既存の竪樋をアンテナ付き竪樋に改装する改装方法
【課題】既存の竪樋によるアンテナ部の性能への影響を抑制することが可能で、また、竪樋としての外観を損ねないようにすることが可能となる。
【解決手段】雨水を流すための排水筒部3とアンテナ部2とを有するアンテナ樋本体4と、前記アンテナ樋本体4の上下端部のうちのいずれか一方又は両方に設けられて前記排水筒部3と連通する接続体5を備えてアンテナ付き竪樋1を形成する。既存の竪樋7の上下方向の一部を切断して除去する。次に、前記切断して除去した箇所に、前記アンテナ付き竪樋1を配置して接続体5を残っている前記既存の竪樋7の端部に接続する。次に、前記既存の竪樋7に対してアンテナ樋本体4を回動してアンテナ部2の受信方向の向きを調整する。
【解決手段】雨水を流すための排水筒部3とアンテナ部2とを有するアンテナ樋本体4と、前記アンテナ樋本体4の上下端部のうちのいずれか一方又は両方に設けられて前記排水筒部3と連通する接続体5を備えてアンテナ付き竪樋1を形成する。既存の竪樋7の上下方向の一部を切断して除去する。次に、前記切断して除去した箇所に、前記アンテナ付き竪樋1を配置して接続体5を残っている前記既存の竪樋7の端部に接続する。次に、前記既存の竪樋7に対してアンテナ樋本体4を回動してアンテナ部2の受信方向の向きを調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の竪樋をアンテナ付き竪樋に改装する改装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、既存の導電性を有する竪樋をそのままにした状態で、この既存の導電性を有する竪樋の外面にアンテナ部と伝送路トラップ部を取付ける技術が開示されている。
【0003】
このアンテナ部は、半円筒状の折り返し部の側方に半円筒状の給電部を設けたアンテナ素体を2枚組み合わせて構成される。
【0004】
また、伝送路トラップ部は、既存の導電性を有する竪樋にアンテナ部を取付けるに当り、導電性を有する竪樋がアンテナ部の動作を乱さないように設けられる。この伝送路トラップ部は、半割り体を2枚組み合わせた二重筒構造に構成される。
【0005】
アンテナ部は、既存の導電性を有する竪樋の長手方向の中間部の外面側に、2枚のアンテナ素体の折り返し部を配置し、ねじにより2枚のアンテナ素体を連結することで、既存の竪樋に取付けられる。
【0006】
伝送路トラップ部は、既存の導電性を有する竪樋の外面側に取付けるに当り、アンテナ部の上下位置に、それぞれ2枚の半割り体を配置し、ねじにより半割り体を連結することで、竪樋に取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−168101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に示す従来例は、既存の導電性を有する竪樋をそのままにした状態で、既存の導電性を有する竪樋の外面に別部材のアンテナ部と伝送路トラップ部を取付けるため、以下の問題がある。
【0009】
すなわち特許文献1に示す従来例は、既存の導電性を有する竪樋の外面に別部材のアンテナ部を取付けるため、既存の導電性の竪樋が後から取付けるアンテナ部の性能に影響を及ぼす。したがって、アンテナ部の動作を乱さないようにアンテナ部の上下部に伝送路トラップを形成しなければならいという問題がある。
【0010】
また、特許文献1に示す従来例は、既存の竪樋の長手方向の外面部に、別部材の2枚のアンテナ素体を連結して構成したアンテナ部、2枚の半割り体を連結して構成した伝送路トラップ部が露出し、竪樋としての外観を大きく損ねるという問題がある。
【0011】
また、特許文献1に示す従来例は、給電部が既存の竪樋の外面より大きく突出し、いっそう外観を損ね、更に、突出する給電部に人や物が当って、損傷したり、アンテナ特性が変化したりするおそれがある。
【0012】
本発明の目的は、既存の竪樋によるアンテナ部の性能への影響を抑制することが可能で、また、竪樋としての外観を損ねないようにすることが可能となる既存の竪樋をアンテナ付き竪樋に改装する改装方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の既存の竪樋をアンテナ付き竪樋に改装する改装方法は、雨水を流すための排水筒部とアンテナ部とを有するアンテナ樋本体と、前記アンテナ樋本体の上下端部のうちのいずれか一方又は両方に設けられて前記排水筒部と連通する接続体を備えてアンテナ付き竪樋を形成し、既存の竪樋の上下方向の一部を切断して除去し、次に、前記切断して除去した箇所に、前記アンテナ付き竪樋を配置して前記接続体を残っている前記既存の竪樋の端部に接続し、次に、前記既存の竪樋に対して前記アンテナ樋本体を回動して前記アンテナ部の受信方向の向きを調整することを特徴とする。
【0014】
また、雨水を流すための排水筒部とアンテナ部とを有するアンテナ樋本体と、前記アンテナ樋本体の上下端部のうちのいずれか一方又は両方に設けられて前記排水筒部と連通する接続体を備えてアンテナ付き竪樋を形成し、既存の竪樋の上下方向の一部を切断して除去し、次に、前記切断して除去した箇所に前記アンテナ付き竪樋を配置して、前記アンテナ部が受信方向に向くようにアンテナ付き竪樋の向きを決めて、前記接続体を残っている前記既存の竪樋の端部に接続することを特徴とするものであってもよい。
【0015】
また、前記排水筒部が非導電性材料で形成してあることが好ましい。
【0016】
また、前記アンテナ部が前記アンテナ樋本体の軸方向に沿ったスロットが形成されたスロットアンテナであることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、既存の竪樋の外周にアンテナ部を取付けるのではなく、既存の竪樋の長手方向の一部を切断した箇所にアンテナ付き竪樋を配置して残っている既存の竪樋の端部に接続するので、既存の竪樋によるアンテナ部の性能への影響を抑制することが可能となる。また、アンテナ付き竪樋の接続体を、切断後に残っている既存の竪樋の端部に接続し、既存の竪樋に対しアンテナ樋本体を回動してアンテナ部の受信方向の向きを調整するので、簡単な方法で外観を損ねないように竪樋をアンテナ付き竪樋に改装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の改装順序を示し、(a)は既存の竪樋を切断する前の側面図であり、(b)は既存の竪樋を切断した状態の側面図であり、(c)は控え具を外壁に取付けた状態の側面図である。
【図2】同上の改装順序を示し、(a)(b)(c)はアンテナ付き竪樋を取付ける順序を示す側面図である。
【図3】同上の改装後の状態を示す斜視図である。
【図4】同上の断面図である。
【図5】同上のアンテナ付き竪樋の上接続体を上に残存する既存の竪樋に嵌め込み接続した部分の破断した拡大斜視図である。
【図6】同上のアンテナ付き竪樋の下接続体を上に残存する既存の竪樋に嵌め込み接続した部分の破断した拡大斜視図である。
【図7】同上に用いるアンテナ付き竪樋の外筒部を一部省略した斜視図である。
【図8】同上に用いるアンテナ付き竪樋の破断斜視図である。
【図9】同上に用いるアンテナ部を示し、(a)は正面側から見た斜視図であり、(b)は背面側から見た斜視図である。
【図10】同上に用いる下接続体の下方から見た斜視図である。
【図11】(a)は同上に用いる下接続体の嵌め込み凹部に円筒状の既存の竪樋を嵌め込む例を示す説明図であり、(b)は嵌め込み凹部に角筒状の既存の竪樋を嵌め込む例を示す説明図であり、(c)は(b)に比べて角筒状の既存の竪樋を45度回転した状態で嵌め込む例を示す説明図である。
【図12】同上に用いる取付部材の斜視図である。
【図13】同上に用いるアンテナ付き竪樋の控え具の斜視図である。
【図14】(a)(b)(c)は本発明の他の実施形態の改装順序を示し、(a)は既存の竪樋を切断する前の側面図であり、(b)は既存の竪樋を切断した状態の側面図であり、(b)は控え具を外壁に取付けた状態の側面図である。
【図15】同上の改装順序を示し、(a)(b)はアンテナ付き竪樋を取付ける順序を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0020】
本発明の一実施形態を、図1乃至図13に示す。
【0021】
アンテナ付き竪樋1は、図7、図8に示すように、雨水を流すための排水筒部3とアンテナ部2とを有するアンテナ樋本体4と、前記アンテナ樋本体4の上下端部のうちのいずれか一方又は両方に設けられて前記排水筒部3と連通する接続体5を備えている。
【0022】
アンテナ樋本体4は、添付図面に示す実施形態では、アンテナ部2を有し且つ雨水を流すための排水筒部3の長手方向のほぼ全長又は全長を外筒部6で覆った2重筒構造となっている。
【0023】
アンテナ樋本体4の端部に設ける接続体5は、既存の建物28に設置してある既存の竪樋7を切断した箇所の切断端部に連通接続するためのものである。実施形態では、アンテナ樋本体4の上端部に接続体5として上接続体8を設け、アンテナ樋本体4の下端部に接続体5として下接続体9を設ける。
【0024】
そして、本実施形態では、上接続体8、下接続体9により排水筒部3と外筒部6との間の隙間10が閉塞される。
【0025】
排水筒部3は、上下方向に軸方向を有する円筒形状となっており、非導電性の合成樹脂材料(例えば塩化ビニル)等の非導電性材料で形成される。
【0026】
図9に示されるように、アンテナ部2は、排水筒部3の軸方向に沿って長く形成されたスロット12を有するスロットアンテナにより構成されている。アンテナ部2は導電性部材11により構成されており、スロット12を形成した縦長矩形状の鋼板を水平断面C字状となるよう上下方向に一様に湾曲させることで形成される。
【0027】
アンテナ部2は複数の取付部材37により上下方向の複数箇所が排水筒部3に対して固定される。
【0028】
取付部材37は、非導電性の合成樹脂のような非導電性材料により形成されている。また、図12のように、取付部材37は、一対の半体38の一端部同士を軸受部39で回動自在に連結して構成され、一対の半体38の他端部の係止部40と被係止部41が係止自在となっている。
【0029】
取付部材37は、アンテナ部側ケーブル19のアンテナ部2に対する位置を保持するケーブル保持部36を備えている。
【0030】
また、各取付部材37は、径外方向に突出する複数の突出部42を有している。本実施形態の取付部材37は、軸受部39と、係止部40及び被係止部41と、ケーブル保持部36との計4箇所の突出部42を有している。突出部42は周方向に等間隔で配置されており、すなわち90°ごとに径外方向に突出している。この突出部42は、取付部材37がアンテナ部2の外周に装着された上で外筒部6が取り付けられると、当該外筒部6の略中心に排水筒部3と排水筒部3に設けられたアンテナ部2とが配置されると共に、外筒部6の内周面に当接又は近接対向するようになる。
【0031】
アンテナ部2にはスロット12が上下方向に複数並べて設けられており、隣接するスロット12同士は細溝13で接続されている。各スロット12は三角形の頂点を互いに突き合わせたようなボウタイ形状に形成されている。
【0032】
アンテナ部2は、第一の周波数帯(例えば473〜600MHz)の電波を受信する第一の受信部14と、第二の周波数帯(例えば600〜720MHz)の電波を受信する第二の受信部15を有している。
【0033】
第一の受信部14は、スロット12及び当該スロット12の周縁部により構成される。第二の受信部15は、このスロット12に対し上下方向に隣接する鋼板部分により構成される。
【0034】
第一の受信部14を構成するスロット12の上下方向の長さは、前記第一の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さと同じである。また、第二の受信部15の周方向の長さは、前記第二の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さと同じである。
【0035】
すなわち、第一の周波数帯内の中心周波数が536.5MHzであり、第一の周波数帯内の電波の電気的な半波長λ/2は約28cmであることから、各スロット12の上下方向の長さは約28cmとなっている。また、第二の周波数帯の中心周波数が660MHzであり、第二の周波数帯内の電波の電気的な半波長λ/2は約23cmであることから、第二の受信部15の周方向の長さは約23cmとなっている。
【0036】
図9に示されるように、アンテナ部2の周方向の両端間に上下に亘って形成された隙間16は、アンテナ部2の円弧中心を挟んでスロット12と対向する位置に配置され、スロット12に対向している。
【0037】
隙間16において各スロット12の後方に位置する部分は、導電性部材11が存在しない抜き部17を構成する。各抜き部17は正面から見てスロット12と重なる位置に設けられており、上下長さがスロット12の上下長さよりも長く、周方向長さがスロット12の周方向長さよりも長く形成されている。
【0038】
アンテナ部2において上側の第一の受信部14を構成するスロット12の両側は三角形状に形成され、これら対向する三角形状部分の夫々の頂点部は、アンテナ部2の給電部18を構成している。この給電部18は最上の第一の受信部14の上下方向の略中央部分に位置している。
【0039】
図7のように、給電部18には、アンテナ部側ケーブル19の一端部が接続される。
【0040】
アンテナ部側ケーブル19は同軸ケーブルからなり、内側の導線が一方の給電部18に接続され、外側の網線が他方の給電部18に接続される。
【0041】
アンテナ部側ケーブル19は、排水筒部3と外筒部6との間の隙間10を利用して排水筒部3の長手方向に沿って、図4、図5に示すように、上接続体8に設けた引出部49に至るように配線される。
【0042】
添付図面に示す実施形態では図5に示すように、引出部49を構成する孔部にアンテナ部側ケーブル19の端部の接続具32が嵌め込んで取付けられる。
【0043】
外筒部6は非導電性の合成樹脂材料により形成される。
【0044】
上接続体8は、上下に開口した上接続口部20と、排水筒部3の上端部を嵌め込むための上内側嵌め込み部21と、外筒部6の上端部を嵌め込むための上外側嵌め込み部22を有している。
【0045】
下接続体9は内部が上下に開口した下接続部24と、排水筒部3の下端部を嵌め込むための下内側嵌め込み部25と、外筒部6の下端部を嵌め込むための下外側嵌め込み部26を有している。
【0046】
下接続部24は図10に示すように、多角形状をした内側角筒部61と多角形状をした外側角筒部62の間に下方に開口する嵌め込み凹部60を設けることで形成され、嵌め込み凹部60の上底が当り用段部27となっている。
【0047】
嵌め込み凹部60には、図11(a)のように、円筒状の既設の竪樋7を嵌め込んだり、あるいは、図 のように、角筒状の既設の竪樋7を嵌め込んだりできる。
【0048】
嵌め込み凹部60には、角筒状の既設の竪樋7は図11(b)や図11(c)のように、45度の回転角度ごと周方向に嵌め込み角度を変えることができる。
【0049】
排水筒部3の上下端部は、上接続体8の上内側嵌め込み部21と下接続体9の下内側嵌め込み部25に嵌め込まれて接続される。
【0050】
このように排水筒部3の上下両端部に上接続体8と下接続体9を接続することで、上接続口部20と下接続口とが排水筒部3に連通する。
【0051】
上記構成のアンテナ付き竪樋1を用いて、図1(a)に示すような既存の竪樋7をアンテナ付き竪樋1に改装するには以下のようにして行う。
【0052】
以下、既存の竪樋7が円筒状の場合の実施形態で説明する。
【0053】
まず、図1(b)のように、既存の建物28の下階又は上階の外壁32に沿って存在する既存の竪樋7の上下方向の一部を切断して除去する。
【0054】
この場合、既存の竪樋7の上下方向において切断除去する長さは、使用しようとするアンテナ付き竪樋1の上下長さよりも少し短い長さとする。
【0055】
また、図1(b)の実施形態では、既存の竪樋7のうち、切断除去により残った上に残存する既存の竪樋29、下に残存する既存の竪樋30は、切断後も控え具31により既存の建物28の外壁32に固定された状態で残存している例である。なお、添付図面中符号45は既存の軒樋、46は既存の集水器、47は既存の呼び樋、48は既存のエルボを示している。
【0056】
既存の竪樋7の一部を切断した後、図1(c)のように、既存の竪樋7を切断除去した箇所に対応する外壁32にこれから取付けようとするアンテナ付き竪樋1を保持するための控え具33を固定する。
【0057】
控え具33は、非導電性の合成樹脂のような非導電性材料で形成されている。また、控え具33は、図13に示すように、一対の環状半体50、51の一端部同士を軸受部52により回動自在に連結して構成され、一対の環状半体50、51の他端部の係止部53と被係止部54が係止自在となっている。
【0058】
そして、控え具33の外壁32への固定に当っては、一方の環状半体50を固着具により外壁32に固定し、係止部53と被係止部54の係止を解除して環状半体51を回動して開いた状態としておく。
【0059】
次に、既存の竪樋7の一部を切断して除去した箇所に、アンテナ付き竪樋1を図2(a)のように少し斜めに位置させて配置する。
【0060】
次に、図2(b)の矢印に示すように、アンテナ付き竪樋1の上接続体8の上接続口部20を、切断除去により残った上に残存する既存の竪樋29の端部の外面側に嵌めこむ。
【0061】
この場合、アンテナ付き竪樋1の下接続体9の下端が、切断除去により残った下に残存する既存の竪樋30の上端よりも若干上に位置するまで、上接続口部20を、上に残存する既存の竪樋29に嵌め込む。
【0062】
次に、上接続口部20を、上に残存する既存の竪樋29に嵌め込んだ状態のまま、図2(c)の矢印に示すように、アンテナ付き竪樋1を少し下方に移動し、下接続体9の下接続部24を下に残存する既存の竪樋30の上端部に嵌め込む。
【0063】
ここで、図4、図6に示すように、下接続部24の上端に設けた当り用段部27が下に残存する既存の竪樋30の上端に当るまで、アンテナ付き竪樋1を下方に移動する。この当り用段部27が下に残存する既存の竪樋30の上端に当った状態で、図4、図5に示すように、上接続口部20が上に残存する既存の竪樋29に嵌め込まれた状態を維持している。
【0064】
このように、いわゆる「けんどん式」という嵌め込み方法により、アンテナ付き竪樋1を上下に残存する既存の竪樋29、30の端部に嵌め込むことができる。
【0065】
次に、アンテナ付き竪樋1を、上下に残存する既存の竪樋29、30に対して、回動してアンテナ部2の受信方向の向きを調整する。つまり、アンテナ付き竪樋1を回動して指向性を有するアンテナ部2のスロット12が放送電波を最も強く受信できる向きとなるよう調整する。
【0066】
調整が終了すると、開いていた環状半体51を逆方向に回動して、環状体50、51の他端部同士を係止することで図3に示すように、アンテナ付き竪樋1の外筒部6を外壁32に固定した控え具33で保持する。
【0067】
次に、アンテナ部側ケーブル19の端部に設けた接続具32に、テレビ側ケーブル34の端部に設けた接続具32を電気的に接続する。このテレビ側ケーブル34は、既存の建物28の外壁32や軒天井35から既存の建物内に導入され、既存の建物28内のテレビ側に接続される。
【0068】
これにより、既存の竪樋7の一部を新たなアンテナ付き竪樋1に置き換える改装が完了する。
【0069】
本実施形態は、既存の竪樋7の上下方向の一部を切断して除去した箇所に、アンテナ付き竪樋1を配置して上下接続体8、9を上下に残存する既存の竪樋29、30に接続するだけで、簡単に、既存の竪樋7の一部をアンテナ付き竪樋1とする改装ができる。
【0070】
また、従来のように既存の竪樋7の外周にアンテナ部2を取付けるものにおいては、既存の竪樋7によるアンテナ部2の性能への影響がある。しかしながら、本実施形態は、既存の竪樋7の長手方向の一部を切断した箇所にアンテナ付き竪樋1を配置して残っている既存の竪樋7の端部に接続するので、既存の竪樋7によるアンテナ部2の性能への影響を抑制することが可能となる。この場合、排水筒部3として非導電性材料で形成されたものを用いることで、従来例で必要とされた伝送路トラップ部を設けないことが可能となる。
【0071】
また、アンテナ付き竪樋1の接続体5を、切断後に残っている既存の竪樋7の端部に接続し、アンテナ樋本体4を回動してアンテナ部2の受信方向の向きを調整するので、簡単な方法で外観を損ねないように竪樋をアンテナ付き竪樋1に改装することができる。
【0072】
次に、図14、図15に基づいて他の実施形態を説明する。
【0073】
図14(a)のように、既存の建物28に設置してある既存の竪樋7の一部(本実施形態では下部)をアンテナ付き竪樋1に改装するには以下の順序で行う。
【0074】
まず図14(b)に示すように、既存の竪樋7の下部を切断除去する。
【0075】
次に、図14(c)のように、既存の竪樋7を切断除去した箇所に対応する外壁32にこれから取付けようとするアンテナ付き竪樋1を保持するための控え具33を固定する。
【0076】
次に、図14(a)に示すように、上に残存する既存の竪樋29の下端部にアンテナ付き竪樋1の上接続体8の上接続口部20を、切断除去により残った上に残存する既存の竪樋29の端部の外面側に嵌め込む。
【0077】
次に、アンテナ付き竪樋1を、上に残存する既存の竪樋29に対して、回動してアンテナ部2の受信方向の向きを調整し、図14(b)に示すように、開いていた環状半体51を逆方向に回動して、環状体50、51の他端部同士を係止することでアンテナ付き竪樋1の外筒部6を外壁32に固定した控え具33で保持する。
【0078】
次に、アンテナ部側ケーブル19の端部に設けた接続具32に、テレビ側ケーブル34の端部に設けた接続具32を電気的に接続する。
【0079】
これにより、既存の竪樋7の一部を新たなアンテナ付き竪樋1に置き換える改装が完了する。
【0080】
前述の実施形態は、既存の竪樋7が円筒状をしている例で説明したが、既存の竪樋7が角筒状の場合につき以下説明する。
【0081】
本実施形態は、まず、角筒状をした既存の竪樋7を切断除去する。
【0082】
次に、この切断して除去した箇所にアンテナ付き竪樋1を配置して、上接続口部20を、上に残存する既存の竪樋29に嵌め込んで、下接続体9の下端が下に残存する既存の竪樋30の上端より若干上に位置させる。
【0083】
この状態で、アンテナ付き竪樋1を回転してアンテナ部2が受信方向に向くようにアンテナ付き竪樋1の向きを決める。アンテナ付き竪樋1におけるアンテナ部2の受信方向の向きを決めるには、次に行う嵌め込み凹部60と、下に残存する角筒状をした既存の竪樋30の上端部との嵌め込みができるように、アンテナ付き竪樋1を45度ずつ回転して決定する。
【0084】
つまり、嵌め込み凹部60と、下に残存する角筒状をした既存の竪樋30の上端部との嵌め込みに当って、図11(b)、(c)のように45度の回転角度ごと周方向に嵌め込み角度を変えることができるので、アンテナ付き竪樋1におけるアンテナ部2の受信方向の向きを決めるための回転は45度ずつ回転して決める。
【0085】
このようにアンテナ付き竪樋1を回転してアンテナ部2が受信方向に向くようにアンテナ付き竪樋1の向きを決めた後、アンテナ付き竪樋1を下方に移動し、下接続体9の下接続部24の嵌め込み凹部60を下に残存する角筒状をした既存の竪樋30の上端部に嵌め込む。この下接続部24が下に残存する角筒状をした既存の竪樋30の上端部に嵌め込まれた状態で、上接続口部20は上に残存する既存の竪樋29に嵌め込まれた状態を維持している。これにより、アンテナ付き竪樋1の上接続体8、下接続体9が上下の角筒状をした既存の竪樋29、30に接続される。
【0086】
なお、いずれの実施形態においても、排水筒部3にアンテナ部2を設けるに当って、排水筒部3の外面側に別部材のアンテナ部2を取付部材37を用いて取付けた例を示したが、排水筒部3の外面側に別部材のアンテナ部2を接着してもよい。また、合成樹脂により排水筒部3を形成する際にアンテナ部2をインサート成形で一体に埋設又は積層してもよい。
【0087】
また、添付図面に示す実施形態で、アンテナ付き軒樋1は外筒部6を設けた例を示したが、外筒部6を設けないものであってもよい。
【符号の説明】
【0088】
2 アンテナ部
3 排水筒部
4 アンテナ樋本体
5 接続体
7 既存の竪樋
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の竪樋をアンテナ付き竪樋に改装する改装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、既存の導電性を有する竪樋をそのままにした状態で、この既存の導電性を有する竪樋の外面にアンテナ部と伝送路トラップ部を取付ける技術が開示されている。
【0003】
このアンテナ部は、半円筒状の折り返し部の側方に半円筒状の給電部を設けたアンテナ素体を2枚組み合わせて構成される。
【0004】
また、伝送路トラップ部は、既存の導電性を有する竪樋にアンテナ部を取付けるに当り、導電性を有する竪樋がアンテナ部の動作を乱さないように設けられる。この伝送路トラップ部は、半割り体を2枚組み合わせた二重筒構造に構成される。
【0005】
アンテナ部は、既存の導電性を有する竪樋の長手方向の中間部の外面側に、2枚のアンテナ素体の折り返し部を配置し、ねじにより2枚のアンテナ素体を連結することで、既存の竪樋に取付けられる。
【0006】
伝送路トラップ部は、既存の導電性を有する竪樋の外面側に取付けるに当り、アンテナ部の上下位置に、それぞれ2枚の半割り体を配置し、ねじにより半割り体を連結することで、竪樋に取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−168101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に示す従来例は、既存の導電性を有する竪樋をそのままにした状態で、既存の導電性を有する竪樋の外面に別部材のアンテナ部と伝送路トラップ部を取付けるため、以下の問題がある。
【0009】
すなわち特許文献1に示す従来例は、既存の導電性を有する竪樋の外面に別部材のアンテナ部を取付けるため、既存の導電性の竪樋が後から取付けるアンテナ部の性能に影響を及ぼす。したがって、アンテナ部の動作を乱さないようにアンテナ部の上下部に伝送路トラップを形成しなければならいという問題がある。
【0010】
また、特許文献1に示す従来例は、既存の竪樋の長手方向の外面部に、別部材の2枚のアンテナ素体を連結して構成したアンテナ部、2枚の半割り体を連結して構成した伝送路トラップ部が露出し、竪樋としての外観を大きく損ねるという問題がある。
【0011】
また、特許文献1に示す従来例は、給電部が既存の竪樋の外面より大きく突出し、いっそう外観を損ね、更に、突出する給電部に人や物が当って、損傷したり、アンテナ特性が変化したりするおそれがある。
【0012】
本発明の目的は、既存の竪樋によるアンテナ部の性能への影響を抑制することが可能で、また、竪樋としての外観を損ねないようにすることが可能となる既存の竪樋をアンテナ付き竪樋に改装する改装方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の既存の竪樋をアンテナ付き竪樋に改装する改装方法は、雨水を流すための排水筒部とアンテナ部とを有するアンテナ樋本体と、前記アンテナ樋本体の上下端部のうちのいずれか一方又は両方に設けられて前記排水筒部と連通する接続体を備えてアンテナ付き竪樋を形成し、既存の竪樋の上下方向の一部を切断して除去し、次に、前記切断して除去した箇所に、前記アンテナ付き竪樋を配置して前記接続体を残っている前記既存の竪樋の端部に接続し、次に、前記既存の竪樋に対して前記アンテナ樋本体を回動して前記アンテナ部の受信方向の向きを調整することを特徴とする。
【0014】
また、雨水を流すための排水筒部とアンテナ部とを有するアンテナ樋本体と、前記アンテナ樋本体の上下端部のうちのいずれか一方又は両方に設けられて前記排水筒部と連通する接続体を備えてアンテナ付き竪樋を形成し、既存の竪樋の上下方向の一部を切断して除去し、次に、前記切断して除去した箇所に前記アンテナ付き竪樋を配置して、前記アンテナ部が受信方向に向くようにアンテナ付き竪樋の向きを決めて、前記接続体を残っている前記既存の竪樋の端部に接続することを特徴とするものであってもよい。
【0015】
また、前記排水筒部が非導電性材料で形成してあることが好ましい。
【0016】
また、前記アンテナ部が前記アンテナ樋本体の軸方向に沿ったスロットが形成されたスロットアンテナであることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、既存の竪樋の外周にアンテナ部を取付けるのではなく、既存の竪樋の長手方向の一部を切断した箇所にアンテナ付き竪樋を配置して残っている既存の竪樋の端部に接続するので、既存の竪樋によるアンテナ部の性能への影響を抑制することが可能となる。また、アンテナ付き竪樋の接続体を、切断後に残っている既存の竪樋の端部に接続し、既存の竪樋に対しアンテナ樋本体を回動してアンテナ部の受信方向の向きを調整するので、簡単な方法で外観を損ねないように竪樋をアンテナ付き竪樋に改装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の改装順序を示し、(a)は既存の竪樋を切断する前の側面図であり、(b)は既存の竪樋を切断した状態の側面図であり、(c)は控え具を外壁に取付けた状態の側面図である。
【図2】同上の改装順序を示し、(a)(b)(c)はアンテナ付き竪樋を取付ける順序を示す側面図である。
【図3】同上の改装後の状態を示す斜視図である。
【図4】同上の断面図である。
【図5】同上のアンテナ付き竪樋の上接続体を上に残存する既存の竪樋に嵌め込み接続した部分の破断した拡大斜視図である。
【図6】同上のアンテナ付き竪樋の下接続体を上に残存する既存の竪樋に嵌め込み接続した部分の破断した拡大斜視図である。
【図7】同上に用いるアンテナ付き竪樋の外筒部を一部省略した斜視図である。
【図8】同上に用いるアンテナ付き竪樋の破断斜視図である。
【図9】同上に用いるアンテナ部を示し、(a)は正面側から見た斜視図であり、(b)は背面側から見た斜視図である。
【図10】同上に用いる下接続体の下方から見た斜視図である。
【図11】(a)は同上に用いる下接続体の嵌め込み凹部に円筒状の既存の竪樋を嵌め込む例を示す説明図であり、(b)は嵌め込み凹部に角筒状の既存の竪樋を嵌め込む例を示す説明図であり、(c)は(b)に比べて角筒状の既存の竪樋を45度回転した状態で嵌め込む例を示す説明図である。
【図12】同上に用いる取付部材の斜視図である。
【図13】同上に用いるアンテナ付き竪樋の控え具の斜視図である。
【図14】(a)(b)(c)は本発明の他の実施形態の改装順序を示し、(a)は既存の竪樋を切断する前の側面図であり、(b)は既存の竪樋を切断した状態の側面図であり、(b)は控え具を外壁に取付けた状態の側面図である。
【図15】同上の改装順序を示し、(a)(b)はアンテナ付き竪樋を取付ける順序を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0020】
本発明の一実施形態を、図1乃至図13に示す。
【0021】
アンテナ付き竪樋1は、図7、図8に示すように、雨水を流すための排水筒部3とアンテナ部2とを有するアンテナ樋本体4と、前記アンテナ樋本体4の上下端部のうちのいずれか一方又は両方に設けられて前記排水筒部3と連通する接続体5を備えている。
【0022】
アンテナ樋本体4は、添付図面に示す実施形態では、アンテナ部2を有し且つ雨水を流すための排水筒部3の長手方向のほぼ全長又は全長を外筒部6で覆った2重筒構造となっている。
【0023】
アンテナ樋本体4の端部に設ける接続体5は、既存の建物28に設置してある既存の竪樋7を切断した箇所の切断端部に連通接続するためのものである。実施形態では、アンテナ樋本体4の上端部に接続体5として上接続体8を設け、アンテナ樋本体4の下端部に接続体5として下接続体9を設ける。
【0024】
そして、本実施形態では、上接続体8、下接続体9により排水筒部3と外筒部6との間の隙間10が閉塞される。
【0025】
排水筒部3は、上下方向に軸方向を有する円筒形状となっており、非導電性の合成樹脂材料(例えば塩化ビニル)等の非導電性材料で形成される。
【0026】
図9に示されるように、アンテナ部2は、排水筒部3の軸方向に沿って長く形成されたスロット12を有するスロットアンテナにより構成されている。アンテナ部2は導電性部材11により構成されており、スロット12を形成した縦長矩形状の鋼板を水平断面C字状となるよう上下方向に一様に湾曲させることで形成される。
【0027】
アンテナ部2は複数の取付部材37により上下方向の複数箇所が排水筒部3に対して固定される。
【0028】
取付部材37は、非導電性の合成樹脂のような非導電性材料により形成されている。また、図12のように、取付部材37は、一対の半体38の一端部同士を軸受部39で回動自在に連結して構成され、一対の半体38の他端部の係止部40と被係止部41が係止自在となっている。
【0029】
取付部材37は、アンテナ部側ケーブル19のアンテナ部2に対する位置を保持するケーブル保持部36を備えている。
【0030】
また、各取付部材37は、径外方向に突出する複数の突出部42を有している。本実施形態の取付部材37は、軸受部39と、係止部40及び被係止部41と、ケーブル保持部36との計4箇所の突出部42を有している。突出部42は周方向に等間隔で配置されており、すなわち90°ごとに径外方向に突出している。この突出部42は、取付部材37がアンテナ部2の外周に装着された上で外筒部6が取り付けられると、当該外筒部6の略中心に排水筒部3と排水筒部3に設けられたアンテナ部2とが配置されると共に、外筒部6の内周面に当接又は近接対向するようになる。
【0031】
アンテナ部2にはスロット12が上下方向に複数並べて設けられており、隣接するスロット12同士は細溝13で接続されている。各スロット12は三角形の頂点を互いに突き合わせたようなボウタイ形状に形成されている。
【0032】
アンテナ部2は、第一の周波数帯(例えば473〜600MHz)の電波を受信する第一の受信部14と、第二の周波数帯(例えば600〜720MHz)の電波を受信する第二の受信部15を有している。
【0033】
第一の受信部14は、スロット12及び当該スロット12の周縁部により構成される。第二の受信部15は、このスロット12に対し上下方向に隣接する鋼板部分により構成される。
【0034】
第一の受信部14を構成するスロット12の上下方向の長さは、前記第一の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さと同じである。また、第二の受信部15の周方向の長さは、前記第二の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さと同じである。
【0035】
すなわち、第一の周波数帯内の中心周波数が536.5MHzであり、第一の周波数帯内の電波の電気的な半波長λ/2は約28cmであることから、各スロット12の上下方向の長さは約28cmとなっている。また、第二の周波数帯の中心周波数が660MHzであり、第二の周波数帯内の電波の電気的な半波長λ/2は約23cmであることから、第二の受信部15の周方向の長さは約23cmとなっている。
【0036】
図9に示されるように、アンテナ部2の周方向の両端間に上下に亘って形成された隙間16は、アンテナ部2の円弧中心を挟んでスロット12と対向する位置に配置され、スロット12に対向している。
【0037】
隙間16において各スロット12の後方に位置する部分は、導電性部材11が存在しない抜き部17を構成する。各抜き部17は正面から見てスロット12と重なる位置に設けられており、上下長さがスロット12の上下長さよりも長く、周方向長さがスロット12の周方向長さよりも長く形成されている。
【0038】
アンテナ部2において上側の第一の受信部14を構成するスロット12の両側は三角形状に形成され、これら対向する三角形状部分の夫々の頂点部は、アンテナ部2の給電部18を構成している。この給電部18は最上の第一の受信部14の上下方向の略中央部分に位置している。
【0039】
図7のように、給電部18には、アンテナ部側ケーブル19の一端部が接続される。
【0040】
アンテナ部側ケーブル19は同軸ケーブルからなり、内側の導線が一方の給電部18に接続され、外側の網線が他方の給電部18に接続される。
【0041】
アンテナ部側ケーブル19は、排水筒部3と外筒部6との間の隙間10を利用して排水筒部3の長手方向に沿って、図4、図5に示すように、上接続体8に設けた引出部49に至るように配線される。
【0042】
添付図面に示す実施形態では図5に示すように、引出部49を構成する孔部にアンテナ部側ケーブル19の端部の接続具32が嵌め込んで取付けられる。
【0043】
外筒部6は非導電性の合成樹脂材料により形成される。
【0044】
上接続体8は、上下に開口した上接続口部20と、排水筒部3の上端部を嵌め込むための上内側嵌め込み部21と、外筒部6の上端部を嵌め込むための上外側嵌め込み部22を有している。
【0045】
下接続体9は内部が上下に開口した下接続部24と、排水筒部3の下端部を嵌め込むための下内側嵌め込み部25と、外筒部6の下端部を嵌め込むための下外側嵌め込み部26を有している。
【0046】
下接続部24は図10に示すように、多角形状をした内側角筒部61と多角形状をした外側角筒部62の間に下方に開口する嵌め込み凹部60を設けることで形成され、嵌め込み凹部60の上底が当り用段部27となっている。
【0047】
嵌め込み凹部60には、図11(a)のように、円筒状の既設の竪樋7を嵌め込んだり、あるいは、図 のように、角筒状の既設の竪樋7を嵌め込んだりできる。
【0048】
嵌め込み凹部60には、角筒状の既設の竪樋7は図11(b)や図11(c)のように、45度の回転角度ごと周方向に嵌め込み角度を変えることができる。
【0049】
排水筒部3の上下端部は、上接続体8の上内側嵌め込み部21と下接続体9の下内側嵌め込み部25に嵌め込まれて接続される。
【0050】
このように排水筒部3の上下両端部に上接続体8と下接続体9を接続することで、上接続口部20と下接続口とが排水筒部3に連通する。
【0051】
上記構成のアンテナ付き竪樋1を用いて、図1(a)に示すような既存の竪樋7をアンテナ付き竪樋1に改装するには以下のようにして行う。
【0052】
以下、既存の竪樋7が円筒状の場合の実施形態で説明する。
【0053】
まず、図1(b)のように、既存の建物28の下階又は上階の外壁32に沿って存在する既存の竪樋7の上下方向の一部を切断して除去する。
【0054】
この場合、既存の竪樋7の上下方向において切断除去する長さは、使用しようとするアンテナ付き竪樋1の上下長さよりも少し短い長さとする。
【0055】
また、図1(b)の実施形態では、既存の竪樋7のうち、切断除去により残った上に残存する既存の竪樋29、下に残存する既存の竪樋30は、切断後も控え具31により既存の建物28の外壁32に固定された状態で残存している例である。なお、添付図面中符号45は既存の軒樋、46は既存の集水器、47は既存の呼び樋、48は既存のエルボを示している。
【0056】
既存の竪樋7の一部を切断した後、図1(c)のように、既存の竪樋7を切断除去した箇所に対応する外壁32にこれから取付けようとするアンテナ付き竪樋1を保持するための控え具33を固定する。
【0057】
控え具33は、非導電性の合成樹脂のような非導電性材料で形成されている。また、控え具33は、図13に示すように、一対の環状半体50、51の一端部同士を軸受部52により回動自在に連結して構成され、一対の環状半体50、51の他端部の係止部53と被係止部54が係止自在となっている。
【0058】
そして、控え具33の外壁32への固定に当っては、一方の環状半体50を固着具により外壁32に固定し、係止部53と被係止部54の係止を解除して環状半体51を回動して開いた状態としておく。
【0059】
次に、既存の竪樋7の一部を切断して除去した箇所に、アンテナ付き竪樋1を図2(a)のように少し斜めに位置させて配置する。
【0060】
次に、図2(b)の矢印に示すように、アンテナ付き竪樋1の上接続体8の上接続口部20を、切断除去により残った上に残存する既存の竪樋29の端部の外面側に嵌めこむ。
【0061】
この場合、アンテナ付き竪樋1の下接続体9の下端が、切断除去により残った下に残存する既存の竪樋30の上端よりも若干上に位置するまで、上接続口部20を、上に残存する既存の竪樋29に嵌め込む。
【0062】
次に、上接続口部20を、上に残存する既存の竪樋29に嵌め込んだ状態のまま、図2(c)の矢印に示すように、アンテナ付き竪樋1を少し下方に移動し、下接続体9の下接続部24を下に残存する既存の竪樋30の上端部に嵌め込む。
【0063】
ここで、図4、図6に示すように、下接続部24の上端に設けた当り用段部27が下に残存する既存の竪樋30の上端に当るまで、アンテナ付き竪樋1を下方に移動する。この当り用段部27が下に残存する既存の竪樋30の上端に当った状態で、図4、図5に示すように、上接続口部20が上に残存する既存の竪樋29に嵌め込まれた状態を維持している。
【0064】
このように、いわゆる「けんどん式」という嵌め込み方法により、アンテナ付き竪樋1を上下に残存する既存の竪樋29、30の端部に嵌め込むことができる。
【0065】
次に、アンテナ付き竪樋1を、上下に残存する既存の竪樋29、30に対して、回動してアンテナ部2の受信方向の向きを調整する。つまり、アンテナ付き竪樋1を回動して指向性を有するアンテナ部2のスロット12が放送電波を最も強く受信できる向きとなるよう調整する。
【0066】
調整が終了すると、開いていた環状半体51を逆方向に回動して、環状体50、51の他端部同士を係止することで図3に示すように、アンテナ付き竪樋1の外筒部6を外壁32に固定した控え具33で保持する。
【0067】
次に、アンテナ部側ケーブル19の端部に設けた接続具32に、テレビ側ケーブル34の端部に設けた接続具32を電気的に接続する。このテレビ側ケーブル34は、既存の建物28の外壁32や軒天井35から既存の建物内に導入され、既存の建物28内のテレビ側に接続される。
【0068】
これにより、既存の竪樋7の一部を新たなアンテナ付き竪樋1に置き換える改装が完了する。
【0069】
本実施形態は、既存の竪樋7の上下方向の一部を切断して除去した箇所に、アンテナ付き竪樋1を配置して上下接続体8、9を上下に残存する既存の竪樋29、30に接続するだけで、簡単に、既存の竪樋7の一部をアンテナ付き竪樋1とする改装ができる。
【0070】
また、従来のように既存の竪樋7の外周にアンテナ部2を取付けるものにおいては、既存の竪樋7によるアンテナ部2の性能への影響がある。しかしながら、本実施形態は、既存の竪樋7の長手方向の一部を切断した箇所にアンテナ付き竪樋1を配置して残っている既存の竪樋7の端部に接続するので、既存の竪樋7によるアンテナ部2の性能への影響を抑制することが可能となる。この場合、排水筒部3として非導電性材料で形成されたものを用いることで、従来例で必要とされた伝送路トラップ部を設けないことが可能となる。
【0071】
また、アンテナ付き竪樋1の接続体5を、切断後に残っている既存の竪樋7の端部に接続し、アンテナ樋本体4を回動してアンテナ部2の受信方向の向きを調整するので、簡単な方法で外観を損ねないように竪樋をアンテナ付き竪樋1に改装することができる。
【0072】
次に、図14、図15に基づいて他の実施形態を説明する。
【0073】
図14(a)のように、既存の建物28に設置してある既存の竪樋7の一部(本実施形態では下部)をアンテナ付き竪樋1に改装するには以下の順序で行う。
【0074】
まず図14(b)に示すように、既存の竪樋7の下部を切断除去する。
【0075】
次に、図14(c)のように、既存の竪樋7を切断除去した箇所に対応する外壁32にこれから取付けようとするアンテナ付き竪樋1を保持するための控え具33を固定する。
【0076】
次に、図14(a)に示すように、上に残存する既存の竪樋29の下端部にアンテナ付き竪樋1の上接続体8の上接続口部20を、切断除去により残った上に残存する既存の竪樋29の端部の外面側に嵌め込む。
【0077】
次に、アンテナ付き竪樋1を、上に残存する既存の竪樋29に対して、回動してアンテナ部2の受信方向の向きを調整し、図14(b)に示すように、開いていた環状半体51を逆方向に回動して、環状体50、51の他端部同士を係止することでアンテナ付き竪樋1の外筒部6を外壁32に固定した控え具33で保持する。
【0078】
次に、アンテナ部側ケーブル19の端部に設けた接続具32に、テレビ側ケーブル34の端部に設けた接続具32を電気的に接続する。
【0079】
これにより、既存の竪樋7の一部を新たなアンテナ付き竪樋1に置き換える改装が完了する。
【0080】
前述の実施形態は、既存の竪樋7が円筒状をしている例で説明したが、既存の竪樋7が角筒状の場合につき以下説明する。
【0081】
本実施形態は、まず、角筒状をした既存の竪樋7を切断除去する。
【0082】
次に、この切断して除去した箇所にアンテナ付き竪樋1を配置して、上接続口部20を、上に残存する既存の竪樋29に嵌め込んで、下接続体9の下端が下に残存する既存の竪樋30の上端より若干上に位置させる。
【0083】
この状態で、アンテナ付き竪樋1を回転してアンテナ部2が受信方向に向くようにアンテナ付き竪樋1の向きを決める。アンテナ付き竪樋1におけるアンテナ部2の受信方向の向きを決めるには、次に行う嵌め込み凹部60と、下に残存する角筒状をした既存の竪樋30の上端部との嵌め込みができるように、アンテナ付き竪樋1を45度ずつ回転して決定する。
【0084】
つまり、嵌め込み凹部60と、下に残存する角筒状をした既存の竪樋30の上端部との嵌め込みに当って、図11(b)、(c)のように45度の回転角度ごと周方向に嵌め込み角度を変えることができるので、アンテナ付き竪樋1におけるアンテナ部2の受信方向の向きを決めるための回転は45度ずつ回転して決める。
【0085】
このようにアンテナ付き竪樋1を回転してアンテナ部2が受信方向に向くようにアンテナ付き竪樋1の向きを決めた後、アンテナ付き竪樋1を下方に移動し、下接続体9の下接続部24の嵌め込み凹部60を下に残存する角筒状をした既存の竪樋30の上端部に嵌め込む。この下接続部24が下に残存する角筒状をした既存の竪樋30の上端部に嵌め込まれた状態で、上接続口部20は上に残存する既存の竪樋29に嵌め込まれた状態を維持している。これにより、アンテナ付き竪樋1の上接続体8、下接続体9が上下の角筒状をした既存の竪樋29、30に接続される。
【0086】
なお、いずれの実施形態においても、排水筒部3にアンテナ部2を設けるに当って、排水筒部3の外面側に別部材のアンテナ部2を取付部材37を用いて取付けた例を示したが、排水筒部3の外面側に別部材のアンテナ部2を接着してもよい。また、合成樹脂により排水筒部3を形成する際にアンテナ部2をインサート成形で一体に埋設又は積層してもよい。
【0087】
また、添付図面に示す実施形態で、アンテナ付き軒樋1は外筒部6を設けた例を示したが、外筒部6を設けないものであってもよい。
【符号の説明】
【0088】
2 アンテナ部
3 排水筒部
4 アンテナ樋本体
5 接続体
7 既存の竪樋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水を流すための排水筒部とアンテナ部とを有するアンテナ樋本体と、前記アンテナ樋本体の上下端部のうちのいずれか一方又は両方に設けられて前記排水筒部と連通する接続体を備えてアンテナ付き竪樋を形成し、
既存の竪樋の上下方向の一部を切断して除去し、
次に、前記切断して除去した箇所に、前記アンテナ付き竪樋を配置して前記接続体を残っている前記既存の竪樋の端部に接続し、
次に、前記既存の竪樋に対して前記アンテナ樋本体を回動して前記アンテナ部の受信方向の向きを調整することを特徴とする
既存の竪樋をアンテナ付き竪樋に改装する改装方法。
【請求項2】
雨水を流すための排水筒部とアンテナ部とを有するアンテナ樋本体と、前記アンテナ樋本体の上下端部のうちのいずれか一方又は両方に設けられて前記排水筒部と連通する接続体を備えてアンテナ付き竪樋を形成し、
既存の竪樋の上下方向の一部を切断して除去し、
次に、前記切断して除去した箇所に前記アンテナ付き竪樋を配置して、前記アンテナ部が受信方向に向くようにアンテナ付き竪樋の向きを決めて、前記接続体を残っている前記既存の竪樋の端部に接続することを特徴とする
既存の竪樋をアンテナ付き竪樋に改装する改装方法。
【請求項3】
前記排水筒部が非導電性材料で形成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の既存の竪樋をアンテナ付き竪樋に改装する改装方法。
【請求項4】
前記アンテナ部が前記アンテナ樋本体の軸方向に沿ったスロットが形成されたスロットアンテナであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の既存の竪樋をアンテナ付き竪樋に改装する改装方法。
【請求項1】
雨水を流すための排水筒部とアンテナ部とを有するアンテナ樋本体と、前記アンテナ樋本体の上下端部のうちのいずれか一方又は両方に設けられて前記排水筒部と連通する接続体を備えてアンテナ付き竪樋を形成し、
既存の竪樋の上下方向の一部を切断して除去し、
次に、前記切断して除去した箇所に、前記アンテナ付き竪樋を配置して前記接続体を残っている前記既存の竪樋の端部に接続し、
次に、前記既存の竪樋に対して前記アンテナ樋本体を回動して前記アンテナ部の受信方向の向きを調整することを特徴とする
既存の竪樋をアンテナ付き竪樋に改装する改装方法。
【請求項2】
雨水を流すための排水筒部とアンテナ部とを有するアンテナ樋本体と、前記アンテナ樋本体の上下端部のうちのいずれか一方又は両方に設けられて前記排水筒部と連通する接続体を備えてアンテナ付き竪樋を形成し、
既存の竪樋の上下方向の一部を切断して除去し、
次に、前記切断して除去した箇所に前記アンテナ付き竪樋を配置して、前記アンテナ部が受信方向に向くようにアンテナ付き竪樋の向きを決めて、前記接続体を残っている前記既存の竪樋の端部に接続することを特徴とする
既存の竪樋をアンテナ付き竪樋に改装する改装方法。
【請求項3】
前記排水筒部が非導電性材料で形成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の既存の竪樋をアンテナ付き竪樋に改装する改装方法。
【請求項4】
前記アンテナ部が前記アンテナ樋本体の軸方向に沿ったスロットが形成されたスロットアンテナであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の既存の竪樋をアンテナ付き竪樋に改装する改装方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−197563(P2012−197563A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60863(P2011−60863)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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