説明

放熱部材及びその製造方法、並びに半導体モジュール

【課題】半導体モジュールの小型化及び薄型化を可能とする放熱部材及びその製造方法、並びに前記放熱部材を有する半導体モジュールを提供する。
【解決手段】本放熱部材は、基板上に装着され、前記基板上に実装された半導体部品の発する熱を拡散する放熱部材であって、金属体と、前記金属体と絶縁された状態で前記金属体上に搭載された電子部品と、前記金属体と絶縁された状態で前記金属体の内部に形成された配線と、を有し、前記配線は、前記電子部品と電気的に接続されており、かつ、前記基板と電気的に接続可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等の発する熱を拡散する放熱部材及びその製造方法、並びに前記放熱部材を有する半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディジタルカメラ等の半導体応用製品の小型化や薄型化等が急激に進んでいる。そして、これらに対応するため、半導体素子を内蔵する半導体パッケージ、キャパシタやインダクタ等の電子部品、ヒートスプレッダ等の放熱部材を基板上に搭載した半導体モジュールが提案されている。
【0003】
具体的には、例えば、基板上に実装された複数の電子部品と、これらの電子部品を覆う平板状の天板と、この天板を保持する天板保持部材とを備えた半導体モジュールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。又、基板上に、セラミックス板の両面に平板状金属パターンを形成することでコンデンサとして作用する複合コンデンサ基板が搭載され、更に複合コンデンサ基板上に半導体素子を内蔵する半導体パッケージが実装された半導体モジュールが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−258008号公報
【特許文献2】特開平11−214578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように基板上に電子部品(例えば、キャパシタ)を搭載すると、実装面積が大きくなり、半導体モジュールの小型化が実現できない。又、実装面積を減らすために基板上に高さの高い電子部品(例えば、キャパシタ)を搭載すると、半導体モジュールの薄型化が実現できない。基板に電子部品(例えば、キャパシタ)を内蔵する方法も考えられるが、やはり、半導体モジュールの薄型化が実現できない。特許文献2のように複数の基板を積層する構造でも、半導体モジュールの薄型化が実現できない。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、半導体モジュールの小型化及び薄型化を可能とする放熱部材及びその製造方法、並びに前記放熱部材を有する半導体モジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本放熱部材は、基板上に装着され、前記基板上に実装された半導体部品の発する熱を拡散する放熱部材であって、金属体と、前記金属体と絶縁された状態で前記金属体上に搭載された電子部品と、前記金属体と絶縁された状態で前記金属体の内部に形成された配線と、を有し、前記配線は、前記電子部品と電気的に接続されており、かつ、前記基板と電気的に接続可能とされていることを要件とする。
【0008】
本半導体モジュールは、半導体部品を実装した基板と、前記基板に装着され、前記半導体部品の発する熱を拡散する本発明に係る放熱部材と、を有することを要件とする。
【0009】
本放熱部材の製造方法は、基板上に装着され、前記基板上に実装された半導体部品の発する熱を拡散する放熱部材の製造方法であって、金属体に、絶縁層を介して、電子部品を搭載する工程と、前記金属体の内部に、周囲を絶縁性樹脂で被覆された配線を形成する工程と、前記電子部品と前記配線とを電気的に接続する工程と、を有することを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半導体モジュールの小型化及び薄型化を可能とする放熱部材及びその製造方法、並びに前記放熱部材を有する半導体モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】第1の実施の形態に係る半導体モジュールを例示する平面図である。
【図1B】図1AのA−A線に沿う断面図である。
【図1C】図1AのB−B線に沿う断面図である。
【図2】半導体モジュールの使用形態を例示する模式図である。
【図3】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その1)である。
【図4】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その2)である。
【図5】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その3)である。
【図6】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その4)である。
【図7】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その5)である。
【図8】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その6)である。
【図9】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その7)である。
【図10】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その8)である。
【図11】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その9)である。
【図12】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その10)である。
【図13】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その11)である。
【図14】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その12)である。
【図15】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その13)である。
【図16】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その14)である。
【図17】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その15)である。
【図18】第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図(その16)である。
【図19】第1の実施の形態の変形例1に係る半導体モジュールを例示する断面図である。
【図20】第1の実施の形態の変形例2に係る半導体モジュールを例示する断面図である。
【図21】第1の実施の形態の変形例3に係る半導体モジュールを例示する断面図である。
【図22】第1の実施の形態の変形例4に係るキャパシタの製造工程を例示する図(その1)である。
【図23】第1の実施の形態の変形例4に係るキャパシタの製造工程を例示する図(その2)である。
【図24】第1の実施の形態の変形例4に係るキャパシタの製造工程を例示する図(その3)である。
【図25】第1の実施の形態の変形例5に係るキャパシタの製造工程を例示する図(その1)である。
【図26】第1の実施の形態の変形例5に係るキャパシタの製造工程を例示する図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0013】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る半導体モジュールの構造]
まず、第1の実施の形態に係る半導体モジュールの構造について説明する。図1Aは、第1の実施の形態に係る半導体モジュールを例示する平面図である。図1Bは、図1AのA−A線に沿う断面図である。図1Cは、図1AのB−B線に沿う断面図である。図1A〜図1Cを参照するに、半導体モジュール10は、配線基板20と、半導体部品25と、半導体部品26と、接合部29と、放熱部材30とを有する。
【0014】
配線基板20は、半導体部品25等を実装するための基体となる部材であり、基板本体21と、電極パッド22と、レジスト層23とを有する。配線基板20としては、例えば、FR−4基板(難燃性のガラス布基材にエポキシ樹脂を含浸させた銅張り積層板)等を用いることができる。なお、配線基板20として、ビルドアップ工法により製造されたコアレスやコア有りの多層配線基板、スルービアで各配線層を接続する貫通多層配線基板、IVH(Interstitial Via Hole)で特定の配線層を接続するIVH多層配線基板等を含む様々な配線基板を用いても構わない。
【0015】
絶縁材である基板本体21には配線パターン(図示せず)が形成されており、配線パターン(図示せず)は複数の電極パッド22と電気的に接続されている。各電極パッド22は、半導体部品25や半導体部品26、後述する電子部品50等と電気的に接続されている。レジスト層23は絶縁層であり、基板本体21上に形成されている。レジスト層23は開口部23xを有し、開口部23xは電極パッド22や基板本体21の一部を露出するように形成されている。
【0016】
半導体部品25は、例えば、半導体素子を絶縁性樹脂で封止して外部接続端子を設けた半導体パッケージ(半導体パッケージの周囲に抵抗やキャパシタ等が実装されたものも含む)等であり、配線基板20に実装されている。半導体部品25は、例えば、電源回路として機能する。但し、半導体部品25は、メモリやグラフィックIC(集積回路)、又はその両方を含む回路等であっても構わない。
【0017】
半導体部品26は、例えば、半導体素子を絶縁性樹脂で封止して外部接続端子を設けた半導体パッケージ(半導体パッケージの周囲に抵抗やキャパシタ等が実装されたものも含む)等であり、配線基板20に実装されている。半導体部品26は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の制御用IC(集積回路)として機能する。半導体部品25及び26の外部接続端子(図示せず)は、レジスト層23の開口部23xを介して配線基板20の対応する電極パッド22と電気的に接続されている。
【0018】
以下、半導体部品25が電源回路、半導体部品26が制御用IC(集積回路)であるとして説明する(以降、半導体部品25及び26を、それぞれ電源回路25及び制御用IC26と称する場合がある)。電源回路25が出力する所定の電源電圧が、基板本体21上に形成されている配線パターン(図示しない電源配線及び基準電位)を介して制御用IC26に供給されると、制御用IC26が動作可能となる。
【0019】
放熱部材30は、半導体部品25及び26が動作時に発する熱を拡散するヒートスプレッダとして機能する。放熱部材30の平面形状は、例えば、矩形状とすることができ、その寸法は、例えば、縦30mm×横30mm〜縦50mm×横50mm程度とすることができる。放熱部材30の最大厚さは、例えば、数100μm〜1mm程度とすることができる。放熱部材30は、金属体40と、電子部品50と、絶縁層57及び58と、貫通配線59とを有する。
【0020】
金属体40は、例えば、銅(Cu)や銅合金、アルミニウム(Al)等の熱伝導率の高い金属材料から形成された、例えば、平面形状が略矩形状の部材である。金属体40の表面に、ニッケル(Ni)等によるめっき膜を形成しても構わない。金属体40は、その主要部分が板状に成形されており(板状部41)、板状部41の一方の側には段差が形成され、板状部41の上面41rよりも低い位置に電子部品搭載面42が設けられている。
【0021】
板状部41の配線基板20と対向する側の外周部近傍には、例えば平面形状が額縁状の側壁43が板状部41と一体的に形成されており、更に側壁43の対向する内壁面を橋渡しする隔壁44が板状部41と一体的に形成されている。側壁43と隔壁44により、2つの凹部45及び46が形成されている。凹部45及び46は、半導体部品25及び26を収容する部分である。
【0022】
隔壁44の下面には、凹部47が形成されている。凹部47は、導電性を有する接合部29と金属体40との短絡を防止する機能を有する。但し、凹部47は、必要に応じて形成すればよい。例えば、貫通配線59と接合部29とが精密に位置合わせ可能な場合等には、凹部47は形成しなくてもよい。
【0023】
隔壁44の内部には、貫通孔44xが設けられている。金属体40は、レジスト層23の開口部23x内に設けられた接合部29を介して、基板本体21上に装着されている。この際、シールド効果を得るために、開口部23x内に基準電位(GND)と電気的に接続する電極パッドを設け、前記電極パッド上に設けた接合部29を介して金属体40を基準電位(GND)と電気的に接続してもよい。接合部29としては、例えば、銀(Ag)ペースト等の導電性接着剤を用いることができる。なお、隔壁44は、下面が基板本体21と接するように板状部41から基板本体21側に突出していればよく、必ずしも側壁43の対向する内壁面を橋渡ししなくてもよい。
【0024】
電子部品50は、本体51と、外部電極52a及び52bと、絶縁層53とを有する。電子部品50は電子部品搭載面42に搭載されており、絶縁層57により封止されている。絶縁層57の上面と板状部41の上面41rとは、略面一とされている。絶縁層57は、後述する図2に示すように、半導体モジュール10がマザーボード等に搭載される際に、ヒートシンクと接する部分の一部となる。従って、絶縁層57としては、熱伝導性のフィラー(セラミックフィラー等)を配合して熱伝導率を高めた絶縁性樹脂を用いることが好ましい。このような絶縁性樹脂としては、例えば、PPS(ポニフェニレンサルファイド樹脂)、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0025】
電子部品50としては、キャパシタ、インダクタ、抵抗、センサ(例えば、温度センサ)等を用いることができる。センサは、半導体素子を含むものであってもよい。本実施の形態では、一例として、電子部品50として所定の静電容量を有するキャパシタを搭載した場合について以下の説明を行う。
【0026】
電子部品50の静電容量は、例えば、数100μF程度とすることができる。なお、本実施の形態では、金属体40に3個の電子部品50が搭載されており、それらが並列接続され大容量化されている。例えば、各電子部品50の静電容量が100μFであれば、全体の静電容量は300μFとなる。但し、金属体40に搭載する電子部品50の数は任意に決定することができる。
【0027】
電子部品50において、外部電極52a及び52bは絶縁層53上に形成され、本体51は外部電極52a及び52b上に形成されている。なお、図1B及び図1Cにおいて本体51は簡略化して示しているが、後述する図9(b)等に示すように、本体51は、複数の誘電体層54と、複数の内部電極55a及び55bと、接続部56a及び56bとを有する。本体51において、複数の内部電極55aと複数の内部電極55bとは、誘電体層54を介して互いに間挿し合うように配置されており、各内部電極55a及び55bは、それぞれ接続部56a及び56bにより相互に電気的に接続されている。又、各内部電極55a及び55bは、それぞれ接続部56a及び56bを介して、外部電極52a及び52bと電気的に接続されている。
【0028】
絶縁層58及び貫通配線59は、金属体40の貫通孔44x内に形成されている。より詳しくは、絶縁層58は、貫通配線59と貫通孔44xの内壁面との間に設けられ、貫通配線59と金属体40との短絡を防止している。絶縁層58としては、例えば、エポキシ系の絶縁性樹脂等を用いることができる。貫通配線59としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。
【0029】
貫通配線59は、貫通孔44x内から外部電極52a及び52b並びに絶縁層53を貫通する貫通孔53x内に延設されている。なお、貫通孔44x及び53xは、略同一径に形成され、位置あわせされている。外部電極52a及び52bは、貫通配線59及び接合部29を介して、基板本体21上に形成された電極パッド22と電気的に接続されている。
【0030】
外部電極52aと外部電極52bの何れか一方はプラス端子、他方はマイナス端子である。プラス端子は、貫通配線59、接合部29、及び電極パッド22を介して、電源回路25と制御用IC26とを電気的に接続する電源配線(図示せず)と電気的に接続されている。マイナス端子は、貫通配線59、接合部29、及び電極パッド22を介して、基準電位(図示せず)と電気的に接続されている。なお、本実施の形態では、プラス端子及びマイナス端子のそれぞれに対して5つの貫通配線59が並列に接続されているが、プラス端子及びマイナス端子のそれぞれに対して設けられる貫通配線59の数は任意に決定することができる。
【0031】
電源回路25と制御用IC26とを電気的に接続する電源配線(図示せず)及び基準電位(図示せず)から、電極パッド22、接合部29、及び貫通配線59を介して、外部電極52aと外部電極52bとの間に電圧を印加することにより、電子部品50に所定量の電荷(電気エネルギー)を蓄えることができる。又、制御用IC26の高速動作時等に、電源回路25からの電流供給が追いつかない場合には、貫通配線59、接合部29、及び電極パッド22を介して、電子部品50から制御用IC26に電流を供給することができる。その結果、制御用IC26に供給される電源電圧が一時的に低下することを防止できるため、制御用IC26の安定動作が可能となる。
【0032】
図2は、半導体モジュールの使用形態を例示する模式図である。図2を参照するに、半導体モジュール10は、マザーボード100に搭載され、半導体モジュール10上には、金属体40及び絶縁層57と接するようにヒートシンク110が搭載されている。更に、ヒートシンク110上には、ファン120が配置されている。なお、金属体40とヒートシンク110との間の接触熱抵抗を減らしてスムーズな熱伝導を行うために、金属体40とヒートシンク110との間にインジウム等の熱伝導部材(TIM;Thermal Interface Material)を挟んでも構わない。
【0033】
半導体部品25及び26の動作時に発する熱は、ヒートスプレッダである放熱部材30の金属体40に伝わり拡散される。そして、金属体40で拡散された熱は、更にヒートシンク110に伝わってヒートシンク110から外部に放出される。ヒートシンク110から放出された熱によりヒートシンク110周辺の空気が暖められるが、暖められた空気はファン120により強制的に排除され、ヒートシンク110周辺には低温の空気が導入される。これにより、ヒートシンク110からの放熱効果が向上する。
【0034】
ところで、電源回路25及び制御用IC26は、共に動作時に発熱するが、電源回路25と制御用IC26の一方は他方よりも発熱量が大きい。そこで、本実施の形態では、電源回路25の発熱量と制御用IC26の発熱量を比較して、より発熱量の小さい部品の上方に電子部品50を搭載している。換言すれば、電子部品50は、電源回路25の発熱量と制御用IC26の発熱量を比較して、より発熱量の大きい部品と平面視で重複する領域外に搭載されている。図2は、制御用IC26の発熱量が電源回路25の発熱量よりも大きい場合の例を示しており、電子部品50は、より発熱量の大きい制御用IC26と平面視で重複する領域外に搭載されている。これにより、より発熱量の大きい制御用IC26上の金属体40は絶縁層57を介さずに直接ヒートシンク110に接するため、制御用IC26で発した熱が金属体40を介してヒートシンク110に伝熱し易くなる。
【0035】
なお、図2の例では、半導体モジュール10が直接マザーボード100に搭載されているが、半導体モジュール10は、ソケットを介してマザーボード100に搭載される場合もある。
【0036】
[第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造方法について説明する。図3〜図18は、第1の実施の形態に係る半導体モジュールの製造工程を例示する図である。
【0037】
(電子部品50)
図3〜図10に示す工程では、電子部品50(本実施の形態ではキャパシタ)を製造する。なお、図3〜図9において、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。図10において、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線に沿う断面図である。
【0038】
まず、図3に示す工程では、絶縁層53を準備する。絶縁層53としては、例えば、シート状のエポキシ樹脂等を用いることができる。次に、図4に示す工程では、絶縁層53上に所定間隔をおいて並設するように外部電極52a及び52bを形成する。外部電極52a及び52bの材料としては、例えば、銅(Cu)やニッケル(Ni)等の導電性材料を用いることができる。外部電極52a及び52bは、例えば、銅(Cu)やニッケル(Ni)等の導電性材料を含むシートを絶縁層53上に貼り付けることにより形成できる。又、銅(Cu)やニッケル(Ni)等の導電性材料を無電解めっき法等により絶縁層53上に形成してもよい。又、はんだ等により接続してもよい。
【0039】
次に、図5に示す工程では、外部電極52a及び52bを覆うように絶縁層53上に誘電体層54を形成する。但し、後述する図9に示す工程で接続部56a及び56bを形成するため、外部電極52a及び52bのそれぞれの一方の側縁部は誘電体層54から露出させておく。又、後述する図10に示す工程で貫通孔53xを形成するため、外部電極52a及び52bのそれぞれの前縁部は誘電体層54から露出させておく。誘電体層54の材料としては、例えば、高誘電率材料であるSrTiO(チタン酸ストロンチウム)やBaTiO(チタン酸バリウム)等のセラミック材料等を用いることができる。誘電体層54は、例えば、外部電極52a及び52bを覆うように、SrTiO(チタン酸ストロンチウム)等を含むシートを絶縁層53上に貼り付けることにより形成できる。又、外部電極52a及び52bを覆うように、SrTiO(チタン酸ストロンチウム)等をスパッタ法等により絶縁層53上に形成してもよい。
【0040】
次に、図6に示す工程では、誘電体層54上に内部電極55aを形成する。但し、後述の図9に示す工程で接続部56aを形成する側の内部電極55aの側面と誘電体層54の側面とが面一となり、接続部56bを形成する側の内部電極55aの側面が誘電体層54の側面よりも内側に入るようにしておく。内部電極55aの材料や形成方法は、図4に示した外部電極52a及び52bと同様とすることができる。
【0041】
次に、図7に示す工程では、図5に示す工程と同様にして内部電極55aを覆うように1層目の誘電体層54上に更に誘電体層54を積層する。そして、図6に示す工程と同様にして2層目の誘電体層54上に内部電極55bを形成する。但し、後述の図9に示す工程で接続部56bを形成する側の内部電極55bの側面と誘電体層54の側面とが面一となり、接続部56aを形成する側の内部電極55bの側面が誘電体層54の側面よりも内側に入るようにしておく。
【0042】
次に、図8に示す工程では、図5〜図7の工程を必要数繰り返す。これにより、複数の内部電極55aと複数の内部電極55bとが、誘電体層54を介して互いに間挿し合うように配置される。各内部電極55a及び55bは、誘電体層54により互いに電気的に絶縁される。なお、後述の図9に示す工程で接続部56aを形成する側の各内部電極55aの側面は誘電体層54の一方の側面から露出しており、後述の図9に示す工程で接続部56bを形成する側の各内部電極55bの側面は誘電体層54の他方の側面から露出している。
【0043】
次に、図9に示す工程では、誘電体層54の一方の側面から露出する各内部電極55aの側面と外部電極52aの上面とを接続する接続部56aを形成する。又、誘電体層54の他方の側面から露出する各内部電極55bの側面と外部電極52bの上面とを接続する接続部56bを形成する。接続部56a及び56bの材料としては、例えば、銅(Cu)やニッケル(Ni)等の導電性材料を用いることができる。接続部56a及び56bは、例えばスパッタ法や無電解めっき法等により形成できる。以上の工程により、外部電極52a及び52b上に、誘電体層54、内部電極55a及び55b、並びに接続部56a及び56bを含む本体51が形成される。
【0044】
なお、本実施の形態では、本体51に内部電極55a及び55bを3個ずつ設けた構造としているが、これに限定されるものではなく、より多くの内部電極55a及び55bを設けた構造とし、静電容量を高めることが可能である。
【0045】
次に、図10に示す工程では、外部電極52a及び52bのそれぞれの前縁部(誘電体層54が形成されていない部分)に、外部電極52a及び絶縁層53、又は外部電極52b及び絶縁層53を貫通する貫通孔53xを形成する。貫通孔53xは、例えば、COレーザ等を用いたレーザ加工法で形成してもよいし、ドリルを用いて機械的に形成してもよい。貫通孔53xの平面形状は、例えば円形とすることができ、その直径は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。以上の工程により、電子部品50(キャパシタ)が完成する。
【0046】
(放熱部材30)
図11〜図16に示す工程では、金属体40を作製し、作製した金属体40に電子部品50(キャパシタ)を搭載して放熱部材30を製造する。なお、図11〜図16において、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図、(c)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【0047】
まず、図11に示す工程では、金属体40を作製する。金属体40は、例えば、銅(Cu)や銅合金、アルミニウム(Al)等の熱伝導率の高い金属材料を金型を用いてプレス加工することにより作製できる。作製された金属体40の表面に、ニッケル(Ni)等によるめっき膜を形成しても構わない。なお、金属体40の形状に関しては、図1A〜図1Cを参照して説明した通りである。
【0048】
次に、図12に示す工程では、図11に示す貫通孔44x内に絶縁性樹脂を充填して絶縁層58を形成する。具体的には、図11に示す構造体を、凹部47側を下にして、下金型(図示せず)上に配置する。そして、下金型上に上金型を配置し、所定の樹脂流入部からエポキシ系の絶縁性樹脂等を流し込み、図11に示す貫通孔44x内に充填させる。この際、下金型に、凹部47の一部(絶縁層58を形成すべき部分の周囲)に嵌合する突起部を設けておくと、その部分には絶縁性樹脂が充填されないため、絶縁層58の下部周囲に凹部47が残存する。
【0049】
次に、図13に示す工程では、各絶縁層58に、各絶縁層58を貫通する貫通孔58xを形成する。貫通孔58xは、例えば、COレーザ等を用いたレーザ加工法で形成してもよいし、ドリルを用いて機械的に形成してもよい。貫通孔58xの平面形状は、例えば円形とすることができ、その直径は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0050】
次に、図14に示す工程では、図13に示す構造体の電子部品搭載面42に電子部品50(キャパシタ)を搭載する。具体的には、貫通孔53xと貫通孔58xとを位置あわせし、接着剤等により電子部品50(キャパシタ)を電子部品搭載面42に固着する。なお、本実施の形態では、電子部品搭載面42に3つの電子部品50を搭載する。各電子部品50は、並列に接続される。より詳しくは、各電子部品50の外部電極52a同士、各電子部品50の外部電極52b同士が電気的に接続される。
【0051】
次に、図15に示す工程では、貫通孔53x及び58xに、銅(Cu)等の導電性材料を充填して貫通配線59を形成する。貫通配線59は、例えば、無電解めっき法等により形成できる。
【0052】
次に、図16に示す工程では、電子部品50(キャパシタ)を覆うように、電子部品搭載面42に絶縁層57を形成する。絶縁層57の材料としては、前述の熱伝導率を高めた絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層57としてシート状の熱硬化型絶縁性樹脂を用いた場合には、電子部品50(キャパシタ)を覆うように電子部品搭載面42にシート状の熱硬化型絶縁性樹脂をラミネートする。そして、ラミネートしたシート状の熱硬化型絶縁性樹脂を硬化温度以上に加熱して硬化させる。この際、所定の圧力で押圧してもよい。
【0053】
又、絶縁層57として液状又はペースト状の熱硬化型絶縁性樹脂を用いた場合には、電子部品50(キャパシタ)を覆うように電子部品搭載面42に液状又はペースト状の熱硬化型絶縁性樹脂を例えばスピンコート法等により塗布する。そして、塗布した液状又はペースト状の熱硬化型絶縁性樹脂を硬化温度以上に加熱して硬化させる。なお、絶縁層57の上面と板状部41の上面41rとは、略面一とすることが好ましい。以上の工程により、金属体40に電子部品50(キャパシタ)を搭載した放熱部材30が完成する。
【0054】
なお、金属体40はグランドとして使用することができる。この場合には、外部電極52aと外部電極52bのうち、マイナス端子として使用される側の外部電極の一部が、金属体40と電気的に接続される。前記外部電極の一部は、金属体40と直接接続しても間接的に接続してもよい。前記外部電極の一部を金属体40と間接的に接続する場合には、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、はんだ、それらを含む導電性樹脂等、ワイヤボンディング等により接続することができる。その際、前記外部電極の一部と接続される金属体40の表面に酸化膜が形成されている場合には、上記各工程に加えて、前記酸化膜をエッチング等により除去する工程を更に含んでもよい。又、金属体40において、前記外部電極の一部と接続される箇所は、金属体40上で自由に選択することができる。
【0055】
(半導体モジュール10)
図17及び図18に示す工程では、電源回路25及び制御用IC26を実装した配線基板20を作製し、作製した配線基板20に放熱部材30を装着し、半導体モジュール10を完成させる。なお、図17及び図18において、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図、(c)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【0056】
まず、図17に示す工程では、周知の方法により電極パッド22が形成された基板本体21を作製し、接合部29を形成する領域を露出する開口部23xを有するレジスト層23を基板本体21に形成して配線基板20とする。そして、配線基板20にレジスト層23を介して電源回路25及び制御用IC26を実装する。開口部23xを有するレジスト層23を形成するには、基板本体21の一方の面に、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等を含む感光性樹脂組成物からなる液状又はペースト状のレジストを塗布する。或いは、基板本体21の一方の面に、例えばエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂等を含む感光性樹脂組成物からなるフィルム状のレジスト(例えば、ドライフィルムレジスト等)をラミネートする。そして、塗布又はラミネートしたレジストを露光及び現像することで開口部23xを形成する。なお、予め開口部23xを形成したフィルム状のレジストを基板本体21の一方の面にラミネートしても構わない。
【0057】
次に、図18に示す工程では、開口部23x内に、銀(Ag)ペースト等の導電性接着剤を塗布し、接合部29を形成する。その後、図18に示す構造体に接合部29を介して放熱部材30を配置し、接合部29を加熱しながら放熱部材30を図18に示す構造体側に押圧する。これにより、放熱部材30の金属体40は接合部29を介して配線基板20の基板本体21上に装着され、放熱部材30の貫通配線59は接合部29を介して配線基板20の電極パッド22と電気的に接続され、図1A〜図1Cに示す半導体モジュール10が完成する。
【0058】
なお、予め側壁43の下面等に凸部を設け、基板本体21の対応する位置に凹部を設け、これらを位置あわせすることにより、図18に示す構造体に接合部29を介して放熱部材30を容易に装着できる。
【0059】
このように、第1の実施の形態では、金属体40に電子部品50を搭載し、金属体40と絶縁された状態で金属体40の内部に貫通配線59を形成して、貫通配線59の一端を電子部品50と電気的に接続し、他端を外部と電気的に接続可能とした放熱部材30を作製した。これにより、放熱部材30を半導体部品25や26が実装された配線基板20に装着して半導体モジュール10としたときに、貫通配線59を介して、電子部品50を半導体部品25や26と電気的に接続することができる。すなわち、従来は、電子部品を搭載する領域ではなかった金属体40に電子部品50を搭載することにより、配線基板20の配線領域を犠牲にしなくてよいため、半導体モジュール10の小型化が可能となる。
【0060】
又、電子部品50は、金属体40の上面よりも低い位置に設けられた電子部品搭載面42に搭載されており、電子部品50が金属体40の上面から突出していないため、半導体モジュール10の薄型化が可能となる。
【0061】
又、特に電子部品50がキャパシタであり、配線基板20に電源回路25と制御用IC26が実装されている場合には、電源回路25から制御用IC26に至る電源配線及び基準電位(GND)を電源回路25と制御用IC26との間に設けられた隔壁44内を通る貫通配線59を介して電子部品50に接続できるため、電源回路25及び制御用IC26と電子部品50との配線長を短縮できる。その結果、制御用IC26が動作して、電流が高速で過渡的な変動をした時に、電子部品50から素早い充放電によって制御用IC26に電流を供給することが可能となり、制御用IC26に供給される電源の電圧変動を低減することができる。特に、動作周波数が高くなると共に消費電流が増加しつつある近年の半導体部品に対して有効である。
【0062】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、金属体に隔壁を設けない例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0063】
図19は、第1の実施の形態の変形例1に係る半導体モジュールを例示する断面図であり、第1の実施の形態の図1Bに対応している。図19を参照するに、半導体モジュール10Aは、配線基板20と、半導体部品25と、半導体部品26と、接合部29と、放熱部材30Aとを有する。放熱部材30Aは、金属体40Aと、電子部品50と、絶縁層57及び58と、貫通配線59とを有する。
【0064】
金属体40Aの板状部41Aの配線基板20と対応する側の外周部近傍には平面形状が額縁状の側壁43が板状部41Aと一体的に形成されているが、第1の実施の形態とは異なり、隔壁44は形成されていない。又、第1の実施の形態とは異なり、側壁43により、1つの凹部45Aが形成されている。凹部45Aは、半導体部品25及び26を収容する部分である。
【0065】
又、第1の実施の形態では隔壁44に貫通孔44xが形成されていたが、本実施の形態では隔壁44が存在しないため、側壁43の電子部品50に最も近い部分に貫通孔43xが形成されており、貫通孔43x内に絶縁層58及び貫通配線59が形成されている。又、電子部品50(キャパシタ)は、貫通孔53x側を側壁43側に向けて配置されている。
【0066】
なお、第1の実施の形態と同様に、凹部47は、必要に応じて形成すればよい。例えば、貫通配線59と接合部29とが精密に位置合わせ可能な場合等には、凹部47は形成しなくてもよい。
【0067】
このように、第1の実施の形態の変形例1によれば、側壁43を有し隔壁を有さない金属体40Aを用い、側壁43に設けた貫通孔43x内に絶縁層58及び貫通配線59を形成して、電子部品50と配線基板20の電極パッド22とを電気的に接続する。その結果、第1の実施の形態と同様の効果を奏する。但し、電子部品50から制御用IC26までの配線経路を短縮化できる点では、第1の実施の形態の方が有利である。
【0068】
〈第1の実施の形態の変形例2〉
第1の実施の形態の変形例2では、金属体の段差が形成されていない略平坦な面に電子部品を配置する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例2において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0069】
図20は、第1の実施の形態の変形例2に係る半導体モジュールを例示する断面図であり、第1の実施の形態の図1Bに対応している。図20を参照するに、半導体モジュール10Bは、配線基板20と、半導体部品25と、半導体部品26と、接合部29と、放熱部材30Bとを有する。放熱部材30Bは、金属体40Bと、電子部品50と、絶縁層57及び58と、貫通配線59とを有する。
【0070】
第1の実施の形態とは異なり、金属体40Bの板状部41Bには、上面41sよりも低い位置には電子部品搭載面が設けられていない。板状部41Bの上面41sは段差が形成されていない略平坦な面であり、その一部の領域に電子部品50(キャパシタ)が搭載される。すなわち、板状部41Bの上面41s自体が電子部品搭載面である。電子部品50(キャパシタ)は、半導体部品25の上方に配置されている。但し、電子部品50(キャパシタ)を板状部41Bの上面41sのより広い領域(全面に設けてもよい)に形成し、電子部品50(キャパシタ)を大容量化してもよい。
【0071】
このように、第1の実施の形態の変形例2によれば、金属体40Bの段差が形成されていない略平坦な面に電子部品50(キャパシタ)を配置するため、電子部品50(キャパシタ)を容易に大容量化することができる。
【0072】
但し、電子部品50(キャパシタ)及び絶縁層57が板状部41Bの上面41sから突出するため、第1の実施の形態に係る半導体モジュール10と比較すると半導体モジュール10Bの総厚は厚くなる。しかし、金属体40B上に電子部品50(キャパシタ)を配置するため、電子部品50(キャパシタ)を扁平化することができる。その結果、大容量化のために配線基板の配線領域に高さの高い電子部品を配置したり、基板を積層したりする必要がなくなるため、従来の半導体モジュールと比較すると薄型化が可能である。
【0073】
なお、半導体モジュール10Bを用いる場合には、図2において、ヒートシンク110の半導体モジュール10Bと接する面に段差部を設け、ヒートシンク110と絶縁層57及び板状部41Bの上面41sとが接するようにすることが好ましい。
【0074】
〈第1の実施の形態の変形例3〉
第1の実施の形態の変形例3では、第1の実施の形態の変形例1において、金属体の段差が形成されていない略平坦な面に電子部品を配置する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例3において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0075】
図21は、第1の実施の形態の変形例3に係る半導体モジュールを例示する断面図であり、第1の実施の形態の図1Bに対応している。図21を参照するに、半導体モジュール10Cは、配線基板20と、半導体部品25と、半導体部品26と、接合部29と、放熱部材30Cとを有する。放熱部材30Cは、金属体40Cと、電子部品50と、絶縁層57及び58と、貫通配線59とを有する。
【0076】
第1の実施の形態の変形例1とは異なり、金属体40Cの板状部41Cには、上面41tよりも低い位置には電子部品搭載面が設けられていない。板状部41Cの上面41tは段差が形成されていない略平坦な面であり、その一部の領域に電子部品50(キャパシタ)が搭載される。すなわち、板状部41Cの上面41t自体が電子部品搭載面である。電子部品50(キャパシタ)は、半導体部品25の上方に配置されている。但し、電子部品50(キャパシタ)を板状部41Cの上面41tのより広い領域(全面に設けてもよい)に形成し、電子部品50(キャパシタ)を大容量化してもよい。
【0077】
このように、第1の実施の形態の変形例3によれば、金属体40Cの段差が形成されていない略平坦な面に電子部品50(キャパシタ)を配置するため、電子部品50(キャパシタ)を容易に大容量化することができる。
【0078】
但し、電子部品50(キャパシタ)及び絶縁層57が板状部41Cの上面41tから突出するため、第1の実施の形態の変形例1に係る半導体モジュール10Aと比較すると半導体モジュール10Cの総厚は厚くなる。しかし、金属体40C上に電子部品50(キャパシタ)を配置するため、電子部品50(キャパシタ)を扁平化することができる。その結果、大容量化のために配線基板の配線領域に高さの高い電子部品を配置したり、基板を積層したりする必要がなくなるため、従来の半導体モジュールと比較すると薄型化が可能である。
【0079】
なお、半導体モジュール10Cを用いる場合には、図2において、ヒートシンク110の半導体モジュール10Cと接する面に段差部を設け、ヒートシンク110と絶縁層57及び板状部41Cの上面41tとが接するようにすることが好ましい。
【0080】
〈第1の実施の形態の変形例4〉
第1の実施の形態の変形例4では、第1の実施の形態とは異なる方法で、電子部品50(キャパシタ)を製造する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例4において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0081】
図22〜図24は、第1の実施の形態の変形例4に係るキャパシタの製造工程を例示する図である。なお、図22において、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。図23において、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線に沿う断面図である。図24において、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図、(c)は(a)のB−B線に沿う断面図である。
【0082】
まず、図3及び図4に示す工程を実行する。そして、図22に示す工程では、絶縁層53に外部電極52c及び52dを形成する。外部電極52c及び52dは、絶縁層53の外部電極52a及び52bが形成されている面の反対面に、それぞれが絶縁層53を介して外部電極52a及び52bと対向するように形成する。なお、外部電極52c及び52dの材料や形成方法は、外部電極52a及び52bと同様である。
【0083】
次に、図5〜図8に示す工程を実行した後、図10に示す工程と同様にして、貫通孔53xを形成する。但し、本実施の形態では、外部電極52a、絶縁層53、及び外部電極52c、又は外部電極52b、絶縁層53、及び外部電極52dを貫通する貫通孔53xを形成する。そして、図23に示す工程では、図9に示す工程と同様にして接続部56a及び56bを形成すると共に、貫通孔53x内に接続部56a及び56bと同じ材料を充填し貫通配線61を形成する。以上の工程により、電子部品50(キャパシタ)が完成する。
【0084】
次に、図11〜図13に示す工程を実行した後、図24に示す工程では、貫通孔58xに、銅(Cu)等の導電性材料を充填して貫通配線62を形成する。貫通配線62は、例えば、無電解めっき法等により形成できる。
【0085】
次に、図14に示す工程と同様にして、図24に示す構造体の電子部品搭載面42に図23に示す電子部品50(キャパシタ)を搭載する。この際、外部電極52c及び52dに銀(Ag)ペースト等の導電性接着剤を塗布し、対応する貫通配線62と電気的に接続する。その後、第1の実施の形態の図16以降の工程を実行することにより、半導体モジュール10が完成する。
【0086】
このように、第1の実施の形態の変形例4によれば、電子部品搭載面42に電子部品50を搭載する際に、外部電極52c及び52dと対応する貫通配線62とを位置あわせすればよいため、第1の実施の形態のように貫通孔53xと貫通孔58xとを位置あわせする場合と比較して、容易に位置あわせすることができる。
【0087】
〈第1の実施の形態の変形例5〉
第1の実施の形態の変形例5では、第1の実施の形態及び第1の実施の形態の変形例4とは異なる方法で、電子部品50(キャパシタ)を製造する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例5において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0088】
図25及び図26は、第1の実施の形態の変形例5に係るキャパシタの製造工程を例示する図である。なお、図25において、(a)は平面図、(b)は(a)のE−E線に沿う断面図である。図26において、(a)は平面図、(b)は(a)のF−F線に沿う断面図である。
【0089】
まず、図25に示す工程では、キャパシタ搭載用の配線基板70を作製する。配線基板70の平面形状は、図22等に示す絶縁層53と同様である。配線基板70としては、例えば、FR−4基板(難燃性のガラス布基材にエポキシ樹脂を含浸させた銅張り積層板)等を用いることができる。FR−4基板は、例えば、ガラス布基材にエポキシ樹脂を含浸させた絶縁層と、銅(Cu)からなる導体層とを周知の方法で積層することにより形成できる。
【0090】
図25において、配線基板70の絶縁層71の一方の面(下面)には導体層である外部電極72a及び72bが形成され、絶縁層71の他方の面(上面)には導体層である内部電極75a及び75bが形成されている。又、絶縁層71の内部には、導体層である内層73a及び73bが形成されている。外部電極72aは、内層73a及びスルーホール74aを介して、内部電極75aと電気的に接続されている。外部電極72bは、内層73b及びスルーホール74bを介して、内部電極75bと電気的に接続されている。外部電極72a及び72bは、図22等に示す外部電極52c及び52dに対応する位置に形成されている。内部電極75a及び75bは、帯状の電極であり、所定の間隔で交互に配置されている。各内部電極75aは、内層73aにより相互に接続されている。又、各内部電極75bは、内層73bにより相互に接続されている。
【0091】
次に、図26に示す工程では、隣接する内部電極75a及び75b上に複数のチップキャパシタ79を実装する。チップキャパシタ79は2つの電極を有し、それぞれの電極が内部電極75a及び75bの何れかと、はんだ(図示せず)等を介して電気的に接続される。これにより、各チップキャパシタ79は、並列に接続される。
【0092】
チップキャパシタ79としては、例えば、市販されている部品(例えば、所謂1005サイズのチップキャパシタ等)を用いることができる。所謂1005サイズの1μFのチップキャパシタの大きさは、縦1.0mm×横0.5mm×高さ0.2mm程度である。配線基板70の平面形状が例えば75mm×75mmの矩形状であれば、所謂1005サイズの1μFのチップキャパシタを150個程度搭載できる。すなわち、電子部品50(キャパシタ)として、静電容量が150μFのキャパシタを実現できる。図26に示す電子部品50(キャパシタ)は、図23に示す電子部品50(キャパシタ)と同様にして、図24に示す構造体の電子部品搭載面42に搭載することができる。
【0093】
このように、第1の実施の形態の変形例5によれば、第1の実施の形態の変形例4と同様の効果を奏するが、更に、以下の効果を奏する。すなわち、第1の実施の形態の変形例5では、市販の部品を用いることにより、静電容量の大きな電子部品50(キャパシタ)を容易に作製できる。
【0094】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0095】
例えば、第1の実施の形態等では、金属体40と電子部品50とを別々に作製し、金属体40上に電子部品50を搭載する例を示した。しかし、金属体40を先に作製し、金属体40上で電子部品50を作製してもよい。
【符号の説明】
【0096】
10、10A、10B、10C 半導体モジュール
20、70 配線基板
21 基板本体
22 電極パッド
23 レジスト層
23x 開口部
25、26 半導体部品
29 接合部
30、30A、30B、30C 放熱部材
40、40A、40B、40C 金属体
41、41A、41B、41C 板状部
41r、41s、41t 上面
42 電子部品搭載面
43 側壁
44 隔壁
44x、53x、58x 貫通孔
45、46、47 凹部
50 電子部品
51 本体
52a、52b、52c、52d、72a、72b 外部電極
53、57、58、71 絶縁層
54 誘電体層
55a、55b、75a、75b 内部電極
56a、56b 接続部
59、61、62 貫通配線
73a、73b 内層
74a、74b スルーホール
79 チップキャパシタ
100 マザーボード
110 ヒートシンク
120 ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に装着され、前記基板上に実装された半導体部品の発する熱を拡散する放熱部材であって、
金属体と、
前記金属体と絶縁された状態で前記金属体上に搭載された電子部品と、
前記金属体と絶縁された状態で前記金属体の内部に形成された配線と、を有し、
前記配線は、前記電子部品と電気的に接続されており、かつ、前記基板と電気的に接続可能とされていることを特徴とする放熱部材。
【請求項2】
前記金属体は、上面よりも低い位置に電子部品搭載面を有し、前記電子部品は前記電子部品搭載面に搭載されていることを特徴とする請求項1記載の放熱部材。
【請求項3】
前記電子部品は、絶縁性樹脂により封止され、前記絶縁性樹脂の上面は、前記金属体の上面と面一であることを特徴とする請求項2記載の放熱部材。
【請求項4】
前記金属体は、前記半導体部品と、前記基板上に実装された他の半導体部品とを分離する隔壁を有し、
前記配線の少なくとも一部は、前記隔壁の内部に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の放熱部材。
【請求項5】
前記電子部品はキャパシタであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載の放熱部材。
【請求項6】
半導体部品を実装した基板と、
前記基板に装着され、前記半導体部品の発する熱を拡散する請求項1乃至3の何れか一項記載の放熱部材と、を有する半導体モジュール。
【請求項7】
前記基板には、他の半導体部品が実装され、
前記金属体は、前記半導体部品と、前記他の半導体部品とを分離する隔壁を有し、
前記配線の少なくとも一部は、前記隔壁の内部に形成されていることを特徴とする請求項6記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記他の半導体部品と前記半導体部品の一方が他方よりも発熱量が大きく、
前記電子部品は、前記他の半導体部品の発熱量と前記半導体部品の発熱量を比較して、より発熱量の大きい部品と平面視で重複する領域外に搭載されていることを特徴とする請求項7記載の半導体モジュール。
【請求項9】
前記半導体部品は、前記他の半導体部品に電源を供給する電源回路であり、
前記電子部品は、前記電源と基準電位との間に接続されているキャパシタであることを特徴とする請求項7又は8記載の半導体モジュール。
【請求項10】
基板上に装着され、前記基板上に実装された半導体部品の発する熱を拡散する放熱部材の製造方法であって、
金属体に、絶縁層を介して、電子部品を搭載する工程と、
前記金属体の内部に、周囲を絶縁性樹脂で被覆された配線を形成する工程と、
前記電子部品と前記配線とを電気的に接続する工程と、を有する放熱部材の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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