施工位置測定システム及び丁張りレスシステム
【課題】この発明は、施工車両における施工手段の施工位置を精度よく測定する施工位置測定システム、及びそれを用いた丁張りレスシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】クローラ式のバックホウ30の車両位置情報を取得する車両位置情報取得手段と、前記バケット33の位置を求める施工手段位置情報取得手段とを備え、該施工手段位置情報取得手段を、バックホウ30に備え、バケット33を撮像する車載CCDカメラ32と、車載CCDカメラ32によって撮像された画像に基づいて、バックホウ30に対するバケット33の位置を演算する施工手段位置演算手段とで構成し、車両位置情報取得手段を、少なくとも2つの位置情報が既知である定点20のそれぞれに備え、バックホウ30を撮像する定点CCDカメラ22と、定点CCDカメラ22によって撮像された画像に基づいて、バックホウ30の位置を演算する施工車両位置演算手段とで構成した。
【解決手段】クローラ式のバックホウ30の車両位置情報を取得する車両位置情報取得手段と、前記バケット33の位置を求める施工手段位置情報取得手段とを備え、該施工手段位置情報取得手段を、バックホウ30に備え、バケット33を撮像する車載CCDカメラ32と、車載CCDカメラ32によって撮像された画像に基づいて、バックホウ30に対するバケット33の位置を演算する施工手段位置演算手段とで構成し、車両位置情報取得手段を、少なくとも2つの位置情報が既知である定点20のそれぞれに備え、バックホウ30を撮像する定点CCDカメラ22と、定点CCDカメラ22によって撮像された画像に基づいて、バックホウ30の位置を演算する施工車両位置演算手段とで構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、バックホウ等の施工車両におけるバケット等の施工手段の位置を測定する施工位置測定システム、及びそれを用いた丁張りレスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、バックホウ等の掘削車両を用いた掘削作業において、設計通りに掘削するために丁張りを設置し、設計形状となるように掘削している。
このような掘削車両を用いた掘削作業において、バケット等の作業部分の作業位置を計測する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
上記装置は、掘削車両に、GPS衛星からの電波信号を受信して掘削車両の位置情報を取得するGPS受信アンテナと、掘削車両に対する作業部分の位置を把握する油圧センサ等の各種センサとを装備している。これにより、作業部分の位置情報を求めることができるものである。
【0004】
このように、上記装置における掘削車両に対する作業部分の位置は作業部分を駆動する多数の駆動手段のそれぞれに備えた複数のセンサのセンシング結果を合成して算出するため、各センサのわずかな誤差が掛け合わされ、精度のよい作業部分の位置情報の取得は困難であった。
【0005】
【特許文献1】特開2006−200185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、施工車両における施工手段の施工位置を精度よく測定する施工位置測定システム、及びそれを用いた丁張りレスシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、走行手段と施工手段とを備えた施工車両の車両位置情報を取得する車両位置情報取得手段と、前記施工手段の位置を求める施工手段位置情報取得手段とを備え、該施工手段位置情報取得手段を、前記施工車両に備え、前記施工手段を撮像するステレオカメラと、該ステレオカメラによって撮像された画像に基づいて、前記施工車両に対する前記施工手段の位置を演算する施工手段位置演算手段とで構成した施工位置測定システムであることを特徴とする。
【0008】
上記走行手段と施工手段とを備えた施工車両は、キャタピラによるクローラ式やタイヤによるホイール式等の走行手段と、バケットやブレード等の施工手段とを備えたバックホウやブルドーザ等の建設機械であることを含む。
上記位置情報は、平面直角座標系等のグローバル座標系における座標値であり、高さ方向の高度情報も含む位置情報であることを含む。
【0009】
上記ステレオカメラは、2台以上のCCDカメラで構成したり、1台で2つ以上のレンズを有し、同時に2枚の異なる方向からの画像を撮影できるステレオカメラであることを含む。なお、2台以上のCCDカメラ等の撮影手段で構成したステレオカメラの場合、2台以上のCCDカメラを連動させ、同時に撮影する制御装置を備える必要がある。
【0010】
上記構成により、車両位置情報が取得された施工車両に対する施工手段の相対位置を取得できるため、施工手段の位置情報を求めることができる。また、施工車両に搭載したステレオカメラによって撮像された画像によって算出するため、施工車両に対する施工手段の相対位置の精度を、向上することができる。したがって、施工手段の位置情報を精度良く求めることができる。
【0011】
この発明の態様として、前記車両位置情報取得手段を、前記施工車両に備え、複数のGPS衛星からの電波信号を受信して位置情報を取得するGPS受信手段で構成することができる。
これにより、移動する施工車両の位置情報を随時取得することができる。
【0012】
また、この発明の態様として、前記車両位置情報取得手段を、少なくとも2つの前記位置情報が既知である定点のそれぞれに備え、前記施工車両を撮像する撮像手段と、該撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記施工車両の位置を演算する施工車両位置演算手段とで構成することができる。
上記定点は、常設固定された定点、移動設置可能に構成された半固定式の定点であることを含む。
【0013】
上記構成により、前記位置情報が既知である2つ以上の定点で撮像された画像に基づいて、施工車両の位置情報を求めることができる。詳述すると、異なる2つ以上の定点に備えた前記撮像手段で施工車両を撮像することによって、その2つ以上の撮像手段がステレオカメラとして機能し、その2枚以上の画像に基づいて、その異なる2つ以上の定点から施工車両までの距離を高精度で算出することができる。
【0014】
したがって、例えば、不陸が多く、振動が激しい場所での施工であっても、移動しない定点から撮像した画像に基づいて施工車両の位置を高精度で求めることができる。よって、施工手段の位置も高精度で求めることができる。
【0015】
また、この発明の態様として、前記定点のそれぞれに、複数のGPS衛星からの電波信号を受信して位置情報を取得するGPS受信手段を備えることができる。
これにより、GPS受信手段で前記定点の位置情報を容易に取得することができる。
【0016】
また、この発明の態様として、少なくとも3つの前記定点を備え、該定点のうちの1つの定点を、異なる2つ以上の定点に備えた前記撮像手段で撮像し、該撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記1つの定点の位置を補正する定点位置情報補正手段を備えることができる。
【0017】
上記構成により、取得した定点の位置情報を補正してより高精度の位置情報を得ることができる。詳述すると、異なる2つ以上の定点に備えた前記撮像手段で位置情報を補正する1つの定点を撮像することによって、その他の定点に備えた2以上の前記撮像手段がステレオカメラとして機能し、その画像に基づいて、その異なる2つ以上の定点からの距離を算出することができる。そして、既に取得している位置情報と誤差がある場合、その誤差を補正することによってより高精度で位置を求めることができる。
【0018】
また、この発明は、施工手段で施工する目標の位置である目標位置情報を記憶する記憶手段と、上記施工位置測定システムによって測定された施工手段の位置情報と、該記憶手段に記憶された目標位置情報とを比較する比較手段を備えた丁張りレスシステムであることを特徴とする。
【0019】
上記施工手段で施工する目標の位置は、施工対象における設計で示された設計値による位置であることを含む。
上記丁張りレスシステムは、従来の施工において、目標の位置を目視可能にするために、現実的に設置していた丁張りをなくし、施工手段で施工する目標の位置と施工手段の位置とを比較しながら施工するシステムであることを含む。
【0020】
これにより、高精度で求めた施工手段の位置情報と、目標位置情報とを比較しながら施工することができる。したがって、精度よく施工することができる。また、丁張りを設置せずに、目標の位置に対して精度よく施工できるため、丁張りを設置する工程および人工を削除でき、低コストで施工することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、施工車両における施工手段の施工位置を精度よく測定する施工位置測定システム、及びそれを用いた丁張りレスシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
丁張レス施工システム1は、図1に示すように、管理用電算機10と、3つの定点20と、掘削装置であるバックホウ30とで構成されている。
なお、図1は丁張レス施工システム1の概略図を示す。
【0023】
図2(a)に示すように、管理用電算機10はコンピュータであり、CPUとROMとRAMで構成される制御装置10a、ハードディスク等の記憶装置10b、CD−ROMドライブ等の記憶媒体を読取る記憶媒体読取装置(図示省略)、または記憶媒体読書き装置(図示省略)、マウスやキーボード等の入力装置10c及びCRTや液晶画面等で構成する表示装置10dを備えるとともに、無線によって後述する定点20やバックホウ30と通信する送受信装置11、及び管理データベース(DB)12が接続されている。
なお、図2(a)は、管理用電算機10の構成を示すブロック図である。
【0024】
上記管理DB12は、本丁張レス施工システム1で対象とする施工の設計座標、定点20の位置情報、バックホウ30におけるターゲットポール31の位置、車載CCDカメラ32(32a,32b)の位置、バケット33の寸法、バケット33の移動実績情報等バックホウ30に関する情報を格納するとともに、座標算出プログラム、ステレオ画像解析プログラム、位置情報比較プログラム及び誤差補正プログラム等の丁張レス施工システム1において必要なプログラムを格納している。
【0025】
図3に示すように、定点20は、平面視円形の整準台29aを上部に備えた三脚29に設置されている。なお、図3(a)は、三脚29に設置された定点20の正面図、図3(b)は定点20の左側面図を示す。
【0026】
そして、図2(b)に示すように、定点20にはCPUとROMとRAMで構成される制御装置21a、RAM等で構成される記憶装置21b、操作ボタン等で構成する操作部21c、液晶画面等で構成する出力表示部21d、GPS衛星60からの電波信号61(図1)を受信するGPS受信アンテナ21e、静止画像を撮像する定点CCDカメラ22、該定点CCDカメラ22を水平方向に回転させる水平回転駆動装置23、鉛直方向に回転させる鉛直回転駆動装置24及び、GPS受信アンテナ21eで受信した電波信号61や定点CCDカメラ22で撮像した画像データ等を管理用電算機10と送受信する送受信装置25を備えるとともに、上記装置は制御装置21aに接続されている。また、上記定点CCDカメラ22は施工現場の監視カメラとして兼用してもよい。
なお、図2(b)は、定点20に備えた装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
バックホウ30は、図4に示すように、ゴムキャタピラを備えたクローラ式で、前方にバケット33を備えたバックホウであり、後ろ側中央上部にターゲットポール31を備えている。また、操縦席34の天井部分とその側方上面部分に、バケット33を撮像する車載CCDカメラ32(32a,32b)を備えている。なお、図4(a)はバックホウ30の側面図、図4(b)はバックホウ30の平面図を示す。
【0028】
また、図2(c)に示すように、バックホウ30にはCPUとROMとRAMで構成される制御装置30a、RAM等で構成される記憶装置30b、操作ボタン等で構成する入力装置30c、液晶画面等で構成する出力表示装置30d、上記車載CCDカメラ32、及び、車載CCDカメラ32で撮像した画像データ等を管理用電算機10と送受信する送受信装置33を備えるとともに、上記装置等は制御装置30aに接続されている。
なお、図2(c)は、バックホウ30に備えた装置の構成を示すブロック図である。
【0029】
次に、定点20の位置情報を取得するための定点位置情報処理について、図5に示す定点位置情報処理のフローチャートとともに説明する。
各定点20は、GPS受信アンテナ21eを介して、図1に示すように、少なくとも3つのGPS衛星60が発信する電波信号61を受信する(ステップs1)。このとき、例えば、2つ以下のGPS衛星60からの電波信号61しか受信できなかったり、受信感度が悪かった等によって、定点20の位置を算出するために十分な電波信号61が受信できなかった場合は(ステップs2:No)、再度電波信号61を受信する。
【0030】
定点20の位置を算出するために十分な電波信号61が受信できた場合(ステップs2:Yes)、管理用電算機10は管理DB12に格納された座標算出プログラムによって、当該定点20の位置を算出する(ステップs3)。全ての定点20に関する位置の算出を繰り返し(ステップs4:No)、全ての定点20に関して位置が算出されると(ステップs4:Yes)、定点20は定点CCDカメラ22で他の定点20を撮像する(ステップs5)。
【0031】
詳しくは、定点20とバックホウ30と設計ラインLとの位置関係を示す平面図である図6、同状態の側面図である図7に示すように、定点20(20a,20b,20c)は、設計ラインLに対して掘削するバックホウ30の外側で平面視三角状に配置されている。なお、定点20a,20bは常設の定点であり丁張レス施工に用いない際は監視カメラとして機能する。定点20cはバックホウ30の施工状況に応じて移動設置可能な半固定式の定点である。
【0032】
このときに、例えば、図8に示すように、定点20cを定点20aと定点20bの定点CCDカメラ22で撮像する。なお、図8(a)は定点20aの定点CCDカメラ22で定点20cを撮像した画像のイメージ図を示し、図8(b)は定点20bの定点CCDカメラ22で定点20cを撮像した画像のイメージ図を示す。
【0033】
このように、位置が異なる定点20a,20bから定点20cを撮像することによって、写りの異なる2枚の定点20cを撮像した画像を得ることができる。この2枚の画像データを受信した管理用電算機10は管理DB12に格納したステレオ画像解析プログラムを用いて、上記2枚の画像を画像解析し(ステップs6)、定点20a及び定点20bから定点20cまでの距離を算出する。
【0034】
なお、2枚の画像を画像解析して距離を算出する算出方法については、従来のステレオカメラによって撮像された2枚の画像を画像解析して距離を算出する算出方法と同様の方法であり、詳細な説明は省略する。
【0035】
そして、GPS衛星60の電波信号61に基づいて取得した定点20a及び定点20bの位置情報と、2枚の画像の画像解析によって算出された上記定点20a及び定点20bから定点20cまでの距離に基づいて、定点20cの位置を算出する。管理用電算機10は、この算出された定点20cの位置と、GPS衛星60の電波信号61に基づいて取得された定点20cの位置とを位置情報比較プログラムを用いて比較し、誤差がある場合、管理用電算機10は管理DB12に格納した誤差補正プログラムを用いて定点20cの位置を補正し(ステップs7)、定点20cの位置情報を確定する(ステップs8)。
【0036】
さらに、この位置情報の補正処理をすべての定点20、すなわち本実施例においては定点20a及び定点20bに対しても行い(ステップs9:No)、全ての定点20の位置情報を確定させて(ステップs9:Yes)、この定点位置情報処理を終了する。
【0037】
これにより、GPS衛星60の電波信号61を受信して取得した定点20の位置情報より、異なる定点20の定点CCDカメラ22から撮像した2枚以上の画像に基づく距離を算出して定点20の位置を補正するため、精度の高い位置情報を得ることができる。
【0038】
なお、本実施例においては、3つの定点20を用い、2つの定点20で残りの定点20を撮像して、その定点20の位置情報を補正したが、4以上の定点20を用い、3以上の定点20で残りの定点20を撮像し、その3枚以上の画像に基づいて、撮像された定点20の位置情報を補正する構成であってもよい。これにより、定点20に関して、より高精度の位置情報を得ることができる。
【0039】
また、定点20で他の定点20を撮像せずとも、定点20で4つ以上のGPS衛星60からの電波信号61を受信して、定点20に関して高精度の位置情報を得る構成であってもよい。なお、この場合、丁張レス施工システム1を2つの定点20で構成してもよい。
【0040】
この状態において、丁張レス施工システム1を用いて施工位置計測処理を行うことができる。続いて、施工位置計測処理について、図9に示す施工位置計測処理のフローチャートとともに説明する。
まず、施工位置計測処理を開始するにあたり、上述したように、定点20の確定した位置情報、バックホウ30における車載CCDカメラ32の位置、バケット33の寸法、及び本施工において施工の目標とする設計ラインLに関する位置情報等の丁張レス施工システム1を実行するにあたって必要な情報を管理用電算機10の管理DB12に登録する(ステップt1)。
【0041】
そして、定点20(20a,20b,20c)の定点CCDカメラ22でバックホウ30を撮像する。詳しくは、図6及び図7に示すように、ターゲットポール31を中心としてバックホウ30を撮像する(ステップt2)。
【0042】
その各定点20で撮像された画像情報(図示省略)を、GPS受信アンテナ21e及び送受信装置11を介して管理用電算機10に送信し、上記3枚の画像情報を受信した管理用電算機10は管理DB12に格納したステレオ画像解析プログラムを用いて、上記3枚の画像情報を画像解析する(ステップt3)。その画像解析結果及び各定点20の位置情報に基づいてバックホウ30の位置を算出する(ステップt4)。
【0043】
なお、定点20には水平回転駆動装置23及び鉛直回転駆動装置24を備えているため、施工中よく移動するバックホウ30であっても、制御装置21aによって制御された水平回転駆動装置23及び鉛直回転駆動装置24を駆動させてバックホウ30を適確に撮像することができる。
【0044】
また、定点20a,20b,20cの3台の定点CCDカメラ22でバックホウ30を撮影したため、3枚の画像を画像処理してバックホウ30の位置を算出できる。したがって、平面位置のみならず、高さ方向の位置、すなわち高度に関する位置についても算出することができる。
【0045】
続いて、図10に示すように、バックホウ30は車載CCDカメラ32(32a,32b)でバケット33を撮像する(ステップt5)。なお、図10(a)は車載CCDカメラ32aで撮像したバケット33の画像のイメージ図を示し、図10(b)は車載CCDカメラ32bでバケット33の撮像した画像のイメージ図を示す。
【0046】
このように、位置が異なる車載CCDカメラ32a,32bからバケット33を撮像することによって、写りの異なる2枚の画像を得ることができ、画像データを受信した管理用電算機10は管理DB12に格納したステレオ画像解析プログラムを用いて、上記2枚の画像を画像解析し(ステップt6)、車載CCDカメラ32a及び車載CCDカメラ32bからバケット33までの距離を算出する。
【0047】
そして、その画像解析結果及び各定点20の位置情報に基づいてバックホウ30の位置が算出され、そのバックホウ30における位置が予め登録されている車載CCDカメラ32a,32bからの距離に基づいて、バケット33の位置情報を算出する(ステップt7)。このようにして算出されたバケット33の位置情報と設計ラインLの位置情報とを比較して(ステップt8)、丁張レス施工システム1における施工位置計測処理を終了する。
【0048】
このように、丁張レス施工システム1を上記構成で構成したことによって、互いに撮像して位置情報を補正した定点20から撮像した画像に基づいてバックホウ30の位置を算出し、バックホウ30に搭載された車載CCDカメラ32でバケット33を撮像して、車載CCDカメラ32で撮像した画像に基づいてバケット33の位置を求めるため、高精度でバケット33の位置情報を得ることができる。
【0049】
したがって、より高精度に設計位置と比較することができる。なお、上記比較結果に基づいて、次のバケット33の位置を指示したり、比較結果を施工実績情報として管理DB12に格納し、施工図として図示する際の情報として用いてもよい。
【0050】
また、本実施例のバックホウ30のバケット33を駆動させる駆動部分に油圧センサ等の各種センサを装備し、該センサのセンシング結果及び車載CCDカメラ32の画像の画像処理に基づいて、バックホウ30に対する位置を算出する構成であってもよい。これにより、より高精度なバケット33の位置を求めることができる。
【0051】
また、定点20の定点CCDカメラ22に水平方向および鉛直方向のロータリーエンコーダ等の回転角度を測定する測定装置を備えてもよい。これにより、水平回転駆動装置23及び鉛直回転駆動装置24によって回転駆動した定点CCDカメラ22の撮像方向を測定することができるため、より高精度でバックホウ30の位置を算出することができる。
【0052】
また、本実施例においては、バックホウ30の位置を、GPS衛星60からの電波信号61を受信して位置を確定した2以上の定点20から撮像した画像に基づいて求めたが、バックホウ30にGPS衛星60の電波信号61を受信するGPS受信装置を備えて、バックホウ30の位置を取得する構成であってもよい。この場合、定点20を備える必要がなくなる。
また、本実施例においては、2以上の定点20の位置をGPS衛星60からの電波信号61を受信して確定したが、例えば、測量等によってグローバル座標系における座標値の位置が既知であるポイントに定点20を設置する構成であってもよい。
これにより、各定点20にGPS受信装置を備える必要がなくなるため、例えば、広大な作業範囲があり、多数の定点20を常設する必要がある場合等において、定点20に関するコストを低減することができる。
【0053】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の走行手段は、クローラに対応し、
以下同様に、
施工手段は、バケット33に対応し、
施工車両は、バックホウ30に対応し、
車両位置情報取得手段は、施工位置計測処理におけるステップt4を実行する制御装置10aに対応し、
ステレオカメラは、車載CCDカメラ32に対応し、
施工手段位置演算手段は、施工位置計測処理におけるステップt7を実行する制御装置10aに対応し、
撮像手段は、定点CCDカメラ22に対応し、
施工車両位置演算手段は、施工位置計測処理におけるステップt5を実行する制御装置10aに対応し、
GPS受信手段は、GPS受信アンテナ21eに対応し、
定点位置情報補正手段は、定点位置情報処理におけるステップs7を実行する制御装置10aに対応し、
記憶手段は、管理DB12に対応し、
比較手段は、施工位置計測処理におけるステップt8を実行する制御装置10aに対応し、
目標の位置は、設計ラインLに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】丁張レス施工システムの概略図。
【図2】管理用電算機、定点及びバックホウに備えた装置の構成を示すブロック図。
【図3】三脚に設置された定点の説明図。
【図4】バックホウの説明図。
【図5】定点位置情報処理のフローチャート。
【図6】定点とバックホウと設計ラインとの位置関係を示す平面図。
【図7】定点とバックホウと設計ラインとの位置関係を示す側面図。
【図8】定点CCDカメラで撮像した定点の画像のイメージ図。
【図9】施工位置計測処理のフローチャート。
【図10】車載CCDカメラで撮像したバケットの画像のイメージ図。
【符号の説明】
【0055】
1…丁張レス施工システム
10a…制御装置
12…管理DB
20…定点
21e…GPS受信アンテナ
22…定点CCDカメラ
30…バックホウ
32…車載CCDカメラ
33…バケット
60…GPS衛星
61…電波信号
L…設計ライン
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、バックホウ等の施工車両におけるバケット等の施工手段の位置を測定する施工位置測定システム、及びそれを用いた丁張りレスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、バックホウ等の掘削車両を用いた掘削作業において、設計通りに掘削するために丁張りを設置し、設計形状となるように掘削している。
このような掘削車両を用いた掘削作業において、バケット等の作業部分の作業位置を計測する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
上記装置は、掘削車両に、GPS衛星からの電波信号を受信して掘削車両の位置情報を取得するGPS受信アンテナと、掘削車両に対する作業部分の位置を把握する油圧センサ等の各種センサとを装備している。これにより、作業部分の位置情報を求めることができるものである。
【0004】
このように、上記装置における掘削車両に対する作業部分の位置は作業部分を駆動する多数の駆動手段のそれぞれに備えた複数のセンサのセンシング結果を合成して算出するため、各センサのわずかな誤差が掛け合わされ、精度のよい作業部分の位置情報の取得は困難であった。
【0005】
【特許文献1】特開2006−200185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、施工車両における施工手段の施工位置を精度よく測定する施工位置測定システム、及びそれを用いた丁張りレスシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、走行手段と施工手段とを備えた施工車両の車両位置情報を取得する車両位置情報取得手段と、前記施工手段の位置を求める施工手段位置情報取得手段とを備え、該施工手段位置情報取得手段を、前記施工車両に備え、前記施工手段を撮像するステレオカメラと、該ステレオカメラによって撮像された画像に基づいて、前記施工車両に対する前記施工手段の位置を演算する施工手段位置演算手段とで構成した施工位置測定システムであることを特徴とする。
【0008】
上記走行手段と施工手段とを備えた施工車両は、キャタピラによるクローラ式やタイヤによるホイール式等の走行手段と、バケットやブレード等の施工手段とを備えたバックホウやブルドーザ等の建設機械であることを含む。
上記位置情報は、平面直角座標系等のグローバル座標系における座標値であり、高さ方向の高度情報も含む位置情報であることを含む。
【0009】
上記ステレオカメラは、2台以上のCCDカメラで構成したり、1台で2つ以上のレンズを有し、同時に2枚の異なる方向からの画像を撮影できるステレオカメラであることを含む。なお、2台以上のCCDカメラ等の撮影手段で構成したステレオカメラの場合、2台以上のCCDカメラを連動させ、同時に撮影する制御装置を備える必要がある。
【0010】
上記構成により、車両位置情報が取得された施工車両に対する施工手段の相対位置を取得できるため、施工手段の位置情報を求めることができる。また、施工車両に搭載したステレオカメラによって撮像された画像によって算出するため、施工車両に対する施工手段の相対位置の精度を、向上することができる。したがって、施工手段の位置情報を精度良く求めることができる。
【0011】
この発明の態様として、前記車両位置情報取得手段を、前記施工車両に備え、複数のGPS衛星からの電波信号を受信して位置情報を取得するGPS受信手段で構成することができる。
これにより、移動する施工車両の位置情報を随時取得することができる。
【0012】
また、この発明の態様として、前記車両位置情報取得手段を、少なくとも2つの前記位置情報が既知である定点のそれぞれに備え、前記施工車両を撮像する撮像手段と、該撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記施工車両の位置を演算する施工車両位置演算手段とで構成することができる。
上記定点は、常設固定された定点、移動設置可能に構成された半固定式の定点であることを含む。
【0013】
上記構成により、前記位置情報が既知である2つ以上の定点で撮像された画像に基づいて、施工車両の位置情報を求めることができる。詳述すると、異なる2つ以上の定点に備えた前記撮像手段で施工車両を撮像することによって、その2つ以上の撮像手段がステレオカメラとして機能し、その2枚以上の画像に基づいて、その異なる2つ以上の定点から施工車両までの距離を高精度で算出することができる。
【0014】
したがって、例えば、不陸が多く、振動が激しい場所での施工であっても、移動しない定点から撮像した画像に基づいて施工車両の位置を高精度で求めることができる。よって、施工手段の位置も高精度で求めることができる。
【0015】
また、この発明の態様として、前記定点のそれぞれに、複数のGPS衛星からの電波信号を受信して位置情報を取得するGPS受信手段を備えることができる。
これにより、GPS受信手段で前記定点の位置情報を容易に取得することができる。
【0016】
また、この発明の態様として、少なくとも3つの前記定点を備え、該定点のうちの1つの定点を、異なる2つ以上の定点に備えた前記撮像手段で撮像し、該撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記1つの定点の位置を補正する定点位置情報補正手段を備えることができる。
【0017】
上記構成により、取得した定点の位置情報を補正してより高精度の位置情報を得ることができる。詳述すると、異なる2つ以上の定点に備えた前記撮像手段で位置情報を補正する1つの定点を撮像することによって、その他の定点に備えた2以上の前記撮像手段がステレオカメラとして機能し、その画像に基づいて、その異なる2つ以上の定点からの距離を算出することができる。そして、既に取得している位置情報と誤差がある場合、その誤差を補正することによってより高精度で位置を求めることができる。
【0018】
また、この発明は、施工手段で施工する目標の位置である目標位置情報を記憶する記憶手段と、上記施工位置測定システムによって測定された施工手段の位置情報と、該記憶手段に記憶された目標位置情報とを比較する比較手段を備えた丁張りレスシステムであることを特徴とする。
【0019】
上記施工手段で施工する目標の位置は、施工対象における設計で示された設計値による位置であることを含む。
上記丁張りレスシステムは、従来の施工において、目標の位置を目視可能にするために、現実的に設置していた丁張りをなくし、施工手段で施工する目標の位置と施工手段の位置とを比較しながら施工するシステムであることを含む。
【0020】
これにより、高精度で求めた施工手段の位置情報と、目標位置情報とを比較しながら施工することができる。したがって、精度よく施工することができる。また、丁張りを設置せずに、目標の位置に対して精度よく施工できるため、丁張りを設置する工程および人工を削除でき、低コストで施工することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、施工車両における施工手段の施工位置を精度よく測定する施工位置測定システム、及びそれを用いた丁張りレスシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
丁張レス施工システム1は、図1に示すように、管理用電算機10と、3つの定点20と、掘削装置であるバックホウ30とで構成されている。
なお、図1は丁張レス施工システム1の概略図を示す。
【0023】
図2(a)に示すように、管理用電算機10はコンピュータであり、CPUとROMとRAMで構成される制御装置10a、ハードディスク等の記憶装置10b、CD−ROMドライブ等の記憶媒体を読取る記憶媒体読取装置(図示省略)、または記憶媒体読書き装置(図示省略)、マウスやキーボード等の入力装置10c及びCRTや液晶画面等で構成する表示装置10dを備えるとともに、無線によって後述する定点20やバックホウ30と通信する送受信装置11、及び管理データベース(DB)12が接続されている。
なお、図2(a)は、管理用電算機10の構成を示すブロック図である。
【0024】
上記管理DB12は、本丁張レス施工システム1で対象とする施工の設計座標、定点20の位置情報、バックホウ30におけるターゲットポール31の位置、車載CCDカメラ32(32a,32b)の位置、バケット33の寸法、バケット33の移動実績情報等バックホウ30に関する情報を格納するとともに、座標算出プログラム、ステレオ画像解析プログラム、位置情報比較プログラム及び誤差補正プログラム等の丁張レス施工システム1において必要なプログラムを格納している。
【0025】
図3に示すように、定点20は、平面視円形の整準台29aを上部に備えた三脚29に設置されている。なお、図3(a)は、三脚29に設置された定点20の正面図、図3(b)は定点20の左側面図を示す。
【0026】
そして、図2(b)に示すように、定点20にはCPUとROMとRAMで構成される制御装置21a、RAM等で構成される記憶装置21b、操作ボタン等で構成する操作部21c、液晶画面等で構成する出力表示部21d、GPS衛星60からの電波信号61(図1)を受信するGPS受信アンテナ21e、静止画像を撮像する定点CCDカメラ22、該定点CCDカメラ22を水平方向に回転させる水平回転駆動装置23、鉛直方向に回転させる鉛直回転駆動装置24及び、GPS受信アンテナ21eで受信した電波信号61や定点CCDカメラ22で撮像した画像データ等を管理用電算機10と送受信する送受信装置25を備えるとともに、上記装置は制御装置21aに接続されている。また、上記定点CCDカメラ22は施工現場の監視カメラとして兼用してもよい。
なお、図2(b)は、定点20に備えた装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
バックホウ30は、図4に示すように、ゴムキャタピラを備えたクローラ式で、前方にバケット33を備えたバックホウであり、後ろ側中央上部にターゲットポール31を備えている。また、操縦席34の天井部分とその側方上面部分に、バケット33を撮像する車載CCDカメラ32(32a,32b)を備えている。なお、図4(a)はバックホウ30の側面図、図4(b)はバックホウ30の平面図を示す。
【0028】
また、図2(c)に示すように、バックホウ30にはCPUとROMとRAMで構成される制御装置30a、RAM等で構成される記憶装置30b、操作ボタン等で構成する入力装置30c、液晶画面等で構成する出力表示装置30d、上記車載CCDカメラ32、及び、車載CCDカメラ32で撮像した画像データ等を管理用電算機10と送受信する送受信装置33を備えるとともに、上記装置等は制御装置30aに接続されている。
なお、図2(c)は、バックホウ30に備えた装置の構成を示すブロック図である。
【0029】
次に、定点20の位置情報を取得するための定点位置情報処理について、図5に示す定点位置情報処理のフローチャートとともに説明する。
各定点20は、GPS受信アンテナ21eを介して、図1に示すように、少なくとも3つのGPS衛星60が発信する電波信号61を受信する(ステップs1)。このとき、例えば、2つ以下のGPS衛星60からの電波信号61しか受信できなかったり、受信感度が悪かった等によって、定点20の位置を算出するために十分な電波信号61が受信できなかった場合は(ステップs2:No)、再度電波信号61を受信する。
【0030】
定点20の位置を算出するために十分な電波信号61が受信できた場合(ステップs2:Yes)、管理用電算機10は管理DB12に格納された座標算出プログラムによって、当該定点20の位置を算出する(ステップs3)。全ての定点20に関する位置の算出を繰り返し(ステップs4:No)、全ての定点20に関して位置が算出されると(ステップs4:Yes)、定点20は定点CCDカメラ22で他の定点20を撮像する(ステップs5)。
【0031】
詳しくは、定点20とバックホウ30と設計ラインLとの位置関係を示す平面図である図6、同状態の側面図である図7に示すように、定点20(20a,20b,20c)は、設計ラインLに対して掘削するバックホウ30の外側で平面視三角状に配置されている。なお、定点20a,20bは常設の定点であり丁張レス施工に用いない際は監視カメラとして機能する。定点20cはバックホウ30の施工状況に応じて移動設置可能な半固定式の定点である。
【0032】
このときに、例えば、図8に示すように、定点20cを定点20aと定点20bの定点CCDカメラ22で撮像する。なお、図8(a)は定点20aの定点CCDカメラ22で定点20cを撮像した画像のイメージ図を示し、図8(b)は定点20bの定点CCDカメラ22で定点20cを撮像した画像のイメージ図を示す。
【0033】
このように、位置が異なる定点20a,20bから定点20cを撮像することによって、写りの異なる2枚の定点20cを撮像した画像を得ることができる。この2枚の画像データを受信した管理用電算機10は管理DB12に格納したステレオ画像解析プログラムを用いて、上記2枚の画像を画像解析し(ステップs6)、定点20a及び定点20bから定点20cまでの距離を算出する。
【0034】
なお、2枚の画像を画像解析して距離を算出する算出方法については、従来のステレオカメラによって撮像された2枚の画像を画像解析して距離を算出する算出方法と同様の方法であり、詳細な説明は省略する。
【0035】
そして、GPS衛星60の電波信号61に基づいて取得した定点20a及び定点20bの位置情報と、2枚の画像の画像解析によって算出された上記定点20a及び定点20bから定点20cまでの距離に基づいて、定点20cの位置を算出する。管理用電算機10は、この算出された定点20cの位置と、GPS衛星60の電波信号61に基づいて取得された定点20cの位置とを位置情報比較プログラムを用いて比較し、誤差がある場合、管理用電算機10は管理DB12に格納した誤差補正プログラムを用いて定点20cの位置を補正し(ステップs7)、定点20cの位置情報を確定する(ステップs8)。
【0036】
さらに、この位置情報の補正処理をすべての定点20、すなわち本実施例においては定点20a及び定点20bに対しても行い(ステップs9:No)、全ての定点20の位置情報を確定させて(ステップs9:Yes)、この定点位置情報処理を終了する。
【0037】
これにより、GPS衛星60の電波信号61を受信して取得した定点20の位置情報より、異なる定点20の定点CCDカメラ22から撮像した2枚以上の画像に基づく距離を算出して定点20の位置を補正するため、精度の高い位置情報を得ることができる。
【0038】
なお、本実施例においては、3つの定点20を用い、2つの定点20で残りの定点20を撮像して、その定点20の位置情報を補正したが、4以上の定点20を用い、3以上の定点20で残りの定点20を撮像し、その3枚以上の画像に基づいて、撮像された定点20の位置情報を補正する構成であってもよい。これにより、定点20に関して、より高精度の位置情報を得ることができる。
【0039】
また、定点20で他の定点20を撮像せずとも、定点20で4つ以上のGPS衛星60からの電波信号61を受信して、定点20に関して高精度の位置情報を得る構成であってもよい。なお、この場合、丁張レス施工システム1を2つの定点20で構成してもよい。
【0040】
この状態において、丁張レス施工システム1を用いて施工位置計測処理を行うことができる。続いて、施工位置計測処理について、図9に示す施工位置計測処理のフローチャートとともに説明する。
まず、施工位置計測処理を開始するにあたり、上述したように、定点20の確定した位置情報、バックホウ30における車載CCDカメラ32の位置、バケット33の寸法、及び本施工において施工の目標とする設計ラインLに関する位置情報等の丁張レス施工システム1を実行するにあたって必要な情報を管理用電算機10の管理DB12に登録する(ステップt1)。
【0041】
そして、定点20(20a,20b,20c)の定点CCDカメラ22でバックホウ30を撮像する。詳しくは、図6及び図7に示すように、ターゲットポール31を中心としてバックホウ30を撮像する(ステップt2)。
【0042】
その各定点20で撮像された画像情報(図示省略)を、GPS受信アンテナ21e及び送受信装置11を介して管理用電算機10に送信し、上記3枚の画像情報を受信した管理用電算機10は管理DB12に格納したステレオ画像解析プログラムを用いて、上記3枚の画像情報を画像解析する(ステップt3)。その画像解析結果及び各定点20の位置情報に基づいてバックホウ30の位置を算出する(ステップt4)。
【0043】
なお、定点20には水平回転駆動装置23及び鉛直回転駆動装置24を備えているため、施工中よく移動するバックホウ30であっても、制御装置21aによって制御された水平回転駆動装置23及び鉛直回転駆動装置24を駆動させてバックホウ30を適確に撮像することができる。
【0044】
また、定点20a,20b,20cの3台の定点CCDカメラ22でバックホウ30を撮影したため、3枚の画像を画像処理してバックホウ30の位置を算出できる。したがって、平面位置のみならず、高さ方向の位置、すなわち高度に関する位置についても算出することができる。
【0045】
続いて、図10に示すように、バックホウ30は車載CCDカメラ32(32a,32b)でバケット33を撮像する(ステップt5)。なお、図10(a)は車載CCDカメラ32aで撮像したバケット33の画像のイメージ図を示し、図10(b)は車載CCDカメラ32bでバケット33の撮像した画像のイメージ図を示す。
【0046】
このように、位置が異なる車載CCDカメラ32a,32bからバケット33を撮像することによって、写りの異なる2枚の画像を得ることができ、画像データを受信した管理用電算機10は管理DB12に格納したステレオ画像解析プログラムを用いて、上記2枚の画像を画像解析し(ステップt6)、車載CCDカメラ32a及び車載CCDカメラ32bからバケット33までの距離を算出する。
【0047】
そして、その画像解析結果及び各定点20の位置情報に基づいてバックホウ30の位置が算出され、そのバックホウ30における位置が予め登録されている車載CCDカメラ32a,32bからの距離に基づいて、バケット33の位置情報を算出する(ステップt7)。このようにして算出されたバケット33の位置情報と設計ラインLの位置情報とを比較して(ステップt8)、丁張レス施工システム1における施工位置計測処理を終了する。
【0048】
このように、丁張レス施工システム1を上記構成で構成したことによって、互いに撮像して位置情報を補正した定点20から撮像した画像に基づいてバックホウ30の位置を算出し、バックホウ30に搭載された車載CCDカメラ32でバケット33を撮像して、車載CCDカメラ32で撮像した画像に基づいてバケット33の位置を求めるため、高精度でバケット33の位置情報を得ることができる。
【0049】
したがって、より高精度に設計位置と比較することができる。なお、上記比較結果に基づいて、次のバケット33の位置を指示したり、比較結果を施工実績情報として管理DB12に格納し、施工図として図示する際の情報として用いてもよい。
【0050】
また、本実施例のバックホウ30のバケット33を駆動させる駆動部分に油圧センサ等の各種センサを装備し、該センサのセンシング結果及び車載CCDカメラ32の画像の画像処理に基づいて、バックホウ30に対する位置を算出する構成であってもよい。これにより、より高精度なバケット33の位置を求めることができる。
【0051】
また、定点20の定点CCDカメラ22に水平方向および鉛直方向のロータリーエンコーダ等の回転角度を測定する測定装置を備えてもよい。これにより、水平回転駆動装置23及び鉛直回転駆動装置24によって回転駆動した定点CCDカメラ22の撮像方向を測定することができるため、より高精度でバックホウ30の位置を算出することができる。
【0052】
また、本実施例においては、バックホウ30の位置を、GPS衛星60からの電波信号61を受信して位置を確定した2以上の定点20から撮像した画像に基づいて求めたが、バックホウ30にGPS衛星60の電波信号61を受信するGPS受信装置を備えて、バックホウ30の位置を取得する構成であってもよい。この場合、定点20を備える必要がなくなる。
また、本実施例においては、2以上の定点20の位置をGPS衛星60からの電波信号61を受信して確定したが、例えば、測量等によってグローバル座標系における座標値の位置が既知であるポイントに定点20を設置する構成であってもよい。
これにより、各定点20にGPS受信装置を備える必要がなくなるため、例えば、広大な作業範囲があり、多数の定点20を常設する必要がある場合等において、定点20に関するコストを低減することができる。
【0053】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の走行手段は、クローラに対応し、
以下同様に、
施工手段は、バケット33に対応し、
施工車両は、バックホウ30に対応し、
車両位置情報取得手段は、施工位置計測処理におけるステップt4を実行する制御装置10aに対応し、
ステレオカメラは、車載CCDカメラ32に対応し、
施工手段位置演算手段は、施工位置計測処理におけるステップt7を実行する制御装置10aに対応し、
撮像手段は、定点CCDカメラ22に対応し、
施工車両位置演算手段は、施工位置計測処理におけるステップt5を実行する制御装置10aに対応し、
GPS受信手段は、GPS受信アンテナ21eに対応し、
定点位置情報補正手段は、定点位置情報処理におけるステップs7を実行する制御装置10aに対応し、
記憶手段は、管理DB12に対応し、
比較手段は、施工位置計測処理におけるステップt8を実行する制御装置10aに対応し、
目標の位置は、設計ラインLに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】丁張レス施工システムの概略図。
【図2】管理用電算機、定点及びバックホウに備えた装置の構成を示すブロック図。
【図3】三脚に設置された定点の説明図。
【図4】バックホウの説明図。
【図5】定点位置情報処理のフローチャート。
【図6】定点とバックホウと設計ラインとの位置関係を示す平面図。
【図7】定点とバックホウと設計ラインとの位置関係を示す側面図。
【図8】定点CCDカメラで撮像した定点の画像のイメージ図。
【図9】施工位置計測処理のフローチャート。
【図10】車載CCDカメラで撮像したバケットの画像のイメージ図。
【符号の説明】
【0055】
1…丁張レス施工システム
10a…制御装置
12…管理DB
20…定点
21e…GPS受信アンテナ
22…定点CCDカメラ
30…バックホウ
32…車載CCDカメラ
33…バケット
60…GPS衛星
61…電波信号
L…設計ライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行手段と施工手段とを備えた施工車両の車両位置情報を取得する車両位置情報取得手段と、
前記施工手段の位置を求める施工手段位置情報取得手段とを備え、
該施工手段位置情報取得手段を、
前記施工車両に備え、前記施工手段を撮像するステレオカメラと、
該ステレオカメラによって撮像された画像に基づいて、前記施工車両に対する前記施工手段の位置を演算する施工手段位置演算手段とで構成した
施工位置測定システム。
【請求項2】
前記車両位置情報取得手段を、
前記施工車両に備え、複数のGPS衛星からの電波信号を受信して位置情報を取得するGPS受信手段で構成した
請求項1に記載の施工位置測定システム。
【請求項3】
前記車両位置情報取得手段を、
少なくとも2つの前記位置情報が既知である定点のそれぞれに備え、前記施工車両を撮像する撮像手段と、
該撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記施工車両の位置を演算する施工車両位置演算手段とで構成した
請求項1に記載の施工位置測定システム。
【請求項4】
前記定点のそれぞれに、
複数のGPS衛星からの電波信号を受信して位置情報を取得するGPS受信手段を備えた
請求項3に記載の施工位置測定システム。
【請求項5】
少なくとも3つの前記定点を備え、
該定点のうちの1つの定点を、異なる2つ以上の定点に備えた前記撮像手段で撮像し、
該撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記1つの定点の位置を補正する定点位置情報補正手段を備えた
請求項3又は4に記載の施工位置測定システム。
【請求項6】
施工手段で施工する目標の位置である目標位置情報を記憶する記憶手段と、
請求項1から5のうちいずれかに記載の施工位置測定システムによって測定された施工手段の位置情報と、該記憶手段に記憶された目標位置情報とを比較する比較手段を備えた
丁張りレスシステム。
【請求項1】
走行手段と施工手段とを備えた施工車両の車両位置情報を取得する車両位置情報取得手段と、
前記施工手段の位置を求める施工手段位置情報取得手段とを備え、
該施工手段位置情報取得手段を、
前記施工車両に備え、前記施工手段を撮像するステレオカメラと、
該ステレオカメラによって撮像された画像に基づいて、前記施工車両に対する前記施工手段の位置を演算する施工手段位置演算手段とで構成した
施工位置測定システム。
【請求項2】
前記車両位置情報取得手段を、
前記施工車両に備え、複数のGPS衛星からの電波信号を受信して位置情報を取得するGPS受信手段で構成した
請求項1に記載の施工位置測定システム。
【請求項3】
前記車両位置情報取得手段を、
少なくとも2つの前記位置情報が既知である定点のそれぞれに備え、前記施工車両を撮像する撮像手段と、
該撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記施工車両の位置を演算する施工車両位置演算手段とで構成した
請求項1に記載の施工位置測定システム。
【請求項4】
前記定点のそれぞれに、
複数のGPS衛星からの電波信号を受信して位置情報を取得するGPS受信手段を備えた
請求項3に記載の施工位置測定システム。
【請求項5】
少なくとも3つの前記定点を備え、
該定点のうちの1つの定点を、異なる2つ以上の定点に備えた前記撮像手段で撮像し、
該撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記1つの定点の位置を補正する定点位置情報補正手段を備えた
請求項3又は4に記載の施工位置測定システム。
【請求項6】
施工手段で施工する目標の位置である目標位置情報を記憶する記憶手段と、
請求項1から5のうちいずれかに記載の施工位置測定システムによって測定された施工手段の位置情報と、該記憶手段に記憶された目標位置情報とを比較する比較手段を備えた
丁張りレスシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−42175(P2009−42175A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209879(P2007−209879)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(594152848)株式会社コイシ (6)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(594152848)株式会社コイシ (6)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【Fターム(参考)】
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