説明

樹脂板の梱包方法および梱包物

【課題】保管時や輸送時における樹脂板の吸湿を防止することができる樹脂板の梱包方法およびその梱包方法により梱包された梱包物を提供すること。
【解決手段】下側の防湿シート4上に、最下段の樹脂板5から順に1枚ずつ樹脂板5を複数枚積層して積層品6を形成し、次いで、最上段の樹脂板5の主面全体を覆うように上側の防湿シート7を載置する。その後、積層品6および防湿シート4,7の荷崩れを防止するために、防湿シート4の下に敷いていたストレッチフィルム3を、積層品6の側面61および防湿シート4,7の全体に巻き付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性のある樹脂板の梱包方法およびその方法により梱包された梱包物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトには、線状光源や点状光源が主に用いられている。これらの光源が発射する光を画面全体に均一に広げるために、光拡散板や導光板と呼ばれる樹脂板が用いられている。例えば、エッジライト方式のバックライトには、光源が発射する光を端面から取り入れ、均一に面発光させる導光板が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、吸水性のある樹脂板は、保管時や輸送時などに周囲の湿気(水分)を吸収するので、吸湿に起因して樹脂板に反りやうねりが発生する場合がある。樹脂板が小画面の装置に用いられる場合には、反りやうねりが生じてもそれほど問題ではないが、液晶表示装置の大型化が進む近年では、樹脂板の反りやうねりが画面の表示特性に悪影響を及ぼす問題がある。
【0004】
樹脂板の吸湿の防止を目的とした技術ではないが、例えば、ロール状に巻かれた吸湿性の感光性積層フィルムの表面を、アルミニウムでラミネートされた乾燥剤フィルムで覆う包装方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−342263号公報
【特許文献2】特開2002−347714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ロール状の吸湿性フィルムの包装方法は、いずれの用途にも適しているのではなく、樹脂板の吸湿を防止するための手法は未だ確立されていない。そのため、保管時や輸送時における樹脂板の吸湿防止の実現が望まれている。
本発明の目的は、保管時や輸送時における樹脂板の吸湿を防止することができる樹脂板の梱包方法およびその梱包方法により梱包された梱包物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の樹脂板の梱包方法は、複数枚積層された樹脂板からなる被梱包物に対して、その最上段および/または最下段の前記樹脂板の主面全体を覆うように防湿シートを設置するシート設置ステップと、積層された前記樹脂板を荷崩れ防止具で固定することにより、前記被梱包物を梱包する梱包ステップとを含むことを特徴としている。
【0008】
この方法によれば、最上段および/または最下段の主面全体が防湿シートで覆われるので、被梱包物の保管時や運搬時に被梱包物(樹脂板)が湿気のある環境下に置かれても、水分が被梱包物(樹脂板の積層品)に到達する前に防湿シートで吸収することができる。そのため、吸湿による樹脂板の伸びを抑制できるので、伸びに起因する反りやうねりの発生を抑制することができる。また、複数枚の樹脂板が互いに接して積層され、それらが荷崩れ防止具で固定されている場合、最上段および/または最下段の樹脂板が吸湿により伸びると、それらに接する樹脂板との間に摩擦が生じて傷が発生する場合があるが、本発明ではそのような傷の発生を防止することもできる。
【0009】
なお、前記シート設置ステップは、梱包ステップの前後どちらで実行してもよい。すなわち、被梱包物における最上段および/または最下段の樹脂板の主面全体に接するように防湿シートを設置した後、その被梱包物および防湿シートをまとめて荷崩れ防止具で固定してもよい。また、被梱包物を荷崩れ防止具で固定した後、防湿シートを設置してもよい。
【0010】
また、前記シート設置ステップでは、前記防湿シートを、さらに前記被梱包物の側面を覆うように設置することが好適である。
被梱包物の側面は、個々の樹脂板の端面が集合した面であり、樹脂板1枚あたりの露出面積(端面の面積)が小さい。そのため、多少水分に晒されても、その上面(最上段の樹脂板の主面)や下面(最下段の樹脂板の主面)が水分に晒される場合に比べて、樹脂板1枚あたりが受ける影響は小さい。しかし、この方法のように、被梱包物の側面も防湿シートで覆っておけば、樹脂板の吸湿を確実に防止することができる。
【0011】
また、本発明の樹脂板の梱包方法では、樹脂板はメタクリル樹脂板であってもよく、樹脂板の吸水率は0.2〜2.0%であってもよい。樹脂板の吸水率がこの範囲である場合には、樹脂板が水分を吸収しやすいので、本発明を適用した場合の効果が大きい。
また、本発明の樹脂板の梱包方法では、被梱包物を構成する樹脂板1枚の厚さは1mm〜8mmであってもよく、樹脂板1枚の平面サイズは800mm×800mm〜1400mm×1400mmであってもよい。樹脂板1枚の平面サイズがこの範囲である場合には、吸湿による樹脂板の反りの影響が大きいので、本発明を適用した場合の効果が大きい。さらに、樹脂板の積層方向における被梱包物の厚さ(複数枚の樹脂板の厚さの合計)は、2mm〜1000mmであってもよい。
【0012】
また、本発明の梱包物によれば、上記樹脂板の梱包方法により梱包されるので、反りやうねりの少ない高品質な樹脂板を提供することができる。
また、本発明の梱包物では、樹脂板を立てた状態で上下方向および左右方向に1本ずつ糸を張り、各糸の中央と樹脂板との隙間の大きさで表される樹脂板の反りの最大値が、25℃±5℃、60%±20%RHの環境下で1ヶ月半保管した後の最上段の前記樹脂板に関して5mm以下であることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の樹脂板の梱包方法によれば、被梱包物の保管時や運搬時に被梱包物(樹脂板)が湿気のある環境下に置かれても、水分が被梱包物(樹脂板の積層品)に到達する前に、防湿シートで吸収することができる。そのため、吸湿による樹脂板の伸びを抑制できるので、伸びに起因する反りやうねりの発生を抑制することができる。
また、本発明の梱包物によれば、上記樹脂板の梱包方法により梱包されるので、反りやうねりの少ない高品質な樹脂板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】図1Aは、本発明の一実施形態に係る梱包方法を説明するための図である。
【図1B】図1Bは、図1Aの次の作業を説明するための図である。
【図1C】図1Cは、図1Bの次の作業を説明するための図である。
【図1D】図1Dは、図1Cの次の作業を説明するための図である。
【図1E】図1Eは、図1Dの次の作業を説明するための図である。
【図1F】図1Fは、図1Eの次の作業を説明するための図である。
【図1G】図1Gは、図1Fの次の作業を説明するための図である。
【図1H】図1Hは、図1Gの次の作業を説明するための図である。
【図2】図2(a)(b)は、樹脂板の反り測定の方法を説明するための図であって、図2(a)は樹脂板の正面図、図2(b)は樹脂板の左側面図をそれぞれ示す。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る梱包方法の第1の変形例を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る梱包方法の第2の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1A〜図1Hは、本発明の一実施形態に係る梱包方法を作業順に説明するための図である。
この梱包方法では、まず、図1Aに示すように、矩形状のパレット1上に、衝撃緩衝のための矩形状の段ボール2を1枚、その四隅とパレット1の四隅とが揃うように敷く。パレット1は、樹脂製、木製など各種パレットを適用できる。また、段ボール2の平面サイズは、特に制限されないが、好ましくは、パレット1と同じ平面サイズのものを用いる。
【0016】
次いで、図1Bに示すように、段ボール2上に、荷崩れ防止具としてのストレッチフィルム3(例えば、ポリエチレンフィルム)を1枚敷く。
次いで、図1Cに示すように、ストレッチフィルム3上に、矩形状の防湿シート4(下側の防湿シート4)を1枚敷く。防湿シート4としては、どのような周囲環境(温度・湿度)にも対応できることを考慮して、好ましくは、MOCON法により測定される水蒸気透過度が、2.0g〜10.0g/m・24hr、さらに好ましくは、5.0g〜7.0g/m・24hrであるシートが適用される。具体的には、水蒸気透過度が上記範囲のアルミニウムシートを適用することができる。また、防湿シート4の厚さは、例えば、0.3〜5.0mmであり、好ましくは、0.5〜2.0mmである。また、防湿シート4の平面サイズ(主面のサイズ)は、後述する樹脂板5の平面サイズよりもやや大きい。
【0017】
次いで、図1Dに示すように、防湿シート4上に、矩形状の樹脂板5を1枚ずつ複数枚積層する。まず最下段の樹脂板5を、その四隅と防湿シート4の四隅とが合うように、防湿シート4に接するように載置し、2段目、3段目・・・最上段の樹脂板5を互いの四隅が揃うように(互いの周縁が揃うように)同様に載置していき、図1Eに示すように、全体として複数枚の樹脂板5が積層されてなる被梱包物としての直方体の積層品6を形成する。樹脂板5の積層枚数は、積層品6の総重量を1000kg以下に抑えて運搬しやすくするために、例えば、50〜400枚、好ましくは、100〜300枚である。なお、図1D〜図1Hでは、図解しやすくするために、樹脂板5の枚数を10枚程度としている。
【0018】
また、樹脂板5の1枚の厚さtは、例えば、0.05mm〜10.0mm、好ましくは、1mm〜8mm、さらに好ましくは、1mm〜4mmである。また、樹脂板5を積層して形成される積層品6の厚さT(樹脂板5の積層方向の厚さ)は、例えば、2mm〜1000mmである。また、樹脂板5の平面サイズ(主面51のサイズ)は、例えば、800mm×800mm〜1400mm×1400mmである。つまり、長さlが800mm〜1400mmであり、幅wが800mm〜1400mmであり、例えば、800mm×1000mm、1200mm×900mmも上記範囲に含まれる。樹脂板5の1枚の平面サイズが上記範囲である場合には、吸湿による樹脂板5の反りの影響が大きいので、この梱包方法を適用した場合の効果が大きい。また、樹脂板5の主面51は、平滑面であってもよいし、表面加工(例えば、エンボス加工、凹凸筋加工など)が施された凹凸面であってもよい。
【0019】
また、積層される樹脂板5としては、例えば、液晶表示装置の導光板材料として用いられる樹脂板、具体的には、メタクリル樹脂板などが挙げられる。
メタクリル樹脂は、例えば、メタクリル酸メチルを主成分とする単量体、具体的にはメタクリル酸メチル50質量%以上を含む単量体を重合させて得られる重合体であって、メタクリル酸メチル単独を重合させて得られるポリメタクリル酸メチルであってもよいし、メタクリル酸メチル50質量%以上およびこれと共重合可能な単量体50質量%以下との共重合体であってもよい。
【0020】
メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ボルニル、メタクリル酸アダマンチル、メタクリル酸シクロペンタジエニルなどのメタクリル酸エステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ボルニル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸シクロペンタジエニルなどのアクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸およびその酸無水物、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセロール、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸モノグリセロールなどのヒドロキシル基含有単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどの窒素含有単量体、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有単量体、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体などが挙げられる。
【0021】
また、メタクリル樹脂以外の樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状オレフィン重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
また、樹脂板5は、上記した樹脂1種類のみで構成される単層板であってもよいし、複数の樹脂で構成される多層板であってもよい。多層板として構成される場合の樹脂の組み合わせとしては、剥離を起こさない樹脂の組み合わせであれば特に制限されず、例えば、メタクリル酸メチル樹脂とポリカーボネートとの組み合わせが好ましい。
【0022】
また、樹脂板5には、光拡散剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光重合安定剤などの添加剤が添加されていてもよい。
次いで、図1Fに示すように、最上段の樹脂板5上に、矩形状の防湿シート7(上側の防湿シート4)を1枚、その四隅と最上段の樹脂板5の四隅とが揃うように(最上段の樹脂板5の周縁と防湿シート7の周縁が揃うように)、かつ最上段の樹脂板5の主面51に接するように載置する。防湿シート7としては、防湿シート4と同様のものを適用することができる。また、防湿シート7の厚さは、例えば、防湿シート4と同じである。また、防湿シート7の平面サイズ(主面のサイズ)は、例えば、樹脂板5の平面サイズと同じである。
【0023】
次いで、図1Gに示すように、積層品6および防湿シート4,7の荷崩れを防止するために、防湿シート4の下に敷いていたストレッチフィルム3を、例えばストレッチ梱包機で、積層品6の側面61および防湿シート4,7の全体に巻き付ける。
次いで、図1Hに示すように、防湿シート7上に、衝撃緩衝のための矩形状の段ボール8を1枚、その四隅と防湿シート7の四隅とが合うように敷く。
【0024】
以上の作業を経て、積層品6、防湿シート4,7および段ボール2,8からなる本発明の一実施形態に係る梱包物9を得る。
この梱包方法によれば、最下段の樹脂板5の主面51全体に接するように下側の防湿シート4を設置し、最上段の樹脂板5の主面51全体に接するように上側の防湿シート7を設置して、積層品6をその上下両側から防湿シート4,7で挟みこむので、保管時や運搬時に梱包物9が湿気のある環境下に置かれても、水分が梱包物9の積層品6に到達する前に防湿シート4,7で吸収することができる。そのため、吸湿による樹脂板5の伸びを抑制できるので、伸びに起因する反りやうねりの発生を抑制することができる。
【0025】
例えば、この梱包方法によって梱包された樹脂板5では、図2(a)(b)に示すように、樹脂板5を立てた状態で上下方向(上端10中央−下端11中央間)および左右方向(左端12中央−右端13中央間)に1本ずつ糸14,15を張り、各14,15糸の中央と樹脂板5との隙間Aの大きさで表される樹脂板5の反りの最大値が、25℃±5℃、60%±20%RHの環境下で1ヶ月半保管した後の最上段の樹脂板5に関して5mm以下に抑えることができる。なお、図2(a)(b)において、破線で示される樹脂板は、反りが発生した従来の樹脂板の形状を表している。
【0026】
また、最上段の樹脂板5および最下段の樹脂板5が吸湿により伸びると、それらに接する樹脂板5との間に摩擦が生じて傷が発生する場合があるが、この梱包方法では、そのような傷の発生を防止することもできる。とくに樹脂板5の主面51が凹凸面である場合には摩擦による傷がつきやすいので、効果が大きい。
また、梱包物9では、保管時や運搬時での樹脂板5の吸湿が抑制されるので、反りやうねりの少ない高品質な樹脂板5を提供することができる。
【0027】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の実施形態で実施することもできる。
例えば、前述の実施形態では、防湿シート4,7を、積層品6の上面(最上段の樹脂板5の上側の主面51)および下面(最下段の樹脂板5の下側の主面51)に接する位置に配置することにより、積層品6をその上下両側から挟みこむように設置したが、例えば、図3に示すように、樹脂板5よりも平面サイズが大きい防湿シート16,17を積層品6の上面および下面に接する位置にそれぞれ配置して、さらにこれらの防湿シート16,17の樹脂板5からはみ出た部分を折り曲げて、積層品6の側面61の一部もしくは全面を覆ってもよい。
【0028】
積層品6の側面61は、個々の樹脂板5の端面52が集合した面であり、樹脂板5の1枚あたりの露出面積(端面52の面積)が小さい。そのため、多少水分に晒されても、積層品6の上面や下面が水分に晒される場合に比べて、樹脂板5の1枚あたりが受ける影響は小さい。しかし、この変形例のように、積層品6の側面61を防湿シート16,17で覆っておけば、樹脂板5の吸湿を確実に防止することができる。
【0029】
また、前述の実施形態では、防湿シート4,7は、最上段の樹脂板5の主面51および最下段の樹脂板5の主面51に接するように設置され、樹脂板5の積層品6とともにストレッチフィルム3で梱包されたが、例えば、図4に示すように、樹脂板5の積層品6のみをストレッチフィルム3で梱包した後、梱包された積層品6の上下に設置されてもよい。
また、防湿シート4,7は、積層品6の上下両側に設置する必要はなく、例えば、積層品6の上側のみに設置してもよいし、下側のみに設置してもよい。
【0030】
また、樹脂板5の形状としては、矩形状に限らず、例えば、円形状、三角形状など種々の形状であってもよい。
また、荷崩れ防止具としては、ストレッチフィルム3などの荷崩れ防止用フィルムに限らず、例えば、積層品6の側面61に巻き付けられて樹脂板5を固定する荷崩れ防止用ストレッチシート(バンド)や荷崩れ防止用紙シート、また、荷崩れ防止用ネットなどを適用することもできる。
【0031】
また、前述の実施形態では、積層品6の衝撃緩衝のために、段ボール2,8を積層品6の上下に配置したが、例えば、積層品6の上部および/または下部に気泡緩衝材(例えば、市販品として「エアーキャップ(登録商標)」など)や保護板を配置してもよい。
また、例えば、本発明の梱包方法は、液晶表示装置に使用される導光板に限らず、例えば、実用上吸湿が問題となる樹脂板(例えば、光拡散板、枚葉にカットされた拡散シートやプリズムシートなど)にも好適に適用することができる。
【実施例】
【0032】
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
<使用した材料>
(1)樹脂板(住友化学株式会社製「スミペックス(メタクリル樹脂) 吸水率0.2〜2.0%(JIS K7209準拠) 厚さ8mm 平面サイズ1100mm×1160mm)なお、樹脂板の両主面には、ポリエチレン製の保護フィルムが貼合されている。
(2)防湿シート(シコー株式会社製「ポリラミネートAL」1500mm幅)
(3)ポリエチレンフィルム(大倉工業株式会社製 直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE))
<実施例および比較例>
(1)実施例1
まず、樹脂製のパレット上に、段ボール1枚を敷いた。次いで、その段ボール上に、ポリエチレンフィルム1枚を敷いた。次いで、そのポリエチレンフィルム上に、防湿シート1枚を敷いた。次いで、その防湿シート上に、樹脂板を1枚ずつ四隅が揃うように順に載せていき、合計100枚積層した。次いで、樹脂板の積層品上に、防湿シート1枚を敷いた。次いで、樹脂板の積層品および防湿シートの荷崩れを防止するために、防湿シートの下に敷いていたポリエチレンフィルムをストレッチ梱包機で、樹脂板の積層品および防湿シートの全体に巻き付けた。最後に、最上段の樹脂板上に、段ボール1枚を敷いた。
(2)比較例1
まず、樹脂製のパレット上に、段ボール1枚を敷いた。次いで、その段ボール上に、ポリエチレンフィルム1枚を敷いた。次いで、そのポリエチレンフィルム上に、樹脂板を1枚ずつ四隅が揃うように順に載せていき、合計100枚積層した。次いで、樹脂板の積層品の荷崩れを防止するために、最下段の樹脂板の下に敷いていたポリエチレンフィルムをストレッチ梱包機で、樹脂板の積層品全体に巻き付けた。最後に、最上段の樹脂板上に、段ボール1枚を敷いた。
<評価>
実施例および比較例で梱包した梱包物を、温度:25℃±5℃、湿度RH:60%±20%の環境下にて、1ヶ月半保管した。保管中、1週間ごとに上側5枚の樹脂板を抜き取り、それぞれに反り測定を実施した。反り測定は、測定用の樹脂板を立てた状態で、上下方向(上端中央−下端中央間)および左右方向(左端中央−右端中央間)に1本ずつ糸を張り、各糸の中央と樹脂板との隙間を0.5mm刻みで測定することにより行った。結果を下記表1に示す。なお、反り測定に供した樹脂板は、測定後、元の位置に戻した。
【0033】
【表1】

【符号の説明】
【0034】
3 ストレッチフィルム
4 下側の防湿シート
5 樹脂板
6 積層品
7 上側の防湿シート
9 梱包物
16 防湿シート
17 防湿シート
51 (樹脂板の)主面
61 (積層品の)側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚積層された樹脂板からなる被梱包物に対して、その最上段および/または最下段の前記樹脂板の主面全体を覆うように防湿シートを設置するシート設置ステップと、
積層された前記樹脂板にストレッチフィルムを巻き付けることにより、前記被梱包物を梱包する梱包ステップとを含むことを特徴とする、樹脂板の梱包方法。
【請求項2】
前記シート設置ステップでは、前記防湿シートを、さらに前記被梱包物の側面を覆うように設置することを特徴とする、請求項1に記載の樹脂板の梱包方法。
【請求項3】
前記樹脂板が、メタクリル樹脂板であることを特徴とする、請求項1または2に記載の樹脂板の梱包方法。
【請求項4】
前記樹脂板の吸水率が、0.2〜2.0%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂板の梱包方法。
【請求項5】
前記樹脂板1枚の厚さが、1mm〜8mmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂板の梱包方法。
【請求項6】
前記樹脂板1枚の平面サイズが、800mm×800mm〜1400mm×1400mmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂板の梱包方法。
【請求項7】
前記樹脂板の積層方向における前記被梱包物の厚さが、2mm〜1000mmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂板の梱包方法。
【請求項8】
前記樹脂板の前記主面が凹凸面である、請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂板の梱包方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂板の梱包方法により梱包されたことを特徴とする、梱包物。
【請求項10】
樹脂板を立てた状態で上下方向および左右方向に1本ずつ糸を張り、各前記糸の中央と前記樹脂板との隙間の大きさで表される樹脂板の反りの最大値が、25℃±5℃、60%±20%RHの環境下で1ヶ月半保管した後の最上段の前記樹脂板に関して5mm以下であることを特徴とする、請求項9に記載の梱包物。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−140185(P2012−140185A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−29715(P2012−29715)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【分割の表示】特願2010−34737(P2010−34737)の分割
【原出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】