説明

植付機

【課題】圃場の畝を変形したり破壊したりすることなく、容易に適切な植付け深さで適切な畝の位置に種球を植付けることができる植付機の提供を目的とする。
【解決手段】サイドクラッチの操作によって操向自在に構成される機体と、前記機体に昇降自在に設けられる植付部16と、植付部16に設けられ、畝の上面の高さを検出する高さ検出手段である高さ検出部50と、前記高さ検出部50が検出する検出信号に応じて、植付部16を昇降させる昇降アクチュエータである電動油圧シリンダ33と、植付部16に設けられ、畝の法面の位置を検出する法面検出手段である法面検出部60と、法面検出部60が検出する検出信号に応じて、前記サイドクラッチを操作する操向アクチュエータであるクラッチモータ47と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の畝を跨いで移動しながら種球を植付ける植付機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場に形成された畝に植付機を用いて種球等の植付け作業を行う際、種球の生育に適する深さで、畝の左右略中央または側端部から所定の距離に植付ける必要があった。そのため、作業者は、植付機の植付部の高さを畝の上面の高さに合わして調整しながら、植付機を畝に沿うように操向操作しなければならず、植付機による植付け作業は煩雑なものとなっていた。そこで、種球を適切な植付け深さに植付けるために、畝の上面の高さを検出するための高さ検出手段と、植付部を昇降する昇降アクチュエータと、が設けられるとともに、種球を適切な畝の位置に植付けるために植付機を畝に沿って移動させる畝追従機構が設けられている植付機が知られている。
【0003】
このような植付機は、例えば、特許文献1のように、高さ検出手段であるローラ型の高さスイッチを畝の上面に接当させて植付機に対する畝の上面の高さを検出し、検出した検出信号に応じて昇降アクチュエータである油圧シリンダによって植付部である植付け機構を備える走行機体を昇降させるようになっている。また、畝追従機構である畝追従用ローラ体を畝の左右法面に押圧して、畝自体を植付機の案内とし、植付機を畝に沿って移動させるようになっている。
【0004】
しかし、畝が十分な強度を有していない場合(柔軟な圃場)や、植付機の車輪と圃場との摩擦抵抗が大きい場合等、圃場や畝の状態によっては、畝追従用ローラ体が畝に食い込んで植付機の移動が妨げられたり、畝を崩壊させたりして、植付機を所望の方向に移動できない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−307002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は係る課題を鑑みてなされたものであり、圃場や畝の状態によって移動が妨げられたり畝を崩壊させたりすることなく、容易に種球の生育に適切な植付け深さで適切な畝の位置に種球を植付けることができる植付機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1の発明は、サイドクラッチの操作によって操向自在に構成される機体と、前記機体に昇降自在に設けられる植付部と、前記植付部に設けられ、畝の上面の高さを検出する高さ検出手段と、前記高さ検出手段が検出する検出信号に応じて、前記植付部を昇降させる昇降アクチュエータと、前記植付部に設けられ、畝の法面の位置を検出する法面検出手段と、前記法面検出手段が検出する検出信号に応じて、前記サイドクラッチを操作する操向アクチュエータと、を具備するものである。
【0009】
請求項2の発明は、前記高さ検出手段は、前記植付部に上下方向に揺動自在に支持される上下揺動アームと、前記上下揺動アームが上方許容値をこえて上方向に揺動される動作、および前記上下揺動アームが下方許容値をこえて下方向に揺動される動作を検出する上下揺動検出部と、を具備することを特徴とするものである。
【0010】
請求項3の発明は、前記法面検出手段は、前記植付部に左右方向に揺動自在に支持される左右揺動アームと、前記左右揺動アームが左方許容値をこえて左方向に揺動される動作、および前記左右揺動アームが右方許容値をこえて右方向に揺動される動作を検出する左右揺動検出部と、を具備することを特徴とするものである。
【0011】
請求項4の発明は、前記法面検出手段は、前記植付部の左右片方の横外側に設けられることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5の発明は、前記高さ検出手段は、前記植付部に上下方向に揺動自在に支持される上下揺動アームと、前記上下揺動アームが上方許容値をこえて上方向に揺動される動作、および前記上下揺動アームが下方許容値をこえて下方向に揺動される動作を検出する上下揺動検出部と、を具備し、前記法面検出手段は、前記植付部に左右方向に揺動自在に支持される左右揺動アームと、前記左右揺動アームが左方許容値をこえて左方向に揺動される動作、および前記左右揺動アームが右方許容値をこえて右方向に揺動される動作を検出する左右揺動検出部と、を具備し、前記上下揺動検出部と前記左右揺動検出部とは、同一の部材で構成されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
請求項1においては、畝の上面の高さに合わして植付部の高さを自動的に変更することができるとともに、畝に外力を加えることなく畝の法面の位置に合わして自動的に植付機の移動方向を変更することができる。この結果、圃場や畝の状態によって移動が妨げられたり畝を崩壊させたりすることなく、容易に種球の生育に適切な植付け深さで畝の適切な植付け位置に種球を植付けることができる。
【0015】
請求項2においては、請求項1に記載の発明の効果に加えて、上下揺動アームの揺動動作を検出するだけで、種球が適切に生育するために許容される種球の植付け深さの範囲をこえて畝の上面の高さが変動した場合に、畝の上面の高さに合わして植付部の高さを変更することができる。この結果、簡易な構成で容易に種球の生育に適切な植付け深さの範囲内に種球を植付けることができる。
【0016】
請求項3においては、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、左右揺動アームの揺動動作を検出するだけで、許容される種球の植付け位置の範囲を超えて畝の左右方向の位置が変動した場合に、畝の法面の位置に合わして自動的に植付機の移動方向を変更することができる。この結果、簡易な構成で容易に畝の適切な植付け位置の範囲内に種球を植付けることができる。
【0017】
請求項4においては、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、畝の左右片方の法面の位置を基準として植付機の移動方向が変更されるので、圃場や畝の状態によって法面検出手段の動作が阻害されることが少ない。この結果、圃場や畝の状態によって移動が妨げられたり畝を崩壊させたりすることなく、簡易な構成で容易に畝の適切な植付け位置の範囲内に種球を植付けることができる。
【0018】
請求項5においては、請求項1に記載の発明の効果に加えて、上下揺動検出部と左右揺動検出部とに同一の部材や同一の電気回路を用いることができる。この結果、部品を共通化することでコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る植付機の全体構成を示す斜視図。
【図2】同じく側面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る植付機の昇降リンク機構を示す側面図。
【図4】本発明の一実施形態に係る植付機のミッションケースを示す平面図。
【図5】(a)本発明の一実施形態に係る植付機の高さ検出部と法面検出部とを示す平面図。(b)本発明の一実施形態に係る植付機の高さ検出部と法面検出部とを示す正面図。
【図6】(a)本発明の一実施形態に係る植付機の高さ検出部の構成を示す一部断面図。(b)図6(a)におけるX−X断面図。
【図7】(a)本発明の一実施形態に係る植付機の法面検出部の構成を示す一部断面図。(b)図6(a)におけるY−Y断面図。
【図8】(a)本発明の一実施形態に係る植付機の高さ検出部の動作の様子を示す正面図。(b)本発明の一実施形態に係る植付機の高さ検出部が検出する検出信号による電動油圧シリンダの動作の様子を示す側面図。
【図9】(a)本発明の一実施形態に係る植付機の法面検出部の動作の様子を示す正面図。(b)本発明の一実施形態に係る植付機の法面検出部が検出する検出信号によるクラッチモータの動作の様子を示す側面図。
【図10】本発明の一実施形態に係る植付機の高さ検出部の電気回路図。
【図11】本発明の一実施形態に係る植付機の法面検出部の電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、発明の実施の形態を説明する。
なお、畝上にマルチシートを被覆した状態での植付けと想定して説明するが、これに特に限定するものではなく、マルチシートを被覆していない畝上に植付ける場合としてもよい。
【0021】
以下では、本発明の一実施形態に係る植付機1の全体構成について、図1および図2を用いて説明する。説明において、図中に示した矢印Aの方向を植付機1の移動方向、つまり前方向として、矢印Aを向いた状態で前後左右方向を規定するものとする。
【0022】
植付機1は、マルチシートを被覆した畝に、種球を植付けるために使用される植付機である。図1および図2に示すように、植付機1は、機体フレーム12に対して、主として駆動部13、走行部14、運転操作部15、植付部16等を備える。
【0023】
図2に示すように、機体フレーム12は、植付機1の骨格を成す構造体であって、上下方向に延設される左右複数の支柱フレームと、該支柱フレームに横設され前後方向に延設される左右の複数の前後フレーム12aと、前後フレーム12aの間に左右方向に横設される左右フレームを連結固定して構成される。機体フレーム12の前後略中央には、作業者が植付機1に乗り降りするためのステップ12bが形成される。ステップ12bの左右中央には、昇降リンク機構30(図3参照)が配置され、機体フレーム12の後部には、昇降リンク機構30を支持する後部フレーム12cが前後フレーム12aに立設される。昇降リンク機構30は、その上方を前後方向に配置される保護ケース15eによって覆われる。機体フレーム12の後部には、ミッションケース40を含む動力伝達機構等が配置される。
【0024】
駆動部13は、動力源であるエンジン13aや発電機等で構成され、植付機1の走行部14と植付部16に動力を伝達して各部を駆動させるためのものである。駆動部13は、機体フレーム12の後部上側方に搭載され、機体フレーム12前部に連結される植付部16と前後方向の重量バランスが取れるように配置される。
【0025】
走行部14は、左クローラ14a、右クローラ14b、等で構成され、機体フレーム12の左側に左クローラ14aが配置され、機体フレーム12の右側に右クローラ14bが配置される。走行部14は、駆動部13からの動力が後述のミッションケース40を介して伝達されて、機体(機体フレーム12)を走行可能とするものである。
【0026】
運転操作部15は、機体フレーム12の前後中央部に配設され、走行部14や植付部16の操縦が行われる。運転操作部15は、作業者が着座する座席15a・15a、走行部14、および植付部16の操縦を行うための複数の操作レバーを配置した操作コラム15b等で構成される。運転操作部15の後方であって駆動部13の上方には、種球が収納されたカゴ15c等を載せる載置部15dが配設される。
【0027】
座席15aは、エンジン13a前方の機体フレーム12上の左右両側に設置される。操作コラム15bは、座席15aの周囲近傍に配置されるが、本実施形態では機体右外側の座席15a右斜め前方に配置される。操作コラム15bの操作レバー等の操作によって走行部14への動力の断接や変速操作、および、植付部16への動力の断接操作ができるように構成される。
【0028】
操作コラム15bは、箱状に形成され、その上面に、作業クラッチレバー151、左サイドクラッチレバー152、右サイドクラッチレバー153、植付高さ自動調整スイッチ111、走行方向自動調整スイッチ211が配置される。操作コラム15bの後面には、エンジン停止スイッチ、植付昇降スイッチ121、植付部駆動スイッチ等が配置される。植付機1の走行速度を変速させる走行変速レバーは、本実施形態において、右側の座席15aの下右側面に配置される。
【0029】
植付部16は、圃場に種球を植付けるためのものである。植付部16は、後述の昇降リンク機構30を介して機体フレーム12の前部に昇降自在に配置される。本実施形態における植付部16は、植付フレーム18に種球を保持するホルダーとマルチシートに孔を開ける開孔器を備える保持開孔手段20や種球を圃場面に押し出す押出装置等を配置して構成される。
【0030】
なお、植付部16の前部には、高さ検出手段である高さ検出部50が設けられ、植付部16の前端部であって右側方の横外側には、法面検出手段である法面検出部60が設けられる。高さ検出部50は、詳しくは後述するように、植付機1に対する畝の上面の高さを検出するものである。また、法面検出部60は、詳しくは後述するように、植付機1に対する畝の法面の位置を検出するものである。
【0031】
植付フレーム18は、植付部16の骨格を成す構造体であって、機体フレーム12の後部から昇降リンク機構30を介して、機体フレーム12の前方に配設される。
主植付フレーム19は、パイプ等の棒材を側面視において後下部が開放される多角形に屈曲されることで形成され、左右の機体幅より若干短い間隔をおいて、左右一対となるように配置される。
詳細には、主植付フレーム19は、その一端が植付部16の後部の上下中途部に位置するように形成される。主植付フレーム19の後端から前上方に向けて、前高後低となるように後傾斜部19aが形成される。さらに植付部16の上部では、水平部19bが形成させる。水平部19bの前部からは、前上部が前低後高となるように前上傾斜部19cが形成される。前上傾斜部19cの下部から植付部中央に向けて前高後低となるように前下傾斜部19dが形成される。そして、主植付フレーム19の他端は、植付部16の前下部に位置するように形成される。
【0032】
左右の主植付フレーム19・19には、上下方向および前後方向に側部植付フレーム19fが配置され、その下側方に下部植付フレーム19g・19gが配置される。左右の主植付フレーム19・19間には、横植付フレーム19e・19eが横設される。
このように構成することで、植付フレーム18は内部に空間が形成され、その空間内に各種植付装置が配置可能となる。さらに主植付フレーム19・19は、その左右外側をカバー16aによって覆われる。主植付フレーム19・19の両内側には、無端体カバー16bが内方に突出するように配置される。
【0033】
保持開孔手段20は、種球を保持しながら、マルチシートを開孔する手段である。保持開孔手段20・20・20・・は、主植付フレーム19・19の間に配置され、駆動部13から伝達される動力により、植付主フレーム19の外周にそって移動可能に構成される。主植付フレーム19・19の後部には、保持開孔手段20に挿入するための種球が一時的に収容される補給ボックス16cが架設されている。作業者は補給ボックス16c内の種球を手で取り出して、保持開孔手段20に挿入する。保持開孔手段20は、種球を保持しながら移動され、植付位置に達した時に、マルチシートを開孔する。保持開孔手段20に保持された種球は、図示しない押出装置によって下方に押付けられて開孔部に植付けられる。補給ボックス16c内の種球は、座席15a後方のカゴ15cから補給ボックス16cに供給される。
【0034】
次に、図3を用いて、昇降リンク機構30の構成について説明する。
【0035】
図3に示すように、昇降リンク機構30は、植付部16を昇降させるものである。昇降リンク機構30は、主に第一リンク31、第二リンク32、電動油圧シリンダ33、を具備する。
【0036】
第一リンク31は、植付部16を揺動自在に支持するものである。第一リンク31は、棒状部材から形成される。第一リンク31の一側端(前側方)は、植付フレーム18に設けられる第一支持ブラケット31aに上下方向に揺動自在に支持される。第一リンク31の他側端(後側方)は、後部フレーム12cに固設される揺動ブラケット31bに上下方向に揺動自在、かつ軸方向に摺動自在に支持される。
【0037】
第二リンク32は、植付部16を揺動自在に支持するものである。第二リンク32は、棒状部材32aと略矩形状の板材を平面視略U字状に折り曲げて形成される折り曲げ部材32bとから構成される。第二リンク32は、折り曲げ部材32bの後側部と当該後側部に連続する左右両側部とを有して前側方に開放し、後側部の左右中央に棒状部材32aが後側方に向けて延設される。第二リンク32は、第一リンク31の下側方であって第一リンク31と重複する位置に、第一リンク31の軸方向と第二リンク32の軸方向とが平面視で一致するように平行に配置される。第二リンク32の一側端(前側方)は、植付フレーム18に設けられる第二支持ブラケット32cに上下方向に揺動自在に支持される。第二リンク32の他側端(後側方)は、後部フレーム12cに固設される揺動ブラケット32dに上下方向に揺動自在、かつ軸方向に摺動自在に支持される。第二リンク32の一側端の揺動中心から他側端の揺動中心までの距離は、第一リンク31の一側端の揺動中心から他側端の揺動中心までの距離と等しく構成される。
【0038】
昇降アクチュエータである電動油圧シリンダ33は、植付部16を昇降させるものである。電動油圧シリンダ33は、電動モータ33a、油圧シリンダ33b、ピストンロッド33c、を具備し、電動モータ33aが油圧シリンダ33b内に送給する油の圧力によって、ピストンロッド33cが移動される。電動油圧シリンダ33は、第一リンク31の下側方であって、第二リンク32の左右両側部の間に配置される。電動油圧シリンダ33の一側端(反ピストンロッド33c側)は、第一リンク31の途中部に前後方向に揺動自在に軸支される。電動油圧シリンダ33の他側端(ピストンロッド33c側)は、前後フレーム12aに前後方向に揺動自在に軸支される。電動油圧シリンダ33は、後述の高さ検出手段である高さ検出部50と接続され、高さ検出部50が検出する検出信号に応じてピストンロッド33cを移動させる。
【0039】
電動油圧シリンダ33は、他側端(ピストンロッド33c側)に第一シリンダリミットスイッチ113(図10参照)が具備され、一側端(反ピストンロッド33c側)に第二シリンダリミットスイッチ115(図10参照)が具備される。電動油圧シリンダ33は、ピストンロッド33cが第一シリンダリミットスイッチ113の位置に到達すると第一シリンダリミットスイッチ113の可動接点113a(図10参照)を押動するように構成される。また、電動油圧シリンダ33は、ピストンロッド33cが第二シリンダリミットスイッチ115の位置に到達すると第二シリンダリミットスイッチ115の可動接点115a(図10参照)を押動するように構成される。
【0040】
以上より、第一リンク31と第二リンク32は、平行リンク機構を構成し、植付部16と後部フレーム12cとを連結している。よって、昇降リンク機構30は、高さ検出部50が検出する検出信号に応じて電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cが矢印C1方向に移動されることで、植付部16の機体フレーム12に対する姿勢を維持しつつ、植付部16を上方向に移動させる。また、昇降リンク機構30は、高さ検出部50が検出する検出信号に応じて電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cが矢印C2方向に移動されることで、機体フレーム12に対する姿勢を維持しつつ下方向に移動される。
【0041】
次に、図4を用いて、ミッションケース40の構成について説明する。
【0042】
図4に示すように、ミッションケース40は、エンジン13aからの回転動力を左クローラ14aと右クローラ14bとに変速して伝達するものである。ミッションケース40は、機体フレーム12の後部であって駆動部13の前側方に配置される。ミッションケース40は、主に入力軸41、左出力軸42、右出力軸43、左サイドクラッチアーム44、右サイドクラッチアーム45、クラッチ操作ギア46、クラッチモータ47、および、内部に、図示しないサイドクラッチ、変速軸、変速ギア等、を具備する。
【0043】
ミッションケース40は、エンジン13aの回転動力がVベルト41aによって入力軸41に入力されると、所定の回転数に変速して左右のサイドクラッチを介して左出力軸42と右出力軸43とから出力する。左出力軸42は、左クローラ14aに回転動力を伝達し、右出力軸43は、右クローラ14bに回転動力を伝達する。ミッションケース40は、入力軸41に入力される回転動力が左出力軸42と右出力軸43とに伝達される状態と遮断される状態とに選択的に切り替え可能とする図示しないサイドクラッチを具備する。
【0044】
左サイドクラッチアーム44は、図示しないサイドクラッチを操作するものである。左サイドクラッチアーム44は、サイドクラッチを操作することで、入力軸41に入力される回転動力が左出力軸42に伝達される状態と遮断される状態とに選択的に切り替える。左サイドクラッチアーム44は、操作コラム15bに配置される左サイドクラッチレバー152と操作ワイヤー44aを介して接続される。
【0045】
右サイドクラッチアーム45は、サイドクラッチを操作するものである。右サイドクラッチアーム45は、サイドクラッチを操作することで、入力軸41に入力される回転動力が右出力軸43に伝達される状態と遮断される状態とに選択的に切り替える。右サイドクラッチアーム45は、操作コラム15bに配置される右サイドクラッチレバー153と操作ワイヤー45aを介して接続される。
【0046】
クラッチ操作ギア46は、左サイドクラッチアーム44と右サイドクラッチアーム45を操作するものである。クラッチ操作ギア46は、枢支軸46cによりミッションケース40の後部に回動自在に支持される。クラッチ操作ギア46の左側部は、バネ46aを介して左サイドクラッチアーム44に接続される。また、クラッチ操作ギア46の右側部は、バネ46bを介して右サイドクラッチアーム45に接続される。これにより、クラッチ操作ギア46は、枢支軸46cを中心に矢印E1方向に回動されるとバネ46aを介して左サイドクラッチアーム44を操作し、矢印E2方向に回動されるとバネ46bを介して右サイドクラッチアーム45を操作する。
【0047】
クラッチ操作ギア46は、右側部に第一クラッチリミットスイッチ213が具備され、左側部に第二クラッチリミットスイッチ216が具備される。第一クラッチリミットスイッチ213と第二クラッチリミットスイッチ216とは、導通状態になるとクラッチモータ47の動作を停止させるものである。クラッチ操作ギア46は、矢印E1方向に回動されて回動限界位置に到達すると、第一クラッチリミットスイッチ213の可動接点213aを押動して遮断状態にするように構成される。また、クラッチ操作ギア46は、矢印E2方向に回動されて回動限界位置に到達すると、第二クラッチリミットスイッチ216の可動接点216aを押動して遮断状態にするように構成される。また、クラッチ操作ギア46には、クラッチ操作ギア46が左出力軸42と右出力軸43との両軸に回転動力が伝達されるニュートラル位置にある場合に遮断状態となるニュートラル検出スイッチ221が具備される。ニュートラル検出スイッチ221は、後述するニュートラル検出リレー222(図11参照)を介して、接地されている。
【0048】
操向アクチュエータであるクラッチモータ47は、クラッチ操作ギア46を回動させるものである。クラッチモータ47は、その出力軸に固設されるギアとクラッチ操作ギア46とが歯合するようにしてミッションケース40の後側方に配置される。クラッチモータ47は、後述の法面検出手段である法面検出部60が検出する検出信号に応じてクラッチ操作ギア46を矢印E1方向、または矢印E2方向に回動させる。すなわち、クラッチモータ47は、法面検出部60が検出する検出信号に応じてクラッチ操作ギア46を回動させることでサイドクラッチを操作する。これにより、機体(機体フレーム12)は、サイドクラッチの操作によって操向自在に構成される。
【0049】
ミッションケース40は、クラッチモータ47の作動によりクラッチ操作ギア46が矢印E1方向に回動される場合、もしくは左サイドクラッチレバー152の操作により操作ワイヤー44aが矢印F1方向に牽引される場合に、左サイドクラッチアーム44が操作されて左出力軸42への回転動力が遮断される状態に切り替わる。つまり、植付機1は、前方向に対して左側方に移動する。また、ミッションケース40は、クラッチモータ47の作動によりクラッチ操作ギア46が矢印E2方向に回動される場合、もしくは右サイドクラッチレバー153の操作により操作ワイヤー45aが矢印F2方向に牽引される場合に、右サイドクラッチアーム45が操作されて右出力軸43への回転動力が遮断される状態に切り替わる。つまり、植付機1は、前方向に対して右側方に移動する。
【0050】
このようにして、植付機1は、運転操作部15での操作具類の操作によって、エンジン13aの動力を各部の装置に伝達して、走行部14にて機体(機体フレーム12)を走行させながら、植付部16にて畝に種球を植付けることができるように構成される。また、植付機1は、植付部16が電動油圧シリンダ33により昇降することができるように構成され、サイドクラッチの操作により機体(機体フレーム12)が操向されるように構成される。
【0051】
次に、図2、図5および図6を用いて、高さ検出手段である高さ検出部50の構成について説明する。
【0052】
高さ検出部50は、植付機1の植付け作業時に、畝の上面の高さを検出するためのものである。図2に示すように、高さ検出部50は、植付部16(下部植付フレーム19g)の前端部に設けられる。高さ検出部50は、主に上下揺動検出部50a、上下揺動軸51a、上下揺動軸51b、上下揺動アーム52a、上下揺動アーム52b、高さ検出ローラ56、を具備する。
【0053】
図5(a)に示すように、上下揺動軸51aと上下揺動軸51bとは、上下揺動アーム52aと上下揺動アーム52bとを揺動自在に支持するものである。上下揺動軸51aは、その軸線方向を左右方向として左側方の下部植付フレーム19gの前端部下方であって横外側に具備される支持ブロック51cから側方に突設される。上下揺動軸51bは、右側方の植付部16フレームの前端部下方であって横外側に突設される。この際、上下揺動軸51aと上下揺動軸51bとは、その軸心が一致するように配置される。
【0054】
上下揺動アーム52aと上下揺動アーム52bとは、高さ検出ローラ56を支持するものである。上下揺動アーム52aと上下揺動アーム52bとは、略矩形状の板状部材から構成される。上下揺動アーム52aと上下揺動アーム52bとは、板面が互いに対向するようにして、上下揺動アーム52aが左側方の植付部16フレームの横外側に配置され、上下揺動アーム52bが右側方の植付部16フレームの横外側に配置される。上下揺動アーム52aは、一側端(後側方)が上下方向に揺動自在に上下揺動軸51aに支持される。上下揺動アーム52bは、一側端(後側方)が上下方向に揺動自在に上下揺動軸51bに支持される。
【0055】
図5および図6に示すように、上下揺動検出部50aは、上下揺動アーム52aの揺動動作を検出するものである。上下揺動検出部50aは、上検出スイッチ53、下検出スイッチ54、スイッチドグ55、を具備する。
【0056】
図5(b)および図6(a)に示すように、上検出スイッチ53は、上下揺動アーム52aの上方向の揺動動作を検出するものである。上検出スイッチ53は、可動接点53aが押動されることで導通状態となる。上検出スイッチ53は、可動接点53aが上方向になるようにして上下揺動アーム52aの他側(前側方)に配設される。上検出スイッチ53は、電動油圧シリンダ33がピストンロッド33cを矢印C1方向(図3参照)に移動させるように、後述する電動油圧シリンダ33の電動モータ33aへの通電を開始する第一シリンダリレー112(図10参照)に接続される。
【0057】
下検出スイッチ54は、上下揺動アーム52aの下方向の揺動動作を検出するものである。下検出スイッチ54は、可動接点54aが押動されることで導通状態となる。下検出スイッチ54は、可動接点54aが下方向になるようにして上下揺動アーム52aの他側(前側方)に配設される。下検出スイッチ54は、電動油圧シリンダ33がピストンロッド33cを矢印C2方向(図3参照)に移動させるように、後述する電動油圧シリンダ33の電動モータ33aへの通電を開始する第二シリンダリレー114(図10参照)に接続される。
【0058】
図6に示すように、スイッチドグ55は、上検出スイッチ53の可動接点53aと下検出スイッチ54の可動接点54aとを当接させるものである。スイッチドグ55は、略矩形状の板材を正面視略U字状に折り曲げて形成される部材である。スイッチドグ55は、左側部と当該左側部に連続する上下両側部とを有し、右側に開放するように上下揺動アーム52aの左側方に配置される。この際、スイッチドグ55は、上下揺動アーム52aがスイッチドグ55の上側部と下側部との間で揺動可能なように配置される。上検出スイッチ53の可動接点53aとスイッチドグ55の上側部との間には、所定の隙間によって構成される上方許容値H1が設定される。下検出スイッチ54の可動接点54aとスイッチドグ55の下側部との間には、所定の隙間によって構成される下方許容値H2が設定される。スイッチドグ55の左側部では、上下揺動軸51aと重複する部分に貫通孔が左右方向に貫通するように形成される。スイッチドグ55は、前記貫通孔に予め上下揺動アーム52aとスペーサー55aとがこの順に挿着された上下揺動軸51aが挿通されるとともに、一側端部(後側方)が固定ボルト55bによってスペーサー55cを介して支持ブロック51cに固設される。これにより、スイッチドグ55は、上下揺動軸51aによって固定ボルト55b軸回りに回動不能に係止される。これにより、上下揺動アーム52aは、スイッチドグ55によってスペーサー55aを介して上下揺動軸51aの軸方向に摺動不能に係止される。
【0059】
上下揺動アーム52aが上方許容値H1をこえて上方向に揺動される場合、上検出スイッチ53の可動接点53aがスイッチドグ55の上側部に当接される。この結果、上検出スイッチ53は、可動接点53aが押動されて導通状態となる。上下揺動アーム52aが下方許容値H2をこえて下方向に揺動される場合、下検出スイッチ54の可動接点54aがスイッチドグ55の下側部に当接される。この結果、下検出スイッチ54は、可動接点54aが押動されて導通状態となる。
【0060】
高さ検出ローラ56は、植付機1に対する畝の上面の高さを上下揺動アーム52aに伝達するものである。高さ検出ローラ56は、略中空円筒状部材から形成されるローラ56aとパイプ状部材から形成される支持軸56bとから構成される。ローラ56aは、両端部が閉口され、軸線を支持軸56bの軸線と一致させて支持軸56bに軸支される。高さ検出ローラ56は、ローラ56aが植付部16フレームの前側方であって畝の上面に接当する状態で配置され、支持軸56bの両側端が上下揺動アーム52aと上下揺動アーム52bとの他側に固設される。よって、高さ検出ローラ56は、植付機1が畝に沿って移動すると、ローラ56aが畝の上面に接当されながら転動される。
【0061】
次に、図2、図5および図7を用いて、法面検出手段である法面検出部60の構成について説明する。
【0062】
法面検出部60は、植付機1の植付け作業時に、畝の法面の位置を検出するためのものである。図2示すように、法面検出部60は、植付部16(下部植付フレーム19g)の前端部であって右側方の横外側に設けられる。法面検出部60は、主に左右揺動検出部60a、左右揺動軸61、左右揺動アーム62、法面検出ローラ66、を具備する。本実施形態において法面検出部60は、植付部16の前端部であって右側方の横外側に設けられるが、これに特に限定するものではなく、植付部16の前端部であって畝の左右片方の法面の位置を検出できればよい。
【0063】
図5(a)に示すように、左右揺動軸61は、左右揺動アーム62を揺動自在に支持するものである。左右揺動軸61は、その軸線方向を上下方向として、右側方の下部植付フレーム19gの前端部下方であって横外側に具備される支持ブラケット61aに立設される。
【0064】
左右揺動アーム62は、法面検出ローラ66を支持するものである。左右揺動アーム62は、略矩形状の板状部材を略L字状に折り曲げて形成される。左右揺動アーム62は、一の折り曲げ面が上側方に、他の折り曲げ面が右側方になるようにして、右側方の下部植付フレーム19gの横外側であって支持ブラケット61aの上側方に配置される。左右揺動アーム62は、一側端(後側方)が左右方向に揺動自在に左右揺動軸61に支持され、付勢ばね62aにより他側端(前側方)が下部植付フレーム19gに近接する方向(左側方)に揺動するように付勢される。
【0065】
図5および図7に示すように、左右揺動検出部60aは、左右揺動アーム62の揺動動作を検出するものである。左右揺動検出部60aは、左検出スイッチ63、右検出スイッチ64、スイッチドグ65、を具備する。
【0066】
図5(a)および図7(a)に示すように、左検出スイッチ63は、左右揺動アーム62の揺動動作を検出するものであり、上検出スイッチ53および下検出スイッチ54と同一の検出スイッチである。左検出スイッチ63は、可動接点63aが押動されることで導通状態となる、左検出スイッチ63は、左右揺動アーム62の左方向の揺動動作を検出する。左検出スイッチ63は、可動接点63aが左方向になるようにして上下揺動アーム52aの他側(前側方)に配設される。左検出スイッチ63は、クラッチモータ47がクラッチ操作ギア46を矢印E1方向(図4参照)に回動させるように、後述するクラッチモータ47への通電を開始する第一クラッチリレー212(図11参照)に接続される。
【0067】
右検出スイッチ64は、左右揺動アーム62の揺動動作を検出するものであり、上検出スイッチ53および下検出スイッチ54と同一の検出スイッチである。右検出スイッチ64は、可動接点64aが押動されることで導通状態となる、右検出スイッチ64は、左右揺動アーム62の右方向の揺動動作を検出する。右検出スイッチ64は、可動接点64aが右方向になるようにして上下揺動アーム52aの他側(前側方)に配設される。右検出スイッチ64は、クラッチモータ47がクラッチ操作ギア46を矢印E2方向(図4参照)に回動させるように、後述するクラッチモータ47への通電を開始する第二クラッチリレー215(図11参照)に接続される。
【0068】
図7に示すように、スイッチドグ65は、左検出スイッチ63の可動接点63aと右検出スイッチ64の可動接点64aとを当接させるものである。スイッチドグ65は、略矩形状の板材を正面視略U字状に折り曲げて形成される部材であり、スイッチドグ55と同一形状の部材である。スイッチドグ65は、上側部と当該左側部に連続する左右両側部とを有し、下側に開放するように左右揺動アーム62の上側方に配置される。この際、スイッチドグ65は、左右揺動アーム62がスイッチドグ65の左側部と右側部との間で揺動可能なように配置される。左検出スイッチ63の可動接点63aとスイッチドグ65の左側部との間には、所定の隙間によって構成される左方許容値W1が設定される。右検出スイッチ64の可動接点64aとスイッチドグ65の右側部との間には、所定の隙間によって構成される右方許容値W2が設定される。スイッチドグ65の上側部では、左右揺動軸61と重複する部分に貫通孔が上下方向に貫通するように形成される。スイッチドグ65は、貫通孔に予め左右揺動アーム62とスペーサー65aとがこの順に挿着された左右揺動軸61が挿通されるとともに、一側端部が固定ボルト65bによってスペーサー65cを介して支持ブラケット61aに固設される。これにより、スイッチドグ65は、左右揺動軸61によって固定ボルト65b軸回りに回動不能に係止され、左右揺動アーム62は、スイッチドグ65によってスペーサー65aを介して左右揺動軸61方向に摺動不能に係止される。
【0069】
上記のように、上下揺動検出部50aと左右揺動検出部60aとは、同一の構成として部品を共通化している。
【0070】
左右揺動アーム62が左方許容値W1をこえて左方向に揺動される場合、左検出スイッチ63の可動接点63aがスイッチドグ65の左側部に当接される。この結果、左検出スイッチ63は、可動接点63aが押動されて導通状態となる。左右揺動アーム62が右方許容値W2をこえて右方向に揺動される場合、右検出スイッチ64の可動接点64aがスイッチドグ65の右側部に当接される。この結果、右検出スイッチ64は、可動接点64aが押動されて導通状態となる。
【0071】
法面検出ローラ66は、植付機1に対する畝の法面の位置を左右揺動アーム62に伝達するものである。法面検出ローラ66は、略円筒状部材から形成されるローラ66aとパイプ状部材を略L字状に屈曲して形成される支持アーム66bとから構成される。ローラ66aは、両端部が閉口され、軸線をローラ66aの軸線と一致させてローラ66aを軸支する回動軸を備える。支持アーム66bは、一側端部が左右揺動アーム62の他側端部(前側方)に固設される。この際、支持アーム66bの他側の軸線方向が畝の法面と略垂直になるように配置される。法面検出ローラ66は、ローラ66aが下部植付フレーム19gの前側方であって右側方の横外側に畝の法面に接当する状態で配置される。この際、ローラ66aは、支持アーム66bの他側端に、ローラ66aの回動軸が支持アーム66bの他側の軸線方向と同一方向になるように、ボルト等で締結される。法面検出ローラ66は、ローラ66aが左右揺動アーム62に加えられる付勢力によって法面に接当される。よって、法面検出ローラ66は、植付機1が畝に沿って移動すると、ローラ66aが畝の法面に接当されながら転動される。
【0072】
次に、図8を用いて、高さ検出部50により畝の上面の高さを検出し、畝の上面の高さに合わせて植付部16の高さを昇降させる制御について説明する。
【0073】
図8に示すように、植付機1に対して畝の上面の高さが高くなる場合、畝の上面に接当しながら転動される高さ検出ローラ56が矢印B1方向(上方向)に移動されることで、上下揺動アーム52aと上下揺動アーム52bとは、上方向に揺動される。この際、上下揺動アーム52aが上方許容値H1(図6参照)をこえて上方向に揺動されると、上検出スイッチ53の可動接点53aがスイッチドグ55の上側部に当接される。これにより、上検出スイッチ53は導通状態となり、第一シリンダリレー112(図10参照)が励磁される。この結果、第一シリンダリレー112を介して電動モータ33aへの通電が開始されることにより電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cが矢印C1方向に移動され、植付部16は上方向に移動される。
【0074】
植付部16が上方向に移動された結果、植付機1に対する畝の上面の高さは相対的に低くなり、高さ検出ローラ56が下方向に移動されることで、上下揺動アーム52aと上下揺動アーム52bとは、下方向に揺動される。すなわち、上検出スイッチ53の可動接点53aがスイッチドグ55の上側部から離間される。これにより、上検出スイッチ53は遮断状態となり、第一シリンダリレー112が消磁される。この結果、電動モータ33aへの通電が停止されることにより電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cが停止され、植付部16は停止される。
【0075】
植付機1に対して畝の上面の高さが低くなる場合、畝の上面に接当しながら転動される高さ検出ローラ56が矢印B2方向(下方向)に移動されることで、上下揺動アーム52aと上下揺動アーム52bとは、下方向に揺動される。この際、上下揺動アーム52aが下方許容値H2(図6参照)をこえて下方向に揺動されると、下検出スイッチ54の可動接点54aがスイッチドグ55の下側部に当接される。よって、下検出スイッチ54は導通状態となり、第二シリンダリレー114(図10参照)が励磁される。この結果、第二シリンダリレー114を介して電動モータ33aへの通電が開始されることにより電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cが矢印C2方向に移動され、植付部16は下方向に移動される。
【0076】
植付部16が下方向に移動された結果、植付機1に対する畝の上面の高さは相対的に高くなり、高さ検出ローラ56が上方向に移動されることで、上下揺動アーム52aと上下揺動アーム52bとは、上方向に揺動される。すなわち、下検出スイッチ54の可動接点54aがスイッチドグ55の下側部から離間される。これにより、下検出スイッチ54は遮断状態となり、第二シリンダリレー114が消磁される。この結果、電動モータ33aへの通電が停止されることにより電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cが停止され、植付部16は停止される。
このように、植付部16を畝の上面の高さに合わせて昇降させることにより、種球の植付深さが種球の生育に適切な植付け深さの範囲内となり、種球等の生育不良等を防止することができる。
【0077】
次に、図9を用いて、法面検出部60により畝の法面の位置を検出し、畝の法面の位置に合わせて植付機1を左右操向する制御について説明する。
【0078】
図9に示すように、植付機1に対して畝が左側方に向かって形成されている、または畝に対して植付機1が右側方に向かって移動している場合、畝の法面に接当しながら転動される法面検出ローラ66が矢印D1方向(左方向)に移動されることで、左右揺動アーム62は、左方向に揺動される。この際、左右揺動アーム62が左方許容値W1(図7参照)をこえて左方向に揺動されると、左検出スイッチ63の可動接点63aがスイッチドグ65の左側部に当接される。これにより、左検出スイッチ63は導通状態となり、第一クラッチリレー212(図11参照)が励磁される。この結果、第一クラッチリレー212を介してクラッチモータ47への通電が開始されることによりクラッチ操作ギア46が矢印E1方向に回動され、左出力軸42への回転動力が遮断されるので、植付機1は左側方に向かって移動する。クラッチ操作ギア46は、回動限界位置まで回動されると第一クラッチリミットスイッチ213の可動接点213aが押動され遮断状態となり、クラッチモータ47への通電が停止される。すなわち、クラッチ操作ギア46の矢印E1方向への回動が停止され、その状態が維持される。この際、ニュートラル検出スイッチ221は導通状態であるが、ニュートラル検出リレー222によりクラッチモータ47への通電は停止されている。
【0079】
植付機1が左側方に向かって移動された結果、植付機1に対する畝の法面の位置は相対的に右側方となり、法面検出ローラ66が右方向に移動されることで、左右揺動アーム62は、右方向に揺動される。すなわち、左検出スイッチ63の可動接点63aがスイッチドグ65の左側部から離間される。これにより、左検出スイッチ63は遮断状態となり、第一クラッチリレー212が消磁される。また、ニュートラル検出リレー222により導通状態になっているニュートラル検出スイッチ221を介してクラッチモータ47への通電が開始され、クラッチ操作ギア46が矢印E1方向と逆の方向に回動される。クラッチ操作ギア46がニュートラル位置まで回動されると、ニュートラル検出スイッチ221が遮断状態となり、クラッチモータ47への通電が停止される。よって、クラッチ操作ギア46がニュートラル位置で停止するので、左出力軸42と右出力軸43との両軸に回転動力が伝達され、植付機1は前方向に向かって移動する。
【0080】
植付機1に対して畝が右側方に向かって形成されている、または畝に対して植付機1が左側方に向かって移動している場合、畝の法面に接当しながら転動される法面検出ローラ66が矢印D2方向(右方向)に移動されることで、左右揺動アーム62は、右方向に揺動される。この際、左右揺動アーム62が右方許容値W2(図7参照)をこえて右方向に揺動されると、右検出スイッチ64の可動接点64aがスイッチドグ65の右側部に当接される。これにより、右検出スイッチ64は導通状態となり、第二クラッチリレー215が励磁される。この結果、第二クラッチリレー215を介してクラッチモータ47への通電が開始されることによりクラッチ操作ギア46が矢印E2方向に回動され、右出力軸43への回転動力が遮断されるので、植付機1は右側方に向かって移動する。クラッチ操作ギア46は、回動限界位置まで回動されると第二クラッチリミットスイッチ216の可動接点216aが押動され遮断状態となり、クラッチモータ47への通電が停止される。すなわち、クラッチ操作ギア46の矢印E2方向への回動が停止され、その状態が維持される。この際、ニュートラル検出スイッチ221は導通状態であるが、ニュートラル検出リレー222によりクラッチモータ47への通電は停止されている。
【0081】
植付機1が右側方に向かって移動された結果、植付機1に対する畝の法面の位置は相対的に左側方となり、法面検出ローラ66が左方向に移動されることで、左右揺動アーム62は、左方向に揺動される。すなわち、右検出スイッチ64の可動接点64aがスイッチドグ65の右側部から離間される。これにより、右検出スイッチ64は遮断状態となり、第二クラッチリレー215が消磁される。また、ニュートラル検出リレー222により導通状態になっているニュートラル検出スイッチ221を介してクラッチモータ47への通電が開始され、クラッチ操作ギア46が矢印E2方向と逆の方向に回動される。クラッチ操作ギア46がニュートラル位置まで回動されると、ニュートラル検出スイッチ221が遮断状態となり、クラッチモータ47への通電が停止される。よって、クラッチ操作ギア46がニュートラル位置で停止するので、左出力軸42と右出力軸43との両軸に回転動力が伝達され、植付機1は前方向に向かって移動する。
このように、機体(機体フレーム12)を畝の法面の位置に合わせて操向操作することにより、種球が植付けられる位置が畝の適切な植付け位置の範囲内になり、種球等の生育不良等を防止することができる。
【0082】
次に、図10を用いて、高さ検出部50の回路である高さ検出回路100の構造について説明する。
【0083】
図10に示すように、高さ検出回路100は、植付高さ自動調整回路110と植付昇降回路120とから構成される。高さ検出回路100は、植付高さ自動調整回路110が作業クラッチスイッチ154に接続され、植付昇降回路120がバッテリー13cに接続されている。
【0084】
作業クラッチスイッチ154は、操作コラム15bの作業クラッチレバー151(図2参照)の操作によって、導通状態と遮断状態とに選択的に切り替えるものである。作業クラッチスイッチ154は、作業クラッチレバー151が「入」の位置に操作されることで可動接点154aが押動され、入力端子154bと出力端子154cとが接続され、導通状態になる。入力端子154bは、バッテリー13cと接続される。
【0085】
植付高さ自動調整回路110は、上検出スイッチ53および下検出スイッチ54が検出する検出信号に応じて電動油圧シリンダ33の電動モータ33aを作動させるものである。植付高さ自動調整回路110は、植付高さ自動調整スイッチ111、上検出スイッチ53、第一シリンダリレー112、第一シリンダリミットスイッチ113、下検出スイッチ54、第二シリンダリレー114、第二シリンダリミットスイッチ115、を具備する。
【0086】
植付高さ自動調整スイッチ111は、植付高さ自動調整回路110への通電の開始と通電の停止とを選択的に切り替えるものである。植付高さ自動調整スイッチ111は、可動接点111aが押動されることで入力端子111bと出力端子111cとが接続され、導通状態になる。入力端子111bは、作業クラッチスイッチ154の出力端子154cに接続される。
【0087】
上検出スイッチ53は、上下揺動アーム52aが上方許容値H1(図6参照)をこえて上方向に揺動されると第一シリンダリレー112のコイル部112aへの通電を開始するものである。上検出スイッチ53は、可動接点53aが押動されることで入力端子53bと出力端子53cとが接続され、導通状態になる。入力端子53bは、後述する手動優先リレー122の端子122eに接続される。
【0088】
第一シリンダリレー112は、電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cが矢印C1方向(図8参照)に移動されるように電動モータ33aを作動させるものである。第一シリンダリレー112は、可動接点112bにより共通端子112cと端子112dとが接続され、導通状態になっている。第一シリンダリレー112は、コイル部112aが励磁されることで可動接点112bが切り替わる。よって、第一シリンダリレー112は、可動接点112bにより共通端子112cと端子112eとが接続され、導通状態になる。コイル部112aの一端は、上検出スイッチ53の出力端子53cに接続される。共通端子112cは、電動モータ33aに接続される。端子112dは、接地される。端子112eは、バッテリー13cに接続される。
【0089】
第一シリンダリミットスイッチ113は、第一シリンダリレー112のコイル部112aへの通電を停止するものである。第一シリンダリミットスイッチ113は、可動接点113aが押動されることで入力端子113bと出力端子113cとが切断され、遮断状態になる。入力端子113bは、第一シリンダリレー112のコイル部112aの他端に接続される。出力端子113cは接地される。
【0090】
下検出スイッチ54は、上下揺動アーム52aが下方許容値H2(図6参照)をこえて下方向に揺動されると第二シリンダリレー114のコイル部114aへの通電を開始するものである。下検出スイッチ54は、可動接点54aが押動されることで入力端子54bと出力端子54cとが接続され、導通状態になる。入力端子54bは、後述する手動優先リレー122の端子122eに接続される。
【0091】
第二シリンダリレー114は、電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cが矢印C2方向(図8参照)に移動されるように電動モータ33aを作動させるものである。第二シリンダリレー114は、可動接点114bにより共通端子114cと端子114dとが接続され、導通状態になっている。第一シリンダリレー112は、コイル部114aが励磁されることで可動接点114bが切り替わる。よって、第二シリンダリレー114は、可動接点114bにより共通端子114cと端子114eとが接続され、導通状態になる。コイル部114aの一端は、下検出スイッチ54の出力端子54cに接続される。共通端子114cは、電動モータ33aに接続される。端子114dは、接地される。端子114eは、バッテリー13cに接続される。
【0092】
第二シリンダリミットスイッチ115は、第二シリンダリレー114のコイル部114aへの通電を停止するものである。第二シリンダリミットスイッチ115は、可動接点115aが押動されることで入力端子115bと出力端子115cとが切断され、遮断状態になる。入力端子115bは、第二シリンダリレー114のコイル部114aの他端に接続される。出力端子115cは接地される。
【0093】
植付昇降回路120は、植付部16を任意の高さに昇降させるものである。植付高さ自動調整回路110は、植付昇降スイッチ121、手動優先リレー122等、を具備する。
【0094】
植付昇降スイッチ121は、第一シリンダリレー112のコイル部112aへの通電の開始と、第二シリンダリレー114のコイル部114aへの通電の開始と、第一シリンダリレー112のコイル部112aおよび第二シリンダリレー114のコイル部114aへの通電の停止と、を選択的に切り替えるものである。植付昇降スイッチ121は、可動接点121aを選択的に切り替えることで、可動接点121aにより入力端子121bと出力端子121cとが接続され、導通状態になる。また、植付昇降スイッチ121は、可動接点121aを選択的に切り替えることで、可動接点121aにより入力端子121bと出力端子121dとが接続され、導通状態になる。また、植付昇降スイッチ121は、可動接点121aを選択的に切り替えることで、可動接点121aにより入力端子121bと出力端子121c、および入力端子121bと出力端子121dとが切断され、遮断状態になる。入力端子121bは、バッテリー13cと接続される。出力端子121cは、第一シリンダリレー112のコイル部112aの一端と接続される。出力端子121dは、第二シリンダリレー114のコイル部114aの一端と接続される。
【0095】
手動優先リレー122は、植付高さ自動調整回路110への通電の開始と通電の停止とを切り替えるものである。手動優先リレー122は、可動接点122bにより共通端子122cと端子122dとが接続され、導通状態になっている。手動優先リレー122は、コイル部122aが励磁されることで可動接点122bが切り替わる。よって、手動優先リレー122は、可動接点122bにより共通端子122cと空き端子である端子122eとが接続され、遮断状態になる。コイル部122aの一端は、植付昇降スイッチ121の出力端子121cと出力端子121dとに接続され、コイル部122aの他端は、接地される。共通端子122cは、植付高さ自動調整スイッチ111の出力端子111cに接続される。端子112dは、上検出スイッチ53の入力端子53bに接続される。端子112eは、空き端子である。
【0096】
次に、高さ検出回路100の作動態様について説明する。
【0097】
作業クラッチレバー151が「入」の位置に操作されると、作業クラッチスイッチ154の可動接点154aが押動される。よって、作業クラッチスイッチ154は、入力端子154bと出力端子154cとが接続され、導通状態になる。さらに、植付高さ自動調整スイッチ111が押動されると、植付高さ自動調整スイッチ111は、可動接点111aにより入力端子111bと出力端子111cとが接続され、導通状態になる。
【0098】
植付機1に対して畝の上面の高さが高くなり、上下揺動アーム52aが上方許容値H1をこえて上方向に揺動されると、上検出スイッチ53は、可動接点53aが押動されることで入力端子53bと出力端子53cとが接続され、導通状態になる。よって、第一シリンダリレー112のコイル部112aは、バッテリー13cからの通電が開始され、励磁される。第一シリンダリレー112は、可動接点112bが切り替わり、共通端子112cと端子112eとが接続され、導通状態になる。この結果、バッテリー13cから第一シリンダリレー112を介して電動モータ33aへの通電が開始され、電動モータ33aは、電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cを矢印C1方向(図8参照)に移動させる。
【0099】
電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cが矢印C1方向(図8参照)に移動した結果、第一シリンダリミットスイッチ113の可動接点113aが押動されると、第一シリンダリミットスイッチ113は、入力端子113bと出力端子113cとが切断され、遮断状態になる。よって、第一シリンダリレー112のコイル部112aは、バッテリー13cからの通電が停止され、消磁される。第一シリンダリレー112は、可動接点112bが切り替わり、共通端子112cと端子112dとが接続され、遮断状態になる。この結果、バッテリー13cから電動モータ33aへの通電が停止され、電動モータ33aは、電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cを停止させる。
【0100】
植付部16が上方向に移動された結果、植付機1に対する畝の上面の高さが相対的に低くなり、上下揺動アーム52aが下方向に揺動されると、上検出スイッチ53は、可動接点53aが押動されなくなり入力端子53bと出力端子53cとが切断され、遮断状態になる。よって、第一シリンダリレー112のコイル部112aは、バッテリー13cからの通電が停止され、消磁される。第一シリンダリレー112は、可動接点112bが切り替わり、共通端子112cと端子112dとが接続され、遮断状態になる。この結果、バッテリー13cから電動モータ33aへの通電が停止され、電動モータ33aは、電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cを停止させる。
【0101】
植付機1に対して畝の上面の高さが低くなり、上下揺動アーム52aが下方許容値H2をこえて下方向に揺動されると、下検出スイッチ54は、可動接点54aが押動されることで入力端子54bと出力端子54cとが接続され、導通状態になる。よって、第二シリンダリレー114のコイル部114aは、バッテリー13cからの通電が開始され、励磁される。第二シリンダリレー114は、可動接点114bが切り替わり、共通端子114cと端子114eとが接続され、導通状態になる。この結果、バッテリー13cから第二シリンダリレー114を介して電動モータ33aへの通電が開始され、電動モータ33aは、電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cを矢印C2方向(図8参照)に移動させる。
【0102】
電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cが矢印C2方向(図8参照)に移動した結果、第二シリンダリミットスイッチ115の可動接点115aが押動されると、第二シリンダリミットスイッチ115は、入力端子115bと出力端子115cとが切断され、遮断状態になる。よって、第二シリンダリレー114のコイル部114aは、バッテリー13cからの通電が停止され、消磁される。第二シリンダリレー114は、可動接点114bが切り替わり、共通端子114cと端子114dとが接続され、遮断状態になる。この結果、バッテリー13cから電動モータ33aへの通電が停止され、電動モータ33aは、電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cを停止させる。
【0103】
植付部16が下方向に移動された結果、植付機1に対する畝の上面の高さが相対的に高くなり、上下揺動アーム52aが上方向に揺動されると、下検出スイッチ54は、可動接点54aが押動されなくなり入力端子54bと出力端子54cとが切断され、遮断状態になる。よって、第二シリンダリレー114のコイル部114aは、バッテリー13cからの通電が停止され、消磁される。第一シリンダリレー112は、可動接点114bが切り替わり、共通端子114cと端子114dとが接続され、遮断状態になる。この結果、バッテリー13cから電動モータ33aへの通電が停止され、電動モータ33aは、電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cを停止させる。
【0104】
植付昇降スイッチ121が「上」の位置に操作されると、植付昇降スイッチ121の可動接点121aが切り替わり、入力端子121bと出力端子121cとが接続され、導通状態になる。よって、手動優先リレー122のコイル部122aは、バッテリー13cからの通電が開始され、励磁される。手動優先リレー122は、可動接点122bが切り替わり、共通端子122cと端子122eとが接続され、遮断状態になる。この結果、バッテリー13cから上検出スイッチ53を介した第一シリンダリレー112のコイル部112aへの通電、および下検出スイッチ54を介した第二シリンダリレー114のコイル部114aへの通電が不能となる。つまり、植付昇降スイッチ121による手動操作時は高さ検出部50からの検出信号は受け付けず、また、高さ検出部50からの検出信号により昇降制御を行っていても、植付昇降スイッチ121の操作、所謂手動操作が優先される。
一方、第一シリンダリレー112のコイル部112aは、バッテリー13cから植付昇降スイッチ121を介して通電が開始され、励磁される。よって、第一シリンダリレー112は、可動接点112bが切り替わり、共通端子112cと端子112eとが接続され、導通状態になる。この結果、バッテリー13cから第一シリンダリレー112を介して電動モータ33aへの通電が開始され、電動モータ33aは、電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cを矢印C1方向(図8参照)に移動させる。
【0105】
植付昇降スイッチ121が中立の位置に操作されると、植付昇降スイッチ121の可動接点121aが切り替わり、入力端子121bと出力端子121cおよび出力端子121dとが切断され、遮断状態になる。よって、手動優先リレー122のコイル部122aは、バッテリー13cからの通電が停止され、消磁される。手動優先リレー122は、可動接点122bが切り替わり、共通端子122cと端子122dとが接続され、導通状態になる。この結果、バッテリー13cから上検出スイッチ53を介した第一シリンダリレー112のコイル部112aへの通電、および下検出スイッチ54を介した第二シリンダリレー114のコイル部114aへの通電が可能となる。一方、バッテリー13cから植付昇降スイッチ121を介した第一シリンダリレー112のコイル部112aへの通電が不能となる。
【0106】
植付昇降スイッチ121が「下」の位置に操作されると、植付昇降スイッチ121の可動接点121aが切り替わり、入力端子121bと出力端子121dとが接続され、導通状態になる。よって、手動優先リレー122のコイル部122aは、バッテリー13cからの通電が開始され、励磁される。手動優先リレー122は、可動接点122bが切り替わり、共通端子122cと端子122eとが接続され、遮断状態になる。この結果、バッテリー13cから上検出スイッチ53を介した第一シリンダリレー112のコイル部112aへの通電、および下検出スイッチ54を介した第二シリンダリレー114のコイル部114aへの通電が不能となる。一方、第二シリンダリレー114のコイル部114aは、バッテリー13cから植付昇降スイッチ121を介して通電が開始され、励磁される。よって、第二シリンダリレー114は、可動接点114bが切り替わり、共通端子114cと端子114eとが接続され、導通状態になる。この結果、バッテリー13cから第二シリンダリレー114を介して電動モータ33aへの通電が開始され、電動モータ33aが電動油圧シリンダ33のピストンロッド33cを矢印C2方向(図8参照)に移動させる。
【0107】
次に、図11を用いて、法面検出部60の回路である法面検出回路200の構造について説明する。
【0108】
図11に示すように、法面検出回路200は、自動走行回路210とニュートラル検出回路220とから構成される。法面検出回路200は、自動走行回路210が手動優先スイッチ155を介して作業クラッチスイッチ154に接続され、ニュートラル検出回路220が自動走行回路210に接続されている。
【0109】
手動優先スイッチ155は、操作コラム15bの左サイドクラッチレバー152(図2参照)、または右サイドクラッチレバー153(図2参照)の操作によって、導通状態と遮断状態とに選択的に切り替えるものである。手動優先スイッチ155は、左サイドクラッチレバー152と右サイドクラッチレバー153との両方が「入」の位置に操作されることで可動接点155aが押動され、入力端子155bと出力端子155cとが接続され、導通状態になる。入力端子155bは、作業クラッチスイッチ154と接続される。つまり、左サイドクラッチレバー152、または右サイドクラッチレバー153による手動操作時は法面検出部60からの検出信号は受け付けず、また、法面検出部60からの検出信号により操向制御を行っていても、左サイドクラッチレバー152、または右サイドクラッチレバー153の操作、所謂手動操作が優先される。
【0110】
自動走行回路210は、左検出スイッチ63および右検出スイッチ64が検出する検出信号に応じてクラッチモータ47を作動させるものである。法面検出回路200は、走行方向自動調整スイッチ211、第一クラッチリレー212、左検出スイッチ63、第一クラッチリミットスイッチ213、第一モータ操作リレー214、第二クラッチリレー215、右検出スイッチ64、第二クラッチリミットスイッチ216、第二モータ操作リレー217、を具備する。
【0111】
走行方向自動調整スイッチ211は、法面検出回路200への通電の開始と通電の停止とを選択的に切り替えるものである。走行方向自動調整スイッチ211は、可動接点211aが押動されることで入力端子211bと出力端子211cとが接続され、導通状態になる。入力端子211bは、手動優先スイッチ155の出力端子155cに接続される。
【0112】
第一クラッチリレー212は、後述する第一モータ操作リレー214を作動させるものである。第一クラッチリレー212は、可動接点212bにより共通端子212cと端子212dとが接続され、導通状態になっている。第一クラッチリレー212は、コイル部212aが励磁されることで可動接点212bが切り替わる。よって、第一クラッチリレー212は、可動接点212bにより共通端子212cと端子212eとが接続され、導通状態になる。コイル部212aの一端は、走行方向自動調整スイッチ211の出力端子211cに接続される。
【0113】
左検出スイッチ63は、左右揺動アーム62が左方許容値W1(図7参照)をこえて左方向に揺動されると第一クラッチリレー212への通電を開始するものである。左検出スイッチ63は、可動接点63aが押動されることで入力端子63bと出力端子63cとが接続され、導通状態になる。入力端子63bは、第一クラッチリレー212のコイル部212aの他端に接続される。
【0114】
第一クラッチリミットスイッチ213は、後述する第一モータ操作リレー214のコイル部214aへの通電を停止するものである。第一クラッチリミットスイッチ213は、可動接点213aが押動されることで入力端子213bと出力端子213cとが切断され、遮断状態になる。入力端子213bは、第一クラッチリレー212の端子212eに接続される。出力端子213cは、接地される。
【0115】
第一モータ操作リレー214は、サイドクラッチのクラッチ操作ギア46が矢印E1方向(図9参照)に回動されるようにクラッチモータ47を作動させるものである。第一モータ操作リレー214は、可動接点214bにより共通端子214cと端子214dとが接続され、導通状態になっている。第一クラッチリレー212は、コイル部214aが励磁されることで可動接点214bが切り替わる。よって、第一クラッチリレー212は、可動接点214bにより共通端子214cと端子214eとが接続され、導通状態になる。コイル部214aの一端は、バッテリー13cと接続され、コイル部214aの他端は、第一クラッチリレー212の共通端子212cに接続される。共通端子214cは、クラッチモータ47に接続される。端子214dは、接地される。端子214eは、バッテリー13cに接続される。
【0116】
第二クラッチリレー215は、後述する第二モータ操作リレー217を作動させるものである。第二クラッチリレー215は、可動接点215bにより共通端子215cと端子215dとが接続され、導通状態になっている。第二クラッチリレー215は、コイル部215aが励磁されることで可動接点215bが切り替わる。よって、第一クラッチリレー212は、可動接点215bにより共通端子215cと端子215eとが接続され、導通状態になる。コイル部215aの一端は、走行方向自動調整スイッチ211の出力端子211cに接続される。
【0117】
右検出スイッチ64は、左右揺動アーム62が右方許容値W2(図7参照)をこえて右方向に揺動されると第二クラッチリレー215への通電を開始するものである。右検出スイッチ64は、可動接点64aが押動されることで入力端子64bと出力端子64cとが接続され、導通状態になる。入力端子64bは、第二クラッチリレー215のコイル部215aの他端に接続される。
【0118】
第二クラッチリミットスイッチ216は、後述する第二モータ操作リレー217のコイル部217aへの通電を停止するものである。第二クラッチリミットスイッチ216は、可動接点216aが押動されることで入力端子216bと出力端子216cとが切断され、遮断状態になる。入力端子216bは、第二クラッチリレー215の端子215eに接続される。出力端子216cは、接地される。
【0119】
第二モータ操作リレー217は、クラッチ操作ギア46が矢印E2方向(図9参照)に回動されるようにクラッチモータ47を作動させるものである。第二モータ操作リレー217は、可動接点217bにより共通端子217cと端子217dとが接続され、導通状態になっている。第二クラッチリレー215は、コイル部217aが励磁されることで可動接点217bが切り替わる。よって、第二クラッチリレー215は、可動接点217bにより共通端子217cと端子217eとが接続され、導通状態になる。コイル部217aの一端は、バッテリー13cと接続され、コイル部217aの他端は、第二クラッチリレー215の共通端子215cに接続される。共通端子217cは、クラッチモータ47に接続される。端子217dは、接地される。端子217eは、バッテリー13cに接続される。
【0120】
ニュートラル検出回路220は、クラッチ操作ギア46の位置をニュートラル位置に回動させるものである。植付高さ自動調整回路110は、ニュートラル検出スイッチ221、ニュートラル検出リレー222、を具備する。
【0121】
ニュートラル検出スイッチ221は、クラッチ操作ギア46の位置が左出力軸42と右出力軸43との両軸に回転動力が伝達されるニュートラル位置であることを検出するものである。ニュートラル検出スイッチ221は、第一クラッチリレー212を介して第一モータ操作リレー214のコイル部214aへの通電の開始と、第二シリンダリレー114を介して第二モータ操作リレー217のコイル部217aへの通電の開始と、第一モータ操作リレー214のコイル部214aおよび第二モータ操作リレー217のコイル部217aへの通電の停止と、を選択的に切り替えるものである。ニュートラル検出スイッチ221は、クラッチ操作ギア46が矢印E1方向(図9参照)に回動されると、可動接点221aにより出力端子221bと入力端子221dとが接続され、導通状態になる。また、ニュートラル検出スイッチ221は、クラッチ操作ギア46が矢印E2方向(図9参照)に回動されると、可動接点221aにより出力端子221bと入力端子221cとが接続され、導通状態になる。また、ニュートラル検出スイッチ221は、クラッチ操作ギア46がニュートラル位置に回動されると、可動接点221aにより出力端子221bと入力端子221c、および出力端子221bと入力端子221dとが切断され、遮断状態になる。入力端子221cは、第一クラッチリレー212の端子212dと接続される。入力端子221dは、第二クラッチリレー215の端子215dと接続される。
【0122】
ニュートラル検出リレー222は、ニュートラル検出スイッチ221への通電の開始と通電の停止とを切り替えるものである。ニュートラル検出リレー222は、可動接点222bにより共通端子222cと端子122dとが接続され、導通状態になっている。ニュートラル検出リレー222は、コイル部222aが励磁されることで可動接点222bが切り替わる。よって、ニュートラル検出リレー222は、可動接点222bにより共通端子222cと空き端子である端子222eとが接続され、遮断状態になる。コイル部222aの一端は、走行方向自動調整スイッチ211の出力端子211cに接続され、コイル部222aの他端は、左検出スイッチ63の入力端子63bと右検出スイッチ64の入力端子64bとに接続される。共通端子222cは、ニュートラル検出スイッチ221の出力端子221bに接続される。端子222dは、接地される。端子222eは、空き端子である。
【0123】
次に、法面検出回路200の作動態様について説明する。
【0124】
作業クラッチレバー151が「入」の位置に操作されると、作業クラッチスイッチ154の可動接点154aが押動される。よって、作業クラッチスイッチ154は、入力端子154bと出力端子154cとが接続され、導通状態になる。左サイドクラッチレバー152と右サイドクラッチレバー153との両方が「入」の位置に操作されると、手動優先スイッチ155は、可動接点155aにより入力端子155bと出力端子155cとが接続され、導通状態になる。さらに、走行方向自動調整スイッチ211が押動されると、走行方向自動調整スイッチ211は、可動接点211aにより入力端子211bと出力端子211cとが接続され、導通状態になる。
【0125】
植付機1に対して畝が左側方に向かって形成されている、または畝に対して植付機1が右側方に向かって移動して、左右揺動アーム62が左方許容値W1(図7参照)をこえて左方向に揺動されると、左検出スイッチ63は、可動接点63aが押動されることで入力端子63bと出力端子63cとが接続され、導通状態になる。よって、第一クラッチリレー212のコイル部212aは、バッテリー13cからの通電が開始され、励磁される。第一クラッチリレー212は、可動接点212bが切り替わり、共通端子212cと端子212eとが接続され、導通状態になる。これにより、第一モータ操作リレー214のコイル部214aは、バッテリー13cからの通電が開始され、励磁される。第一モータ操作リレー214は、可動接点214bが切り替わり、共通端子214cと端子214eとが接続され、導通状態になる。この結果、バッテリー13cから第一モータ操作リレー214を介してクラッチモータ47への通電が開始され、クラッチモータ47は、クラッチ操作ギア46を矢印E1方向(図9参照)に回動させる。すなわち、左出力軸42への回転動力が遮断される。
【0126】
左検出スイッチ63が導通状態になると、ニュートラル検出リレー222のコイル部222aは、バッテリー13cからの通電が開始され、励磁される。よって、ニュートラル検出リレー222は、可動接点222bが切り替わり、共通端子222cと端子222eとが接続され、遮断状態になる。ニュートラル検出スイッチ221は、クラッチ操作ギア46が矢印E1方向に回動されることで、可動接点221aにより出力端子221bと入力端子221dとが接続され、導通状態になる。
【0127】
クラッチ操作ギア46が矢印E1方向(図9参照)に回動された結果、第一クラッチリミットスイッチ213の可動接点213aが押動されると、第一クラッチリミットスイッチ213は、入力端子213bと出力端子213cとが切断され、遮断状態になる。よって、第一モータ操作リレー214のコイル部214aは、バッテリー13cからの通電が停止され、消磁される。第一モータ操作リレー214は、可動接点214bが切り替わり、共通端子214cと端子214dとが接続され、遮断状態になる。この結果、バッテリー13cからクラッチモータ47への通電が停止され、クラッチモータ47は、クラッチ操作ギア46を停止させる。
【0128】
植付機1が左側方に向かって移動された結果、植付機1に対する畝の法面の位置は相対的に右側方となり、左右揺動アーム62が右方向に揺動されると、左検出スイッチ63は、可動接点63aが押動されなくなり入力端子63bと出力端子63cとが切断され、遮断状態になる。よって、第一クラッチリレー212のコイル部212aは、バッテリー13cからの通電が停止され、消磁される。第一クラッチリレー212は、可動接点212bが切り替わり、共通端子212cと端子212dとが接続され、導通状態になる。
【0129】
一方、左検出スイッチ63が遮断状態になると、ニュートラル検出リレー222のコイル部222aは、バッテリー13cからの通電が停止され、消磁される。よって、ニュートラル検出リレー222は、可動接点222bが切り替わり、共通端子222cと端子222dとが接続され、導通状態になる。よって、第二モータ操作リレー217のコイル部217aは、バッテリー13cからの通電が開始され、励磁される。第二モータ操作リレー217は、可動接点217bが切り替わり、共通端子217cと端子212dとが接続され、導通状態になる。この結果、バッテリー13cから第二モータ操作リレー217を介してクラッチモータ47への通電が開始され、クラッチモータ47は、クラッチ操作ギア46を矢印E1方向(図9参照)と逆方向に回動させる。すなわち、クラッチモータ47は、クラッチ操作ギア46をニュートラル位置に向けて回動させる。
【0130】
ニュートラル検出スイッチ221は、クラッチ操作ギア46がニュートラル位置まで回動されるとことで、可動接点221aにより出力端子221bと入力端子221dとが切断され、遮断状態になる。よって第二モータ操作リレー217のコイル部217aは、バッテリー13cからの通電が停止され、消磁される。第二モータ操作リレー217は、可動接点217bが切り替わり、共通端子217cと端子217dとが接続され、遮断状態になる。この結果、バッテリー13cからクラッチモータ47への通電が停止され、クラッチモータ47は、クラッチ操作ギア46をニュートラル位置で停止させる。
【0131】
植付機1に対して畝が右側方に向かって形成されている、または畝に対して植付機1が左側方に向かって移動して、左右揺動アーム62が右方許容値W2(図7参照)をこえて右方向に揺動されると、右検出スイッチ64は、可動接点64aが押動されることで入力端子64bと出力端子64cとが接続され、導通状態になる。よって、第二クラッチリレー215のコイル部215aは、バッテリー13cからの通電が開始され、励磁される。第二クラッチリレー215は、可動接点215bが切り替わり、共通端子215cと端子215eとが接続され、導通状態になる。これにより、第二モータ操作リレー217のコイル部217aは、バッテリー13cからの通電が開始され、励磁される。第二モータ操作リレー217は、可動接点217bが切り替わり、共通端子217cと端子217eとが接続され、導通状態になる。この結果、バッテリー13cから第二モータ操作リレー217を介してクラッチモータ47への通電が開始され、クラッチモータ47は、クラッチ操作ギア46を矢印E2方向(図9参照)に回動させる。すなわち、右出力軸43への回転動力が遮断される。
【0132】
右検出スイッチ64が導通状態になると、ニュートラル検出リレー222のコイル部222aは、バッテリー13cからの通電が開始され、励磁される。よって、ニュートラル検出リレー222は、可動接点222bが切り替わり、共通端子222cと端子222eとが接続され、遮断状態になる。ニュートラル検出スイッチ221は、クラッチ操作ギア46が矢印E2方向に回動されることで、可動接点221aにより出力端子221bと入力端子221cとが接続され、導通状態になる。
【0133】
クラッチ操作ギア46が矢印E2方向(図9参照)に回動された結果、第二クラッチリミットスイッチ216の可動接点216aが押動されると、第二クラッチリミットスイッチ216は、入力端子216bと出力端子216cとが切断され、遮断状態になる。よって、第二モータ操作リレー217のコイル部217aは、バッテリー13cからの通電が停止され、消磁される。第二モータ操作リレー217は、可動接点217bが切り替わり、共通端子217cと端子217dとが接続され、遮断状態になる。この結果、バッテリー13cからクラッチモータ47への通電が停止され、クラッチモータ47は、クラッチ操作ギア46を停止させる。
【0134】
植付機1が右側方に向かって移動された結果、植付機1に対する畝の法面の位置は相対的に左側方となり、左右揺動アーム62が左方向に揺動されると、右検出スイッチ64は、可動接点64aが押動されなくなり入力端子64bと出力端子64cとが切断され、遮断状態になる。よって、第二クラッチリレー215のコイル部215aは、バッテリー13cからの通電が停止され、消磁される。第二クラッチリレー215は、可動接点215bが切り替わり、共通端子215cと端子215dとが接続され、遮断状態になる。
【0135】
一方、右検出スイッチ64が遮断状態になると、ニュートラル検出リレー222のコイル部222aは、バッテリー13cからの通電が停止され、消磁される。よって、ニュートラル検出リレー222は、可動接点222bが切り替わり、共通端子222cと端子222dとが接続され、導通状態になる。よって、第一モータ操作リレー214のコイル部214aは、バッテリー13cからの通電が開始され、励磁される。第一モータ操作リレー214は、可動接点214bが切り替わり、共通端子214cと端子214dとが接続され、導通状態になる。この結果、バッテリー13cから第一モータ操作リレー214を介してクラッチモータ47への通電が開始され、クラッチモータ47は、クラッチ操作ギア46を矢印E2方向(図9参照)と逆方向に回動させる。すなわち、クラッチモータ47は、クラッチ操作ギア46をニュートラル位置に向けて回動させる。
【0136】
ニュートラル検出スイッチ221は、クラッチ操作ギア46がニュートラル位置まで回動されるとことで、可動接点221aにより出力端子221bと入力端子221dとが切断され、遮断状態になる。よって第一モータ操作リレー214のコイル部214aは、バッテリー13cからの通電が停止され、消磁される。第一モータ操作リレー214は、可動接点214bが切り替わり、共通端子214cと端子214dとが接続され、遮断状態になる。この結果、バッテリー13cからクラッチモータ47への通電が停止され、クラッチモータ47は、クラッチ操作ギア46をニュートラル位置で停止させる。
【0137】
以上のごとく、本実施形態に係る植付機1は、サイドクラッチの操作によって操向自在に構成される機体(機体フレーム12)と、機体フレーム12に昇降自在に設けられる植付部16と、植付部16に設けられ、畝の上面の高さを検出する高さ検出手段である高さ検出部50と、高さ検出部50が検出する検出信号に応じて、植付部16を昇降させる昇降アクチュエータである電動油圧シリンダ33と、植付部16の前部であって横外側に設けられ、畝の法面の位置を検出する法面検出手段である法面検出部60と、法面検出部60が検出する検出信号に応じて、サイドクラッチを操作する操向アクチュエータであるクラッチモータ47と、を具備するものである。
【0138】
このように構成することにより、畝の上面の高さに合わして植付部16の高さを自動的に変更することができるとともに、畝に外力を加えることなく畝の法面の位置に合わして自動的に植付機1の移動方向を変更することができる。この結果、圃場や畝の状態によって移動が妨げられたり畝を崩壊させたりすることなく、容易に種球の生育に適切な植付け深さで畝の適切な植付け位置に種球を植付けることができる。
【0139】
また、高さ検出部50は、植付部16に上下方向に揺動自在に支持される上下揺動アーム52aと、上下揺動アーム52aが上方許容値H1をこえて上方向に揺動される動作、および上下揺動アーム52aが下方許容値H2をこえて下方向に揺動される動作を検出する上下揺動検出部50aと、を具備することを特徴とするものである。
【0140】
このように構成することにより、前述の効果に加えて、上下揺動アーム52aの揺動動作を検出するだけで、種球が適切に生育するために許容される種球の植付け深さの範囲をこえて畝の上面の高さが変動した場合に、畝の上面の高さに合わして植付部16の高さを変更することができる。この結果、簡易な構成で容易に種球の生育に適切な植付け深さの範囲内に種球を植付けることができる。
【0141】
また、法面検出部60は、植付部16に左右方向に揺動自在に支持される左右揺動アーム62と、左右揺動アーム62が左方許容値W1をこえて左方向に揺動される動作、および左右揺動アーム62が右方許容値W2をこえて右方向に揺動される動作を検出する左右揺動検出部60aと、を具備することを特徴とするものである。
【0142】
このように構成することにより、前述の効果に加えて、左右揺動アーム62の揺動動作を検出するだけで、許容される種球の植付け位置の範囲を超えて畝の左右方向の位置が変動した場合に、畝の法面の位置に合わして自動的に植付機1の移動方向を変更することができる。この結果、簡易な構成で容易に畝の適切な植付け位置の範囲内に種球を植付けることができる。
【0143】
また、法面検出部60は、植付部16の左右片方の横外側に設けられることを特徴とするものである。
【0144】
このように構成することにより、前述の効果に加えて、畝の左右片方の法面の位置を基準として植付機1の移動方向が変更されるので、圃場や畝の状態によって法面検出部60の動作が阻害されることが少ない。この結果、圃場や畝の状態によって移動が妨げられたり畝を崩壊させたりすることなく、簡易な構成で容易に畝の適切な植付け位置の範囲内に種球を植付けることができる。
【0145】
高さ検出部50は、植付部16に上下方向に揺動自在に支持される上下揺動アーム52aと、上下揺動アーム52aが上方許容値H1をこえて上方向に揺動される動作、および上下揺動アーム52aが下方許容値H2をこえて下方向に揺動される動作を検出する上下揺動検出部50aと、を具備し、法面検出部60は、植付部16に左右方向に揺動自在に支持される左右揺動アーム62と、左右揺動アーム62が左方許容値W1をこえて左方向に揺動される動作、および左右揺動アーム62が右方許容値W2をこえて右方向に揺動される動作を検出する左右揺動検出部60aと、を具備し、上下揺動検出部50aと左右揺動検出部60aとは、同一の部材で構成されることを特徴とするものである。
【0146】
このように構成することにより、前述の効果に加えて、上下揺動検出部50aと左右揺動検出部60aとに同一の部材や同一の電気回路を用いることができる。この結果、部品を共通化することでコストを低減することができる。
【符号の説明】
【0147】
1 植付機
12 機体フレーム
16 植付部
33 電動油圧シリンダ
47 クラッチモータ
50 高さ検出部
50a 上下揺動検出部
60a 左右揺動検出部
52a 上下揺動アーム
62 左右揺動アーム
60 法面検出部
H1 上方許容値
H2 下方許容値
W1 左方許容値
W2 右方許容値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドクラッチの操作によって操向自在に構成される機体と、
前記機体に昇降自在に設けられる植付部と、
前記植付部に設けられ、畝の上面の高さを検出する高さ検出手段と、
前記高さ検出手段が検出する検出信号に応じて、前記植付部を昇降させる昇降アクチュエータと、
前記植付部に設けられ、畝の法面の位置を検出する法面検出手段と、
前記法面検出手段が検出する検出信号に応じて、前記サイドクラッチを操作する操向アクチュエータと、
を具備する植付機。
【請求項2】
前記高さ検出手段は、
前記植付部に上下方向に揺動自在に支持される上下揺動アームと、
前記上下揺動アームが上方許容値をこえて上方向に揺動される動作、および前記上下揺動アームが下方許容値をこえて下方向に揺動される動作を検出する上下揺動検出部と、
を具備する請求項1に記載の植付機。
【請求項3】
前記法面検出手段は、
前記植付部に左右方向に揺動自在に支持される左右揺動アームと、
前記左右揺動アームが左方許容値をこえて左方向に揺動される動作、および前記左右揺動アームが右方許容値をこえて右方向に揺動される動作を検出する左右揺動検出部と、
を具備する請求項1または請求項2に記載の植付機。
【請求項4】
前記法面検出手段は、
前記植付部の左右片方の横外側に設けられることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の植付機。
【請求項5】
前記高さ検出手段は、
前記植付部に上下方向に揺動自在に支持される上下揺動アームと、
前記上下揺動アームが上方許容値をこえて上方向に揺動される動作、および前記上下揺動アームが下方許容値をこえて下方向に揺動される動作を検出する上下揺動検出部と、
を具備し、
前記法面検出手段は、
前記植付部に左右方向に揺動自在に支持される左右揺動アームと、
前記左右揺動アームが左方許容値をこえて左方向に揺動される動作、および前記左右揺動アームが右方許容値をこえて右方向に揺動される動作を検出する左右揺動検出部と、
を具備し、
前記上下揺動検出部と前記左右揺動検出部とは、同一の部材で構成されることを特徴とする請求項1に記載の植付機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate