説明

栽培容器及びこの容器を使用した茸栽培方法

【課題】面倒な手作業を強いることなく上面栽培ができる栽培容器を提供すること。
【解決手段】所定の底面積を有する底部1aと、この底部の周囲から所定の高さ立設された側壁1b〜1eとを有し、これらの側壁の上端が開口1fされた栽培容器であって、この栽培容器1は、底部1aから所定高さHまでが培地が充填される充填部Aと、この充填部の上方が空間とされる空間部Bとに区分されて、充填部Aの側壁は、光不透過又は光透過率が低く形成され、空間部Bの側壁は光が透過するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、栽培容器及びこの容器を使用した茸栽培方法に係り、さらに詳しくは、特に茸の発生部位を特定して栽培できる栽培容器及びこの容器を使用した、特に椎茸栽培に好適な栽培方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
伝統的な椎茸の人工栽培は、原木に種菌を植え込んで栽培する原木栽培が主流であったが、この原木栽培はその時々の気象条件並びに病害虫及び有害菌などの影響を受け易いために、安定した収穫が確保し難いことから、近年は、屋内において茸栽培に適合した環境を調えて、この環境下で栽培する菌床栽培へと移行して来ている。
この菌床栽培は、オガコなどの基材に米ぬかなどの栄養体を加えた培地を栽培袋に詰める工程、この袋詰めした培地(以下、「菌床」ともいう)を殺菌又は滅菌釜に入れて殺菌又は滅菌する工程、次いで、この培地に雑菌が入らないように冷却した後に種菌を接種する工程、続いて、温度、湿度などを調節しながら数週間掛けて培養する工程、その後、菌床を栽培袋から取出して、さらに温度、湿度などを調節して菌床を培養しながら茸を発生させる工程及び発生した茸を収穫する工程など経て栽培するようになっている。この菌床栽培は、原木栽培に比べて、室内において温度、湿度などの条件を任意にコントロールでき、しかも病害虫或いは有害菌の影響を受け難くできるので、安定した収穫及び品質の高い茸を栽培できる利点がある。
【0003】
この菌床栽培は、所定形状の栽培袋を使用して菌床を作るので、菌床は栽培袋体と略同じ形状となる。例えば、栽培袋に有底で角型の袋体を使用すると角柱状の菌床或いは有底で円筒型の袋体を使用すると円柱状の菌床ができる。このような形状の菌床から茸が発生するが、その箇所は菌床の外表面、すなわち側面、肩部或いは上面から、多数本の茸が同時或いは日をおいて、大小さまざまなものが所を選ばずランダムに発生する。このために、発生した茸同士が互いにぶつかり合って変形し、或いはその大きさも大小混じった不揃いなものとなってしまい、収穫される茸は商品価値が劣ったものとなる。また、複数個の菌床を密着して配置すると、隣接した菌床から発生した茸がぶつかり合って変形するので、複数個の菌床は比較的広い間隔をあけて配置しなければならない。そのために、広大なスペース或いは棚などが必要になり、また、菌床の水及び温度などの管理も面倒になり、生産性及び作業効率が悪くなるなどの問題がある。
【0004】
そこで、このような問題を解決するための栽培袋及びこの栽培袋を使用した栽培方法が提案されている(例えば、下記特許文献1〜3参照)。
【0005】
例えば、下記特許文献1には、培地の上面から椎茸を発生させる栽培方法が開示されている。この椎茸栽培は、以下のイ〜ハを含んだ工程で栽培されている。
イ.直径8〜20cm、高さ10〜30cmの合成樹脂フィルム製縦長袋に椎茸用人工培地を収容する工程、
ロ. 培地上部中央に、深さ2〜8cm程度の呼吸穴を形成する工程、
ハ. 次いで、培地の上面部を完熟させ椎茸を発生させる時点で、長袋の上部を切取り開放
状態とする工程。
この椎茸栽培方法は、上記ロ工程において、培地上部中央に所定大きさの呼吸穴が形成されるので、この呼吸穴から培地の上部表面部分へ空気が供給される。その結果、培地の表面部分が集中的に早く完熟されて、この表面部分の椎茸の発生が早くなる。したがって、この栽培方法によると、培地の上面部から茸が発生するので、栽培、収穫が容易になる。勿論、側面から発生しないので、隣接する菌床の隙間を狭くすることも可能になる。
【0006】
また、下記特許文献2にも、同様の培地上面から椎茸を発生させる栽培方法が開示されている。この椎茸栽培方法は、椎茸菌床栽培の培養完了後の発生工程において、栽培容器(栽培袋)の上部を取除いて、菌床上面のみを露出させ、その他の部分は菌床側面及び底面部分との間に若干の隙間を保持させて栽培容器として残して、その隙間に注水することで菌床側面及び底面からの茸の発生を抑制し、菌床上面からのみ発生させる方法である。その具体的な方法として、以下の例が紹介されている。
横20cm、縦12cm、高さ17cm、重量2700gの培地を形成し、常法により殺菌、冷却、接種を行う。菌床の培養は20℃±1℃で80日間管理し、81日目から85日目までを25℃とする。25℃の環境で栽培袋上面を切取り、菌床同士の設置間隔を1cmとして菌床側面と栽培袋フィルムの隙間に注水して、1日に1回の散水をしながら15日間管理する。その後、温度を15℃に低下させて、散水を3日に1回として茸の発生を行う。その結果、試験数1000に対して、1菌床1世代当りの芽数で上面47、側面1、底面0、合計48、茸の平均個重24g、1菌床の平均発生量1152gとなった。
この椎茸栽培方法は、露出した菌床の上面が新鮮な空気に触れて、上部表面に準備されていた茸原基は適正な環境で茸へと成長し、側面及び底面の原基は菌床側面と袋の隙間に注入した水と接触させることで、その成長活動が抑制されるものである。
【0007】
さらに、下記特許文献3にも、同様の培地上面から椎茸を発生させる栽培方法が開示されている。この椎茸栽培方法は、培養中又は培養完了後の工程において、栽培容器を取除いた露出状態の菌床を別の容器内に上面のみを開放した状態にして単独で収容し、菌床と容器間の隙間に水或いは水溶液を満たすことにより、菌床側面及び底面からのキノコの発生を抑制するようにした栽培方法である。具体的には、所定の縦、横及び高さを有するアクリル製の容器本体を用いて、この容器本体は、その上部四隅に弾力性のある菌床固定用支持体が斜め45度の角度で取付けられ、さらに底部に所定高さの菌床設置台が所定間隔で2本取付けられている。この支持体は、本体に挿入される菌床が吸水により、浮上しないように抑制する機能を果すものとなっている。そして、この容器本体を用い、培養した菌床が袋から取出されて露出状態にして容器に収容され支持体で固定される。散水又は給水により水が供給されて、菌床と本体との隙間に満たされる。容器に菌床が配置された後は、毎日散水が行われ、培養完了後の温度管理は、朝晩は13℃、日中は20℃に室温が調整される。その結果、菌床の上面からのみキノコが発生されるようになっている。
【0008】
【特許文献1】特開昭63−276421号公報(明細書第2頁左欄上段及び同頁右欄上段、図1)
【特許文献2】特許第3087171号公報(段落〔0013〕、〔0014〕、図1)
【特許文献3】特開2005−204604号公報(段落〔0011〕、〔0012〕、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1〜3の椎茸栽培方法によれば、菌床の上面に椎茸を集中的に発生させることが可能になる。しかしながら、これらの栽培方法では、菌床の上面に椎茸を集中的に発生させることができるが、この上面においても茸発生の部位を特定させることができない。そのため、菌床上面において茸は所かまわずランダムに発生し、この上面において従来技術が抱える問題が発生する。
【0010】
また、上記特許文献1〜3の椎茸栽培方法は、管理及び作業が面倒になるなど課題が潜在している。上記特許文献1の栽培方法では穴あけ作業、上記特許文献2の栽培方法では回数の多い注水作業、さらに上記特許文献3では菌床の移し替え用の容器の設置及び移し替え作業などの各種作業が必要になる。このような作業は、その殆どが手作業となるので自動化が難しく、しかも菌床数が多くなると、それに比例して人件費も増大し、茸のコストが高くなる。茸の人工栽培では、通常、人件費が他の費用、例えば、菌床製造費などと比べて高額になり、全体の略半分に近い割合を占めている。そのために、人件費の軽減が課題の一つとなっている。また、上記特許文献2の栽培方法では、注水により菌床を入れた袋上部が広がりすぎることがあるので、この部分にバンドなどの取付けが必要となり、この作業も手作業となる。さらに、培養後期になると菌床上面や袋との菌床間の水没していない部分にキノコバエ、ダニなどの害虫が発生しやすく、食害を引起すなどの課題がある。
【0011】
菌床栽培は、茸の発生、成長に好適な環境を如何にして作りだすかが重要になる。この栽培環境は、原木栽培時に最も効率よく発生、成長する自然環境に似た環境を人工的に作りだすことにある。上記特許文献1〜3の栽培方法では、空気或いは水によって上面栽培を可能としている。しかしながら、これらの栽培方法では、上面栽培は可能となっても菌床上面において茸の発生部位を特定できない。
【0012】
そこで、本発明者は、栽培環境は、上記特許文献1〜3にみられるように空気及び水だけでなく光も重要な要素になることに着目して検討した。すなわち、光のうち紫外線は、原基の形成、すなわち菌糸体の成長に有害であることから、この成長過程では不要となるが、茸の発生と成長には必要となることから、培養容器を工夫しこの容器に所定のタイミングで光を照射すれば原基の形成、すなわち茸の発生部位を特定することができることを見出して、本発明を完成させるに至ったものである。
【0013】
そこで、本発明の目的は、面倒な手作業を強いることなく上面栽培ができる栽培容器を提供することにある。
本発明の他の目的は、菌床上面で茸の発生部位を特定できる栽培容器を提供することにある。
本発明のまた他の目的は、上記栽培容器を使用した茸栽培方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の栽培容器は、所定の底面積を有する底部と、前記底部の周囲から所定の高さ立設された側壁とを有し、前記側壁の上端が開口された栽培容器において、前記栽培容器は、前記底部から所定高さまでが培地が充填される充填部と、前記充填部の上方が空間とされる空間部とに区分されて、前記充填部分の側壁は、光不透過又は光透過率が低く形成され、前記空間部の側壁は光が透過するように形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載の栽培容器において、前記充填部の側壁は、光不透過又は光透過率が低い材料で形成され、前記空間部の側壁は、光透過性材料で形成されて、前記充填部及び前記空間部の両側壁が固着手段で一体に結合されていることを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1に記載の栽培容器において、前記栽培容器は、全体が光透過性を有する材料で形成されて、前記充填部が光不透過又は光透過率が低くなるように加工されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の栽培容器において、前記栽培容器は、フィルム材からなる袋体で形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の栽培容器において、1個乃至複数個の開孔を設けた光不透過又は光透過率の低い材料からなる培地カバーを栽培容器と培地カバーと組合せて使用されることを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、請求項4に記載の栽培容器において、前記開孔は、所定の規則性を持って配列されていることを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明は、請求項5又は6に記載の栽培容器において、前記開孔は、茸の種類に対応して大きさが変更されていることを特徴とする。
【0021】
請求項8の発明は、請求項5に記載の栽培容器において、前記培地カバーは、培地に固定する固定手段が設けられていることを特徴とする。
【0022】
請求項9の発明は、請求項5〜8のいずれかに記載の栽培容器において、前記培地カバーは、薄肉のフィルム状シート又は所定の肉厚を有する板状体で形成されていることを特徴とする。
【0023】
請求項10の発明は、請求項9に記載の栽培容器において、前記培地カバーは、樹脂フィルム、不織布、紙材、木材のいずれかで形成されていることを特徴とする。
【0024】
請求項11に記載の茸栽培方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の栽培容器を使用して、前記栽培容器に培地を充填した後に、定法の殺菌又は滅菌、接種、培養の工程を経て菌床を作成して茸を栽培することを特徴とする。
【0025】
請求項12に記載の茸栽培方法は、請求項5〜10のいずれかに記載の栽培容器を使用して、前記栽培容器に培地を充填し、培地を培地カバーで覆った後に、定法の殺菌又は滅菌、接種、培養の工程を経て菌床を作成して茸を栽培することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明は上記構成を備えることにより以下に示すような優れた効果を奏する。すなわち、
請求項1の発明によれば、栽培容器は、上面栽培ができる菌床を作成できる。この栽培容器は、充填部分の側壁が光不透過又は光透過率が低く形成されているので、上面に集中させて茸を発生させる、いわゆる上面栽培ができる菌床を作りだすことが可能になる。例えば、椎茸を栽培する際に、培地を充填部まで詰めた後に、定法の殺菌又は滅菌、接種などの工程を経て容器形状の菌床を作りだす。このとき、容器の充填部分の側壁が光不透過又は光透過率が低く形成されているので、茸原基の形成に必要な光は、充填部分の培地に当らず、空間部を通過した光が培地の上方面に当る。その結果、菌床の側面は、光が当らないので原基の形成が抑制され、一方、上面は光が当って原基の形成が促進されるので、この上面から集中させて茸を発生させることが可能になる。
【0027】
請求項2の発明によれば、充填部と空間部とは別々の材料で形成するので、既存の材料などの利用が可能になり、栽培容器を簡単に作成できる。
【0028】
請求項3の発明によれば、栽培容器は、全体が光透過性を有する材料で形成し、充填部を光不透過又は光透過率が低くなるように加工するだけで、容器を一種類の材料で形成できるので、容器の作成が簡単になる。
【0029】
請求項4の発明によれば、栽培容器をフィルム材からなる袋体にすることにより、軽量で扱い易く、安価に簡単に作成できる。
【0030】
請求項5の発明によれば、培地カバーは、光不透過又は光透過率の低い材料で形成されて、1個乃至複数個の開孔が設けられているので、この培地カバーと栽培容器と組合せることによって、上面にあって茸発生部位が特定できる菌床の作成が可能になる。例えば、椎茸を栽培する際に、培地カバーで容器内の培地表面を覆うと、空間部を通過した光は、開孔から露出した培地に当り、他の箇所には当らないので、光が当らない箇所では原基の形成が抑制され、光が当った開孔から露出した培地には原基の形成が促進されて、この開孔を設けた箇所が茸発生部位となる。したがって、複数個の開孔を所定の間隔で配列することによって、個々の茸がバランスよく発生して、管理が容易になり品質の高い茸の生産が可能になる。また、培地は、培地カバーシートで覆われるので、培地表面が乾燥し難くなり、培地は、湿度を充分に保持した環境で熟成されるので、良好な菌床が作成されて高品質の茸を生産できる。
【0031】
請求項6の発明によれば、開孔を所定の規則性、例えば格子状の仮想線を設定して、これらの仮想線がクロスする箇所にそれぞれ配列すると、この配列にしたがって原基形成がされるので、発生する茸が衝突することなく、バランスを考慮した生産が可能になる。
【0032】
請求項7の発明によれば、開孔は、茸の種類に対応して大きさが変更されるので、茸の種類に応じて、効率のよい栽培が可能になる。例えば、椎茸栽培の場合、円形開孔の直径を1.00〜5.00mmの範囲にするのが好ましい。5.0mm以上にすると、1つの開孔から複数個の椎茸が発生し、そのまま生育すると品質が低下し、一方で一部を残して除去しようとするとその作業が必要になる。また、他の茸、例えば、舞茸、ナメコ茸などの場合は、比較的大きくするのが好ましい。
【0033】
請求項8の発明によれば、培地カバーで培地表面を覆うとき、折れ曲がらず、培地表面から浮いたりしないようにすることが重要になるが、固定手段を設けることによって、培地上面に培地カバーを密着させて固定することが可能になる。固定手段に、糊剤を用いることによって、簡単に培地上面に培地カバーを密着させて固定することが可能になる。
【0034】
請求項9の発明によれば、シート材は、薄肉のフィルム状シート又は所定の肉厚を有する板状体で形成されているので、特に、板状体にすることにより、耐久性が増し再利用が可能となる。
【0035】
請求項10の発明によれば、樹脂フィルム、不織布及び紙材などは入手が簡単なので、培地カバーを低価格で簡単に作成できる。不織布で形成すると通気性を持たせることが可能になる。板状材で形成すると耐久性が増し再使用が可能になる。
【0036】
請求項11の発明によれば、栽培容器を使用することにより、茸の発生部位を特定させて茸を栽培することができる。
【0037】
請求項12の発明によれば、栽培容器と培地カバーシートとを組合せることによって、菌床上面で茸の発生部位を特定させて栽培することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための栽培容器及びこの容器を使用した茸栽培方法を例示するものであって、本発明をこれらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0039】
図1を参照して、本発明の実施例1に係る栽培容器(栽培袋)を説明する。なお、図1は本発明の実施例1に係る栽培容器(栽培袋)を示し、図1Aは栽培袋の斜視図、図1Bは図1Aの栽培袋に培地を挿入して開口を封止した栽培袋の斜視図である。
栽培容器1は、図1に示すように、肉薄のフィルム材からなる袋体で形成されている。
本明細書の説明では、この栽培容器を「袋体」或いは「栽培袋」とも言うこととする。
【0040】
栽培袋1は、所定の長さL及び幅長Wを有する矩形状の底部1aと、この底部1aの外周囲から上方へ所定の高さH立設した側壁1b〜1eとを有し、側壁の上端が開口1fされている。この栽培袋1は、培地が充填される充填部Aと充填部の上方にあって空間とされる空間部Bとに区分されて、充填部Aは光不透過又は光透過率が低く及び空間部Bは光が透過するようになっている。空間部Bは、図1に示すように、その袋体壁面に、雑菌の侵入を阻止し且つ通気性のある複数個の微細孔を有するフィルタ2が固定されている。
【0041】
これらの充填部A及び空間部Bは、別部材又は同一部材で形成されている。
別部材の場合は、充填部Aには光不透過又は光透過率が低いフィルム状の材料が使用され、空間部Bには光が透過するフィルム状の材料が使用されて、充填部Aと空間部Bとを熱溶着などの手段で結合されている。充填部と空間部とが別々の材料で形成されるので、既存の材料などの利用が可能になり、栽培容器を簡単に作製できる。
【0042】
同一部材の場合は、全体を光透過性のフィルム状の材料で形成して、充填部Aに相当する箇所に光不透過又は光透過率を低くする加工、例えば、光不透過性塗料の塗布などして形成されている。また、光透過率を低下させるには、透明なポリエチレンなどの合成樹脂製フィルム材に黒の顔料を5%以上混入したものが好ましい。これ以下、例えば1%程度にすると、茸が発生することがある。この程度の顔料の混入により、材料費を低下させることができる。この栽培袋は、全体が光透過性を有する材料で形成し、充填部を光不透過又は光透過率が低くなるように加工するだけで、袋体を一種類の材料で形成できるので、袋体の作成が簡単になる。
【0043】
袋材には、ポリエチレンなどの合成樹脂製フィルム或いは生分解性フィルムや光触媒性フィルムが使用され、その肉厚は、例えば10〜100μmである。袋体をフィルム材からなる袋体にすることにより、軽量で扱い易く、安価に簡単に作成できる。なお、この栽培袋の長さL、幅長W及び高さHは、例えば、Lは200mm、Wは120mm、Hは390mmである。充填部Aは、底部1aから所定高さH、空間部Bはこの充填部Aの頂部から高さHに位置し、高さHは、例えば140mm、高さHは、例えば250mmである。充填部Aには、おがくず、米糠、ふすまを主成分とする培地、栄養剤及び水が所定の比率で混合された混合材が充填される。
【0044】
空間部Bは、図1に示すように、その袋体壁面に、雑菌の侵入を阻止し且つ通気性のある複数個の微細孔を有する多孔性シートからなるフィルタ2が固定されている。
【0045】
この栽培袋1は、充填部分の側壁が光不透過又は光透過率が低く形成されているので、上面に集中させて茸を発生させる、いわゆる上面栽培ができる菌床を作りだすことが可能になる。例えば、椎茸を栽培する際に、培地を充填部まで詰めた後に、定法の殺菌又は滅菌、接種などの工程を経て容器形状の菌床を作りだす。このとき、容器の充填部分の側壁が光不透過又は光透過率が低く形成されているので、茸原基の形成に必要な光は、充填部分の培地に当らず、空間部を通過した光が培地の上方面に当る。その結果、菌床の側面は、光が当らないので原基の形成が抑制され、一方、上面は光が当って原基の形成が促進されるので、この上面から集中させて茸を発生させることが可能になる。
【0046】
次に、図2を参照して、この栽培袋を使用した椎茸栽培方法を説明する。なお、図2は椎茸栽培の工程図である。
まず、所定量のおがこに、栄養体として米ぬかを混合して、所定量の水を加えて培地調整を行う(工程I)。調整された培地を栽培袋1の充填部Aまで充填する(工程II)。この栽培袋1の上端の開口1fを仮止めして、栽培袋1ごと高圧釜に入れて殺菌又は滅菌する(工程III)。殺菌をした後に冷却する(工程IV)。その後、クリーンルームへ搬送して、このクリーンルーム内で栽培袋1の上端開口1fを開放して椎茸の種菌を接種する(工程V)。この接種により、椎茸の種菌は、栽培袋の開口1fから培地の中へ接種される。次いで、所定の培養室へ搬送し、この培養室で初期培養を行う(工程VI)。この初期培養では、光を照射することなく略暗黒の状態で菌糸培養に適した環境、例えば、室温23℃と湿度60%に保持して種菌を生育・増殖させる。その期間は略30日程度である。その後、熟成培養を行う(工程VII)。この熟成培養では、熟成培養に適した環境、特に所定の光を照射して、略60日〜70日掛けて培地に栄養蓄積を行う。この熟成工程では、培地内に菌糸が繁殖し始めるが、培養袋1の充填部分Aの側壁が光不透過又は光透過率が低く形成されているので、茸原基の形成に必要な光は、充填部分の培地に当らず、空間部を通過した光が培地の上方面に当る。その結果、菌床の側面は、光が当らないので原基の形成が抑制され、一方、上面は光が当って原基の形成が促進されて、その表面が褐色化する。この褐色化を「褐変」といい、どの程度褐色化が進んだかを意味する「褐変度」は椎茸の熟成度合いを示す指標として用いられる。
【0047】
この熟成培養が終了した後に、栽培袋1を取外して茸の発生をさせる(工程VIII)。
この発生工程では、原基形成が促進された上面からいち早く最初の茸が発生し育成される。すなわち、初回の発生は、培地の表面から発生する。その初回の収穫量は、全体の収穫量の約半分以上となる。なお、この工程において、栽培袋が除去された直後は、栽培袋で密着していた培地の表面は白っぽい状態となっているが、光の照射によって徐々に褐色化して茸が発生する。これらの発生は2回目、3回目以降のものとなり、回が進むにしたがって収穫量が減少する。
【0048】
この栽培袋を使用した椎茸栽培方法は、初回の発生で椎茸の発生部位が上面となっての椎茸を効率よく、すなわち従来技術のような多くの手作業をかけないで、簡単に発生・育成することが可能になる。
【実施例2】
【0049】
図3、図4を参照して、本発明の実施例2に係る栽培袋を説明する。なお、図3は本発明の実施例2に係る栽培容器(栽培袋)を示し、図3Aは栽培袋の斜視図、図3Bは図3Aの栽培袋内へ挿入する培地カバーの平面図である。図4は図3の栽培袋に培地及び培地カバーを挿入して開口を封止した栽培袋の斜視図である。
栽培袋1Aは、実施例1に係る栽培袋1と培地カバー3とを組み合わせた構成となっている。そこで、栽培袋1の説明は省略して、培地カバー3を詳述する。
培地カバー3は、図3Bに示すように、栽培袋1の充填部に培地が詰められて、この培地表面を覆う大きさに形成されている。この培地カバー3は、栽培袋1と略同じ長さL及び幅長Wを有する矩形状になっている。その素材は、ポリエチレンなどの合成樹脂製フィルム或いは生分解性フィルムや光触媒性フィルムからなり、その肉厚は、例えば10〜100μmである。これらの素材は、光不透過又は光透過率が低くなるように加工処理されている。
【0050】
光透過率を低下させるには、透明なポリエチレンなどの合成樹脂製フィルム材に黒の顔料を5%以上混入したものが好ましい。これ以下、例えば1%程度にすると、部位特定の効果が少なくなる。すなわち、黒色顔料の混入量が下がるに従って、後述する開孔4以外の箇所でも茸が発生しやすくなってしまう。なお、生分解性フィルム材を使用すると、使用済みのシートは、そのまま放置或いは土へ埋設して処分することが可能になる。なお、培地カバー3は、上記のものに限定されるこのなく、他の材料、例えば不織布、紙材などでもよい。不織布で形成すると通気性を持たせることが可能になる。また、この培地カバーシートは、肉薄のシートだけでなく、所定の肉厚、例えば肉厚が1.00〜5.00mmの板状体で形成してもよい。板状材は木材でもよい。板状材で形成すると耐久性が増し再使用が可能になる。
【0051】
この培地カバー3には、複数個の開孔4が所定の規則性をもって形成されている。この規則性は、開孔が形成された箇所が茸の発生部位となるので、少なくとも発生した茸が成長した状態で互いにぶつかり合わない間隔、或いは茸を大きく成長させることなどを考慮して配列される。1例として、所定の間隔をあけた縦横の仮想格子線を設けて、これらの格子線が交差する箇所に所定大きさの開孔を形成する。この開孔4は、所定の直径を有する略円形状をなしている。この開孔4の大きさは、茸の種類によって決定される。例えば、椎茸の場合は、円形開孔の直径が1.00mm〜5.0mm程度が好ましい。5.0mmを超えると、開孔から複数本の椎茸が発生する率が高くなる。また、その他の茸、舞茸、ナメコ茸などは開孔が大きく形成される。
【0052】
培地カバー3は、その裏面に培地に固定する手段5〜5が設けられている。この固定手段には、例えば糊剤を用いる。この固定手段により、培地との間の隙間を少なくして培地に密着させることができる。
【0053】
この培地カバー3で培地の表面を覆うことによって、茸発生部位の特定ができる。すなわち、培地カバー3で培地の表面を覆うと、茸原基の形成に必要な光は、開孔4から露出した培地に当り、他の部分には当らない。このため光が当らない箇所は原基の形成が抑制され、光が当る開孔から露出した培地は原基の形成が促進されて、この開孔を設けた箇所が最初に発生する発生部位となる。したがって、複数個の開孔を所定の間隔で配列することによって、個々の茸がバランスよく発生して、管理が容易になり品質の高い茸の生産が可能になる。また、培地は、培地カバー3で覆われるので、培地表面が乾燥し難くなり、培地は、湿度を充分に保持した環境で熟成されるので、良好な菌床が作成されて高品質の茸を生産できる。さらに、この培地カバーは、光不透過又は光透過率の低い材料からなるシート材に開孔を設けたものなので簡単に作成できる。
【0054】
次に、図5を参照して、栽培袋及び培地カバー3を使用した椎茸栽培方法を説明する。なお、図5は椎茸栽培の工程図である。
まず、所定量のおがこに、栄養体として米ぬかを混合して、所定量の水を加えて培地調整を行う(工程I)。調整された培地を栽培袋1の充填部Aまで充填する(工程II)。次いで、この培地の上面を培地カバー3で覆う(図3A参照)。このとき、培地カバー3が培地上面で折れ曲がったり或いは浮いたりしないように培地に密着するように固定手段(糊剤)5〜5で固定する。その後、この栽培袋1の上端の開口1fを仮止めして、栽培袋ごと高圧釜に入れて殺菌又は滅菌する(工程III)。殺菌をした後に冷却する(工程IV)。その後、クリーンルームへ搬送して、このクリーンルーム内で栽培袋1の上端開口1fを開放して椎茸の種菌を接種する(工程V)。この接種により、椎茸の種菌は、培地カバー3の開孔4から培地の中へ接種される。
【0055】
次いで、所定の培養室へ搬送し、この培養室で培養を行う。この培養は、初期培養(工程VI)と熟成培養(工程VII)に分けて実施する。初期培養では、光を照射することなく略暗黒の状態で菌糸培養に適した環境、例えば、室温18〜20℃と湿度60%に保持して種菌を生育・増殖させる。この期間は略30日程度である。その後の熟成培養では、熟成培養に適した環境(例えば、温度20〜23℃)、特に所定の光を照射して、略60日〜70日掛けて培地に栄養蓄積を行う。この工程において、培地内に菌糸が繁殖し始めるが、この培地は、開孔4を除く全ての箇所が光の透過がし難くなっているので、茸を発生させる原基は、培地表面にあってまず開孔4部分に形成される。すなわち、光は、開孔4から露出した培地に当り、他の箇所には当らないので、光が当らない箇所では原基の形成が抑制され、光が当った開孔から露出した培地には原基の形成が促進されて、この開孔を設けた箇所は褐色に変色し茸発生部位となる。なお、光が当らない箇所は、白っぽくなっている。また、培養期間中は、菌床上面が培地カバーで覆われているので、培地床は湿度が保たれ、培地は、湿度を充分に保持した環境で熟成される。
【0056】
熟成培養が終了した後に、栽培袋1及び培地カバー3を取外して茸の発生をさせる(工程VIII)。この発生工程では、原基形成が促進された開孔のあった箇所からいち早く最初の茸が発生し、育成されて収穫される。すなわち、初回の発生は、発生部位が特定された上面から発生する。その初回の収穫量は、全体の収穫量の約半分以上となる。なお、この工程において、培地カバーが除去された直後は、培地カバーで密着していた培地の表面が白っぽい状態となっているが、光の照射によって徐々に褐色化して、茸が発生する。しかし、これらの発生は2回目、3回目以降のものとなり、回が進むにしたがって収穫量が減少する。
【0057】
この栽培袋1Aを使用した椎茸栽培方法は、初回の発生で椎茸の発生部位を特定するので、個々の椎茸をバランスよく発生・育成させることが可能になる。
【0058】
[実験例]
上記実施例2に係る栽培容器及び培地カバーを使用して椎茸栽培試験を行い、その結果を比較例及び参考例とともに表1に纏めた。なお、実験例、各比較例及び各参考例は、表1に示す栽培袋及び培地カバーの条件で、それぞれ10袋分の栽培を行った。
また、茸発生量、菌らいの出方、褐変度は以下の基準で測定した。

茸発生量:実験例及び比較例は、上面に発生したもののみを収穫して1袋あたりの平均値を算出した。参考例については、全面での茸発生から算出した。
菌らいの出方:側面部及び底面部における、菌らい(デコボコ)の発生している面積の割合を、経過日数ごとに目視で判定した。
褐変度:側面部の褐色化の度合いを、経過日数ごとに目視で確認し、109日目を100%として相対評価した。なお、実験例及び参考例に3〜4ついては、黒色フィルムによって中を透かして見る事ができないため、測定不能であった。
【0059】
【表1】

【0060】
表1の結果より、以下の事がわかる。
実験例では、比較例1〜3のいずれよりも上面に発生した茸の量が多かった。これは、実験例では側面部からの茸発生を抑制したのに対して、比較例1〜3では側面部における茸発生が見られたことによるものと考えられる。このことは、菌らいの出方によっても裏づけられており、すなわち、実験例では側面部での菌らい発生が抑制されているのに対して、比較例1〜3においてはいずれも菌らいが発生している。
【0061】
また、参考例はいずれも、充填部だけでなく空間部も黒色顔料を混入させたフィルムからなる栽培袋を用いたもので、黒色顔料の混入割合は、参考例1〜5の順に、1%、2%、3%、4%、5%である。参考例5では、茸の発生は殆ど抑制されているのに対して、黒色顔料の混入割合が減るに従って、茸の発生量が増大していることがわかる。
これは、栽培袋の充填部及び培地カバー3に混入させる黒色顔料の混入量が下がるに従って、茸発生を抑制する効果が不十分となり、開孔4以外の箇所でも茸が発生しやすくなることを意味し、光透過率を下げて茸の発生を抑制するには、黒色顔料を5%以上混入させることが効果的であることを裏づけるものである。
【0062】
以上の実施例1、2及び実験例の栽培容器(栽培袋)では、椎茸栽培に適用した例を説明したが、この容器は、椎茸栽培に限定されるものでなく、他の茸、例えば舞茸、なめこ茸などにも適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る栽培容器(栽培袋)を示し、図1Aは栽培袋の斜視図、図1Bは図1Aの栽培袋に培地を挿入して開口を封止した栽培袋の斜視図である。
【図2】図1の栽培袋を使用した茸栽培の工程図である。
【図3】図3は本発明の実施例2に係る栽培容器(栽培袋)を示し、図3Aは栽培袋の斜視図、図3Bは図3Aの栽培袋内へ挿入する培地カバーの平面図である。
【図4】図4は図3の栽培袋に培地及び培地カバーを挿入して開口を封止した栽培袋の斜視図である。
【図5】図5は図3の栽培袋を使用した茸栽培の工程図である。
【符号の説明】
【0064】
1、1A 栽培袋(栽培容器)
2 フィルタ
3 培地カバー
4 開孔
〜5 固着手段
A 充填部
B 空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の底面積を有する底部と、前記底部の周囲から所定の高さ立設された側壁とを有し、前記側壁の上端が開口された栽培容器において、
前記栽培容器は、前記底部から所定高さまでが培地が充填される充填部と、前記充填部の上方が空間とされる空間部とに区分されて、前記充填部分の側壁は、光不透過又は光透過率が低く形成され、前記空間部の側壁は光が透過するように形成されていることを特徴とする栽培容器。
【請求項2】
前記充填部の側壁は、光不透過又は光透過率が低い材料で形成され、前記空間部の側壁は、光透過性材料で形成されて、前記充填部及び前記空間部の両側壁が固着手段で一体に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の栽培容器。
【請求項3】
前記栽培容器は、全体が光透過性を有する材料で形成されて、前記充填部が光不透過又は光透過率が低くなるように加工されていることを特徴とする請求項1に記載の栽培容器。
【請求項4】
前記栽培容器は、フィルム材からなる袋体で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の栽培容器。
【請求項5】
1個乃至複数個の開孔を設けた光不透過又は光透過率の低い材料からなる培地カバーを栽培容器と組合せて使用されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の栽培容器。
【請求項6】
前記開孔は、所定の規則性を持って配列されていることを特徴とする請求項5に記載の栽培容器。
【請求項7】
前記開孔は、茸の種類に対応して大きさが変更されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の栽培容器。
【請求項8】
前記培地カバーは、培地に固定する固定手段が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の栽培容器。
【請求項9】
前記培地カバーは、薄肉のフィルム状シート又は所定の肉厚を有する板状体で形成されていることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の栽培容器。
【請求項10】
前記培地カバーは、樹脂フィルム、不織布、紙材、木材のいずれかで形成されていることを特徴とする請求項9に記載の栽培容器。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれかに記載の栽培容器を使用して、前記栽培容器に培地を充填した後に、定法の殺菌又は滅菌、接種、培養の工程を経て菌床を作成して、茸を栽培することを特徴とする茸栽培方法。
【請求項12】
請求項5〜10のいずれかに記載の栽培容器を使用して、前記栽培容器に培地を充填し、培地を培地カバーで覆った後に、定法の殺菌又は滅菌、接種、培養の工程を経て菌床を作成して、茸を栽培することを特徴とする茸栽培方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−29180(P2010−29180A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149228(P2009−149228)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(504328152)株式会社サカト産業 (13)
【Fターム(参考)】