説明

板状部材の加工用シート、および、その製造方法

【課題】コストダウンと廃棄が容易なウェハの加工用シート、および、その製造方法を提供すること。
【解決手段】ウェハWとリングフレームRFとに貼付されることで、リングフレームRFでウェハWを保持させる接着シートS1は、基材シートBSと、基材シートBSの一方の面に積層されて所定情報を記録可能な磁気記録層MLと、基材シートBS上に磁気記録層MLを覆うように積層された接着剤層ADとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状部材の加工用シート、および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状部材としての半導体ウェハ(以下、単にウェハという場合がある)をリングフレームで支持させる際に用いる接着シートに、データキャリアを設けた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の構成では、ICチップと、このICチップに接続された送受信用の導電性コイルとから構成される、いわゆるRFメモリをデータキャリアとして用い、当該データキャリアを接着シートの接着剤層の上に貼付している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−293508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、RFメモリのようなデータキャリアは、高価なため、コストダウンを容易に図ることができない。また、データキャリアは、接着シートとは別に廃棄する必要があり、分別作業が煩わしい。
【0005】
本発明の目的は、コストダウンと廃棄が容易な板状部材の加工用シート、および、その製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の板状部材の加工用シートは、所定の加工が施される板状部材に貼付される板状部材の加工用シートであって、基材シートと、所定情報を記録可能な磁気記録層と、接着剤層とを備える、という構成を採用している。
【0007】
この際、本発明の板状部材の加工用シートでは、前記磁気記録層は、前記基材シートと前記接着剤層との間に積層されている、ことが好ましい。
さらに、本発明の板状部材の加工用シートでは、前記磁気記録層は、複数設けられ、当該複数の磁気記録層は、前記基材シートの平面視で互いに異なる方向に延びる直線状に設けられている、ことが好ましい。
【0008】
また、本発明の板状部材の加工用シートは、所定の加工が施される板状部材に貼付される板状部材の加工用シートであって、基材シートと、前記基材シートの一方の面に積層されて所定情報を記録可能な磁気接着剤層とを備える、という構成を採用している。
【0009】
一方、本発明の板状部材の加工用シートの製造方法は、所定の加工が施される板状部材に貼付される板状部材の加工用シートの製造方法であって、基材シートの一方の面に所定情報を記録可能な磁気記録層を積層する工程と、前記基材シートの一方の面側であって、前記磁気記録層を覆うように接着剤層を積層する工程とを有する、という構成を採用している。
また、本発明の板状部材の加工用シートの製造方法は、所定の加工が施される板状部材に貼付される板状部材の加工用シートの製造方法であって、基材シートの一方の面に接着剤層を積層する工程と、前記接着剤層に所定情報を記録可能な磁気記録層を積層する工程とを有する、という構成を採用している。
さらに、本発明の板状部材の加工用シートの製造方法は、所定の加工が施される板状部材に貼付される板状部材の加工用シートの製造方法であって、基材シートの一方の面に所定情報を記録可能な磁気接着剤層を積層する工程を有する、という構成を採用している。
【発明の効果】
【0010】
以上のような本発明によれば、加工用シートに所定情報の記録機能を設けるための構成として、磁気記録層、あるいは、磁気接着剤層を採用しているため、RFメモリのようなデータキャリアを採用する構成と比べて、コストダウンを容易に図ることができる。また、基材シートと、磁気記録層あるいは磁気接着剤層との分別が不要となり、加工用シートを容易に廃棄できる。
【0011】
この際、磁気記録層を基材シートと接着剤層との間に設ければ、加工用シートが異物と接触しても、磁気記録層が傷つくことを抑制でき、磁気記録層に記録された所定情報を読み込むことができなかったり、磁気記録層に所定情報を記録できなかったりするといった不具合を抑制できる。特に、磁気記録層を基材シートと板状部材とに間に位置させて貼付した場合、磁気記録層の損傷をより効果的に抑制することができる。
また、複数の磁気記録層を基材シートの平面視で互いに異なる方向に延びる直線状に設ければ、例えば、加工用シートの搬送方向が異なることで、板状部材に貼付された加工用シートの磁気記録層に所定情報を記録したり、所定情報を読み込んだりすることができなくなることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)は、本発明の第1実施形態に係る接着シートの使用例を示す斜視図、(B)は、(A)の断面図。
【図2】前記第1実施形態のシート製造装置の側面図。
【図3】(A)は、本発明の第2実施形態に係る接着シートの使用例を示す断面図、(B)は、そのシート製造装置の側面図。
【図4】(A)は、本発明の第3実施形態に係る接着シートの使用例を示す断面図、(B)は、そのシート製造装置の側面図。
【図5】(A)は、本発明の第4実施形態に係る接着シートの使用例を示す断面図、(B)は、そのシート製造装置の側面図。
【図6】(A),(B)は本発明の変形例に係る接着シートの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2〜第4実施形態において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。また、各図においては、本発明の内容を理解しやすくするために各構成の形状や配置状態を誇張して示している。
【0014】
[第1実施形態]
【0015】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、加工用シートとしての接着シートS1について説明する。図1(A),(B)において、接着シートS1は、板状部材としてのウェハWとリングフレームRFとに貼付されることで、リングフレームRFでウェハWを保持させるものであり、円形の基材シートBSと、基材シートBSの一方の面に積層された磁気記録層MLと、基材シートBS上に磁気記録層MLを覆うように積層された接着剤層ADとを備えている。磁気記録層MLは、基材シートBSの中央にウェハWが貼付された際に、ウェハWよりも外側において、基材シートBSの径方向と平行に延び、かつ、基材シートBSの外縁上の所定の2点を結ぶ直線状に設けられている。
【0016】
この磁気記録層MLには、磁気ライタにより所定情報を記録することが可能であり、磁気記録層MLに記録された所定情報は、磁気リーダにより読み取ることができる。この磁気記録層MLに記録される所定情報としては、例えば、接着シートS1の種類、材質、品名、コード、厚さ、長さ、幅、直径などの規格寸法、さらには、接着シートS1および剥離シートRLで構成される第2原反R2のロットナンバー、接着シートS1の品質保証期限、接着シートS1を最適に繰り出すことのできる推奨繰出速度、接着シートS1を最適に貼付することができる推奨貼付張力や推奨押圧力などの接着シートS1の貼付条件、接着シートS1や第2原反R2についての相談窓口の連絡先などが例示できる。
【0017】
ここで、磁気記録層MLは、例えば、バインダー中に磁性粉を均一分散して成層されたものであり、バインダーとしては、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの樹脂は、単独または2種以上を混合して用いることもできる。
一方、磁性粉としては、例えば、γ−Fe23、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の強磁性体が挙げられるが、記録された情報が通常の永久磁石により消去または減衰することを防止するためには、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライトのような保磁力が1500エルステッド〜5000エルステッドの高保磁力材料を使用することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0018】
また、磁気記録層MLを形成するための塗料またはインク(以下、磁気記録剤という場合がある)は、例えば、上述のバインダー、磁性粉、および必要に応じて分散剤、硬化剤、顔料などを加え、適当な溶剤中に分散して得られるが、これに限定されるものではない。得られた塗料またはインクは、ロータリースクリーン印刷、ソルベントコーティング法、グラビア印刷、スクリーン印刷、さらには、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、孔版印刷等のあらゆる印刷法により塗布することができ、塗料やインクを基材シートBSに積層(塗布)できる限りにおいて何ら限定されるものではない。
【0019】
次に、接着シートS1のシート製造装置1について説明する。
シート製造装置1は、図2に示すように、基材シートBSを繰り出す基材シート繰出手段10と、基材シートBSに磁気記録層MLを積層する磁気記録層積層手段20と、磁気記録層MLを硬化させる硬化手段30と、磁気記録層MLが積層された基材シートBSに接着剤層ADを積層することで原接着シートS0を形成する接着剤層形成手段40と、剥離シートRLを繰り出す剥離シート繰出手段50と、剥離シートRLを原接着シートS0に仮着する仮着手段60と、原接着シートS0を所定形状に切断して接着シートS1を形成する切断手段70と、接着シートS1の周囲に形成される不要シートS2を巻き取る巻取手段80と、剥離シートRLに複数の接着シートS1が仮着された第2原反R2を回収する回収手段90とを備えている。
【0020】
基材シート繰出手段10は、基材シートBSをロール状に巻回して支持するとともに駆動機器としての回動モータ14により駆動される支持ローラ11と、支持ローラ11から引き出された基材シートBSを案内するとともに、駆動機器としての回動モータ15により駆動する駆動ローラ12と、この駆動ローラ12との間に基材シートBSを挟み込むピンチローラ13とを備えている。
【0021】
磁気記録層積層手段20は、ロータリースクリーン印刷機であり、図2中左右方向に搬送される基材シートBSの下方に設けられ、駆動機器としての回動モータ23により回転可能に設けられた円筒状のロータリースクリーン21と、このロータリースクリーン21の内部に設けられた図示しないスキージと、基材シートBSを挟んでロータリースクリーン21と対向配置され、駆動機器としての回動モータ24により回転可能に設けられた圧胴22とを備えている。この磁気記録層積層手段20は、ロータリースクリーン21と圧胴22とを回転させ、ロータリースクリーン21の内部に貯留された磁気記録剤を、当該ロータリースクリーン21の表面に形成された図示しない孔を通じてスキージにより押し出すように構成されている。
硬化手段30は、ロータリースクリーン21における基材シートBSの搬送方向下流側に設けられ、磁気記録層MLの硬化特性に応じて、熱風、紫外線、赤外線、マイクロ波、冷風等を吹き付けて磁気記録層MLを硬化させたり乾燥させたりするものである。
【0022】
接着剤層形成手段40は、磁気記録層積層手段20と同様のロータリースクリーン印刷機であり、図2中左右方向に搬送される基材シートBSの下方に設けられ、駆動機器としての回動モータ43により回転可能に設けられたロータリースクリーン41と、図示しないスキージと、基材シートBSを挟んでロータリースクリーン41と対向配置され、駆動機器としての回動モータ44により回転可能に設けられた圧胴42とを備えている。この接着剤層形成手段40は、ロータリースクリーン41の内部に貯留された接着剤をスキージにより押し出すように構成されている。
剥離シート繰出手段50は、剥離シートRLをロール状に巻回して支持するとともに駆動機器としての回動モータ52により回転可能に設けられた支持ローラ51を備えている。
仮着手段60は、駆動機器としての回動モータ63により回転可能に設けられ、剥離シート繰出手段50から繰り出される剥離シートRLを左方向に誘導する誘導ローラ61と、誘導ローラ61に対向して設けられたピンチローラ62とを備えている。
【0023】
切断手段70は、原接着シートS0に円形の切り込みCUを形成する切込刃71を備えたダイカットローラ72と、原接着シートS0および剥離シートRLを挟んでダイカットローラ72と対向配置されたプラテンローラ73とを備えている。切込刃71は、基材シートBS側から剥離シートRLを貫通しない深さの切り込みCUを形成し、当該切込CUの内側に円形の接着シートS1を形成する。なお、ダイカットローラ72およびプラテンローラ73は、駆動機器としての回動モータ74,75により同期して回転可能に設けられている。また、切込刃71には、原接着シートS0の接着剤が付着しないように、フッ素樹脂コート等の不接着処理を施しておくことが好ましい。
【0024】
巻取手段80は、切断手段70によって切り込みCUの外側に形成された帯状の不要シートS2を剥離シートRLから剥離する剥離ローラ81と、駆動機器としての回動モータ83により回転可能に設けられ、不要シートS2を巻き取る巻取ローラ82とを備えている。
回収手段90は、駆動機器としての回動モータ93により回転可能に設けられた駆動ローラ91と、駆動機器としての回動モータ94により回転可能に設けられ、第2原反R2を回収する回収ローラ92とを備えている。なお、回動モータ15,63,93によって原接着シートS0に張力を付与する張力付与手段が構成される。
【0025】
以上のシート製造装置1において、第2原反R2を製造する手順としては、まず、図2に示すように、巻回された基材シートBSを支持ローラ11にセットするとともに、巻回された剥離シートRLを支持ローラ51にセットする。
この状態で、回動モータ14,15を駆動して支持ローラ11、駆動ローラ12を回転させて基材シートBSを繰り出し、回動モータ14,15に同期して回動モータ23,24,43,44,52,63、74,75,83,93,94を駆動して、ロータリースクリーン21、圧胴22、ロータリースクリーン41、圧胴42、支持ローラ51、誘導ローラ61、ダイカットローラ72、プラテンローラ73、巻取ローラ82、駆動ローラ91、回収ローラ92を回転させる。
【0026】
各ローラが回転すると、支持ローラ11から繰り出された基材シートBSは、駆動ローラ12、ピンチローラ13間を経て、磁気記録層積層手段20によりロータリースクリーン21と圧胴22とで挟み込まれ、その一部領域であって当該基材シートBSの搬送方向に沿って延びる磁気記録層MLが塗布されて積層される(図1参照)。このように、印刷法を用いることで、磁気記録層MLを容易に積層することができる。
次いで、磁気記録層MLが積層された基材シートBSは、硬化手段30に搬送され、磁気記録層MLが硬化される。なお、硬化手段30における基材シートBSの搬送方向上流側または下流側で、磁気記録層MLに所定情報を記録させてもよいし、させなくてもよい。
その後、磁気記録層MLが積層された基材シートBSは、接着剤層形成手段40によりロータリースクリーン41と圧胴42とで挟み込まれ、その略全領域であって当該基材シートBSに塗布された磁気記録層ML覆うように、接着剤層ADが塗布されて積層される。これにより、基材シートBSと磁気記録層MLと接着剤層ADとを有する原接着シートS0が形成される。
このように、基材シートBSと接着剤層ADとの間に磁気記録層MLを挟み込むことにより、接着シートS1が異物と接触したとしても、磁気記録層MLが傷つくことを抑制でき、磁気記録層MLに記録された所定情報を読み込むことができなかったり、磁気記録層MLに所定情報を記録できなかったりするいといった不具合を抑制できる。
【0027】
この形成された原接着シートS0は、仮着手段60により誘導ローラ61とピンチローラ62とで挟み込まれ、剥離シート繰出手段50から繰り出された剥離シートRLに仮着される。この後、剥離シートRLに仮着された原接着シートS0は、切断手段70により切り込みCUが形成され、円形の接着シートS1と不要シートS2とが形成される。そして、切断手段70で切断された原接着シートS0の不要シートR2が巻取手段80で巻き取られ、剥離シートRL上に複数の接着シートS1が仮着された第2原反R2は、回収手段90に回収される。なお、接着剤層形成手段40による接着剤層ADの塗布は、剥離シートRLにおける原接着シートS0に仮着される面側(図2中左右方向に搬送される剥離シートRLの上面側)に行うように構成してもよい。また、磁気記録層積層手段20による磁気記録層MLの塗布は、剥離シートRL上に塗布された接着剤層AD上に行うように構成してもよい。さらに、基材シートBSと接着剤層ADとの間に積層された磁気記録層MLを当該基材シートBSとで挟み込むように、接着剤層AD側から磁気記録層MLの幅よりも幅の広い他の接着シートまたはシート材を貼付して、磁気記録層MLを保護するように構成してもよい。
【0028】
以上のような第1実施形態によれば、接着シートS1に所定情報の記録機能を設けるための構成として、磁気記録層MLを採用しているため、コストダウンを容易に図ることができる上、基材シートBSと、磁気記録層MLとの分別が不要となり、接着シートS1を容易に廃棄できる。
【0029】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
第2実施形態の加工用シートとしての接着シートS11は、図3(A)に示すように、円形の基材シートBSと、基材シートBSの一方の面の全領域に積層された接着剤層ADと、この接着剤層AD上に積層された磁気記録層MLとを備え、平面視における基材シートBSに対する磁気記録層MLの位置は、第1実施形態の接着シートS1の磁気記録層MLと同様の位置となっている。
【0030】
次に、接着シートS11のシート製造装置1Aについて説明する。
シート製造装置1Aは、図3(B)に示すように、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層ADを有する帯状接着シートS4が当該接着剤層ADを介して帯状の剥離シートRLの一方の面に仮着された第1原反R11を繰り出す繰出手段10Aと、帯状接着シートS4から剥離シートRLを剥離する剥離ローラ100Aと、帯状接着シートS4から剥離された剥離シートRLを迂回させる一対の迂回ローラ111Aを備えた迂回手段110Aと、帯状接着シートS4の接着剤層AD上に磁気記録層MLを積層して原接着シートS10を形成する磁気記録層積層手段20と、硬化手段30と、駆動機器としての回動モータ123Aにより回転可能に設けられた誘導ローラ121Aとピンチローラ122Aとで迂回させた剥離シートRLに原接着シートS10を仮着する再仮着手段120Aと、切断手段70と、巻取手段80と、回収手段90とを備えている。
そして、第1原反R11を図3(B)に示すようにセットする。この状態で、各ローラを回転させて第1原反R11を繰り出すと、剥離ローラ100Aによって帯状接着シートS4が剥離シートRLから剥離される。次いで、当該帯状接着シートS4の接着剤層ADには磁気記録層積層手段20により磁気記録層MLが塗布されて積層される。この後、この磁気記録層MLが硬化手段30により硬化させられることで、原接着シートS10が形成される。そして、原接着シートS10は、迂回してきた剥離シートRLに再仮着手段120Aにより再仮着される。
剥離シートRLに仮着された原接着シートS10は、切断手段70により切り込みCUが形成され、円形の接着シートS11と不要シートS12とが形成され、巻取手段80で不要シートS12が巻き取られ、剥離シートRL上に複数の接着シートS11が仮着された第2原反R12は、回収手段90に回収される。なお、磁気記録層積層手段20による磁気記録層MLの塗布は、帯状接着シートS4から剥離された剥離シートRLにおける帯状接着シートS4の剥離面側(図3中左右方向に搬送される剥離シートRLの上面側)に行うように構成してもよい。また、接着剤層AD上に積層された磁気記録層MLを当該接着剤層ADとで挟み込むように、磁気記録層MLの幅よりも幅の広い他の接着シートまたはシート材を貼付して、磁気記録層MLを保護するように構成してもよい。
【0031】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
第3実施形態の加工用シートとしての接着シートS21は、図4(A)に示すように、円形の基材シートBSと、基材シートBSの一方の面の全領域に積層された接着剤層ADと、基材シートBSの他方の面上に積層された磁気記録層MLとを備え、平面視における基材シートBSに対する磁気記録層MLの位置は、第1実施形態の接着シートS1の磁気記録層MLと同様の位置となっている。
【0032】
次に、接着シートS21のシート製造装置1Bについて説明する。
シート製造装置1Bは、図4(B)に示すように、繰出手段10Aと、第1原反R11の基材シートBS側にロータリースクリーン21が設けられた磁気記録層積層手段20Bと、ロータリースクリーン21における基材シートBSの搬送方向下流側であって、基材シートBS側に設けられた硬化手段30Bと、切断手段70と、巻取手段80と、回収手段90とを備えている。
そして、第1原反R11を図4(B)に示すようにセットする。この状態で、各ローラを回転させて第1原反R11を繰り出すと、帯状接着シートS4の基材シートBS上に磁気記録層積層手段20Bにより磁気記録層MLが積層される。次いで、この磁気記録層MLが硬化手段30Bにより硬化させられることで、帯状接着シートS4の基材シートBS上に磁気記録層MLが積層された原接着シートS20が形成される。その後、この原接着シートS20は、切断手段70により切り込みCUが形成され、円形の接着シートS21と不要シートS22とが形成され、巻取手段80で不要シートS22が巻き取られ、剥離シートRL上に複数の接着シートS21が仮着された第2原反R22は、回収手段90に回収される。なお、基材シートBS上に積層された磁気記録層MLを当該基材シートBSとで挟み込むように、磁気記録層MLの幅よりも幅の広い他の接着シートを貼付して、磁気記録層MLを保護するように構成してもよい。
【0033】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。
第4実施形態の加工用シートとしての接着シートS31は、図5(A)に示すように、円形の基材シートBSと、基材シートBSの一方の面の全領域に積層された磁気接着剤層AMLとを備えている。
磁気接着剤層AMLは、基材シートBSとリングフレームRFとを接着する機能と、磁気ライタにより所定情報を記録する機能とを有し、磁気接着剤層AMLに記録された所定情報は、磁気リーダにより読み取ることができるようになっている。なお、磁気接着剤層AMLに記録される所定情報としては、上述の磁気記録層MLに記録されるものと同様のものが例示できる。
【0034】
ここで、磁気接着剤層AMLを形成するための磁気接着剤としては、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Zn(亜鉛)の硝酸金属塩とアミノ酸との錯体を含有する溶媒を加熱して得られるスピネル型Mn−Znフェライト粉末を体積分率で25質量%〜70質量%の比率で熱硬化型シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、湿気硬化型樹脂、アクリル樹脂、紫外線硬化型樹脂の少なくとも一種と混合したものが例示できる。前記の混合の際に、磁性粉末の粒径を平均粒径で15μm以下、好ましくは10μm以下とすることによって、なめらかな流動性及び塗布性を有し、磁性体の漏洩磁束が低減される優れた磁性接着剤が得られる。
【0035】
次に、接着シートS31のシート製造装置1Cについて説明する。
シート製造装置1Cは、図5(B)に示すように、基材シート繰出手段10と、この基材シート繰出手段10から繰り出される基材シートBSの一方の面に磁気接着剤層AMLを積層する磁気接着剤層積層手段130Cと、磁気接着剤層AMLを硬化させる硬化手段30Cと、剥離シート繰出手段50と、仮着手段60と、切断手段70と、巻取手段80と、回収手段90とを備えている。
磁気接着剤層積層手段130Cは、接着剤層形成手段40と同等の構成であり、基材シートBSに塗布する材料が接着剤と磁気接着剤とで異なるだけである。
硬化手段30Cも硬化手段30と同等の構成であり、硬化対象が磁気記録層MLと磁気接着剤層AMLとで異なるだけである。
そして、基材シートBSと剥離シートRLとを図5(B)に示すようにセットする。この状態で、各ローラを回転させて基材シートBSを繰り出すと、基材シートBS上に磁気接着剤層積層手段130Cにより磁気接着剤層AMLが積層される。次いで、この磁気接着剤層AMLが硬化手段30Cにより硬化させられることで、基材シートBS上に磁気接着剤層AMLが積層された原接着シートS30が形成される。その後、原接着シートS30は、仮着手段60により剥離シートRLが仮着され、切断手段70により、切り込みCUが形成され、円形の接着シートS31と不要シートS32とが形成され、巻取手段80で不要シートS32が巻き取られ、剥離シートRL上に複数の接着シートS31が仮着された第2原反R32は、回収手段90に回収される。なお、磁気接着剤層積層手段130Cによる磁気接着剤層AMLの塗布は、剥離シートRLにおける原接着シートS0に仮着される面側(図5中左右方向に搬送される剥離シートRLの上面側)に行うように構成してもよい。また、ウェハWやリングフレームRF等の被着体が貼付される予定のない全領域または一部領域における磁気接着剤層AMLを基材シートBSとで挟み込むように、接着シートまたはシート材を貼付して、磁気接着剤層AMLを保護するように構成してもよい。
【0036】
以上のような第4実施形態によれば、接着シートS31に情報記録機能と接着機能とを設ける構成として、磁気接着剤層AMLを採用しているため、コストダウンを容易に図ることができる上、基材シートBSと、磁気接着剤層AMLとの分別が不要となり、接着シートS31を容易に廃棄できる。
【0037】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定
の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0038】
例えば、第1ないし第3実施形態の磁気記録層MLの配置位置としては、図6(A)に示すように、接着シートS1の面内で直線状に延びるように1箇所だけとしてもよいし、図6(B)に示すように、ウェハWの接線方向に延び、かつ、ウェハWを囲むように4箇所としてもよい。特に、図6(B)に示すように、複数の磁気記録層MLを接着シートS1の平面視で互いに異なる方向に延びる直線状に設けることで、接着シートS1の搬送方向が異なることで、接着シートS1の磁気記録層MLに所定情報を記録したり、所定情報を読み込んだりすることができなくなることを防止することができる。
さらに、平行に複数の磁気記録層MLを形成してもよい。
また、磁気記録層MLの形状は、直線形状に限らず、円形、楕円径、多角形、それらの形状を組み合せた形状等、何ら限定されるものではない。つまり、磁気記録層MLは、印刷法によって形成されるので、より複雑で細やかな形状とすることができる。
さらに、シート製造装置1,1A,1B,1Cに切断手段70を設けたが、切断手段70を設けなくてもよい。
また、接着剤層ADや磁気接着剤層AMLを紫外線やマイクロ波等のエネルギー線で硬化するエネルギー線硬化型の材料で構成してもよい。
さらに、磁気記録層MLは、ウェハWに重なる位置に設けてもよい。
また、磁気記録層積層手段20,20B、接着剤層形成手段40、磁気接着剤層積層手段130Cは、ロータリースクリーン印刷以外の塗布方法を採用することができ、例えば、ソルベントコーティング法、グラビア印刷、スクリーン印刷、さらには、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、孔版印刷等あらゆる印刷法を採用することができ、積層する材料を被積層物に積層(塗布)できる限りにおいて何ら限定されるものではない。
さらに、接着シートS1,S11,S21,S31は、リングフレームRFでウェハWを保持させるものに限定されることはなく、ウェハWやその他のものだけに貼付されるものであってもよく、その平面形状は、円形に限定されることなく、多角形、楕円形等、被着体の形状や要望によって適宜変更することができる。
【0039】
また、本発明における接着シートS1,S11,S21,S31の種別や材質などは、特に限定されず、例えば、基材シートBSと接着剤層ADとの間に中間層を有するものや、他の層を有する等3層以上のものでもよい。また、接着シートS1,S11,S21,S31は、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムなどであってもよい。半導体ウェハは、シリコン半導体ウェハや化合物半導体ウェハ等が例示でき、このような半導体ウェハに貼付する接着シートは、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムに限らず、その他の任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状の接着シート等が適用できる。さらに、板状部材が光ディスクの基板であって、接着シートが記録層を構成する樹脂層を有したものであってもよい。以上のように、板状部材としては、ガラス板、鋼板、樹脂板、基板等や、その他の部材のみならず、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。
【0040】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0041】
1,1A,1B,1C…シート製造装置
AD…接着剤層
AML…磁気接着剤層
BS…基材シート
ML…磁気記録層
S1,S11,S21,S31…接着シート(加工用シート)
W…ウェハ(板状部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の加工が施される板状部材に貼付される板状部材の加工用シートであって、
基材シートと、
所定情報を記録可能な磁気記録層と、
接着剤層とを備えることを特徴とする板状部材の加工用シート。
【請求項2】
前記磁気記録層は、前記基材シートと前記接着剤層との間に積層されていることを特徴とする請求項1に記載の板状部材の加工用シート。
【請求項3】
前記磁気記録層は、複数設けられ、
当該複数の磁気記録層は、前記基材シートの平面視で互いに異なる方向に延びる直線状に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の板状部材の加工用シート。
【請求項4】
所定の加工が施される板状部材に貼付される板状部材の加工用シートであって、
基材シートと、
前記基材シートの一方の面に積層されて所定情報を記録可能な磁気接着剤層とを備えることを特徴とする板状部材の加工用シート。
【請求項5】
所定の加工が施される板状部材に貼付される板状部材の加工用シートの製造方法であって、
基材シートの一方の面に所定情報を記録可能な磁気記録層を積層する工程と、
前記基材シートの一方の面側であって、前記磁気記録層を覆うように接着剤層を積層する工程とを有することを特徴とする板状部材の加工用シートの製造方法。
【請求項6】
所定の加工が施される板状部材に貼付される板状部材の加工用シートの製造方法であって、
基材シートの一方の面に接着剤層を積層する工程と、
前記接着剤層に所定情報を記録可能な磁気記録層を積層する工程とを有することを特徴とする板状部材の加工用シートの製造方法。
【請求項7】
所定の加工が施される板状部材に貼付される板状部材の加工用シートの製造方法であって、
基材シートの一方の面に所定情報を記録可能な磁気接着剤層を積層する工程を有することを特徴とする板状部材の加工用シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−38255(P2013−38255A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173835(P2011−173835)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】