説明

木質部材を接合する接合具及びそれを使用した接合構造

【課題】木質部材の接合後すぐに設計上の固定力が得られ、軸組構造体の施工後に軸組構造体を解体したり一部の木質部材を組み替える必要が生じた場合にも、接合部からの分離を可能にした、木質部材の接合構造を提供する。
【解決手段】木質部材(4,4a)の接合面(40,40a)が突き合わされており、接合面(40,40a)に形成された連結孔(41,41a)間に連結部材(1)が渡されて挿入され、木質部材(4,4a)の上下面(42,43)、側面(44,45)には連結孔(41,41a)内の連結部材(1)の挿通孔(16,17)に通じる装着孔(46,47,46a,47a)が設けられ、装着孔には挿通孔(16,17)を貫通して拡張部材(2,2a)が挿通されており、拡張部材(2,2a)の間には楔部材(3)が所定の深さに打ち込まれ、拡張部材(2,2a)の間隔は拡がって装着孔内に固定され、楔部材(3)は打ち込み位置で拡張部材(2,2a)に固定されている木質部材の接合構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質部材を接合する接合具及びそれを使用した接合構造に関する。更に詳しくは、木質軸組構造体における木質部材の接合において木質部材の表面に露出しないようにして木質部材同士を様々な角度で強固に接合することができるものであって、接合する木質部材を軸方向へ引き寄せて接合面を密着させる力が強く、それによる接合力が強固なものに関する。さらには、木質部材の接合後すぐに設計上の固定力が得られ、しかも軸組構造体の施工後に解体や一部の木質部材を組み替える場合にも、接合部からの分離を可能にしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
木質の軸組構造体は、構成部材である木質部材を様々な角度で接合して骨組構造を有するように構成されている。このような軸組構造体としては、例えば、三角形の骨組を基本単位とするトラス構造体がある。トラス構造体は、橋や屋根等の各種構造物の骨材として広く用いられている。
【0003】
本発明者は、木質の軸組構造体について長期にわたり研究を行っており、これまでに軸組構造体における接合構造として、特許文献1、2に記載の接合構造を開発している。この接合構造を使用した軸組構造体は、各木質部材がそれらの接合部に内蔵された接合具によって接合されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−360458
【特許文献2】特開2006−183426
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1、2に記載の接合構造は、接合具が木質部材に内蔵されていることによって接合具が外部に露出しないので、外観を損なわずに接合できる利点があり、十分に有用である。しかしながら、本発明者が軸組構造体の構造や施工性等について研究を行う中で、前記接合構造には、次のような改善すべき課題があることもわかってきた。
【0006】
すなわち、前記接合構造は、木質部材の接合にあたって接合具を接合具取着孔に収容した後、接合具と接合具取着孔の間の空間部に充填される接着剤の接着力を利用する構造であるため、接合する木質部材を軸方向へ引き寄せて接合面を密着させる力は特に発生しないので、強固な接合力が得にくい。
【0007】
また、接着剤が十分に固化して設計上の固定力が得られるまでにはやや時間がかかるので養生期間が必要であるという課題もある。さらには、一旦固化した後の接着剤による固定力はきわめて強いため、接合した木質部材を接合部で分離することは困難である。このため、軸組構造体の施工後、軸組構造体を解体したり、一部の木質部材を組み替える必要が生じた場合には、接合部を破壊するか、接合具のないところで木質部材を切断するしか方法がなく、作業がしにくい。
【0008】
そこで本発明の目的は、木質軸組構造体等における木質部材の接合において、接合具が木質部材に内蔵されていることにより接合具が外部に露出せず外観を損なうことがない構成を備えると共に、接合作業において接合する木質部材を軸方向へ引き寄せて接合面を密着させる力が強く、それによる接合力が強固な、木質部材を接合する接合具、それを使用した接合構造を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、木質部材の接合後すぐに設計上の固定力が得られ、しかも軸組構造体の施工後に軸組構造体を解体したり、一部の木質部材を組み替える必要が生じた場合にも、接合部からの分離を可能にした、木質部材を接合する接合具、それを使用した接合構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
(1)本発明は、接合される各木質部材にそれぞれ対応する箇所に所要間隔をおいて形成された挿通孔(16,17)を有する連結部材(1)と、該連結部材(1)を各木質部材に固定する止め具(6)を備えており、
該止め具(6)は、
前記挿通孔(16,17)に挿通可能で、木質部材と接する側と反対側には誘導面(21)を有する一対の拡張部材(2,2a)と、
該各拡張部材(2,2a)の間に前記各誘導面(21)に沿って打ち込み可能で、打ち込みによって各拡張部材(2,2a)の間隔を所定の広さに拡げる楔部材(3)と、
を備えている、木質部材を接合する接合具である。
【0011】
(2)本発明は、木質部材を接合する対象物に取り付けが可能で、接合される木質部材に対応する箇所に挿通孔(41g)を有する連結部材(1c)と、該連結部材(1c)を各木質部材に固定する止め具(6)を備えており、
該止め具(6)は、
前記挿通孔(41g)に挿通可能で、木質部材と接する側と反対側には誘導面(21)を有する一対の拡張部材(2,2a)と、
該各拡張部材(2,2a)の間に前記各誘導面(21)に沿って打ち込み可能で、打ち込みによって各拡張部材(2,2a)の間隔を所定の広さに拡げる楔部材(3)と、
を備えている、木質部材を接合する接合具である。
【0012】
(3)本発明の接合具は、楔部材(3e,3f)が各拡張部材(2e,2e)の誘導面(21e)と接触する各接触面(33e)間の厚さが長さ方向においてほぼ全長にわたり同じ厚さに形成されているのがより好ましい。
【0013】
(4)本発明の接合具は、打ち込まれた楔部材(3,3)を拡張部材(2,2)に固定する抜け止め手段(25,35)を備えているのがより好ましい。
【0014】
(5)本発明の接合具は、連結部材(1)に両側の挿通孔(16,17)の間隔を調節する孔間隔調節手段(11,12,13,14,15)が設けられているのがより好ましい。
【0015】
(6)本発明は、前記各接合具を構成する止め具である。
【0016】
(7)本発明の止め具は、両拡張部材(2b)の間の入口側に楔部材(3)が配され、両拡張部材(2b)と楔部材(3)は、楔部材(3)の打ち込みによって両拡張部材(2b)との連結が解除可能な連結手段(7)により一体化してあるものがより好ましい。
【0017】
(8)本発明は、前記発明のいずれかに記載の接合具を使用した接合構造であって、
接合される木質部材(4,4a)の各接合面(40,40a)が突き合わされており、
該各接合面(40,40a)に形成された連結孔(41,41a)間に連結部材(1)が渡されて挿入されており、
前記木質部材(4,4a)の接合面とは異なる面(42,43,44,45)には連結孔(41,41a)に挿入された前記連結部材(1)の挿通孔(16,17)に通じる装着孔(46,47,46a,47a)が設けられ、
該各装着孔(46,47,46a,47a)には前記連結部材(1)に設けられている挿通孔(16,17)を貫通して一対の拡張部材(2,2a)が挿通されており、該各拡張部材(2,2a)の間には楔部材(3)が打ち込まれ、各拡張部材(2,2a)の間隔は所定の広さに拡がって前記装着孔(46,47,46a,47a)内に固定されている、
木質部材の接合構造である。
【0018】
(9)本発明は、前記発明のいずれかに記載の接合具を使用した接合構造であって、
接合される木質部材(4d,4e)の各接合面(40d,40e)が突き合わされており、
該各接合面(40d,40e)に形成された連結溝(41d,41e)間に連結板(1b)が渡されて挿入されており、
前記木質部材(4d,4e)の接合面(40d,40e)とは異なる面には連結溝(41d,41e)に挿入された連結板(1b)の挿通孔(16b,17b)に通じる装着孔(46d,47d,46d,46e)が設けられ、
該各装着孔(46d,47d,46d,46e)には前記連結板(1b)の挿通孔(16b,17b)を貫通して一対の拡張部材(2,2a)が挿通されており、
該各拡張部材(2,2a)の間には楔部材(3)が打ち込まれ、各拡張部材(2,2a)の間隔は所定の広さに拡がって前記装着孔(46d,47d,46d,46e)内に固定されている、
木質部材の接合構造である。
【0019】
(10)本発明は、前記発明のいずれかに記載の木質部材を接合する接合具を使用した接合構造であって、
接合される木質部材(4f)の接合面(402)に形成された各連結孔(400)に木質部材(4f)を接合する対象物(4g)に取り付けられた連結部材(1c)が挿入されており、
前記木質部材(4f)の接合面(402)とは異なる面に設けられ、前記連結孔(400)に挿入される連結部材(1c)に設けられている挿通孔(16c)に通じる装着孔(46g)に、連結部材(1c)の挿通孔(16c)を貫通して一対の拡張部材(2,2a)が挿通されており、
該各拡張部材(2,2a)の間には楔部材(3)が所定の深さに打ち込まれ、各拡張部材(2,2a)の間隔は所定の広さに拡がって前記装着孔(46g)内に固定されている、
木質部材の接合構造である。
【0020】
(11)本発明の接合構造は、接合される木質部材(4b,4c)として角材を使用し、各装着孔(46b,47b,46c,47c)を角材の対角線方向に設けることができる。
【0021】
連結部材の形状は、例えば棒状体、板状体あるいは各種形状の複数の部材を組み合わせたり複合させたもの等であるが、これらに限定するものではない。連結部材、拡張部材及び楔部材の素材は、例えば鉄等の金属であるが、十分な強度を有するものであれば、これに限定するものではない。
【0022】
抜け止め手段の構造は、例えば拡張部材と楔部材のいずれかに係合穴または係合凹部を設け、他方の部材に係合穴または係合凹部と係合して楔部材が抜けないようにする係合突起または係合突出部が設けられた構造等であるが、これに限定はされない。
【0023】
(作用)
本発明に係る木質部材を接合する接合具及び接合構造の作用を説明する。なお、ここでは、説明で使用する各構成要件に、後述する実施の形態において各部に付与した符号を対応させて付与するが、この符号は、特許請求の範囲の各請求項に記載した符号と同様に、あくまで内容の理解を容易にするためであって、各構成要件の意味を上記各部に限定するものではない。
【0024】
接合具を使用して木質部材の接合構造を構築する手順を説明する。ここでは、断面長方形状の木質部材(4,4a)を、長さ方向の一端面を突き合わせるようにして接合する場合で説明する。
【0025】
各木質部材(4,4a)の連結孔(41,41a)に連結部材(1)を収容した状態で接合面(40,40a)を突き合わせる。連結部材(1)の各挿通孔(16,17)が、木質部材(4,4a)の各装着孔(46,47,46a,47a)に合うようにし、各装着孔(46,47,46a,47a)に拡張部材(2,2a)を誘導面(21)を向かい合わせにして挿入し、挿通孔(16,17)を貫通させて全体が各装着孔(46,47,46a,47a)に埋没するようにする。
【0026】
挿入後、拡張部材(2,2a)の間に楔部材(3)を打ち込む。打ち込まれる楔部材(3)によって拡張部材(2,2a)は押し拡げられ、誘導面(21)とは反対側の面が装着孔(46,47,46a,47a)の木質の内面に強く圧着されて食い込む。このとき、木質部材(4,4a)の接合面(40,40a)から遠い側の拡張部材(2,2a)は、連結部材(1)の長さ方向の両側にある挿通孔(16,17)の孔縁に当たり、連結部材(1)には両側から引っ張る方向へ力が作用する。この力の反作用によって各木質部材(4,4a)は引き寄せられ、各接合面(40,40a)は強く圧着される。楔部材(3)を拡張部材(2,2a)の間に全体を埋没させる位置まで打ち込むと、抜け止め手段(25,35)によって楔部材(3)は拡張部材(2,2a)の間から抜けなくなる。これにより、木質部材(4,4a)は強固に接合される。
【0027】
このようにして、断面長方形状の木質部材(4,4a)を長さ方向の一端面である接合面(40,40a)を突き合わせるようにして接合した木質部材の接合構造が構築される。
また、前記接合構造によれば、木質部材の接合後すぐに設計上の固定力が得られ、しかも軸組構造体の施工後に解体や一部の木質部材を組み替える場合にも、接合部からの分離が可能である。
【0028】
楔部材(3e)が各拡張部材(2e,2e)の誘導面(21e)と接触する各接触面(33e)間の厚さが長さ方向においてほぼ全長にわたり同じ厚さに形成されている接合具は、楔部材(3e)全体を各拡張部材(2e,2e)の誘導面(21e)間に打ち込まなくても、先端の一部を打ち込めば各拡張部材(2e,2e)が最大まで拡がり、その後の打ち込みは軽く打撃するだけで済む。したがって、止め具(6e)の打ち込み作業を簡単に行うことができる。
また、楔部材(3e)の形状及びそれに対応する各拡張部材(2e,2e)の形状が、例えば一般の楔形状のようにテーパ面を有するものと比較して単純であり、したがって加工及び成形が簡単にできるので製造コストも安価に抑えることができる。
【0029】
連結部材(1)に両側の挿通孔(16,17)の間隔を調節する孔間隔調節手段(11,12,13,14,15)が設けられている接合具は、仮に木質部材(4,4a)の連結孔(41,41a)や装着孔(46,47,46a,47a)の加工精度があまり高くなくても、挿通孔(16,17)の位置を各木質部材(4,4a)の装着孔(46,47,46a,47a)に合わせることができるので、木質部材(4,4a)の接合をより確実に行うことができる。
【0030】
接合される木質部材(4b,4c)として角材を使用し、各装着孔(46b,47b,46c,47c)を角材の対角線方向に設けた接合構造は、装着孔を上下面または側面から設けた場合と比較して、孔の長さがより長くなる。すなわち、各装着孔(46b,47b,46c,47c)に装着する拡張部材(2,2a)と楔部材(3)の長さもそれに合わせて長いものを使用すれば、各装着孔(46b,47b,46c,47c)に対する拡張部材(2,2a)と楔部材(3)の固定力、ひいては接合具による木質部材(4b,4c)に対する接合力はより強くなる。
【発明の効果】
【0031】
(a)本発明は、接合具が木質部材に内蔵されていることにより接合具が外部に露出せず外観を損なうことがないようにした木質部材の接合において、接合具の楔が拡張部材間に打ち込まれると、拡張部材は押し拡げられ、木質部材の接合面から遠い側の拡張部材は連結部材の長さ方向の両側にある挿通孔の孔縁に当たり、連結部材には両側から引っ張る方向へ力が作用する。この力の反作用によって木質部材は引き寄せられ、接合面は強く圧着され、木質部材は強固に接合される。
【0032】
(b)本発明は、従来のような接着剤を使用した接合構造とは異なり、接合具による木質部材の接合後すぐに設計上の固定力が得られるので、養生期間が不要である。
【0033】
(c)本発明は、木質部材を一旦接合した後でも、接合具の楔部材と拡張部材を木質部材の装着孔から抜き取れば、木質部材を接合部から簡単に分離することができる。これにより、例えば軸組構造体の施工後に軸組構造体を解体したり、一部の木質部材を組み替える必要が生じた場合にも、それらの作業が簡単にできる。
【0034】
(d)楔部材が各拡張部材の誘導面と接触する各接触面間の厚さが長さ方向においてほぼ全長にわたり同じ厚さに形成されている接合具は、楔部材全体を各拡張部材の誘導面間に打ち込まなくても、先端の一部を打ち込めば各拡張部材が最大まで拡がり、その後の打ち込みは軽く打撃するだけで済む。したがって、止め具の打ち込み作業を簡単に行うことができる。また、楔部材の形状及びそれに対応する各拡張部材の形状が、例えば一般の楔形状のようにテーパ面を有するものと比較して単純であり、したがって加工及び成形が簡単にできるので製造コストも安価に抑えることができる。
【0035】
(e)連結部材に両側の挿通孔の間隔を調節する孔間隔調節手段が設けられている接合具は、仮に木質部材の連結孔や装着孔の加工精度があまり高くなくても、挿通孔の位置を各木質部材の装着孔に合わせることができるので、木質部材の接合をより確実に行うことができる。
【0036】
(f)接合される木質部材として角材を使用し、各装着孔を角材の対角線方向に設けた接合構造は、装着孔を上下面または側面から設けた場合と比較して、孔の長さがより長くなる。すなわち、各装着孔に装着する拡張部材と楔部材の長さもそれに合わせて長いものを使用すれば、各装着孔に対する拡張部材と楔部材の固定力、ひいては接合具による木質部材に対する接合力はより強くなる。さらには、木質軸組構造体等の施工において、特に木質部材が各方向から集中して込み入った箇所では、木質部材の対角線上に装着孔を設ける選択肢があることにより、限られた作業空間における作業性を向上させる一助となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
〔実施の形態〕
【0038】
図1は本発明に係る接合構造の第1実施形態を示し、(a)は楔部材の打ち込み前、(b)は楔部材の打ち込み後の状態を示す説明図であり、それぞれの右図は左図におけるa−a断面図、
図2は本発明に係る接合具を構成する連結部材の構造を示し、(a)は伸縮型、(b)は長さ固定型を示す斜視図、
図3は本発明に係る接合具を構成する止め具の構造を示す斜視説明図である。
【0039】
接合具A1は、それぞれ鉄製の連結部材1及び止め具6を備えている。止め具6は、一対の拡張部材2、2a及び楔部材3により構成されている。
【0040】
図1、図2を主に参照する。
連結部材1は、両端側にネジ部11、12が設けられている所要長さのネジ棒10と、ネジ部11、12に螺合されている外形がほぼ丸棒形状の調節体13、14により構成されている。調節体13、14の一端側には、軸線方向にネジ孔15がそれぞれ所要の深さに設けられている。なお、前記ネジ部11、12、調節体13、14及びネジ孔15は、次述する両側の挿通孔16、17の間隔を調節する孔間隔調節手段を構成する。
【0041】
調節体13、14には、それぞれ直径方向に貫通して挿通孔16、17が設けられている。挿通孔16、17は、断面が長方形状の孔であり、調節体13、14の軸線方向に所要の間隔をおいて、かつ互いに軸周方向に90°を成すように設けられている。なお、本実施の形態では調節体あたりの挿通孔の数は二であるが、一または三以上でもよく、適宜設定が可能である。また、挿通孔16、17の角度は90°以外の適宜角度でもよく、さらには角度をつけずに相互に平行に設けることもできる。
【0042】
接合具A1の長さは、ネジ棒10に螺合されている調節体13、14を回して、それぞれを進退動させることによって調節が可能である。また、調節体13、14の進退動によって、一方の調節体13に設けられている挿通孔16、17と、他方の調節体14に設けられている挿通孔16、17との間隔が調節可能である。調節体13、14の調節幅は、調節体13、14が一回転するごとにネジ部11、12のネジの1ピッチ分である。
【0043】
なお、図2(b)に示した連結部材1aは、丸棒形状で所要長さを有し、両端側に前記調節体13、14のものと同様の挿通孔16a、17aを形成した構造である。しかし、連結部材1aは、一端側の挿通孔16a、17aと他端側の挿通孔16a、17aの間隔の調節ができる構造とはなっていない。
この長さ固定型の連結部材1aは、接合具が設計通りに木質部材に収まるように、木質部材の外形や木質部材に設けられている連結孔、装着孔の加工精度を上げることによって、十分に使用が可能になる。
【0044】
図1、図3を主に参照する。
止め具6を構成する拡張部材2、2aは、どちらも同じ形状を有しているので、ここでは一方の拡張部材2についてのみ構造を説明する。
拡張部材2は、側面視(図1を正面視基準とする)で細長いほぼ長方形状の板体である。拡張部材2の外面20(木質部材の装着孔内面に当たる面)に対し、内面側である誘導面21(後述する楔部材3が当たる面)はやや傾斜させてあり、一端側が厚くなっている。外面20の長さ方向の両側には、それぞれ複数の先端が尖った突起22が設けられている。
【0045】
拡張部材2の厚くなっている側が、後述する木質部材4、4aの装着孔46、47、46a、47aへ挿入するときの挿入先側となり、挿入を容易にするために先端両側の角部を斜めに形成し、先部がやや尖るようにしてある。なお、前記外面20に対する誘導面21の傾斜角は、本実施の形態では約10°であるが、これに限定するものではなく、適宜設定が可能である。
【0046】
また、拡張部材2の薄くなっている側の端部には、端辺の中央から長さ方向に所要長さの切込部23が両面20、21を貫通した切込として形成されている。切込部23の入口側の両側は円弧状に丸められて誘導部24が形成されている。また、切込部23の入口側寄りには、両面20、21を貫通した四角形の係合穴25が形成されている。係合穴25は、後述する楔部材3を拡張部材2、2aの間に打ち込んだときに楔部材3の係合突起35が係合する部分であり、係合穴25と係合突起35は抜け止め手段を構成する。
【0047】
図1、図3を主に参照する。
止め具6を構成する楔部材3は、側面視で前記拡張部材2とほぼ同じ大きさのほぼ長方形状である。先端部も同様に両側の角部を斜めに形成し、先部がやや尖るようにしてある。また、楔部材3は、正面視では細長いほぼ台形状である。楔部材3の正面30と背面31は互いに平行に形成されており、側面32、33は先部側が狭くなるように窄まって形成されている。側面32、33の成す角度は、前記拡張部材2、2aを誘導面21同士が対向するように、かつ外面20同士が平行になるように配したときに、両誘導面21が成す角度と同じである。
【0048】
楔部材3の正面30と背面31の幅が広い側には、それぞれ複数の先端が尖った突起34が設けられている(背面31側の突起34は図示を省略している)。また、側面32、33の基端寄りには、前記したように係合突起35がそれぞれ設けられている。係合突起35は、側面32、33の幅方向中央に設けられており、打ち込み方向側(図3では下側)が尖った三角形状(部分正面視)である。
【0049】
(作用)
図1ないし図3を参照して、本実施の形態の接合具A1の作用、接合具A1を使用した木質部材の接合構造及びその構築方法を説明する。
ここでは、断面形状が長方形状の木質部材4h、4iを長さ方向の一端面を突き合わせるようにして接合する場合で説明する。
【0050】
一方の木質部材4hの接合面40hには、あらかじめ連結孔41hが設けられている。各連結孔41hは円孔であり、木質部材4hの長さ方向に、かつ上面42hと平行に所要深さ(接合具A1の楔部材3の約1/2の長さ)に形成されている。
また、木質部材4hの上面42hには、所要間隔をおいて二箇所に装着孔46hが設けられている。各装着孔46hは、断面長方形状の角孔であり、各連結孔41hを通るように、かつ側面44、45と平行に所要深さ(接合具A1の楔部材3とほぼ同じ長さ)に形成されている。
【0051】
木質部材4hの側面44、45には、それぞれ所要間隔をおいて二箇所に装着孔47hが設けられている。各装着孔47hは、断面長方形状の角孔であり、各連結孔41hを通るように、かつ上面42hと平行に所要深さ(接合具A1の楔部材3とほぼ同じ長さ)に形成されている。各装着孔47hは、前記各装着孔46hとは木質部材4hの長さ方向において位置をずらしてある。
【0052】
他方の木質部材4iに施されている加工は、前記木質部材4hと同様の加工であるので、木質部材4iの構造についての詳細な説明は省略する。
なお、図1においては、木質部材4iの各部に木質部材4hの同等箇所と同じ数字に英文字のiを付けた符号を付与して表している。
【0053】
接合具A1を使用した前記木質部材4h、4iの接合構造及びその構築方法は次の通りである。
(1)一方の木質部材4hの各連結孔41hに連結部材1の一端側を挿入し、接合面40hから突出した各連結部材1の他端側に各連結孔41iを嵌め入れるようにして、接合面40h、40iを合わせる。
(2)連結部材1の調節体13、14に設けられている挿通孔16、17が、木質部材4h、4iの装着孔46h、47h、46i、47iに合っているかを確認する。位置が合っていなければ、木質部材4h、4iを離して連結部材1を取り出して、調節体13、14を回して角度を変えたり進退させたりして挿通孔16、17が46h、47h、46i、47iに合うように調節する。
【0054】
(3)調節体13、14の挿通孔16、17が、木質部材4h、4iの装着孔46h、47h、46i、47iに合ったら、各装着孔46h、47h、46i、47iに拡張部材2、2aを誘導面21を向かい合わせにして挿入する。拡張部材2、2aは、調節体13、14の挿通孔16、17を貫通して、全体が各装着孔46h、47h、46i、47iに埋没する。挿入後、拡張部材2、2aを離して間を拡げ、それぞれの外面20の突起22が装着孔46h、47h、46i、47iの内面に当たるようにする。これにより、拡張部材2、2aの各誘導面21は、奥へ行くほど間隔が狭くなった状態となっている。なお、この状態では各誘導面21で形成される空間は、この空間に打ち込まれる楔部材3の幅よりやや狭い(楔部材3の先部の幅は空間の入口の幅より狭い)。
【0055】
(4)各装着孔46、47、46a、47aの内部にある前記間隔を拡げた拡張部材2、2aの間に楔部材3をハンマ等を使用して打ち込む。打ち込まれる楔部材3によって拡張部材2、2aはさらに押し拡げられ、装着孔46h、47h、46i、47iの木質の内面に強く圧着されて食い込む。このとき、外側(接合面40h、40iから遠い側)の拡張部材2または拡張部材2aは、連結部材1の長さ方向の両側にある挿通孔16、17の孔縁に当たり、連結部材1には両側から引っ張る方向へ力が作用する。この力の反作用によって木質部材4h、4iは引き寄せられ、接合面40h、40iは強く圧着される。
【0056】
そして、楔部材3を拡張部材2、2aの間に全体を埋没させる位置まで打ち込むと、突起34が装着孔46h、47h、46i、47iの内面に利き、拡張部材2、2aに設けられている係合穴25に楔部材3の係合突起35が切込部23の入口側から切込部23を弾性に抗し拡げながら入って係合し、切込部23は弾性で閉じるので楔部材3は拡張部材2、2aの間から抜けなくなる。これにより、木質部材4h、4iは強固に接合される。なお、木質部材が引き寄せられ、接合面が強く圧着されて接合されることについては、後述する各接合具A2、A3、A4、A5も同様である。
【0057】
このようにして、断面形状縦長の長方形状の木質部材4h、4iを長さ方向の一端面である接合面40h、40iを突き合わせるようにして接合した木質部材の接合構造が構築される。この接合構造では、接合される木質部材4h、4iの接合面40h、40iが突き合わされており、接合面40h、40iに形成された連結孔41h、41iに連結部材1が渡されて挿入されている。木質部材4h、4iの上面42h及び側面44、45には、連結孔41h、41iに通じる装着孔46h、47h、46i、47iが設けられている。
【0058】
装着孔46h、47h、46i、47iは、連結孔41h、41iに挿入された連結部材1の挿通孔16、17に通じている。装着孔46h、47h、46i、47iには連結部材1の挿通孔16、17を貫通して拡張部材2、2aが挿通されており、拡張部材2、2aの間には楔部材3が所定の深さに打ち込まれている。これによって、拡張部材2、2aの間隔は所定の広さに拡がって装着孔46h、47h、46i、47i内に圧着されて固定されており、さらに楔部材3は打ち込み位置で拡張部材2、2aに固定されている。
【0059】
図4は本発明に係る木質部材の接合構造の第2実施形態を示し、(a)は木質部材の接合部の縦断面図、(b)は(a)におけるb−b断面図である。
ここでは、断面形状縦長の長方形状の木質部材4、4aを接合具A2を使用して長さ方向の一端面を突き合わせるようにして接合する場合で説明する。
【0060】
ここで、本実施の形態に係る接合具A2の構造を説明する。接合具A2は、調節体13a、14aがパイプ状(円管状)であり、調節体13a、14aにそれぞれ設けられている挿通孔16、17が二組、合計四箇所である点が前記接合具A1と異なっており、他の部分はほぼ同様の構造である。調節体13a、14aでは、その内面(内径部)の一端側にネジが切ってあり、その部分がネジ孔15aとなっている。
【0061】
また、一方の木質部材4の接合面40には、あらかじめ両端寄りの二箇所に連結孔41が設けられている。各連結孔41は円孔であり、木質部材4の長さ方向に、かつ上面42、下面43と平行に所要深さ(接合具A1の楔部材3の約1/2の長さ)に形成されている。なお、接合面40に係る一方の側面45の二箇所には、所要間隔をおいてずれ止め部材490を係合する凹部49が設けられている。
【0062】
また、木質部材4の上面42と下面43には、それぞれ所要間隔をおいて二箇所に装着孔46が設けられている。各装着孔46は、断面長方形状の角孔であり、各連結孔41を通るように、かつ側面(図面では表れていない:図4(b)に表した側面44、45を参照)と平行に所要深さ(接合具A1の楔部材3とほぼ同じ長さ)に形成されている。
【0063】
木質部材4の側面には、それぞれ所要間隔をおいて二箇所に装着孔47が設けられている。各装着孔47は、断面長方形状の角孔であり、各連結孔41を通るように、かつ上面42、下面43と平行に所要深さ(接合具A1の楔部材3とほぼ同じ長さ)に形成されている。各装着孔47は、前記各装着孔46とは木質部材4の長さ方向において位置をずらしてある。
【0064】
他方の木質部材4aに施されている加工は、前記木質部材4と同様の加工であるので、木質部材4aの構造についての詳細な説明は省略する。
なお、図4においては、木質部材4aの各部に木質部材4の同等箇所と同じ数字に英文字のaを付けた符号を付与して表している。
【0065】
前記接合具A2を使用した前記木質部材4、4aの接合構造及びその構築方法は次の通りである。
(1)一方の木質部材4の各連結孔41に連結部材1の一端側を挿入し、接合面40から突出した各連結部材1の他端側に各連結孔41aを嵌め入れるようにして、接合面40、40aを合わせる。この際、木質部材4、4aの表面の凹部49、49a間にずれ止め部材490を入れて接合面40、40aが所定の合わさった位置からずれないようにする。
【0066】
(2)連結部材1の調節体13、14に設けられている挿通孔16、17が、木質部材4、4aの装着孔46、47、46a、47aに合っているかを確認する。位置が合っていなければ、木質部材4、4aを離して連結部材1を取り出して、調節体13、14を回して角度を変えたり進退させたりして挿通孔16、17が装着孔46、47、46a、47aに合うように調節する。
【0067】
(3)調節体13、14の挿通孔16、17が、木質部材4、4aの装着孔46、47、46a、47aに合ったら、各装着孔46、47、46a、47aに拡張部材2、2aを誘導面21を向かい合わせにして挿入する。拡張部材2、2aは、調節体13、14の挿通孔16、17を貫通して、全体が各装着孔46、47、46a、47aに埋没する。
【0068】
挿入後、拡張部材2、2aを離して間を拡げ、それぞれの外面20の突起22が装着孔46、47、46a、47aの内面に当たるようにする。これにより、拡張部材2、2aの各誘導面21は、奥へ行くほど間隔が狭くなった状態となっている。なお、この状態では各誘導面21で形成される空間は、この空間に打ち込まれる楔部材3の幅よりやや狭い(楔部材3の先部の幅は空間の入口の幅より狭い)。
【0069】
(4)各装着孔46、47、46a、47aの内部にある前記間隔を拡げた拡張部材2、2aの間に楔部材3をハンマ等を使用して打ち込む。打ち込まれる楔部材3によって拡張部材2、2aはさらに押し拡げられ、装着孔46、47、46a、47aの木質の内面に強く圧着されて食い込む。そして、楔部材3を拡張部材2、2aの間に全体を埋没させる位置まで打ち込むと、突起34が装着孔46、47、46a、47aの内面に利き、拡張部材2、2aに設けられている係合穴25に楔部材3の係合突起35が切込部23の入口側から切込部23を弾性に抗し拡げながら入って係合し、切込部23は弾性で閉じるので楔部材3は拡張部材2、2aの間から抜けなくなる。
【0070】
また、装着孔46、47、46a、47aの内面に対する拡張部材2、2aの食い込みをより強くして固定力を確保するためには、拡張部材2、2aが拡がったときに連結部材1の挿通孔16、17の口縁部に当たらないようにし、拡がりを邪魔しないようにするのが好ましい。このため、拡張部材2、2aの外面20の最大拡張幅は、連結部材1の挿通孔16、17の孔幅(拡張部材2、2aが移動する方向)よりやや狭くなるように設定されている。
【0071】
このようにして、断面形状縦長の長方形状の木質部材4、4aを長さ方向の一端面である接合面40、40aを突き合わせるようにして接合した木質部材の接合構造が構築される。この接合構造では、接合される木質部材4、4aの接合面40、40aが突き合わされており、接合面40、40aに形成された連結孔41、41aに連結部材1が渡されて挿入されている。木質部材4、4aの上面42、下面43及び側面44、45には、連結孔41、41aに通じる装着孔46、47、46a、47aが設けられている。
【0072】
装着孔46、47、46a、47aは、連結孔41、41aに挿入された連結部材1の挿通孔16、17に通じている。装着孔46、47、46a、47aには連結部材1の挿通孔16、17を貫通して拡張部材2、2aが挿通されており、拡張部材2、2aの間には楔部材3が所定の深さに打ち込まれている。これによって、拡張部材2、2aの間隔は所定の広さに拡がって装着孔46、47、46a、47a内に圧着されて固定されており、さらに楔部材3は打ち込み位置で拡張部材2、2aに固定されている。
【0073】
図5は本発明に係る木質部材の接合構造の第3実施形態を示し、(a)は木質部材の接合部の側面視説明図、(b)は(a)におけるc−c断面図である。
なお、図5(a)は分かりやすくするために、木質部材は断面せず、連結部材と調節体を実線で表し、さらに調節体のみを断面した図としている。
また、本実施の形態では、図において前記接合構造の第1実施形態(接合具A1を含む)と同等箇所には同一符号を付すかまたは符号を一部省略し、構造について重複する説明は基本的に省略する。
【0074】
本実施の形態に係る接合構造では、使用される接合具A3の調節体13b、14bは、前記接合具A2の調節体13a、14aと同様にパイプ状である。調節体13b、14bのそれぞれに設けられる挿通孔16、17は一組、二箇所であり、他の部分は接合具A2とほぼ同様の構造である。調節体13b、14bでは、その内面(内径部)の一端側にネジが切ってあり、その部分がネジ孔15bとなっている。
【0075】
木質部材4b、4cに設けられている装着孔46b、47b、46c、47cは、断面正方形状の角材である木質部材4b、4cの対角線方向に貫通して設けられている。
また、装着孔46b、47b、46c、47cに装着される拡張部材と楔部材(いずれも符号省略)は、上面42、下面43や側面44、45に設けられる場合と比較してより長いものが採用されているので、装着孔46b、47b、46c、47cに対する拡張部材と楔部材の固定力、ひいては接合具(符号省略)による木質部材4b、4cに対する接合力はより強くなる。
【0076】
さらには、本実施の形態に係る接合構造によれば、木質軸組構造体等の施工において、特に木質部材が各方向から集中して込み入った箇所では、木質部材の対角線上に装着孔を設ける選択肢があることにより、限られた作業空間における作業性を向上させる一助となり得る。
【0077】
図6は本発明に係る木質部材の接合構造の第4実施形態を示し、(a)は木質部材の接合部の側面視説明図、(b)は(a)におけるd−d断面図である。
なお、本実施の形態では、図において前記接合構造の第1実施形態(接合具A1を含む)と同等箇所の符号を一部省略し、構造について重複する説明は基本的に省略する。
【0078】
本実施の形態に係る接合構造では、使用される接合具A4は、連結板1bと拡張部材、楔部材(いずれも符号省略)で構成されている。
接合される木質部材4d、4eの各接合面40d、40eが突き合わされており、接合面40d、40eには上面42から下面43へ貫通する連結溝41d、41eが所要深さに形成されている。連結溝41d、41e間には、長方形状の鉄製の前記連結板1bが渡されて挿入されている。連結板1bの長さ方向の両端側には、それぞれ二箇所に四角形の挿通孔16b、17bが表裏を貫通して設けられている。
【0079】
また、木質部材4d、4eに設けられている装着孔46d、47d、46e、47eは、前記木質部材の接合構造の第2実施形態と同様に、断面正方形状の角材の対角線上に設けられている。装着孔46d、47d、46e、47eには、連結板1bの挿通孔16b、17bを斜めに貫通して拡張部材(符号省略)が挿通されており、各拡張部材の間には楔部材(符号省略)が所定の深さに打ち込まれている。これによって拡張部材の間隔は所定の広さに拡がって装着孔46d、47d、46e、47e内に固定されており、楔部材は打ち込み位置で拡張部材に固定されている。
【0080】
図7は本発明に係る木質部材の接合構造の第5実施形態を示す断面図である。
なお、本実施の形態では、図において前記接合構造の第1実施形態(接合具A1を含む)と同等箇所には同じ数字に英文字を付けた符号を付して示し、構造について重複する説明は基本的に省略する。
【0081】
本実施の形態に係る接合構造では、コンクリート製の土台5の上に木質部材4fが取り付けられ、接合具A5の連結部材1cのネジ棒10cの一端側(調節体が設けられていない側)は土台5に固着され、垂直に設けられている。土台5と木質部材4fは、木質部材4gを接合する対象物である。ネジ棒10cの先部側は、木質部材4fの挿通孔400を貫通し、上方へ突出している。木質部材4fの挿通孔400を中心とする上面側には差込凹部401が設けられている。差込凹部401には、木質部材4gが接合側端部を差込凹部401に差し込み、先端の接合面40gを差込凹部401の底面402に突き合わせて垂直に立てられている。
【0082】
木質部材4gの連結孔41gは挿通孔400と連通する位置に設けられており、連結部材1cの先端側は連結孔41gに挿入されている。また、ネジ棒10cのネジ部11cには円筒形状の調節体13cが螺合されている。調節体13cには、挿通孔16cが一箇所に直径線方向に貫通して設けられており、それに対応する木質部材4gの装着孔46gも連結孔41gに連通するように一箇所に設けられている。そして、装着孔46gには連結部材1cの挿通孔16cを貫通するように拡張部材2、2aが挿入され、拡張部材2、2a間に楔部材3が打ち込まれ固定されている。
【0083】
図8は本発明に係る木質部材の接合構造の第6実施形態を示す断面図である。
図8(a)に示す接合構造では、木質部材4j、4kを接合するために、同じく木質の連結部材1dを使用している。連結部材1dは、断面四角形状のいわゆる角材であり、図に示すように木質部材4j、4kの内部ではなく、外部に設けられている。連結部材1dは、本実施の形態では木質部材4j、4kの上下面に配されているが、さらに両側面に配することもできる。
【0084】
連結部材1dには、長さ方向に所要間隔をおいて二箇所に、挿通孔19が上下面を貫通して形成されている。また、木質部材4j、4kには、それぞれ一箇所に、装着孔48が上下面を貫通して形成されている。木質部材4j、4kの接合面40j、40kを当接したときの各装着孔48の間隔と連結部材1dの各挿通孔19の間隔は同じである。
【0085】
そして、木質部材4j、4kの接合面40j、40kを突き合わせ、各装着孔48と、各連結部材1dの挿通孔19が合わさるようにして、各連結部材1dを木質部材4j、4kの上下面に配し、装着孔48と各挿通孔19を貫通して止め具6dが固着されている。止め具6dは、やや長尺に形成され、一対の拡張部材2dと楔部材3dからなる。
【0086】
この接合構造によれば、連結部材1dが接合部の外部に表れてしまう外観的な欠点はあるものの、木質部材4j、4kに連結部材1dを埋め込む連結孔等を設ける必要がないので、コストを抑えた施工が可能であり、例えば倉庫等の施工に有用である。これについては、次に説明する図8(b)に示す接合構造も同様である。
【0087】
図8(b)に示す接合構造では、接合される木質部材4m、4nは、上下面のそれぞれの側に独立した装着孔49が形成されている。
そして、木質部材4m、4nの接合面40m、40nを突き合わせ、各装着孔49と、各連結部材1dの挿通孔19が合わさるようにして、各連結部材1dを木質部材4m、4nの上下面に配し、装着孔49と挿通孔19を貫通して止め具6が固着されている。
【0088】
図9、図10、図11は接合具を構成する止め具の他の例を示す斜視説明図である。
なお、各図において前記接合具A1の拡張部材2、2aと楔部材3の各部と同等箇所には同一符号を付して示し、構造について重複する説明は基本的に省略する。
【0089】
図9に示した拡張部材2b、2bと楔部材3bには、それぞれ抜け止め手段を構成する係合突起25bと係合穴35bが設けられている。拡張部材2b、2bの誘導面21に設けられている係合突起25bは、部材を上端を残すように打ち抜いて斜めに突出させて形成されている。これによれば、装着孔内で楔部材3bを拡張部材2b、2bの間に打ち込むことにより拡張部材2b、2bの間隔は拡がり、楔部材3bは係合穴35bと係合突起25bが係合することにより拡張部材2b、2b間に固定される。
【0090】
図10に示した拡張部材2c、2cと楔部材3cには、それぞれ抜け止め手段を構成する係合穴25cと係合突起35cが設けられている。係合穴25cは、円形の穴である点で前記拡張部材2、2aの係合穴25と異なる。また、係合突起35cは、部分正面視で円形である点で前記楔部材3の係合突起35とは異なる。これによれば、装着孔内で楔部材3cを拡張部材2c、2cの間に打ち込むことにより、前記拡張部材2、2aと楔部材3の場合とほぼ同様に、拡張部材2c、2cの間隔は拡がり、楔部材3cは係合突起35cと係合穴25cが係合することにより拡張部材2c、2c間に固定される。
【0091】
図11に示した止め具組体60は、前記止め具6aを使用し、両拡張部材2b、2bの間の間隔が広くなっている入口29側に楔部材3が先部を差し入れて配され、さらに、その状態で両拡張部材2b、2bと楔部材3を連結手段である熱収縮チューブ7によって束ねるようにして一体化されたものである。つまり、両拡張部材2b、2bと楔部材3は、仮止めがされている状態である。拡張部材2b、2bの先端内側の角部は当接させてあり、一体化した構造体としての強度を高めているが、多少離れた構造としてもよい。
【0092】
止め具組体60は、各部材3、2b、2bが前記のように一体化した状態で、木質部材の装着孔及び連結部材の挿通孔に差し込みが可能である。
熱収縮チューブ7による両拡張部材2b、2bと楔部材3の連結強さは、施工時において楔部材3を両拡張部材2b、2b間に打ち込むことによって連結が解除される強さに設定されている。なお、連結手段は、前記熱収縮チューブに限定されるものではなく、例えば粘着テープや接着剤(接着材)等を採用することもできる。
止め具組体60は、各部材3、2b、2bが一体となっているので、部品管理がしやすく、使用する際の作業性にも優れる。
【0093】
図12は接合具を構成する止め具の他の例を示す分解斜視説明図、
図13は図12に示す止め具の拡張部材と楔部材が組み合わさった状態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【0094】
止め具6eは、拡張部材2e、2e及び楔部材3eにより構成されている。
止め具6eを構成する拡張部材2e、2eは、同じ形状のものを一対として使用している。拡張部材2eは、細長いほぼ長方形状の所要厚さを有する板体である。拡張部材2eの外面20e(木質部材の装着孔内面に当たる面)と内面側の誘導面21e(後述する楔部材3が当たる面)は平行であり、ほぼ全長にわたり同じ厚さに形成されている。
【0095】
外面20eの長さ方向の両側には、それぞれ複数の先端が尖った突起22eが設けられている。また、各拡張部材2eの長さ方向の両端部の誘導面21e側は、全幅にわたり丸められて曲面部210が形成されている。拡張部材2e、2eを誘導面21eを相対向させて合わせたとき、両曲面部210によって、ほぼV字状の誘導口(符号省略)が形成される。なお、拡張部材2eの厚さは、二枚重ねた形態で装着孔に挿入することができる厚さに設定されている。
【0096】
止め具6eを構成する楔部材3eは、前記拡張部材2eとほぼ同じ長さと幅を有する長方形で所要厚さを有する板体である。楔部材3eの厚さは、拡張部材2eより薄く形成されている。また、楔部材3eの厚みが表れる両側面36には、抜け止めのための先部が尖った突起34eが所要数設けられている。両側面の突起34eは、拡張部材2eの幅方向の両端辺からやや突出するよう幅広に形成されている。
【0097】
なお、楔部材3eの厚さは、図13(a)に示すように拡張部材2e、2eの間に打ち込まれて重なったときに、全体の厚さが、固定される装着孔の幅よりやや広くなるよう設定されている。また、楔部材3eの先端は両刃形に尖らせてあり、さらに幅方向両端部も先端側がやや狭小となるように傾斜させてあり、前記拡張部材2e、2e間に形成される誘導口に誘導されやすいようにしている。
【0098】
止め具6eの作用については、大体において前記止め具6等と同様であるので、相違点のみを説明する。
止め具6eは、装着孔が袋穴(有底穴)である場合(参考:図1、図4、図7、図8(b))に使用される。止め具6eは、楔部材3e全体を各拡張部材2e、2eの誘導面21e間に打ち込まなくても、先端の一部(一定厚さを有する部分)まで打ち込めば各拡張部材2e、2eがほぼ最大まで拡がり、その後の楔部材3eの打ち込みは軽く打撃するだけで済む。したがって、止め具6eの打ち込み作業を簡単に行うことができる。
【0099】
また、楔部材3eの形状及びそれに対応する各拡張部材2e、2eの形状が、例えば一般の楔形状のようにテーパ面を有するものと比較して単純であり、したがって加工及び成形が簡単にできるので製造コストも安価に抑えることができる。
【0100】
図14は図12に示す止め具の拡張部材と楔部材を一体化した止め具組体の形態を示す説明図である。
止め具組体60eは、前記止め具6eを使用し、両拡張部材2e、2eの一方の入口29e側に楔部材3eが先部を差し入れて配され、さらに、その状態で両拡張部材2e、2eと楔部材3eを連結手段である熱収縮チューブ7によって束ねるようにして一体化されたものである。また、拡張部材2e、2eの他端側は傾斜して合わせられて熱収縮チューブ7によって束ねられている。つまり、両拡張部材2e、2eと楔部材3eは、仮止めがされている状態である。
【0101】
止め具組体60eは、各部材3e、2e、2eが前記のように一体化した状態で、木質部材の装着孔及び連結部材の挿通孔に差し込みが可能である。また、熱収縮チューブ7による両拡張部材2e、2eと楔部材3eの連結強さは、前記止め具組体60と同様に施工時において楔部材3eを両拡張部材2e、2e間に打ち込むことによって連結が解除される強さに設定されている。また、連結手段として粘着テープや接着剤等を採用できることも同様である。
止め具組体60eは、各部材3e、2e、2eが一体となっているので、部品管理がしやすく、使用する際の作業性にも優れる。
【0102】
図15は接合具を構成する止め具の他の例を示す斜視説明図、
図16は図15に示す止め具の拡張部材と楔部材が組み合わさった状態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【0103】
止め具6fは、拡張部材2e、2e及び楔部材3f、3fにより構成されている。各拡張部材2eは、前記拡張部材2eと同じ形状のものを使用している。
また、各楔部材3fは、前記楔部材3eと同じ幅と厚さを有し、長さは約1/2に形成された長方形の板体である。楔部材3fは、拡張部材2e、2eに対して二枚が使用される。楔部材3fの厚みが表れる両側面36には、抜け止めのための先部が尖った突起34fが所要数設けられている。両側面36の突起34fは、拡張部材2eの幅方向の両端辺からやや突出するよう幅広に形成されている。
【0104】
なお、楔部材3fの厚さは、前記止め具6eの楔部材3eと同様、図16(a)に示すように拡張部材2e、2eの間に打ち込まれて重なったときに、全体の厚さが、固定される装着孔の幅よりやや広くなるよう設定されている。また、各楔部材3fの先端は両刃形に尖らせてあり、さらに幅方向両端部も先端側がやや狭小となるように傾斜させてあり、前記拡張部材2e、2e間に形成される誘導口に誘導されやすいようにしている。
【0105】
止め具6fの作用については、楔部材3fを二つ使用し、それぞれが拡張部材2e、2eの端部から打ち込まれる点を除いて、大体において前記止め具6eと同様であるので説明を省略する。なお、止め具6fは、装着孔が貫通穴である場合(参考:図1、図4、図5、図6、図8(a))に使用される。
【0106】
図17は接合具を構成する止め具の他の例を示す分解斜視説明図である。
なお、本実施の形態では、図面において前記止め具6fと同等箇所に同一符号を付して示し、構造について重複する説明は基本的に省略する。
【0107】
止め具6gは、拡張部材2g、2g及び楔部材3g、3gにより構成されている。各拡張部材2gは、前記拡張部材2eから突起22eを除いたものと同じ形状である。
また、各楔部材3gは、前記楔部材3fと同じ構造のものの基端部に全幅にわたり厚み方向両側へ張り出したストッパー37が設けられている形状である。ストッパー37の内側の形状は、各拡張部材2g間に打ち込んだときに拡張部材2gの曲面部210の形状にほぼ沿うように傾斜している。
【0108】
止め具6gは、拡張部材2gが前記拡張部材2eと違って外面20g側に突起が設けられていないため、装着孔に挿入し楔部材3g、3gを打ち込んだときに、拡張部材2eに比べて拡張部材2g自体の装着孔の孔壁に対する固定力に劣る。
止め具6gは、楔部材3gが突起34gの作用で孔壁に固定されることを利用し、ストッパー37で各拡張部材2gの抜け方向の移動を止め、抜け外れを防止するようにしている。
【0109】
なお、本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明に係る接合構造の第1実施形態を示し、(a)は楔部材の打ち込み前、(b)は楔部材の打ち込み後の状態を示す説明図であり、それぞれの右図は左図におけるa−a断面図。
【図2】本発明に係る接合具を構成する連結部材の構造を示し、(a)は伸縮型、(b)は長さ固定型を示す斜視図。
【図3】本発明に係る接合具を構成する止め具の構造を示す斜視説明図。
【図4】本発明に係る木質部材の接合構造の第2実施形態を示し、(a)は木質部材の接合部の縦断面図、(b)は(a)におけるb−b断面図。
【図5】本発明に係る木質部材の接合構造の第3実施形態を示し、(a)は木質部材の接合部の側面視説明図、は(a)におけるc−c断面図。
【図6】本発明に係る木質部材の接合構造の第4実施形態を示し、(a)は木質部材の接合部の側面視説明図、(b)は(a)におけるd−d断面図。
【図7】本発明に係る木質部材の接合構造の第5実施形態を示す断面図。
【図8】本発明に係る木質部材の接合構造の第6実施形態を示す断面図。
【図9】接合具を構成する止め具の他の例を示す分解斜視説明図。
【図10】接合具を構成する止め具の他の例を示す分解斜視説明図。
【図11】接合具を構成する止め具の他の例を示す分解斜視説明図。
【図12】接合具を構成する止め具の他の例を示す分解斜視説明図。
【図13】図12に示す止め具の拡張部材と楔部材が組み合わさった状態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図。
【図14】図12に示す止め具の拡張部材と楔部材を一体化した形態を示す説明図。
【図15】接合具を構成する止め具の他の例を示す斜視説明図。
【図16】図15に示す止め具の拡張部材と楔部材が組み合わさった状態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図。
【図17】接合具を構成する止め具の他の例を示す分解斜視説明図。
【符号の説明】
【0111】
(図1〜図3)
A1 接合具
1 連結部材
10 ネジ棒
11、12 ネジ部
13、14 調節体
15 ネジ孔
16、17 挿通孔
6 止め具
2、2a 拡張部材
20 外面
21 誘導面
22 突起
23 切込部
24 誘導部
25 係合穴
3 楔部材
30 正面
31 背面
32、33 側面
34 突起
35 係合突起
4h、4i 木質部材
40h、40i 接合面
41h、41i 連結孔
42 上面
44、45 側面
46h、47h、46i、47i 装着孔
1a 連結部材
16a、17a 挿通孔
(図4)
A2 接合具
13a、14a 調節体
15a ネジ孔
4、4a 木質部材
40、40a 接合面
41、41a 連結孔
43 下面
46、47、46a、47a 装着孔
49、49a 凹部
490 ずれ止め部材
(図5)
A3 接合具
13b、14b 調節体
15b ネジ孔
4b、4c 木質部材
46b、47b、46c、47c 装着孔
(図6)
A4 接合具
1b 連結板
16b、17b 挿通孔
4d、4e 木質部材
40d、40e 接合面
41d、41e 連結溝
46d、47d、46e、47e 装着孔
(図7)
A5 接合具
1c 連結部材
10c ネジ棒
11c ネジ部
13c 調節体
16c 挿通孔
4f 木質部材
400 挿通孔
401 差込凹部
402 底面
4g 木質部材
46g 装着孔
40g 接合面
41g 連結孔
5 土台
(図8)
1d 連結部材
19 挿通孔
4j、4k 木質部材
40j、40k 接合面
48 装着孔
4m、4n 木質部材
40m、40n 接合面
49 装着孔
6d 止め具
2d 拡張部材
3d 楔部材
(図9)
6a 止め具
2b 拡張部材
25b 係合突起
3b 楔部材
35b 係合穴
(図10)
6b 止め具
2c 拡張部材
25c 係合穴
3c 楔部材
35c 係合突起
(図11)
60 止め具組体
7 熱収縮チューブ
(図12、図13)
6e 止め具
2e 拡張部材
3e 楔部材
20e 外面
21e 誘導面
22e 突起
210 曲面部
3e 楔部材
36 側面
34e 突起
(図14)
60e 止め具組体
(図15、図16)
6f 止め具
3f 楔部材
34f 突起
(図17)
6g 止め具
2g 拡張部材
20g 外面
21g 誘導面
3g 楔部材
34g 突起
37 ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合される各木質部材にそれぞれ対応する箇所に所要間隔をおいて形成された挿通孔(16,17)を有する連結部材(1)と、該連結部材(1)を各木質部材に固定する止め具(6)を備えており、
該止め具(6)は、
前記挿通孔(16,17)に挿通可能で、木質部材と接する側と反対側には誘導面(21)を有する一対の拡張部材(2,2a)と、
該各拡張部材(2,2a)の間に前記各誘導面(21)に沿って打ち込み可能で、打ち込みによって各拡張部材(2,2a)の間隔を所定の広さに拡げる楔部材(3)と、
を備えている、
木質部材を接合する接合具。
【請求項2】
木質部材を接合する対象物に取り付けが可能で、接合される木質部材に対応する箇所に挿通孔(41g)を有する連結部材(1c)と、該連結部材(1c)を各木質部材に固定する止め具(6)を備えており、
該止め具(6)は、
前記挿通孔(41g)に挿通可能で、木質部材と接する側と反対側には誘導面(21)を有する一対の拡張部材(2,2a)と、
該各拡張部材(2,2a)の間に前記各誘導面(21)に沿って打ち込み可能で、打ち込みによって各拡張部材(2,2a)の間隔を所定の広さに拡げる楔部材(3)と、
を備えている、
木質部材を接合する接合具。
【請求項3】
楔部材(3e,3f)が各拡張部材(2e,2e)の誘導面(21e)と接触する各接触面(33e)間の厚さが長さ方向においてほぼ全長にわたり同じ厚さに形成されている、
請求項1または2のいずれかに記載の木質部材を接合する接合具。
【請求項4】
打ち込まれた楔部材(3,3)を拡張部材(2,2)に固定する抜け止め手段(25,35)を備えている、
請求項1ないし3のいずれかに記載の木質部材を接合する接合具。
【請求項5】
連結部材(1)に両側の挿通孔(16,17)の間隔を調節する孔間隔調節手段(11,12,13,14,15)が設けられている、
請求項1ないし4のいずれかに記載の木質部材を接合する接合具。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の木質部材を接合する接合具を構成する止め具。
【請求項7】
両拡張部材(2b)の間の入口側に楔部材(3)が配され、両拡張部材(2b)と楔部材(3)は、楔部材(3)の打ち込みによって両拡張部材(2b)との連結が解除可能な連結手段(7)により一体化してある、
請求項6記載の止め具。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれかに記載の木質部材を接合する接合具を使用した接合構造であって、
接合される木質部材(4,4a)の各接合面(40,40a)が突き合わされており、
該各接合面(40,40a)に形成された連結孔(41,41a)間に連結部材(1)が渡されて挿入されており、
前記木質部材(4,4a)の接合面とは異なる面(42,43,44,45)には連結孔(41,41a)に挿入された前記連結部材(1)の挿通孔(16,17)に通じる装着孔(46,47,46a,47a)が設けられ、
該各装着孔(46,47,46a,47a)には前記連結部材(1)に設けられている挿通孔(16,17)を貫通して一対の拡張部材(2,2a)が挿通されており、該各拡張部材(2,2a)の間には楔部材(3)が打ち込まれ、各拡張部材(2,2a)の間隔は所定の広さに拡がって前記装着孔(46,47,46a,47a)内に固定されている、
木質部材の接合構造。
【請求項9】
請求項1ないし5のいずれかに記載の木質部材を接合する接合具を使用した接合構造であって、
接合される木質部材(4d,4e)の各接合面(40d,40e)が突き合わされており、
該各接合面(40d,40e)に形成された連結溝(41d,41e)間に連結板(1b)が渡されて挿入されており、
前記木質部材(4d,4e)の接合面(40d,40e)とは異なる面には連結溝(41d,41e)に挿入された連結板(1b)の挿通孔(16b,17b)に通じる装着孔(46d,47d,46d,46e)が設けられ、
該各装着孔(46d,47d,46d,46e)には前記連結板(1b)の挿通孔(16b,17b)を貫通して一対の拡張部材(2,2a)が挿通されており、
該各拡張部材(2,2a)の間には楔部材(3)が打ち込まれ、各拡張部材(2,2a)の間隔は所定の広さに拡がって前記装着孔(46d,47d,46d,46e)内に固定されている、
木質部材の接合構造。
【請求項10】
請求項1ないし5のいずれかに記載の木質部材を接合する接合具を使用した接合構造であって、
接合される木質部材(4f)の接合面(402)に形成された各連結孔(400)に木質部材(4f)を接合する対象物(4g)に取り付けられた連結部材(1c)が挿入されており、
前記木質部材(4f)の接合面(402)とは異なる面に設けられ、前記連結孔(400)に挿入される連結部材(1c)に設けられている挿通孔(16c)に通じる装着孔(46g)に、連結部材(1c)の挿通孔(16c)を貫通して一対の拡張部材(2,2a)が挿通されており、
該各拡張部材(2,2a)の間には楔部材(3)が所定の深さに打ち込まれ、各拡張部材(2,2a)の間隔は所定の広さに拡がって前記装着孔(46g)内に固定されている、
木質部材の接合構造。
【請求項11】
接合される木質部材(4b,4c)として角材を使用し、各装着孔(46b,47b,46c,47c)が角材の対角線方向に設けられた、
請求項8ないし10のいずれかに記載の木質部材の接合構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2009−209561(P2009−209561A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52553(P2008−52553)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(395006605)
【Fターム(参考)】