説明

植物掘起し装置

【課題】
掘起した作物の残幹や残根の掘り起こしと同時に畝を崩して畝溝を埋め、畝溝に植生する雑草を埋没させると共に残幹や残根を回収できる植物掘起し装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
進行方向に対して左右方向姿勢の回転軸23を中心として回転する左右支持部材22,22を設け、左右支持部材22,22の間に植物の残幹Tを圃場から掘り起こす複数の掘起し体27を設けた植物掘起し装置において、回転軸23の中心部から機体外側方向に畝を崩して畝溝に土を排出する左右螺旋体28a,28bからなる排土部材28を設けると共に、複数の掘起し体27に残幹Tを後方に案内する排土部材28よりも大径の左右案内部材29,29を設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物の収穫後に圃場に残る残幹や残根を掘り出す植物掘起し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、植物掘起し装置としては、特許文献1に示されるように、回動軸芯を中心とする同心円状に複数のロータリ刃を設けた抜根装置を回転させ、ロータリ刃で残幹を掘り起こすものが存在する。
【特許文献1】特開2007−116927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載される植物掘起し装置は、残幹を掘り起こす際に掘り起こした土や石をロ−タリー刃と回動軸芯との間隔部から逃がすことができるが、土や石は畝上に落下するため畝溝を埋めることができず、掘り起こした残幹が畝溝に落ちてしまうと残幹の掘り起こし作業後にレーキ等を用いて残幹を収集する際に、畝溝に落ちた残幹を集め損なってしまうという欠点があった。
【0004】
そして、畝溝が埋められないことによって、畝溝に植生する雑草を埋没させることができないので、作業者は残幹の掘り起こし作業後に雑草を引き抜いたり埋没させたりする作業を行わねばならないという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、進行方向に対して左右方向姿勢の回転軸(23)を中心として回転する左右支持部材(22,22)を設け、該左右支持部材(22,22)の間に植物の残幹(T)を圃場から掘り起こす複数の掘起し体(27)を設けた植物掘起し装置において、機体外側方向に畝を崩して畝溝に土を排出する排土部材(28)を設けたことを特徴とする植物掘起し装置とした。
【0006】
従って、複数の掘起し体(27)で植物の残幹(T)を圃場から掘り起こしながら、回転軸(23)に設けた排土部材(28)で畝を崩した土を機体外側方向に排出し、畝溝を埋めることができる。
【0007】
請求項2の発明は、前記排土部材(28)を左右螺旋体(28a,28b)で構成したことを特徴とする請求項1記載の植物掘起し装置とした。
従って、排土部材(28)を左右螺旋体(28a,28b)としたことによって、左右螺旋体(28a,28b)は畝を崩しながら土を機体外側方向に螺旋の回転に乗せて排出し、畝溝を埋めることができる。
【0008】
請求項3の発明は、前記複数の掘起し体(27)に排土部材(28)の径よりも大径である残幹(T)を後方に案内する左右案内部材(29,29)を設けたことを特徴とする請求項1及び2記載の植物掘起し装置とした。
【0009】
従って、左右案内部材(29,29)は排土部材(28)が崩した畝の土を機体外側方向に排出することを妨げることなく掘り起こした残幹(T)を後方に案内することができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、複数の掘起し体(27)で植物の残幹(T)を掘り起こすと共に排土部材(28)で畝を崩した土を機体外側方向に排出して畝溝を埋めることにより、畝と畝溝の高低差が小さくなるので、掘り起こした残幹(T)が畝溝上に落ちても残幹(T)をレーキ等で収集することができるので、収集し損なった残幹(T)を人手で回収する作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0011】
また、畝溝を土で埋めることによって、畝溝に植生する雑草を地中に埋めることができるので、残幹(T)の掘り起こし作業後に雑草を引き抜いたり埋没させたりする作業を省略することができるので、作業者の労力が軽減される。
【0012】
そして、雑草を処理するために除草剤等の薬品を用いる必要もなくなるので、圃場や周囲の環境に悪影響を与えることを防止することができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、左右螺旋体(28a,28b)で畝を崩した土を機体外側方向に排出することによって、土は螺旋に沿って確実に排出されて畝溝を埋めるため、畝と畝溝の高低差がさらに小さくなるので、畝溝上に残幹(T)が落ちた残幹(T)をレーキ等がより収集しやすくなるので、収集し損なった残幹(T)を人手で回収する作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、請求項1及び2記載の発明の効果に加えて、左右案内部材(29,29)の径が排土部材(28)の径よりも大径であるので、排土部材(28)が排出する土は排土部材(28)と左右案内部材(29,29)との間を通過して機体外側方向の畝溝上に排出されるため、左右案内部材(29,29)に当たって畝上に土が戻されることが防止され、畝溝を確実に埋めることができる。
【0014】
また、左右案内部材(29,29)を設けたことによって、残幹(T)を機体左右方向に向かって掘り起こしてしまっても、左右案内部材(29,29)が残幹(T)の動きを規制して機体後方へと案内するので、残幹が畝溝に落ちることが減り、残幹(T)の回収作業の能率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態について、一実施例としてトラクタ等の作業車両に装着し、圃場に残るたばこの残幹Tを圃場から掘り起こすと共に、残幹Tを掘り起こした後の畝を崩して土を畝溝に排出するたばこの残幹掘起し装置を説明する。
【0016】
図1〜4に示すように、たばこの残幹掘起し装置は、トラクタに連結されると共にトラクタから駆動力を受ける連結部Aと、トラクタのPTO軸から受ける駆動力を伝動する伝動部Bと、伝動部Bから駆動力を受けて圃場から残幹Tを掘り起こす掘起しロータリ部Cと、残幹掘起し装置の作業時及び非作業時の姿勢を安定させる支持フレーム部Dとから構成される。
【0017】
先ず、連結部Aの構成について説明する。
トラクタ1のPTO軸2にユニバーサルジョイント3の一側を取り付け、該ユニバーサルジョイント3の他側を伝動ケース4の受軸5に取り付ける。また、該伝動ケース4の左右側に左右伝動軸カバー6,6を取り付けると共に、該左右伝動軸カバー6,6に左右連結プレート7,7を取り付ける。そして、該左右連結プレート7,7の前側上部に回動自在な左右連結フレーム8,8の基部を取り付ける。さらに、前記伝動ケース4の上部に左右トップリンク支持アーム9,9の基部を回動自在に取り付けると共に、該左右トップリンク支持アーム9,9の略中央部に左右連結フレーム8,8の端部を取り付ける。そして、前記左右連結プレート7,7の前側下部をトラクタ1の左右ロワーリンク10,10で連結すると共に、前記左右トップリンク支持アーム9,9の左右間にトラクタ1のトップリンク11で連結することによって、トラクタ1に残幹掘起し装置を連結すると共にトラクタ1から駆動力を受ける連結部Aが構成される。
【0018】
次に、伝動部Bの構成について説明する。
前記伝動ケース4の受軸5の一端にベベルギア12を取り付けると共に、伝動ケース4と左右伝動軸カバー6,6との内部に該ベベルギア12と噛み合うベベルギア14を軸着した伝動軸13を回転自在に取り付ける。そして、前記左右伝動軸カバー6,6の左右一側端にロータリ伝動ケース15を取り付け、該ロータリ伝動ケース15の内側上部に伝動軸13の左右一端に軸着される駆動スプロケット16を内装する。また、該ロータリ伝動ケース15の内側下部に従動スプロケット17を回転自在に内装し、該従動スプロケット17と駆動スプロケット16との間にチェーン18を無端状に巻き掛ける。さらに、該ロータリ伝動ケース15の機体外側にカバー19を着脱自在に取り付けることによって、伝動部Bが構成される。
【0019】
上記構成によれば、ロータリ伝動ケース15を機体左右一側に設けたことによって、後述するロータリ部Cに駆動力を伝動する伝動機構が簡略化されるため残幹掘起し装置のメンテナンス性が向上すると共に、部品数を少なくすることができるので、コストダウンを図ることができる。
【0020】
また、ロータリ伝動ケース15の機体外側にカバー19を着脱自在に取り付けたことによって、機体外側からカバー19を外すだけで内装する駆動スプロケット17等のメンテナンスや交換を行うことができると共に、十分な広さがある状態でメンテナンスや交換を行うことができるので、メンテナンス性が向上する。
【0021】
次に、ロータリ部Cについて説明する。
前記左右伝動軸カバー6,6の左右他側端にサイドカバー20をボルト等で取り付けると共に、該サイドカバー20と前記ロータリ伝動ケース15の機体内側下部に左右ジョイント21L,21Rを取り付ける。そして、該左右ジョイント21L,21Rの機体内側に左右ロータリ支持プレート22,22を取り付け、該左右ロータリ支持プレート22,22を貫通させて前記ロータリ伝動ケース15に内装した従動スプロケット17にロータリ回転軸23の左右一側端を軸着すると共に、前記サイドカバー20を設けた側の右ジョイント21Rに内装したベアリング24にロータリ回転軸23の左右他側端を軸着する。また、前記左右ロータリ支持プレート22,22の外周縁部に夫々3個ずつ取付板26,26,26を均等に間隔を開けて取り付けると共に、該左右の取付板26,26,26の左右間に亘って残幹Tを圃場から掘り起こす3枚の掘起し板27,27,27をボルト等で固定して取り付ける。さらに、前記ロータリ回転軸23の機体左右方向中央部に左右ロータリ支持プレート22,22と略同径の円形の補助プレート25を取り付け、前記掘起し板27,27,27の内側からボルト等で固定する。また、前記ロータリ回転軸23の外周縁部に畝を崩して土を機体左右方向の畝溝に排出する左右螺旋刃28a,28bからなる排土刃28を補助プレート25と左右ロータリ支持プレート22,22との間に亘って取り付ける。さらに、前記掘起し板27,27,27の外周縁部に左右螺旋刃28a,28aよりも大径である残幹Tの左右方向への移動を規制する左右案内板29,29をボルト等で取り付けることによって、ロータリ部Cが構成される。
【0022】
上記構成によれば、掘起し板27,27,27で植物の残幹Tを掘り起こすと共に、左右螺旋刃28a,28bで畝を崩した土を機体左右外側方向に排出して畝溝を埋めることにより、土は螺旋に沿って確実に排出されて畝溝を埋めるため、畝と畝溝の高低差が小さくなるので、掘り起こした残幹Tが畝溝上に落ちても残幹Tをレーキ等で収集することができるので、収集し損なった残幹を人手で回収する作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0023】
また、畝溝を土で埋めることによって、畝溝に植生する雑草を地中に埋めることができるので、残幹Tの掘り起こし作業後に雑草を引き抜いたり埋没させたりする作業を省略することができるので、作業者の労力が軽減される。
【0024】
そして、雑草を処理するために除草剤等の薬品を用いる必要もなくなるので、圃場や周囲の環境に悪影響を与えることを防止することができる。
さらに、左右案内板29,29の径が左右螺旋刃28a,28bの径よりも大径であるので、左右螺旋体28a,28bが排出する土は左右螺旋体28a,28bと左右案内部板29,29との間を通過して機体左右外側方向の畝溝上に排出されるため、左右案内板29,29に当たって畝上に土が戻されることが防止されるので、畝溝を確実に埋めることができ、残幹の収集や雑草の埋没を適正に行うことができる。
【0025】
次に、支持フレーム部Dについて説明する。
前記伝動ケース4の下方で且つロータリ伝動ケース15とサイドカバー20との間にメインフレーム30を取り付ける。そして、該メインフレーム30の左右両側に内側に左右スライドレール32,32を取り付けた左右サイドフレーム31,31を取り付けると共に、該左右サイドフレーム31,31の外側からロータリ伝動ケース15とサイドカバー20とをボルト等で固定する。また、前記左右スライドレール32,32にロータリ部Cが掘り起こした残幹Tの上方への移動を規制する上部カバー33を機体前後方向に移動自在に取り付けると共に、該上部カバー33の先端に機体左右方向に亘ってロータリ部Cが残幹Tを掘り起こし易くするために残幹Tを押し倒す円柱形の残幹押さえ体34を取り付ける。さらに、前記上部カバー33の下部に残幹Tの左右方向への移動を規制する左右案内板35,35を取り付ける。
【0026】
そして、前記左右サイドフレーム31,31の後部に左右接続プレート36,36を取り付け、該左右接続プレート36,36の左右機体外側に複数の穴を設けた左右ボス37,37を取り付ける。また、該左右ボス37,37に複数の穴を設けた左右転輪支持フレーム38,38を挿し入れ、該左右転輪支持フレーム38,38の穴と左右ボス37,37の穴とを合わせてボルトとナット等で固定すると共に、左右転輪支持フレーム38,38の下端部に畝溝を走行して残幹掘起し装置を支持する左右転輪39,39を取り付ける。
【0027】
さらに、前記左右サイドフレーム31,31の前部に左右接続プレート40,40を取り付け、該左右接続プレートの左右機体外側に穴を設けた左右ボス41,41を取り付ける。そして、該左右ボス41,41に複数の穴を設けた残幹掘起し装置を支持する左右スタンド42,42を取り付けると共に、該左右スタンド42,42の穴と左右ボス41,41の穴とをボルトとナット等で固定することによって、支持フレーム部Dが構成される。
【0028】
上記構成によれば、先端部に残幹押さえ体34を取り付けた上部カバー33が左右スライドレール32,32に沿って前後方向に移動自在であるため、上部カバー33を残幹Tをロータリ部Cが最も掘り起こし易い角度に押し倒せる位置に移動させることができるので、残幹Tを適正に掘り起こすことができ、作業能率が向上する。
【0029】
また、残幹掘起し装置を搬送するときや収納するときには、上部カバー33がメインフレーム30の下方の空間部に収まるように移動させることによって、残幹掘起し装置をコンパクトにすることができ、積載するトラックが小型であったり収納場所が狭かったりしても、残幹掘起し装置を載置することができる。
【0030】
そして、上部カバー33の下部に左右案内板35,35を取り付けていることによって、残幹Tの上方への動きだけでなく左右方向の動きも規制することができるので、残幹Tをロータリ部Cの掘起し板27,27,27の作用域に確実に送ることができるので、残幹Tがメインフレーム30や上部カバー33に引っ掛かって残幹掘起し装置を止めてしまうことが防止され、作業能率が向上する。なお、この左右案内板35,35の左右幅は、ロータリ部Cの左右案内板29,29の左右幅と同じ程度にすると、残幹Tをより確実にロータリ部Cに送り、機体後部に排出することができる。
【0031】
さらに、左右転輪支持フレーム38,38に設けた複数の穴と左右ボス37に設けた複数の穴とを合わせることによって、左右転輪39,39の高さが変更されるので、畝溝の高さ等に合わせて左右転輪39,39の高さを変更して残幹掘起し装置の姿勢を安定させることができるので、作業能率が向上する。
【0032】
また、左右ボス41,41に設けた穴と左右スタンド42に設けた穴とを合わせることによって、左右スタンド42,42の高さを調節できるため、トラクタ1から残幹掘起し装置を外すときや残幹掘起し装置のメンテナンスを行うときなど、作業場所の条件に応じて左右スタンド42,42の高さを合わせておくと、残幹掘起し装置が倒れて地面にぶつかることを防止することができるので、機体の耐久性が増すと共に、倒れた残幹掘起し装置が作業者に当たって怪我をさせることも防止できるので、安全性が向上する。
【0033】
さらに、掘起し作業中は左右スタンド42,42の最下端の穴と左右ボス41,41の穴を合わせて固定することによって、作業者は簡単に左右スタンド42,42を非作用状態にすることができ、作業者の労力が軽減される。
【0034】
以下、本件残幹掘起し装置の別実施例について説明する。
図5で示すように、ロータリ部Cの補助プレート25に左右螺旋体28a,28bの左右幅よりも短い掘起し板43,43,43を取り付けると共に、該掘起し板43,43,43の外周縁部に左右案内板29,29を取り付ける構成とする。
【0035】
上記構成によれば、左右螺旋体28a,28bの左右外側部が掘起し板43,43,43の左右外側端部よりも機体外側にあるため、左右螺旋体28a,28bが機体左右外側方向の畝溝上に搬送する崩した畝の土を掘起し板43,43,43が別の方向に飛ばしてしまうことが防止されるので、土は螺旋に沿って確実に排出されて畝溝を埋めて畝との高低差が小さくなり、掘り起こした残幹Tが畝溝上に落ちても残幹Tをレーキ等で収集することができ、収集し損なった残幹を人手で回収する作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0036】
また、畝溝を土で埋めることによって、畝溝に植生する雑草を地中に埋めることができるので、残幹Tの掘り起こし作業後に雑草を引き抜いたり埋没させたりする作業を省略することができるので、作業者の労力が軽減される。
【0037】
そして、雑草を処理するために除草剤等の薬品を用いる必要もなくなるので、圃場や周囲の環境に悪影響を与えることを防止することができる。
また、図6で示すように、掘起し板43,43,43で残幹を掘り起こす残幹掘起し装置において、排土刃28を左右案内板29,29の機体外側と左右ロータリ支持プレート22,22との間の長さと略同じ長さの左右螺旋刃44a,44bで構成し、該左右螺旋刃44a,44bを左右案内板29,29の機体外側と左右ロータリ支持プレート22,22との間に設けてもよい。
【0038】
上記構成によれば、掘起し板43,43,43で畝の略中央部に残っている残幹を掘り起こし、左右螺旋刃44a,44bで畝を左右側方から崩して土を機体左右外側方向の畝溝上に排出することにより、掘起し板43,43,43と左右螺旋刃44a,44bとが互いに干渉し合うことが無くなるので、作業能率が向上する。
【0039】
図7で示すように、排土刃28を、螺旋の外周縁部が掘起し板27,27,27と略平行となるように曲率を小さくした左右螺旋刃45a,45bで構成してもよい。
上記構成によれば、左右螺旋刃45a,45bは畝を崩して土を機体左右外側方向の畝溝上に排出するだけでなく、残幹Tに接触すれば掘起し板27,27,27,27と共に残幹Tを掘り起こすことができるので、より確実に残幹Tが掘り起こされて作業能率が向上すると共に、掘り取り残した残幹を掘り取る作業が省略されるので、作業者の労力が軽減される。
【0040】
図8で示すように、上部カバー33の後端部に回動軸46を取り付け、該回動軸46を左右スライドレール32,32に沿って前後移動自在に取り付けると共に、該左右スライドレール32,32の前端部で回動軸46を回動支点として上部カバー33が上下方向に回動する構成としてもよい。
【0041】
上記構成によれば、残幹掘起し装置のメンテナンスを行うときなどに左右スタンド42,42に加えて上部カバー33を下方回動させて接地させておくと、残幹掘起し装置をより倒れにくくなるため、残幹掘起し装置が倒れて地面にぶつかることを防止することができるので、機体の耐久性が増すと共に、倒れた残幹掘起し装置が作業者に当たって怪我をさせることも防止できるので、安全性が向上する。
【0042】
なお、左右接続プレート40,40と左右ボス41,41と左右スタンド42,42とを取り外しても、左右方向に幅広い上部カバー33は左右スタンド42,42の代わりになる安定性を有するので、残幹掘起し装置の部品数を減らすことができて構成が簡略化されると共に、コストダウンを図ることができる。
【0043】
図9で示すように、左右案内板29,29の機体外側方向に夫々3本の機体外側方向に屈曲させた複数の左右土飛ばし爪47,47・・・を取り付ける構成とする。
上記構成によれば、左右螺旋刃28a,28bが畝を崩した土を機体左右外側方向の畝溝上に排出するのに加えて、左右土飛ばし爪47,47・・・も畝溝上に土を飛ばすので、畝と畝溝の高低差をより小さくすることができ、掘り起こした残幹Tが畝溝上に落ちても残幹Tをレーキ等で収集することができ、収集し損なった残幹を人手で回収する作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0044】
また、畝溝を埋める土の量が増えることによって、畝溝に植生する雑草をより地中深く埋めることができるので、埋めた畝溝から雑草が再び生えてくることが抑制され、圃場が雑草に荒らされるのを防止できる。
【0045】
そして、雑草を処理するために除草剤等の薬品を用いる必要もなくなるので、圃場や周囲の環境に悪影響を与えることを防止することができる。
図10で示すように、掘起し刃27,27,27の内側で且つ掘起し刃27,27,27の掘り起こし作用部の反対側に向けて機体外側方向に屈曲させた複数の左右土飛し爪48,48・・・を取り付ける構成としてもよい。
【0046】
上記構成によれば、掘起し刃27,27,27の内側から複数の左右土飛ばし爪48,48・・・を取り付けたことによって、掘起し刃27,27,27は残幹掘り起こし作業を行いながら畝の土を機体左右外側方向の畝溝上に搬送することができるので、より畝溝が早く埋められて畝と畝溝の高低差が小さくなるので、掘り起こした残幹Tが畝溝上に落ちても残幹Tをレーキ等で収集することができるので、収集し損なった残幹を人手で回収する作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
【0047】
また、畝溝を土で埋めることによって、畝溝に植生する雑草を地中に埋めることができるので、残幹Tの掘り起こし作業後に雑草を引き抜いたり埋没させたりする作業を省略することができるので、作業者の労力が軽減される。
【0048】
そして、雑草を処理するために除草剤等の薬品を用いる必要もなくなるので、圃場や周囲の環境に悪影響を与えることを防止することができる。
また、掘起し刃27,27,27の掘り起こし作用部の反対側から複数の左右土飛ばし爪48,48・・・の屈曲部を延出させることによって、たばこの残幹の掘り起こしは掘起し刃27,27,27のみで行われるので、掘り起こし性能が衰えることは無く、能率よく掘り起こし作業を行うことができる。
【0049】
なお、複数の左右土飛ばし爪48,48・・・を取り付け自在にしておくことによって、不要な場合には左右土飛ばし爪48,48・・・を取り外しておけば、左右土飛ばし爪48,48・・・が無駄に摩耗することを防止でき、土飛ばし効果を保つことができる。また、畝溝に水が溜まっているなどして畝溝上に残幹を落としたくないときでも、図11に示すように、左右土飛ばし爪48,48・・・の屈曲部を機体内側方向に向けることによって、左右土飛ばし爪48,48・・・は畝上に土を盛り上げるようになるため、畝上から畝溝に残幹が落ちることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】残幹掘起し装置を装着したトラクタの側面図
【図2】残幹掘起し装置の側面図
【図3】残幹掘起し装置の背面図
【図4】残幹掘起し装置の伝動機構図
【図5】掘起し板を短くした残幹掘起し装置の背面図
【図6】螺旋体の配置を変更した残幹掘起し装置の背面図
【図7】螺旋体の曲率を変更した残幹掘起し装置の背面図
【図8】上部カバーがスタンドを兼ねる残幹掘起し装置の背面図
【図9】案内板に土飛ばし爪を取り付けた残幹掘起し装置の部分拡大図
【図10】掘起し板に土飛ばし爪を取り付けた残幹掘起し装置の部分拡大図
【図11】掘起し板に土飛ばし爪を取り付けた残幹掘起し装置の部分拡大図
【符号の説明】
【0051】
22 ロータリ支持プレート(支持部材)
23 ロータリ回転軸(回転軸)
27 掘起し板(掘起し体)
28 排土刃(排土部材)
28a 螺旋体
28b 螺旋体
29 案内部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向に対して左右方向姿勢の回転軸(23)を中心として回転する左右支持部材(22,22)を設け、該左右支持部材(22,22)の間に植物の残幹(T)を圃場から掘り起こす複数の掘起し体(27)を設けた植物掘起し装置において、機体外側方向に畝を崩して畝溝に土を排出する排土部材(28)を設けたことを特徴とする植物掘起し装置。
【請求項2】
前記排土部材(28)を左右螺旋体(28a,28b)で構成したことを特徴とする請求項1記載の植物掘起し装置。
【請求項3】
前記複数の掘起し体(27)に排土部材(28)の径よりも大径である残幹(T)を後方に案内する左右案内部材(29,29)を設けたことを特徴とする請求項1及び2記載の植物掘起し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−11248(P2009−11248A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177442(P2007−177442)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】