説明

整流ダイオード

【課題】倍電圧を要する機器等の電源用として、交流入力電圧、あるいはパルス電圧を効果的かつ効率的に倍電圧化する事が可能となるワンパッケージ倍電圧整流用ダイオードを実現すること。
【解決手段】交流入力電圧あるいはパルス入力電圧を整流するダイード素子6aを+出力電圧端子部2に設け、ダイオード素子6bを−出力端子部5に設けると共に、設置した2つのダイオード間を接続する接合金具7により、交流入力端子3に接合させた各構成部品を一つのパッケージケース内に収める事により、倍電圧を要する機器等の電源用整流ダイオードとして、効果的かつ効率的に倍電圧化する事が可能となるワンパッケージ倍電圧整流用ダイオードを実現させる事が出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は交流電圧を整流する整流ダイオードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
交流入力電圧を整流し、入力電圧の2倍の整流出力電圧を得る倍電圧整流方式は、図4および図5に示すとおり、4個のダイオードによるブリッジ接続された回路が組み込まれた1個のワンパッケージケース型のブリッジダイオードと、2個の平滑コンデンサを用いて交流入力電圧の倍の電圧を得る全波倍電圧整流方式が一般的に用いられている。しかしながら前述のワンパッケージ型ブリッジダイオードを用いた倍電圧整流方式は、ワンパッケージケース内に組み込まれ、ブリッジ接続された4個のダイオードの内、有効に活用されるダイオードは2個のみであり、残り2個のダイオードは非動作であり休止状態に置かれている。
【0003】
図5は一般的なワンパッケージ型ブリッジダイオードと2個の平滑コンデンサの組合せによる倍電圧整流方式を示した回路図で、以下その構成について説明する。
【0004】
交流入力のa側が+電圧位相の場合、ワンパッケージブリッジダイオードDのダイオードD1が導通し、平滑コンデンサC1へ電流が流れ、交流入力のb側へ至る事により平滑コンデンサC1に電荷(V1)が充電される。
【0005】
次に交流入力のb側が+電圧位相の場合、電流は平滑コンデンサC2を通った後、ブリッジダイオードD内のダイオードD2を通り、交流入力のa側へ至り、平滑コンデンサC2に電荷(V2)が充電される。
【0006】
上記に示した一連の動作により、図5における出力電圧は平滑コンデンサC1と平滑コンデンサC2に充電された和の電圧(V1+V2)となる為、交流入力電圧の倍の出力電圧を得る事が出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−149814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような4個の整流ダイオードを組み入れた従来のワンパッケージケース型のダイオードブリッジの倍電圧整流方式は、内蔵された4個のダイオードのうち、有効に活用されているダイオードはD1とD2のみであり、ダイオードD3とD4の機能は非動作休止状態で、且つ2個の交流入力端子の一つは非活用状態であり、結果として不要なダイオードと端子を有するワンパッケージケース型のブリッジ整流ダイオードとなっている。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、交流入力電圧の2倍の出力電圧を得る為の倍電圧整流方式に最適なワンパッケージケース型の電源整流用ダイオードを安価に提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために、交流電源を整流するダイオード素子を4個内蔵可
能な1パッケージケース型の倍電圧整流ダイオードにおいて、前記ダイオード素子を2個内蔵するとともにこの2個のダイオード素子間を接続する1個の接合金具を設け、この接合金具を介して接続される1つの交流入力端子と、+出力端子と、−出力端子とを備えた外部回路への接続端子を設け、前記ダイオード素子、前記接合金具を前記パッケージケースに組込んだものである。
【0011】
これにより、従来から使用されて来た既存の全波整流ブリッジダイオードと互換性があり、部品実装用のプリント基板の挿入孔の変更も要さず、且つコスト的にも安価な倍電圧整流ダイオードを実現することが出来る。
【発明の効果】
【0012】
本発明のワンパッケージダイオードは、倍電圧整流を要する機器に於いて、従来から使用されて来た既存の全波整流ブリッジダイオードと互換性があり、部品実装用のプリント基板の挿入孔の変更も要さず、且つコスト的にも安価な倍電圧整流ダイオードを実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1のワンパッケージダイオードケース内の倍電圧整流ダイオードの構成図
【図2】本発明の実施の形態2のワンパッケージダイオードケース内の倍電圧整流ダイオードの構成図
【図3】本発明の実施の形態1および実施の形態2のワンパッケージダイオードでの倍電圧整流回路の回路図
【図4】従来のワンパッケージブリッジダイオード内の全波整流ブリッジダイオードの構成図
【図5】従来の全波整流ブリッジダイオードでの倍電圧整流回路の回路図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、交流電源を整流するダイオード素子を4個内蔵可能な1パッケージケース型の倍電圧整流ダイオードにおいて、前記ダイオード素子を2個内蔵するとともにこの2個のダイオード素子間を接続する1個の接合金具を設け、この接合金具を介して接続される1つの交流入力端子と、+出力端子と、−出力端子とを備えた外部回路への接続端子を設け、前記ダイオード素子、前記接合金具を前記パッケージケースに組込んだ構成とすることにより、既存の全波整流ブリッジダイオードと互換性があり、既存のプリント基板に容易に実装することができる。
【0015】
第2の発明は、上記第1の発明において、2個のダイオード素子とその接合金具に接続されていない未接続端子を、パッケージケースの外部端面またはパッケージケース内で切断、または前記未接続端子そのものを削除することにより、前記パッケージケースに収めることで、部品コストの引き下げと、プリント基板への実装性を高める事が出来る。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例と同じ構成のものは同一符号を付して説明を省略する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるワンパッケージ型倍電圧整流ダイオードの内部構成を示す構成図、図3はこのダイオードを用いた回路図である。図1および図3に於いて、既存のパッケージケース1内に支持固定された+出力端子2と、−出力端子5と、保持端子(未接続端子)4が配置されると共に、+出力端子上には整流ダイオード素子6a、
−出力端子上には整流ダイオード素子6bが配され、2個のダイオード素子間を接続する接合金具7を介して交流入力端子3と通じて、既存のパッケージケースに組み込まれた倍電圧整流ダイオードを構成している。
【0018】
以上のように構成したワンパッケージケース型倍電圧整流ダイオードについて、その動作、作用を図3の回路図で説明する。倍電圧を得るには交流入力のa側が+電圧位相の場合、ダイオードD1が導通し、平滑コンデンサC1を通り、交流入力のb側へ至る事により平滑コンデンサC1に電荷(V1)が充電される。
【0019】
次に交流入力のb側が+電圧位相の場合、電流は平滑コンデンサC2を通った後、ダイオードD2を介して交流入力のa側へ至り、平滑コンデンサC2に電荷(V2)が充電される一連の動作により、出力電圧は平滑コンデンサC1とC2に電荷された和の電圧(V1+V2)となり、交流入力電圧の倍の出力電圧を容易に得る事が出来る。
【0020】
このような構成により、従来から使用されて来た既存の全波整流ブリッジダイオードと互換性があり、部品実装用のプリント基板の挿入孔の変更も要さず、且つコスト的にも安価な倍電圧整流ダイオードを実現することが出来る。
【0021】
(実施の形態2)
本発明は、図2で示すように、上記実施の形態1で示した何も接続されていない保持端子(未接続端子)4を削除する(2個のダイオード素子6a、6bとその接合金具7に接続されていない未接続端子を、パッケージケースの外部端面またはパッケージケース内で切断、または未接続端子そのものを削除する)ことにより、部品コストの引き下げと、プリント基板への実装性を高めるものであり、詳細な説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように、本発明にかかるワンパッケージ型倍電圧用ダイオードは、交流入力電圧、あるいはパルス電圧を効果的かつ効率的に倍電圧化する事が可能となり、倍電圧を要する機器等の電源用として有用である。
【符号の説明】
【0023】
1 パッケージケース
2 +出力電圧端子
3 交流入力端子
4 未接続端子
5 −出力電圧端子
6a、6b 整流ダイオード素子
7 整流ダイオード素子間の接合金具
8 放熱板取付け用貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源を整流するダイオード素子を4個内蔵可能な1パッケージケース型の倍電圧整流ダイオードにおいて、前記ダイオード素子を2個内蔵するとともにこの2個のダイオード素子間を接続する1個の接合金具を設け、この接合金具を介して接続される1つの交流入力端子と、+出力端子と、−出力端子とを備えた外部回路への接続端子を設け、前記ダイオード素子、前記接合金具を前記パッケージケースに組込んだ倍電圧整流ダイオード。
【請求項2】
2個のダイオード素子とその接合金具に接続されていない未接続端子を、パッケージケースの外部端面またはパッケージケース内で切断、または前記未接続端子そのものを削除することにより、前記パッケージケースに収めた請求項1記載の倍電圧整流ダイオード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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