説明

植物鑑賞育成装置

【課題】植物の劣化を抑え、静粛な運転ができる植物鑑賞育成装置を提供する。
【解決手段】植物Sを置く箱体1と、箱体1に着脱自在に被せる蓋体2と、を備える。蓋体2内部の温湿度制御のための圧縮式空気熱源ヒートポンプCとファンと加湿器を、箱体1の内部に設ける。ヒートポンプCの圧縮機5を箱体1の中央に配置してその周囲を囲み、箱体1に蓋体2内部に通じる換気入口14を形成しかつ蓋体2に掴み孔兼用の換気出口孔7を形成して換気自在に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物鑑賞育成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
温湿度制御用機器を内設した箱に透明ケースを被せ、ケース内部の植物を育成する装置があるが、ケースと箱の間のみで空気を循環させて温湿度調整をしている。
【0003】
【特許文献1】特開昭59−169425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このような空気循環だけでは植物呼吸にともなって二酸化炭素不足となり日持ちしなくなる。また、温度制御用の機器として圧縮式のヒートポンプを設けているが、静粛な場所で使用する場合、圧縮機の騒音が問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、植物を置く箱体と、この箱体に着脱自在として被せた蓋体と、を備え、この蓋体内部の温湿度制御のための圧縮式空気熱源ヒートポンプとファンと加湿器を、前記箱体の内部に設けると共に、前記ヒートポンプの圧縮機を前記箱体の中央に配置してその周囲を囲み、前記箱体に前記蓋体内部に通じる換気入口を形成しかつ前記蓋体に掴み孔兼用の換気出口孔を形成して換気自在に構成したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、蓋体内部の換気を行うことができるので二酸化炭素不足の心配が無く、植物の育成促進と寿命延長を図れ、鑑賞期間を長く維持できる。箱体の中央部に圧縮機を置いてその周囲と箱体外周とで二重に防音しているので騒音がもれ出さず、静粛な場所でも気にせず使用できる。換気出口孔を掴み孔と換気に兼用でき、しかも曇り止め効果も期待でき、コストの掛かる特殊な曇り止め加工や材質を使う必要が無い。
請求項2の発明によれば、遮光の必要な植物や逆に採光が必要な植物を育成鑑賞する場合に、蓋体を回動させるだけで遮光や採光させることでき非常に便利である。
請求項3の発明では、仕切材により蒸発器側と凝縮器側の部品量に応じて容積比率を変えて無駄なくスペースを活用でき、箱体ひいては装置全体をコンパクト化できる。
【実施例】
【0007】
図1〜図3は、本発明の植物鑑賞育成装置の一実施例を示しており、実線及び点線の白抜き矢印は送風方向を示す。この植物鑑賞育成装置は、植物Sを置く箱体1と、この箱体1に着脱自在として植物Sを覆うように被せた蓋体2と、を備えている。この蓋体2内部の温湿度制御のための圧縮式空気熱源ヒートポンプCとファン3と加湿器4を、箱体1の内部に設けると共に、ヒートポンプCの圧縮機5を箱体1の中央に配置してその周囲を囲み、箱体1に蓋体2内部に通じる換気入口14を形成しかつ蓋体2に掴み孔兼用の換気出口孔7を適数形成して換気自在に構成する。
【0008】
ヒートポンプCは、還気や外気などの熱交換用空気で循環冷媒の熱交換をする凝縮器9と、循環冷媒で蓋体内部給気用空気の熱交換をする蒸発器8と、圧縮機5と、膨張弁と、冷媒循環方向の正逆の切換弁(四方弁)と、図示省略の受液器等と、を備え、これらを配管接続して冷媒循環回路を構成しかつ切換弁により凝縮器9と蒸発器8の吸熱と放熱(蒸発機能と凝縮機能)を切換自在に構成する。このヒートポンプCの蒸発器8にて蓋体内部給気用空気を冷却又は加熱し、冷風や温風にて温度制御を行う。図例では蒸発器8を風上側と風下側に2つ設け、風上側が蒸発器として機能する場合に風下側が再熱器として機能するように、たとえば凝縮器9に流れる冷媒(ホットガス)の一部を風下側の蒸発器8にバイパスさせて過冷却・除湿・再熱自在に構成しているが、この風下側を省略し、蒸発器8を1つとしてヒートポンプCを構成するも自由である。
【0009】
箱体1は中空円柱状に形成し、この箱体1の内部をヒートポンプCの蒸発器側Aと凝縮器側Bに仕切る仕切材6を、この内部の容積比率を変更自在として設ける。箱体1の蒸発器側Aには蒸発器8とファン3と加湿器4と加湿器用給水タンク11を配設し、凝縮器側Bには凝縮器9とファン3と制御器12を配設する。この箱体1の蒸発器側Aに換気入口14と吹出口15と吸込口16を形成し、箱体1に蓋体2を被せて形成される蓋体内部空間と、吹出口15と、吸込口16と、を連通させると共に蒸発器8の風上に吸込口16と換気入口14を配設し、蒸発器8の風下に吹出口15を配設する。箱体1の凝縮器側Bには空気入口20と空気出口17を形成し、凝縮器9の風上に空気入口20を配設し、凝縮器9の風下に空気出口17を配設する。
【0010】
制御器12は、ヒートポンプCとファン3と加湿器4の各々の容量制御をすると共に蒸発器8の冷媒蒸発・冷媒凝縮を切換する。箱体1には、照明13と、温湿度などを示す各種計器18と、植物Sを載せる格子状の台19と、ドレンパン(図示省略)と、を設ける。例えば、制御器12にて植物Sの最適な育成環境条件に合わせた温湿度に設定し、蒸発器8とファン3と加湿器4にて蓋体内空気を循環させて温湿度制御しつつ、換気入口14から新鮮空気を取入れて蓋体内空気と混合し、換気出口孔7から所定量だけ排出することにより換気も同時に行う。潅水は換気出口孔7を持って蓋体2を取り外して行ったり、換気出口孔7から水差しを挿入して行うこともできる。なお、図示省略するがリモコンなどを設けて操作するように構成するも自由である。また、蒸発器側Aと凝縮器側Bへの各種部品の配置変更は自由である。
【0011】
図4は、所定範囲を遮光した透明の蓋体2(格子状の線で遮光範囲を示す)とし、この蓋体2を箱体1に対して横回動自在かつ着脱自在として被せたもので、例えば図4の(a)(b)(c)のように蓋体2を回動させて植物Sを動かさずに簡単に遮光させたり採光させることができる。蓋体2の遮光範囲や部位は図例に限定されず種々変更自由である。図5は、箱体1の上部を外鍔状にし、その外周縁に合わせた大きさの蓋体2とした例である。このように蓋体2や箱体1の大きさや高さを変更したり、四角柱状など種々の形状や構造に変更するも自由である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図。
【図2】箱体の平面断面図。
【図3】ヒートポンプの簡略説明図。
【図4】使用状態を示す説明図。
【図5】他の実施例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0013】
1 箱体
2 蓋体
3 ファン
4 加湿器
5 圧縮機
6 仕切材
7 換気出口孔
14 換気入口
A 蒸発器側
B 凝縮器側
C ヒートポンプ
S 植物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物Sを置く箱体1と、この箱体1に着脱自在として被せた蓋体2と、を備え、この蓋体2内部の温湿度制御のための圧縮式空気熱源ヒートポンプCとファン3と加湿器4を、前記箱体1の内部に設けると共に、前記ヒートポンプCの圧縮機5を前記箱体1の中央に配置してその周囲を囲み、前記箱体1に前記蓋体2内部に通じる換気入口14を形成しかつ前記蓋体2に掴み孔兼用の換気出口孔7を形成して換気自在に構成したことを特徴とする植物鑑賞育成装置。
【請求項2】
所定範囲を遮光した透明の蓋体2を箱体1に対して横回動自在かつ着脱自在として被せた請求項1記載の植物鑑賞育成装置。
【請求項3】
箱体1を中空円柱状に形成し、この箱体1の内部をヒートポンプCの蒸発器側Aと凝縮器側Bに仕切る仕切材6を、この内部の容積比率を変更自在として設けた請求項1又は2記載の植物鑑賞育成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−115782(P2006−115782A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308664(P2004−308664)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000244958)木村工機株式会社 (59)
【Fターム(参考)】