説明

樹脂成形品の成形方法および成形装置

【課題】 インモールド成形法により成形品基材表面に加飾表皮材を貼り付け一体化してなる樹脂成形品を成形するに際して、表皮材の破れや印刷層の剥離の無い良好な加飾表皮を備えた多層成形品を安定して得る。
【解決手段】 熱可塑性樹脂製のシート状ベース層に意匠面をなす印刷層を積層してなるシート状の表皮材を一対の成形金型の間にセットし、金型隙間が第1所定値となる初期型締め位置S1に可動型を位置設定させ、熱可塑性樹脂材料でなる成形品基材樹脂を表皮材の背面側から成形空間内に向かって供給した後、金型隙間が上記第1所定値よりも小さい第2所定値となる最終型締め位置まで可動型を所定の型締め速度で移動させた上で保圧し、その後、型開きすることを特徴とし、上記第1所定値が1〜50mmに設定され、上記所定の型締め速度が0.1〜50mm/秒に設定されている、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、意匠面をなす印刷層を備えたシート状の表皮材を、インモールド成形法により成形品基材表面に貼り付け一体化してなる樹脂成形品の成形方法、及びかかる成形に用いる成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば自動車の内装品や家電製品など、直接にユーザの目に触れユーザが手にする樹脂成形品において、装飾性や触感を向上させる等のために、意匠面をなす印刷層を備えたシート状の表皮材をインモールド成形法により成形品基材表面に貼り付け融着一体化してなるものが、実用に供されるようになって来ている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポリプロピレン(PP)発泡シートの表面にTPOシートを貼った積層シートを表皮材に用い、成形品基材樹脂としてはポリプロピレン(PP)樹脂を用いて、インモールド成形法により、上記表皮材を成形品基材表面に貼り付け一体化してなる樹脂成形品の成形方法が開示されている。
この特許文献1には、雄型と雌型の型締めを開始し、この型締め動作を一時停止させるか又は型締め速度を低く制限し、雄型と雌型のキャビティクリアランスを所定値とした状態で、表皮材と雄型との間に成形品基材樹脂を供給することにより、風合の優れた多層成形品を安定して製造できることが記載されている。
【0004】
一方、かかる意匠面付きの表皮材としては、例えば特許文献2に、例えばポリエステル(PET)フィルム等の熱可塑性樹脂製のシート状ベース層に、光輝インキを用いてスクリーン印刷して意匠面をなす印刷層を積層してなるシート状の表皮材が開示されている。この特許文献2に開示された光輝印刷物によれば、見た目に立体感があり、また、触感に優れた加飾用フィルム材を得ることが可能である。
【特許文献1】特開2002−11771号
【特許文献2】特許第2784566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献2に開示されたような熱可塑性樹脂製のシート状ベース層に意匠面をなす印刷層を積層してなるシート状の表皮材を用いて、インモールド成形法により成形品基材表面に加飾表皮材を貼り付け一体化してなる樹脂成形品を成形しようとした場合、表皮材の延伸量が不十分であれば表皮材に破れ等の損傷が生じ、延伸量が過多であれば印刷層の剥離が生じるなどの不具合が発生する。これらの不具合の発生を回避して、良好な加飾表皮を備えた多層成形品を安定して得ることは、実際にはなかなかに難しいという問題があった。
【0006】
そこで、この発明は、インモールド成形法により成形品基材表面に加飾表皮材を貼り付け一体化してなる樹脂成形品を成形するに際して、表皮材の破れや印刷層の剥離の無い良好な加飾表皮を備えた多層成形品を安定して得られるようにすることを、基本的な目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明方法は、意匠面をなす印刷層を備えたシート状の表皮材を、インモールド成形法により成形品基材表面に貼り付け一体化してなる樹脂成形品の成形方法であって、(イ)熱可塑性樹脂製のシート状ベース層に意匠面をなす印刷層を積層してなるシート状の表皮材を準備する表皮材準備工程と、(ロ)固定型と可動型とでなる一対の成形金型の間に上記表皮材をセットする表皮材セット工程と、(ハ)上記表皮材セット工程後に、上記両成形金型間の金型隙間が第1所定値となる初期型締め位置に、上記可動型を位置設定する初期型締め工程と、(ニ)上記初期型締め工程後に、熱可塑性樹脂材料でなる成形品基材樹脂を、上記表皮材の背面側から成形空間内に向かって供給する基材樹脂供給工程と、(ホ)上記基材樹脂供給工程後に、上記両成形型間の隙間が上記第1所定値よりも小さい第2所定値となる最終型締め位置まで、上記可動型を所定の型締め速度で移動させる最終型締め工程と、(ヘ)上記最終型締め状態で所定時間保持する保圧工程と、(ト)上記保圧工程後に、上記可動型を移動させて型開きする型開き工程と、を備え、上記初期型締め位置は上記第1所定値が1〜50mmとなる位置に設定され、上記最終型締め工程での型締め速度は0.1〜50mm/秒に設定されている、ことを特徴としたものである。
【0008】
この場合において、上記初期締め位置は、上記第1所定値が10〜40mmとなる位置に設定されていることが好ましい。
また、以上の場合において、上記最終型締め工程での型締め速度は1.5〜40mm/秒に設定されていることがより好ましい。
更に、以上の場合において、上記成形金型の温度は40〜130℃に維持されていることが更に好ましい。
【0009】
尚、本明細書では、「金型隙間」とは最終製品寸法まで両金型を型締めした状態(つまり、全閉状態)を金型隙間が0(ゼロ)とし、この状態より型開き方向へ可動金型が移動した距離を言うものとする。
【0010】
以上の場合において、上記第1所定値は、その値が大きいほど、表皮材の延伸性が高められ、表皮材としてのフィルム形状賦形性が高くなるが、第1所定値が過度に大きくなると、過延伸によりフィルム皺や印刷層の剥離が生じ易くなる。
本発明において、上記第1所定値の下限値を1mmとしたのは、この値未満では、表皮材が成形金型間に拘束され、溶融樹脂の射出時に金型キャビティに沿うように自由に移動できなくなり、表皮材に皺が生じたり、部分的に引き伸ばされて良好な成形が困難となるからである。特に、上記第1所定値を10mm以上に設定することで、より確実に、皺発生を防止し成形性を確保することができる。
一方、第1所定値の上限値を50mmとしたのは、この値を越えると、過延伸によるフィルム皺や印刷層の剥離が発生し易くなるからである。特に、上記第1所定値を40mm以下に設定することで、過延伸によるフィルム皺や印刷層の剥離の発生を、より確実に防止できる。
【0011】
また、上記最終型締め工程における型締め速度(プレス速度)は、表皮材の延伸程度と溶融樹脂の樹脂賦形性の制御に関係し、型締め速度が遅いほど、表皮材の延伸程度が大きく、その形状賦形性が高くなるが、過度に遅くなれば、過延伸により表皮材にフィルム皺や印刷層の剥離が発生し易くなり、また、充填樹脂の温度低下が大きくなって樹脂賦形性の低下を招く惧れがある。
本発明において、上記型締め速度の下限値を0.1mm/秒としたのは、この値未満では、過延伸により表皮材にフィルム皺や印刷層の剥離が発生し易くなり、また、充填樹脂の温度低下が大きくなって樹脂賦形性の低下を招くからである。特に、この下限値を1.5mm/秒に設定することで、これらの不具合発生をより確実に防止することができる。
一方、上記型締め速度の上限値を50mm/秒としたのは、この値を越えると、表皮材の延伸程度が小さく、その形状賦形性が低くなり、表皮材が破損する惧れがあるからである。特に、特に、この上限値を40mm/秒に設定することで、これらの不具合発生をより確実に防止することができる。
【0012】
更に、金型温度は、樹脂賦形性とフィルム形状賦形性に関係し、金型温度が高くなるほど、両賦形性は向上するが、過度に高くなると、表皮材の過延伸や成形品の形状不良が生じ、また、成形サイクルが長くなり生産効率の低下を招く。
本発明において、上記金型温度の下限値を40℃としたのは、この値未満では、十分な樹脂賦形性やフィルム形状賦形性が得られないからである。一方、金型温度の上限値を130℃としたのは、この値を越えると、表皮材の過延伸により印刷層の剥離が生じたり、基材樹脂の固化不足により成形品の形状不良(反り等の変形)が生じる惧れがあり、また、成形サイクルが過度に長くなるからである。
【0013】
また、本発明に係る成形装置は、意匠面をなす印刷層を備えたシート状の表皮材を、インモールド成形法により成形品基材表面に貼り付け一体化してなる樹脂成形品を成形する成形装置であって、固定型と可動型とでなる一対の成形金型と、熱可塑性樹脂材料でなる成形品基材樹脂を上記表皮材の背面側から成形空間内に向かって供給する基材樹脂供給機構と、上記可動型を上記固定型に対して開閉駆動する型締め機構とを備え、該型締め機構には、上記可動型の型締め位置を多段階に設定し得る型締め位置設定部と、上記可動型の型締め速度を上記型締め位置に応じて可変設定し得る型締め速度設定部とを有し、これら2つの設定部の設定値に基づいて、金型開閉期間中の型締め位置および型締め速度を制御する型締め制御部が設けられている、ことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明方法によれば、基材樹脂供給工程で、初期型締め状態で、熱可塑性樹脂材料でなる成形品基材樹脂を表皮材の背面側から成形空間内へ向かって供給するので、この基材樹脂の保有熱が表皮材に伝達されることにより、表皮材の延伸性を高めてその伸びを促進することができる。これにより、インモールド成形法で成形品基材表面に加飾表皮材を貼り付け一体化してなる樹脂成形品を成形するに際して、表皮材の破れや印刷層の剥離の無い良好な加飾表皮を備えた多層成形品を安定して得ることができる。
【0015】
特に、初期型締め位置を上記第1所定値が1〜50mmとなる位置に設定したことにより、表皮材が成形金型間に拘束されることに起因して自由な移動が阻害され、表皮材に皺が生じたり部分的に引き伸ばされて良好な成形が困難となることを防止すると共に、過延伸によるフィルム皺や印刷層の剥離の発生を防止することができる。
更に、より好ましくは、初期型締め位置を上記第1所定値が10〜40mmとなる位置に設定することで、より確実に上記の不具合発生を防止することができる。
【0016】
また、特に、上記最終型締め工程での型締め速度を0.1〜50mm/秒に設定したことにより、過延伸により表皮材にフィルム皺や印刷層の剥離が生じることを防止し、且つ、充填樹脂の温度低下が大きくなって樹脂賦形性の低下を招くことを防止すると共に、表皮材の延伸程度が小さくて形状賦形性が低くなることに起因して表皮材が破損することを防止できる。
更に、より好ましくは、最終型締め工程での型締め速度を1.5〜40mm/秒に設定することで、より確実に上記の不具合発生を防止することができる。
【0017】
また更に、以上の場合において、金型温度を40〜130℃に維持することにより、十分な樹脂賦形性やフィルム形状賦形性を確保した上で、表皮材の過延伸により印刷層の剥離が生じたり、基材樹脂の固化不足により成形品の形状不良(反り等の変形)が生じることを防止し、また、成形サイクルが過度に長くなることを回避できる。
【0018】
また、本発明に係る成形装置によれば、型締め位置設定部により可動型の型締め位置を多段階に設定することができ、また、型締め速度設定部により可動型の型締め速度を型締め位置に応じて可変設定することができる。そして、型締め制御部により、これら2つの設定部の設定値に基づいて、金型開閉期間中の型締め位置および型締め速度を制御することができるので、製品形状や成形条件等に応じて、型締め位置および型締め速度をよりきめ細かく制御することができる。これにより、インモールド成形法で成形品基材表面に加飾表皮材を貼り付け一体化してなる樹脂成形品を成形するに際して、表皮材の破れや印刷層の剥離の無い良好な加飾表皮を備えた多層成形品を安定して得られるように、型締め位置および型締め速度を制御することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る成形方法を実施するための射出成形装置について説明する。かかる射出成形装置としては、例えば特許文献1に開示されたものを好適に用いることができる。
図1は、本実施形態に係る成形方法を実施するための射出成形装置の全体構成を概略的に示す説明図である。この図に示すように、上記射出成形装置100は、例えば横型締めタイプとされた射出機30、型締装置20、金型装置10、制御装置60とで構成されている。金型装置10は、固定盤1に取り付けられた固定金型3と可動盤2に取り付けられた可動金型4とからなり、可動盤2および可動金型4は型締装置20の型締シリンダ22で前後進できるように構成されている。型締装置20は、金型装置10の金型の型開、型閉を作動する型締シリンダ22を備えており、可動金型4が固定金型3に対して図示しないタイバーに案内されて前後進する。
【0020】
射出機30は、射出ユニット40と射出シリンダ41および油圧モータ42とで構成されている。一方、制御装置60は、例えばマイクロコンピュータを主要部として構成され、成形材料樹脂の可塑化と溶融樹脂の金型キャビティ内への射出を制御する射出制御部61、金型の開閉や型締力を制御する型締制御部62およびタイマ66等を備えている。
上記型締制御部62は、具体的には図示しなかったが、可動金型4の型締め位置を必要に応じて多段階に設定し得る型締め位置設定部と、可動金型4の型締め速度(型締めプレス速度)を必要により型締め位置に応じて可変させるように設定し得る型締め速度設定部とを備えており、これら2つの設定部の設定値に基づいて、金型開閉期間中(つまり、型締開始から最終型締を経て型開き完了に至るまでの期間中)の型締め位置および型締め速度が制御されるようになっている。上記型締め速度設定部は、型締め速度を型締め位置に応じて多段階に変化するように設定することができ、また、連続的に変化するように設定することもできる。
【0021】
尚、このような型締め位置および型締め速度の設定は、例えば、成形ワークや成形条件等に応じてマニュアルで設定することができる。或いは、型締制御部62若しくは制御装置60に内蔵または外付けされたメモリ装置に、成形ワークや成形条件等に対応した種々の設定パターンを記憶させておき、成形ロット毎に対応する設定パターンを読み出して自動的に設定を行わせるようにすることもできる。
【0022】
本実施形態では、上記射出成形装置として、例えば、電動ダイプレスト成形機UBE−MD350DP(宇部興産機械(株)製)を用いた。尚、本実施形態では、直圧式の型締装置を有する射出成形装置100を用いたが、他の形式の型締装置を備えたものを使用してもよい。また、上記射出成形装置100は横締めタイプとされていたが、竪型締めタイプのものを使用しても良い。
【0023】
次に、本発明の射出成形装置100を使用して、意匠面をなす印刷層を備えたシート状の表皮材をインモールド成形法により成形品基材表面に貼り付け融着一体化してなる樹脂成形品の成形方法について説明する。
本発明の成形方法は、下記の工程を備えている。
(イ)熱可塑性樹脂製のシート状ベース層に意匠面をなす印刷層を積層してなるシート状の表皮材を準備する表皮材準備工程。
(ロ)固定金型3と可動金型4とでなる一対の成形型の間に上記表皮材をセットする表皮材セット工程。
(ハ)上記表皮材セット工程後に、上記両成形型間の隙間が第1所定値となる初期型締め位置に、上記可動金型4を位置設定する初期型締め工程。
(ニ)上記初期型締め工程後に、熱可塑性樹脂材料でなる成形品基材樹脂を、上記表皮材の背面側から成形空間内へ向かって供給する基材樹脂供給工程。
(ホ)上記基材樹脂供給工程後に、上記両成形型間の隙間が上記第1所定値よりも小さい第2所定値となる最終型締め位置まで、上記可動型を所定の型締め速度で移動させる最終型締め工程。
(ヘ)上記最終型締め状態で所定時間保持する保圧工程。
(ト)上記保圧工程後に、上記可動型を移動させて型開きする型開き工程
(チ)上記型開き工程後に、成形品を取り出す成形品取り出し工程。
(リ)上記成形品取り出し工程後に、成形品をトリミングするトリミング工程。
【0024】
以上の工程を備えた成形方法によれば、基材樹脂供給工程で、初期型締め状態で、熱可塑性樹脂材料でなる成形品基材樹脂を表皮材の背面側から成形空間内へ向かって供給するので、この基材樹脂の保有熱が表皮材に伝達されることにより、表皮材の延伸性を高めてその伸びを促進することができる。これにより、インモールド成形法で成形品基材表面に加飾表皮材を貼り付け一体化してなる樹脂成形品を成形するに際して、表皮材の破れや印刷層の剥離の無い良好な加飾表皮を備えた多層成形品を安定して得ることができるのである。
【0025】
以下、上記各工程の詳細について、図2〜図4の説明図および図5の線図を参照しながら説明する。
図2は本発明の成形方法の概略を模式的に示す説明図、図3は本発明の成形方法で得られた成形品の断面構造を模式的に示す断面説明図、図4は本発明の成形方法の一部の工程を模式的に示す断面説明図である。また、図5は型締め動作を説明するための線図であり、横軸が時間を表わし、縦軸は可動金型の表皮材との接触ポイントを基準とした位置を示している。
【0026】
工程(イ)の表皮材準備工程では、成形品の表面に貼り付け一体化されるべき表皮材として、例えば特許文献2に開示されたような光輝印刷物(加飾シート)が用意される。
熱可塑性樹脂製のベース層としては、例えば2軸延伸PETフィルム(厚さ:約100μm)の硬質透明のフィルム材を用い、これに例えば塩化ビニル樹脂製(厚さ:約25μm)の印刷層を積層した表皮材を用意し、これを適当なサイズに設定して準備した。上記印刷層には、例えば特許文献2に開示されたような特定の配合条件により調合した光反射性アルミニウム微粉末を含有した光輝インクを用いてスクリーン印刷したものを用いた。
【0027】
上記ベース層の樹脂材料としては、上述のPET樹脂以外に、PMMA樹脂,PC樹脂,PYC樹脂など、他の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、成形品基材表面との接着性を得るために、例えばポリプロピレン樹脂,ポリエステル樹脂あるいはフェノール樹脂の薄膜でなる接着層を設けても良く、或いは、所謂ホットメルト加工や成形品基材と同種の樹脂材料を用いてラミネート加工を施しても良い。
【0028】
工程(ロ)の表皮材セット工程では、図2(a)に示すように、金型3,4を開いた状態で、上記表皮材5が金型3,4間に挿入・配設される。このとき、印刷層が可動金型4側に対面するようにセットされる。このとき、可動金型4は、図5における初期位置S0に位置している。尚、挿入された表皮材5は、好ましくは、針刺し固定法により固定される。或いは、表皮材5は、可動金型4に設置した表皮材固定枠(不図示)で挟持することもできる。
【0029】
工程(ハ)の初期型締め工程では、図2(b)に示すように、可動金型4を駆動して型締めが行われるが、金型3,4を全閉させるのではなく、両金型3,4間の金型隙間(つまり、全閉状態からの開き量)が第1所定値となる型締位置まで、可動金型4が駆動される。その状態で型締め動作は停止される。この初期型締め工程により、可動金型4は、図5における初期型締め位置S1まで移動する。本実施形態では、初期型締め位置S1は、好ましくは、表皮材5に可動金型4が接触する位置S2よりも若干型開き方向の位置に設定されている。
前述のように、「金型隙間」とは最終製品寸法まで両金型を型締めした状態(つまり、全閉状態)を金型隙間が0(ゼロ)とし、この状態より型開き方向へ可動金型4が移動した距離(間隔)を言い、上記第1所定値は、1〜50mmに設定するのが好ましく、10〜40mmが更に好ましい。
【0030】
上記第1所定値が大きいほど、表皮材5の延伸性が高められ、表皮材としてのフィルム形状賦形性が高くなるが、第1所定値が過度に大きくなると、過延伸によりフィルム皺や印刷層の剥離が生じ易くなる。
上記第1所定値の下限値を1mmとしたのは、この値未満では、表皮材5が固定金型3と可動金型4に拘束され、成形品基材樹脂6の射出時に金型キャビティに沿うように自由に移動できなくなり、表皮材5に皺が生じたり、部分的に引き伸ばされて良好な成形が困難となるからである。特に、上記第1所定値を10mm以上に設定することで、より確実に、皺発生を防止し成形性を確保することができる。
一方、第1所定値の上限値を50mmとしたのは、この値を越えると、過延伸によるフィルム皺や印刷層の剥離が発生し易くなるからである。特に、上記第1所定値を40mm以下に設定することで、過延伸によるフィルム皺や印刷層の剥離の発生を、より確実に防止できる。
【0031】
工程(ニ)の基材樹脂供給工程では、上記初期型締め工程後に、図2(c)に示すように、射出機30の射出ノズル30nから固定金型3の樹脂通路3nを通って(つまり、表皮材5の背面側から)、射出機30により計量された所定量の熱可塑性樹脂材料でなる成形品基材樹脂6が、溶融状態で成形空間内へ向かって射出供給される。このとき、成形品基材樹脂6は、固定金型3と表皮材5とで形成された空間部に射出充填されることになる。この射出のタイミングは、可動金型4が初期型締め位置S1に到達した時点(つまり、図5における初期型締め完了時T1)で起動するタイマに基づいており、このタイマからのタイムアウト信号により射出が行われる。
尚、初期型締め位置は、この基材樹脂供給中において必ずしも固定しておく必要はない。特に、初期型締め工程における第1所定値が比較的大きい場合には、射出充填された成形品基材樹脂6のドローダウンが生じ易くなるので、必要に応じて初期型締め位置を前述の範囲内で調節するようにしても良い。
【0032】
この基材樹脂供給工程では、成形品基材樹脂6の温度としては、基材樹脂6がPP樹脂の場合には、180〜220℃が好ましく、210〜220℃がより好ましい。また、ABS樹脂の場合には、250〜280℃が好ましく、240〜260℃がより好ましい。更に、射出充填時間としては、0.5〜4秒間が好ましい。
【0033】
上記成形品基材樹脂6の温度は、樹脂賦形性と表皮材の加熱軟化による形状賦形性および表皮材の損傷発生の有無に関係し、樹脂温度が高いほど、樹脂賦形性と表皮材の形状賦形性ならびに延伸性が向上するが、過度に高くなると、表皮材の過延伸によりフィルム皺や印刷層の剥離が生じ易くなる。
【0034】
一方、成形品基材樹脂6の射出充填時間は、表皮材の加熱軟化程度の制御(形状賦形性の制御)と、後工程でのプレス動作による樹脂の流動賦形性、及び表皮材の損傷(特にゲート部での損傷)に関係し、充填時間が短いほど、樹脂温度の低下が小さくて済み、樹脂賦形性および表皮材の形状賦形性が向上するが、過度に短い場合には、表皮材に損傷が発生する惧れがある。尚、この充填時間は、実際には、製品形状やゲート数などによっても異なり、それぞれの場合に応じて好適に定められる。
【0035】
また、金型温度としては、40〜130℃が好ましい。金型温度は、樹脂賦形性とフィルム形状賦形性に関係し、金型温度が高くなるほど、両賦形性は向上するが、過度に高くなると、表皮材の過延伸や成形品の形状不良が生じ、また、成形サイクルが長くなり生産効率の低下を招く。
本実施形態において、金型温度の下限値を40℃としたのは、この値未満では、十分な樹脂賦形性やフィルム形状賦形性が得られないからである。一方、金型温度の上限値を130℃としたのは、この値を越えると、表皮材の過延伸により印刷層の剥離が生じたり、基材樹脂の固化不足により成形品の形状不良(反り等の変形)が生じる惧れがあり、また、成形サイクルが過度に長くなるからである。特に、金型温度を熱可塑性樹脂製のシート状ベース層のガラス転移温度以上に維持するのが、上記効果をより確実に得る上で好ましい。
【0036】
上記の基材樹脂供給工程では、例えば図4に模式的に示すように、固定金型3の外周面3gと可動金型4の内周面4gとの間に表皮材5が挟み込まれることにより、固定金型3と表皮材5とで形成された空間部が密閉されるので、成形品基材樹脂6がこの空間部から外部へ漏れ出ることはない。
初期型締め状態において金型隙間が適正に維持されていれば、成形品基材樹脂6の射出初期に形成する所謂ブリッジ効果により、成形品基材樹脂6の垂下がり(ドローダウン)が防止される。このブリッジ効果とは以下のようなものである。即ち、固定金型3側から射出された成形品基材樹脂6が表皮材5に到達して、射出圧力で表皮材5を可動金型4側に押し当てることにより、突っ張り作用によって成形品基材樹脂6のドローダウンを防止するものである。
【0037】
工程(ホ)の最終型締め工程は、射出充填中の任意の時点から射出充填完了直後の所定タイミング(図5における最終型締め開始時T2)で開始される。この型締め開始のタイミングは、射出充填が開始された時点で起動するタイマに基づいており、このタイマからのタイムアウト信号により最終型締めが開始される。この最終型締め工程の開始は、射出充填の完了後に限定されるものではなく、必要に応じて、射出充填中に最終型締めが開始されるようにしても良い。
この最終型締め工程では、金型隙間が上記第1所定値よりも小さい第2所定値(つまり、実質的に0)となる最終型締め位置S3(図5参照)まで、可動金型4が所定の型締め速度で移動させられる。この型締め速度(プレス速度)としては、0.1〜50mm/秒が好ましく、1.5〜40mm/秒がより好ましい。
【0038】
この型締め速度(プレス速度)は、表皮材の延伸程度と成形品基材樹脂6の樹脂賦形性の制御に関係し、型締め速度が遅いほど、表皮材の延伸程度が大きく、その形状賦形性が高くなるが、過度に遅くなれば、過延伸により表皮材にフィルム皺や印刷層の剥離が発生し易くなり、また、充填樹脂の温度低下が大きくなって樹脂賦形性の低下を招く惧れがある。
本実施形態において、上記型締め速度の下限値を0.1mm/秒としたのは、この値未満では、過延伸により表皮材にフィルム皺や印刷層の剥離が発生し易くなり、また、充填樹脂の温度低下が大きくなって樹脂賦形性の低下を招くからである。特に、この下限値を1.5mm/秒に設定することで、これらの不具合発生をより確実に防止することができる。
一方、上記型締め速度の上限値を50mm/秒としたのは、この値を越えると、表皮材の延伸程度が小さく、その形状賦形性が低くなり、表皮材が破損する惧れがあるからである。特に、特に、この上限値を40mm/秒に設定することで、これらの不具合発生をより確実に防止することができる。
【0039】
工程(ヘ)の保圧工程は、上記最終型締め状態で所定時間保持することで賦形を完了する工程で、可動金型4が最終型締め位置S3に達した時点T3から、所定時間(T4−T3)この型締め圧力が保持される。上記最終型締め工程及びこの保圧工程により、成形圧力が加えられると共に成形品基材樹脂6が冷却されて凝固する。そして、両金型間の成形空間の形状に応じた形状を有し、第3図に模式的に示すように、成形品基材樹脂6の表面に表皮材5が一体化してなる成形品Wが得られる。
【0040】
上記保圧工程終了(図5おける時間T4参照)後に、可動金型4を移動させて型開き工程(ト)が行われ、次いで、最終製品Wが取り出される(成形品取り出し工程(チ))。その後、成形品Wのダ肉6n等を切断除去するトリミングが行われる(トリミング工程(リ))。
以上により、1成形サイクルが完了する。
【0041】
図1に示す射出成形装置により、次のような材料を用い、以下の条件を設定して成形試験を行った。
(1)表皮材
・ベース層:PET樹脂製の硬質透明フィルム(厚さ:約100μm)
・印刷層:塩化ビニル樹脂製(厚さ:約25μm)で、特定の配合条件により調合した光反射性アルミニウム微粉末を含有した光輝インクを使用。
(2)成形品基材樹脂:PP樹脂
(3)金型温度:40〜130℃
(4)樹脂温度:180〜220℃
(5)射出充填時間:0.5〜4秒
(6)初期型締め位置(第1所定値):1〜50mm
(7)最終型締め工程での型締め速度(プレス速度):0.1〜50mm/秒
【0042】
その結果、基材樹脂供給工程で、初期型締め状態で成形品基材樹脂を表皮材の背面側から成形空間内へ向かって供給するので、この基材樹脂の保有熱が表皮材に伝達されることにより、表皮材の延伸性を高めてその伸びを促進することができ、これにより、インモールド成形法で成形品基材表面に加飾表皮材を貼り付け一体化してなる樹脂成形品を成形するに際して、表皮材の破れや印刷層の剥離の無い良好な加飾表皮を備えた多層成形品を安定して得ることができた。
【0043】
以上の実施形態では、初期型締め工程および最終型締め工程はそれぞれ一定の型締め速度で型締めが行われていたが、各型締め工程において、型締め速度を多段階で制御するようにしても良い。
図6は上記実施形態の第1変形例に係る成形方法での型締め動作を説明するための線図であるが、この図に示すように、例えば、最終型締め工程における型締め速度について、最終型締め開始(時間T2:型締め位置S1)から所定の型締め位置S3’に至る(時間T3’)までの型締め速度と、この型締め位置S3’で所定時間保持した後(時間T3”)、最終型締め位置S3に至る(時間T3)までの型締め速度とを、異ならせても良い。
【0044】
この変形例では、初期型締め工程での金型隙間の設定値としては、1〜50mmの範囲が好ましく、5〜25mmの範囲がより好ましい。また、最終型締め工程の型締め速度としては、0.1〜50mm/秒の範囲が好ましく、1.5〜40mm/秒の範囲がより好ましい。
【0045】
尚、この変形例では、最終型締め工程が2段に分けて行われるのであるが、時間T3’から時間T3”までの保持期間(型締め位置S3’)の前後で、型締め速度を同じ値に設定することも可能である。このような、型締位置および型締プレス速度の制御は、前述の型締制御部62に備えられた、型締め位置設定部と型締め速度設定部での各設定値に基づいて行われる。
【0046】
また、特に、凹凸が比較的激しい製品形状の場合には、各型締め工程での型締め速度をよりきめ細かく制御することが有効である。
図7は、上記実施形態の第2変形例に係る成形方法での型締め動作を説明するための線図である。この図に示すように、この第2変形例では、工程(ロ)の表皮材セット工程では、可動金型4は、図7における初期位置S10に位置しており、この位置S10から工程(ハ)の初期型締め工程が開始されるが、この初期型締めは、第1型締め位置S13と第2型締め位置S12の2段に分けて行われる。
【0047】
すなわち、初期型締め工程が開始されると、金型位置S11(時間T11)までは、第1型締め速度で型締めが行われ、この金型位置S11から第1型締め位置S13に至る(時間T12)までは、上記第1型締め速度よりも小さい第2型締め速度で型締めが行われ、この第1型締め位置S13で所定時間(時間T12から時間T13までの間)だけ保持される。これにより、表皮材の1次プリフォームが行われる。この場合についても、初期型締めは、金型3,4を全閉させるのではなく、両金型3,4間の金型隙間(つまり、全閉状態からの開き量)が所定値となる型締位置S13まで、可動金型4が駆動される。上記第1型締め位置S13での金型隙間の所定値は、製品形状の凹凸高さに対応する値以下に設定されるのが好ましく、また、この位置での保持時間としては、0.1〜30秒程度が好ましく、1〜10秒程度がより好ましい。
尚、初期型締めにおける第1型締め位置S13は、好ましくは、表皮材5に可動金型4が接触する位置S2よりも若干型開き方向の位置に設定されている。
【0048】
上記第1型締め位置S13での保持時間が経過した後(時間T13)、可動金型4は第1型締め位置S13よりも若干開き方向に位置する第2型締め位置S12まで戻される(時間T14)。そして、この第2型締め位置S12で所定時間(時間T14から時間T15までの間)だけ保持される。これにより、初期型締め工程が完了する。このように、第1型締め位置S13よりも若干開き方向に位置する第2型締め位置S12まで戻して初期型締めを行うことにより、基材樹脂熱により表皮材の絵柄層が損傷を受けることを効果的に防止することが可能である。この第2型締め位置S12での金型隙間の所定値は、1〜50mmの範囲が好ましく、5〜25mmの範囲がより好ましい。
【0049】
上記初期型締め工程における第1型締め位置の設定は、金型の熱量を利用して表皮材を軟化させながら製品形状にプリフォームさせる1次プリフォームを行うためであり、金型温度は40〜130℃の範囲に維持されるのが好ましく、上記実施形態における場合と同様に、熱可塑性樹脂製のシート状ベース層のガラス転移温度以上に維持するのが更に好ましい。また、型締め速度としては、0.1〜50mm/秒の範囲が好ましく、1〜20mm/秒の範囲がより好ましい。
【0050】
上記第2型締め位置S12での保持時間が経過した後(時間T15)、工程(ホ)の最終型締め工程が開始される。この最終型締め開始のタイミングは、図5に関して説明した場合と同様に、射出充填が開始された時点で起動するタイマに基づいて定めることができる。この最終型締め工程においても、図6で示した第1変形例の場合と同様に2段に分けて型締めが行われる。
【0051】
すなわち、第3型締め位置S15と第4型締め位置S16の2段の型締め位置が設定され、最終型締め工程開始(時間T15)から第3型締め位置S15に至る(時間T16)までは第3型締め速度で型締めを行い、所定時間(時間T16から時間T17までの間)だけ保持する。その後、第4型締め位置S16に至る(時間T18)まで第4型締め速度で型締めを行い、所定期間の保圧工程が終了すると(時間T19)、可動金型4を移動させて型開き工程が行われる。
【0052】
この最終型締め工程では、基本的に、第3型締め位置S15まで可動金型4が移動する期間中に、基材樹脂熱を利用して表皮材を軟化させながら、表皮材をプリフォームしつつ充填樹脂と共に賦形させる(表皮材2次プリフォーム)。特に、硬質の表皮材は割れが生じ易いので、このようなプリフォームを行わせることが有効である。
この場合の型締め速度(プレス速度)としては、0.1〜50mm/秒が好ましく、5〜40mm/秒がより好ましい。
【0053】
以上のように、本実施形態の変形例によれば、可動金型4の型締め位置を多段階に設定し、また、可動金型4の型締め速度を型締め位置に応じて可変設定して、金型開閉期間中の型締め位置および型締め速度を制御することにより、製品形状や成形条件等に応じて、型締め位置および型締め速度をよりきめ細かく制御することができる。これにより、インモールド成形法で成形品基材表面に加飾表皮材を貼り付け一体化してなる樹脂成形品を成形するに際して、表皮材の破れや印刷層の剥離の無い良好な加飾表皮を備えた多層成形品をより安定して得ることが可能になる。
【0054】
尚、本発明は、以上の実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更や改良を加え得るものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る成形方法を実施するための射出成形装置の全体構成を概略的に示す説明図である。
【図2】上記成形方法の概略を模式的に示す説明図である。
【図3】上記成形方法で得られた成形品の断面構造を模式的に示す断面説明図である。
【図4】上記成形方法の一部の工程を模式的に示す断面説明図である。
【図5】上記成形方法での型締め動作を説明するための線図である。
【図6】上記実施形態の第1変形例に係る成形方法での型締め動作を説明するための線図である。
【図7】上記実施形態の第2変形例に係る成形方法での型締め動作を説明するための線図である。
【符号の説明】
【0056】
3 固定金型
4 可動金型
5 表皮材
6 成形品基材樹脂
20 型締装置
30 射出機
60 制御装置
61 射出制御部
62 型締制御部
66 タイマ
100 射出成形装置
W 成形品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
意匠面をなす印刷層を備えたシート状の表皮材を、インモールド成形法により成形品基材表面に貼り付け一体化してなる樹脂成形品の成形方法であって、
熱可塑性樹脂製のシート状ベース層に意匠面をなす印刷層を積層してなるシート状の表皮材を準備する表皮材準備工程と、
固定型と可動型とでなる一対の成形金型の間に上記表皮材をセットする表皮材セット工程と、
上記表皮材セット工程後に、上記両成形金型間の金型隙間が第1所定値となる初期型締め位置に、上記可動型を位置設定する初期型締め工程と、
上記初期型締め工程後に、熱可塑性樹脂材料でなる成形品基材樹脂を、上記表皮材の背面側から成形空間内に向かって供給する基材樹脂供給工程と、
上記基材樹脂供給工程後に、上記両成形型間の隙間が上記第1所定値よりも小さい第2所定値となる最終型締め位置まで、上記可動型を所定の型締め速度で移動させる最終型締め工程と、
上記最終型締め状態で所定時間保持する保圧工程と、
上記保圧工程後に、上記可動型を移動させて型開きする型開き工程と、を備え、
上記初期型締め位置は上記第1所定値が1〜50mmとなる位置に設定され、上記最終型締め工程での型締め速度は0.1〜50mm/秒に設定されている、
ことを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
【請求項2】
上記初期締め位置は、上記第1所定値が10〜40mmとなる位置に設定されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂成形品の成形方法。
【請求項3】
上記最終型締め工程での型締め速度は1.5〜40mm/秒に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂成形品の成形方法。
【請求項4】
上記成形金型の温度は40〜130℃に維持されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の樹脂成形品の成形方法。
【請求項5】
意匠面をなす印刷層を備えたシート状の表皮材を、インモールド成形法により成形品基材表面に貼り付け一体化してなる樹脂成形品を成形する成形装置であって、
固定型と可動型とでなる一対の成形金型と、
熱可塑性樹脂材料でなる成形品基材樹脂を上記表皮材の背面側から成形空間内に向かって供給する基材樹脂供給機構と、
上記可動型を上記固定型に対して開閉駆動する型締め機構と、を備え、
該型締め機構には、上記可動型の型締め位置を多段階に設定し得る型締め位置設定部と、上記可動型の型締め速度を上記型締め位置に応じて可変設定し得る型締め速度設定部とを有し、これら2つの設定部の設定値に基づいて、金型開閉期間中の型締め位置および型締め速度を制御する型締め制御部が設けられている、
ことを特徴とする成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−1138(P2006−1138A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179959(P2004−179959)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(300041192)宇部興産機械株式会社 (268)
【出願人】(000114813)ヤマックス株式会社 (8)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】