映像処理装置及びその制御方法
【課題】元映像及びトリミング映像をマルチウィンドウ画面で表示する際、ウィンドウのサイズ比に応じて、表示するトリミング映像領域を決定することにより、ユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】放送受信装置100はトリミング映像に係る領域情報を取得するトリミング映像領域取得部116と、各ウィンドウを表示する信号を生成するウィンドウ生成部114を備える。ウィンドウサイズ変更部115は操作指示に従ってウィンドウのサイズを変更する。合成映像生成部109は複数のウィンドウを合成した映像出力を生成して表示部111に出力する。トリミング映像領域決定部117は、複数のウィンドウのサイズ比を、広画角映像及びトリミング映像の解像度比と比較して、表示するトリミング映像領域を決定し、トリミング映像視聴用ウィンドウ内の映像が、別ウィンドウに表示された広画角映像における該当領域よりも大きく表示されるように制御する。
【解決手段】放送受信装置100はトリミング映像に係る領域情報を取得するトリミング映像領域取得部116と、各ウィンドウを表示する信号を生成するウィンドウ生成部114を備える。ウィンドウサイズ変更部115は操作指示に従ってウィンドウのサイズを変更する。合成映像生成部109は複数のウィンドウを合成した映像出力を生成して表示部111に出力する。トリミング映像領域決定部117は、複数のウィンドウのサイズ比を、広画角映像及びトリミング映像の解像度比と比較して、表示するトリミング映像領域を決定し、トリミング映像視聴用ウィンドウ内の映像が、別ウィンドウに表示された広画角映像における該当領域よりも大きく表示されるように制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、元映像とその一部領域を切り出したトリミング映像をマルチウィンドウ画面で表示させる際、各画面のサイズ比に応じて映像の切り出し領域を制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送ではハイビジョン放送が一般的となり、「2k×1k」、すなわち1920×1080ピクセル(以下、FHDと記す)での映像処理が行われる。高度衛星デジタル放送では、さらに高解像度の「4k×2k」のデジタルシネマや「8k×4k」のスーパーハイビジョン(以下、SHVと記す)の映像信号と、22.2chのマルチチャンネル音声の送信方式が検討されている。従来の解像度を超える映像の放送では、受信装置の処理能力や機能に応じた表示を行うことも検討されている。例えば、画面全体をダウンコンバートした映像をユーザに提供する形態がある。この他、コンテンツ制作者や放送局が指定した代表画面や特定のテーマに応じた画面(いずれもSHV画面の一部)から受信装置側で切り出した映像をユーザが視聴する形態が検討されている。後者の視聴形態を以下では、トリミング視聴という。
【0003】
トリミング視聴では、例えば、受信装置の表示能力に適した映像が表示されるように、SHV映像全体の中の部分領域を示すトリミング映像領域情報が、映像製作者である放送局からSHV映像に付加して送信される。受信装置はトリミング映像領域情報に基づいて表示すべき領域を切り出してユーザに映像を提示する。トリミング視聴が普及した場合、受信装置のマルチウィンドウ機能と併せてユーザの利便性が高まる。ユーザは撮影されたSHVの広画角映像と、その一部を抽出したトリミング映像(全体映像の一部がズーミングされた映像や放送局が意図的に指定した注目映像等)を同時に視聴できる。図11(A)は2画面での表示形態を例示する。ユーザは、左側ウィンドウ1101aでスポーツ番組等の全体映像を視ながら、右側ウィンドウ1102aのトリミング映像で注目選手の表情等を視ることができる。なお、マルチウィンドウ機能では一般的に2画面機能が知られ、各画面の大きさをユーザ操作で変更可能である。
【0004】
従来、全体映像とトリミング映像との同時表示処理にて、映像やディスプレイのアスペクト比に基づいて生成される配置表示情報によって合成映像の配置を決定する技術がある(特許文献1参照)。また、子画面に表示する領域の画像を形成するビデオ信号を切り出して、子画面の大きさに応じて縮小や拡大処理を行ない、PinP合成し、ユーザが指定した領域の画像を子画面に表示するテレビ受信機が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−121378号公報
【特許文献2】特開平09−163260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
広画角映像とトリミング映像を、マルチウィンドウ機能にてユーザが同時に視聴している最中に、ユーザによりウィンドウサイズの変更を要求される場合が考えられる。その際、複数のウィンドウのサイズ比によってはトリミング映像の方が小さく表示されてしまうことが懸念される。
図11(B)は、左側ウィンドウ1101bに広画角映像が表示され、右側ウィンドウ1102bにトリミング映像が表示された例を示す。ユーザ操作によって、左側ウィンドウ1101bのサイズが大きくなったため、右側ウィンドウ1102bはサイズの縮小を余儀なくされる。その結果、全体映像とその一部をズーミングした映像を同時に楽しめるというユーザのメリットが十分に発揮されなくなってしまうおそれがある。
【0007】
一方、受信装置の表示能力に適した映像が表示されるように、放送局が複数のトリミング映像領域情報を送信している場合、ユーザは変更したウィンドウサイズに適したトリミング映像領域に切り替える操作を行うことがある。しかし、ユーザはウィンドウサイズを変更しながら、尚且つトリミング映像領域を切り替える操作を強いられると操作負担が増えることが懸念される。従来技術では、映像及びディスプレイのアスペクト比に応じて画面配置を決定できるが、複数のウィンドウのサイズ比を考慮したトリミング映像領域の切り替え制御は行われていなかった。
そこで本発明は、元映像とトリミング映像をマルチウィンドウ画面で表示する際、ウィンドウのサイズ比に応じて、表示するトリミング映像領域を決定することにより、ユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決する為に本発明に係る装置は、元映像の一部を抽出した第1トリミング映像及び該第1トリミング映像よりも解像度の低い第2トリミング映像を処理して、前記元映像を表示画面の第1ウィンドウに表示させ、第2ウィンドウには前記第1トリミング映像又は第2トリミング映像を表示させる映像処理装置であって、前記第1トリミング映像及び第2トリミング映像に係る領域情報を取得する取得手段と、前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウを表示する信号を生成するウィンドウ生成手段と、ユーザ操作によるウィンドウのサイズ変更要求を受けて前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズを変更するウィンドウサイズ変更手段と、前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウを合成した映像出力を生成する合成映像生成手段と、前記第2ウィンドウに表示するトリミング映像の映像領域を決定する映像領域決定手段を備える。前記映像領域決定手段は、前記ウィンドウ生成手段により生成される前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第1トリミング映像の解像度比よりも小さい場合、前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を前記第1トリミング映像の映像領域に決定し、前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第1トリミング映像の解像度比以上である場合、前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を前記第2トリミング映像の映像領域に決定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、元映像とトリミング映像をそれぞれのウィンドウで表示する際、ウィンドウのサイズ比に応じて、表示するトリミング映像領域を決定することにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る放送受信装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図2】EITに挿入されるコンポーネント記述子のデータ構造を示す図である。
【図3】コンポーネント記述子に記載のコンポーネント内容とコンポーネント種別の一例を表で示す図である。
【図4】EITに挿入される拡張形式イベント記述子のデータ構造を示した図である。
【図5】拡張形式イベント記述子に記載のトリミング映像領域情報の一例を表で示す図である。
【図6】トリミング映像領域情報を受信した際の表示例を示す図である。
【図7】マルチウィンドウ表示及び操作を説明する図である。
【図8】2画面表示が要求された際の各ウィンドウに表示映像を決定する処理例を説明するフローチャートである。
【図9】ウィンドウのサイズ変更に伴うトリミング映像領域の決定処理例を説明するフローチャートである。
【図10】ウィンドウのサイズ変更に伴うトリミング映像領域の決定後の表示例を示す図である。
【図11】全体映像及びトリミング映像の表示例(A)と、ウィンドウサイズを変更した際の表示例(B)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の各実施形態について説明する。本発明の映像処理装置を適用した放送受信装置については、装置自身が表示手段を備えた形態と、外部表示装置に映像信号を出力して画像を表示する形態があり、本発明はいずれの形態にも適用可能である。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る放送受信装置100の構成例を示すブロック図である。アンテナ(またはケーブル)からの放送信号は、チューナ部101に入力される。チューナ部101は放送信号に対して復調、誤り訂正等の処理を施し、トランスポートストリーム(TS:Transport Stream)と呼ばれる形式のデータ(以下、TSデータという)を生成して出力する。分離部102はTSデータを、オーディオデータ、ビデオデータ、番組情報データ及びデータ放送用データに分離する。分離されたオーディオデータ及びビデオデータは、オーディオデコーダ103及びビデオデコーダ104にそれぞれ出力され、番組情報データ及びデータ放送用データはストリームデータ処理部105に出力される。なお、番組情報データ及びデータ放送用データはデータ放送コンテンツ、制御文書等の情報を含む。該データは、例えば、後述するEITコンポーネント記述子(映像品質やアスペクト比等、番組を構成している各コンポーネントの情報)、拡張イベント記述子(番組の詳細内容を項目ごとに示した情報)を含む。EITは“Event Information Table”の略号である。
【0013】
オーディオデコーダ103は、分離部102からの音声データをデコード(復号化)して音声出力部106に出力する。音声出力部106は、オーディオデコーダ103がデコードした音声データを増幅し、デジタル/アナログ変換して音声信号をスピーカ110に出力する。スピーカ110は、音声出力部106からの音声信号を増幅して音声を出力する。また、ビデオデコーダ104は、分離部102からの映像データをデコードして映像出力部107に送る。尚、図1ではチューナ部101、分離部102及びビデオデコーダ104を1つだけ示すが、放送受信装置100は、チューナ部101、分離部102及びビデオデコーダ104をそれぞれ2つ備えることで、複数の放送番組の受信及び2画面表示制御が可能である。
【0014】
ストリームデータ処理部105はトリミング映像領域取得部116を有し、分離部102からの番組情報データ及びデータ放送用データを解析し、バスを介してメモリ112にデータを格納する。トリミング映像領域取得部116は、ストリームデータ処理部105内で解析したEITから、トリミング視聴に必要となるトリミング映像領域情報を取得してメモリ112に格納する。トリミング映像領域情報については後述する。
【0015】
映像出力部107は、ビデオデコーダ104から入力された映像データに対して、後述するトリミング映像領域決定部117からの情報に従い、映像領域を部分的に切り出す処理及びスケーリング処理を施してビデオプレーン108に出力する。また映像出力部107は、後述するウィンドウ生成部114で生成されたウィンドウの数だけ、映像データをビデオプレーン108の各プレーン(Plane1,2参照)に出力する。合成映像生成部109は、ビデオプレーン108の各プレーンに出力された複数の映像データをマルチウィンドウ画面として1画面上に合成する。また合成映像生成部109は、リモートコントローラ(以下、リモコンと略称する)119によるユーザ操作指示に応じて、メモリ112に格納されたデータ放送用データを読み出してデータ放送画面を構成し、映像信号を表示部111に出力する。表示部111は、合成映像生成部109の出力した映像信号に従って画像を表示する。本実施形態では3840×2160ピクセルの解像度をもつ表示デバイスが使用される。
【0016】
ウィンドウ生成部114は、映像表示用のウィンドウを生成し、映像出力部107を通じてマルチウィンドウ画面表示機能を実現する。また、ウィンドウ生成部114はウィンドウサイズ変更部115を備え、リモコン119によるユーザ操作指示に応じて、画面表示されている各ウィンドウのサイズ変更処理を行う。
【0017】
トリミング映像領域決定部117は、ウィンドウ生成部114より得られるウィンドウ数、各ウィンドウのサイズ及びトリミング映像領域取得部116が取得したトリミング映像領域情報に基づき、ウィンドウ内に表示するトリミング映像領域を決定する。
【0018】
制御部113は放送受信装置100の各部を統括的に制御する。メモリ112は、ストリームデータ処理部105からのデータ放送用データや、トリミング映像領域取得部116からのトリミング映像領域情報等を記憶する。メモリ112は、制御部113がプログラムを解釈して実行する為に使用するワークメモリを含む。操作入力部118は、リモコン119からの信号や、放送受信装置100の本体部に設けた不図示のスイッチ類からの信号を受け付け、バスを介して制御部113に操作指示信号を送信する。リモコン119は、ユーザからの操作指示を操作入力部118の受信部に無線送信する。
【0019】
次に、第1実施形態に於いて放送局より受信するトリミング映像領域情報について説明する。トリミング映像領域情報は、トリミング映像領域の有無、トリミング映像領域の位置及び幅、高さの情報(x,y,width,height)等の各項目で構成される。これらは日本国内のデジタル放送の標準規格であるARIB(電波産業会)標準規格を拡張して伝送される情報である。ARIB規定によるデジタル放送では、映像や音声、番組に関する種々の情報をPSI/SIデータ内に各種テーブルとして埋め込んで送出可能である。PSIは“Program Specific Information”の略号であり、SIは“Service Information”の略号である。
【0020】
放送局指定のトリミング映像領域情報の各項目は、番組名、放送日時、番組内容等の番組に関する情報を送るEITに挿入されるコンポーネント記述子及び拡張形式イベント記述子を拡張したものである。これらの情報はSHV映像フォーマット情報(3840×2160/60/Pの映像フォーマット等)と共に伝送される。コンポーネント記述子は、図2に示すデータ構造を持ち、コンポーネント内容及びコンポーネント種別を含む。コンポーネント種別(component_type)という8ビットのフィールドの情報で、映像コンポーネントや音声コンポーネントの種別を示すことができる。なお、図中の数値は、各フィールドのビット数を示す。
【0021】
図3は、コンポーネント内容とコンポーネント種別を規定した表を例示する。映像コンポーネント(コンポーネント内容0x01)のコンポーネント種別0x00から0xD4までは、現在規格化されている映像コンポーネントを示している。本実施形態で想定している映像ストリームは、ハイビジョン映像を超えるさらに高解像度の映像フォーマットによるものであるため、現行では規定されていない。そこで本実施形態では、SHVの映像フォーマットであることを示すコンポーネント種別として、図3に示すように0xE1乃至0xE8を割り当てている。
【0022】
コンポーネント種別として、トリミング映像領域ありの映像フォーマットが指定される場合、トリミング映像領域情報が伝送される。トリミング映像領域情報はEITに挿入される拡張形式イベント記述子を用いて伝送することができる。拡張形式イベント記述子は、図4に示すデータ構造を持ち、その中の項目名(文字符号)の1つとしてトリミング映像領域情報が追加される。図5はトリミング映像領域A乃至Cと、項目名及び項目記述を表にして例示する。項目名(文字符号)には、1つのコンテンツ(番組)のトリミング映像領域ごとに独立したトリミングID、トリミング映像領域名、トリミング映像領域のサイズや位置(アドレス)等の情報種別が定義される。項目記述(文字符号)に示す値はテキスト情報として伝送される。
【0023】
図6は、放送受信装置100がトリミング映像領域情報を受信した際に表示部111に画面表示される表示例を示す。図6(A)は、放送局より受信するトリミング映像領域情報を説明する概略図である。当該情報はその伝送に際してEITに挿入される。本例にて受信する元映像(図示の広画角映像)のフォーマットは、「3840×2160(i)、トリミング映像領域あり」で、映像コンポーネント種別0xE7(図3参照)で指定される。元映像から抽出されるトリミング映像領域は、例えば、以下に示す通りである。
【0024】
第1トリミング映像領域(A枠内参照):FHD用領域(x=960,y=540,w=1920,h=1080)。
第2トリミング映像領域(B枠内参照):SD用領域(x=1560,y=840,w=720,h=480)であり、第1トリミング映像よりも解像度は低い。
第3トリミング映像領域(C枠内参照):セルフォン用領域(x=1740,y=960,w=360,h=240)であり、第2トリミング映像よりも解像度は低い。
【0025】
上記の情報は拡張形式イベント記述子に挿入される。図6(A)にA乃至Cで示す枠が各領域を示している。なお、xy座標の原点(0,0)は表示画面の左上隅に位置し、単位についてはピクセル(Pixel)で表す。放送局は、放送受信装置の表示能力に応じて、最適な映像となるように4つのパターンを提供する。図6は、中央の選手が各装置で認識できるような映像を指定した例である。本例では、表示部111の解像度が3840×2160ピクセルである為、デフォルト設定の状態では、図6(B)に示す3840×2160ピクセルの画像が表示される。放送受信装置100はユーザのリモコン操作に従い、その他の表示デバイス用として送信されたA乃至Cの領域についてそれぞれスケーリング処理を行い、図6(C)乃至(E)に示す画像が表示部111に表示される。図6(C)は図6(A)のA枠内のトリミング映像を拡大した表示画像を示し、図6(D)は図6(A)のB枠内のトリミング映像を拡大した表示画像を示し、図6(E)は図6(A)のC枠内のトリミング映像を拡大した表示画像を示す。
【0026】
次に、図7を用いて本実施形態で適用するマルチウィンドウの表示処理例について説明する。
ユーザがリモコン119に設けられた不図示の2画面表示用ボタンを操作すると、操作入力部118は操作指示信号を制御部113に送る。制御部113の指示を受けたウィンドウ生成部114は、後述する処理に従って決定した2つの表示映像のデータを、映像出力部107を介してビデオプレーン108に出力する。ビデオプレーン108の出力結果を受け、合成映像生成部109は、2画面の映像表示情報及び各種GUI(Graphical User Interface)の表示情報を表示部111に出力する。図7(A)は表示部111に出力された画面例を示す。初期状態では、コンテンツA、Bの各画像が同じウィンドウサイズで表示される。図中の黒い星印の記号は、どちらのウィンドウに対してユーザの操作が有効であるか、及び音声が出力されるかを示す(以下、操作・音声権という)。本例では左側のウィンドウに操作・音声権がある。この状態にて、ユーザがリモコン119にて操作を行った場合、操作・音声権を有する左側のウィンドウに対する操作が行われたものとして受け付けられ、制御部113は操作指示に従って所定の処理を実行する。
【0027】
放送受信装置100では、マルチウィンドウ表示の際、ウィンドウのサイズ変更が可能である。ユーザがリモコン119に設けられた不図示の拡大表示用ボタンを操作すると、サイズ変更要求に従って図7(B)に示すように操作・音声権のある左側のウィンドウが拡大される。これに連動して、操作・音声権の無い右側のウィンドウは縮小される。ユーザはこの操作を繰り返し行うことで、図7(A)から(C)へとウィンドウのサイズを変更できる。操作・音声権のあるウィンドウに対して縮小表示用ボタンが操作された場合、ウィンドウサイズの縮小処理が実行される。ウィンドウサイズの変更処理は、サイズ変更要求を受けたウィンドウサイズ変更部115の制御下でビデオプレーン108、合成映像生成部109によって実行される。
【0028】
次に図8のフローチャートを用いて、2画面表示制御にて各ウィンドウに表示する映像を決定する処理について説明する。
S801ではビデオプレーン「Plane1」を使って通常の1画面で映像表示が行われており、表示中にユーザがリモコン119を操作したものとする。S802で制御部113は、操作入力部118からの操作指示が2画面表示を要求する指示であるか否かを判定する。リモコン操作で2画面表示の要求があった場合、S803に進み、当該要求がない場合にはS801に戻って1画面表示を続行する。
【0029】
S803でウィンドウ生成部114は、もう1つのウィンドウを表示する為に、ビデオプレーンの未使用分「Plane2」を新たなウィンドウ用に確保する。ここでは2画面表示への遷移後におけるデフォルトのウィンドウサイズは、2つのウィンドウで同じサイズとする。ウィンドウ生成部114は両ウィンドウのサイズを1920×1080ピクセルに設定する。次のS804でトリミング映像領域取得部116は、現時点で既に表示中であったイベントに対するEITのコンポーネント種別を格納先のメモリ112より取得し、S805に進む。S805ではトリミング映像領域情報の有無が判定され、該情報があった場合、S807に進む。また、S805でトリミング映像領域情報がなかった場合、S806に進む。
【0030】
S806で制御部113は、現在表示中のサービスと隣接するサービス(サービスIDが数値的に最も近いサービス)をチューニングし、信号分離の後、ビデオコンポーネントのみをビデオデコーダ104でデコードする処理を各部に指示する。そしてS808に進む。S807でトリミング映像領域決定部117は、メモリ112に格納されている該当するEITの拡張形式イベント記述子を取得する。トリミング映像領域決定部117は拡張形式イベント記述子に記載されているトリミング映像領域のうちで、最も領域サイズの大きいトリミング映像領域の情報を今回のトリミング映像領域と決定する。その後、映像出力部107にて、決定されたトリミング映像領域に従い、映像の切り出しが行われる。
【0031】
S806、S807の後、S808に進む。上述したように新たなウィンドウに表示する映像が決定されると、映像出力部107は、両ウィンドウに表示する映像に対してスケーリング処理を施し、処理結果を各ウィンドウに相当するビデオプレーン108に出力する。その後、S809で合成映像生成部109は、2つのビデオプレーンの画像データを合成した上で、GUI画面の生成用データを重畳して表示部111に出力する。S810で表示部111は各ウィンドウで2画面表示を行う。
以上の処理は、制御部113が解釈して実行するプログラムに従って各部と連携して行われる。
【0032】
次に図9のフローチャートを用いて、広画角映像及びトリミング映像の2画面表示中にウィンドウサイズを変更した場合のトリミング映像領域の決定処理について説明する。
本処理では、図8のS810に示す2画面表示状態とする。S901で表示部111は、広画角映像とトリミング映像について同じウィンドウサイズで2画面表示を行う。S902で制御部113は、リモコン119によるユーザ操作指示を受け付け、ウィンドウのサイズ変更が要求されたか否かを判定する。ウィンドウのサイズ変更要求があった場合、S903に進み、当該要求がない場合にはS901に戻る。
【0033】
S903でウィンドウサイズ変更部115は、メモリ112に一時的に格納している現在のウィンドウサイズと、各ウィンドウに係るトリミング映像領域情報を取得する。次に、S904の条件分岐処理に進む。この判断は後述の条件式によって決定され、特定の条件式を満たす状態が変化した場合、S905に進み、トリミング映像領域の変更処理が行われ、S906に進む。またS904で特定の条件式を満たす状態が変化しない場合、S906に進む。
【0034】
S906で映像出力部107は表示映像のスケーリング処理を行い、ウィンドウサイズ変更部115は各ウィンドウのサイズ変更処理を行う。
【0035】
以下、S904の条件式について具体例を説明する。ここでは説明の便宜上、広画角映像を表示する第1ウィンドウを「ウィンドウ1」と記し、トリミング映像を表示する第2ウィンドウを「ウィンドウ2」と記す。条件式は、このウィンドウ1及び2のサイズ比(面積比)と、表示する映像の解像度比との比較結果、つまりサイズ比が所定の解像度比以上であるか否かに応じて複数に場合分けされる。図10(A)乃至(C)は、場合分けに応じて処理された表示画像を例示し、操作・音声権は左側のウィンドウにある。なお、S904の判断処理において、下記条件式を満たす状態が変化する場合、例えば、CASE1に示す条件式を満たす状態から、CASE2に示す条件式を満たすようにウィンドウサイズの変更が指示された場合には、S905に処理を進める。またウィンドウのサイズ変更の前後で下記条件式を満たす状態が変化しない場合にはS906に処理を進める。
【0036】
CASE1:
ウィンドウ1/ウィンドウ2<広画角映像領域(3840×2160)/FHD用トリミング映像領域(1920×1080) ・・・(式1)
(式1)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2にはFHD用トリミング映像領域(1920×1080)がスケーリング処理されて表示される。
図10(A)に示すように、左側のウィンドウ1001aの広画角映像と、右側のウィンドウ1002aのトリミング映像は、同一ウィンドウサイズでスケーリング処理されてそれぞれの画面に表示される。
【0037】
CASE2:
広画角映像領域(3840×2160)/FHD用トリミング映像領域(1920×1080)<=ウィンドウ1/ウィンドウ2<広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式2)
(式2)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2にはSD用トリミング映像領域(720×480)がスケーリング処理されて表示される。図10(B)に示すように、拡大された左側のウィンドウ1001bには広画角映像が表示され、縮小された右側のウィンドウ1002bにはトリミング映像が表示される。
【0038】
CASE3:
ウィンドウ1/ウィンドウ2>=広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式3)
(式3)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2にはセルフォン用トリミング映像領域(360×240)がスケーリング処理されて表示される。図10(C)に示すように、図10(B)よりもさらに拡大された左側のウィンドウ1001cには広画角映像が表示され、図10(B)よりもさらに縮小された右側のウィンドウ1002cにはトリミング映像が表示される。
【0039】
上記条件式に従い、各ウィンドウに表示するトリミング映像領域を制御することで、図11(B)で説明した問題が解消される。すなわち、ユーザが任意にウィンドウサイズを変更した場合でも、トリミング映像視聴用のウィンドウ内の映像は常に、別ウィンドウに表示されている広画角映像における該当領域よりも大きく表示されることになる。よって、ユーザは別段の操作を行うことなく、広画角映像及びその一部を拡大したトリミング映像を見易い状態で同時に楽しむことが出来る。
【0040】
第1実施形態によれば、ユーザ操作で変更されるウィンドウのサイズ比に応じて適切なトリミング映像領域を決定し、表示映像に反映させることができる。よって、全体映像とその一部がズーミングされた映像を同時に視聴する形態が放送受信装置にて自動で実現されるので、ユーザの利便性が向上する。
尚、本実施形態では、広画角映像の付帯情報としてトリミング映像領域が指定されるとしたが、各解像度の映像ストリームが送出されて受信装置側で選択して表示する構成でもよい。また、ウィンドウのサイズ変更に伴い、トリミング映像領域が切り替わる条件を満たす場合に、ユーザに対して「トリミング映像領域を切り替えますか?」等、確認用のダイアログ表示処理を行ってもよい。上記の例では2画面表示を例に説明したが、上記制御はウィンドウの解像度に拠る制御ではなく、ウィンドウのサイズ比に基づくので、表示画面に3画面以上のウィンドウを表示する場合でも、上記と同様の処理で実現できる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、トリミング映像領域をスケーリング処理して表示する際、さらにスケーリング率(表示映像の拡大縮小率)を加味して表示領域を制御する。以下、主として第1実施形態との相違点を説明する。なお第2実施形態及び後述の第3実施形態において、第1実施形態と同じ構成を有する部分については、第1実施形態にて既に使用した符号と同一の符号を付与することにより、それらの詳細な説明を割愛する。
【0042】
第2実施形態では、トリミング映像領域の決定処理に用いる条件式(図9のS904参照)について第1実施形態とは異なる特徴を説明する。第1実施形態の場合と同様、広画角映像を表示していたウィンドウをウィンドウ1と記し、トリミング映像領域を表示していたウィンドウをウィンドウ2と記す。
ウィンドウ2の表示映像をより小さなトリミング映像領域に切り替える際、映像出力部107はウィンドウサイズに合わせて映像のスケーリング処理を行う。本実施形態では、このスケーリング処理によって解像度が等倍以上に引き伸ばされることが無いように、以下に示す中間トリミング映像領域が生成される。この中間トリミング映像領域は、放送局より送出されるトリミング映像領域と共にウィンドウサイズ変更処理に伴う切り替え映像領域情報として使用される。
従って第2実施形態に係る条件式は、ウィンドウ1及び2のサイズ比(面積比)、表示映像の解像度比、及び表示の際のスケーリング率によって、下記のように場合分けされる。
【0043】
CASE1:
ウィンドウ1/ウィンドウ2<広画角映像領域(3840×2160)/FHD用トリミング映像領域(1920×1080) ・・・(式1)
(式1)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2にはFHD用トリミング映像領域(1920×1080)がスケーリング処理されて表示される。
【0044】
CASE2−1:
広画角映像領域(3840×2160)/FHD用トリミング映像領域(1920×1080)<=ウィンドウ1/ウィンドウ2<広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式2)
ウィンドウ2>SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式4)
(式2)及び(式4)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2には中間トリミング映像領域1(1280×720)がスケーリング処理されて表示される。中間トリミング映像領域1(1280×720)は、FHD用トリミング映像領域(1920×1080)とSD用トリミング映像領域(720×480)の間の解像度をもつ。尚、中間トリミング映像領域1(1280×720)は、「広画角映像領域(3840×2160)/FHD用トリミング映像領域(1920×1080)=ウィンドウ1/ウィンドウ2」を満たすときのウィンドウ2のサイズより算出される。
【0045】
CASE2−2:
広画角映像領域(3840×2160)/FHD用トリミング映像領域(1920×1080)<=ウィンドウ1/ウィンドウ2<広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式2)
ウィンドウ2<=SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式5)
(式2)及び(式5)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がリサイズされて表示され、ウィンドウ2にはSD用トリミング映像領域(720×480)がリサイズされて表示される。
【0046】
CASE3−1:
ウィンドウ1/ウィンドウ2>=広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式3)
ウィンドウ2>セルフォン用トリミング映像領域(360×240) ・・・(式6)
(式3)及び(式6)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2には中間トリミング映像領域2(600×400)がスケーリング処理されて表示される。中間トリミング映像領域2(600×400)は、SD用トリミング映像領域(720×480)とセルフォン用トリミング映像領域(360×240)の間の解像度をもつ。尚、中間トリミング映像領域2(600×400)は、「広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480)≒ウィンドウ1/ウィンドウ2」を満たすときのウィンドウ2のサイズより算出される。
【0047】
CASE3−2:
ウィンドウ1/ウィンドウ2>=広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式3)
ウィンドウ2<=セルフォン用トリミング映像領域(360×240) ・・・(式7)
(式3)及び(式7)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2にはセルフォン用トリミング映像領域(360×240)がスケーリング処理されて表示される。
【0048】
上記条件式に従ってウィンドウに表示するトリミング映像領域が制御される。これにより、ユーザが任意のウィンドウサイズに変更した場合でも、ウィンドウ2には、ウィンドウ1に表示されている広画角映像における該当領域よりもトリミング映像が大きく表示されることになる。本実施形態では更に、スケーリング率の如何によっては上記中間トリミング映像領域が生成されてウィンドウ2に表示されるので、拡大により表示映像の解像度が低下して画質が粗くならないように防止できる。
尚、第2実施形態では、スケーリング処理により表示映像の解像度が等倍以上に引き伸ばされないよう、中間トリミング映像領域を生成したが、等倍に限られるものではない。例えば、その倍率については表示デバイスの表示能力や解像度アップコンバート技術等と併せて適宜設定されてもよい。
【0049】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態を説明する。
第3実施形態では、表示部111に用いる表示デバイスの解像度と、マルチウィンドウの表示及び操作において前記実施形態とは異なる特徴を有する。放送受信装置100の表示部111は、本実施形態では22400×9720の解像度をもつ表示デバイスである。広画角映像の視聴時に表示部111は、3840×2160の映像をドットバイドット(映像情報の1ピクセルを表示デバイスの1ドットに対応させて表示する方式)で表示画面の垂直方向の中央に表示する。
【0050】
ユーザがリモコン119に設けた不図示の2画面表示用ボタンを操作すると、ウィンドウ生成部114は、2つの表示映像にそれぞれ対応するウィンドウを表示する信号を生成する。例えば、広画角映像領域(3840×2160)とFHD用トリミング映像領域(1920×1080)の2つの表示映像は、映像出力部107を介しビデオプレーン108に出力される。ビデオプレーン108の出力結果を受けて合成映像生成部109は、2画面の映像信号及び各種GUIの映像信号を表示部111に出力する。初期状態では、2つの映像は夫々ドットバイドットで表示されるように、3840×2160及び1920×1080のウィンドウサイズで夫々表示される。
【0051】
他の実施形態と同様、放送受信装置100はマルチウィンドウ表示の際、ウィンドウのサイズを変更可能である。例えば、ユーザがリモコン119に設けた不図示の拡大表示用ボタンを操作すると、操作・音声権のあるウィンドウが拡大される。但し、第1実施形態の場合とは異なり、操作・音声権の無いウィンドウは、その大きさを維持する。
トリミング映像領域の決定に用いる条件式(図9のS904参照)については、マルチウィンドウの初期状態が異なるため、第1実施形態の場合とは異なり条件分岐処理では2つのケースを有するのみである。また、一方のウィンドウサイズを変更した場合でも、他方のウィンドウサイズは変更されないため、各条件に於いては、以下に示すウィンドウサイズとなる。また、表示されるウィンドウの位置はシングル画面、マルチウィンドウ画面に拠らず、常に画面の垂直方向の中央に表示されるものとする(マルチウィンドウ画面では各ウィンドウが横並びに配置されて表示される)。
【0052】
CASE1:
広画角映像領域(3840×2160)/FHD用トリミング映像領域(1920×1080)<=ウィンドウ1/ウィンドウ2<広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式2)
(式2)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2にはSD用トリミング映像領域(720×480)がスケーリング処理されて表示される。この時のウィンドウ1の変更範囲は、解像度で(3840×2160)乃至(10240×4860)となる。一方、ウィンドウ2のサイズは、固定の1920×1080である。
【0053】
CASE2:
ウィンドウ1/ウィンドウ2>=広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式3)
(式3)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2にはセルフォン用トリミング映像領域(360×240)がスケーリング処理されて表示される。この時のウィンドウ1の変更範囲は、ウィンドウ2のサイズが1920×1080と固定されているため、解像度で(10240×4860)乃至(20480×9720)となる。
【0054】
尚、第3実施形態では、常に表示部111の画面にて垂直方向の中央に映像が表示されるものとした。これに限らず、広画角映像を表示する親画面中の子画面にトリミング映像を表示させる表示形態(Picture in Picture表示)を採用してもよい。あるいは、表示デバイスの解像度が大きいため、ユーザがウィンドウを所望の位置に移動させて使用することを想定し、ユーザ操作により表示位置を変更する処理を行える構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
100 放送受信装置(映像処理装置)
109 合成映像生成部
113 制御部
114 ウィンドウ生成部
115 ウィンドウサイズ変更部
116 トリミング映像領域取得部
117 トリミング映像領域決定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、元映像とその一部領域を切り出したトリミング映像をマルチウィンドウ画面で表示させる際、各画面のサイズ比に応じて映像の切り出し領域を制御する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送ではハイビジョン放送が一般的となり、「2k×1k」、すなわち1920×1080ピクセル(以下、FHDと記す)での映像処理が行われる。高度衛星デジタル放送では、さらに高解像度の「4k×2k」のデジタルシネマや「8k×4k」のスーパーハイビジョン(以下、SHVと記す)の映像信号と、22.2chのマルチチャンネル音声の送信方式が検討されている。従来の解像度を超える映像の放送では、受信装置の処理能力や機能に応じた表示を行うことも検討されている。例えば、画面全体をダウンコンバートした映像をユーザに提供する形態がある。この他、コンテンツ制作者や放送局が指定した代表画面や特定のテーマに応じた画面(いずれもSHV画面の一部)から受信装置側で切り出した映像をユーザが視聴する形態が検討されている。後者の視聴形態を以下では、トリミング視聴という。
【0003】
トリミング視聴では、例えば、受信装置の表示能力に適した映像が表示されるように、SHV映像全体の中の部分領域を示すトリミング映像領域情報が、映像製作者である放送局からSHV映像に付加して送信される。受信装置はトリミング映像領域情報に基づいて表示すべき領域を切り出してユーザに映像を提示する。トリミング視聴が普及した場合、受信装置のマルチウィンドウ機能と併せてユーザの利便性が高まる。ユーザは撮影されたSHVの広画角映像と、その一部を抽出したトリミング映像(全体映像の一部がズーミングされた映像や放送局が意図的に指定した注目映像等)を同時に視聴できる。図11(A)は2画面での表示形態を例示する。ユーザは、左側ウィンドウ1101aでスポーツ番組等の全体映像を視ながら、右側ウィンドウ1102aのトリミング映像で注目選手の表情等を視ることができる。なお、マルチウィンドウ機能では一般的に2画面機能が知られ、各画面の大きさをユーザ操作で変更可能である。
【0004】
従来、全体映像とトリミング映像との同時表示処理にて、映像やディスプレイのアスペクト比に基づいて生成される配置表示情報によって合成映像の配置を決定する技術がある(特許文献1参照)。また、子画面に表示する領域の画像を形成するビデオ信号を切り出して、子画面の大きさに応じて縮小や拡大処理を行ない、PinP合成し、ユーザが指定した領域の画像を子画面に表示するテレビ受信機が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−121378号公報
【特許文献2】特開平09−163260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
広画角映像とトリミング映像を、マルチウィンドウ機能にてユーザが同時に視聴している最中に、ユーザによりウィンドウサイズの変更を要求される場合が考えられる。その際、複数のウィンドウのサイズ比によってはトリミング映像の方が小さく表示されてしまうことが懸念される。
図11(B)は、左側ウィンドウ1101bに広画角映像が表示され、右側ウィンドウ1102bにトリミング映像が表示された例を示す。ユーザ操作によって、左側ウィンドウ1101bのサイズが大きくなったため、右側ウィンドウ1102bはサイズの縮小を余儀なくされる。その結果、全体映像とその一部をズーミングした映像を同時に楽しめるというユーザのメリットが十分に発揮されなくなってしまうおそれがある。
【0007】
一方、受信装置の表示能力に適した映像が表示されるように、放送局が複数のトリミング映像領域情報を送信している場合、ユーザは変更したウィンドウサイズに適したトリミング映像領域に切り替える操作を行うことがある。しかし、ユーザはウィンドウサイズを変更しながら、尚且つトリミング映像領域を切り替える操作を強いられると操作負担が増えることが懸念される。従来技術では、映像及びディスプレイのアスペクト比に応じて画面配置を決定できるが、複数のウィンドウのサイズ比を考慮したトリミング映像領域の切り替え制御は行われていなかった。
そこで本発明は、元映像とトリミング映像をマルチウィンドウ画面で表示する際、ウィンドウのサイズ比に応じて、表示するトリミング映像領域を決定することにより、ユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決する為に本発明に係る装置は、元映像の一部を抽出した第1トリミング映像及び該第1トリミング映像よりも解像度の低い第2トリミング映像を処理して、前記元映像を表示画面の第1ウィンドウに表示させ、第2ウィンドウには前記第1トリミング映像又は第2トリミング映像を表示させる映像処理装置であって、前記第1トリミング映像及び第2トリミング映像に係る領域情報を取得する取得手段と、前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウを表示する信号を生成するウィンドウ生成手段と、ユーザ操作によるウィンドウのサイズ変更要求を受けて前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズを変更するウィンドウサイズ変更手段と、前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウを合成した映像出力を生成する合成映像生成手段と、前記第2ウィンドウに表示するトリミング映像の映像領域を決定する映像領域決定手段を備える。前記映像領域決定手段は、前記ウィンドウ生成手段により生成される前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第1トリミング映像の解像度比よりも小さい場合、前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を前記第1トリミング映像の映像領域に決定し、前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第1トリミング映像の解像度比以上である場合、前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を前記第2トリミング映像の映像領域に決定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、元映像とトリミング映像をそれぞれのウィンドウで表示する際、ウィンドウのサイズ比に応じて、表示するトリミング映像領域を決定することにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る放送受信装置の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図2】EITに挿入されるコンポーネント記述子のデータ構造を示す図である。
【図3】コンポーネント記述子に記載のコンポーネント内容とコンポーネント種別の一例を表で示す図である。
【図4】EITに挿入される拡張形式イベント記述子のデータ構造を示した図である。
【図5】拡張形式イベント記述子に記載のトリミング映像領域情報の一例を表で示す図である。
【図6】トリミング映像領域情報を受信した際の表示例を示す図である。
【図7】マルチウィンドウ表示及び操作を説明する図である。
【図8】2画面表示が要求された際の各ウィンドウに表示映像を決定する処理例を説明するフローチャートである。
【図9】ウィンドウのサイズ変更に伴うトリミング映像領域の決定処理例を説明するフローチャートである。
【図10】ウィンドウのサイズ変更に伴うトリミング映像領域の決定後の表示例を示す図である。
【図11】全体映像及びトリミング映像の表示例(A)と、ウィンドウサイズを変更した際の表示例(B)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の各実施形態について説明する。本発明の映像処理装置を適用した放送受信装置については、装置自身が表示手段を備えた形態と、外部表示装置に映像信号を出力して画像を表示する形態があり、本発明はいずれの形態にも適用可能である。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る放送受信装置100の構成例を示すブロック図である。アンテナ(またはケーブル)からの放送信号は、チューナ部101に入力される。チューナ部101は放送信号に対して復調、誤り訂正等の処理を施し、トランスポートストリーム(TS:Transport Stream)と呼ばれる形式のデータ(以下、TSデータという)を生成して出力する。分離部102はTSデータを、オーディオデータ、ビデオデータ、番組情報データ及びデータ放送用データに分離する。分離されたオーディオデータ及びビデオデータは、オーディオデコーダ103及びビデオデコーダ104にそれぞれ出力され、番組情報データ及びデータ放送用データはストリームデータ処理部105に出力される。なお、番組情報データ及びデータ放送用データはデータ放送コンテンツ、制御文書等の情報を含む。該データは、例えば、後述するEITコンポーネント記述子(映像品質やアスペクト比等、番組を構成している各コンポーネントの情報)、拡張イベント記述子(番組の詳細内容を項目ごとに示した情報)を含む。EITは“Event Information Table”の略号である。
【0013】
オーディオデコーダ103は、分離部102からの音声データをデコード(復号化)して音声出力部106に出力する。音声出力部106は、オーディオデコーダ103がデコードした音声データを増幅し、デジタル/アナログ変換して音声信号をスピーカ110に出力する。スピーカ110は、音声出力部106からの音声信号を増幅して音声を出力する。また、ビデオデコーダ104は、分離部102からの映像データをデコードして映像出力部107に送る。尚、図1ではチューナ部101、分離部102及びビデオデコーダ104を1つだけ示すが、放送受信装置100は、チューナ部101、分離部102及びビデオデコーダ104をそれぞれ2つ備えることで、複数の放送番組の受信及び2画面表示制御が可能である。
【0014】
ストリームデータ処理部105はトリミング映像領域取得部116を有し、分離部102からの番組情報データ及びデータ放送用データを解析し、バスを介してメモリ112にデータを格納する。トリミング映像領域取得部116は、ストリームデータ処理部105内で解析したEITから、トリミング視聴に必要となるトリミング映像領域情報を取得してメモリ112に格納する。トリミング映像領域情報については後述する。
【0015】
映像出力部107は、ビデオデコーダ104から入力された映像データに対して、後述するトリミング映像領域決定部117からの情報に従い、映像領域を部分的に切り出す処理及びスケーリング処理を施してビデオプレーン108に出力する。また映像出力部107は、後述するウィンドウ生成部114で生成されたウィンドウの数だけ、映像データをビデオプレーン108の各プレーン(Plane1,2参照)に出力する。合成映像生成部109は、ビデオプレーン108の各プレーンに出力された複数の映像データをマルチウィンドウ画面として1画面上に合成する。また合成映像生成部109は、リモートコントローラ(以下、リモコンと略称する)119によるユーザ操作指示に応じて、メモリ112に格納されたデータ放送用データを読み出してデータ放送画面を構成し、映像信号を表示部111に出力する。表示部111は、合成映像生成部109の出力した映像信号に従って画像を表示する。本実施形態では3840×2160ピクセルの解像度をもつ表示デバイスが使用される。
【0016】
ウィンドウ生成部114は、映像表示用のウィンドウを生成し、映像出力部107を通じてマルチウィンドウ画面表示機能を実現する。また、ウィンドウ生成部114はウィンドウサイズ変更部115を備え、リモコン119によるユーザ操作指示に応じて、画面表示されている各ウィンドウのサイズ変更処理を行う。
【0017】
トリミング映像領域決定部117は、ウィンドウ生成部114より得られるウィンドウ数、各ウィンドウのサイズ及びトリミング映像領域取得部116が取得したトリミング映像領域情報に基づき、ウィンドウ内に表示するトリミング映像領域を決定する。
【0018】
制御部113は放送受信装置100の各部を統括的に制御する。メモリ112は、ストリームデータ処理部105からのデータ放送用データや、トリミング映像領域取得部116からのトリミング映像領域情報等を記憶する。メモリ112は、制御部113がプログラムを解釈して実行する為に使用するワークメモリを含む。操作入力部118は、リモコン119からの信号や、放送受信装置100の本体部に設けた不図示のスイッチ類からの信号を受け付け、バスを介して制御部113に操作指示信号を送信する。リモコン119は、ユーザからの操作指示を操作入力部118の受信部に無線送信する。
【0019】
次に、第1実施形態に於いて放送局より受信するトリミング映像領域情報について説明する。トリミング映像領域情報は、トリミング映像領域の有無、トリミング映像領域の位置及び幅、高さの情報(x,y,width,height)等の各項目で構成される。これらは日本国内のデジタル放送の標準規格であるARIB(電波産業会)標準規格を拡張して伝送される情報である。ARIB規定によるデジタル放送では、映像や音声、番組に関する種々の情報をPSI/SIデータ内に各種テーブルとして埋め込んで送出可能である。PSIは“Program Specific Information”の略号であり、SIは“Service Information”の略号である。
【0020】
放送局指定のトリミング映像領域情報の各項目は、番組名、放送日時、番組内容等の番組に関する情報を送るEITに挿入されるコンポーネント記述子及び拡張形式イベント記述子を拡張したものである。これらの情報はSHV映像フォーマット情報(3840×2160/60/Pの映像フォーマット等)と共に伝送される。コンポーネント記述子は、図2に示すデータ構造を持ち、コンポーネント内容及びコンポーネント種別を含む。コンポーネント種別(component_type)という8ビットのフィールドの情報で、映像コンポーネントや音声コンポーネントの種別を示すことができる。なお、図中の数値は、各フィールドのビット数を示す。
【0021】
図3は、コンポーネント内容とコンポーネント種別を規定した表を例示する。映像コンポーネント(コンポーネント内容0x01)のコンポーネント種別0x00から0xD4までは、現在規格化されている映像コンポーネントを示している。本実施形態で想定している映像ストリームは、ハイビジョン映像を超えるさらに高解像度の映像フォーマットによるものであるため、現行では規定されていない。そこで本実施形態では、SHVの映像フォーマットであることを示すコンポーネント種別として、図3に示すように0xE1乃至0xE8を割り当てている。
【0022】
コンポーネント種別として、トリミング映像領域ありの映像フォーマットが指定される場合、トリミング映像領域情報が伝送される。トリミング映像領域情報はEITに挿入される拡張形式イベント記述子を用いて伝送することができる。拡張形式イベント記述子は、図4に示すデータ構造を持ち、その中の項目名(文字符号)の1つとしてトリミング映像領域情報が追加される。図5はトリミング映像領域A乃至Cと、項目名及び項目記述を表にして例示する。項目名(文字符号)には、1つのコンテンツ(番組)のトリミング映像領域ごとに独立したトリミングID、トリミング映像領域名、トリミング映像領域のサイズや位置(アドレス)等の情報種別が定義される。項目記述(文字符号)に示す値はテキスト情報として伝送される。
【0023】
図6は、放送受信装置100がトリミング映像領域情報を受信した際に表示部111に画面表示される表示例を示す。図6(A)は、放送局より受信するトリミング映像領域情報を説明する概略図である。当該情報はその伝送に際してEITに挿入される。本例にて受信する元映像(図示の広画角映像)のフォーマットは、「3840×2160(i)、トリミング映像領域あり」で、映像コンポーネント種別0xE7(図3参照)で指定される。元映像から抽出されるトリミング映像領域は、例えば、以下に示す通りである。
【0024】
第1トリミング映像領域(A枠内参照):FHD用領域(x=960,y=540,w=1920,h=1080)。
第2トリミング映像領域(B枠内参照):SD用領域(x=1560,y=840,w=720,h=480)であり、第1トリミング映像よりも解像度は低い。
第3トリミング映像領域(C枠内参照):セルフォン用領域(x=1740,y=960,w=360,h=240)であり、第2トリミング映像よりも解像度は低い。
【0025】
上記の情報は拡張形式イベント記述子に挿入される。図6(A)にA乃至Cで示す枠が各領域を示している。なお、xy座標の原点(0,0)は表示画面の左上隅に位置し、単位についてはピクセル(Pixel)で表す。放送局は、放送受信装置の表示能力に応じて、最適な映像となるように4つのパターンを提供する。図6は、中央の選手が各装置で認識できるような映像を指定した例である。本例では、表示部111の解像度が3840×2160ピクセルである為、デフォルト設定の状態では、図6(B)に示す3840×2160ピクセルの画像が表示される。放送受信装置100はユーザのリモコン操作に従い、その他の表示デバイス用として送信されたA乃至Cの領域についてそれぞれスケーリング処理を行い、図6(C)乃至(E)に示す画像が表示部111に表示される。図6(C)は図6(A)のA枠内のトリミング映像を拡大した表示画像を示し、図6(D)は図6(A)のB枠内のトリミング映像を拡大した表示画像を示し、図6(E)は図6(A)のC枠内のトリミング映像を拡大した表示画像を示す。
【0026】
次に、図7を用いて本実施形態で適用するマルチウィンドウの表示処理例について説明する。
ユーザがリモコン119に設けられた不図示の2画面表示用ボタンを操作すると、操作入力部118は操作指示信号を制御部113に送る。制御部113の指示を受けたウィンドウ生成部114は、後述する処理に従って決定した2つの表示映像のデータを、映像出力部107を介してビデオプレーン108に出力する。ビデオプレーン108の出力結果を受け、合成映像生成部109は、2画面の映像表示情報及び各種GUI(Graphical User Interface)の表示情報を表示部111に出力する。図7(A)は表示部111に出力された画面例を示す。初期状態では、コンテンツA、Bの各画像が同じウィンドウサイズで表示される。図中の黒い星印の記号は、どちらのウィンドウに対してユーザの操作が有効であるか、及び音声が出力されるかを示す(以下、操作・音声権という)。本例では左側のウィンドウに操作・音声権がある。この状態にて、ユーザがリモコン119にて操作を行った場合、操作・音声権を有する左側のウィンドウに対する操作が行われたものとして受け付けられ、制御部113は操作指示に従って所定の処理を実行する。
【0027】
放送受信装置100では、マルチウィンドウ表示の際、ウィンドウのサイズ変更が可能である。ユーザがリモコン119に設けられた不図示の拡大表示用ボタンを操作すると、サイズ変更要求に従って図7(B)に示すように操作・音声権のある左側のウィンドウが拡大される。これに連動して、操作・音声権の無い右側のウィンドウは縮小される。ユーザはこの操作を繰り返し行うことで、図7(A)から(C)へとウィンドウのサイズを変更できる。操作・音声権のあるウィンドウに対して縮小表示用ボタンが操作された場合、ウィンドウサイズの縮小処理が実行される。ウィンドウサイズの変更処理は、サイズ変更要求を受けたウィンドウサイズ変更部115の制御下でビデオプレーン108、合成映像生成部109によって実行される。
【0028】
次に図8のフローチャートを用いて、2画面表示制御にて各ウィンドウに表示する映像を決定する処理について説明する。
S801ではビデオプレーン「Plane1」を使って通常の1画面で映像表示が行われており、表示中にユーザがリモコン119を操作したものとする。S802で制御部113は、操作入力部118からの操作指示が2画面表示を要求する指示であるか否かを判定する。リモコン操作で2画面表示の要求があった場合、S803に進み、当該要求がない場合にはS801に戻って1画面表示を続行する。
【0029】
S803でウィンドウ生成部114は、もう1つのウィンドウを表示する為に、ビデオプレーンの未使用分「Plane2」を新たなウィンドウ用に確保する。ここでは2画面表示への遷移後におけるデフォルトのウィンドウサイズは、2つのウィンドウで同じサイズとする。ウィンドウ生成部114は両ウィンドウのサイズを1920×1080ピクセルに設定する。次のS804でトリミング映像領域取得部116は、現時点で既に表示中であったイベントに対するEITのコンポーネント種別を格納先のメモリ112より取得し、S805に進む。S805ではトリミング映像領域情報の有無が判定され、該情報があった場合、S807に進む。また、S805でトリミング映像領域情報がなかった場合、S806に進む。
【0030】
S806で制御部113は、現在表示中のサービスと隣接するサービス(サービスIDが数値的に最も近いサービス)をチューニングし、信号分離の後、ビデオコンポーネントのみをビデオデコーダ104でデコードする処理を各部に指示する。そしてS808に進む。S807でトリミング映像領域決定部117は、メモリ112に格納されている該当するEITの拡張形式イベント記述子を取得する。トリミング映像領域決定部117は拡張形式イベント記述子に記載されているトリミング映像領域のうちで、最も領域サイズの大きいトリミング映像領域の情報を今回のトリミング映像領域と決定する。その後、映像出力部107にて、決定されたトリミング映像領域に従い、映像の切り出しが行われる。
【0031】
S806、S807の後、S808に進む。上述したように新たなウィンドウに表示する映像が決定されると、映像出力部107は、両ウィンドウに表示する映像に対してスケーリング処理を施し、処理結果を各ウィンドウに相当するビデオプレーン108に出力する。その後、S809で合成映像生成部109は、2つのビデオプレーンの画像データを合成した上で、GUI画面の生成用データを重畳して表示部111に出力する。S810で表示部111は各ウィンドウで2画面表示を行う。
以上の処理は、制御部113が解釈して実行するプログラムに従って各部と連携して行われる。
【0032】
次に図9のフローチャートを用いて、広画角映像及びトリミング映像の2画面表示中にウィンドウサイズを変更した場合のトリミング映像領域の決定処理について説明する。
本処理では、図8のS810に示す2画面表示状態とする。S901で表示部111は、広画角映像とトリミング映像について同じウィンドウサイズで2画面表示を行う。S902で制御部113は、リモコン119によるユーザ操作指示を受け付け、ウィンドウのサイズ変更が要求されたか否かを判定する。ウィンドウのサイズ変更要求があった場合、S903に進み、当該要求がない場合にはS901に戻る。
【0033】
S903でウィンドウサイズ変更部115は、メモリ112に一時的に格納している現在のウィンドウサイズと、各ウィンドウに係るトリミング映像領域情報を取得する。次に、S904の条件分岐処理に進む。この判断は後述の条件式によって決定され、特定の条件式を満たす状態が変化した場合、S905に進み、トリミング映像領域の変更処理が行われ、S906に進む。またS904で特定の条件式を満たす状態が変化しない場合、S906に進む。
【0034】
S906で映像出力部107は表示映像のスケーリング処理を行い、ウィンドウサイズ変更部115は各ウィンドウのサイズ変更処理を行う。
【0035】
以下、S904の条件式について具体例を説明する。ここでは説明の便宜上、広画角映像を表示する第1ウィンドウを「ウィンドウ1」と記し、トリミング映像を表示する第2ウィンドウを「ウィンドウ2」と記す。条件式は、このウィンドウ1及び2のサイズ比(面積比)と、表示する映像の解像度比との比較結果、つまりサイズ比が所定の解像度比以上であるか否かに応じて複数に場合分けされる。図10(A)乃至(C)は、場合分けに応じて処理された表示画像を例示し、操作・音声権は左側のウィンドウにある。なお、S904の判断処理において、下記条件式を満たす状態が変化する場合、例えば、CASE1に示す条件式を満たす状態から、CASE2に示す条件式を満たすようにウィンドウサイズの変更が指示された場合には、S905に処理を進める。またウィンドウのサイズ変更の前後で下記条件式を満たす状態が変化しない場合にはS906に処理を進める。
【0036】
CASE1:
ウィンドウ1/ウィンドウ2<広画角映像領域(3840×2160)/FHD用トリミング映像領域(1920×1080) ・・・(式1)
(式1)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2にはFHD用トリミング映像領域(1920×1080)がスケーリング処理されて表示される。
図10(A)に示すように、左側のウィンドウ1001aの広画角映像と、右側のウィンドウ1002aのトリミング映像は、同一ウィンドウサイズでスケーリング処理されてそれぞれの画面に表示される。
【0037】
CASE2:
広画角映像領域(3840×2160)/FHD用トリミング映像領域(1920×1080)<=ウィンドウ1/ウィンドウ2<広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式2)
(式2)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2にはSD用トリミング映像領域(720×480)がスケーリング処理されて表示される。図10(B)に示すように、拡大された左側のウィンドウ1001bには広画角映像が表示され、縮小された右側のウィンドウ1002bにはトリミング映像が表示される。
【0038】
CASE3:
ウィンドウ1/ウィンドウ2>=広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式3)
(式3)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2にはセルフォン用トリミング映像領域(360×240)がスケーリング処理されて表示される。図10(C)に示すように、図10(B)よりもさらに拡大された左側のウィンドウ1001cには広画角映像が表示され、図10(B)よりもさらに縮小された右側のウィンドウ1002cにはトリミング映像が表示される。
【0039】
上記条件式に従い、各ウィンドウに表示するトリミング映像領域を制御することで、図11(B)で説明した問題が解消される。すなわち、ユーザが任意にウィンドウサイズを変更した場合でも、トリミング映像視聴用のウィンドウ内の映像は常に、別ウィンドウに表示されている広画角映像における該当領域よりも大きく表示されることになる。よって、ユーザは別段の操作を行うことなく、広画角映像及びその一部を拡大したトリミング映像を見易い状態で同時に楽しむことが出来る。
【0040】
第1実施形態によれば、ユーザ操作で変更されるウィンドウのサイズ比に応じて適切なトリミング映像領域を決定し、表示映像に反映させることができる。よって、全体映像とその一部がズーミングされた映像を同時に視聴する形態が放送受信装置にて自動で実現されるので、ユーザの利便性が向上する。
尚、本実施形態では、広画角映像の付帯情報としてトリミング映像領域が指定されるとしたが、各解像度の映像ストリームが送出されて受信装置側で選択して表示する構成でもよい。また、ウィンドウのサイズ変更に伴い、トリミング映像領域が切り替わる条件を満たす場合に、ユーザに対して「トリミング映像領域を切り替えますか?」等、確認用のダイアログ表示処理を行ってもよい。上記の例では2画面表示を例に説明したが、上記制御はウィンドウの解像度に拠る制御ではなく、ウィンドウのサイズ比に基づくので、表示画面に3画面以上のウィンドウを表示する場合でも、上記と同様の処理で実現できる。
【0041】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態では、トリミング映像領域をスケーリング処理して表示する際、さらにスケーリング率(表示映像の拡大縮小率)を加味して表示領域を制御する。以下、主として第1実施形態との相違点を説明する。なお第2実施形態及び後述の第3実施形態において、第1実施形態と同じ構成を有する部分については、第1実施形態にて既に使用した符号と同一の符号を付与することにより、それらの詳細な説明を割愛する。
【0042】
第2実施形態では、トリミング映像領域の決定処理に用いる条件式(図9のS904参照)について第1実施形態とは異なる特徴を説明する。第1実施形態の場合と同様、広画角映像を表示していたウィンドウをウィンドウ1と記し、トリミング映像領域を表示していたウィンドウをウィンドウ2と記す。
ウィンドウ2の表示映像をより小さなトリミング映像領域に切り替える際、映像出力部107はウィンドウサイズに合わせて映像のスケーリング処理を行う。本実施形態では、このスケーリング処理によって解像度が等倍以上に引き伸ばされることが無いように、以下に示す中間トリミング映像領域が生成される。この中間トリミング映像領域は、放送局より送出されるトリミング映像領域と共にウィンドウサイズ変更処理に伴う切り替え映像領域情報として使用される。
従って第2実施形態に係る条件式は、ウィンドウ1及び2のサイズ比(面積比)、表示映像の解像度比、及び表示の際のスケーリング率によって、下記のように場合分けされる。
【0043】
CASE1:
ウィンドウ1/ウィンドウ2<広画角映像領域(3840×2160)/FHD用トリミング映像領域(1920×1080) ・・・(式1)
(式1)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2にはFHD用トリミング映像領域(1920×1080)がスケーリング処理されて表示される。
【0044】
CASE2−1:
広画角映像領域(3840×2160)/FHD用トリミング映像領域(1920×1080)<=ウィンドウ1/ウィンドウ2<広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式2)
ウィンドウ2>SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式4)
(式2)及び(式4)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2には中間トリミング映像領域1(1280×720)がスケーリング処理されて表示される。中間トリミング映像領域1(1280×720)は、FHD用トリミング映像領域(1920×1080)とSD用トリミング映像領域(720×480)の間の解像度をもつ。尚、中間トリミング映像領域1(1280×720)は、「広画角映像領域(3840×2160)/FHD用トリミング映像領域(1920×1080)=ウィンドウ1/ウィンドウ2」を満たすときのウィンドウ2のサイズより算出される。
【0045】
CASE2−2:
広画角映像領域(3840×2160)/FHD用トリミング映像領域(1920×1080)<=ウィンドウ1/ウィンドウ2<広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式2)
ウィンドウ2<=SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式5)
(式2)及び(式5)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がリサイズされて表示され、ウィンドウ2にはSD用トリミング映像領域(720×480)がリサイズされて表示される。
【0046】
CASE3−1:
ウィンドウ1/ウィンドウ2>=広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式3)
ウィンドウ2>セルフォン用トリミング映像領域(360×240) ・・・(式6)
(式3)及び(式6)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2には中間トリミング映像領域2(600×400)がスケーリング処理されて表示される。中間トリミング映像領域2(600×400)は、SD用トリミング映像領域(720×480)とセルフォン用トリミング映像領域(360×240)の間の解像度をもつ。尚、中間トリミング映像領域2(600×400)は、「広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480)≒ウィンドウ1/ウィンドウ2」を満たすときのウィンドウ2のサイズより算出される。
【0047】
CASE3−2:
ウィンドウ1/ウィンドウ2>=広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式3)
ウィンドウ2<=セルフォン用トリミング映像領域(360×240) ・・・(式7)
(式3)及び(式7)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2にはセルフォン用トリミング映像領域(360×240)がスケーリング処理されて表示される。
【0048】
上記条件式に従ってウィンドウに表示するトリミング映像領域が制御される。これにより、ユーザが任意のウィンドウサイズに変更した場合でも、ウィンドウ2には、ウィンドウ1に表示されている広画角映像における該当領域よりもトリミング映像が大きく表示されることになる。本実施形態では更に、スケーリング率の如何によっては上記中間トリミング映像領域が生成されてウィンドウ2に表示されるので、拡大により表示映像の解像度が低下して画質が粗くならないように防止できる。
尚、第2実施形態では、スケーリング処理により表示映像の解像度が等倍以上に引き伸ばされないよう、中間トリミング映像領域を生成したが、等倍に限られるものではない。例えば、その倍率については表示デバイスの表示能力や解像度アップコンバート技術等と併せて適宜設定されてもよい。
【0049】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態を説明する。
第3実施形態では、表示部111に用いる表示デバイスの解像度と、マルチウィンドウの表示及び操作において前記実施形態とは異なる特徴を有する。放送受信装置100の表示部111は、本実施形態では22400×9720の解像度をもつ表示デバイスである。広画角映像の視聴時に表示部111は、3840×2160の映像をドットバイドット(映像情報の1ピクセルを表示デバイスの1ドットに対応させて表示する方式)で表示画面の垂直方向の中央に表示する。
【0050】
ユーザがリモコン119に設けた不図示の2画面表示用ボタンを操作すると、ウィンドウ生成部114は、2つの表示映像にそれぞれ対応するウィンドウを表示する信号を生成する。例えば、広画角映像領域(3840×2160)とFHD用トリミング映像領域(1920×1080)の2つの表示映像は、映像出力部107を介しビデオプレーン108に出力される。ビデオプレーン108の出力結果を受けて合成映像生成部109は、2画面の映像信号及び各種GUIの映像信号を表示部111に出力する。初期状態では、2つの映像は夫々ドットバイドットで表示されるように、3840×2160及び1920×1080のウィンドウサイズで夫々表示される。
【0051】
他の実施形態と同様、放送受信装置100はマルチウィンドウ表示の際、ウィンドウのサイズを変更可能である。例えば、ユーザがリモコン119に設けた不図示の拡大表示用ボタンを操作すると、操作・音声権のあるウィンドウが拡大される。但し、第1実施形態の場合とは異なり、操作・音声権の無いウィンドウは、その大きさを維持する。
トリミング映像領域の決定に用いる条件式(図9のS904参照)については、マルチウィンドウの初期状態が異なるため、第1実施形態の場合とは異なり条件分岐処理では2つのケースを有するのみである。また、一方のウィンドウサイズを変更した場合でも、他方のウィンドウサイズは変更されないため、各条件に於いては、以下に示すウィンドウサイズとなる。また、表示されるウィンドウの位置はシングル画面、マルチウィンドウ画面に拠らず、常に画面の垂直方向の中央に表示されるものとする(マルチウィンドウ画面では各ウィンドウが横並びに配置されて表示される)。
【0052】
CASE1:
広画角映像領域(3840×2160)/FHD用トリミング映像領域(1920×1080)<=ウィンドウ1/ウィンドウ2<広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式2)
(式2)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2にはSD用トリミング映像領域(720×480)がスケーリング処理されて表示される。この時のウィンドウ1の変更範囲は、解像度で(3840×2160)乃至(10240×4860)となる。一方、ウィンドウ2のサイズは、固定の1920×1080である。
【0053】
CASE2:
ウィンドウ1/ウィンドウ2>=広画角映像領域(3840×2160)/SD用トリミング映像領域(720×480) ・・・(式3)
(式3)を満たす場合、ウィンドウ1には広画角映像領域(3840×2160)がスケーリング処理されて表示され、ウィンドウ2にはセルフォン用トリミング映像領域(360×240)がスケーリング処理されて表示される。この時のウィンドウ1の変更範囲は、ウィンドウ2のサイズが1920×1080と固定されているため、解像度で(10240×4860)乃至(20480×9720)となる。
【0054】
尚、第3実施形態では、常に表示部111の画面にて垂直方向の中央に映像が表示されるものとした。これに限らず、広画角映像を表示する親画面中の子画面にトリミング映像を表示させる表示形態(Picture in Picture表示)を採用してもよい。あるいは、表示デバイスの解像度が大きいため、ユーザがウィンドウを所望の位置に移動させて使用することを想定し、ユーザ操作により表示位置を変更する処理を行える構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
100 放送受信装置(映像処理装置)
109 合成映像生成部
113 制御部
114 ウィンドウ生成部
115 ウィンドウサイズ変更部
116 トリミング映像領域取得部
117 トリミング映像領域決定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
元映像の一部を抽出した第1トリミング映像及び該第1トリミング映像よりも解像度の低い第2トリミング映像を処理して、前記元映像を表示画面の第1ウィンドウに表示させ、第2ウィンドウには前記第1トリミング映像又は第2トリミング映像を表示させる映像処理装置であって、
前記第1トリミング映像及び第2トリミング映像に係る領域情報を取得する取得手段と、
前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウを表示する信号を生成するウィンドウ生成手段と、
ユーザ操作によるウィンドウのサイズ変更要求を受けて前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズを変更するウィンドウサイズ変更手段と、
前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウを合成した映像出力を生成する合成映像生成手段と、
前記第2ウィンドウに表示するトリミング映像の映像領域を決定する映像領域決定手段を備え、
前記映像領域決定手段は、前記ウィンドウ生成手段により生成される前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第1トリミング映像の解像度比よりも小さい場合、前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を前記第1トリミング映像の映像領域に決定し、前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第1トリミング映像の解像度比以上である場合、前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を前記第2トリミング映像の映像領域に決定することを特徴とする映像処理装置。
【請求項2】
前記映像領域決定手段は、前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比並びに前記元映像及びトリミング映像の解像度比に加えて、前記第1トリミング映像及び第2トリミング映像を前記第2ウィンドウに表示させる際のスケーリング率を用いて、
前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第2トリミング映像の解像度比よりも小さく、かつ前記第2ウィンドウのサイズが前記第2トリミング映像の映像領域よりも大きい場合、前記第1トリミング映像と前記第2トリミング映像の間の解像度をもつ中間トリミング映像を生成して前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を決定することを特徴とする請求項1記載の映像処理装置。
【請求項3】
前記映像領域決定手段は、
前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第2トリミング映像の解像度比よりも小さく、かつ前記第2ウィンドウのサイズが前記第2トリミング映像の映像領域の大きさ以下である場合、前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を前記第2トリミング映像の映像領域に決定することを特徴とする請求項2記載の映像処理装置。
【請求項4】
元映像の一部を抽出した第1トリミング映像及び該第1トリミング映像よりも解像度の低い第2トリミング映像を処理して、前記元映像を表示画面の第1ウィンドウに表示させ、第2ウィンドウには前記第1トリミング映像と第2トリミング映像のいずれかを表示させる映像処理装置で実行される制御方法であって、
前記第1トリミング映像及び第2トリミング映像に係る領域情報を取得する取得ステップと、
前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウを表示する信号を生成するウィンドウ生成ステップと、
ユーザ操作によるウィンドウのサイズ変更要求を受けて前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズを変更するウィンドウサイズ変更ステップと、
前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウを合成した映像出力を生成する合成映像生成ステップと、
前記第2ウィンドウに表示するトリミング映像の映像領域を決定する映像領域決定ステップを有し、
前記映像領域決定ステップでは、前記ウィンドウ生成ステップで生成される前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第1トリミング映像の解像度比よりも小さい場合、前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を前記第1トリミング映像の映像領域に決定し、前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第1トリミング映像の解像度比以上である場合、前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を前記第2トリミング映像の映像領域に決定することを特徴とする映像処理装置の制御方法。
【請求項1】
元映像の一部を抽出した第1トリミング映像及び該第1トリミング映像よりも解像度の低い第2トリミング映像を処理して、前記元映像を表示画面の第1ウィンドウに表示させ、第2ウィンドウには前記第1トリミング映像又は第2トリミング映像を表示させる映像処理装置であって、
前記第1トリミング映像及び第2トリミング映像に係る領域情報を取得する取得手段と、
前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウを表示する信号を生成するウィンドウ生成手段と、
ユーザ操作によるウィンドウのサイズ変更要求を受けて前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズを変更するウィンドウサイズ変更手段と、
前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウを合成した映像出力を生成する合成映像生成手段と、
前記第2ウィンドウに表示するトリミング映像の映像領域を決定する映像領域決定手段を備え、
前記映像領域決定手段は、前記ウィンドウ生成手段により生成される前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第1トリミング映像の解像度比よりも小さい場合、前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を前記第1トリミング映像の映像領域に決定し、前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第1トリミング映像の解像度比以上である場合、前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を前記第2トリミング映像の映像領域に決定することを特徴とする映像処理装置。
【請求項2】
前記映像領域決定手段は、前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比並びに前記元映像及びトリミング映像の解像度比に加えて、前記第1トリミング映像及び第2トリミング映像を前記第2ウィンドウに表示させる際のスケーリング率を用いて、
前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第2トリミング映像の解像度比よりも小さく、かつ前記第2ウィンドウのサイズが前記第2トリミング映像の映像領域よりも大きい場合、前記第1トリミング映像と前記第2トリミング映像の間の解像度をもつ中間トリミング映像を生成して前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を決定することを特徴とする請求項1記載の映像処理装置。
【請求項3】
前記映像領域決定手段は、
前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第2トリミング映像の解像度比よりも小さく、かつ前記第2ウィンドウのサイズが前記第2トリミング映像の映像領域の大きさ以下である場合、前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を前記第2トリミング映像の映像領域に決定することを特徴とする請求項2記載の映像処理装置。
【請求項4】
元映像の一部を抽出した第1トリミング映像及び該第1トリミング映像よりも解像度の低い第2トリミング映像を処理して、前記元映像を表示画面の第1ウィンドウに表示させ、第2ウィンドウには前記第1トリミング映像と第2トリミング映像のいずれかを表示させる映像処理装置で実行される制御方法であって、
前記第1トリミング映像及び第2トリミング映像に係る領域情報を取得する取得ステップと、
前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウを表示する信号を生成するウィンドウ生成ステップと、
ユーザ操作によるウィンドウのサイズ変更要求を受けて前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズを変更するウィンドウサイズ変更ステップと、
前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウを合成した映像出力を生成する合成映像生成ステップと、
前記第2ウィンドウに表示するトリミング映像の映像領域を決定する映像領域決定ステップを有し、
前記映像領域決定ステップでは、前記ウィンドウ生成ステップで生成される前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第1トリミング映像の解像度比よりも小さい場合、前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を前記第1トリミング映像の映像領域に決定し、前記第1ウィンドウ及び第2ウィンドウのサイズ比が、前記元映像及び第1トリミング映像の解像度比以上である場合、前記第2ウィンドウに表示させる映像領域を前記第2トリミング映像の映像領域に決定することを特徴とする映像処理装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−142766(P2012−142766A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293714(P2010−293714)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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