説明

木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置

【課題】安価な固形燃料を用いて維持費が安い木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置を提供する。
【解決手段】木焚き燃焼炉の円筒状燃焼炉2は径が小さく高さが低く炎の高さが短く、十分な火力を得るために4個備えられる。林地残材を乾燥させて適宜の大きさに破砕した木屑固形燃料は燃料供給部17から燃料供給装置18、燃料供給口19、排気ガス圧入側煙道12の各分岐路16、燃料圧入口15を通って円筒状燃焼炉2内に供給され、炉壁内に埋設された送風管32から噴射される空気により炉内に形成される上昇燃焼流動層と旋回燃焼流動層において燃焼する。不燃焼分と灰は排気ガスと共に缶体4、排気ガス管5、煙道7に導かれ、排気ガスから分離された不燃焼分と灰は煙突8から排出され、高温ガス体は排気ガス圧入側煙道12を通り燃料と共に炉内に圧入される。熱交換用送風機26により缶体4及び排気ガス管5に送風されて熱交換を行ったハウス内空気は排気ダクト28からハウス内に還流する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木屑を燃料に用いる木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、園芸農家は、冬場でも温暖に保たれた園芸ハウス内で蔬菜、果樹、庭樹、花卉などの栽培を行っている。園芸ハウス内には、内部を温暖に保つために加温装置が設置されている。
【0003】
従来、この加温装置には、取り扱いが簡便な液体燃料として、例えば重油等の石油燃料が使用されていた。石油燃料は霧化させながらバーナで横方向に噴射して燃焼させることができるので、装置全体の高さを低く抑えることができる。
【0004】
したがって、軒や天井の低い園芸ハウスに設置するのに適した高さの低い加温装置を構成することができる。このため石油燃料を使用する加温装置が長期にわたって愛用されてきた。
【0005】
ところが、石油燃料の価格が年々上昇しているため、園芸ハウスの作物がコスト割れになり、近年では加温機の使用が困難になってきている。
石油燃料の代替物としては種々考えられるが、例えば、可燃性の廃棄物を一定の形状および寸法に固めた固形燃料をボイラに用いることが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
一般に、ペレット状や塊状の固形燃料は、未燃焼分や灰が発生し、これらがクリンカーと呼ばれるガラス状の塊となってロストルに付着し、燃焼炉の燃焼効率を低下させるという不具合が発生しやすい。
【0006】
この不具合を解消するために、固形燃料をロストルの下方からロストルの上部に押し上げるようにして燃料供給する燃焼装置が提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
また、固形燃料は燃料供給部から燃焼室へ燃焼量に合わせて安定した量で供給するにはそれなりの技術を要するが、この固形燃料の安定供給については、燃焼を絞っているときも含めて常に安定して木質ペレット状燃料を定量的に供給する燃焼装置が提案されている。(例えば、特許文献3参照。)
また、燃焼室の下から上に空気を噴出する1次空気噴出ブロワと、燃焼室側壁の接線方向に空気を噴出する2次空気噴出ブロワを設けて、安定した燃焼層を形成するようにした固形燃料の燃焼装置が提案されている。(例えば、特許文献4参照。)
【特許文献1】特開平11−257603号公報
【特許文献2】特開2004−293828号公報
【特許文献3】特開2005−090802号公報
【特許文献4】特開2005−300022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜4の技術で用いられる固形燃料は、液体燃料に比較して燃焼速度が遅いだけでなく、燃焼の炎が高く立ち上がる。そして、この燃焼の炎は、必要な
火力を賄うために燃料の燃焼量が多くなるほど高く立ち上がる。したがって、固形燃料の燃焼装置は、いずれも装置本体の高さが高い。
【0008】
また、いずれも古来利用されていた石炭燃焼技術や薪炭燃焼技術に基礎を置いており、未燃焼分や灰を、燃焼装置の下方から掻き出す方式である。このように、未燃焼分や灰の排出機構が燃焼装置の下方に設けられている分だけ更に燃焼装置本体の高さが高くなっている。
【0009】
また、固形燃料は、一般に家庭廃棄物や産業廃棄物から作られる。これらの固形燃料は石油高騰時に石油の代替燃料として絶対的な需要を見込んで考案され、石化燃料に対抗してコスト低減に役立つはずであったが、固形燃料を製作する機械が極めて高価である。したがって出来上がった固形燃料も高価である。
【0010】
上記のように装置本体の高さが高くては軒や天井の低い園芸ハウスには設置できず、たとえ設置できたとしても燃料が高くては維持費が高く園芸ハウスの採算からは外れてしまう。いずれにしても固形燃料の燃焼装置は園芸ハウスの加温装置には使用できない。
【0011】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、石油燃料に代わる固形燃料を用いながら園芸ハウスに設置でき且つ維持費が安価な木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置は、横方向に並設された複数の円筒状燃焼炉と、該複数の円筒状燃焼炉の上部開口部が長手方向下部に並んで配置された缶体と、該缶体の一方の円形端面に一端を連結され他端側が上記缶体の外側において上記缶体の長手方向に平行して延在する複数の排気ガス管と、該複数の排気ガス管の終端に連結された合流煙室と、該合流煙室に連結された煙突と、上記合流煙室に排気ガス回収側を連結され上記複数の円筒状燃焼炉それぞれに圧入側を連結された排気ガス回収圧入風路と、該排気ガス回収圧入風路の圧入側に供給口を連結された燃料供給部と、上記円筒状燃焼炉の円筒壁内及び円形底部内に埋設された複数の送風管と、該複数の送風管に外気を高圧送風する送風機と、少なくとも上記複数の円筒状燃焼炉、上記缶体、上記複数の排気ガス管、及び上記合流煙室を囲繞する耐熱性遮蔽板部材と、該耐熱性遮蔽板部材の上面に配設された複数の熱交換用送風機と、上記耐熱性遮蔽板部材により囲繞された最下部に配置された排気ダクトと、を有するように構成される。
【0013】
この木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置において、例えば、上記燃料供給部は、木屑を上記円筒状燃焼炉に供給し、上記複数の送風管は、上記円筒状燃焼炉の底部から圧入する外気により該円筒状燃焼炉の内部に上昇燃焼流動層を形成すると共に上記円筒状燃焼炉の側壁部から圧入する外気により該円筒状燃焼炉の内部に旋回燃焼流動層を形成する、ように構成される。
【0014】
また、上記複数の排気ガス管は、例えば、上記円筒状燃焼炉内に形成される上昇燃焼流動層と旋回燃焼流動層により巻き上がりながら上記缶体内に拡散・充満する燃焼後の不燃焼分と灰を含むガス体を上記合流煙室に導出する、ように構成される。
【0015】
また、上記木屑としては、例えば、林地残材を破砕し粉砕して成る木屑または製材所から排出される木屑を用いることが出来る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、大型1個分の燃焼路の火力を小型複数個の燃焼炉から得るので各燃焼
炉の炎の高さを低くでき、これにより、加温装置全体の高さを低くでき、したがって、軒や天井の高さの低い園芸ハウスで使用することが可能となる。
【0017】
また、流動層燃焼を行うので、通常の燃焼では燃焼時間が長く火力が弱い木屑でも短時間で強い火力が得られ、したがって、林地残材、製材残材、乾燥樹皮材等のほとんどの木質廃材が燃料として使用できる。
【0018】
また、燃焼流動層と旋回流層によって、燃焼後の排気ガスを、排気ガスに含まれる不燃焼分や灰と共に巻き上げて合流煙室に導出するので、燃焼炉内に不燃焼分や灰が残らず、したがって、クリンカーの発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1(a),(b),(c) は、一実施の形態における木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置の構成を示す図であり、同図(a) は側面図、同図(b) は1部取り除いて示す上面図、同図(c) は同図(a) のA−A´矢視断面図である。
【0021】
同図(a),(b),(c) に示すように、木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置1は、横方向に並設された複数(本例では4個)の円筒状燃焼炉2(2a、2b、2c、2d)を備えている。
【0022】
そして、これら複数の円筒状燃焼炉2の上部開口部3が長手方向下部に並んで配置された缶体4が設けられている。円筒状燃焼炉2は上部開口部3の有る上部分の一部を缶体4内に差し込まれ、下方の大部分は缶体4の外部下方に配置されている。
【0023】
また、この缶体4の一方の円形端面(図1(a),(b) では左側端面)に一端を連結され、他端側が缶体4の外側において缶体4の長手方向に平行して延在する複数の排気ガス管5が配置されている。これら複数の排気ガス管5の終端は合流煙室6に連結されている。
【0024】
合流煙室6は、煙道7を備え、煙道7には、特には図示しないが、不燃焼分と灰とを排気ガス体から分離するフィルタを備えており、不燃焼分と灰の含む室と、不燃焼分と灰から分離された排気ガス体を含む室とに分かれている。
【0025】
この合流煙室6の上記排気ガス体から分離された不燃焼分と灰とを含む室には煙突8が連結されている。また、合流煙室6の不燃焼分と灰から分離された排気ガス体を含む室には、排気ガス回収圧入風路9の排気ガス回収側煙道11が連結されている。
【0026】
また、この排気ガス回収圧入風路9は、排気ガス圧入側煙道12を備えており、排気ガス回収側煙道11と排気ガス圧入側煙道12との境界部には排気ガス循環用送風機13が配設されている。排気ガス循環用送風機13にはモータ14が連結されている。
【0027】
上記排気ガス回収圧入風路9の排気ガス圧入側煙道12は、4個の円筒状燃焼炉2それぞれの燃料圧入口15に、4本の分岐路16を介して連結されている。これら4本の分岐路16には、燃料供給部17に連結された燃料供給装置18の燃料供給口19が連結されている。
【0028】
また、上記の円筒状燃焼炉2の円筒壁内及び円形底部内には詳しくは後述する複数の送風管が埋設されている。そして、これら複数の送風管に、外気を高圧送風するための送風
機20が、燃焼用空気送風管22、接続管23、継ぎ手部24を介して連結されている。送風機20にはモータ21が取り付けられている。
【0029】
そして、この木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置1は、少なくとも上記4個の円筒状燃焼炉2、缶体4、複数の排気ガス管5、及び合流煙室6を囲繞する耐熱性遮蔽板部材25を備えている。
【0030】
この耐熱性遮蔽板部材25は、円筒状燃焼炉2が固体燃料を燃焼させる温度を維持出来るように設けられたものである。尚、円筒状燃焼炉2の燃焼温度の維持は、耐熱性遮蔽板部材25の他に、後述するように、排気ガスを炉内に循環させることによっても行っている。
【0031】
この耐熱性遮蔽板部材25の上面には、複数(本例では2個)の熱交換用送風機26が配設されている。尚、図1(b) には、これら耐熱性遮蔽板部材25の上面及び2個の熱交換用送風機26を取り外した状態での上面図を示している。
【0032】
2個のうちの一方の熱交換用送風機26は、缶体4の上方に配置され、他方の熱交換用送風機26は複数の排気ガス管5の上方に配置されている。
この耐熱性遮蔽板部材25により囲繞された熱交換部27の最下部には排気ダクト28が配置されている。
【0033】
図2(a) は、上記4個の円筒状燃焼炉2のみを取り出して、4本の分岐路16及び燃料供給装置18と共に示す上面図であり、同図(b) は、そのB−B´矢視断面図である。
なお、図2(a),(b) には、図1(a),(b),(c) で示した構成と同一の構成部分には図1(a),(b),(c) と同一の番号を付与して示している。
【0034】
同図(a),(b) に示すように、4本の分岐路16には、それぞれ管体内に、固形燃料を搬送するためのスクリュウ搬送機29が配設され、燃料供給装置18にも、その管体内に、固形燃料を搬送するためのスクリュウ搬送機31が配設されている。
【0035】
尚、燃料搬送装置は、スクリュウ搬送機と限ることなく、例えばベルトコンベア、バケットエレベ−タ、空気搬送等の方法によってもよい。要は、円筒状燃焼炉2の内まで燃料を供給できればよい。
【0036】
図3は、円筒状燃焼炉2の円筒壁内及び円形底部内に埋設されている複数の送風管を示す図である。同図(a) は円筒状燃焼炉2の側面図、同図(b) は同図(a) のC−C´矢視断面図、同図(c) は同図(a) の上面図である。
【0037】
なお、図3(a),(b),(c) には、図1(a),(b),(c) 及び図2(a),(b) で示した構成と同一の構成部分には図1(a),(b),(c) 及び図2(a),(b) と同一の番号を付与して示している。
図3(a),(b),(c) に示すように、円筒状燃焼炉2の円筒壁内には、複数(本例では4本)の鉛直送風管32(32a、32b、32c、32d)が埋設されている。これらの鉛直送風管32は、継ぎ手部24により燃焼用空気送風管22の接続管23に連結されている。
【0038】
鉛直送風管32の数箇所には空気圧入口が開けられており(不図示)、それら空気圧入口に対応する箇所の円筒状燃焼炉2の円筒壁面には、図3(c) に矢印で示すように、円筒壁面に沿って時計回り方向に空気を導出する孔が設けられている(不図示)。
【0039】
また、円筒状燃焼炉2の円形底部内には十字形送風管33が埋設されている。十字形送
風管33の4つの端部は、それぞれ4本の鉛直送風管32に連結されている。そして十字形送風管33の中央には空気圧入口34が開けられており、その空気圧入口34に対応する箇所の円筒状燃焼炉2の円形底部には、図3(b) に矢印で示すように、垂直上方に向けて空気を導出する孔が設けられている。
【0040】
以上の構成において、この木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置1における燃焼動作を、上述した図1乃至図3を再び用いて説明する。
先ず、図1(c) に示す燃料供給部17から木屑固形燃料が燃料供給装置18に送り出される。
【0041】
この木屑固形燃料としては、勿論ペレット状の固形燃料でも使用可能であるが、前述したようにペレット状固形燃料は極めて高価であるので、園芸ハウスの加温装置の燃料とするには採算に合わない。
【0042】
したがって、本例では、木質固形燃料の原材料として、林産物を産出後の林地残材を乾燥させ、チョッパーで適宜の大きさに破砕したものを用いる。
林地残材は伐採後の根、切り株、先端部の細い幹、枝葉、樹皮等の木屑であり、林産物としては無価値であるから安価に入手できる。勿論、林地残材に限らず廃材であるならば製材所から排出される木屑であってもよい。
【0043】
燃料供給部17は燃料供給装置18に対し円筒状燃焼炉2の燃焼量に応じて木質固形燃料を毎秒適宜量送出する。
燃料供給装置18に送り出された木質固形燃料は、図2に示すスクリュウ搬送機31で排気ガス圧入側煙道12の各分岐路16に運ばれ、燃料供給口19から分岐路16に供給される。分岐路16に供給された木質固形燃料は、分岐路16のスクリュウ搬送機29により円筒状燃焼炉2の燃料圧入口15から円筒状燃焼炉2内に供給される。
【0044】
最初の木質固形燃料は、不図示の例えば液体燃料バーナ等からなる着火装置で着火され燃焼を開始する。円筒状燃焼炉2は缶体4や排気ガス管5などと共に耐熱性遮蔽板部材25に囲まれており、木質固形燃料が円筒状燃焼炉2内で完全燃焼を継続できるように、内部温度は800度に保持される。
【0045】
一般に、液体燃料に比べて木質燃料は燃焼速度が遅く灰分が多いので炉内に滞留してクリンカー化する恐れがある。
したがって、本例では、図3に示したように、円筒状燃焼炉2の底面の十字形送風管33から噴出させる空気により燃焼流動層を形成し、更に円筒状燃焼炉2の円周部の鉛直送風管32から噴出させる空気により旋回燃焼流動層を形成する。
【0046】
円筒状燃焼炉2に供給された木質燃料は、燃焼流動層の中で舞い上がり旋回しながら燃焼する。そして、円筒状燃焼炉2から図1に示した缶体4内に拡散・充満した燃焼後の不燃焼分と灰を含む排気ガスは、複数の排気ガス管5により合流煙室6に導出される。
【0047】
合流煙室6に導出された排気ガスは、煙道7を通過してガス体から不燃焼分と灰を分離され、不燃焼分と灰は煙突8から不図示の燃え殻回収部に回収され、ガス体は、排気ガス循環用送風機13により、排気ガス圧入側煙道12に回収され、分岐路6を通って、円筒状燃焼炉2内に木質燃料と共に噴き込まれる。
【0048】
このように、一端燃焼が開始されると、高温の排気ガスが回収されて円筒状燃焼炉2へと循環するので、炉内が高温に保たれて木質燃料が高速に燃焼する。
また、燃焼用の空気量では不足する灰排出用の高圧空気を排気ガスを回収循環させるこ
とによって供給するので、不燃性の粉塵が排気ガス管によって速やかに排出される。
【0049】
また、固形燃料の場合、通常は炉の上部から供給されるが、上部からの燃料供給であると、流動層燃焼の場合、燃焼の妨げになる。
したがて、本例では、燃料供給を円筒状燃焼炉2の上からではなく半分よりやや下の壁面に燃料圧入口15を設け、この燃料圧入口15から排気ガスの協働により木質燃料を圧入する。
【0050】
そして、燃料圧入口15の上下及び両側に、鉛直送風管32及び十字形送風管33により、複数の空気供給口を設ける。
これにより、炉内の流動層燃焼を妨げることなく燃料の供給ができ、且つ固体燃料の縦方向に燃え上がる燃焼を妨げること無く完全燃焼させることができる。
【0051】
鉛直送風管32及び十字形送風管33が接続管23に接続される継ぎ手部24には、特には図示しないが流量調節弁が設けられており、4個の円筒状燃焼炉2は、個別に燃焼量を加減できると共に個別に点火と消火を行うことができるにように構成されている。これにより、耐熱性遮蔽板部材25で囲まれた内部の温度の調節を行うことができる。
【0052】
耐熱性遮蔽板部材25の上部に2個設けられた熱交換用送風機26は、上記のようにして4個の円筒状燃焼炉2の燃焼とその排気により高熱に暖められ缶体4及び排気ガス管5と耐熱性遮蔽板部材25との間の空間に、ハウス内空気を送風する。
【0053】
この送風により缶体4及び排気ガス管5と熱交換して暖められた空気は、下方の排気ダクト28から、管やパイプ等の不図示の暖房装置を介して、または直接放散されて、園芸ハウス内を暖房する。
【0054】
本発明の木焚き燃焼炉としての円筒状燃焼炉2は、その炎の高さを短くするために径を小さく且つ高さを低くしている。そして、園芸ハウスの加温装置として十分な火力を得るために複数個(本例では4個)備えられている。
【0055】
このように、木焚き燃焼炉を複数配置して木焚き燃焼炉1個当たりの炎の高さを小さくして、加温装置本体の高さを低くしているので、木質固形燃料を用いる加温装置でありながら、軒や天井の低い園芸ハウスでも容易に設置することができる。
【0056】
また、現在A重油1kg当り70円であるのに対し、林地残材は1kg当り5円であり火力で比較しても10円相当である。このように安価に入手できる林地残材を燃料とするので、園芸ハウス経営を十分に維持することが出来る。
【0057】
また、林地残材は、林産物としては無価値であるから林地に放置されることが多いが、このような林地残材の放置は山が荒れる要因ともなり、また治水にも悪影響が出る恐れがある。
【0058】
本発明の木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置は、園芸ハウス農家に貢献すること大であると共に、林地残材の活用面から林産業家の予定外収入源を生み出し、更に治山治水に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】一実施の形態における木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置の構成を示す図であり、(a) は側面図、(b) は1部取り除いて示す上面図、(c) は(a) のA−A´矢視断面図である。
【図2】(a) は4個の円筒状燃焼炉のみを取り出して4本の分岐路及び燃料供給装置と共に示す上面図、(b) はそのB−B´矢視断面図である。
【図3】円筒状燃焼炉の円筒壁内及び円形底部内に埋設されている複数の送風管を示す図であり、(a) は円筒状燃焼炉の側面図、(b) は(a) のC−C´矢視断面図、(c) は(a) の上面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置
2(2a、2b、2c、2d) 円筒状燃焼炉
3 上部開口部
4 缶体
5 排気ガス管
6 合流煙室
7 煙道
8 煙突
9 排気ガス回収圧入風路
11 排気ガス回収側煙道
12 排気ガス圧入側煙道
13 排気ガス循環用送風機
14 モータ
15 燃料圧入口
16 分岐路
17 燃料供給部
18 燃料供給装置
19 燃料供給口
20 送風機
21 モータ
22 燃焼用空気送風管
23 接続管
24 継ぎ手部
25 耐熱性遮蔽板部材
26 熱交換用送風機
27 熱交換部
28 排気ダクト
29、31 スクリュウ搬送機
32 鉛直送風管
33 十字形送風管
34 空気圧入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に並設された複数の円筒状燃焼炉と、
該複数の円筒状燃焼炉の上部開口部が長手方向下部に並んで配置された缶体と、
該缶体の一方の円形端面に一端を連結され他端側が前記缶体の外側において前記缶体の長手方向に平行して延在する複数の排気ガス管と、
該複数の排気ガス管の終端に連結され、不燃焼分と灰とを排気ガス体から分離するフィルタを備えた合流煙室と、
該合流煙室の前記排気ガス体から分離された前記不燃焼分と前記灰を含む側に連結された煙突と、
前記合流煙室の前記不燃焼分と前記灰から分離された前記排気ガス体を含む側に排気ガス回収側を連結され前記複数の円筒状燃焼炉それぞれに圧入側を連結された排気ガス回収圧入風路と、
該排気ガス回収圧入風路の圧入側に供給口を連結された燃料供給部と、
前記円筒状燃焼炉の円筒壁内及び円形底部内に埋設された複数の送風管と、
該複数の送風管に外気を高圧送風する送風機と、
少なくとも前記複数の円筒状燃焼炉、前記缶体、前記複数の排気ガス管、前記合流煙室を囲繞する耐熱性遮蔽板部材と、
該耐熱性遮蔽板部材の上面に配設された複数の熱交換用送風機と、
前記耐熱性遮蔽板部材により囲繞された最下部に配置された排気ダクトと、
を有することを特徴とする木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置。
【請求項2】
前記燃料供給部は、木屑を前記円筒状燃焼炉に供給し、前記複数の送風管は、前記円筒状燃焼炉の底部から圧入する外気により該円筒状燃焼炉の内部に上昇燃焼流動層を形成すると共に前記円筒状燃焼炉の側壁部から圧入する外気により該円筒状燃焼炉の内部に旋回燃焼流動層を形成する、ことを特徴とする請求項1記載の木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置。
【請求項3】
前記複数の排気ガス管は、前記円筒状燃焼炉内に形成される上昇燃焼流動層と旋回燃焼流動層により巻き上がりながら前記缶体内に拡散・充満する燃焼後の不燃焼分と灰を含む排気ガスを前記合流煙室に導出する、ことを特徴とする請求項1記載の木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置。
【請求項4】
前記木屑は、林地残材を破砕して成る木屑または製材所から排出される木屑である、ことを特徴とする請求項2記載の木焚き燃焼炉を備えた園芸ハウス加温装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−281217(P2008−281217A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122962(P2007−122962)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(000111292)ネポン株式会社 (24)
【Fターム(参考)】