説明

【課題】脚支柱をアルミ製品とした場合、背中合わせに配置するに際して後部脚同士が衝突して傷付くことを防止する。
【解決手段】天板を支持する脚2は、前後の脚支柱3とこれを繋ぐ上フレーム4とを有する門形の形態になっている。脚支柱3と上フレーム4とは水平部と垂直部とを有するL形のジョイント部材41で連結されており、ジョイント部材41は、脚支柱3と上フレーム4との接合面の間に介在したフランジ44を有する。後部脚支柱3を個性する後面板3aの上端部に上向き開口の切り開き部を形成し、これをジョイント部材41のフランジ44で上から塞ぐことで角形の係合穴72を形成し、この係合穴72に樹脂製の緩衝材73を嵌め込み装着している。緩衝材73の存在により、後部脚3同士が衝突することが防止されるため、傷付きを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、金属製の脚で天板を支持した構造の机に関するものである。
【背景技術】
【0002】
机は必須の要素として天板を備えており、天板を左右の脚で支持している。天板は平面視四角形であることが多い。脚の形態は様々であり、その例として特許文献1には、前後の脚支柱を上フレームで連結した門形のタイプが開示されている。この特許文献1では、脚の後面は天板の後面より後ろに位置しており、左右脚の後端間には左右横長のビームが連結されており、このビームを利用してパネル等のオプション品を取り付けできるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−291537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように左右脚の後端部を天板の後ろに露出させると、例えば机の背面を壁面に当てたり、机同士を背中合わせに配置したりしても、天板の後ろに配線用の空間を空けることがてきる利点や、左右脚の露出部の箇所にビームを配置してこれでバックパネルを支持できるといった利点がある。
【0005】
しかし、その反面、脚の背面に物が当たりやすくなるため、脚の背面が傷付きやすいという問題がある。特に、机を背中合わせに配置する場合、机と机の脚の背面を突き合わせるが、このときに、勢いが余って脚同士が強く衝突して傷付きやすい。外観向上や加工性アップ等を目的として脚をアルミの押し出し品やダイキャスト品とすることも多いが、アルミはスチールに比べて柔らかくて傷付きやすいため、この場合は傷の問題が顕著に顕れると言える。
【0006】
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
机を改良すべく本願発明者たちは各請求項の発明を創作した。このうち請求項1の発明は、平面視角形の天板の左右側部の下方に、前記天板を支持する金属製の脚を、その後端が前記天板の後面より後ろにはみ出るように配置している構成において、前記脚の後面に、当該後面から突出した緩衝材を設けている。
【0008】
請求項2の発明は請求項1を好適に具体化したもので、この発明では、前記脚は、中空の前後脚支柱とこれら前後脚支柱の上端間に配置された中空の上フレームとを有する側面視門形の形態であり、これら前後の脚支柱と上フレームとは、前記上フレームに嵌入する水平部と前記脚支柱に嵌入する垂直部とを有するジョイント部材で連結されている。
【0009】
かつ、前記ジョイント部材は、脚支柱の上端と上フレームの前後端との間に位置して外部に露出するフランジを有しており、後部脚支柱における後面板の上端とジョイント部材のフランジとが当接した部位に、それら後面板とフランジとのうちいずれか一方又は両方を切欠くことで後ろ向きに開口した係合穴を形成し、この係合穴に樹脂製の緩衝材を嵌め込んでいる。
【0010】
請求項3の発明は請求項1を好適に具体化したものであり、前記脚支柱と上フレームとはアルミの押し出し加工品である一方、前記ジョイント部材はアルミダイキャスト品である。
【発明の効果】
【0011】
本願発明では、緩衝材の存在により、例えば机を背中合わせに並べるに際して脚支柱の後面同士が当たっても、先に緩衝材が当たるため、脚支柱の後面同士が強く衝突して傷付くことを防止できる。従って、本願発明によると、脚の後端を天板の後ろにはみ出させて配線やバックパネル支持等の便宜が図られた机でありながら、脚の傷付きを防止又は著しく抑制できる。
【0012】
緩衝材は例えば接着によって取り付けることも可能であるが、この場合は、物が当たると外れやすいという問題がある。これに対して、請求項2のように緩衝材を係合穴に嵌め込む方式を採用すると、外れ落ちることを的確に防止できるため信頼性に優れている。そして、係合穴は脚支柱の一部又はジョイント部材の一部を切り開いた形成するものであるため、例えば角形の係合穴であっても容易に形成できる。また、脚支柱からジョイント部材を取り外したりずらしたりすると係合穴は切り開かれた状態に広がるため、緩衝材を簡単に交換できる利点もある。
【0013】
請求項3のように脚支柱としてアルミの押し出し加工品を採用すると、強度等の品質の安定性に優れていると共に見栄えもよい。しかも、素材を必要な長さに切断することで脚支柱に加工できるため、金型のコストも抑制できる。また、係合穴は脚支柱の端に位置しているため、切欠きの加工も簡単に行える。他方、ジョイント部材としてダイキャスト品を採用すると、係合穴として機能する部分を成形できるため、後加工の手間を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る机の外観を示す図で、(A)は正面方向からの斜視図、(B)は分離斜視図である。
【図2】(B)は後ろから見た斜視図、(B)は後ろからの分離斜視図である。
【図3】(A)は机を内部から見た斜視図、(B)は側面図、(C)はケーブル受けを下方から見た斜視図である。
【図4】(A)(B)は脚とリアビームとの構成部材の分解斜視図、(C)は(A)のC−C視断面図である。
【図5】(A)(B)とも脚の構成部材の分離斜視図である。
【図6】(A)(B)とも脚とリアビームとの部分的な分解斜視図である。
【図7】(A)(B)(C)ともリアビームの連結構造を示す図である。
【図8】机の後ろコーナー部の外観図で、(A)は内側から見た斜視図、(B)は後ろから見た斜視図、(C)は机を背中合わせに配置した状態での要部側面図である。
【図9】(A)は要部の分離斜視図、(B)は上フレームを上にずらした状態での要部分離斜視図、(C)は(A)のC−C視断面図である。
【図10】L形の脚を使用する場合の参考分離側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明で方向を特定するため「前後」「左右」の文言を使用するが、これは、机を普通の姿勢で使用する人の向きを基準にしている。従って、机の間口方向が左右方向であり、奥行き方向が前後方向である。前と後ろについては、使用者に近い側を前として、使用者から遠い背面の箇所を後ろとして使用している。
【0016】
(1).机の概略
まず、机の概略を主として図1〜3に基づいて説明する。図1〜3に示すように、机は平面視四角形(長方形)の天板1とこれを左右両側部において支持する左右の脚2とを有する。天板1は木質系であるが、スチール製のものを使用することも可能である。脚2は、棒状の前後脚支柱3,3′をその上端において水平状の上フレーム4で連結した門型になっており、上フレーム4に前後一対のスペーサ5をボルトで固定し、このスペーサ5に天板2をボルトで固定している。従って、天板2と上フレーム4との間にはケーブル類を挿通できる程度の間隔が空いている。
【0017】
スペーサ5の詳細は図3(C)で示している。スペーサ5は上フレーム4の上面と内側面とに重なるように正面視逆L形になっており、かつ、前後対称の形態になっている。そして、矢印5a,5bで示すように、上方と内側とから挿通したボルトで上フレーム4に固定されると共に、矢印5cで示すように、上フレーム4の内側に突出した部分に下方から挿通したボルトで天板1に固定されている。また、スペーサ5には、天板1に設けた穴に嵌まる上向き位置決め突起5dと、上フレーム4に設けた穴に嵌まる下向き位置決め突起5eとを設けている。このため、天板1と脚2とはスペーサ5を介して正確に位置決めされる。
【0018】
脚支柱3,3′及び上フレーム4は中空で概ね四角形になっており、両者に嵌入する側面視L形の連結ブラケットを介して一体に連結されている。また、左右脚2における後部脚支柱3の上部間にはリアビーム6が配置されており、リアビーム6と左右の後部脚支柱3とがボルトで固定されている。この場合、天板1の後端は脚2の後端(後部脚支柱3の後面)より若干手前に位置しており、かつ、リアビーム6は平面視で前後幅寸法の半分程度が天板1の後ろにはみ出ている。脚2及びリアビーム6の構造や両者の連結構造の詳細は後述する。
【0019】
天板1の後端部のうち左右中間部には、後ろ向きに開口した平面視四角形の切り開き部7を形成しており、この切り開き部7を配線通路と成している。そして、切り開き部7にはこれを塞ぐカバー8を装着している。カバー8は着脱自在である。天板2の後部は、 切り開き部7を形成したことで強度が弱くなるおそれがある。そこで、天板2のうち切り開き部7を挟んだ左右両側の部位は、リアビーム6に取り付けた天板支持ブラケット9で下方から支持されている。
【0020】
また、リアビーム6の下部には、ケーブル受け10とその上方に位置したコネクタサポート11とが取り付けられている。ケーブル受け10は、リアビーム6に左右スライド自在に取り付けられている。リアビーム6に複数のケーブル受け10を装着することも可能である。
【0021】
なお、カバー8は浅いトレー状に形成されており、切り開き部7の内周には固定されたカバー受け13で着脱自在及び前後位置変更自在に支持されている。図2ではカバー8はその底を上にした状態に配置しているが、上向き開口した状態に配置することも可能である。いずれにしても、カバー受け13の内底部とカバー8の前端との間にはケーブルを引出し可能な左右横長の空間が空いている。
【0022】
(2).脚及びリアビームの詳細
次に、図4以下の図面も参照して、リアビーム6及び脚2の構造や両者の連結構造を関係を説明する。
【0023】
リアビーム6は鋼板を素材とした板金加工品であり、例えば図7に示すように、基板20とその前面に固着した補強板21とを有している。基板20の上下折り返し部20a,20bは袋状(中空状)に形成されている。他方、補強板21は前向き突部21aを有しており、そこで、リアビーム6は、基板20と補強板21とで囲われた中空部を有すると共に、補強板21の前向き突部21aを挟んだ上下両側に、上係合溝22と下係合溝23とが形成されている。既述の天板支持ブラケット9とコンセントサポート11は上係合溝22に取り付けられており、ケーブル受け10は下係合溝23に取り付けられている。
【0024】
図4,5に示すように、脚2を構成する脚支柱3,3′と上フレーム4とは押し出し加工品であって概ね中空角形になっており、水平部41aと垂直部41bとを有するL形のジョイント部材41で互いに連結されている。脚支柱3,3′と上フレーム4との接合面42,43は側面視で斜めにカットされており、ジョイント部材41には、脚支柱3,3′と上フレーム4との接合面42,43の間に挟まるフランジ44を設けている。なお、ジョイント部材41はアルミダイキャスト品を使用しているが、樹脂の成形品や亜鉛ダイキャスト品を使用することも可能である。
【0025】
脚支柱3,3′の内部は、中間仕切り45で外空間46と内空間47とに区分されており、中間仕切り45には、平面視で円形に近いセンター溝条48が形成されている。センター溝条48は内空間47に開口している。また、内空間47のうち中間仕切り45と反対側の部位には左右2本のエンド溝条49が形成されている。エンド溝条49も円形に近い形態であり、内空間47に開口している。
【0026】
他方、ジョイント部材41の垂直部4bは、脚支柱3,3′の外空間46に嵌まる外足部50と、脚支柱3,3′の内空間47に嵌まる内足部51とで構成されており、内足部51には、平面視でエンド溝条49と連通するエンドビス穴52が上下に開口するように空いており、図9(B)及び図10(B)に矢印53で示すように、エンドビス穴52に上から挿通したビスをエンド溝条49にねじ込んでいる。
【0027】
また、ジョイント部材41のコーナー部のうち外足部50と内足部51との間の部位には、脚支柱3,3′のセンター溝条46と連通するセンタービス穴54を上部に開口するように設けて、矢印55で示すように、センタービス穴54に上から挿通したビスをセンター溝条49にねじ込んでいる。
【0028】
他方、図4(C)に示すように、上フレーム4は内部に仕切りがない略角形になっており、従って、ジョイント部材41の水平部41aも単純な角柱状の形態である。そして、図5に矢印56で示すように、前後両端寄り部に設けた連結用ねじ穴57に、上フレーム4に下方から挿通したビスがねじ込まれている。また、ジョイント部材41の水平部41aには、スペーサ5を取り付けるビスがねじ込まれるスペーサ用ねじ穴58,59を設けている。従って、スペーサ5と上フレーム4とジョイント部材41とはビスで一体に共締めされている。このため強度に優れている。
【0029】
なお、スペーサ用ねじ穴58,59のうちビスが上からねじ込まれる上下貫通のねじ穴58は左右に一対ずつ形成されており、実際の締結に際しては左右いずれかの対のみが使用される。これは、スペーサ5の上部が内側に寄っていることを考慮して、1種類のジョイント部材41を左右いずれの脚支柱3,3′にも使用できるようにするためである。また、前後のジョイント部材41は同一のものが使用されており、更に、前後の脚支柱3,3′も同一形状に製造されている。すなわち、本実施形態では、前後左右の脚支柱3,3′とジョイント部材41とはそれぞれ同一形状になっていると共に、スペーサ5も同一形状であり、このように部材を共通化することにより、部材管理の手間抑制やコスト低減を図っている。
【0030】
図6に示すように、後部脚支柱3の内側面のうちその上端部でかつ後部には、ビーム6を連結するための連結ブロック61を上下複数本(2本)のボルト62で固定している。ボルト62は後部脚支柱3の内側板を貫通しており、ジョイント部材41の垂直部41bを構成する外足部50には、ボルト62がねじ込まれるねじ穴63を左右に開口した状態に形成している。このように、連結ブロック61と後部脚支柱3とジョイント部材41とがボルト62で共締めされているため、脚2は堅牢な構造になっている。リアビーム6の後面は後部脚支柱3の後面よりも僅かながら手前に位置している。従って、机を背中合わせに配置しても、リアビーム6同士が当たることはない。
【0031】
また、連結ブロック61には、後部脚支柱3に向いて突出した上下複数本(2本)の位置決めピン64を設けている一方、後部脚支柱3の内側板と連結ブロック61とには、位置決めピン64が嵌まる位置決め穴65を設けており、このため、連結ブロック61と後部脚支柱3とジョイント部材41とは正確に位置決めされる。(延いては、後部脚支柱3とリアビーム6とも正確に位置決めされる。)。
【0032】
連結ブロック61は、リアビーム6における基板20と補強板21との間の中空部に嵌まるように、側面視で上下長手の直方体状に形成されている。そして、連結ブロック61の外端面を、平面視で後部脚支柱3から離れるに従って後ろに行く傾斜端面61aに形成している一方、リアビーム6を構成する基板20の端部前面には、連結ブロック61の前面と傾斜端面61aとに重なる平面視クランク状のジョイント板66を溶接で固着し、ジョイント板66をボルト67で連結ブロック61に締結している。
【0033】
正確に述べると、ジョイント板66は、連結ブロック61の前面に重なる前板部66aと、連結ブロック61の傾斜端面61aに重なる傾斜部66bと、リアビーム6の基板20に溶接される後ろ板とを有していて平面視クランク状の形態であり、傾斜部66bが連結ブロック61に上下2本のボルト67で締結されている。従って、傾斜部66bを締結するボルト67は、平面視でリアビーム6の長手方向に対して傾斜している(傾斜角度は45°程度に設定している。)。
【0034】
ジョイント板66は、リアビーム6における基板20の前面の上下全体に広がる幅寸法に設定されており、しかも、ジョイント板66は補強板21における前向き突部21aの端部にも溶接されている。従って、ジョイント板66は基板20と補強板21とで挟まれた状態になっている。このため、リアビーム6の端部がジョイント板66で補強されており、その結果、高い剛性を発揮する。
【0035】
図6(A)に示すように、ジョイント板66がリアビーム6の内部に入り込むことを許容するため、補強板21の端部と基板20の折り返し部20a,20bとは部分的に切欠かれている(この切欠きを符号68で示している。)。
【0036】
なお、机を背中合わせに配置する場合は、図2に示すバックパネルPは前後の天板1の間に位置する。すなわち、1つのバックパネルPを前後の机で共用される。また、バックパネルPは、図6(A)に示す板金製のパネル支柱70を介してリアビーム6に取り付けられている。パネル支柱70は、リアビーム6の端部に手前から重なる下取り付け部70aと、バックパネルPの前後略中間部に下方から嵌入する上取り付け部70bと、両者を繋ぐ中継部70cとで側面視クランク状の形態を成しており、下取り付け部70aがボルト69で連結ブロック61に締結されている。従って、連結ブロック61には前後に開口したねじ穴69aが形成されている。
【0037】
(3).緩衝材
図8(B)(C)に示すように、脚2の後面のうちその上端部には左右横長の係合穴72が形成されており、この係合穴72に趣旨製で左右横長の緩衝材73を装着している。図9(B)に示すように、係合穴72は、後部脚支柱3を構成する後面板3aの上端に上向き開口の切り開き部を形成してこれをジョイント部材41のフランジ44で上から塞ぐことにより、連続した内周を有する穴になっている。ジョイント部材41のフランジ44は上水平部44aと傾斜部44bとを有しており、フランジ44の上水平部44aで係合穴72の上内面が構成されている。
【0038】
緩衝材73は、後部脚支柱3における前面板3aの後面から若干の寸法だけ後ろ向きに突出している。また、緩衝材73の左右両端部には、平面視で左右外向き鉤形の係合爪74を後ろ向きに突設しており、係合爪74の鉤部が後部脚支柱3の前面板3aに後ろから引っ掛かっている。緩衝材73の取り付けは、係合爪74を係合穴72に押し込むワンタッチ作業で行える。ジョイント部材41を上向きにずらすと、緩衝材73を簡単に取り外すことできる。なお、緩衝材73を交換する場合は、元々装着していた緩衝材73は使用しないので、装着されていた緩衝材73はペンチ等を使用して変形・破壊してから強引に取り外し、新品を嵌め込んだらよい。
【0039】
係合爪74の嵌め込みを許容するため、ジョイント部材41のうちフランジ部44の真下には、左右一対の凹部75を形成している。また、緩衝材73は後ろ向きに突出する左右複数本(2本)の足片76を有しており、足片76をジョイント部材41の後面に当接させている。緩衝材73のううち係合爪74の箇所を除いた部分を単なる厚板状に形成して、その全体をジョイント部材41の後面に当接させてもよいが、本実施形態のように足片76を設けると、クッション性を向上できる利点がある。
【0040】
机を背中合わせに配置する場合、1つの机を位置決めしてから、他の机を左右からずらして背面同士を密着させているが、本願発明では、脚2の後面に緩衝材73を突設しているため、机を背中合わせに配置する作業において後部脚支柱3同士が強く衝突することはなく、このため、後部脚支柱3が傷付くことを防止できる。
【0041】
緩衝材73を実施形態のように左右横長の長方形に形成すると、見た目がスッキリしていると共に、面積を大きくすることなく高い緩衝機能を保持できる利点がある。すなわち、机を背中合わせに並設するにおいて、移動させる机の背面と静止した机の背面とが平面視で平行でない場合があり、このため、左右後部脚支柱3のうち片方同士が先に当たることがあるが、本実施形態のように緩衝材73を左右横長に設定しておくと、片方の後部脚支柱3同士が先に当たることがあっても、緩衝材73同士を当てることができて、高い緩衝機能を確保できる。
【0042】
さて、脚支柱3,3′は押し出し加工で形成されているため、横長等の長方形を係合穴を後加工で形成するのは非常に面倒である。この点、本実施形態では、係合穴72は脚支柱3,3′の切り開き部をジョイント部材41のフランジ44で上から塞ぐことで構成しているため、加工が簡単である。すなわち、脚支柱3,3′の切り開き部は長方形であっても例えばフライス加工で簡単に形成できる一方、ジョイント部材41のフランジ44は当初から存在しているため、左右横長の係合穴72を簡単に設けることができるのである。また、係合爪74を嵌め入れるための凹部75は、ジョイント部材41の一部として成形されているため、これについても加工上の困難性は存在しない。
【0043】
既述のように本実施形態では前後の脚支柱3,3′は同一形状のものを共用しており、このため、前部脚支柱3′にも緩衝材73を取り付けている。しかし、緩衝材73は細くてさほど目立たないので、美観を損なうようなことはない。
【0044】
(4).L形脚に簡易する補足
図10に示すように、机は側面視L形の脚2′を使用する場合もある。この場合は、脚2′の後部には既述のジョイント部材41を配置しており、L形の脚2′についてもリアビーム6の連結を簡単に行えるように配慮している。つまり、門形の脚2とL形の脚2′とにジョイント部材41を兼用している。L形の脚2′を使用する場合は、スペーサ5は使用せずに、天板1は脚2′の上面に重なっており、図示しない連結金具で離脱不能に保持されている。脚2′の後部には、配線のため段部78を形成している。
【0045】
従来は、門形の脚2とL形の脚2′とは関係なく設計されており、独自の構造を有しているが、これでは、リアビーム6で連結するに当たっては、リアビーム6も独自の設計にせねばならず、このため机群の全体として製造コストが嵩むという問題がある。本実施形態はこの問題の解消にも配慮したものであり、L形の脚2′に内蔵されたフレーム材にジョイント部材41を固定し、このフレーム材に鋼板製の外面板をスポット溶接で固着している。L形の脚2′についても緩衝材73を設けることは可能であるが、外面が鋼板で構成されている場合は衝突による傷の問題はあまり顕れないので、本実施形態では、L形の脚2′に緩衝材73は設けていない。
【0046】
(5).その他
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば脚は様々の形態を採用できる。天板が角形であるというのは、平面視で直線状の後面とこれに交差した2つの側面を有していてコーナー部を有するという意味であり、従って、平面視L形の天板なども含まれる。
【0047】
緩衝材の形状や配置位置は任意に設定できる。例えば円板状に形成して、これを上下複数箇所(例えば脚の背面の上端部と下端部)とに配置することも可能である。緩衝材の素材も必要に応じて種々選択できる。エラストマー等のゴム質とすることも可能である。脚支柱をアルミのダイキャスト品とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本願発明は実際に机に具体化できる。従って、産業上、利用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 天板
2 脚
3 後部脚支柱
3′前部脚支柱
6 リアビーム
41 連結部材
44 連結部材のフランジ
61 連結ブロック
72 係合穴
73 緩衝材
74 係合爪
75 凹部
76 足片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視角形の天板の左右側部の下方に、前記天板を支持する金属製の脚を、その後端が前記天板の後面より後ろにはみ出るように配置している構成であって、
前記脚の後面に、当該後面から突出した緩衝材を設けている、
机。
【請求項2】
前記脚は、中空の前後脚支柱とこれら前後脚支柱の上端間に配置された中空の上フレームとを有する側面視門形の形態であり、これら前後の脚支柱と上フレームとは、前記上フレームに嵌入する水平部と前記脚支柱に嵌入する垂直部とを有するジョイント部材で連結されており、かつ、前記ジョイント部材は、脚支柱の上端と上フレームの前後端との間に位置して外部に露出するフランジを有しており、後部脚支柱における後面板の上端とジョイント部材のフランジとが当接した部位に、それら後面板とフランジとのうちいずれか一方又は両方を切欠くことで後ろ向きに開口した係合穴を形成し、この係合穴に樹脂製の緩衝材を嵌め込んでいる、
請求項1に記載した机。
【請求項3】
前記脚支柱と上フレームとはアルミの押し出し加工品である一方、前記ジョイント部材はアルミダイキャスト品である、
請求項2に記載した机。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−94267(P2013−94267A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237602(P2011−237602)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】