説明

栽培設備

【課題】殺菌釜の内部と殺菌釜の外部との間で手間をかけずにパレットを出し入れできる培養設備を提供すること。
【解決手段】栽培容器が複数載置されているパレットを出し入れする出し入れ口18、20と、この出し入れ口を開放する開き位置と閉鎖する閉じ位置とに位置変更自在な開閉扉19、21とが設けられた殺菌釜103の内部にてパレットを搬送する釜内搬送手段TINa、TINbと殺菌釜の外部にてパレットを搬送する釜外搬送手段TEXa、TEXbとが、開閉扉が開き位置で出し入れ口を通してパレットを搬送可能に構成され、釜外搬送手段の出し入れ口側の端部部分16、17が、釜外搬送手段及び釜内搬送手段とがパレットを搬送可能となる通常位置と開閉操作される開閉扉と干渉しない退避位置とに移動自在に構成され、端部部分を移動させる移動手段22、23が設けられている栽培設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培対象を培養するための培養基が詰め込まれた栽培容器に対する殺菌処理を行う殺菌釜が設けられ、前記栽培容器が複数載置されているパレットを出し入れする出し入れ口と、この出し入れ口を開放する開き位置と閉鎖する閉じ位置とに位置変更自在な開閉扉とが前記殺菌釜に設けられている栽培設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記栽培設備では、栽培容器を複数の工程処理領域に順次搬送する必要がある。そこで、省力化のために、従来から搬送作業の自動化を図るべく、前記パレットを、例えば自走台車やコンベヤ等の搬送手段にて搬送することが行われている。
そして、栽培設備における殺菌釜に対しても、それらの搬送手段を用いて栽培容器の載置されたパレットを出し入れ用箇所まで搬送するようにしている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−166584号公報
【特許文献2】特開平9−172861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記栽培設備における殺菌釜は、高温で栽培容器を殺菌するものであるためパレットを殺菌釜の内部に搬送したのち、栽培容器を殺菌処理するときは開閉扉を閉じ位置にして出し入れ口を閉鎖し、殺菌処理が終了すると殺菌釜の内部のパレットを取り出すべく、開閉扉を開き位置にして出し入れ口を開放する。このように、殺菌釜にて栽培容器の殺菌処理を行なう場合、殺菌釜の開閉扉が開き位置と閉じ位置とに位置変更される。
【0005】
そこで、従来の栽培設備では、殺菌処理対象の栽培容器を載置支持したパレットを前記殺菌釜の内部に搬送する場合や、殺菌釜から外部に搬送する場合は、殺菌釜の出し入れ口で開閉操作される開閉扉との干渉を避けるため、搬送手段により殺菌釜の出し入れ口から離れた出し入れ用箇所まで搬送している。
【0006】
したがって、パレットを殺菌釜の内部に搬送する場合や、殺菌釜での殺菌処理を終えたパレットを殺菌釜の外部に搬送する場合には、殺菌釜の内部と出し入れ用箇所との間での搬送作業を人手により行う必要があった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、殺菌釜の内部と殺菌釜の外部との間で手間をかけずにパレットを出し入れできる培養設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる栽培設備は、栽培対象を培養するための培養基が詰め込まれた栽培容器に対する殺菌処理を行う殺菌釜が設けられ、前記栽培容器が複数載置されているパレットを出し入れする出し入れ口と、この出し入れ口を開放する開き位置と閉鎖する閉じ位置とに位置変更自在な開閉扉とが前記殺菌釜に設けられている栽培設備であって、
その第1特徴構成は、前記殺菌釜の内部にて前記パレットを搬送する釜内搬送手段と前記殺菌釜の外部にて前記パレットを搬送する釜外搬送手段とが、前記開閉扉が開き位置である状態において前記出し入れ口を通して前記パレットを搬送可能に構成され、前記釜外搬送手段の前記出し入れ口側に位置する端部部分が、前記釜外搬送手段及び前記釜内搬送手段とが前記開閉扉が開き位置である状態において前記出し入れ口を通して前記パレットを搬送可能となる通常位置と、前記通常位置から離間してかつ前記閉じ位置と前記開き位置との間で位置変更される前記開閉扉と干渉しない退避位置とに移動自在に構成され、前記端部部分を前記通常位置と前記退避位置とに移動させる移動手段が設けられている点にある。
【0009】
すなわち、移動手段により釜外搬送手段の出し入れ口側に位置する端部部分を通常位置に移動させると、釜外搬送手段及び釜内搬送手段が開閉扉が開き位置である状態において出し入れ口を通してパレットを搬送することができる。また、移動手段により釜外搬送手段の出し入れ口側に位置する端部部分を退避位置に移動させると、端部部分は、閉じ位置と開き位置との間で位置変更される開閉扉と干渉しないようになる。
【0010】
したがって、端部部分を通常位置に移動させておくことで、パレットを殺菌釜の出し入れ口を通して殺菌釜の外部と内部との間で搬送することができるので、パレットに載置された栽培容器を殺菌処理するべく外部から殺菌釜の内部にパレットを搬送したり、殺菌処理された後のパレットを殺菌釜の内部から外部に搬送することができる。
【0011】
そして、端部部分を退避位置に移動させておくことで、端部部分は閉じ位置と開き位置との間で位置変更される開閉扉と干渉しないので、開閉扉が開き位置に位置する状態で殺菌釜の内部に所定枚数のパレットを搬送した後や、開閉扉が閉じ位置に位置する状態で殺菌釜の内部にあるパレットに載置された栽培容器についての殺菌処理が終了した後に、開閉扉を開き位置から閉じ位置又は閉じ位置から開き位置に位置変更させることができる。
【0012】
したがって、殺菌処理を行なう前後でパレットを殺菌釜の内部と外部とで搬送する場合には、必要に応じて釜外搬送手段の端部部分を通常位置と退避位置とに移動手段を用いて位置変更させることで、殺菌処理前のパレットを、釜外搬送手段に続いて釜内搬送手段を用いて簡単に殺菌釜の外部から内部に搬送したり、殺菌処理後のパレットを、釜内搬送手段に続いて釜外搬送手段を用いて簡単に殺菌釜の内部から外部に搬送することができる。
【0013】
このように、本発明の第1特徴構成によると、殺菌釜の内部と殺菌釜の外部との間で手間をかけずにパレットを出し入れできる培養設備を得るに至った。
【0014】
本発明にかかる栽培設備の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記開閉扉が縦軸心回りに揺動して前記閉じ位置と前記開き位置とに位置変更するように構成され、前記釜外搬送手段が、前記出し入れ口における前記パレットの出し入れ方向を搬送方向とするように設けられ、前記退避位置が、前記通常位置から前記釜外搬送手段の搬送経路横幅方向で前記開閉扉の揺動先端側に離れた位置に設定されている点にある。
【0015】
すなわち、開閉扉が縦軸心回りに揺動して閉じ位置と開き位置とに位置変更するように構成されているので、開閉扉が簡単な構成となる。
また、釜外搬送手段が、出し入れ口におけるパレットの出し入れ方向を搬送方向とするように設けられているので、釜外搬送手段にて搬送されるパレットを出し入れ口を通して搬送する場合に搬送方向を切り換えることなくそのままの搬送方向で出し入れ口を通してパレットを搬送することができる。同様に、出し入れ口を通るパレットを釜外搬送手段にて搬送する場合に出し入れした方向を切り換えることなくそのままの方向で釜外搬送手段にてパレットを搬送することができる。したがって、釜外搬送手段の端部部分に方向切り換え装置などの装置を特に設けなくてもパレットの搬送姿勢を維持したまま殺菌釜の内部と外部とでパレットを搬送することができ、釜外搬送手段の構成を簡素なものとすることができる。
【0016】
このように、本発明の第2特徴構成によれば、開閉扉や釜外搬送手段の構成を簡素なものとすることができ、もって、栽培設備の構成の簡素化を図ることができる。
【0017】
本発明にかかる第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、前記釜外搬送手段が、前記釜外搬送手段の搬送経路横幅方向に並ぶ状態で一対設けられ、前記一対の釜外搬送手段に対応する一対の前記開閉扉が、互いに揺動先端側を対向させた状態で前記一対の釜外搬送手段にて前記パレットが搬送される一対の前記殺菌釜の夫々に設けられ、前記一対の釜外搬送手段の夫々についての前記端部部分が兼用され、一方の釜外搬送手段についての前記退避位置及び前記通常位置が、他方の釜外搬送手段についての前記通常位置及び前記退避位置に設定されているように構成されている点にある。
【0018】
すなわち、釜外搬送手段及び殺菌釜を一対設けることで、設備における殺菌処理能力及び搬送能力が格段に向上する。
【0019】
また、一対の釜外搬送手段が、それらの搬送経路横幅方向に並ぶ状態で設けられて、これらに対応する一対の開閉扉が、互いに揺動先端側を対向させた状態で一対の殺菌釜の夫々に設けられているので、一対の開閉扉が相互に干渉することがない。したがって、一対の殺菌釜や釜外搬送手段をできるだけ接近させて設けることができる。
【0020】
しかも、釜外搬送手段の端部部分の退避位置が通常位置から釜外搬送手段の搬送経路横幅方向で開閉扉の揺動先端側に離れた位置に設定されていると、一対の殺菌釜や釜外搬送手段をできるだけ接近させた場合に、一方の釜外搬送手段の端部部分の退避位置と他方の釜外搬送手段の端部部分の退避位置とが互いに接近することになるが、一方の釜外搬送手段についての退避位置及び通常位置が、他方の釜外搬送手段についての通常位置及び退避位置に設定されているように構成されているので、通常位置と退避位置との釜外搬送手段の搬送経路横幅方向の移動範囲を互いに重複させることができるので、この点においても一対の殺菌釜や釜外搬送手段を釜外搬送手段の搬送経路横幅方向でできるだけ近づけるときの制約が少ないものとなる。
【0021】
さらに、一対の釜外搬送手段の夫々についての端部部分が兼用されているので、部材の共通化によるコストダウン効果も得られる。
【0022】
このように、本発明の第3特徴構成によれば、設備占有スペースの肥大化とコストアップを極力押さえながら設備の処理能力の大幅な向上が期待できる。
【0023】
本発明にかかる栽培設備の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成の何れかにおいて、前記出し入れ口が、前記パレットが搬入される入口と、この入口に対向する位置に設けられて前記パレットが搬出される出口とで構成され、前記入口及び前記出口の夫々に前記開閉扉が設けられ、前記釜内搬送手段が、前記入口から前記出口まで前記パレットを搬送可能に構成され、前記釜外搬送手段が、前記パレットを前記入口まで搬送する入口側搬送部と前記パレットを前記出口から搬送する出口側搬送部とで構成され、前記入口側搬送部及び前記出口側搬送部が前記入口及び前記出口の並び方向を搬送方向とするように構成され、前記入口側搬送部の前記端部部分が、前記入口側搬送部及び前記釜内搬送手段とが前記入口側の前記開閉扉が開き位置である状態において前記入口を通して前記パレットを搬送可能となる前記通常位置としての入口用通常位置と、前記入口用通常位置から離間してかつ前記閉じ位置と前記開き位置との間で位置変更される前記入口側の前記開閉扉と干渉しない前記退避位置としての入口用退避位置とに移動自在に構成され、前記出口側搬送部の前記端部部分が、前記出口側搬送部及び前記釜内搬送手段とが前記出口側の前記開閉扉が開き位置である状態において前記出口を通して前記パレットを搬送可能となる前記通常位置としての出口用通常位置と、前記出口用通常位置から離間してかつ前記閉じ位置と前記開き位置との間で位置変更される前記出口側の前記開閉扉と干渉しない前記退避位置としての出口用退避位置とに移動自在に構成されている点にある。
【0024】
すなわち、入口側搬送部の入口側の端部部分を入口用通常位置と入口用退避位置とに移動手段を用いて位置変更させることで、入口側の開閉扉を開き位置にして殺菌処理前のパレットを、入口側搬送部に続いて釜内搬送手段を用いて殺菌釜の外部から内部に搬送することができる。また、出口側搬送部の出口側の端部部分を出口用通常位置と出口用退避位置とに移動手段を用いて位置変更させることで、殺菌処理後のパレットを、釜内搬送手段に続いて出口側搬送部を用いて殺菌釜の内部から外部に搬送することができる。
【0025】
したがって、入口側の開閉扉と出口側の開閉扉の双方を閉じ位置にした状態で殺菌釜での殺菌処理が完了した後は、入口側搬送部の入口側の端部部分を入口用退避位置にして
入口側の開閉扉を閉じ位置から開き位置に変更しかつ出口側搬送部の出口側の端部部分を出口用退避位置にして出口側の開閉扉を閉じ位置から開き位置に変更して、入口側搬送部の入口側の端部部分を入口用通常位置にしかつ出口側搬送部の出口側の端部部分を出口用通常位置にすることで、殺菌処理後の栽培容器が載置されたパレットを釜内搬送手段と出口側搬送部とで出口を通して殺菌釜の内部から外部へ搬出しながら、殺菌処理前の栽培容器が載置されたパレットを釜内搬送手段と入口側搬送部とで入口を通して殺菌釜の外部から内部へ搬入することができる。
【0026】
このように、本発明の第4特徴構成によると、殺菌釜に対するパレットの搬入と搬出を同時期に行なうことができるので、作業効率の向上を図ることができる。
【0027】
本発明にかかる栽培設備の第5特徴構成は、第4特徴構成において、前記入口側搬送部が、前記殺菌釜により殺菌処理される前の栽培容器を低温雰囲気で保管する予冷庫にて前記パレットを搬送する予冷庫内搬送部を有し、前記出口側搬送部が、前記殺菌釜により殺菌処理された後の栽培容器を放熱させる放熱庫にて前記パレットを搬送する放熱庫内搬送部を有している点にある。
【0028】
すなわち、入口側搬送部の搬送範囲の一部に予冷庫を設けることになるので、入口側搬送部の設置領域の一部を利用して予冷庫を設置することができる。同様に、出口側搬送部の搬送範囲の一部に放熱庫を設けることになるので、出口側搬送部の設置領域の一部を利用して放熱庫を設置することができる。したがって、本発明の第5特徴構成によると、栽培設備のコンパクト化を図ることができる。
【0029】
本発明にかかる栽培設備の第6特徴構成は、第1〜第5特徴構成のいずれかにおいて、前記移動手段が、床面に沿った水平移動により、前記端部部分を前記通常位置と前記退避位置とに切り換えるスライドテーブル本体と、このスライドテーブル本体を案内移動する案内軌道にて構成され、前記案内軌道は、その床上高さが前記開閉扉の下端の床上高さよりも下方に位置するように構成されている点にある。
【0030】
すなわち、通常位置側に案内軌道があっても、その案内軌道の床上高さが開閉扉の下端の床上高さよりも下方に位置するので、スライドテーブル本体を床面に沿って水平移動させて退避位置に位置させることで、殺菌釜の開閉扉を開き位置と閉じ位置とに位置変更させることができる。
【0031】
移動手段として、例えば、釜外搬送手段の端部部分を昇降移動させるものにて構成した場合、通常位置より上下方向で下側に位置する退避位置に端部部分を下降移動させることになり、床に、移載装置の高さ寸法や昇降量に応じた深さのピットを掘るなどの加工が必要となり、移動手段の設置が困難なものとなる。これに対して、本発明の第6特徴構成によると、スライドテーブル本体を床面に沿って水平移動させることで、釜外搬送装置の端部部分を床面に沿って退避位置に位置させることができるので、床の上面にスライドテーブル本体を移動案内する案内軌道を設置すれば済む。したがって、床にピットを掘る等の加工を施さずに済むことも期待でき、掘るとしても深さの浅いもので済む。
【0032】
このように、本発明の第6特徴構成によると、移載手段の設置の容易化を図ることができる。
【0033】
本発明にかかる栽培設備の第7特徴構成は、第1〜第6特徴構成の何れかにおいて、前記釜外搬送手段及び前記釜内搬送手段が、前記パレットを載置搬送可能なコンベヤにて構成されている点にある。
【0034】
すなわち、釜外搬送手段及び釜内搬送手段が、パレットを載置搬送可能なコンベヤにて構成されているので、コンベヤに複数のパレットを隣接した状態で載置しながら搬送することができる。
【0035】
したがって、複数のパレットを殺菌釜の内部と外部とで搬送するときに、連続して出入り口を通して搬送することができ、殺菌釜に複数のパレットを搬入する場合や、殺菌釜から複数のパレットを搬出する場合の作業時間の短縮を図ることができる。
【0036】
このように、本発明の第7特徴構成によると、殺菌釜の内部と外部との間でパレットを搬送する際の搬送作業効率の向上を図ることができる。
【0037】
本発明にかかる栽培設備の第8特徴構成は、第1〜第6特徴構成の何れかにおいて、前記釜外搬送手段が、前記殺菌釜の外部の床面に敷設された釜外案内軌道と、この釜外案内軌道に沿って前記パレットを載置支持した状態で自走可能な釜外搬送台車にて構成され、前記釜内搬送手段が、前記殺菌釜の内部の床面に敷設された釜内案内軌道と、この釜内案内軌道に沿って前記パレットを載置支持した状態で自走可能な釜内搬送台車にて構成され、前記釜外案内軌道の前記出し入れ口側の端部部分が前記釜外搬送手段の端部部分として前記通常位置と前記退避位置とに移動自在に構成されている点にある。
【0038】
すなわち、釜内搬送台車と釜内搬送台車とにパレットを載置支持させて、釜内搬送台車と釜内搬送台車とを案内軌道に沿って走行移動させることでパレットを殺菌釜の出入り口を通して搬送することができる。また、殺菌釜の開閉扉を閉じ位置と開き位置とに位置変更させるときには、移動手段により、釜外案内軌道の出し入れ口側の端部部分を通常位置から退避位置に移動させることで、開閉扉を開閉操作することが可能となる。
【0039】
ちなみに、釜外案内軌道の出し入れ口側の端部部分に搬送台車が位置している状態で当該端部部分を通常位置と退避位置とに位置変更させて、釜外搬送台車も端部部分と一緒に位置変更できる。この場合、釜外搬送台車は、釜外案内軌道の端部部分が通常位置に位置してから直ちに釜内搬送台車とによるパレットの搬送が可能となるので、作業効率の向上が図れる。
【0040】
このように、本発明の第8特徴構成によると、殺菌釜の内部と殺菌釜の外部との間で手間をかけずにパレットを出し入れできる培養設備の好適な実施形態を得るに至った。
【0041】
本発明にかかる栽培設備の第9特徴構成は、第8特徴構成において、前記釜内搬送台車が、前記開閉扉が開き位置に位置する状態で前記出し入れ口を通過して前記殺菌釜の内部に進入する前記釜外搬送台車にて構成されている点にある。
【0042】
すなわち、パレットを載置支持した釜外搬送台車を開閉扉が開き位置に位置する状態で出し入れ口を通過して殺菌釜の内部に進入させることで、その搬送台車を釜内搬送台車として殺菌釜内部でのパレットの搬送に供することができるので、釜外搬送台車が釜内搬送台車との間で栽培容器を載置したパレットを移載することなく出し入れ口を通過して当該パレットを殺菌釜の内部に搬入することができる。
【0043】
各搬送台車に移載装置を設けて釜外搬送台車と釜内搬送台車との間でパレットを移載させる場合には、殺菌釜の出し入れ口を通して釜内搬送台車とのパレットの移載のために釜外搬送台車を停止させる必要があるが、本発明の第9特徴構成によると、釜外搬送台車を出し入れ口を通過して殺菌釜の内部に進入させることで出し入れ口を通してパレットを殺菌釜の内部に搬入することができるので、釜内搬送台車とのパレットの移載のために釜外搬送台車を停止させる必要がない。このように、本発明の第9特徴構成によると、殺菌釜の内部へのパレットの搬入を円滑に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の栽培設備を栽培対象がなめこである栽培設備に適用した実施形態について図面に基づいて説明する。
【0045】
図1に示すように、本実施形態のなめこ栽培設備は、培養棟100、発生棟200、パケージ棟300の3つの棟から構成されている。なめこの栽培は、図2のなめこ栽培フローに示すように、培養棟100での(1)仕込み(2)殺菌(3)放冷(4)接種(5)培養の各工程と、発生棟200での(6)芽出(7)育成(8)収穫の各工程がある。
【0046】
仕込み工程では、広葉樹のオガクズとふすま(小麦の外皮)等を混ぜた培養基を仕込場101でプラスチックボトル製の栽培容器1に詰め、予冷庫102で低温保管した後、殺菌工程で、この培養基を殺菌釜103にて蒸して殺菌する。一次放冷室104及び二次放冷室105における放冷工程で冷却した後、接種室106における接種工程で、培養基に種菌を接種させる。そして、気温摂氏16度〜22度、湿度70〜85%に空調管理された培養室107における培養工程で62日間保管する。その後、培養‐発生棟間接続コンベヤ401にて発生棟200に搬送して、芽出工程では、蛍光灯をつけて気温摂氏15度、湿度95%に空調管理された芽出・発生室201で13日間保管する。さらに、育成工程では、気温摂氏8度〜15、湿度80%に空調管理された育成室202で5日間保管した後、収穫室203に搬送して栽培容器1からなめこを自動で刈り取って収穫する。収穫したなめこは、発生‐パッケージ棟間接続コンベヤ402でパッケージ棟300に搬送され、洗浄、袋詰めした後、保冷ボックスに詰めて出荷される。
【0047】
発生棟200には、芽出・発生室201、育成室202、収穫室203が設けられている。芽出・発生室201には1台のスタッカークレーン204及びこれに対応して設けられた一対のパレット収納棚205を備えた1基の自動倉庫206が設置されている。また、育成室202には2台のスタッカークレーン204及びこれらに対応して設けられた2対のパレット収納棚205を備えた2基の自動倉庫206が設置されている。さらに、培養棟100の培養室107にも同様に、2台のスタッカークレーン204及びこれらに対応して設けられた2対のパレット収納棚205を備えた2基の自動倉庫206が設置されている。
【0048】
培養棟100の仕込場101では、栽培容器1に培養基7が詰め込まれた後、図3に示すように、収納容器1は、通気性のキャップ1aが取り付けられた状態で、4行4列で16個の栽培容器1を整然と収納するコンテナ2に収納され、コンテナ2単位で予冷庫102側へコンベヤ搬送される。そして、予冷庫102の入口側に設置されたパレタイザ3によりコンテナ2が、図4に示すように、アルミ製のパレット4上に11段まで段積みされ、以後、殺菌工程及び放冷工程では、栽培容器1はパレット単位で取り扱われる。
【0049】
予冷庫102、殺菌釜103、一次放冷室104、二次放冷室105は、この工程順に直線状に配列されており、パレット4が、予冷庫102の入口から二次放冷室105の出口まで人手による搬送作業を行うことなく自動搬送できるようになっている。
【0050】
具体的には、予冷庫102、殺菌釜103、一次放冷室104、二次放冷室105の内部には駆動チェーンコンベヤで構成された内部コンベヤが各搬送面の高さを揃えた状態で設置され、これらが互いにパレット4を中継搬送することで、複数工程に亘る直線状の工程間パレット搬送経路に沿ってパレット4を搬送できるようになっている。各内部コンベヤは、搬送方向にパレット4を9枚隣接して載置できる長さとなっており、各工程の処理ではパレット4が9枚単位で取り扱われる。
【0051】
工程間パレット搬送経路は、その幅方向に並ぶ一対の第1経路と第2経路とからなる。すなわち、予冷庫内第1コンベヤ12a、第1釜内コンベヤ13a、一次放冷室内第1コンベヤ14a、及び、二次放冷室内第1コンベヤが各搬送面の高さを揃えた状態で第1経路に沿って設けられ、また、予冷庫内第2コンベヤ12b、第2釜内コンベヤ13b、一次放冷室内第2コンベヤ14b、及び、二次放冷室内第2コンベヤが各搬送面の高さを揃えた状態で第2経路に沿って設けられている。
【0052】
そして、予冷庫102には、予冷庫内第1コンベヤ12a及び予冷庫内第2コンベヤ12bが搬送幅方向に隣接して設けられて、一次放冷室104には、一次放冷室内第1コンベヤ14a及び一次放冷室内第2コンベヤ14bが搬送幅方向に隣接して設けられて、二次放冷室104には、二次放冷室内第1コンベヤ及び二次放冷室内第2コンベヤが搬送幅方向に隣接して設けられている。
【0053】
なお、予冷庫102の殺菌釜103側の壁における第1経路が通る箇所には両側揺動式の予冷庫用第1揺動扉11aが、また、予冷庫102の殺菌釜103側の壁における第2経路が通る箇所には両側揺動式の予冷庫用第2揺動扉11bが設けられている。同様に、一次放冷室104の殺菌釜103側の壁における第1経路が通る箇所には両側揺動式の放冷室用第1揺動扉15aが、また、一次放冷室104の殺菌釜103側の壁における第2経路が通る箇所には両側揺動式の放冷室用第2揺動扉15bが設けられている。
【0054】
二次放冷室105の出口側には、パレット4上のコンテナ2を段ばらしするデパレタイザ5が設置されている。二次放冷室105における保冷工程が完了すると、このデパレタイザ5により、パレット4上のコンテナ2が段ばらしされる。段ばらしされたコンテナ2は、接種室106にコンベヤ搬送され、デパレタイザイ5により空にされたパレット4は、返却コンベヤ6により前記パレタイザ3に順次搬送供給される。
【0055】
殺菌釜103としては、第1経路に位置する第1殺菌釜103aと、第2経路に位置する第2殺菌釜103bとが設けられている。
【0056】
図5〜図7に示すように、第1殺菌釜103aは、直方体形状に構成されており、コンテナ2に収納された栽培容器1を積層状態で載置されたパレット4を出し入れする第1殺菌釜103aの出し入れ口18として予冷庫102側の側面に設けられた第1釜用入口18inと一次放冷室104側の側面に設けられた第1釜用出口18outとが設けられ、この第1釜用入口18inを開放する開き位置と閉鎖する閉じ位置とに位置変更自在な開閉扉19としての第1釜入口扉19inと前記第1釜用出口18outを開放する開き位置と閉鎖する閉じ位置とに位置変更自在な開閉扉19としての第1釜出口扉19outとが設けられている。
【0057】
第2殺菌釜103bは、直方体形状に構成されており、コンテナ2に収納された栽培容器1を積層状態で載置されたパレット4を出し入れする第2殺菌釜103bの出し入れ口20として予冷庫102側の側面に設けられた第2釜用入口20inと一次放冷室104側の側面に設けられた第2釜用出口20outとが設けられ、この第1釜用入口20inを開放する開き位置と閉鎖する閉じ位置とに位置変更自在な開閉扉21としての第1釜入口扉21inと前記第2釜用出口20outを開放する開き位置と閉鎖する閉じ位置とに位置変更自在な開閉扉21としての第2釜出口扉21outとが設けられている。
【0058】
つまり、第1殺菌釜103aには、第1殺菌釜103aにパレット4を出し入れする第1殺菌釜103aの出し入れ口18としての第1釜用入口18inと第1釜用出口18outが、第1釜内コンベヤ13aの上流側搬送端部及び下流側搬送端部にて、互いに対向する状態で形成されている。
【0059】
そして、第1釜用入口18inを開放する開き位置と閉鎖する閉じ位置とに位置変更自在な第1殺菌釜103aについての開閉扉19としての第1釜入口扉19inが、揺動縦軸心が、第1釜用入口18inにおける第2殺菌釜103bの存在しない側の端辺近傍に設定された縦軸心Ya1回りの揺動操作式にて構成されている。同様に、第1釜用出口18outを開放する開き位置と閉鎖する閉じ位置とに位置変更自在な第1殺菌釜103aについての開閉扉19としての第1釜出口扉19outが、揺動縦軸心が第1釜用出口18outにおける第2殺菌釜103bの存在しない側の端辺近傍に設定された縦軸心Ya2回りの揺動操作式にて構成されている。
【0060】
同様に、第2殺菌釜103bは、第1殺菌釜103aと開閉扉の揺動操作方向が反対であるほかは同様の構成である。すなわち、第2殺菌釜103bには、第2殺菌釜103bの出し入れ口20としての第2釜用入口20inと第2釜用出口20outが、第2釜内コンベヤ13bの上流側搬送端部及び下流側搬送端部にて互いに対向する状態で形成され、第2殺菌釜103bについての開閉扉21としての第2釜入口扉21inが、揺動縦軸心が第2釜用入口2inにおける第1殺菌釜103aの存在しない側の端辺近傍に設定された縦軸心Yb回りの揺動操作式にて構成されている。
【0061】
また、第1殺菌釜103aの内部には、第1殺菌釜103aの内部にてパレット4を搬送する第1殺菌釜103aにおける釜内搬送手段TINaとしての第1釜内コンベヤ13aが、第2殺菌釜103bの内部には、第2殺菌釜103bの内部にてパレット4を搬送する第2殺菌釜103bにおける釜内搬送手段TINbとしての第2釜内コンベヤ13bが設けられている。
【0062】
予冷庫内第1コンベヤ12aと第1釜内コンベヤ13aとの間は、これらのコンベヤの搬送経路横幅方向に床面上で往復スライド移動する釜入口側横移動コンベヤ16が入口側第1経路位置P1と入口側第2経路位置P2とに位置変更されることにより、接続状態と断絶状態に切り換えられるように構成されている。また、予冷庫内第2コンベヤ12bと第2釜内コンベヤ13bとの間は、前記釜入口側横移動コンベヤ16が入口側第2経路位置P2と入口側第1経路位置P1とに位置変更されることにより、接続状態と断絶状態に切り換えられるように構成されている。
【0063】
このように本実施形態では、釜入口側横移動コンベヤ16と予冷庫内第1コンベヤ12aとで第1釜外搬送手段TEXaについての入口側搬送部としての第1入口側搬送部Tinaを構成している。同様に、釜入口側横移動コンベヤ16と予冷庫内第2コンベヤ12bとで第2釜外搬送手段TEXbについての入口側搬送部としての第2入口側搬送部Tinbを構成している。そして、第1入口側搬送部Tinaについての端部形成部材と第2入口側搬送部Tinbについての端部形成部材とが、入口側第1経路位置P1と入口側第2経路位置P2とで位置変更される釜入口側横移動コンベヤ16にて兼用されている。
【0064】
また、入口側第1経路位置P1は、第1入口側搬送部Tinaの端部部分についての通常位置としての入口用通常位置であると同時に、第2入口側搬送部Tinbの端部部分についての退避位置としての入口用退避位置となっている。入口側第2経路位置P2は、第1入口側搬送部Tinaの端部部分についての退避位置としての入口用退避位置であると同時に、第2入口側搬送部Tinbの端部部分についての通常位置としての入口用通常位置となっている。
【0065】
各殺菌釜の出口側についても同様に、第1釜内コンベヤ13aと一次放冷室内第1コンベヤ14aとの間及び第2釜内コンベヤ13bと一次放冷室内第2コンベヤ14bとの間は、これらのコンベヤの搬送経路横幅方向に床面上で往復スライド移動する釜出口側横移動コンベヤ17が出口側第1経路位置Q1と出口側第2経路位置Q2とに位置変更されることにより、接続状態と断絶状態に切り換えられるように構成されている。
【0066】
これにより各殺菌釜の出口側については、釜出口側横移動コンベヤ17と一次放冷室内第1コンベヤ14aとで第1釜外搬送手段TEXaについての出口側搬送部としての第1出口側搬送部Toutaを構成している。同様に、釜出口側横移動コンベヤ17と一次放冷室内第2コンベヤ14bとで第2釜外搬送手段TEXbについての出口側搬送部としての第2出口側搬送部Toutbを構成している。
【0067】
そして、第1出口側搬送部Toutaについての端部形成部材と第2出口側搬送部Toutbについての端部形成部材とが、出口側第1経路位置Q1と出口側第2経路位置Q2とで位置変更される釜出口側横移動コンベヤ17にて兼用されている。また、出口側第1経路位置Q1は、第1出口側搬送部Toutaの端部部分についての通常位置としての出口用通常位置であると同時に、第2出口側搬送部Toutbの端部部分についての退避位置としての出口用退避位置となっている。出口側第2経路位置Q2は、第1出口側搬送部Toutaの端部部分についての退避位置としての出口用退避位置であると同時に、第2出口側搬送部Toutbの端部部分についての通常位置としての出口用通常位置となっている。
【0068】
また、第1入口側搬送部Tinaと第1出口側搬送部Toutaとで第1殺菌釜103aについての第1釜外搬送手段TEXaが構成され、第2入口側搬送部Tinbと第2出口側搬送部Toutbとで第2殺菌釜103bについての第2釜外搬送手段TEXbが構成されている。
【0069】
このように、本実施形態では、釜外搬送手段としての第1釜外搬送手段TEXa及び第2釜外搬送手段TEXbが、その搬送経路横幅方向に並ぶ状態で設けられ、これらの一対の釜外搬送手段に対応する一対の開閉扉としての第1入口扉19in及び第2入口扉21inや、第1出口扉19out及び第2出口扉21outが、互いに揺動先端側を対向させた状態で第1釜外搬送手段TEXa及び第2釜外搬送手段TEXbにてパレットが搬送される第1殺菌釜103a及び第2殺菌釜103bの夫々に設けられ、第1釜外搬送手段TEXa及び第2釜外搬送手段TEXbの夫々についての端部部分としての釜入口側横移動コンベヤ16や釜出口側横移動コンベヤ17が第1釜外搬送手段TEXaと第2釜外搬送手段TEXbとに兼用され、第1釜外搬送手段TEXaについての退避位置及び通常位置としての入口用退避位置及び入口用通常位置が、第2釜外搬送手段TEXbについての通常位置及び退避位置としての入口用通常位置及び入口用退避位置に設定され、第1釜外搬送手段TEXaについての退避位置及び通常位置としての出口用退避位置及び出口用通常位置が、第2釜外搬送手段TEXbについての通常位置及び退避位置としての出口用通常位置及び出口用退避位置に設定されている。
【0070】
釜入口側横移動コンベヤ16及び釜出口側横移動コンベヤ17は、一対のチェーンコンベヤにて構成されている。釜入口側横移動コンベヤ16及び釜出口側横移動コンベヤ17の一対のチェーンコンベヤの設置間隔は、予冷庫内第1コンベヤ12a及び予冷庫内第2コンベヤ12b、第1釜内コンベヤ13a及び第2釜内コンベヤ13b、並びに、一次放冷室内第1コンベヤ14a及び一次放冷室内第2コンベヤ14bを構成する夫々の一対のチェーンコンベヤの設置間隔と同じになっている。
【0071】
釜入口側横移動コンベヤ16は、駆動装置付きの移動手段としての入口側スライドテーブル22により床面に沿って入口側第1経路位置P1と入口側第2経路位置P2との間で移動操作されるようになっている。同様に、出口側スライドテーブル23は、駆動装置付きの移動手段としての出口側スライドテーブル23により床面に沿って出口側第1経路位置Q1と出口側第2経路位置Q2との間で移動操作されるようになっている。
【0072】
入口側スライドテーブル22は、入口側第1経路位置P1と入口側第2経路位置P2との間の入口側スライドテーブル22の移動経路に沿って床面上に敷設された一対の入口側ガイドレール24と、駆動輪及び従動輪からなる車輪25、前記駆動輪を回転駆動する駆動装置及び駆動装置の作動を制御する制御装置などを備えたテーブル本体26とで構成されている。同様に、出口側スライドテーブル23は、一対の出口側ガイドレール27とテーブル本体26とで構成されている。
【0073】
入口側ガイドレール24の床上高さは、第1釜入口扉19in及び第2釜入口扉21inの下端部の高さよりも低くなっている。これにより、入口側スライドテーブル22を入口側第2経路位置P2に退避させることで、第1釜入口扉19inを開閉操作することができ、また、入口側スライドテーブル22を入口側第1経路位置P1に退避させることで、第2釜入口扉21inを開閉操作することができるようになっている。
【0074】
同様に、出口側ガイドレール27の床上高さは、第1釜出口扉19out及び第2釜出口扉21outの下端部の高さよりも低くなっている。これにより、出口側スライドテーブル23を出口側第2経路位置Q2に退避させることで、第1釜出口扉19outを開閉操作することができ、また、出口側スライドテーブル23を出口側第1経路位置Q1に退避させることで、第2釜出口扉21outを開閉操作することができるようになっている。
【0075】
なお、第1釜入口扉19in及び第2釜入口扉21in並びに第1釜出口扉19out及び第2釜出口扉21outの下端部分には側面視で殺菌釜103の内部側に入り込む矩形状の切り欠きが形成されており、これらの開閉扉の下端部の厚みを薄くしている。
【0076】
これにより、例えば、第2釜入口扉21inを開き位置にして、入口側スライドテーブル22を入口側第2経路位置P2に位置させて第2殺菌釜103bにパレット4の搬入作業を行った後、第2釜入口扉21inを閉じ操作するために、入口側スライドテーブル22を入口側第1経路位置P1に退避させようとする場合に、第1釜入口扉19inが閉じ位置であってもわざわざ第1釜入口扉19inを開き位置に位置変更することなく入口側スライドテーブル22を入口側第1経路位置P1に位置変更することができる。
【0077】
上記構成の殺菌釜103を使用して栽培容器1を殺菌処理する場合の作業手順について簡単に説明する。まず、予め予冷庫102の予冷庫内第1コンベヤ12a及び予冷庫内第1コンベヤ12bの夫々に9パレット分の栽培容器1をストレージしておく。そして、第1殺菌釜103aに予冷庫内第1コンベヤ12aにストレージされた9枚のパレット4を搬入するべく、釜入口側横移動コンベヤ16を入口側第2経路位置P2に位置させた状態で第1釜入口扉19inを開き位置に開操作し、釜入口側横移動コンベヤ16を入口側第1経路位置P1に移動させて、予冷庫用第1揺動扉11aを開いて第1殺菌釜103aにパレット4を搬入できる状態とする。
【0078】
なお、釜入口側横移動コンベヤ16及び釜出口側横移動コンベヤ17の移動操作は、作業員がリモコン等の指令手段により入口側スライドテーブル22や出口側スライドテーブル23についての位置切り換え指令を指令することで行なわれるようにしている。
【0079】
そして、予冷庫内第1コンベヤ12a、釜入口側横移動コンベヤ16及び第1釜内コンベヤ13aを作動させて、予冷庫内第1コンベヤ12aにストレージされた9枚のパレット4を連続的に順次第1殺菌釜103aに搬入する。搬入が完了すると、各コンベヤの作動を停止させて、第2釜入口扉21inを開き位置にした上で、釜入口側横移動コンベヤ16を入口側第2経路位置P2に移動させて、予冷庫用第2揺動扉11bを開いて第2殺菌釜103bにパレット4を搬入できる状態とする。
【0080】
この段階で、第1釜入口扉19inの閉じ操作が可能であるので、搬入が完了している第1殺菌釜103aの第1釜入口扉19inを閉じ位置にしておく。
【0081】
そして、予冷庫内第2コンベヤ12b、釜入口側横移動コンベヤ16及び第2釜内コンベヤ13bを作動させて、予冷庫内第2コンベヤ12bにストレージされた9枚のパレット4を連続的に順次第2殺菌釜103bに搬入する。搬入が完了すると、各コンベヤの作動を停止させて、第1釜入口扉19inが閉じ位置であることを確認した上で、釜入口側横移動コンベヤ16を入口側第1経路位置P1に移動させて、第2釜入口扉21inを閉じ位置にする。
【0082】
このようにして、第1殺菌釜103a及び第2殺菌釜103bの夫々に9パレット分の栽培容器1が搬入された状態で、第1釜入口扉19in及び第2釜入口扉21inを閉じ位置とすることができる。殺菌処理の開始は、第1殺菌釜103aの第1釜用入口18inの横脇に設けられた第1殺菌釜用操作パネル8a及び第2殺菌釜103bの第2釜用入口20inの横脇に設けられた第2殺菌釜用操作パネル8bを作業員が操作することで行われる。
【0083】
殺菌処理が終了すると、上述した入口側でのパレット4の搬入と同様の要領で釜出口側横移動コンベヤ17の位置切り換え操作を行いながら第1釜入口扉19in及び第2釜入口扉21inの開閉操作を行って、第1殺菌釜103a及び第2殺菌釜103bからパレット4を搬出する。
【0084】
なお、第1殺菌釜103aや第2殺菌釜103bに存在する殺菌処理済みの栽培容器1を載置したパレット4を、第1殺菌釜103aや第2殺菌釜103bにパレット4を搬入する時の第1釜内コンベヤ13aや第2釜内コンベヤ13bの搬送作動を利用して同時期に搬出することも可能である。
【0085】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0086】
(1)上記実施形態では、釜外搬送手段及び釜内搬送手段が、パレットを載置搬送可能なコンベヤにて構成されているものを例示したが、これに代えて、前記釜外搬送手段が、前記殺菌釜の外部の床面に敷設された釜外案内軌道と、この釜外案内軌道に沿って前記パレットを載置支持した状態で自走可能な釜外搬送台車にて構成され、前記釜内搬送手段が、前記殺菌釜の内部の床面に敷設された釜内案内軌道と、この釜内案内軌道に沿って前記パレットを載置支持した状態で自走可能な釜内搬送台車にて構成され、前記釜外案内軌道の前記出し入れ口側の端部部分が前記釜外搬送手段の端部部分として前記通常位置と前記退避位置とに移動自在に構成されているものであってもよい。
【0087】
例えば、図8に示すように、第1釜外搬送手段TEXaが、第1殺菌釜103aの外部の床面に敷設された釜外案内軌道としての予冷庫内第1軌道8a及びに入口側第1経路位置P1に位置する釜入口側横移動軌道29と、この釜外案内軌道に沿ってパレット4を載置支持した状態で自走可能な釜外搬送台車Moutにて構成され、第1釜内搬送手段TINaが、第1殺菌釜103aの内部の床面に敷設された釜内案内軌道としての第1釜内軌道9aと、この第1釜内軌道9aに沿ってパレット4を載置支持した状態で自走可能な釜内搬送台車Minにて構成され、第1釜外搬送手段TEXaの出し入れ口18in側の端部部分である釜入口側横移動軌道29が釜外搬送手段の端部部分として通常位置としての入口側第1経路位置P1と退避位置としての入口側第2経路位置P2に移動自在に構成され、第2釜外搬送手段TEXbが、第2殺菌釜103bの外部の床面に敷設された釜外案内軌道としての予冷庫内第2軌道8b及びに入口側第2経路位置P2に位置する釜入口側横移動軌道29と、この釜外案内軌道に沿ってパレット4を載置支持した状態で自走可能な釜外搬送台車Moutにて構成され、第2釜内搬送手段TINbが、第2殺菌釜103bの内部の床面に敷設された釜内案内軌道としての第2釜内軌道9bと、この第2釜内軌道9bに沿ってパレット4を載置支持した状態で自走可能な釜内搬送台車Minにて構成され、第2釜外搬送手段TEXbの出し入れ口18in側の端部部分である釜入口側横移動軌道29が釜外搬送手段の端部部分として通常位置としての入口側第2経路位置P2と退避位置としての入口側第1経路位置P1に移動自在に構成されているものであってもよい。
【0088】
また、出口側については、上記入口側の構成について、釜入口側横移動軌道29を釜出口側横移動軌道30に、入口側第1経路位置P1を出口側第1経路位置Q1に、入口側第2経路位置P2を出口側第2経路位置Q2に、予冷庫内第1軌道8aを一次放冷室内第1軌道10aに、予冷庫内第2軌道8bを一次放冷室内第2軌道10bに、第1入口側搬送部Tinaを第2入口側搬送部Tinbに、第1出口側搬送部Toutaを第2出口側搬送部Toutbに、第1釜内搬送手段TINaを第2釜内搬送手段TINbに、第1釜外搬送手段TEXaを第2釜外搬送手段TEXabに、置換することで得られる。
【0089】
なお、図8においては、釜外搬送台車Moutが出し入れ口を通過して釜内搬送台車Minとして、殺菌釜の内部でパレットを搬送するものを記載したが、釜外搬送台車Moutと釜内搬送台車Minとがいずれもパレット搬送方向とその方向と反対の方向とに移動自在に構成され、出し入れ口において、釜外搬送台車Moutと釜内搬送台車Minとの間でパレットを載せ換えるものであってもよい。さらに、この場合、釜内搬送台車Minを、殺菌釜の内部においてのみ移動可能に構成してもよい。
【0090】
(2)上記実施形態では、殺菌釜及び釜外搬送手段が一対設けられたものを例示したが、殺菌釜及び釜外搬送手段が単一のものであってもよい。
【0091】
(3)上記実施形態では、出し入れ口として、入口と出口を各別に備えたものを例示したが、入口と出口とを兼用し、殺菌釜の一側面にのみ出し入れ口が設けられたものであってもよい。
【0092】
(4)上記実施形態では、開閉扉が縦軸心回りに揺動して閉じ位置と開き位置とに位置変更するものを例示したが、これに限らず、例えば、出し入れ口の上端部に設定された上部横軸心回りに揺動して閉じ位置と開き位置とに位置変更するものや、板状体を上下に昇降させて閉じ位置と開き位置とに位置変更するものであってもよい。
【0093】
(5)上記実施形態では、釜外搬送手段の搬送方向が出し入れ口におけるパレットの出し入れ方向に一致するものを例示したが、これに代えて、釜外搬送手段の搬送方向が出し入れ口におけるパレットの出し入れ方向に一致しないものであってもよい。例えば、釜外搬送手段の搬送方向が複数の殺菌釜の並び方向に一致したものであってもよい。この場合、各殺菌釜の出し入れ口の釜外側箇所に位置する部分が釜外搬送手段の端部部分であり、釜外搬送手段を例えばコンベヤや搬送台車及びその移動軌道で構成する場合、それらの複数箇所が端部部分となる。そして、端部部分の夫々が、出し入れ口の釜外側箇所に位置する接近位置とこの接近位置からパレット出し入れ方向で殺菌釜に離間した離間位置との間で移動自在に構成すればよい。
【0094】
釜内搬送手段の搬送方向は変更してもよく、たとえば、釜内搬送手段が殺菌釜の内部でパレットを出し入れ口の縦横に搬送及び移載するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】なめこ培養設備の全体平面図
【図2】なめこ栽培フロー
【図3】コンテナに収納された栽培容器を示す斜視図
【図4】パレットに積層状態で載置された栽培容器を示す図
【図5】殺菌釜の平面図
【図6】殺菌釜の正面図
【図7】殺菌釜の入口側の一部縦断側面図
【図8】別実施形態における釜外搬送手手段及び釜内搬送手段等を示す図
【符号の説明】
【0096】
102 予冷庫
103、103a、103b 殺菌釜
104 放熱庫
105 放熱庫
P1、P2 入口用通常位置、入口用退避位置
Q1、Q2 出口用通常位置、出口用退避位置
Ya1、Ya2、Yb1、Yb2 縦軸心
TEXa、TEXb 釜外搬送手段
TINa、TINb 釜内搬送手段
Tina、Tinb 入口側搬送部
Touta、Toutb 出口側搬送部
Min 釜内搬送台車
Mout 釜外搬送台車
1 栽培容器
4 パレット
7 培養基
8a、8b、12a、12b 釜外搬送手段、入口側搬送部
9a、9b、13a、13b 釜内搬送手段
10a、10b、14a、14b 釜外搬送手段、出口側搬送部
16,17、29、30 釜外搬送手段の端部部分
18 出し入れ口
18in 入口
18out 出口
19 開閉扉
19in 入口側の開閉扉
19out 出口側の開閉扉
20 出し入れ口
20in 入口
20out 出口
21 開閉扉
21in 入口側の開閉扉
21out 出口側の開閉扉
22、23 移動手段
24、27 案内軌道、移動手段
26 スライドテーブル本体、移動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培対象を培養するための培養基が詰め込まれた栽培容器に対する殺菌処理を行う殺菌釜が設けられ、
前記栽培容器が複数載置されているパレットを出し入れする出し入れ口と、この出し入れ口を開放する開き位置と閉鎖する閉じ位置とに位置変更自在な開閉扉とが前記殺菌釜に設けられている栽培設備であって、
前記殺菌釜の内部にて前記パレットを搬送する釜内搬送手段と前記殺菌釜の外部にて前記パレットを搬送する釜外搬送手段とが、前記開閉扉が開き位置である状態において前記出し入れ口を通して前記パレットを搬送可能に構成され、
前記釜外搬送手段の前記出し入れ口側に位置する端部部分が、前記釜外搬送手段及び前記釜内搬送手段とが前記開閉扉が開き位置である状態において前記出し入れ口を通して前記パレットを搬送可能となる通常位置と、前記通常位置から離間してかつ前記閉じ位置と前記開き位置との間で位置変更される前記開閉扉と干渉しない退避位置とに移動自在に構成され、
前記端部部分を前記通常位置と前記退避位置とに移動させる移動手段が設けられている栽培設備。
【請求項2】
前記開閉扉が縦軸心回りに揺動して前記閉じ位置と前記開き位置とに位置変更するように構成され、
前記釜外搬送手段が、前記出し入れ口における前記パレットの出し入れ方向を搬送方向とするように設けられ、
前記退避位置が、前記通常位置から前記釜外搬送手段の搬送経路横幅方向で前記開閉扉の揺動先端側に離れた位置に設定されている請求項1記載の栽培設備。
【請求項3】
前記釜外搬送手段が、前記釜外搬送手段の搬送経路横幅方向に並ぶ状態で一対設けられ、
前記一対の釜外搬送手段に対応する一対の前記開閉扉が、互いに揺動先端側を対向させた状態で前記一対の釜外搬送手段にて前記パレットが搬送される一対の前記殺菌釜の夫々に設けられ、
前記一対の釜外搬送手段の夫々についての前記端部部分が兼用され、
一方の釜外搬送手段についての前記退避位置及び前記通常位置が、他方の釜外搬送手段についての前記通常位置及び前記退避位置に設定されている請求項2記載の栽培設備。
【請求項4】
前記出し入れ口が、前記パレットが搬入される入口と、この入口に対向する位置に設けられて前記パレットが搬出される出口とで構成され、
前記入口及び前記出口の夫々に前記開閉扉が設けられ、
前記釜内搬送手段が、前記入口から前記出口まで前記パレットを搬送可能に構成され、
前記釜外搬送手段が、前記パレットを前記入口まで搬送する入口側搬送部と前記パレットを前記出口から搬送する出口側搬送部とで構成され、
前記入口側搬送部及び前記出口側搬送部が前記入口及び前記出口の並び方向を搬送方向とするように構成され、
前記入口側搬送部の前記端部部分が、前記入口側搬送部及び前記釜内搬送手段とが前記入口側の前記開閉扉が開き位置である状態において前記入口を通して前記パレットを搬送可能となる前記通常位置としての入口用通常位置と、前記入口用通常位置から離間してかつ前記閉じ位置と前記開き位置との間で位置変更される前記入口側の前記開閉扉と干渉しない前記退避位置としての入口用退避位置とに移動自在に構成され、
前記出口側搬送部の前記端部部分が、前記出口側搬送部及び前記釜内搬送手段とが前記出口側の前記開閉扉が開き位置である状態において前記出口を通して前記パレットを搬送可能となる前記通常位置としての出口用通常位置と、前記出口用通常位置から離間してかつ前記閉じ位置と前記開き位置との間で位置変更される前記出口側の前記開閉扉と干渉しない前記退避位置としての出口用退避位置とに移動自在に構成されている請求項1〜3の何れか1項記載の栽培設備。
【請求項5】
前記入口側搬送部が、前記殺菌釜により殺菌処理される前の栽培容器を低温雰囲気で保管する予冷庫にて前記パレットを搬送する予冷庫内搬送部を有し、
前記出口側搬送部が、前記殺菌釜により殺菌処理された後の栽培容器を放熱させる放熱庫にて前記パレットを搬送する放熱庫内搬送部を有している請求項4記載の栽培設備。
【請求項6】
前記移動手段が、床面に沿った水平移動により、前記端部部分を前記通常位置と前記退避位置とに切り換えるスライドテーブル本体と、このスライドテーブル本体を案内移動する案内軌道にて構成され、
前記案内軌道は、その床上高さが前記開閉扉の下端の床上高さよりも下方に位置するように構成されている請求項1〜5の何れか1項記載の栽培設備。
【請求項7】
前記釜外搬送手段及び前記釜内搬送手段が、前記パレットを載置搬送可能なコンベヤにて構成されている請求項1〜6のいずれか1項記載の栽培設備。
【請求項8】
前記釜外搬送手段が、前記殺菌釜の外部の床面に敷設された釜外案内軌道と、この釜外案内軌道に沿って前記パレットを載置支持した状態で自走可能な釜外搬送台車にて構成され、
前記釜内搬送手段が、前記殺菌釜の内部の床面に敷設された釜内案内軌道と、この釜内案内軌道に沿って前記パレットを載置支持した状態で自走可能な釜内搬送台車にて構成され、
前記釜外案内軌道の前記出し入れ口側の端部部分が前記釜外搬送手段の端部部分として前記通常位置と前記退避位置とに移動自在に構成されている請求項1〜6のいずれか1項記載の栽培設備。
【請求項9】
前記釜内搬送台車が、前記開閉扉が開き位置に位置する状態で前記出し入れ口を通過して前記殺菌釜の内部に進入する前記釜外搬送台車にて構成されている請求項8記載の栽培設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−35441(P2010−35441A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198907(P2008−198907)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】