説明

支柱埋設材の保護カバー

【課題】簡単な操作により天端を覆って設置でき、雨の日であっても雨養生をすることなく施工でき、風の日であっても塵埃の飛散の影響を受けずしかも風で飛ばされることが防止でき、子供のいたずらや犬や猫などの動物などにより天端が損傷されることが少なくできる。
【解決手段】支柱Aの基端部付近に配置された未固化の埋設材の天端をほぼ覆って配置されるほぼ平面状の保護カバー本体2を備え、保護カバー本体には、支柱が挿入される支柱挿入部2aと、側端部2b,2c同士を連結してほぼ錐状にする連結部2d,2eと、支柱挿入部に形成され雨水などが支柱を伝って侵入することを防止する水滴侵入防止部2fと、周縁部に道路などに釘止めなどにより固定する際に釘などが挿入させる釘挿入孔部2gと、保護カバー本体表面に形成されたわみ難くしてほぼ推状の保形させる補強部2hとが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の歩道などに防護柵・車止め・交通標識などの支柱をコンクリートなどからなる埋設材によって埋設する場合に、埋設材の天端の仕上げ面を覆って配置して、降雨、塵埃の飛散不着、子供などのいたずらなどから天端を保護する支柱埋設材の保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路の歩道等に防護柵・車止め・交通標識などを設置することが行われている。
【0003】
かかる従来における道路の歩道などに防護柵・車止め・交通標識などを設置する作業は、道路などに穴を掘削し、その穴に防護柵・車止め・交通標識などの支柱を挿入し、その穴内にコンクリートなどの埋設材を打設し、この後、支柱の基端部付近に配置された未固化の埋設材の天端を仕上げ、埋設材を固化せることにより行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、雨が降りだしそうなときには、降雨によりコンクリートの天端の仕上げ面が傷ついたり汚れたりしないように、作業日程を延期したり、天端を下げて施工しておき後日晴れた日にコンクリート天端のみを仕上げを行うようにしていた。
【0005】
工期に余裕がない場合においては、小雨であれば施工を強行する場合があるが、雨によってコンクリートの天端が損傷しないように、天端部付近にシートを掛けるなどのいわゆる雨養生に多くの時間が取られることが多かった。
【0006】
風が強い日には塵埃などが飛散して付着する場合があり、塵埃の付着で汚れた天端を再度仕上げする必要が生じ時間がかかる場合があった。
【0007】
晴れた日や風の強くない日であっても、コンクリートの天端の仕上げをしっかりとしても、コンクリートの天端が固化する前に、子供のいたずらや犬や猫が天端を歩くことにより足跡がついたりすることもあり、このように天端に損傷を受けた場合には、後日天端を再度仕上げをする必要が生じ、2度手間、3度手間となる場合があった。
【0008】
以上のような事情から、打設された支柱埋設材の天端を適切に保護しないと、工事に手間がかかり、施工管理、工事工程に支障が出る場合が多かった。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、簡単な操作により天端を覆って設置することができ、雨の日であっても雨養生をすることなく施工することができ、風の日であっても塵埃の飛散の影響を受けず、子供のいたずらや犬や猫などの動物などにより天端を損傷されることが少なく、施工管理や工事工程の管理が便利である支柱埋設材の保護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の請求項1記載の支柱埋設材の保護カバーは、支柱を道路に設けた穴に挿入して当該穴内にコンクリートなどの埋設材を打設して前記支柱を埋設する際に、前記支柱の基端部付近に配置された未固化の埋設材の天端を覆うように取り付けられる支柱埋設材の保護カバーであって、前記埋設材の天端をほぼ覆って配置されるほぼ平面状の保護カバー本体を備え、当該保護カバー本体には前記支柱が挿入される支柱挿入部と、前記保護カバー本体の側端部同士を連結して前記保護カバー本体をほぼ錐状にする連結部とが形成されていることを特徴とする。
(2)本発明の請求項2記載の支柱埋設材の保護カバーは。前記支柱挿入部には、雨水などの水滴が支柱を伝って前記保護カバー本体により覆われた埋設材の天端側に侵入することを防止ないし抑制する水滴侵入防止部が形成されていることを特徴とする。
(3)本発明の請求項3記載の支柱埋設材の保護カバーは、前記保護カバー本体の周縁部には、当該保護カバー本体を道路などに釘止めなどにより固定する際に釘などを挿入する釘挿入孔部が形成されていることを特徴とする。
(4)本発明の請求項4記載の支柱埋設材の保護カバーは、前記保護カバー本体の表面には、当該保護カバー本体自体をたわみ難くしてほぼ推状に保形させる補強部が形成されていることを特徴とする。
(5)本発明の請求項5記載の支柱埋設材の保護カバーは。前記保護カバー本体が複数個の保護カバー本体部材からなり、各保護カバー本体部材の側端部には隣接する保護カバー本体部材同士を相互に連結してほぼ推状にする連結部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
(1)保護カバー本体の支柱挿入部内に支柱の基端部付近を挿入して配置し、保護カバー本体をその連結部を連結して埋設材の天端を覆って推状にすることにより天端を保護でき、雨や塵埃の侵入や子供のいたずらや動物の侵入を防止することができ、天端の損傷を抑制して、天端の仕上げ作業のやり直しを極力無くすことができ、工期管理や日程管理を容易とすることができる。
(2)支柱挿入部に形成した水滴侵入防止部により支柱を伝って雨水などの水滴が埋設材の天端側に侵入することが効果的に抑制・防止でき、保護カバー本体による雨の侵入防止とともに、支柱を伝って雨水などの水滴が侵入することを防止し天端の損傷が防止できる。
(3)釘挿入孔部に釘やネジを挿入して道路などの地面に打ち込むことにより、埋設材の保護カバーを道路などにしっかりと固定することができ、風により保護カバーが吹き飛ばされることなどが低減・防止できる。
(4)補強部により保護カバー本体のたわみが抑制でき、保護カバー本体が推状に保形でき、雨水などの水滴が天端に流れ込むことが低減・防止できる。
(5)1個の埋設材の保護カバーを複数枚の保護カバー本体部材を連結部で連結させて形成するものでは、1個の保護カバー本体部材を製造する型の大きさを小さくすることができ型の製造コストが低減でき、保護カバー本体部材の1個の大きさも小さくなり、運搬や保管も容易できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図面を参照して、本発明の実施の形態に係る支柱埋設材の保護カバーについて説明する。図1は本発明の支柱埋設材の保護カバー1を展開した状態を示す展開図、図2は保護カバー本体2の側端部を示す拡大図、図3は本保護カバー1の使用状態を示す斜視図である。
【0013】
本支柱埋設材の保護カバー1は、支柱Aを道路に設けた穴に挿入して穴内にコンクリートなどの埋設材を打設して支柱Aを埋設する際に、図3に示すように、支柱の基端部付近に配置された未固化の埋設材の天端を覆うように取り付けられるものである。
【0014】
支柱埋設材の保護カバー1は、埋設材の天端をほぼ覆って配置されるほぼ平面状のシート部材からなる保護カバー本体2を備え、保護カバー本体2には支柱Aが挿入される円形状をした支柱挿入部2aが形成されている。シート部材は板厚が例えば0.5〜3.0mm程度の透明ないし半透明なプラスチック材料から形成され、以下に述べる各部は熱プレス加工などにより形成される。
【0015】
保護カバー本体2の側端部2b,2cには保護カバー本体2を、図3に示すように、ほぼ角錐状にするための連結部2d,2eが形成されている。連結部2dは円柱状に突出された突出形状をしており、連結部2eは連結部2dが着脱自在に嵌合させられる立方体状に窪んだ凹形状をしている。
【0016】
保護カバー本体2は、角錐状の稜線を形成するために折り曲げられえる折曲部2j,2kが、シート部材の肉厚を若干薄くするなどの方法により形成されている。折曲部2jは一体部分にて稜線を形成する部分であり、折曲部2kは側端部2b,2cに稜線を形成するものでありかつ連結部2d,2eを係合させるために折り曲げられる部分である。また、保護カバー本体2を角錐状とした場合に底面に沿うように外周縁部を折り曲げる折曲部2mが同様にシート部材の肉厚を若干薄くするなどの方法により形成されている。折曲部2jが外側に向けて凸になるように形成されているのに対して、折曲部2k、折曲部2mが外側に向けて凹になるように形成されている。
【0017】
支柱挿入部2aには、雨水などの水滴が支柱Aを伝って保護カバー本体2により覆われた埋設材の天端側に侵入することを防止ないし抑制する水滴侵入防止部2fが形成されている。水滴侵入防止部2fは、支柱挿入部2aを径方向に多数の切り込みを入れて多数の凸片を連続して形成したものである。
【0018】
保護カバー本体2の周縁部には、保護カバー本体2を道路などに釘止めなどにより固定する際に釘などを挿入するための釘挿入孔部2gが形成されている。図では釘挿入孔部2gは保護カバー本体2の各辺に3個づつ形成してあるが、個数や形状は任意に選択することができる。
【0019】
保護カバー本体2の表面には、保護カバー本体2自体をたわみ難くしてほぼ推状に保形させるための補強部2hが形成されている。補強部2hは、シート部材を型押しして表側に突出させた補強リブ部形状をしており、保護カバー本体2の表面に縦横斜めに形成されている。雨水などは補強部2hに沿って下方に流れることになる。
【0020】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態に係る支柱埋設材の保護カバー1の使用方法について説明する。
【0021】
まず、保護カバー本体2をその折曲部2jにおいて上側に折り目を付けて軽く曲げてほぼ角錐状とする。次に、折曲部2kにおいて表側に手で軽く曲げる。保護カバー本体2の側端部2b,2cのそれぞれを持って保護カバー本体2を軽く開き、開いた開口部を通して保護カバー本体2の中心部付近に形成された支柱挿入部2aに支柱Aを納める。そのとき、支柱挿入部2aに形成された水滴侵入防止部2fを構成する多数の凸辺が外側に位置するように軽く折り曲げて、支柱Aに沿うように配置させる。
【0022】
次いで、保護カバー本体2の両側端部2b,2cに形成された連結部2dと連結部2eを噛み合わせることにより保護カバー本体2を角錐状に組み立てる。保護カバー本体2の周縁部の釘挿入孔部2gにコンクリート釘を通して道路などに打ち込んで保護カバー本体2が飛ばされないように固定して設置を完了させる。
【0023】
保護カバー本体2の支柱挿入部2aを埋設保持された支柱Aの基端部付近に配置して、保護カバー本体2の連結部2d,2eを連結して天端を覆って角推状にすることにより、雨水や塵埃の侵入や子供のいたずらや動物の侵入による損傷が防止でき、天端の損傷を抑制して、天端の仕上げ作業のやり直しが極力無くせ、工期管理や日程管理が容易になる。
【0024】
支柱挿入部2aに形成した水滴侵入防止部2fの凸片により支柱Aを伝って雨水などの水滴が天端側に侵入することが効果的に抑制・防止でき、角錐形状にされた保護カバー本体2による雨の侵入防止効果とともに、支柱Aを伝った雨水などの水滴の侵入も防止でき天端の損傷が防止できる。
【0025】
釘挿入孔部2gに釘やネジを挿入して道路などの地面に打ち込んで、保護カバー本体2を道路などにしっかりと固定でき、風により保護カバー本体2が吹き飛ばされることなどが低減・防止できる。
【0026】
補強部2hにより保護カバー本体2がたわむことが抑制でき、保護カバー本体2を確実に角推状に保形でき、雨水などの水滴が天端に流れ込むことが低減・防止できる。
【0027】
なお、保護カバー本体を、例えば角錐の各側面を形成する複数個の保護カバー本体部材から形成し各保護カバー本体部材の側端部に隣接する保護カバー本体部材を相互に連結してほぼ推状にする連結部を形成するようにしてもよい。
【0028】
このものでは、複数枚の保護カバー本体部材を連結部で連結させて1個の保護カバーを形成でき、1個の保護カバー本体部材を製造する型の大きさが小さくでき製造コストが低減でき、保護カバー本体部材の1個の大きさが小さくなっているので運搬や保管も容易にできる。
【0029】
上記実施の形態に係る支柱埋設材の保護カバーでは、四角錐状になるようにしているが、四角錐ではない多角錐状であっても、円推状であってもよい。
【0030】
上述の実施の形態に係る支柱埋設材の保護カバーでは、連結部2d,2eにより側端部を連結するようにしているが、例えばホチキス(登録商標)のようなステープラーや所望の締付力を備えたクリップ(締結具)により着脱自在に連結するようにしてもよい。
【0031】
上述の実施の形態に係る支柱埋設材の保護カバーでは、水滴侵入防止部2fを単に支柱Aに沿わせるだけであったが、水滴侵入防止部2fにテープを巻き付けることにより水滴侵入防止を確実にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の一形態に係る支柱埋設材の保護カバーを示す展開図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る保護カバー本体の側端部付近を示す拡大図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係る支柱埋設材の保護カバーの使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 支柱埋設材の保護カバー
2 保護カバー本体
2a 支柱挿入部
2b,2c 側端部
2d,2e 連結部
2f 水滴侵入防止部
2g 釘挿入孔部
2h 補強部
2j 折曲部
2k 折曲部
2m 折曲部
A 支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱を道路に設けた穴に挿入して当該穴内にコンクリートなどの埋設材を打設して前記支柱を埋設する際に、前記支柱の基端部付近に配置された未固化の埋設材の天端を覆うように取り付けられる支柱埋設材の保護カバーであって、前記埋設材の天端をほぼ覆って配置されるほぼ平面状の保護カバー本体を備え、当該保護カバー本体には前記支柱が挿入される支柱挿入部と、前記保護カバー本体の側端部同士を連結して前記保護カバー本体をほぼ錐状にする連結部とが形成されていることを特徴とする支柱埋設材の保護カバー。
【請求項2】
前記支柱挿入部には、雨水などの水滴が支柱を伝って前記保護カバー本体により覆われた埋設材の天端側に侵入することを防止ないし抑制する水滴侵入防止部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の支柱埋設材の保護カバー。
【請求項3】
前記保護カバー本体の周縁部には、当該保護カバー本体を道路などに釘止めなどにより固定する際に釘などを挿入する釘挿入孔部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の支柱埋設材の保護カバー。
【請求項4】
前記保護カバー本体の表面には、当該保護カバー本体自体をたわみ難くしてほぼ推状に保形させる補強部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の支柱埋設材の保護カバー。
【請求項5】
前記保護カバー本体が複数個の保護カバー本体部材からなり、各保護カバー本体部材の側端部には隣接する保護カバー本体部材同士を相互に連結してほぼ推状にする連結部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の支柱埋設材の保護カバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−111236(P2008−111236A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293395(P2006−293395)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(506364190)有限会社メンテナンス飯田 (1)
【Fターム(参考)】