説明

樹脂封止型半導体装置

【課題】 本発明は、スタックド構造のMCP製造時における作業性の欠点である接着剤の塗布などの工程を改善し接着剤を使用することなく半導体チップを積層することができ、かつ各種の信頼性に優れた半導体装置を提供するものである。
【解決手段】 エポキシ基を有する環状オレフィン系樹脂(A)と光酸発生剤(B)を含む感光性樹脂組成物の樹脂層を半導体チップの回路素子形成面上に有し、かつ該半導体チップ上に積層する別の半導体チップの裏面が該樹脂層に直接接触していることを特徴とするスタックド構造のMCPの樹脂封止型半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物を用いたスタックド構造のMCPを有する樹脂封止型半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高性能化、小型化に伴って電子部品の高密度集積化、さらには高密度実装化が進んできている。そこで、1つのパッケージ内に複数のチップを配置してマルチチップパッケージとすることにより、半導体装置の高機能化と小型化とが図られている。
そして、マルチチップパッケージには複数の半導体チップを平面的に並べたものと、複数の半導体チップを厚み方向に積層したものとがある。半導体チップを平面的に並べたマルチチップパッケージは広い実装面積を必要とするため、電子機器の小型化への寄与が小さい。このため、半導体チップを積層したスタックド構造のMCP(例えば、特許文献1参照)の開発が盛んに行われている。
しかしながら、従来のスタックド構造のMCPは、積層した半導体チップを接着剤によって相互に接合するようにしており、接着剤の塗布などを必要として工程が煩雑となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-37250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前述したスタックド構造のMCP製造時の作業性の欠点を改善し、かつ各種の信頼性に優れたスタックド構造のMCPの樹脂封止型半導体装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1] 半導体素子表面保護膜用樹脂組成物であって、酸性基を有する環状オレフィン系樹脂(A)と、光酸発生剤(B)と、130℃以上の温度で(A)の酸性基と結合しうる反応基を有する化合物(C)、を含む感光性樹脂組成物の硬化物よりなる樹脂層を半導体チップの回路素子形成面上に有し、かつ該半導体チップ上に積層する別の半導体チップの裏面が該樹脂層に直接接触していることを特徴とするスタックド構造のMCPの樹脂封止型半導体装置。
[2] 環状オレフィン系樹脂がポリノルボルネン系樹脂である[1]記載の樹脂封止型半導体装置。
[3] 酸性基を有する環状オレフィン系樹脂(A)が式(1)で示される繰り返し単位を含むものである[1]又は[2]記載の樹脂封止型半導体装置。
【0006】
【化1】

[式(1)中、XはO、CH2、(CH22のいずれかであり、nは0〜5までの整数である。R1〜R4は、それぞれ水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、又はエステル基を含有する官能基、ケトン基を含有する官能基、エーテル基を含有する官能基、カルボキシル基、フェノール性水酸基、−C(OH)−(CF32、−N(H)−S(O)2−CF3等の酸性基を含有する官能基のうちいずれであってもよい。R1〜R4は、単量体の繰り返しの中で異なっていてもよいが、全繰り返し単位のR1〜R4のうち、少なくとも一つは酸性基を有する。]
【0007】
[4] 酸性基を有する環状オレフィン系樹脂(A)が式(2)で示される繰り返し単位を含むものである[1]〜[2]記載の樹脂封止型半導体装置。
【0008】
【化2】

[式(2)中、YはO、CH2、(CH22のいずれか、Zは−CH2−CH2−、−CH=CH−のいずれかであり、lは0〜5までの整数である。R5〜R8は、それぞれ水素、アルキ
ル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、又はエステル基を含有する官能基、ケトン基を含有する官能基、エーテル基を含有する官能基、カルボキシル基、フェノール性水酸基、−C(OH)−(CF32、 −N(H)−S(O)2−CF3等の酸性
基を含有する官能基のうちいずれであってもよい。R5〜R8は単量体の繰り返しの中で異なっていてもよいが、全繰り返し単位のR5〜R8のうち、少なくとも一つは酸性基を有する。]
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の半導体チップが積層されてなる半導体パッケージにおいて、積層する半導体チップを効率よく製造することが可能となる半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】エポキシ基を含む環状オレフィン系樹脂を用いて半導体チップを積層した本発明の半導体装置の概略図
【図2】半導体チップと半導体チップとを接着剤を用いて接着した従来の半導体装置の概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で使用する環状オレフィンモノマーとしては、一般的には、シクロヘキセン、シクロオクテン等の単環体、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、トリシクロペンタジエン、ジヒドロトリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエン、ジヒドロテトラシクロペンタジエン等の多環体が挙げられる。これらのモノマーに官能基が結合した置換体も用いることができる。
【0012】
本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂を製造するために使用する環状オレフィンモノマーとしては、一般式(3)で表されるノルボルネン型モノマーが好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基等が、アルケニル基の具体例としては、ビニル、アリル、ブチニル、シクロヘキシル基等が、アルキニル基の具体例としては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル基等が、アリール基の具体例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル基等が、アラルキル基の具体例としてはベンジル、フェネチル基等が、酸性基を含有する官能基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、−C(OH)−(CF32、 −N(H)−S(O)2−CF3がそれぞれ挙げられるが、本発明は何らこれらに限定されない。
エステル基を含有する官能基、ケトン基を含有する官能基を含有する官能基については、これらの基を有している官能基であれば特に構造は限定されない。エーテル基を含有する官能基には、エポキシ基、オキセタン基などの環状エーテルを含む官能基も含まれる。
【0013】
【化3】

[式(3)中、XはO、CH2、(CH22のいずれかであり、nは0〜5までの整数である。R1〜R4は、それぞれ水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、又はエステル基を含有する官能基、ケトン基を含有する官能基、エーテル基を含有する官能基、カルボキシル基、フェノール性水酸基、−C(OH)−(CF32、 −N(H)−S(O)2−CF3等の酸性基を含有する官能基のうちいずれであってもよい。R1〜R4は、単量体の繰り返しの中で異なっていてもよいが、全繰り返し単位のR1〜R4のうち、少なくとも一つは酸性基を有する。]
【0014】
本発明で使用する環状オレフィン系樹脂としては、上記環状オレフィンモノマーの重合体が挙げられる。なお重合方法はランダム重合、ブロック重合など公知の方法が用いられる。具体例としては、ノルボルネン型モノマ−の(共)重合体、ノルボルネン型モノマ−とα−オレフィン類などの共重合可能な他のモノマ-との共重合体、およびこれらの共重合体の水素添加物などが具体例に該当する。これら環状オレフィン系樹脂は、公知の重合法により製造することが可能であり、その重合方法には付加重合法と開環重合法とがある。このうち、ノルボルネンモノマーを付加(共)重合することによって得られたポリマー、又はノルボルネンモノマーを開環重合させ、必要に応じて水素添加した重合体が好ましいが、本発明はなんらこれらに限定されるものではない。
【0015】
環状オレフィン系樹脂の付加重合体としては、ポリノルボルネン系樹脂が挙げられる。具体的には、(1)ノルボルネン型モノマ−を付加(共)重合させて得られるノルボルネン型モノマ−の付加(共)重合体、(2)ノルボルネン型モノマ−とエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、(3)ノルボルネン型モノマ−と非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマ−との付加共重合体が挙げられる。これらの樹脂は公知のすべての重合方法で得ることができる。化学式(1)で表されるタイプの環状オレフィン系樹脂は上記付加重合によって得ることができる。
【0016】
環状オレフィン系樹脂の開環重合体としては、ポリノルボルネン系樹脂が挙げられる。具体的には、(4)ノルボルネン型モノマ−の開環(共)重合体、及び必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(5)ノルボルネン型モノマ−とエチレンやα−オレフィン類との開環共重合体、及び必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(6)ノルボルネン型モノマ−と非共役ジエン、又は他のモノマ−との開環共重合体、及び必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂が挙げられる。これらの樹脂は公知のすべての重合方法で得ることができる。化学式(2)で表されるタイプの環状オレフィン系は上記開環重合によって得ることができる。
上記のうち、(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合させて得られる付加(共)重合体、(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、及び必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、が好ましいが、本発明はなんらこれらに限定されるものではない。
【0017】
環状オレフィン系樹脂の付加重合体は、金属触媒による配位重合、又はラジカル重合によって得られる。このうち、配位重合においては、モノマーを、遷移金属触媒存在下、溶液中で重合することによってポリマーが得られる(NiCOLE R. GROVE et al. Journal of Polymer Science:part B,Polymer Physics, Vol.37, 3003-3010(1999))。
配位重合に用いる金属触媒として代表的なニッケルと白金触媒は、PCT WO 9733198とPCT WO 00/20472に述べられている。配位重合用金属触媒の例としては、(トルエン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(メシレン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(ベンゼン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(テトラヒドロ)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(エチルアセテート)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(ジオキサン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケルなどの公知の金属触媒が挙げられる。
【0018】
ラジカル重合技術については、Encyclopedia of Polymer Science,John Wiley&Sons, 13,708(1988)に述べられている。
一般的にはラジカル重合はラジカル開始剤の存在下、温度を50℃〜150℃に上げ、モノマーを溶液中で反応させる。ラジカル開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、アゾビスイソカプトロニトリル、アゾビスイソレロニトリル、t-ブチル過酸化水素などである。
【0019】
環状オレフィン系樹脂の開環重合体は、公知の開環重合法により、チタンやタングステン化合物を触媒として、少なくとも一種以上のノルボルネン型モノマ-を開環(共)重合して開環(共)重合体を製造し、次いで必要に応じて通常の水素添加方法により前記開環(共)重合体中の炭素-炭素二重結合を水素添加して熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を製造することによって得られる。
【0020】
本発明で用いられる酸性基を有する環状オレフィン系樹脂は、酸性基を有するモノマーを直接上記方法で重合することによって得られる。しかし、重合系によっては、モノマーに酸性基が含まれていると触媒等が失活して重合が適当に進行しなくなることがある。この場合は、当該酸性基に保護基を導入して重合し、ポリマー生成後に脱保護することで本発明の酸性基を有する環状オレフィン系樹脂を得ることができる。またモノマーに、酸性基に化学反応しうる官能基を導入しておき、ポリマー合成後に高分子反応で当該官能基を酸性基に変換する手法を採ってもよい。
【0021】
上述のように、酸性基を有する環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンモノマー中の酸性基の電離しうる水素原子を他の構造で置換したモノマーを使用し、これを重合した後、脱保護して元の水素原子を導入することにより得ることができる。このとき水素原子と置換が可能な官能基としては、具体的には、3級ブチル基、3級ブトキシカルボニル基、テトラヒドロピラン-2-イル基、トリメチルシリル基などのトリアルキルシリル基、メトキシメチル基などを挙げることができる。脱保護、すなわちそれら保護基のモノマーからの脱離による酸性基の復元は、該官能基を酸性官能基の保護基として使用する場合の定法によって行うことができる。
【0022】
酸性基を有しない環状オレフィン系樹脂を高分子反応させて酸性基を導入する方法について述べる。酸性基を有しない環状オレフィン系樹脂を、ラジカル開始剤の存在下、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸
、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5
−エン−2,3−ジカルボン酸、メチル−エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸化合物、又はこれらのエステル又はアミド、或いは無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、ブテニル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水シトラコン酸などの不飽和カルボン酸無水物等の極性基含有化合物
と混合して加熱することによって酸性基を有する環状オレフィン系樹脂を得ることができ
る。
【0023】
共重合物中の酸性基を有するユニットの含有率は、露光後にアルカリ溶解性を発現可能か否かによって最適値を決定することが出来る。例えば、酸性基はポリマー1gあたり0.2〜0.1モルが好ましい。更に好ましくは0.03〜0.1モルである。当該値が上記範囲より大きくなると、モノマーの選択範囲が極めて狭まり、他特性の並立が困難になる。一方、当該値が上記範囲より小さくなると、アルカリ水溶液への溶解性を発現させることが困難になり、共に好ましくない。
【0024】
本発明で用いられる酸性基を有する環状オレフィン系樹脂を得るためのモノマーのうち、酸性基を含むモノマー、又は脱保護して酸性基になる官能基を有するモノマーには具体的には、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-カルボン酸、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン-8-カルボン酸、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン-8-カルボン酸、(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)酢酸、2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)プロピオン酸、3-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)酪酸、3-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)吉草酸、3-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)カプロン酸、コハク酸モノ-(2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)カルボニルオキシエチル)エステル、コハク酸モノ-(2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)カルボニルオキシプロピル)エステル、コハク酸モノ-(2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)カルボニルオキシブチル)エステル、フタル酸モノ-(2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)カルボニルオキシエチル)エステル、カプロン酸モノ-(2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)カルボニルオキシブチル)エステル、(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)カルボニルオキシ酢酸、2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)メチルフェノール、3-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)メチルフェノール、4-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)メチルフェノール、4-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)フェノール、4-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)メチルカテコール、3-メトキシ-4-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)メチルフェノール、3-メトキシ-2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)メチルフェノール、2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)メチルレゾルシン、1,1-ビストリフルオロメチル-2-(ビシクロ[2.2.1]ヘ
プト-2-エン-5-イル)エチルアルコール、1,1-ビストリフルオロメチル-3-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)プロピルアルコール、1,1-ビストリフルオロメチル-4-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)ブチルアルコール、1,1-ビストリフルオロメチル-5-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)ペンチルアルコール、1,1-ビストリフルオロメチル-6-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)ヘキシルアルコール、8-メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-n-プロピルカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-i-プロピルカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-n-ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-(2-メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-(1-メチルプロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-t-ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-シクロヘキシロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-(4'-t-ブチルシクロヘキシロキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-テトラヒドロフラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-テトラヒドロピラニロキシカルボニルテトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-メチル-8-メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-メチル-8-エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-メチル-8-n-プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-メチル-8-i-プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-メチル-8-n-ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-メチル-8-(2-メチルポロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-メチル-8-(1-メチルポロポキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-メチル-8-t-ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-メチル-8-シクロヘキシロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-メチル-8-(4'-t-ブチルシクロヘキシロキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-メチル-8-フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-メチル-8-テトラヒドロフラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-メチル-8-テトラヒドロピラニロキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8-メチル-8-アセトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8,9-ジ(メトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8,9-ジ(エトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8,9-ジ(n-プロポキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8,9-ジ(i-プロポキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8,9-ジ(n-ブトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8,9-ジ(t-ブトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8,9-ジ(シクロへキシロキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8,9-ジ(フェノキシロキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8,9-ジ(テトラヒドロフラニロキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、8,9-ジ(テトラヒドロピラニロキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン-8-カルボン酸、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン-8-カルボン酸、などが挙げられるが、本発明では何らこれらに限定されるものではない。
【0025】
本発明で用いられる酸性基を有する環状オレフィン系樹脂を得るためのモノマーのうち、上述以外のモノマーの具体例としては、次のものが挙げられる。アルキル基を有するものとして、5-メチル-2-ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、5-プロピル-2-ノルボルネン、5-ブチル-2-ノルボルネン、5-ペンチル-2-ノルボルネン、5-ヘキシル-2-ノルボルネン、5-ヘプチル-2-ノルボルネン、5-オクチル-2-ノルボルネン、5-ノニル-2-ノルボルネン、5-デシル-2-ノルボルネンなど、アルケニル基を有するものとしては、5-アリル-2-ノルボルネン、5-メチリデン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(2,3-ジメチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-エチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(3,4-ジメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-メチル-6-ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2-ジメチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(5-エチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2,3-トリメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネンなど、アルキニル基を有するものとしては、5-エチニル-2-ノルボルネンなど、シリル基を有するものとしては、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ジメチルビス((2-(5-ノルボルネン-2-イル)エチル)トリシロキサンなど、アリール基を有するものとしては、5-フェニルー2-ノルボルネン、5-ナフチル-2-ノルボルネン、5-ペンタフルオロフェニル-2-ノルボルネンなど、アラルキル基を有するものとしては、5-ベンジル-2-ノルボルネン、5-フェネチル-2-ノルボルネン、5-ペンタフルオロフェニルメタン-2-ノルボルネン、5-(2-ペンタフルオロフェニルエチル)-2-ノルボルネン、5-(3-ペンタフルオロフェニルプロピル)-2-ノルボルネンなど、アルコキシシリル基を有するものとしては、ジメチルビス((5-ノルボルネン-2-イル)メトキシ))シラン、5-トリメトキシシリル-2-ノルボルネン、5-トリエトキシシリル-2-ノルボルネン、5-(2-トリメトキシシリルエチル)-2-ノルボルネン、5-(2-トリエトキシシリルエチル)-2-ノルボルネン、5-(3-トリメトキシプロピル)-2-ノルボルネン、5-(4-トリメトキシブチル)-2-ノルボルネン、5ートリメチルシリルメチルエーテル-2-ノルボルネンなど、ヒドロキシル基、エーテル基、エステル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するものとしては、5-ノルボルネン-2-メタノール、及びこのアルキルエーテル、酢酸5-ノルボルネン-2-メチルエステル、プロピオン酸5-ノルボルネン-2-メチルエステル、酪酸5-ノルボルネン-2-メチルエステル、吉草酸5-ノルボルネン-2-メチルエステル、カプロン酸5-ノルボルネン-2-メチルエステル、カプリル酸5-ノルボルネン-2-メチルエステル、カプリン酸5-ノルボルネン-2-メチルエステル、ラウリン酸5-ノルボルネン-2-メチルエステル、ステアリン酸5-ノルボルネン-2-メチルエステル、オレイン酸5-ノルボルネン-2-メチルエステル、リノレン酸5-ノルボルネン-2-メチルエステル、5-ノルボルネン-2-カルボン酸、5-ノルボルネン-2-カルボン酸メチルエステル、5-ノルボルネン-2-カルボン酸エチルエステル、5-ノルボルネン-2-カルボン酸t-ブチルエステル、5-ノルボルネン-2-カルボン酸i-ブチルエステル、5-ノルボルネン-2-カルボン酸トリメチルシリルエステル、5-ノルボルネン-2-カルボン酸トリエチルシリルエステル、5-ノルボルネン-2-カルボン酸イソボニルエステル、5-ノルボルネン-2-カルボン酸2-ヒドロキシエチルエステル、5-ノルボルネン-2-メチル-2-カルボン酸メチルエステル、ケイ皮酸5-ノルボルネン-2-メチルエステル、5-ノルボルネン-2-メチルエチルカルボネート、5-ノルボルネン-2-メチルn-ブチルカルボネート、5-ノルボルネン-2-メチルt-ブチルカルボネート、5-メトキシ-2-ノルボルネン、(メタ)アクリル酸5-ノルボルネン-2-メチルエステル、(メタ)アクリル酸5-ノルボルネン-2-エチルエステル、(メタ)アクリル酸5-ノルボルネン-2-n-ブチルエステル、(メタ)アクリル酸5-ノルボルネン-2-n−プロピルエステル、(メタ)アクリル酸5-ノルボルネン-2-i-ブチルエステル、(メタ)アクリル酸5-ノルボルネン-2-i-プロピルエステル、(メタ)アクリル酸5-ノルボルネン-2-ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸5-ノルボルネン-2-オクチルエステル、(メタ)アクリル酸5-ノルボルネン-2-デシルエステルなど、エポキシ基を有するものとしては、5-[(2,3-エポキシプロポキシ)メチル]-2-ノルボルネンなど、またテトラシクロ環から成るものとして、8,9-テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデック-3-エン、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.01,6]ドデック-3-エン、8-エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,12]ドデック-3-エン、8-エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,101,6]ドデック-3-エン。しかし本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0026】
上述重合系の適当な重合溶媒としては炭化水素や芳香族溶媒が含まれる。炭化水素溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、やシクロヘキサンなどであるがこれに限定されない。芳香族溶媒の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンやメシチレンなどであるがこれに限定されない。ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、エステル、ラクトン、ケトン、アミドも使用できる。これら溶剤を単独や混合しても重合溶媒として使用できる。
【0027】
本発明の環状オレフィン系樹脂の分子量は、開始剤とモノマーの比を変えたり、重合時間を変えたりすることにより制御することができる。上記の配位重合が用いられる場合、米国特許No.6,136,499に開示されるように、分子量を連鎖移動触媒を使用することにより制御することができる。この発明においては、エチレン、プロピレン、1-ヘキサン、1-デセン、4-メチル-1-ペンテン、などα‐オレフィンが分子量制御するのに適当である。
【0028】
本発明において重量平均分子量は5,000〜500,000、好ましくは7,000〜200,000さらに好ましくは8,000〜100,000である。重量平均分子量は標準ポリノルボルネンを用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。(ASTMDS3536-91準拠)
【0029】
本発明で用いる光酸発生剤(B)は、活性光線の照射によって、ブレンステッド酸あるい
はルイス酸を生成する物質であって、例えばオニウム塩、ハロゲン化有機化合物、キノン
ジアジド化合物、α,α-ビス(スルホニル)ジアゾメタン系化合物、α-カルボニル-α-スルホニル-ジアゾメタン系化合物、スルホン化合物、有機酸エステル化合物、有機酸アミド
化合物、有機酸イミド化合物等が挙げられる。本発明では、キノンジアジド化合物を用いることが好ましい。
【0030】
本発明で用いる光酸発生剤(B)の好ましい具体例として、1,2-ベンゾキノンジアジド或いは1,2-ナフトキノンジアジド構造を有する化合物を挙げることができる。これらは米国特許明細書第2772975号、第2797213号、第3669658号により公知の物質である。これらのうち、特に小さい露光量で高い溶解性のコントラストを得るために、1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸或いは1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-4-スルホン酸とフェノール化合物とのエステル化合物が好ましい。これらの光酸発生剤は、放射線照射による露光時の光反応でカルボキシル基を生成し、露光部のアルカリ現像液に対する溶解性を増加させるポジ型の光酸発生剤として機能する。
【0031】
本発明で用いる光酸発生剤(B)の含有量は、前記アルカリ可溶性の環状オレフィン系樹脂(A)100重量部に対し、1〜50重量部が好ましく、よりこのましくは5〜30重量部が望ましい。配合量が、1重量部未満だと感光性樹脂組成物の露光、現像特性が不良となり、逆に50重量部を超えると感度が大幅に低下するため好ましくない。
【0032】
本発明で用いられる、130℃以上の温度で酸性基を有する環状オレフィン系樹脂(A)の酸性基と結合しうる反応基を有する化合物(C)の具体例について述べる。化合物(C)に含まれる、酸性基と結合しうる反応基の具体例として、グリシジル基、エポキシシクロヘキシル基などのエポキシ基、2-オキサゾリン-2-イル基などのオキサゾリン基、N-ヒドロキシメチルアミノカルボニル基などのメチロール基、N-メトキシメチルアミノカルボニル基などのアルコキシメチル基等を挙げることができる。
化合物(C)としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、ポリメチル(グリシジロキシプロピル)シロキサン等のエポキシ基含有シリコーン、2-メチル-2-オキサゾリン、2-エチル-2-オキサゾリン、1,3-ビス(2-オキサゾリン-2-イル)ベンゼン、1,4-ビス(2-オキサゾリン-2-イル)ベンゼン、2,2'-ビス(2-オキサゾリン)、2,6-ビス(4-イソプロピル-2-オキサゾリン-2-イル)ピリジン、2,6-ビス(4-フェニル-2-オキサゾリン-2-イル)ピリジン、2,2'-イソプロピリデンビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、(S,S)-(-)-2,2'-イソプロピリデンビス(4-tert-ブチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-プロペニル-2-オキサゾリン)などのオキサゾリン環含有ポリマー、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール、サリチルアルコール、1,2-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジメタノール、レゾール型フェノール樹脂などを挙げることができるが、本発明は何らこれらに限定されない。これらは単独でも、2種以上を混合して使用してもよい。
【0033】
化合物(C)の含有量は、前記酸性基を有する環状オレフィン系樹脂(A)100重量部に対し、1〜100重量部が好ましく、より好ましくは、5〜50重量部である。配合量が、1重量部未満だと感光性樹脂組成物の硬化後の物性が不良となり、逆に100重量部を超えるとパターン形成能が大幅に低下するため好ましくない。
【0034】
本発明においてはこれらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、メチル-1,3-ブチレングリコールアセテート、1,3-ブチレングリコール-3-モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル-3-メトキシプロピオネート等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても良い。
これらの中では、高い溶解性と揮散により後硬化時に除去しやすい点より、プロピレング
リコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、シクロヘキサノンの使用が好ましい。
【0035】
本発明で用いられる感光性樹脂組成物は、酸性基を有する環状オレフィン系樹脂(A)と、光酸発生剤(B)と、130℃以上の温度で(A)の酸性基と結合しうる反応基を有する化合物(C)、及び感度などの特性向上を目的として必要に応じて溶剤、フェノール樹脂、レベリング剤、酸化防止剤,難燃剤,可塑剤、シランカップリング剤、硬化促進剤等を単純に混合することによって得られる。
【0036】
次に本発明の半導体装置の作製方法について述べる。まず感光性樹脂組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウエハー、セラミック、アルミ基板、ガラス基板、フィルム基板等に塗布する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等がある。次に、90〜140℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜700nmの波長のものが好ましい。
【0037】
次に照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを得る。現像液としては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、水酸化テトラメチルアンモニウムやエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリ類の水溶液、及びこれにメタノール、エタノールのごときアルコール類等の水溶性有機溶剤や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスする。リンス液としては、たとえば水やアルコールを使用することができる。現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスする。リンス液としては、アルコールを使用する。
リンス後、加熱硬化することにより樹脂層を完成させる。即ち、加熱によって樹脂中に存在し、光加工時にアルカリ可溶性の発現に寄与していた酸性基を、酸性基と反応可能な官能基を有する化合物中の該官能基と反応させることによって消失させ、加工後の樹脂層の誘電率や耐湿信頼性等の信頼性に酸性基由来の悪影響が残るのを防止するのとともに、樹脂中に強固な架橋構造を形成し、熱硬化後の樹脂の特性を向上させることが、本発明の特徴である。熱硬化温度は、最高200℃〜250℃で加熱処理を行い、現像液やリンス液を除去し、さらに上記反応が完了し耐熱性に富む最終パターンを得る。また、この熱硬化工程の一部または全部は、後述の、半導体チップの上に該半導体チップより小さいサイズの半導体チップを乗せて、加圧接着後に行うこともできる。
【0038】
次に前記のシリコンウエハーをダイシングにより小片化し、得られた半導体チップをダイアタッチ用接着フィルムを用いて、ボンディングフィンガーとその裏面に半田ボール搭載用のランドを持つプリント配線板に搭載され、金線により半導体チップとプリント配線板を接続した。
その半導体チップの上に該半導体チップより小さいサイズの半導体チップを乗せ、加圧接着した。金線により第2の半導体チップとプリント配線板を接続した。このようにして半導体チップが2個積層して搭載されたプリント配線板は半導体チップ面を半導体封止樹脂により封止され、半田ボールを搭載し、BGAパッケージとした。
スタックド構造のMCPについては、複数個の半導体チップを積層することも可能であり、上記以外の公知の方法により作製することができる。また、上記方法に限定されるものではない。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
ポリマーの合成
《合成例1》
1,1-ビストリフルオロメチル-2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)エチルアルコール/5-ノルボルネン-2-カルボン酸=75/25コポリマーの共重合体(A-1)の例を挙げる。
すべてのガラス機器は60℃で0.1トル下で18時間乾燥する。その後ガラス機器は内部の酸素濃度と湿度がそれぞれ1%以内に抑えられたグローブボックス内に移され、グローブボックスに備え付けられる。酢酸エチル(1000g)、シクロヘキサン(1000g)、ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピルノルボルネン(65.9g、0.240mol)と5-ノルボルネン-2-カルボン酸トリメチルシリルエステル(43.3g、0.240mol)が反応フラスコに加えられた。反応フラスコはグローボックスから取り出し、乾燥窒素ガスを導入した。反応中間体は30分間溶液中に窒素ガスを通して脱気した。グローブボックス中でパラジウム触媒すなわち(アリル)パラジウム(トリシクロヘキシルホスフィン)トリフルオロアセテート0.058g(0.077mmol)が塩化メチレン16mlに溶解されて、25mlのシリンジに入れ、グローボックスから取り出し、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.340gがトルエン1000gに溶解された助触媒溶液と共に反応フラスコに加えられた。さらに1-ヘキセン(25.9g、0.308mol)を添加し20℃にて5時間攪拌して反応を終了した。
次にポリマーをメタノールに投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥した。乾燥後77.5g(収率71%)のポリマーを回収した。得られたポリマーの分子量
はGPCによりMw=52,200 Mn=26,100、単分散性=2.00であった。TgはDMAによると180℃であった。ポリマー組成は1H-NMRから1,1-ビストリフルオロメチル-2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)エチルアルコールが73モル%、5-ノルボルネン-2-カルボン酸が27モル%であった。また、この樹脂の酸性基は、ポリマー1gあたり0.0042モルであった。
【0040】
《合成例2》
1,1-ビストリフルオロメチル-2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)エチルアルコール/5-ノルボルネン-2-カルボン酸=50/50コポリマーの開環メタセシス共重合体(A-2)の例を挙げる。
すべてのガラス機器は60℃で0.1トル下で18時間乾燥する。その後ガラス機器は内部の酸素濃度と湿度がそれぞれ1%以内に抑えられたグローブボックス内に移され、グローブボックスに備え付けられる。トルエン(917g)、シクロヘキサン(917g)、ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピルノルボルネン(151g、0.55mol)と5-ノルボルネン-2-カルボン酸トリメチルシリルエステル(99.1g、0.55mol)、1-ヘキセン(368g、2.2mol)が反応フラスコに加えられた。反応フラスコはグローボックスから取り出し、乾燥窒素ガスを導入した。反応中間体は30分間溶液中に窒素ガスを通して脱気した。グローブボックス中で五塩化タングステンのt-ブチルアルコール/メタノール(モル比0.35/0.3)溶液(0.05モル/l)を調製し、この3.78gをトリエチルアルミニウム0.011gがトルエン25gに溶解された助触媒溶液0.634gと共に反応フラスコに加えられた。20℃にて5時間攪拌して反応を終了した。
次にこの溶液をオートクレーブに入れ、RuHCl(CO)[P(C553340.02gを加え、内圧が100kg/cm2になるまで水素を導入し、165℃で3時間加熱攪拌を行った。加熱終了後室温まで放冷し、反応物をメタノール(975mmol)に加え18時間攪拌した。攪拌を止めると水層と溶媒層に分離した。水層を分離した後、1lの蒸留水を加え、20分間攪拌した。水層が分離するので取り除いた。1lの蒸留水で3回洗浄を行った。その後ポリマーをメタノールに投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥した。乾燥後320g(収率85%)のポリマーを回収した。得られたポリマーの分子量はGPCによりMw=16,000 Mn=8,400、単分散性=1.9であった。TgはDMAによると130℃であった。ポリマー組成は1H-NMRから1,1-ビストリフルオロメチル-2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5-イル)エチルアルコール48モル%、5-ノルボルネン-2-カルボン酸が52モル%であった。
また、この樹脂の酸性基は、ポリマー1gあたり0.0049モルであった。
【0041】
《実施例1》
得られた樹脂(A-1)5g、プロピレングリコールモノエチルエーテル15g、ビスフェノールAタイプポリオール型エポキシ樹脂(YD-716、東都化成(株)製)0.8g、及びトリス(4-ヒドロキシフェニル)メタンの1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸エステル0.5gを混合し、均一な感光性樹脂組成物(1)を得た。
作製したこの感光性樹脂組成物(1)をシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で5分乾燥し、膜厚約10μmの塗膜を得た。この塗膜にi線ステッパー露光機NSR-4425i(ニコン(株)製)によりレチクルを通して300mJ/cm2で露光を行った。
その後、2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に樹脂層を30秒間浸漬現像し、次いでイオン交換水で20秒間リンスすることにより、露光部の樹脂層は溶解し、パターン化された樹脂層を得ることができた。この時の残膜率(現像後の膜厚/現像前の膜厚)は99.0%と非常に高い値を示した。また形成後のパターンにおいて、微細パターン剥がれは全く観察されず、現像時の密着性が優れていることが確認できた。その後160℃、60分で硬化し、架橋反応を完結させた。この硬化膜の吸水率は0.6%であった。
【0042】
次に前記のシリコンウエハーをダイシングにより小片化し、得られた半導体チップの上に該半導体チップより小さいサイズの半導体チップを乗せ、1秒加圧(0.1MPa)接着し、密着強度試験片とし、1水準当たり10個成形した。その後、自動せん断強度測定装置(DAGE社製、PC2400)を用いて、チップとチップとのせん断強度を測定した。結果は、11MPaで、良好であった。
得られた半導体チップをダイアタッチ用接着フィルム(住友ベークライト(株)製 IBF-3021)を用いて、ボンディングフィンガーとその裏面に半田ボール搭載用のランドを持つプリント配線板に搭載され、金線により半導体チップとプリント配線板を接続した。
さらに、その半導体チップの上に該半導体チップより小さいサイズの第2の半導体チップを乗せ、1秒加圧(0.1MPa)接着した。金線により第2の半導体チップとプリント配線板を接続した。このようにして半導体チップが2個積層して搭載されたプリント配線板は半導体チップ面を半導体封止樹脂(住友ベークライト(株)製 EME-7730L)により封止され、半田ボールを搭載し、BGAパッケージの半導体装置とした。
【0043】
上記の半導体装置をもちいて半田リフロー試験を行った。この半導体装置を温度及び湿度がそれぞれ85℃、85%の条件に設定された恒温恒湿槽中で72時間吸湿させた。その後、240℃/10秒のリフロー条件で半田リフローを行い、半導体装置の外部クラックの発生数を顕微鏡(倍率:15倍)で観察した。5個のサンプルについてクラックの発生を確認し0/5であった。さらに、上記半田リフロー試験後の半導体装置を実際のプリント基板に実装し、半導体装置としての動作確認を行った結果、半導体装置として正常に動作することが確認された。
チップサイズ:8mm×10mm、6mm×8mm
【0044】
《実施例2》
得られた樹脂(A-2)5g、プロピレングリコールモノエチルエーテル15g、ビスフェノールAタイプポリオール型エポキシ樹脂(YD-716、東都化成(株)製)0.8g、及びトリス(4-ヒドロキシフェニル)メタンの1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホン酸エステル0.5gを混合し、均一な感光性樹脂組成物(2)を得た。
この感光性樹脂組成物(2)を用いて実施例1と同様にシリコンウエハー上に硬化膜を作製したところ、この硬化膜の吸水率は0.5%であった。実施例1と同様に、せん断強度、半田リフロー試験、実際の動作確認を行った。せん断強度については、10MPaで、良好であった。半田リフロー試験では、5個のサンプルについてクラックの発生を確認し0/5であった。動作確認では、実際にプリント基板に実装され、半導体装置としての動作に支障のないことが確認された。
【0045】
《比較例1》
ポリイミド樹脂(住友ベークライト(株)製 CRC-6061)と接着剤(住友ベークライト(株)製 IBF-3021)をもちいた従来の構造の半導体装置での評価した。実施例1と同様に、せん断強度、半田リフロー試験、実際の動作確認を行った。せん断強度については、8.0MPaで、良好であった。半田リフロー試験では、5個のサンプルについてクラックの発生を確認し0/5であった。動作確認では、実際にプリント基板に実装され、半導体装置としての動作に支障のないことが確認された。結果は、良好であったが、接着剤や接着剤の半導体チップへの貼り付け工程が必要であり、実施例1よりも工程が多くなった。
《比較例2》
実施例1で環状オレフィン系樹脂をポリイミド樹脂(住友ベークライト(株)製 CRC-6061)に変更した半導体装置で評価した。実施例1と同様に、せん断強度、半田リフロー試験、実際の動作確認を行った。せん断強度については、密着強度が弱すぎるため測定不可能であった。半田リフロー性試験では、5個のサンプルについてクラックの発生を確認し4/5であった。動作確認では、実際にプリント基板に実装され、半導体装置として正常に動作しないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、低応力性、耐溶剤性、低吸水性、電気絶縁性、密着性等に優れたスタックド構造のMCPに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0047】
1 金線、
2 半導体チップ、
3 感光性樹脂組成物の硬化物
4 プリント配線板、
5 半田ボール、
6 ダイアタッチ用接着フィルム
7 積層した半導体チップ
8 封止樹脂
9 ポリイミド樹脂
10 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子表面保護膜用樹脂組成物であって、酸性基を有する環状オレフィン系樹脂(A)と、光酸発生剤(B)と、130℃以上の温度で(A)の酸性基と結合しうる反応基を有する化合物(C)、を含む感光性樹脂組成物の硬化物よりなる樹脂層を半導体チップの回路素子形成面上に有し、かつ該半導体チップ上に積層する別の半導体チップの裏面が該樹脂層に直接接触していることを特徴とするスタックド構造のMCP(マルチチップパッケージ)の樹脂封止型半導体装置
【請求項2】
環状オレフィン系樹脂がポリノルボルネン系樹脂である請求項1記載の樹脂封止型半導体装置。
【請求項3】
酸性基を有する環状オレフィン系樹脂(A)が式(1)で示される繰り返し単位を含むものである請求項1又は2記載の樹脂封止型半導体装置。
【化1】

[式(1)中、XはO、CH2、(CH22のいずれかであり、nは0〜5までの整数である。R1〜R4は、それぞれ水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、又はエステル基を含有する官能基、ケトン基を含有する官能基、エーテル基を含有する官能基、カルボキシル基、フェノール性水酸基、−C(OH)−(CF32、 −N(H)−S(O)2−CF3等の酸性基を含有する官能基のうちいずれであってもよい。R1〜R4は、単量体の繰り返しの中で異なっていてもよいが、全繰り返し単位のR1〜R4のうち、少なくとも一つは酸性基を有する。]
【請求項4】
酸性基を有する環状オレフィン系樹脂(A)が式(2)で示される繰り返し単位を含むも
のである請求項1〜2記載の樹脂封止型半導体装置。
【化2】

[式(2)中、YはO、CH2、(CH22のいずれか、Zは−CH2−CH2−、−CH=CH−のいずれかであり、lは0〜5までの整数である。R5〜R8は、それぞれ水素、アル
キル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、又はエステル基を含有する官能基、ケトン基を含有する官能基、エーテル基を含有する官能基、カルボキシル基、フェノール性水酸基、―C(OH)−(CF32、 −N(H)−S(O)2−CF3等の酸
性基を含有する官能基のうちいずれであってもよい。R5〜R8は単量体の繰り返しの中で異なっていてもよいが、全繰り返し単位のR5〜R8のうち、少なくとも一つは酸性基を有する。]

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−48295(P2013−48295A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−255446(P2012−255446)
【出願日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【分割の表示】特願2009−246698(P2009−246698)の分割
【原出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】