説明

植付装置

【課題】従来よりも高速に苗植付けができる苗植付装置を提供する。
【解決手段】植付体27は、植付体ケース30と、植付体ケース30に取り付けられ、苗マットから苗を取る苗取り爪40と、植付体ケース30に取り付けられ、苗取り爪40が取った苗を圃場へ押し出す押出機構とを有する。押出機構は、後部に互いに対向する一対のつば体37が固定され、苗取り爪40に沿って移動する押出体41と、一対のつば体37の間に配置された押出回転体38と、押出回転体38の回転軸を軸支し、所定の回転軸33を中心に回動して押出回転体38を移動させる押出アーム31と、押出アーム31を駆動するアーム駆動機構とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植機等の苗移植機に設けられる植付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用型田植機などの苗移植機の後方に配置された苗載せ台に積載されている苗マットから苗を取り圃場に植え付ける苗植付装置として、左右方向の植付駆動軸を回転中心にして回転する回転ケースの左右の回転三等分角の略120度間隔位置に苗植付具を配置して、回転ケースの回転中に苗植付具の先端部を回転ケースの回転外周へ突出させて、略楕円形状の植付軌跡線を描いて苗の分離、植付作動を行わせる技術が知られている。
【0003】
苗植付具は、苗載せ台上のマット状の苗から一株分の苗を掻き取る苗取り爪と、苗取り爪が掻き取った苗を押し出す苗押出具とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図24は、従来の苗植付具の側面断面図を示している。
【0005】
苗植付具200は、マット状の苗を一株分掻き取って保持する苗取り爪202と苗取り爪202で分離して保持した苗を圃場面へ向けて押し出す苗押出体203とを備えて構成される。
【0006】
回転ケースの回動により苗植付具200がル−プ軌跡を描いて苗載せ台の苗掻き取り口を通過することにより、苗取り爪202が苗掻き取り口にある苗を掻き取り保持し、保持した苗を苗押出体203が圃場面に向かって押し出して圃場に苗を植え付けるようになっている。
【0007】
苗押出体203は、基部が苗植付具200の苗植付具ケース201内に挿入され、苗の押出作用側へ押し出しスプリング204により付勢されると共に、苗植付具200に対して回動する押し出しカム205の回動により押し出しアーム軸207回りに揺動する押し出しアーム206を揺動させ、押し出しア−ム206の先端部211に連繋して、苗植付具ケース201に対して摺動して押出作動するようになっている。押し出しカム205は回転ケースに対して回動しないように設けられ、回転ケースの一回転につき押し出しカム205が苗植付具200に対して一回転する構成となっている。
【0008】
苗取り爪202は、基部側にボルト孔が設けられ、ボルト孔を通す締着ボルト208により苗植付具ケース201に取り付けられている。
【0009】
苗押出体203は、押出作動により苗植付具ケース201に対して摺動する軸部となる丸軸部203aと、丸軸部203aの先端に固着された苗押出部203bとを備えて構成される。苗植付具ケース201内において、丸軸部203aが苗植付具ケース201に内装される筒状の軸受部材となるブッシュ209に摺動可能に支持され、丸軸部203aの外周面がブッシュ209の内周面に接触している。
【0010】
苗押出部203bの前端部が、苗取り爪202が保持した苗の苗床に当接して、苗取り爪202が保持した苗を押し出すようになっている。
【0011】
ブッシュ209の上側には、丸軸部203aの外周面で摺動自在なクッションゴム210を設けている。
【0012】
以上の構成により、この苗植付具200は、回転ケースの回転により、上下方向のル−プ軌跡で旋回し、苗取り爪202により苗載せ台の下部の苗掻き取り口から一株分の苗を掻き取ってその掻き取った苗を圃場面に移送し、苗押出体203が押出作動により圃場に苗を植え付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−118786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記した従来の苗植付装置では、苗押出体を押し出す際の押し出しア−ムとの間の作動抵抗により、苗押出体の押し出し速度の高速化を阻害していた。
【0015】
図25(a)に、従来の苗植付具200の押し出しアーム206の先端部の斜視図を示し、図25(b)に、押し出しアーム206の正面図を示す。
【0016】
押し出しアーム206の先端部211は、図25(a)に示すように円形状をしており、このアーム先端部211は、図24に示すように、苗押出体203の後端側に固定される2つの押し出しナット212の間に挟まれるように配置されている。アーム先端部211の円形状の周囲部分が押し出しナット212に接触しながら、押し出しアーム軸207を中心に押し出しアーム206が揺動することにより、苗押出体203を前後に作動させる。
【0017】
苗押出体203を前後に作動させる際、アーム先端部211の円形状の周囲部分の押し出しナット212と接触する位置が移動するため、アーム先端部211と押し出しナット212との間に大きな作動抵抗が生じる。この作動抵抗により、押し出しアーム206を高速に揺動させることができず、苗押出体203の押し出し速度の高速化に限界があった。
【0018】
本発明は、このような従来の植付装置の課題を考慮し、従来よりも高速に苗の植え付けができる苗植付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の上記課題は、次の解決手段で解決される。
【0020】
第1の本発明は、
走行車体(10)の後方に配置された苗載せ台(22)に積載されている苗マットから苗を取り圃場に植え付ける植付装置(23)であって、
植付伝動部フレーム(21)に回転可能に取り付けられた回転伝動ケース(28)と、
前記回転伝動ケース(28)に回動可能に取り付けられた植付体(27)とを備え、
前記植付体(27)は、
植付体ケース(30)と、
前記植付体ケース(30)に取り付けられ、前記苗マットから前記苗を取る苗取り爪(40)と、
前記植付体ケース(30)に取り付けられ、前記苗取り爪(40)が取った苗を前記圃場へ押し出す押出機構とを有し、
前記押出機構は、
後部に互いに対向する一対のつば体(37)が固定され、前記苗取り爪(40)に沿って移動する押出体(41)と、
前記一対のつば体(37)の間に配置された押出回転体(38)と、
前記押出回転体(38)の回転軸を軸支し、所定の回転軸(33)を中心に回動して前記押出回転体(38)を移動させる押出アーム(31)と、
前記押出アーム(31)を駆動するアーム駆動機構とを有することを特徴とする植付装置である。
【0021】
また、第2の本発明は、
前記植付体ケース(30)は、前記押出体(41)を摺動可能に保持して固定する保持フレーム(53)を有し、
前記一対のつば体(37)のうち前方のつば体と前記保持フレーム(53)の一部との間に押出体付勢スプリング(56)が配置され、
前記押出体(41)が押し出された際には、前記押出体付勢スプリング(56)が縮まることを特徴とする、第1の本発明の植付装置である。
【0022】
また、第3の本発明は、
前記押出機構は、前記押出アーム(58)に駆動力を与えるカム(34)と、押出アーム付勢スプリング(55)とを有し、
前記押出アーム(58)の前記所定の回転軸(33)を基準として、前記押出回転体(38)とは反対側の前記押出アーム(58)の端部の前側に、前記押出アーム付勢スプリング(55)が配置され、
前記押出アーム付勢スプリング(55)は、前記押出アーム(58)の前記端部を後ろ側に付勢しており、
前記押出アーム(58)の前記端部には、前記カムに当接する被作用部(32)が形成されており、
前記カム(34)は、回転しつつ、前記押出アーム(58)の前記端部と当接および離反を繰り返すことを特徴とする、第1または第2の本発明の植付装置である。
【0023】
また、第4の本発明は、
前記押出体(41)と前記保持フレーム(53)の摺動内壁との間には、上方側に、前記植付体ケース(30)の内部と外部とを連通する空間部(50)が形成されており、
前記空間部(50)の天井には、突状(51)を形成したことを特徴とする、第2の本発明の植付装置である。
【0024】
また、第5の本発明は、
前記苗取り爪(61)の下面の一部には、ストッパー(62)が形成され、
前記苗取り爪(61)の後端には、苗取り付勢スプリング(63)が取り付けられ、前記苗取り爪(61)が前後に移動可能になっており、
前記押出体(41)の上面の一部には、係止部(65)が設けられており、
前記押出体(41)が後退する際に、前記係止部(65)が前記ストッパー(62)に係止して、前記苗取り爪(61)を後退させる機構としたことを特徴とする、第1から第4のいずれかの本発明の植付装置である。
【0025】
また、第6の本発明は、
前記苗取り爪(71)は、ヒンジ機構(74)によって、前方部(72)が折れ曲がるようになっており、張圧スプリング(76)によって、常時前記前方部(72)が下方に折れ曲がるようになっており、
前記押出体(41)の先端上面には、当接部(65)が設けられており、
前記当接部(65)は、前記押出体(41)が前方に移動すると、前記苗取り爪(71)の下面に当接して前記前方部(72)を持ち上げ、前記苗取り爪(71)の前記前方部(72)が後方部(73)と一直線になることを特徴とする、第1から第4のいずれかの本発明の植付装置である。
【0026】
また、第7の本発明は、
前記苗取り爪(40)が前記苗マットから前記苗を取り前記圃場に向かう位置に、前記植付体(27)を案内する苗ガイド(87)を備え、
前記苗ガイド(87)は、上方から下方に向かうほど左右の間隔が狭くなるように配置された左右の側壁(88)と、前記左右の側壁(88)に沿って前記左右の側壁(88)の間に設けられた底板(89)とを有することを特徴とする、第1から第6のいずれかの本発明の植付装置である。
【0027】
また、第8の本発明は、
前記底板(92)の上端部は、前記左右の側壁(91)の上端部よりも上方まで延びており、
前記左右の側壁(94)の下端部は、前記底板(95)の下端部よりも下方まで延びていることを特徴とする、第7の本発明の植付装置である。
【発明の効果】
【0028】
第1の本発明によって、押出体(41)に接触するのが押出回転体(38)であるため、苗の押し出しの際の抵抗が小さくなり、押出スピードを速くすることができる。
【0029】
第2の本発明によって、苗を押し出す押出体(41)に押出回転体(38)が接触することにより、苗の押し出しの際の抵抗が確実に小さくなるので、押出スピードを速くすることができ、植付速度の高速化が図られる。
【0030】
また、押出体(41)を押出体付勢スプリング(56)で回動方向の反対側に付勢しているので、苗を植え付けると押出体(41)が自動的に元の位置に戻ることができる。
【0031】
第3の本発明によって、押出アーム(58)の回動支点(33)よりも他側端部側で且つ回転方向の上手側に押出アーム付勢スプリング(55)を配置したことにより、植付体ケース(30)の外周部(回転軌跡の外周側)の重量を押さえることができるので、回転時に植付体の軌跡が乱れにくくなる。
【0032】
また、押出アーム付勢スプリング(55)の位置が内周寄りとなるため、後続の植付体が干渉する外周部の突出部が無くなり、配置構成の自由度が向上する。
【0033】
また、植付体同士の干渉がなく、作業能率が向上する。
【0034】
第4の本発明によって、植付体ケース(30)内側の上部に空間部(50)を形成したことにより、溜まったグリスは非作業時に重力により落下するので、グリス詰まりが生じにくく、内部圧力の変化が生じにくいので、苗の植え付けのタイミングが安定する。
【0035】
また、テーパー状の突状(51)を空間部(50)に形成することにより、グリスが重力により落下しやすくなるので、グリス詰まりがいっそう生じにくくなり、グリスの補充頻度が低下する。
【0036】
第5の本発明によって、苗を圃場に植え付け、押出体(41)が後退すると苗取り爪(61)が共に後退することにより、苗取り爪(61)の先端部が植え付けた苗に接触することを防止できるので、苗が傷付くことが防止される。
【0037】
第6の本発明によって、前方部(72)と後方部(73)に分割した苗取り爪(71)において、前方部(72)と後方部(73)をヒンジ機構(74)で連結し、ヒンジ機構(74)に前方部(72)を下方に付勢する張圧スプリング(76)を設けたことにより、押出体(41)が後退して苗取り爪(71)のヒンジ機構(74)を超えると前方部(72)が支点位置から下方に屈曲するため、前方部(72)の先端部が植え付けた苗に接触することを防止できるので、苗が傷付くことが防止される。
【0038】
第7の本発明によって、苗ガイド(87)の左右の側壁(88)を、上方から下方に向かうほど左右間隔が狭くなる構成としたことにより、下方ほど撓み易くなるので、苗のサイズの大小に関係なく苗は苗ガイドを通過でき、植付位置が揃いやすくなる。
【0039】
また、苗ガイド(87)をU字型に形成すると、苗との接触面を減らしつつ空間を広く取ることができるので、作業能率が向上する。
【0040】
また、苗ガイド(87)をU字型に形成すると、苗ガイドに泥が溜まりにくく、苗が通りやすくなる。
【0041】
第8の本発明によって、苗ガイド(90)の基部側よりも下方に左右の側壁(91)の基部を設けることにより、苗ガイド(90)が左右に開きやすくなるため、大きな苗が通過しても苗ガイド間に詰まることがなく、作業能率が向上する。
【0042】
また、苗ガイド(93)の左右の側壁(94)の下端部を、底板(95)の下端部よりも下方まで延ばしたことにより、底板(95)が植付体(27)から苗が押し出されることを妨げる位置に無いので、苗が確実に圃場に移植される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態1の乗用型田植機の左側面図
【図2】本発明の実施の形態1の乗用型田植機の平面図
【図3】本発明の実施の形態1の苗植付具の断面図
【図4】(a)本発明の実施の形態1の押し出しアームの上部の構成図、(b)本発明の実施の形態1の押し出しアームの組み立て構成図
【図5】(a)本発明の実施の形態1の他の構成の押し出しアームの回動時の、アーム先端部と押し出しナットの関係を説明する図、(b)従来の構成の押し出しアームの回動時の、アーム先端部と押し出しナットの関係を説明する図
【図6】(a)本発明の実施の形態1の他の構成の押し出しアームが傾いていないときの、アーム先端部の押し出しナットとの接触点を示す図、(b)本発明の実施の形態1の他の構成の押し出しアームが傾いているときの、アーム先端部の押し出しナットとの接触点を示す図、(c)本発明の実施の形態1の他の構成の押し出しアームの先端部と、従来の押し出しアームの先端部の形状の差異を示した図
【図7】(a)本発明の実施の形態1の苗植付具の、苗押出体が摺動する部分の断面図、(b)本発明の実施の形態1の苗植付具の、苗押出体が摺動する部分のH−H断面図
【図8】本発明の実施の形態2の苗植付具の、苗取り状態の断面図
【図9】本発明の実施の形態2の苗植付具の、押し出し状態の断面図
【図10】本発明の実施の形態2の、他の構成の苗植付具の断面図
【図11】(a)従来の苗植付具で苗を圃場へ植え付けた際の苗取り爪の先端の動軌跡を示した図、(b)本発明の実施の形態2の、他の構成の苗植付具で苗を圃場へ植え付けた際の苗取り爪の先端の動軌跡を示した図
【図12】本発明の実施の形態2の、他の構成の苗植付具の断面図
【図13】(a)本発明の実施の形態2の、他の構成の苗植付具の先端部分の、押し出し時の断面図、(b)本発明の実施の形態2の、他の構成の苗植付具の先端部分の、苗押し出し後の断面図
【図14】本発明の実施の形態3の乗用型田植機の苗植え付け部の左側面図
【図15】(a)本発明の実施の形態3の苗ガイドの側面図、(b)本発明の実施の形態3の苗ガイドの背面図
【図16】(a)本発明の実施の形態3の苗ガイドの断面図、(b)従来の苗ガイドの断面図、(c)本発明の実施の形態3の、他の構成の苗ガイドの断面図、(d)本発明の実施の形態3の、他の構成の苗ガイドの苗との関係を示す断面図
【図17】(a)本発明の実施の形態3の、他の構成の苗ガイドの側面図、(b)本発明の実施の形態3の、他の構成の苗ガイドの背面図
【図18】(a)本発明の実施の形態3の、他の構成の苗ガイドの側面図、(b)本発明の実施の形態3の、他の構成の苗ガイドの背面図
【図19】(a)本発明の実施の形態3の、他の構成の苗ガイドの側面図、(b)本発明の実施の形態3の、他の構成の苗ガイドの背面図
【図20】(a)実施の形態4の苗植付装置部分の側面図、(b)実施の形態4の苗植付具の側面図
【図21】(a)実施の形態4の押し出しユニットの断面図、(b)実施の形態4のカムユニットの断面図
【図22】(a)実施の形態4の、他の構成の苗植付装置部分の側面図、(b)実施の形態4の、他の構成の苗植付具の側面図
【図23】(a)実施の形態4の、他の構成の押し出しユニットの断面図、(b)実施の形態4の、他の構成のカムユニットの断面図
【図24】従来の苗植付装置の苗植付具の側面断面図
【図25】(a)従来の苗植付具の押し出しアームの先端部の斜視図、(b)従来の苗植付具の押し出しアームの正面図
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0045】
(実施の形態1)
図1および図2に、本発明の実施の形態1の植付装置を装備した乗用型田植機の左側面図および平面図を示す。
【0046】
この乗用型田植機は、エンジン11を搭載し、駆動回転する各左右一対の前輪12および後輪13を備えた走行車体10の後方に、昇降リンク装置14を介して6条植の苗植え付け部15が連結されている。
【0047】
また、走行車体10には、運転座席16、前輪12を操向する操縦ハンドル17、予備の苗を載せておく予備苗載台18が設けられている。また運転座席16にはエンジン動力を変速する変速装置19の変速操作をする変速レバー20が設けられている。
【0048】
なお、本明細書においては、前後、左右の方向基準は、運転席からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。
【0049】
苗植え付け部15は、走行車体10から伝動入力される植付伝動部ケース21の上側に前部が上位となるように傾斜した苗載せ台22を設けるとともに、植付伝動部ケース21の植付伝動部の後端部に2条ごとで1組の苗植付装置23を設けている。
【0050】
フロート24を接地させた状態で機体を進行させると、苗載せ台22が左右に往復移動して台上のマット苗を苗載せ台22下端側の苗取り口25に一株ずつ順次供給し、それを苗植付装置23が分離して取り出し圃場に植え付ける。
【0051】
また苗植え付け部15には機体両側に昇降自在に設けられ、圃場上に下降させて、その先端部で圃場上に機体がUターンして次回の機体走行方向を示す目印となる線引きを予めするためのマーカー26が設けられている。
【0052】
次に、本実施の形態1の苗植付装置23の構成について説明する。
【0053】
回転ケース28は、植付伝動部ケース21の後端部の両側に、回転軸29によって支持される。植付伝動部ケース21の伝動機構によって回転軸29が回転すると、回転軸29と一体となって回転ケース28が回転する。
【0054】
回転ケース28の外側側面には、3つの苗植付具27が、回転軸29に対して等間隔となる位置で、回動軸39によって回転ケース28のフレームに軸支されている。
【0055】
なお、植付伝動部ケース21が、本発明の植付伝動部フレームの一例にあたり、回転ケース28が、本発明の回転伝動ケースの一例にあたる。また、苗植付具27が、本発明の植付体の一例にあたる。
【0056】
次に、本実施の形態1の苗植付具27の苗押し出し機構について説明する。
【0057】
図3は、本実施の形態1の苗植付具27の断面図を示している。
【0058】
苗植付具27は、先端部が鋭利に形成された二股フォーク状の苗取り爪40と、苗取り爪40の下側で突出・後退作動をする苗押出体41が取り付けられている。
【0059】
押し出しアーム軸33が、回動軸39に固定された苗植付具ケース30に固定されており、押し出しアーム軸33を支点として自在に回動できる押し出しアーム31が設けられている。押し出しアーム31の一端のアーム先端部38が苗押出体41に連繋されており、押し出しアーム軸33を支点とした押し出しアーム31の回動動作に応じて、苗押出体41が前後に動作するように構成されている。アーム先端部38は、苗押出体41の後端側に固定される2つの押し出しナット37の間に挟まれるように配置されて、苗押出体41に連繋している。
【0060】
なお、苗植付具ケース30が、本発明の植付体ケースの一例にあたり、2つの押し出しナット37が、本発明に、互いに対向する一対のつば体の一例にあたる。また、押し出しアーム31が、本発明の押出アームの一例にあたり、押し出しアーム軸33が、本発明の所定の回転軸の一例にあたる。
【0061】
また、苗押出体41の後端には、苗押出体41を前へ押し出すように付勢する押し出しスプリング35が設けられている。押し出しスプリング35は、後方側に配置されている押し出しナット37に当接して、苗押出体41を前へ押し出す。
【0062】
一方、回転ケース28に対して回動自在な回動軸39を取り囲むようにリング状の押し出しカム34が回転ケース28に固定されている。また、押し出しカム34の周囲部分には、段差のあるストッパー部36が形成されている。
【0063】
押し出しアーム31の、苗押出体41とは反対側の先端である押し出しアーム規制部32が、押し出しカム34の周囲部分に接触するように配置されている。
【0064】
押し出しカム34は回転ケース28に固定されているので、回動軸39が回転ケース28の回転軸29を中心として左回りに一回転すると、その間に、押し出しカム34は、苗植付具27に対して相対的に左回りに一回転することになる。
【0065】
そして、苗植付具27が苗植え付けの位置にきたときに、押し出しアーム規制部32が、押し出しカム34のストッパー部36の部分を通過するように構成されている。
【0066】
苗植え付けの位置に至るまでは、押し出しアーム規制部32が接している押し出しカム34の周囲部分の半径が徐々に大きくなっていくので、押し出しアーム31に連繋された苗押出体41は徐々に後退していき、押し出しスプリング35が押し込まれていく。
【0067】
そして、苗植付具27が苗植え付けの位置に達したときに、押し出しアーム規制部32がストッパー部36を通過することにより、苗押出体41を後退させていた力が開放され、押し出しスプリング35によって苗押出体41が前方に勢いよく押し出され、苗が圃場に植え付けられる。
【0068】
なお、押し出しアーム規制部32がストッパー部36を通過した後、苗植付具27が苗取り口25に至るまでの間は、押し出しアーム規制部32は、押し出しカム34の周囲部分に当接していてもよいし離反していてもよい。
【0069】
なお、押し出しカム34が、本発明の、押出アームに駆動力を与えるカムの一例にあたり、押し出しアーム規制部32が、本発明の、カムに当接する被作用部の一例にあたる。
【0070】
図4(a)に、本実施の形態1の押し出しアーム31の上部の構成図を示し、図4(b)に、押し出しアーム31の組み立て構成図を示す。
【0071】
図4(a)に示すように、本実施の形態1の押し出しアーム31は、アーム基部45とアーム先端部38によって構成されており、2つに分岐したアーム基部45の先端部分に、2つのローラー46が回動自在に取り付けられている。
【0072】
図4(b)に示すように、本実施の形態1の押し出しアーム31は、ドライブッシュ47を介してローラー46の中心の孔に皿小ネジ48の軸を貫通させ、皿小ネジ48のネジ山をアーム基部45の先端部分に設けた孔に形成したタップに嵌め込んで組み立てられる。
【0073】
このように、本実施の形態1の押し出しアーム31は、アーム基部45に対して、アーム先端部38のローラー46が自在に回転する構成としているので、押し出しアーム31が押し出しアーム軸33を中心として回動する際に、ローラー46(アーム先端部38)の押し出しナット37と接触する位置が変化することなく、苗押出体41を前後に移動させることができる。
【0074】
なお、アーム基部45に対して自在に回転するアーム先端部38が、本発明の押出回転体の一例にあたる。
【0075】
図25(a)および図25(b)に示すように、従来の押し出しアーム206は、円形状のアーム先端部211がアーム基部の部分と一体で構成されていたため、押し出しアーム206が回動して苗押出体203を前後に移動させる際に、アーム先端部211の押し出しナット212と接触する位置が変化して作動抵抗が大きくなっていたのに対し、本実施の形態1の押し出しアーム31では、アーム先端部38と押し出しナット37間の作動抵抗は、格段に小さくなる。
【0076】
したがって、従来よりも押し出しアーム31を高速に回動させることができ、苗押出体41を前方へ押し出す際の押し出し速度を高速にすることができ、従来よりも苗の植え付けを高速化できる。
【0077】
図5(a)に、本実施の形態1の他の構成の押し出しアームの回動時の、アーム先端部と押し出しナットの関係を説明する図を示す。図5(b)には、従来の構成の押し出しアームの回動時の、アーム先端部と押し出しナットの関係を説明する図を示す。
【0078】
また、図6(a)に、本実施の形態1の他の構成の押し出しアームが傾いていないときの、アーム先端部の押し出しナットとの接触点を示し、図6(b)に、押し出しアームが傾いているときの、アーム先端部の押し出しナットとの接触点を示している。図6(c)には、本実施の形態1の他の構成の押し出しアームの先端部と従来の押し出しアームの先端部の形状の差異を表した図を示す。
【0079】
図5(a)に示す本実施の形態1の他の構成の押し出しアームは、アーム先端部49の形状が、図25に示した従来の押し出しアーム206の先端部211の円形状とは異なり、水滴状の形状としている。
【0080】
図5(b)に示すように、円形状をした従来のアーム先端部211の場合には、押し出しアームが傾いているときと傾いていないときでは、押し出しナット37側のアーム先端部211と接触する位置が大きく変化する。すなわち、押し出しアーム206が回動することにより、苗押出体41の軸の位置に対して、押し出しナット37側の接触位置が上下に大きく変化する。
【0081】
押し出しナット37側の接触位置が上下に大きく変化することにより、苗押出体41のシール部分が引っ掛かり、耐久性の面で不利になる。
【0082】
一方、水滴状の形状としたアーム先端部49を有する本実施の形態1の押し出しアームを用いる場合には、図5(a)に示すように、押し出しアームが傾いているときと傾いていないときとで、押し出しナット37側のアーム先端部49と接触する位置が略同じ位置になるため、押し出しナット37とアーム先端部49の接触位置が変化を抑制することができるので、構成部材の耐久性が向上する。
【0083】
図6(a)および図6(b)に示すように、アーム先端部49を水滴状の形状としたことにより、押し出しアーム側の押し出しナット37との接触点の位置は、押し出しアームが傾いているときと傾いていないときで大きく変化する。押し出しアーム側の接触点の位置を大きく変化するようにしたことで、押し出しナット37側の接触位置の変化を小さくすることができる。
【0084】
図6(c)に示すように、アーム先端部の形状を、従来のアーム先端部211よりも半径が大きいアーム先端部49の形状とすることにより、上記のように、押し出しナット37側の接触位置の変化を小さくすることができる。
【0085】
押し出しナット37側の接触位置の変化を小さくすることにより、苗押出体41へ付勢する力が苗押出体41の軸方向に一定にかかるようになり、その結果、苗押出体41のシール部分の耐久性を向上させることができる。
【0086】
従来の苗植付具200を示した図25の破線で囲んだG部分に相当する部分の本実施の形態1の苗植付具27の要部断面図を、図7(a)に示す。すなわち、図7(a)は、本実施の形態1の苗植付具27の苗植付具ケース30に対して苗押出体41が摺動する部分の断面図を示している。
【0087】
図7(b)は、図7(a)のH−H断面を示している。
【0088】
図25に示した従来の苗植付具200では、苗押出体203の摺動する部分の丸軸部203aの下部に丸軸部203aに沿った空間を設けているのに対し、本実施の形態1の苗植付具27では、図7(a)に示すように、苗押出体41が摺動する部分の上部に、苗押出体41に沿って苗植付具ケース30の内側を外側と連通させる空間部50を設けている。
【0089】
苗植付具ケース30の内外を連通させる空間部50を設けることにより、苗植付具ケース30の内外の圧力変化を抑制できる。
【0090】
従来のように、苗押出体203の下部に空間を設けた場合には、グリスがその空間に溜まり易かったが、空間部50を上部に設けることにより、空間部50にグリスが溜まり難くすることができるので、グリスの補充頻度が低下する。
【0091】
さらに、図7(b)に示すように、本実施の形態1の苗植付具27は、空間部50の天井部分にテーパー状の突起51を設けている。テーパー状の突起51を設けることにより、空間部50の天井部分のグリスを重力によって落下し易くして、空間部50がグリスで詰まるのを抑制している。
【0092】
このように、天井部分にテーパー状の突起51が形成されている空間部50を苗押出体41の上部に設けたことで、グリス詰まりを抑制でき、その結果、メンテナンスの頻度を抑制することができる。
【0093】
なお、突起51が、本発明の、空間部の天井に形成されている突状の一例にあたる。
【0094】
(実施の形態2)
図8および図9に、本発明の実施の形態2の苗植付具の断面図を示す。図8は、苗取り状態の断面図を示し、図9は、押し出し状態の断面図を示す。図3の苗植付具27と同じ構成部分には、同じ符号を用いている。
【0095】
従来の苗植付具200では、図25に示すように、苗押出体203を押し出し方向に付勢する押し出しスプリング204を、苗押出体203の後端部に配置して押し出しアーム206の先端部211側を付勢していたのに対し、本実施の形態2の苗植付具52では、図8および図9に示すように、押し出しアーム58のアーム先端部38とは反対側の端部、すなわち押し出しアーム軸33よりも押し出しカム34側の端部を、苗押出体41の押し出し方向とは反対向き(後方)に付勢する位置に、押し出しスプリング55を配置している。
【0096】
なお、押し出しスプリング55が、本発明の押出アーム付勢スプリングの一例にあたる。
【0097】
図25に示すように、従来の苗植付具200では、押し出しスプリング204が回動軸から離れた位置に配置されていたため、苗植付具200の端部の重量が重くなり、苗植付具200回動時の動作が不安定になっていたが、図8および図9に示すように、押し出しスプリング55を回動軸39に近い位置に配置することで苗植付具52の端部の重量を軽くでき、従来よりも安定して苗植付具52を動作させることができる。
【0098】
また、従来の苗植付具200では、苗植付具ケース201の後方部分にスプリングカバー部213を設けて押し出しスプリング204を収納するようにしていたため、苗植付具200自体の前後長が長くなっていた。本実施の形態2の苗植付具52では、押し出しスプリング55を押し出しアーム58の前方側に配置したことにより、苗植付具52自体の前後長を従来よりも短くすることができる。また、スプリングカバー部213を後方に設ける必要が無いので、苗植付具ケース57を簡単に構成することができる。
【0099】
複数の苗植付具を回転ケース28に配置する際、動作時の他の苗植付具との干渉を考慮して設計する必要があるが、苗植付具自体の前後長を短くすることで、他の苗植付具との干渉が生じ難くなり、設計し易くなる。また、よりコンパクトに植付装置を構成することができる。
【0100】
また、従来の苗植付具200では、押し出し時の苗押出体203の衝撃を吸収するために、押し出しナット212の前方側にクッションゴム210を設けていたが、本実施の形態2の苗植付具52では、クッションゴムに代えて、苗押出体41を押し出し方向とは反対方向に付勢するガタ止め用スプリング56を、苗押出体41を囲むように配置している。苗植付具ケース57の、苗押出体41を摺動可能に保持する部分である押出体保持部53の一部と、前方側に配置された押し出しナット37との間に、ガタ止め用スプリング56を配置している。
【0101】
図9に示すように、苗押出体41が前方に移動する際に、ガタ止め用スプリング56が縮まり苗押出体41を後方へ付勢する力が生じ、その付勢力によって苗押出体41の急激な前方への移動に伴う衝撃を吸収する。
【0102】
なお、押出体保持部53が、本発明の、押出体を摺動可能に保持して固定する保持フレームの一例にあたり、ガタ止め用スプリング56が、本発明の押出体付勢スプリングの一例にあたる。
【0103】
ガタ止め用スプリング56を設けたことにより、クッションゴム210と同様に、押し出し時の衝撃を吸収することができる。また、従来のクッションゴム210を用いた場合には、押し出し時に振動が生じていたが、ガタ止め用スプリング56を用いることにより、その振動も抑制することができ、従来よりも苗植付具の挙動を安定させることができるので、苗の植付姿勢が乱れにくくなり、苗の植付精度が向上する。
【0104】
図10に、本実施の形態2の他の構成の、苗植付具の断面図を示す。図3の苗植付具27と同じ構成部分には、同じ符号を用いている。
【0105】
図10に示す本実施の形態2の苗植付具60は、苗取り爪61の構成が、実施の形態1の苗植付具27の苗取り爪40の構成と異なる。
【0106】
苗植付具60の苗押出体41は、苗植付具27と同様に、前端部に、苗取り爪61が保持している苗の苗床に当接して押し出すための苗押出部65を有している。
【0107】
図10に示すように、苗取り爪61の下面には、ストッパー62が形成されており、また、苗取り爪61を前方へ付勢するように、苗取り爪61の後端部に苗取り付勢スプリング63が配置されて、苗取り爪61は苗植付具ケース66に取り付けられている。
【0108】
図10の苗植付具60の苗押出体41は、苗を押し出した状態を示しており、苗押出部65が最前方に位置している状態を示している。苗を圃場へ押し出した後、苗押出体41は後方へ移動し、苗押出部65は図10中の破線矢印の向きへ移動する。苗押出部65が後方へ移動する際、苗押出部65の上部がストッパー62に当接し、その後、苗取り付勢スプリング63が縮みながら、苗取り爪61も苗押出部65と共に後方へ移動していく。したがって、苗押出部65の上部がストッパー62に当接した後、苗取り爪61の先端部も後方へ移動していく。
【0109】
なお、ストッパー62に当接する苗押出部65の上部の部分が、本発明の係止部の一例にあたる。
【0110】
図11(a)に、従来の苗植付具200で苗を圃場へ植え付けた際の苗取り爪202の先端の動軌跡を示し、図11(b)に、本実施の形態2の苗植付具60で苗を圃場へ植え付けた際の苗取り爪61の先端の動軌跡を示している。
【0111】
従来の苗植付具200では、苗取り爪202の先端の、苗植付具ケース201に対する相対的な位置は変化しないので、図11(a)の苗取り爪先端軌跡68に示すように苗取り爪202の先端が移動し、圃場へ植え付けた後の苗67に苗取り爪202の先端が当たり易く、傷つけやすい。
【0112】
一方、本実施の形態2の苗植付具60では、苗を圃場へ植え付けた後に苗取り爪61の先端の、苗植付具ケース66に対する相対的な位置が後方へ移動するため、図11(b)の苗取り爪先端軌跡69に示すように苗取り爪61の先端が圃場へ植え付けた後の苗67に当たらないように移動し、圃場へ植え付けた後の苗67に苗取り爪61の先端が当たり難くなり、苗67を傷つけ難くできる。
【0113】
本実施の形態2の苗植付具60が苗67を圃場へ植え付ける瞬間には、苗押出体41は、図10に示すように最前方へ移動した状態であり、苗67を圃場へ植え付けた直後に、苗押出体41が引き込まれ、苗押出部65がストッパー62に当接して、苗取り爪61も後方に引き込まれる。その後、苗植付具60が苗取り口25まで移動する間に、苗押出部65がストッパー62に当接しない位置まで、引き込まれた苗押出体41が前方へ移動する。そして、苗取り爪61が苗取り口25から苗を取り出した後、圃場へ植え付けるまでの間は、苗押出部65はストッパー62に当接しない位置にある。
【0114】
本実施の形態2の苗植付具60は、押し出しカム64の周囲形状によって、苗押出体41が上記のように作動するように構成されている。
【0115】
図12に、本実施の形態2のさらに他の構成の、苗植付具の断面図を示す。図3および図10の苗植付具と同じ構成部分には、同じ符号を用いている。
【0116】
図12に示す本実施の形態2の苗植付具70は、苗取り爪71の構成が、実施の形態1の苗植付具27の苗取り爪40の構成と異なる。
【0117】
図12に示すように、苗植付具70の苗取り爪71は、苗を保持する先端部分の苗取り爪前部72と、苗植付具ケース30に取り付けられる苗取り爪後部73で構成され、苗取り爪前部72と苗取り爪後部73は、蝶番74によって連結されている。
【0118】
図13(a)および図13(b)に、苗植付具70の先端部分の拡大断面図を示す。図13(a)は、押し出し時の断面図を示し、図13(b)は、苗押し出し後の断面図を示している。
【0119】
苗取り爪前部72と苗取り爪後部73を連結する蝶番74の部分には、トルクスプリング76が設けられており、トルクスプリング76によって、苗取り爪後部73に対して苗取り爪前部72の前方部分が下方に折れ曲がるように付勢されている。
【0120】
なお、苗取り爪前部72が、本発明の苗取り爪の前方部の一例にあたり、苗取り爪後部73が、本発明の苗取り爪の後方部の一例にあたる。また、蝶番74が、本発明のヒンジ機構の一例にあたり、トルクスプリング76が、本発明の張圧スプリングの一例にあたる。
【0121】
圃場への苗の押し出し時には、図13(a)に示すように、苗押出体41の苗押出部65の上部が苗取り爪前部72の下面に当接することにより、蝶番74部分で折れ曲がらず、苗取り爪前部72と苗取り爪後部73が一直線の状態となる。
【0122】
苗を圃場へ押し出した直後に、苗押出体41は引き込まれ、苗取り爪前部72と当接していた苗押出部65の上部が蝶番74よりも後方まで移動した際に、トルクスプリング76によって付勢されて、苗取り爪前部72が、図13(b)に示すように蝶番74部分から下方に折れ曲がる。
【0123】
なお、苗取り爪前部72の下面に当接する苗押出部65の上部の部分が、本発明の当接部の一例にあたる。
【0124】
したがって、苗植付具70の苗取り爪71の先端部分も、苗植付具60の苗取り爪61の先端部分と同様の、図11(b)の苗取り爪先端軌跡69を描くように動作し、圃場へ植え付けた後の苗67に苗取り爪71の先端が当たり難くなり、苗67を傷つけ難くできる。
【0125】
すなわち、本実施の形態2の苗植付具70が苗67を圃場へ植え付ける瞬間には、苗押出体41は、図13(a)に示すように最前方へ移動した状態であり、苗67を圃場へ植え付けた直後に、苗押出体41が引き込まれ、苗押出部65が蝶番74よりも後方へ移動し、苗取り爪前部72が下方へ折れ曲がる。その後、苗植付具70が苗取り口25まで移動する間に、苗押出部65が蝶番74よりも前方の位置となるまで、引き込まれた苗押出体41が前方へ移動し、一直線となった苗取り爪71によって苗取り口25から苗が取り出される。そして、苗取り爪71が苗取り口25から苗を取り出した後、圃場へ植え付けるまでの間は、苗押出部65の位置は蝶番74よりも前方に維持される。
【0126】
本実施の形態2の苗植付具70は、押し出しカム75の周囲形状によって、苗押出体41が上記のように作動するように構成されている。
【0127】
(実施の形態3)
図14に、図1に示した乗用型田植機の苗植え付け部15を拡大した左側面図を示す。
【0128】
図14では、説明をわかり易くするために、回転ケース28の記載を省略するとともに、3つの苗植付具27のうち、1つの苗植付具27のみを記載している。
【0129】
図14に示す苗取り爪先端軌跡81は、苗植付具27の苗取り爪40の先端が描く静軌跡を示しており、回転ケース28に軸支される3つの苗植付具27の苗取り爪40の先端は、いずれもこの苗取り爪先端軌跡81を描くように動作する。
【0130】
本発明の実施の形態3の苗植え付け部15には、高速植え付けを可能にするために、苗取り爪先端軌跡81に沿って苗ガイド80が取り付けられている。
【0131】
苗ガイド80を、苗取り爪先端軌跡81に沿って設けることにより、苗取り口25で取り出して苗取り爪40に保持された苗が高速回転時の遠心力によって落下するのを防止している。
【0132】
図15(a)に、本実施の形態3の苗ガイド80の左側面図を示し、図15(b)に、苗ガイド80を車体後方から見た背面図を示す。また、図15(b)に示した苗ガイド80のS1−S1断面を、図16(a)に示す。
【0133】
苗ガイド80は、上部が、苗載せ台22のフレーム部分に固定されている。
【0134】
本実施の形態3の苗ガイド80は、図15(b)に示すように、苗取り爪40に保持された苗の左右方向のズレを規制する左右の側壁部82と、苗の前方方向への倒れこみを規制する底部83とで構成され、図16(a)に示すように、苗ガイド80の断面は、U字形状をしている。
【0135】
図16(b)に、図16(a)の部分に対応する、従来の苗ガイドの断面図を示す。
【0136】
図16(b)に示すように、従来の苗ガイドも、左右の側壁部84および底部85で構成されるが、従来の苗ガイドの底部85の苗に当接する部分が平面形状であるのに対し、本実施の形態3の苗ガイド80の底部83の苗に当接する部分は曲面形状となっている。
【0137】
図16(b)に示す従来の断面形状では、底部85が平面であるため、苗取り爪40に保持された苗の葉部分が底部85に面で接触するのに対し、本実施の形態3の苗ガイド80では、図16(a)に示すように曲面形状の底部83とすることにより、苗取り爪40に保持された苗の葉部分との接触を点での接触にすることができる。
【0138】
したがって、図16(b)に示すような従来の断面を有する苗ガイドでは、苗ガイド内に泥が溜まりやすく、また葉との接触面積が大きく葉を傷つけ易いが、図16(a)に示すような本実施の形態3の苗ガイド80の断面とすることにより、苗と苗ガイド80との間隔を大きくでき、苗との接触面積を小さくできるので、葉が通り易くなり、苗ガイド80内に泥が溜まり難く、また葉を傷つけ難くすることができる。
【0139】
図16(c)および図16(d)に、本実施の形態3の他の構成の苗ガイド86の断面図を示す。図16(d)は、苗ガイド86と苗との接触状態を示している。
【0140】
図16(c)および図16(d)に示す苗ガイド86は、V字形状の断面としている。苗ガイド86の場合にも、図16(d)に示すように、苗取り爪40に保持された苗67とは、点で接触する。この場合にも、苗と苗ガイド86との間隔を大きくできるので、苗ガイド80と同様に、苗ガイド86内に泥が溜まり難く、苗を傷つけ難くすることができる。
【0141】
図17(a)に、本実施の形態3の、他の構成の苗ガイド87の左側面図を示し、図17(b)に、苗ガイド87を車体後方から見た背面図を示す。
【0142】
苗ガイド87は、側壁部88の高さが、図17(a)に示すように下方にいくにしたがって大きくなる形状としている。
【0143】
側壁部88の高さを下方にいくほど大きくすることにより、下方にいくにしたがって苗を撓み易くすることができる。
【0144】
また、図17(b)に示すように、底部89の幅が、下方にいくにしたがって狭くなる形状としている。
【0145】
底部89の幅を下方にいくほど狭くすることにより、下方ほど撓み易くなるので、苗のサイズの大小に関係なく苗は苗ガイド87を通過でき、植え付け位置が揃いやすくなる。
【0146】
苗ガイド87をこのような形状とすることにより、泥抜けを良くすることができる。
【0147】
なお、左右の側壁部88が、本発明の左右の側壁の一例にあたり、底部89が、本発明の底板の一例にあたる。
【0148】
図18(a)に、本実施の形態3の、さらに他の構成の苗ガイド90の左側面図を示し、図18(b)に、苗ガイド90を車体後方から見た背面図を示す。
【0149】
苗ガイド90の断面形状は、図16(a)に示した苗ガイド80と同様の形状であるが、側壁部91の上方の、苗取り口25との間に隙間を設けている点が異なる。すなわち、図18(a)および図18(b)に示すように、底部92は、苗取り口25の直下から配置されるのに対し、側壁部91は、苗取り口25から離れた位置から始まるように構成されている。
【0150】
苗ガイド90をこのような構成にすることにより、苗取り爪40が苗取り口25から苗を取り出した直後に苗が横に開き易くなり、大きな苗が通過しても苗ガイド90間に詰まることがなく、苗の適応性を向上させることができる。
【0151】
なお、図18(a)および図18(b)に示す苗ガイド90の構成が、本発明の、底板の上端部は、左右の側壁の上端部よりも上方まで延びている構成の一例にあたる。
【0152】
図19(a)に、本実施の形態3の、さらに他の構成の苗ガイド93の左側面図を示し、図19(b)に、苗ガイド93を車体後方から見た背面図を示す。
【0153】
苗植付具27は、苗取り口25から植え付け位置に至るまでは高速に動作し、圃場に植え付ける直前で減速して苗を植え付ける。つまり、苗ガイドの下端部分で、苗植付具27は減速される。
【0154】
図19(a)および図19(b)に示すように、苗ガイド93は、下部において、底部95が左右の側壁部94よりも短くなるように構成している。すなわち、苗植付具27の減速域(植え付け直前)では、側壁部94のみとなるように構成している。
【0155】
苗ガイド93をこのような構成にすることにより、植え付け時の苗抜けを良くし、土掘を少なくすることができる。
【0156】
なお、図19(a)および図19(b)に示す苗ガイド93の構成が、本発明の、左右の側壁の下端部は、底板)の下端部よりも下方まで延びている構成の一例にあたる。
【0157】
なお、各実施の形態で説明した構成は、それぞれ単独で構成してもよいし、組み合わせて構成してもよい。
【0158】
(実施の形態4)
本発明に関連する発明の実施の形態について説明する。
【0159】
図20(a)に、実施の形態4の苗植付装置部分の側面図を示し、図20(b)に、実施の形態4の苗植付具99の側面図を示す。
【0160】
実施の形態4の苗植付具99は、カムユニット101と押し出しユニット105で構成される。
【0161】
図20(a)で示すとおり、回転ケース28の外周縁部側に、回動軸39を介して複数の、本例では3つのカムユニット101、101、101を設け、苗取り位置では該カムユニット101、101、101よりも回転ケース28の外周側に位置するように押し出しユニット105、105、105をそれぞれ配置する。
【0162】
図21(a)に、押し出しユニット105の断面図を示し、図21(b)に、カムユニット101の断面図を示す。
【0163】
図21(b)に示すように、該カムユニット101は、カムケース102の内部に回動軸39に軸着される円の一部を切り欠いた形状のカムローラー103と、該カムローラー103の外周面に接触すると共に、切り欠き部103aが通過すると回動する押し出しアーム104を内装して構成している。
【0164】
また、前記押し出しユニット105は、苗植付具ケース106を回動軸39を介して前記カムユニット101よりも回転ケース28に近い側に設け、苗載せ台22から苗を掻き取る苗取り爪107を該苗植付具ケース106の上部前側に設け、該苗植付具ケース106の内側後端部に押し出しスプリング108を設け、該押し出しスプリング108よりも前側に押し出しスプリング108の伸縮により突出方向および後退方向に摺動して苗取り爪107が掻き取った苗を圃場に押し出す苗押出体109を設けて構成する。
【0165】
そして、前記押し出しアーム104と押し出しスプリング108を連結ワイヤー110で連結し、押し出しアーム104がカムローラー103に接触している間は連結ワイヤー110が押し出しスプリング108を引っ張って苗押出体109を後退させ、カムローラー103の切り欠き部103aで押し出しアーム104が回動して連結ワイヤー110を緩ませると、押し出しスプリング108が伸張して苗押出体109を突出方向に摺動させ、苗取り爪107が保持している苗を押し出して圃場に植え付ける構成としてもよい。
【0166】
上記構成のように、苗植付具99をカムユニット101と押し出しユニット105に分割したことにより、押し出しユニット105の重量が軽くなり、苗取り爪107の先端側にかかる遠心力を軽減することができるので、苗植付装置の回転軌跡が安定し、苗の植付精度が向上する。
【0167】
また、カムユニット101と押し出しユニット105を連結ワイヤー110で連結していることにより、苗植付具99の位置を変更しても苗取りや苗の押し出しを従来どおり行うことができるので、苗植付装置のレイアウトの自由度が増大する。
【0168】
次に、実施の形態4の他の構成の苗植付装置について説明する。
【0169】
図22(a)に、実施の形態4の他の構成の苗植付装置部分の側面図を示し、図22(b)に、他の構成の苗植付具100の側面図を示す。
【0170】
この構成の苗植付具100は、カムユニット111と押し出しユニット116で構成される。
【0171】
図22(a)で示すとおり、回転ケース28の外周縁部側に、回動軸39を介して複数の、本例では3つのカムユニット111、111、111を設け、苗取り位置では該カムユニット111、111、111よりも回転ケース28の外周側に位置するように押し出しユニット116、116、116をそれぞれ配置する。
【0172】
図23(a)に、押し出しユニット116の断面図を示し、図23(b)に、カムユニット111の断面図を示す。
【0173】
図23(b)に示すように、該カムユニット111は、カムケース112の内部に回動軸39に軸着される円の一部を切り欠いた形状のカムローラー113と、該カムローラー113の外周面に接触すると共に、切り欠き部113aが通過すると回動する押し出しアーム114と、該押し出しアーム114を押し出しスプリング115を伸縮自在に内装して構成している。
【0174】
また、前記押し出しユニット116は、苗植付具ケース117を回動軸39を介して前記カムユニット111よりも回転ケース28に近い側に設け、苗載せ台22から苗を掻き取る苗取り爪118を該苗植付具ケース117の上部前側に設け、該苗植付具ケース117の内側後端部に突出方向および後退方向に摺動して苗取り爪118が掻き取った苗を圃場に押し出す苗押出体119を設けて構成する。
【0175】
そして、カムユニット111の押し出しアーム114に連結ワイヤー120の一側端部を設け、該連結ワイヤー120に苗押出体119を苗植付具ケース117内部のワイヤー連結部121で連結すると共に、連結ワイヤー120の他側端部をカムケース112の内部で押し出しスプリング115に連結し、押し出しアーム114がカムローラー113に接触している間は連結ワイヤー120が押し出しスプリング115を引っ張って苗押出体119を後退させ、カムローラー113の切り欠き部113aで押し出しアーム114が回動して連結ワイヤー120を緩ませると、押し出しスプリング115が伸張して苗押出体119を突出方向に摺動させ、苗取り爪118が保持している苗を押し出して圃場に植え付ける構成としてもよい。
【0176】
上記構成のように、苗植付具100をカムユニット111と押し出しユニット116に分割し、カムユニット111側に押し出しスプリング115を設けたことにより、いっそう押し出しユニット116側の重量を軽量化することができるので、回転ケース28が回転する際に苗取り爪118の先端部に生じる遠心力が弱まるため、苗の植付姿勢が安定し、植付精度がいっそう向上する。
【0177】
また、連結ワイヤー120の長さを変更すれば苗植付具100の取付位置を変更しても、苗取り動作や苗押し出し動作を同じように行うことができるので、苗植付装置のレイアウトの自由度が増大する。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明にかかる苗植付装置は、従来よりも高速に苗の植え付けができるので、苗植付装置を備えた乗用型田植機等の苗移植機など、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0179】
10 走行車体
11 エンジン
12 前輪
13 後輪
14 昇降リンク装置
15 苗植え付け部
16 運転座席
17 操縦ハンドル
18 予備苗載台
19 変速装置
20 変速レバー
21 植付伝動部ケース
22 苗載せ台
23 苗植付装置
24 フロート
25 苗取り口
26 マーカー
27 苗植付具
28 回転ケース
29 回転軸
30 苗植付具ケース
31 押し出しアーム
32 押し出しアーム規制部
33 押し出しアーム軸
34 押し出しカム
35 押し出しスプリング
36 ストッパー部
37 押し出しナット
38 アーム先端部
39 回動軸
40 苗取り爪
41 苗押出体
45 アーム基部
46 ローラー
47 ドライブッシュ
48 皿小ネジ
49 アーム先端部
50 空間部
51 突起
52 苗植付具
53 押出体保持部
55 押し出しスプリング
56 ガタ止め用スプリング
57 苗植付具ケース
58 押し出しアーム
60 苗植付具
61 苗取り爪
62 ストッパー
63 苗取り付勢スプリング
64 押し出しカム
65 苗押出部
66 苗植付具ケース
67 苗
68、69 苗取り爪先端軌跡
70 苗植付具
71 苗取り爪
72 苗取り爪前部
73 苗取り爪後部
74 蝶番
75 押し出しカム
76 トルクスプリング
80 苗ガイド
81 苗取り爪先端軌跡
82 側壁部
83 底部
84 側壁部
85 底部
86 苗ガイド
87 苗ガイド
88 側壁部
89 底部
90 苗ガイド
91 側壁部
92 底部
93 苗ガイド
94 側壁部
95 底部
99 苗植付具
100 苗植付具
101 カムユニット
102 カムケース
103 カムローラー
103a 切り欠き部
104 押し出しアーム
105 押し出しユニット
106 苗植付具ケース
107 苗取り爪
108 押し出しスプリング
109 苗押出体
110 連結ワイヤー
111 カムユニット
112 カムケース
113 カムローラー
113a 切り欠き部
114 押し出しアーム
115 押し出しスプリング
116 押し出しユニット
117 苗植付具ケース
118 苗取り爪
119 苗押出体
120 連結ワイヤー
121 ワイヤー連結部
200 苗植付具
201 苗植付具ケース
202 苗取り爪
203 苗押出体
203a 丸軸部
203b 苗押出部
204 押し出しスプリング
205 押し出しカム
206 押し出しア−ム
207 押し出しアーム軸
208 締着ボルト
209 ブッシュ
210 クッションゴム
211 アーム先端部
212 押し出しナット
213 スプリングカバー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(10)の後方に配置された苗載せ台(22)に積載されている苗マットから苗を取り圃場に植え付ける植付装置(23)であって、
植付伝動部フレーム(21)に回転可能に取り付けられた回転伝動ケース(28)と、
前記回転伝動ケース(28)に回動可能に取り付けられた植付体(27)とを備え、
前記植付体(27)は、
植付体ケース(30)と、
前記植付体ケース(30)に取り付けられ、前記苗マットから前記苗を取る苗取り爪(40)と、
前記植付体ケース(30)に取り付けられ、前記苗取り爪(40)が取った苗を前記圃場へ押し出す押出機構とを有し、
前記押出機構は、
後部に互いに対向する一対のつば体(37)が固定され、前記苗取り爪(40)に沿って移動する押出体(41)と、
前記一対のつば体(37)の間に配置された押出回転体(38)と、
前記押出回転体(38)の回転軸を軸支し、所定の回転軸(33)を中心に回動して前記押出回転体(38)を移動させる押出アーム(31)と、
前記押出アーム(31)を駆動するアーム駆動機構とを有することを特徴とする植付装置。
【請求項2】
前記植付体ケース(30)は、前記押出体(41)を摺動可能に保持して固定する保持フレーム(53)を有し、
前記一対のつば体(37)のうち前方のつば体と前記保持フレーム(53)の一部との間に押出体付勢スプリング(56)が配置され、
前記押出体(41)が押し出された際には、前記押出体付勢スプリング(56)が縮まることを特徴とする、請求項1に記載の植付装置。
【請求項3】
前記押出機構は、前記押出アーム(58)に駆動力を与えるカム(34)と、押出アーム付勢スプリング(55)とを有し、
前記押出アーム(58)の前記所定の回転軸(33)を基準として、前記押出回転体(38)とは反対側の前記押出アーム(58)の端部の前側に、前記押出アーム付勢スプリング(55)が配置され、
前記押出アーム付勢スプリング(55)は、前記押出アーム(58)の前記端部を後ろ側に付勢しており、
前記押出アーム(58)の前記端部には、前記カムに当接する被作用部(32)が形成されており、
前記カム(34)は、回転しつつ、前記押出アーム(58)の前記端部と当接および離反を繰り返すことを特徴とする、請求項1または2に記載の植付装置。
【請求項4】
前記押出体(41)と前記保持フレーム(53)の摺動内壁との間には、上方側に、前記植付体ケース(30)の内部と外部とを連通する空間部(50)が形成されており、
前記空間部(50)の天井には、突状(51)を形成したことを特徴とする、請求項2に記載の植付装置。
【請求項5】
前記苗取り爪(61)の下面の一部には、ストッパー(62)が形成され、
前記苗取り爪(61)の後端には、苗取り付勢スプリング(63)が取り付けられ、前記苗取り爪(61)が前後に移動可能になっており、
前記押出体(41)の上面の一部には、係止部(65)が設けられており、
前記押出体(41)が後退する際に、前記係止部(65)が前記ストッパー(62)に係止して、前記苗取り爪(61)を後退させる機構としたことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の植付装置。
【請求項6】
前記苗取り爪(71)は、ヒンジ機構(74)によって、前方部(72)が折れ曲がるようになっており、張圧スプリング(76)によって、常時前記前方部(72)が下方に折れ曲がるようになっており、
前記押出体(41)の先端上面には、当接部(65)が設けられており、
前記当接部(65)は、前記押出体(41)が前方に移動すると、前記苗取り爪(71)の下面に当接して前記前方部(72)を持ち上げ、前記苗取り爪(71)の前記前方部(72)が後方部(73)と一直線になることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の植付装置。
【請求項7】
前記苗取り爪(40)が前記苗マットから前記苗を取り前記圃場に向かう位置に、前記植付体(27)を案内する苗ガイド(87)を備え、
前記苗ガイド(87)は、上方から下方に向かうほど左右の間隔が狭くなるように配置された左右の側壁(88)と、前記左右の側壁(88)に沿って前記左右の側壁(88)の間に設けられた底板(89)とを有することを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の植付装置。
【請求項8】
前記底板(92)の上端部は、前記左右の側壁(91)の上端部よりも上方まで延びており、
前記左右の側壁(94)の下端部は、前記底板(95)の下端部よりも下方まで延びていることを特徴とする、請求項7に記載の植付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−244970(P2012−244970A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121406(P2011−121406)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】