説明

梁材および梁材を利用した構造物

【課題】 構造が簡単であり、部品点数が少なく、加工性,組付性が向上し、組立てた状態でも簡単に搬送でき、安価な簡易ハウスその他の構造物及びこの構造物の骨組として利用する梁材を提供すること。
【解決手段】 水平又はU字状,V字状,山形状若しくは半円状に折り曲げてアーチ状に形成した弾性な線材からなる梁本体2と、梁本体2の両端に当該梁本体2と左右方向又は前後方向に直交して延設された波形又は台形状の係止線条3,3とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の育成に利用するビニールハウス等の簡易のハウス,温室の換気装置およびこれらの構造物の骨組として利用する梁材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、野菜,花,果実等の植物の育成,栽培に利用するビニールハウスでは地上にアーチ状のパイプからなる骨組を多数起立させ、このアーチ状の骨組上に透光性のシートを展張させるのが一般的である。
【0003】
このビニールハウスとしては大型のトンネルハウスや小型の簡易ハウスが知られており、アーチパイプからなる骨組は、直接地上に差し込んで起立するタイプのものや、あらかじめ矩形の枠体を形成しておき、この枠体上に起立させるタイプのものが知られている。
【0004】
特に、最近は、家庭用のミニハウスとしては、例えば、特許文献1,2に示すような、大型のハウス用のアーチパイプに比べて比較的小さいアーチ状の梁材を利用した簡易ハウスが流行してきている。
【0005】
特許文献1に示す簡易ハウスは、平行な一対のレール状枠体と、この枠体上に平行に起立する複数の梁材と、この梁材上に展張した透光性シートとからなるものである。
【0006】
又、特許文献2に示す簡易ハウスは、矩形の床フレームと、床フレームの両側上に起立する多数のアーチ取付脚と、このアーチ取付脚に差し込まれるアーチ材と、アーチ材に展張した透光性シートとからなるものである。
【特許文献1】特開2001‐120080公報(要約,図1)
【特許文献2】特開平9‐201135公報(要約,図1,図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1,2に示すような簡易ハウスは、骨組たる梁材をしっかりと起立でき、簡易ハウスの組立を向上できるが、梁材の下部を枠体上に起立させる取付構造が枠体側に設けられているため複雑であり、物品点数が多く、加工性,経済性において不利である。
【0008】
又、枠体に多数の部品が必要であることから枠体、ひいては、簡易ハウス全体の重量が重くなり、簡易ハウス自体を起立した状態で単独で搬送するのが困難であるという不具合がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、構造が簡単であり、部品点数が少なく、加工性,組付性が向上し、組立てた状態でも簡単に搬送でき、安価な簡易ハウスその他の構造物及びこの構造物の骨組として利用する梁材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明に係る梁材は、水平又はU字状,V字状,山形状若しくは半円状に折り曲げてアーチ状に形成した弾性な線材からなる梁本体と、梁本体の両端に当該梁本体と左右方向又は前後方向に直交して延設された波形又は台形状の係止線条とからなることを特徴とするものである。
【0011】
この場合、梁本体の両端に設けた波形又は台形状の係止線条が一つ又は複数連続して設けられ、且つ当該両端の係止線条が同一方向又は反対方向に向いているのが好ましい。
【0012】
同じく、梁本体の両端に屈曲部を介して波形又は台形状の係止線条が連設されていても良い。
【0013】
更に、上記の目的を達成するため、本発明に係る構造物たる簡易ハウスは、矩形又は円形の枠体と、枠体上に起立する複数のアーチ状梁材と、梁材上に展張した透光性シートとからなる簡易ハウスにおいて、上記枠体を開口部巾狭の長尺又は円形の蟻溝フレームで構成し、上記梁材をU字状,V字状,山形状若しくは半円状に折り曲げてアーチ状に形成した梁材からなる梁本体と、梁本体の両端に当該梁本体と左右方向又は前後方向に直交して延設された波形又は台形状の係止線条とで構成し、上記係止線条を上記蟻溝フレームの蟻溝に嵌合させて梁本体を起立させたことを特徴とするものである。
【0014】
この場合、枠体上に梁材を複数平行に起立し、又は複数の梁材を直交して起立させていても良い。
【0015】
同じく、地上,花壇又は架台上に起立させても良く、枠体内に水受けシートを敷設して水耕栽培用に適用するようにしても良い。
【0016】
更に、上記の目的を達成するため、他の構造物たるビニールハウスの換気装置は、ビニールハウスの妻面,屋根面又は側面に開口枠と開口枠に対向して開閉自在に設けた窓枠と、開口枠と窓枠との間に梁材を介して展設したネットとからなる換気装置において、上記開口枠と窓枠とを開口部巾狭の長尺な蟻溝フレームで形成し、上記梁材をU字状,V字状,山形状若しくは半円状に折り曲げた線材からなる梁本体と、梁本体の両端に当該梁本体と左右方向又は前後方向に直交して延設された波形又は台形状の係止線条とで構成し、上記係止線条をそれぞれ上記開口枠と窓枠との蟻溝フレームに嵌合させ、梁本体上にネットを展張させたことを特徴とするものである。
【0017】
同じく、更に別の構造物たるビニールハウスの換気装置は、ビニールハウスの妻面、屋根面又は側面に開口枠と開口枠に対向して開閉自在に設けた窓枠と、開口枠と窓枠との間に展設したネットとからなる換気装置において、上記開口枠を開口部巾狭の長尺な蟻溝フレームで形成し、上記梁材をU字状,V字状,山形状若しくは半円状に折り曲げた線材からなる梁本体と、梁本体の両端に当該梁本体と左右方向又は前後方向に直交して延設された波形又は台形状の係止線条とで構成し、上記係止線条を上記開口枠の蟻溝フレームに嵌合させ、梁本体の水平方向に転倒しようとするばね力でネットを開口枠の内側に附勢させていることを特徴とするものである。
【0018】
同じく、更に別の構造物たる容器は、矩形又は円形の枠体と、枠体に連結された複数のアーチ状梁材と、梁材の外側又は内側に展張した網又は布シートとからなり、上記枠体を開口部巾狭の長尺又は円形の蟻溝フレームで構成し、上記梁材をU字状,V字状,山形状若しくは半円状に折り曲げてアーチ状に形成した梁本体と、梁本体の両端に当該梁本体と左右方向又は前後方向に直交して延設された波形又は台形状の係止線条とで構成し、上記係止線条を上記蟻溝フレームの蟻溝に嵌合させて梁本体を下方に向けて起立させたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、次の効果がある。
【0020】
1)請求項1,2,3の梁材によれば、梁本体の両端に取付機構として波形又は台形状の係止線条が形成されているから、この係止線条を介して直接簡易ハウス、換気装置等の構造物に骨組として取付けできる。
【0021】
更に、梁本体と係止線条とが一体成形されているから、梁材としての用途が拡大でき、汎用性があり、梁材としての経済性が向上する。
【0022】
又、梁材自体の構造物に対する組付性が向上し、着脱操作が容易でスピードアップを図れる。
【0023】
2)請求項4,5,6,7,8,9,10における構造物たる簡易ハウス,換気装置又は容器によれば、上記の梁材を骨組として利用しているから、この構造物の組立が容易であり、素人でも組立,解体ができるから家庭用のミニハウスとしての利用価値が向上する。
【0024】
又、上記の構造物の構造の簡素化が図れ、部品点数が減少し、構造物を安価に成形できる。
【0025】
又、上記の簡易ハウス又,容器は、組立後は一体にしたまま素人でも搬送,格納ができ、移送のスピードアップ化とコストダウンを図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明するが、図1(A)(B)(C)は、本発明の一実施の形態に係る梁材1を示し、図2乃至図17は、このこの梁材1を利用した構造物たる簡易ハウス又はビニールハウスの換気装置を示すものである。
【0027】
構造物としては、家庭用の温室たる簡易ハウス、いわゆるミニハウスとして適用されるのが好ましいが、針金状の細い剛線からなる梁材1を骨組として利用するものであれば、他の構造物であっても良い。
【0028】
本発明の梁材1の基本的構成は、図1に示すように、アーチ状に形成した線材からなる梁本体2と、梁本体2の両端に当該梁本体2と左右方向に直交して延設された台形状の係止線条3とからなるものである。
【0029】
両端の係止線条3,3は、同一方向に向いていても良く、反対方向に向いていても良く、また、この係止線条3は、梁本体2に対して前後方向に直交していても良く、台形状に代えて波形に形成しても良く、更に、係止線条3の外端にはゴム等からなる滑り止め部材4,5を差し込んでおいても良い。
【0030】
波形又は台形状の係止線条は、複数連続して設けられているが、一つであっても使用可能であり、梁本体2は、針金状の細い弾性のある剛線からアーチ状に形成されており、同じ剛線の両端部を折り曲げて係止線条4,5が一体に成形されている。
【0031】
更に、梁本体2の両端に屈曲部5を介して波形又は台形状の係止線条3が連設されており、梁本体2は、あらかじめU字状,V字状,山形状若しくは半円状に折り曲げてアーチ状に成形しておいても良く、水平にしたものをその都度アーチ状に折り曲げても良い。
【0032】
図2乃至図6は、上記の梁材1を骨組として利用して組立てた小型のビニールハウス、即ち家庭用の簡易ハウスAを示し、この簡易ハウスAは、矩形の枠体6と、枠体6上に起立する複数のアーチ状梁材1と、梁材1上に展張した透光性シート7とからなるものである。
【0033】
そして、上記枠体6を開口部巾狭の長尺の蟻溝フレーム8で構成し、上記梁材1を図1に示すものと同じくアーチ状に形成した線材からなる梁本体2と、梁本体2の両端に当該梁本体と左右方向又は直交して延設された波型又は台形状の係止線条3とで構成し、上記係止線条3を上記前後の蟻溝フレーム8の蟻溝9に嵌合させているものである。
【0034】
図3,図4に示すように、梁材1上に配置された透光性にシート7は、公知のようにその外周が蟻溝フレーム8の蟻溝9に対して他の台形を連続した係止線条10を介して定着されている。
【0035】
枠体6のコーナに直角に折り曲げた継手11を設け、この継手11に直交する蟻溝フレーム8の端部を差し込んで枠体6を矩形に成形している。
【0036】
梁本体2と係止線条3との連結部に設けた屈曲部5は、図4乃至図6に示すように蟻溝フレーム8のカール部8aに係合するようになっているが、これに代えて、図7,図8に示すように、この屈曲部5を設けずにカール8aを直接梁本体2が乗り越えるようにしても良い。
【0037】
梁材1を枠体6に起立させる場合には、あらかじめ梁本体2を枠体6の所定の位置に配置し、次いで指で係止線条3の端部を持って先ず屈曲部5をカール部8aに引掛け、次いで、係止線条3自体を順次蟻溝9内に嵌合させる。
【0038】
この結合方法を複数の梁本体2の両側において行なえば、係止線条3,3で定着された各梁本体2がアーチ状となって枠材6上に骨組として複数起立でき、この状態でシート7を各梁材1上に展張させる。
【0039】
枠体6と、アーチ状の梁材1と、梁材1上に展張した簡易ハウスAは、そのまま家庭用のミニハウスたる温室として利用でき、枠体6を畑、庭等の地上に起立してアンカーボルト12で固定し、地上の野菜,花等の植物個Bの育成,栽培に利用できる。
【0040】
上記の係止線条3は、前後の蟻溝フレーム8,8に取付けているが、左右両端の梁材1,1は左右の蟻溝フレーム8,8に固定しても良く、この場合に、係止線条3は、梁本体2に対して前後方向に向けて設ける必要がある。
【0041】
図9は、本発明の他の実施形態に係る構造物たる家庭用の簡易ハウスCを示すもので、この簡易ハウスCは、矩形の枠体6と、枠体6上に直交して起立する二本のアーチ状梁材1上に展張した透光性シート7とからなるものである。
【0042】
そして、上記枠体6を開口部巾狭の長尺の蟻溝フレーム8で構成し、上記梁材1をアーチ状に形成した線材からなる梁本体2と、梁本体2の両端に当該梁本体2と左右方向に直交して延設された波形又は台形状の係止線条3とで構成し、上記係止線条3を上記蟻溝フレーム8の蟻溝9に嵌合させたものである。その他の構成,作用,効果は、図1の実施の形態と同じである。
【0043】
図10は、本発明の他の実施形態に係り、これは、図9の簡易ハウスCの枠体を変更したもので、即ち、これは、円形の枠体6と、枠体6上に直交して起立する複数の例えば2本のアーチ状梁材1と、梁材1上に展張した透光性シート7とからなるものである。
【0044】
そして、上記枠体を開口部巾狭の円形の蟻溝フレーム8で構成し、上記梁材1をアーチ状に形成した線材からなる梁本体2と、梁本体2の両端に当該梁本体2と左右方向又は直交して延設された波形又は台形状の係止線条3とで構成し、上記係止線条3を上記蟻溝フレーム8の蟻溝9に嵌合させたものである。その他の構成、作用、効果は図1の簡易ハウスAと同じである。
【0045】
図11,図12は、図1に示す簡易ハウスAの使用例を示し、図11は、地上に配置した支持板13上に花等の植物を植えた鉢14やプランター15を置き、この支持板13上又は支持板13の外周に枠体6を介して簡易ハウスAを置いて温室として利用するものである。
【0046】
同じく、図12は、レンガ16を組立てた花壇17に花等の植物Bを植え、この花壇17上に温室として簡易ハウスAを置くものである。
【0047】
上記図11,図12の簡易ハウスは、支持板15上や花壇17上に順次組立てても良く、あるいはあらかじめ工場で組立てたもので搬送して、又は買入してキャップのように支持板5や花壇17上に配置しても良い。
【0048】
同じく、図13も図1の簡易ハウスAの他の使用例を示し、これは、架台18上に組立てたいちご等の果実栽培用枠19上にキャップ式に温室として置いたものである。
【0049】
果実栽培用枠19内には土が盛り込まれており、この土中にいちご等に植物Eを植え、簡易ハウスAにより植物Eの育成を図っているが、展張したシート7の代わりに通気性の良いネットを展張しても良い。
【0050】
更に、図14,図15は、本発明の他の実施形態に係り、これは、構造物として水耕栽培用の温室に適用した例を示すものであり、この温室Eの基本構造は、図2の簡易ハウスAと同じであるが、枠体6の内側にゴム,合成樹脂等からなる水受けシート20を敷設した点が異なる。
【0051】
即ち、この水耕栽培用の温室Eは、水受けシート20上に水21を保留させ、又、水受けシート20に配置した苗用の鉢22内の苗23又は種に水を供給して植物の水耕栽培を行なうものである。
【0052】
この場合、水受けシート20の外周端部は、前後、左右の蟻溝フレーム8の蟻溝9内に係止線条10を介して定着させており、その他の構造は、図2の簡易ハウスAの場合と同じであるから、同一の符号を付すことで詳細は省略する。
【0053】
図16(A)(B)は、本発明に係る梁材1をビニールハウスの妻面に設けた換気装置におけるネットの取付けに適用した他の実施の形態を示すもので、この換気装置Fは、ビニールハウスの妻面,屋根面又は側面に開口枠23と開口枠23に対向して開閉自在に設けた窓枠24と、開口枠23と窓枠24との間に梁材1を介して展設したネット25とからなるものである。
【0054】
この場合、上記開口枠23と窓枠24とを開口部巾狭の長尺な蟻溝フレーム8,8で形成し、上記梁材1をアーチ状に形成した線材からなる梁本体2と、梁本体2の両端に当該梁本体2と左右方向又は前後方向に直交して延設された波形又は台形状の係止線条3とで構成し、上記係止線条3をそれぞれ上記開口枠23と窓枠24との蟻溝フレーム8,8に嵌合させ、梁本体2上にネット25を展張させているものである。
【0055】
上記の実施の形態においては、ネット8を温室の外側に配置しているが、同一構造を利用してネット25を温室の内側に配置しても良い。
【0056】
窓枠24は、手動でも、又は開閉駆動部材26を介して開閉されて温室内の換気を行ようになっていおり、ネット25は、公知のように窓枠24を開いた時、外部の害虫が侵入たり、又は室内で飼育されている蜜蜂等が外部に逃げるのを防止させている。
【0057】
図17及び図17(A)(B)(C)は、本発明に係る梁材1をビニールハウスの屋根面に設けた換気装置におけるネットの取付けに適用した他の実施の形態を示すもので、この換気装置Hは、図16の換気装置Fと略同じように構成させても良いが、この場合は窓枠24を閉じた時、ネット25が屋根面K上に水平に畳まれるようにしたことを特徴とする。
【0058】
この換気装置Hは、図16の換気装置Fと同じくビールハウスの屋根面Kに開口枠23と開口枠23に対向して開閉自在に設けた窓枠24と、開口枠23と窓枠24との間に梁材1を介して展設したネット25とからなるものである。
【0059】
そして、上記開口枠23と窓枠24とを開口部巾狭の長尺な蟻溝フレーム8,8で形成し、上記梁材1をアーチ状に形成した線材からなる梁本体2と、梁本体2の両端に当該梁本体2と左右方向又は前後方向に直交して延設された波形又は台形状の係止線条3とで構成し、上記係止線条3をそれぞれ上記開口枠23と窓枠24との蟻溝フレーム8,8に嵌合させ、梁本体2上にネット25を展張させているものである。
【0060】
この場合、梁材1の梁本体2が図18(b)に示すように捩って折り曲げながら両端部の係止線条3,3を開口枠23と窓枠24の蟻溝8,8に嵌合させている。
【0061】
この為、図18(a)の全開状態からから半開状態(b)全閉状態(c)に移行した時、梁本体2が図18(c)に示すように水平となり、その結果、ネット25も屋根面Kに沿って水平となる。
【0062】
次に、図19乃至図24は、本発明の他の実施の形態に係る換気装置を示し、これらは、上記図16,図17に示す換気装置を変形したものであり、この換気装置は、梁材1の取付け状態を変更して、窓枠24を閉じた時、梁材1のばね力でネット25を換気装置の中側に押し込んだり、引っ張り込むようにしたものである。従って、基本的な構造は、すでに図16,図17において説明したので省略し、特徴のある部分について説明する。
【0063】
即ち、図19図乃至図22に示す換気装置は、図17の屋根面側の換気装置と実質的に同じであり、図23の換気装置は図6に示す妻面側の換気装置と同じであり、図24は屋根側の天窓における換気装置である。
【0064】
そして、これらの換気装置は、基本的に同じであって、開口枠23と、開口枠23に対向して開閉自在に設けた窓枠24と、開口枠23と窓枠24との間に展設したネット25と、開口枠23に取付けられてネット25を開口枠23の内側方向に附勢する梁材1とからなるものである。
【0065】
図16,図17において、すでに説明したように、上記開口枠23は開口部巾狭の長尺な蟻溝フレーム8で形成されており、梁材1は、半円状に折り曲げた線材からなる梁本体2と、梁本体2の両端に当該梁本体2と左右方向に直交して延設された波形の係止線条3とで構成されている。
【0066】
そして、この係止線条3を上記開口枠23の蟻溝フレーム8に嵌合させた時に梁本体2が当該梁本体2と係止線条3との間の捻りに起因するばね力で梁本体2が開口枠23の内側方向に転倒するようになっている。
【0067】
これにより、窓枠24を閉じた時、ネット25はこの梁本体2で押され、又は引っ張られて開口枠23の内側に格納される。
【0068】
例えば、図20(A)(B)(C)の工程から分かるように、梁材1をネット25より外側に配置した場合、開口枠23が開口している時は、梁材1の梁本体2がネット25の外面に当接してこれを内側に附勢している。
【0069】
しかし、開口枠23を下方に向けて閉じると、梁材1の梁本体2で押し込まれたネット25が開口枠23の内側に押され、窓枠24の下側に格納される。これにより、風雨があってもネット25が飛んだり,擦れたり、損傷するのが防止される。
【0070】
梁材1は、図21に示すように、ネット25の外側に配置して内側に押し込むようにても良いし、図22に示すように梁材1をネット25の内側に配置しておき、梁本体2の頂部にクリップその他の止め具30を介してネット25の胴部を結合し、梁本体2の水平方向に転倒しようとするばね力に伴ってネット25が止め具30を介して内側に引っ張り込まれるようにしても良い。
【0071】
図23は、図16と同じく妻面側側の換気装置であり、梁材1がネット25の外側又は内側に配置され、この梁材1がネット25を換気装置の中側に押し込み又は引っ張り込むようにしている。
【0072】
同じく、図24は、屋根面側の天窓に利用された換気装置であり、これも開口枠23と上下移動自在な窓枠24Aとの間にネット25が展張され、このネット25の外側又は内側に配置した梁材1でネット25を天窓の内側に押し込み又は引っ張り込むようにしたものである。
【0073】
図25乃至図30は、本発明の他の実施の形態に係り、これは、本発明の梁材1を利用した網製又は布シート製の容器である。
【0074】
即ち,この容器Yは、図2の簡易ハウスを逆さにしたものと構造が同じであり、矩形又は円形の枠体6と、枠体6に連結された複数のアーチ状梁材1と、梁材1の外側又は内側に展張した網又は布シート26とからなり、上記枠体6を開口部巾狭の長尺又は円形の蟻溝フレーム8で構成し、上記梁材1をU字状,V字状,山形状若しくは半円状に折り曲げてアーチ状に形成した梁本体2と、梁本体2の両端に当該梁本体2と左右方向又は前後方向に直交して延設された波形又は台形状の係止線条3とで構成し、上記係止線条3を上記蟻溝フレームの蟻溝に嵌合させて梁本体2を下方に向けて起立させたものである。
【0075】
この容器Yは、図25に示すように、簡易式のゴミ収容容器として利用できるが、例えば、図26,図27に示すように、建築物の解体時に発生するゴミ、特にアスベストの回収等に利用すると便利である。
【0076】
即ち、建築物のH鋼Hの外周に長手方向に沿って容器Yを着脱自在に取付けておき、H鋼Hの外周から剥離させたアスベスト等の断熱材の紛体27を容器Y内に回収するものである。
【0077】
容器Yにおける梁材1の組付け方はいろいろあり、図28,図29に示すように隣接する梁材1,1の梁本体2,2を十字状に組み付けてもよく、図30に示すように梁材1,1をシート26の外側と内側に交互に配置しても良い。
【0078】
上記の換気装置,容器に利用する梁材1は、すでに述べたものと同じように、梁本体2をあらかじめアーチ状に成形しておいても良く、あるいは水平に成形した梁本体2を構造物に取付けた時アーチ状に折り曲げても良い。
【0079】
又、材質は、金属製の丸棒,角棒から成形しても良く、更に、アーチ状の形状は、半円状,弓形状,U字状,コ字状あるいはV字状であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】(A)(B)(C)は本発明の一実施の形態に係る梁材の斜視図,端部拡大斜視図である。
【図2】図1の梁材を利用した構造物たる簡易ハウスの斜視図である。
【図3】図2の分解斜視図である。
【図4】図3の一部拡大斜視図である。
【図5】図2の枠体と梁材と結合状態を示す拡大正面図である。
【図6】図5の縦断側面図である。
【図7】他の実施の形態に係る梁材を枠体に組付けた状態の一部拡大斜視図である。
【図8】図7の縦断側面図である。
【図9】他の実施の形態に係る簡易ハウスの斜視図である。
【図10】他の実施の形態に係る簡易ハウスの斜視図である。
【図11】他の実施の形態に係る簡易ハウスの斜視図である。
【図12】他の実施の形態に係る簡易ハウスの斜視図である。
【図13】他の実施の形態に係る簡易ハウスの斜視図である。
【図14】他の実施の形態に係る簡易ハウスの斜視図である。
【図15】図14の一部拡大縦断側面図である。
【図16】(A)(B)は本発明の梁材を温室の妻面側換気装置に利用した状態の斜視図およびこの換気装置が閉じた状態の斜視図である。
【図17】他の実施の形態に係る温室の屋根側換気装置の斜視図である。
【図18】(A)(B)(C)は図17の換気装置の作動状態を示す略示斜視図である。
【図19】他の実施の形態に係る温室の屋根側換気装置の斜視図である。
【図20】(A)(B)(C)は図19の換気装置の作動工程を示す斜視図である。
【図21】図19の換気装置の拡大縦断側面図である。
【図22】他の実施の形態に係る温室の屋根側換気装置の縦断拡大側面図である。
【図23】他の実施の形態に係る温室の妻面側換気装置の斜視図である。
【図24】他の実施の形態に係る温室の天窓に適用した換気装置の斜視図である。
【図25】本発明の一実施の形態に係る容器の斜視図である。
【図26】図25の容器を利用してアスベストを回収する使用状態を示す斜視図である。
【図27】他の実施の形態に係る容器をアスベストの回収に利用している断面図である。
【図28】他の実施の形態に係る容器の斜視図である。
【図29】図28の容器の正面図である。
【図30】他の実施の形態に係る容器の斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
1 梁材
2 梁本体
3 係止線条
5 屈曲部
6 枠体
7 シート
8 蟻溝フレーム
9 蟻溝
23 開口枠
24 窓枠
25,26 ネット
A,C,D,E 温室たる簡易ハウス
Y 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平又はU字状,V字状,山形状若しくは半円状に折り曲げてアーチ状に形成した弾性な線材からなる梁本体と、梁本体の両端に当該梁本体と左右方向又は前後方向に直交して延設された波形又は台形状の係止線条とからなる梁材。
【請求項2】
梁本体の両端に設けた波形又は台形状の係止線条が一つ又は複数連続して設けられ、且つ当該両端の係止線条が同一方向又は反対方向に向いている請求項1の梁材。
【請求項3】
梁本体の両端に屈曲部を介して波形又は台形状の係止線条が連設されている請求項1又は2の梁材。
【請求項4】
矩形又は円形の枠体と、枠体上に起立する複数のアーチ状梁材と、梁材上に展張した透光性シートとからなる簡易ハウスにおいて、上記枠体を開口部巾狭の長尺又は円形の蟻溝フレームで構成し、上記梁材をU字状,V字状,山形状若しくは半円状に折り曲げてアーチ状に形成した梁材からなる梁本体と、梁本体の両端に当該梁本体と左右方向又は前後方向に直交して延設された波形又は台形状の係止線条とで構成し、上記係止線条を上記蟻溝フレームの蟻溝に嵌合させて梁本体を起立させたことを特徴とする簡易ハウス。
【請求項5】
枠体上に梁材を複数平行に起立し、又は複数の梁材を直交して起立させている請求項4の簡易ハウス。
【請求項6】
枠体を地上,花壇又は架台上に起立させている請求項4又は5の簡易ハウス。
【請求項7】
枠体内に水受けシートを敷設して水耕栽培用に適用する請求項4の簡易ハウス。
【請求項8】
ビニールハウスの妻面,屋根面又は側面に開口枠と開口枠に対向して開閉自在に設けた窓枠と、開口枠と窓枠との間に梁材を介して展設したネットとからなる換気装置において、上記開口枠と窓枠とを開口部巾狭の長尺な蟻溝フレームで形成し、上記梁材をU字状,V字状,山形状若しくは半円状に折り曲げた線材からなる梁本体と、梁本体の両端に当該梁本体と左右方向又は前後方向に直交して延設された波形又は台形状の係止線条とで構成し、上記係止線条をそれぞれ上記開口枠と窓枠との蟻溝フレームに嵌合させ、梁本体上にネットを展張させたことを特徴とする換気装置。
【請求項9】
ビニールハウスの妻面,屋根面又は側面に開口枠と開口枠に対向して開閉自在に設けた窓枠と、開口枠と窓枠との間に展設したネットとからなる換気装置において、上記開口枠を開口部巾狭の長尺な蟻溝フレームで形成し、上記梁材をU字状,V字状,山形状若しくは半円状に折り曲げた線材からなる梁本体と、梁本体の両端に当該梁本体と左右方向又は前後方向に直交して延設された波形又は台形状の係止線条とで構成し、上記係止線条を上記開口枠の蟻溝フレームに嵌合させ、梁本体の水平方向に転倒しようとするばね力でネットを開口枠の内側に附勢させていることを特徴とする換気装置。
【請求項10】
矩形又は円形の枠体と、枠体に連結された複数のアーチ状梁材と、梁材の外側又は内側に展張した網又は布シートとからなり、上記枠体を開口部巾狭の長尺又は円形の蟻溝フレームで構成し、上記梁材をU字状,V字状,山形状若しくは半円状に折り曲げてアーチ状に形成した梁本体と、梁本体の両端に当該梁本体と左右方向又は前後方向に直交して延設された波形又は台形状の係止線条とで構成し、上記係止線条を上記蟻溝フレームの蟻溝に嵌合させて梁本体を下方に向けて起立させたことを特徴とする容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2007−202549(P2007−202549A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129980(P2006−129980)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000221568)東都興業株式会社 (57)
【Fターム(参考)】