説明

断熱パネルの接続構造

【課題】断熱パネルの接続強度の向上を図ると共に、廃棄の際の円滑な分解作業を実現する。
【解決手段】断熱パネル12は、一対の表面材14と表面材14の端部の全幅に渡って設けられた凸枠材20及び/又は凹枠材30を備えており、これらを接続する接続部材40は、内面に凸枠材20の凸部側被係合部26に係脱可能に係合する内側係合部38と、外面に凹枠材30の凹部側被係合部36に係脱可能に係合する外側係合部44とを有し、該外側係合部44は弾性により凹部側被係合部36と係合する方向に常時付勢されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレハブ冷蔵庫/冷凍庫、冷蔵/冷凍倉庫、低温貯蔵庫、保冷庫、収納庫、温蔵庫、冷凍/冷蔵車、クリーンルーム等に用いられる断熱パネルの接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりプレハブ冷蔵庫/冷凍庫は、庫内の断熱性や気密性などが重要視されることから、壁面を構成する断熱パネルと断熱パネル間のシールには、一般的に断熱性や気密性などが優れた湿式のコーキング剤が用いられていた。即ち、冷蔵用の断熱パネルは、所定の間隔を存して設けられた、一対の表面材の一側縁部に凸枠材を設けると共に、他側縁部に凹枠材を設け、両表面材と凸枠材及び凹枠材とで囲まれた空間に発泡ポリウレタン等の断熱材を充填することによって製造されていた。
【0003】
そして、断熱パネルを相互に接続する際には、隣接する一方の断熱パネルの他側縁部に設けられた凹枠材内に、他方の断熱パネルの一側縁部に設けられた凸枠材を係合させている。また、隣接する断熱パネルと断熱パネルの凹枠材と凸枠材間には湿式のコーキング剤を塗布しておき、両断熱パネル間をシールしていた。
【0004】
また、二枚の金属板間に断熱材を充填し、各断熱パネルの両側縁部に、互いに嵌合する凹部と凸部とを設けた断熱パネルが提案されている。そして、一方の断熱パネルの縁部に形成された凹部の内面に、接着剤にて断熱性パッキンを接着すると共に、他方の断熱パネルの縁部に形成された凸部の長手方向両側縁に、外側に複数のヒレ状摺接片が形成されたパッキンを装着していた。この断熱パネルは、一方の断熱パネルの凹部と、他方の断熱パネルの凸部とを、パッキンを介して係合することにより、迅速、且つ、確実に断熱パネルを複数枚接続すると共に、各断熱パネル同士を断熱性や気密性などを良好に接続していた(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、端縁を互いに直角方向に折り曲げた一対の表面材と両側の雄型枠材と雌型枠材とで囲まれる空間に断熱材を充填して成る他の断熱パネルも提案されている。この断熱パネルの雄型枠材は、先端に係止爪を有する一対の接続脚を設けると共に、雌型枠材は係止爪と係合する嵌合溝内に鈎状段部を設けている。そして、隣接する断熱パネル同士を雄型枠材の係止爪と雌型枠材の嵌合溝内に設けられた鈎状段部とで係合して接続し、雄型枠材の接続脚間と雌型枠材の中央部とを接続シールで接着し、接続していた(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、当該断熱パネルによって形成される庫内に大きな内圧がかかる場合があり、この場合、断熱パネル同士の接続部分に大きな圧力が加わるため、当該接続部分における結合力をより強固とする必要がある。
【0007】
また、断熱パネルの組立作業時において、作業に伴う振動などにより何れかの断熱パネルの接続部分における目地幅が変わってしまい、当該部分における負荷によって結合力が低下してしまう問題がある。
【0008】
そこで、断熱パネル同士の接続部分の結合力を強化するため、上述した如き係止爪が嵌合される嵌合溝内に設けられた鈎状段部の結合代を大きくすることが考えられる。しかしながら、当該係止爪と鈎状段部の結合代を大きくすると、パネル結合作業時に、更なる大きな力が必要となり、作業性が低下する問題を招来する。
【0009】
また、当該断熱パネルは、廃棄する際などに分解作業が行われるが、係る係止爪と鈎状段部との結合強度が強くなり過ぎ、これを解除するには結合作業時よりも更に大きな力が必要となり、分解作業が極めて困難となる問題があった。
【0010】
本発明は、係る従来技術の課題を解決するために成されたものであり、断熱パネルの接続強度の向上と、廃棄の際の分解作業も円滑に行うことを可能とする断熱パネルの接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、一対の表面材とこの表面材端部の全幅に渡って設けられた凸枠材及び/又は凹枠材とで囲まれる空間に断熱材が充填されて成る断熱パネルの接続構造であって、凸枠材の凸部に凹陥形成された凸部側被係合部と、凹枠材の凹部内面に形成された凹部側被係合部と、凸枠材及び凹枠材よりも短い長手方向寸法を有して凸部と凹部間に介設される接続部材とを備え、この接続部材は、内面に凸枠材の凸部側被係合部に係脱可能に係合する内側係合部を有すると共に、外面には凹枠材の凹部側被係合部に係脱可能に係合する外側係合部を有し、この外側係合部は弾性により凹部側被係合部と係合する方向に常時付勢されていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、上記発明において、接続部材は、外側係合部が凹枠材の凹部側被係合部に係合した状態で、凹枠材の凹部より突出することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、上記各発明において、接続部材の内側係合部は鏃形状を呈していることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、上記各発明において、凸部及び凹部は、凸枠材及び凹枠材にそれぞれ複数形成されており、接続部材は各凸部及び凹部間にそれぞれ介設されることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、上記各発明において、凸枠材又は凹枠材には、端部より少許内側に位置してパッキンが形成されており、このパッキンは他の断熱パネルとの接続の際に潰れる方向が開放した略断面C形状を呈していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一対の表面材とこの表面材端部の全幅に渡って設けられた凸枠材及び/又は凹枠材とで囲まれる空間に断熱材が充填されて成る断熱パネルの接続構造において、凸枠材の凸部に凹陥形成された凸部側被係合部と、凹枠材の凹部内面に形成された凹部側被係合部と、凸枠材及び凹枠材よりも短い長手方向寸法を有して凸部と凹部間に介設される接続部材とを備え、この接続部材は、内面に凸枠材の凸部側被係合部に係脱可能に係合する内側係合部を有すると共に、外面には凹枠材の凹部側被係合部に係脱可能に係合する外側係合部を有し、この外側係合部は弾性により凹部側被係合部と係合する方向に常時付勢されているので、外側係合部と凹部側被係合部との結合代を大きくしなくとも、当該外側係合部と凹部側被係合部との係合強度を向上させることが可能となる。
【0017】
従って、小さな力にて接続部材を凹枠材に押し込むことが可能となり、組み付け作業の少力化を図ることができる。そのため、従来の如く結合強度を向上させるべく接続部材と凹枠材との結合代を大きく形成した場合に比して、著しく作業性の向上を実現することができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、上記発明に加えて、接続部材は、外側係合部が凹枠材の凹部側被係合部に係合した状態で、凹枠材の凹部より突出することにより、凹枠材から接続部材を分離する際に、凹枠材の凹部より外(凸枠材側)に突出している部分の外側係合部を、治具若しくは、手指等によってその弾性により接続部材の内側(内側係合部方向)に変形させることが可能となる。
【0019】
これにより、容易に外側係合部と凹部側被係合部との係合を解除することが可能となり、解体作業性の向上を図ることができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、上記各発明に加えて、接続部材の内側係合部は鏃形状を呈しているので、当該鏃形状の内側係合部と凸枠材の凸部側被係合部とを係合させることにより、隣接する断熱パネルの凸枠材と凹枠材とをより確実に接続することができるようになる。
【0021】
請求項4の発明によれば、上記各発明に加えて、凸部及び凹部は、凸枠材及び凹枠材にそれぞれ複数形成されており、接続部材は各凸部及び凹部間にそれぞれ介設されることにより、各凸枠材と凹枠材との接続強度を的確に調整することが可能となる。これにより、特に冷凍領域で使用されるプレハブ冷凍庫や冷凍倉庫に極めて好適なものとなる。
【0022】
請求項5の発明によれば、上記各発明に加えて、凸枠材又は凹枠材には、端部より少許内側に位置してパッキンが形成されており、このパッキンは他の断熱パネルとの接続の際に潰れる方向が開放した略断面C形状を呈しているので、他の断熱材との接続の際、パッキンが断面円形のチューブ状パッキンに比して、容易に潰れることになる。これにより、断熱パネル同士を寄せ付けるときの抵抗を極力軽減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の断熱パネルを適用した一実施例のプレハブ冷蔵庫の分解斜視図である。
【図2】本発明を適用した一実施例のプレハブ冷蔵庫用の断熱パネルの接続構造を示す拡大平断面図である。
【図3】図2のプレハブ冷蔵庫用の断熱パネルの凸枠材、凹枠材、及び接続部材の分解平断面図である。
【図4】図2のプレハブ冷蔵庫用の断熱パネルの接続動作を説明する平断面図である。
【図5】図2のプレハブ冷蔵庫用の断熱パネルの解体動作を説明する平断面図である。
【図6】図2のプレハブ冷蔵庫用の断熱パネルの解体動作を説明する平断面図である。
【図7】本発明を適用した一実施例のプレハブ冷凍庫用の断熱パネルの接続構造を示す拡大平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の断熱パネル12を適用した一実施例のプレハブ冷蔵庫1(プレハブ冷凍庫1Aも同様)の分解斜視図、図2は本発明を適用した一実施例のプレハブ冷蔵庫1用の断熱パネル12の接続構造を示す拡大平断面図をそれぞれ示している。
【0025】
即ち、プレハブ冷蔵庫1は、図1に示すように周囲に立設された複数枚の断熱パネル12(プレハブパネル)と、天井に設けられた天井パネル(断熱パネル)3と、底部に設けられた床パネル(断熱パネル)4と、前面開口に設けられた庫口枠5と、この庫口枠5に回動自在に枢支された扉6(断熱パネル製の断熱扉)等から構成されている。
【0026】
扉6は、矩形状に形成された断熱パネルにて構成されていると共に、冷蔵用や冷凍用など多種のプレハブ冷蔵庫に共通して使用されるものであり、所定の外形寸法にて形成されている。扉6の一側(図中右側)には、庫口枠5に回動自在に枢支するためのヒンジ部材(図示せず)が取り付けられており、扉6の前面一側(左側)には、当該扉6を開閉するためのラッチ部材9が取り付けられている。尚、10はベース台枠であり、この上に床パネル4が載置され、周囲に縦長略長方形の断熱パネル12が立設されて壁を構成する。
【0027】
プレハブ冷蔵庫1の断熱パネル12は、各断熱パネル12の一側端面とそれに隣接する断熱パネル12の他側端面とが相互に突き合わされた状態で、後述する接続部材40を介して接続され、その内側に図示しない貯蔵室(庫内)が形成されている。冷蔵用の断熱パネル12は図2に示すように所定の間隔を存して配置された一対の表面材14、14と、この表面材14、14の例えば一側端部(図中右側の断熱パネル12の左側縁部)の長手方向に延在して設けられた凸枠材20と、他側端部(図中左側の断熱パネル12の右側縁部)の長手方向に設けられた凹枠材30とから構成されている。
【0028】
表面材14は、アルミ板或いは合成樹脂板などにて構成されると共に、凸枠材20と凹枠材30は所定の弾性を有する硬質樹脂にて構成されており、この凸枠材20と凹枠材30は断熱パネル12(表面材14)の端部全幅に渡って設けられている。
【0029】
断熱パネル12は、所定の間隔を存して設けられた一対の表面材14、14の一側端部に凸枠材20、他側端部に凹枠材30がそれぞれ設けられ、この両表面材14、14と凸枠材20及び凹枠材30とで囲まれた空間16にポリウレタン断熱材18を発泡充填することによって構成される。尚、図1に示すように、断熱パネル12が取り付けられる位置によって、凸枠材20と凹枠材30は相互に対応する位置に設けられている(図1では凸枠材20、凹枠材30を図示していない)。また、断熱パネル12によっては、両端に凸枠材20が、或いは、両端に凹枠材30、30がそれぞれ取り付けられる場合もある。
【0030】
このようにして構成された断熱パネル12と、それに隣接する断熱パネル12とを接続する際には、一方の断熱パネル12の凹枠材30内に他方の断熱パネル12の凸枠材20を挿入して係合させることにより接続する。尚、断熱パネル12と断熱パネル12との接続については後で詳しく説明する。また、図2では左右に2枚の断熱パネル12、12を図示しており、右側の断熱パネル12は凸枠材20部分のみを図示(反対側の凸枠材20は図示せず)し、左側の断熱パネル12は凹枠材30部分のみを図示(反対側の凹枠材30は図示せず)している。
【0031】
この凸枠材20の端部には、表面材14縁部に形成された内向きフランジに係合する嵌合部22が設けられる。凹枠材30の端部には、表面材14縁部に形成された内向きフランジに係合する嵌合部32が設けられている。そして、凸枠材20と凹枠材30はこれら嵌合部22、32が一対となる表面材14、14の縁部に嵌合されて固定されている。即ち、断熱パネル12の表面材14、14は凸枠材20と凹枠材30で接続され、それらに囲まれた空間16に断熱材18が充填されて一体化されている。
【0032】
凸枠材20には、図3に示すように断熱パネル12端部の全幅に渡って凸部24が形成されており、この凸部24は、当該凸枠材20が設けられる表面材14縁部から離間する方向(図3では、向かって左方向)に所定寸法突出すると共に、先端に行くに従って幅狭となる形状に形成されている。この凸部24は、所定の幅、所定の高さで凸枠材20の長手方向全体に渡って形成されると共に、凹枠材30の凹部34内に挿入可能な形状に形成されている。
【0033】
また、凸枠材20の凸部24先端には凸部側被係合部26が凹陥形成されている。この凸部側被係合部26は先端部を開口して両端に被係合片28、28が設けられると共に、凸部側被係合部26は凸枠材20の長手方向全体に渡って設けられている。この凸部側被係合部26の両被係合片28、28は、相互に近接する方向に所定寸法延在し、先端は断熱材18側に所定寸法折り返されていると共に、凸部側被係合部26には後述する接続部材40の内側係合部38が係脱可能に係合できるように構成されている。
【0034】
また、凸枠材20には、凸部側被係合部26(両被係合片28)が変形して相互に開いてしまうのを防止するための補強壁25が設けられている。この補強壁25は、開口した凸枠材20の両側の辺を接続すると共に、凸枠材20の長手方向全体に渡って設けられている。尚、補強壁25は、両被係合片28と所定距離離間した位置、即ち、凸部側被係合部26に接続部材40が挿入係合された状態で、内側係合部38が接触しない位置に設けられている。
【0035】
また、断熱パネル12に設けられた凹枠材30には、凸枠材20同様断熱パネル12端部の全幅に渡って凹部34が形成されると共に、この凹部34は凹枠材30の長手方向一端から他端に渡って形成されている。この凹部34の内面には後述する接続部材40の外面に形成された外側係合部44を係脱可能に係合する凹部側被係合部36が複数形成されている。凹部側被係合部36は、凹部34の両側面に形成されると共に、それぞれ凹部34の底面から開口に向かって斜めに傾斜し、開口側の面が嵌合部32と平行に形成されたノコギリ刃状(図示せず。)を呈している。
【0036】
一方、前記接続部材40は、凸枠材20及び凹枠材30よりも短い長手方向寸法を有していると共に、凸枠材20及び凹枠材30の幅方向の寸法よりも小さい幅寸法(凸部24に被さり、凹部34内に進入可能な寸法)で、凸部24と凹部34間に介設可能な厚さ寸法に構成されている。
【0037】
この接続部材40も弾性を有する硬質樹脂にて構成されており、図3の凸枠材20、凹枠材30及び接続部材40の分解平断面図に示すように、凹枠材30側に面する基部48と、この基部48の内面(接続部材40の内面)中央から垂直に突出する内側係合部38と、基部48の両端から内面側へ屈曲し、延在する係合片部41、41と、各係合片部41、41の外面(接続部材40の外面)に形成された外側係合部44とを備える。
【0038】
ここで、内側係合部38は鏃形状、例えば、釣り針の先端に設けられたカエリのような形状の抜け防止機能を備えた鏃形状を呈しており、この内側係合部38が凸枠材20の凸部側被係合部26に係合されたとき、先端両側の係合部39が凸部側被係合部26に係合され、内側係合部38に所定の応力(通常の使用状態にて加わることが想定される圧力等)が加わった場合でも、凸部側被係合部26から内側係合部38が容易には抜けることがなく、且つ、当該係合解除に必要とされる所定の応力によって係脱可能な構成とされている。尚、内側係合部38と凸部側被係合部26との係合強度は、内側係合部38の形状によって調整可能とされる。
【0039】
また、係合片部41、41は先端に向かうに従って相互に離間するよう、基部48に対して所定の角度で相互に拡開するかたちで延在している。また、係合片部41、41は弾性を有しており、その弾性によって内側(内側係合部38方向)に変形可能とされている。また、各係合片部41、41の拡開角度は、凹枠材30の凹部34の内面(凹部側被係合部36が形成されている面)の拡開角度よりも大きく設定されている。これにより、接続部材40が凹部34内に押し込まれている状態で、各係合片部41、41は内側に変形し、その弾性復元力により、外側係合部44は凹枠材30の凹部側被係合部36と係合する方向に常時付勢される。
【0040】
そして、外側係合部44が凹部側被係合部36に係合した状態で、この係合片部41、41の先端部(突出部分)41A、41Aが、凹枠材30の凹部34より外(凸枠材20側)に突出する。
【0041】
係る構成の接続部材40(内側係合部38)は、凸枠材20及び凹枠材30よりも短い長手方向寸法とされていることから、断熱パネル12の所定の周囲辺(縦辺及び横辺)の一端から他端に渡って設けられた凸枠材20の長手方向に対して、何れの位置にでも係合可能に構成されている。また、接続部材40(外側係合部44)は、同様に、断熱パネル12の所定の周囲辺(縦辺及び横辺)の一端から他端に渡って設けられた凹枠材30の長手方向に対して、何れの位置にでも係合可能に構成されている。
【0042】
このように構成された接続部材40は、図4に示すように凸枠材20の凸部24に設けた凸部側被係合部26に、内側係合部38が係合され、これによって凸枠材20の所定位置に係合配置される。
【0043】
このとき、接続部材40の内側係合部26は上述したように鏃形状を呈しているので、当該鏃形状の内側係合部26と当該内側係合部が挿入係合される凸枠材20の凸部側被係合部26との係合が容易に解除される不都合を回避することが可能となり、隣接する断熱パネル12の凸枠材20と凹枠材30とをより確実に接続することができるようになる。
【0044】
そして、断熱パネル12と、それに隣接する断熱パネル12とを接続する際には、他方の断熱パネル12の凸枠材20に接続部材40が係合された状態(図4)で、一方の断熱パネル12の凹枠材30内に他方の断熱パネル12に係合した接続部材40を図4のように挿入して係合させる。即ち、接続部材40と凹枠材30とを係合する際には、スプリングの如く弾性を有する係合片部41、41を内側に変形させて当該接続部材40を凹枠材30の凹部34内に押し込み、当該係合片部41、41の弾性復元力によって当該係合片部41の外側係合部44は、凹部側被係合部36と係合する方向に常時付勢される(図2)。
【0045】
これにより、外側係合部44と凹部側被係合部36との結合代を大きくしなくとも、当該外側係合部44と凹部側被係合部36との係合強度を向上させることが可能となる。従って、小さな力にて接続部材40を凹枠材30に押し込むことが可能となり、組み付け作業の少力化を図ることができる。そのため、従来の如く結合強度を向上させるべく接続部材と凹枠材との結合代を大きく形成した場合に比して、著しく作業性の向上を実現することができる。
【0046】
また、接続部材40を凹枠材30に挿入した際に、係合片部41、41の弾性により変形させた状態で、凹枠材の凹部34に押し込まれた際、凹部34に形成される何れかの凹部側被係合部36に合致して係合された状態で、一気に弾性により復元し、「パチン」と音を発する。これにより、作業者は、接続部材40の外側係合部44が正規の位置、即ち、凹部側被係合部36と係合される位置まで挿入できたことを容易に判定することが可能となる。
【0047】
本実施例において、凸枠材20の外面(凸部24が突出している側の面)の両側部には、軟質のパッキン29、29が設けられている。パッキン29、29は、凸枠材20の長手方向の全幅に渡り、二重押出成形などによって凸枠材20と一体に形成されると共に、凸枠材20の両端部より少許内側(両表面材14、14より所定寸法凸部24側)に形成されている。即ち、パッキン29は、断熱パネル12、12同士を接続する際に潰れる方向、実際には凸部24方向が開放した断面略C形状に形成されると共に、両嵌合部22の外面に設けられている。尚、パッキン29は凹枠材30側(凸枠材20の外面に設けたパッキン29の対向位置)に設けても差し支えない。この場合も、凸枠材20に設けたパッキン29と同様の効果を得ることができる。
【0048】
そのため、隣接する断熱パネル12と断熱パネル12とが接続されると、断面略C形状に形成されたパッキン29の湾曲面が、表面材14のフランジ及び凹枠材30の嵌合部32に当接する(図2)。
【0049】
ここで、パッキン29のC形状の湾曲部分の直径は、隣接する断熱パネル12と断熱パネル12間の隙間(目地)の幅より少許大きく構成している。これにより、当該パッキン29の湾曲部分の頂点は隣接する断熱パネル12の嵌合部32に当接すると共に、所定の圧力で押圧されて弾性変形し、凸部24方向に潰れ、凸枠材20と凹枠材30間の目地をシールする。従って、隣接する断熱パネル12間の断熱性及び気密性が好適な状態で確保される。
【0050】
特に、パッキン29は他の断熱パネル12との接続の際に潰れる方向(凸部24方向)が開放した略断面C形状を呈しているので、他の断熱パネル12との接続の際、パッキン29は、従来使用されていた断面円形のチューブ状パッキンに比して、容易に潰れることになる。これにより、断熱パネル12、12同士を寄せ付けるときの抵抗を極力軽減することができるようになる。
【0051】
尚、パッキン29は、断熱パネル12が接続された状態で凸枠材20又は凹枠材30の端部より少許内側に位置して設けているので、パッキン29の外側に湿式コーキング剤でシールすることも可能となる。これにより、隣接する断熱パネル12間の、目地のシール性を更に向上させなければならない場合、例えば、当該断熱パネルをクリーンルームに使用する場合などに効果的である。
【0052】
一方、本実施例において、上述した如き接続部材40は、内側係合部38が凸部側被係合部26に係合されたときの抜け強度より、外側係合部44が凹部34内に係合されたときの抜け強度の方を強くしている。この場合、凸枠材20、凹枠材30及び接続部材40は、弾性を有する硬質樹脂にて構成されているので、凸枠材20と凹枠材30とを力を加えて強引に引き離す、若しくは、隣接した各断熱パネル12間の目地部分を離間させる方向に強くこじることにより、図5に示すように、接続部材40の内側係合部38と凸部側被係合部26との係合を解除することができる。尚、当該内側係合部38及び凸部側被係合部26は硬質樹脂により構成されているため、脱着時の変形等は少ないものであり、引き離すために必要とされる力は、上述したように、これら内側係合部38や凸部側被係合部26の形状を設計変更することで設定可能とされる。
【0053】
これにより、図5に示すように凸枠材20から接続部材40を分離させることができる。そして、凹枠材30から接続部材40を分離させる際には、図5において実線矢印にて示すように、外側係合部44が凹部側被係合部36に係合した状態で、凹枠材30の凹部34より外(凸枠材20側)に突出している係合片部41、41の先端部41A、41Aを、治具若しくは、手指によってその弾性により接続部材40の内側(内側係合部38方向)に変形させる。
【0054】
これにより、当該係合片部41、41の拡開角度は、凹枠材30の凹部34の内面(凹部側被係合部36が形成されている面)の拡開角度よりも小さくすることができ、容易に、接続部材40の外側係合部44と、凹枠材30の凹部側被係合部36との係合を解除することができる。そのため、凹枠材30から容易に接続部材40を分離することが可能となり、断熱パネル12の解体作業性の向上を図ることが可能となる。
【0055】
また、他の断熱パネル12の解体方法として、図6に示すように、凸枠材20と凹枠材30とが接続部材40により接続されている状態で、両断熱パネル12、12の隙間、即ち、凸枠材20と凹枠材30との隙間であってパッキン29上、若しくは、パッキン29の隙間から治具等を挿入して、実線矢印にて示すように、凹枠材30の凹部34より外(凸枠材20側)に突出している係合片部41、41の先端部41A、41Aを、その弾性により接続部材40の内側(内側係合部38方向)に変形させる。
【0056】
これにより、当該係合片部41、41の拡開角度は、凹枠材30の凹部34の内面(凹部側被係合部36が形成されている面)の拡開角度よりも小さくすることができ、容易に、接続部材40の外側係合部44と、凹枠材30の凹部側被係合部36との係合を解除することができる。そのため、凹枠材30から容易に接続部材40を分離することが可能となり、断熱パネル12の解体作業性の向上を図ることが可能となる。
【0057】
係る方法は、内側係合部38が凸部側被係合部26に係合されたときの抜け強度より、外側係合部44が凹部34内に係合されたときの抜け強度の方が弱い場合において、特に有効となる。
【0058】
次に、図7には冷蔵用の断熱パネル12より厚さが厚い冷凍用のプレハブ冷凍庫1A(図1に図示)の断熱パネル12Aを示している。断熱パネル12Aは、前述した実施例と略同じ構成を有している。以下、異なる部分について説明する。尚、前述の実施例と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
【0059】
断熱パネル12Aの一側縁部に設けられた凸枠材20には、所定の間隔を存して冷蔵用の断熱パネル12同様に接続部材40が設けられた凸部24が二条(2箇所)設けられている(図7では上の凸部24のみに接続部材40が取り付けられているが、実際には下の凸部24にも取り付けられる)。また、断熱パネル12Aの他側縁部に設けられた凹枠材30にも冷蔵用の断熱パネル12同様の凹部34が二条(2箇所)設けられている。凸枠材20に設けられた2箇所の凸部24と凹枠材30に設けられた凹部34は、各断熱パネル12Aの凸枠材20と凹枠材30とが相互に突き合わされた状態で、それぞれ対向する位置に設けられている。
【0060】
そして、凸枠材20の凸部24が隣接した断熱パネル12Aの凹枠材30に設けられた凹部34内に挿入されたとき、凸枠材20に設けられた接続部材40の外側係合部44は、前述同様に凹枠材30の凹部側被係合部36に係脱可能に係合できるように構成されている。尚、凸枠材20及び凹枠材30に設けた凸部24及び凹部34は、二条に限らず三条(箇所)、四条(4箇所)或いはそれ以上設けても差し支えない。
【0061】
このように、冷凍用の断熱パネル12Aの凸枠材20には複数の凸部24を形成すると共に、凹枠材30にも複数の凹部34を形成している。そして、各凸枠材20に設けた接続部材40を凹部34内の凹部側被係合部36に係脱可能に係合することにより、冷凍用のプレハブ冷凍庫1Aに用いられる比較的厚さ寸法の大なる断熱パネル12Aであっても、所要の接続強度と断熱性能を得ることができる。
【0062】
また、この場合も、外側係合部44が形成される接続部材40の各係合片部41は、上記実施例と同様に、弾性により凹枠材30の凹部側被係合部36と係合する方向に常時付勢されているので、外側係合部44と凹部側被係合部36との結合代を大きくしなくとも、当該外側係合部44と凹部側被係合部36との係合強度を向上させることが可能となる。従って、小さな力にて接続部材を凹枠材に押し込むことが可能となり、組み付け作業の少力化を実現することができる。
【0063】
また、上記同様、この場合も、接続部材40は、外側係合部44が凹枠材30の凹部側被係合部36に係合した状態で、凹枠材30の凹部34より突出しているため、凹枠材30から接続部材40を分離する際に、凹枠材30の凹部34より外(凸枠材20側)に突出している部分の外側係合部44を、治具等によってその弾性により接続部材40の内側(内側係合部方向)に変形させて、容易に外側係合部44と凹部側被係合部36との係合を解除することが可能となる。
【0064】
尚、図中51は、断熱パネル12Aの凸枠材20の凸部24、24間の略中央に吐出形成されたガイドである。このガイド51は厚さ寸法の薄い起立壁であり、凸枠材20から所定寸法で突出し、且つ、凸枠材20の長手方向の略全幅に渡って形成されている。一方、断熱パネル12Aの凹枠材30の凹部34、34間の略中央には、ガイド用溝52が凹陥形成されている。このガイド用溝52は幅狭の断面略V形状を呈して所定の深さを有している。
【0065】
更に、凸枠材20の各凸部24、24のそれぞれの内側(各凸部24とガイド51との間)には、補助パッキン53、53が形成されている。各補助パッキン53はヒレ状を呈しており、凸部24側に向けて傾斜しながら突出している。更に、他の断熱パネル12Aと接続する際に各補助パッキン53が折れ曲がる方向に位置する部分の凸枠材20には、パッキン用溝54、54がそれぞれ形成されている。
【0066】
そして、断熱パネル12A、12Aを接続する際、先ず凸枠材20のガイド51が凹枠材30のガイド用溝52内に進入する。ガイド用溝52は幅狭に形成されているので、進入したガイド51の幅方向(断熱パネル12Aの幅方向)への移動は規制されることになる。これにより、断熱パネル12A同士を接続する際、ガイド51が他の断熱パネル12Aのガイド用溝内52に進入した段階でガイド51の移動が規制されるので、両断熱パネル12A、12Aのズレを防止、若しくは、抑制することができるようになり、断熱パネル12Aの接続作業性が著しく改善されるようになる。
【0067】
更に、補助パッキン53、53は凹枠材30に密着してシールする。これにより、断熱パネル12A、12A同士の接続部分は合計四個のパッキン29、29、53、53によりシールされることになり、実施例のようなプレハブ冷凍庫1Aで使用される断熱パネル12Aの場合にはシール性が向上する。
【0068】
この場合、凸枠材20には他の断熱パネル12Aとの接続の際に補助パッキン53、53が折れ曲がる方向に位置するパッキン用溝54、54が形成されているので、補助パッキン53の厚さや他の断熱パネル12Aに密着する部分以外の補助パッキン53はこのパッキン用溝54で逃げることができるようになり、これによっても断熱パネル12A、12A同士を引き寄せる際の抵抗を低減できることになる。そして、これらの構造により、パッキンを多数形成しているにも拘わらず、断熱パネル12A、12A同士を寄せ付けるときの抵抗を著しく軽減することができるようになる。
【0069】
尚、ガイド51及び補助パッキン53、パッキン用溝54を凹枠材30側に、ガイド用溝52を凸枠材20側に設けても差し支えない。この場合も実施例と同様の効果を得ることができる。
【0070】
また、上述した如き断熱パネル12と断熱パネル12との接続構造は、周囲に立設される断熱パネル12同士の接続に限定されるものではなく、天井パネル3同士や床パネル4同士、若しくは、天井パネル3又は床パネル4と断熱パネル12等との接続に用いても、同様の効果を奏するものとする。
【符号の説明】
【0071】
1 プレハブ冷蔵庫
12、12A 断熱パネル(プレハブパネル)
14 表面材
20 凸枠材
22、32 嵌合部
24 凸部
25 補強壁
26 凸部側被係合部
28 被係合片
29 パッキン
30 凹枠材
34 凹部
36 凹部側被係合部
38 内側係合部
39 係合部
40 接続部材
41 係合片部
41A 先端部
44 外側係合部
48 基部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】実開昭56−65019号公報
【特許文献2】実用新案登録第2511184号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の表面材と該表面材端部の全幅に渡って設けられた凸枠材及び/又は凹枠材とで囲まれる空間に断熱材が充填されて成る断熱パネルの接続構造であって、
前記凸枠材の凸部に凹陥形成された凸部側被係合部と、前記凹枠材の凹部内面に形成された凹部側被係合部と、前記凸枠材及び凹枠材よりも短い長手方向寸法を有して前記凸部と凹部間に介設される接続部材とを備え、
該接続部材は、内面に前記凸枠材の凸部側被係合部に係脱可能に係合する内側係合部を有すると共に、外面には前記凹枠材の凹部側被係合部に係脱可能に係合する外側係合部を有し、該外側係合部は弾性により前記凹部側被係合部と係合する方向に常時付勢されていることを特徴とする断熱パネルの接続構造。
【請求項2】
前記接続部材は、前記外側係合部が前記凹枠材の凹部側被係合部に係合した状態で、前記凹枠材の凹部より突出することを特徴とする請求項1に記載の断熱パネルの接続構造。
【請求項3】
前記接続部材の内側係合部は鏃形状を呈していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の断熱パネルの接続構造。
【請求項4】
前記凸部及び凹部は、前記凸枠材及び凹枠材にそれぞれ複数形成されており、前記接続部材は各凸部及び凹部間にそれぞれ介設されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の断熱パネルの接続構造。
【請求項5】
前記凸枠材又は凹枠材には、端部より少許内側に位置してパッキンが形成されており、該パッキンは他の断熱パネルとの接続の際に潰れる方向が開放した略断面C形状を呈していることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の断熱パネルの接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−168820(P2010−168820A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12872(P2009−12872)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(502041336)三洋昭和パネルシステム株式会社 (13)
【Fターム(参考)】