説明

映像信号処理装置及び映像信号処理装置の方法

【課題】スケールアップした映像信号が入力した場合、適切な鮮鋭化処理を行うことができる映像信号処理装置及び方法を提供する。
【解決手段】本実施形態では、外部機器から原画解像度情報を含む映像信号を受信する受信手段と、前記映像信号を鮮鋭化処理する鮮鋭化処理手段とを有する。そして、鮮鋭化処理制御手段が前記原画解像度情報に基づいて前記鮮鋭化処理を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は映像信号処理装置及び映像信号処理装置の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高解像度変換部を備えたテレビジョン受信装置及び映像信号再生装置が普及している。高解像度変換技術は、第1の映像信号(第1の解像度)が持つ画素周辺の仮想画素の値を推定し、第1の映像信号の画素数よりも画素数の多い第2の映像信号(第2の解像度)を生成する鮮鋭化処理技術である。また鮮鋭化処理技術としては、第1の映像信号(第2の解像度)が持つ画素値の本来の値を推定し、第1の映像信号の画素値を補正して第2の映像信号(同じく第2の解像度)を生成する場合も鮮鋭化処理技術と称される場合がある。
【0003】
上記した高解像度変換部が、映像信号再生装置(例えばDVDプレーヤ、BDプレーヤ、セットトップボックス)とテレビジョン受信装置の両方に装備された場合、両者を接続したときに問題が生じる。即ち、映像信号再生装置の出力映像信号がテレビジョン受信装置に入力され処理されると、二重の高解像度変換が施されることになる。この場合、ノイズや映像輪郭が異様に強調され、映像品質を劣化させることがある。このような問題を解決するために、映像信号再生装置とテレビジョン受信装置が双方向通信機能で互に情報を交換し、一方が高解像度処理を実施し、他方が高解像処理を弱めるシステムも開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−549040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、映像信号再生装置とテレビジョン受信装置とを接続する場合、高解像度映像信号、例えば垂直解像度1080ドット(又は1080画素、又は1080pと記される)で伝送するインターフェースを用いて接続することがある。このような接続が行われた場合、映像信号再生装置は、ソース映像信号が1080pよりも低解像の映像信号であってもスケールアップし、1080pに変換して伝送することになる。
【0006】
しかしテレビジョン受信装置は、上記した高解像度変換部により鮮鋭化処理を実施しているが、スケールアップした映像信号の場合、良好な鮮鋭化処理を実施できないという問題がある。
【0007】
そこで、本実施形態ではスケールアップした映像信号が入力した場合、適切な鮮鋭化処理を行うことができる映像信号処理装置及び映像信号処理装置の方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、外部機器から原画解像度情報を含む映像信号を受信する受信手段と、前記映像信号を鮮鋭化処理する鮮鋭化処理手段と、前記原画解像度情報に基づいて前記鮮鋭化処理を制御する鮮鋭化処理制御手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態であるテレビジョン受信装置の構成の一例を示す図である。
【図2】図1の高解像度化器の構成例を示す図である。
【図3】図2の高解像度化器内の鮮鋭化処理部の構成をさらに具体化した例を示す図である。
【図4】鮮鋭化処理制御部102が鮮鋭化処理部101の鮮鋭化帯域フィルタに設定する周波数特性の例を示す図である。
【図5】映像信号に対する点広がりによる影響がある場合と無い場合の波形を示す説明図である。
【図6】制御部40の動作例を示すフローチャートである。
【図7】映像処理モードである特定の高画質リンクが設定されるまでのメニュー画面の変遷の例を示す図である。
【図8】情報再生装置或いはサーバー(外部機器)であるメディアデータサーバー400の概略構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。図1は本実施形態にかかるテレビジョン受信装置の構成を示すブロック図である。デジタルテレビジョン放送受信用のアンテナ11で受信されたデジタルテレビジョン放送信号は、入力端子12を介してチューナ13に供給される。チューナ13は入力したデジタルテレビジョン放送信号から、選局されたチャンネルの信号を復調する。チューナ13からの復調出力は、デコーダ14に入力されデコードされとともに、直接セレクタ19にも入力されている。
【0011】
例えばケーブルテレビ放送によるアナログテレビジョン放送信号は、入力端子16を介してチューナ17に入力する。チューナ17は入力したアナログテレビジョン放送信号から、選局されたチャンネルの信号を復調する。チューナ13からの復調出力は、アナログデジタル(AD)変換器18でデジタル信号変換されてセレクタ19に入力される。
【0012】
また、外部機器(画像再生装置、サーバー、セットトップボックスなど)のHDMI規格に準拠した機器からの信号は、端子21を介してHDMI(High Definition Multimedia Interface)データ処理器22に入力される。HDMIデータ処理器22で分離された各種の制御情報は、例えば制御部22に入力されて解析される。またHDMIデータ処理器22で分離された映像信号及びオーディオ信号はセレクタ19に入力される。
【0013】
セレクタ19は、デコーダ14又はアナログデジタル変換器18又はHDMIデータ処理部22からの映像信号とオーディオ信号などを分離する。セレクタ19で分離された映像信号とオーディオ信号は、それぞれ信号処理部20の映像信号処理部、オーディオ信号処理部において処理される。信号処理部20から出力されたオーディオ信号は、スピーカ21に供給され、映像信号は、表示器22にて表示される。なお、セレクタ19で分岐された映像信号とオーディオ信号が、制御部24を介してハードディスクドライブ部において記録されてもよい。
【0014】
上記テレビジョン受信装置は、受信動作を含む種々の動作が制御部23により統括的に制御される。制御部23は、CPU(Central Processing Unit)等を用いたマイクロプロセッサであり、操作キーなどの操作部24からの操作情報や、受光部25を介してリモートコントローラ26から送信された操作情報を受け取り、操作内容が反映されるように各部を制御する。また制御部23は、メモリ27を使用し、メモリ27は、CPUが実行する制御プログラムを格納したROM、CPUに作業エリアを提供するRAM、各種設定情報及び制御情報などが格納される不揮発性メモリを含む。
【0015】
信号処理部31には、高解像度化処理器100が含まれている。
【0016】
図2は、本開示における特徴的なブロックを抽出して示している。本開示では、HDMI(1080p対応)を介して入力される映像信号に対する鮮鋭化処理を実施する方法に工夫がされている。HDMI入力信号には、映像信号のほかに各種の制御信号が含まれる。またこの制御信号には、本実施例では映像信号の属性情報(原画解像度情報など)が含まれるものとする。属性情報は、入力映像信号のソース媒体情報、原画解像度情報、コンテンツ情報を含む。
【0017】
*前記ソース媒体情報は、原映像信号がブルーレイディスクからのものか、DVDからのものか、地上デジタル放送のものか、放送衛星からのものか、その他のいずれかを現し、
*前記原画解像度情報は、原映像信号の解像度が、1920×1080画素か、1440×1080画素か、1280×720画素か、720×480画素か、その他の何れかを現し、
*前記コンテンツ情報は、原映像信号がアニメであるか、映画であるか、写真であるか、ネット動画であるか、グラフィックス画像であるか、ムービー(撮像)画像であるか、その他の何れかを現している。
【0018】
上記の属性情報は、高解像度化処理器100内の属性情報取得部103に取り込まれて、認識される。
【0019】
また、制御部40は、1080p画質モード選択判定部40aを含み、操作入力と外部入力選択動作に基づき、HDMI(1080p)の接続が操作により設定されたことを判定することができる。つまりユーザは、メニュー表示において、映像処理モードの中の特定のモードである「高画質リンク」を選択することができ、このときはHDMI(1080p)の接続状態となる。さらに制御部40は、HDMIを介して接続されているサーバー或いは画像再生装置が、高画質リンク対応の装置であるかどうかを判定している。この判定は、HDMI規格に準拠する双方向通信により可能であり、判定は、高画質リンク対応機器判定部40bにおいてなされる。
【0020】
今、テレビジョン受信装置に対して、高画質リンク対応の画像再生装置が接続され、かつ、ユーザが、HDMI(1080p)接続を選択したものとする。するとこの選択情報は、制御部40から鮮鋭化処理部102に伝達される。鮮鋭化処理部102は、属性情報取得部103で取得されている上記した属性情報に応じて鮮鋭化処理部101の動作特性を制御する。
【0021】
なお、鮮鋭化処理制御部102、属性情報取得部103は、制御部30内に組み込まれていてもよい。
【0022】
図3は鮮鋭化処理部101を詳しく示し、鮮鋭化処理部101の動作特性を制御するための各種のブロックを示している。HDMIデータ処理部22からの入力映像信号(1080p)Sg1は、鮮鋭化帯域フィルタ116と、高解像度画像生成部121に入力される。
【0023】
鮮鋭化帯域フィルタ116は、入力映像信号Sg1が順次処理されるフィルタ処理部111、コアリング処理部112、非線形処理部113、ゲイン調整部114を有する。またこのゲイン調整部114の出力と、入力映像信号Sg1を合成して、フィルタ出力信号Sg2を得る補正回路115を含む。
【0024】
フィルタ処理部111は、鮮鋭化処理制御部102によりフィルタ特性を制御されることが可能である。フィルタ特性は、後述するように入力映像信号の属性に応じて可変され、これにより入力映像信号の原画に適合した鮮鋭化特性が実現される。
【0025】
コアリング処理部112は、設定レベル(コアリングレベルと称する)以下をノイズと見なし、「0」に置き換えるコアリング処理を行うもので、設定レベルは、鮮鋭化処理制御部102により制御されることが可能である。例えばコアリングレベルが小さく設定されると、コアリング処理部112における鮮鋭化処理の効果は強くなり、コアリングレベルが大きく設定されると、コアリング処理112における鮮鋭化処理の効果は抑制される。
【0026】
非線形処理部113は、設定レベル(非線形レベル)を境に入力出力特性が変わる非線形処理回路であり、設定レベルは、鮮鋭化処理制御部102により制御されることが可能である。例えば非線形レベルが大きく設定された場合は、非線形処理部113における鮮鋭化処理の効果は強くなり、非線形レベルが大きく設定されると、非線形処理部113における鮮鋭化処理の効果は抑制される。
【0027】
ゲイン調整部114は、入力のゲインを調整し、調整量は、鮮鋭化処理制御部102により制御されることが可能である。例えば調整量が大きく設定された場合は、ゲイン調整部114における鮮鋭化処理の効果は強くなり、調整量が大きく設定されると、ゲイン調整部114における鮮鋭化処理の効果は抑制される。
【0028】
補正回路115は、ゲイン調整部114からのフィルタ出力と、入力信号Sg1を加算し、映像信号Sg2として出力する。この映像信号Sg2は、差分検出器124に入力される。
【0029】
一方、高解像度画像生成部121は、第1の解像度の入力映像信号Sg1から、本来の画素値を推定すると共に、画素を増やし、第2の解像度の鮮鋭化映像信号Sg6を得る。なお、ここで鮮鋭化処理は、入力映像信号Sg1と鮮鋭化映像信号Sg6との解像度が同じであり、入力映像信号Sg1の映像信号を強調化する処理のみが行われる場合も含む。
【0030】
この処理において、高解像度画像生成部121は、入力映像信号Sg1から生成した補間画素データ及び又は入力映像信号Sg1の画素データに対して、パラメータSg4を加えて鮮鋭化した鮮鋭化映像信号Sg6を生成している。
【0031】
次にパラメータSg4の生成経路について説明する。仮の高解像度画像生成部122は、入力映像信号Sg1または一度鮮鋭化した鮮鋭化映像信号を高解像度画像生成部121内のメモリ(フレームメモリ又は複数ラインメモリ)を経由して、映像信号Sg5として受け取ることができる。その途中で、選択部123が点広がり関数に基づく画素補正を選択しているときは、映像信号は点広がり関数に基づいて補正され、原画に忠実な方向へ補正されている。
【0032】
点広がり関数は、撮像カメラで撮像された映像信号は被写体がぼけた状態で撮像された信号であるものと見越した関数である。したがって映像信号の鮮鋭化処理を行う際には、入力映像信号が点広がり関数の成分を持つものと想定し、比較演算用の仮の鮮鋭化映像信号の再構成を行う際には、点広がり関数を適用して再構成する必要がある。
【0033】
仮の高解像度画像生成部122から出力された仮の鮮鋭化映像信号Sg3は、差分検出器124に入力される。差分検出器124は、鮮鋭化帯域フィルタ116から入力した鮮鋭化映像信号Sg2と仮の鮮鋭化映像信号Sg3との差分値を得る。
【0034】
差分値は、パラメータ生成部128に入力される。パラメータ生成部128は、差分値が順次入力されるコアリング処理部125、非線形処理部126、ゲイン調整部127へ入力される。これらのコアリング処理部125、非線形処理部126、ゲイン調整部127は、さきのコアリング処理部112、非線形処理部113、ゲイン調整部114と同様な機能を有し、また鮮鋭化処理制御部102により、設定レベルや調整量が制御される。したがって、重複した説明は省略している。
【0035】
高解像度画像生成部121の内部や、鮮鋭化帯域フィルタ116の出力部、或いは差分検出器124には、映像信号の時間を調整し、各部の映像信号のフレーム同期を得るためのフレームメモリ(或いは複数ラインメモリ)などが設けられている。
【0036】
上記した鮮鋭化処理部101では、高解像度画像生成部121において、入力映像信号Sg1は、一旦フレームメモリ(或いは複数ラインメモリ)に格納され、第1段階のパラメータSg4により補正され鮮鋭化され、フレームメモリ(或いは複数ラインメモリ)に再保存される。さらにこの鮮鋭化された信号が、再度、高解像度画像生成部122において、仮の鮮鋭化映像信号に変換される。そして、差分検出器124、パラメータ生成部128により第2段階のパラメータSg4が得られる。この第2段階のパラメータSg4によりフレームメモリ(或いは複数ラインメモリ)に再保存されている鮮鋭化映像信号が補正され、さらに良質化した鮮鋭化映像信号が生成される。この処理の繰り返し回数は、2回に限定されるものではない。
【0037】
ここで本装置では、鮮鋭化帯域フィルタ116の特性及び又はパラメータ生成部128の特性が、鮮鋭化処理制御部102により調整を受ける。
【0038】
鮮鋭化処理制御部102は、入力画像に関する属性情報から、
*原映像信号がブルーレイディスクからのものか、DVDからのものか、地上デジタル放送のものか、放送衛星からのものか、その他か、
*原映像信号の解像度が、1920×1080画素か、1440×1080画素か、1280×720画素か、720×480画素か、
*原映像信号がアニメであるか、映画であるか、写真であるか、ネット動画であるか、グラフィックス画像であるか、ムービー画像であるか、その他であるか、
を認識している。そして、上記の属性情報に応じて、鮮鋭化処理制御部102は、鮮鋭化帯域フィルタ116のフィルタ特性を制御する。
【0039】
図4は、縦軸にゲイン、横軸に周波数を示している。特性4Aは、スタンダード(SD)画質に対応する特性であり、特性4Cは、ハイディフィニション(HD)画質に対応した特性であり、特性4Bは、SD画質とHD画質の中間の画質に対応した特性である。この下位周波数帯域、中位周波数帯域、上位周波数帯域は、以下のように使い分けられる。即ち、特性4Aの下位周波数帯域は、例えば、入力映像信号の原画像が720×480画素の解像度、及びソースがDVDからの再生画像であった場合に採用される。また入力映像信号の原画像が1280×720画素の解像度であった場合は、特性Bの中位周波数帯域が採用される。また入力映像信号の原画像が1920×1080画素か、1440×1080画素の解像度であった場合は、特性Bの上位周波数帯域が採用される。それぞれの周波数帯域の中心周波数f1、f2、f3は、例えば、<1水平期間/(画素数480又は720又は1080)>で計算されていてもよい。あるいは、各種の実験を元に調整されていてもよい。
【0040】
さらに入力映像信号Sg1の原画像が撮像信号であった場合は、鮮鋭化処理制御部102は、高解像度画像生成部121から仮の高解像度画像生成部122に入力する信号に対して点広がり関数に基づく補正処理を実施するように制御する。しかし、入力映像信号Sg1の原画像がアニメ信号であった場合は、鮮鋭化処理制御部102は、高解像度画像生成部121から仮の高解像度画像生成部122に入力する信号に対して点広がり関数に基づく補正処理を禁止する(実施しない)ように制御する。また、アニメ信号であった場合は、モスキートノイズが強調されるのを抑制するために、コアリングレベルが大きくなる方向へ調整し、コアリング処理部125における鮮鋭化処理の効果を抑制する。コアリングレベルの調整は、コアリング処理部112、125のいずれで行われても良く、両者で行われてもよい。
【0041】
これは以下の理由による。即ち、図5(A)、図5(B)に示すように、撮像信号の場合は、真の信号51aに対して実際の入力映像信号は、撮像によるボケ(点広がり)が生じている。このため、真の信号51aに近づけた仮の鮮鋭化映像信号を得るためには、点広がり関数に基づく補正を行う必要があるからである。一方、アニメ信号による信号52aは、撮像信号のような点広がりが生じていない。したがって、この種の映像信号に対しては、点広がり関数に基づく補正をキャンセルするほうが好ましい。
【0042】
なおアニメ信号に限らず、グラフィック信号(例えば番組表、テキスト表示信号)などもアニメ信号と同様な処理が実施されるほうが好ましい。
【0043】
上記したように本実施形態では、入力映像信号の属性に応じて、入力映像信号の鮮鋭化行うパラメータを生成する信号に対して、入力映像信号の属性に応じたフィルタ特性の設定と、点広がり関数の適用/非適用を実施している。この場合、入力映像信号は、1080p画質モードのHDMIを介して入力している。又このときは、映像信号は、輝度(Y)信号、色差(Cb)信号、色差(Cr)信号のフォーマットで入力し、トータルのビット精度を向上している。
【0044】
したがって、図6に示すように装置としては、HDMIを介して1080pの映像信号が入力される必要がある(ステップS1)。つまり図1の端子21にHDMIケーブルが接続されている必要がある(ステップS2,S3)。そして、入力映像信号が1080pの画質モードであり、かつ、「高画質リンク」の選択が行われる必要がある。
【0045】
映像処理モードの中の特定のモードである「高画質リンク」の選択は、例えば、図7に示すように画像又は映像設定メニューにおいて、「1080p画質モード」があるので、リモートコントローラ操作により、該項目をカーソルで選択して決定ボタンを押す。すると、画面が切換り、この画面には「高画質リンク」という項目がある。したがって、ユーザは、この「高画質リンク」という項目を選択して決定ボタンを押せばよい。
【0046】
ここで上記の1080P画質モードは、1080Pの信号が入力された場合の映像処理を選ぶ項目である。また「高画質リンク」は、接続された外部機器との連携動作時に全体として最適な高画質化処理を図るための項目である。
【0047】
外部機器が高画質リンク対応機器であれば、外部機器からの入力映像信号は1080p画質モードである。ここで、「高画質リンク」の選択が行われるという条件が整うと、制御部40は、鮮鋭化処理制御部102に対して、前述した属性情報を採用した動作を実行させる(ステップS4)。「高画質リンク」でない場合は、前述した属性情報を採用した動作は実行されない(ステップS5)。
【0048】
なお、鮮鋭化帯域フィルタ116、及びパラメータ生成部128におけるコアリング処理回路、非線形処理部、ゲイン調整部の設定レベル及び調整量は、手動操作に応じて調整されてもよいし、また入力映像信号の画質解析結果に応じて、自動的に調整されてもよい。入力映像信号の画質解析とは、例えば、入力映像信号のノイズ量、輝度信号のヒストグラム、絵柄の周波数などがある。フレーム上で低域成分の領域が狭く高域成分の領域が広い場合は、例えば鮮鋭化を強くし、低域成分の領域が広く高域成分の領域が狭い場合は、鮮鋭化を抑制してもよい。
【0049】
図7に示す画質モードの選択手段についてさらに説明する。先の制御部40には、メニュー画面処理部も含まれている。制御部40は、メニュー画面701からの操作に応じて起動し、サーバーへ送信するためのコマンドを出力する。制御部40は、サーバーと受信装置が、所定の規格に準拠するインターフェース(例えば1080pHDMI)で接続されている場合、メニュー画面701の中に「1080p画質モード」の選択項目を表示する。1080pHDMIは、画像信号を輝度(Y)、色差信号(Cr,Cb)で、輝度(Y)の垂直解像度1080画素(=1080p)で伝送するバージョンである。ユーザがリモートコントローラ操作により、該項目をカーソルで選択して決定ボタンを押す。すると、画面が切換り、この画面702には例えば上記インターフェースの場合に特有の項目として利用できる(或いは表れる)「高画質リンク」という項目がある。ユーザが、この映像処理モードの中の特定のモードである「高画質リンク」という項目を選択して決定ボタンを押すことにより、上述した鮮鋭化処理制御が実行される。またこの選択状態は、HDMIデータ処理器22を通してサーバーに伝達される。情報の伝送のためには、例えばHDMI規格に設定されているCEC(Consumer Electronics Control)が利用される。
【0050】
なおメニュー画面702においては、また「モニタ」、「ノーマル」という項目(設定ボタンと称してもよい)が表示される。「モニタ」モードが設定された場合は、テレビジョン受信装置では、セレクタ30の出力が、バックエンドプロセッサに直接入力される。バックエンドプロセッサは、画像サイズを、入力のまま、つまり1画素対1ドット(ドット・バイ・ドット)で表示器33へ出力するように固定される。また「ノーマル」モードが設定された場合は、セレクタ30の出力が、高解像化処理機100で処理されて、表示器33に入力される。
【0051】
図8には情報再生装置或いはサーバー側の装置400の概略構成を示している。401は、第1の光ディスク再生装置(例えばDVD再生装置)、402は第2の光ディスク再生装置(例えばブルーレイディスク再生装置)、403はハードディスクドライブであり、405はカメラである。これらの情報媒体再生装置からの再生出力は、いずれかがセレクタ411により選択され、信号処理部440に入力される。セレクタ411の選択動作は、制御部430により制御される。なおこの装置は、図示していないが、例えばリモートコントローラからの操作入力を制御部430が受け付けて、操作入力を動作に反映させているものとする。
【0052】
制御部430は、装置の各ブロックを統括して制御している。信号処理部440の出力は、HDMIデータ処理部441、HDMI端子442を介して、図1に示したテレビジョン受信装置のHDMI端子21に入力することができる。
【0053】
制御部430は、媒体選択部431を有し、操作入力に応じて任意の媒体をセレクタ411で選択することができる。情報媒体が選択され、記録情報の再生が行われると、制御部430は、再生信号の中の管理情報を解析し、媒体の属性情報を抽出し、属性情報整理部433で先に説明した属性情報を整理する。
【0054】
一方、HDMIを介して、テレビジョン受信装置側から「高画質リンク」を選択したことの情報が送られてくると、制御部430の高画質リンク対応部434が該情報に応答する。つまり、本装置は、高画質対応機器であることの情報をHDMI経由で返信する。またこの動作に伴い、先に把握していた属性情報を属性情報送信部435がHDMIを介してテレビジョン受信装置へ送信する。属性情報は、安全のために複数回繰り返して送信される。
【0055】
また、このとき、信号処理部440で再生処理された映像信号が1080pの解像度であるときは、当該映像信号は、そのままHDMIを介して出力される。しかし、信号処理部440で再生処理された映像信号が、480p、720p等の解像度であった場合、信号処理部440に含まれるスケール調整回路440aにより1080pにスケール変換されて出力される。
【0056】
上記実施形態ではHDMIをインターフェースとして利用したが、本発明に概念はインターフェースとして特定のものを限定するものではない。外部機器と接続するためのインターフェースとしては、現存する各種のものが可能である。また変調復調などを行う送受信装置であっても構わない。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
21・・・端子、22・・・HDMIデータ処理部、31・・・信号処理部、40・・・制御部、100・・・高解像度化処理器、101・・・鮮鋭化処理部、102・・・鮮鋭化処理制御部、103・・・属性情報取得部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器から原画解像度情報を含む映像信号を受信する受信手段と、
前記映像信号を鮮鋭化処理する鮮鋭化処理手段と、
前記原画解像度情報に基づいて前記鮮鋭化処理を制御する鮮鋭化処理制御手段と、
を備える映像信号処理装置。
【請求項2】
前記映像信号の映像処理モードの選択をユーザに許可する選択手段を更に備え、
前記鮮鋭化処理制御手段は、前記選択手段にて選択された映像処理モードに応じて前記原画解像度情報に基づく鮮鋭化処理を実行するか否かを決定する請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項3】
前記鮮鋭化処理手段は、前記映像信号をフィルタ処理する帯域フィルタを含み、
前記鮮鋭化処理制御手段は、前記原画解像度情報に基づいて前記帯域フィルタのフィルタ特性を可変する請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項4】
前記鮮鋭化処理手段は、
少なくとも前記映像信号の画素データを補正パラメータにより補正して鮮鋭化した第1の鮮鋭化映像信号を得る高解像度画像生成部と、
前記第1の鮮鋭化映像信号の前記画素データに対して点広がり関数に基づく補正を行い第2の鮮鋭化映像信号を生成する仮の高解像度画像生成部と、
前記映像信号をフィルタ処理し、鮮鋭化し第3の鮮鋭化映像信号として出力する前記帯域フィルタと、
前記第2と第3の鮮鋭化映像信号の差分値を得る差分検出器と、
前記差分値をフィルタ処理して、前記補正パラメータを得て前記高解像度画像生成部に供給するパラメータ生成部と、を有する請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項5】
前記原画解像度情報は、前記映像信号の解像度が、1920×1080画素か、1440×1080画素か、1280×720画素か、720×480画素か、その他の何れかを示している請求項1記載の請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項6】
前記鮮鋭化処理制御部は、前記映像信号が撮像信号であれば、前記点広がり関数に基づく補正の実行を許可し、前記入力映像信号のソースがアニメーション信号であれば、前記点広がり関数に基づく補正の実行を禁止する請求項4記載の映像信号処理装置。
【請求項7】
前記鮮鋭化処理制御部は、前記映像信号がアニメーション信号であれば、前記パラメータ生成部に含まれているコアリング処理部の設定レベルを大の方向へ調整し、鮮鋭化効果を抑制する請求項4に記載の映像信号処理装置。
【請求項8】
前記原画解像度情報は、入力した前記映像信号が第1の画質の場合と、前記第1の画質よりよりも高い第2の画質の場合とを識別しており、前記鮮鋭化処理制御部(102)は、前記帯域フィルタの周波数帯域幅を、前記第1の画質のコンテンツの場合は低い帯域へ、前記第2の画質のコンテンツの場合は、前記低い帯域よりも高い帯域へ切り換える請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項9】
前記外部機器との接続は、HDMI接続状態である請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項10】
外部機器から原画解像度情報を含む映像信号を受信する受信手段と、前記映像信号を鮮鋭化処理する鮮鋭化処理手段と、前記原画解像度情報に基づいて前記鮮鋭化処理を制御する鮮鋭化処理制御手段を有する映像信号処理装置の制御方法において、
制御手段が、前記原画解像度情報が示す内容に基づいて前記鮮鋭化処理の処理形態を制御するようにした映像信号処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−51632(P2013−51632A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189634(P2011−189634)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】