説明

放送受信装置およびその制御方法

【課題】バルク伝送方式の放送番組の受信に必要な情報を適時に受信できるとともに、チューナーによる消費電力および発熱を抑えることができる放送受信装置およびその制御方法を提供する。
【解決手段】デジタル放送受信装置が、複数のチューナー(100、102)を有し、1つのチャンネルを使って放送される通常伝送方式の放送番組と複数のチャンネルを使って放送されるバルク伝送方式の放送番組とを受信可能な第1の受信手段と、放送番組とは別に放送されている、放送番組の伝送方式に関する情報を含む伝送情報を受信する第2の受信手段(114)と、第2の受信手段により受信した伝送情報に基づいて第1の受信手段を制御する制御手段(113)と、を備える。制御手段(113)は、伝送情報を参照することにより第1の受信手段で受信すべき放送番組が通常伝送方式かバルク伝送方式かを判断し、通常伝送方式の場合は1つのチューナー(100)のみを稼働させ、バルク伝送方式の場合は複数のチューナー(100、102)を稼働させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送を受信可能な放送受信装置およびその制御方法に関し、特に、バルク伝送方式に対応した放送受信装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
将来的な放送サービスの一つとして、バルク伝送方式によるデジタル放送が検討されている。バルク伝送方式では、2チャンネル帯域を用いて(=受信装置側は2個のチューナーを稼動させる)、高解像度映像(例えば4k×2k)の番組をライブ送信することが可能になる。バルク伝送方式のサービス開始後、放送局からは、現行の受信装置で受信可能な1チャンネル帯域を使用する番組と、バルク伝送方式対応受信装置でのみ受信可能な2チャンネル帯域を使用するバルク伝送方式の番組とが混在して放送されることになる。
【0003】
バルク伝送方式においては、放送データをデジタル放送受信装置内に一旦蓄積し、放送とは非同期に視聴を行う運用も検討されている。例えば、広帯域の伝送方法を用いることにより、本来の視聴時間よりも短い時間で高速に伝送・蓄積することができる。また、従来放送の空き帯域などを用いることにより、本来の視聴時間よりも長い時間で低速に伝送・蓄積することもできる。
【0004】
バルク伝送方式は、2チャンネル帯域を用いて放送データを伝送する。バルク伝送方式対応の放送受信装置は、2セットのチューナー部および復調部を備えており、それぞれのチューナー部で放送データを受信する。そして放送受信装置は、2個の復調部の出力を合成して高解像度の映像を生成する。したがって、バルク伝送方式のチャンネルを選局する際には、放送受信装置は、予め、合成の対象となる2つのチャンネルを示す情報(バルク相関情報とよぶ)を取得する必要がある。
【0005】
特許文献1には、地上デジタル放送受信用の複数のチューナーを備え、複数のチューナーの出力を合成して再生可能な受信装置が開示されている。また特許文献1では、合成の対象を示す情報を受信装置に知らせる手段として、一方のチャンネルのデータ中に、相関のある他方のチャンネルの情報を付加する方法を提案している。
【特許文献1】特開2003−152579号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バルク伝送方式対応の放送受信装置において、常に全てのチューナーに電力を供給すると、チューナーによる消費電力の増大および発熱が問題になる。しかしながら、放送受信装置が待機状態のときにチューナーへ電力を供給しないようにした場合、バルク伝送方式のチャンネル選局に時間がかかる。また、放送データの蓄積や予約録画に支障をきたすおそれもある。以下、図19A〜図19Cを参照して、チューナーの電源制御の例とその問題点を詳しく説明する。
【0007】
図19A〜図19Cは、バルク伝送方式による放送信号(バルク伝送方式チャンネル)と1チャンネル帯域を用いる通常伝送方式による放送信号(通常伝送方式チャンネル)を受信可能な放送受信装置におけるチューナー部および復調部の電源制御の例を示す表である。バルク伝送方式対応の放送受信装置は、チューナー部および復調部を2組(第1のチューナー部と復調部、第2のチューナー部と復調部)備えている。
【0008】
図19Aは、消費電力および発熱を最小にする電源制御を示している。「状態1:待機
状態」は、デジタル放送受信装置が使用されていない状態である。第1のチューナー部および復調部、第2のチューナー部および復調部、双方とも電源切である。「状態2:通常伝送方式受信状態」は、通常伝送方式チャンネルを受信している状態である。第1のチューナー部および復調部が1チャンネル帯域を受信するため、第1のチューナー部および復調部は電源入である。第2のチューナー部および復調部は、受信する信号がないため、電源切である。「状態3:バルク伝送方式受信状態」は、バルク伝送方式チャンネルを受信している状態である。第1のチューナー部および復調部が電源入であり、一方の1チャンネル帯域を受信する。第2のチューナー部および復調部も電源入であり、バルク伝送方式を構成する他方の1チャンネル帯域を受信する。つまり、2組のチューナー部および復調部が協働して2チャンネル帯域を受信する。
【0009】
デジタル放送受信装置が、バルク伝送方式チャンネルを受信する際、2つのチャンネルの相関を示す情報(バルク相関情報)を取得する必要がある。通常伝送方式チャンネルからバルク伝送方式チャンネルへの切り換えが発生した場合、図19Aの電源制御では、放送受信装置が第2のチューナー部及び復調部の電源を入れ、バルク相関情報を取得した後、バルク伝送チャンネルの受信が始まる。したがって、図19Aの電源制御には、チャンネル切り換えが遅いという課題がある。
【0010】
そこで、図19Bに示すようにチューナー部および復調部の電源制御を行う方法が考えられる。図19Bに示す電源制御では、「状態2:通常伝送方式受信状態」でも第2のチューナー部および復調部の電源を入れ、第2のチューナー部および復調部によりバルク相関情報を予め受信しておく。図19Bに示す制御を行った場合、バルク相関情報が予め蓄積されるので、状態2から状態3へ切り換える時間を短くすることができる。
【0011】
しかしながら、図19Bの電源制御でも、状態1から状態3へ直接遷移した場合(つまり、放送受信装置の電源入と同時に選ばれたチャンネルがバルク伝送方式チャンネルであった場合)は、チャンネル切り換えが遅いという課題がある。
【0012】
そこで、図19Cに示すようにチューナー部および復調部の電源制御を行う方法が考えられる。図19Cに示す電源制御では、「状態1:待機状態」でも第2のチューナー部および復調部の電源を入れ、第2のチューナー部および復調部によりバルク相関情報を予め受信しておく。図19Cに示す制御を行った場合、バルク相関情報が予め蓄積されるので、状態1から状態3へ切り換える時間を短くすることができる。
【0013】
しかし、図19A〜図19Cのいずれの電源制御でも、「状態3:バルク伝送方式受信状態」において、別のバルク伝送方式チャンネルへチャンネルが切り換えられた際は、チャンネル切り換えに時間を要する。状態3においては、別のバルク伝送方式チャンネルのバルク相関情報を予め取得し蓄積しておくことができないためである。また、図19Bに示す電源制御方法では、状態2において、第2のチューナー部および復調部における消費電力および発熱が、図19Aに示す電源制御方法と比べ、増加する。同じく、図19Cに示す電源制御方法では、状態1および状態2において、第2のチューナー部および復調部における消費電力および発熱が、図19Aに示す電源制御方法と比べ、増加する。
【0014】
また上述したように、バルク伝送方式においては、伝送と視聴が非同期となる伝送方式がある。つまり、視聴とは無関係な伝送速度にて、一旦デジタル放送受信装置内部に放送データを蓄積し、その後視聴する方式である。本方式に対応したデジタル放送受信装置は、放送番組の放送時間の変更が生じた際に、その時間変更を迅速に検知し、放送データの受信時刻を自動的に変更する必要がある。それゆえ、放送時間変更に関する情報を適時に取得するために、少なくとも1組のチューナー部および復調部に常時電源を供給しておくべきである。しかし、チューナー部および復調部による消費電力および発熱が大きくなる
課題がある。とはいえ、消費電力および発熱を防ぐためにチューナー部等への電力供給を停止すると、放送データの受信・蓄積に支障をきたす可能性がある。予約録画においても同様の課題が生ずる。
【0015】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、バルク伝送方式の放送番組の受信に必要な情報を適時に受信できるとともに、チューナーによる消費電力および発熱を抑えることができる放送受信装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用する。
本発明の第1の態様は、複数のチューナーを有し、1つのチャンネルを使って放送される通常伝送方式の放送番組と複数のチャンネルを使って放送されるバルク伝送方式の放送番組とを受信可能な第1の受信手段と、
前記放送番組とは別に放送されている、放送番組の伝送方式に関する情報を含む伝送情報を受信する第2の受信手段と、
前記第2の受信手段により受信した伝送情報に基づいて前記第1の受信手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記伝送情報を参照することにより前記第1の受信手段で受信すべき放送番組が通常伝送方式かバルク伝送方式かを判断し、通常伝送方式の場合は1つのチューナーのみを稼働させ、バルク伝送方式の場合は複数のチューナーを稼働させる放送受信装置である。
【0017】
本発明の第2の態様は、複数のチューナーを有し、1つのチャンネルを使って放送される通常伝送方式の放送番組と複数のチャンネルを使って放送されるバルク伝送方式の放送番組とを受信可能な放送受信装置の制御方法であって、
前記放送番組を受信するためのチューナーとは異なるチューナーにより、前記放送番組とは別に放送されている、放送番組の伝送方式に関する情報を含む伝送情報を受信する工程と、
受信した前記伝送情報を参照することにより、受信すべき放送番組が通常伝送方式かバルク伝送方式かを判断する工程と、
受信すべき放送番組が通常伝送方式の場合は1つのチューナーのみが稼働し、バルク伝送方式の場合は複数のチューナーが稼働するように、前記複数のチューナーを制御する工程と、を備える放送受信装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、バルク伝送方式の放送番組の受信に必要な情報を適時に受信できるとともに、チューナーによる消費電力および発熱を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明の好適な実施形態の構成について説明する。本発明の実施形態に係る放送受信装置は、1つのチャンネルを使って放送される通常伝送方式の放送番組と複数のチャンネルを使って放送されるバルク伝送方式の放送番組とを受信可能な第1の受信手段を備える。第1の受信手段は、放送番組(番組本体を構成するデータ)を受信するための複数のチューナー(図1の符号100、102;図8の符号800、802;図18の符号800、1802参照)を備える。なお現在は2つのチャンネルを利用するバルク伝送方式が予定されているが、本発明は2チャンネルに限らず、3以上のチャンネルを利用するバルク伝送方式にも適用することができる。
【0020】
放送局からは、放送番組とは別に、伝送情報が放送される。伝送情報は、少なくとも、放送番組の伝送方式に関する情報(通常伝送方式かバルク伝送方式かを示す情報、チャン
ネルを示す情報など)を含んでいる。また伝送情報は、伝送開始時刻や伝送終了時刻に関する情報を含むこともできる。伝送情報は、放送番組を伝送するための帯域(第1の帯域)よりも狭い帯域(第2の帯域)において伝送される。この第2の帯域は、第1の帯域とは独立していてもよいし(図3参照)、第1の帯域内の一部のセグメント(図10参照)でもよい。
【0021】
本実施形態の放送受信装置は、上記伝送情報を受信するための第2の受信手段(図1の符号114、115、116;図8の符号812、813、814;図18の1802、1803、814参照)を備えている。すなわち、放送受信装置は、放送番組(番組本体を構成するデータ)を受信するための第1の受信手段とは別に、伝送情報を受信するための専用の受信手段を備えているのである。よって、第1の受信手段の状態(待機状態、通常伝送方式チャンネルを受信している状態、バルク伝送方式チャンネルを受信している状態など)によらず、伝送情報の取得が可能である。典型的には、第2の受信手段のチューナーが電力を常に供給されており、伝送情報を常に受信可能な状態に保たれているとよい。これにより、各放送番組の伝送方式に関する情報や伝送開始時刻に関する情報などを随時更新できるため、選局のタイムラグを可及的に小さくできるとともに、放送時間の変更を漏れなく迅速に検知することが可能となる。なお、第2の受信手段による消費電力や発熱をも低減するために、例えば、第2の受信手段による伝送情報の受信処理を所定のインターバルを挟んで断続的に行う構成も好ましい。また、放送受信装置が待機状態にある場合は第2の受信手段への電力供給を停止することも好ましい。
【0022】
第2の受信手段のチューナーには、第1の受信手段のチューナーよりも消費電力が小さいチューナーを用いることが好ましい。これにより、第2の受信手段を常に(または長時間)稼働させたとしても、消費電力および発熱を抑えることができる。例えば、第2の受信手段のチューナーとしては、第1の受信手段のチューナーよりも受信帯域の狭いチューナーを用いることができる。典型的には、第1の受信手段のチューナーとは別に、第2の受信手段のチューナーが設けられる(図1の符号114、図8の符号812参照)。他の構成として、放送番組を伝送するための帯域(第1の帯域)全体を受信する第1受信モードと、伝送情報が伝送されている狭帯域(第2の帯域)のみを低消費電力で受信する第2受信モードを備えるチューナーを用いてもよい(図18の符号1802参照)。これにより、第1の受信手段のチューナーと第2の受信手段のチューナーを1つのチューナーで兼用することができ、放送受信装置を小型化できる。
【0023】
放送受信装置は、第2の受信手段により受信した伝送情報に基づいて第1の受信手段を制御する制御手段を備える(図1の符号113、125〜128;図8及び図18の符号811、824〜827参照)。例えば、視聴者より放送番組の選局要求があった場合、制御手段は、伝送情報を参照することにより第1の受信手段で受信すべき放送番組が通常伝送方式かバルク伝送方式かを判断する。そして、制御手段は、通常伝送方式の場合は1つのチューナーのみを稼働させ、バルク伝送方式の場合は複数のチューナーを稼働させる。このような制御により、チューナーによる消費電力および発熱を可及的に抑制することができる。また、第2の受信手段で伝送情報が予め取得されているので、選局のタイムラグも可及的に小さくできる。伝送情報が放送番組の伝送開始時刻に関する情報を含んでいる場合、制御手段は、伝送情報を参照することにより第1の受信手段で受信すべき放送番組の伝送開始時刻を取得し、その伝送開始時刻に合わせて第1の受信手段に放送番組の受信を開始させることができる。このような制御により、放送時間の変更による放送データの受信・蓄積の失敗を低減することができる。
【0024】
では、以下に本発明の具体的な実施例を詳しく説明する。
【0025】
<実施例1>
(放送受信装置)
図1は、本発明の実施例1におけるデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。本実施例におけるデジタル放送受信装置は、バルク伝送方式により送信されるデジタル放送波を受信し、受信と同時に視聴者に映像および音声として提示する。また、本実施例におけるデジタル放送受信装置は、バルク伝送方式ではない通常伝送方式のデジタル放送をも受信し、受信と同時に視聴者に提示する。
【0026】
図1に示すようにデジタル放送受信装置は、チューナー部100、復調部101、チューナー部102、復調部103、TS合成部104(TS:Transport Stream)、デマルチプレクス部105を備える。また、同装置は、映像復号部106、映像表示部107、音声復号部108、音声出力部109、SIデータ取得部110(SI:Service Information)、SIデータ解析部111、番組情報蓄積部112、制御部113を備える。さ
らに、同装置は、狭帯域チューナー部114、狭帯域復調部115、伝送情報取得部116、伝送情報解析部117、伝送情報蓄積部118、制御バス119〜120、電源124、電源制御部125〜130を備える。
【0027】
制御部113が、他の構成部を制御し、デジタル放送受信装置を制御する。図示していないアンテナとチューナー部100は第1のデジタル放送信号121を受信し、復調部101は受信された信号を復調し、第1のTS信号を生成する。アンテナとチューナー部102は第2のデジタル放送信号122を受信し、復調部103は受信された信号を復調し、第2のTS信号を生成する。TS合成部104は、第1のTS信号と第2のTS信号を合成する。デマルチプレクス部105は、SIデータ取得部110が要求するSIデータを合成TS信号から分離し、SIデータ取得部110へ出力する。制御部113は、制御バス119を介して、SIデータ取得部110からSIデータ解析部111へSIデータを転送する。SIデータ解析部111は、SIデータを解析し番組情報を取り出す。番組情報蓄積部112は、番組情報を蓄積する。デマルチプレクス部105は、蓄積された番組情報に基づき、合成TS信号から符号化映像信号および符号化音声信号を分離し出力する。映像復号部106は、符号化映像信号を復号する。映像表示部107は、ディスプレイなどで構成され、映像を表示する。音声復号部108は、符号化音声信号を復号する。音声出力部109は、音声アンプ・スピーカーなどで構成され、音声を出力する。
【0028】
アンテナと狭帯域チューナー部114は、第1のデジタル放送信号121および第2のデジタル放送信号122とは別の狭帯域で伝送される伝送情報デジタル放送信号123を受信する。狭帯域復調部115は、受信された信号を復調し、伝送情報を出力する。伝送情報には、少なくとも伝送方式がバルク伝送方式か通常伝送方式かを示す情報・伝送に利用されるチャンネル番号(バルク伝送方式の場合は2チャンネル、通常伝送方式の場合は1チャンネル)・伝送開始時刻・伝送終了時刻が番組ごとに記録されている。伝送情報取得部116は、伝送情報を取得する。制御部113は、制御バス120を介して、伝送情報取得部116から伝送情報解析部117へ伝送情報を転送する。伝送情報解析部117は、伝送情報を解析し、少なくとも伝送方式がバルク伝送方式か通常伝送方式かを示す情報・伝送に利用されるチャンネル番号・伝送開始時刻・伝送終了時刻を番組ごとに取り出す。伝送情報蓄積部118は、解析された伝送情報を蓄積する。制御バス119および制御バス120は、制御部113と他の各部を接続し、制御部113が他の各部を制御できるようにする。
【0029】
チューナー部100は、制御部113により入および切制御が可能な電源制御部125を介して電源124と接続されている。制御部113は電源制御部125を介してチューナー部100への電源供給を制御できる。同様に、制御部113は復調部101、チューナー部102および復調部103、狭帯域チューナー部114および狭帯域復調部115への電源供給を制御できる。チューナー部100、復調部101、チューナー部102、
復調部103、狭帯域チューナー部114および狭帯域復調部115以外の各部へも電源供給はなされるが、本実施例とは直接関係ないため、図示していない。
【0030】
(放送送信装置)
図2は、本実施例におけるデジタル放送受信装置が受信するデジタル放送信号を送信するデジタル放送送信装置の構成を示すブロック図である。デジタル放送送信装置は、バルク伝送方式による放送信号を1系統、従来方式による放送信号を1系統送信する。
【0031】
図2に示すようにデジタル放送受信装置は、バルク伝送方式送信部200、通常伝送方式送信部220、伝送情報送信部240、放送信号合成部260、制御部261、制御バス263〜265により構成される。詳細には、バルク伝送方式送信部200は、映像符号化部201、音声符号化部202、番組情報生成部203、マルチプレクス部204、TS分離部205、変調部206、アップコンバート部207、変調部208、アップコンバート部209から構成される。通常伝送方式送信部220は、映像符号化部221、音声符号化部222、番組情報生成部223、マルチプレクス部224、変調部226、アップコンバート部227から構成される。伝送情報送信部240は、伝送情報生成部241、狭帯域変調部246、狭帯域アップコンバート部247から構成される。
【0032】
図2の放送送信装置は、2チャンネル帯域を用いるバルク伝送方式による放送信号を1系統、1チャンネル帯域を用いる通常伝送方式による放送信号を1系統生成することができる。この装置にバルク伝送方式送信部200および通常伝送方式送信部220を追加することで、生成する放送信号を増やすことが可能である。例えば、バルク伝送方式送信部200を2系統、通常伝送方式送信部220を2系統備える送信装置を構成すれば、バルク伝送方式による放送信号を2系統、通常伝送方式による放送信号を2系統生成することが可能である。本実施例に示すデジタル放送受信装置は、デジタル放送送信装置が出力する放送信号の系統数に依存せず実施可能である。本実施例では、図2に示すように、デジタル放送送信装置がバルク伝送方式デジタル放送信号を1系統、通常伝送方式デジタル放送信号を1系統出力する場合を例に取り説明する。
【0033】
図2を用いて、バルク伝送方式送信部200の動作を説明する。バルク伝送方式送信部200は、制御バス263を介して制御部261の制御により、以下の動作を行う。映像符号化部201は映像信号210を符号化映像信号(例えば、MPEG−2 Video信号)(MPEG-2 Video:ISO/IEC 13818-2 Information technology -- Generic coding of moving pictures and associated audio information: Video)に変換する。音声符号
化部202は音声信号211を符号化音声信号(例えば、AAC信号)(AAC:ISO/IEC 13818-7 Information technology -- Generic coding of moving pictures and associated audio information -- Part 7:Advanced Audio Coding)に変換する。番組情報生成部
203は、図示していないキーボードなどによって入力されたデータを元に、番組情報(例えば、番組の開始時刻、終了時刻、名称)を生成する。マルチプレクス部204は、符号化映像信号、符号化音声信号、番組情報をマルチプレクスし、1個のTS信号に合成する。なお、番組情報生成部203は、前述の番組情報に、符号化映像信号および符号化音声信号のPID(PID:Packet Identifier)を特定する情報を付加する。TS分離部205は、合成TS信号を2系統のTS信号に分離する。変調部206は、TS信号を電波として伝送するのに適した方式(例えば、QAM)(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)の信号に変換する。アップコンバート部207は、変調部206が出力した信号をアップコンバートし、所定の周波数へ変換する。変調部208およびアップコンバート部209は、変調部206およびアップコンバート部207と同様の動作をする。アップコンバート部207の出力が、第1のデジタル放送信号212となる。アップコンバート部209の出力が、第2のデジタル放送信号213となる。
【0034】
図2を用いて、通常伝送方式送信部220の動作を説明する。通常伝送方式送信部220は、制御バス264を介して制御部261の制御により、以下の動作を行う。映像符号化部221は映像信号230を符号化映像信号(例えば、MPEG−2 Video信号)に変換する。音声符号化部222は音声信号231を符号化音声信号(例えば、AAC信号)に変換する。番組情報生成部223は、図示していないキーボードなどによって入力されたデータを元に、番組情報(例えば、番組の開始時刻、終了時刻、名称)を生成する。マルチプレクス部224は、符号化映像信号、符号化音声信号、番組情報をマルチプレクスし、1個のTS信号に合成する。なお、番組情報生成部223は、前述の番組情報に、符号化映像信号および符号化音声信号のPIDを特定する情報を付加する。変調部226は、TS信号を電波として伝送するのに適した方式(例えば、QAM)の信号に変換する。アップコンバート部227は、変調部226が出力した信号をアップコンバートし、所定の周波数へ変換する。アップコンバート部227の出力が、第3のデジタル放送信号232となる。
【0035】
図2を用いて、伝送情報送信部240の動作を説明する。伝送情報送信部240は、制御バス265を介して制御部261の制御により、以下の動作を行う。伝送情報生成部241は、伝送情報を生成する。伝送情報には、少なくとも伝送方式がバルク伝送方式か通常伝送方式かを示す情報・伝送に利用されるチャンネル番号(バルク伝送方式の場合は2チャンネル、通常伝送方式の場合は1チャンネル)・伝送開始時刻・伝送終了時刻が番組ごとに記録されている。伝送情報は、バルク伝送方式送信部200および通常伝送方式送信部220が出力する放送信号と整合が取れており、バルク伝送方式送信部200および通常伝送方式送信部220の双方から送信される番組の情報を含んでいる。狭帯域変調部246は、伝送情報を電波として伝送するのに適した方式(例えば、QPSK)(QPSK:Quadrature Phase Shift Keying)の信号に変換する。狭帯域アップコンバート部247
は、狭帯域変調部246が出力した信号をアップコンバートし、所定の周波数へ変換する。狭帯域アップコンバート部247の出力が、伝送情報デジタル放送信号252である。伝送情報デジタル放送信号252は、第1のデジタル放送信号212および第2のデジタル放送信号213および第3のデジタル放送信号232のいずれの信号が占める帯域よりも、狭い帯域を占める。前記の通り、バルク伝送方式送信部200および通常伝送方式送信部220を追加し、デジタル放送送信装置が送信するバルク伝送方式放送信号および通常伝送方式放送信号の系統数を増やすことが可能である。系統数を増やした場合であっても、伝送情報デジタル放送信号252に含まれる伝送情報は、全系統の放送信号の情報を含んでいなければならない。また、伝送情報と全系統の放送信号の内容は、整合が取れていなければならない。
【0036】
図2を用いて、デジタル放送送信装置の動作を説明する。前記の通り、バルク伝送方式送信部200が第1のデジタル放送信号212および第2のデジタル放送信号213を出力する。通常伝送方式送信部220が第3のデジタル放送信号232を出力する。伝送情報送信部240が伝送情報デジタル放送信号252を出力する。放送信号合成部260は、制御部261の制御により、第1のデジタル放送信号212および第2のデジタル放送信号213および第3のデジタル放送信号232および伝送情報デジタル放送信号252を合成して放送信号262を出力する。放送信号262は図示していないアンテナにより送信される。
【0037】
(放送信号)
図3は、図2に示すデジタル放送送信装置が送信する放送信号であり、本実施例におけるデジタル放送受信装置が受信できる放送信号の伝送スペクトルを示す図である。第1のデジタル放送信号212は、第1のチャンネル帯域301において伝送される。第2のデジタル放送信号213は、第2のチャンネル帯域311において伝送される。第1のデジタル放送信号212と第2のデジタル放送信号213が組となり、バルク伝送方式による
デジタル放送信号340を構成する。第3のデジタル放送信号232は、第3のチャンネル帯域321において伝送される。第3のデジタル放送信号232は、通常伝送方式によるデジタル放送信号350である。伝送情報デジタル放送信号252は、伝送情報のチャンネル帯域331において伝送される。伝送情報のチャンネル帯域331は、第1のチャンネル帯域301および第2のチャンネル帯域311および第3のチャンネル帯域321のいずれの帯域よりも、狭い帯域を占める。
【0038】
(伝送情報の取得)
図4は、本実施例におけるデジタル放送受信装置が、伝送情報を蓄積する手順を示すフローチャートである。詳細は後述するが、視聴者が図示していないリモコンなどを用いて、番組を視聴したい旨の要求をデジタル放送受信装置に伝えると、制御部113は、デジタル放送受信装置の内部で、狭帯域選局要求を発生させ、図4に示す動作を行う。
【0039】
図4を用いて具体的な手順を説明する。狭帯域選局要求が発生すると(S400)、制御部113は、狭帯域チューナー部114および狭帯域復調部115の電源を入れる(S401)。制御部113の制御により狭帯域チューナー部114および狭帯域復調部115が狭帯域選局を行う(S402)。伝送情報取得部116が伝送情報を取得する(S403)。伝送情報解析部117が伝送情報を解析し、既に蓄積されている伝送情報が存在する場合は、既に蓄積されている伝送情報と新たに取得した伝送情報を比較する(S404)。伝送情報の更新が認められるときは(S404のYes)、伝送情報蓄積部118が伝送情報を蓄積する(S405)。S404またはS405の後、S403へ戻り、前述の動作を繰り返す。
【0040】
(選局動作)
図5は、本実施例におけるデジタル放送受信装置が、放送番組を選局し視聴者に提示する手順を示すフローチャートである。選局動作は、視聴者が図示していないリモコンなどを用いて、映像表示部107および音声出力部109の動作を有効にするよう命じたとき、チャンネルを変えるように命じたときに、実行される。また、予め設定された時刻にデジタル放送受信装置が自動的にチャンネルを換えるように設定されている場合にその時刻となったとき、その他チャンネルを変える必要があるときにも、選局動作が実行される。
【0041】
図5を用いて、選局動作の手順を説明する。選局要求が発生すると(S500)、制御部113は、伝送情報蓄積部118から選局すべきチャンネルにおいて現在放送されている番組に関する伝送情報を検索する(S501)。すなわち、制御部113は、チャンネルが選局すべきチャンネルであり、現在時刻が開始時刻と終了時刻の間となる番組を検索する。制御部113は、チューナー部100および復調部101の電源を入れる(S502)。制御部113は、チューナー部100および復調部101は、発見された番組の伝送情報が示す周波数のデジタル放送信号を選局し受信する(S503)。本実施例のデジタル放送送信装置が出力する放送信号においては、第1のデジタル放送信号212または第3のデジタル放送信号232が受信される。
【0042】
次に制御部113は、S501において検索した伝送情報に基づき、選局しているチャンネルがバルク伝送方式チャンネルか否かを判定する(S504)。バルク伝送方式チャンネルの場合は(S504のYes)、制御部113は、チューナー部102および復調部103の電源を入れる(S505)。チューナー部102および復調部103は、S501において発見された番組の伝送情報が示す周波数のデジタル放送信号を選局し受信する(S506)。本実施例のデジタル放送送信装置が出力する放送信号においては、第2のデジタル放送信号213が受信される。一方、バルク伝送方式チャンネルではない場合は(S504のNo)、制御部113は、チューナー部102および復調部103の電源を切る(S507)。
【0043】
制御部113は、TS合成部104を制御し、バルク伝送方式の場合は復調部101および復調部103の出力を合成し、バルク伝送方式でない場合は、復調部101の出力だけをデマルチプレクス部105へ伝える(S508)。デマルチプレクス部105は、TS信号をSIデータ、符号化映像信号、符号化音声信号に分離する(S509)。SIデータ取得部110がSIデータを取得する(S510)。SIデータ解析部111がSIデータを解析する(S511)。映像復号部106が符号化映像信号を復号する(S512)。映像表示部107が映像信号を表示する(S513)。音声復号部108が符号化音声信号を復号する(S514)。音声出力部109が音声を出力する(S515)。
【0044】
(電源制御)
次に、デジタル放送受信装置の電源制御について説明する。図6は、デジタル放送受信装置の電源制御の概略を示す表である。
【0045】
デジタル放送受信装置が放送番組の受信動作を行っていないとき、制御部113は、電源制御部125、126を切に制御し、チューナー部100および復調部101へ電源を供給しない。同様に、制御部113は、電源制御部127、128を切に制御し、チューナー部102および復調部103へ電源を供給しない。また、制御部113は、電源制御部129、130を切に制御し、狭帯域チューナー部114および狭帯域復調部115へ電源を供給しない。本状態は図6の「状態1:待機状態」に相当する。
【0046】
デジタル放送受信装置が通常伝送方式によるデジタル放送信号の受信動作を行っているとき、制御部113は、電源制御部125を入に制御し、チューナー部100へ電源を供給する。同様に、制御部113は、電源制御部126を入に制御し復調部101へ電源を供給する。しかし、制御部113は、電源制御部127、128を切に制御し、チューナー部102と復調部103へ電源を供給しない。制御部113は、電源制御部129、130を入に制御し、狭帯域チューナー部114と狭帯域復調部115へ電源を供給する。本状態は図6の「状態2:通常伝送方式受信状態」に相当する。
【0047】
デジタル放送受信装置がバルク伝送方式によるデジタル放送信号の受信動作を行っているとき、制御部113は、電源制御部125、126を入に制御し、チューナー部100および復調部101へ電源を供給する。同様に、制御部113は、電源制御部127、128を入に制御し、チューナー部102および復調部103へ電源を供給する。制御部113は、電源制御部129、130を入に制御し、狭帯域チューナー部114および狭帯域復調部115へ電源を供給する。本状態は図6の「状態3:バルク伝送方式受信状態」に相当する。
【0048】
本実施例における電源状態を遷移する方法を説明する。デジタル放送受信装置が番組の受信動作を行っていないとき、デジタル放送受信装置は、図6の「状態1:待機状態」にある。視聴者が図示していないリモコンなどを用いて、番組を視聴したい要求をデジタル放送受信装置に伝えると、デジタル放送受信装置は、内部で狭帯域選局要求を発生させて図4に示す手順を実行し、番組情報の蓄積を行う。さらに、視聴者の選局要求により図5に示す手順が実行され、図6の「状態2:通常伝送方式受信状態」または「状態3:バルク伝送方式受信状態」に遷移する。デジタル放送受信装置は、図5に示す手順を実行した後、通常伝送方式の番組を受信する場合は状態2へ遷移し、バルク伝送方式の番組を受信する場合は状態3へ遷移する。また、デジタル放送受信装置が状態2または状態3にあるとき、視聴者が別のチャンネルへの選局要求を行うと、デジタル放送受信装置は、図5に示す手順を実行し、選局動作を行う。この結果、図5に示す手順によって、通常伝送方式の番組を受信する場合は状態2へ遷移し、バルク伝送方式の番組を受信する場合は、状態3へ遷移する。さらに、デジタル放送受信装置が状態2または状態3の状態にあるとき、
視聴者が番組の視聴を停止した通知をデジタル放送受信装置に伝えると、デジタル放送受信装置は、電源制御部125〜130を切に制御する。これにより、チューナー部100、復調部101、チューナー部102、復調部103、狭帯域チューナー部114および狭帯域復調部115への電源の供給が停止し、状態1へ遷移する。
【0049】
本実施例によれば、待機状態では、チューナー部100、復調部101、チューナー部102、復調部103、狭帯域チューナー部114および狭帯域復調部115へ電源を供給しない。また、通常伝送方式受信状態では、チューナー部102および復調部103へ電源を供給しない。
【0050】
従来例と比較し、説明する。図6に示す本実施例の電源制御と図19Bに示す従来例の電源制御を比較する。「状態2:通常伝送方式受信状態」において、チューナー部100および復調部101(第1のチューナー部および復調部)の電源に関して、本実施例および図19Bに示す従来例において電源入である。チューナー部102および復調部103(第2のチューナー部および復調部)の電源に関して、本実施例では電源切であるが、図19Bに示す従来例では、電源入である。狭帯域チューナー部114および狭帯域復調部115の電源に関して、本実施例では電源入であるが、図19Bに示す従来例では対応する部位が存在しない。また、狭帯域の放送信号の受信は、通常帯域の放送信号の受信よりも、低消費電力にて行うことができる。本実施例においては、通常帯域の放送信号の受信に代えて、狭帯域の放送信号の受信を行う。したがって、「状態2:通常伝送方式受信状態」において、図19Bに示す従来例に比べ、デジタル放送受信装置のチューナー部および復調部による消費電力を小さくすることができ、発熱を小さくすることができる。
【0051】
また、「状態2:通常伝送方式受信状態」または「状態3:バルク伝送方式受信状態」にあるときは、伝送情報デジタル放送信号を受信することにより、全系統のバルク伝送方式放送信号および通常伝送方式放送信号に関して常に最新の伝送情報が蓄積される。よって、状態2または状態3において別のチャンネルに切り替えたとき、すばやく選局することができる。
【0052】
<実施例2>
本発明の実施例2について説明する。実施例2では、実施例1と同じく、図1に示すデジタル放送受信装置により、図2に示すデジタル放送送信装置が送信したバルク伝送方式および通常伝送方式によるデジタル放送信号を受信する。デジタル放送受信装置およびデジタル放送送信装置の制御も、実施例1と同じである。ただし、デジタル放送受信装置の狭帯域チューナー部114および狭帯域復調部115に関する電源制御は、異なる。以下、実施例1との相違点を説明する。
【0053】
図7は、本実施例におけるデジタル放送受信装置の電源制御の概略を示す表である。図7に示す通り、「状態1:待機状態」における電源制御が実施例1とは異なる。「状態2:通常伝送方式受信状態」および「状態3:バルク伝送方式受信状態」における電源制御は実施例1と同じである。
【0054】
「状態1:待機状態」における電源制御を説明する。デジタル放送受信装置が番組の受信動作を行っていないとき、制御部113は、電源制御部125、126を切に制御し、チューナー部100および復調部101へ電源を供給しない。同様に、制御部113は、電源制御部127、128を切に制御し、チューナー部102および復調部103へ電源を供給しない。制御部113は、電源制御部129、130を入に制御し、狭帯域チューナー部114および狭帯域復調部115へ電源を供給する。
【0055】
本実施例における電源状態を遷移する方法を説明する。デジタル放送受信装置が番組の
受信動作を行っていないとき、デジタル放送受信装置は、図7の「状態1:待機状態」にある。デジタル放送受信装置は、内部で狭帯域選局要求を発生させて図4に示す手順を実行し、番組情報の蓄積を行う。視聴者がリモコンなどを用いて、番組を視聴したい要求(選局要求)をデジタル放送受信装置に伝えると、デジタル放送受信装置は、図5に示す手順を実行し、図7の「状態2:通常伝送方式受信状態」または「状態3:バルク伝送方式受信状態」に遷移する。デジタル放送受信装置は、図5に示す手順を実行した後、通常伝送方式の番組を受信する場合は状態2へ遷移し、バルク伝送方式の番組を受信する場合は状態3へ遷移する。また、デジタル放送受信装置が状態2または状態3の状態にあるとき、視聴者が別のチャンネルへの選局要求を行うと、デジタル放送受信装置は、図5に示す手順を実行し、選局動作を行う。この結果、図5に示す手順によって、通常伝送方式の番組を受信する場合は状態2へ遷移し、バルク伝送方式の番組を受信する場合は、状態3へ遷移する。さらに、デジタル放送受信装置が状態2または状態3の状態にあるとき、視聴者が番組の視聴を停止した通知をデジタル放送受信装置に伝えると、デジタル放送受信装置は、電源制御部125〜128を切に制御する。これにより、チューナー部100、復調部101、チューナー部102および復調部103への電源の供給が停止し、状態1へ遷移する。しかし、狭帯域チューナー部114および狭帯域復調部115への電源の供給は継続し、伝送情報の蓄積を続ける。
【0056】
本実施例によれば、待機状態では、チューナー部100、復調部101、チューナー部102および復調部103に電源を供給しない。また、通常伝送方式受信状態では、チューナー部102および復調部103に電源を供給しない。
【0057】
従来例と比較し、説明する。図7に示す本実施例の電源制御と図19Cに示す従来例の電源制御を比較する。「状態1:待機状態」において、チューナー部100および復調部101(第1のチューナー部および復調部)の電源に関して、本実施例および図19Cに示す従来例において電源切である。チューナー部102および復調部103(第2のチューナー部および復調部)の電源に関して、本実施例では電源切であるが、図19Cに示す従来例では、電源入である。狭帯域チューナー部114および狭帯域復調部115の電源に関して、本実施例では電源入であるが、図19Cに示す従来例では対応する部位が存在しない。また、狭帯域の放送信号の受信は、通常帯域の放送信号の受信よりも、低消費電力にて行うことができる。本実施例においては、通常帯域の放送信号の受信に代えて、狭帯域の放送信号の受信を行う。したがって、「状態1:待機状態」において、図19Cに示す従来例に比べ、デジタル放送受信装置のチューナー部および復調部による消費電力を小さくすることができ、発熱を小さくすることができる。「状態2:通常伝送方式受信状態」においても、実施例1と同様の理由により、図19Cに示す従来例に比べ、デジタル放送受信装置のチューナー部および復調部による消費電力を小さくすることができ、発熱を小さくすることができる。
【0058】
また、伝送情報デジタル放送信号を常に受信することにより、全系統のバルク伝送方式放送信号および通常伝送方式放送信号に関して常に最新の伝送情報が蓄積されている。よって、待機状態・通常伝送方式受信状態・バルク伝送方式受信状態のいずれの状態からであっても、すばやく選局することができる。
【0059】
<実施例3>
本発明の実施例3について説明する。
【0060】
(放送受信装置)
図8は、本実施例におけるデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。本実施例におけるデジタル放送受信装置は、バルク伝送方式により送信される放送波を受信し、デジタル放送受信装置内に蓄積する。また、本実施例におけるデジタル放送受信装置は
、バルク伝送方式ではない通常伝送方式のデジタル放送をも受信し、デジタル放送受信装置内に蓄積する。
【0061】
図8に示すように、デジタル放送受信装置は、フルセグメントチューナー部800、フルセグメント復調部801、フルセグメントチューナー部802、フルセグメント復調部803、TS合成部804、蓄積TS生成部805を備える。またデジタル放送受信装置は、記録部806、デマルチプレクス部807、SIデータ取得部808、SIデータ解析部809、番組情報蓄積部810、制御部811、ワンセグメントチューナー部812、ワンセグメント復調部813を備える。さらにデジタル放送受信装置は、伝送情報取得部814、伝送情報解析部815、伝送情報蓄積部816、蓄積番組選択部817、時計部818、制御バス819〜820、電源823、電源制御部824〜827を備える。
【0062】
制御部811が、他の構成部を制御し、デジタル放送受信装置を制御する。図示していないアンテナとフルセグメントチューナー部800は第1のデジタル放送信号821を受信し、フルセグメント復調部801は受信された信号を復調し、第1のTS信号を生成する。アンテナとフルセグメントチューナー部802は第2のデジタル放送信号822を受信し、フルセグメント復調部803は受信された信号を復調し、第2のTS信号を生成する。TS合成部804は、第1のTS信号と第2のTS信号を合成する。デマルチプレクス部807は、SIデータ取得部808が要求するSIデータを合成TS信号から分離し、SIデータ取得部808へ出力する。制御部811は、制御バス819を介して、SIデータ取得部808からSIデータ解析部809へSIデータを転送する。SIデータ解析部809は、SIデータを解析し番組情報を取り出す。番組情報蓄積部810は、番組情報を蓄積する。蓄積TS生成部805は、番組情報に含まれる番組を構成するPID情報に基づき、合成TSから番組を構成するパケットだけを抜き出し蓄積TSを生成する。記録部806は、蓄積TSを記録する。
【0063】
アンテナとワンセグメントチューナー部812は、第1のデジタル放送信号821または第2のデジタル放送信号822の一部であるワンセグメントメントデジタル放送信号を受信する。ワンセグメント復調部813は、受信された信号を復調し、伝送情報を出力する。伝送情報には、少なくとも伝送方式がバルク伝送方式か通常伝送方式かを示す情報・伝送に利用されるチャンネル番号(バルク伝送方式の場合は2チャンネル、通常伝送方式の場合は1チャンネル)・伝送開始時刻・伝送終了時刻が番組ごとに記録されている。伝送情報取得部814は、伝送情報を取得する。制御部811は、制御バス820を介して、伝送情報取得部814から伝送情報解析部815へSIデータを転送する。伝送情報解析部815は、伝送情報を解析し、少なくとも伝送方式がバルク伝送方式か通常伝送方式かを示す情報・伝送に利用されるチャンネル番号・伝送開始時刻・伝送終了時刻を番組ごとに取り出す。伝送情報蓄積部816は、解析された伝送情報を蓄積する。蓄積番組選択部817は、視聴者の指示に従い、蓄積番組を選択し、制御部811に通知する。時計部818は、制御部811が指定した時刻に、指定時刻になったことを制御部811に通知する。制御バス819および制御バス820は、制御部811と他の各部を接続し、制御部811が他の各部を制御できるようにする。
【0064】
フルセグメントチューナー部800は、制御部811により入および切制御が可能な電源制御部824を介して電源823と接続されている。制御部811は電源制御部824を介してフルセグメントチューナー部800への電源供給を制御できる。同様に、制御部811はフルセグメント復調部801、フルセグメントチューナー部802およびフルセグメント復調部803への電源供給を制御できる。フルセグメントチューナー部800、フルセグメント復調部801、フルセグメントチューナー部802およびフルセグメント復調部803以外の各部へも電源供給はなされるが、本実施例とは直接関係ないため、図示していない。
【0065】
(放送送信装置)
図9は、本実施例におけるデジタル放送受信装置が受信するデジタル放送信号を送信するデジタル放送送信装置の構成を示すブロック図である。デジタル放送送信装置は、バルク伝送方式による放送信号を1系統、従来方式による放送信号を1系統送信する。
【0066】
図9に示すようにデジタル放送受信装置は、バルク伝送方式送信部900、通常伝送方式送信部220、放送信号合成部960、制御部961、制御バス263〜264により構成される。詳細には、バルク伝送方式送信部900は、映像符号化部201、音声符号化部202、番組情報生成部203、伝送情報生成部941、マルチプレクス部204、TS分離部205、セグメント変調部906、908、アップコンバート部907、909から構成される。通常伝送方式送信部220の内部は、実施例1における図2と同じであるため、説明を省略する。
【0067】
図9の放送送信装置は、2チャンネル帯域を用いるバルク伝送方式による放送信号を1系統、1チャンネル帯域を用いる通常伝送方式による放送信号を1系統生成することができる。この装置にバルク伝送方式送信部900および通常伝送方式送信部220を追加することで、生成する放送信号を増やすことが可能である。例えば、バルク伝送方式送信部900を2系統、通常伝送方式送信部220を2系統備える送信装置を構成すれば、バルク伝送方式による放送信号を2系統、通常伝送方式による放送信号を2系統生成することが可能である。本実施例に示すデジタル放送受信装置は、デジタル放送送信装置が出力する放送信号の系統数に依存せず実施可能である。本実施例では、図9に示すように、デジタル放送送信装置がバルク伝送方式デジタル放送信号を1系統、通常伝送方式デジタル放送信号を1系統出力する場合を例に取り説明する。
【0068】
図9を用いて、バルク伝送方式送信部900の動作を説明する。バルク伝送方式送信部900は、制御バス263を介して制御部961の制御により、以下の動作を行う。映像符号化部201、音声符号化部202、番組情報生成部203、マルチプレクス部204、TS分離部205の動作は実施例1における図2と同じであるため、説明を省略する。伝送情報生成部941は、伝送情報を生成する。伝送情報には、少なくとも伝送方式がバルク伝送方式か通常伝送方式かを示す情報・伝送に利用されるチャンネル番号(バルク伝送方式の場合は2チャンネル、通常伝送方式の場合は1チャンネル)・伝送開始時刻・伝送終了時刻が番組ごとに記録されている。伝送情報は、バルク伝送方式送信部900および通常伝送方式送信部220が出力する放送信号と整合が取れており、バルク伝送方式送信部900および通常伝送方式送信部220の双方から送信される番組の情報を含んでいる。セグメント変調部906は、TS信号を、1チャンネル帯域を複数のセグメントに分けて伝送するセグメント方式の信号に変換する。例えば、日本の地上デジタル放送で用いられるOFDM(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式の信号に変換する。本実施例においては、13セグメントからなるセグメント方式を用いる。中央のセグメントに伝送情報生成部941が出力した伝送情報を割り当て、他の12セグメントに、TS分離部205が出力したTS信号を割り当てる。アップコンバート部907は、セグメント変調部906が出力した信号をアップコンバートし、所定の周波数へ変換する。セグメント変調部908およびアップコンバート部909は、セグメント変調部906およびアップコンバート部907と同様の動作をする。アップコンバート部907の出力が、第1のデジタル放送信号912となる。アップコンバート部909の出力が、第2のデジタル放送信号913となる。なお、セグメント変調部906およびセグメント変調部908には、伝送情報生成部941から同一の伝送情報が入力されるため、第1のデジタル放送信号912および第2のデジタル放送信号913の中央セグメントには、同一の伝送情報が変調されて含まれる。
【0069】
通常伝送方式送信部220の動作は、実施例1における図2と同じである。
【0070】
図9を用いて、デジタル放送送信装置の動作を説明する。前記の通り、バルク伝送方式送信部900が第1のデジタル放送信号912および第2のデジタル放送信号913を出力する。通常伝送方式送信部220が第3のデジタル放送信号232を出力する。放送信号合成部960は、制御部961の制御により、第1のデジタル放送信号912および第2のデジタル放送信号913および第3のデジタル放送信号232を合成して放送信号962を出力する。放送信号962は図示していないアンテナにより送信される。
【0071】
(放送信号)
図10は、図9に示すデジタル放送送信装置が送信する放送信号であり、本実施例におけるデジタル放送受信装置が受信できる放送信号の伝送スペクトルを示す図である。第1のデジタル放送信号912および第2のデジタル放送信号913は、それぞれ13個のセグメント1002および1012から構成されている。中央の伝送情報セグメント1003および1013において伝送情報を伝送し、他のセグメントで映像信号・音声信号・SIデータを伝送する。
【0072】
第1のデジタル放送信号912は、第1のチャンネル帯域1001において伝送される。第2のデジタル放送信号913は、第2のチャンネル帯域1011において伝送される。第1のデジタル放送信号912と第2のデジタル放送信号913が組となり、バルク伝送方式によるデジタル放送信号1040を構成する。第3のデジタル放送信号232、第3のチャンネル帯域321、通常伝送方式によるデジタル放送信号350に関しては、実施例1における図3と同じであるため、説明を省略する。
【0073】
(伝送情報の取得)
図11は、本実施例におけるデジタル放送受信装置が、伝送情報を蓄積する手順を示すフローチャートである。デジタル放送受信装置は電源が供給されると、すぐに図11の手順に従い伝送情報の蓄積を開始し、電源が供給されている間は、常に伝送情報を蓄積しつづける。
【0074】
図11を用いて具体的な手順を説明する。デジタル放送受信装置への電源供給が開始される(S1100)と、制御部811の制御によりワンセグメントチューナー部812およびワンセグメント復調部813がワンセグメント選局を行う(S1101)。ワンセグメント選局とは、13セグメントからなるデジタル放送信号から、1セグメントの帯域だけを選択して選局することである。ワンセグメント選局S1101の対象となる帯域は、第1のデジタル放送信号912に含まれる伝送情報セグメント1003または第2のデジタル放送信号913に含まれる伝送情報セグメント1013である(図10参照)。伝送情報取得部814が伝送情報を取得する(S1102)。伝送情報解析部815が伝送情報を解析し、既に蓄積されている伝送情報が存在する場合は、既に蓄積されている伝送情報と新たに取得した伝送情報を比較する(S1103)。伝送情報の更新が認められるとき(S1103のYes)は、伝送情報蓄積部816が伝送情報を蓄積する(S1104)。S1103またはS1104の後、S1102へ戻り、前述の動作を繰り返す。
【0075】
(選局・蓄積動作)
図12は、本実施例におけるデジタル放送受信装置が、放送番組を選局し蓄積する手順を示すフローチャートである。蓄積動作は、後述する蓄積予約において蓄積すべき番組の伝送が開始されたとき、実行される。
【0076】
図12を用いて、蓄積動作の手順を説明する。蓄積要求が発生すると(S1200)、制御部811は、伝送情報蓄積部816から蓄積することを要求された番組に関する伝送
情報を検索する(S1201)。制御部811は、フルセグメントチューナー部800およびフルセグメント復調部801の電源を入れる(S1202)。フルセグメントチューナー部800およびフルセグメント復調部801は、発見された番組の伝送情報が示す周波数のデジタル放送信号を選局し受信する(S1203)。本実施例のデジタル放送送信装置が出力する放送信号においては、第1のデジタル放送信号912または第3のデジタル放送信号232が受信される。S1203においては、選局しているチャンネルがバルク伝送チャンネルである場合は、13セグメントから伝送情報セグメント以外のセグメントを選択して受信し、選局しているチャンネルがバルク伝送チャンネルでない場合は、13セグメントをすべて受信する。
【0077】
次に制御部811は、S1201において検索した伝送情報に基づき、選局しているチャンネルがバルク伝送チャンネルか否かを判定する(S1204)。バルク伝送チャンネルの場合は(S1204のYes)、制御部811は、フルセグメントチューナー部802およびフルセグメント復調部803の電源を入れる(S1205)。フルセグメントチューナー部802およびフルセグメント復調部803は、S1201において発見された番組の伝送情報が示す周波数のデジタル放送信号を選局し受信する(S1206)。本実施例のデジタル放送送信装置が出力する放送信号においては、第2のデジタル放送信号913が受信される。バルク伝送方式チャンネルではない場合は(S1204のNo)、フルセグメントチューナー部802およびフルセグメント復調部803の電源を切る(S1207)。
【0078】
制御部811は、TS合成部804を制御し、バルク伝送方式の場合はフルセグメント復調部801およびフルセグメント復調部803の出力を合成する。バルク伝送方式でない場合は、制御部811は、フルセグメント復調部801の出力だけを蓄積TS生成部805およびデマルチプレクス部807へ伝える(S1208)。デマルチプレクス部807は、TS信号をSIデータ、符号化映像信号、符号化音声信号に分離する(S1209)。SIデータ取得部808がSIデータを取得する(S1210)。SIデータ解析部809がSIデータを解析する(S1211)。解析して得られたSIデータに基づき蓄積TS生成部805が蓄積TSを生成する(S1212)。記録部806が蓄積TSを記録する(S1213)。
【0079】
(蓄積予約)
図13は、本実施例におけるデジタル放送受信装置が、蓄積予約を設定する手順を示すフローチャートである。蓄積予約とは、予約した番組の伝送が開始されると番組を構成するデータを自動的に蓄積する機能である。デジタル放送受信装置は番組情報蓄積部810に蓄積された番組情報を視聴者に提示し、視聴者の指示により蓄積番組選択部817が蓄積する番組を選択する(S1300)。制御部811は、時計部818へ蓄積開始時刻を設定する(S1301)。蓄積開始時刻になると時計部818が制御部811へ通知する。なお、デジタル放送受信装置は、図11に示す手順にて、常に伝送情報を蓄積しているので、視聴者の要求時に、番組情報蓄積部810に蓄積された番組情報を視聴者に提示することが可能である。
【0080】
(蓄積予約時の伝送情報の取得)
図14は、本実施例におけるデジタル放送受信装置が、蓄積予約がなされているときに伝送情報を蓄積する手順を示すフローチャートである。デジタル放送受信装置は蓄積予約が設定されると、すぐに図14の手順に従い伝送情報の蓄積を、蓄積予約している番組の伝送時刻に変更があった場合は、時計部818を再度設定する。蓄積予約が設定されている間は、デジタル放送受信装置は常に図14に従い伝送情報の蓄積と時計部818の再設定を行う。図14を用いて具体的な手順を説明する。S1405以外のステップは図11と同じであるため説明を省略する。制御部811は、伝送情報の更新が認められるとき(
S1103のYes)は、時計部を新たな伝送情報(伝送開始時刻および伝送終了時刻)に基づいた番組開始時刻に通知するよう再度設定する(S1405)。S1103またはS1405の後、S1102へ戻り、前述の動作を繰り返す。
【0081】
(蓄積の開始・終了)
図15は、本実施例におけるデジタル放送受信装置が、蓄積予約による蓄積を開始する手順を示すフローチャートである。図15を用いて具体的な手順を説明する。蓄積開始時刻になると、時計部818が、蓄積開始時刻になったことを制御部811に通知する(S1500)。制御部811は、図12に示す手順を実行し、蓄積すべき番組を選局し、蓄積を開始する(S1501)。制御部811は、蓄積終了時刻に通知するよう時計部818設定する(S1502)。
【0082】
蓄積開始時刻に変更があった場合と同様、蓄積終了時刻に変更があった場合、制御部811は、図14に示す手順により、S1405において蓄積終了時刻を時計部818に再設定する。
【0083】
図16は、本実施例におけるデジタル放送受信装置が、蓄積予約による蓄積を停止する手順を示すフローチャートである。図16を用いて具体的な手順を説明する。蓄積終了時刻になると、時計部818が、蓄積終了時刻になったことを制御部811に通知する(S1600)。制御部811が蓄積TS生成部805および記録部806を制御し、蓄積を停止する(S1601)。制御部811は、電源制御部824、825を切に制御し、フルセグメントチューナー部800およびフルセグメント復調部801への電源供給を停止する。同様に、制御部811は、電源制御部826、827を切に制御し、フルセグメントチューナー部802およびフルセグメント復調部803への電源供給を停止する(S1602)。
【0084】
(電源制御)
次に、デジタル放送受信装置の電源制御について説明する。図17は、デジタル放送受信装置の電源制御の概略を示す表である。
【0085】
デジタル放送受信装置が蓄積動作を行っていないとき、制御部811は、電源制御部824、825を切に制御し、フルセグメントチューナー部800およびフルセグメント復調部801へ電源を供給しない。同様に、制御部811は、電源制御部826、827を切に制御し、フルセグメントチューナー部802およびフルセグメント復調部803へ電源を供給しない。ワンセグメントチューナー部812およびワンセグメント復調部813へは常に電源が供給される。本状態は図17の「状態1:待機状態」に相当する。
【0086】
デジタル放送受信装置が通常伝送方式によるデジタル放送信号の蓄積動作を行っているとき、制御部811は、電源制御部824を入に制御し、フルセグメントチューナー部800へ電源を供給する。同様に、制御部811は、電源制御部825を入に制御しフルセグメント復調部801へ電源を供給する。しかし、制御部811は、電源制御部826、827を切に制御し、フルセグメントチューナー部802およびフルセグメント復調部803へ電源を供給しない。ワンセグメントチューナー部812およびワンセグメント復調部813へは常に電源が供給される。本状態は図17の「状態2:通常伝送方式蓄積状態」に相当する。
【0087】
デジタル放送受信装置がバルク伝送方式によるデジタル放送信号の蓄積動作を行っているとき、制御部811は、電源制御部824、825を入に制御し、フルセグメントチューナー部800およびフルセグメント復調部801へ電源を供給する。同様に、制御部811は、電源制御部826、827を入に制御し、フルセグメントチューナー部802お
よびフルセグメント復調部803へ電源を供給する。ワンセグメントチューナー部812およびワンセグメント復調部813へは常に電源が供給される。本状態は図17の「状態3:バルク伝送方式蓄積状態」に相当する。
【0088】
本実施例における電源状態を遷移する方法を説明する。デジタル放送受信装置が蓄積動作を行っていないとき、デジタル放送受信装置は、図17の「状態1:待機状態」にある。蓄積すべき番組の開始時刻となると、デジタル放送受信装置は、図12に示す手順を実行した後、通常伝送方式の番組を蓄積する場合は状態2へ遷移し、バルク伝送方式の番組を蓄積する場合は状態3へ遷移する。デジタル放送受信装置が状態2または状態3の状態にあるとき、蓄積している番組の終了時刻となると、デジタル放送受信装置は、電源制御部824〜827を切に制御する。これにより、フルセグメントチューナー部800、フルセグメント復調部801、フルセグメントチューナー部802、フルセグメント復調部803への電源の供給が停止し、状態1へ遷移する。また、複数の蓄積予約が連続して発生した場合、デジタル放送受信装置は状態2または状態3の状態から、図12に示す手順を実行し、別の蓄積番組を選局し蓄積することも可能である。この結果、図12に示す手順によって、通常伝送方式の番組を蓄積する場合は状態2へ遷移し、バルク伝送方式の番組を蓄積する場合は、状態3へ遷移する。
【0089】
本実施例によれば、待機状態では、フルセグメントチューナー部800、フルセグメント復調部801、フルセグメントチューナー部802およびフルセグメント復調部803に電源を供給しない。また、通常伝送方式蓄積状態では、フルセグメントチューナー部802およびフルセグメント復調部803に電源を供給しない。さらに、セグメント方式伝送において、1セグメントの帯域を選択して受信すると、13セグメントの帯域を受信する場合に比べ、低消費電力にて受信することができる。そのため、デジタル放送受信装置のチューナー部および復調部による消費電力を小さくすることができ、発熱を小さくすることができる。本実施例では、通常のチューナー部および復調部ではなく、ワンセグメントチューナー部812およびワンセグメント復調部813を用いているため、デジタル放送受信装置の消費電力を小さくすることができ、発熱を小さくすることができる。13セグメント伝送方式の放送信号から1セグメントの帯域を選択して常に受信することにより、全系統のバルク伝送方式放送信号および通常伝送方式放送信号に関して常に最新の伝送情報が蓄積されている。よって、伝送情報の更新に対し時計部818を再設定することができ、伝送開始時刻および伝送終了時刻の変更に対して、デジタル放送受信装置が対応することができる。
【0090】
<実施例4>
本発明の実施例4について説明する。実施例4は、デジタル放送受信装置の構成および制御は実施例3と略同一であるが、チューナー部および復調部の構成が異なる。以下、実施例3との相違点を説明する。
【0091】
図18は、本実施例におけるデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【0092】
実施例3の図8におけるフルセグメントチューナー部802およびワンセグメントチューナー部812をフルセグメント受信(12セグメントを選択して受信)とワンセグメント受信(1セグメントを選択して受信)両対応のチューナー部1802で置き換える。チューナー部1802は、フルセグメント受信とワンセグメント受信を同時に行うことができるとともに、ワンセグメント受信だけを低消費電力にて行うことができる。
【0093】
実施例3の図8におけるフルセグメント復調部803およびワンセグメント復調部813をフルセグメント復調(12セグメントを選択して復調)とワンセグメント復調(1セグメントを選択して復調)両対応の復調部1803で置き換える。復調部1803は、フ
ルセグメント復調とワンセグメント復調を同時に行うことができるとともに、ワンセグメント復調だけを低消費電力にて行うことができる。復調部1803は、フルセグメント復調により得たTS信号をTS合成部804へ出力し、ワンセグメント復調により得た伝送情報を伝送情報取得部814へ出力する。
【0094】
実施例3と同様の制御により、図10に示すデジタル放送信号に対して、ワンセグメント受信およびワンセグメント復調、フルセグメント受信およびフルセグメント復調を行えば、実施例3と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】実施例1のデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1のデジタル放送送信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1のデジタル放送信号の伝送スペクトルを示す図である。
【図4】実施例1のデジタル放送受信装置が伝送情報を蓄積する手順を示すフローチャートである。
【図5】実施例1のデジタル放送受信装置が番組の選局を行い視聴者に提示する手順を示すフローチャートである。
【図6】実施例1のデジタル放送受信装置の電源制御の概略を示す表である。
【図7】実施例2のデジタル放送受信装置の電源制御の概略を示す表である。
【図8】実施例3のデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図9】実施例3のデジタル放送送信装置の構成を示すブロック図である。
【図10】実施例3のデジタル放送信号の伝送スペクトルを示す図である。
【図11】実施例3のデジタル放送受信装置が伝送情報を蓄積する手順を示すフローチャートである。
【図12】実施例3のデジタル放送受信装置が番組の選局を行い蓄積する手順を示すフローチャートである。
【図13】実施例3のデジタル放送受信装置が蓄積予約を設定する手順を示すフローチャートである。
【図14】実施例3のデジタル放送受信装置が伝送情報を蓄積する手順を示すフローチャートである。
【図15】実施例3のデジタル放送受信装置が蓄積予約による蓄積を開始する手順を示すフローチャートである。
【図16】実施例3のデジタル放送受信装置が蓄積予約による蓄積を停止する手順を示すフローチャートである。
【図17】実施例3のデジタル放送受信装置の電源制御の概略を示す表である。
【図18】実施例4のデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図19】従来例のデジタル放送受信装置の電源制御の概略を示す表である。
【符号の説明】
【0096】
100、102、1802 チューナー部
101、103、1803 復調部
113、811 制御部
114 狭帯域チューナー部
115 狭帯域復調部
116、814 伝送情報取得部
117、815 伝送情報解析部
118、816 伝送情報蓄積部
124、823 電源
125、126、127、128、129、130、824、825、826、827 電源制御部
252 伝送情報デジタル放送信号
301、1001 第1のチャンネル帯域
311、1011 第2のチャンネル帯域
321 第3のチャンネル帯域
331 伝送情報のチャンネル帯域
340、1040 バルク伝送方式によるデジタル放送信号
350 通常伝送方式によるデジタル放送信号
800、802 フルセグメントチューナー部
801、803 フルセグメント復調部
812 ワンセグメントチューナー部
813 ワンセグメント復調部
1002、1012 セグメント
1003、1013 伝送情報セグメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチューナーを有し、1つのチャンネルを使って放送される通常伝送方式の放送番組と複数のチャンネルを使って放送されるバルク伝送方式の放送番組とを受信可能な第1の受信手段と、
前記放送番組とは別に放送されている、放送番組の伝送方式に関する情報を含む伝送情報を受信する第2の受信手段と、
前記第2の受信手段により受信した伝送情報に基づいて前記第1の受信手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記伝送情報を参照することにより前記第1の受信手段で受信すべき放送番組が通常伝送方式かバルク伝送方式かを判断し、通常伝送方式の場合は1つのチューナーのみを稼働させ、バルク伝送方式の場合は複数のチューナーを稼働させることを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記伝送情報が、放送番組の伝送開始時刻に関する情報を含んでおり、
前記制御手段は、前記第2の受信手段により受信した伝送情報を参照することにより前記第1の受信手段で受信すべき放送番組の伝送開始時刻を取得し、その伝送開始時刻に合わせて前記第1の受信手段に前記放送番組の受信を開始させることを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記第2の受信手段は、前記第1の受信手段のチューナーよりも消費電力が小さいチューナーを有することを特徴とする請求項1または2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記第2の受信手段のチューナーは、電力を常に供給され、前記伝送情報を常に受信可能な状態に保たれることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の放送受信装置。
【請求項5】
前記伝送情報は、前記放送番組を伝送するための第1の帯域とは独立し、かつ、前記第1の帯域よりも狭い第2の帯域において伝送され、
前記第2の受信手段のチューナーは、前記第1の受信手段のチューナーよりも受信帯域が狭いチューナーであることを特徴とする請求項3または4に記載の放送受信装置。
【請求項6】
前記伝送情報は、前記放送番組を伝送するための第1の帯域内の一部のセグメントである第2の帯域において伝送され、
前記第2の受信手段のチューナーは、前記第1の受信手段のチューナーよりも受信帯域が狭いチューナーであることを特徴とする請求項3または4に記載の放送受信装置。
【請求項7】
複数のチューナーを有し、1つのチャンネルを使って放送される通常伝送方式の放送番組と複数のチャンネルを使って放送されるバルク伝送方式の放送番組とを受信可能な放送受信装置の制御方法であって、
前記放送番組を受信するためのチューナーとは異なるチューナーにより、前記放送番組とは別に放送されている、放送番組の伝送方式に関する情報を含む伝送情報を受信する工程と、
受信した前記伝送情報を参照することにより、受信すべき放送番組が通常伝送方式かバルク伝送方式かを判断する工程と、
受信すべき放送番組が通常伝送方式の場合は1つのチューナーのみが稼働し、バルク伝送方式の場合は複数のチューナーが稼働するように、前記複数のチューナーを制御する工程と、
を備えることを特徴とする放送受信装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−166372(P2010−166372A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7587(P2009−7587)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】