクロール属性判定テーブル
630…スクロール属性判定テーブル
640…スクロール属性判定テーブル
650…スクロール属性判定テーブル
650…未処理管理テーブル
660…未処理管理テーブル
700…未処理管理テーブル
710…未処理管理テーブル
720…未処理管理テーブル
800…ネットワークシステム
810…リストコントロール
811…リストコントロール
815…ジョブ履歴画面
820…検索ユーザ名コンボボックス
830…状態選択コンボボックス
840…ステープルオプションチェックボックス
850…パンチオプションチェックボックス
860…スクロール自動停止機能のオンオフチェックボックス
901…特定制御基準位置設定画面
902…指示
903…4つの選択肢

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、
複数の表示項目が列挙されたリストのスクロール表示を前記表示装置の画面上で開始させる操作を受ける操作部と、
前記操作を受けて前記リストのスクロール表示を開始させた後、所定の検索条件に一致する表示項目が前記画面に表示されたとき、前記スクロール表示を通常よりも低速にする制御を行う制御部と、
を有する
ことを特徴とする操作表示装置。
【請求項2】
前記表示項目は複数の属性を持ち、
前記制御部は、
前記表示項目が有するそれぞれの属性に対する条件の成立状況に基づいて、前記スクロールの制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の操作表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記検索条件に完全に一致する表示項目に対する前記制御の内容と、前記検索条件の一部のみに一致する表示項目に対する前記制御の内容とを相違させる
ことを特徴とする請求項2に記載の操作表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記検索条件に完全に一致する表示項目が前記画面に表示されたとき、前記スクロール表示を停止させ、
前記検索条件の一部のみに一致する表示項目が前記画面に表示されたとき、前記スクロール表示を前記低速にする
ことを特徴とする請求項3に記載の操作表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記検索条件の一部のみに一致する表示項目が前記画面に表示されたとき、前記スクロール表示を通常よりも低速の第1の速度に減速させ、
前記検索条件に完全に一致する表示項目が前記画面に表示されたとき、前記スクロール表示を前記第1の速度よりも遅い第2の速度に減速させる
ことを特徴とする請求項3に記載の操作表示装置。
【請求項6】
前記リストは、ファイルを前記表示項目として列挙したリストであり、
前記操作部は、複数の出力モードの中からファイルの出力モードの選択操作を受け付ける機能を有し、
前記検索条件は、前記各出力モードでの出力済み/未出力に関する条件を含み、前記検索条件の一部のみに一致する表示項目とは、現在選択されている出力モードが未出力かつ他の出力モードの少なくとも1つが出力済みの表示項目、もしくは、現在選択されている出力モードが出力済みかつ他の出力モードの少なくとも1つが未出力の表示項目、である
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1つに記載の操作表示装置。
【請求項7】
前記検索条件に完全に一致する表示項目が前記画面に表示されたとき、前記制御を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の操作表示装置。
【請求項8】
前記リストは、ファイルを前記表示項目として列挙したリストであり、
ファイルの出力モードは複数の出力モードの中から選択可能であり、
前記検索条件は、前記各出力モードでのファイルの出力済み/未出力に関する組み合わせである
ことを特徴とする請求項7に記載の操作表示装置。
【請求項9】
スクロール表示を開始させる操作は、前記画面上で指を弾くフリック操作である
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の操作表示装置。
【請求項10】
前記操作部は、前記画面内での速度制御位置の設定操作を受け付け、
前記制御部は、前記検索条件に一致する表示項目が前記速度制御位置に来たとき、前記スクロール表示を停止もしくは低速にする
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の操作表示装置。
【請求項11】
制御部が、複数の表示項目が列挙されたリストを所定の表示装置に表示させるステップと、
操作部を通じて、前記リストのスクロール表示の開始操作を受け付けるステップと
前記制御部が、前記操作部を通じて受けた前記開始操作に基づいて前記リストのスクロール表示を開始させた後、所定の検索条件に一致する表示項目が前記表示装置の画面に表示されたとき、前記スクロール表示を通常よりも低速にする制御を行うステップと、
を有する
ことを特徴とするスクロール表示制御方法。
【請求項12】
前記制御部が、前記表示項目が複数の属性を持ち、当該それぞれの属性に対する条件の成立状況に基づいて、前記スクロールの制御を行う
ことを特徴とする請求項11に記載のスクロール表示制御方法。
【請求項13】
前記制御部が、前記検索条件に完全に一致した表示項目に対する前記制御の内容と、前記検索条件の一部に一致した表示項目に対する前記制御の内容とを相違させる
ことを特徴とする請求項12に記載のスクロール表示制御方法。
【請求項14】
表示装置と操作部が接続された情報処理装置を、
複数の表示項目が列挙されたリストのスクロール表示を前記表示装置の画面に表示させる機能と、
前記リストのスクロール表示の開始操作を前記操作部を通じて受ける機能と、
前記操作部を通じて受けた前記操作開始に基づいて前記リストのスクロール表示を開始させた後、所定の検索条件に一致する表示項目が前記画面に表示されたとき、前記スクロール表示を通常より低速にする制御を行う機能と、
を果たすように動作させる
ことを特徴とするスクロール表示制御プログラム。
【請求項15】
前記表示項目は複数の属性を持ち、当該表示項目が有するそれぞれの属性に対する条件の成立状況に基づいて、前記スクロールの制御を行う機能を果たすように動作させる
ことを特徴とする請求項14に記載のスクロール表示制御プログラム。
【請求項16】
前記情報処理装置を、前記検索条件に完全に一致した表示項目に対する前記制御の内容と、前記検索条件の一部のみに一致した表示項目に対する前記制御の内容とを相違する機能を果たすように動作させる
ことを特徴とする請求項15に記載のスクロール表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2012−230571(P2012−230571A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98799(P2011−98799)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】