説明

樹脂サッシ

【課題】内側框体を構成する框材の継ぎ目部分に隙間を生じないようにすることのできる樹脂サッシを提供する。
【解決手段】樹脂材により構成され内部にガラス体7を納めてなる方形状の框体4を有するものであって、框体4は、内周面に単板ガラスを収納可能な幅の単板ガラス開口溝23を備えた外側框材と、外側框材の単板ガラス開口溝23に固定され内周面に複層ガラスを収納可能な幅の複層ガラス開口溝33を備えた内側框材とからなり、内側框材は、上辺に配置される内側上框30と下辺に配置される内側下框31の端面とが、左右辺に配置される内側縦框32の側面に突き合わされ、少なくとも内側上框30と内側下框31は、長手方向に延びるネジ挿通孔37を備え、ネジ挿通孔37に内側縦框32の外周面側から挿通されるネジ38により内側上框30及び内側下框31と内側縦框32とが固定されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂材により構成される樹脂サッシに関し、特に単板ガラスを納めることのできる框体の内部に複層ガラスを納めることのできる框体を取付けた樹脂サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物開口部に対して樹脂材からなる樹脂サッシを設けることがある。樹脂サッシは、断熱性に優れているため、寒冷地において用いられる他、二重構造のサッシにおいて外窓の内側に設けられる内窓に用いられることがある。樹脂サッシは、枠体内に障子を納めてなり、障子は框体の内部にガラス体を納めて構成される。樹脂サッシとしては例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開平10−115152号公報
【0003】
樹脂サッシは、前述のように内窓として用いられることが多いため、障子に納められるガラス体は、単板ガラスが用いられることが多い。このため、障子を構成する框体には、内周面に単板ガラスを納めることのできる幅の単板ガラス開口溝が形成されている。しかし、防音性能の向上などのために、樹脂サッシに対して複層ガラスを用いることが求められる場合がある。これに対応するため、複層ガラスを納めることのできる幅の複層ガラス開口溝を備えた内側框体を、框体の単板ガラス開口溝に対して取付け、その内部に複層ガラスを納めるようにするものが知られている。この場合、框体が二重構造となるが、単板ガラス用の框体をそのまま用いることができるため、低コストに複層ガラスを有する樹脂サッシを構成することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
框体のガラス開口溝に内側框体を取付ける構造においては、内側框体の上辺を構成する内側上框及び内側框体の下辺を構成する内側下框の端面が、内側框体の左右辺を構成する内側縦框の側面に当接するようにして四周に渡る内側框体が形成される。各框材は、取付部を外周面に備え、これをガラス開口溝に挿入することによって外側の框体に対して固定される。したがって、内側上框や内側下框が内側縦框に対して突き合わされる継ぎ目の部分が、室内外からそれぞれ見えるようになっている。
【0005】
しかし、樹脂材からなる内側框体の各框材は、温度変化等によって伸縮するため、内側上框及び内側下框と内側縦框との継ぎ目の部分に、隙間が生じることがあった。また、各部材の製作誤差や、組立誤差によっても、隙間が生じることがあった。このように内側上框及び内側下框と内側縦框との継ぎ目の部分に隙間を生じることにより、美観を大きく損ねることとなっていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、内側框体を構成する框材の継ぎ目部分に隙間を生じないようにすることのできる樹脂サッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る樹脂サッシは、樹脂材により構成され内部にガラス体を納めてなる方形状の框体を有する樹脂サッシにおいて、
前記框体は、内周面に単板ガラスを納めることのできる幅に形成される単板ガラス開口溝を備えた外側框材と、該外側框材の単板ガラス開口溝に固定され内周面に複層ガラスを納めることのできる幅に形成される複層ガラス開口溝を備えた内側框材とからなり、
前記内側框材は、上辺に配置される内側上框と下辺に配置される内側下框の端面とが、左右辺に配置される内側縦框の側面に突き合わされ、少なくとも前記内側上框と内側下框は、長手方向に延びるネジ挿通孔を備え、該ネジ挿通孔に前記内側縦框の外周面側から挿通されるネジにより前記内側上框及び内側下框と内側縦框とが固定されてなることを特徴として構成されている。
【0008】
また、本発明に係る樹脂サッシは、前記内側縦框は複層ガラス開口溝の両側壁が上下端部で切り欠かれ、前記複層ガラス開口溝の底壁を前記内側上框及び内側下框の端面が突き合わされる側面としたことを特徴として構成されている。
【0009】
さらに、本発明に係る樹脂サッシは、前記内側框材は前記複層ガラス開口溝より外周面側に中空部を有し、該中空部に前記ネジ挿通孔を形成したことを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る樹脂サッシによれば、内側框材は、上辺に配置される内側上框と下辺に配置される内側下框の端面とが、左右辺に配置される内側縦框の側面に突き合わされ、少なくとも内側上框と内側下框は、長手方向に延びるネジ挿通孔を備え、ネジ挿通孔に内側縦框の外周面側から挿通されるネジにより内側上框及び内側下框と内側縦框とが固定されてなることにより、温度変化等により内側框材に伸縮が生じても、内側上框及び内側下框の端面と内側縦框との間に隙間が生じることを防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る樹脂サッシによれば、内側縦框は複層ガラス開口溝の両側壁が上下端部で切り欠かれ、複層ガラス開口溝の底壁を内側上框及び内側下框の端面が突き合わされる側面としたことにより、内側上框及び内側下框の端面を内側縦框に対して確実に当接させ、意匠性の良好な框体とすることができる。
【0012】
さらに、本発明に係る樹脂サッシによれば、内側框材は複層ガラス開口溝より外周面側に中空部を有し、中空部にネジ挿通孔を形成したことにより、簡易な構造で内側框材をネジ止めできるように構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1は本実施形態における樹脂サッシの縦断面図、図2は樹脂サッシの横断面図である。これら各図に示すように、本実施形態における樹脂サッシは、枠体1内に内障子2と外障子3を引き違い状に納めてなるものである。
【0014】
枠体1は、いずれも樹脂材からなる上枠10と下枠11及び左右の縦枠12、12を方形状に枠組みして構成される。また、内障子3及び外障子4は、外側框体5の内側に内側框体6を取付け、さらにその内部に複層ガラスからなるガラス体7を納めて構成され、枠体1内において長手方向に走行自在となるように納められる。
【0015】
外側框体5は、樹脂材からなる外側框材を方形状に框組みしてなるものであり、外側框材は、上辺に配置される外側上框20と、下辺に配置される外側下框21と、左右辺にそれぞれ配置される外側縦框22とからなっている。内側框体6は、樹脂材からなる内側框材によって構成され、内側框材は、上辺に配置される内側上框30と、下辺に配置される内側下框31と、左右辺にそれぞれ配置される内側縦框32とからなっている。
【0016】
召合せ框となる外側縦框22には、内障子2を構成する側にはクレセント22aが、外障子3を構成する側には受部22bが、それぞれ設けられる。内障子2と外障子3が閉じた状態において、クレセント22aを操作し、受部22bに対してこれを係合させることにより、内障子2と外障子3が開かないようにロックすることができる。
【0017】
外側框体5を構成する外側框材には、その内周面側に、単板ガラスを挿入可能な幅を有する凹状の単板ガラス挿入溝23が、それぞれ長手方向全長に渡って形成されている。単板ガラス挿入溝23の両側壁には、それぞれ2対のヒレ部24が形成されている。
【0018】
内側框体6を構成する内側框材は、その外周面側に、内側框材の単板ガラス挿入溝23に対して挿入できる突起状の取付部34を有している。取付部34は側面に凹凸を有しており、外側框材の単板ガラス挿入溝23に挿入されることで、ヒレ部24が側面に圧接して、外側框材に対して取付固定することができる。なお、召合せ框となる内側縦框32は、外側縦框22に取付けられる受部22bと干渉しないように、長手方向の中間位置が切り欠かれた切欠部32aを有している。
【0019】
また、内側框材の内周面側には、複層ガラスであるガラス体7を挿入可能な幅を有する凹状の複層ガラス挿入溝33が、それぞれ長手方向全長に渡って形成されている。このため、内側框材の見込方向寸法は、外側框材の見込方向寸法よりも大きく形成される。複層ガラス挿入溝33は、室内外の側壁33aによってガラス体7を挟持し、また底壁33bにガラス体7の周面が当接する。
【0020】
内側框材の複層ガラス挿入溝33と外周面との間には、中空部35が形成される。また、この中空部35内には、複層ガラス挿入溝33の底壁33bと内側框材の外周面とをブリッジ状に繋ぐ懸架部36が形成され、その内部にはネジを長手方向に挿通可能なネジ挿通孔37が形成されている。
【0021】
次に、内側框体6の框組構造について説明する。図3には、框体4の正面図のうち、室内側から見た左半分について示している。この図に示すように、内側上框30の取付部34は外側上框20の単板ガラス挿入溝23に、内側下框31の取付部34は外側下框21の単板ガラス挿入溝23に、内側縦框32の取付部34は外側縦框22の単板ガラス挿入溝23に、それぞれ挿入されている。
【0022】
内側縦框32の上端部においては、複層ガラス挿入溝33の側壁33aが切り欠かれており、内側上框30の端面が内側縦框32の複層ガラス挿入溝33の底壁33bに対して当接する。内側縦框32の下端部も同様で、複層ガラス挿入溝33の側壁33aが切り欠かれており、内側下框31の端面が内側縦框32の底壁33bに対して当接する。
【0023】
内側上框30と内側下框31の端面が、それぞれ内側縦框32の底壁33bに当接した状態で、内側縦框32の外周側からネジ38が挿入される。上側のネジ38は、内側縦框32を貫通すると共に、内側上框30のネジ挿通孔37に挿通され、内側縦框32と内側上框30とを固定する。また、下側のネジ38は、内側縦框32を貫通すると共に、内側下框31のネジ挿通孔37に挿通され、内側縦框32と内側上框30とを固定する。
【0024】
ここで、図2に示すように、内側縦框32の外周面には、ネジ38の頭部を納めることができる凹部32b及び複層ガラス挿入溝33まで貫通する孔32cが形成されている。これにより、ネジ38を内側縦框32の外周面から突出させないようにしつつ、内側縦框32と内側上框30及び内側下框31とをネジ止め固定することができる。
【0025】
このように、内側框体6については、内側上框30と内側下框31の端面が、内側縦框32の側面である複層ガラス挿入溝33の底壁33bに突き合わされ、内側上框30と内側下框31の長手方向に形成されたネジ挿通孔37に対して、内側縦框32の外周面からネジ38が挿通されて固定されることにより、温度変化等により内側框材に伸縮が生じても、内側上框30及び内側下框31の端面と内側縦框32との間に隙間が生じることを防止することができる。
【0026】
次に、ガラス体7を上下2枚有する框体4に対して本発明を適用した場合について説明する。図4には、この場合における樹脂サッシの縦断面図を示している。この図に示すように、框体4は、外側上框20と外側下框21を有すると共に、上下方向中間位置に中桟部25を有している。中桟部25は、上下面にそれぞれ単板ガラス挿入溝23を備え、内側框材を取付けることができるように形成されている。内側框体6は、内側上框30と中桟部25及び内側縦框32とで形成される開口部と、内側下框31と中桟部25及び内側縦框32とで形成される開口部とにそれぞれ取付けられ、各内部には複層ガラスからなるガラス体7が納められる。
【0027】
この場合においても、内側框体6の構成は図1〜3のものと同様であり、内側上框30と内側下框31の端面が内側縦框32の側面に突き合わされ、内側上框30及び内側下框31のネジ挿通孔37に対して内側縦框32の外周面からネジ38が挿通されて固定がなされて、これにより内側縦框32と内側上框30及び内側下框31との間に隙間が生じることを防止することができる。
【0028】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態では、引き違いサッシに本発明を適用したものを示したが、辷り出し窓などの開閉窓や、嵌め殺し窓など他の種類の窓にも、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態における樹脂サッシの縦断面図である。
【図2】本実施形態における樹脂サッシの横断面図である。
【図3】框体の正面図のうち、室内側から見た左半分の図である。
【図4】中桟部を有した樹脂サッシに本発明を適用した場合の縦断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 枠体
2 内障子
3 外障子
4 框体
5 外側框体
6 内側框体
7 ガラス体
10 上枠
11 下枠
12 縦枠
20 外側上框
21 外側下框
22 外側縦框
23 単板ガラス挿入溝
30 内側上框
31 内側下框
32 内側縦框
33 複層ガラス挿入溝
34 取付部
35 中空部
36 懸架部
37 ネジ挿通孔
38 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材により構成され内部にガラス体を納めてなる方形状の框体を有する樹脂サッシにおいて、
前記框体は、内周面に単板ガラスを納めることのできる幅に形成される単板ガラス開口溝を備えた外側框材と、該外側框材の単板ガラス開口溝に固定され内周面に複層ガラスを納めることのできる幅に形成される複層ガラス開口溝を備えた内側框材とからなり、
前記内側框材は、上辺に配置される内側上框と下辺に配置される内側下框の端面とが、左右辺に配置される内側縦框の側面に突き合わされ、少なくとも前記内側上框と内側下框は、長手方向に延びるネジ挿通孔を備え、該ネジ挿通孔に前記内側縦框の外周面側から挿通されるネジにより前記内側上框及び内側下框と内側縦框とが固定されてなることを特徴とする樹脂サッシ。
【請求項2】
前記内側縦框は複層ガラス開口溝の両側壁が上下端部で切り欠かれ、前記複層ガラス開口溝の底壁を前記内側上框及び内側下框の端面が突き合わされる側面としたことを特徴とする請求項1記載の樹脂サッシ。
【請求項3】
前記内側框材は前記複層ガラス開口溝より外周面側に中空部を有し、該中空部に前記ネジ挿通孔を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の樹脂サッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−285819(P2008−285819A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−129234(P2007−129234)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】