説明

框組み建具

【課題】部材の共通化を図ることができ、意匠性にも優れた框組み建具を提供することにある。
【解決手段】
無垢の木材や中質繊維板(MDF)等の木質材料によって形成されたドア框10と、このドア框10に組み付けられる板ガラスからなる上部鏡板20A及び木製パネルからなる下部鏡板20Bとを備えており、ドア框10は、左右一対の縦框11、11と、この縦框11、11を、その上端部、中間部及び下端部で相互に連結する上框(上桟)12、中框(中桟)13及び下框(下桟)14とから構成されている。縦框11、11と中框13及び下框14とは、接着剤によって固着されているが、縦框11、11と上框12とは、接着剤を用いることなく、ねじ止めされており、縦框11、11に対して上框12を着脱することができるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガラス製の鏡板が組み付けられた引き戸や開き戸等の框組み建具に関する。
【背景技術】
【0002】
このように、ガラス製の鏡板が組み付けられた框組み建具では、ガラス製の鏡板が割れて破損することが考えられるので、ガラス製の鏡板については、これを交換することができるように、框に着脱可能に組み付けられている。
【0003】
具体的には、図5に示すように、表裏一対のモール53a、53bによって鏡板52の周縁部を挟み込んだ状態で、このモール53a、53bを框51に取り付けることで、鏡板52が框51に組み付けられており、一方のモール53aは、取り外すことができないように、ステープル54によって框51にタッカー止めされているが、他方のモール53bは、取り外すことができるように、框51にねじ止めされている。
【0004】
従って、ガラス製の鏡板52が割れたときは、図6(a)に示すように、ねじ55を外すことによって、片側のモール53bを框51から取り外して、割れた鏡板52を新たな鏡板52に交換した後、同図(b)に示すように、片側のモール53bを框51に再度ねじ止めすることで、新たな鏡板52を框51に組み付けることができる。
【0005】
【特許文献1】実開昭63−174291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような框組み建具では、モール53bを框51に固定しているねじ55の頭部が露出することになり、意匠性が悪いといった問題がある。
【0007】
また、鏡板が木製パネルの場合は、鏡板を交換する必要がないので、予めモールが一体化された框を使用しており、鏡板がガラス製の場合と木製パネルの場合で、部材の共通化ができず、框組み建具を製造するために、予め準備しておく部材の種類が多くなるといった問題もある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、部材の共通化を図ることができ、意匠性にも優れた框組み建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、左右一対の縦框と、左右一対の前記縦框の上端部同士を相互に連結する上框と、左右一対の前記縦框の下端部同士を相互に連結する下框と、ガラス製の鏡板とを備え、前記縦框には、ガラス製の前記鏡板の両側縁部を嵌め込む嵌合溝を有するモールが一体化されており、前記上框には、ガラス製の前記鏡板の上縁部を嵌め込む嵌合溝を有するモールが一体化されており、前記下框が左右一対の前記縦框に接着固定されると共に、前記上框が左右一対の前記縦框にねじ止めされていることを特徴とする框組み建具を提供するものである。
【0010】
また、上記の課題を解決するため、請求項2に係る発明は、左右一対の縦框と、左右一対の前記縦框の上端部同士を相互に連結する上框と、左右一対の前記縦框の下端部同士を相互に連結する下框と、ガラス製の鏡板とを備え、前記縦框には、ガラス製の前記鏡板の両側縁部を嵌め込む嵌合溝を有するモールが一体化されており、前記下框には、ガラス製の前記鏡板の下縁部を嵌め込む嵌合溝を有するモールが一体化されており、前記上框が左右一対の前記縦框に接着固定されると共に、前記下框が左右一対の前記縦框にねじ止めされていることを特徴とする框組み建具を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、請求項1に係る発明の框組み建具は、縦框及び上框に、ガラス製の鏡板の両側縁部及び上縁部を嵌め込む嵌合溝を有するモールが一体化されており、上框が左右一対の縦框にねじ止めされているので、ねじを外して縦框から上框を外すと、割れたガラス製の鏡板を縦框の上端側に引き抜いて取り外すことができると共に、新たなガラス製の鏡板を縦框の上端側から差し込んで、上框を縦框に再度ねじ止めすることで、ガラス製の鏡板を簡単に組み付けることができる。
【0012】
また、請求項2に係る発明の框組み建具は、縦框及び下框に、ガラス製の鏡板の両側縁部及び上縁部を嵌め込む嵌合溝を有するモールが一体化されており、下框が左右一対の縦框にねじ止めされているので、ねじを外して縦框から下框を外すと、割れたガラス製の鏡板を縦框の下端側に引き抜いて取り外すことができると共に、新たなガラス製の鏡板を縦框の下端側から差し込んで、下框を縦框に再度ねじ止めすることで、ガラス製の鏡板を簡単に組み付けることができる。
【0013】
従って、請求項1、2に係る発明の框組み建具は、片側のモールを框から取り外すことができるように、片側のモールを框にねじ止めしている従来の框組み建具のように、意匠性が悪くなることがなく、しかも、鏡板がガラス製の場合と木製パネルの場合とで部材を共通化することができるので、部材の種類を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、この框組みドア1は、例えば、無垢の木材や中質繊維板(MDF)等の木質材料によって形成されたドア框10と、このドア框10に組み付けられる板ガラスからなる上部鏡板20A及び木製パネルからなる下部鏡板20Bとを備えており、ドア框10は、左右一対の縦框11、11と、この縦框11、11を、その上端部、中間部及び下端部で相互に連結する上框(上桟)12、中框(中桟)13及び下框(下桟)14とから構成されている。
【0015】
前記縦框11、上框12、中框13及び下框14には、図1及び図2(a)、(b)に示すように、それぞれの内縁側に、上部鏡板20A及び下部鏡板20Bの周縁部を嵌め込む嵌合溝g(上框12、中框13及び下框14については図示せず)が形成されたモール部MPが一体的に形成されており、上框12、中框13及び下框14には、それぞれの両端部に、縦框11のモール部MPに嵌め込まれる嵌合凹部12a(中框13及び下框14については図示せず)が形成されている。
【0016】
前記縦框11、11と中框13及び下框14とは、接着剤によって固着されているが、縦框11、11と上框12とは、接着剤を用いることなく、ねじ止めされており、縦框11、11に対して上框12を着脱することができるようになっている。なお、縦框11には、ねじSを挿通するためのねじ挿通孔shが予め形成されていると共に、上框12にも、縦框11のねじ挿通孔shに対応する位置にねじ導入孔が予め形成されている。
【0017】
以上のように、この框組みドア1は、縦框11、上框12及び中框13に、板ガラス製の上部鏡板20Aの両側縁部、上縁部及び下縁部を嵌め込む嵌合溝gを有するモール部MPが一体的に形成されており、しかも、上框12が左右一対の縦框11、11にねじ止めされているので、図3(a)に示すように、ねじSを外して縦框11、11から上框12を外すと、同図(b)に示すように、板ガラス製の上部鏡板20Aを縦框11の上端側に引き抜いて取り外すことができると共に、新たな板ガラス製の上部鏡板20Aを縦框11の上端側から差し込んで、上框12を縦框11、11に再度ねじ止めすることで、板ガラス製の上部鏡板20Aを簡単に組み付けることができる。従って、板ガラス製の上部鏡板20Aが割れたような場合は、簡単に交換することができる。
【0018】
また、この框組みドア1は、ドア框10を構成している縦框11、上框12、中框13及び下框14に、上部鏡板20A及び下部鏡板20Bの周縁部を嵌め込む嵌合溝gを有するモール部MPが一体的に形成されているので、片側のモールを框から取り外すことができるように、片側のモールを框にねじ止めしている従来の框組み建具のように、意匠性が悪くなることがなく、しかも、鏡板がガラス製の場合と木製パネルの場合とで部材を共通化することができるので、部材の種類を最小限に抑えることができる。
【0019】
また、この框組みドア1は、中框13及び下框14を縦框11、11に接着固定し、上框12だけを縦框11、11にねじ止めするようにしているので、一方の縦框11に上框12、中框13及び下框14を接着固定し、他方の縦框11を上框12、中框13及び下框14にねじ止めする場合に比べて、接着固定部分からねじ止め部分までの距離を十分に確保することができる。従って、木材のうねりや反りに伴うドア框10の変形を吸収しやすく、一旦取り外したねじSによって再度ねじ止めする際、ねじ止めし易いという効果がある。
【0020】
なお、上述した実施形態では、板ガラスからなる上部鏡板20A及び木製パネルからなる下部鏡板20Bがドア框10に組み付けられた框組みドア1について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図4(a)、(b)に示すように、板ガラスからなる1枚の鏡板20だけが、縦框11、11、上框12及び下框14からなるドア框10Aに組み付けられた框組みドア2A、2Bについても、本発明を適用することができる。
【0021】
この場合は、同図(a)に示すように、縦框11、11と上框12とをねじ止めすると共に縦框11、11と下框14とを接着固定するようにしてもよく、同図(b)に示すように、縦框11、11と上框12とを接着固定すると共に縦框11、11と下框14とをねじ止めするようにしてもよい。
【0022】
また、上述した実施形態では、開き戸について説明したが、これに限定されるものではなく、本発明の框組み建具は、ガラス製の鏡板が組み付けられた引き戸についても適用することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明に係る框組み建具の一実施形態である框組みドアを示す正面図である。
【図2】(a)は図1のX−X線に沿った断面図、(b)は図1のY−Y線に沿った断面図である。
【図3】(a)、(b)は同上の框組みドアにおける上部鏡板の着脱方法を説明するための説明図である。
【図4】(a)、(b)は他の実施形態である框組みドアを示す正面図である。
【図5】従来の框組み建具におけるガラス製の鏡板の組付構造を示す断面図である。
【図6】(a)、(b)は同上の框組み建具におけるガラス製の鏡板の交換方法を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1、2A、2B 框組みドア
10、10A ドア框
11 縦框
12 上框(上桟)
12a 嵌合凹部
13 中框(中桟)
14 下框(下桟)
20 鏡板
20A 上部鏡板
20B 下部鏡板
MP モール部
g 嵌合溝
S ねじ
sh ねじ挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の縦框と、
左右一対の前記縦框の上端部同士を相互に連結する上框と、
左右一対の前記縦框の下端部同士を相互に連結する下框と、
ガラス製の鏡板と
を備え、
前記縦框には、ガラス製の前記鏡板の両側縁部を嵌め込む嵌合溝を有するモールが一体化されており、
前記上框には、ガラス製の前記鏡板の上縁部を嵌め込む嵌合溝を有するモールが一体化されており、
前記下框が左右一対の前記縦框に接着固定されると共に、前記上框が左右一対の前記縦框にねじ止めされていることを特徴とする框組み建具。
【請求項2】
左右一対の縦框と、
左右一対の前記縦框の上端部同士を相互に連結する上框と、
左右一対の前記縦框の下端部同士を相互に連結する下框と、
ガラス製の鏡板と
を備え、
前記縦框には、ガラス製の前記鏡板の両側縁部を嵌め込む嵌合溝を有するモールが一体化されており、
前記下框には、ガラス製の前記鏡板の下縁部を嵌め込む嵌合溝を有するモールが一体化されており、
前記上框が左右一対の前記縦框に接着固定されると共に、前記下框が左右一対の前記縦框にねじ止めされていることを特徴とする框組み建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−266924(P2008−266924A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108796(P2007−108796)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】